平成25年度 秋期に実施されたITストラテジスト試験
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問1
情報戦略の投資効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。
正解 エ
解説
ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割って求める指標で,投資効果を評価するのに使う。エが正しい。
アの EVA(経済的付加価値)は税引後営業利益から資本コストの額を差し引いた金額。イの IRR(内部収益率)は投資の正味現在価値が 0 になる割引率。ウの NPV(正味現在価値)は将来のキャッシュフローの現在価値の合計から投資額を差し引いた金額で,いずれも利益額を投資額で割る比率ではない。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
TCO の策定に当たって適切なものはどれか。
ア エンドユーザコンピューティングにおけるユーザ部門の運用コストを考慮する必要はない。
イ システム監査における監査対象データの収集コストや管理コストを考慮する必要はない。
ウ システム障害の発生などによって仕入先企業が被るおそれのある,将来的な損失額も考慮する必要がある。
エ ユーザ部門におけるシステム利用に起因する,埋没原価などの見えないコストも考慮する必要がある。 正解
正解 エ
解説
TCO(Total Cost of Ownership,総所有費用)は,情報システムを導入してから廃棄するまでに組織が負担する費用の総額である。ハードウェアやソフトウェアの購入費,保守費のような目に見える直接の費用だけでなく,ユーザ部門での自己学習や利用者同士の相互サポート,障害による待ち時間など,帳簿には表れにくい費用も含めて把握するところに特徴がある。エが適切である。
アは誤りで,エンドユーザコンピューティングでユーザ部門が負担する運用コストも,システムを所有し利用するために掛かる費用として TCO に含める。イも誤りで,システム監査に伴うデータの収集や管理のコストも,運用に要する費用として含める。ウも誤りで,TCO は自社がシステムを所有し利用するために負担する費用であり,仕入先企業が被るおそれのある損失額までは対象としない。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
エンタープライズアーキテクチャを説明したものはどれか。
ア 今まで開発してきた業務システムをビジネス価値とソリューション品質の 2 軸で分析し,業務システムごとの改善の方向を決定する。
イ 既存の業務と情報システムの全体像及び将来の目標を明示することによって,IT ガバナンスを強化し,経営の視点から IT 投資効果を高める。 正解
ウ 財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点から評価指標を設定し,IT 投資による組織全体への効果を的確に管理する。
エ 情報システムの開発・保守とその組織運営の現状を調査し,ソフトウェアプロセスの成熟度を評価して,プロセス改善の方向を決定する。
正解 イ
解説
エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織全体の業務と情報システムを,政策・業務体系(ビジネスアーキテクチャ),データ体系,適用処理体系,技術体系という複数の体系で整理し,現状の姿と将来のあるべき姿を明示して,そこへ移行するための基盤とする手法である。全体像と目標を関係者が共有できるので,IT ガバナンスが強化され,経営の視点から IT 投資の効果を高められる。イが該当する。
アは,既存の業務システムを価値と品質の 2 軸で評価して改善や廃止の方向を決めるアプリケーションポートフォリオ分析である。ウは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点で評価指標を設定するバランススコアカードである。エは,ソフトウェアプロセスの成熟度を段階で評価して改善を進める CMMI などの能力成熟度モデルの考え方である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
BABOK では,要求をビジネス要求,ステークホルダ要求,ソリューション要求及び移行要求の 4 種類に分類している。ソリューション要求の説明はどれか。
ア 経営戦略や情報化戦略などから求められる要求であり,エンタープライズアナリシスの活動で定義している。
