平成27年度 秋期に実施されたシステムアーキテクト試験
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問1
ソフトウェアライフサイクルプロセスのシステム方式設計で行うものはどれか。
ア ソフトウェア構成品目の明確化 正解
イ ソフトウェアコンポーネントの構成の明確化
ウ ソフトウェアのインタフェース仕様の決定
エ ソフトウェアのユニットごとのテスト要求事項の定義
正解 ア
解説
JIS X 0160:2012(共通フレーム 2013 も同じ構成)のシステム方式設計では,システムの最上位の方式を確立し,ハードウェア,ソフトウェア及び手作業の品目を識別して,全てのシステム要求事項を品目に割り当てる。それに続いて,ハードウェア構成品目,ソフトウェア構成品目及び手作業を識別する。アが該当する。
イのソフトウェアコンポーネントの構成の明確化は,ソフトウェア品目を最上位の構造に変換するソフトウェア方式設計で行う。ウのインタフェースは,ソフトウェア方式設計で最上位レベルの設計を行い,ソフトウェア詳細設計でコーディングが可能になるまで詳細化する。エのソフトウェアユニットごとのテスト要求事項の定義は,ソフトウェア詳細設計で行う。なお,JIS X 0160 は 2021 年に改正され,プロセスの構成が改められている。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
UML を使って図のクラス P を定義した。このクラスの操作のうち,公開可視性(public)をもつものはどれか。
ア 全ての操作
イ 操作 A 正解
ウ 操作 B
エ 操作 C
正解 イ
解説
UML のクラス図では,属性や操作の名前の前に付ける記号で可視性を表す。“+”は公開(public)で,どのクラスからも参照できる。“-”は非公開(private)で,そのクラスの中だけから参照できる。“#”は限定公開(protected)で,そのクラスとサブクラスから参照できる。図で“+”が付いているのは操作 A だけなので,イが正しい。
アは,操作 B と操作 C が公開ではないので誤りである。ウの操作 B は“-”が付いた private,エの操作 C は“#”が付いた protected の操作である。なお,“~”はパッケージ内に公開する package を表す。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
オブジェクト指向分析における分析モデルによって,ユースケース内のオブジェクトを分類するとき,境界オブジェクトに該当するものはどれか。
ア オブジェクト間の相互作用を制御するためのオブジェクト
イ 画面操作や画面表示などの GUI オブジェクト 正解
ウ システムの中核となるデータとその操作のオブジェクト
エ データモデルにおけるエンティティに相当するオブジェクト
正解 イ
解説
オブジェクト指向分析の分析モデル(ヤコブソンの OOSE などの分析クラスの分類)では,ユースケース内のオブジェクトを境界,制御,実体(エンティティ)の三つに分ける。境界オブジェクトは,アクタとシステムとの接点となり,画面操作や画面表示,外部システムとのインタフェースを受け持つ。イが該当する。
アのオブジェクト間の相互作用を制御するのは,ユースケースの処理の流れを調整する制御オブジェクトである。ウのシステムの中核となるデータとその操作や,エのデータモデルのエンティティに相当するものは,永続的な情報を保持する実体(エンティティ)オブジェクトである。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
オブジェクト指向設計における設計原則のうち,開放・閉鎖原則はどれか。
ア クラスにもたせる役割は一つだけにするべきであり,複数の役割が存在する場合にはクラスを分割する。
イ クラスを利用するクライアントごとに異なるメソッドが必要な場合は,インタフェースを分ける。
ウ 上位のモジュールは,下位のモジュールに依存してはならない。
エ モジュールの機能には,追加や変更が可能であり,その影響が他のモジュールに及ばないようにする。 正解
正解 エ
解説
開放・閉鎖原則(Open-Closed Principle)は,モジュールは拡張に対して開いていて(機能を追加・変更できる),修正に対して閉じている(既存のコードを変更しなくて済み,他のモジュールに影響が及ばない)べきであるという原則である。抽象クラスやインタフェースを介して新しい機能を追加する設計で実現する。エが該当する。
アは単一責任の原則,イはクライアントごとに必要なメソッドだけをもつインタフェースに分ける,インタフェース分離の原則である。ウは,上位のモジュールも下位のモジュールも抽象に依存すべきであるとする依存関係逆転の原則の説明である。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
