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平成28年度 秋期 午後Ⅱ

平成28年度 秋期に実施されたITストラテジスト試験 午後Ⅱの全3問(論述式)です。問題文・設問と,問われていることの整理をそのまま読めます。

この試験について:ITストラテジスト試験について

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問1 ビッグデータを活用した革新的な新サービスの提案について

近年,今まではコンピュータで処理しにくかった膨大な情報であるビッグデータを活用し,革新的な新サービスを実現することによって,事業を優位に展開することが可能となってきた。

例えば,センサと通信技術の向上によって収集できるようになったビッグデータを活用し,生産管理や物流管理を高度化する新サービスが実現されている。具体的には,製造分野では,生産設備の稼働情報と製品の品質情報との相関関係を分析し,生産設備の最適設定・予防保守などの新サービスを展開している。

また,文章や画像,音声などの非構造化データの認識技術や処理方式の確立によって,大量の文献や,消費者がSNS上で発信する情報,監視カメラ情報などのビッグデータを解析し,新サービスに活用し始めている。具体的には,医療分野では,多数の患者の電子カルテ,医療画像情報,投薬情報などを統計的に分析し,副作用が少ない処方箋の作成という新サービスを行っている。

ITストラテジストは,事業を優位に展開するために,ビッグデータを活用した革新的な新サービスの提案を行うことが求められることがある。その際に,次のような事項について検討することが重要である。

さらに,ビッグデータを活用した革新的な新サービスを,マネジメント層に提案して承認を得る必要がある。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

近年,ビッグデータを活用し,革新的な新サービスを実現することで事業を優位に展開することが求められるようになってきている。

本問は,事業を優位に展開するための,ビッグデータを活用した革新的な新サービスについて,新サービスが実現する効果や効能と,ビッグデータの活用によって,今までのサービスとどのように違うのかなどについて,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,ITストラテジストに必要な構想力,企画力,説明力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わった,ビッグデータを活用した革新的な新サービスの提案の背景にある事業環境,事業概要について,事業特性とともに,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 事業環境
  • 事業概要
  • 事業特性

組み立ての注意

いずれも新サービスの「提案の背景にある」ものとして問われている。前文は,ビッグデータを活用した新サービスによって事業を優位に展開することが可能となってきたとしている。事業環境は,なぜ事業を優位に展開する新サービスが必要だったのかが分かるように書くと,設問イにつながる。

採点講評は全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”が適切に記述されていないものと,解答字数の不足した答案を挙げている。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた事業を優位に展開するためのビッグデータを活用した革新的な新サービスは何か。顧客や状況,効果や効能,実現方法,今までのサービスとの違いを明確にして,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • ビッグデータを活用した革新的な新サービス
  • 顧客や状況
  • 効果や効能
  • 実現方法
  • 今までのサービスとの違い

組み立ての注意

明確にする4点は,前文の検討事項の2つの箇条(どのような顧客に,どのような状況で,どのような効果や効能を実現するのか/ビッグデータを活用することによって,どのように実現され,今までのサービスとどのように違うのか)にそのまま当たる。

採点講評は,活用したビッグデータが明確に定義されていない論述と,革新的なサービスの実現方法について具体的な記述が少ないなど,実現可能な提案と評価できない論述を挙げている。どのようなビッグデータを,どう活用して実現するのかを具体的に書く。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べた,ビッグデータを活用した革新的な新サービスを,マネジメント層にどのように提案し,どのように評価されたか。改善の余地があると考えている事項を含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • マネジメント層への提案の仕方
  • 受けた評価
  • 改善の余地があると考えている事項

組み立ての注意

前文は,新サービスをマネジメント層に提案して承認を得る必要があるとしている。提案の仕方は,設問イで明確にした効果や効能,今までのサービスとの違いをどう示したかとして書くとつながる。出題趣旨も,ITストラテジストに必要な説明力を評価するとしている。

改善の余地は,提案や評価を踏まえて,今,改善の余地があると考えている事項として書く。

採点講評(IPA)

問1(ビッグデータを活用した革新的な新サービスの提案について)では,事業を優位に展開するために,ビッグデータを活用して革新的な新サービスを提案した経験がある受験者には,論述しやすかったと思われる。一方で,活用したビッグデータが明確に定義されていない,革新的なサービスの実現方法について具体的な記述が少ないなど実現可能な提案と評価できない論述が散見された。

全問共通

全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”又は“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものが目立った。これらは論述の一部であり,評価の対象となるので,矛盾なく適切な記述を心掛けてほしい。また,解答字数の不足した答案が目立った。

ITストラテジストの経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。問題文及び設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。

出典:平成28年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2 IT導入の企画における業務分析について

事業全体の業務の効率向上・スピードアップ,新規事業による売上拡大などの事業目標の達成に向けて,ITストラテジストが事業部門とともに業務分析を行い,真の問題を発見してその原因を究明し,問題の解決策としてIT導入を企画することが増えている。特に,経営の要求に適時適切に応えられないIT,標準化されていないITなどが業務のボトルネックになっていたり,モバイルコンピューティング,IoTなどの新しいITの活用によって業務改革,新規事業が実現できたりする場合,ITストラテジストへの期待は大きい。

業務分析では,事業目標を理解し,まず,業務内容,業務プロセス,IT活用などの現状を調査して問題を発見する。次に,個々の問題を関連付けたり,顕在化していない問題を探ったり,経営の視点で業務全体をふかんしたりして真の問題を発見し,その原因を究明する。この過程では,例えば次のようなことが重要である。

問題の解決策の策定では,ITストラテジストはIT導入を企画し,適用するITの機能,性能を明確にすることが必要である。その上で,投資規模,ITの導入範囲などを検討し,事業部門に対してIT導入の投資効果を説明する必要がある。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

ITストラテジストは,事業目標達成のためのIT企画を行うとき,事業部門とともに業務分析を行い,真の問題を発見してその原因を究明し,問題の解決策としてIT導入を企画することがある。

本問は,どのような業務分析を行い,どのように真の問題を発見し,その原因を究明したか,また,問題の解決策としてどのような機能,性能のIT導入を企画したかを具体的に論述することを求めている。論述を通じて,ITストラテジストに必要な問題分析力,IT企画力,構想力,コミュニケーション能力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わった,事業目標の達成に向けたIT導入の企画における業務分析について,事業目標の概要,業務分析が必要になった背景を事業特性とともに,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 事業目標の概要
  • 業務分析が必要になった背景
  • 事業特性

組み立ての注意

前文は,事業目標の例(事業全体の業務の効率向上・スピードアップ,新規事業による売上拡大)と,業務分析が必要になる場面の例(経営の要求に適時適切に応えられないIT,標準化されていないITなどが業務のボトルネックになっている,新しいITの活用によって業務改革,新規事業が実現できる)を挙げている。背景は,事業目標の達成に向けて業務分析が必要になった理由として書く。

採点講評は全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”が適切に記述されていないものと,解答字数の不足した答案を挙げている。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた業務分析において,どのような手段,工夫で真の問題を発見し,その原因を究明したか。また,問題の解決策としてどのような機能,性能のIT導入を企画したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 真の問題を発見し,原因を究明した手段,工夫
  • 問題の解決策として企画したIT導入の機能,性能

組み立ての注意

手段,工夫は,前文の例(業務フロー,業務機能関連図などによる業務の可視化,MECE,バリューチェーン分析などの手法による全体の網羅,ベンチマーク,他社の成功事例などとの客観的な比較検討)が手がかりになる。前文は,個々の問題を関連付けたり,顕在化していない問題を探ったり,経営の視点で業務全体をふかんしたりして真の問題を発見するとしている。

採点講評は,問題の原因を究明せず,問題とその解決策だけの論述を挙げている。発見した真の問題,その原因,解決策としてのIT導入を順につなげて書く。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べたIT導入について,その投資効果をどのように事業部門に説明したか。また,今後,改善すべきことは何か。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 投資効果の事業部門への説明の仕方
  • 今後,改善すべきこと

組み立ての注意

前文は,適用するITの機能,性能を明確にした上で,投資規模,ITの導入範囲などを検討し,事業部門に対してIT導入の投資効果を説明するとしている。説明する投資効果は,設問イで企画したIT導入のものであり,設問アの事業目標の達成に向けたものとして書く。

採点講評(IPA)

問2(IT導入の企画における業務分析について)では,業務分析において,業務内容,業務プロセス,IT活用に関する問題を発見し,その原因を究明して問題の解決策を策定した経験がある受験者には論述しやすかったと思われる。一方で,問題の原因を究明せず,問題とその解決策だけの論述も散見された。

全問共通

全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”又は“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものが目立った。これらは論述の一部であり,評価の対象となるので,矛盾なく適切な記述を心掛けてほしい。また,解答字数の不足した答案が目立った。

ITストラテジストの経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。問題文及び設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。

出典:平成28年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3 IoTに対応する組込みシステムの製品企画戦略について

既存の組込みシステムは,特定の領域・環境などを前提としたスタンドアロン型が主流であった。しかし,近年はインターネットの普及に伴い,監視・制御などにInternet of Things(IoT)の活用が進むことによって,組込みシステムの利用が拡大してきている。このような潮流の中で,組込みシステムのITストラテジストには,IoTに対応する組込みシステムの製品企画が求められている。

既存システムを基にして,IoTを活用したシステムを企画する際には,IoTへの対応によって外部との情報のやり取りが可能となるので,情報の利活用によるサービス,データ解析などによる新たな価値の創造などについて調査する。その調査結果を基に分析した後,関連部署と協議して,既存システムの中からIoTを活用すべきシステムを選択し,製品企画を立案する。

一方,新分野,新市場への参入を目指して,IoTを実現する統合システムを企画する際には,情報を利活用したソリューションに携わっている,エンタープライズ系のITストラテジストとの連携が考えられる。その際に必要なのは,組込みシステムの特徴が生かされた製品企画か否かを双方で十分に検討すること,技術的な内容を共有すること,及び役割分担を明確にすることである。さらに,要件によっては,新たな機能を追加して柔軟に対応しながら参入しやすい製品企画を立案する。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

出題趣旨(IPA)

近年,組込みシステムのITストラテジストには,IoTの活用の拡大に対応した製品を企画することが求められている。

本問は,IoTの活用に対応するための,サービス及び新たな価値創造の分析,統合システムを立案する際の分担,技術的な内容の共有,新機能の追加などをどのように考えたかを具体的に論述することを求めている。論述を通じて,組込みシステムのITストラテジストに必要な製品戦略を策定する能力,調整力,分析力,行動力などを評価する。

設問と問われていること

設問ア 800字以内

あなたが携わった,IoTに対応する組込みシステムの製品企画の概要と企画に至った経緯,及び既存システムの市場,新分野,新市場のそれぞれの内容と特徴を,800字以内で述べよ。

問われていること

  • 製品企画の概要
  • 企画に至った経緯
  • 既存システムの市場,新分野,新市場のそれぞれの内容と特徴

組み立ての注意

前文は,既存システムを基にしてIoTを活用したシステムを企画する場合と,新分野,新市場への参入を目指してIoTを実現する統合システムを企画する場合の2つを挙げている。設問イではそのいずれかを選んで論述するので,ここで述べる市場や分野は,どちらの企画かが分かるように書く。

採点講評は全問に共通して,“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものを挙げている。また,問3については,IoTに関連しない製品企画を題材とした論述を挙げている。

設問イ 800字以上1,600字以内

設問アで述べた製品企画において,既存システムを基にして,IoTの活用によるシステムを企画した場合は,どのような観点・手順で選択し,新たな価値を付加したか。また,IoTを実現する統合システムを企画した場合は,組込み系・エンタープライズ系の双方で検討すべき役割分担・立案の内容,及び配慮すべきと考えた事柄とその理由は何か。そのいずれかについて800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 既存システムを基にした場合:選択の観点・手順と付加した新たな価値
  • 統合システムの場合:双方で検討すべき役割分担・立案の内容
  • 統合システムの場合:配慮すべきと考えた事柄とその理由
  • いずれか一方について述べる

組み立ての注意

既存システムを基にした企画と統合システムの企画の,いずれか一方を選んで述べる。採点講評は,既存システムに関する内容と統合システムに関する内容を両方混在させただけの論述を挙げている。

既存システムを基にした場合は,前文の流れ(情報の利活用によるサービス,データ解析などによる新たな価値の創造などについて調査し,分析した後,関連部署と協議して,IoTを活用すべきシステムを選択する)が観点・手順の手がかりになる。

統合システムの場合は,前文の例(組込みシステムの特徴が生かされた製品企画か否かを双方で十分に検討すること,技術的な内容を共有すること,役割分担を明確にすること,要件によっては新たな機能を追加して柔軟に対応すること)が手がかりになる。

設問ウ 600字以上1,200字以内

設問イで述べた既存システムの選択,又は統合システムの企画に対してどのように評価したか。また,そのシステムは,今後どのように改善又は,発展させるべきか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

問われていること

  • 既存システムの選択又は統合システムの企画に対する評価
  • 今後の改善又は発展

組み立ての注意

評価の対象は,設問イで選んだ方(既存システムの選択,又は統合システムの企画)である。設問イと同じ側について書く。

採点講評(IPA)

問3(IoTに対応する組込みシステムの製品企画戦略について)では,既存システムを基にしてIoTの活用によるシステムの企画,又はエンタープライズ系のITストラテジストと連携してIoTを実現する統合システムの企画について論述を求めた。IoTに関連しない製品企画を題材として,内容の不十分な論述,また既存システムに関する内容と統合システムに関する内容を両方混在させただけの論述が散見された。

全問共通

全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”又は“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものが目立った。これらは論述の一部であり,評価の対象となるので,矛盾なく適切な記述を心掛けてほしい。また,解答字数の不足した答案が目立った。

ITストラテジストの経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。問題文及び設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。

出典:平成28年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問3(表記を一部改変)