平成21年度 秋期 午前Ⅱ

平成21年度 秋期に実施されたITストラテジスト試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

業務のあるべき姿を表す論理モデルを説明したものはどれか。

正解 

解説

業務のあるべき姿を表す論理モデル(To-Be モデル)は,経営目標を達成するために必要な業務機能を定義し,体系化したものである。現在のやり方にとらわれず,本来必要な機能を明らかにする。イが該当する。

アとウは,現状の業務機能や情報システムでの処理を分析したもので,現状を表すモデル(As-Is モデル)である。エは,あるべき姿と現状を比較してその差異を分析するギャップ分析の結果である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

BPO を説明したものはどれか。

正解 

解説

BPO(Business Process Outsourcing)は,自社の業務プロセスのうち,コアビジネス以外の業務の一部又は全部を,それを支える情報システムと併せて外部の専門事業者に委託することである。経営資源をコアビジネスに集中させることができる。ウが該当する。

アは業務プロセスを抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)。イは災害や事故でも重要事業を中断させない,又は早期に復旧させる仕組みを作る BCP(事業継続計画)や BCM。エはプロジェクトを評価して情報化投資の配分を最適化する IT ポートフォリオマネジメントの説明である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

マイケルハマーの提唱するリエンジニアリングの特徴はどれか。

正解 

解説

マイケルハマーが提唱したリエンジニアリング(BPR)は,コスト,品質,サービス,スピードといった業績を劇的に改善するために,業務プロセスを根本から考え直し,抜本的に設計し直すことをいう。既存の組織や手順を前提とした部分的な手直しではなく,顧客に提供する価値を起点に,最新の情報技術を前提として業務プロセスと組織を作り替える点に特徴がある。イが正しい。

アは既存の組織構造を前提にした業務改善であり,プロセスの抜本的な設計し直しではない。ウは業務システムの開発によって組織をスリム化するもので,業務プロセスそのものを見直す活動ではない。エは現場の全員参加で改善を積み上げていく活動であり,経営者が主導して一気に作り替えるリエンジニアリングとは進め方が逆である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

BI(Business Intelligence)を説明したものはどれか。

正解 

解説

BI(Business Intelligence)は,企業内の基幹システムなどに蓄積された膨大なデータを,データウェアハウスなどに集めて分類・加工・分析し,経営者や担当者の迅速な意思決定に役立てる手法である。OLAP やデータマイニング,レポーティングなどのツールが使われる。エが正しい。

アの業務の流れを可視化し,改善サイクルを回して継続的に業務を改善する手法は BPM(Business Process Management)である。イの異なるシステムを連結してデータやプロセスを統合するのは EAI(Enterprise Application Integration)である。ウの戦略目標の達成度を測る指標を把握,分析して進捗管理に活用するのは,KPI(重要業績評価指標)による業績管理の説明である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

情報システムのアウトソーシングを説明したものはどれか。

正解 

解説

アウトソーシングは,情報システムの開発,運用,保守などの業務の全部又は一部を,外部の専門企業に委託することである。自社で資源をもたずに専門的な能力を活用でき,コアとなる業務に経営資源を集中できる。アが正しい。

イは情報システム部門を分社化した情報システム子会社が,親会社以外の業務(外販)も受託する形態の説明である。ウは労働者派遣で,派遣労働者は派遣先の指揮命令を受けて働くので,業務を外部に任せる委託とは異なる。エは業務をユーザ部門に移管するもので,外部への委託ではない。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

共通フレーム 2007 によれば,システム化計画の立案よりも後のプロセスで実施するものはどれか。

正解 

解説

共通フレーム 2007 の企画プロセスは,システム化構想の立案とシステム化計画の立案からなる。業務要件の定義は,企画プロセスの後に置かれた要件定義プロセスのタスク(1.5.2.2 業務要件の定義)であり,システム化計画の立案よりも後で実施する。エが正しい。

アの現行業務,システムの調査分析はシステム化構想の立案のタスクで,システム化計画の立案より前に行う。イの開発組織の編成方針と責任部署の決定はシステム化計画の立案のタスクであるプロジェクト推進体制の策定に,ウのシステム稼働時期の設定と全体開発スケジュールの作成は同じく全体開発スケジュールの作成に当たる。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