デザインパターンの中のストラテジパターンを用いて,帳票出力のクラスを図のとおりに設計した。適切な説明はどれか。
ア クライアントは,使用したいフォーマットに対応する,帳票出力ストラテジクラスのサブクラスを意識せずに利用できる。
イ 新規フォーマット用のアルゴリズムの追加が容易である。 正解
ウ 帳票出力ストラテジクラスの中で,どのフォーマットで帳票を出力するかの振り分けを行っている。
エ 帳票出力のアルゴリズムは,コンテキストクラスの中に記述する。
正解 イ
解説
ストラテジパターンは,アルゴリズムを抽象的なストラテジクラスとして定義し,具体的なアルゴリズムをそのサブクラスとして実装して,コンテキストクラスから入れ替えて使えるようにするパターンである。新しいフォーマットに対応するときは,帳票出力ストラテジのサブクラスを追加するだけでよく,コンテキストや既存のサブクラスを変更する必要がないので,イが適切である。
アは誤りで,クライアントは使いたいフォーマットに対応するサブクラスを選んでコンテキストに設定する必要がある。ウも誤りで,帳票出力ストラテジクラスは共通のインタフェースを定めるだけで,フォーマットの振り分けはサブクラスの選択によって行われ,条件分岐を書く必要がない。エも誤りで,帳票出力のアルゴリズムは各サブクラスに記述し,コンテキストクラスはストラテジに処理を任せる。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
大量のデータを並列に処理するために,入力データから中間キーと値の組みを生成する処理と,同じ中間キーをもつ値を加工する処理との 2 段階で実行するプログラミングモデルはどれか。
ア 2相コミット
イ KVS
ウ MapReduce 正解
エ マルチスレッド
正解 ウ
解説
MapReduce は,大量のデータを多数のコンピュータで並列に処理するためのプログラミングモデルである。Map 処理で入力データから中間キーと値の組を生成し,同じ中間キーをもつ値を集めて,Reduce 処理でそれらを集計・加工する。Hadoop などの分散処理基盤で用いられる。ウが該当する。
アの 2 相コミットは,分散データベースで全てのサイトの更新を確定するか全て取り消すかをそろえるための手順である。イの KVS(キーバリューストア)は,キーと値の組でデータを格納・検索するデータストアである。エのマルチスレッドは,一つのプロセスの中で複数のスレッドを並行して実行する方式である。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
オブジェクト指向におけるデザインパターンに関する記述として,適切なものはどれか。
ア 幾つかのクラスに共通する性質を抽出して,一般化したクラスを定義したものである。
イ 同じ性質をもつオブジェクト群を,更にクラスとして抽象化したものである。
ウ オブジェクトの内部にデータを隠蔽し,オブジェクトの仕様と実装を分離したものである。
エ システムの構造や機能について,典型的な設計上の問題とその解決策を示し,再利用できるようにしたものである。 正解
正解 エ
解説
デザインパターンは,オブジェクト指向設計で繰り返し現れる典型的な問題と,その解決策となるクラスやオブジェクトの構造を,名前を付けて整理し再利用できるようにしたものである。代表的なものに GoF の 23 のパターンがある。エが適切である。
アは共通する性質を抽出して上位のクラスを定義する汎化,イは同じ性質をもつオブジェクト群をクラスとしてまとめる抽象化(分類),ウはデータを内部に隠して仕様と実装を分離するカプセル化(情報隠蔽)の説明である。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
ブラックボックステストにおけるテストケースの設計に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 実データからテストデータを無作為に抽出して,テストケースを設計する。
イ 実データのうち使用頻度が高いものを重点的に抽出して,テストケースを設計する。
ウ プログラムがどのような機能を果たすのかを仕様書で調べて,テストケースを設計する。 正解
エ プログラムの全命令が少なくとも 1 回は実行されるように,テストケースを設計する。
正解 ウ
解説
ブラックボックステストは,プログラムの内部構造を考慮せず,仕様書に記述された機能に基づいて,入力と出力の関係が正しいかを確認するテストである。プログラムが果たすべき機能を仕様書で調べてテストケースを設計するウが適切である。
エのプログラムの全命令が少なくとも1回は実行されるように設計するのは,内部構造に着目するホワイトボックステストの命令網羅である。アの無作為な抽出やイの使用頻度が高い実データの抽出だけでは,仕様の境界値や異常な入力を網羅的に確かめることができない。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
