平成26年度 秋期に実施されたシステムアーキテクト試験
午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
ソフトウェアの要求分析や設計に利用されるモデルに関する記述のうち,ペトリネットの説明として,適切なものはどれか。
ア 外界の事象をデータ構造として表現する,データモデリングのアプローチをとる。その表現は,エンティティ,関連及び属性で構成される。
イ システムの機能を入力データから出力データへの変換とみなすとともに,機能を段階的詳細化に基づき階層的に分割していく。
ウ 対象となる問題領域に対して,プロセスではなくオブジェクトを用いて解決を図るというアプローチをとる。
エ 並行して進行する事象間の同期を表す。その構造は 2 種類の節点をもつ有向 2 部グラフで表される。 正解
正解 エ
解説
ペトリネットは,プレース(状態や条件を表す節点)とトランジション(事象を表す節点)の 2 種類の節点を有向の枝で結んだ有向 2 部グラフで,プレースに置いたトークンがトランジションの発火によって移動する様子で,システムの振る舞いを表す。並行して進む事象の間の同期や排他,因果関係を表現できるので,並行処理を行うシステムの分析に用いられる。エが該当する。
アのエンティティ,関連及び属性でデータ構造を表すのは E-R モデル,イの入力から出力への変換として機能をとらえ段階的に階層分割していくのは構造化分析(DFD を用いる手法),ウのプロセスではなくオブジェクトを中心に問題領域をとらえるのはオブジェクト指向分析の説明である。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
要求分析・設計技法のうち,BPMN の説明はどれか。
ア イベント・アクティビティ・分岐・合流を示すオブジェクトと,フローを示す矢印などで構成された図によって,業務プロセスを表現する。 正解
イ 木構造に基づいた構造化ダイアグラムであり,トップダウンでの機能分割やプログラム構造図,組織図などを表現する。
ウ システムの状態が外部の信号や事象に対してどのように推移していくかを図で表現する。
エ プログラムをモジュールに分割して表現し,モジュールの階層構造と編成,モジュール間のインタフェースを記述する。
正解 ア
解説
BPMN(Business Process Model and Notation)は,OMG が標準化した業務プロセスの表記法である。イベント,アクティビティ,ゲートウェイ(分岐・合流)などのフローオブジェクトを,シーケンスフローなどの矢印で結んで業務プロセスを図に表す。業務担当者にも技術者にも理解しやすいフローチャートに似た表記を目指している。アが該当する。
イは木構造で機能や組織の階層を上から下へ分割して表す構造化チャート(階層図)の説明である。ウは外部の信号や事象によるシステムの状態の推移を表す状態遷移図,エはプログラムをモジュールに分割し,その階層構造とモジュール間のインタフェースを表す構造化設計のモジュール構造図の説明である。なお,BPMN は 1.x 版では Business Process Modeling Notation の略だったが,2.0 版で現在の名称になった。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
ソフトウェアパターンのうち,GoF のデザインパターンの説明はどれか。
ア Java のパターンとして引数オブジェクト,オブジェクトの可変性などで構成される。
イ オブジェクト指向開発のためのパターンとして生成,構造,振る舞いの 3 カテゴリから構成される。 正解
ウ 構造,分散システム,対話型システム及び適合型システムの 4 カテゴリから構成される。
エ 抽象度が異なる要素を分割して階層化するための Layers,コンポーネント分割のための Broker などで構成される。
正解 イ
解説
GoF(Gang of Four)のデザインパターンは,オブジェクト指向設計でよく現れる問題と解決策を23のパターンにまとめたもので,オブジェクトの生成に関わる“生成”,クラスやオブジェクトの組み合わせ方に関わる“構造”,オブジェクト間の責任分担や処理の流れに関わる“振る舞い”の三つに分類される。イが正しい。