共通フレーム 2007 によれば,企画プロセスのアクティビティはどれか。

正解 

解説

共通フレーム 2007 の企画プロセスは,システム化構想の立案プロセスとシステム化計画の立案プロセスからなる。システム化構想の立案では経営課題を解決するための新たな業務とシステムの構想をまとめ,システム化計画の立案ではその構想を具体化して,システム化計画及びプロジェクト計画を作成し,利害関係者の合意と承認を得る。ウが企画プロセスのアクティビティである。

アの RFP を発行して提案書を受領する作業は,供給者を選定する取得プロセスのものである。イの開発プロセスの実行計画の作成は,開発プロセスの最初に置かれたプロセス開始の準備で行う。エの投資効果及び業務効果の評価は,システムを稼働させた後に運用プロセスで行う。なお,共通フレームはその後 2013 に改訂されたが,企画プロセスのこの位置付けは変わっていない。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

システムの機能要件を定義する上で,前提となる要件定義作業はどれか。

正解 

解説

共通フレームの要件定義では,まず利害関係者のニーズを整理し,新しい業務の在り方や運用をまとめた上で,業務上実現すべき要件を明らかにする(業務要件の定義)。機能要件は,この業務要件を実現するために必要なシステムの機能を明らかにするものなので,業務要件の定義が機能要件を定義する前提となる。ウが正しい。

アの業務モデルからシステム化機能を整理し,システム方式を策定する作業と,イの対象業務の問題点を分析してシステムで実現すべき課題を定義する作業は,要件定義より前の企画プロセス(システム化計画の立案)の作業である。エの利害関係者要件を技術的に実現可能なシステム要件に変換する作業は,要件定義の後のシステム要件定義の作業である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

特定顧客,特定製品のセグメントに資源を集中し,専門化を図る戦略はどれか。

正解 

解説

コトラーは,業界での競争上の地位によって企業をリーダ,チャレンジャ,フォロワ,ニッチャに分け,それぞれに適した戦略を示した。ニッチ戦略は,大手が狙わない特定の顧客層や特定の製品分野という狭い市場(ニッチ)に経営資源を集中し,専門化によってその市場で独自の地位を築く戦略である。イが正しい。

アのチャレンジャ戦略は,リーダに次ぐ地位の企業が差別化によって首位を奪おうとする戦略である。ウのフォロワ戦略は,上位企業を模倣して開発費を抑え,現在の地位と一定の利益を維持する戦略である。エのリーダ戦略は,最大シェアの企業が市場全体の拡大を図りながら現在のシェアを守る戦略である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

企業戦略におけるマネジメントバイアウト(MBO)に該当する行為はどれか。

正解 

解説

マネジメントバイアウト(MBO)は,子会社や事業部門の経営陣が,親会社などから自社の株式や事業を買い取って経営権を握り,独立することをいう。経営陣自身が買手になる点が特徴で,親会社による事業の切離しや,上場をやめて長期的な視点で経営を立て直す手段として使われる。ウが該当する。

アは TOB(株式公開買付け)で,買付価格と期間を公告し,取引所を通さずに株式を買い集めるものである。イは EBO(エンプロイーバイアウト)で,経営陣ではなく一般従業員が自社株を買い取るものである。エは,ベンチャーキャピタルが役員を送り込んで経営にも関与するハンズオン型の投資である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

売り手側でのマーケティング要素 4P は,買い手側での要素 4C に対応するという考え方がある。4P の一つであるプロモーションに対応する 4C の構成要素はどれか。

正解 

解説

4P は売り手側からみたマーケティングの要素(Product,Price,Place,Promotion),4C はそれを買い手側からみた要素で,Product は顧客価値(Customer Value),Price は顧客コスト(Customer Cost),Place は利便性(Convenience),Promotion はコミュニケーション(Communication)に対応する。

プロモーション(販売促進)は,売り手から一方的に働きかけるのではなく,買い手との双方向の情報のやり取りと捉えるので,ウのコミュニケーションが正しい。アは製品,イは価格,エは流通に対応する。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

大量生産・大量販売のメリットを生かしつつ,きめ細かな仕様・機能の取込みなどによって,個々の顧客の好みに応じられる製品やサービスを提供しようとするものはどれか。

正解 

解説

マスカスタマイゼーションは,大量生産による低コストと,顧客ごとの作り分けとを両立させようとする考え方である。部品やモジュールを共通化しておき,受注してから組合せや仕様を確定する生産方式などによって,大量生産・大量販売のメリットを保ちながら,個々の顧客の好みに応じた製品やサービスを提供する。エが正しい。