イ 新システムへのデータ変換や要員教育などに関する要求であり,ソリューションのアセスメントと妥当性確認の活動で定義している。
ウ 組織・業務・システムが実現すべき機能要求と非機能要求であり,要求アナリシスの活動で定義している。 正解
エ 利用部門や運用部門などから個別に発せられるニーズであり,要求アナリシスの活動で定義している。
正解 ウ
解説
BABOK(ビジネスアナリシス知識体系ガイド)の要求の分類で,ソリューション要求は,ステークホルダ要求を満たすためにソリューションがもつべき能力や品質であり,振る舞いや扱う情報を表す機能要求と,性能や使用性などの非機能要求からなる。出題当時の BABOK 2.0 では要求アナリシスの活動で定義する。ウが該当する。
アは組織の目標や目的を表すビジネス要求で,エンタープライズアナリシスで定義する。イは現状から将来の状態への移行に必要な一時的な能力を表す移行要求,エは利害関係者のニーズを表すステークホルダ要求である。なお,現行の BABOK v3 では知識エリアが再編され,エンタープライズアナリシスは戦略アナリシスに改められている。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
非機能要件の使用性に該当するものはどれか。
ア 4 時間以内のトレーニングで新しい画面インタフェースを操作できること 正解
イ 業務のピーク時でも 8 時間以内で夜間バッチ処理を完了できること
ウ 現行のシステムから新システムへ 72 時間以内で移行できること
エ 地震などの大規模災害時でも 144 時間以内にシステムを復旧できること
正解 ア
解説
使用性は,明示された利用者が,明示された利用状況の下で,有効性,効率性及び満足性をもって製品やシステムを利用できる度合いを表す品質特性であり,JIS X 25010 では適切度認識性,習得性,運用操作性などの副特性から成る。一定時間のトレーニングを受ければ新しい画面インタフェースを操作できるようになるという要件は,このうちの習得性に当たるので,アが該当する。
イの業務のピーク時でも夜間バッチ処理を決められた時間内に終えることは,性能・拡張性に関する要件である。ウの現行システムから新システムへの移行を決められた時間内に完了することは,移行性に関する要件である。エの大規模災害時でも決められた時間内にシステムを復旧することは,可用性(障害や災害からの回復)に関する要件である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
グリーン購入法において,“環境物品等”として規定されているものはどれか。
ア ISO 14001 認証を取得した企業が製造又は提供する製品・サービス
イ IT 活用による省エネなど,グリーン IT に関わる製品・サービス
ウ 環境への負荷低減に資する原材料・部品又は製品・サービス 正解
エ コーズリレーテッドマーケティング対象の,環境配慮の製品・サービス
正解 ウ
解説
グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)第 2 条第 1 項は,“環境物品等”を,再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料又は部品,環境への負荷の低減に資する製品,環境への負荷の低減に資する製品を用いて提供される等の役務と定めている。ウが該当する。
アの ISO 14001 は,組織の環境マネジメントシステムの規格で,認証は組織に対して与えられ,製品やサービスが環境物品等に当たるかどうかとは別である。イのグリーン IT に関わる製品・サービスという区分は,法律の定義にない。エのコーズリレーテッドマーケティングは,商品の売上の一部を社会貢献活動に寄付することなどで販売を促進するマーケティング手法である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
市場成長率と相対的市場シェアから,市場と企業の関係を分析し,自社製品や事業についての最適な資源配分方針を求めるための手法はどれか。
正解 ウ
解説
PPM(Product Portfolio Management)は,縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェアをとって事業や製品を“花形”“金のなる木”“問題児”“負け犬”の4象限に分類し,最適な資源配分の方針を決める手法。