ウとエは,ソフトウェアアーキテクチャのパターン集である POSA(Pattern-Oriented Software Architecture)の説明で,Layers や Broker はそのアーキテクチャパターンである。アは Java に特化した実装上の指針の説明で,GoF のパターンは特定の言語に依存しない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
内部設計書のデザインレビューを実施する目的として,最も適切なものはどれか。
ア 外部設計書との一貫性の検証と要件定義の内容を満たしていることの確認 正解
イ 設計記述規約の遵守性の評価と設計記述に関する標準化の見直し
ウ 要件定義の内容に関する妥当性の評価と外部設計指針の見直し
エ 論理データ設計で洗い出されたデータ項目の確認と物理データ構造の決定
正解 ア
解説
内部設計は,外部設計で決めた仕様を,システムの内部でどのように実現するかを設計する工程である。そのデザインレビューでは,内部設計書が外部設計書と矛盾なく一貫しているか,さらにその上流の要件定義の内容を満たしているかを検証する。前工程の成果物との整合性を確かめ,欠陥を次工程に持ち込まないことが目的である。アが最も適切である。
イの設計記述規約の遵守や標準化の見直しは,記述の形式面の点検や組織の標準の改善であり,内部設計の内容の検証が主目的ではない。ウの要件定義の妥当性評価と外部設計指針の見直しは,要件定義や外部設計の段階のレビューで行うことである。エのデータ項目の確認と物理データ構造の決定は,内部設計の作業そのものであり,レビューの目的ではない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
図は,商品の受注処理を行うプログラムのモジュール構成図である。a〜d のうち,機能的強度のモジュールはどれか。
正解 ウ
解説
モジュール強度(結束性)のうち機能的強度は,モジュールが単一の機能だけを実行し,その中の処理が全てその機能の実現に役立っている,最も強度が高い(望ましい)状態である。c は顧客番号,氏名,住所を入力として顧客レコードを更新するという一つの機能だけを行っており,新規顧客の登録からも,顧客情報の修正からも共通に呼び出されている。ウが該当する。
a の初期設定とファイルを開く処理は,実行する時期が同じであるためにまとめられた時間的強度に当たる。b は顧客情報の修正,販売番号の採番,販売レコードの作成という複数の機能を決められた順に実行する手順的強度,d は販売情報を使って販売レコードの更新と監査用の記録という複数の機能を行う連絡的強度に当たり,いずれも単一の機能ではない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
a〜c の説明に対応するレビューの名称として,適切な組合せはどれか。
a 参加者全員が持ち回りでレビュー責任者を務めながらレビューを行うので,参加者全員の参画意欲が高まる。 b レビュー対象物の作成者が説明者になり,入力データの値を仮定して,手続をステップごとに机上でシミュレーションしながらレビューを行う。 c あらかじめ参加者の役割を決めておくとともに,進行役の議長を固定し,レビューの焦点を絞って迅速にレビュー対象を評価する。
ア a:インスペクション,b:ウォークスルー,c:ラウンドロビン
イ a:ウォークスルー,b:インスペクション,c:ラウンドロビン
ウ a:ラウンドロビン,b:インスペクション,c:ウォークスルー
エ a:ラウンドロビン,b:ウォークスルー,c:インスペクション 正解
正解 エ
解説
a の,参加者が持ち回りでレビュー責任者を務める方式はラウンドロビンで,全員が主体的に関わるので参画意欲が高まる。b の,作成者自身が説明者となって対象物を順に説明し,参加者が質問やコメントをする方式はウォークスルー。c の,議長(モデレータ)や読み上げ係などの役割を決め,事前に準備した資料で厳密に確認して結果を公式に評価する方式はインスペクションである。組合せはエ。
インスペクションは最も形式的なレビューで,指摘の記録や是正の確認まで手順として決まっている。ウォークスルーは作成者が主導し比較的形式ばらない。“作成者が説明する”か“役割を決めて公式に評価する”かが,b と c を取り違えないための手掛かりになる。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
