令和3年度 春期に実施されたシステムアーキテクト試験
午後Ⅰの全4問(記述式)です。事例本文・設問・解答例と解説をそのまま読めます。
この試験について:システムアーキテクト試験について
この年度を解いてみる
問1 企業及び利用者に関する情報の管理運用の見直し
企業及び利用者に関する情報の管理運用の見直しに関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
A 研究所は,地域の中小企業などの産業支援を目的にする,地方公共団体が設立した試験研究機関である。
〔A 研究所の事業概要〕
A 研究所は,産業支援事業の一環として,特別な試験機器,設備などが必要になる試験について,企業から委託を受けて A 研究所が試験を行う依頼試験事業(以下,依頼試験という)を行っている。それとは別に,試験機器,設備などを時間単位で貸し出し,企業自らが試験を行う機器・設備利用事業(以下,機器・設備利用という)を行っている。A 研究所は,これら二つの事業を主要な産業支援事業(以下,主要事業という)にしており,その他に技術相談,技術セミナーの開催,独自の研究などを行っている。
主要事業は,A 研究所が所在する地域の中小企業の利用が中心であるが,その他の地域の企業,大企業,法人登記していない個人事業者などによる利用も可能である。
主要事業は有料で提供しており,利用料金には,一般料金と,中小企業及び個人事業者向けの優遇料金がある。一般料金と優遇料金のどちらを適用するかについては,株式会社・社団法人などの法人種別,業種,資本金及び従業員数で A 研究所が判断している。過去の料金体系では,A 研究所を所管する地方公共団体の区域内に本店,支店などの事業所が所在する場合,料金を安くする制度があったが,別の助成制度の提供に伴い,現在は廃止されている。
〔現行業務の概要〕
現在の主要事業の基本的な業務の流れは,次のとおりである。
A 研究所が提供する事業全般に関する問合せ,試験内容などに関する相談などを受け付ける。A 研究所では,総合窓口を用意しており,初めて A 研究所を利用する場合などは,まず総合窓口の職員が概要を確認し,適切な専門部署につないでいる。問合せ,相談内容は,主要事業を管理する情報システム(以下,事業管理システムという)に登録している。
(2) 企業情報及び事業所情報の登録(新規利用の企業などの場合) 利用者が A 研究所を初めて利用する場合,総合窓口で名刺を提示してもらい,事業管理システムの企業マスタに利用者が所属する企業が既に登録されているかどうかを企業の商号又は名称(以下,企業名という)などで検索し,確認する。未登録の企業だった場合は,利用者に企業登録用紙への記入を依頼し,企業名,所在地,法人種別,業種,資本金,従業員数などの情報(以下,企業情報という)を確認の上,企業マスタに登録する。利用者が所属企業の資本金,従業員数などが分からない場合,総合窓口の職員が代わりに公表情報を調べて登録するケースがある。
企業情報を新規に登録すると,事業管理システムで企業を一意に識別する企業コードが付与される。また,企業情報が登録済でも,利用者が所属する事業所が未登録の場合は,同じ企業コードで枝番だけを変更し,事業所名,所在地,代表電話番号などの情報(以下,事業所情報という)を入力して企業マスタに登録する。その際,企業名などの既に企業マスタに登録済の属性情報は入力不要にしている。個人事業者の場合も,企業情報として登録し,法人種別には“個人”を設定する。
なお,企業情報を新規に登録する際に,入力された内容を基に,適用料金区分として,中小企業及び個人事業者向けの料金を適用する“優遇”か,それ以外の“一般”かを,事業管理システムが自動判断して登録する。
(3) 利用者情報の登録及び利用者カードの発行(新規利用者の場合) 企業マスタに事業所情報が登録済で,利用者が A 研究所を初めて利用する場合は,利用者に利用者登録用紙の記入を依頼し,名刺及び本人確認できる身分証を提示してもらい,総合窓口の職員が利用者の氏名,連絡先などの情報(以下,利用者情報という)を,登録済の事業所情報に関連づけて利用者マスタに登録する。その際,事業管理システムで利用者を一意に識別する利用者コードが付与される。
利用者情報の登録が完了すると,主要事業の受付時などに使用するバーコード付きのプラスチックの利用者カードを発行する。大企業などでは様々な部署が A 研究所を利用するケースがあり,誰が利用したのかを識別して管理したいことから,企業単位ではなく,利用者個人ごとに利用者カードを発行している。そのため,同じ企業に所属する者であっても,他の利用者の利用者カードを借りて利用することは禁止している。一方で,利用者カードが本人のものであるかどうかを,受付時に厳密には確認していない。
専門部署の職員は,利用者からより詳しい内容を聞き取り,試験内容などの詳細を決定する。専門部署での受付時に利用者カードを提示してもらい,決定した試験内容などを事業管理システムに登録する。
なお,利用者カードの持参を忘れた場合は,総合窓口に案内し,名刺及び本人確認できる身分証を提示してもらい,利用者カードを再発行している。再発行すると,古い利用者カードを無効にし,使用できないようにする。
省略。
省略。
省略。
依頼試験の場合,依頼内容に応じた試験結果を報告書にまとめ,利用者に対して納品する。報告書の宛名は企業名にしている。納品は,来所してもらい手渡しするか,報告書を郵送で提出する。郵送の場合の送付先は,利用者が所属する事業所の所在地にしている。
〔現行の事業管理システムにおける企業及び利用者に関する情報の管理運用〕
現行の事業管理システムでは,企業及び利用者に関する情報をマスタで管理している。現行の事業管理システムで使用している主なマスタを表 1 に示す。企業情報を利用者に確認したり,職員が公表情報を調べたりする作業負荷を軽減するため,企業マスタで管理する属性の一部は,信用調査会社から年に 1 回,企業データベース(以下,企業 DB という)を購入し,登録している。購入したデータは,A 研究所を過去に利用したことがない企業も含めて企業マスタに登録・更新している。ただし,費用面の都合から,購入する企業 DB は,A 研究所が所在する区域内に本店が所在する企業だけとしており,本店以外の事業所情報及び個人事業者の情報は購入していない。
表1 現行の事業管理システムで使用している主なマスタ
〔企業及び利用者に関する情報の管理運用に対する改善要望〕
現行の企業及び利用者に関する情報の管理運用に対して,利用者及び A 研究所職員から次に示す改善要望が挙がっている。
A 研究所を頻繁に利用しないので,利用者カードを忘れてくることが多い。その都度,利用者カードの再発行が必要になり,手続が面倒である。 A 研究所が所在する区域外に本店がある企業など,企業 DB に含まれない企業の利用が多く,企業情報の登録作業が負荷になっている。 現在,事業所単位で企業マスタに登録しているので,本店の情報は登録されているが,支店などの事業所情報を新規に登録しなければならないケースが多い。事業所別で情報を管理しているのは,過去の料金体系時の経緯であり,現在の料金体系では企業マスタとして事業所別の情報を管理する必要性がない。 利用者カードの発行,再発行に手数料を取っていないので,利用者カードの媒体や発行手続に係る費用が負担になっている。プラスチックの利用者カードは順次廃止し,電子化したいが,電子化後も利用者カードの発行の考え方,使用ルールは現在の運用を踏襲したい。 企業名が変更になったり,屋号などの正式な企業名ではない情報で登録されていたりすることから,同一企業であるにもかかわらず別企業として企業マスタに登録されているデータが散見され,検索,集計などの際に問題がある。 〔企業に関する情報の管理運用の見直し〕
現行の事業管理システムの老朽化に伴い,マスタで管理する情報の変更を含めて事業管理システムを刷新することにした。刷新に当たっては,前述の改善要望を踏まえて,企業に関する情報の管理運用を次のとおり見直すことにした。
国税庁法人番号公表サイトで提供されている企業名,本店又は主たる事務所の所在地,及び 1 法人に一つ指定される法人番号から構成される基本 3 情報(以下,法人情報という)の提供サービスを利用し,全国の法人情報の全件データ及び日次で取得した法人情報の差分データを用いて,企業マスタに登録・更新する。 なお,提供される法人情報は,法人登記し,法人番号が指定された法人全てが対象である。また,法人番号が指定されない個人事業者などは対象外である。法人情報以外の電話番号,代表者氏名,支店の情報などは提供されない。
企業マスタは法人情報の利用に伴い,事業所単位ではなく企業単位で情報を管理することにし,登録済の企業情報は,システム刷新時にできる限り法人情報に名寄せする。一方で,事業所情報は,利用者マスタで管理する。 上記によって,企業情報の登録作業はある程度軽減され,誤った企業名での登録や重複登録は減る見込みである。また,①特定の属性情報を利用するに当たり,企業情報を確認したり,調べたりする作業負荷が増えないよう,企業 DB を引き続き購入する 。 ②企業に関する情報が企業マスタに登録されていないケース を想定して,企業情報の新規登録機能は引き続き残すことにする。〔利用者に関する情報の管理運用の見直し〕
企業に関する情報の管理運用の見直しと同時に,利用者に関する情報の管理運用も次のとおり見直すことにした。
総合窓口における利用者情報の新規登録手続を簡便化するため,利用者が A 研究所のホームページからオンラインで利用者情報を事前登録できる機能を提供する。その際,法人に所属する利用者の場合は,企業情報の入力をできる限り簡略化し,かつ所属企業との関連づけができるよう,a の入力を求める。 オンラインでの登録の場合,なりすましによる不正登録を防止するため,仮登録の状態にする。利用者は,依頼試験又は機器・設備利用の際には一度は来所が必要になるので,初回の来所時に身元を確認してから本登録にする。 プラスチックの利用者カードを廃止して,利用者コードから生成する QR コードを利用した利用者カードに変更し,スマートフォンなどでいつでも表示可能にする。本登録の際に,利用者の電子メールアドレスに利用者マスタの情報から生成した URL を送付し,その URL にアクセスすると QR コードが表示される。このとき,③電子化前の利用者カードの使用ルールを踏襲し ,URL にアクセスする都度,利用者の電子メールアドレス又は携帯電話のショートメッセージサービスにワンタイムの PIN を送付し,PIN を入力しないと QR コードが表示できない仕組みにする。
出題趣旨(IPA)