製品を出荷前に全数検査することによって,出荷後の故障数を減少させ,全体の費用を低減させたい。次の条件で全数検査を行ったときに低減させられる費用は何万円か。ここで,検査時に故障が発見された製品は修理して出荷するものとする。
〔条件〕
(1) 製造する個数: 500 個 (2) 全数検査を実施しなかった場合の,出荷個数に対する故障率: 3% (3) 全数検査で発見される製造個数に対する故障率: 2% (4) 全数検査を実施した場合の,出荷個数に対する故障率: 1% (5) 検査費用: 1 万円/個 (6) 出荷前の故障修理費用: 50 万円/個 (7) 出荷後の故障修理費用: 200 万円/個
ア 1,000 正解
イ 1,500
ウ 2,000
エ 2,250
正解 ア
解説
全数検査を実施すると,検査費用は 500個×1万円=500万円。検査で見つかる故障品は 500×2%=10個で,出荷前の修理費用は 10×50万円=500万円。それでも出荷後に故障する製品が 500×1%=5個あり,その修理費用は 5×200万円=1,000万円。合計は 500+500+1,000=2,000万円になる。
全数検査をしなければ,出荷後に 500×3%=15個が故障し,修理費用は 15×200万円=3,000万円。低減できる費用は 3,000−2,000=1,000万円で,アが正しい。検査費用や出荷前の修理費用を足し忘れると,低減額を大きく見誤る。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
学生レコードを処理するプログラムをテストするために,実験計画法を用いてテストケースを決定する。学生レコード中のデータ項目(学生番号,科目コード,得点)は二つの状態をとる。テスト対象のデータ項目から任意に二つのデータ項目を選び,二つのデータ項目がとる状態の全ての組合せが必ず同一回数ずつ存在するように基準を設けた場合に,次の 8 件のテストケースの候補から,最少で幾つを採択すればよいか。
正解 ウ
解説
3 項目がそれぞれ二つの状態をとるので,任意の 2 項目の状態の組合せは 2×2=4 通りある。これらが全て同じ回数ずつ現れるには少なくとも 4 件が必要で,直交表(L4)の考え方で 4 件を選べば条件を満たせる。例えば No.1,4,6,7 を採択すると,学生番号と科目コード,学生番号と得点,科目コードと得点のどの組でも,4 通りの組合せがちょうど 1 回ずつ現れる。最少は 4 件で,ウになる。
ア(2 件)とイ(3 件)では,4 通りの組合せを全て含めることができない。エ(6 件)は 4 の倍数ではないので,4 通りを同じ回数ずつにすることができず,条件を満たさない。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
共通フレームにおけるシステム開発プロセスのアクティビティであるシステム適格性確認テストの説明として,最も適切なものはどれか。
ア システムが運用環境に適合し,利用者の用途を満足しているかどうかを,実運用環境又は擬似運用環境において評価する。
イ システムが業務運用時に使いやすいかどうかを定期的に評価する。
ウ システムの投資効果及び業務効果の実績を評価する。
エ システム要件について実装の適合性をテストし,システムの納入準備ができているかどうかを評価する。 正解
正解 エ
解説
共通フレーム2013のシステム開発プロセスにおけるシステム適格性確認テストは,システム要件のそれぞれについて実装が適合しているかをテストし,システムを納入する準備ができているかどうかを評価するアクティビティである。エが正しい。
アの,運用環境に適合し利用者の用途を満たしているかを実運用環境や擬似運用環境で評価するのは,運用テストの説明。イの業務運用時の使いやすさを定期的に評価するのと,ウの投資効果や業務効果の実績を評価するのは,システムを稼働させた後の運用・評価の段階で行う活動である。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
新システムの受入れ支援において,利用者への教育訓練に対する教育効果の測定を,カークパトリックモデルの 4 段階評価を用いて行う。レベル 1(Reaction),レベル 2(Learning),レベル 3(Behavior),レベル 4(Results)の各段階にそれぞれ対応した a〜d の活動のうち,レベル 2 のものはどれか。
a 受講者にアンケートを実施し,教育訓練プログラムの改善に活用する。 b 受講者に行動計画を作成させ,後日,新システムの活用状況を確認する。 c 受講者の行動による組織業績の変化を分析し,ROI などを算出する。 d 理解度確認テストを実施し,テスト結果を受講者にフィードバックする。
正解 エ
解説
