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平成23年度 秋期 午後Ⅱ

平成23年度 秋期に実施されたITストラテジスト試験 午後Ⅱの全3問(論述式)です。問題文・設問と,問われていることの整理をそのまま読めます。

この試験について:ITストラテジスト試験について

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問1 情報通信技術を活用した非定型業務の改革について

事業方針・戦略を策定したり,次期の新製品・サービスの機能・性能を決定したりする非定型業務では,直面している問題の解決手順,共通の判断基準が定められていないことが多い。

非定型業務を改革するに当たっては,まず,例えば,次のような改革目標を設定する必要がある。

そして,顧客の視点から業務仕分けをすることによって,担当者が有用な業務に専念できるようにする。また,組織内外から問題解決に関して知見のある人材を探し出したり,問題解決に向けた協働作業を行えるようにしたり,情報の収集・共有・分析を行って問題解決を図れるようにしたりすることが重要である。

非定型業務の改革目標を達成するためには,情報通信技術の活用を検討し,必要なツールなどの導入を図ることが重要である。情報通信技術を活用したものには,スマートフォン,タブレット型PC,Wiki,SNS,Web会議システム,BI,ビジネスアナリティクス,検索エンジンなどがある。

また,改革目標を達成するためには,次のような工夫も重要である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

非定型業務には,直面している問題を解決するための判断基準や手順が定められていない中で,速やかな判断を求められる業務がある。ITストラテジストには,情報通信技術を活用して,非定型業務の改革の計画・提案を行い,改革を推進することが求められる。

本問は,非定型業務の抜本的な生産性向上,現状打破のために,情報通信技術を活用した業務改革をどのように実現したかについて,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,ITストラテジストに必要な業務改革の企画力,洞察力,統率力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが改革に携わった非定型業務について,事業の概要,業務の内容・特性,及び改革が必要となった背景を,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 事業の概要
  • 業務の内容・特性
  • 改革が必要となった背景

組み立ての注意

対象は,前文の例(事業方針・戦略の策定,次期の新製品・サービスの機能・性能の決定)のような,問題の解決手順や共通の判断基準が定められていない非定型業務。業務の特性は,それが非定型業務であることが分かるように書く。

採点講評は,事業方針・戦略策定などの非定型業務を中心的な対象範囲とするワークスタイル改革まで論述できていたものは少なかったとしている。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた非定型業務において,どのような改革目標を設定し,どのような改革をしたか,活用した情報通信技術とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 設定した改革目標
  • 行った改革
  • 活用した情報通信技術

組み立ての注意

改革目標は,前文の例(業務処理の生産性を劇的に向上させる,問題解決の飛躍的なスピードアップを図る)が手がかりになる。改革の中身は,前文の顧客の視点からの業務仕分け,知見のある人材の探し出し,協働作業,情報の収集・共有・分析などが手がかりになる。情報通信技術は,前文の例(スマートフォン,タブレット型PC,Wiki,SNS,Web会議システム,BI,ビジネスアナリティクス,検索エンジンなど)のように,改革でどう使ったかとともに書く。

採点講評は,意思決定を支援するために基幹情報システムから提供されるデータを分析活用する事例を論述したものが非常に多かったとしている。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べた改革目標を達成するために,あなたが特に重要と考え,工夫した点は何か。また,それらを実施した上で,更に改善できると考えた事項は何か。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 特に重要と考え,工夫した点
  • 実施した上で更に改善できると考えた事項

組み立ての注意

工夫は,前文の例(組織の役割や構成の見直し,コミュニティの活用,これまでのワークスタイルの見直し)が手がかりになる。設問イの改革目標の達成のための工夫として書く。

改善できると考えた事項は,工夫を実施した上でのものとして書く。

採点講評(IPA)

問1(情報通信技術を活用した非定型業務の改革について)では,意思決定を支援するために基幹情報システムから提供されるデータを分析活用する事例を論述したものが非常に多かった。事業方針・戦略策定などの非定型業務を中心的な対象範囲とする先進的な情報通信技術を活用したワークスタイル改革まで論述できていたものは少なかった。

全問共通

全問に共通して,ITストラテジストとしての経験と考えに基づいて,設問の趣旨に沿って論述することが重要である。設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2 事業の急激な変化に対応するためのシステム選定方針の策定について

企業は昨今,新規顧客を開拓するための新サービスの早期立上げ,競合他社に対する優位性を確保するための販売チャネルの急拡大や新製品の短期投入などへの対応に直面している。このような急激な変化に対し,開発期間の短縮,投資額の制限,開発要員の限定などの強い制約条件の下で,システムを更改したり,新規に構築したりする場合がある。

この場合,ITストラテジストは,まず,システムで実現しなければならない機能・性能・運用などの要件を整理する。次に,強い制約条件を考慮して,新業務プロセス,アプリケーションシステム,IT基盤などについて,例えば,次のようなシステム選定方針を策定する。

強い制約条件の下でシステムを稼働させ,業務が行えなければならないので,システム選定方針の策定に当たっては,次のことが重要である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

事業の急激な変化にシステムを対応させなければならない場合,投資額が限られていたり,システム稼働時期を厳守しなければならなかったり,システム開発要員が限られていたりするなど,強い制約条件が存在することが多い。

本問は,事業の急激な変化と強い制約条件を考慮した上で策定したシステム選定方針とその理由,また,特に重要と考えて計画したことについて,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,ITストラテジストに必要な企画力・洞察力・行動力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

事業の急激な変化に対応するためのシステム選定方針の策定に当たって,事業の急激な変化とあなたが考慮した強い制約条件は何か,事業の特性とともに,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 事業の急激な変化
  • 考慮した強い制約条件
  • 事業の特性

組み立ての注意

急激な変化は,前文の例(新サービスの早期立上げ,販売チャネルの急拡大,新製品の短期投入など)が,強い制約条件は,前文の例(開発期間の短縮,投資額の制限,開発要員の限定など)が手がかりになる。制約条件は,その急激な変化から生じたものとして書く。

採点講評は,事業の急激な変化に基づく強い制約条件との関係付けが曖昧なものを挙げている。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた強い制約条件を考慮した上で,あなたが策定したシステム選定方針及び策定した理由を,システムで実現すべき要件とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 策定したシステム選定方針
  • 策定した理由
  • システムで実現すべき要件

組み立ての注意

前文の順序は,まず機能・性能・運用などの要件を整理し,次に強い制約条件を考慮して,新業務プロセス,アプリケーションシステム,IT基盤などについてシステム選定方針を策定する,というもの。方針の例は,既存のソフトウェアパッケージ・アプリケーションシステムの利用,クラウドコンピューティングサービスの選択,アウトソーシング。

採点講評は,システム選定方針を策定した理由の論述に具体性が乏しいものと,システム選定方針ではなく個別システム開発の方針に終始した論述を挙げている。理由は,設問アの強い制約条件と結び付けて書く。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べたシステム選定方針の策定に当たって,あなたが特に重要と考えて計画したこと,調査・比較をしたことは何か。また,それらを実施した上で,更に改善できると考えた事項は何か。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 特に重要と考えて計画したこと
  • 調査・比較をしたこと
  • 実施した上で更に改善できると考えた事項

組み立ての注意

前文は重要なこととして,新システムで対応できない業務プロセスの実現方法の確立,新システムを使いこなすためのチェンジマネジメントの計画,クラウドコンピューティングサービス,アウトソーシングサービスなどの詳細な調査・比較を挙げている。計画したことと調査・比較をしたことを分けて書く。

出題趣旨も,特に重要と考えて計画したことを具体的に論述することを求めている。

採点講評(IPA)

問2(事業の急激な変化に対応するためのシステム選定方針の策定について)では,システム選定方針はおおむね論述されていたが,事業の急激な変化に基づく強い制約条件との関係付けが曖昧なものやシステム選定方針を策定した理由の論述に具体性が乏しいものが散見された。また,システム選定方針ではなく,個別システム開発の方針に終始した論述も見られた。

全問共通

全問に共通して,ITストラテジストとしての経験と考えに基づいて,設問の趣旨に沿って論述することが重要である。設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3 組込みシステムの企画・開発計画におけるリスク管理について

組込みシステムの企画・開発計画の策定及び開発計画の推進などのプロセスには,様々なリスクが存在する。これらのリスク管理について,組込みシステムのITストラテジストには,十分な知識,並びに,リスク分析結果の評価能力及び対応策決定能力が求められる。

企画・開発計画の策定において実施すべきリスク管理の対象は,市場動向,販売開始時期,価格設定,知的財産,標準規格,製品の安全性などである。

リスク管理では,次に示すようにリスク分析,リスク評価を行う。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

組込みシステムの企画・開発計画を策定し,推進するときには,リスク管理が必要である。組込みシステムのITストラテジストには,リスク管理についての十分な知識と,リスクを分析し,評価した上で対策を決定することが求められる。

本問は,組込みシステムの企画・開発計画を題材として,リスク分析結果をどのように評価し,どのような対応策を決定したか,また,その有効性をどのように評価したかについて,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,組込みシステムのITストラテジストに必要なリスク分析結果の評価能力,対応策決定能力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わった組込みシステムの企画・開発計画の策定において,市場動向を踏まえた企画の背景及び目的,並びに,その企画・開発計画の策定におけるリスク管理の概要について,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 市場動向を踏まえた企画の背景及び目的
  • 企画・開発計画の策定におけるリスク管理の概要

組み立ての注意

リスク管理の概要は,前文が挙げる対象(市場動向,販売開始時期,価格設定,知的財産,標準規格,製品の安全性など)のどれを扱ったかと,リスク分析,リスク評価の進め方が分かるように書く。設問イはここで述べたリスク管理を前提にする。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べたリスク管理で,対応の優先順位が高いと決定したリスク源を順に三つ挙げ,それぞれの発生頻度,影響度及び対応策について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 対応の優先順位が高いと決定したリスク源を順に三つ
  • それぞれの発生頻度,影響度及び対応策

組み立ての注意

リスク源は優先順位の高い順に三つ挙げ,三つそれぞれについて発生頻度,影響度,対応策をそろえて書く。前文では,優先順位は経営へのインパクトなどの評価で決め,対応策にはリスク源の発生頻度や影響度の低減,リスクが現実化した場合の損失の移転・軽減などがあり,コストと有効性を評価して決定するとしている。

採点講評は,リスクとリスク源の混同など,リスク管理についての理解が不足していると思われる論述を挙げている。前文のとおり,リスク源はプロセスの成否に関わる要素に直接的,間接的に影響を及ぼすものであり,リスクそのものとは区別して書く。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べた対応策の有効性について,どのように評価したか。対応策を実施した各部門など他者からの評価も含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 対応策の有効性の評価
  • 対応策を実施した各部門など他者からの評価

組み立ての注意

自らの評価と,対応策を実施した各部門など他者からの評価の両方を書く。

採点講評は,具体的な分析手法や対応策,多面的な評価などによって経験や知識をうかがわせる論述があったとしている。

採点講評(IPA)

問3(組込みシステムの企画・開発計画におけるリスク管理について)では,おおむねITストラテジストとしての視点から,設問の趣旨を理解して論述しているものが多かった。しかし,具体的な分析手法や対応策,多面的な評価などによって経験や知識をうかがわせる論述がある一方,リスクとリスク源の混同など,リスク管理についての理解が不足していると思われる論述も散見された。

全問共通

全問に共通して,ITストラテジストとしての経験と考えに基づいて,設問の趣旨に沿って論述することが重要である。設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。

出典:平成23年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問3(表記を一部改変)