ソフトウェアの要件定義や分析・設計で用いられる技法に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 決定表は,条件と処理を対比させた表形式で論理を表現したものであり,複雑な条件判定を伴う要件定義の記述手段として有効である。 正解
イ 構造化チャートは,システムの“状態”の種別とその状態が遷移するための“要因”との関係を分かりやすく表現する手段として有効である。
ウ 状態遷移図は,DFD に“コントロール変換とコントロールフロー”を付加したものであり,制御系システムに特有な処理を表現する手段として有効である。
エ 制御フロー図は,データの“源泉,吸収,流れ,処理,格納”を基本要素としており,システム内のデータの流れを表現する手段として有効である。
正解 ア
解説
決定表(デシジョンテーブル)は,条件とその組合せ,それに対応する処理を表形式で対比させて論理を表現するもので,複雑な条件判定を漏れなく整理できるため,要件定義の記述手段として有効である。アが適切である。
イの“状態”とその遷移の“要因”との関係を表すのは状態遷移図で,構造化チャートはプログラムの階層構造を表す図である。ウの DFD にコントロール変換とコントロールフローを付加したものは,リアルタイムシステムの分析に使う制御フロー図(拡張 DFD)で,状態遷移図ではない。エのデータの源泉,吸収,流れ,処理,格納を基本要素とするのは DFD(データフロー図)である。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
ソフトウェアの使用性を評価する指標の目標設定の例として,適切なものはどれか。
ア ソフトウェアに障害が発生してから 1 時間以内に,利用者が使用できること
イ 利用者が使用したい機能の改善を,1 週間以内に実装できること
ウ 利用者が使用したい機能を,100%提供できていること
エ 利用者が使用したいソフトウェアの使用方法を,1 時間以内に習得できること 正解
正解 エ
解説
使用性は,利用者が製品を理解し,習得し,操作しやすい度合いを表す品質特性である。“使用方法を1時間以内に習得できる”は,使い方の覚えやすさ(習得性)の目標で,使用性の指標に当たる。エが適切である。
アの障害発生から1時間以内に使用できることは信頼性(回復性),イの機能の改善を1週間以内に実装できることは保守性,ウの利用者が使用したい機能を100%提供できていることは機能性(機能適合性)に関する目標である。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
プログラムテストに使用する入力データを,実験計画法に基づいて作成する。入力データには七つの項目があり,それぞれの項目は直交表の 0 又は 1 に対応する二者択一の値で構成する。入力データの全パターンをテストするときのテスト回数と,直交表を用いてテストケースを作成するときのテスト回数の組合せはどれか。ここで,直交表は,全ての 2 列間で 0 又は 1 が公平に出現するように作られている。
ア 全パターンのテスト回数:14,直交表でテストケースを作成するときのテスト回数:7
イ 全パターンのテスト回数:14,直交表でテストケースを作成するときのテスト回数:8
ウ 全パターンのテスト回数:128,直交表でテストケースを作成するときのテスト回数:7
エ 全パターンのテスト回数:128,直交表でテストケースを作成するときのテスト回数:8 正解
正解 エ
解説
入力データの七つの項目がそれぞれ 0 か 1 の 2 値をとるので,全パターンをテストするときのテスト回数は 27 =128 回である。直交表を用いると,表の各行が一つのテストケースになる。表は 8 行 7 列で,どの 2 列を取り出しても (0,0),(0,1),(1,0),(1,1) の組合せがそれぞれ 2 回ずつ現れるように作られているので,8 回のテストで 2 項目間の全ての組合せを確認できる。エが正しい。
ア,イの 14 は項目数 7 に 2 値を掛けた値で,項目ごとの値の数を足し合わせただけでは組合せの数にならない。ア,ウの 7 は直交表の列数(項目数)であり,テストケースの数は行数の 8 である。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
次の流れ図において,
① → ② → ③ → ⑤ → ② → ③ → ④ → ② → ⑥
の順に実行させるために,①において m と n に与えるべき初期値 a と b の関係はどれか。ここで,a,b はともに正の整数とする。