アの 3C は顧客・競合・自社の観点から事業環境を分析する枠組み,イの BSC は財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点で業績を評価する仕組み,エの SWOT は強み・弱み・機会・脅威を整理する分析手法。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
アンゾフの成長マトリクスを説明したものはどれか。
ア 外部環境と内部環境の観点から,強み,弱み,機会及び脅威の四つの要因について情報を整理し,企業を取り巻く環境を分析する手法である。
イ 企業のビジョンと戦略を実現するために,財務,顧客,内部ビジネスプロセス及び学習と成長の四つの視点から事業活動を検討し,アクションプランまで具体化していくマネジメント手法である。
ウ 事業を,市場浸透,市場拡大,製品開発及び多角化の四つのタイプに分類し,事業の方向性を分析する手法である。 正解
エ 製品を,導入期,成長期,成熟期及び衰退期の四つの段階に分類し,企業にとって最適な戦略を分析する手法である。
正解 ウ
解説
アンゾフの成長マトリクスは,製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の二つの軸の組合せで,企業の成長戦略を四つに分ける枠組みである。既存製品を既存市場で深耕する市場浸透,既存製品を新しい市場に広げる市場拡大(市場開拓),既存市場に新製品を投入する製品開発,新製品を新市場に出す多角化からなり,この四つに分類して事業の方向性を検討する。ウが正しい。
アは,強み・弱み・機会・脅威の四つの要因で環境を整理する SWOT 分析である。イは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点から戦略を具体化するバランススコアカード(BSC)である。エは,製品ライフサイクルの段階に応じて戦略を考える手法の説明である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
コアコンピタンスに該当するものはどれか。
ア 主な事業ドメインの高い成長率
イ 競合他社よりも効率性が高い生産システム 正解
ウ 参入を予定している事業分野の競合状況
エ 収益性が高い事業分野での市場シェア
正解 イ
解説
コアコンピタンスは,競合他社がまねのできない,顧客に価値をもたらす企業の中核的な能力や技術である。競合他社よりも効率性が高い生産システムは,自社の内部に蓄積された競争力の源泉なので,イが該当する。
アの事業ドメインの成長率,ウの参入を予定している分野の競合状況は,自社を取り巻く外部環境や市場の状況であり,自社の能力ではない。エの市場シェアは,能力を発揮した結果として得られた成果であって,能力そのものではない。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
バリューチェーンは,付加価値を生み出す事業活動を五つの主活動と四つの支援活動に分類する。支援活動に該当するものはどれか。
正解 ア
解説
バリューチェーンは,ポーターが示した,企業の事業活動を価値を生み出す連鎖としてとらえる枠組みである。主活動は購買物流,製造(オペレーション),出荷物流,販売・マーケティング,サービスの五つ,支援活動は全般管理(企業インフラ),人事・労務管理,技術開発,調達活動の四つに分類される。技術開発は支援活動なので,アが該当する。
イの購買物流は原材料の受入れや保管,運搬を行う活動,エの製造は投入した原材料を製品に変える活動,ウのサービスは販売した後の据付けや保守,部品供給などによって製品の価値を保ち高める活動であり,いずれも主活動に分類される。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
観測データを類似性によって集団や群に分類し,その特徴となる要因を分析する手法はどれか。
ア クラスタ分析法 正解
イ 指数平滑法
ウ デルファイ法
エ モンテカルロ法
正解 ア
解説
クラスタ分析法は,観測データを互いの類似性に基づいて集団(クラスタ)に分け,各集団に共通する特徴から要因を読み取る手法。アが正しい。
イの指数平滑法は過去の実績に指数的な重みを付けて将来を予測する手法,ウのデルファイ法は専門家の意見を匿名で繰り返し集約して見通しを立てる手法,エのモンテカルロ法は乱数を使って数値的に解を求める手法である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
人から人へと評判が伝わることを積極的に利用することが特徴的なマーケティング手法はどれか。
ア アフィリエイトマーケティング
