平成26年度 秋期 午前Ⅱ

平成26年度 秋期に実施されたITストラテジスト試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

エンタープライズアーキテクチャの参照モデルのうち,BRM(Business Reference Model)で提供されるものはどれか。

正解 

解説

エンタープライズアーキテクチャの参照モデルのうち,BRM(Business Reference Model,業務参照モデル)は,業務を分類・整理し,業務の体系や業務を構成する機能とその間を流れる情報をモデルとして示したものである。組織全体で共通化できる業務やシステムの対象領域を洗い出すために使う。イが該当する。

アのアプリケーションを機能の観点から分類したサービスコンポーネントのモデルは SRM(Service Component Reference Model),ウのプラットフォームや技術の標準仕様のモデルは TRM(Technical Reference Model),エの組織間で共有する情報の名称・定義・属性を記述したモデルは DRM(Data Reference Model)である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

IDEAL によるプロセス改善の取組みにおいて,図の b に当てはまる説明はどれか。

IDEAL のプロセス改善の図。開始 → a → b → c → d の順に矢印でつながり,d から a へ戻る矢印がある。b の枠は太線で強調されている。

正解 

解説

IDEAL は,カーネギーメロン大学ソフトウェアエンジニアリング研究所(SEI)が示したプロセス改善のモデルで,開始(Initiating),診断(Diagnosing),確立(Establishing),実行(Acting),学習(Learning)の五つのフェーズの頭文字を並べたものである。図では開始に続く a が診断,b が確立,c が実行,d が学習に当たる。確立では,診断で明らかになった課題に優先順位を付け,具体的な改善計画を作成するので,イが正しい。

アは解決策の作成と先行評価・試行・展開を行う実行(c),ウは活動を振り返って次のサイクルにつなげる学習(d),エは現状を調査して改善ポイントを洗い出す診断(a)に当たる説明である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

BI(Business Intelligence)を説明したものはどれか。

正解 

解説

BI(Business Intelligence)は,企業の内外に蓄積した業務データをデータウェアハウスなどに集め,分類・加工・分析した結果を経営者や現場の担当者が利用できるようにして,意思決定を素早く行えるようにする手法や仕組みの総称である。勘や経験だけに頼らず,事実に基づいて判断できるようにすることを狙う。アが該当する。

イは,社内の慣行にとらわれずに業務プロセスを抜本的に作り直す BPR(Business Process Reengineering)である。ウは,業務の流れを可視化して改善のサイクルを回し続ける BPM(Business Process Management)である。エは,企業内の異なるシステムを互いに連結してデータやプロセスを統合する EAI(Enterprise Application Integration)である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

IT 投資案件において,投資効果を PBP(Pay Back Period)で評価する。投資額が 500 のとき,期待できるキャッシュインの四つのシナリオ a〜d のうち,PBP 効果が最も高いものはどれか。

シナリオごとのキャッシュインの表。年目 1〜5 に対するキャッシュインは,a:100,150,200,250,300。b:100,200,300,200,100。c:200,150,100,150,200。d:300,200,100,50,50。

正解 

解説

PBP(回収期間)は,投資額をキャッシュインの累計で回収し終えるまでの期間で,短いほど投資効率が良いと評価する。投資額 500 に対する累計は,a が 100,250,450,700 で 4 年目に回収(約 3.2 年),b が 100,300,600 で 3 年目に回収(約 2.7 年),c が 200,350,450,600 で 4 年目に回収(約 3.3 年),d が 300,500 でちょうど 2 年目に回収する。最も短い d が最も投資効率が良く,エになる。

a はキャッシュインの合計(1,000)が最も大きいが,前半の金額が小さいので回収が遅い。PBP は回収後のキャッシュインを評価に含めないので,合計額の大小では決まらない。b と c も d より回収に時間がかかる。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

IT 技術動向,ソフトウェアパッケージ情報,開発方法論などの情報提供をベンダに要請するものはどれか。

正解 

解説

RFI(Request For Information,情報提供依頼書)は,システム化の構想や調達の検討を始める段階で,発注する側がベンダに対して,IT 技術の動向,ソフトウェアパッケージの情報,開発方法論など,検討に必要な情報の提供を依頼する文書である。イが該当する。

アの IFB(Invitation For Bid)は,仕様や条件を示して入札への参加を募る入札招請書である。ウの RFP(Request For Proposal,提案依頼書)は,システム化の要件や制約を示して,具体的なシステムの構成や費用の提案を依頼する文書である。エの RFQ(Request For Quotation,見積依頼書)は,調達する物品やサービスを特定した上で価格の見積りを依頼する文書である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

専門の事業者が提供するサービスのうち,EMS の説明はどれか。

正解 

解説

EMS(Electronics Manufacturing Service)は,電子機器メーカから製品の設計や製造を一括して受託する専門の事業者が提供するサービスである。複数のメーカの製品をまとめて引き受けることで生産規模を確保し,部材の共同購買や設備の高い稼働率によって低コストで製品を供給できる。ウが該当する。

アは,コールセンタの企画・設計から運用までをまとめて引き受ける BPO(業務プロセスのアウトソーシング)である。イは,人事や経理などの間接業務を標準化してグループ内の 1 か所に集約するシェアードサービスである。エは,事業者側のコンピュータで稼働させるソフトウェアの機能をネットワーク経由で利用させる ASP や SaaS の形態である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

LBO の説明はどれか。

正解 

解説

LBO(Leveraged Buyout)は,買収先企業の資産や将来生み出すキャッシュフローを担保にして金融機関などから資金を調達し,限られた手元資金で企業を買収する手法である。てこ(leverage)のように借入れで自己資金を増幅させることからこの名がある。買収後は,買収先企業が生む利益で借入金を返済していく。エが正しい。

アは,買付価格・期間・株数を公告して市場外で株式を買い集める TOB(株式公開買付け)である。イは,現経営陣や事業部門の責任者が自社の株式を取得して経営権を握る MBO(Management Buyout)である。ウは,投資会社が不振企業の株式の過半数を取得し,経営陣を送り込んで価値を高めるハンズオン型の投資の説明である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

PPM において,投資用の資金源として位置付けられる事業はどれか。

正解 

解説

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)では,市場成長率と相対的市場占有率の2軸で事業を四つに分ける。市場成長率が低く相対的市場占有率が高い「金のなる木」は,追加投資が少なくて済むうえ大きな資金を生むので,他の事業への投資用の資金源として位置付けられる。ウが正しい。

アは「花形」で,資金は生むが成長に合わせた投資も必要になる。イは「問題児」で,資金を投入して花形に育てるか撤退するかを判断する対象。エは「負け犬」で,撤退を検討する対象である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

コールセンタシステムにおける IVR を説明したものはどれか。

正解 

解説

IVR(Interactive Voice Response)は,かかってきた電話に自動で応答し,音声ガイダンスに従って顧客が電話機のボタンを押すと,その操作に応じて必要な情報を選んで流したり,合成音声で回答したりする仕組みである。オペレータにつなぐ前に用件を振り分けたり,定型的な問合せをオペレータを介さずに処理したりできる。イが正しい。

アは,外線と内線,内線同士を接続する構内交換機(PBX)である。ウは,コンピュータと電話を統合し,着信と同時に発信者の顧客情報をオペレータの画面に表示する CTI である。エは,着信をあらかじめ決めたルールで空いているオペレータ 1 人に振り分ける ACD(着信呼自動分配)の説明である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

消費者市場のセグメンテーション変数のうち,行動的変数はどれか。

正解 

解説

消費者市場のセグメンテーション変数は,地理的変数,人口動態変数,心理的変数,行動的変数の四つに大きく分けられる。行動的変数は,商品に対して消費者が実際にとる行動に着目して市場を分けるもので,使用頻度や使用量,ロイヤルティ,購買する機会,求めるベネフィットなどが当たる。イが正しい。

アの社会階層やライフスタイルは,性格や価値観と同じく消費者の内面に着目した心理的変数である。ウの都市規模や人口密度は,どこに住んでいるかに着目した地理的変数である。エの年齢や職業は,性別や年収,家族構成などと同じく人口動態変数である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

マーケティング調査におけるエスノグラフィーの活用事例はどれか。

正解 

解説

エスノグラフィーは,もともと文化人類学などで用いられてきた調査手法で,調査者が対象者の生活や行動の現場に入り込み,観察やインタビューを通じてありのままの行動を理解する。マーケティング調査では,消費者自身も意識していない潜在的な需要を発掘するために活用される。ウが該当する。

アは,既存の資料や統計を用いる二次データの調査(デスクリサーチ)である。イは,広告への反応を資料請求の件数で測るレスポンス測定である。エは,条件をそろえて複数の案の反応を比べる A/B テストである。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

顧客の収益が表のように見込まれるとき,3 年間の顧客生涯価値(LTV)は何百万円か。ここで,割引率は 10%とし,計算は百万円未満を切り捨てるものとする。

顧客の収益の表(年間収益の単位 百万円)。年間収益は 1 年目 50,2 年目 10,3 年目 10。割引係数は 1 年目 1.0,2 年目 1.1,3 年目 1.2。注 1)年間収益は販売コストを考慮済み。注 2)割引係数は n 年目で (1+割引率)の n-1 乗の値。

正解 

解説

顧客生涯価値(LTV)は,顧客が取引を続ける期間にもたらす収益を,現在価値に換算して合計したものである。各年の年間収益を,その年の割引係数で割って求める。1 年目は 50÷1.0=50,2 年目は 10÷1.1≒9.09 で 9,3 年目は 10÷1.2≒8.33 で 8 となり(いずれも百万円未満切捨て),合計は 50+9+8=67(百万円)である。イになる。

割引係数は n 年目で (1+割引率) の n-1 乗なので,1 年目は 1.0 で割り引かれず,2 年目以降だけが割り引かれる。割引を全く行わずに合計すると 50+10+10=70 となってウの値になるが,これでは将来の収益を現在価値に換算したことにならない。アの 65 とエの 73 は,この計算からは得られない値である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

ファイブフォース分析において,企業の競争力に影響を与える五つの要因として,新規参入者の脅威,バイヤの交渉力,競争業者間の敵対関係,代替製品の脅威と,もう一つはどれか。

正解 

解説

ポーターのファイブフォース分析は,業界の収益性を左右する競争要因を,新規参入者の脅威,代替製品の脅威,バイヤ(買い手)の交渉力,サプライヤ(売り手)の交渉力,競争業者間の敵対関係の五つに整理したものである。問題文に挙がっていない残りの一つはサプライヤの交渉力なので,アが正しい。

イの自社製品の品質は,業界の構造を決める力ではなく,自社が競争の中でどう戦うかという内部の問題である。ウの消費者の購買力は,既に挙がっているバイヤの交渉力に含めて扱うものである。エの政府の規制は,新規参入の障壁を左右する外部環境として考慮されることはあるが,五つの要因そのものには含まれない。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

経営戦略に用いる CSF 分析で明らかになるものはどれか。

正解 

解説

CSF(Critical Success Factors,重要成功要因)分析は,事業の目標を達成するために決定的に重要となる要因を絞り込む手法である。目標から出発して,それを実現する上で欠かせない機能や特性は何かをたどり,経営資源を重点的に振り向ける先を明らかにする。ウが正しい。

アの業界内の競争に影響する要因は,売手・買手の交渉力や新規参入の脅威などを見るファイブフォース分析で明らかになるものである。イの競争環境の脅威と機会,企業の強み・弱みは SWOT 分析で整理するものである。エの保有する事業の成長性と収益性は,市場成長率と相対的市場占有率で事業を位置付ける PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)で扱うものである。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

カーブアウトの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

カーブアウトは,企業が自社の事業や技術の一部を戦略的に切り出し,社外の別組織として独立させることをいう。社内では活用しきれなかった技術や人材に,外部の資金や経営資源を呼び込んで事業として育てることを狙うもので,切り出した後も出資を続けて成果を得ることが多い。ウが適切である。

アは,経営者などが自社の株式や事業部門を買い取って独立する MBO(Management Buyout)である。イは,技術を特許として出願・公開せずに営業秘密として社内に抱え込む,いわゆるブラックボックス化である。エは,製造委託契約を結んで外部から完成品を調達する OEM 調達などの説明である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

製品のロードマップに従って製品を開発していく場合に,プロダクトライン開発を適用する利点はどれか。

正解 

解説

プロダクトライン開発は,ロードマップ上に並ぶ複数の製品に共通する部分をコア資産としてあらかじめ作り込んでおき,各製品では共通部分を再利用して,製品ごとに異なる部分だけを開発する手法である。再利用を重ねた資産は品質が安定していくので,品質の安定した製品を低いコストで開発できる。イが正しい。

アは誤りで,共通資産を組織として管理し計画的に再利用する必要があるので,むしろ組織としての成熟度が求められる。ウも誤りで,各製品は共通のコア資産を共有するので完全に独立ではなく,共通部分の不具合は他の製品にも及ぶ。エも誤りで,最初の機種の開発時に共通資産や開発環境をそろえる初期投資が必要であり,それを後続の製品で回収していく手法である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

TOC(Theory of Constraints)の特徴はどれか。

正解 

解説

TOC(Theory of Constraints,制約条件の理論)は,ゴールドラットが示した考え方で,工程全体の産出量は最も能力の低い工程(制約条件)によって決まるとする。そこで,スループット(=売上高-資材費,すなわち企業が新たに生み出した金額)を増やすことを最重要視し,制約条件となっている工程を見つけて集中的に手を打つことで全体の流れを改善していく。ウが正しい。

アは誤りで,TOC は個々の工程を個別に最適化しても全体最適にはならないという立場をとる。イも誤りで,需要が供給能力を下回っている状態では生産工程が制約にならず,工程のボトルネックを解消しても産出量は増えない。エも誤りで,TOC のいう制約条件は総投資額ではなく,工程全体の産出量を抑えている部分を指す。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

ある会社の生産計画部では,毎月 25 日に次の手続で翌月分の計画生産量を決定している。8 月分の計画生産量を求める式はどれか。

〔手続〕

記号の対応図。I6:6 月末実在庫量,I7:7 月末予想在庫量,I8:8 月末予想在庫量,P7:7 月分計画生産量,P8:8 月分計画生産量(網掛けで強調),S7:7 月分予想販売量,S8:8 月分予想販売量,S9:9 月分予想販売量,S10:10 月分予想販売量,S11:11 月分予想販売量。凡例 In:n 月の月末在庫量,Pn:n 月分の生産量,Sn:n 月分の販売量。

正解 

解説

手続(1)により,7月末の予想在庫量 I7 は 6月末の実在庫量に7月分の計画生産量を足し,7月分の予想販売量を引いた I6+P7−S7 で求まる。手続(2)により,8月末の予想在庫量 I8=I7+P8−S8 が,翌々月の9月から3か月間の予想販売量 S9+S10+S11 と等しくなるように P8 を決める。

I7+P8−S8=S9+S10+S11 を P8 について解くと,P8=S8+S9+S10+S11−I7 となり,イが正しい。ウは I8 を使っているが,I8 は P8 が決まってから求まる値なので式に使えない。エは8月分の予想販売量 S8 を加え忘れている。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

HEMS の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

HEMS(Home Energy Management System)は,家庭内の家電機器や太陽光発電設備などをネットワークでつなぎ,電力の使用状況をモニタや PC,スマートフォンなどに表示して見える化するとともに,機器の運転を自動で制御して電力消費を最適にするシステムである。エが適切である。

アは,太陽光発電システムや家庭用燃料電池が作った直流の電気を,家庭で使える交流に変換するパワーコンディショナである。イは,家電リサイクル法に基づいて使用済みの家電製品から有用な部分を回収し再資源化する仕組みである。ウは,ヒートポンプで空気の熱をくみ上げ,少ない電力で湯を沸かす電気給湯機である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

コンピテンシモデルの説明はどれか。

正解 

解説

コンピテンシは,高い成果を上げ続けている人に共通して見られる行動の仕方や考え方の特性をいう。コンピテンシモデルは,この特性を職務や職位ごとに整理して定義したもので,人材の評価や採用,育成の基準として用いる。恒常的に成果に結び付けることができる個人の行動や思考特性を定義したウが正しい。

アは,権限行使と命令統制による労務管理を批判し,人は条件が整えば自ら働くとして目標管理制度や経営参加制度による動機付けを説いた,マグレガーの Y 理論である。イは,望ましいリーダシップのスタイルが状況によって変わるとする状況適合理論で,SL 理論などがこれに当たる。エはマズローの欲求段階説である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

マトリックス組織を説明したものはどれか。

正解 

解説

マトリックス組織は,研究開発,製造,販売といった職能の軸と,製品や事業,地域,プロジェクトなどの軸とを組み合わせ,一人の従業員が縦と横の二つの系統から指揮命令を受ける形をとる組織である。職能制組織のもつ専門性の高さと,事業部制組織のもつ市場への対応の速さとを,どちらも生かすことを狙っている。アが該当する。

イは,新事業の開発のために社内に独立した活動単位を設け,小さな企業のように運営する社内ベンチャーである。ウは,製品群などを事業単位として構成し,事業単位ごとに意思決定を行う事業部制組織である。エは,研究開発,製造,販売,人事・総務,経理・財務のように専門分野別に構成した職能制組織である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

ROE(Return On Equity)を減少させるものはどれか。

正解 

解説

ROE(Return On Equity,自己資本利益率)は,当期純利益÷自己資本で求める。これは(当期純利益÷総資本)×(総資本÷自己資本),すなわち ROA×財務レバレッジに分解でき,財務レバレッジは自己資本比率の逆数に当たる。したがって,ほかの条件が同じであれば,自己資本比率が増加すると財務レバレッジが下がり,ROE は減少する。イが該当する。

アの ROA の増加は,ROE=ROA×財務レバレッジの関係からそのまま ROE を増加させる。ウの総資本回転率の増加とエの当期純利益率の増加は,どちらも ROA=当期純利益率×総資本回転率を通じて ROA を高めるので,やはり ROE を増加させる。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

次の条件において A 社の連結損益計算書を作成した場合の連結売上高は何百万円か。

〔条件〕

正解 

解説

連結の範囲に入るのは,A 社と,その子会社である B 社,及び B 社が株式の 60%を取得して支配している C 社である。D 社は B 社の持株比率が 20%で役員の派遣などもないので,連結の対象にはならない。3 社の売上高の単純合計は 700,000+350,000+250,000=1,300,000(百万円)であり,ここから連結会社相互間の取引である A 社の B 社向け売上高 700,000×10%=70,000 を相殺消去して,1,230,000(百万円)となる。アになる。

B 社の D 社向け売上高 350,000×20%=70,000 は,相手の D 社が連結の対象外なので連結外部への売上であり,相殺消去しない。イの 1,300,000 は相互間の取引を全く消去しない単純合計である。エの 1,430,000 は D 社の売上高 200,000 も合計に加えて A 社と B 社の間の取引だけを消去した値,ウの 1,360,000 は同じく D 社を加えた上で B 社の D 社向け売上高も消去した値である。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

刑法の電子計算機使用詐欺罪が適用される違法行為はどれか。

正解 

解説

刑法第246条の2の電子計算機使用詐欺罪は,人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与えて財産権の得喪や変更に係る不実の電磁的記録を作るなどして,財産上不法の利益を得る行為を罰する。インターネットを経由して銀行のシステムに虚偽の情報を与え,不正な振込や送金をさせるウが該当する。

アのねずみ講の開設は無限連鎖講の防止に関する法律で禁止される行為である。イは人を欺いて粗悪な商品を販売するもので,詐欺罪や景品表示法などの問題になるが,電子計算機に虚偽の情報を与えて財産上の利益を得るものではない。エは Web ページの改ざんによる業務妨害や信用毀損であり,電子計算機損壊等業務妨害罪や信用毀損罪などに当たり得る。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

シングルサインオンの実装方式の特徴のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

リバースプロキシ型のシングルサインオンでは全ての通信がリバースプロキシを経由するので,そこで利用者認証を行う。認証方式はパスワードに限られず,クライアント証明書(デジタル証明書)を用いることもできる。

アは誤り。cookie を生成するのはクライアントではなく認証を行うサーバ側。イは誤り。cookie は発行元ドメインにしか送られないので,cookie 方式では同一ドメインに配置する必要がある。ウは誤り。リバースプロキシ方式ではドメインを分ける必要はない。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)