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平成26年度 秋期 午後Ⅱ

平成26年度 秋期に実施されたITストラテジスト試験 午後Ⅱの全3問(論述式)です。問題文・設問と,問われていることの整理をそのまま読めます。

この試験について:ITストラテジスト試験について

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問1 ITを活用した業務改革について

近年は,ITの進展によって,事業課題に対してITを積極的に活用し,新たな事業・サービスを展開することが可能になっている。このような中,ITストラテジストは,事業部門と協力して,ITを活用した業務改革を実施することによって,事業・サービスの優位性確保,新規顧客の獲得などの事業課題に対応することが求められている。

ITを活用した業務改革には,例えば,次のようなものがある。

ITストラテジストは,ITを活用した業務改革を実施する際,事業課題に関連する業務の現状と将来見通し,複数の改革案と各案の効果の比較,活用するITの費用などを検討し,定量的な費用対効果の根拠を示して経営者に説明することが重要である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

近年は,ITの進展によって,事業課題に対してITを積極的に活用し,新たな事業・サービスを展開することが可能になっている。このような中,ITストラテジストは,事業部門と協力して,ITを活用した業務改革を実施することによって,事業・サービスの優位性確保,新規顧客の獲得などの事業課題に対応することが求められている

本問は,ITストラテジストが実施した事業課題に対応するための業務改革とそのときに活用したIT,及び費用対効果の定量的な根拠とそのときに検討した項目を具体的に論述することを求めている。

本問では,論述を通じて,ITストラテジストに必要な分析力・企画力・洞察力・行動力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わった,ITを活用した業務改革について,業務改革の背景にある事業課題を,事業の概要,特性とともに,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 業務改革の背景にある事業課題
  • 事業の概要,特性

組み立ての注意

前文は,事業課題の例として,事業・サービスの優位性確保,新規顧客の獲得を挙げ,業務改革の例でも,外勤業務サービスの差別化,店舗の売上げ拡大,物流サービスの優位性確保を目的に置いている。事業課題は,業務改革の目的となるものとして書くと,設問イにつながる。

採点講評は,事業課題を明確に認識した上で業務改革を行った経験がある受験者は論述しやすかったとしている。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた事業課題に対応するために,実施した業務改革とそのときに活用したIT,及び費用対効果の定量的な根拠とそのときに検討した内容について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 実施した業務改革
  • そのときに活用したIT
  • 費用対効果の定量的な根拠
  • そのときに検討した内容

組み立ての注意

前文の例は,活用するIT(スマートデバイス,POS情報とSNS・ブログの情報,GPS端末と各種センサ),業務改革の中身,その結果として推進すること,を一続きにして挙げている。業務改革と活用したITを対にして書く。

検討した内容は,前文の例(事業課題に関連する業務の現状と将来見通し,複数の改革案と各案の効果の比較,活用するITの費用など)が手がかりになる。

採点講評は,業務改革でなく業務上の問題点の改善,システムの改善に終始した論述と,費用対効果の定量的な根拠を具体的に説明できていない論述を挙げている。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べた業務改革の実施結果は,経営者にどのように評価されたか。更に改善する余地があると考えている事項を含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 業務改革の実施結果に対する経営者の評価
  • 更に改善する余地があると考えている事項

組み立ての注意

評価の対象は,業務改革の実施結果である。前文は,定量的な費用対効果の根拠を示して経営者に説明することが重要であるとしている。設問イで示した根拠に照らして,結果がどう評価されたかを書くとつながる。

採点講評(IPA)

問1(ITを活用した業務改革について)では,事業課題を明確に認識した上で,この課題に対応するために費用対効果の定量的な根拠を検討し,適切なITを選択・活用した業務改革を行った経験がある受験者は,論述しやすかったと思われる。一方,業務改革でなく,業務上の問題点の改善,システムの改善に終始した論述,費用対効果の定量的な根拠を具体的に説明できていない論述が散見された。

全問共通

全問に共通して,ITストラテジストの経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2 情報システム基盤構成方針の策定の一環として行うクラウドコンピューティング導入方針の策定について

昨今,急激に変化している事業環境において,企業が競争に勝ち抜くためには,変化に俊敏かつ柔軟に対応できる情報システムが求められている。その一方で,情報システムは肥大化・複雑化しており,開発コスト・運用コストの削減が求められている。このような課題に取り組むために,短期間の導入,初期導入コストの削減,処理量の変動に対する柔軟性などを期待して,情報システム基盤構成方針の策定の一環としてクラウドコンピューティング導入方針を策定する企業が増えている。

クラウドコンピューティング導入方針の策定に当たっては,全体システム化計画との整合性に留意し,例えば次のような検討をすることが重要である。

このような検討を踏まえ,ITストラテジストは,クラウドコンピューティング導入方針を明確にする。また,クラウドコンピューティング導入方針の有効性,期待効果などを経営者に説明し,経営者から承認を得なければならない。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

俊敏かつ柔軟な情報システムの実現,情報システムの開発・運用のコスト削減などの課題に取り組むために,情報システム基盤構成方針の一環としてクラウドコンピューティングの導入方針を策定し,その利点を生かす企業が増えている。導入方針の策定に当たっては,情報システムの全体を俯瞰し,長期的,総合的な観点にたって検討しなければならない。

本問は,情報システム基盤構成方針の一環としてのクラウドコンピューティングの導入方針の策定に当たって,ITストラテジストが特に重要と考えたこと,策定した導入方針について具体的に論述することを求めている。

本問では,論述を通じて,ITストラテジストに必要な構想力・企画力・問題発見力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わった,情報システム基盤構成方針の策定の一環として行うクラウドコンピューティング導入方針の策定について,情報システムの課題とクラウドコンピューティング導入の背景を,事業環境,事業特性とともに,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 情報システムの課題
  • クラウドコンピューティング導入の背景
  • 事業環境,事業特性

組み立ての注意

前文は,情報システムの課題として,変化に俊敏かつ柔軟に対応できること,肥大化・複雑化した情報システムの開発コスト・運用コストの削減を挙げ,クラウドコンピューティングに期待することとして,短期間の導入,初期導入コストの削減,処理量の変動に対する柔軟性を挙げている。課題と導入の背景が結び付くように書く。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた課題への取組みとして,どのようなクラウドコンピューティング導入方針を策定したか。特に重要と考えて検討したことを明確にして,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 策定したクラウドコンピューティング導入方針
  • 特に重要と考えて検討したこと

組み立ての注意

検討したことは,前文の例(基盤が混在する場合の基盤間の整合性,事業展開への対応の俊敏性,柔軟性,長期間利用や自社運用型情報システムとの連携の場合のTCO,サービスを外部に委託する場合のサービスレベル,情報セキュリティ対策などを提供できるサービスプロバイダ)が手がかりになる。

採点講評は,個別システムのクラウドコンピューティング導入方針の論述に終始し,全体システム化計画との整合性,情報システム基盤構成方針との関係性が明確でないものを挙げている。出題趣旨も,情報システムの全体を俯瞰し,長期的,総合的な観点にたって検討することを求めている。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べた導入方針について,経営者にどのように説明し,承認を得たか。経営者の評価,更に改善する余地があると考えている事項を含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 経営者への説明と承認の得方
  • 経営者の評価
  • 更に改善する余地があると考えている事項

組み立ての注意

説明の中身は,前文のとおり,クラウドコンピューティング導入方針の有効性,期待効果などが手がかりになる。有効性や期待効果は,設問アの課題に照らして示す。

採点講評(IPA)

問2(情報システム基盤構成方針の策定の一環として行うクラウドコンピューティング導入方針の策定について)では,クラウドコンピューティングの導入計画立案に関わった経験のある受験者には論述しやすかったと思われる。しかし,個別システムのクラウドコンピューティング導入方針の論述に終始し,全体システム化計画との整合性,情報システム基盤構成方針との関係性が明確でないものも散見された。

全問共通

全問に共通して,ITストラテジストの経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3 組込みシステムの非機能要件について

組込みシステムのITストラテジストには,組込みシステムの企画を推進するために,要求事項を取りまとめる能力が求められる。その際に,機能要件だけを重視すると,企画した製品に想定外の問題が発生し,解決のために新たなコストが必要となるなど,経営そのものに大きな影響を与える場合がある。さらに,機能要件以外に性能,品質などの非機能要件を明確にすることは,製品戦略的にも他社との差別化及び優位性の確保につながるので重要である。

組込みシステムの主な非機能要件を次に示す。

組込みシステムのITストラテジストは,システムアーキテクト,エンベデッドシステムスペシャリスト,マーケティング部門,調達部門などに非機能要件の洗い出しを依頼する。その際に,洗い出した非機能要件を達成するために必要な,知的財産権,コストなども報告を受ける。次に各担当・各部門から提示された非機能要件は,内容を分析・評価し,その評価結果から製品戦略にどのように適用すべきかを検討する。非機能要件は,製品戦略的にも他社との差別化,自社の強みに寄与することになる。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

組込みシステムのITストラテジストは,企画を推進するために,要求事項をとりまとめる能力が求められている。その際に,機能要件以外にも性能,品質などの非機能要件を明確にする能力が必要である。

本問は,付加価値及び競争力をもった組込みシステムの企画・開発を行うために,各担当部門に開発する製品に対する非機能要件の洗い出しの依頼と調整,依頼した内容の妥当性の評価とどのように適用したかについて具体的に論述することを求めている。

本問では,論述を通じて組込みシステムのITストラテジストに必要な非機能要件をとりまとめる能力,調整能力,評価能力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが非機能要件の分析を重要と考えた組込みシステムの概要と,その背景・技術的な特徴について,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 非機能要件の分析を重要と考えた組込みシステムの概要
  • その背景・技術的な特徴

組み立ての注意

前文は,機能要件だけを重視すると想定外の問題や新たなコストが発生し経営に影響を与える場合があること,非機能要件を明確にすることが他社との差別化及び優位性の確保につながることを挙げている。背景は,その製品で非機能要件の分析が重要になった理由として書く。

採点講評は,製品における非機能要件の位置づけが不十分な論述を挙げている。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた組込みシステムにおける非機能要件の洗い出しに当たり,どのような観点で担当・部門を決定し依頼したか。各担当・各部門から報告された内容,分析・評価結果とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 担当・部門を決定し依頼した観点
  • 各担当・各部門から報告された内容
  • 分析・評価結果

組み立ての注意

前文は,依頼先の例(システムアーキテクト,エンベデッドシステムスペシャリスト,マーケティング部門,調達部門など)と,非機能要件の例(信頼性・可用性・保全性・安全性,時間効率性,セキュリティ,使用性,環境リスクの緩和性,製品の長期安定供給の保証)を挙げている。どの非機能要件をどの担当・部門に依頼したのかが分かるように書く。

採点講評は,各部門へ依頼した際の観点について不十分な内容の論述を挙げている。

報告された内容には,前文のとおり,非機能要件を達成するために必要な知的財産権,コストなども含まれる。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べた非機能要件の評価結果及び製品戦略に適用したことの妥当性を,リリース後の売上実績,市場の反響などを含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 非機能要件の評価結果の妥当性
  • 製品戦略に適用したことの妥当性
  • リリース後の売上実績,市場の反響など

組み立ての注意

前文は,評価結果から製品戦略にどのように適用すべきかを検討するとしている。設問イではこの適用まで書かれていないので,ここで評価結果をどう製品戦略に適用したかを示した上で,その妥当性を述べる。

妥当性は,リリース後の売上実績,市場の反響などに照らして書く。前文のとおり,非機能要件が他社との差別化,自社の強みに寄与したかが観点になる。

採点講評(IPA)

問3(組込みシステムの非機能要件について)では,自社製品開発時に非機能要件に配慮し,製品戦略への適用や実施過程に対する総括的な評価を行った経験のある受験者は,論述しやすかったと思われる。一方で,製品における非機能要件の位置づけが不十分な論述や,各部門へ依頼した際の観点について不十分な内容の論述も散見された。

全問共通

全問に共通して,ITストラテジストの経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。

出典:平成26年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問3(表記を一部改変)