イ セグメント内差別化マーケティング
ウ パーミッションマーケティング
エ バイラルマーケティング 正解
正解 エ
解説
バイラルマーケティングは,ウイルス(virus)が人から人へうつっていくように,商品やサービスの評判が口コミや SNS を通じて利用者から利用者へ次々に広まることを,意図的に利用するマーケティング手法である。人に伝えたくなる仕掛けや紹介の仕組みを用意して利用者自身に広めてもらうことで,少ない費用で短期間に認知を広げる。エが該当する。
アのアフィリエイトマーケティングは,他のサイトに広告を掲載してもらい,そこを経由した成果に応じて報酬を支払う手法である。イのセグメント内差別化マーケティングは,同じセグメントの中を更に細かく分け,個々の顧客に合わせて製品やサービスを変える手法である。ウのパーミッションマーケティングは,あらかじめ顧客の同意を得た上で情報を送る手法である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
ブランド戦略における,ブランドエクイティを説明したものはどれか。
ア 顧客がそのブランドに対してどの程度の執着心をもっているかを示す概念であり,これが高いほど,顧客は他のブランドに乗り換えにくくなる。
イ 顧客がブランド要素に接触したとき,企業として顧客の心の中に何を連想してほしいかのイメージである。
ウ 特定の組織にとって自社のブランドの名前やシンボルと結び付いたブランドの資産の集合であり,製品やサービスの価値を増大させるものである。 正解
エ 名称,キャッチフレーズ,ロゴマーク,キャラクタ,記号,包装,スローガンなど,ブランドを特定して差別化するための要素である。
正解 ウ
解説
ブランドエクイティは,D. A. アーカーらが提唱した考え方で,ブランドの名前やシンボルと結び付いた資産の集合であり,製品やサービスの価値を増大させるものである。ブランドロイヤルティ,ブランド認知,知覚品質,ブランド連想などから構成される。ウが該当する。
アは,ブランドエクイティを構成する要素の一つであるブランドロイヤルティの説明である。イは,企業が顧客に抱いてほしいブランドのイメージであるブランドアイデンティティの説明である。エは,ブランドを識別し差別化するためのブランド要素の説明である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
計画的陳腐化を説明したものはどれか。
ア 機能がまだ十分に使用可能な製品を,新しいデザインに変更することによって,既存製品からの移行を進めていくこと 正解
イ 製品の誕生から廃棄までのうち,製品のニーズがなくなることによって,売上も利益も下降線をたどる段階のこと
ウ 製品の値引き販売をすることによって,多くの人の購入を狙うこと
エ 大規模な流通業者が,あえてブランド名を付けないことによって,旧タイプの製品を提供すること
正解 ア
解説
計画的陳腐化は,製品の機能がまだ十分に使える段階で,デザインや仕様を変えた新しいモデルを計画的に市場へ投入し,既存製品を古いものに見せることで買換えを促して需要を作り出す手法である。自動車や家電の年次モデルチェンジが典型的な例である。アが該当する。
イは,プロダクトライフサイクルのうち,需要がなくなって売上も利益も落ちていく衰退期の説明である。ウは,値引きによって購入者の数を増やそうとする価格面の販売促進策である。エは,大規模な流通業者が包装や広告を簡素にし,ブランド名を付けずに製品を安く提供するジェネリックブランド(ノーブランド商品)に近い説明であり,買換えを促すものではない。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
マーケットバスケット分析を説明したものはどれか。
ア POS システムで収集した販売情報から,顧客が買物をした際の購入商品の組合せなどを分析する。 正解
イ 網の目状に一定の経線と緯線で区切った地域に対して,人口,購買力など様々なデータを集計し,より細かく地域の分析を行う。
ウ 一定の目的で地域を幾つかに分割し,各地域にオピニオンリーダを選んで反復調査を行い,地域の傾向や実態を把握する。
エ 商品ごとの販売金額又は粗利益額を高い順に並べ,その累計比率から商品を三つのランクに分けて商品分析を行い,売れ筋商品を把握する。
正解 ア
解説
マーケットバスケット分析は,POS システムなどで収集した購買データから,一緒に買われやすい商品の組合せを見つけ出す分析手法である。“商品 A を買った顧客は商品 B も買う傾向がある”といった関係を見つけ,売場の配置や併売の促進などに活用する。アが該当する。
