平成23年度 秋期 午前Ⅱ

平成23年度 秋期に実施されたITストラテジスト試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

経済産業省が策定した“IT 経営力指標”の説明はどれか。

正解 

解説

“IT 経営力指標”は,経済産業省が企業の IT 利活用の度合いを測るために定めた指標である。“IT の戦略的導入のための行動指針”に示された七つの機能,すなわち経営戦略と IT 戦略の融合,IT の活用による新ビジネスモデルの創出,標準化された安定的な IT 基盤の構築,IT マネジメント体制の確立,IT 投資評価の仕組みと実践,人材の育成,IT に起因するリスクへの対応を評価軸として,IT 経営力の高さをステージ 1 からステージ 4 までの四つの段階で判定する。イが正しい。

アは,IPA がまとめた“超上流から攻める IT 化の原理原則 17ヶ条”の説明である。ウは,開発プロセスの成熟度を 5 段階で評価する CMM,CMMI の説明である。エは,システムの構想から廃棄までの作業項目や役割を共通の枠組みとしてまとめた共通フレームの説明である。なお,IT 経営力指標を用いた調査は現在は行われていない。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

エンタープライズアーキテクチャを説明したものはどれか。

正解 

解説

エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織全体の業務と情報システムを,政策・業務体系(ビジネスアーキテクチャ),データ体系,適用処理体系,技術体系という複数の体系で整理し,現状の姿と将来のあるべき姿を明示して,そこへ移行するための基盤とする手法である。全体像と目標を関係者が共有できるので,IT ガバナンスが強化され,経営の視点から IT 投資の効果を高められる。イが該当する。

アは,既存の業務システムを価値と品質の 2 軸で評価して改善や廃止の方向を決めるアプリケーションポートフォリオ分析である。ウは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点で評価指標を設定するバランススコアカードである。エは,ソフトウェアプロセスの成熟度を段階で評価して改善を進める CMMI などの能力成熟度モデルの考え方である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

BI(Business Intelligence)を説明したものはどれか。

正解 

解説

BI(Business Intelligence)は,企業内の基幹システムなどに蓄積された膨大なデータを,データウェアハウスなどに集めて分類・加工・分析し,経営者や担当者の迅速な意思決定に役立てる手法である。OLAP やデータマイニング,レポーティングなどのツールが使われる。エが正しい。

アの業務の流れを可視化し,改善サイクルを回して継続的に業務を改善する手法は BPM(Business Process Management)である。イの異なるシステムを連結してデータやプロセスを統合するのは EAI(Enterprise Application Integration)である。ウの戦略目標の達成度を測る指標を把握,分析して進捗管理に活用するのは,KPI(重要業績評価指標)による業績管理の説明である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

投資効果を現在価値法で評価するとき,最も投資効果の大きい(又は損失の小さい)シナリオはどれか。ここで,期間は 3 年間,割引率は 5%とし,各シナリオのキャッシュフローは表のとおりとする。

シナリオ別のキャッシュフローの表(単位 万円)。列はシナリオ,投資額,回収額(1 年目,2 年目,3 年目)。A:投資額 220,回収額 40,80,120。B:投資額 220,回収額 120,80,40。C:投資額 220,回収額 80,80,80。投資をしない:投資額 0,回収額 0,0,0。

正解 

解説

正味現在価値は,各年の回収額を割引率で現在価値に直して合計し,投資額を引いて求める。割引率5%なら1年目は 1.05,2年目は 1.052=1.1025,3年目は 1.053≒1.1576 で割る。

A は 40/1.05+80/1.1025+120/1.1576≒38.1+72.6+103.7=214.4 で,220 を引くと約 −5.6 万円。B は 120/1.05+80/1.1025+40/1.1576≒114.3+72.6+34.6=221.5 で約 +1.5 万円。C は 80/1.05+80/1.1025+80/1.1576≒76.2+72.6+69.1=217.9 で約 −2.1 万円。投資をしない場合は 0 である。

最も大きいのは B で,イが正しい。割り引かずに合計すると回収額はどのシナリオも 240 万円で同じになり,差が出ない。早い時期に多く回収するシナリオほど現在価値が大きくなる。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

BABOK の説明はどれか。

正解 

解説

BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)は,IIBA がまとめたビジネスアナリシスの知識体系で,ビジネスアナリシスの計画とモニタリング,引き出し,要求アナリシス,基礎コンピテンシなどの知識エリアから成る(出題当時の第2版は七つの知識エリア)。ウが正しい。