ア a = 2b
イ 2a = b
ウ 2a = 3b
エ 3a = 2b 正解
正解 エ
解説
流れ図は,m と n が等しくなるまで大きい方から小さい方を引き続ける(ユークリッドの互除法による最大公約数の計算)。指定の順序では,1 回目の③で m<n なので⑤で n-m→n,2 回目の③で m>n なので④で m-n→m となり,その後の②で m=n となる必要がある。3a=2b となる a=2,b=3 で試すと,m=2,n=3 → ⑤で n=1 → ④で m=1 → ②で m=n となり,指定どおりに実行される。エになる。
アの a=2b(例 a=2,b=1)とウの 2a=3b(例 a=3,b=2)は,最初の③で m>n となり④に進むので順序が合わない。イの 2a=b(例 a=1,b=2)は,⑤で n=1 となった直後の②で m=n となり,④を通らずに⑥へ進む。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
論理型プログラミングにおいて,命題の証明を行うための基本的な操作はどれか。
ア オーバライド
イ オーバロード
ウ メッセージパッシング
エ ユニフィケーション 正解
正解 エ
解説
論理型プログラミング(Prolog など)では,事実と規則を記述しておき,与えられた問い(命題)が成り立つかを推論によって証明する。その基本となる機能が,二つの項を同じ形にするように変数に値を割り当てるユニフィケーション(単一化)と,失敗したときに別の候補を試すバックトラックである。エが該当する。
アのオーバーライドは上位クラスのメソッドを下位クラスで再定義すること,イのオーバーロードは同じ名前で引数の異なるメソッドを複数定義すること,ウのメッセージパッシングはオブジェクト間でメッセージを送って処理を依頼することで,いずれもオブジェクト指向の概念である。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
開発ライフサイクルモデルとして,ウォータフォールモデル,進化的モデル,スパイラルモデルの三つを考える。ソフトウェア保守は,どのモデルを採用したときに必要か。
ア ウォータフォールモデルだけ
イ ウォータフォールモデルと進化的モデルだけ
ウ ウォータフォールモデルとスパイラルモデルだけ
エ ウォータフォールモデル,進化的モデル,スパイラルモデルの全て 正解
正解 エ
解説
ソフトウェア保守は,システムを運用に移した後に,障害の修正(是正保守),環境の変化への対応(適応保守),機能や性能の改善(完全化保守)などのために行う活動である。どの開発ライフサイクルモデルで開発しても,運用段階に入ればこれらの修正は発生するので,ウォータフォールモデル,進化的モデル,スパイラルモデルの全てで保守が必要になる。エが適切である。
進化的モデルやスパイラルモデルは,開発の中で機能の追加や改良を繰り返して完成度を高めていくが,それは開発中の話であり,リリース後に運用しているソフトウェアへの修正が不要になるわけではない。したがって,特定のモデルに限って保守が必要とするア,イ,ウは適切でない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
ユースケース駆動開発の利点はどれか。
ア 開発を反復するので,新しい要求やビジネス目標の変化に柔軟に対応しやすい。
イ 開発を反復するので,リスクが高い部分に対して初期段階で対処しやすく,プロジェクト全体のリスクを減らすことができる。
ウ 基本となるアーキテクチャをプロジェクトの初期に決定するので,コンポーネントを再利用しやすくなる。
エ ひとまとまりの要件を単位として設計からテストまでを実施するので,要件ごとに開発状況が把握できる。 正解
正解 エ
解説
ユースケース駆動開発は,利用者から見たひとまとまりの要件であるユースケースを単位として,分析・設計・実装・テストを進める開発の進め方である。ユースケースごとに設計からテストまでが対応付くので,どの要件がどこまでできているかを把握しやすい。エが正しい。
ユースケース駆動は,統一プロセス(UP)の特徴である“ユースケース駆動”“アーキテクチャ中心”“反復的かつ漸進的”の一つに当たる。アとイは開発を反復することによる利点で“反復的かつ漸進的”の側,ウは初期にアーキテクチャを決める“アーキテクチャ中心”の利点であり,ユースケース駆動の利点ではない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
