令和3年度 春期 午前Ⅱ

令和3年度 春期に実施されたITストラテジスト試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

経済産業省が策定した“「DX 推進指標」とそのガイダンス”における DX 推進指標の説明はどれか。

正解 

解説

経済産業省が 2019 年 7 月に取りまとめた“「DX 推進指標」とそのガイダンス”は,企業が自らの DX の取組状況を診断するための自己診断の指標である。経営者や社内の関係者が,データとデジタル技術を活用して顧客視点で新たな価値を創出していくために,あるべき姿と現状とのギャップや対応すべき課題について認識を共有し,必要なアクションをとるための気付きの機会を提供することを目指している。イが正しい。

アは,開発を行う組織のプロセスの成熟度を 5 段階で評価して改善を促す CMMI の説明である。ウは,データの保管場所・方法・廃棄を定めるセキュリティ上の指針に当たる。エは,IT に関わる内部統制の整備を扱うもので,システム管理基準などが該当する。なお,DX 推進指標はその後 IPA が自己診断結果の収集・分析を担い,設問や成熟度レベルも改訂されている。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

情報システムの導入と活用によって生み出されるキャッシュフローの現在価値を計算することによって,投資効果を評価したい。このときに使われる指標はどれか。

正解 

解説

NPV(Net Present Value,正味現在価値)は,投資によって将来得られるキャッシュフローを割引率で現在価値に換算して合計し,そこから投資額を差し引いた値である。値が正であれば投資する価値があると判断でき,お金の時間的価値を考慮して投資効果を評価できる。ウが正しい。

アの BSC(バランススコアカード)は,財務,顧客,業務プロセス,学習と成長の四つの視点から戦略の実行と業績を評価する手法である。イの EVA(経済付加価値)は,税引後営業利益から資本コストを差し引いた値で,企業が生み出した価値を測る指標である。エの ROI(投資利益率)は,利益を投資額で割った比率で,キャッシュフローを現在価値に割り引かない。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

IT 投資ポートフォリオにおいて,情報化投資の対象を,戦略,情報,トランザクション,インフラの四つのカテゴリに分類した場合,トランザクションカテゴリに対する投資の直接の目的はどれか。

正解 

解説

IT 投資ポートフォリオは,情報化投資を目的の違いによって幾つかのカテゴリに分け,カテゴリ間の配分の偏りを見ながら投資を判断する考え方である。戦略は競争優位の獲得,情報は経営の意思決定や管理の支援,トランザクションは受注処理や会計処理のようにルーチン化された定型業務の処理,インフラは複数の業務システムが共通に使う基盤を担う。トランザクションカテゴリへの投資の直接の目的は,その定型業務のコスト削減や処理効率の向上なので,エが該当する。

アはマネジメントやレポーティング,分析を支援する情報カテゴリ,イは市場での競争優位やポジショニングの獲得を狙う戦略カテゴリ,ウは複数のアプリケーションソフトウェアに共有される基盤部分を提供するインフラカテゴリに対する投資の目的である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

クラウドサービスなどの提供を迅速に実現するためのプロビジョニングの説明はどれか。

正解 

解説

プロビジョニングは,利用者の需要を予測してサーバやネットワークなどのリソースをあらかじめ調達・配備しておき,要求が発生したときにすぐサービスを提供できるように備えること。

アはシステムインテグレーション,イは複数企業が共同でデータセンターを運用する形態の説明。ウは自社で環境を用意するオンプレミスの運用形態。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

システム化構想の段階で,ビジネスモデルを整理したり,分析したりするときに有効なフレームワークの一つであるビジネスモデルキャンバスの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ビジネスモデルキャンバスは,A. オスターワルダーらが提唱したフレームワークで,顧客セグメント,価値提案,チャネル,顧客との関係,収益の流れ,リソース,主要活動,パートナ,コスト構造の九つのブロックを 1 枚の図に配置し,企業がどのように価値を創造し,顧客に届け,収益を得るかを可視化して分析する。アが適切である。

イは M. E. ポーターのバリューチェーン(価値連鎖)分析,ウは強み・弱み・機会・脅威を整理する SWOT 分析の説明である。エは財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点で戦略を管理するバランススコアカードの説明である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

ファイブフォース分析は,業界構造を,業界内で競争が激化する五つの要因を用いて図のように説明している。図中の a に入る要因はどれか。

中央に a(太枠)がある。上の“新規参入の脅威”,左の“売り手の交渉力”,右の“買い手の交渉力”,下の“代替品の脅威”から,それぞれ a へ矢印が向かう。

正解 

解説

ポーターのファイブフォース分析は,業界の収益性を左右する力を,新規参入の脅威,代替品の脅威,売り手の交渉力,買い手の交渉力,業界内の既存企業どうしの競争という五つに整理したものである。図では周囲の四つの力が中央の a に向かっており,これら四つの力を受けて激しさが決まるのが業界内の競争である。したがって a には業者間の敵対関係が入り,イが正しい。

アの規模の経済性とエの流通チャネルの確保は,新規参入の脅威の大きさを決める参入障壁の要素である。ウの仕入先の集中度は,売り手の交渉力を強める要因である。いずれも五つの力そのものではなく,個々の力の強さを左右する要因にすぎない。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

ブルーオーシャン戦略の特徴はどれか。

正解 

解説

ブルーオーシャン戦略は,W・チャン・キムとレネ・モボルニュが示した戦略論で,競争相手がひしめく既存市場(レッドオーシャン)で戦うのではなく,競争のない新しい市場を切り開くことを説く。業界で当然とされてきた要素を減らす・取り除く一方,買い手にとっての価値を高める要素を増やす・付け加えることで,価値を高めながら同時にコストを押し下げるバリューイノベーションを目指す点が特徴なので,アが正しい。

イの既存の市場で競争すること,エの競合他社を打ち負かすことは,いずれも既存市場で戦うレッドオーシャン戦略の特徴である。ウの既存の需要を喚起することもレッドオーシャン側の考え方で,ブルーオーシャン戦略では,これまで顧客でなかった層を取り込んで新しい需要そのものを創り出す。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

AIDMA モデルの活用方法はどれか。

正解 

解説

AIDMA モデルは,消費者が広告に接してから購入に至るまでの心理の過程を,注意(Attention),興味(Interest),欲求(Desire),記憶(Memory),行動(Action)の五つの段階に分けて捉えるモデルである。消費者が今どの段階にいるかによって効く働きかけは異なるので,段階ごとに適した広告や販促などのコミュニケーション手段を検討するのに使う。アが正しい。

イは,製品と市場の新旧の組合せで成長の方向性を四つに分けるアンゾフの成長マトリクスである。ウは,相対的市場占有率と市場成長率の二軸で事業を分類し,経営資源の配分を決める PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)である。エは,製品ライフサイクルの各段階に応じた製品戦略の説明である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

バイラルマーケティングを説明したものはどれか。

正解 

解説

バイラルマーケティングは,商品やサービスの評判が利用者の口コミや紹介によって人から人へ伝わっていく様子を,ウイルス(virus)の感染になぞらえた手法である。企業が広告を出して直接伝えるのではなく,利用者が周囲に伝えたくなる仕掛けや紹介の仕組みを用意し,その広がりを積極的に利用する。エが正しい。

アは,掲載した広告経由の購入などの成果に応じて報酬を支払うアフィリエイトマーケティングである。イは,顧客一人ひとりを重視して個別のニーズに応えるワントゥワンマーケティングである。ウは,市場をセグメントに分けてそれぞれに異なる商品を用意する差別化マーケティングの説明である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

市場を消費者特性でセグメント化する際に,基準となる変数を,地理的変数,人口統計的変数,心理的変数,行動的変数に分類するとき,人口統計的変数に分類されるものはどれか。

正解 

解説

人口統計的変数(デモグラフィック変数)は,年齢,性別,所得,職業,学歴,家族構成など,人口統計で把握できる消費者の属性をいう。職業はこれに当たるので,イが正しい。

アの社交性などの性格はライフスタイルや価値観と並ぶ心理的変数(サイコグラフィック変数)。ウの人口密度は都市部か地方かなどを表す地理的変数(ジオグラフィック変数)。エの製品の使用割合は購買や使用の状況を表す行動的変数である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

マーケティング戦略の策定プロセスを幾つかのブロックに分けて順番に並べたとき,図の d に入るものはどれか。ただしア〜エは a〜d のいずれかに入るものとする。

a→b→c→“ポジション決定”→d→“実行計画策定”の順に矢印でつながっている。

正解 

解説

マーケティング戦略の策定は,まず市場や競合,自社の状況を調べる a の環境分析から始まる。次に市場を似た性質の顧客の集まりに分ける b の市場細分化(セグメンテーション),その中から狙う層を選ぶ c のターゲット特定(ターゲティング),選んだ層の中で自社の製品をどう位置付けるかを決めるポジション決定(ポジショニング)と進む。位置付けが決まれば,それを実現する製品・価格・流通・販促の組合せを決める段階になるので,d にはマーケティングミックス決定が入り,イが正しい。

アの環境分析は a,エの市場細分化は b,ウのターゲット特定は c に入る。市場細分化・ターゲット特定・ポジション決定の三つは頭文字をとって STP と呼ばれ,マーケティングミックスの決定はその後に続く段階である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

マーケティング調査におけるエスノグラフィーの活用事例はどれか。

正解 

解説

エスノグラフィーは,もともと文化人類学などで用いられてきた調査手法で,調査者が対象者の生活や行動の現場に入り込み,観察やインタビューを通じてありのままの行動を理解する。マーケティング調査では,消費者自身も意識していない潜在的な需要を発掘するために活用される。ウが該当する。

アは,既存の資料や統計を用いる二次データの調査(デスクリサーチ)である。イは,広告への反応を資料請求の件数で測るレスポンス測定である。エは,条件をそろえて複数の案の反応を比べる A/B テストである。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

SECI モデルにおいて,新たに創造された知識を組織に広め,新たな暗黙知として習得するプロセスはどれか。

正解 

解説

SECI モデルは,野中郁次郎らが提唱した,暗黙知と形式知の相互変換によって組織の知識が創造される過程を表したモデルで,四つのプロセスからなる。共同化は経験の共有によって暗黙知を伝え,表出化は暗黙知を言葉や図などの形式知に表し,連結化は形式知を組み合わせて新たな形式知を作る。内面化は,新たに創造された形式知を実践を通じて個人が体得し,新たな暗黙知として習得するプロセスである。エが該当する。

内面化で身に付いた暗黙知は,再び共同化によって他者に伝えられ,知識創造のらせんが続いていく。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

技術経営における課題のうち,“死の谷”の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

技術経営では,研究開発の成果が事業として実を結ぶまでの難所を,研究から開発へ進む際の“魔の川”,開発から事業化へ進む際の“死の谷”,事業化から産業化へ進む際の“ダーウィンの海”と呼び分ける。死の谷は,先進的な製品の開発そのものには成功しても,量産の体制や販路の確保,資金の調達といった壁を越えられず,事業として立ち上がらないことを指す。ウが適切である。

アは,技術が広く行き渡って差別化ができなくなるコモディティ化の問題である。イは,実用性を重んじる層に受け入れられずに大きな市場へ広がらないことで,ムーアのいうキャズムに当たる。エは,過大な負担がメンバを追い詰めて破綻に向かうデスマーチの説明である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

JIT(Just In Time)の特徴はどれか。

正解 

解説

JIT(Just In Time)は,必要なものを,必要なときに,必要な量だけ生産する方式である。後工程が使用した分だけを前工程に引き取りに行き,前工程は引き取られた分だけを生産する後工程引取り方式(プルシステム)をとり,その指示にかんばんを用いる。イが該当する。

アは誤りで,JIT は後工程からの引取りで生産を行うプルシステムであり,計画に基づいて前工程から後工程へ送り出す押し出し方式ではない。ウの他の品目の需要に連動しない在庫の管理は,発注点方式などで扱う独立需要品目の考え方であり,JIT の特徴ではない。エも誤りで,JIT は同じ製品を繰り返し生産する工場に適しており,毎回仕様が異なる受注生産には向かない。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

TOC の特徴はどれか。

正解 

解説

TOC(Theory of Constraints,制約条件の理論)は,ゴールドラットが示した考え方で,工程全体の産出量は最も能力の低い工程(制約条件)によって決まるとする。そこで,スループット(=売上高-資材費,すなわち企業が新たに生み出した金額)を増やすことを最重要視し,制約条件となっている工程を見つけて集中的に手を打つことで全体の流れを改善していく。ウが正しい。

アは誤りで,TOC は個々の工程を個別に最適化しても全体最適にはならないという立場をとる。イも誤りで,需要が供給能力を下回っている状態では生産工程が制約にならず,工程のボトルネックを解消しても産出量は増えない。エも誤りで,TOC のいう制約条件は総投資額ではなく,工程全体の産出量を抑えている部分を指す。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

ある会社の生産計画部では,毎月 25 日に次の手続で翌月分の計画生産量を決定している。8 月分の計画生産量を求める式はどれか。

〔手続〕

I6:6 月末実在庫量。I7:7 月末予想在庫量。I8:8 月末予想在庫量。P7:7 月分計画生産量。P8:8 月分計画生産量(網掛け)。S7:7 月分予想販売量。S8:8 月分予想販売量。S9:9 月分予想販売量。S10:10 月分予想販売量。S11:11 月分予想販売量。凡例:In:n 月の月末在庫量,Pn:n 月分の生産量,Sn:n 月分の販売量。

正解 

解説

手続(1)により,7月末の予想在庫量 I7 は 6月末の実在庫量に7月分の計画生産量を足し,7月分の予想販売量を引いた I6+P7−S7 で求まる。手続(2)により,8月末の予想在庫量 I8=I7+P8−S8 が,翌々月の9月から3か月間の予想販売量 S9+S10+S11 と等しくなるように P8 を決める。

I7+P8−S8=S9+S10+S11 を P8 について解くと,P8=S8+S9+S10+S11−I7 となり,イが正しい。ウは I8 を使っているが,I8 は P8 が決まってから求まる値なので式に使えない。エは8月分の予想販売量 S8 を加え忘れている。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

ダグラス・マグレガーが説いた行動科学理論において,“人間は本来仕事が嫌いである。したがって,報酬と制裁を使って働かせるしかない”とするのはどれか。

正解 

解説

ダグラス・マグレガーは,経営者がもつ人間観を対比して X 理論と Y 理論を示した。X 理論は,人間は生まれつき仕事が嫌いで,できれば避けようとし,責任を負うよりも命じられることを好むという見方である。この見方に立つと,従業員を働かせるには報酬という飴と制裁という鞭で外から動かすしかないことになるので,アが正しい。

イの Y 理論は,条件しだいで人間は自ら目標に向かって働くという見方で,目標管理などによって自主性を生かす動機付けを説く。ウの衛生要因とエの動機づけ要因は,ハーズバーグの二要因理論の用語である。衛生要因は給与や作業条件のように満たされないと不満をもたらすもの,動機づけ要因は達成感や承認のように満たされると満足をもたらすものを指す。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

将来の科学技術の進歩の予測などについて,専門家などに対するアンケートを実施し,その結果をその都度回答者にフィードバックすることによって,ばらばらの予測を図のように収束させる方法はどれか。

三つのグラフが縦に並ぶ。いずれも縦軸は回答者数,横軸は実現時期(年)で,目盛は 2025,2030,2035,2040,2045,2050。第 1 回アンケート:下方四分位数は 2025 付近,メジアンは 2030 と 2035 の間,上方四分位数は 2050 付近で,分布の幅が広い。第 2 回アンケート:下方四分位数は 2025 と 2030 の間,メジアンは 2035 付近,上方四分位数は 2040 付近。第 3 回アンケート:下方四分位数は 2030,メジアンは 2035 付近,上方四分位数は 2040 で,分布の幅が狭く山が高い。

正解 

解説

デルファイ法は,多数の専門家に匿名でアンケートを行い,その集計結果を回答者に返したうえで同じ質問を改めて行う,ということを繰り返して予測をまとめる手法である。回答者は他の専門家の見方を知った上で自分の予測を考え直せるので,図のように回を重ねるごとに回答のばらつきが小さくなり,予測が収束していく。匿名で行うため,発言力の大きい人の意見に引きずられにくい。イが正しい。

アのゴードン法は,出題者だけが本当のテーマを知り,参加者には抽象化したテーマだけを与えて発想を広げるアイディア発想法である。ウのミニマックス法は,起こり得る最大の損失が最も小さくなる案を選ぶ意思決定の基準である。エのモンテカルロ法は,乱数を使った試行を多数繰り返して確率的な現象の値を求める手法である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

合格となるべきロットが,抜取検査で誤って不合格となる確率のことを何というか。

正解 

解説

抜取検査ではロットから取り出した標本だけで合否を判定するので,判定を誤ることがある。JIS Z 9015-0:1999 では,満足な製品を不合格とする危険率を生産者危険,不満足な製品を合格とする危険率を消費者危険と呼んでいる。合格となるべきロットが誤って不合格となるのは,出荷できたはずの品物が返されることになる生産者側の不利益なので,ウが正しい。

アの合格品質水準(AQL)は,抜取検査の目的に対して満足と見なせる工程平均の上限として定める品質の水準である。イの消費者危険は,不合格とすべきロットが誤って合格となる確率で,ウとは逆向きの誤りである。エの有意水準は統計的仮説検定の用語で,帰無仮説が正しいのにこれを棄却してしまう確率の基準である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

利用者とシステム運用担当者によるブレーンストーミングを行って,利用者の操作に起因する PC でのトラブルについて,主要なトラブルごとに原因となったと思われる操作,利用状況などを拾い上げた。トラブル対策を立てるために,ブレーンストーミングの結果を利用して原因と結果の関係を整理するのに適した図はどれか。

正解 

解説

特性要因図は,結果(特性)を魚の頭に見立て,そこへ向かう背骨から大骨・小骨と枝分かれさせて原因(要因)を書き込んでいく図で,その形から魚の骨図とも呼ばれる。原因と結果の関係を階層的に整理できるので,ブレーンストーミングで挙がった操作や利用状況などの多数の要因を,主要なトラブルという特性ごとにまとめ直すのに適している。イが正しい。

アの散布図は,二つの変量の対応する値を点で打って相関の有無を見る図である。ウのパレート図は,項目を件数の多い順に並べた棒グラフと累積比率の折れ線を組み合わせ,重点的に取り組む項目を選ぶ図である。エのヒストグラムは,測定値を区間ごとの度数の柱で表して分布の形を見る図であり,いずれも原因と結果の関係を整理するものではない。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

インターネットのショッピングサイトで,商品の広告をする際に,商品の販売価格,商品の代金の支払時期及び支払方法,商品の引渡時期,売買契約の解除に関する事項などの表示を義務付けている法律はどれか。

正解 

解説

インターネットのショッピングサイトでの販売は,特定商取引法の通信販売に当たる。同法第 11 条は,通信販売について広告をするときは,商品の販売価格(送料が含まれない場合は販売価格及び送料),代金の支払の時期及び方法,商品の引渡時期,売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項などを表示しなければならないと定めている。ウが正しい。

アの商標法は,商品やサービスの目印である商標を登録して保護する法律である。イの電子契約法(電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律)は,消費者が画面の操作を誤って申込みをしてしまった場合の錯誤について,民法の特例を定めた法律である。エの不正競争防止法は,営業秘密の不正取得や他人の商品表示の冒用など,不正な競争行為を禁じる法律である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

格納型クロスサイトスクリプティング(Stored XSS 又は Persistent XSS)攻撃に該当するものはどれか。

正解 

解説

格納型(Stored/Persistent)クロスサイトスクリプティングは,攻撃者が Web サイトの掲示板などに攻撃用スクリプトを含むデータを書き込んでサーバに保存させ,そのページを閲覧した利用者の Web ブラウザでスクリプトを実行させる攻撃である。利用者に罠のリンクを踏ませなくても,閲覧しただけで被害が生じる。アが該当する。

イは,不正なスクリプトを含むリクエストを送らせるリンクを利用者にクリックさせ,その応答に含まれたスクリプトを実行させる反射型クロスサイトスクリプティングである。ウは乗っ取った多数の PC から大量のリクエストを送る DDoS 攻撃である。エは送信元を攻撃対象に偽装した DNS リクエストで大量の応答を送り付ける DNS リフレクション(DNS amplification)攻撃である。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

ディジタル証明書が失効しているかどうかをオンラインで確認するためのプロトコルはどれか。

正解 

解説

OCSP(Online Certificate Status Protocol)は,デジタル証明書が失効しているかどうかを,OCSP レスポンダにオンラインで問い合わせて確認するためのプロトコルである。失効リスト(CRL)全体を取得しなくても,個々の証明書の状態をその都度確認できる。ウが該当する。

アの CHAP は PPP で接続する際にチャレンジレスポンス方式で利用者を認証するプロトコル,イの LDAP はディレクトリサービスにアクセスするプロトコル,エの SNMP はネットワーク機器を監視・管理するプロトコルである。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

2019 年 2 月から総務省,情報通信研究機構(NICT)及びインターネットサービスプロバイダが連携して開始した“NOTICE”という取組はどれか。

正解 

解説

NOTICE(National Operation Towards IoT Clean Environment)は,2019 年 2 月 20 日に始まった取組で,NICT がインターネット上の IoT 機器に対して,容易に推測されるパスワードなどでログインできるかを調べ,サイバー攻撃に悪用されるおそれのある機器を特定する。その情報をインターネットサービスプロバイダに通知し,プロバイダが利用者に注意喚起する。イが該当する。なお,NOTICE は当初 5 年間の時限措置として始まったが,2023 年の NICT 法の改正で延長され,2024 年 4 月からは脆弱性をもつ機器への対処も加えて続けられている。

アの企業のイントラネット内の Web サービスの脆弱性診断は,NOTICE の調査対象ではない。ウのスマートフォンのマルウェアに関する通知や,エの量子暗号技術を使った緊急情報の送信も,NOTICE の内容ではない。

出典:令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)