平成30年度 秋期に実施されたシステムアーキテクト試験
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問1
CRUD マトリックスの説明はどれか。
ア ある問題に対して起こり得る全ての条件と,それに対する動作の関係を表形式で表現したものである。
イ 各機能が,どのエンティティに対して,どのような操作をするかを一覧化したものであり,操作の種類には生成,参照,更新及び削除がある。 正解
ウ システムやソフトウェアを構成する機能(又はプロセス)と入出力データとの関係を記述したものであり,データの流れを明確にすることができる。
エ データをエンティティ,関連及び属性の三つの構成要素でモデル化したものであり,業務で扱うエンティティの相互関係を示すことができる。
正解 イ
解説
CRUD マトリックスは,業務の機能(プロセス)を行,エンティティ(データ)を列にとり,各機能が各エンティティに対して生成(Create),参照(Read),更新(Update),削除(Delete)のどの操作をするかを記入して一覧化した表である。データを生成する機能や使われないデータの有無などを確認できる。イが該当する。
アは条件と動作の組合せを表形式で表す決定表(デシジョンテーブル),ウは機能と入出力データの関係を示してデータの流れを明確にする DFD,エはデータをエンティティ,関連,属性でモデル化する E-R 図の説明である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
共通フレーム 2013 によれば,システム要件の分析を供給者に委託した場合,要件の分析結果を承認する権限をもつのは誰か。
正解 エ
解説
共通フレーム 2013 の元になった JIS X 0160:2012(ISO/IEC 12207:2008)の取得プロセスでは,取得者がシステム又はソフトウェアの要件の分析を供給者に委託したとしても,要件の分析結果を承認する権限は取得者がもつとされている。システムを発注し受け入れる側が,要件の内容に責任をもつという考え方である。エが正しい。
イの開発者は,委託を受けて要件の分析や開発を行う供給者側の役割であり,分析結果を自ら承認する立場ではない。アの運用者はシステムを運用する役割,ウの企画者はシステム化の構想や計画を立てる役割であり,いずれも要件の分析結果の承認権限をもつ者として規定されてはいない。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
開発のための CMMI 1.3 版のプロセス領域のうち,運用の考え方及び関連するシナリオを確立し保守するプラクティスを含むものはどれか。
正解 エ
解説
CMMI for Development 1.3 版の要件開発(RD)プロセス領域には,運用の考え方及び関連するシナリオを確立し保守する固有プラクティス(SP 3.1 Establish Operational Concepts and Scenarios)が含まれる。製品が使われる場面を想定したシナリオを作り,利害関係者のニーズを明らかにして要件を洗練するためのものである。エが該当する。
アの技術解(TS)は要件を満たす解を選定,設計,実装するプロセス領域,イの検証(VER)は作業成果物が指定された要件を満たすことを確認するプロセス領域,ウの成果物統合(PI)は構成要素から製品を組み立て,統合した製品が正しく動作することを確認して引き渡すプロセス領域である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
システムやソフトウェアの品質に関する主張の正当性を裏付ける文書である“アシュアランスケース”を導入する目的として,適切なものはどれか。
ア システムやソフトウェアの振る舞いをガイドワードを用いて分析して,システムやソフトウェアが意図する振る舞いから逸脱するケースを明らかにする。
イ システムを階層構造の構成要素に分解し,下位レベルの要素から上位レベルの要素へボトムアップで解析して,システムに対する最終的な影響を明らかにする。
ウ 障害を発生させる要因を演えき的(トップダウン)に解析して,原因又は原因の組合せを正確に示す。
エ 証拠を示して論理的に説明することによって,システムやソフトウェアが目標の品質を達成できることを示す。 正解
正解 エ
解説
アシュアランスケースは,システムやソフトウェアが安全性や信頼性などの目標を満たすという主張を,それを支える根拠(証拠)と論理的な議論によって構造的に示す文書である。GSN(Goal Structuring Notation)などの表記法で,主張を下位の主張に分解し,テスト結果や解析結果などの証拠と結び付ける。エが適切である。
アはガイドワードを用いて設計意図からの逸脱を分析する HAZOP,イは構成要素の故障モードからボトムアップでシステムへの影響を解析する FMEA,ウは望ましくない事象からトップダウンで原因を解析する FTA の説明である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
ソフトウェア要件定義プロセスで定義する内容の具体例として,適切なものはどれか。
ア 基幹システムから利用者の所属情報を取得するために,全てのサブシステムで共通の通信プロトコルを使用する。 正解
イ データエントリ画面における応答時間は,3 秒以内とする。
ウ 窓口業務は,ソフトウェアで実現することと人手で実施する作業を組み合わせて運用する。
エ 利用者の利便性を考えて,受付端末は店舗の入り口から 5 メートル以内に設置する。
正解 ア
解説
ソフトウェア要件定義では,システム要件のうちソフトウェアに割り当てられたものを基に,ソフトウェア品目の機能,外部インタフェース,データなどの要件を定義する。サブシステム間で所属情報を受け渡すための共通の通信プロトコルは,ソフトウェア品目の外部インタフェースの要件に当たる。アが適切である。
イの画面の応答時間は,利用者から見たシステム全体の性能の要件であり,システム要件定義で定義する。ウのソフトウェアで実現する部分と人手作業の組合せを決めるのは,システム要件をハードウェア,ソフトウェア,手作業に割り当てるシステム方式設計の内容である。エの受付端末の設置場所は,ハードウェアや設備に関する要件であり,ソフトウェアの要件ではない。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-システム及びソフトウェア品質モデル)で定義されたシステム及び/又はソフトウェア製品の品質特性に関する説明のうち,適切なものはどれか。
ア 機能適合性とは,明示された状況下で使用するとき,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させる機能を,製品又はシステムが提供する度合いのことである。 正解
イ 信頼性とは,明記された状態(条件)で使用する資源の量に関係する性能の度合いのことである。
ウ 性能効率性とは,明示された利用状況において,有効性,効率性及び満足性をもって明示された目標を達成するために,明示された利用者が製品又はシステムを利用することができる度合いのことである。
エ 保守性とは,明示された時間帯で,明示された条件下に,システム,製品又は構成要素が明示された機能を実行する度合いのことである。
正解 ア
解説
JIS X 25010:2013 は,機能適合性を“明示された状況下で使用するとき,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させる機能を,製品又はシステムが提供する度合い”と定義している。アが適切である。
イの“明記された状態(条件)で使用する資源の量に関係する性能の度合い”は性能効率性の定義である。ウの“有効性,効率性及び満足性をもって明示された目標を達成するために,明示された利用者が製品又はシステムを利用することができる度合い”は使用性の定義(利用時の品質に関する記述)であり,エの“明示された時間帯で,明示された条件下に,システム,製品又は構成要素が明示された機能を実行する度合い”は信頼性の定義である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
ソフトウェアの要件定義や分析・設計で用いられる技法に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 決定表は,条件と処理を組み合わせた表の形式で論理を表現したものであり,条件や処理の組合せが複雑な要件定義の記述手段として有効である。 正解
イ 構造化チャートは,システムの“状態”の種別とその状態が遷移する“要因”との関係を分かりやすく表現する手段として有効である。
ウ 状態遷移図は,DFD に“コントロール変換とコントロールフロー”を付加したものであり,制御系システムに特有な処理を表現する手段として有効である。
エ 制御フロー図は,データの“源泉,吸収,流れ,処理,格納”を基本要素としており,システム内のデータの流れを表現する手段として有効である。
正解 ア
解説
決定表(デシジョンテーブル)は,条件とその組合せ,それに対応する処理を表形式で対比させて論理を表現するもので,複雑な条件判定を漏れなく整理できるため,要件定義の記述手段として有効である。アが適切である。
イの“状態”とその遷移の“要因”との関係を表すのは状態遷移図で,構造化チャートはプログラムの階層構造を表す図である。ウの DFD にコントロール変換とコントロールフローを付加したものは,リアルタイムシステムの分析に使う制御フロー図(拡張 DFD)で,状態遷移図ではない。エのデータの源泉,吸収,流れ,処理,格納を基本要素とするのは DFD(データフロー図)である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
ソフトウェアを実装する一連のプロセスのアクティビティで実施するタスクの内容のうち,ソフトウェア構築プロセスのものはどれか。
ア ソフトウェアコンポーネントをコーディングできるレベルのソフトウェアユニットまで詳細化し,全てのソフトウェア要求事項をソフトウェアユニットに割り当てる。
イ ソフトウェア品目の外部インタフェース,及びソフトウェアコンポーネント間のインタフェースの詳細な仕様を設計する。
ウ ソフトウェアユニット及びデータベースを作成し,これらをテストするための手順とデータを作成する。 正解
エ ソフトウェアユニットとソフトウェアコンポーネントを結合し,集合体が作成されるごとにテストする。
正解 ウ
解説
ソフトウェア構築プロセスでは,各ソフトウェアユニット及びデータベースを作成し,それらをテストするための手順とデータを作成する。さらにユニットのテストを行い,要求事項を満たすことを確認する。ウが該当する。
アのソフトウェアコンポーネントをコーディングできるソフトウェアユニットまで詳細化して要求事項を割り当てる作業と,イのソフトウェア品目の外部インタフェースやコンポーネント間のインタフェースの詳細を設計する作業は,ソフトウェア詳細設計プロセスのタスクである。エのユニットとコンポーネントを結合し,集合体ごとにテストするのはソフトウェア結合プロセスのタスクである。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
ブラックボックステストにおけるテストケースの設計に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 実データからテストデータを無作為に抽出して,テストケースを設計する。
イ 実データのうち使用頻度が高いものを重点的に抽出して,テストケースを設計する。
ウ プログラムがどのような機能を果たすのかを仕様書で調べて,テストケースを設計する。 正解
エ プログラムの全ての命令が少なくとも 1 回は実行されるように,テストケースを設計する。
正解 ウ
解説
ブラックボックステストは,プログラムの内部構造を考慮せず,仕様書に記述された機能に基づいて,入力と出力の関係が正しいかを確認するテストである。プログラムが果たすべき機能を仕様書で調べてテストケースを設計するウが適切である。
エのプログラムの全命令が少なくとも1回は実行されるように設計するのは,内部構造に着目するホワイトボックステストの命令網羅である。アの無作為な抽出やイの使用頻度が高い実データの抽出だけでは,仕様の境界値や異常な入力を網羅的に確かめることができない。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
製品を出荷前に全数検査することによって,出荷後の故障品数を減少させ,全体の費用を低減したい。次の条件で全数検査を行ったときに低減できる費用は何万円か。ここで,検査時に故障が発見された製品は修理して出荷するものとする。
〔条件〕
(1) 製造する個数:500 個 (2) 全数検査を実施しなかった場合の,出荷個数に対する故障品の発生率:3% (3) 全数検査における,製造個数に対する故障品の発見率:2% (4) 全数検査を実施した場合の,出荷個数に対する故障品の発生率:1% (5) 検査費用:1 万円/個 (6) 出荷前の故障品の修理費用:50 万円/個 (7) 出荷後の故障品の修理費用:200 万円/個
ア 1,000 正解
イ 1,500
ウ 2,000
エ 2,250
正解 ア
解説
全数検査を実施すると,検査費用は 500個×1万円=500万円。検査で見つかる故障品は 500×2%=10個で,出荷前の修理費用は 10×50万円=500万円。それでも出荷後に故障する製品が 500×1%=5個あり,その修理費用は 5×200万円=1,000万円。合計は 500+500+1,000=2,000万円になる。
全数検査をしなければ,出荷後に 500×3%=15個が故障し,修理費用は 15×200万円=3,000万円。低減できる費用は 3,000−2,000=1,000万円で,アが正しい。検査費用や出荷前の修理費用を足し忘れると,低減額を大きく見誤る。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
次の流れ図において,①→②→③→⑤→②→③→④→②→⑥ の順に実行させるために,①において m と n に与えるべき初期値 a と b の関係はどれか。ここで,a,b はともに正の整数とする。
ア a = 2b
イ 2a = b
ウ 2a = 3b
エ 3a = 2b 正解
正解 エ
解説
流れ図は,m と n が等しくなるまで大きい方から小さい方を引き続ける(ユークリッドの互除法による最大公約数の計算)。指定の順序では,1 回目の③で m<n なので⑤で n-m→n,2 回目の③で m>n なので④で m-n→m となり,その後の②で m=n となる必要がある。3a=2b となる a=2,b=3 で試すと,m=2,n=3 → ⑤で n=1 → ④で m=1 → ②で m=n となり,指定どおりに実行される。エになる。
アの a=2b(例 a=2,b=1)とウの 2a=3b(例 a=3,b=2)は,最初の③で m>n となり④に進むので順序が合わない。イの 2a=b(例 a=1,b=2)は,⑤で n=1 となった直後の②で m=n となり,④を通らずに⑥へ進む。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
共通フレーム 2013 において,システム適格性確認テストで適合を評価する対象となるのは,どのアクティビティで定義又は設計した内容か。
ア システム方式設計
イ システム要件定義 正解
ウ ソフトウェア方式設計
エ ソフトウェア要件定義
正解 イ
解説
共通フレーム 2013 のシステム適格性確認テストプロセスでは,システムに対して指定された適格性確認要件に従ってテストを行い,システム要件のそれぞれについて実装が適合しているかを評価して,システムの納入準備ができていることを確認する。したがって,適合を評価する対象はシステム要件定義で定義した内容であり,イが正しい。
開発の各段階とテストを V 字モデルで対応させると,アのシステム方式設計で設計した内容はシステム結合テスト,ウのソフトウェア方式設計で設計した内容はソフトウェア結合テスト,エのソフトウェア要件定義で定義した内容はソフトウェア適格性確認テストで確認するものに当たる。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
スクラムを適用したアジャイル開発において,スクラムチームで何がうまくいき,何がうまくいかなかったのかを議論し,継続的なプロセス改善を促進するアクティビティはどれか。
ア スプリントプランニング
イ スプリントレトロスペクティブ 正解
ウ スプリントレビュー
エ デイリースクラム
正解 イ
解説
スプリントレトロスペクティブは,スプリントの最後に行うイベントで,スクラムチームが今回のスプリントでの人,関係,プロセス,ツールなどについて,何がうまくいき,何がうまくいかなかったかを振り返り,次のスプリントで実行する改善策を決める。継続的なプロセス改善を促す場である。イが該当する。
アのスプリントプランニングは,スプリントの開始時に,そのスプリントで何を達成するか,どのように作業するかを計画するイベントである。ウのスプリントレビューは,スプリントで作成したインクリメントを利害関係者に示して検査し,今後の対応を話し合うイベント,エのデイリースクラムは,開発者が毎日短時間で進捗とその日の計画を確認するイベントである。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
共通フレーム 2013 によれば,要件定義プロセスの活動内容には,利害関係者の識別,要件の識別,要件の評価,要件の合意などがある。このうちの要件の識別において実施する作業はどれか。
ア システムのライフサイクルの全期間を通して,どの工程でどの関係者が参画するのかを明確にする。
イ 抽出された要件を確認して,矛盾点や曖昧な点をなくし,一貫性がある要件の集合として整理する。
ウ 矛盾した要件,実現不可能な要件などの問題点に対する解決方法を利害関係者に説明し,合意を得る。
エ 利害関係者から要件を漏れなく引き出し,制約条件や運用シナリオなどを明らかにする。 正解
正解 エ
解説
共通フレーム 2013 の要件定義プロセスの“要件の識別”では,利害関係者から要求(ニーズ,要望,期待)や制約条件を引き出し,想定される運用シナリオなどを明らかにして,利害関係者の要件を定める。対応する JIS X 0160:2012 の利害関係者要求事項定義プロセスでも,要求事項の識別に,要求と制約条件の抽出や運用シナリオの定義が含まれる。エが該当する。
アのライフサイクルの全期間を通じた関係者の明確化は“利害関係者の識別”,イの抽出した要件の矛盾や曖昧さをなくして一貫性のある集合に整理するのは“要件の評価”,ウの問題点の解決方法を利害関係者に説明して合意を得るのは“要件の合意”で行う作業である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
WTO 政府調達協定の説明はどれか。
ア EU 市場で扱われる電気・電子製品,医療機器などにおいて,一定基準値を超える特定有害物質(鉛,カドミウム,六価クロム,水銀など 6 物質)の使用を規制することを定めたものである。
イ 国などの公的機関が率先して,環境物品等(環境負荷低減に資する製品やサービス)の調達を推進し,環境物品等への需要の転換を促進するために必要な事項を定めたものである。
ウ 政府機関などによる物品・サービスの調達において,締約国に対する市場開放を進めて国際的な競争の機会を増大させるとともに,苦情申立て,協議及び紛争解決に関する実効的な手続を定めたものである。 正解
エ 締約国に対して,工業所有権の保護に関するパリ条約や,著作権の保護に関するベルヌ条約などの主要条項を遵守することを義務付けるとともに,知的財産権保護のための最恵国待遇などを定めたものである。
正解 ウ
解説
WTO 政府調達協定は,政府機関などによる物品やサービスの調達について,締約国の供給者を内国の供給者と差別しない内外無差別の原則を定め,市場を開放して国際的な競争の機会を増大させるとともに,苦情申立て,協議,紛争解決の手続を定めた協定である。ウが該当する。
アは EU の特定有害物質の使用を制限する RoHS 指令,イは国などの公的機関による環境物品等の調達を推進するグリーン購入法の説明である。エのパリ条約やベルヌ条約の遵守と知的財産権保護の最恵国待遇を定めているのは,WTO の TRIPS 協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
NRE(Non-Recurring Expense)の例として,適切なものはどれか。
ア 機器やシステムの保守及び管理に必要な費用
イ デバイスの設計,試作及び量産の準備に掛かる経費の総計 正解
ウ 物理的な損害や精神的な損害を受けたときに発生する,当事者間での金銭のやり取り
エ ライセンス契約に基づき,特許使用の対価として支払う代金
正解 イ
解説
NRE(Non-Recurring Expense)は,製品を開発する際に 1 回だけ発生する費用のことで,非反復費用とも呼ばれる。デバイスの設計,試作,量産の準備(金型やマスクの製作など)に掛かる経費がこれに当たり,製品 1 個ごとに繰り返し発生する材料費などの費用と区別される。イが適切である。
アの保守及び管理の費用は,運用している間に継続して発生する費用である。ウは損害を受けたときの金銭のやり取りで損害賠償金に当たる。エの特許使用の対価は,ライセンス契約に基づいて支払うロイヤリティ(実施料)である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
IT 投資の評価手法のうち,バランススコアカードを用いた手法を説明したものはどれか。
ア IT 投資の効果をキャッシュフローから求めた正味現在価値を用いて評価することによって,他の投資案件との比較を容易にする。
イ IT 投資をその性質やリスクの共通性によってカテゴリに分類し,カテゴリ単位での投資割合を評価することによって,経営戦略と IT 投資の整合性を確保する。
ウ 財務,顧客,内部業務プロセスなど複数の視点ごとに IT 投資の業績評価指標を設定し,経営戦略との適合性を評価することで,IT 投資効果を多面的に評価する。 正解
エ 初期投資に対する価値に加えて,将来において選択可能な収益やリスクの期待値を,金融市場で使われるオプション価格付け理論に基づいて評価する。
正解 ウ
解説
バランススコアカードは,財務,顧客,内部業務プロセス,学習と成長の四つの視点ごとに目標と業績評価指標を設定し,戦略の実行状況を多面的に評価する手法である。IT 投資の評価に用いると,財務的な効果だけでなく,経営戦略との適合性を含めて投資効果を評価できる。ウが該当する。
アはキャッシュフローから正味現在価値を求める NPV 法による評価である。イは IT 投資を性質やリスクでカテゴリに分けて配分を管理する IT ポートフォリオによる評価,エは将来の選択肢の価値をオプション価格付け理論で評価するリアルオプションによる評価である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
ストレージのインタフェースとして用いられる FC(ファイバチャネル)の特徴として,適切なものはどれか。
ア TCP/IP の上位層として作られた規格である。
イ 接続形態は,スイッチを用いた n 対 n 接続に限られる。
ウ 伝送媒体には電気ケーブル又は光ケーブルを用いることができる。 正解
エ 物理層としてパラレル SCSI を用いることができる。
正解 ウ
解説
FC(ファイバチャネル)は,サーバとストレージを高速に接続するためのシリアル伝送のインタフェースで,SAN の構築に用いられる。名前にファイバとあるが,伝送媒体には光ファイバケーブルのほか,銅線の電気ケーブルも用いることができる。ウが適切である。
アの TCP/IP の上位で SCSI コマンドを運ぶのは iSCSI であり,FC は TCP/IP を使わない独自のプロトコル体系である。イについて,FC の接続形態には,スイッチを用いるファブリック型のほか,ポイントツーポイント型やループ型(アービトレーテッドループ)もある。エについて,FC はシリアル伝送の物理層をもち,SCSI はその上位で SCSI コマンドを運ぶプロトコルとして使われるもので,パラレル SCSI を物理層として用いるものではない。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
1 台の CPU の性能を 1 とするとき,その CPU を n 台用いたマルチプロセッサの性能 P が,P = n/(1+(n-1)a) で表されるとする。ここで,a はオーバヘッドを表す定数である。例えば,a = 0.1,n = 4 とすると,P ≒ 3 なので,4 台の CPU から成るマルチプロセッサの性能は約 3 になる。この式で表されるマルチプロセッサの性能には上限があり,n を幾ら大きくしても P はある値以上には大きくならない。a = 0.1 の場合,P の上限は幾らか。
正解 イ
解説
P=n/(1+(n−1)a) の分子と分母を n で割ると,P=1/(1/n+a−a/n) となる。n を幾らでも大きくすると,1/n と a/n はいずれも 0 に近づくので,P は 1/a に近づく。
a=0.1 のとき,1/a=1/0.1=10 なので,マルチプロセッサの性能は幾ら CPU を増やしても 10 以上には大きくならない。イになる。
例えば n=100 でも P=100/(1+99×0.1)=100/10.9≒9.2 であり,10 には届かない。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
IT インフラストラクチャのキャパシティプランニングの目的として,最も適切なものはどれか。
ア 現行業務の業務負荷から新業務導入時の業務負荷を予測することによって,最適なパフォーマンスを実現する要員数を明確化する。
イ 情報セキュリティリスクが顕在化したときに適切な対応をとることを目的として,対応方針と対策を策定した後,サーバに必要な機能をインストールする。
ウ 将来導入が予定されている 24 時間 365 日稼働の実現に向けて,故障時に待機系への切替えが必要なサーバとそのスペックを明確化する。
エ 必要となるリソースを適切なタイミングで増強することによって,適正なコストで最適なパフォーマンスのサービスを提供する。 正解
正解 エ
解説
キャパシティプランニングは,IT インフラストラクチャに求められるサービスの需要や将来の業務量の増加を予測し,CPU,メモリ,ストレージ,ネットワークなどのリソースを必要なときに必要な分だけ用意する計画を立てる活動である。過剰な投資を避けながら,性能の不足を防ぐことを目的とする。エが適切である。
アは業務負荷から必要な人数を見積もる要員計画である。イはセキュリティリスクが顕在化したときの対応方針や対策を定めるインシデント対応計画,ウは 24 時間 365 日稼働のために冗長化するサーバを決める可用性(冗長構成)の設計であり,いずれもリソースの容量の計画ではない。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
関係モデルの候補キーの説明のうち,適切なものはどれか。
ア 関係 R の候補キーは関係 R の属性の中から選ばない。
イ 候補キーの取る値はタプルごとに異なる。 正解
ウ 候補キーは主キーの中から選ぶ。
エ 一つの関係に候補キーが複数あってはならない。
正解 イ
解説
関係モデルの候補キーは,関係の属性(又は属性の組)のうち,その値によってタプルを一意に識別でき,かつ余分な属性を含まない(極小である)ものである。したがって,候補キーの値はタプルごとに異なる。イが適切である。
アについて,候補キーはその関係自身の属性の中から選ぶ。ウは逆で,主キーは候補キーの中から一つを選んだものである。エについて,一つの関係に候補キーが複数あってもよく,その中から主キーとして選ばれなかったものは代替キーと呼ばれる。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
磁気ディスク装置や磁気テープ装置などの外部記憶装置とサーバを,通常の LAN とは別の高速な専用ネットワークで接続してシステムを構成するものはどれか。
正解 エ
解説
SAN(Storage Area Network)は,サーバと外部記憶装置を,業務用の LAN とは別に用意した高速な専用ネットワークで接続する構成。ファイバチャネルなどを使い,記憶装置へのアクセスが LAN の通信と干渉しない。
アの DAFS はネットワーク越しにファイルを共有するためのプロトコル,イの DAS はサーバに記憶装置を直結する方式,ウの NAS は通常の LAN に接続して使うファイルサーバ専用機であり,いずれも専用ネットワークで接続する構成ではない。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
格納型クロスサイトスクリプティング(Stored XSS 又は Persistent XSS)攻撃に該当するものはどれか。
ア Web サイト上の掲示板に攻撃用スクリプトを忍ばせた書込みを攻撃者が行い,その後に当該掲示板を閲覧した利用者の Web ブラウザで,攻撃用スクリプトが実行された。 正解
イ Web ブラウザへの応答を生成する処理に脆弱性のある Web サイトに対して,不正な JavaScript コードを含むリクエストを送信するリンクを攻撃者が用意し,そのリンクを利用者がクリックするように仕向けた。
ウ 攻撃者が,乗っ取った複数の PC 上でスクリプトを実行して大量のリクエストを攻撃対象の Web サイトに送り付け,サービス不能状態にした。
エ 攻撃者がスクリプトを使って,送信元 IP アドレスを攻撃対象の Web サイトの IP アドレスに偽装した大量の DNS リクエストを多数の DNS サーバに送信することによって,大量の DNS レスポンスを攻撃対象の Web サイトに送り付けるようにした。
正解 ア
解説
格納型(Stored/Persistent)クロスサイトスクリプティングは,攻撃者が Web サイトの掲示板などに攻撃用スクリプトを含むデータを書き込んでサーバに保存させ,そのページを閲覧した利用者の Web ブラウザでスクリプトを実行させる攻撃である。利用者に罠のリンクを踏ませなくても,閲覧しただけで被害が生じる。アが該当する。
イは,不正なスクリプトを含むリクエストを送らせるリンクを利用者にクリックさせ,その応答に含まれたスクリプトを実行させる反射型クロスサイトスクリプティングである。ウは乗っ取った多数の PC から大量のリクエストを送る DDoS 攻撃である。エは送信元を攻撃対象に偽装した DNS リクエストで大量の応答を送り付ける DNS リフレクション(DNS amplification)攻撃である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
情報技術セキュリティ評価のための国際標準であり,コモンクライテリア(CC)と呼ばれるものはどれか。
ア ISO 9001
イ ISO 14004
ウ ISO/IEC 15408 正解
エ ISO/IEC 27005
正解 ウ
解説
コモンクライテリア(CC)は,IT 製品やシステムのセキュリティ機能が適切に設計され実装されているかを評価するための国際標準で,ISO/IEC 15408 として規格化されている。日本では IPA が認証機関となる IT セキュリティ評価及び認証制度(JISEC)の評価基準として用いられている。ウが該当する。
アの ISO 9001 は品質マネジメントシステムの要求事項,イの ISO 14004 は環境マネジメントシステムの実施に関する一般指針,エの ISO/IEC 27005 は情報セキュリティのリスクマネジメントに関する指針を定めた規格である。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
Web アプリケーションにおけるセキュリティ上の脅威とその対策に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア OS コマンドインジェクションを防ぐために,Web アプリケーションが発行するセッション ID に推測困難な乱数を使用する。
イ SQL インジェクションを防ぐために,Web アプリケーション内でデータベースへの問合せを作成する際にプレースホルダを使用する。 正解
ウ クロスサイトスクリプティングを防ぐために,Web サーバ内のファイルを外部から直接参照できないようにする。
エ セッションハイジャックを防ぐために,Web アプリケーションからシェルを起動できないようにする。
正解 イ
解説
SQL インジェクションは,入力値に SQL 文の一部を紛れ込ませて,データベースへの問合せを不正に変える攻撃である。プレースホルダを使うと,SQL 文の構造を先に確定させてから入力値をパラメタとして埋め込むので,入力値が SQL 文の一部として解釈されなくなる。IPA の“安全なウェブサイトの作り方”でも根本的な対策として示されている。イが適切である。
アのセッション ID に推測困難な乱数を使うのはセッションハイジャックの対策,エのシェルを起動できないようにするのは OS コマンドインジェクションの対策であり,組合せが入れ替わっている。ウのファイルを外部から直接参照できないようにするのは,ディレクトリトラバーサルなどによる不正なファイル参照の対策であり,クロスサイトスクリプティングの対策は出力時のエスケープ処理などである。
出典:平成30年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
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