アのターゲットマーケティングは,細分化した市場の中から狙う市場を絞り込み,そこに合わせた施策を展開する手法である。イのベストプラクティスは,ある業務について最も優れた実践方法や事例のことである。ウのベネフィットセグメンテーションは,顧客が製品に求める便益の違いによって市場を細分化する手法である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

ある顧客層の今後 3 年間を通しての,年間顧客維持率が 40%,1 人当たり年平均売上高が 200 万円,売上高コスト比率が 50%と想定される場合,今後 3 年間の LTV(顧客 1 人当たりの生涯価値)は何万円か。ここで,割引率は考慮しなくてよいものとする。

正解 

解説

LTV は,1 人の顧客が取引を続ける間にもたらす利益の合計である。1 人当たりの年平均売上高が 200 万円で売上高コスト比率が 50%なので,1 年当たりの利益は 200×(1−0.5)=100 万円になる。年間顧客維持率が 40%なので,1 年目は 100 万円,2 年目は残った 40%の顧客から 100×0.4=40 万円,3 年目はさらにその 40%から 100×0.4×0.4=16 万円が得られる。3 年間の合計は 100+40+16=156(万円)であり,イになる。

アの 62.4 は,1 年目にも維持率を掛けて 100×(0.4+0.4×0.4+0.4×0.4×0.4)と計算した値である。エの 312 は,売上高コスト比率を考慮せず,売上高のまま 200×(1+0.4+0.16)と計算した値である。ウの 210 は,この計算からは得られない値である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

営業部門で設定する KPI(Key Performance Indicator)と KGI(Key Goal Indicator)の適切な組合せはどれか。

正解 

解説

KGI は,目標がどれだけ達成できたかを測る最終的な成果の指標であり,KPI は,その最終目標に至る過程が順調に進んでいるかを測る中間的な指標である。営業部門で新規顧客の開拓を目標にするなら,最終成果である新規顧客売上高が KGI,その成果を生むための日々の活動量である新規顧客訪問件数が KPI になる。エが適切である。

アは既存顧客売上高も新規顧客売上高もどちらも最終成果の指標であり,過程を測る KPI にはならない。イはどちらも訪問件数という活動量の指標で,最終成果を表す KGI がない。ウは成果の指標と過程の指標を取り違えており,組合せが逆である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

バランススコアカードにおける業績評価指標のうち,“学習と成長の視点”に分類されるものはどれか。

正解 

解説

バランススコアカードの“学習と成長の視点”は,将来にわたって価値を生み出し続けるために,従業員の能力,組織の風土,情報システムなどの基盤をどう高めるかを見る視点である。従業員の提案件数は,従業員が自ら考えて改善に加わっている度合いを表し,組織が学び成長する力を測る指標になるので,ウが該当する。

アの顧客満足度調査の結果とエの新規顧客獲得率は“顧客の視点”の指標である。イの従業員 1 人当たりの売上高は,売上高という財務の成果を従業員数で割った生産性の指標で,“財務の視点”に分類される。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

ファイブフォース分析において,企業の競争力に影響を与える五つの要因として,新規参入者の脅威,バイヤの交渉力,競争業者間の敵対関係,代替製品の脅威と,もう一つはどれか。

正解 

解説

ポーターのファイブフォース分析は,業界の収益性を左右する競争要因を,新規参入者の脅威,代替製品の脅威,バイヤ(買い手)の交渉力,サプライヤ(売り手)の交渉力,競争業者間の敵対関係の五つに整理したものである。問題文に挙がっていない残りの一つはサプライヤの交渉力なので,アが正しい。

イの自社製品の品質は,業界の構造を決める力ではなく,自社が競争の中でどう戦うかという内部の問題である。ウの消費者の購買力は,既に挙がっているバイヤの交渉力に含めて扱うものである。エの政府の規制は,新規参入の障壁を左右する外部環境として考慮されることはあるが,五つの要因そのものには含まれない。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

部品や資材の調達から製品の生産,流通,販売までの,企業間を含めたモノの流れを適切に計画・管理し,最適化して,リードタイムの短縮,在庫コストや流通コストの削減などを実現しようとする考え方はどれか。

