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平成27年度 秋期 午後Ⅱ

平成27年度 秋期に実施されたシステムアーキテクト試験 午後Ⅱの全3問(論述式)です。問題文・設問と,問われていることの整理をそのまま読めます。

この試験について:システムアーキテクト試験について

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問1 システム方式設計について

システムアーキテクトは,情報システムの開発で,ハードウェア,ソフトウェア及び人手による作業をどのように組み合わせてシステム要件を実現するのかを総合的に検討し,システム方式を設計する。総合的な検討の視点としては,業務プロセスへの効果,実現可能性などがある。業務プロセスへの効果としては,情報システムの稼働後の業務の処理時間短縮,品質向上,運用コスト削減などがある。実現可能性の判断のためには,適用技術,開発コスト,開発期間,セキュリティリスク,運用性,保守性などを考慮する。

このようなシステム方式設計には,例えば次のようなものがある。

また,システム方式設計の結果は,利用者に説明しなければならない。そのため,情報システム稼働後の業務の全体像を示して業務部門の役割分担を明確にしたり,業務担当者の利用するシステム機能を業務フローに明示して情報システムの利用局面を示したりするなど,利用者の理解度を高める工夫をすることも必要である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

システム方式設計は,システム開発におけるシステムアーキテクトの重要な役割の一つである。システム方式設計では,業務プロセスへの効果と実現可能性などを総合的に検討しなければならない。また,システム方式設計の結果を利用者に説明し,理解してもらうことが必要であり,そのための工夫をすることも重要である。

本問は,システム方式設計について,設計結果とその決定理由,利用者の理解度を高めるための工夫を具体的に論述することを求めている。論述を通じて,システムアーキテクトに必要なシステム方式設計の能力と経験などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたがシステム方式設計に携わった,対象の業務と情報システムの概要を,それぞれの特徴を含めて,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 対象の業務の概要
  • 情報システムの概要
  • 業務と情報システムそれぞれの特徴

組み立ての注意

業務と情報システムの両方について,概要に加えて「それぞれの特徴」が問われている。

設問イで,ハードウェア,ソフトウェア及び人手による作業の組合せを,業務プロセスへの効果や実現可能性から決めた理由を述べるので,その判断の材料になる業務の特徴(作業の重要度や実施頻度など)が分かるように書いておくと,後の論述がつながる。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた情報システムで,どのようなシステム要件を実現するために,どのようなシステム方式を設計したか。業務プロセスへの効果,実現可能性などの決定理由を含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 実現しようとしたシステム要件
  • 設計したシステム方式
  • 業務プロセスへの効果,実現可能性などの決定理由

組み立ての注意

システム方式は,前文のとおり,ハードウェア,ソフトウェア及び人手による作業をどう組み合わせてシステム要件を実現するかとして書く。前文の例(重要な作業は全てソフトウェア開発の対象に含める,手作業でも問題にならない作業は人手で実施する,共通機能にはソフトウェアパッケージを活用する)も,何をシステム化し何を人手に残すかを決めている。

採点講評は,システム方式の設計そのものではなく,既に設計されたシステム方式を前提としたソフトウェア方式やソフトウェアの機能設計に関する論述を挙げている。

決定理由は,前文の業務プロセスへの効果(処理時間短縮,品質向上,運用コスト削減)と実現可能性(適用技術,開発コスト,開発期間,セキュリティリスク,運用性,保守性)を材料にする。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べたシステム方式設計の結果を説明する際に実施した,利用者の理解度を高める工夫を,実例を含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 利用者の理解度を高める工夫
  • 工夫の実例

組み立ての注意

工夫は,前文の例(情報システム稼働後の業務の全体像を示して業務部門の役割分担を明確にする,業務担当者の利用するシステム機能を業務フローに明示して利用局面を示す)のように書く。

「実例を含めて」とあるので,設問イで設計したシステム方式のどの部分を,どう示して説明したかを具体的に書く。採点講評の全問共通の指摘のとおり,問題文の観点や事例は例示であり,抜き出して一般論と組み合わせるだけにしない。

採点講評(IPA)

問1(システム方式設計について)では,システム要件をハードウェア,ソフトウェア及び人手による作業をどのように組み合わせて実現したかというシステム方式の設計結果を具体的に論述することを期待した。システム要件をどのように実現したかについては多くの受験者が論述していた。しかし,システム方式の設計そのものではなく,既に設計されたシステム方式を前提としたソフトウェア方式やソフトウェアの機能設計に関する論述が散見された。システムアーキテクトには,業務を情報システムの視点から整理する役割が求められることを認識してほしい。

全問共通

全問に共通して,設問に素直に答えている論述が多かった。また,問題文の引用で文字数を費やし,内容が薄くなってしまっている論述も少なかった。一方で,問題文に記載してある観点などを抜き出し,一般論と組み合わせただけの論述は引き続き散見された。問題文に記載した観点や事例は,例示である。自らが実際にシステムアーキテクトとして,検討し取り組んだことを具体的に論述してほしい。

出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2 業務の課題に対応するための業務機能の変更又は追加について

システムアーキテクトは,業務の課題に対応するために,情報システムの業務機能を変更したり追加したりする。

例えば,通信販売業で,受注量や納品場所などの変更を出荷指示直前まで受け付け,受注当日中に出荷したいという業務の課題に対応するためには,次のような業務機能の変更又は追加が必要となる。

このような業務機能の変更又は追加では,既存機能の活用や既存の情報システムへの影響の最小化のために,例えば次のような工夫をすることも重要である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

システムアーキテクトは,業務の課題に対応するために,情報システムの業務機能を変更したり追加したりする。このような業務機能の変更又は追加では,既存機能の活用及び既存の情報システムへの影響を最小限に抑えるための工夫をする。

本問は,システムアーキテクトが業務の課題に対応するために必要となった業務機能とそれが必要となった理由,それに対応するために情報システムを変更したり追加したりした内容とその工夫について,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,システムアーキテクトに必要な情報システムの業務機能の変更又は追加に関する能力を評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わった情報システムにおいて,業務機能の変更又は追加を必要とするような業務の課題はどのようなものであったか。対象となった情報システムの概要,及び業務の概要とともに,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 業務機能の変更又は追加を必要とした業務の課題
  • 対象となった情報システムの概要
  • 業務の概要

組み立ての注意

業務の課題は,前文の例(受注量や納品場所などの変更を出荷指示直前まで受け付け,受注当日中に出荷したい)のように,業務の側の課題として書く。

採点講評は,情報システムの変更が業務にどのような効果をもたらすかまで言及していないなど,業務の課題を認識できていないと思われる論述を挙げている。ここで課題をはっきりさせておくと,設問イの「対応できると考えた理由」につながる。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた業務の課題に対応するために,どのような業務機能の変更又は追加が必要となったか。業務の課題に対応できると考えた理由とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 必要となった業務機能の変更又は追加
  • 業務の課題に対応できると考えた理由

組み立ての注意

変更又は追加は,前文の例(受注から出荷指示までの業務機能を日次起動方式から随時起動方式に変更する,移動距離が最短となるピッキング順序を指示する機能を追加する)のように,どの業務機能をどう変えたか,何を足したかとして書く。

理由は,その変更又は追加によって業務がどう変わり,設問アの課題にどう対応できるのかとして書く。採点講評が挙げるとおり,情報システムの変更が業務にどのような効果をもたらすかまで言及する。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べた業務機能の変更又は追加の際,既存機能の活用や既存の情報システムへの影響の最小化のために,どのような工夫をしたか,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 既存機能の活用や既存の情報システムへの影響の最小化のための工夫

組み立ての注意

工夫は,前文の例(既存の出荷指示のロジック部分をそのまま利用して処理方式だけを変える,新たな機能を別に開発して既存の情報システムから利用する方式にする)のように書く。前文の例は,設問イに当たる変更・追加の例とそれぞれ対になっている。

設問イで述べた変更又は追加のそれぞれについて,既存機能をどう活かしたか,既存の情報システムへの影響をどう抑えたかが分かるように書く。

採点講評(IPA)

問2(業務の課題に対応するための業務機能の変更又は追加について)では,業務課題とその解決のために必要になった情報システムの業務機能の変更又は追加の内容を,具体的に論述することを期待した。情報システムの変更又は追加の内容については具体的に論述されているものが多かった。しかし,情報システムの変更が業務にどのような効果をもたらすかまでは言及していないなど,業務の課題を認識できていないと思われる論述が散見された。システムアーキテクトには,対象業務や業務目的を正しく理解し,情報システム開発に反映する能力が求められることを認識してほしい。

全問共通

全問に共通して,設問に素直に答えている論述が多かった。また,問題文の引用で文字数を費やし,内容が薄くなってしまっている論述も少なかった。一方で,問題文に記載してある観点などを抜き出し,一般論と組み合わせただけの論述は引き続き散見された。問題文に記載した観点や事例は,例示である。自らが実際にシステムアーキテクトとして,検討し取り組んだことを具体的に論述してほしい。

出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3 組込みシステム製品を構築する際のモジュール間インタフェースの仕様決定について

組込みシステム製品は,各機能に対応したモジュール,ユニットなど(以下,モジュールという)を組み合わせて構築する場合がある。モジュール間インタフェースの仕様決定に際しては,組込みシステム製品に求められる要件に配慮しながら,将来発生し得る事態も想定し,適切に対応できるように設計することが望まれる。

例えば,開発着手後の仕様の変更・追加が想定される組込みシステム製品の場合は,他のモジュールに影響しないようにインタフェースの仕様を決定し,柔軟性をもたせる。そのためには,モジュール間を疎結合とし,機能を極力独立させるようなインタフェースにする。一方で,機能仕様が固定されていて,少ないハードウェア資源で大きなパフォーマンスが要求される組込みシステム製品の場合は,全体を密結合としたインタフェースにする。

また,長期間使用されることが求められる組込みシステム製品の場合は,将来,保守,リプレースなどでモジュールの交換が発生することがある。その際,陳腐化,生産中止などの理由から新たなモジュールに置き換えなければならなくなるリスクが想定される。

したがって,組込みシステム製品に求められる要件を満たすためには,開発に着手する前に,最適なモジュール分割,モジュールの結合度,製品寿命などを考慮した上で,インタフェースの仕様を十分に検討することが重要である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

組込みシステムを構築する際,各機能に対応したモジュール,ユニットなどを組み合わせて構成する場合がある。組込みシステム製品に求められる要件に配慮しながら,将来発生し得る事態も想定し,適切に対応できるように設計することが望まれる。

本問は,モジュール間インタフェースの仕様を決定するに当たって,結合度などについて,ライフサイクルを見据えた適切なインタフェースの仕様を検討したか,また,その結果をどのように分析したかを具体的に論述することを求めている。論述を通じて,組込みシステムのシステムアーキテクトに必要なインタフェースの設計における実践的能力を評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わった組込みシステム製品の概要,特徴,及び要件について,モジュール間インタフェース仕様で配慮した内容を含めて,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 携わった組込みシステム製品の概要
  • 組込みシステム製品の特徴
  • 組込みシステム製品の要件
  • モジュール間インタフェース仕様で配慮した内容

組み立ての注意

前文は,開発着手後の仕様の変更・追加が想定される製品と,機能仕様が固定されていて少ないハードウェア資源で大きなパフォーマンスが要求される製品とで,インタフェースの結合度を変えるとしている。製品の特徴と要件は,インタフェース仕様で何に配慮したかにつながるように書く。

採点講評は,一般的な仕様決定方針を述べるにとどまり,システム特有の条件に対する考慮に欠ける論述を挙げている。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた組込みシステム製品に求められる要件に適切に対応するために考慮したモジュール間インタフェースについて,将来発生し得ると想定した事態の内容,及びその事態に対してどのように配慮したかを,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 将来発生し得ると想定した事態の内容
  • その事態に対する配慮

組み立ての注意

想定した事態は,前文の例(開発着手後の仕様の変更・追加,保守やリプレースでのモジュールの交換,陳腐化や生産中止による新たなモジュールへの置換え)のように書く。

配慮は,前文が挙げるモジュール分割,モジュールの結合度(疎結合・密結合),製品寿命などの観点から,インタフェースの仕様をどうしたかとして書く。出題趣旨は,ライフサイクルを見据えた適切なインタフェースの仕様の検討を求めている。

採点講評は,個別の課題解決の羅列となり,システム全体が見渡せない論述を挙げている。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べたモジュール間インタフェースの仕様決定が,組込みシステム製品の開発にどのように影響し,組込みシステム製品の納入後に,どのように評価されたかを,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 仕様決定が組込みシステム製品の開発に与えた影響
  • 組込みシステム製品の納入後の評価

組み立ての注意

問われているのは2つの時点のこと。開発への影響(開発中)と,納入後の評価(納入後)を分けて書く。

出題趣旨は,インタフェースの仕様を検討した結果をどのように分析したかを求めている。設問イで想定した事態への配慮が,開発と納入後にどう効いたかを照らして書く。

採点講評(IPA)

問3(組込みシステム製品を構築する際のモジュール間インタフェースの仕様決定について)では,システム要件を満たすインタフェース仕様を題材として,ライフサイクルを考慮したシステム設計についての実践的な論述を期待した。全体的に適切に論述されているものが多かった。しかし,一般的な仕様決定方針を述べるにとどまり,システム特有の条件に対する考慮に欠けるものや,個別の課題解決の羅列となり,システム全体が見渡せない論述も散見された。

全問共通

全問に共通して,設問に素直に答えている論述が多かった。また,問題文の引用で文字数を費やし,内容が薄くなってしまっている論述も少なかった。一方で,問題文に記載してある観点などを抜き出し,一般論と組み合わせただけの論述は引き続き散見された。問題文に記載した観点や事例は,例示である。自らが実際にシステムアーキテクトとして,検討し取り組んだことを具体的に論述してほしい。

出典:平成27年度 秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問3(表記を一部改変)