カークパトリックモデルは,教育の効果を,レベル1 反応(受講者の満足度),レベル2 学習(知識や技能の習得度),レベル3 行動(職場での行動の変化),レベル4 成果(組織の業績への影響)の4段階で評価する。理解度確認テストで習得の度合いを測る d がレベル2に当たり,エが正しい。
a の受講後アンケートはレベル1,b の行動計画を作らせて後日の活用状況を確認するのはレベル3,c の組織業績の変化を分析し ROI を算出するのはレベル4である。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
銀行の勘定系システムなどのような特定の分野のシステムに対して,業務知識,再利用部品,ツールなどを体系的に整備し,再利用を促進することによって,ソフトウェア開発の効率向上を図る活動や手法はどれか。
ア コンカレントエンジニアリング
イ ドメインエンジニアリング 正解
ウ フォワードエンジニアリング
エ リバースエンジニアリング
正解 イ
解説
ドメインエンジニアリングは,銀行の勘定系のような特定の分野(ドメイン)のシステムに共通する業務知識や要件の共通性と変動性を分析し,再利用できる部品(資産),アーキテクチャ,ツールなどを体系的に整備して,その分野のシステムの開発に再利用することで開発の効率を上げる活動である。共通フレームにもドメインエンジニアリングプロセスが定められている。イが該当する。
アのコンカレントエンジニアリングは,設計や生産準備などの工程を並行して進め,開発期間を短縮する手法である。ウのフォワードエンジニアリングは,要件や設計から順にプログラムを作り出す通常の方向の開発である。エのリバースエンジニアリングは,既存のプログラムを解析して,その仕様や設計を導き出す手法である。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
BABOK では,要求をビジネス要求,ステークホルダ要求,ソリューション要求及び移行要求の 4 種類に分類している。ソリューション要求の説明はどれか。
ア 経営戦略や情報化戦略などから求められる要求であり,エンタープライズアナリシスの活動で定義している。
イ 新システムへのデータ変換や要員教育などに関する要求であり,ソリューションのアセスメントと妥当性確認の活動で定義している。
ウ 組織・業務・システムが実現すべき機能要求と非機能要求であり,要求アナリシスの活動で定義している。 正解
エ 利用部門や運用部門などから個別に発せられるニーズであり,要求アナリシスの活動で定義している。
正解 ウ
解説
BABOK(ビジネスアナリシス知識体系ガイド)の要求の分類で,ソリューション要求は,ステークホルダ要求を満たすためにソリューションがもつべき能力や品質であり,振る舞いや扱う情報を表す機能要求と,性能や使用性などの非機能要求からなる。出題当時の BABOK 2.0 では要求アナリシスの活動で定義する。ウが該当する。
アは組織の目標や目的を表すビジネス要求で,エンタープライズアナリシスで定義する。イは現状から将来の状態への移行に必要な一時的な能力を表す移行要求,エは利害関係者のニーズを表すステークホルダ要求である。なお,現行の BABOK v3 では知識エリアが再編され,エンタープライズアナリシスは戦略アナリシスに改められている。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
共通フレームによれば,システム化計画が承認された後に実施する作業はどれか。
ア 現行システムの内容,流れの調査及び課題の分析,抽出
イ システム稼働時期の設定と全体開発スケジュールの作成
ウ システム化の対象となる利害関係者の要件の抽出 正解
エ システム実現のための費用と実現時の効果の予測
正解 ウ
解説
共通フレームでは,企画プロセスのシステム化計画の立案プロセスで,対象業務の調査と課題の定義,費用とシステム化効果の予測,全体開発スケジュールの作成などを行い,システム化計画として承認を得る。承認された後に行うのは要件定義プロセスで,利害関係者を識別し,その要件を抽出・定義する。ウが該当する。
アの現行システムの調査と課題の分析,イのシステム稼働時期の設定と全体開発スケジュールの作成,エの費用と効果の予測は,いずれもシステム化計画を立案する段階で,承認を得る前に行う作業である。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
システム開発におけるベンダとの契約方法のうち,実費償還型契約はどれか。
ア 委託業務の進行中に発生するリスクはベンダが負い,発注者は注文時に合意した価格を支払う。
イ 契約期間が長期にわたる場合などで,インフレ率や特定の商品コストの変化に応じて,あらかじめ取り決められた契約金額を調整する。
ウ 注文時に,目標とするコスト,利益,利益配分率,上限額を合意し,目標コストと実際に発生したコストの差異に基づいて利益を配分する。