正解 

解説

SCM(サプライチェーンマネジメント)は,部品や資材の調達から生産,流通,販売までの一連の流れを,企業の枠を越えて全体として計画・管理し最適化する考え方で,リードタイムの短縮や在庫・流通コストの削減を目指す。エが正しい。

アの CRM は顧客との関係を管理して顧客満足と収益を高める考え方。イの ERP は企業内の基幹業務を統合的に管理する仕組み。ウの MRP は製品の生産計画から必要な部品や資材の量と時期を算出する資材所要量計画で,いずれも企業間を含むモノの流れ全体の最適化ではない。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

ナレッジマネジメントのプロセスモデルである SECI モデルにおいて,I に入るものはどれか。

SECI モデルの図。四つの箱が矢印で循環している。共同化(Socialization)から表出化(Externalization)へ,表出化(Externalization)から連結化(Combination)へ,連結化(Combination)から I へ,I から共同化(Socialization)へ矢印が向かう。

正解 

解説

SECI モデルは,野中郁次郎らが提唱した,暗黙知と形式知の相互変換によって組織の知識が創造される過程を表すモデルで,共同化(Socialization),表出化(Externalization),連結化(Combination),内面化(Internalization)の四つからなる。図で連結化の次に置かれ,頭文字が I になるのは内面化であり,連結化で新たに生まれた形式知を実践を通じて個人が体得し,自分の暗黙知にする過程である。エが正しい。

ア,イ,ウはいずれも SECI モデルのプロセスの名称ではない。内面化で身に付いた暗黙知は,次の共同化によって他者に伝えられ,知識創造がらせんを描きながら続いていく。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

日本の技術経営における課題のうち,“死の谷”を説明したものはどれか。

正解 

解説

技術経営では,研究の成果が事業として実を結ぶまでの障壁を,現れる段階ごとに呼び分ける。“死の谷”は,基礎研究と製品開発との間にある障壁で,製品化につなぐ研究開発に資金や人材が投入されないために,基礎研究の成果が製品に結び付かず,価値利益化ができなくなる問題を指す。アが正しい。

イは,製品化には成功したものの市場での激しい競争に勝てず事業として育たない“ダーウィンの海”の説明である。ウは,新製品が先進的な顧客層から一般の顧客層へ広がるときに現れる溝を指す“キャズム”の説明である。エは,製品の差がなくなって価格競争に陥るコモディティ化の説明である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

ある会社の生産計画部では,毎月 25 日に次の手続で翌月の計画生産量を決定している。8 月分の計画生産量を求める式はどれか。

〔手続〕

記号と意味の対応図。I6:6 月末実在庫量。I7:7 月末予想在庫量,P7:7 月分計画生産量,S7:7 月分予想販売量。I8:8 月末予想在庫量,P8:8 月分計画生産量(網掛け),S8:8 月分予想販売量。S9:9 月分予想販売量。S10:10 月分予想販売量。S11:11 月分予想販売量。凡例 In:n 月の月末在庫量,Pn:n 月の生産量,Sn:n 月の販売量。

正解 

解説

手続(1)により,7月末の予想在庫量 I7 は 6月末の実在庫量に7月分の計画生産量を足し,7月分の予想販売量を引いた I6+P7−S7 で求まる。手続(2)により,8月末の予想在庫量 I8=I7+P8−S8 が,翌々月の9月から3か月間の予想販売量 S9+S10+S11 と等しくなるように P8 を決める。

I7+P8−S8=S9+S10+S11 を P8 について解くと,P8=S8+S9+S10+S11−I7 となり,イが正しい。ウは I8 を使っているが,I8 は P8 が決まってから求まる値なので式に使えない。エは8月分の予想販売量 S8 を加え忘れている。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

e-ビジネス分野で提唱されているロングテールの考え方を説明したものはどれか。

正解 

解説

ロングテールは,商品を売上の多い順に並べたグラフにできる,1 品目当たりの販売数が少ない商品が長く尾を引くように連なる部分を指す。在庫や陳列の制約が小さいインターネット上の販売では,この少しずつしか売れない多数の商品の売上を積み上げることができ,売れ筋に絞り込まなくても大きな売上や利益を得られる。アが正しい。

イは,生産規模が大きくなるほど収益性が高まる収穫逓増(規模の経済)の考え方である。ウはパレートの法則(2:8 の法則)で,ロングテールはこれが当てはまらない市場があることを示したものである。エは,利用者が増えるほど 1 人当たりの便益が増して更に利用者を呼ぶネットワーク外部性の説明である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