近年,民間企業,官公庁において,様々なデータのオープン化,Webサービスによる公開が進められている。システムアーキテクトには,これらを活用した新たなサービスの開発,自社での効果的な利活用を企画,具現化する能力が求められる。本問では,試験研究機関における企業及び利用者に関する情報の管理運用の見直しを題材として,国税庁法人番号公表サイトで提供されている法人番号などの情報の活用も含めたマスタの設計見直し,セキュリティ対策を考慮したデータの管理方法を定義し,設計していく能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問1では,試験研究機関での主要な産業支援事業を管理する情報システムを題材に,法人番号の活用を含めたシステム刷新に伴う企業及び利用者に関する情報の管理運用の見直しについて出題した。全体として正答率は平均的であった。
設問と解答例
設問1
解答欄2つ
〔現行業務の概要〕について,利用者カードに印字されているバーコードに必ず含まれる情報を表 1 中の属性名を用いて答えよ。また,その属性をバーコードに含めている利用者カードに対する業務の管理運用上の理由を 35 字以内で述べよ。
〔理由〕解答例
再発行の際,古い利用者カードを使用できないようにしたいから
解説
本文の根拠
〔現行業務の概要〕(4)
再発行すると,古い利用者カードを無効にし,使用できないようにする。
表1 利用者カードマスタ
利用者カードマスタ:利用者カード番号(主キー),利用者コード,状態区分。
〔現行業務の概要〕(3)
その際,事業管理システムで利用者を一意に識別する利用者コードが付与される。
利用者カードは持参を忘れると再発行され,そのとき古いカードは無効にされる。同じ利用者のカードが新旧2枚存在し,古い方だけを使えなくする必要がある。そのためにはカード1枚ごとに違う値をバーコードに入れなければならない。表1でカード1枚を識別できるのは利用者カードマスタの主キーである利用者カード番号で,同じマスタの状態区分で有効か無効かを管理できる。
利用者コードは利用者を一意に識別する値なので,再発行しても新旧のカードで同じになる。利用者コードをバーコードに入れると,古いカードを読み取っても新しいカードと区別できず,無効にしたはずのカードが使えてしまう。講評もこの誤りを挙げている。
属性名は表1の表記どおり「利用者カード番号」と書く。理由は35字で「再発行」と「古いカードを使えなくする」の二つを入れる。解答例は「再発行の際,古い利用者カードを使用できないようにしたいから」で29字。
採点講評(IPA)
設問1は,正答率が低かった。特に属性名については,“利用者コード”と誤って解答した受験者が多かった。“利用者コード”とすると,再発行時に古い利用者カードを無効にすることができない。〔現行業務の概要〕の記述をよく読んで,利用者カードの管理運用を理解して,正答を導き出してほしい。
設問2(1)
20字以内
企業マスタは事業所単位ではなく企業単位で情報を管理することにした一方で,利用者マスタ上で事業所情報を引き続き管理することにしたのは,主要事業の業務の流れ上どのような用途で利用することを想定したからか。20 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔現行業務の概要〕(8)
郵送の場合の送付先は,利用者が所属する事業所の所在地にしている。
〔企業に関する情報の管理運用の見直し〕
法人情報以外の電話番号,代表者氏名,支店の情報などは提供されない。
〔企業に関する情報の管理運用の見直し〕
一方で,事業所情報は,利用者マスタで管理する。
業務の流れの中で事業所の情報を使う場面を探す。(8) 報告書の納品では,報告書を郵送するとき,送付先を利用者が所属する事業所の所在地にしている。宛名は企業名なので企業単位の情報で足りるが,送付先は事業所ごとに違う。
刷新後の企業マスタは法人情報で企業単位に管理され,法人情報には支店の情報が含まれない。本店以外の事業所に所属する利用者へ報告書を郵送するには,その利用者の事業所の所在地を別に持つ必要がある。これを利用者マスタに持たせることにした。料金の判断は企業単位で行うので,事業所情報を使う理由にはならない。
20字なので「報告書の送付先」を中心に書く。解答例は「報告書の送付先として利用すること」で16字。
設問2(2)
35字以内
法人情報を利用することにしたが,本文中の下線①のように,作業負荷が増えないよう,企業 DB を引き続き購入することにした理由を,表 1 中の属性名を用いて 35 字以内で述べよ。
解答例
適用料金区分を判断するための情報は,法人情報には含まれないから
解説
本文の根拠
〔A 研究所の事業概要〕
一般料金と優遇料金のどちらを適用するかについては,株式会社・社団法人などの法人種別,業種,資本金及び従業員数で A 研究所が判断している。
〔企業に関する情報の管理運用の見直し〕
国税庁法人番号公表サイトで提供されている企業名,本店又は主たる事務所の所在地,及び 1 法人に一つ指定される法人番号から構成される基本 3 情報(以下,法人情報という)
〔現行業務の概要〕(2)
入力された内容を基に,適用料金区分として,中小企業及び個人事業者向けの料金を適用する“優遇”か,それ以外の“一般”かを,事業管理システムが自動判断して登録する。
〔現行の事業管理システムにおける企業及び利用者に関する情報の管理運用〕
企業情報を利用者に確認したり,職員が公表情報を調べたりする作業負荷を軽減するため,企業マスタで管理する属性の一部は,信用調査会社から年に 1 回,企業データベース(以下,企業 DB という)を購入し,登録している。
下線①の「特定の属性情報」が何かを考える。法人情報は企業名,所在地,法人番号の3つだけである。一方,適用料金区分を決めるには法人種別,業種,資本金,従業員数が要る。これらは法人情報には含まれない。
表1では,法人種別,業種,資本金,従業員数に注1)が付いており,企業DBに存在する項目である。企業DBを買わなければ,料金区分を判断するたびに利用者に確認したり職員が公表情報を調べたりしなければならない。この作業負荷を増やさないために企業DBの購入を続ける。代表電話番号や代表者氏名も法人情報に含まれないが,料金区分の判断に使わないので理由にならない。講評は,こうした判断に関係のない属性を挙げた誤りが多かったとしている。
35字で「適用料金区分」という表1の属性名と,「法人情報には含まれない」の両方を書く。解答例は「適用料金区分を判断するための情報は,法人情報には含まれないから」で31字。
採点講評(IPA)
設問2(2)は,正答率がやや低かった。“代表電話番号”,“代表者氏名”など,適用料金区分を判断する上で関係のない情報を誤って解答した受験者が多かった。なぜ企業情報を確認したり,調べたりする必要があるのかをしっかり理解してほしい。
設問2(3)
15字以内
本文中の下線②のケースとして二つのケースが考えられる。一つは,法人登記した直後で法人情報がまだ提供されていない企業が利用するケースである。もう一つのケースを 15 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔A 研究所の事業概要〕
主要事業は,A 研究所が所在する地域の中小企業の利用が中心であるが,その他の地域の企業,大企業,法人登記していない個人事業者などによる利用も可能である。
〔企業に関する情報の管理運用の見直し〕
また,法人番号が指定されない個人事業者などは対象外である。
〔現行の事業管理システムにおける企業及び利用者に関する情報の管理運用〕
本店以外の事業所情報及び個人事業者の情報は購入していない。
企業マスタは法人情報と企業DBで登録・更新される。この二つのどちらにも入らない利用者を探す。法人情報は法人番号が指定された法人だけが対象で,個人事業者は対象外である。企業DBも個人事業者の情報は購入していない。
主要事業は法人登記していない個人事業者も利用できる。個人事業者が初めて利用するときは企業マスタに情報がないので,現行どおり企業情報として新規に登録する必要がある。設問が示すもう一つのケース(法人登記直後)とは別の理由で登録されていないケースである。
15字なので「個人事業者が利用するケース」(13字)のように,誰が利用するかを書けば足りる。
設問3(1)
25字以内
システム刷新後の利用者マスタで新たに必要になる情報が二つある。一つは,これまで企業マスタで管理していた事業所情報である。もう一つの情報を 25 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔利用者に関する情報の管理運用の見直し〕
オンラインでの登録の場合,なりすましによる不正登録を防止するため,仮登録の状態にする。
〔利用者に関する情報の管理運用の見直し〕
初回の来所時に身元を確認してから本登録にする。
〔利用者に関する情報の管理運用の見直し〕
本登録の際に,利用者の電子メールアドレスに利用者マスタの情報から生成した URL を送付し,その URL にアクセスすると QR コードが表示される。
刷新後はオンラインで事前登録した利用者を仮登録にし,来所して身元を確認してから本登録にする。利用者マスタに登録された利用者が,いま仮登録なのか本登録なのかを区別できなければ,この運用は回らない。
表1の利用者マスタには,この状態を表す属性がない。本登録のときに利用者カード(QRコード)のURLを送るので,仮登録のまま利用者カードを出さないようにするにも,この区別が要る。もう一つの新しい情報である事業所情報は,企業マスタから移すものである。
25字で「仮登録か本登録かを識別する」ことを書く。解答例は「利用者が,仮登録か本登録かを識別する情報」で20字。
設問3(2)
解答欄1つ
オンラインでの利用者情報の登録について,a に入れる字句を答えよ。
解説
本文の根拠
〔利用者に関する情報の管理運用の見直し〕
その際,法人に所属する利用者の場合は,企業情報の入力をできる限り簡略化し,かつ所属企業との関連づけができるよう,a の入力を求める。
〔企業に関する情報の管理運用の見直し〕
及び 1 法人に一つ指定される法人番号から構成される基本 3 情報
〔企業に関する情報の管理運用の見直し〕
企業マスタは法人情報の利用に伴い,事業所単位ではなく企業単位で情報を管理することにし,登録済の企業情報は,システム刷新時にできる限り法人情報に名寄せする。
刷新後の企業マスタは法人情報で登録され,企業単位で管理される。法人番号は1法人に一つ指定される番号なので,利用者が法人番号を1つ入力すれば,企業マスタの企業を一意に特定できる。企業名や所在地を入力させる必要がなく,入力が簡略化される。
企業名で検索する方法では,企業名の変更や屋号での登録によって同じ企業が別に登録される問題があった(専門部署の職員からの改善要望)。法人番号で関連づければ,この問題も起きない。空欄の前に「法人に所属する利用者の場合は」とあるのも,法人番号が法人にしか指定されないことと合う。