イは地域をメッシュ状に区切って人口などを集計するグリッド分析(メッシュ分析),ウは地域ごとに選んだ調査対象者に繰り返し調査を行うパネル調査の説明である。エは,販売金額などの累計比率から商品を A,B,C の三つのランクに分ける ABC 分析の説明である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
企業が実施するマクロ環境分析のうち,PEST 分析によって戦略を策定している事例はどれか。
ア 購買決定者の年齢層や社会的なポジション,購買に至るプロセスの中で購買行動に影響する要因を把握し,自社の製品の市場投入方法を決定する。
イ 自社の製品市場に参入してくると見込まれる,別市場の企業の動向を把握し,新製品の開発を決定する。
ウ 自社の販売力,生産力の評価や自社の保有する技術力を検証し,新しく進出する市場分野を決定する。
エ 法規制,景気動向,流行の推移や新技術の状況を把握し,自社の製品改善方針を決定する。 正解
正解 エ
解説
PEST 分析は,企業を取り巻くマクロ環境を,政治(Politics),経済(Economy),社会(Society),技術(Technology)の四つの観点から分析する手法である。法規制は政治,景気動向は経済,流行の推移は社会,新技術の状況は技術の観点に当たるので,エが該当する。
アは購買行動に影響する要因を分析する顧客分析,イは新規参入の脅威を分析するファイブフォース分析などの業界環境(ミクロ環境)の分析である。ウは自社の販売力や技術力といった経営資源を評価する内部環境の分析である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
SECI モデルにおける,内面化の説明はどれか。
ア 新たに創造された知識を組織に広め,新たな暗黙知として習得すること 正解
イ 組織内の個人,小グループが有する暗黙知を形式知として明示化すること
ウ 組織内の個人,小グループで暗黙知の共有化や,新たな暗黙知を創造すること
エ 明示化した形式知を組み合わせ,それを基に新たな知識を創造すること
正解 ア
解説
SECI モデルは,暗黙知と形式知の相互変換によって組織の知識が創造される過程を,共同化,表出化,連結化,内面化の四つのプロセスで表したモデルである。内面化は,連結化などによって新たに創造された形式知を,実践を通じて個人が体得し,新たな暗黙知として習得するプロセスである。アが該当する。
イの暗黙知を形式知として明示化することは表出化,ウの経験の共有によって暗黙知を共有化し新たな暗黙知を創造することは共同化,エの形式知を組み合わせて新たな知識を創造することは連結化である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
特許を分析して生まれた問題解決技法であり,問題(矛盾)を創造的・発明的に解決するための弁証法的な思考法を具体的な方法論にまとめたものはどれか。
ア QFD
イ TRIZ 正解
ウ シックスシグマ
エ 親和図法
正解 イ
解説
TRIZ は,旧ソ連のアルトシュラーが膨大な特許を分析し,優れた発明に共通する解決のパターンを抽出して体系化した問題解決技法である。両立しない二つの要求を矛盾としてとらえ,矛盾マトリックスと 40 の発明原理などを手掛かりに,どちらかを妥協させるのではなく矛盾そのものを解消する解を探す。弁証法的な思考法を具体的な方法論にまとめたものなので,イが正しい。
アの QFD(品質機能展開)は,顧客の要求を品質特性に変換し,二元表を使って設計や工程へ展開していく手法である。ウのシックスシグマは,統計的な手法で工程のばらつきを減らし,不良の発生を極めて低い水準に抑える品質改善の取組である。エの親和図法は,混沌とした言語データを似たものどうしにまとめて問題の構造を整理する,新 QC 七つ道具の一つである。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
ある期間の生産計画において,図の部品表で表される製品 A の需要量が 10 個であるとき,部品 D の正味所要量は何個か。ここで,ユニット B の在庫残が 5 個,部品 D の在庫残が 25 個あり,他の在庫残,仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。
正解 イ
解説
製品 A が10個なので,ユニット B は 10×4=40個必要だが在庫が5個あるので正味35個,ユニット C は 10×1=10個必要で在庫はないので10個。部品 D はユニット B から 35×3=105個,ユニット C から 10×1=10個で合計115個必要になる。部品 D の在庫が25個あるので,正味所要量は 115−25=90個。イが正しい。