コーポレートガバナンスを説明したものはどれか。

正解 

解説

コーポレートガバナンス(企業統治)は,経営者が株主をはじめとする利害関係者の利益に沿って適切に経営しているかどうかを監視し,独断や不正を防いで企業活動の健全性を維持するための仕組みである。取締役会による業務執行の監督,監査役や社外取締役の設置などがその手段に当たる。ウが正しい。

アは,環境保全の費用と効果を定量的に測って公表する環境会計の説明である。イは,企業の社会的責任(CSR)のうち,本業とは別に社会へ貢献する活動の説明である。エは,投資家やアナリストに向けて経営状況を正確かつ継続的に公表する IR(Investor Relations)の説明である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

製造工程で部品の寸法を測定し,x̄ 管理図で品質を管理している。(1)〜(4)の社内標準によって,管理図中の点を異常と判定する場合,図に示した x̄ 管理図で異常と判定すべき点は何個あるか。ここで,管理限界線近くとは,中心線から管理限界線までの距離の 2/3(図中の点線)以上離れた場所をいう。

〔社内標準〕異常と判定する基準

x̄ 管理図。上から上方管理限界線(破線),その内側の点線,中心線(実線),点線,下方管理限界線(破線)。点は左から順に 11 個:1 点目 中心線のやや下,2 点目 上側の点線より上で上方管理限界線の少し下,3 点目 中心線のわずか下,4 点目 中心線のやや下,5 点目 下側の点線より下で下方管理限界線の少し上,6 点目 下側の点線の少し上,7 点目 下側の点線のわずか下,8 点目 中心線のわずか下,9 点目 下側の点線の少し上,10 点目 上側の点線の少し下,11 点目 中心線のわずか上。各点は折れ線で結ばれている。

正解 

解説

管理限界線近くとは,中心線から管理限界線までの 2/3 以上離れた,点線の外側をいい,左から 2,5,7 点目が当てはまる。(1) に当たる点はない。(2) では,連続する 3 点である 5〜7 点目のうち 5 点目と 7 点目の 2 点が管理限界線近くなので,この 2 点が該当する。(3) では,3 点目から 9 点目までの 7 点が連続して中心線の下側にあるので,その 6 点目以降に当たる 8 点目と 9 点目が該当する。(4) では,3 点目から 5 点目までが連続して下降しているので,その 3 点目に当たる 5 点目が該当する。重複する 5 点目を 1 個と数えると 5,7,8,9 点目の 4 個になり,ウになる。

2 点目は上方管理限界線に近いが線の内側にあるので (1) には当たらず,前後に管理限界線近くの点がないので (2) にも当たらない。6 点目と 9 点目は下側の点線の内側なので,管理限界線近くとしては数えない。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

EVA(経済付加価値)の算出方法を説明したものはどれか。

正解 

解説

EVA(Economic Value Added)は,事業が資本コストを上回る利益を上げたかどうかを金額で表す指標である。税引後の営業利益から,投下した資本に資本コスト率を掛けた資本費用を差し引いて求め,値が正であれば株主や債権者が求める水準を超える価値を生み出したといえる。エが正しい。

アは,効果の現在価値と投資額が等しくなる割引率を求める IRR(内部収益率)法の説明である。イは,得られる利益を投資額で割って収益性を比率で表す ROI(投資利益率)である。ウは,投資額を回収し終わるまでの年数を求める回収期間法である。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

パブリックドメインソフトウェアとするための条件はどれか。

正解 

解説

パブリックドメインソフトウェアは,著作権が誰にも帰属しておらず,誰でも自由に使用,改変,再配布ができるソフトウェアである。この状態になるのは,著作権の保護期間が満了した場合のほかは,著作権者が自ら著作権を放棄するか,放棄する旨を宣言した場合であり,ウが正しい。

アは,オリジナルと同じライセンス条件を派生物にも引き継がせるもので,GPL などのコピーレフトの考え方である。イは,公的機関にソースコードを公開するだけで著作権は著作権者に残るため,自由な利用が認められるわけではない。エは,著作権を保持したまま利用条件として自由な配布を認めるもので,フリーソフトウェアやオープンソースソフトウェアがこれに当たる。

出典:平成21年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)