答えは「法人番号」。本文の語をそのまま使う。
設問3(3)
30字以内
本文中の下線③の使用ルールとは何か。30 字以内で述べよ。
解答例
他の利用者の利用者カードを借りて利用することの禁止
解説
本文の根拠
〔現行業務の概要〕(3)
そのため,同じ企業に所属する者であっても,他の利用者の利用者カードを借りて利用することは禁止している。
〔企業及び利用者に関する情報の管理運用に対する改善要望〕(2)
電子化後も利用者カードの発行の考え方,使用ルールは現在の運用を踏襲したい。
〔利用者に関する情報の管理運用の見直し〕
URL にアクセスする都度,利用者の電子メールアドレス又は携帯電話のショートメッセージサービスにワンタイムの PIN を送付し,PIN を入力しないと QR コードが表示できない仕組みにする。
電子化前の利用者カードの使用ルールとして本文に書かれているのは,他の利用者の利用者カードを借りて利用することの禁止である。利用者個人ごとに誰が利用したかを管理するために,カードの貸し借りを禁じている。
QRコードはURLにアクセスすれば表示できるので,URLを他人に教えるだけで貸し借りができてしまう。そこで,アクセスのたびに本人のメールアドレスか携帯電話にワンタイムのPINを送り,本人でなければQRコードを表示できないようにした。下線③の後に書かれた仕組みが,貸し借りを防ぐためのものだと分かれば答えが決まる。
30字で「他の利用者のカードを借りて利用すること」と「禁止」を書く。解答例は「他の利用者の利用者カードを借りて利用することの禁止」で25字。
出典:令和3年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2 配達情報管理システムの改善
配達情報管理システムの改善に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
K 社は全国に 2,000 の営業所を持つ運送会社である。このたび,宅配便サービスの差別化及び再配達率の改善を図るために,既存システムである配達情報管理システム(以下,配達システムという)の改善を行うことにした。
〔現在の業務の概要〕
K 社での集荷から配達までの業務の流れを図 1 に示す。K 社では,届け先の個人又は企業(以下,届け先顧客という)の住所での受取,配達先の営業所での受取(以下,営業所受取という)に対応している。依頼主は送付伝票を記載する際に配達予定日,配達予定時間帯及び受取場所を指定できる。
配達システムでは届け先顧客に配達予定連絡サービスを提供している。配達予定連絡サービスでは,送付伝票に配達予定日,配達予定時間帯が明記されており,かつ届け先顧客の電子メールアドレスが配達システムに登録されていた場合に,その日付と時間帯を該当の届け先顧客に通知する。
荷受け,配達先の営業所到着,配達開始,配達完了の各タイミングで送付伝票の伝票番号のバーコードを携帯情報端末(以下,配達端末という)で読み取ると,配達システムに,個々の荷物がどのような状況にあるのかを示すステータス(以下,配達状況という)が登録される。
図1 集荷から配達までの業務の流れ
営業所での主な業務とその作業内容を次に示す。
配達員が個人又は企業の依頼主を訪問し,集荷する。 集荷時には,送付伝票を貼り付け,送付伝票のバーコードを配達端末で読み取り,配達状況を“荷受け”にする。 配達システムに送付伝票の依頼主名,届け先顧客名,郵便番号,住所,電話番号,配達予定日及び配達予定時間帯を登録すると,配達システムが配達予定日及び配達予定時間帯を配達予定連絡サービスの対象の届け先顧客に通知する。 荷受け後,配達元の営業所から配達先の営業所に,配達業務の時間帯に合わせて輸送する。 配達先の営業所には,1 日複数回荷物が輸送されてくる。仕分担当者は荷物の到着後に送付伝票のバーコードを配達端末で読み取り,配達状況を“営業所到着”にする。到着した荷物は当日に再配達する荷物と併せて仕分けする。荷物の仕分け後,配達員に次の便で配達するよう依頼する。 配達先の営業所受取を指定された場合は営業所倉庫に保管する。 各配達員の担当区域は,営業所ごとに管理されており,配達システムには登録されていない。配達員は自分の担当区域を把握しており,担当区域外に配達することはない。 配達員は配達時に配達端末を携帯する。 配達業務は午前 1 便,午後 2 便の計 3 便行う。各便の出発時刻は決まっており,担当区域にかかわらず,全配達員共通である。 各便の全ての荷物に対して引渡し又は不在の場合の対応を実施したら当該便の配達業務を完了とし,営業所に帰還する。 各便の配達順序は営業所を出発する前に配達員があらかじめ決定する。 配達員は仕分けされた荷物を自動車,リアカー付き自転車又は台車(以下,これらを配達車両という)を利用して配達する。配達車両に荷物を積み込む際に配達端末で配達状況を“配達開始”にする。配達にどの配達車両を使用するかは配達員が判断し,配達端末に入力する。 配達端末は配達システムと連携している。配達員が,次の配達先の送付伝票のバーコードを読み取ると,配達システムが蓄えている過去の配達実績情報及び現在の交通情報に基づいて,使用する配達車両に応じた推奨移動経路と配達到着予想時刻を配達端末に提示する。 配達員は荷物の引渡しまでを担当する。届け先顧客に荷物の引渡しを終えたタイミングで,配達端末で配達状況を“配達完了”にする。届け先顧客に引き渡す際には社名と氏名を名乗っている。 配達時に届け先顧客が不在の場合,配達員は不在連絡票を投かんする。 1 便目,2 便目の配達業務完了後は配達車両から荷物を降ろさない。3 便目の配達業務完了後に配達車両から荷物を降ろし,営業所倉庫に保管する。 配達時の移動経路,移動時間及び駐停車時の時間を配達端末が自動的に記録し,配達実績情報として配達システムに保存する。 営業所の再配達受付担当者は,不在連絡票を受け取った届け先顧客から再配達の依頼を電話で受け付ける。受取場所の変更は受け付けない。再配達を受け付ける際は,届け先顧客から再配達希望日,再配達希望時間帯を確認する。ただし,再配達希望日が当日で,かつ再配達希望時間帯の受付締切時刻経過後は,再配達希望は受け付けない。 再配達希望日が配達日当日の場合は,配達員に再配達希望時間帯を指示し,当日中に再配達してもらう。 〔宅配便サービスの改善要望〕
宅配便サービスの改善に当たって依頼主と届け先顧客に要望をヒアリングした結果は,次のとおりである。
依頼主が誰なのかを届け先顧客に通知してほしい。 配達が完了したことを依頼主に通知してほしい。 午前中(9 時〜12 時)などは配達予定時間帯の幅が広く,配達予定連絡が来ても待ち時間にストレスを感じる。待ち時間を減らしてほしい。 帰宅して不在連絡票を確認しなくても再配達依頼できるようにしてほしい。 荷物が届く前でも再配達依頼時と同様に配達日,配達時間帯などを変更できるようにしてほしい。また受取場所の変更もできるようにしてほしい。 配達員として誰が来るのかが分かるようにしてほしい。 〔改善後の配達システムの新機能〕
宅配便サービスの改善要望を踏まえ,K 社情報システム部の L 課長は次の(1)〜(5)の新機能を配達システムに追加することにした。
配達員から配達端末を用いて連携された情報を基に,推奨移動経路で移動した場合の各受取場所への配達予定時刻を計算する。
配達先の営業所を出発したタイミングで,配達予定時刻と①ある情報 を配達予定情報として届け先顧客に通知する。
配達員が不在連絡票を投かんし,配達状況を“不在連絡済”にしたタイミングで,不在連絡票の内容を届け先顧客に通知する。
配達員が荷物を引渡し,配達状況を“配達完了”にしたタイミングで,配達完了のお知らせを依頼主と届け先顧客に通知する。
配達希望日,配達希望時間帯及び受取場所(以下,配達条件という)の変更を配達先の営業所の担当者が電話で受け付ける。ただし,配達状況が“配達完了”又は“不在連絡済”の荷物については受け付けない。配達条件の変更を受け付ける際は,配達条件を確認し,配達システムに入力する。配達システムは,入力された配達条件に基づいて配達状況を変更する。
受取場所を配達先の営業所以外へ変更する場合は,配達日を翌日以降に指定してもらう。また,a の場合,かつb の場合においては,配達条件の変更を受け付けない。
入力された配達条件は,配達条件変更通知として配達端末に表示される。変更後の受取場所として配達先の営業所が指定された場合は,配達状況を“営業所倉庫保管”として,営業所帰還時に荷物を降ろすことを配達員に指示する。変更後の配達希望時間帯が当該便の配達時間帯でない場合は,配達状況を“営業所戻り”とし,当該便では荷物の配達を行わないことを配達員に指示する。
〔配達システム改善後の配達業務の概要〕
配達システム改善後の配達業務の主な変更点は次のとおりである。
配達員は営業所出発前に,配達時に使用する配達車両に加えて配達員の氏名を配達端末で配達システムに入力し,あらかじめ決めておいた配達順序の順番に送付伝票のバーコードを読み取り,配達状況を“配達開始”にする。 次の配達先に荷物を届ける前に送付伝票のバーコードを読み取る。その際に配達条件変更機能によって配達条件が変更されていた場合は配達端末にその内容が表示されるので,その内容に従い,必要に応じて届け先顧客と調整する。配達条件変更通知がなかった場合は送付伝票に記載された受取場所に届ける。 配達端末で配達状況を入力するケースとして次の二つを追加する。受取場所に配達員の担当区域外を指定されていた場合は,配達員が,配達状況を“担当区域外”にする。不在連絡票を投かんした場合は,配達員が,配達状況を“不在連絡済”にする。 配達員が配達状況を“担当区域外”にした場合又は配達システムが配達状況を“c ”に変更していた場合には,営業所に帰還した際に,これまでの配達業務では行わなかった作業を実施する。
出題趣旨(IPA)
顧客やサービス利用者の利便性を向上させるために,新サービスを提供するに当たり,新しい業務プロセスを設計することがある。システムアーキテクトには,要望を基にシステム要件を定義し,情報システムと業務プロセスを設計していく能力が求められる。本問では,宅配便サービスを題材として,現行の業務,既存の情報システムを理解した上で,顧客やサービス利用者から求められている改善要望を基に,新しい機能を定義して業務プロセスや情報システムを設計する能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問2では,宅配便サービスを題材に,現行業務,既存の情報システムを正しく把握した上での顧客やサービス利用者から求められている機能の設計について出題した。全体として正答率は平均的であった。
設問と解答例
設問1(1)
解答欄2つ
各受取場所への配達予定時刻を計算するために,配達端末から配達システムに連携している情報が二つある。どのような情報か,それぞれ 15 字以内で述べよ。
〔備考〕①と②は順不同
解説
本文の根拠
〔改善後の配達システムの新機能〕(1)
配達員から配達端末を用いて連携された情報を基に,推奨移動経路で移動した場合の各受取場所への配達予定時刻を計算する。
〔現在の業務の概要〕(3)
配達システムが蓄えている過去の配達実績情報及び現在の交通情報に基づいて,使用する配達車両に応じた推奨移動経路と配達到着予想時刻を配達端末に提示する。
〔配達システム改善後の配達業務の概要〕
配達員は営業所出発前に,配達時に使用する配達車両に加えて配達員の氏名を配達端末で配達システムに入力し,あらかじめ決めておいた配達順序の順番に送付伝票のバーコードを読み取り,配達状況を“配達開始”にする。
〔現在の業務の概要〕(3)
各便の配達順序は営業所を出発する前に配達員があらかじめ決定する。
各受取場所への配達予定時刻を出すには,どの順に回るか(配達順序)と,何で移動するか(配達車両)が分からなければならない。推奨移動経路は使用する配達車両に応じて決まり,受取場所ごとの到着時刻は,その前に何か所回るかで決まる。過去の配達実績情報や交通情報は配達システムがもともと持っているので,配達員から受け取る必要はない。
改善後の業務では,配達員が営業所出発前に,配達車両と氏名を配達端末から入力し,あらかじめ決めた配達順序の順番に送付伝票のバーコードを読み取る。この読取りの順番が配達順序として配達システムに伝わる。同時に入力する配達員の氏名は時刻の計算には使わない(設問1(2)の通知に使う)。講評は,配達端末から連携していない情報を挙げた誤りが多かったとしている。
各15字なので「あらかじめ決めた配達順序」(12字),「配達時に使用する配達車両」(12字)のように,本文の語で短く書く。
採点講評(IPA)
設問1(1)は,正答率がやや低かった。配達予定時刻を計算するために,配達員が配達端末を用いて配達システムに連携している情報を問う問題であったが,配達端末を用いて連携していない情報を誤って解答した受験者が多かった。一般論で解答するのではなく,本文中の記述及び設問の内容から,配達システムにどのような情報を連携する必要があるのかを理解して,正答を導き出してほしい。
設問1(2)
解答欄2つ
改善要望を満たすために通知する,本文中の下線①の情報とは何か。二つ挙げ,それぞれ 10 字以内で答えよ。
〔備考〕①と②は順不同
解説
本文の根拠
〔宅配便サービスの改善要望〕(1)
依頼主が誰なのかを届け先顧客に通知してほしい。
〔宅配便サービスの改善要望〕(2)
配達員として誰が来るのかが分かるようにしてほしい。
〔配達システム改善後の配達業務の概要〕
配達員は営業所出発前に,配達時に使用する配達車両に加えて配達員の氏名を配達端末で配達システムに入力し
〔現在の業務の概要〕(1)
配達システムに送付伝票の依頼主名,届け先顧客名,郵便番号,住所,電話番号,配達予定日及び配達予定時間帯を登録すると
配達予定情報は届け先顧客に通知するものなので,届け先顧客に知らせてほしいという改善要望を拾う。依頼主からは「依頼主が誰なのかを届け先顧客に通知してほしい」,届け先顧客からは「配達員として誰が来るのかが分かるようにしてほしい」という要望がある。待ち時間の要望は配達予定時刻で満たしている。
依頼主名は集荷時に送付伝票から配達システムに登録されている。配達員の氏名は,改善後に配達員が営業所出発前に配達端末で入力するようになった。どちらも営業所を出発する時点で配達システムにそろっているので,出発のタイミングで通知できる。
各10字なので「配達員の氏名」(6字)と「依頼主名」(4字)のように名詞で答える。
設問1(3)
解答欄2つ
本文中のa ,b に入れる適切な内容をそれぞれ 20 字以内で述べよ。
解説
本文の根拠
〔現在の業務の概要〕(4)
ただし,再配達希望日が当日で,かつ再配達希望時間帯の受付締切時刻経過後は,再配達希望は受け付けない。
〔宅配便サービスの改善要望〕(2)
荷物が届く前でも再配達依頼時と同様に配達日,配達時間帯などを変更できるようにしてほしい。
〔改善後の配達システムの新機能〕(5)
ただし,配達状況が“配達完了”又は“不在連絡済”の荷物については受け付けない。
配達条件変更機能は,届け先顧客の「荷物が届く前でも再配達依頼時と同様に」配達日や配達時間帯を変えたいという要望に応えるものである。再配達依頼時の決まりを見ると,再配達希望日が当日で,かつ再配達希望時間帯の受付締切時刻を過ぎていれば受け付けない。これを配達条件の語(配達希望日,配達希望時間帯)に置き換えたものが空欄に入る。
空欄は「aの場合,かつbの場合」と二つの条件を「かつ」でつないでいる。本文の再配達の条件も「当日で,かつ…受付締切時刻経過後」と同じ形である。講評によると,配達状況が“配達完了”や“不在連絡済”という答えが多かった。これらはすでに直前の文で受け付けない荷物として挙げられており,また二つの配達状況を「かつ」で同時に満たすことはない。
各20字。解答例はa「配達希望日が当日」(8字),b「配達希望時間帯の受付締切時刻経過後」(17字)。bは「受付締切時刻」の語を落とさない。
採点講評(IPA)
設問1(3)は,正答率がやや低かった。配達条件の変更を受け付けられない場合の条件を問う問題であったが,配達状況が“配達完了”や“不在連絡済”など,成立しない条件を誤って解答した受験者が多かった。本文中の記述から,複合条件としては成立しないことに気付いてほしい。システムアーキテクトは現行業務を踏まえた上で,システム改善後の機能を設計することを心掛けてほしい。
設問2(1)
30字以内
配達員が,配達状況を入力するケースを追加することで実現できる改善要望は何か。30 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔宅配便サービスの改善要望〕(2)
帰宅して不在連絡票を確認しなくても再配達依頼できるようにしてほしい。
〔改善後の配達システムの新機能〕(3)
配達員が不在連絡票を投かんし,配達状況を“不在連絡済”にしたタイミングで,不在連絡票の内容を届け先顧客に通知する。
〔配達システム改善後の配達業務の概要〕
不在連絡票を投かんした場合は,配達員が,配達状況を“不在連絡済”にする。
追加された入力ケースは“担当区域外”と“不在連絡済”の二つである。このうち改善要望に直接つながるのは“不在連絡済”で,配達員がこれを入力したタイミングで不在連絡票通知機能が動き,不在連絡票の内容が届け先顧客に通知される。
届け先顧客は,帰宅して紙の不在連絡票を見なくても,通知で不在だったことと連絡票の内容を知り,再配達を依頼できる。これが届け先顧客の「帰宅して不在連絡票を確認しなくても再配達依頼できるようにしてほしい」という要望に当たる。“担当区域外”は受取場所の変更に伴う社内の作業のための入力で,改善要望そのものを実現するものではない。
30字で要望の中身を書く。解答例は「不在連絡票を確認しなくとも再配達依頼ができること」で24字。
設問2(2)
30字以内
受取場所を配達員の担当区域外に指定された場合に,配達状況の変更を,配達員自身が実施している理由は何か。30 字以内で述べよ。
解答例
各配達員の担当区域は配達システムに登録されていないから
解説
本文の根拠
〔現在の業務の概要〕(3)
各配達員の担当区域は,営業所ごとに管理されており,配達システムには登録されていない。
〔現在の業務の概要〕(3)
配達員は自分の担当区域を把握しており,担当区域外に配達することはない。
〔配達システム改善後の配達業務の概要〕
受取場所に配達員の担当区域外を指定されていた場合は,配達員が,配達状況を“担当区域外”にする。
配達条件変更機能で受取場所が変わると,変更後の受取場所がその荷物を持っている配達員の担当区域の外になることがある。これを配達システムが自動で判断できれば,“営業所倉庫保管”や“営業所戻り”のようにシステムが配達状況を変えられる。
しかし,各配達員の担当区域は営業所ごとに管理されていて,配達システムには登録されていない。システムには担当区域外かどうかを判断する材料がない。担当区域を把握しているのは配達員自身なので,配達員が配達端末で“担当区域外”を入力することにした。
30字で「担当区域が配達システムに登録されていない」ことを書く。解答例は「各配達員の担当区域は配達システムに登録されていないから」で27字。
設問2(3)
解答欄2つ
本文中のc に入れる適切な配達状況を答えよ。また,この配達状況に変更された場合に現在行っていない作業を配達員が営業所で行う必要がある。どのような作業を行うのか,作業内容を 35 字以内で述べよ。
〔作業内容〕解答例
当日の配達業務完了前に荷物を降ろし,営業所倉庫に保管する作業
解説
本文の根拠
〔改善後の配達システムの新機能〕(5)
変更後の受取場所として配達先の営業所が指定された場合は,配達状況を“営業所倉庫保管”として,営業所帰還時に荷物を降ろすことを配達員に指示する。
〔現在の業務の概要〕(3)
1 便目,2 便目の配達業務完了後は配達車両から荷物を降ろさない。3 便目の配達業務完了後に配達車両から荷物を降ろし,営業所倉庫に保管する。
〔現在の業務の概要〕(2)
配達先の営業所受取を指定された場合は営業所倉庫に保管する。
空欄cは「配達システムが配達状況を変更」するものなので,配達条件変更機能で配達システムが付ける配達状況から選ぶ。候補は“営業所倉庫保管”と“営業所戻り”である。このうち本文が「営業所帰還時に荷物を降ろすことを配達員に指示する」としているのは“営業所倉庫保管”で,これまでに無い作業が発生するのはこちらである。
現在は,1便目・2便目の後は荷物を配達車両から降ろさず,3便目の後にだけ降ろして営業所倉庫に保管している。配達中に受取場所が配達先の営業所に変わると,1便目・2便目の帰還時でもその荷物を降ろし,営業所受取の荷物として営業所倉庫に保管しなければならない。これが「これまでの配達業務では行わなかった作業」である。“担当区域外”の荷物も同じく途中の便で降ろす必要がある。
cは本文の語どおり「営業所倉庫保管」。作業内容は35字で「当日の配達業務完了前」(3便目より前)に「降ろして営業所倉庫に保管する」ことを書く。解答例は「当日の配達業務完了前に荷物を降ろし,営業所倉庫に保管する作業」で30字。
出典:令和3年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3 融資りん議ワークフローシステムの構築