上位のユニット B の在庫を引かずに40個のまま計算すると,部品 D は 40×3+10=130個必要となり,在庫25個を引いて105個(エ)になってしまう。在庫は上位の品目から順に引き当てていく点に注意する。アの80とウの95は,この部品表からは導けない値である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
ファブレスの特徴を説明したものはどれか。
ア 1 人又は数人が全工程を担当する方式であり,作業内容を変えるだけで生産品目を変更でき,多品種少量生産への対応が容易である。
イ 後工程から,部品納入の時期,数量を示した作業指示書を前工程に渡して部品供給を受ける仕組みであり,在庫を圧縮することができる。
ウ 生産設備である工場をもたないので,資金が固定化せず,需給変動や製品ライフサイクルに伴うリスクが低減できる。 正解
エ 生産設備をもたない複数の企業の製造を請け負うことによって,効率の良い設備運営や高度な研究開発を行える。
正解 ウ
解説
ファブレスは,fabrication facility(工場)をもたない(less)という意味で,自社では生産設備を保有せず,製品の企画・設計・開発やブランドの管理に専念して,製造は外部の企業に委託する事業形態である。工場や設備に資金が固定化しないので,需給の変動や製品ライフサイクルの変化に伴うリスクを小さくできる。ウが該当する。
アは,1 人又は数人が全工程を受け持ち,多品種少量生産に対応しやすいセル生産方式である。イは,後工程が必要な部品の時期と数量を前工程に伝えて供給を受けるかんばん方式(ジャストインタイム生産方式)である。エは,生産設備をもたない企業から製造を請け負う受託製造側の説明であり,EMS やファウンドリと呼ばれる形態である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
リーダシップを“タスク志向”と“人間関係志向”の強弱で四つの型に分類し,部下の成熟度によって,有効なリーダシップの型が変化するとしたものはどれか。
ア SL 理論 正解
イ Y 理論
ウ コンピテンシモデル
エ マズローの欲求段階説
正解 ア
解説
SL 理論(Situational Leadership theory)は,ハーシィとブランチャードが提唱したリーダシップ論である。リーダの行動をタスク志向(指示的行動)と人間関係志向(協労的行動)の強弱で四つの型に分け,有効な型は一つに定まらず,部下の成熟度が低いうちは指示を強くし,成熟度が上がるにつれて指示を弱め,最後は任せる型へ移るとした。アが正しい。
イの Y 理論は,マグレガーが唱えた,人は条件が整えば自ら進んで働くという人間観である。ウのコンピテンシモデルは,高い成果に結び付く個人の行動特性を定義して評価や育成の基準とするものである。エのマズローの欲求段階説は,人間の欲求が生理的欲求から自己実現の欲求まで 5 段階で高次へ発達するとした理論である。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
アクションラーニングを説明したものはどれか。
ア ある企業や業界で起こった事例を基にして,問題解決や意思決定について議論する学習方法
イ 自社が直面する経営課題に対して参加者が自ら施策を立案し,問題解決に向けた取組みを実践していく学習方法 正解
ウ シミュレーション機能を使用して,販売,製造,人事,財務における意思決定を模擬体験する学習方法
エ 特定の状況設定の下で,様々な立場の役割を演じて,それぞれの問題点や解決方法を考える学習方法
正解 イ
解説
アクションラーニングは,参加者が自社の実際の経営課題を題材に取り上げ,グループでの質問と対話を重ねながら自ら施策を立案し,職場でその施策を実践して結果を振り返る,という過程を繰り返す学習方法である。課題の解決と参加者自身の成長を同時に図るところに特徴がある。イが該当する。
アは,ある企業や業界で実際に起こった事例を教材として議論するケーススタディ(事例研究)である。ウは,模擬的な企業運営を通じて各機能の意思決定を体験するビジネスゲームである。エは,特定の状況を設定して参加者が様々な立場の役割を演じるロールプレイングである。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