アはソフトウェア品質の知識体系である SQuBOK,イはソフトウェアエンジニアリングの知識体系である SWEBOK,エはプロジェクトマネジメントの知識体系である PMBOK の説明である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

システムの機能要件を定義する上で,前提となる要件定義作業はどれか。

正解 

解説

共通フレームの要件定義では,まず利害関係者のニーズを整理し,新しい業務の在り方や運用をまとめた上で,業務上実現すべき要件を明らかにする(業務要件の定義)。機能要件は,この業務要件を実現するために必要なシステムの機能を明らかにするものなので,業務要件の定義が機能要件を定義する前提となる。ウが正しい。

アの業務モデルからシステム化機能を整理し,システム方式を策定する作業と,イの対象業務の問題点を分析してシステムで実現すべき課題を定義する作業は,要件定義より前の企画プロセス(システム化計画の立案)の作業である。エの利害関係者要件を技術的に実現可能なシステム要件に変換する作業は,要件定義の後のシステム要件定義の作業である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)において,投資用の資金源と位置付けられる事業はどれか。

正解 

解説

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)では,市場成長率と相対的市場占有率の2軸で事業を四つに分ける。市場成長率が低く相対的市場占有率が高い「金のなる木」は,追加投資が少なくて済むうえ大きな資金を生むので,他の事業への投資用の資金源として位置付けられる。ウが正しい。

アは「花形」で,資金は生むが成長に合わせた投資も必要になる。イは「問題児」で,資金を投入して花形に育てるか撤退するかを判断する対象。エは「負け犬」で,撤退を検討する対象である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

企業戦略における TOB を説明したものはどれか。

正解 

解説

TOB(Take Over Bid,株式公開買付け)は,買付けの価格,期間,予定株数などをあらかじめ公告し,取引所を通さずに不特定かつ多数の株主から直接株式を買い付けて,経営支配権を獲得しようとする行為である。アが正しい。

イは EBO(エンプロイーバイアウト)で,経営陣ではなく一般従業員が自社の株式を買い取って経営を引き継ぐものである。ウは MBO(マネジメントバイアウト)で,子会社や事業部門の経営陣が自社の株式を買い取って独立するものである。エは,ベンチャーキャピタルが出資だけでなく役員を送り込んで経営にも関与するハンズオン型の投資である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

コアコンピタンスに該当するものはどれか。

正解 

解説

コアコンピタンスは,競合他社がまねのできない,顧客に価値をもたらす企業の中核的な能力や技術である。競合他社よりも効率性が高い生産システムは,自社の内部に蓄積された競争力の源泉なので,イが該当する。

アの事業ドメインの成長率,ウの参入を予定している分野の競合状況は,自社を取り巻く外部環境や市場の状況であり,自社の能力ではない。エの市場シェアは,能力を発揮した結果として得られた成果であって,能力そのものではない。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

ブルーオーシャン戦略を説明したものはどれか。

正解 

解説

ブルーオーシャン戦略は,キムとモボルニュが提唱した戦略で,多くの企業が同じ土俵で血みどろの競争を繰り広げる既存市場(レッドオーシャン)を避け,これまでにない価値を提供することで競争相手のいない市場領域を自ら切り開こうとするものである。買い手にとっての価値を高めながら同時にコストも下げるバリューイノベーションが鍵になる。アが正しい。

イは,他社のどこよりも低いコストを実現して競争優位を得るコストリーダシップ戦略の説明である。ウは,優れた実践例(ベストプラクティス)と自社を比べて改善につなげるベンチマーキングの説明である。エは,リーダ企業を模倣することで開発コストを抑えるフォロワ戦略の説明である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

アンゾフの成長ベクトルにおいて,B の戦略を表すものはどれか。

アンゾフの成長ベクトルの 2×2 の表。横軸は製品(既存,新規),縦軸は市場(既存,新規)。市場 既存・製品 既存が A,市場 既存・製品 新規が B,市場 新規・製品 既存が C,市場 新規・製品 新規が D。

正解 

解説

アンゾフの成長ベクトルは,製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の組合せによって成長戦略を四つに分類する。B は市場が既存で製品が新規なので,今の顧客に対して新しい製品を投入して売上を伸ばす製品開発戦略に当たる。ウが正しい。

市場も製品も既存の A は,購入頻度や購入量を増やして今の市場でのシェアを高める市場浸透戦略,市場が新規で製品が既存の C は,今の製品を新しい地域や顧客層へ広げる市場開発戦略,市場も製品も新規の D は多角化戦略である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

商品のブランド戦略の一つであるラインエクステンションを説明したものはどれか。

正解 

解説

ラインエクステンション(ライン拡張)は,実績のあるブランド名を同じ商品カテゴリの中で広げ,味や香り,容量,機能などが異なるシリーズ商品を加えて品ぞろえを豊富にする戦略である。既存ブランドの認知度をそのまま生かせるので,新規ブランドを立ち上げるよりも少ない費用で売場での占有率を高められる。ウが正しい。

アは,デザインや容量を見直した商品を投入して既存ブランドを活性化させるリニューアルの説明である。イは,他社の有力ブランドと組んで相乗効果を狙うブランドアライアンス(コ・ブランディング)である。エは,確立したブランド名を現行商品とは別のカテゴリに持ち込むブランドエクステンション(ブランド拡張)の説明である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

売り手側でのマーケティング要素 4P は,買い手側での要素 4C に対応するという考え方がある。4P の一つであるプロモーションに対応する 4C の構成要素はどれか。

正解 

解説

4P は売り手側からみたマーケティングの要素(Product,Price,Place,Promotion),4C はそれを買い手側からみた要素で,Product は顧客価値(Customer Value),Price は顧客コスト(Customer Cost),Place は利便性(Convenience),Promotion はコミュニケーション(Communication)に対応する。

プロモーション(販売促進)は,売り手から一方的に働きかけるのではなく,買い手との双方向の情報のやり取りと捉えるので,ウのコミュニケーションが正しい。アは製品,イは価格,エは流通に対応する。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

ある顧客層の今後 3 年間を通しての,年間顧客維持率が 40%,1 人当たり年平均売上高が 200 万円,売上高コスト比率が 50%と想定される場合,今後 3 年間の LTV(顧客 1 人当たりの生涯価値)は何万円か。ここで,割引率は考慮しないものとする。

正解 

解説

LTV は,1 人の顧客が取引を続ける間にもたらす利益の合計である。1 人当たりの年平均売上高が 200 万円で売上高コスト比率が 50%なので,1 年当たりの利益は 200×(1−0.5)=100 万円になる。年間顧客維持率が 40%なので,1 年目は 100 万円,2 年目は残った 40%の顧客から 100×0.4=40 万円,3 年目はさらにその 40%から 100×0.4×0.4=16 万円が得られる。3 年間の合計は 100+40+16=156(万円)であり,イになる。

アの 62.4 は,1 年目にも維持率を掛けて 100×(0.4+0.4×0.4+0.4×0.4×0.4)と計算した値である。エの 312 は,売上高コスト比率を考慮せず,売上高のまま 200×(1+0.4+0.16)と計算した値である。ウの 210 は,この計算からは得られない値である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

ファイブフォース分析において,企業の競争力に影響を与える五つの要因として,新規参入者の脅威,バイヤの交渉力,競争業者間の敵対関係,代替製品の脅威と,もう一つはどれか。

正解 

解説

ポーターのファイブフォース分析は,業界の収益性を左右する競争要因を,新規参入者の脅威,代替製品の脅威,バイヤ(買い手)の交渉力,サプライヤ(売り手)の交渉力,競争業者間の敵対関係の五つに整理したものである。問題文に挙がっていない残りの一つはサプライヤの交渉力なので,アが正しい。

イの自社製品の品質は,業界の構造を決める力ではなく,自社が競争の中でどう戦うかという内部の問題である。ウの消費者の購買力は,既に挙がっているバイヤの交渉力に含めて扱うものである。エの政府の規制は,新規参入の障壁を左右する外部環境として考慮されることはあるが,五つの要因そのものには含まれない。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

SECI モデルにおける,内面化の説明はどれか。

正解 

解説

SECI モデルは,暗黙知と形式知の相互変換によって組織の知識が創造される過程を,共同化,表出化,連結化,内面化の四つのプロセスで表したモデルである。内面化は,連結化などによって新たに創造された形式知を,実践を通じて個人が体得し,新たな暗黙知として習得するプロセスである。アが該当する。

イの暗黙知を形式知として明示化することは表出化,ウの経験の共有によって暗黙知を共有化し新たな暗黙知を創造することは共同化,エの形式知を組み合わせて新たな知識を創造することは連結化である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

特許を分析して生まれた問題解決技法であり,問題(矛盾)を創造的・発明的に解決するための弁証法的な思考法を具体的な方法論にまとめたものはどれか。

正解 

解説

TRIZ は,旧ソ連のアルトシュラーが膨大な特許を分析し,優れた発明に共通する解決のパターンを抽出して体系化した問題解決技法である。両立しない二つの要求を矛盾としてとらえ,矛盾マトリックスと 40 の発明原理などを手掛かりに,どちらかを妥協させるのではなく矛盾そのものを解消する解を探す。弁証法的な思考法を具体的な方法論にまとめたものなので,イが正しい。

アの QFD(品質機能展開)は,顧客の要求を品質特性に変換し,二元表を使って設計や工程へ展開していく手法である。ウのシックスシグマは,統計的な手法で工程のばらつきを減らし,不良の発生を極めて低い水準に抑える品質改善の取組である。エの親和図法は,混沌とした言語データを似たものどうしにまとめて問題の構造を整理する,新 QC 七つ道具の一つである。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

ある会社の生産計画部では,毎月 25 日に次の手続で翌月の計画生産量を決定している。8 月分の計画生産量を求める式はどれか。

〔手続〕

記号と意味の対応図。I6:6 月末実在庫量。I7:7 月末予想在庫量,P7:7 月分計画生産量,S7:7 月分予想販売量。I8:8 月末予想在庫量,P8:8 月分計画生産量(網掛け),S8:8 月分予想販売量。S9:9 月分予想販売量。S10:10 月分予想販売量。S11:11 月分予想販売量。凡例 In:n 月の月末在庫量,Pn:n 月の生産量,Sn:n 月の販売量。

正解 

解説

手続(1)により,7月末の予想在庫量 I7 は 6月末の実在庫量に7月分の計画生産量を足し,7月分の予想販売量を引いた I6+P7−S7 で求まる。手続(2)により,8月末の予想在庫量 I8=I7+P8−S8 が,翌々月の9月から3か月間の予想販売量 S9+S10+S11 と等しくなるように P8 を決める。

I7+P8−S8=S9+S10+S11 を P8 について解くと,P8=S8+S9+S10+S11−I7 となり,イが正しい。ウは I8 を使っているが,I8 は P8 が決まってから求まる値なので式に使えない。エは8月分の予想販売量 S8 を加え忘れている。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

インターネットオークションにおいて,出品者と落札者の間の決済で使用されるエスクローサービスはどれか。

正解 

解説

エスクローサービスは,売手と買手の間に第三者が入って代金を預かる仕組みである。インターネットオークションでは,落札者がまずこの第三者に代金を送金し,第三者は商品の受渡しが完了したことを確認してから出品者へ送金する。代金を払ったのに商品が届かない,商品を送ったのに代金が支払われないという取引の危険を減らせる。エが正しい。

アは,個人情報や決済情報の取扱いが基準に適合しているかを第三者機関が審査・監視する認証制度の説明である。イは,送信元やメールアドレスの正当性を確かめる送信ドメイン認証などの説明である。ウは,SSL/TLS による暗号化やサーバ証明書によって通信の安全とショップの正当性を確保する仕組みの説明である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

e-ビジネス分野で提唱されているロングテールの考え方を説明したものはどれか。

正解 

解説

ロングテールは,商品を売上の多い順に並べたグラフにできる,1 品目当たりの販売数が少ない商品が長く尾を引くように連なる部分を指す。在庫や陳列の制約が小さいインターネット上の販売では,この少しずつしか売れない多数の商品の売上を積み上げることができ,売れ筋に絞り込まなくても大きな売上や利益を得られる。アが正しい。

イは,生産規模が大きくなるほど収益性が高まる収穫逓増(規模の経済)の考え方である。ウはパレートの法則(2:8 の法則)で,ロングテールはこれが当てはまらない市場があることを示したものである。エは,利用者が増えるほど 1 人当たりの便益が増して更に利用者を呼ぶネットワーク外部性の説明である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

c 管理図で管理する対象はどれか。

正解 

解説

計数値の管理図は,不適合品の個数や率を見るものと,不適合(欠点)の数を見るものに分かれる。c 管理図は,群の大きさが一定の場合の不適合数を管理する図で,一定の面積の板や一定の長さの電線のように大きさのそろった検査単位ごとに,そこで検出される不適合数の変化を見る。エが正しい。

ウは,群の大きさが変動する場合に単位当たりの不適合数を管理する u 管理図の対象である。アのサンプル数が一定のロットにおける不適合品数は np 管理図,イのサンプル数が異なるロットにおける不適合品率は p 管理図の対象である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

製品 X 及び Y を生産するために 2 種類の原料 A,B が必要である。製品 1 個の生産に必要となる原料の量と調達可能量は表に示すとおりである。製品 X と Y の販売 1 個当たりの利益が,それぞれ 100 円,150 円であるとき,最大利益は何円か。

原料ごとの必要量と調達可能量の表。列は原料,製品 X の生産 1 個当たりの必要量,製品 Y の生産 1 個当たりの必要量,調達可能量。A:2,1,100。B:1,2,80。

正解 

解説

製品 X を x 個,Y を y 個生産するとすると,原料 A の制約は 2x+y≦100,原料 B の制約は x+2y≦80 で,利益は 100x+150y となる。利益が最大になるのは制約の境界が交わる点なので,2x+y=100 と x+2y=80 を連立して解くと x=40,y=20 が得られる。このときの利益は 100×40+150×20=4,000+3,000=7,000(円)であり,ウになる。

アの 5,000 は X だけを生産する場合で,原料 A から x=50 個が限界になる。イの 6,000 は Y だけを生産する場合で,原料 B から y=40 個が限界になる。エの 8,000 は,どちらの原料の調達可能量でも実現できない値である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

ABC(活動基準原価計算)の考え方を説明したものはどれか。

正解 

解説

ABC(活動基準原価計算)は,製造間接費などの間接費を,段取り,検査,購買といった活動(アクティビティ)ごとにいったん集計し,各製品などの原価計算対象がその活動をどれだけ使ったかに応じて割り当てる原価計算の方法である。間接費を発生の原因と結び付けて配分するので,製品ごとの原価をより正確に把握できる。ウが正しい。

アは ABC と ABM の関係が逆で,ABM は ABC で得た原価の情報を使って業務を改善する手法である。イも,非付加価値活動を明らかにして無駄を省くという ABM の説明であり,しかも一定の基準で配賦するのでは活動に応じた割当てにならない。エは,あらかじめ決めた配賦基準で製造間接費や補助部門費を配分する従来型の原価計算の説明である。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

キャッシュフロー計算書における,営業活動によるキャッシュフローは何万円か。

表(単位 万円)。税金等調整前当期純利益 108,減価償却費 42,売上債権の増加額 60,棚卸資産の減少額 30,仕入債務の増加額 40,法人税等の支払額 62。

正解 

解説

間接法による営業活動によるキャッシュフローは,税金等調整前当期純利益に,現金の支出を伴わない費用や,資産・負債の増減による資金の出入りを加減して求める。

減価償却費は費用でも現金は出ていかないので 42 を加える。売上債権の増加は,売上を計上したのに現金を回収していない分なので 60 を引く。棚卸資産の減少は,在庫が現金化された分なので 30 を加え,仕入債務の増加は,仕入れた代金をまだ支払っていない分なので 40 を加える。法人税等の支払額は現金の支出なので 62 を引く。

108+42−60+30+40−62=98(万円)となり,ウになる。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

国税関係帳簿を磁気媒体で保存する場合,法律で規定されているものはどれか。

正解 

解説

国税関係帳簿は紙での保存が原則だが,電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(電子帳簿保存法)により,自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には,磁気媒体などへの電磁的記録による保存をもって帳簿の保存に代えることができる。出題当時の同法第 4 条第 1 項は,この取扱いを受けるにはあらかじめ所轄の税務署長の承認を受けることを要件としていた。アが正しい。

イは誤りで,法令が定めているのは記録の真実性と可視性を確保するための要件であって,用いる媒体の性能ではない。ウも誤りで,対象は国税関係帳簿書類であり,電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存は別の条文で定められている。エも誤りで,紙やマイクロフィルムを控えとして残す義務はない。なお,令和 3 年度の改正によって事前の承認制度は廃止され,令和 4 年 1 月 1 日以後は承認を受けなくてよい。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)