令和7年度 春期に実施されたシステムアーキテクト試験
午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
この試験について:システムアーキテクト試験について
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問1
DFD で用いられる図形要素だけの組みはどれか。
ア 関連,実体,データストア
イ 関連,データストア,データフロー
ウ 源泉と吸収,実体,プロセス
エ 源泉と吸収,データフロー,プロセス 正解
正解 エ
解説
DFD(データフロー図)は,業務やシステムをデータの流れに着目して表す図で,データの流れを表すデータフロー(矢印),データを加工・変換するプロセス(円),データを蓄えるデータストア(二本線),システムの外部にあるデータの発生源や行き先を表す源泉と吸収(外部実体,四角)の四つの図形要素で表す。この中から三つを挙げたエが正しい。
アとウの“実体”と,アとイの“関連”は,データを実体(エンティティ)とその間の関連(リレーションシップ)で表す E-R 図の要素であり,DFD の図形要素ではない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
オブジェクト指向設計における設計原則の説明のうち,開放・閉鎖原則のものはどれか。
ア クラスにもたせる役割は一つだけにするべきであり,複数の役割が存在する場合にはクラスを分割する。
イ クラスを利用するクライアントごとに異なるメソッドが必要な場合は,インタフェースを分ける。
ウ 上位のモジュールは,下位のモジュールに依存してはならない。
エ モジュールは,機能の追加や変更が可能であって,その影響を他のモジュールに及ぼしてはならない。 正解
正解 エ
解説
開放・閉鎖原則(Open-Closed Principle)は,モジュールは拡張に対して開いていて(機能を追加・変更できる),修正に対して閉じている(既存のコードを変更しなくて済み,他のモジュールに影響が及ばない)べきであるという原則である。抽象クラスやインタフェースを介して新しい機能を追加する設計で実現する。エが該当する。
アは単一責任の原則,イはクライアントごとに必要なメソッドだけをもつインタフェースに分ける,インタフェース分離の原則である。ウは,上位のモジュールも下位のモジュールも抽象に依存すべきであるとする依存関係逆転の原則の説明である。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
A 社は,各種のサービスを複数の Web サイトで提供している。現在,利用者は,Web サイトにログインするたびに,そのサイト用の利用者 ID とパスワードとを入力する必要がある。この煩わしさを解消するために,いずれかの Web サイトで一度ログインすれば,全ての Web サイトを利用できる仕組みとしたい。この仕組みを実現するための機能を有する OSS はどれか。
ア BIND
イ Keycloak 正解
ウ Logstash
エ OpenSSL
正解 イ
解説
Keycloak は,OpenID Connect や SAML に対応した認証・認可の基盤を提供する OSS である。複数の Web サイトの認証を Keycloak に任せれば,どれか一つでログインした結果をほかのサイトでも使えるようになり,シングルサインオンが実現できる。イが該当する。
アの BIND は DNS サーバ,ウの Logstash はログを集めて整形・転送するツール,エの OpenSSL は TLS と暗号の処理を行うライブラリ・コマンドであり,いずれも認証を束ねる機能はもたない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
大量のデータを並列に処理するために,入力データから中間キーと値との組みを生成する処理と,同じ中間キーをもつ値を加工する処理との 2 段階で実行するプログラミングモデルはどれか。
ア 2 相コミット
イ KVS
ウ MapReduce 正解
エ マルチスレッド
正解 ウ
解説
MapReduce は,大量のデータを多数のコンピュータで並列に処理するためのプログラミングモデルである。Map 処理で入力データから中間キーと値の組を生成し,同じ中間キーをもつ値を集めて,Reduce 処理でそれらを集計・加工する。Hadoop などの分散処理基盤で用いられる。ウが該当する。
アの 2 相コミットは,分散データベースで全てのサイトの更新を確定するか全て取り消すかをそろえるための手順である。イの KVS(キーバリューストア)は,キーと値の組でデータを格納・検索するデータストアである。エのマルチスレッドは,一つのプロセスの中で複数のスレッドを並行して実行する方式である。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
デザインパターンの一つである Observer パターンを利用して実現できることはどれか。
ア あるオブジェクトの状態が変化したときに,それに依存する全てのオブジェクトに自動的に通知する。 正解
イ ある機能をもつオブジェクトを新しいオブジェクトでラップし,機能を動的に拡張する。
ウ あるクラスのインスタンスが一つしか存在しないことを保証する。
エ 配列や集合のような実装の異なるコンテナに対し,同一のインタフェースでアクセスする。
正解 ア
解説
Observer パターンは,観察される側(Subject)が自分の状態の変化を,登録されている観察者(Observer)すべてに通知する形にして,両者の結び付きを弱くする。アが該当する。GUI の部品とデータの同期や,publish/subscribe の仕組みに使われる。
イは既存のオブジェクトを包んで機能を足す Decorator パターン,ウはインスタンスを一つだけに限る Singleton パターン,エは内部構造の違う集合を同じ手順でたどれるようにする Iterator パターンの説明である。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
プログラム中にエラーが存在するかどうかなどを,ソースプログラムを分析することによって調べるテストツールはどれか。
ア 静的解析ツール 正解
イ テストカバレッジ分析ツール
ウ テストベッド
エ メトリクス計測ツール
正解 ア
解説
静的解析ツールは,プログラムを実行せずにソースコードを読み取り,未初期化の変数,到達しないコード,型の不整合,コーディング規約からの逸脱などを見つける。アが該当する。
イのテストカバレッジ分析ツールは,テストを実行したときにどの命令や分岐が通ったかを測るもので,実行が前提になる。ウのテストベッドはテストを行うための実行環境そのもの。エのメトリクス計測ツールはソースを分析するが,測るのは行数や複雑度などの量であり,エラーの有無を調べるものではない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
プログラム P をテストケースの集合であるテストセット T でテストし,テスト結果が全て想定結果と一致することを確認した。そのテストセット T に不具合を検出できる十分な能力があるかどうかを評価するために,次の手順でテストを行った。このテストを何と呼ぶか。
〔手順〕
① プログラム P のステートメントの 1 か所に,例えば(a+b>1)を(a+b>0)にするというような,軽微な変更を行ったプログラム P1 ,P2 ,P3 ,…,Pm を作成する。この m 個のプログラムの変更内容は,全て異なっている。 ② テストセット T を用いて全てのプログラム P1 ,P2 ,P3 ,…,Pm をテストする。 ③ P1 から Pm までの m 個のプログラムのうち,プログラム P と異なるテスト結果となったプログラムの総数を N とし,次式によって,テストセット T の有効性の指標 E を算出する。 E = N/m
ア 探索的テスト
イ ドメイン分析テスト
ウ ミューテーションテスト 正解
エ ユースケーステスト
正解 ウ
解説
ミューテーションテストは,プログラムにわざと小さな誤り(ミュータント)を埋め込み,手持ちのテストセットがその誤りを検出できるかどうかで,テストセットの有効性を測る手法である。検出できたミュータントの割合 E=N/m はミュータントスコアと呼ばれる。ウが該当する。
アの探索的テストは,テストの設計と実行を同時に進めながら次に試すことを決めていく手法。イのドメイン分析テストは,複数の入力変数の境界値の組合せからテストケースを導く手法。エのユースケーステストは,ユースケースのシナリオに沿ってテストケースを作る手法であり,いずれもテストセット自体の能力を測るものではない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
プログラムの構造的な複雑度を測る尺度として McCabe が提唱したサイクロマティック複雑度がある。制御の流れが次のグラフで表されるプログラムのサイクロマティック複雑度は幾らか。ここで,エッジの個数を e,ノードの個数を n とし,サイクロマティック複雑度は e-n+2 で求めるものとする。
正解 イ
解説
グラフのエッジは A→B,A→C,B→C,B→E,C→D,C→E,D→E の 7 本,ノードは A,B,C,D,E の 5 個である。設問の式に当てはめるとe-n+2=7-5+2=4 となる。イが正しい。
サイクロマティック複雑度は,独立した経路の本数を表し,分岐のない一本道のプログラムでは 1 になる。分岐が増えるほど大きくなり,テストで通すべき経路の数の目安として使われる。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
サブルーチンとの引数の受渡し方のうち,引数として渡した変数の値が,サブルーチンの実行後に変更されないことが保証されているものはどれか。
ア 値呼出し 正解
イ 結果呼出し
ウ 参照呼出し
エ 名前呼出し
正解 ア
解説
値呼出し(call by value)は,実引数の値を複写してサブルーチンに渡す方式である。サブルーチンは受け取った複写の値を使って処理するので,サブルーチンの中で仮引数の値を変更しても,呼出し元の変数の値は変わらない。アが該当する。
イの結果呼出しは,サブルーチンの終了時に仮引数の値を呼出し元の変数に書き戻す方式で,変数の値は変わり得る。ウの参照呼出しは,変数の番地(参照)を渡す方式で,サブルーチンでの変更が呼出し元の変数にそのまま反映される。エの名前呼出しは,実引数の式を仮引数の位置に置き換えて参照のたびに評価する方式で,仮引数への代入は呼出し元の変数を変更する。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
新システムの受入れ支援において,利用者への教育訓練に対する教育効果の測定を,カークパトリックモデルの 4 段階評価を用いて行う。レベル 1(Reaction),レベル 2(Learning),レベル 3(Behavior),レベル 4(Results)の各段階にそれぞれ対応した a〜d の活動のうち,レベル 2 のものはどれか。
a 受講者にアンケートを実施し,教育訓練プログラムの改善に活用する。 b 受講者に行動計画を作成させ,後日,新システムの活用状況を確認する。 c 受講者の行動による組織業績の変化を分析し,ROI などを算出する。 d 理解度確認テストを実施し,テスト結果を受講者にフィードバックする。
正解 エ
解説
カークパトリックモデルは,教育の効果を,レベル1 反応(受講者の満足度),レベル2 学習(知識や技能の習得度),レベル3 行動(職場での行動の変化),レベル4 成果(組織の業績への影響)の4段階で評価する。理解度確認テストで習得の度合いを測る d がレベル2に当たり,エが正しい。
a の受講後アンケートはレベル1,b の行動計画を作らせて後日の活用状況を確認するのはレベル3,c の組織業績の変化を分析し ROI を算出するのはレベル4である。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
ユースケース駆動開発の利点はどれか。
ア 開発を反復するので,新しい要求やビジネス目標の変化に柔軟に対応しやすい。
イ 開発を反復するので,リスクが高い部分に対して初期段階で対処しやすく,プロジェクト全体のリスクを減らすことができる。
ウ 基本となるアーキテクチャをプロジェクトの初期に決定するので,コンポーネントを再利用しやすくなる。
エ ひとまとまりの要件を 1 単位として設計からテストまで実施するので,要件ごとに開発状況が把握できる。 正解
正解 エ
解説
ユースケース駆動開発は,利用者から見たひとまとまりの要件であるユースケースを単位として,分析・設計・実装・テストを進める開発の進め方である。ユースケースごとに設計からテストまでが対応付くので,どの要件がどこまでできているかを把握しやすい。エが正しい。
ユースケース駆動は,統一プロセス(UP)の特徴である“ユースケース駆動”“アーキテクチャ中心”“反復的かつ漸進的”の一つに当たる。アとイは開発を反復することによる利点で“反復的かつ漸進的”の側,ウは初期にアーキテクチャを決める“アーキテクチャ中心”の利点であり,ユースケース駆動の利点ではない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
要求分析におけるインタビュー技法である構造化インタビューの長所と短所はどれか。
ア 回答者に自由に質問することによって深い洞察を得られるが,準備をうまくしなければヒアリングしたい内容を聞きそびれてしまうことがある。
イ 回答に基づいて知りたいことを深く掘り下げられるが,インタビュアーの技量によって成果が左右されることがある。
ウ 状況に応じて臨機応変に質問を変更できるが,複数人にインタビューする場合にヒアリング内容にずれが生じることがある。
エ 複数の回答者からの結果を比較しやすいが,インタビューの際に特定の回答者の回答から深い洞察を引き出すことが困難である。 正解
正解 エ
解説
構造化インタビューは,質問する項目と順序をあらかじめ決めておき,どの回答者にも同じように尋ねる形式である。条件がそろうので複数の回答者の答えを比べやすい半面,決めた質問から外れられないため,特定の回答者だけがもつ事情を掘り下げることは難しい。エが該当する。
アは質問を決めずに自由に進める非構造化インタビューの長所と短所。イとウは,大枠だけ決めておいて状況に応じて質問を変える半構造化インタビューの特徴であり,いずれも構造化インタビューのものではない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
要件定義において,システムが提供する機能単位と利用者又は外部システムとの間の相互作用や,システム内部と外部との境界を明示するために使用される図はどれか。
ア アクティビティ図
イ オブジェクト図
ウ クラス図
エ ユースケース図 正解
正解 エ
解説
ユースケース図は,システムの外部にいる利用者や外部システム(アクタ)と,システムが提供する業務の機能(ユースケース)を分けて描き,その関係を表す UML の図である。要件定義で,利用者を含めた業務全体の範囲やシステム化の対象を明らかにするのに使われる。エが正しい。
アのアクティビティ図は処理や業務の流れ,イのオブジェクト図はある時点のインスタンスとその間のつながり,ウのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の静的な関係を表す図である。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
ラボ契約の特徴はどれか。
ア 依頼元がベンダー企業側の作業担当者を指名して直接指揮命令を行う契約であり,ベンダー企業はこれを前提に要員を割り当てる。
イ 依頼元は,契約に基づきスキルや人数などの基準を満たすように要員を確保することをベンダー企業に求める代わりに,一定以上の発注を約束する。 正解
ウ 開発したシステムによって依頼元が将来獲得する売上や利益に応じた報酬をベンダー企業にも分配することを条件に,開発時のベンダー企業への発注金額を抑える。
エ ベンダー企業は,契約で定めた最低発注工数を下回って作業を完了した場合,実稼働工数に基づく金額の支払を依頼元に請求しなければならない。
正解 イ
解説
ラボ契約は,依頼元が一定量以上の発注を約束する代わりに,ベンダー企業に必要なスキルや人数の要員を専任で確保してもらう契約である。同じ要員が継続して関わるので業務知識が蓄積され,開発の立上げも早くなる。イが該当する。
アは依頼元がベンダーの要員に直接指揮命令する形で,請負・準委任では偽装請負になる。ウは開発したシステムの売上や利益を分け合うレベニューシェア契約の説明。エは,最低発注工数を下回っても約束した分は支払うというラボ契約の趣旨と逆である。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
協調フィルタリングを用いた,商品のレコメンデーションの例はどれか。
ア 多くの顧客の購買行動の類似性を相関分析などによって求め,顧客 A に類似した顧客 B が購入している商品を顧客 A に勧める。 正解
イ カテゴリ別に売れ筋商品のランキングを自動抽出し,リアルタイムで売れ筋情報を発信する。
ウ 顧客情報から,年齢,性別などの人口動態変数を用い,“20 代男性”,“30 代女性”などにセグメント化した上で,各セグメント向けの商品を提示する。
エ 野球のバットを購入した人に野球のボールを勧めるなど,商品間の関連に着目して関連商品を提示する。
正解 ア
解説
協調フィルタリングは,利用者どうしの購買や評価の傾向が似ていることを手掛かりに,似た利用者が買っている商品を勧める方式である。商品そのものの属性ではなく,利用者の行動の類似性を使う点が特徴で,アが該当する。
イは売れ筋のランキングを出しているだけで,利用者ごとに変わらない。ウは年齢や性別といった属性で区切るデモグラフィックによる推薦。エは一緒に買われやすい商品の組合せを使うアソシエーション分析(バスケット分析)による推薦である。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
オープンリゾルバを悪用した攻撃はどれか。
ア ICMP パケットの送信元を偽装し,多数の宛先に送ることによって,攻撃対象のコンピュータに大量の偽の ICMP パケットの応答を送る。
イ PC 内の hosts ファイルにある,ドメインと IP アドレスとの対応付けを大量に書き換え,偽の Web サイトに誘導し,大量のコンテンツをダウンロードさせる。
ウ 送信元 IP アドレスを偽装した DNS 問合せを多数の DNS サーバに送ることによって,攻撃対象のコンピュータに大量の応答を送る。 正解
エ 誰でも電子メールの送信ができるメールサーバを踏み台にして,電子メールの送信元アドレスを詐称したなりすましメールを大量に送信する。
正解 ウ
解説
オープンリゾルバは,誰からの再帰的な問合せにも答えてしまう DNS キャッシュサーバである。送信元 IP アドレスを標的のものに偽装した問合せを多数のオープンリゾルバへ送ると,その応答がすべて標的に集まる。問合せより応答のほうが大きいので通信量が増幅される。ウが該当する(DNS リフレクション攻撃,DNS アンプ攻撃)。
アは ICMP を使う Smurf 攻撃,イは hosts ファイルを書き換えて偽サイトへ誘導するファーミング,エは第三者中継を許すメールサーバ(オープンリレー)を踏み台にする攻撃であり,いずれもオープンリゾルバを使うものではない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
ある企業でのリスク分析結果は次のとおりであった。情報漏えい対策のうち,事象 C の年間発生確率が最も低くなるものはどれか。ここで,対策前の事象 X の年間発生確率を QX とし,事象 X への対策によって事象 X の発生を防止できる確率を dX とするとき,事象 X への対策をしたときの事象 X の年間発生確率(PX )は,QX (1-dX )で計算する。また,事象 A 又は事象 B が発生することによって事象 C が発生するとき,事象 C が発生する確率(PC )は,1-(1-PA )(1-PB )で計算する。
〔リスク分析結果〕
対策前のマルウェア感染(事象 A)の年間発生確率(QA ):40% 対策前の外部ネットワークからの侵入(事象 B)の年間発生確率(QB ):10% 情報漏えい(事象 C)は,マルウェア感染又は外部ネットワークからの侵入の発生によって,発生する。
ア dA =40%のマルウェア対策ソフトと dB =60%の IPS を導入する。
イ dA =50%のマルウェア対策ソフトと dB =50%の IPS を導入する。
ウ dA =75%のマルウェア対策ソフトを導入する。 正解
エ dB =75%の IPS を導入する。
正解 ウ
解説
対策後の年間発生確率は P=Q(1-d),事象 C は PC =1-(1-PA )(1-PB )で求める。QA =40%,QB =10%なので,アは PA =24%,PB =4%で PC =1-0.76×0.96=27.04%,イは PA =20%,PB =5%で PC =1-0.80×0.95=24%,ウは PA =10%,PB =10%で PC =1-0.90×0.90=19%,エは PA =40%,PB =2.5%で PC =1-0.60×0.975=41.5%。最も低いのはウの 19%である。
発生確率の高い事象 A(40%)を抑えるほうが効きやすい。エのように発生確率の低い事象 B だけを抑えても,事象 A がそのまま残るので全体はあまり下がらない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
通信の暗号化や利用者の認証の機能をもち,遠隔にあるコンピュータに安全にログインするためのプロトコルはどれか。
ア L2TP
イ LDAP
ウ RADIUS
エ SSH 正解
正解 エ
解説
SSH(Secure Shell)は,遠隔のコンピュータにログインして操作するためのプロトコルで,通信路の暗号化,サーバとクライアントの認証,利用者の認証を備える。平文のまま通信する telnet や rlogin を置き換えるものとして使われる。エが正しい。
アの L2TP は第 2 層のトンネリングプロトコルで,暗号化の機能はもたず IPsec と組み合わせて使う。イの LDAP はディレクトリに問い合わせるためのプロトコル。ウの RADIUS は認証サーバとアクセスサーバの間で認証・認可・課金の情報をやり取りするプロトコルであり,遠隔ログインの手段ではない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
スパムメール対策として,サブミッションポート(ポート番号 587)を導入する目的はどれか。
ア DNS サーバに SPF レコードを問い合わせる。
イ DNS サーバに登録されている公開鍵を使用して,デジタル署名を検証する。
ウ POP before SMTP を使用して,メール送信者を認証する。
エ SMTP-AUTH を使用して,メール送信者を認証する。 正解
正解 エ
解説
サブミッションポート(587番)は,利用者がメールサーバへメールを投稿するための専用ポート。ここでは SMTP-AUTH による送信者認証を必須にできるので,認証を通った利用者だけが送信でき,スパムの踏み台にされにくくなる。
アは SPF,イは DKIM による送信ドメイン認証。ウの POP before SMTP はサブミッションポート導入以前に使われた方式で,一定時間は認証なしで送信できてしまうなどの弱点があり,SMTP-AUTH に置き換えられた。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
キャッシュメモリにおけるセットアソシアティブ方式の説明として,適切なものはどれか。
ア CPU があるアドレスにアクセスすると,そのアドレスがキャッシュメモリに存在するかどうか,キャッシュメモリ内の全てのタグを検索する。
イ キャッシュされているアドレスに書込みが発生したとき,キャッシュメモリと主記憶の両方にデータを書き込む。
ウ 主記憶のある一つのメモリブロックを,キャッシュメモリ内の単一又は複数の配置可能なロケーションに対応付ける。 正解
エ プログラムが仮想アドレスにアクセスすると,対応する物理アドレスのメモリがアクセスされる。
正解 ウ
解説
セットアソシアティブ方式は,キャッシュメモリを複数のブロックから成るセットに分け,主記憶のブロックをアドレスから決まる一つのセットに対応付けたうえで,そのセットの中のどのブロックに置いてもよいとする方式である。ウが該当する。セットの中のブロック数が 1 ならダイレクトマップ方式,セットが 1 つだけならフルアソシアティブ方式になり,両者の中間に当たる。
アはキャッシュ全体のタグを一度に探すフルアソシアティブ方式の説明。イはライトスルー方式という書込みの方式の説明。エは仮想記憶におけるアドレス変換の説明であり,いずれも配置の方式ではない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
コンテナ型仮想化におけるオーケストレーションの説明として,適切なものはどれか。
ア アプリケーションとその実行環境をまとめ,一つの OS で動作させることによって,システム資源のオーバーヘッドが少なくなり,高速に起動できる。
イ ある物理サーバで動作している仮想サーバを,その仮想サーバで稼働しているソフトウェアは実行状態のまま,別の物理サーバに移動させる。
ウ 処理の順序やサービスの呼出しを制御するプログラムは存在せず,あらかじめ設定した動作条件に従って自律的に動作できる。
エ 処理の順序を制御するプログラムからのリクエストによってサービスを実行し,実行結果をレスポンスとして,制御するプログラムに返して処理を継続させる。 正解
正解 エ
解説
オーケストレーションは,全体を指揮するプログラムを置き,そこから各サービスを決められた順序で呼び出し,返ってきた結果を見て次の処理へ進める方式である。指揮者が処理の流れを握っているので,流れを一か所で把握・変更できる。エが該当する。
アはコンテナ型仮想化そのものの説明。イは仮想サーバを止めずに別の物理サーバへ移すライブマイグレーションの説明。ウは指揮者を置かず,各サービスが決められた条件で自律的に動くコレオグラフィの説明である。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
キャッシュサーバを利用した検索処理の平均応答時間は,キャッシュサーバでヒットした場合には 0.2 秒,ヒットしない場合には 2.2 秒である。現在の平均検索応答時間は,1.0 秒である。3 年後のキャッシュサーバのヒット率は,検索量の増加によって現状の半分になると予測されている。3 年後の平均検索応答時間は何秒か。ここで,その他のオーバーヘッドは考慮しない。
正解 ウ
解説
ヒット率を h とすると,現在の平均応答時間は 0.2h+2.2(1-h)=1.0 秒。整理すると 2.2-2h=1.0 となり h=0.6,つまり現在のヒット率は 60%である。3 年後はその半分の 30%になるので,平均応答時間は0.2×0.3+2.2×0.7=0.06+1.54=1.6 秒。ウが正しい。
ヒットしない場合の 2.2 秒がヒットした場合の 11 倍あるので,ヒット率が 60%から 30%へ下がると平均は 1.0 秒から 1.6 秒へ大きく延びる。キャッシュの効き具合が応答時間を左右することが読み取れる。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
コードの値からデータの対象物が連想できるコード体系はどれか。
ア シーケンスコード
イ デシマルコード
ウ ニモニックコード 正解
エ ブロックコード
正解 ウ
解説
ニモニックコードは,対象物の名称の一部や略号をそのままコードに使う方式。例えば東京を TKY,鉛筆を PEN とするように,コードの値を見れば何を指しているかが連想できる。ウが正しい。
アのシーケンスコードは発生順に番号を振るだけ,イのデシマルコードは10進の桁ごとに分類を割り当てるもの,エのブロックコードは分類ごとに番号の範囲を区切って割り当てるもので,いずれも値そのものから対象物を思い浮かべることはできない。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
トランザクションの隔離性水準を高めたとき,不整合なデータを読み込むトランザクション数と,単位時間に処理できるトランザクション数との適切な組合せはどれか。
ア 不整合なデータを読み込むトランザクション数:増える,単位時間に処理できるトランザクション数:増える
イ 不整合なデータを読み込むトランザクション数:増える,単位時間に処理できるトランザクション数:減る
ウ 不整合なデータを読み込むトランザクション数:減る,単位時間に処理できるトランザクション数:増える
エ 不整合なデータを読み込むトランザクション数:減る,単位時間に処理できるトランザクション数:減る 正解
正解 エ
解説
隔離性水準(トランザクション分離レベル)を高めると,ほかのトランザクションが確定していないデータや途中の状態を読めなくなるので,不整合なデータを読み込むトランザクションは減る。一方でロックを掛ける範囲と時間が広がり,待ちが増えるため,単位時間に処理できるトランザクション数(スループット)は減る。エが正しい。
この二つは互いに打ち消し合う関係にあり,どちらも良くすることはできない。業務が許す範囲でいちばん低い水準を選ぶ,というのが実務での考え方になる。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
LAN で使用されるスイッチングハブ(レイヤー2 スイッチ)は,フレームの蓄積機能,速度変換機能や交換機能をもっている。このようなスイッチングハブと同等の機能をもち,同じプロトコル階層で動作する装置はどれか。
ア ゲートウェイ
イ ブリッジ 正解
ウ リピータ
エ ルータ
正解 イ
解説
スイッチングハブはデータリンク層(第2層)で MAC アドレスを見てフレームを転送する装置。同じ第2層で動作し,フレームをいったん蓄積してから転送するのがブリッジで,スイッチングハブは多ポートのブリッジといえる。イが正しい。
アのゲートウェイはトランスポート層より上位でプロトコルの変換を行う装置。ウのリピータは物理層(第1層)で信号を増幅・整形するだけで,宛先は見ない。エのルータはネットワーク層(第3層)で IP アドレスを見て経路を選ぶ装置である。
出典:令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
ほかの年度
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
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平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
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平成23年度 秋期 午前Ⅱ
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平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 秋期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 秋期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 秋期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 秋期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和2年度 10月 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
平成31年度 春期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 春期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 春期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅰ
平成27年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 春期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 春期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 春期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 特別試験 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
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平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
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平成21年度 春期 午前Ⅰ