エ ベンダの役務や技術に対する報酬に加え,委託業務の遂行に要した費用の全てをベンダに支払う。 正解
正解 エ
解説
実費償還契約は,委託業務の遂行に要した費用を発注者が実費で負担し,これにベンダーの役務や技術に対する報酬(手数料や利益)を上乗せして支払う契約である。費用が膨らむリスクは主に発注者が負う。エが正しい。
アは契約時に合意した価格を支払う定額契約で,コスト増のリスクはベンダーが負う。イは物価や調達コストの変動に応じて金額を調整する経済価格調整付き定額契約。ウは目標コスト・利益・利益配分率・上限額を合意し,目標と実績の差に応じて利益を配分する定額インセンティブフィー契約で,いずれも実費償還ではない。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
BCP 策定に際して,目標復旧時間となるものはどれか。
ア 災害時に代替手段で運用していた業務が,完全に元の状態に戻るまでの時間
イ 災害による業務の停止が深刻な被害とならないために許容される時間 正解
ウ 障害発生後のシステムの縮退運用を継続することが許容される時間
エ 対策本部の立上げや判定会議の時間を除く,待機系への切替えに要する時間
正解 イ
解説
目標復旧時間(RTO:Recovery Time Objective)は,重要業務をどれくらいの時間で復旧させるかの目標である。内閣府の事業継続ガイドラインでは,業務の停止が許されると考える時間の許容限界を事業への影響の分析から推定し,それより早い時点に目標復旧時間を設定するとしている。業務の停止が深刻な被害とならない範囲として許容される時間を表すイが該当する。
アの代替手段から元の状態に完全に戻るまでの時間は全面復旧までの時間で,業務を再開させる目標とは異なる。ウの縮退運用を継続できる時間は,縮退状態の許容時間である。エの待機系への切替えに要する時間は,復旧の手段の所要時間であり,業務として目標とする復旧時間ではない。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
SVC(SuperVisor Call)割込みが発生する要因として,適切なものはどれか。
ア OS がシステム異常を検出した。
イ ウォッチドッグタイマが最大カウントに達した。
ウ システム監視 LSI が割込み要求を出した。
エ ユーザプログラムがカーネルの機能を呼び出した。 正解
正解 エ
解説
SVC(SuperVisor Call)割込みは,ユーザプログラムが入出力の要求などでカーネルの機能を呼び出したときに発生する。実行中のプログラム自身の命令が原因なので内部割込みに分類される。
アの OS によるシステム異常の検出は機械チェック割込み,イのウォッチドッグタイマの満了とウのシステム監視 LSI からの要求は外部割込みであり,いずれもプログラムからの呼出しではない。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
フォールトトレランスに関する説明のうち,適切なものはどれか。
ア ソフトウェアのバグによるシステム故障のようなソフトウェアフォールトに対処した設計を,フェールソフトと呼ぶ。
イ フェールセーフはフォールトトレランスに含まれるが,フェールソフトは含まれない。
ウ フォールトトレランスの例として,システム全体を二重化する方式がある。 正解
エ フォールトトレランスは,システムを多重化することなく,故障の検出から回復までの時間をゼロにすることである。
正解 ウ
解説
フォールトトレランスは,構成要素に障害(フォールト)が発生しても,システム全体としては必要な機能を継続できるようにする考え方である。その実現には冗長構成が用いられ,システム全体を二重化し,一方が故障しても他方で処理を続ける方式はその代表的な実現方法である。ウが適切である。
アのフェールソフトは,障害が起きた部分を切り離し,機能や性能を落としてでも運転を継続させる設計のことで,ソフトウェアの障害に対処する設計を指す語ではない。イについて,障害時に安全側に動作させるフェールセーフと,縮退運転するフェールソフトは,いずれもフォールトトレランスを実現する考え方として扱われる。エについて,フォールトトレランスは多重化などの冗長性によって実現するものであり,回復までの時間をゼロにすることを意味しない。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
マルチプロセッサによる並列処理において,1 プロセッサのときに対する性能向上比はアムダールの法則で説明することができる。性能向上比に関する記述のうち,適切なものはどれか。
〔アムダールの法則〕
ア プロセッサ数が一定の場合,性能向上比は並列化可能部の割合に比例する。
イ プロセッサ数を増やした場合,性能向上比は並列化可能部の割合に反比例する。