投資効果を現在価値法で評価するとき,最も投資効果の大きい(又は損失の小さい)シナリオはどれか。ここで,期間は 3 年間,割引率は 5%とし,各シナリオのキャッシュフローは表のとおりとする。
正解 イ
解説
正味現在価値は,各年の回収額を割引率で現在価値に直して合計し,投資額を引いて求める。割引率5%なら1年目は 1.05,2年目は 1.052 =1.1025,3年目は 1.053 ≒1.1576 で割る。
A は 40/1.05+80/1.1025+120/1.1576≒38.1+72.6+103.7=214.4 で,220 を引くと約 −5.6 万円。B は 120/1.05+80/1.1025+40/1.1576≒114.3+72.6+34.6=221.5 で約 +1.5 万円。C は 80/1.05+80/1.1025+80/1.1576≒76.2+72.6+69.1=217.9 で約 −2.1 万円。投資をしない場合は 0 である。
最も大きいのは B で,イが正しい。割り引かずに合計すると回収額はどのシナリオも 240 万円で同じになり,差が出ない。早い時期に多く回収するシナリオほど現在価値が大きくなる。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
情報システムの全体計画立案のために E-R モデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか。
ア 管理層の業務から機能を抽出し,機能をエンティティとする。次に,機能の相互関係に基づいてリレーションシップを定義する。さらに,全社の帳票類を調査して整理し,正規化された項目に基づいて属性を定義し,全社のデータモデルとする。
イ 企業の全体像を把握するために,主要なエンティティだけを抽出し,それらの相互間のリレーションシップを含めて,鳥瞰図を作成する。次に,エンティティを詳細化し,全てのリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。 正解
ウ 業務層の現状システムを分析し,エンティティとリレーションシップを抽出する。それぞれについて適切な属性を定め,これらを基に E-R 図を作成し,それを抽象化して,全社のデータモデルを作成する。
エ 全社のデータとその処理過程を分析し,重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする。次に,基本エンティティ相互のデータの流れをリレーションシップとして捉え,適切な識別名を与える。さらに,基本エンティティと関係のあるデータを属性とし,全社のデータモデルを作成する。
正解 イ
解説
全社のデータモデルは,全体計画の立案に使うため,まず企業全体を見渡せることが重要である。そこで,トップダウンで企業活動の中心となるエンティティだけを抽出し,それらの間のリレーションシップを含めた鳥瞰図を作成して全体像を把握する。次に,エンティティを詳細化し,全てのリレーションシップを明確にして全社のデータモデルに仕上げる。イが適切である。
アは機能をエンティティとしており,業務の機能とデータを取り違えている。ウは業務層の現状システムからボトムアップに積み上げるので,現状の個別システムの構造に引きずられ,全社の視点をもったモデルになりにくい。エは業務(処理)をエンティティ,データの流れをリレーションシップとしており,データフローの考え方と E-R モデルを混同している。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
非機能要件項目はどれか。
ア 新しい業務の在り方や運用に関わる業務手順,入出力情報,組織,責任,権限,業務上の制約などの項目
イ 新しい業務の遂行に必要なアプリケーションシステムに関わる利用者の作業,システム機能の実現範囲,機能間の情報の流れなどの項目
ウ 経営戦略や情報戦略に関わる経営上のニーズ,システム化・システム改善を必要とする業務上の課題,求められる成果・目標などの項目
エ システム基盤に関わる可用性,性能,拡張性,運用性,保守性,移行性,セキュリティ,システム環境などの項目 正解
正解 エ
解説
非機能要件は,システムが何をするか(機能)ではなく,どのように働くかを定める要件である。可用性・性能・拡張性・運用性・保守性・移行性・セキュリティなど,主にシステム基盤に関わる品質と制約が該当する。エがこれに当たる。
アは業務手順や組織・責任・権限を定める業務要件,イはシステムが備える機能とその実現範囲を定める機能要件である。ウはシステム化の目的や達成目標を示す経営上の要求で,要件を導く前提に当たる。いずれも非機能要件ではない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
エンタープライズアーキテクチャにおいて,ビジネスアーキテクチャの成果物である機能情報関連図(DFD)を説明したものはどれか。
ア 業務・システムの処理過程において,情報システム間でやり取りされる情報の種類及び方向を図式化したものである。
イ 業務を構成する各種機能を,階層化した 3 行 3 列の格子様式に分類して整理し,業務・システムの対象範囲を明確化したものである。
ウ 最適化計画に基づき決定された業務対象領域の全情報(伝票,帳票,文書など)を整理し,各情報間の関連及び構造を明確化したものである。
エ 対象の業務機能に対して,情報の発生源と到達点,処理,保管,それらの間を流れる情報を,統一記述規則に基づいて表現したものである。 正解
正解 エ
解説
業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン)では,ビジネスアーキテクチャに当たる政策・業務体系の成果物として,業務説明書,機能情報関連図(DFD),業務流れ図(WFA),情報体系整理図を作成する。機能情報関連図は,業務・システムの各機能について,情報の発生源と到達点,処理,保管とそれらの間を流れるデータを統一記述規則に基づき表現するものである。エが該当する。
アは適用処理体系(アプリケーションアーキテクチャ)の成果物である情報システム関連図,イは業務の機能を 3 行 3 列の格子様式で階層的に整理する機能構成図(DMM),ウは業務で扱う情報の関連と構造を明確化する情報体系整理図の説明である。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
システム化計画立案時に,全社レベルの業務モデルを作成するときの留意点はどれか。
ア 業務モデルとしてビジネスプロセスとデータクラスとの関係を明らかにするために,データクラスに含まれるデータ項目を詳細にしておく必要がある。
イ 業務モデルは企業活動のモデルでもあるので,ビジネスプロセスには,日常業務レベルの活動だけでなく意思決定活動や戦略計画活動も含む必要がある。 正解
ウ 業務モデルは企業活動を正確に表現するので,データクラス間に存在しているデータの重複はそのまま反映しておく必要がある。
エ 業務モデルは全社情報システム構築の基本構造となるもので,ビジネスプロセスはその企業の現行のプロセスをそのまま反映させる必要がある。
正解 イ
解説
全社レベルの業務モデルは,企業活動全体をビジネスプロセスとして表し,全社の情報システムの基本構造とするものである。企業活動には日常の業務処理だけでなく,経営の意思決定や戦略計画の立案も含まれるので,ビジネスプロセスにはそれらの活動も含めて洗い出す必要がある。イが該当する。
アのデータ項目の詳細化は,システム化計画の段階の全社モデルでは不要で,データクラスの単位で関係を押さえれば足りる。ウのデータの重複は,そのまま反映せず整理して取り除くべきものである。エの現行プロセスをそのまま反映するのではなく,あるべき姿を検討して業務の改善も織り込む必要がある。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
アクセス時間 10 ナノ秒のキャッシュメモリとアクセス時間 50 ナノ秒の主記憶を使用した処理装置において,主記憶の実効メモリアクセス時間が 25 ナノ秒以下になるためには,キャッシュメモリのヒット率が少なくとも何%あればよいか。
正解 ウ
解説
キャッシュメモリのヒット率を h とすると,実効メモリアクセス時間は 10×h+50×(1-h)=50-40h ナノ秒である。これが 25 ナノ秒以下になる条件は 50-40h≦25,つまり h≧0.625 で,ヒット率は 62.5%以上必要である。選択肢のうちこれを満たす最小の値は 70%で,このとき実効アクセス時間は 10×0.7+50×0.3=22 ナノ秒になる。ウが正しい。
アの 50%では 10×0.5+50×0.5=30 ナノ秒,イの 60%では 10×0.6+50×0.4=26 ナノ秒となり,いずれも 25 ナノ秒を超える。エの 80%(18 ナノ秒)でも条件は満たすが,“少なくとも”必要なヒット率としては 70%で足りる。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
Web ブラウザや HTTP を用いず,独自の GUI とデータ転送機構を用いた,ネットワーク対戦型のゲームを作成する。仕様の (2) の実現に用いることができる仕組みとして,適切なものはどれか。
〔仕様〕
(1) ゲームは囲碁や将棋のように 2 人のプレーヤの間で行われ,ゲームの状態はサーバで管理する。プレーヤはそれぞれクライアントプログラムを操作してゲームに参加する。 (2) プレーヤが新たな手を打ったとき,クライアントプログラムはサーバにある関数を呼び出す。サーバにある関数は,その手がルールに従っているかどうかを調べて,ルールに従った手であればゲームの状態を変化させ,そうでなければその手が無効であることをクライアントプログラムに知らせる。 (3) ゲームの状態に変化があれば,サーバは各クライアントプログラムにその旨を知らせることによって GUI に反映させる。
正解 ウ
解説
仕様の (2) は,クライアントプログラムがネットワーク越しにサーバにある関数を呼び出し,その結果を受け取る処理である。RPC(Remote Procedure Call)は,別のコンピュータ上の手続(関数)を,自分のプログラム内の手続と同じように呼び出すための仕組みであり,Web ブラウザや HTTP を用いない独自のデータ転送機構でも利用できる。ウが該当する。
アの CGI は Web サーバから外部のプログラムを起動する仕組み,イの PHP は主に Web サーバ上で動く HTML 埋め込み型のスクリプト言語であり,いずれも HTTP と Web サーバを前提とする。エの XML はデータを記述するためのマークアップ言語で,関数を呼び出す仕組みではない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
階層構造をもつ組織と社員の所属を表す UML のクラス図のうち,“社員は組織階層中のどの組織にも所属できるが,兼務はしない”とするものはどれか。
正解 エ
解説
“社員は組織階層中のどの組織にも所属できる”ためには,所属の関連が末端の組織ではなく組織クラス全体に結ばれている必要がある。“兼務はしない”ためには,社員 1 人が所属する組織はちょうど一つ,つまり組織側の多重度が 1 でなければならない。エは組織クラスの自己関連(上位 0..1,下位 *)で組織の階層を表し,組織(1)と社員(*)を所属の関連で結んでいるので,両方の条件を満たす。エが適切である。
アは所属の関連が末端組織にしか結ばれていないので,上位の組織に所属できない。イとウは組織側の多重度が *,社員側が 1 で,社員が複数の組織に所属でき(兼務になり),一つの組織には社員が 1 人しか所属できない。ウはさらに組織の階層構造(上位と下位の関連)も表していない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
データベースに媒体障害が発生したときの回復法はどれか。
ア 障害発生時,異常終了したトランザクションをロールバックする。
イ 障害発生時点でコミットしていたがデータベースの実更新がされていないトランザクションをロールフォワードする。
ウ 障害発生時点でまだコミットもアボートもしていなかった全てのトランザクションをロールバックする。
エ バックアップコピーでデータベースを復元し,バックアップ取得以降にコミットした全てのトランザクションをロールフォワードする。 正解
正解 エ
解説
媒体障害は記憶媒体そのものが壊れる障害で,データベースの内容が失われる。回復するには,まずバックアップコピーから復元し,その後にログを使って,バックアップ取得以降にコミットされたトランザクションをロールフォワードして障害直前の状態まで進める。エが正しい。
アはトランザクション障害での回復,ウはシステム障害での回復に当たり,どちらも媒体は無事なのでロールバックで済む。イもシステム障害での回復で,バックアップからの復元を伴わない点が媒体障害の場合と異なる。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
図は,既存の電話機と PBX を使用した企業内の内線網を,IP ネットワークに統合する場合の接続構成を示している。図中の a〜c に該当する装置の適切な組合せはどれか。
ア a:PBX,b:VoIP ゲートウェイ,c:ルータ 正解
イ a:PBX,b:ルータ,c:VoIP ゲートウェイ
ウ a:VoIP ゲートウェイ,b:PBX,c:ルータ
エ a:VoIP ゲートウェイ,b:ルータ,c:PBX
正解 ア
解説
既存の電話機はまず内線交換機である PBX に接続する。PBX が扱う電話の音声信号を IP パケットに変換して IP ネットワークでやり取りできるようにするのが VoIP ゲートウェイであり,そのパケットをルータを通して IP ネットワークへ送る。電話機から順に PBX,VoIP ゲートウェイ,ルータとなるので,アが適切である。
イは PBX の出す電話の信号を IP 化しないままルータに渡すことになり,ルータは IP パケットしか中継できないので通信できない。ウは VoIP ゲートウェイで IP 化した後に PBX を置き,エは IP ネットワークの直前に PBX を置いているが,既存の PBX は電話の信号を交換する装置で IP パケットを扱えないので,どちらも成り立たない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
WAF に登録された検出パターンと判定の関係のうち,適切なものはどれか。
ア ブラックリスト方式では,正常な通信の検出パターンがブラックリストに登録されており,通信がブラックリストに該当しないとき,不正な通信と判定する。
イ ブラックリスト方式では,不正な通信の検出パターンがブラックリストに登録されており,通信がブラックリストに該当しないとき,不正な通信と判定する。
ウ ホワイトリスト方式では,正常な通信の検出パターンがホワイトリストに登録されており,通信がホワイトリストに該当しないとき,不正な通信と判定する。 正解
エ ホワイトリスト方式では,不正な通信の検出パターンがホワイトリストに登録されており,通信がホワイトリストに該当しないとき,正常な通信と判定する。
正解 ウ
解説
WAF の検出パターンには 2 種類ある。ブラックリストは,攻撃に特徴的な不正な値やパターンを定義したもので,通信がこれに合致したときに不正な通信と判定する。ホワイトリストは,Web アプリケーションの設計に基づいて正しい値やパターンを定義したもので,通信がこれに合致しないときに不正な通信と判定する。ウが適切である。
アは正常な通信のパターンを登録するとしており,これはホワイトリストの考え方で,ブラックリストの説明としては誤りである。イはブラックリストに登録するのは不正な通信のパターンで正しいが,該当しないときではなく該当したときに不正と判定する。エのホワイトリストに登録するのは正常な通信のパターンであり,該当しない通信は不正と判定する。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
脆弱性検査手法の一つであるファジングはどれか。
ア 既知の脆弱性に対するシステムの対応状況に注目し,システムに導入されているソフトウェアのバージョン及びパッチの適用状況の検査を行う。
イ ソフトウェアのデータの入出力に注目し,問題を引き起こしそうなデータを大量に多様なパターンで入力して挙動を観察し,脆弱性を見つける。 正解
ウ ソフトウェアの内部構造に注目し,ソースコードの構文を機械的にチェックするホワイトボックス検査を行うことによって脆弱性を見つける。
エ ベンダや情報セキュリティ関連機関が提供するセキュリティアドバイザリなどの最新のセキュリティ情報に注目し,ソフトウェアの脆弱性の検査を行う。
正解 イ
解説
ファジングは,検査対象のソフトウェアに,想定外の長さや形式のデータ,境界値など問題を引き起こしそうなデータ(ファズ)を大量に,多様なパターンで入力し,異常終了や応答の乱れといった挙動から脆弱性を見つける手法である。ソースコードがなくても実施できる。イが正しい。
アはバージョンやパッチの適用状況を確かめる検査,ウはソースコードを解析する静的解析,エはセキュリティアドバイザリなどの情報を基に該当する脆弱性がないかを調べる検査で,いずれもファジングではない。
出典:平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
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