X 社では,(1)〜(4) に示す算定方式で在庫補充量を決定している。第 n 週の週末時点での在庫量を Bn ,第 n 週の販売量を Cn としたとき,第 n 週の週末に発注する在庫補充量の算出式はどれか。ここで,n は 3 以上とする。
〔在庫補充量の算定方式〕
(1) 週末ごとに在庫補充量を算出し,発注を行う。在庫は翌週の月曜日に補充される。 (2) 在庫補充量は,翌週の販売予測量から現在の在庫量を引き,安全在庫量を加えて算出する。 (3) 翌週の販売予測量は,先週の販売量と今週の販売量の平均値とする。 (4) 安全在庫量は,翌週の販売予測量の 10%とする。
ア (C[n−1]+Cn )/2×1.1−Bn 正解
イ (C[n−1]+Cn )/2×1.1−B[n−1]
ウ (C[n−1]+Cn )/2+Cn ×0.1−Bn
エ (C[n−2]+C[n−1])/2+Cn ×0.1−Bn
正解 ア
解説
第 n 週末に発注する在庫補充量は,(2) より“翌週の販売予測量−現在の在庫量+安全在庫量”である。(3) より翌週の販売予測量は先週と今週の販売量の平均 (C[n−1]+Cn )/2,(4) より安全在庫量はその 10%なので,販売予測量と安全在庫量の和は (C[n−1]+Cn )/2×1.1 になる。現在(第 n 週末)の在庫量は Bn である。
したがって在庫補充量は (C[n−1]+Cn )/2×1.1−Bn で,アが正しい。イは現在の在庫量として先週末の B[n−1] を引いている。ウは安全在庫量を今週の販売量 Cn の 10%としている。エは販売予測量に先々週と先週の販売量を使っている。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
連結貸借対照表作成に関する相殺消去について,適切なものはどれか。
ア 持分法適用会社相互間の債権と債務は,相殺消去しなければならない。
イ 持分法適用会社に対する投資は,当該会社の資本と相殺消去しなければならない。
ウ 連結会社相互間の債権と債務は,相殺消去しなければならない。 正解
エ 連結会社相互間の売買取引に基づく棚卸資産の期末残高は,売上と相殺消去しなければならない。
正解 ウ
解説
連結財務諸表では,親会社と連結子会社から成る連結会社を一つの組織とみなす。そのため会計基準は,連結会社相互間の債権と債務とは相殺消去しなければならないと定めている。ウが適切である。
アとイは誤りで,持分法適用会社は連結会社ではないので,これに対する債権と債務は相殺消去せず,投資と資本の相殺消去も行わない。持分法適用会社に対する投資は,その会社の純資産や損益のうち自社の持分に相当する額を投資の額に反映させる方法で処理する。エも誤りで,連結会社相互間の売買取引については売上高と仕入高などの取引高を相殺消去し,その取引によって取得した棚卸資産の期末残高については,そこに含まれる未実現損益を全額消去する。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
派遣労働者の受入れに関する記述のうち,派遣先責任者の役割,立場として,適切なものはどれか。
ア 派遣先責任者は,派遣先管理台帳の管理,派遣労働者から申出を受けた苦情への対応,派遣元事業主との連絡調整,派遣労働者の人事記録と考課などの任務を行わなければならない。
イ 派遣先責任者は,派遣就業場所が複数ある場合でも,一人に絞って選任されなければならない。
ウ 派遣先責任者は,派遣労働者が従事する業務全般を統括する管理職位の者の内から選任されなければならない。
エ 派遣先責任者は,派遣労働者に直接指揮命令する者に対して,労働者派遣法などの関連法規の規定,労働者派遣契約の内容,派遣元からの通知などを周知しなければならない。 正解
正解 エ
解説
労働者派遣法は,派遣先に派遣先責任者の選任を義務付けている。派遣先責任者の職務には,派遣労働者に直接指揮命令する者などに対して,労働者派遣法などの関係法令の規定,労働者派遣契約の内容,派遣元事業主からの通知の内容を周知することが含まれる。エが正しい。
アは誤りで,派遣先責任者は派遣先管理台帳の作成・管理,苦情の処理,派遣元との連絡調整などを行うが,派遣労働者を雇用しているのは派遣元なので,人事記録や考課は派遣先の職務ではない。イは誤りで,派遣先責任者は事業所ごとに,派遣労働者の人数に応じて選任する。ウは誤りで,業務全般を統括する管理職位の者から選ぶ必要はなく,職務を適切に遂行できる者から選任すればよい。
出典:平成25年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
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