ウ 並列化可能部の割合が 0.5 の場合は,プロセッサ数をいくら増やしても性能向上比が 2 を超えることはない。 正解
エ 並列化可能部の割合が最低 0.9 以上であれば,性能向上比はプロセッサ数の半分以上の値となる。
正解 ウ
解説
並列化可能部の割合を r,プロセッサ数を n とすると,性能向上比は 1÷{(1−r)+r÷n} で表される。r=0.5 の場合は 1÷(0.5+0.5÷n) となり,n をいくら増やしても 0.5÷n は 0 に近づくだけなので,性能向上比は 1÷0.5=2 に近づくが 2 を超えることはない。ウが適切である。
アは誤りで,r が分母の中にあるので,性能向上比は r に比例しない。イは誤りで,プロセッサ数が増えても r が大きいほど性能向上比は大きくなる。エは誤りで,例えば r=0.9,n=100 では 1÷(0.1+0.009)≒9.2 となり,プロセッサ数の半分の 50 には遠く及ばない(n をいくら増やしても 10 未満にとどまる)。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
OLAP によって,商品の販売状況分析を商品軸,販売チャネル軸,時間軸,顧客タイプ軸で行う。データ集計の観点を,商品,販売チャネルごとから,商品,顧客タイプごとに切り替える操作はどれか。
ア ダイス 正解
イ データクレンジング
ウ ドリルダウン
エ ロールアップ
正解 ア
解説
OLAP のダイスは,多次元データを見る分析軸を別の軸に入れ替える操作。商品・販売チャネルの組合せで見ていたものを商品・顧客タイプの組合せに切り替えるのがこれに当たる。
ウのドリルダウンは同じ軸のまま,より細かい階層へ掘り下げる操作。エのロールアップは逆に上位の階層へ集約する操作。イのデータクレンジングは,分析の前に表記の揺れや誤りを整える処理であり,集計の観点を変える操作ではない。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
CSMA/CA や CSMA/CD の LAN の制御に共通している CSMA 方式に関する記述として,適切なものはどれか。
ア キャリア信号を検出し,データの送信を制御する。 正解
イ 送信権をもつメッセージ(トークン)を得た端末がデータを送信する。
ウ データ送信中に衝突が起こった場合は,直ちに再送を行う。
エ 伝送路が使用中でもデータの送信はできる。
正解 ア
解説
CSMA(Carrier Sense Multiple Access)方式では,端末は送信する前に伝送路のキャリア信号を検出(キャリアセンス)し,他の端末が送信中でないことを確かめてから送信する。有線 LAN の CSMA/CD と無線 LAN の CSMA/CA は,どちらもこの仕組みを土台にしている。アが適切である。
イはトークンを得た端末だけが送信するトークンパッシング方式の説明である。ウも誤りで,CSMA/CD では衝突を検出すると送信を中止し,ランダムな待ち時間(バックオフ)をおいてから再送する。直ちに再送すると再び衝突しやすいためである。エも誤りで,伝送路が使用中のときは送信を控える。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
ファイルを送受信する際の情報漏えい対策のうち,適切なものはどれか。
ア 送信者 A は,共通鍵暗号方式の鍵でファイルを暗号化し,鍵と一緒に暗号化ファイルを受信者 B へ送付する。受信者 B は,受信した鍵で暗号化ファイルを復号する。
イ 送信者 A は,公開鍵暗号方式において送信者 A が公開している鍵でファイルを暗号化し,暗号化ファイルを受信者 B へ送付する。受信者 B は,受信者 B が秘密に管理している鍵で暗号化ファイルを復号する。
ウ 送信者 A は,公開鍵暗号方式において送信者 A が秘密に管理している鍵でファイルを暗号化し,暗号化ファイルを受信者 B へ送付する。受信者 B は,送信者 A が公開している鍵で暗号化ファイルを復号する。
エ 送信者 A は,パスワードから生成した共通鍵暗号方式の鍵でファイルを暗号化し,暗号化ファイルを受信者 B へ送付する。受信者 B は,送信者 A からパスワードの通知を別手段で受け,そのパスワードから生成した鍵で暗号化ファイルを復号する。 正解
正解 エ
解説
エの方法では,暗号化ファイルと鍵のもとになるパスワードを別の経路で届けるので,一方の経路で暗号化ファイルが盗まれても,パスワードがなければ復号できない。共通鍵暗号方式で情報漏えいを防ぐ適切な方法で,エが正しい。
アは鍵を暗号化ファイルと一緒に送るので,途中で盗まれると両方がそろって復号されてしまう。イは送信者 A の公開鍵で暗号化しているので,受信者 B の秘密鍵では復号できない。受信者 B の公開鍵で暗号化する必要がある。ウは送信者 A の秘密鍵で暗号化しており,送信者 A の公開鍵は誰でも入手できるので,誰でも復号できる。これはディジタル署名の仕組みで,機密性は守れない。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
何らかの理由で有効期間中に失効したディジタル証明書の一覧を示すデータはどれか。
正解 エ
解説
CRL(Certificate Revocation List,証明書失効リスト)は,有効期間内であっても秘密鍵の漏えいなどの理由で失効させたディジタル証明書を,シリアル番号で列挙したリストである。認証局(CA)などが署名して発行・公開し(RFC 5280),利用者は証明書の検証のときに失効していないかを確認する。エが正しい。
アの CA(Certification Authority,認証局)は,ディジタル証明書を発行・失効させる機関である。イの CP(Certificate Policy,証明書ポリシー)は証明書の適用範囲や運用の方針,ウの CPS(Certification Practice Statement,認証局運用規程)は,認証局が証明書の発行・失効などの業務をどのように運用するかを定めた文書である。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
WAF の説明はどれか。
ア Web アプリケーションへの攻撃を監視し阻止する。 正解
イ Web ブラウザの通信内容を改ざんする攻撃を PC 内で監視し検出する。
ウ サーバの OS への不正なログインを監視する。
エ ファイルのウイルス感染を監視し検出する。
正解 ア
解説
WAF(Web Application Firewall)は,Web アプリケーションへの通信の中身を検査し,SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングといった攻撃を検知して遮断する仕組み。アが正しい。
イは PC 内で Web ブラウザの通信を監視する仕組み(MITB 対策など)。ウはサーバへの不正ログインの監視で,ホスト型の IDS などが担う。エはウイルス対策ソフトの働きで,いずれも WAF の説明ではない。
出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
ほかの年度
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
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令和元年度 秋期 午前Ⅱ
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平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 秋期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 秋期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 秋期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 秋期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和2年度 10月 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
平成31年度 春期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 春期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 春期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅰ
平成27年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 春期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 春期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 春期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 特別試験 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 春期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
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平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅰