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平成29年度 秋期 午後Ⅱ

平成29年度 秋期に実施されたITサービスマネージャ試験 午後Ⅱの全2問(論述式)です。問題文・設問と,問われていることの整理をそのまま読めます。

この試験について:ITサービスマネージャ試験について

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問1 ITサービスの提供における顧客満足の向上を図る活動について

提供しているITサービスに対する顧客満足の向上を図る活動は,ITサービスマネージャの重要な業務である。顧客満足の向上を図るためには,顧客とのコミュニケーションによって顧客の期待・要求事項を正確に理解し,顧客との良好な関係を維持することが必要である。

顧客とのコミュニケーションの仕組みとしては,サービスの報告プロセスで実施する定例サービス報告会などが挙げられる。

サービスの報告では,次のような内容を顧客に報告し,レビューを行う。

コミュニケーションの仕組みを使って,サービスの価値,費用なども含めた顧客の期待と満足の状態を把握することが望ましく,顧客満足を得られていない内容については,顧客満足の向上のための活動計画を策定し,確実に実施していく必要がある。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

顧客満足の向上に向けた活動は,事業関係管理プロセスとして位置付けられており,ITサービスマネージャの重要な業務である。また,品質マネジメント規格では,顧客満足を顧客の期待が満たされている程度に関する顧客の受け止め方と定めている。顧客の要求事項の達成だけでなく,顧客の期待に焦点を合わせた活動が求められる。

本問では,顧客の期待や要求事項を理解するためのコミュニケーションの仕組み,サービスの報告でレビューしたサービス目標の達成状況,課題,課題への対策について具体的に論述することを求めている。併せて,コミュニケーションの仕組みを使って把握した顧客の期待と満足の状態,及び顧客満足の向上のために策定した活動計画と実施状況についても論述することを求めている。論述を通じて,ITサービスマネージャとして有すべき問題分析能力,方策実施能力,顧客関係と顧客満足を管理する能力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わったITサービスの概要と,顧客とのコミュニケーションの仕組みについて,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 携わったITサービスの概要
  • 顧客とのコミュニケーションの仕組み

組み立ての注意

前文は,仕組みの例として,サービスの報告プロセスで実施する定例サービス報告会を挙げている。設問ウでは,この仕組みを使って顧客の期待と満足の状態を把握したことを書くので,何を・いつ・誰と共有する仕組みなのかが分かるように書く。

採点講評は,顧客とのコミュニケーションの仕組みについて,独創的な内容や工夫点がうかがえる論述は少なかったとしている。

設問イ 800字以上1,600字以内

サービスの報告でレビューしたサービス目標の達成状況,課題,及び課題への対策について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • サービスの報告でレビューしたサービス目標の達成状況
  • 課題
  • 課題への対策

組み立ての注意

前文にある報告内容の1つ目(SLAで定義したサービス目標の達成状況,課題,及び課題への対策)に当たる。達成状況はSLAのサービス目標に照らして書き,課題と対策はそこから導く。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問アで述べたコミュニケーションの仕組みを使って把握した顧客の期待と満足の状態,及び顧客満足の向上のために策定した活動計画と実施状況について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • コミュニケーションの仕組みを使って把握した顧客の期待と満足の状態
  • 顧客満足の向上のために策定した活動計画
  • 活動計画の実施状況

組み立ての注意

前文は,サービスの価値,費用なども含めた顧客の期待と満足の状態を把握し,顧客満足を得られていない内容について活動計画を策定することを求めている。設問イのSLAの達成状況とは別の,顧客の受け止め方の話になる。

採点講評は,把握した顧客の期待と満足の状態について,真に顧客が期待している内容を深堀りする論述は少なかったとしている。

採点講評(IPA)

問1(ITサービスの提供における顧客満足の向上を図る活動について)では,サービスの報告でレビューしたサービス目標の達成状況,課題,及び課題への対策,並びに,顧客とのコミュニケーションの仕組みを使って把握した顧客の期待と満足の状態及び顧客満足の向上のために策定した活動計画と実施状況について論述することを求めた。ITサービスマネージャとして,サービス目標の達成状況などについては,日頃から顧客と定期的に報告会を行うなどを経験している受験者にとっては取り組みやすかったようで,課題に対して適切な対策を検討している良質な論述が多かった。しかし,コミュニケーションの仕組みを使って把握した顧客の期待と満足の状態については,真に顧客が期待している内容を深堀りする論述は少なかった。また,顧客とのコミュニケーションの仕組みについても,独創的な内容や工夫点がうかがえる論述は少なかった。ITサービスマネージャとして,顧客との良好なコミュニケーションを維持し,顧客満足の向上を図る取組みに努めてほしい。

出典:平成29年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2 継続的改善によるITサービスの品質向上について

ITサービスの品質を向上するには,サービス品質の目標を設定し,目標達成に向けた改善活動を継続的に実施することが求められる。

サービス品質の目標として具体例を挙げると,稼働率の改善,インシデント発生件数の削減,サービス要求のリードタイム短縮などがある。また,目標達成のための方策としては,内部プロセスの改善,要員の技能向上などがある。

サービス品質の目標達成に向けた改善活動の取組みは,PDCAサイクルを適用して次のように進めていく。

このような活動の実施に当たっては,重要業績評価指標(KPI)を定め,定期的に評価し,目標達成に向けた継続的改善活動を行うことも有効である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

ITサービスマネージャは,サービス品質向上の目標達成に向けて,PDCAサイクルに従って改善活動を実施していく。また,活動の評価結果に基づいて,活動を見直し,継続的改善に取り組む。

本問では,向上すべきサービス品質の目標及び目標値,目標値達成のための方策及び管理指標などを具体的に論述することを求めている。併せて,改善活動を振り返り,評価した結果を次の取組み計画にどのように生かし,継続的改善活動を行ったかについても論述することを求めている。論述を通じて,ITサービスマネージャとして有すべき改善の方策を立案する能力,実施を管理する能力,方策の実施結果を評価し,更なる改善計画を立案する能力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わったITサービスの概要及び特に重要と考えたサービス品質とその目標及び目標値について,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 携わったITサービスの概要
  • 特に重要と考えたサービス品質
  • サービス品質の目標及び目標値

組み立ての注意

前文の①に当たる。目標の例は稼働率の改善,インシデント発生件数の削減,サービス要求のリードタイム短縮。現状のサービス品質を把握した上で設定するとされているので,現状と目標値の差が分かるように書く。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べたサービス品質の目標値を達成するために立案した方策について,管理指標と方策立案時の考慮点を含め,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 目標値を達成するために立案した方策
  • 管理指標
  • 方策立案時の考慮点

組み立ての注意

前文の②に当たる。管理指標は「方策の実施状況を把握するため」のもので,考慮点の手がかりとして実施費用と実施期間が挙がっている。

採点講評は,目標の達成状況を把握するための指標として管理指標を論述するものが多数見られたとしている。管理指標は,目標値(サービス品質)とは別に,方策が進んでいるかを測るものとして書く。

設問ウ 600字以上1,200字以内

サービス品質の目標達成に向けた改善活動を振り返り,評価した結果を次の取組み計画にどのように生かし,継続的改善活動を行ったかについて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 改善活動を振り返って評価した結果
  • 評価した結果を次の取組み計画にどのように生かし,継続的改善活動を行ったか

組み立ての注意

前文の③・④に当たる。管理指標の達成度合いと目標値の達成状況を確認し,それを振り返って次の取組み計画に生かす流れで書く。

採点講評は,課題と対策という視点で一過性の方策だけに終始する論述が散見されたとし,PDCAサイクルに従った改善活動を求めている。「次の取組み計画」で何を変えたかまで書く。

採点講評(IPA)

問2(継続的改善によるITサービスの品質向上について)では,提供しているITサービスにおいて,サービス品質の目標と目標値を設定し,目標達成のための方策を立案し,活動結果を評価し,次の取組みを実施したか,いわゆるサービス品質向上のPDCAサイクルを適用した活動を論述することを求めた。ITサービスマネージャとして,PDCAサイクルを意識した論述もある一方で,課題と対策という視点で一過性の方策だけに終始する論述も散見された。また,本文で“方策の実施状況を把握するための管理指標を設定する”としているが,目標の達成状況を把握するための指標として管理指標を論述するものも多数見られた。ITサービスマネージャとして,サービス品質の向上に向けて,PDCAサイクルに従った改善活動の実践に努めてほしい。

出典:平成29年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅱ 問2(表記を一部改変)