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令和3年度 春期 午後Ⅰ

令和3年度 春期に実施されたネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰの全3問(記述式)です。事例本文・設問・解答例と解説をそのまま読めます。

この試験について:ネットワークスペシャリスト試験について

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問1 ネットワーク運用管理の自動化

ネットワーク運用管理の自動化に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。

A 社は,中堅の中古自動車販売会社であり,東京に本社のほか 10 店舗を構えている。

〔現状の在庫管理システム〕

A 社では,在庫管理システムを導入している。本社及び店舗では,社内の全ての在庫情報を把握できる。在庫管理システムは,本社の在庫管理サーバ,DHCP サーバ,DNS サーバ,本社及び店舗に 2 台ずつある在庫管理端末,並びにこれらを接続するレイヤ 2 スイッチ(以下,L2SW という)から構成される。在庫管理端末は DHCP クライアントである。

本社と店舗との間は,広域イーサネットサービス網(以下,広域イーサ網という)を用いてレイヤ 2 接続を行っている。L2SW に VLAN は設定していない。

本社の在庫管理サーバでは,在庫情報の管理と,在庫管理システム全ての機器の SNMP による監視を行っている。在庫管理システムで利用する IP アドレスは 192.168.1.0/24 であり,各機器には IP アドレスが一つ割り当てられている。

店舗が追加される際には,その都度,情報システム部の社員が現地に出向き,L2SW と在庫管理端末を設置している。店舗の L2SW は,在庫管理サーバから SSH によるリモートログインが可能である。

現状の在庫管理システムの構成を,図1に示す。

本社の枠の中に L2SW が1台あり,DHCP サーバ,DNS サーバ,在庫管理サーバ,在庫管理端末2台が L2SW に接続している。本社の L2SW は広域イーサ網に接続する。広域イーサ網の先には店舗の枠が複数重なって描かれ,各店舗では L2SW に在庫管理端末2台が接続し,L2SW が広域イーサ網に接続する。
図1 現状の在庫管理システムの構成(抜粋)

A 社は,販売エリアの拡大に着手することにした。またこの機会に,新たに顧客サービスとして全ての店舗でフリーWi-Fi を提供することにした。情報システム部の B さんは上司から,ネットワーク更改について検討するよう指示された。

B さんが指示を受けたネットワーク更改の要件を次に示す。

〔新ネットワークの設計〕

B さんは,本社と店舗との接続に,インターネット接続事業者である C 社が提供する法人向けソリューションサービスを利用することを考えた。このサービスでは,インターネット上に L2 over IP トンネルを作成する機能をもつルータ(以下,RT という)を用いる。RT の利用構成を図2に示す。

左右に RT が1台ずつある。左の RT の RP に機器1,BP に機器2が接続する。右の RT の RP に機器3,BP に機器4が接続する。両方の RT の EP は ISP-C に接続し,ISP-C はインターネットにつながる。ISP-C には RT 管理コントローラも接続している。左右の RT の BP どうしは,ISP-C を通る L2 over IP トンネル(破線)で結ばれている。凡例:BP:ブリッジポート,EP:外部接続ポート,RP:ルーティングポート,ISP-C:C 社のネットワーク。注記1 RP に接続された機器1,機器3は,インターネットと通信する。注記2 BP に接続された機器2,機器4は,閉域網内で通信する。
図2 RT の利用構成

B さんが調査した内容を次に示す。

B さんが考えた,ネットワーク更改後の在庫管理システムの構成を,図3に示す。

インターネットの中に ISP-C がある。C 社データセンタには RT 管理コントローラ(controller.isp-c.net)があり,ISP-C に接続する。本社では RT00 の EP が ISP-C に接続し,RT00 の RP に運用管理サーバ,BP に L2SW00 が接続する。運用管理サーバは L2SW00 にも接続している。L2SW00 には DHCP サーバ,DNS サーバ,在庫管理サーバ,在庫管理端末001,在庫管理端末002 が接続する。店舗(複数が重なって描かれている)では RT01 の EP が ISP-C に接続し,RT01 の RP に Wi-Fi AP,BP に L2SW01 の IF1 が接続する。L2SW01 の IF2 に在庫管理端末011 の IF1,L2SW01 の IF3 に在庫管理端末012 の IF1 が接続する。網掛け(ネットワーク更改で追加される箇所)は RT 管理コントローラ,運用管理サーバ,RT00,RT01,Wi-Fi AP,ISP-C(インターネット)。注記1 網掛け部分は,ネットワーク更改によって追加される箇所を示す。注記2 controller.isp-c.net は,RT 管理コントローラの FQDN である。注記3 IF1,IF2,IF3 は,IF 名を示す。
図3 ネットワーク更改後の在庫管理システムの構成(抜粋)

本社に設置する RT と店舗に設置する RT 間でポイントツーポイントのトンネルを作成し,本社を中心としたスター型接続を行う。店舗の RT の BP は,トンネルで接続された本社の RT の BP と同一ブロードキャストドメインとなる。

B さんが考えた,新規店舗への機器の導入手順を次に示す。

〔構成管理の自動化〕

B さんは,③店舗から作業完了の連絡を受けた後で確認を行うために,LLDP(Link Layer Discovery Protocol)を用いて BP 配下の接続構成を自動で把握することにした。RT,L2SW 及び在庫管理端末は,必要な IF から OSI 基本参照モデルの第 a 層プロトコルである LLDP によって,隣接機器に自分の機器名や IF の情報を送信する。隣接機器は受信した LLDP の情報を,LLDP-MIB に保持する。

なお,全ての機器で LLDP-MED(LLDP Media Endpoint Discovery)を無効にしている。

運用管理サーバは,L2SW と在庫管理端末から b によって LLDP-MIB を取得して,L2SW と在庫管理端末のポート接続リストを作成する。さらに,運用管理サーバは, c が収集した RT の LLDP-MIB の情報を REST API を使って取得して,ポート接続リストに加える。

ポート接続リストとは, b で情報を取得する対象の機器(以下,自機器という)の IF と,そこに接続される隣接機器の IF を組みにした表である。ある店舗で想定されるポート接続リストの例を,表1に示す。

列は,行番号,自機器名,自機器の IF 名,隣接機器名,隣接機器の IF 名。行番号1:自機器 RT01,IF 名 BP,隣接機器 L2SW01,IF 名 IF1。行番号2:L2SW01,IF1,RT01,BP。行番号3:L2SW01,IF2,在庫管理端末011,IF1。行番号4:L2SW01,IF3,在庫管理端末012,IF1。行番号5:在庫管理端末011,IF1,L2SW01,IF2。行番号6:在庫管理端末012,IF1,L2SW01,IF3。注記1 行番号は,設問のために付与したものである。注記2 表1中の BP は,ブリッジポートの IF 名である。
表1 ある店舗で想定されるポート接続リストの例

B さんは上司にネットワーク更改案を提案し,更改案が採用された。

出題趣旨(IPA)

省力化のために,ネットワークの設定や運用の自動化を行うことが増えてきている。これは,インターネットの普及によって全国どこでも同質のネットワークが入手しやすくなったことや,システムから直接操作できるAPIを備えたネットワーク機器が増えてきたことが背景にある。具体的な例として,コントローラによるネットワーク機器の集中管理や,ネットワーク構成管理の自動化がよく行われる。本問では,システムの全国展開を題材に,自動化する際によく使われるネットワーク,システム,及びプロトコルに関する知識,理解を問う。

設問と解答例

設問1(1)

名前解決に用いるサーバの IP アドレスを,在庫管理端末に通知するサーバは何か。図1中の機器名で答えよ。

解答例

  • DHCPサーバ
解説

本文の根拠

〔現状の在庫管理システム〕

在庫管理システムは,本社の在庫管理サーバ,DHCP サーバ,DNS サーバ,本社及び店舗に 2 台ずつある在庫管理端末,並びにこれらを接続するレイヤ 2 スイッチ(以下,L2SW という)から構成される。在庫管理端末は DHCP クライアントである。

DHCP サーバは,クライアントに IP アドレスを割り当てるとき,サブネットマスクやデフォルトゲートウェイと一緒に,名前解決に使う DNS サーバの IP アドレスもオプションとして通知できる(DHCP のオプションは RFC 2132 に定められている)。在庫管理端末は DHCP クライアントなので,DNS サーバのアドレスは DHCP サーバから受け取っている。

本文は在庫管理システムの機器として DHCP サーバと DNS サーバを挙げ,在庫管理端末が DHCP クライアントであると書いている。端末に設定値を配る役目を持つのは DHCP サーバである。

間違えやすいのは「DNS サーバ」と答えること。DNS サーバは名前解決を行うサーバで,そのアドレスを端末に知らせる側ではない。設問は“通知するサーバ”を問うている。図1中の機器名で答えるので「DHCP サーバ」と書く。

設問1(2)

図1の構成において,在庫管理システムのセグメントの IP アドレス数に着目すると,店舗の最大数は計算上幾つになるか。整数で答えよ。

解答例

  • 82
解説

本文の根拠

〔現状の在庫管理システム〕

在庫管理システムで利用する IP アドレスは 192.168.1.0/24 であり,各機器には IP アドレスが一つ割り当てられている。

〔現状の在庫管理システム〕

店舗の L2SW は,在庫管理サーバから SSH によるリモートログインが可能である。

図1

本社の枠の中に L2SW が1台あり,DHCP サーバ,DNS サーバ,在庫管理サーバ,在庫管理端末2台が L2SW に接続している。

192.168.1.0/24 のホスト部は 8 ビットで 256 個のアドレスがあるが,ネットワークアドレス(192.168.1.0)とブロードキャストアドレス(192.168.1.255)は機器に割り当てられないので,使えるのは 254 個である。本社の機器は在庫管理サーバ,DHCP サーバ,DNS サーバ,在庫管理端末 2 台,L2SW 1 台の 6 台で 6 個を使う。残りは 254−6=248 個。1 店舗は L2SW 1 台と在庫管理端末 2 台で 3 個を使うので,248÷3=82.66… から,店舗は最大 82 になる(検算:6+3×82=252≦254,6+3×83=255>254)。

本文は“各機器には IP アドレスが一つ割り当てられている”としている。L2SW も SNMP で監視され SSH でログインされる機器なので,IP アドレスを 1 個持つ。

数え落としやすいのは L2SW のアドレスと,ネットワークアドレス・ブロードキャストアドレスの 2 個である。L2SW を数えないと (254−5)÷2=124 のような誤った値になる。端数は切り捨てて整数で答える。

設問1(3) 30字以内

本社の L2SW の MAC アドレステーブルに何も学習されていない場合,在庫管理サーバが監視のために送信したユニキャストの ICMP Echo request は,本社の L2SW でどのように転送されるか。30 字以内で述べよ。このとき,監視対象機器に対する IP アドレスと MAC アドレスの対応は在庫管理サーバの ARP テーブルに保持されているものとする。

解答例

  • L2SWの入力ポート以外の全てのポートに転送される。
解説

本文の根拠

〔現状の在庫管理システム〕

本社と店舗との間は,広域イーサネットサービス網(以下,広域イーサ網という)を用いてレイヤ 2 接続を行っている。L2SW に VLAN は設定していない。

〔現状の在庫管理システム〕

本社の在庫管理サーバでは,在庫情報の管理と,在庫管理システム全ての機器の SNMP による監視を行っている。

L2SW は受信したフレームの宛先 MAC アドレスを MAC アドレステーブルで引き,学習済みならそのポートにだけ転送する。学習されていない宛先(未知ユニキャスト)は,どのポートの先にあるか分からないので,受信したポート以外の全てのポートに送り出す(フラッディング)。設問はテーブルに何も学習されていない状態なので,ICMP Echo request はこの扱いになる。ARP テーブルに対応が保持されているという条件は,ARP 要求(ブロードキャスト)は出ず,宛先 MAC アドレスの入ったユニキャストのフレームがそのまま送られることを示している。

本文は“L2SW に VLAN は設定していない”としているので,ブロードキャストドメインは一つで,フラッディングの範囲を狭めるものはない。本社の L2SW につながる全ての機器と広域イーサ網側のポートに送られる。

30 字に収める。解答例は「L2SW の入力ポート以外の全てのポートに転送される。」で 26 字。“受信したポートには返さない”ことと“それ以外の全ポートに出す”ことの両方を書く。「全てのポートに転送される」だけでは入力ポートの扱いが抜ける。

採点講評(IPA)

設問1(3)の正答率は平均的であった。レイヤ2スイッチでフラッディングが生じる条件は基本的な知識なので,よく理解してほしい。

設問2(1) 50字以内

C 社が RT を出荷するとき,RT に RT 管理コントローラを IP アドレスではなく FQDN で記述する利点は何か。50 字以内で述べよ。

解答例

  • RT管理コントローラのIPアドレスが変更された場合でもRTの設定変更が不要である。
解説

本文の根拠

〔新ネットワークの設計〕

RT には,C 社から出荷された時に PPPoE の認証情報があらかじめ設定されている。

〔新ネットワークの設計〕

RT の設定及び管理は,C 社データセンタ上の RT 管理コントローラから行う。他の機器からは行うことができない。

図3 注記2

注記2 controller.isp-c.net は,RT 管理コントローラの FQDN である。

RT は出荷時の設定だけで RT 管理コントローラにつながり,その後の設定はコントローラから受け取る。接続先を IP アドレスで書いておくと,C 社がコントローラの移設やアドレスの付け替えをしたとき,出荷済みの全ての RT の設定を書き換えなければならない。FQDN で書いておけば,DNS の登録を新しいアドレスに変えるだけで,RT は名前解決によって新しいアドレスにつながる。RT の設定を変える必要がない。

本文では,RT の設定と管理はコントローラからしか行えない。コントローラの IP アドレスが変わって RT がつながれなくなると,設定を直す手段そのものが失われる。図3の注記2で,接続先は controller.isp-c.net という FQDN で示されている。

50 字に収める。解答例は「RT 管理コントローラの IP アドレスが変更された場合でも RT の設定変更が不要である。」で 41 字。“コントローラの IP アドレスが変わったとき”という場面と,“RT 側の設定を変えなくてよい”という利点の両方を書く。「覚えやすい」のような一般論は利点として弱い。

設問2(2)

本文中の下線①について,RT が RT 管理コントローラに登録する際に用いる,OSI 基本参照モデルでアプリケーション層に属するプロトコルを答えよ。

解答例(2通り)

  • HTTP
  • HTTPS
解説

本文の根拠

〔新ネットワークの設計〕

RT は,RT 管理コントローラに,①REST API を利用して RT のシリアル番号と EP の IP アドレスを送信する。

〔新ネットワークの設計〕

RT が RT 管理コントローラと接続するときには,RT のクライアント証明書を利用する。

REST API は,URL で示す資源に対して HTTP のメソッド(GET・POST・PUT・DELETE など)で操作する形の API で,通信には HTTP(暗号化するなら TLS の上で HTTP を動かす HTTPS)を使う。RT がシリアル番号と EP の IP アドレスを送信するのは,HTTP の要求をコントローラに送ることに当たる。

本文は RT がコントローラと接続するときにクライアント証明書を使うとしている。クライアント証明書は TLS のクライアント認証で使うものなので,実際の通信は HTTPS と考えられる。解答例は「HTTP 又は HTTPS」で,どちらでも正解である。

TLS や TCP と答えないこと。設問は“アプリケーション層に属するプロトコル”を問うており,TCP はトランスポート層である。

設問2(3)

本文中の下線②について,店舗の在庫管理端末から運用管理サーバに traceroute コマンドを実行すると,どの機器の IP アドレスが表示されるか。図3中の機器名で全て答えよ。

解答例

  • 運用管理サーバ
解説

本文の根拠

〔新ネットワークの設計〕

本社に設置する RT と店舗に設置する RT 間でポイントツーポイントのトンネルを作成し,本社を中心としたスター型接続を行う。店舗の RT の BP は,トンネルで接続された本社の RT の BP と同一ブロードキャストドメインとなる。

図3

本社では RT00 の EP が ISP-C に接続し,RT00 の RP に運用管理サーバ,BP に L2SW00 が接続する。運用管理サーバは L2SW00 にも接続している。

traceroute は TTL を 1 から順に増やしたパケットを送り,TTL が 0 になった地点のルータが返す ICMP Time Exceeded から途中のルータを並べる。表示されるのは IP パケットを中継する(TTL を減らす)機器と,最後に応答する宛先だけで,レイヤ 2 で中継するだけの機器は現れない。

店舗の在庫管理端末は L2SW01 から RT01 の BP に入り,L2 over IP トンネルで本社の RT00 の BP へ出て,L2SW00 から運用管理サーバに届く。BP どうしは“同一ブロードキャストドメイン”で,RT はこの経路をブリッジとして中継するのでルータのホップにならない。運用管理サーバは L2SW00 にもつながっており,在庫管理端末と同じセグメントにある。したがって途中にルータは無く,表示されるのは宛先の運用管理サーバだけである。

講評のとおり正答率の低かった設問。RT01・RT00 を答えに含めやすいが,BP はルーティングポートではない。L2SW も IP を中継しないので表示されない。

採点講評(IPA)

設問2(3)は,正答率が低かった。tracerouteコマンドはトラブルシュートの場面でよく用いられるものなので,動作原理を理解してほしい。

設問2(4) 30字以内

図3において,全店舗の Wi-Fi AP から送られてくるログを受信するサーバを追加で設置する場合に,本社には設置することができないのはなぜか。ネットワーク設計の観点から,30 字以内で述べよ。

解答例

  • 店舗から本社にはBP経由でしかアクセスができないから
解説

本文の根拠

〔新ネットワークの設計〕

RP に接続した機器は,RT の NAT 機能を介してインターネットにアクセスできる。インターネットから RP に接続した機器へのアクセスはできない。

〔新ネットワークの設計〕

RP に接続した機器と BP に接続した機器との間の通信はできない。

図3

店舗(複数が重なって描かれている)では RT01 の EP が ISP-C に接続し,RT01 の RP に Wi-Fi AP,BP に L2SW01 の IF1 が接続する。

Wi-Fi AP は店舗の RT01 の RP につながっている。RP の機器はインターネットには出られるが,同じ RT の BP 側とは通信できない。本社と店舗を結ぶのは BP どうしのトンネルだけなので,Wi-Fi AP から本社へ向かう道はトンネルを使えない。インターネット経由で本社の RT00 に向かっても,“インターネットから RP に接続した機器へのアクセスはできない”ので,本社の RP 側のサーバには届かない。本社の BP 側(L2SW00)はトンネルでしか店舗とつながらない。

つまり,店舗から本社に届く経路は BP 経由の一本しかなく,RP に接続した Wi-Fi AP はそれを使えない。要件の“フリーWi-Fi やインターネットを経由して社外から在庫管理システムに接続させない”もこの分離で守られている。

30 字に収める。解答例は「店舗から本社には BP 経由でしかアクセスができないから」で 26 字。“本社への経路は BP だけ”という構成上の制約を書く。「セキュリティ上好ましくない」のような理由は,設問の“ネットワーク設計の観点”から外れる。

設問3(1) 解答欄1つ

本文中の a に入れる適切な数値を答えよ。

〔a〕解答例

  • 2
解説

本文の根拠

〔構成管理の自動化〕

RT,L2SW 及び在庫管理端末は,必要な IF から OSI 基本参照モデルの第 a 層プロトコルである LLDP によって,隣接機器に自分の機器名や IF の情報を送信する。

LLDP は IEEE 802.1AB で定められたレイヤ 2 のプロトコルで,イーサネットフレームに直接載せて(IP を使わずに)隣接機器へ自分の機器名やポートの情報を知らせる。フレームは隣の機器で止まり,ルータやスイッチを越えて転送されない。だから「直接つながっている相手」が分かる。

本文も,LLDP で“隣接機器に自分の機器名や IF の情報を送信”し,それを LLDP-MIB に保持するとしている。IP の到達性に頼らずに物理的な接続関係を知るための仕組みなので,第 2 層である。

数値で答える。LLDP-MIB を SNMP(アプリケーション層)で取得する話と混ぜて 7 と答えないこと。

設問3(2) 解答欄2つ

本文中の b に入れる適切なプロトコル名及び c に入れる適切な機器名を,本文中の字句を用いて答えよ。

〔b〕解答例

  • SNMP

〔c〕解答例

  • RT管理コントローラ
解説

本文の根拠

〔現状の在庫管理システム〕 ネットワーク更改の要件

SNMP による監視及び SSH によるリモートログインの機能は,在庫管理サーバから分離し,新たに設置する運用管理サーバに担わせる。

〔新ネットワークの設計〕

RT の設定及び管理は,C 社データセンタ上の RT 管理コントローラから行う。他の機器からは行うことができない。

〔新ネットワークの設計〕

RT 管理コントローラは,EP に付与された IP アドレスに対し,ping による死活監視及び SNMP による MIB の取得を行う。

b:MIB(管理情報ベース)は SNMP で読み書きする情報の集まりで,LLDP-MIB も SNMP で取得する。運用管理サーバは要件で“SNMP による監視”を担う機器とされており,L2SW と在庫管理端末から SNMP で LLDP-MIB を取得してポート接続リストを作る。

c:RT の LLDP-MIB は,運用管理サーバが直接取りにいけない。RT の設定と管理は RT 管理コントローラからしか行えず,SNMP で MIB を取得するのもコントローラである。そこで運用管理サーバは,コントローラが集めた RT の情報を REST API で受け取る。

b はプロトコル名,c は機器名で,どちらも本文中の字句を使う。c を「運用管理サーバ」や「RT」としないこと。空欄 c の文の主語が運用管理サーバで,RT は情報の中身である。

設問3(3) 25字以内

本文中の下線③について,情報システム部は,何がどのような状態であるという確認を行うか。25 字以内で述べよ。ただし,機器などの物品は事前に検品され,初期不良や故障はないものとする。

解答例

  • 各機器の接続構成が構成図どおりであること
解説

本文の根拠

〔新ネットワークの設計〕

店員は,送付された構成図を参照して各機器を接続し,電源を投入する。

〔構成管理の自動化〕

B さんは,③店舗から作業完了の連絡を受けた後で確認を行うために,LLDP(Link Layer Discovery Protocol)を用いて BP 配下の接続構成を自動で把握することにした。

新規店舗では,情報システム部の社員ではなく店員が構成図を見て機器を配線する。作業完了の連絡を受けた情報システム部が確かめたいのは,店員がつないだ配線が構成図のとおりになっているか,である。LLDP で集めたポート接続リスト(どの機器のどの IF が,どの機器のどの IF につながっているか)を構成図と突き合わせれば,現地に行かずに確認できる。

設問のただし書きで,機器の初期不良や故障は無いとされている。機器が動くかどうかではなく,接続の状態を確かめることが下線③の目的である。本文も LLDP で“BP 配下の接続構成を自動で把握する”としている。

25 字に収める。解答例は「各機器の接続構成が構成図どおりであること」で 20 字。“何が”は各機器の接続構成,“どのような状態”は構成図どおり,と設問の問い方に合わせて二つを入れる。講評は,LLDP を用いた確認であることを読み落とした解答が散見されたとしている。機器同士が通信できるかどうかの確認と取り違えないこと。

採点講評(IPA)

設問3(3)は,正答率が高かった。LLDPを用いた確認であることを読み落とした解答が散見された。本文中に示された条件をきちんと読み取り,正答を導き出してほしい。

設問3(4)

図3において,情報システム部の管理外の L2SW 機器(以下,L2SW-X という)が L2SW01 の IF2 と在庫管理端末011 の IF1 の間に接続されたとき,表1はどのようになるか。適切なものを解答群の中から三つ選び,記号で答えよ。ここで,L2SW-X は LLDP が有効になっているが,管理用 IP アドレスは情報システム部で把握していないものとする。また,接続の前後で行番号の順序に変更はないものとする。解答群 ア 行番号3が削除される。 イ 行番号3の隣接機器名が変更される。 ウ 行番号5が削除される。 エ 行番号5の隣接機器名が変更される。 オ 自機器名 L2SW-X の行が存在する。 カ 隣接機器名 L2SW-X の行が存在する。

解答例

  • イ,エ,カ
解説

本文の根拠

〔構成管理の自動化〕

ポート接続リストとは, b で情報を取得する対象の機器(以下,自機器という)の IF と,そこに接続される隣接機器の IF を組みにした表である。

表1

行番号3:L2SW01,IF2,在庫管理端末011,IF1。

表1

行番号5:在庫管理端末011,IF1,L2SW01,IF2。

L2SW-X を L2SW01 の IF2 と在庫管理端末011 の IF1 の間に入れると,L2SW01 の IF2 の隣は L2SW-X になり,在庫管理端末011 の IF1 の隣も L2SW-X になる。L2SW-X は LLDP が有効なので,両隣に自分の機器名を送る。L2SW01 と在庫管理端末011 はそれを LLDP-MIB に保持し,運用管理サーバが SNMP で取得する。

したがって,行番号3(自機器 L2SW01・IF2)の隣接機器名が L2SW-X に変わり(イ),行番号5(自機器 在庫管理端末011・IF1)の隣接機器名も L2SW-X に変わる(エ)。この二つの行は隣接機器名 L2SW-X の行である(カ)。一方,自機器になるのは SNMP で情報を取得する対象の機器である。L2SW-X の管理用 IP アドレスを情報システム部は知らないので,運用管理サーバは L2SW-X から LLDP-MIB を取得できず,自機器名 L2SW-X の行は作られない(オは誤り)。行番号3・5の自機器は変わらず残るので,削除されることもない(ア,ウは誤り)。

三つ選ぶ設問である。隣接する側の表示が変わることと,情報を取得できない機器は自機器にならないことの二つを押さえる。

出典:令和3年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2 企業ネットワークの統合

企業ネットワークの統合に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。

D 社は,本社及び三つの支社を国内にもつ中堅の商社である。D 社の社内システムは,クラウドサービス事業者である G 社の仮想サーバで Web システムとして構築されており,本社及び支社内の PC からインターネット経由で利用されている。このたび D 社は,グループ企業の E 社を吸収合併することになり,E 社のネットワークを D 社のネットワークに接続(以下,ネットワーク統合という)するための検討を行うことになった。

〔D 社の現行のネットワークの概要〕

D 社の現行のネットワークの概要を次に示す。

D 社の現行のネットワーク構成を図1に示す。

支社1では PC が L2SW1・L2SW2 に接続し,L2SW1 はセグメント a,L2SW2 はセグメント b で L3SW1 に接続する。支社2では同様に L2SW3(セグメント c)・L2SW4(セグメント d)が L3SW2 に,支社3では L2SW5(セグメント e)・L2SW6(セグメント f)が L3SW3 に接続する。L3SW1〜L3SW3 は広域イーサ網(セグメント g)に接続し,広域イーサ網は本社のルータに接続する。本社ではルータと FW が L2SW7(セグメント h)に接続し,L2SW7 に L3SW4 と L3SW5 が接続する。L3SW4 にはセグメント i で L2SW8,セグメント j で L2SW9 が,L3SW5 にはセグメント k で L2SW10,セグメント l で L2SW11 が接続し,それぞれに PC がつながる。FW(t.u.v.5)はセグメント m でインターネットに接続する。インターネットには G 社 VPC の VPC GW(x.y.z.1)が接続し,G 社 VPC の中では VPC GW と仮想サーバが仮想セグメント(セグメント n)に接続する。凡例:L2SW:レイヤ2スイッチ。注記1 a〜n は,セグメントを示す。注記2 t.u.v.5 及び x.y.z.1 は,グローバル IP アドレスを示す。
図1 D 社の現行のネットワーク構成

D 社の現行のネットワークにおける各セグメントの IP アドレスを表1に示す。

列は,セグメントと IP アドレス(左右2段組み)。a:172.16.0.0/23,b:172.16.2.0/23,c:172.16.4.0/23,d:172.16.6.0/23,e:172.16.8.0/23,f:172.16.10.0/23,g:172.16.12.64/26,h:172.17.0.0/25,i:172.17.2.0/23,j:172.17.4.0/23,k:172.17.6.0/23,l:172.17.8.0/23,m:t.u.v.4/30,n:192.168.1.0/24。
表1 D 社の現行のネットワークにおける各セグメントの IP アドレス

G 社は,クラウドサービス利用者のためにインターネットからアクセス可能なサービスポータルサイト(以下,サービスポータルという)を公開しており,クラウドサービス利用者はサービスポータルにアクセスすることによって VPC GW の設定ができる。D 社では,VPC GW と FW に次の項目を設定している。

〔OSPF による経路制御〕

OSPF は,リンクステート型のルーティングプロトコルである。OSPF ルータは,隣接するルータ同士でリンクステートアドバタイズメント(以下,LSA という)と呼ばれる情報を交換することによって,ネットワーク内のリンク情報を集め,ネットワークトポロジのデータベース LSDB(Link State Database)を構築する。LSA には幾つかの種別があり,それぞれの Type が定められている。例えば, b LSA と呼ばれる Type1 の LSA は,OSPF エリア内の b に関する情報であり,その情報には, c と呼ばれるメトリック値などが含まれている。また,Type2 の LSA は,ネットワーク LSA と呼ばれる。OSPF エリア内の各ルータは,集められた LSA の情報を基にして, d アルゴリズムを用いた最短経路計算を行って,ルーティングテーブルを動的に作成する。さらに,OSPF には,②複数の経路情報を一つに集約する機能(以下,経路集約機能という)がある。D 社では,支社へのネットワーク経路を集約することを目的として,③ある特定のネットワーク機器で経路集約機能を設定している(以下,この集約設定を支社ネットワーク集約という)。支社ネットワーク集約がされた状態で,本社の L3SW の経路テーブルを見ると,a〜g のそれぞれを宛先とする経路(以下,支社個別経路という)が一つに集約された, e /16 を宛先とする経路が確認できる。また,D 社では,支社ネットワーク集約によって意図しない④ルーティングループが発生してしまうことを防ぐための設定を行っているが,その設定の結果,表2に示す OSPF 経路が生成され,ルーティングループが防止される。

列は,設定機器,宛先ネットワークアドレス,ネクストホップ。1行だけで,設定機器は空欄 f,宛先ネットワークアドレスは空欄 g,ネクストホップは Null0。注記 Null0 はパケットを捨てることを示す。
表2 ルーティングループを防ぐ OSPF 経路

〔D 社と E 社のネットワーク統合の検討〕

D 社と E 社のネットワーク統合を実現するために,情報システム部の F さんが検討することになった。F さんは,E 社の現行のネットワークについての情報を集め,次のようにまとめた。

情報システム部は,F さんの調査を基にして,E 社のネットワークを D 社に統合するための次の方針を立てた。

F さんの考えた統合後のネットワーク構成を図2に示す。

図1の D 社のネットワークに E 社を加えた構成。支社1〜3(PC,L2SW1〜L2SW6,セグメント a〜f,L3SW1〜L3SW3)と広域イーサ網(セグメント g)は OSPF エリア1 の網掛けで囲まれている。ただし支社1の L3SW1 は網掛けのない白い枠で,網掛けの左外にはみ出して描かれている。広域イーサ網は本社のルータに接続し,広域イーサ網からルータまでの線も OSPF エリア1 の網掛けの中にある。本社ではルータと FW が L2SW7(セグメント h)に接続し,L2SW7 の下に L3SW4(セグメント i:L2SW8,j:L2SW9)と L3SW5(セグメント k:L2SW10,l:L2SW11)があり,それぞれに PC がつながる。本社の L2SW7 から下は OSPF エリア0 の網掛けで,ルータと FW は網掛けの外(上)にある。FW はインターネットに接続し,インターネットには G 社 VPC の VPC GW が接続する。G 社 VPC の仮想セグメントには仮想サーバ(複数台)がある。E 社では L2SW12 に L3SW6 と L3SW7 が接続し,L3SW6 に L2SW13・L2SW14,L3SW7 に L2SW15・L2SW16 が接続し,それぞれに PC がつながる。E 社の L2SW12 から下は OSPF エリア0 の網掛けで囲まれている。支社1の L3SW1 と E 社の L3SW6 の間は破線(フロア間接続)で結ばれ,破線は網掛けの帯の中にあり,E 社側の OSPF エリア0 の網掛けにつながっている。注記1 破線は,フロア間接続を示す。注記2 網掛けは,OSPF エリアを示す。注記3 a〜l は,セグメントを示す。
図2 F さんの考えた統合後のネットワーク構成

F さんは,両社間の接続について更に検討を行い,課題を次のとおりまとめた。

これらの課題の対応で,両社のネットワーク全体の経路制御が行えるようになることを報告したところ,検討結果が承認され,ネットワーク統合プロジェクトリーダに F さんが任命された。

出題趣旨(IPA)

OSPFは,IPネットワークにおいて動的経路制御を行うためのルーティングプロトコルとして多く使われている。動的経路制御を利用した環境において安定したネットワーク運用を行うためには,ルーティングプロトコルを正しく理解することが重要である。また,近年において,クラウド内環境と企業内環境間をVPNで接続して,クラウド環境を自社内環境と同様に利用する形態もよく見られる。本問では,OSPFプロトコルによるルーティング設計とIPsecトンネリングによるクラウド接続を題材に,ネットワーク設計と構築に必要な基本的スキルを問う。

設問と解答例

設問1 解答欄5つ

本文中の a 〜 e に入れる適切な字句を答えよ。

〔a〕解答例

  • 共有鍵

〔b〕解答例

  • ルータ

〔c〕解答例

  • コスト

〔d〕解答例

  • ダイクストラ

〔e〕解答例

  • 172.16.0.0
解説

本文の根拠

〔D 社の現行のネットワークの概要〕

VPC GW 設定項目:VPC 内仮想セグメントのアドレス(192.168.1.0/24),IPsec VPN 認証用の事前 a ,FW の外部アドレス(t.u.v.5),D 社内ネットワークアドレス(172.16.0.0/16,172.17.0.0/16)

〔OSPF による経路制御〕

例えば, b LSA と呼ばれる Type1 の LSA は,OSPF エリア内の b に関する情報であり,その情報には, c と呼ばれるメトリック値などが含まれている。

〔OSPF による経路制御〕

支社ネットワーク集約がされた状態で,本社の L3SW の経路テーブルを見ると,a〜g のそれぞれを宛先とする経路(以下,支社個別経路という)が一つに集約された, e /16 を宛先とする経路が確認できる。

表1

a:172.16.0.0/23,b:172.16.2.0/23,c:172.16.4.0/23,d:172.16.6.0/23,e:172.16.8.0/23,f:172.16.10.0/23,g:172.16.12.64/26

a:IPsec の鍵交換(IKE)では,相手の認証に事前共有鍵(pre-shared key)か証明書を使う。VPC GW と FW の両方に同じ値を設定する項目なので,事前共有鍵である。

b〜d:OSPF(OSPFv2 は RFC 2328)の Type1 LSA はルータ LSA で,各ルータが自分のリンク(インタフェース)とそのコストをエリア内に広告する。Type2 はネットワーク LSA である。メトリック値はコストと呼ばれる。各ルータは集めた LSA から LSDB を作り,ダイクストラのアルゴリズム(SPF 計算)で最短経路を求める。

e:表1で支社側のセグメント a〜g はどれも 172.16.x.x で,172.16.0.0/23〜172.16.12.64/26 は全て 172.16.0.0/16 の範囲に入る。/16 に集約した経路のネットワークアドレスは 172.16.0.0 である。本社側は 172.17.x.x で重ならない。

間違えやすい点:a は「鍵」だけでも「パスワード」でもなく,本文の“事前”に続く語として「共有鍵」。e は /16 が本文に書かれているので,アドレス部分だけを答える。

設問2 25字以内

本文中の下線①について,設定の内容を 25 字以内で述べよ。

解答例

  • OSPFへデフォルトルートを導入する。
解説

本文の根拠

〔D 社の現行のネットワークの概要〕

(8) FW にはインターネットへの静的デフォルト経路を設定しており,①全社の OSPF エリアからインターネットへのアクセスを可能にするための設定が行われている。

〔D 社の現行のネットワークの概要〕

(6) 社内のネットワークの経路制御には,OSPF を利用しており,OSPF プロトコルを設定している機器は,ルータ,レイヤ 3 スイッチ(以下,L3SW という)及び FW である。

FW に設定した静的デフォルト経路は,そのままでは FW の中にしかない。OSPF の他のルータ(ルータ・L3SW)はインターネット宛ての経路を知らないので,社内の PC からのパケットを FW へ送れない。FW で OSPF にデフォルトルートを導入(再配布して広告)すれば,全ルータが 0.0.0.0/0 の経路を FW 向きで学習し,インターネット宛てのパケットを FW に送るようになる。

本文(6)で FW は OSPF を設定している機器の一つである。FW がデフォルト経路を OSPF に流すことで,本社のエリア 0 だけでなく支社のエリア 1 にも経路が行き渡る。

25 字に収める。解答例は「OSPF へデフォルトルートを導入する。」で 19 字。“OSPF に”“デフォルトルート(経路)を”“導入・広告・再配布する”の三つをそろえる。「静的経路を設定する」だけでは,各ルータに個別に設定する意味になり,下線①の“全社の OSPF エリアから”に合わない。

採点講評(IPA)

設問2は,正答率が低かった。OSPFでのデフォルト経路の取扱いは,企業内ネットワークからインターネットを利用するような一般的なネットワーク構成において必要な基本事項なので,よく理解してほしい。

設問3(1) 25字以内

本文中の下線②について,この機能を使って経路を集約する目的を 25 字以内で述べよ。

解答例

  • ルーティングテーブルサイズを小さくする。
解説

本文の根拠

〔OSPF による経路制御〕

さらに,OSPF には,②複数の経路情報を一つに集約する機能(以下,経路集約機能という)がある。

〔OSPF による経路制御〕

支社ネットワーク集約がされた状態で,本社の L3SW の経路テーブルを見ると,a〜g のそれぞれを宛先とする経路(以下,支社個別経路という)が一つに集約された, e /16 を宛先とする経路が確認できる。

経路集約をすると,本社の L3SW は支社の a〜g の 7 本の経路を持たずに,172.16.0.0/16 の 1 本だけを持てばよい。ルーティングテーブルの行数が減り,ルータのメモリや経路検索の負担が小さくなる。OSPF では,エリア内の細かな変化(支社のセグメントの増減)が集約経路に隠れて他のエリアに伝わらず,LSA の交換や再計算も減る。

本文は,集約の結果として本社の L3SW の経路テーブルに /16 の経路が 1 本だけ見えると書いている。目的はここに表れている。

25 字に収める。解答例は「ルーティングテーブルサイズを小さくする。」で 20 字。何を小さくするか(ルーティングテーブル,経路表のエントリ数)を具体的に書く。「効率化する」だけでは何が良くなるか分からない。

設問3(2)

本文中の下線③について,経路集約を設定している機器を図1中の機器名で答えよ。

解答例

  • ルータ
解説

本文の根拠

〔D 社の現行のネットワークの概要〕

(7) 本社の LAN の OSPF エリアは 0 であり,支社 1〜3 の LAN 及び広域イーサ網の OSPF エリアは 1 である。

図1

L3SW1〜L3SW3 は広域イーサ網(セグメント g)に接続し,広域イーサ網は本社のルータに接続する。本社ではルータと FW が L2SW7(セグメント h)に接続し,

OSPF でエリア内の経路を他のエリアへまとめて広告できるのは,エリア境界ルータ(ABR)である。ABR は一方のエリアの経路をもう一方のエリアへ集約経路(Type3 のサマリー LSA)として送り出す。支社のセグメントをまとめて本社(エリア 0)へ見せるには,エリア 1 とエリア 0 の境目にある機器に集約を設定する。

本文(7)で,支社の LAN と広域イーサ網はエリア 1,本社の LAN はエリア 0 である。図1で広域イーサ網(g)と本社の L2SW7(h)の両方に接続しているのはルータなので,ルータが ABR になり,集約を設定する機器である。

間違えやすいのは支社の L3SW1〜L3SW3 と答えること。これらはエリア 1 の中だけにあるルータで,エリア 0 に経路を出す立場にない。図1中の機器名で「ルータ」と答える。

設問3(3)

本文中の下線④について,ルーティングループが発生する可能性があるのは,どの機器とどの機器の間か。二つの機器を図1中の機器名で答えよ。

解答例

  • ルータとFWの間
解説

本文の根拠

〔D 社の現行のネットワークの概要〕

(8) FW にはインターネットへの静的デフォルト経路を設定しており,①全社の OSPF エリアからインターネットへのアクセスを可能にするための設定が行われている。

〔OSPF による経路制御〕

また,D 社では,支社ネットワーク集約によって意図しない④ルーティングループが発生してしまうことを防ぐための設定を行っているが,その設定の結果,表2に示す OSPF 経路が生成され,ルーティングループが防止される。

表1

a:172.16.0.0/23,b:172.16.2.0/23,c:172.16.4.0/23,d:172.16.6.0/23,e:172.16.8.0/23,f:172.16.10.0/23,g:172.16.12.64/26

172.16.0.0/16 の中には,a〜g のどれにも当たらないアドレス(例えば 172.16.100.1)がある。本社の FW は集約経路 172.16.0.0/16 を学習しているので,このアドレス宛てのパケットをルータへ送る。ルータには a〜g の個別経路しかなく,当てはまらないので,残るのはデフォルトルート(0.0.0.0/0)で,その向き先は FW である。FW は再び 172.16.0.0/16 に従ってルータへ返す。こうしてパケットは TTL が尽きるまでルータと FW の間を往復する。

本文(8)で FW は OSPF にデフォルトルートを流しているので,ルータはデフォルトルートを FW 向きで持っている。一方,集約経路 /16 を出しているのはルータなので,FW から見た /16 の向き先はルータである。二つの経路が互いに相手を指す組合せがループの原因である。

二つの機器を図1中の機器名で答える。L3SW4・L3SW5 からのパケットもループに入るが,往復するのはルータと FW の間である。

設問3(4) 解答欄2つ

表2中の f , g に入れる適切な字句を答えよ。

〔f〕解答例

  • ルータ

〔g〕解答例

  • 172.16.0.0/16
解説

本文の根拠

表2

列は,設定機器,宛先ネットワークアドレス,ネクストホップ。1行だけで,設定機器は空欄 f,宛先ネットワークアドレスは空欄 g,ネクストホップは Null0。注記 Null0 はパケットを捨てることを示す。

〔OSPF による経路制御〕

a〜g のそれぞれを宛先とする経路(以下,支社個別経路という)が一つに集約された, e /16 を宛先とする経路が確認できる。

設問3(3)のループは,ルータが集約範囲の中の存在しない宛先をデフォルトルートで FW に返すことで起きる。そこで集約を行っているルータに,集約範囲 172.16.0.0/16 そのものを宛先とし,ネクストホップを Null0(捨てる)とする経路を置く。宛先に合う経路は最長一致で選ばれるので,a〜g 宛ては /23・/26 の個別経路が優先され,a〜g のどれにも当たらない 172.16.0.0/16 内の宛先だけが /16 の Null0 経路に当たって捨てられる。デフォルトルート(/0)より /16 のほうが長いので,FW へ返されることもない。

表2の注記で Null0 はパケットを捨てることを示す。集約経路を広告する機器(ルータ)が,広告した範囲に責任を持って捨てる形である。

間違えやすい点:f を FW にすると,FW で捨てられるのはよいが,本社の L3SW から来たパケットはルータで既にデフォルトルートに乗り FW へ行くので,集約を行っていない機器に置く意味が薄い。g は /16 まで書く(/16 が無いとどの範囲か決まらない)。

設問4(1)

本文中の下線⑤について,到達できない D 社内ネットワーク部分を,図2中の a〜l の記号で全て答えよ。

解答例

  • h,i,j,k,l
解説

本文の根拠

〔D 社と E 社のネットワーク統合の検討〕

フロア間を接続しただけでは,OSPF エリア 0 が OSPF エリア 1 によって二つに分断されたエリア構成となる。そのため,フロア間接続を行っても⑤E 社のネットワークからの通信が到達できない D 社内のネットワーク部分が生じ,E 社からインターネットへのアクセスもできない。

〔D 社と E 社のネットワーク統合の検討〕

(3) フロア間接続のために,D 社の支社 1 の L3SW1 と E 社の L3SW6 の間に新規サブネットを作成する。当該新規サブネット部分のアドレスは,E 社の IP アドレスブロックから新たに割り当てる。新規サブネット部分の OSPF エリアは 0 とする。

OSPF では,エリアをまたぐ通信は必ずバックボーン(エリア 0)を通る。エリア間の経路情報は ABR がエリア 0 を介して受け渡すので,エリア 0 は一つにつながっていなければならない。フロア間接続で L3SW1 はエリア 1 とエリア 0(E 社側)の両方に属する ABR になる。ABR は,エリア 0 以外のエリアから届いたエリア間経路(サマリー LSA)を経路計算に使わない(RFC 2328 の経路計算の規定)。そのため,本社側のエリア 0 の経路をエリア 1 経由で受け取っても L3SW1 は使えず,E 社から本社のエリア 0 には届かない。

本社のエリア 0 にあるセグメントは,図2で本社の網掛けの中の h(L2SW7),i,j,k,l である。支社の a〜g はエリア 1 の中の経路なので,L3SW1 がエリア 1 の中の経路として持っており,E 社から届く。FW のデフォルトルートも本社のエリア 0 にある FW を経由するので使えず,本文のとおりインターネットにも出られない。

図2中の a〜l から全て選ぶ。g(広域イーサ網)はエリア 1 なので含めない。

設問4(2) 解答欄3つ

本文中の下線⑥について,フロア間 OSPF 追加設定を行う必要がある二つの機器を答えよ。また,その設定内容を 25 字以内で述べよ。

〔機器①〕解答例

  • ルータ

〔機器②〕解答例

  • L3SW1

〔設定内容〕解答例

  • OSPF仮想リンクの接続設定を行う。

〔備考〕機器①②は順不同

解説

本文の根拠

〔D 社と E 社のネットワーク統合の検討〕

下線⑤の問題を解決するために,⑥NW 機器の OSPF 関連の追加の設定(以下,フロア間 OSPF 追加設定という)を行う必要がある。

〔D 社と E 社のネットワーク統合の検討〕

このとき,フロア間 OSPF 追加設定を行う 2 台の機器はいずれもエリア境界ルータである。また,OSPF エリアの構成としては,OSPF エリア 0 と OSPF エリア 1 がこれらの 2 台のエリア境界ルータで並列に接続された形となる。

分断されたエリア 0 をつなぐには,OSPF の仮想リンク(virtual link,RFC 2328)を使う。仮想リンクは,エリア 0 に属さない区間(ここではエリア 1)を通過エリアとして,二つの ABR の間にエリア 0 の論理的なリンクを張る機能である。これにより,E 社側のエリア 0 と本社のエリア 0 が一つのバックボーンとして扱われる。

本文は,追加設定を行う 2 台がいずれもエリア境界ルータであるとしている。エリア 1 に接している ABR は,本社側のルータ(エリア 0 の本社 LAN とエリア 1 の境目)と,フロア間接続で E 社側のエリア 0 にもつながった支社1の L3SW1 である。この 2 台の間に,エリア 1 を通過エリアとする仮想リンクを設定する。

設定内容は 25 字に収める。解答例は「OSPF 仮想リンクの接続設定を行う。」で 18 字。“仮想リンク”という機能名を必ず書く。機器は二つで,どちらを①②に書いても構わない。E 社の L3SW6 はエリア 0 だけに属するので ABR ではなく,仮想リンクの端点にはならない。

採点講評(IPA)

設問4(2)は,正答率が低かった。OSPF仮想リンクは,初期構築段階では想定外であったネットワーク統合を後から行う場合などに役立つもので,OSPFネットワーク設計の柔軟性を増すための有用な技術である。その動作原理や活用パターンについて是非理解してほしい。

設問4(3) 解答欄2つ

本文中の下線⑦について,設定が必要なネットワーク機器を答えよ。また,その設定内容を 40 字以内で述べよ。

〔機器〕解答例

  • L3SW1

〔設定内容〕解答例

  • OSPFエリア1の支社個別経路を172.16.0.0/16に集約する。
解説

本文の根拠

〔D 社と E 社のネットワーク統合の検討〕

その結果,D 社ネットワークで行われていた支社ネットワーク集約の効果がなくなり,本社の OSPF エリア 0 のネットワーク内に支社個別経路が現れてしまう。それを防ぐためには,⑦ネットワーク機器への追加の設定が必要である。

〔OSPF による経路制御〕

D 社では,支社へのネットワーク経路を集約することを目的として,③ある特定のネットワーク機器で経路集約機能を設定している

統合後はエリア 1 とエリア 0 の境目にある ABR が,ルータと L3SW1 の 2 台になる。支社ネットワーク集約はルータにしか設定されていないので,L3SW1 はエリア 1 の支社個別経路(a〜g)を集約せずに,そのままエリア 0 へ広告する。エリア 0 は仮想リンクで一つになっているので,本社の L3SW にも個別経路が現れる。これを防ぐには,L3SW1 にもルータと同じ集約(エリア 1 の経路を 172.16.0.0/16 にまとめる)を設定する。

本文は,2 台の ABR でエリア 0 とエリア 1 が“並列に接続された形”になり,支社ネットワーク集約の効果がなくなると書いている。集約は ABR ごとの設定なので,新しく ABR になった機器に同じ設定が要る。

設定内容は 40 字に収める。解答例は「OSPF エリア 1 の支社個別経路を 172.16.0.0/16 に集約する。」で 35 字。どのエリアの,どの経路を,どのアドレスに集約するかを書く。講評のとおり,ABR ではないルータ(L3SW6 や本社の L3SW など)を答える誤りが多かった。

採点講評(IPA)

設問4(3)は,正答率が低かった。特に,エリアボーダルータ(ABR)ではないルータを誤って解答する例が多く見られた。OSPFルータの種別とその見分け方,種別ごとの役割と動作を正しく理解した上で,本文中に示されたABRにおけるネットワーク集約に関する記述をきちんと読み取り,正答を導き出してほしい。

出典:令和3年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3 通信品質の確保

通信品質の確保に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。

Y 社は,機械製品の輸入及び国内販売を行う社員数 500 名の商社であり,本社のほかに 5 か所の営業所(以下,本社及び営業所を拠点という)をもっている。このたび,Y 社では,老朽化した電話設備を廃棄して,Z 社の音声クラウドサービス(以下,電話サービスという)を利用することで,電話設備の維持管理コストの削減を図ることにした。情報システム部の X 主任が,電話サービス導入作業を担当することになった。

〔現状の調査〕

X 主任は,既設の電話設備の内容について総務部の担当者から説明を受け,現在の全社のネットワーク構成をまとめた。Y 社のネットワーク構成を,図1に示す。

営業所1(営業所5まで重なって描かれている)では,PBX に TEL(複数台)が接続し,PBX は公衆電話網と IP-GW に接続する。IP-GW は L3SW1 に接続し,L3SW1 は広域イーサ網と L2SW1 に接続する。L2SW1 には PC(複数台)が接続する。本社では,PBX が公衆電話網に接続し,PBX に IP-GW と TEL(複数台)が接続する。IP-GW は L3SW0 に接続し,L3SW0 は広域イーサ網にも接続する。インターネットはルータに接続し,ルータは FW に接続する。FW は DMZ の L2SW0 と L3SW0 に接続する。DMZ(破線の枠)では L2SW0 に Web サーバ,DNS サーバ,プロキシサーバが接続する。L3SW0 には L2SW02,L2SW01 が接続し,それぞれに PC(複数台)がつながる。L3SW0 にはサーバ室(破線の枠)のファイルサーバ,業務サーバ,eLN サーバも接続する。凡例:L2SW:レイヤ2スイッチ,L3SW:レイヤ3スイッチ,FW:ファイアウォール,TEL:電話機,eLN サーバ:e ラーニングシステムのサーバ,IP-GW:音声信号と IP パケットの変換装置,広域イーサ網:広域イーサネットサービス網。注記1 本社の PBX には 80 回線の外線が収容され,各営業所の PBX には,それぞれ 10 回線の外線が収容されている。注記2 本社の PBX から本社の IP-GW には 100 回線が接続され,各営業所の PBX から当該営業所の IP-GW には,それぞれ 20 回線が接続され,拠点間の内線通話に使用されている。
図1 Y 社のネットワーク構成

Y 社のネットワークの使用方法を次に示す。

〔電話サービス導入後のネットワーク構成〕

次に,X 主任は,電話サービスの仕様を基に,図2に示す,電話サービス導入後のネットワーク構成を設計した。

公衆電話網は Z 社電話サービスの枠に接続し,Z 社電話サービスの中の GW はインターネットに接続する。本社では,インターネットに IPsec ルータとルータが接続する。IPsec ルータは L3SW0 のポート a に接続する。ルータは FW に接続し,FW は L3SW0 のポート b と DMZ の L2SW0 に接続する。DMZ(破線の枠)では L2SW0 に Web サーバ,DNS サーバ,プロキシサーバが接続する。L3SW0 のポート c,d,e には,サーバ室(破線の枠)のファイルサーバ,業務サーバ,eLN サーバがそれぞれ接続する。L3SW0 のポート f に L2SW01,ポート g に L2SW02 が接続し,L2SW01・L2SW02 にはそれぞれ ITEL(複数台)が接続し,各 ITEL に PC が1台ずつつながる。L3SW0 のポート h は広域イーサ網に接続する。営業所1(営業所5まで重なって描かれている)では,L3SW1 のポート i が広域イーサ網に接続し,L3SW1 のポート j に L2SW1 が接続する。L2SW1 には ITEL(複数台)が接続し,各 ITEL に PC が1台ずつつながる。網掛け(PoE 対応製品)は,L2SW01,L2SW02,L2SW1 と全ての ITEL。PBX,IP-GW,TEL は図1から無くなっている。凡例:ITEL:IP 電話機,GW:ゲートウェイ装置。注記1 網掛け部分は,PoE 対応製品である。注記2 L3SW0 及び L3SW1 の a〜j は,ポートを示す。
図2 電話サービス導入後のネットワーク構成

図2中の a には VLAN10,b には VLAN15,c,d,e には VLAN20,f には VLAN100,g には VLAN150,h には VLAN25,i には VLAN200,j には VLAN210 という VLAN がそれぞれ設定されている。

ITEL は,PoE の受電機能をもつ製品を導入して ITEL 用の電源タップを不要にする。PC は,ITEL の PC 接続用のポートに接続する。①営業所の L2SW 及び本社の L2SW01 と L2SW02 は,PoE の給電機能をもつ製品に交換する。

電話サービス導入後は,音声を全て IP パケット化し,データパケットと一緒に LAN 上に流す。Y 社が利用する VoIP(Voice over Internet Protocol)では,音声の符号化に G.729 として標準化された CS-ACELP が使用される。CS-ACELP のビットレートは, a k ビット/秒であり,音声を IP パケット化して LAN 上に流すと,イーサネットフレームヘッダのほかに,IP, b 及び RTP ヘッダが付加されるので,1 回線当たり 34.4 k ビット/秒の帯域が必要となる。しかし,全社員が同時に通話した場合でも,本社の LAN の帯域には余裕があると考えた。

電話サービスには,本社の IPsec ルータ経由で接続する。電話サービスは,Y 社から送信された外線通話の音声パケットを GW で受信し,セッション管理を行う。

X 主任は,図2の構成への変更作業完了後,電話サービスの運用テストを実施し,問題なく終了したので,電話サービスに切り替えた。

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

電話サービスへの切替後のあるとき,eLN サーバで提供する動画コンテンツの情報セキュリティ基礎コース(以下,S 基礎コースという)を,3 日間で全社員に受講させることが決まった。受講日は部署ごとに割り当てられた。

受講開始日の昼過ぎ,本社や営業所の電話利用者から,通話が途切れるというクレームが発生した。X 主任は,S 基礎コースの受講を停止させて原因を調査した。調査の結果,eLN サーバから S 基礎コースの動画パケットが大量に送信されたことが分かった。大量の動画パケットが L3SW0 に入力されたことによって,L3SW0 で音声パケットの遅延又は c が発生したことが原因であると推定できた。

そこで,X 主任は,本社の ITEL,L3SW0,L2SW01 及び L2SW02 と,全営業所の ITEL,L3SW 及び L2SW に,音声パケットの転送を優先させる設定を行うことにした。例として,本社と営業所1に設定した優先制御の内容を次に示す。

(レイヤ 2 マーキングによる優先制御)

(レイヤ 3 マーキングによる優先制御)

上記の設定を行った後に S 基礎コースの受講を再開したが,本社及び営業所の電話利用者からのクレームは発生しなかった。X 主任は,優先制御の設定によって問題が解決できたと判断し,システムの運用を継続させた。

出題趣旨(IPA)

音声をVoIP技術によってIPパケット化し,PBXを廃止する事例は多い。VoIPでは,音声符号化方式に低ビットレートのCS-ACELPなどが利用される。音声パケットに遅延や廃棄が発生すると,音声品質が低下するので,既設のLANで音声パケットを送受信する場合は,遅延や廃棄を避ける対策が必要となることがある。本問では,音声クラウドサービスを利用して,音声パケットを既設のLANに流す事例を取り上げた。VoIP導入によって発生した通話の不具合を,レイヤ2及びレイヤ3での優先制御によって改善する対策を題材にして,ネットワークの設計,構築,運用に携わる受験者が修得した技術と経験が,実務で活用できる水準かどうかを問う。

設問と解答例

設問1 解答欄4つ

本文中の a 〜 d に入れる適切な字句又は数値を答えよ。

〔a〕解答例

  • 8

〔b〕解答例

  • UDP

〔c〕解答例

  • 廃棄
  • ドロップ
  • 損失

〔d〕解答例

  • ToS
解説

本文の根拠

〔電話サービス導入後のネットワーク構成〕

Y 社が利用する VoIP(Voice over Internet Protocol)では,音声の符号化に G.729 として標準化された CS-ACELP が使用される。CS-ACELP のビットレートは, a k ビット/秒であり,音声を IP パケット化して LAN 上に流すと,イーサネットフレームヘッダのほかに,IP, b 及び RTP ヘッダが付加されるので,1 回線当たり 34.4 k ビット/秒の帯域が必要となる。

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

大量の動画パケットが L3SW0 に入力されたことによって,L3SW0 で音声パケットの遅延又は c が発生したことが原因であると推定できた。

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

CoS 値に対応した DSCP(Diffserv Code Point)値を,IP ヘッダの d フィールドを DSCP として再定義した 6 ビットにマーキングする。

a:ITU-T 勧告 G.729(CS-ACELP)の符号化速度は 8 k ビット/秒である。本文の 34.4 k ビット/秒は,これにヘッダの分を足した値である。

b:RTP は UDP の上で動く(RFC 3550)。音声は遅れて届いたデータを再送しても役に立たないので,再送制御の無い UDP を使う。ヘッダの並びは IP・UDP・RTP の順になる。

c:出力ポートに入りきらないほどの動画パケットが来ると,キューで待たされて遅延し,キューがあふれるとパケットは廃棄される。音声は廃棄されると途切れて聞こえ,本文のクレームと合う。解答例は「廃棄」「ドロップ」「損失」のどれでもよい。

d:IPv4 ヘッダの ToS(Type of Service)フィールドの上位 6 ビットを,Diffserv では DS フィールドの DSCP として再定義している(RFC 2474)。

講評のとおり a の正答率が低かった。G.711(64 k ビット/秒)と取り違えやすい。本文は 34.4 k ビット/秒が“ヘッダが付加される”結果の値だとしているので,a はそれより小さい値でなければならない。

採点講評(IPA)

設問1は,(a)の正答率が低かった。CS-ACELPは,VoIPで広く利用されている音声符号化技術なので,よく理解してほしい。

設問2(1)

図1において,音声信号が IP パケット化される通話はどのような通話か。本文中の字句を用いて答えよ。

解答例

  • 拠点間の内線通話
解説

本文の根拠

図1 注記2

注記2 本社の PBX から本社の IP-GW には 100 回線が接続され,各営業所の PBX から当該営業所の IP-GW には,それぞれ 20 回線が接続され,拠点間の内線通話に使用されている。

〔現状の調査〕

拠点間の内線通話は,IP-GW を介して広域イーサ網経由で行っている。

図1の凡例で IP-GW は“音声信号と IP パケットの変換装置”である。PBX につながる通話のうち,IP-GW を通るものだけが IP パケットになる。外線通話は PBX から公衆電話網に直接出るので IP 化されず,同じ拠点の中の内線通話も PBX の中で完結する。

図1の注記2で,PBX から IP-GW への回線は“拠点間の内線通話に使用されている”とされ,本文も拠点間の内線通話は IP-GW を介して広域イーサ網経由で行うとしている。

“本文中の字句を用いて”答えるので,「拠点間の内線通話」とそのまま書く。「内線通話」だけでは拠点内の内線も含んでしまう。

設問2(2) 20字以内

図1中の IP-GW は,音声パケットのジッタを吸収するためのバッファをもっている。しかし,バッファを大きくし過ぎるとスムーズな会話ができなくなる。その理由を,パケットという字句を用いて,20 字以内で述べよ。

解答例

  • パケットの音声化遅延が大きくなるから
解説

本文の根拠

〔現状の調査〕

拠点間の内線通話は,IP-GW を介して広域イーサ網経由で行っている。

ジッタ(パケットの到着間隔のゆらぎ)を吸収するバッファは,届いたパケットをいったんためて,一定の間隔で取り出して音声に戻す。バッファを大きくするとゆらぎには強くなるが,パケットがバッファで待つ時間が長くなり,話してから相手に聞こえるまでの遅延が増える。遅延が大きいと,相手の返事を待つ間が長くなったり,話し始めがぶつかったりして,スムーズな会話ができない。

本文では拠点間の内線通話が IP-GW で IP パケットになり,広域イーサ網を通る。受信側の IP-GW がパケットを音声に戻すときにバッファの待ち時間が加わる。

20 字に収める。解答例は「パケットの音声化遅延が大きくなるから」で 18 字。設問の指定どおり“パケット”という字句を使い,何が大きくなるか(音声に戻すまでの遅延)を書く。

設問3(1)

図1中に示した現在の回線数を維持する場合,図2中の L3SW0 のポート a から出力される音声パケットの通信量の最大値を,k ビット/秒で答えよ。

解答例

  • 4,472
解説

本文の根拠

図1 注記1

注記1 本社の PBX には 80 回線の外線が収容され,各営業所の PBX には,それぞれ 10 回線の外線が収容されている。

〔電話サービス導入後のネットワーク構成〕

電話サービスには,本社の IPsec ルータ経由で接続する。電話サービスは,Y 社から送信された外線通話の音声パケットを GW で受信し,セッション管理を行う。

〔電話サービス導入後のネットワーク構成〕

1 回線当たり 34.4 k ビット/秒の帯域が必要となる。

図2でポート a は IPsec ルータにつながっており,その先はインターネットを経て Z 社電話サービスの GW である。ポート a から出ていく音声パケットは,全拠点の外線通話である。現在の外線数は本社 80 回線と営業所 10 回線×5 か所で,80+10×5=130 回線。全回線が同時に通話したときの通信量は 130×34.4=4,472 k ビット/秒になる。

本文は,電話サービスは“外線通話の音声パケット”を GW で受信するとしている。営業所の外線通話も広域イーサ網を通って本社の L3SW0 に集まり,ポート a から出る。

講評のとおり正答率の低かった設問。拠点間内線の回線数(100+20×5)を足してしまう誤りに注意する。内線通話はポート a を通らない。単位は k ビット/秒なので,数値だけを答える。

採点講評(IPA)

設問3は,(2)の正答率が高かったが,(1)の正答率が低かった。図2中のL3SW0のaポートから出力されるのは外線通話パケットであることから,本文中に記述された情報を基に,全社の外線数が130回線,1回線当たりの必要帯域が34.4kビット/秒という通信量の最大値を導き出してほしい。

設問3(2) 20字以内

本文中の下線①の L2SW に,PoE 未対応の機器を誤って接続した場合の状態について,PoE の機能に着目し,20 字以内で述べよ。

解答例

  • L2SWからの給電は行われない。
解説

本文の根拠

〔電話サービス導入後のネットワーク構成〕

ITEL は,PoE の受電機能をもつ製品を導入して ITEL 用の電源タップを不要にする。PC は,ITEL の PC 接続用のポートに接続する。①営業所の L2SW 及び本社の L2SW01 と L2SW02 は,PoE の給電機能をもつ製品に交換する。

PoE(IEEE 802.3af/at)の給電側機器は,いきなり電力を送らない。まずケーブルの先に受電機器が接続されているかを検出し(受電機器は決められた抵抗値の識別用の回路を持つ),受電機器と確認できたときだけ給電を始める。PoE に対応していない機器は検出に応答しないので,給電は行われず,機器を壊すこともない。

本文では ITEL だけが PoE の受電機能を持ち,L2SW は給電機能を持つ製品に交換する。誤って PC などの PoE 未対応機器をつないでも,通常の LAN ポートとして通信だけが行われる。

20 字に収める。解答例は「L2SW からの給電は行われない。」で 16 字。“PoE の機能に着目”とあるので,通信できるかではなく給電の有無を書く。「故障する」は誤り。

採点講評(IPA)

設問3は,(2)の正答率が高かったが,(1)の正答率が低かった。図2中のL3SW0のaポートから出力されるのは外線通話パケットであることから,本文中に記述された情報を基に,全社の外線数が130回線,1回線当たりの必要帯域が34.4kビット/秒という通信量の最大値を導き出してほしい。

設問4(1) 30字以内

本文中の下線②について,レイヤ 2 の CoS 値を基にした優先制御にはタグ VLAN が必要になる。その理由を,30 字以内で述べよ。

解答例

  • フレーム中のタグ情報内の優先ビットを使用するから
解説

本文の根拠

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

ITEL は,音声フレームとデータフレームに異なる CoS 値を,フレーム内の TCI(Tag Control Information)の上位 3 ビットにマーキングして出力する。

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

ITEL には VLAN 機能があるので,音声フレームと PC が送受信するデータフレームを異なる VLAN に所属させ,②ITEL のアップリンクポートにタグ VLAN を設定する。

CoS 値は,IEEE 802.1Q の VLAN タグの中にある TCI の上位 3 ビット(優先度,PCP)に書き込む値である。タグの無いフレームにはこのフィールドが存在しないので,CoS 値を付けられない。L2SW が CoS 値でキューを振り分けるには,フレームにタグが付いている必要がある。

本文は,ITEL が CoS 値を“フレーム内の TCI の上位 3 ビット”にマーキングするとしている。TCI はタグの一部なので,ITEL のアップリンクポートをタグ VLAN にしなければならない。

30 字に収める。解答例は「フレーム中のタグ情報内の優先ビットを使用するから」で 24 字。“CoS 値はタグの中にある”という関係を書く。「音声とデータを分けるため」は VLAN を分ける理由で,タグが必要な理由になっていない。

採点講評(IPA)

設問4(1)の正答率は,平均的であった。レイヤ2の優先制御に利用されるCoS値がフレーム中のVLANタグ内のTCIに設定されることから,タグVLANが必須になることを,よく理解してほしい。(2)は,正答率が低かった。L3SW0の内部ルータに生成されるVLANインタフェースは,L3SW0の物理ポートに設定されるVLANと論理的に接続される構成になることをよく理解してほしい。

設問4(2)

優先制御の設定後,L3SW0 の内部のルータに新たに作成される VLAN インタフェースの数を答えよ。

解答例

  • 2
解説

本文の根拠

〔電話サービス導入後のネットワーク構成〕

図2中の a には VLAN10,b には VLAN15,c,d,e には VLAN20,f には VLAN100,g には VLAN150,h には VLAN25,i には VLAN200,j には VLAN210 という VLAN がそれぞれ設定されている。

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

L2SW01 に接続する ITEL には,VLAN100 と VLAN105 を,L2SW02 に接続する ITEL には,VLAN150 と VLAN155 を,L2SW1 に接続する ITEL には,VLAN210 と VLAN215 を設定する。

L3SW の内部のルータは,VLAN ごとに VLAN インタフェース(その VLAN のデフォルトゲートウェイになる論理インタフェース)を持ち,VLAN 間をルーティングする。新しい VLAN が L3SW0 のポートに届くなら,その VLAN のインタフェースを新しく作らなければならない。

優先制御前から L3SW0 にある VLAN は 10,15,20,100,150,25 である。優先制御で追加されるのは VLAN105(L2SW01 の先の ITEL),VLAN155(L2SW02 の先の ITEL),VLAN215(営業所1 の L2SW1 の先の ITEL)の三つ。このうち L3SW0 のポート f・g に届くのは VLAN105 と VLAN155 で,VLAN215 は営業所1 の L3SW1 のポート j に届く。したがって L3SW0 に新しく作られる VLAN インタフェースは 2 である。

講評のとおり正答率の低かった設問。VLAN215 まで数えて 3 としやすい。VLAN100・VLAN150 は既存である。

採点講評(IPA)

設問4(1)の正答率は,平均的であった。レイヤ2の優先制御に利用されるCoS値がフレーム中のVLANタグ内のTCIに設定されることから,タグVLANが必須になることを,よく理解してほしい。(2)は,正答率が低かった。L3SW0の内部ルータに生成されるVLANインタフェースは,L3SW0の物理ポートに設定されるVLANと論理的に接続される構成になることをよく理解してほしい。

設問4(3) 20字以内

本文中の下線③の処理が行われたとき,キュー1 に音声フレームが残っていなくても,キュー1 に入った音声フレームの出力が待たされることがある。音声フレームの出力が待たされるのはどのような場合か。20 字以内で答えよ。このとき,L2SW の内部処理時間は無視できるものとする。

解答例

  • データフレームが出力中の場合
解説

本文の根拠

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

最優先の設定によって,キュー1 のフレーム出力が優先され,キュー1 にフレームがなくなるまでキュー2 からフレームは出力されない。

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

L2SW01,L2SW02 及び L2SW1 では CoS 値を基に,③音声フレームをキュー1,データフレームをキュー2 に入れる。

PQ は,次に送り出すフレームを選ぶときにキュー1 を優先する仕組みで,既に送り出している途中のフレームを止めることはしない。キュー2 のデータフレームを送信している最中に音声フレームがキュー1 に入ると,音声フレームは,送信中のデータフレームが最後まで出終わるのを待ってから送られる。データフレームが長いほど待ち時間も長い。

本文の“キュー1 にフレームがなくなるまでキュー2 からフレームは出力されない”は,キュー2 を選ぶ条件を述べたもので,出力中のフレームの扱いは含まない。設問は,キュー1 に先客がいないのに待たされる場合を問うている。

20 字に収める。解答例は「データフレームが出力中の場合」で 14 字。“データフレーム”と“出力(送信)中”の二つがそろえばよい。

設問4(4) 解答欄2つ

本文中の [ ア ] , [ イ ] に入れるポートを,図2中の a〜j の中から全て答えよ。

〔ア〕解答例

  • f,g,j

〔イ〕解答例

  • a,b,c,d,e
解説

本文の根拠

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

[ ア ] から受信したフレームには CoS 値がマーキングされているので,

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

[ イ ] から受信したパケットは,音声パケット,eLN サーバのパケット(以下,eLN パケットという),その他のデータパケット(以下,D パケットという)の 3 種類に分類し,対応する DSCP 値をマーキングする。

図2

L3SW0 のポート f に L2SW01,ポート g に L2SW02 が接続し,L2SW01・L2SW02 にはそれぞれ ITEL(複数台)が接続し,各 ITEL に PC が1台ずつつながる。L3SW0 のポート h は広域イーサ網に接続する。

ア:CoS 値が付いたフレームが届くのは,ITEL からタグ付きのフレームを受け取る L2SW につながったポートである。本社の L3SW0 では L2SW01 の f と L2SW02 の g,営業所1 の L3SW1 では L2SW1 の j が当たる。ここでは CoS 値を DSCP 値に写し替える。

イ:CoS 値の付かないパケットが届くのは,IPsec ルータ(a),FW(b),ファイルサーバ・業務サーバ・eLN サーバ(c,d,e)につながったポートである。eLN サーバのパケットもここから入るので,中身で 3 種類に分類して DSCP 値を付ける。

h と i はどちらにも入らない。広域イーサ網から届くパケットは,送り出した側の L3SW で既に DSCP 値が付いているので,付け直す必要がない。図2中の a〜j から“全て”答える設問なので,h・i を落とし忘れていないか,営業所側の j を忘れていないかを確かめる。

設問4(5) 35字以内

本文中の下線④について,eLN パケットを D パケットと異なるキュー2 に入れる目的を,35 字以内で述べよ。

解答例

  • DパケットによるeLNパケット転送への影響を少なくするため
解説

本文の根拠

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

L3SW の f〜j には,キュー1〜キュー3 の 3 種類の出力キューを作成し,キュー1 は PQ の最優先キューとし,キュー2 とキュー3 より優先させる。キュー2 には重み比率 75%,キュー3 には重み比率 25%の WRR を設定する。

〔電話サービスで発生した問題と対策〕

L3SW の内部のルータは,受信したパケットの出力ポートを経路表から決定し,DSCP 値を基に,音声パケットをキュー1,④eLN パケットをキュー2,D パケットをキュー3 に入れる。

WRR は,キューごとの重みに応じて送信の機会を割り振る。eLN パケットをキュー2(75%),D パケットをキュー3(25%)に分けると,D パケットがどれだけ多く来ても,eLN パケットは出力の 75% 分の機会を確保できる。同じキューに入れていると,D パケットの量に eLN の動画の配信が左右され,動画が止まったり乱れたりする。

本文で S 基礎コースは全社員が 3 日間で受講する動画であり,大量の eLN パケットが流れることが分かっている。音声はキュー1 で守り,その次に eLN の動画を D パケットから守る設計である。

35 字に収める。解答例は「D パケットによる eLN パケット転送への影響を少なくするため」で 29 字。“何から(D パケット)”“何を(eLN パケットの転送)”守るかの両方を書く。「音声を優先するため」はキュー1 の目的で,下線④の答えではない。

出典:令和3年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問3(表記を一部改変)