融資りん議ワークフローシステムの構築に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
X 銀行は,メインフレーム上で顧客情報,預金情報及び融資情報を管理するシステム(以下,基幹システムという)を利用してきた。
このたび,紙の帳票を回付していた融資りん議をペーパレス化するための融資りん議ワークフローシステム(以下,WF システムという)を,基幹システムとは別に新規に構築することにした。
〔現状の融資りん議の業務〕
X 銀行での融資りん議の業務の流れは次のとおりである。
(1) 融資申込受付業務:顧客は,営業店の窓口に融資案件(以下,案件という)の申込書を提出する。申込書を受け付けた営業店(以下,担当営業店という)の担当者(以下,案件担当者という)は,基幹システムで案件番号を発番し,基幹システムの顧客番号とともに申込書に記載する。取引実績のない新規顧客の場合には,基幹システムで顧客番号を発番してから記載する。 (2) りん議書作成業務:案件担当者は,案件番号を発番した日を作成基準日としてりん議書を作成する。りん議書には,融資対象の顧客の担保不動産の評価データ(以下,担保明細という)を記載した不動産担保評価帳票を,不動産担保評価システム(以下,担保評価システムという)から出力して必ず添付する。資金使途及び返済財源を確認し,基幹システムにある信用格付,財務分析結果及び過去のりん議結果を調査し,必要な検討をした上で,案件情報をりん議書に記載する。りん議書には基幹システムと担保評価システム以外の情報も必要であり,りん議書を作成するために複数のシステムを操作する。 (3) りん議書回付業務:案件担当者は,業務規程に従い回付経路を記載した回付書を添付して,りん議書を承認者へ回付する。承認者はりん議書に対して意見を付し,承認又は差戻しの判断をする。承認されたりん議書は決裁者へ回付される。決裁者は案件担当者,承認者の意見を踏まえ,融資の決裁,却下,又は差戻しの判断をする。決裁者が決裁又は却下の判断をすると,りん議が完了する。承認者及び決裁者は,可能な限り最新の情報を基に判断をする。りん議書の修正が必要な場合,承認者又は決裁者は修正せずに案件担当者に差し戻した後,案件担当者がりん議書を修正して再度回付する。申込書を受け付けてからりん議書の回付の開始までの標準的な所要日数及び回付されてから承認及び決裁の判断までの標準的な所要日数を踏まえ,回付の開始,承認及び決裁の期限(以下,目標期日という)を定めている。 担保明細は必要に応じて評価替えしている。承認者及び決裁者は,判断の際に融資対象の顧客の担保明細が更新されていないか,担保評価システムの評価日を確認する。りん議書には最新の不動産担保評価帳票を添付する必要があるので,担保明細が更新されている場合は案件担当者に差し戻す。
融資希望金額が担当営業店の決裁可能金額を超える案件の場合,回付経路には担当営業店に加え本部が含まれる。担当営業店内での承認の後に本部に回付され,本部で承認・決裁される。
〔現状の問題点〕
情報システム部の Y 課長は,WF システム構築に当たり融資部にヒアリングをし,次の問題点を抽出した。
回付経路に本部が含まれる場合,担当営業店で作成したりん議書一式を本部に送付し,本部での決裁完了後に担当営業店に決裁書類一式を返送する流れとなっている。担当営業店と本部ではお互いの処理状況が分からず,本部ではどの顧客のどの案件をいつまでに決裁する必要があるかが本部に回付されるまで分からないので,担当営業店内での回付状況を踏まえて承認・決裁の体制を整えておくことができていない。 目標期日の到来に気付かず期限を超過することがある。 りん議書が案件ごとの管理となっているので,同一顧客の別案件の調査で確認した延滞発生などによる顧客の信用格付の変化に,案件担当者が即座に気付けない。 〔WF システムの概要〕
Y 課長はヒアリング結果を基にして,WF システムを次のように設計した。
りん議書作成に必要な主なデータは複数の既存システムにある。これらのデータは,引き続き既存システムで管理する。①WF システムは,既存システムの機能をサービスとして利用し,りん議書作成に必要なデータを一括で取得できる方式にした 。
WF システムの主な機能は次のとおりである。
顧客から受領した申込書を案件担当者が WF システムに取り込むと,WF システムは基幹システムから案件番号と顧客番号を取得し,案件データを作成して受付を完了する。この時点で案件ステータスは“受付”になる。WF システムは案件の進行状況をりん議の完了まで管理する。
案件一覧画面で案件担当者が案件番号を選択すると,りん議書入力画面に遷移し,案件ステータスは“作成中”になる。りん議書入力画面の起動時に,WF システムは必要なデータを複数の既存システムから一括で取得し,WF システムに保存した後,りん議書入力画面に案件データとともに表示する。案件担当者は,必要に応じて不足している情報を入力し,りん議書を WF システムに保存する。
案件担当者は,りん議書に回付経路を設定する。回付経路にはりん議書を処理する担当者(以下,回付先担当者という)の順番を定義する。回付経路の最初の回付先担当者には,案件担当者が自動的に設定される。最後の回付先担当者が決裁者,途中の回付先担当者は承認者になる。②ある条件 を満たすりん議書の回付経路に本部の回付先担当者が含まれていない場合,WF システムは案件担当者に修正を要求する。
りん議書に対し,処理が求められている案件担当者又は回付先担当者を処理者という。
案件担当者が回付の開始の操作をすると案件ステータスは“回付中”となり,りん議書を修正できなくなる。回付経路に本部の回付先担当者が含まれている場合,WF システムは,顧客情報と融資期日を本部の回付先担当者に電子メールで通知する。
WF システムは,回付経路に沿ってりん議書を順次回付し,回付したことを次の処理者に電子メールで通知する。
承認者は,りん議書審査画面で WF システムに保存されたりん議書を閲覧し,承認又は差戻しの操作をする。承認者が承認の操作をすると WF システムはりん議書を次の回付先担当者に回付する。差戻しの操作をすると WF システムは案件担当者にりん議書を差し戻し,案件ステータスは“作成中”に戻り,案件担当者がりん議書を修正することができるようになる。
決裁者は,りん議書審査画面で WF システムに保存されたりん議書を閲覧し,決裁,却下又は差戻しの操作をする。決裁者が決裁の操作をすると案件ステータスは“決裁”になる。却下の操作をすると案件ステータスは“謝絶”になる。決裁者が差戻しの操作をした場合,WF システムは承認者が差戻しの操作をした時と同じ処理をする。
りん議書審査画面起動時には WF システムが担保評価システムに担保明細の最新情報を問い合わせる。担保評価システムの情報が,③ある条件 に該当する場合,WF システムは承認者が差戻しの操作をした時と同じ処理をする。
WF システムは,顧客の信用格付の更新があったことや目標期日までの残り日数が 3 営業日以下になっていることを,処理者に通知する。
顧客の信用格付の更新があったことは,りん議書入力画面及びりん議書審査画面起動時に画面上で通知する。そのために,アラーム通知機能は,a にある最新の信用格付を問い合わせ,WF システムに保存した案件ファイルの信用格付と比較する。
目標期日までの残り日数が 3 営業日以下になっていることは,りん議書入力画面及びりん議書審査画面起動時に画面上で通知するだけでなく,日次で処理者に電子メールで通知する。
WF システムの主要なファイルを表 1 に示す。
表1 WF システムの主要なファイル
〔追加要望への対応〕
Y 課長が,WF システムの設計内容のレビューを融資部に依頼したところ,大規模な顧客では複数の案件のりん議が並行することがあり,その場合はりん議の優先順位を協議するので,同一顧客で進行中の他の案件の内容を参照しやすくしてほしいという追加要望が提示された。
Y 課長は追加要望を実現するために,④案件ファイルの当該案件番号を持つレコード以外の該当レコードを抽出する条件 を検討した。その上で,該当レコードの案件番号をりん議書入力画面とりん議書審査画面に追加し,案件番号を選択することで必要な案件情報を参照できるようにした。
出題趣旨(IPA)
デジタルトランスフォーメーションの一環としてペーパレス化が進められている。システムアーキテクトには,既存業務のペーパレス化に当たり,業務及び情報システムの両面の課題を分析した上で,要件を定義し最適な処理方式を検討する能力が求められる。本問では,銀行の融資りん議業務のペーパレス化を実現するために導入するワークフローシステムの新規構築を題材として,現行業務の課題を正しく把握した上で,システム化後の新業務を定義し,処理方式を検討する能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問3では,銀行の融資りん議業務のペーパレス化を実現するワークフローシステム(以下,WFシステムという)の新規構築を題材に,現行業務の課題を正しく把握した上でのシステム化後の新業務の定義と処理方式の検討について出題した。全体として正答率は平均的であった。
設問と解答例
設問1
30字以内
本文中の下線①によって,ある業務の一部の作業が不要になる。不要になる作業を 30 字以内で述べよ。
解答例
りん議書を作成するために複数のシステムを操作する作業
解説
本文の根拠
〔現状の融資りん議の業務〕(2)
りん議書には基幹システムと担保評価システム以外の情報も必要であり,りん議書を作成するために複数のシステムを操作する。
〔WF システムの概要〕
WF システムは,既存システムの機能をサービスとして利用し,りん議書作成に必要なデータを一括で取得できる方式にした。
〔WF システムの概要〕(2)
りん議書入力画面の起動時に,WF システムは必要なデータを複数の既存システムから一括で取得し,WF システムに保存した後,りん議書入力画面に案件データとともに表示する。
下線①は,りん議書作成に必要なデータを既存システムから一括で取得する方式である。現状のりん議書作成業務では,基幹システム,担保評価システム,それ以外のシステムに必要な情報が分かれているので,案件担当者が複数のシステムを操作して情報を集めている。
WFシステムがりん議書入力画面の起動時にこれらのデータを一括で取得し,画面に表示するので,案件担当者が一つずつシステムを操作する作業は要らなくなる。講評は,一部の業務に限定した答えが多かったとしている。下線①はシステム全体の方式の決定なので,りん議書の作成に使う複数のシステム全体の操作が不要になる,と答える。
30字で「りん議書を作成するため」と「複数のシステムを操作する作業」を書く。解答例は「りん議書を作成するために複数のシステムを操作する作業」で26字。
採点講評(IPA)
設問1は,正答率がやや低かった。システム全体に影響するアーキテクチャの決定事項に関する問題であったが,一部の業務に限定して解答した受験者が多かった。システムアーキテクトは,情報システム全体を俯瞰して検討する立場であることを認識してほしい。
設問2(1)
40字以内
本文中の下線②の条件を表 1 中のファイル名と属性を用いて 40 字以内で述べよ。
解答例
案件ファイルの融資希望金額が店ファイルの決裁可能金額を超えている場合
解説
本文の根拠
〔現状の融資りん議の業務〕
融資希望金額が担当営業店の決裁可能金額を超える案件の場合,回付経路には担当営業店に加え本部が含まれる。
〔WF システムの概要〕(3)
ある条件を満たすりん議書の回付経路に本部の回付先担当者が含まれていない場合,WF システムは案件担当者に修正を要求する。
表1 案件
案件:案件番号(主キー),顧客番号,店番,融資希望金額
表1 店
店:店番(主キー),店名,郵便番号,住所,決裁可能金額。
下線②は「回付経路に本部の回付先担当者が含まれていなければ修正を求める」ための条件なので,本部を回付経路に含めなければならない案件の条件を答える。本文は,融資希望金額が担当営業店の決裁可能金額を超える案件の場合に,回付経路に本部が含まれるとしている。
これを表1の属性に当てはめる。融資希望金額は案件ファイルにあり,決裁可能金額は店ファイルにある。案件ファイルの店番で店ファイルを引けば,担当営業店の決裁可能金額が分かる。
40字で「どのファイルのどの属性」と「超える」の関係を落とさずに書く。解答例は「案件ファイルの融資希望金額が店ファイルの決裁可能金額を超えている場合」で34字。
設問2(2)
40字以内
本文中の下線③の条件を表 1 中のファイル名と属性を用いて 40 字以内で述べよ。
解答例
担保評価ファイルの評価日より担保評価システムにある評価日が新しい場合
解説
本文の根拠
〔現状の融資りん議の業務〕
承認者及び決裁者は,判断の際に融資対象の顧客の担保明細が更新されていないか,担保評価システムの評価日を確認する。
〔現状の融資りん議の業務〕
りん議書には最新の不動産担保評価帳票を添付する必要があるので,担保明細が更新されている場合は案件担当者に差し戻す。
〔WF システムの概要〕(3)
りん議書審査画面起動時には WF システムが担保評価システムに担保明細の最新情報を問い合わせる。
表1 担保評価
担保評価:案件番号(主キー),担保明細番号(主キー),担保評価額,担保物件,評価日。
下線③は,該当すれば差戻しと同じ処理をする条件である。現状では,承認者と決裁者が担保評価システムの評価日を見て,担保明細が更新されていればりん議書を差し戻している。WFシステムはこの確認を自動で行う。
りん議書作成時に取得した担保明細は,WFシステムの担保評価ファイルに評価日とともに保存されている。審査画面の起動時に担保評価システムへ最新情報を問い合わせ,担保評価システムの評価日が担保評価ファイルの評価日より新しければ,りん議書作成後に評価替えがあったと分かる。講評は,WFシステムの中のデータどうしを比べた答えや,担保評価システムのデータの判定条件があいまいな答えが多かったとしている。比べるのは「WFシステムの担保評価ファイル」と「外部の担保評価システム」の評価日である。
40字で比べる二つのデータの在りかと「新しい」という向きを書く。解答例は「担保評価ファイルの評価日より担保評価システムにある評価日が新しい場合」で34字。
採点講評(IPA)
設問2(2)は,正答率が低かった。業務要件を踏まえ,WFシステムのデータと外部システムである担保評価システムのデータを比較する際のシステム上の判断基準を問う問題であったが,WFシステム内のデータ同士を比較している解答や,担保評価システムのデータを判定する条件を明確にしていない解答が多かった。複数のシステムが連携して業務を実現するケースが増えてきており,そのような中でも業務と情報システムの機能及びデータの関係を正確に把握して設計することを心掛けてほしい。
設問2(3)
25字以内
アラーム通知機能によって解決される現状の問題点は二つある。一つは,同一顧客の別案件の調査で確認した延滞発生などによる顧客の信用格付の変化に,案件担当者が即座に気付けないことである。もう一つの問題点を 25 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔現状の問題点〕
目標期日の到来に気付かず期限を超過することがある。
〔WF システムの概要〕(4)
目標期日までの残り日数が 3 営業日以下になっていることは,りん議書入力画面及びりん議書審査画面起動時に画面上で通知するだけでなく,日次で処理者に電子メールで通知する。
〔WF システムの概要〕(3)
回付経路に本部の回付先担当者が含まれている場合,WF システムは,顧客情報と融資期日を本部の回付先担当者に電子メールで通知する。
アラーム通知機能が通知するのは,顧客の信用格付の更新と,目標期日までの残り日数が3営業日以下になったことの二つである。信用格付の方は設問に挙がっているので,もう一つは目標期日の通知で解決される問題点になる。〔現状の問題点〕の「目標期日の到来に気付かず期限を超過することがある」がこれに当たる。
現状の問題点のうち,本部で処理状況が分からない問題は,回付の開始時に本部の回付先担当者へ電子メールで通知することで解決しており,アラーム通知機能によるものではない。
25字なので問題点の文をほぼそのまま使う。解答例は「目標期日の到来に気付かず期限を超過すること」で21字。
設問2(4)
解答欄1つ
a に入れる字句を 10 字以内で答えよ。
解説
本文の根拠
〔現状の融資りん議の業務〕(2)
資金使途及び返済財源を確認し,基幹システムにある信用格付,財務分析結果及び過去のりん議結果を調査し
〔WF システムの概要〕
りん議書作成に必要な主なデータは複数の既存システムにある。これらのデータは,引き続き既存システムで管理する。
〔WF システムの概要〕(4)
そのために,アラーム通知機能は,a にある最新の信用格付を問い合わせ,WF システムに保存した案件ファイルの信用格付と比較する。
信用格付がどのシステムにあるかを本文から探す。現状のりん議書作成業務に「基幹システムにある信用格付」とある。WFシステムは既存システムのデータを取得して保存するだけで,元のデータは引き続き既存システムで管理される。
したがって最新の信用格付は基幹システムにあり,WFシステムの案件ファイルにあるのはりん議書作成時に取得した時点の値である。両者を比べれば,同一顧客の別案件の調査などで信用格付が更新されたことに気付ける。
答えは「基幹システム」(6字)。担保評価システムは担保明細の在りかで,信用格付は持っていない。
設問3
解答欄2つ
〔追加要望への対応〕について,本文中の下線④の条件は三つある。一つは“案件番号が当該案件の案件番号と異なること”である。他の二つの条件を,表 1 中の案件ファイルの属性を用いてそれぞれ 35 字以内で述べよ。
〔②〕解答例
案件ステータスが“受付”,“作成中”又は“回付中”であること
〔備考〕①と②は順不同
解説
本文の根拠
〔追加要望への対応〕
同一顧客で進行中の他の案件の内容を参照しやすくしてほしいという追加要望が提示された。
〔WF システムの概要〕(1)
この時点で案件ステータスは“受付”になる。
〔WF システムの概要〕(3)
決裁者が決裁の操作をすると案件ステータスは“決裁”になる。却下の操作をすると案件ステータスは“謝絶”になる。
〔現状の融資りん議の業務〕(3)
決裁者が決裁又は却下の判断をすると,りん議が完了する。
追加要望は「同一顧客で進行中の他の案件」を参照したいというものである。「他の案件」は設問で示された「案件番号が当該案件の案件番号と異なること」に当たる。残りは「同一顧客」と「進行中」の二つで,これを案件ファイルの属性で表す。
同一顧客は,案件ファイルの顧客番号が当該案件の顧客番号と同じであること。進行中は案件ステータスで表す。案件ステータスは受付で“受付”,りん議書入力画面に移ると“作成中”,回付を始めると“回付中”になり,決裁者の操作で“決裁”か“謝絶”になってりん議が完了する。完了していない“受付”“作成中”“回付中”が進行中である。
各35字で「どの属性がどうであること」を書く。解答例は「顧客番号が当該案件の顧客番号と同一であること」(22字)と「案件ステータスが“受付”,“作成中”又は“回付中”であること」(30字)。ステータスは三つとも挙げる。
出典:令和3年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4 IoT,AI を活用した消火ロボットシステム
IoT,AI を活用した消火ロボットシステムに関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
F 社は,消防署・消防団などの消防活動で使用する機材・システムの開発・製造を行っている。
石油・化学プラントなどの産業施設では,消防活動における課題がある。例えば,貯蔵する物質によっては消火に泡を用いるなど,消火方法が異なる場合があるほか,高熱,爆発の危険性によって消防士が近づくことができない場合もある。そのような大規模・特殊火災に対応した機材・システムへの期待が大きい。
F 社は,大規模・特殊火災に対応できるよう高い放射熱に耐え,無人で消火活動を行う消火ロボットシステム(以下,現行システムという)を実用化している。しかし,放水を行う位置(以下,放水位置という),放水した水が到達する位置(以下,注水位置という)が適切でないなどの問題があり,F 社では,それらを解決するための新しいシステムの開発を進めている。
〔現行システムの概要〕
F 社の現行システムは,監視・指令装置を備えた搬送指令車及び放水ロボットで構成される。放水ロボットは放水ユニットとホース敷設ユニットで構成される。現行システムは単体又は複数で運用する。
現行システムの運用例を図 1 に,現行システムの仕様・機能を表 1 に示す。
図1 現行システムの運用例
表1 現行システムの仕様・機能
放水ロボットは,耐熱性能に優れており,消防士だけでの消火活動よりも高い放射熱の環境下で活動できる。放水を開始するまでの手順を次に示す。
① 搬送指令車が火災現場に到着後,消防士は,放水ロボットを搬送指令車から降ろす。消防士は,放水ロボットに放水位置を指令し,自律走行を開始させる。 ② 放水ユニットは障害物を避けながら放水位置まで走行する。ホース敷設ユニットは放水ユニットに追従して走行する。 ③ 放水ロボットが放水位置に到着後,消防士は消火栓などの水源の位置をホース敷設ユニットに指令する。ホース敷設ユニットは,延長用消防ホースを敷設しながら水源まで自律走行する。 ④ 消防士は,ホース敷設ユニットと水源を接続した後,搬送指令車から放水ユニットの放水ノズルを遠隔で操作し,放水した水が目標とする位置(以下,注水目標という)に到達するように放水ノズルの方位・仰角を設定し,放水を開始する。放水中,消防士は,注水位置が適切になるように放水ノズルを操作する。 〔現行システムの問題点〕
現行システムの問題点を次に示す。
消防士が搬送指令車に搭乗し,監視しながら放水ロボットへの指令と操作を行う。複数の現行システムを運用する場合,全体を指揮する消防士は放水ロボットを操作する消防士に放水位置などを指示するが,“迅速性に欠ける”,“放水位置が適切でない”という問題がある。 自律走行している放水ロボットの走行ルート上に障害物がある場合,障害物を回避する走行ルートを放水ロボット自体で探索する必要がある。 消防士は放水ノズルを遠隔で操作しているが,上空の風向及び風速が地表と異なり,注水位置と注水目標がずれる場合がある。また,地上から観測できない場所に対して注水目標を適切に設定できない。 〔新たなシステムにおける取組方針と開発目標〕
F 社では,現行システムの問題を解決するために,新たな消火ロボットシステム(以下,NFR システムという)を開発することになり,システムアーキテクトである G 氏が開発目標をまとめた。NFR システムについての F 社の取組方針と G 氏が設定した開発目標は,次のとおりである。
(1) 火災現場全体の状況把握,放水位置・注水目標の設定,放水ロボットの走行ルートの探索などに必要なデータの取得を迅速かつ確実に行えるようにする。 このために,耐熱性を備え,火災現場の上空を無人で自律飛行できる監視ロボット(以下,飛行型監視ロボットという)を開発する。
(2) 飛行型監視ロボットが取得したデータなどを用い,放水位置,注水目標及び放水ロボットの走行ルートを,消防士が介在せずに放水ロボットに指令できるようにする。さらに,火災現場で稼働中の全てのロボットに対して,搬送指令車 1 台だけで監視・指令が行えるようにする。 このために,稼働中の全てのロボットと無線で通信し,各ロボットからのデータを収集,処理し,監視用表示モニタに表示するとともに,各ロボットに指令を送信できる新たな監視・指令装置(以下,NSC 装置という)を開発する。
(3) 複数の放水ロボットが連携して消火活動を行えるようにする。 複数の放水ロボットを同時に運用する場合,NSC 装置からの指令によって,全ての放水ロボットが連携して消火活動を行えるようにする。
飛行型監視ロボットが取得したデータと,消防本部のサーバが保有する消火対象施設の情報とを AI 技術で処理することによって,火災の状況を分析し,適切な放水位置,注水目標を各放水ロボットに指令する。また,飛行型監視ロボットが取得したデータを活用し,注水位置と注水目標のずれを補正して,効果的な消火活動が行えるようにする。
(5) 最適な放水制御の実現と故障の予兆診断による稼働率の改善を目指す。 各ロボットの稼働中のデータを収集,蓄積し,AI 技術を用いて,放水制御の最適化及び稼働率の改善を図るようにする。
〔NFR システムの概要〕
G 氏は,設定した開発目標について検討し,NFR システムの概要をまとめた。
NFR システムの運用例を図 2 に,NFR システムの仕様・機能を表 2 に示す。
図2 NFR システムの運用例
表2 NFR システムの仕様・機能
G 氏は,NFR システムによる消火活動の手順,各ロボットの運用などを次のようにまとめた。
① 搬送指令車が火災現場に到着後,すぐに,消防本部のサーバが保有する情報を NSC 装置にダウンロードするとともに,飛行型監視ロボットを飛行させて監視データを取得させる。NSC 装置は,その監視データを受信し,データ処理を行い,適切な,放水位置,注水目標,水源などを決定し,放水ロボットに指令を送信する。 なお,飛行型監視ロボットは,複数機を順次運用する。ただし,火災現場では,複数機を同時に飛行させる監視は行わない。
② NSC 装置は,飛行型監視ロボットが取得した障害物の位置情報を基に,放水位置までの走行ルートを決定し,放水ロボットに送信する。 ③ 放水ロボットは,放水位置に向けて走行を開始する。 ④ 放水ロボットが放水位置に到着後,NSC 装置は水源までの走行ルートを決定し,ホース敷設ユニットに指令する。ホース敷設ユニットは,延長用消防ホースを敷設しながら水源まで自律走行する。ホース敷設ユニットと水源が接続されると,NSC 装置は,注水目標への放水の開始を放水ユニットに指令する。 ⑤ NSC 装置は,飛行型監視ロボットのカメラで撮影された映像を処理し,上空の風向及び風速,注水目標とその周辺の温度変化などを基に,注水位置と注水目標のずれを補正すべきか,又は注水目標を変更すべきかを判断し,放水している放水ロボットの放水ノズルの方位・仰角を調整する。 ⑥ 放水ロボットが放水している間,NSC 装置はa 及び放水ロボットに指令を送信し,⑤の制御を繰り返す。複数の放水ロボットを運用する場合は,①〜⑤の指令・制御を各ロボットに順次行う。NSC 装置は,これらの指令のデータと処理に用いたデータとをリンクさせ,消防本部のサーバに送信して蓄積する。 〔消防本部のサーバに蓄積されたデータの活用〕
消防本部のサーバに蓄積されたデータの活用方法を次に示す。
大規模・特殊火災のリスクがある施設及びその周辺の情報を平時からサーバに収集しておき,火災発生時に活用できるようにする。NSC 装置は,サーバにある消火対象施設の構造図を用いて,適切なb を設定できる。 サーバに蓄積されたデータを AI 技術で処理し,NSC 装置及び放水ロボットの制御の迅速化,最適化を図るとともに,稼働管理の自動化,高度化を進める。
出題趣旨(IPA)
近年,火災現場における消火活動の最適化,及び危険性除去などを目的として,IoT,AI技術を用いた,消防用システムの無人化への取組が進められている。本問では,石油・化学プラントなどの大規模な火災に対応する消火放水システムを題材として,現行システムの問題点を解決するための,新たなシステムアーキテクチャの決定,機能仕様の策定などについて,システムアーキテクトに求められる能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問4では,消防活動で用いられる,IoT,AIを活用した消火ロボットシステムを題材に,システムアーキテクチャの決定,機能仕様の策定について出題した。全体として,正答率は平均的であった。システムの機能はよく把握されていることがうかがえた。
設問と解答例
設問1(1)
解答欄2つ
本文中のa ,b に入れる適切な字句を答えよ。
解説
本文の根拠
〔NFR システムの概要〕⑥
放水ロボットが放水している間,NSC 装置はa 及び放水ロボットに指令を送信し,⑤の制御を繰り返す。
〔NFR システムの概要〕⑤
NSC 装置は,飛行型監視ロボットのカメラで撮影された映像を処理し,上空の風向及び風速,注水目標とその周辺の温度変化などを基に
〔消防本部のサーバに蓄積されたデータの活用〕
NSC 装置は,サーバにある消火対象施設の構造図を用いて,適切なb を設定できる。
〔新たなシステムにおける取組方針と開発目標〕(4)
火災の状況を分析し,適切な放水位置,注水目標を各放水ロボットに指令する。
〔現行システムの問題点〕
また,地上から観測できない場所に対して注水目標を適切に設定できない。
aは,放水中に⑤の制御を繰り返すために,NSC装置が放水ロボットのほかに指令を送る相手である。⑤は飛行型監視ロボットのカメラの映像を基に注水位置のずれを補正する制御なので,飛行型監視ロボットに監視を続けさせる指令が要る。NSC装置が指令を送るロボットは放水ロボットと飛行型監視ロボットの二つしかない。
bは,NSC装置が消火対象施設の構造図を使って設定する「適切な」ものである。開発目標(4)に「適切な放水位置,注水目標を各放水ロボットに指令する」とあり,現行システムの問題点には,地上から観測できない場所に注水目標を適切に設定できないことが挙がっている。施設の構造が分かれば,どこに放水するか(注水目標),どこから放水するか(放水位置)を決められる。解答例はどちらも正解としている。
aは本文の語どおり「飛行型監視ロボット」。bは「放水位置」「注水目標」のどちらか一つを書く。
設問1(2)
35字以内
複数の放水ロボットの運用について,現行システムと比較して NFR システムで大きく変わり,改善できることは何か。35 字以内で一つ述べよ。
解答例
1台の搬送指令車で複数のロボットを操作できるようになること
解説
本文の根拠
〔現行システムの問題点〕
複数の現行システムを運用する場合,全体を指揮する消防士は放水ロボットを操作する消防士に放水位置などを指示するが,“迅速性に欠ける”,“放水位置が適切でない”という問題がある。
〔新たなシステムにおける取組方針と開発目標〕(2)
さらに,火災現場で稼働中の全てのロボットに対して,搬送指令車 1 台だけで監視・指令が行えるようにする。
〔現行システムの概要〕
F 社の現行システムは,監視・指令装置を備えた搬送指令車及び放水ロボットで構成される。
表2 注記
複数のロボットを同時に運用する場合,搬送指令車で搬送するロボット以外は,搬送専用車両で搬送する。
現行システムは搬送指令車と放水ロボットが1組で,複数の放水ロボットを使うときは現行システムを複数台運用する(図1の現行システム1・2)。それぞれの搬送指令車に消防士が乗って操作し,全体を指揮する消防士が指示を出すので,迅速性に欠け,放水位置も適切にならないことがある。
NFRシステムでは,稼働中の全てのロボットを搬送指令車1台のNSC装置で監視・指令する。表2の注記のとおり,2台目以降のロボットは搬送専用車両で運ぶだけになる。搬送指令車ごとに分かれていた指令が1か所にまとまることが,複数の放水ロボットの運用で大きく変わる点である。講評によると,放水制御の自動化を書いた答えがあった。これは放水ロボット1台でも言えることで,「複数の放水ロボットの運用」についての答えにならない。
35字で「搬送指令車1台」と「複数のロボット」を入れる。解答例は「1台の搬送指令車で複数のロボットを操作できるようになること」で29字。
採点講評(IPA)
設問1(2)は,正答率は平均的であったが,放水制御の自動化について記述した解答が見受けられた。複数の放水ロボットの運用について改善できる点について問うていることを認識してほしい。
設問1(3)
15字以内
消防本部のサーバが保有する消火対象施設の情報として,構造図,危険物の種類と量などがある。これらの情報を活用する目的は何か。15 字以内で答えよ。
解答例
解説
本文の根拠
冒頭
例えば,貯蔵する物質によっては消火に泡を用いるなど,消火方法が異なる場合があるほか,
表1 放水ロボット
消火のために,危険物の種類に応じて水又は泡を放射する。
問題文の冒頭で,石油・化学プラントでは貯蔵する物質によって消火に泡を用いるなど,消火方法が異なる場合があるとしている。放水ロボットも,危険物の種類に応じて水か泡かを切り替えて放射する。
したがって,危険物の種類と量が分かれば,水と泡のどちらを使うかなどの消火方法を決められる。構造図は放水位置や注水目標の設定にも使えるが,設問は危険物の情報も含めた「これらの情報」全体の目的を問うているので,消火方法の決定と答える。
15字なので短く「消火方法を決定するため」(11字)とする。
設問2(1)
25字以内
NSC 装置は,消防本部のサーバが保有する消火対象施設の情報を用いて,障害物を回避させながら飛行型監視ロボットを飛行させている。このとき,飛行ルートの安全性を確保するために,更に必要となる情報は何か。25 字以内で具体的に述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔消防本部のサーバに蓄積されたデータの活用〕
大規模・特殊火災のリスクがある施設及びその周辺の情報を平時からサーバに収集しておき,火災発生時に活用できるようにする。
表2 飛行型監視ロボット
自律飛行機能には,指定された位置までの飛行,火災現場全体の状況を把握するための周回飛行,特定箇所を監視し続けるための継続監視飛行がある。
表2 飛行型監視ロボット
監視範囲の構造物・障害物の位置を検出できる。
設問は,消火対象施設の情報だけでは飛行ルートの安全性が足りず,更に必要な情報を問うている。飛行型監視ロボットは火災現場全体を把握するための周回飛行をするので,飛ぶ範囲は消火対象施設の上空だけでなく,その周辺に広がる。施設の構造図だけでは,周辺のどこを安全に飛べるかが分からない。
本文は,サーバに施設だけでなく「その周辺の情報」も平時から収集しておくとしている。これを使って,施設周辺のどこが飛行可能かを事前に知っておけば,監視範囲の構造物・障害物をロボット自身が検出するのと併せて,安全な飛行ルートを組める。
25字で「消火対象施設周辺」と「飛行可能な場所」を入れる。解答例は「消火対象施設周辺の飛行可能な場所の情報」で19字。設問が「具体的に」と求めているので,「周辺の情報」だけで終わらせない。
設問2(2)
30字以内
消防本部のサーバが保有する情報と飛行型監視ロボットが取得したデータとを AI 技術で処理することで期待できることは何か。30 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔新たなシステムにおける取組方針と開発目標〕(4)
効果的な消火活動を目指す。
〔新たなシステムにおける取組方針と開発目標〕(4)
飛行型監視ロボットが取得したデータと,消防本部のサーバが保有する消火対象施設の情報とを AI 技術で処理することによって,火災の状況を分析し,適切な放水位置,注水目標を各放水ロボットに指令する。
飛行型監視ロボットのデータと消防本部のサーバの情報をAI技術で処理する場面は,開発目標(4)に書かれている。火災の状況を分析し,適切な放水位置,注水目標を放水ロボットに指令する。見出しは「効果的な消火活動を目指す」である。
この二つをつなげると,期待できることは,適切な放水位置・注水目標による効果的な消火活動になる。(5)の稼働率の改善は各ロボットの稼働中のデータを使うもので,飛行型監視ロボットのデータとサーバの消火対象施設の情報の組合せではない。
30字で手段(適切な放水位置,注水目標)と結果(効果的な消火活動)を両方書く。解答例は「適切な放水位置,注水目標による効果的な消火活動」で23字。
設問2(3)
30字以内
自律飛行による監視を継続しているとき,火災状況の変化を見落とさないようにするには,どのように飛行させるべきか。30 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
表2 飛行型監視ロボット
自律飛行機能には,指定された位置までの飛行,火災現場全体の状況を把握するための周回飛行,特定箇所を監視し続けるための継続監視飛行がある。
〔NFR システムの概要〕①
なお,飛行型監視ロボットは,複数機を順次運用する。ただし,火災現場では,複数機を同時に飛行させる監視は行わない。
〔NFR システムの概要〕⑤
注水位置と注水目標のずれを補正すべきか,又は注水目標を変更すべきかを判断し
「自律飛行による監視を継続している」ときは,特定箇所を監視し続ける継続監視飛行をしている。継続監視飛行では注水目標付近しか見ていないので,火災現場のほかの場所で状況が変わっても気付けない。火災現場全体の状況を把握するのは周回飛行である。
一方,火災現場では複数機を同時に飛ばさないので,継続監視用と周回用に2機を分けることはできない。1機で継続監視飛行を続けながら,周回飛行も併せて行う必要がある。講評によると,「周回飛行へ切り替える」とだけ書いた答えが見受けられた。周回飛行だけにすると,⑤の注水位置の補正に要る継続監視ができなくなる。
30字で「継続監視飛行」と「周回飛行」の両方を書き,組み合わせることを示す。解答例は「継続監視飛行だけでなく,周回飛行も併せて行う。」で23字。
採点講評(IPA)
設問2(3)は,正答率はやや低かった。“周回飛行へ切り替える”とだけ記述した解答が見受けられた。周回飛行による火災状況の変化の検出だけを行うのではなく,継続監視飛行も続ける必要があることを考慮し,継続監視飛行と周回飛行の組合せによる監視が効果的であることに気付いてほしい。
設問3(1)
解答欄2つ
各ロボットのセンサから得られたデータと指令のためのデータを消防本部のサーバに蓄積している。サーバに蓄積されたデータを処理するとき,センサから得られたデータと指令のためのデータを対応させるために必要な情報は何か。二つ答えよ。
〔備考〕①と②は順不同
解説
本文の根拠
〔NFR システムの概要〕⑥
NSC 装置は,これらの指令のデータと処理に用いたデータとをリンクさせ,消防本部のサーバに送信して蓄積する。
〔NFR システムの概要〕⑥
複数の放水ロボットを運用する場合は,①〜⑤の指令・制御を各ロボットに順次行う。
表1 放水ロボット
・高精度 GPS 受信機
サーバには,複数のロボットのセンサデータと,NSC装置が各ロボットに順次出した指令のデータが蓄積される。⑤の制御は放水中に繰り返されるので,同じロボットについても指令とセンサデータが何度も記録される。あるセンサデータがどの指令と対応するかを後から突き合わせるには,それぞれがいつのデータか(時刻)と,どこのデータか(位置)が分かる必要がある。
位置は,放水ロボットと飛行型監視ロボットがどちらも高精度GPS受信機を搭載しているので記録できる。飛行型監視ロボットが撮った場所と,放水ロボットのいる場所や注水目標とを,位置で結び付けられる。
字数の制限はない。「時刻情報」「位置情報」のように情報の種類で答える。
設問3(2)
40字以内
複数の放水ロボットを運用する場合,各放水ロボットの放水位置を定め,それぞれの水源を決定する。このとき,どのようなことを考慮しなければならないか。40 字以内で述べよ。
解答例
ホースの敷設ルートの長さ,及び各ロボットの走行に支障がないこと
解説
本文の根拠
表1 放水ロボット
ホース敷設ユニットは,高耐熱性を備えた最大 300 メートルの延長用消防ホースを敷設できる。
〔NFR システムの概要〕④
放水ロボットが放水位置に到着後,NSC 装置は水源までの走行ルートを決定し,ホース敷設ユニットに指令する。ホース敷設ユニットは,延長用消防ホースを敷設しながら水源まで自律走行する。
〔新たなシステムにおける取組方針と開発目標〕(3)
複数の放水ロボットが連携して消火活動を行えるようにする。
放水位置を決めた後,水源はホース敷設ユニットが延長用消防ホースを敷設しながら走って行ける場所でなければならない。敷設できるホースは最大300メートルなので,放水位置から水源までの敷設ルートの長さがこれに収まる必要がある。
複数の放水ロボットを運用する場合はさらに,各放水ロボットの走行ルートや敷設したホースが互いにじゃまにならないようにしなければならない。ホース敷設ユニットはホースを敷きながら走るので,ほかのロボットの走行ルートをホースがふさぐおそれがある。講評は,ホースの長さだけを書いた答えが見受けられたとし,走行や水源の確保で相互に支障がないようにする必要を挙げている。
40字で「ホースの敷設ルートの長さ」と「各ロボットの走行に支障がないこと」の二つを入れる。解答例は31字。
採点講評(IPA)
設問3(2)は,正答率はやや高かったが,消防ホースの長さについてだけ記述した解答が見受けられた。複数の放水ロボットが協調して消火活動を行う場合に,各放水ロボットの走行,水源の確保において相互に支障がないように運用する必要があることを理解してほしい。
出典:令和3年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問4(表記を一部改変)
ほかの年度
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 春期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 春期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 春期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 特別試験 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 春期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅰ
平成27年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 春期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 春期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 春期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 特別試験 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 春期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅰