平成29年度 秋期に実施されたシステムアーキテクト試験
午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
この年度を解いてみる
問1
アジャイル開発プロセスにおいて,Bill Wake が提案した“INVEST”と呼ばれる六つの観点を用いて行うことはどれか。
ア 効率よくアクティビティ図を作成する。
イ コード化できるレベルまで詳細化されたデータフロー図を作成する。
ウ 再利用しやすいソフトウェアパターンとなっているかどうかを評価する。
エ 質の高いユーザストーリとなっているかどうかを評価する。 正解
正解 エ
解説
INVEST は Independent(独立している),Negotiable(交渉の余地がある),Valuable(価値がある),Estimable(見積もれる),Small(小さい),Testable(テストできる)の頭文字で,Bill Wake が良いユーザーストーリーの条件として示した六つの観点である。よってエが正しい。
アのアクティビティ図は UML の振る舞い図,イのデータフロー図は構造化分析で使う図法で,いずれも INVEST とは関係がない。ウの再利用しやすさはソフトウェアパターンやモジュール設計を評価する観点であって,ユーザーストーリーの評価軸ではない。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
機能要件と非機能要件のうちの,機能要件を満たすために行う設計はどれか。
ア 業務システムを開発するための開発環境を設計する。
イ 業務の重要度を分析して障害発生時の復旧時間を明確にする。
ウ 業務を構成する要素間のデータの流れを明確にする。 正解
エ 部門業務の効率性と業務間の関連性を考慮して最適なサーバ配置を設計する。
正解 ウ
解説
機能要件は,業務やシステムが何をするか(業務の処理内容,扱うデータ,データの流れなど)に関する要件であり,非機能要件は,性能,可用性,運用・保守性,開発環境,システム構成など,機能以外の品質や制約に関する要件である。業務を構成する要素間のデータの流れを明確にするのは,業務の機能そのものを定める設計なので,ウが該当する。
アの開発環境の設計は,開発方式や開発環境に関する非機能要件を満たすための設計である。イの障害発生時の復旧時間は,可用性(回復性)に関する非機能要件である。エのサーバ配置の設計は,効率性やシステム構成に関する非機能要件を満たすための設計である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
図は“顧客が商品を注文する”を表現した UML のクラス図である。“顧客が複数の商品をまとめて注文する”を表現したクラス図はどれか。ここで,注文明細は注文に含まれる一つの商品に対応し,注文は一つ以上の注文明細を束ねたもので,一つの注文に対応する。
正解 ア
解説
“注文”は複数の“注文明細”を束ねたもので,注文明細は注文の一部として存在する。このような全体と部分の関係は,全体の側(注文)にひし形を付けたコンポジションで表し,1件の注文に1件以上の注文明細が含まれるので,注文側の多重度は 1,注文明細側は 1..* となる。注文明細はそれぞれ1種類の商品に対応し,顧客は注文を0件以上行う。この関係をすべて満たすアが正しい。
イはひし形が注文明細の側にあり,注文明細が全体,注文が部分となって関係が逆になっている。ウとエは顧客が注文ではなく注文明細と,注文が商品と直接関連しており,“注文明細は1種類の商品に対応する”という条件に合わない(エはコンポジションの向きも逆)。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
複数のシステムの組合せによって実現する SoS(System of Systems)をモデル化するのに適した表記法である SysML の特徴はどれか。
ア オブジェクト図によって,インスタンスの静的なスナップショットが記述できる。
イ 単純な図形と矢印によって,システムのデータの流れが記述できる。
ウ パラメトリック図によって,モデル要素間の制約条件が記述できる。 正解
エ 連接,反復,選択の記述パターンによって,ソフトウェアの構造を分かりやすく視覚化できる。
正解 ウ
解説
SysML は,UML を基にシステムズエンジニアリング向けに拡張したモデリング言語で,ハードウェアや人を含むシステム全体を表現する。UML にない図として,要求を表す要求図や,モデル要素の間の数式などの制約条件を表すパラメトリック図が追加されている。ウが SysML の特徴である。
アのオブジェクト図は UML の図で,SysML には含まれない。イの単純な図形と矢印でデータの流れを表すのは DFD,エの連接・反復・選択の記述パターンで構造を視覚化するのは構造化チャート(PAD や NS チャートなど)の特徴である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
ソフトウェアパターンのうち,GoF のデザインパターンの説明はどれか。
ア Java のパターンとして引数オブジェクト,オブジェクトの可変性などで構成される。
イ オブジェクト指向開発のためのパターンとして生成,構造,振る舞いの三つのカテゴリで分類される。 正解
ウ 構造,分散システム,対話型システム及び適合型システムの四つのカテゴリで分類される。
エ 抽象度が異なる要素を分割して階層化するための Layers,コンポーネント分割のための Broker などで構成される。
正解 イ
解説
GoF(Gang of Four)のデザインパターンは,オブジェクト指向設計でよく現れる問題と解決策を23のパターンにまとめたもので,オブジェクトの生成に関わる“生成”,クラスやオブジェクトの組み合わせ方に関わる“構造”,オブジェクト間の責任分担や処理の流れに関わる“振る舞い”の三つに分類される。イが正しい。
ウとエは,ソフトウェアアーキテクチャのパターン集である POSA(Pattern-Oriented Software Architecture)の説明で,Layers や Broker はそのアーキテクチャパターンである。アは Java に特化した実装上の指針の説明で,GoF のパターンは特定の言語に依存しない。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
組込みシステムの開発における,ハードウェアとソフトウェアのコデザインを適用した開発手法の説明として,適切なものはどれか。
ア ハードウェアとソフトウェアの切分けをシミュレーションによって十分に検証し,その後もシミュレーションを活用しながらハードウェアとソフトウェアを並行して開発していく手法 正解
イ ハードウェアの開発とソフトウェアの開発を独立して行い,それぞれの完了後に組み合わせて統合テストを行う手法
ウ ハードウェアの開発をアウトソーシングし,ソフトウェアの開発に注力することによって,短期間に高機能の製品を市場に出す手法
エ ハードウェアをプラットフォーム化し,主にソフトウェアで機能を差別化することによって,短期間に多数の製品ラインアップを構築する手法
正解 ア
解説
ハードウェアとソフトウェアのコデザイン(協調設計)は,開発の初期にシステム全体の仕様をモデル化し,どの機能をハードウェアで,どの機能をソフトウェアで実現するかの切分けをシミュレーションで検証して決める手法である。その後もシミュレーションで整合性を確かめながら,ハードウェアとソフトウェアを並行して開発するので,手戻りが減り開発期間を短縮できる。アが適切である。
イはハードウェアとソフトウェアを別々に開発し,最後に組み合わせる従来の開発手法で,統合時に不整合が見つかると手戻りが大きい。ウはハードウェアの開発を外部に委託する手法,エは共通のハードウェアを基盤としてソフトウェアで製品を作り分けるプラットフォーム化(プロダクトライン開発)の説明である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
イベント駆動型のアプリケーションにおけるイベント処理のタイミングを設計するのに有用なものはどれか。
ア DFD
イ E-R 図
ウ シーケンス図 正解
エ ペトリネット
正解 ウ
解説
シーケンス図は,UML の相互作用図の一つで,オブジェクト間で送受信されるメッセージを,縦方向の時間軸(ライフライン)に沿って順番に表す。どのイベントを受けたときに,どのオブジェクトがどの順序で処理を行うかを表せるので,イベント処理のタイミングの設計に有用である。ウが該当する。
アの DFD は,データの流れとその処理を表す図で,処理の時間的な順序は表さない。イの E-R 図は,データを実体と関連で表すデータ構造の図である。エのペトリネットは,プレース,トランジション,トークンで並行に動作するシステムの状態と,事象が起こる条件や同期を表すモデルで,並行性や到達可能性の解析に用いる。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。
ア 乾電池のプラスとマイナスを逆にすると,乾電池が装填できないようにする。
イ 交通管制システムが故障したときには,信号機に赤色が点灯するようにする。 正解
ウ ネットワークカードのコントローラを二重化しておき,故障したコントローラの方を切り離しても運用できるようにする。
エ ハードディスクに RAID1 を採用して,MTBF で示される信頼性が向上するようにする。
正解 イ
解説
フェールセーフは,故障や誤りが起きたときに,システムを安全な側の状態に倒して被害を防ぐ設計の考え方である。交通管制システムが故障したときに信号機をすべて赤にして車を止めるイがこれに当たる。
アの,電池を逆向きには装塡できないようにして誤った使い方そのものを防ぐのはフールプルーフ。ウの,二重化したコントローラの故障した方を切り離して運用を続けるのと,エの RAID1 で信頼性を高めるのは,故障しても機能を維持するフォールトトレラントの考え方である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
ソフトウェアの潜在エラー数を推定する方法の一つにエラー埋込み法がある。100 個のエラーを意図的に埋め込んだプログラムを,そのエラーの存在を知らない検査グループがテストして 30 個のエラーを発見した。そのうち 20 個は意図的に埋め込んでおいたものであった。この時点で,このプログラムの埋込みエラーを除く残存エラー数は幾つと推定できるか。
正解 ア
解説
エラー埋込み法では,埋め込んだエラーも元からあるエラーも同じ割合で検出されると考える。埋め込んだ 100 個のうち 20 個を検出したので,検出率は 20÷100=0.2 である。発見した 30 個のうち元からあったエラーは 30-20=10 個なので,元からあるエラーの総数は 10÷0.2=50 個と推定できる。このうち 10 個は発見済みなので,残存エラー数は 50-10=40 個となり,アになる。
イの 50 は元からあるエラーの推定総数で,発見済みの 10 個を除いていない。エの 150 は,埋込みエラーを含めた総エラー数の推定値(100×30÷20)である。ウの 70 は,この計算からは得られない値である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
ハードウェアの経験が豊富なプログラマ A と,経験の少ないプログラマ B がペアプログラミングの手法を利用して組込みシステムの開発を進める。ペアプログラミングによる開発の進め方として,適切なものはどれか。
ア A がデバイスドライバの開発を担当し,B がアプリケーションの開発を担当する。
イ A がプロジェクトマネージャとして,プロジェクトの調整役になる。
ウ A と B がエディタの画面を共有し,B が記述したコードに対して A が助言する。 正解
エ ハードウェアとソフトウェアの切分けをシミュレーションで検証してから,A と B とで分担して開発する。
正解 ウ
解説
ペアプログラミングは,XP(エクストリームプログラミング)のプラクティスの一つで,2 人のプログラマが 1 台のコンピュータ(画面)を共有し,一方がコードを書くドライバ,もう一方がそのコードを確認して助言するナビゲータとなって,役割を交代しながら開発を進める。経験の少ない B が書くコードに経験の豊富な A が助言すれば,品質の向上と知識の共有を同時に図れる。ウが適切である。
アは 2 人が別々の部分を担当する通常の分担開発である。イは A がプロジェクト管理の役割に就くもので,共にコードを書くペアプログラミングではない。エはハードウェアとソフトウェアの切分けを検証するコデザインの後に,作業を分担して開発する進め方である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
探索的テスト技法の説明はどれか。
ア 起こり得る全ての条件と,それに対して実行すべき動作とを組み合わせた表に基づいてテストする技法
イ 経験に基づいて,起こりがちなエラーを推測してテストケースを決定する技法
ウ 経験や推測から重要と思われる領域に焦点を当ててテストし,その結果を基にした新たなテストケースを作成して,テストを繰り返す技法 正解
エ システムの取り得る状態と,状態を遷移させる事象又は条件を示した図に基づいてテストする技法
正解 ウ
解説
探索的テストは,テストケースを事前に全て設計するのではなく,テスト担当者が経験や推測から重要と思われる領域に焦点を当ててテストを行い,その結果から学んだことを基に次のテストケースを作成して,テストの設計と実行を繰り返す技法である。ウが該当する。
アは条件と動作の組合せを表にまとめたデシジョンテーブル(決定表)を用いたテストである。イは経験に基づいて起こりがちなエラーを推測してテストケースを作るエラー推測である。エは状態と状態を遷移させる事象を表した状態遷移図を用いた状態遷移テストである。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
故障の予防を目的とした解析手法である FMEA の説明はどれか。
ア 個々のシステム構成要素に起こり得る潜在的な故障モードを特定し,それらの影響度を評価する。 正解
イ 故障を,発生した工程や箇所などで分類し,改善すべき工程や箇所を特定する。
ウ 発生した故障について,故障の原因に関係するデータ,事象などを収集し,“なぜ”を繰り返して原因を掘り下げ,根本的な原因を追究する。
エ 発生した故障について,その引き金となる原因を列挙し,それらの関係を木構造で表現する。
正解 ア
解説
FMEA(Failure Mode and Effects Analysis,故障モード影響解析)は,システムを構成する個々の部品や要素について,起こり得る潜在的な故障モードを洗い出し,それがシステム全体に与える影響の大きさや発生頻度を評価して,事前に対策を講じるボトムアップ型の解析手法である。アが該当する。
イは故障を発生工程や箇所で分類して重点を見つけるパレート分析などの層別分析,ウは“なぜ”を繰り返して根本原因を追究するなぜなぜ分析である。エの故障の原因を列挙し関係を木構造で表すのは FTA(故障の木解析)で,トップダウン型の解析手法である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
銀行の勘定系システムなどのような特定の分野のシステムに対して,業務知識,再利用部品,ツールなどを体系的に整備し,再利用を促進することによって,ソフトウェア開発の効率向上を図る活動や手法はどれか。
ア コンカレントエンジニアリング
イ ドメインエンジニアリング 正解
ウ フォワードエンジニアリング
エ リバースエンジニアリング
正解 イ
解説
ドメインエンジニアリングは,銀行の勘定系のような特定の分野(ドメイン)のシステムに共通する業務知識や要件の共通性と変動性を分析し,再利用できる部品(資産),アーキテクチャ,ツールなどを体系的に整備して,その分野のシステムの開発に再利用することで開発の効率を上げる活動である。共通フレームにもドメインエンジニアリングプロセスが定められている。イが該当する。
アのコンカレントエンジニアリングは,設計や生産準備などの工程を並行して進め,開発期間を短縮する手法である。ウのフォワードエンジニアリングは,要件や設計から順にプログラムを作り出す通常の方向の開発である。エのリバースエンジニアリングは,既存のプログラムを解析して,その仕様や設計を導き出す手法である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
IT 投資を,投資目的によって表のように分類した。IT 投資評価の KPI のうち,戦略的投資に対する KPI の例はどれか。
ア システムの障害件数
イ 新製品投入後の市場シェア 正解
ウ 提案事例の登録件数
エ 連結決算処理の所要日数
正解 イ
解説
表で戦略的投資の目的は,競争優位の確立やビジネスの創出である。戦略的投資の KPI には,投資によって実現しようとする事業上の成果を表す指標が適している。新製品投入後の市場シェアは,競争優位を確立できたか,新しいビジネスを創出できたかを表す指標なので,イが該当する。
アのシステムの障害件数は,システム性能の向上などを目的とする IT 基盤投資の KPI の例である。ウの提案事例の登録件数は,ナレッジの共有を目的とする情報活用投資の KPI の例である。エの連結決算処理の所要日数は,業務の効率向上を目的とする業務効率投資の KPI の例である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
グラントバックの説明はどれか。
ア 異なる分野で特許技術をもつ事業者同士が技術供与協定を締結し,互いに無償で特許の実施権を許諾すること
イ 自社固有のビジネスモデルに関してビジネスモデル特許を取得した上で,無償で広くその利用を許諾すること
ウ ライセンスを受けた者が特許技術を改良し,新たに取得した特許は,ライセンスを与えた者に実施権が許諾されること 正解
エ ライセンスを受けた者が特許技術を改良し,新たに取得した特許は,ライセンスを与えた者へ譲渡される義務が課されること
正解 ウ
解説
グラントバックは,ライセンスを受けた者(ライセンシー)が特許技術を改良して得た改良技術について,ライセンスを与えた者(ライセンサー)に実施権を許諾(ライセンス)することである。公正取引委員会の“知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針”では,非独占的なライセンスを義務付けることは,ライセンシーが改良技術を自由に利用できる場合は原則として不公正な取引方法に該当しないとしている。ウが該当する。
アは複数の権利者が互いに権利をライセンスするクロスライセンスである。イは自社の特許を無償で開放し,広く利用を認めることである。エは改良技術の権利をライセンサーに帰属させる譲渡義務(アサインバック)で,同指針では原則として不公正な取引方法に該当するとされている。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
システム開発における発注者とベンダとの契約方法のうち,実費償還型契約はどれか。
ア 委託業務の進行中に発生するリスクはベンダが負い,発注者は注文時に合意した価格を支払う。
イ インフレ率や特定の製品の調達コストの変化に応じて,あらかじめ取り決められた契約金額を調整する。
ウ 契約時に,目標とするコスト,利益,利益配分率,上限額を合意し,目標とするコストと実際に発生したコストの差異に基づいて利益を配分する。
エ ベンダの役務や技術に対する報酬に加え,委託業務の遂行に要した費用の全てをベンダに支払う。 正解
正解 エ
解説
実費償還契約は,委託業務の遂行に要した費用を発注者が実費で負担し,これにベンダーの役務や技術に対する報酬(手数料や利益)を上乗せして支払う契約である。費用が膨らむリスクは主に発注者が負う。エが正しい。
アは契約時に合意した価格を支払う定額契約で,コスト増のリスクはベンダーが負う。イは物価や調達コストの変動に応じて金額を調整する経済価格調整付き定額契約。ウは目標コスト・利益・利益配分率・上限額を合意し,目標と実績の差に応じて利益を配分する定額インセンティブフィー契約で,いずれも実費償還ではない。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
ビッグデータを有効活用し,事業価値を生み出す役割を担う専門人材であるデータサイエンティストに求められるスキルセットを表の三つの領域と定義した。データサイエンス力に該当する具体的なスキルはどれか。
ア 扱うデータの規模や機密性を理解した上で,分析システムをオンプレミスで構築するか,クラウドコンピューティングを利用して構築するか判断し設計できる。
イ 事業モデルやバリューチェーンなどの特徴や事業の主たる課題を自力で構造的に理解でき,問題の大枠を整理できる。
ウ 分散処理のフレームワークを用いて,計算処理を複数サーバに分散させる並列処理システムを設計できる。
エ 分析要件に応じ,決定木分析,ニューラルネットワークなどのモデリング手法の選択,モデルへのパラメタの設定,分析結果の評価ができる。 正解
正解 エ
解説
表のデータサイエンス力は,人工知能や統計学などの情報科学の知識を用いて,予測,検定,関係性の把握,データの加工・可視化を行う力である。分析要件に応じて決定木分析やニューラルネットワークなどのモデリング手法を選び,パラメタを設定して分析結果を評価することは,まさにこの力に当たる。エが該当する。
アの分析システムをオンプレミスとクラウドのどちらで構築するかの判断と設計,ウの分散処理のフレームワークを使った並列処理システムの設計は,分析システムを実装・運用するデータエンジニアリング力に当たる。イの事業モデルや事業の課題を構造的に理解し,問題の大枠を整理することは,ビジネス力に当たる。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
表の CPI と構成比率で,3 種類の演算命令が合計 1,000,000 命令実行されるプログラムを,クロック周波数が 1 GHz のプロセッサで実行するのに必要な時間は何ミリ秒か。
正解 イ
解説
平均 CPI は,各命令の CPI を構成比率で重み付けして合計した 3×0.2+5×0.2+2×0.6=0.6+1.0+1.2=2.8 である。1,000,000 命令の実行に必要なクロック数は 1,000,000×2.8=2,800,000 で,クロック周波数が 1 GHz(1 クロック 1 ナノ秒)なので,実行時間は 2,800,000×1 ナノ秒=2.8 ミリ秒になる。イになる。
検算として命令の種類ごとに求めると,浮動小数点加算 200,000×3=600,000,浮動小数点乗算 200,000×5=1,000,000,整数演算 600,000×2=1,200,000 で,合計 2,800,000 クロックになる。エの 28.0 はミリ秒への換算を 1 桁誤った値である。アの 0.4 やウの 4.0 は,この計算からは得られない値である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
Web ブラウザや HTTP を用いず,独自の GUI とデータ転送機構を用いた,ネットワーク対戦型のゲームを作成する。仕様の (2) の実現に用いることができる仕組みはどれか。
〔仕様〕
(1) ゲームは囲碁や将棋のように 2 人のプレーヤの間で行われ,ゲームの状態はサーバで管理する。プレーヤはそれぞれクライアントプログラムを操作してゲームに参加する。 (2) プレーヤが新たな手を打ったとき,クライアントプログラムはサーバにある関数を呼び出す。サーバにある関数は,その手がルールに従っているかどうかを調べて,ルールに従った手であればゲームの状態を変化させ,そうでなければその手が無効であることをクライアントプログラムに知らせる。 (3) ゲームの状態に変化があれば,サーバは各クライアントプログラムにその旨を知らせることによって GUI に反映させる。
正解 ウ
解説
仕様の (2) は,クライアントプログラムがネットワーク越しにサーバにある関数を呼び出し,その結果を受け取る処理である。RPC(Remote Procedure Call)は,別のコンピュータ上の手続(関数)を,自分のプログラム内の手続と同じように呼び出すための仕組みであり,Web ブラウザや HTTP を用いない独自のデータ転送機構でも利用できる。ウが該当する。
アの CGI は Web サーバから外部のプログラムを起動する仕組み,イの PHP は主に Web サーバ上で動く HTML 埋め込み型のスクリプト言語であり,いずれも HTTP と Web サーバを前提とする。エの XML はデータを記述するためのマークアップ言語で,関数を呼び出す仕組みではない。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
マルチプロセッサによる並列処理で得られる高速化率(単一プロセッサのときと比べた倍率)E を,次の式によって評価する。r = 0.9 のアプリケーションの高速化率が r = 0.3 のものの 3 倍となるのは,プロセッサが何台のときか。
ここで,
n:プロセッサの台数(1 ≦ n) r:対象とする処理のうち,並列化が可能な部分の割合(0 ≦ r ≦ 1) とし,並列化に伴うオーバヘッドは考慮しないものとする。
正解 エ
解説
E=1/(1−r+r/n) に代入すると,r=0.9 では E=1/(0.1+0.9/n),r=0.3 では E=1/(0.7+0.3/n) である。前者が後者の 3 倍になるには 0.7+0.3/n=3(0.1+0.9/n)=0.3+2.7/n,すなわち 0.4=2.4/n で,n=6 である。n=6 のとき,E は 1/(0.1+0.15)=4 と 1/(0.7+0.05)≒1.33 で,確かに 3 倍になる。エになる。
n=3 では 1/0.4=2.5 と 1/0.8=1.25 で 2 倍,n=4 では 1/0.325≒3.08 と 1/0.775≒1.29 で約 2.4 倍,n=5 では 1/0.28≒3.57 と 1/0.76≒1.32 で約 2.7 倍にとどまり,いずれも 3 倍にならない。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
UML を用いて表した図のデータモデルを基にして設計したテーブルのうち,適切なものはどれか。ここで,“担当委員会 ID”と“所属委員会 ID”は“委員会 ID”を参照する外部キーである。“役員 ID”と“委員 ID”は“生徒 ID”を参照する外部キーである。実線の下線は主キー,破線の下線は外部キーを表す。
正解 ア
解説
“担当する”の関連では,生徒(役員)から見た担当委員会の多重度が 0..1 なので,一人の生徒が担当する委員会は高々一つである。したがって,生徒テーブルに外部キー“担当委員会 ID”をもたせれば表せる(担当しない生徒は空値)。“所属する”の関連は,委員会側が 0..*,生徒側が 1..* の多対多なので,外部キー 1 列では表せず,“所属委員会 ID”と“委員 ID”を主キーとする連関テーブル(所属関連)が必要である。この二つを満たすアが適切である。
イは,多対多の所属を生徒テーブルの外部キー“所属委員会 ID”1 列で表しており,一人の生徒が複数の委員会に所属できない。ウも所属委員会 ID を生徒テーブルの 1 列で表し,さらに委員会テーブルの“委員 ID”では一つの委員会に委員を一人しか記録できない。エは委員会テーブルの“役員 ID”では一つの委員会に役員を一人しか記録できず(多重度 1..* を表せない),所属も 1 列で表している。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
図は,既存の電話機と PBX を使用した企業内の内線網を,IP ネットワークに統合する場合の接続構成を示している。図中の a〜c に該当する装置の適切な組合せはどれか。
ア a:PBX,b:VoIP ゲートウェイ,c:ルータ 正解
イ a:PBX,b:ルータ,c:VoIP ゲートウェイ
ウ a:VoIP ゲートウェイ,b:PBX,c:ルータ
エ a:VoIP ゲートウェイ,b:ルータ,c:PBX
正解 ア
解説
既存の電話機はまず内線交換機である PBX に接続する。PBX が扱う電話の音声信号を IP パケットに変換して IP ネットワークでやり取りできるようにするのが VoIP ゲートウェイであり,そのパケットをルータを通して IP ネットワークへ送る。電話機から順に PBX,VoIP ゲートウェイ,ルータとなるので,アが適切である。
イは PBX の出す電話の信号を IP 化しないままルータに渡すことになり,ルータは IP パケットしか中継できないので通信できない。ウは VoIP ゲートウェイで IP 化した後に PBX を置き,エは IP ネットワークの直前に PBX を置いているが,既存の PBX は電話の信号を交換する装置で IP パケットを扱えないので,どちらも成り立たない。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
署名されたソフトウェアを導入する前に,そのソフトウェアの開発元又は発行元を確認するために使用する証明書はどれか。
ア EV SSL 証明書
イ クライアント証明書
ウ コードサイニング証明書 正解
エ サーバ証明書
正解 ウ
解説
コードサイニング証明書は,ソフトウェアの開発元又は発行元が署名するために使う証明書。導入前に署名を検証することで,作成者が誰であるかと,配布の途中で改ざんされていないことを確認できる。
アの EV SSL 証明書とエのサーバ証明書は Web サーバの正当性を確認するもの,イのクライアント証明書は利用者や端末を認証するもので,いずれもソフトウェアの発行元の確認には使わない。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
米国 NIST が制定した,AES における鍵長の条件はどれか。
ア 128 ビット,192 ビット,256 ビットから選択する。 正解
イ 256 ビット未満で任意に指定する。
ウ 暗号化処理単位のブロック長よりも 32 ビット長くする。
エ 暗号化処理単位のブロック長よりも 32 ビット短くする。
正解 ア
解説
AES(Advanced Encryption Standard)は,NIST が米国の標準暗号として制定した共通鍵暗号方式で,ブロック長は128ビット,鍵長は128ビット,192ビット,256ビットの三つから選ぶ。アが正しい。鍵長が長いほど暗号化の繰返し処理(ラウンド)の回数が増え,安全性も高くなる。
イのように256ビット未満で任意に決めることはできない。ウとエのように鍵長をブロック長から32ビット増減させるという決まりもなく,ブロック長は鍵長にかかわらず128ビットで一定である。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
スパムメール対策として,サブミッションポート(ポート番号 587)を導入する目的はどれか。
ア DNS サーバに SPF レコードを問い合わせる。
イ DNS サーバに登録されている公開鍵を用いて署名を検証する。
ウ POP before SMTP を使用して,メール送信者を認証する。
エ SMTP-AUTH を使用して,メール送信者を認証する。 正解
正解 エ
解説
サブミッションポート(587番)は,利用者がメールサーバへメールを投稿するための専用ポート。ここでは SMTP-AUTH による送信者認証を必須にできるので,認証を通った利用者だけが送信でき,スパムの踏み台にされにくくなる。
アは SPF,イは DKIM による送信ドメイン認証。ウの POP before SMTP はサブミッションポート導入以前に使われた方式で,一定時間は認証なしで送信できてしまうなどの弱点があり,SMTP-AUTH に置き換えられた。
出典:平成29年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
ほかの年度
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 秋期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 秋期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 秋期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 秋期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和2年度 10月 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
平成31年度 春期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 春期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 春期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅰ
平成27年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 春期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 春期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 春期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 特別試験 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 春期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅰