平成28年度 秋期に実施されたシステムアーキテクト試験
午後Ⅰの全4問(記述式)です。事例本文・設問・解答例と解説をそのまま読めます。
この試験について:システムアーキテクト試験について
この年度を解いてみる
問1 仕入れ納品システムの変更
仕入れ納品システムの変更に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
A 社は,約 500 店舗を展開する中堅コンビニエンスストアである。このたび,他社との差別化を図るために,精肉を販売することを決定し,A 社の仕入れ・納品の仕組み,及び取引先である B 社の商品加工ラインの仕組みを変更することになった。
〔現在の業務及びシステムの概要〕
A 社では,商品を仕入れる取引先は,商品によって一意に決まっている。A 社が取引先から仕入れる価格を原価,A 社が店舗で販売する価格を売価という。また,商品 1 個当たりの原価を原単価,商品 1 個当たりの売価を売単価という。これらの単価及び取引先は商品マスタに登録されている。取引先での処理に必要なマスタ情報は,A 社から取引先に送信され,共有されている。
現在の仕入れ納品システム(以下,現行システムという)を用いた,注文から検品に至る各業務の流れは次のとおりである。
店舗では,発注用端末を使って,商品ごとに数量を入力して発注データを作成する。 店舗から本部への発注データの送信は随時可能である。本部では,毎日,発注データの締め処理を行い,商品マスタを用いて,それぞれの商品に対応した取引先及び納品予定日を決定して,注文ファイルに登録する。また,このとき,取引先ごとに商品別の合計数量を求めて,注文速報データを作成し,取引先に送信する。取引先は,注文速報データを基に,商品をそろえる。生鮮食品については,毎日 8 時に発注データを締めて取引先に送信し,当日 17 時までに,店舗に納品してもらう。 本部では,注文ファイルの注文データから,店番,納品予定日,取引先コードごとに,納品伝票データを作成する。生鮮食品については締め処理を行った当日が納品予定日になる。伝票番号は,伝票番号マスタに店舗別に格納されている最終伝票番号に 1 を加算して付与し,さらに,商品コード単位に行番号を付与した明細行を作り,納品明細データを作成する。1 伝票には明細が複数行表示できるが,明細行が 1 伝票に収まらない場合は,伝票番号に 1 を加算して次の納品伝票データを作成した後で,納品明細データを作成する。1 店舗の処理が終了すると,終了時の伝票番号を伝票番号マスタの最終伝票番号に格納する。 納品伝票ファイル及び納品明細ファイルから取引先ごとに抽出したデータを,当該取引先に送信し,取引先では,これらのデータを使って納品伝票を印刷する。 取引先では,納品伝票に記載された商品を記載された数量だけピッキングし,納品伝票を付けて出荷し,店舗に納品する。 店舗では,商品の検品を行い,検品データを本部に送信する。A 社では商品が発注どおりに納品される確率が 99.9%を超えているので,通常は,修正なしの情報をセットして,検品データだけを本部に送信する。検品時に納品伝票と異なる数量が納品された場合は,修正ありの情報をセットして検品データを本部に送信するとともに,検品差異データを本部に送信する。商品が納品されなかった場合は,実納品数量に 0 をセットした検品差異データを送信する。 本部では,納品伝票データ,納品明細データ,検品データ及び検品差異データを使って納品金額を決定し,買掛金システムに渡す買掛金合計データ及び買掛金明細データを作成する。 現行システムの主要ファイルを表 1 に示す。
表1 現行システムの主要ファイル
〔変更の概要〕
これまで A 社で扱ってきた商品は,商品ごとに原単価,売単価が一律に決まる商品(以下,定貫商品という)だけであった。しかし,新たに扱う精肉については,100 グラム当たりの単価は決まっているが,個包装ごとに内容量及び販売価格が異なる商品(以下,不定貫商品という)になる。
A 社で扱っている肉類の商品は,取引先である B 社が購入,加工,包装,店舗別ピッキング及び配送を行っている。B 社は,A 社以外とも取引を行っており,地元のスーパマーケットには不定貫商品も納品している。
A 社の情報システム部に所属する C 氏は,次のような変更を行うことにした。
精肉の商品には,大パックは 300 グラム,小パックは 100 グラムという目安の重量を設け,商品マスタに,大パック,小パックを別々の商品として登録する。 商品マスタで,不定貫商品を取り扱うようにするために,ある属性を新たに追加する。また,既存の属性の二つについて,現在と別の意味をもたせる。 B 社では,納品明細データを基に,後述する計量値付機を使って,包装,計量,値札発行,値札貼付を行い,納品伝票データ及び納品明細データを更新する。 B 社は,更新した納品伝票データ及び納品明細データを用いて納品伝票を印刷するとともに,納品伝票データ及び納品明細データを A 社に送信する。 A 社の本部では,B 社から送信されてきた納品伝票データ及び納品明細データで,本部のファイルを更新する。 〔B 社の商品加工ラインでの作業の概要と変更要件〕
B 社では,商品加工ラインで,商品の加工,包装,値札発行,値札貼付,店舗別ピッキングを行っている。値札には,商品名の他,消費期限,売価,税込売価及びバーコードを印字する。バーコードには,商品コード及び原価・売価情報を含める。
現在,A 社向けには,加工肉類などの定貫商品だけを扱っている。本部から送られてきた注文速報データを基に,値札発行機で,商品ごとに,当日 A 社から発注された数量分の枚数の値札を発行し,手作業で商品に貼付している。その後,店舗別に,値札が貼付された商品を,納品伝票に記載された数量分ピッキングしている。
B 社では不定貫商品の加工に当たり,現在,他社に納品している不定貫商品で用いている計量値付機を使用することにした。計量値付機とは,パックした商品をベルトコンベアで流し,量り部分で計量し,それを基に値札を発行し,値札を自動貼付する機械である。不定貫商品の値札には,従来の A 社向け定貫商品の値札に印字している項目に加え,販売する店舗の店舗名,100 グラム当たりの金額,内容量を印字する。
PC で受信した納品明細データを計量値付機に送り,計量結果を反映させた納品明細データを送り返してもらい,PC の納品明細データ及び納品伝票データを更新する。計量値付機で行う作業は,次のとおりである。
(1) 事前作業として,注文速報データを基に,商品単位に,それぞれの目安重量に応じたパックを,当日 A 社から発注された数量分準備する。 (2) PC から,当該商品の商品コード,商品名,消費期限,100 グラム当たりの金額を計量値付機に送る。 (3) 当該商品について,1 店舗分の店番,店舗名,数量の情報を計量値付機に送る。 (4) 1 パックずつベルトコンベアに流し,まず,量り部分で計量し,内容量及び売価を計算する。次に,消費税率を用いて税込売価を計算する。その結果を基に値札を発行し,ベルトコンベアを流れる商品に自動貼付する。 (5) 1 店舗の数量分の作業が終了すると,計量結果データは計量値付機から PC に送信される。 (6) 一つの店舗の作業が終わったら,(3)〜(5)を,全ての店舗が終わるまで繰り返す。 (7) 一つの商品の作業が終わったら,(2)〜(6)を,全ての商品が終わるまで繰り返す。 定貫商品と不定貫商品の値札の例を図 1 に示す。
図1 定貫商品と不定貫商品の値札の例
また,B 社では,不定貫商品を A 社店舗に納品する際の店舗別ピッキングについて,①従来の定貫商品と同じ店舗別ピッキングでは,A 社の買掛金の処理に不都合を生じさせてしまう ので,②店舗別ピッキングの方法を変更することにした 。
〔買掛金システムに渡すデータの作成処理〕
店舗から送られてくる検品データ,検品差異データと,A 社にある納品伝票データ,納品明細データを使って,買掛金システムに渡すデータを作成している。現在の処理の流れを表 2 に示す。
表2 現在の処理の流れ
今回,不定貫商品を扱うに当たって,検品業務において,不定貫商品の納品数量が異なるケースを想定して,③検品差異データに,実納品原価,実納品売価の二つの属性を追加する 。実納品原価,実納品売価は,実際に納品された商品の原価,売価を商品単位に合計して算出する。また,不定貫商品の検品差異データが発生した場合を考慮し,表 2 の検品差異データの処理を,不定貫商品については表 3 のように変更する。
表3 不定貫商品の検品差異データの処理
出題趣旨(IPA)
利用者の業務要件の変更に伴い,情報システムの変更を行う際に,その方式を構想し,設計に結び付けていくことが,システムアーキテクトの重要な業務である。本問では,コンビニエンスストアでの取扱商品変更に伴う仕入れ納品システムの変更を題材として,業務フローの変更,ファイルレイアウトの変更などについて具体的な記述を求めている。業務要件の変更内容を正しく理解し,情報システムを設計する能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問1では,仕入れ納品システムの変更を例にとり,業務フロー,ファイルレイアウトの変更などについて出題した。
システムアーキテクトとして,業務要件の変更内容を十分に理解した上で,適切な処理の変更,ファイルの変更などが行えるように心掛けてほしい。
設問と解答例
設問1(1)
25字以内
不定貫商品について,B 社から納品伝票データ及び納品明細データを送信してもらうように変更したのはなぜか。その理由を 25 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔変更の概要〕
新たに扱う精肉については,100 グラム当たりの単価は決まっているが,個包装ごとに内容量及び販売価格が異なる商品(以下,不定貫商品という)になる。
〔B 社の商品加工ラインでの作業の概要と変更要件〕
PC で受信した納品明細データを計量値付機に送り,計量結果を反映させた納品明細データを送り返してもらい,PC の納品明細データ及び納品伝票データを更新する。
〔B 社の商品加工ラインでの作業の概要と変更要件〕(4)
1 パックずつベルトコンベアに流し,まず,量り部分で計量し,内容量及び売価を計算する。
現行システムでは,納品伝票データと納品明細データは A 社の本部が注文データから作り,取引先に送っている。定貫商品なら商品マスタの原単価・売単価に数量を掛ければ原価・売価が決まるので,本部だけで伝票を完成させられる。ところが不定貫商品は個包装ごとに内容量と販売価格が違い,1 パックずつ計量するまで価格が決まらない。
計量するのは B 社の計量値付機で,量り部分で計量して内容量と売価を計算し,その計量結果を反映した納品明細データで PC の納品明細データ及び納品伝票データを更新する。価格が確定したデータは B 社の側にしかないので,それを A 社に送ってもらい,本部のファイルを更新する必要がある。講評によれば,(1)は正答率が低かった。
25字で「不定貫商品の価格」を「確定させる」必要があることを書く。解答例は「不定貫商品の価格を確定させる必要があるから」で21字。
採点講評(IPA)
設問1は,(1),(2)の正答率が低く,(3)は正答率が高かった。(2)では,不定貫商品の処理が定貫商品の処理と異なるので,これを判断する区分が必要になることを問うたが,不定貫商品の処理に必要な属性を想定して,“内容量”といった誤った解答をしたものが散見された。
設問1(2)
20字以内
商品マスタに新たに追加する属性がある。その内容を 20 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔変更の概要〕
商品マスタで,不定貫商品を取り扱うようにするために,ある属性を新たに追加する。
〔変更の概要〕
これまで A 社で扱ってきた商品は,商品ごとに原単価,売単価が一律に決まる商品(以下,定貫商品という)だけであった。
〔買掛金システムに渡すデータの作成処理〕
表 2 の検品差異データの処理を,不定貫商品については表 3 のように変更する。
これまで商品マスタには定貫商品しか登録されていなかったので,商品の種類を区別する必要がなかった。不定貫商品が加わると,原価・売価の決め方(原単価・売単価に数量を掛けるか,計量して求めるか)も,検品差異データの処理(表 2 か表 3 か)も,商品によって変わる。処理を分けるには,その商品がどちらなのかをシステムが判断できなければならない。
そこで商品マスタに,定貫商品か不定貫商品かを表す区分を追加する。講評は,不定貫商品の処理に必要な属性を想定して“内容量”と書いた誤答が散見されたとしている。内容量はパックごとに違い,計量して初めて決まる値なので,商品ごとに 1 件の商品マスタには持てない。問われているのは処理を分けるための判断材料である。
20字で「定貫商品か不定貫商品か」を「表す区分」と書く。解答例は16字。
採点講評(IPA)
設問1は,(1),(2)の正答率が低く,(3)は正答率が高かった。(2)では,不定貫商品の処理が定貫商品の処理と異なるので,これを判断する区分が必要になることを問うたが,不定貫商品の処理に必要な属性を想定して,“内容量”といった誤った解答をしたものが散見された。
設問1(3)
解答欄3つ
商品マスタの中に,従来と異なる意味をもたせる属性が二つある。新たにもたせる意味は,二つの属性に共通している。属性名を二つ答えよ。また,どのような意味をもたせるか,20 字以内で述べよ。
〔備考〕属性名の①と②は順不同
解説
本文の根拠
〔現在の業務及びシステムの概要〕
商品 1 個当たりの原価を原単価,商品 1 個当たりの売価を売単価という。これらの単価及び取引先は商品マスタに登録されている。
〔変更の概要〕
100 グラム当たりの単価は決まっているが,個包装ごとに内容量及び販売価格が異なる商品
〔B 社の商品加工ラインでの作業の概要と変更要件〕(2)
PC から,当該商品の商品コード,商品名,消費期限,100 グラム当たりの金額を計量値付機に送る。
商品マスタの原単価・売単価は,商品 1 個当たりの原価・売価である。不定貫商品は 1 パックごとに価格が違うので,1 個当たりの価格を商品マスタに持つことはできない。一方で,100 グラム当たりの単価は決まっている。
計量値付機には,PC から 100 グラム当たりの金額を送り,量った内容量と掛け合わせて売価を計算させる。この金額の出どころは商品マスタしかない。そこで,不定貫商品については既存の原単価・売単価に“100 グラム当たりの金額”という意味をもたせれば,新しい属性を足さずに済む。二つの属性に共通する意味という設問の条件にも合う。講評によれば,(3)は正答率が高かった。
属性名は表 1 の表記どおり「原単価」「売単価」。意味は20字で「100 グラム当たりの金額」と書く。解答例は「100グラム当たりの金額を表す。」で16字。
採点講評(IPA)
設問1は,(1),(2)の正答率が低く,(3)は正答率が高かった。(2)では,不定貫商品の処理が定貫商品の処理と異なるので,これを判断する区分が必要になることを問うたが,不定貫商品の処理に必要な属性を想定して,“内容量”といった誤った解答をしたものが散見された。
設問2(1)
40字以内
本文中の下線①で生じる不都合とは何か。その内容を 40 字以内で述べよ。
解答例
実際に納品された商品の価格が,納品伝票に記載された価格と不一致となる。
解説
本文の根拠
〔B 社の商品加工ラインでの作業の概要と変更要件〕
その後,店舗別に,値札が貼付された商品を,納品伝票に記載された数量分ピッキングしている。
〔B 社の商品加工ラインでの作業の概要と変更要件〕(3)
当該商品について,1 店舗分の店番,店舗名,数量の情報を計量値付機に送る。
〔B 社の商品加工ラインでの作業の概要と変更要件〕(5)
1 店舗の数量分の作業が終了すると,計量結果データは計量値付機から PC に送信される。
表2 検品データ
納品伝票データに納品日を格納し,納品伝票データから買掛金合計データを作成する。
計量値付機は店舗ごとに作業し,1 店舗の数量分を計量し終えるたびに計量結果を PC に送る。つまり,どのパックがどの店舗の納品明細データに記録されたかが決まっている。従来の定貫商品のピッキングは,値札が貼られた商品を納品伝票に記載された数量分取るだけなので,同じ商品のパックを数だけ合わせて取ると,別の店舗向けに計量したパックが混ざる。
定貫商品ならどのパックも同じ価格なので問題にならないが,不定貫商品はパックごとに価格が違う。そうすると,店舗に実際に納品された商品の価格と,納品伝票に記載された価格とが一致しなくなる。買掛金合計データ・買掛金明細データは納品伝票データ・納品明細データから作るので,買掛金の処理に不都合が生じる。講評は,ピッキングを値札発行や値札貼付を含む一連の作業と誤って解釈した解答や,“数量”と“内容量”を混同した解答が目立ったとしている。
40字で「実際に納品された商品の価格」と「納品伝票に記載された価格」が「不一致となる」ことを書く。解答例は35字。
採点講評(IPA)
設問2は,正答率が低かった。ピッキングという作業を,納品伝票の作成,値札発行,値札貼付を含む一連の作業と誤って解釈した解答,また,“数量”と“内容量”を混同した解答が目立った。(2)は不定貫商品に係るピッキング方法の変更を問うたもので,数量だけでなく,個々のパックの納品先を意識してピッキングを行う必要があることに気付いてほしかった。
設問2(2)
25字以内
本文中の下線②で,変更したピッキング方法を 25 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔B 社の商品加工ラインでの作業の概要と変更要件〕
不定貫商品の値札には,従来の A 社向け定貫商品の値札に印字している項目に加え,販売する店舗の店舗名,100 グラム当たりの金額,内容量を印字する。
図1 定貫商品と不定貫商品の値札の例
販売店 A社 ○○店
設問2(1)の不都合は,店舗 A 向けに計量したパックが店舗 B に納品されることで起きる。したがって,ピッキングでは数量だけでなく,一つ一つのパックがどの店舗向けに計量されたかを見分ける必要がある。
不定貫商品の値札には,従来の項目に加えて販売する店舗の店舗名を印字する。図 1 の不定貫商品の値札にも“販売店 A社 ○○店”とある。この店舗名を見てピッキングすれば,計量値付機が店舗ごとに記録したとおりのパックがその店舗に届き,納品伝票の価格と一致する。講評は,数量だけでなく個々のパックの納品先を意識してピッキングを行う必要があることに気付いてほしかったとしている。
25字で「値札に印字された店舗名」を見てピッキングすることを書く。解答例は22字。
採点講評(IPA)
設問2は,正答率が低かった。ピッキングという作業を,納品伝票の作成,値札発行,値札貼付を含む一連の作業と誤って解釈した解答,また,“数量”と“内容量”を混同した解答が目立った。(2)は不定貫商品に係るピッキング方法の変更を問うたもので,数量だけでなく,個々のパックの納品先を意識してピッキングを行う必要があることに気付いてほしかった。
設問3(1)
35字以内
本文中の下線③で,二つの属性を追加した理由を,35 字以内で述べよ。
解答例
商品ごとに原価,売価が異なり,数量だけでは算出できないから
解説
本文の根拠
表2 検品差異データ
商品マスタ上の原単価,売単価に実納品数量を乗じて算出した原価,売価で納品明細データの原価,売価を書き換える
〔買掛金システムに渡すデータの作成処理〕
実納品原価,実納品売価は,実際に納品された商品の原価,売価を商品単位に合計して算出する。
〔変更の概要〕
個包装ごとに内容量及び販売価格が異なる商品(以下,不定貫商品という)になる。
現在の検品差異データの処理では,商品マスタの原単価・売単価に実納品数量を掛けて原価・売価を算出し直している。定貫商品は 1 個当たりの価格が一律なので,数量さえ分かれば納品された商品の原価・売価が求まる。
不定貫商品はパックごとに原価・売価が異なるので,何個届いたかが分かっても,どのパックが届いたかが分からなければ金額は決まらない。しかも原単価・売単価は 100 グラム当たりの金額に変わっているので,数量を掛けても意味のある値にならない。そこで,店舗で実際に納品された商品の原価・売価を合計した実納品原価・実納品売価を,検品差異データに持たせることにした。講評は,(1)の正答率が低く,不定貫商品は定貫商品と同じ方法では算出できないことに気付けば正解が導けたとしている。
35字で「商品ごとに原価,売価が異なり」「数量だけでは算出できない」ことを書く。解答例は29字。
採点講評(IPA)
設問3は,(1)の正答率が低く,(2)は高かった。(1)では,定貫商品は実納品原価,実納品売価を商品マスタの単価と実納品数量から計算することができるが,不定貫商品は個包装ごとに原価,売価が異なるので,定貫商品と同じ方法では算出できないことに気付けば正解が導けたはずである。
設問3(2)
解答欄5つ
表 3 中のa 〜e に入れる適切な字句を答えよ。
〔備考〕aとbは順不同,dとeは順不同
解説
本文の根拠
表3 検品差異データ
検品差異データのa ,b でc データのd ,e を書き換えるとともに,書換え前後の原価の差額,売価の差額を納品伝票データに反映する。
〔買掛金システムに渡すデータの作成処理〕
③検品差異データに,実納品原価,実納品売価の二つの属性を追加する
表1 納品明細
納品明細:店番(主キー),伝票番号(主キー),行番号(主キー),商品コード,数量,原価,売価。
表 3 は表 2 の検品差異データの処理を不定貫商品向けに書き換えたものである。表 2 では商品マスタの単価と実納品数量から算出した原価・売価で納品明細データの原価・売価を書き換えていた。不定貫商品では,この算出の代わりに,下線③で検品差異データに追加した実納品原価・実納品売価をそのまま使う。
したがって a・b は「実納品原価」「実納品売価」,書き換える先 c は「納品明細」データ,書き換える属性 d・e は表 1 の納品明細の「原価」「売価」になる。続く文の“書換え前後の原価の差額,売価の差額を納品伝票データに反映する”も,d・e が原価・売価であることと整合する。講評によれば,(2)の正答率は高かった。
a と b,d と e はそれぞれ順不同。属性名は表 1 と本文の表記どおりに書く。
採点講評(IPA)
設問3は,(1)の正答率が低く,(2)は高かった。(1)では,定貫商品は実納品原価,実納品売価を商品マスタの単価と実納品数量から計算することができるが,不定貫商品は個包装ごとに原価,売価が異なるので,定貫商品と同じ方法では算出できないことに気付けば正解が導けたはずである。
出典:平成28年度 秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2 問合せ管理システムの導入
問合せ管理システムの導入に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
D 社は,産業用機械メーカである。全国にあるグループの販売会社数社を通じて,法人顧客に対して D 社製品の販売・保守を行っている。D 社グループでは,製品に関する顧客からの不具合の連絡,クレームなどを含む問合せ(以下,問合せという)をグループ全体で一元的に管理する問合せ管理システム(以下,新システムという)の導入を行うことにした。
〔新システム導入の目的〕
顧客からの問合せは,販売会社で受け付け,対応しており,受付内容及び対応内容の情報(以下,問合せ情報という)については,各販売会社で記録,管理している。しかし,現在は問合せへの対応状況が適切に管理されておらず,一部の対応が滞ることがある。また,問合せ情報を D 社グループ内で共有できておらず,過去の対応内容を類似の問合せへの対応に生かすことができていない。製品製造元である D 社においても,問合せ情報が即時に販売会社から報告されていないので,問合せが急増している製品を早期に把握し,改善を図ることができていない。
そこで,D 社グループ内で新システムを構築し,顧客サービスの向上と製品の品質改善につなげることにした。新システムは 1 年後に稼働する計画とした。
〔現在の問合せ対応業務の概要〕
現在の,各販売会社で行う問合せ対応業務の概要は,次のとおりである。
(1) 顧客は,購入した D 社製品に問題が発生した場合,販売会社へ電話又は電子メール(以下,メールという)で連絡する。 (2) 連絡を受けた担当者は,顧客から問合せ内容の詳細を聞取りする。 (3) 担当者は,即時に解決可能な問合せの場合,聞取りと同時に解決に必要な対応を行う。即時に解決できない問合せの場合,一旦聞取りを終了し,販売会社内の製品技術者又は D 社の製品部門に連絡して,対応策を相談する。相談した対応策に基づき,再度顧客に連絡し,解決に必要な対応を行う。 (4) 対応が完了した後,担当者は各販売会社所定の報告書を作成し,上司に報告する。報告書は,各販売会社の文書管理規程にのっとって管理する。 なお,解決困難な問合せの場合は,問合せ内容の聞取り終了から報告までに数週間掛かる場合がある。また,安全性に関わる重大な問題の場合は,品質問題報告書を作成し,聞取り終了した日の翌営業日までに,D 社品質保証部門に報告している。
〔D 社グループの IT 戦略〕
5 年前に策定した D 社グループの IT 戦略では,グループ全体の経営を支える情報システムの最適化を目標として定め,社内 LAN 及びグループウェアを含む社内イントラネットシステムの統合を実現した。統合の際,ディレクトリサーバを用いた ID 管理基盤を導入し,それまで情報システムごとに個別管理していた利用者 ID 及びパスワードを一元管理している。また,多様な働き方に対応するために,社員に貸与する PC を利用して,自宅,外出先などから,インターネット VPN 経由で社内システムへ安全にアクセスできる環境を構築した。当環境では,個人所有の PC など,許可されていない端末からはアクセスできない対策が取られている。
現在,新システムとは別に,D 社グループ全体で基幹業務システムの再構築プロジェクトが進行しており,1 年半後に新たな基幹業務システムの稼働を予定している。
なお,D 社では今年,IT 戦略の見直しを行った。見直し後の IT 戦略では,更なる経営効率向上を目指し,自社で構築・運用する情報システム(以下,自社運用システムという)を段階的に減らし,専門の事業者が提供するクラウドコンピューティングサービス(以下,クラウドサービスという)の活用を積極的に進めることにした。
〔販売会社からの新システムへの要望〕
販売会社からの新システムへの要望は次のとおりである。
問合せ対応の参考にするために,他の販売会社で受け付け,対応が完了した問合せ情報についても,製品型番,製品名,問合せ分類,フリーワード,受付年月日の期間指定などで検索することで,問合せ件名などの基本情報,受付内容及び対応内容を閲覧できるようにしてほしい。一方で,その他の情報については,必要がない限り問合せ受付元の販売会社以外には閲覧させないことを原則としてほしい。 自社で登録した問合せ情報は,登録後も自社で修正できるようにしてほしい。一方で,自社で登録した問合せ情報を,他の販売会社が修正できないようにしてほしい。 誤って同一の問合せを重複して登録することが想定されるので,自社で登録した問合せ情報を削除できるようにしてほしい。一方で,自社で登録した問合せ情報を,D 社及び他の販売会社が削除できないようにしてほしい。 担当者が問合せを受けた時に聞取りした相手である顧客側の担当者(以下,問合せ顧客という)の情報については,機密性が高いので,D 社及び他の販売会社へ開示しないでほしい。D 社が問合せ顧客の情報を必要とする場合は,担当者に連絡をもらえれば,問合せ顧客に了解を得た上で,情報を伝えるようにする。 新たに,利用者 ID 及びパスワードを覚えなくても済むようにしてほしい。 〔D 社品質保証部門及び製品部門からの新システムへの要望〕
D 社品質保証部門及び製品部門からの新システムへの要望は次のとおりである。
販売会社からの要望に加えて,D 社としては製品の品質改善のために,重大な問題に限らず,早期に問合せ情報を確認できるようにしてほしい。具体的には,どのような問題が発生しているのかを把握するために,問合せ件名,受付内容及び報告時点までの対応経緯だけでも直ちに確認できるようにしてほしい。問合せ内容,対応経緯などの修正が後から生じることは問題ない。 受付内容の記入間違い時の訂正,D 社が支援した内容の対応経緯への加筆などが想定されるので,販売会社が登録した受付内容及び対応内容を,販売会社が対応中でも対応が完了した後でも,D 社が修正できるようにしてほしい。 複雑な問題の場合,D 社が直接顧客から問合せの詳細を聞取りしたいことがあるので,必要な情報を見られるようにしてほしい。 製品マスタなどのマスタ情報は,基幹業務システム上で更新が発生するので,新システム上にも最新情報を反映するようにしてほしい。 〔新システムの構成〕
IT 戦略に基づき,新システムは,クラウドサービスを活用して構築することを検討した。検討の中で,クラウドサービス上に構築する新システムを,社内 LAN 経由ではなくインターネット経由で直接利用した場合のリスクとして,外部からの不正アクセス,盗聴の他,社内システムでは認めていないシステムの利用方式で社員が新システムを利用できてしまうおそれがあるのではないかという意見が挙がった。
これらのリスクに対して,クラウドサービスと自社運用システムとの間を閉域網で接続し,インターネットから論理的に遮断して社内 LAN 経由でしか新システムを利用できない構成とすることによって,リスクを回避することにした。
検討した新システムの構成概要を図 1 に示す。
図1 新システムの構成概要
新システムへの要望に基づき,新システムで構築するディレクトリサーバと自社運用システム上のディレクトリサーバとの連携,及び新システムで開発する業務アプリケーションプログラムと基幹業務システムの業務アプリケーションプログラムとの連携が必要になる。しかし,基幹業務システムとの連携は,基幹業務システム側での対応作業の負荷が高いことに加え,①ある理由で新システム稼働後の改修が発生する可能性が高い ので,今回はディレクトリサーバの連携だけを行うことにした。基幹業務システムとの連携は新システム稼働後に改めて検討することにし,当面は人手での情報連携で運用することにした。
〔登録画面の設計〕
新システムで管理する問合せ情報は,五つに分類し,その情報の種類ごとに画面領域を分割して問合せ情報を登録する画面(以下,登録画面という)を設計した。情報の種類ごとの主な属性を,表 1 に示す。
表1 情報の種類ごとの主な属性
基本情報の対応ステータスは,問合せへの対応状況に応じて“受付内容確認中”,“受付完了・対応中”,“対応完了”の三つのステータスの中から選択し,新システムに登録,更新することによって,問合せ対応の進捗状況を可視化できるようにした。
新システムへの要望を踏まえて,対応ステータスを“受付完了・対応中”にすることによって,D 社品質保証部門及び製品部門に必要な権限を与えるようにした。また,“対応完了”にすることによって,D 社品質保証部門及び製品部門に加えて,問合せ受付元以外の販売会社にも必要な権限を与えるようにした。
なお,②新システムを利用した問合せ対応業務では,即時に解決できない問合せの場合であっても,遅くとも業務上のあるタイミングまでには,問合せ情報を新システムに登録するルールとした 。
〔問合せ情報に対する権限〕
問合せ受付元の販売会社が登録した問合せ情報を利用するに当たっての,利用者の所属,基本情報の対応ステータス及び情報の種類に応じた,閲覧,修正及び削除の権限を,表 2 の決定表に整理した。
表2 登録された問合せ情報を利用するに当たっての権限の決定表
出題趣旨(IPA)
情報システムの新規導入の場合には,様々な利害関係者からの要望,制約条件などを収集し,種々の要求に対して適切な解決策が求められることが多い。本問では,グループ会社における問合せ管理システムの導入を題材として,利害関係者から収集した要望,制約条件などを分析してシステム要件へ整理すること,グループ全体のIT戦略との適合性を見極めてシステム構成を設計することなどについて,具体的な記述を求めている。利害関係者からの要求を正しく理解し,求められている情報システムを設計する能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問2では,問合せ管理システムの導入を例にとり,システム構成の設計や権限の定義について出題した。
システムアーキテクトとして,複数のステークホルダの要望を十分に理解した上で,整合性の取れた適切な情報システムの設計が行えるように心掛けてほしい。
設問と解答例
設問1(1)
30字以内
リスクとして挙げられた,社内システムでは認めていないシステムの利用方式を,30 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔D 社グループの IT 戦略〕
社員に貸与する PC を利用して,自宅,外出先などから,インターネット VPN 経由で社内システムへ安全にアクセスできる環境を構築した。当環境では,個人所有の PC など,許可されていない端末からはアクセスできない対策が取られている。
〔新システムの構成〕
クラウドサービス上に構築する新システムを,社内 LAN 経由ではなくインターネット経由で直接利用した場合のリスクとして,外部からの不正アクセス,盗聴の他,社内システムでは認めていないシステムの利用方式で社員が新システムを利用できてしまうおそれがあるのではないかという意見が挙がった。
社内システムには,社外からは貸与 PC でインターネット VPN を経由してしかアクセスできず,個人所有の PC など許可されていない端末からはアクセスできない対策が取られている。これが社内システムで認めている利用方式である。
クラウドサービス上の新システムをインターネット経由で直接利用できるようにすると,VPN 接続装置を通らないので,この対策が効かない。社員が個人所有の PC などから新システムを利用できてしまう。これが“社内システムでは認めていない利用方式”に当たる。外部からの不正アクセスや盗聴は同じ文で別に挙げられているので,答えには含めない。
30字で「許可されていない端末」を用いた「社内システムの利用」と書く。解答例は23字。
設問1(2)
25字以内
新システムで構築するディレクトリサーバと自社運用システム上のディレクトリサーバを連携させることによって,新システムで何が利用できるようになるか。25 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔D 社グループの IT 戦略〕
統合の際,ディレクトリサーバを用いた ID 管理基盤を導入し,それまで情報システムごとに個別管理していた利用者 ID 及びパスワードを一元管理している。
〔販売会社からの新システムへの要望〕
新たに,利用者 ID 及びパスワードを覚えなくても済むようにしてほしい。
〔新システムの構成〕
新システムで構築するディレクトリサーバと自社運用システム上のディレクトリサーバとの連携
D 社グループでは,自社運用システムのディレクトリサーバを用いた ID 管理基盤で,利用者 ID 及びパスワードを一元管理している。販売会社からは,新たに利用者 ID 及びパスワードを覚えなくても済むようにしてほしいという要望がある。
新システムのディレクトリサーバを自社運用システムのディレクトリサーバと連携させれば,社員が今使っている利用者 ID 及びパスワードの情報が新システム側にも反映される。新システム専用の ID を作らずに,自社運用システムの利用者 ID 及びパスワードで新システムを利用できる。
25字で「自社運用システムの」「利用者 ID 及びパスワード」と書く。どのシステムの ID かを落とさない。解答例は21字。
設問1(3)
40字以内
本文中の下線①について,どのような理由で,新システム稼働後の改修が発生する可能性が高いと判断したのか。40 字以内で述べよ。
解答例
新システムの構築と並行して基幹業務システムの再構築を進めているから
解説
本文の根拠
〔新システム導入の目的〕
新システムは 1 年後に稼働する計画とした。
〔D 社グループの IT 戦略〕
現在,新システムとは別に,D 社グループ全体で基幹業務システムの再構築プロジェクトが進行しており,1 年半後に新たな基幹業務システムの稼働を予定している。
〔新システムの構成〕
基幹業務システムとの連携は新システム稼働後に改めて検討することにし,当面は人手での情報連携で運用することにした。
新システムは 1 年後に稼働し,基幹業務システムは再構築プロジェクトが進行中で,1 年半後に新しい基幹業務システムが稼働する。新システムの構築と基幹業務システムの再構築が並行して進んでいる。
今の基幹業務システムの業務アプリケーションプログラムと連携するように新システムを作っても,半年後には相手の基幹業務システムが新しいものに置き換わる。連携部分はそのときに作り直すことになるので,新システム稼働後の改修が発生する可能性が高い。そのため連携は新システム稼働後に改めて検討し,当面は人手で情報連携することにした。講評は,新システムの導入と再構築の時期が重複することによる影響を問うたが,基幹業務システムの再構築のことだけを書いた解答が散見されたとしている。
40字で,新システムの構築と「並行して」基幹業務システムの再構築を進めていることを書く。再構築だけでなく,時期が重なることまで入れる。解答例は33字。
採点講評(IPA)
設問1(3)では,新システムの導入と基幹業務システムの再構築の時期が重複することによる影響を問うたが,基幹業務システムの再構築のことだけが記述されている解答が散見された。
設問2
解答欄2つ
〔登録画面の設計〕について,本文中の下線②の業務上のあるタイミングとは,どのようなタイミングか。25 字以内で述べよ。また,そのときに,登録画面の対応ステータスで選択すべきステータスは何か。そのステータスを答えよ。
解説
本文の根拠
〔D 社品質保証部門及び製品部門からの新システムへの要望〕
販売会社からの要望に加えて,D 社としては製品の品質改善のために,重大な問題に限らず,早期に問合せ情報を確認できるようにしてほしい。具体的には,どのような問題が発生しているのかを把握するために,問合せ件名,受付内容及び報告時点までの対応経緯だけでも直ちに確認できるようにしてほしい。問合せ内容,対応経緯などの修正が後から生じることは問題ない。
〔現在の問合せ対応業務の概要〕(3)
即時に解決できない問合せの場合,一旦聞取りを終了し,販売会社内の製品技術者又は D 社の製品部門に連絡して,対応策を相談する。
〔現在の問合せ対応業務の概要〕
なお,解決困難な問合せの場合は,問合せ内容の聞取り終了から報告までに数週間掛かる場合がある。
〔登録画面の設計〕
対応ステータスを“受付完了・対応中”にすることによって,D 社品質保証部門及び製品部門に必要な権限を与えるようにした。
D 社は,重大な問題に限らず,問合せ件名・受付内容・報告時点までの対応経緯を早期に確認したいと要望しており,内容が後から修正されることは構わないとしている。即時に解決できない問合せは,一旦聞取りを終了してから対応策を相談するので,解決困難なものは聞取り終了から報告までに数週間掛かる。対応完了を待って登録すると,D 社が知るのが数週間遅れる。
そこで,遅くとも問合せ内容の聞取りを終了した時点で登録するルールにする。この時点で受付内容はそろっている。D 社品質保証部門及び製品部門に権限を与えるのは対応ステータスを“受付完了・対応中”にしたときなので,登録時にはこのステータスを選ぶ。“受付内容確認中”では D 社に見えず,“対応完了”はまだ対応していないので当たらない。講評は,対応策を相談するタイミングや D 社品質保証部門に報告するタイミングと書いた誤答が散見されたとしている。
タイミングは25字で「問合せ内容を聞取り終了したタイミング」と書く(18字)。ステータスは本文の表記どおり「受付完了・対応中」。
採点講評(IPA)
設問2では,D社の要望に基づく登録のタイミングを問うたが,対応策を相談するタイミングやD社品質保証部門に報告するタイミングといった誤った解答が散見された。
設問3(1)
解答欄7つ
表 2 中のa 〜g に入れる適切な字句を,解答群の中から選び,記号で答えよ。なお,a 〜g には同じ字句が入ることもある。解答群(上から閲覧可能・修正可能・削除可能の順):ア(−,−,−),イ(X,−,−),ウ(−,X,−),エ(−,−,X),オ(X,X,−),カ(−,X,X),キ(X,−,X),ク(X,X,X)
解説
本文の根拠
〔販売会社からの新システムへの要望〕
自社で登録した問合せ情報は,登録後も自社で修正できるようにしてほしい。一方で,自社で登録した問合せ情報を,他の販売会社が修正できないようにしてほしい。
〔販売会社からの新システムへの要望〕
問合せ件名などの基本情報,受付内容及び対応内容を閲覧できるようにしてほしい。一方で,その他の情報については,必要がない限り問合せ受付元の販売会社以外には閲覧させないことを原則としてほしい。
〔D 社品質保証部門及び製品部門からの新システムへの要望〕
販売会社が登録した受付内容及び対応内容を,販売会社が対応中でも対応が完了した後でも,D 社が修正できるようにしてほしい。
表2
列19:N,N,Y,3,担当者。動作は X,−,−。
a は問合せ受付元の販売会社の列で,自社で登録した情報は閲覧でき,登録後も修正でき,重複登録に備えて削除もできるので,ク(X,X,X)。b・c は受付元以外の販売会社が対応完了の基本情報・対応内容を見る列で,閲覧はできるが,修正は他の販売会社にさせず,削除も D 社及び他の販売会社にはさせないので,イ(X,−,−)。d・e は問合せ顧客と担当者で,これらは基本情報・受付内容・対応内容以外の“その他の情報”に当たり,受付元以外の販売会社には閲覧させないので,ア(−,−,−)。
f・g は D 社品質保証部門又は製品部門の列である。f は受付完了・対応中の対応内容で,報告時点までの対応経緯を直ちに確認でき,対応中でも修正できるので,オ(X,X,−)。g は対応完了後の受付内容で,同じく閲覧でき,対応完了後も修正でき,削除はできないので,オ。講評は,e で誤りが多く,表 2 に書かれている D 社品質保証部門又は製品部門の“担当者”の権限(X,−,−)と同じものを選んだ誤りだったとしている。担当者を閲覧できるのは D 社だけで,他の販売会社は閲覧できない。
選択肢の記号で答える。同じ記号を何度使ってもよい。
採点講評(IPA)
設問3(1)は,全体として正答率が高かったが,eは誤った解答が多く見られた。表2に表記されている,利用者の所属がD社品質保証部門又は製品部門の場合の“担当者”の情報に対する権限と同じものを誤って選択しており,問題文をよく読めば防ぐことができた誤りだった。
設問3(2)
40字以内
D 社品質保証部門及び製品部門から,問合せ情報の担当者を閲覧可能とした理由を,40 字以内で述べよ。
解答例
D社が問合せ顧客に直接聞取りするために,担当者に連絡する必要があるから
解説
本文の根拠
〔D 社品質保証部門及び製品部門からの新システムへの要望〕
複雑な問題の場合,D 社が直接顧客から問合せの詳細を聞取りしたいことがあるので,必要な情報を見られるようにしてほしい。
〔販売会社からの新システムへの要望〕
担当者が問合せを受けた時に聞取りした相手である顧客側の担当者(以下,問合せ顧客という)の情報については,機密性が高いので,D 社及び他の販売会社へ開示しないでほしい。D 社が問合せ顧客の情報を必要とする場合は,担当者に連絡をもらえれば,問合せ顧客に了解を得た上で,情報を伝えるようにする。
D 社は複雑な問題の場合に顧客から直接詳細を聞き取りたいので,必要な情報を見られるようにしてほしいと要望している。一方,販売会社は,問合せ顧客の情報は機密性が高いので D 社へ開示しないでほしい,D 社が必要なら担当者に連絡をもらえれば問合せ顧客の了解を得て伝える,としている。
両方の要望を満たすには,D 社には問合せ顧客の情報は見せず,連絡先として担当者の情報を見せればよい。D 社は担当者に連絡し,担当者が問合せ顧客の了解を得たうえで情報を伝える。表 2 で D 社品質保証部門又は製品部門に,問合せ顧客は閲覧させず,担当者だけを閲覧可能(修正・削除は不可)にしているのはこのためである。講評は,販売会社及び D 社の両者の要望を踏まえた解答を期待したが,いずれか一方の要望しか記述していない解答が多かったとしている。
40字で,D 社の目的(問合せ顧客に直接聞取りする)と,販売会社の条件から来る手段(担当者に連絡する)の両方を書く。解答例は35字。
採点講評(IPA)
設問3(2)では,販売会社及びD社の両者の要望を踏まえた解答を期待したが,いずれか一方の要望しか記述されていない解答が多かった。
出典:平成28年度 秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3 売上・回収業務のシステム改善
売上・回収業務のシステム改善に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。
E 社は,関東地方を中心に建材の卸販売を行っている。現在,販売管理システムと会計システムを対象に,売上から回収までの業務及びシステムの改善を進めている。
〔現状の売上から回収までの業務と関連システムの概要〕
現状の売上から回収までの業務と関連システムの概要は,次のとおりである。関連システムは,販売管理システムと会計システムである。
売上計上には,販売している商品の特性によって,出荷した時点で売上を計上する(以下,出荷基準という)場合と,顧客からの検収書を入手した時点で売上を計上する(以下,検収基準という)場合の 2 通りがある。出荷基準の場合は出荷伝票の控えから,検収基準の場合は顧客の検収書から,営業事務部門で売上伝票を起票し,販売管理システムに入力して売上を登録している。また,売上伝票の控えが経理部門に回付され,経理部門で仕訳伝票を起票し,会計システムに入力して,売上勘定と売掛金勘定に計上している。
商品は,誤出荷や不良品出荷などによって返品されることがある。良品の返品は,倉庫在庫へ戻入れを行い,それ以外は廃棄などの処理を行う。返品の受付後,返品伝票を起票し,販売管理システムに入力することによって,必要な処理を行っている。また,返品伝票の控えが経理部門に回付され,返品に伴う修正仕訳伝票を起票し,会計システムに入力している。
なお,返品に対する再出荷は,通常の出荷と同様に処理する。
顧客への毎月の請求は,指定請求先に対し,締日までの売上情報に基づき請求書を発行する場合と,一部の大手顧客からの支払通知書に基づき請求書を発行する場合がある。請求書は,会計システムで発行し,経理部門から顧客に送付している。
顧客からの E 社への入金は,E 社指定口座への銀行振込によって行われる。また,全ての顧客の支払条件は,締日の翌月末払いとなっている。支払日が休日の場合は,その前の営業日となっている。顧客からの入金情報はファームバンキングによって入手している。
売掛金の消し込み及び残高管理は,経理部門で行っている。
〔売上から回収までの業務に関わるシステム改善要望〕
関連部門から,売上から回収までの業務に関わる,次のようなシステム改善要望が出された。
① 営業事務部門と経理部門での伝票の受渡しをできるだけ減らせるようにシステムを改善してほしい。 ② 経理部門での仕訳伝票起票,入力などの事務処理工数を減らすために,販売管理システムと会計システムとの連携を強化してほしい。 ① これまで返品については,返品理由が曖昧なまま安易に返品を受け付け,処理されていたケースが多かった。今後は,顧客や配送業者との確認も含めて営業事務部門,出荷部門などの関連部門で返品理由を明らかにし,自社責任による返品か否かを明確化していきたい。 ② 自社責任による返品については,販売管理システムに新たに返品受付処理を設け,返品に伴う必要な処理をシステムで連携できるようにしてほしい。 ① 顧客からの支払通知書は,今は郵送されてきているが,その入手方法をシステムで対応できるように改善してほしい。 ② 支払通知書の内容と請求内容の照合をシステムで対応してほしい。 資金繰り強化及び売掛金の不良債権化予防の一環として,売掛金未回収のリスクを減らすための情報提供をシステムで行ってほしい。
〔改善後のシステムの内容〕
システム改善要望を踏まえ,情報システム部門で検討した改善後のシステムの内容は,次のとおりである。
出荷後の出荷伝票又は顧客検収後の検収書を販売管理システムに登録し,その実績データに基づき売上計上を行う。また,出荷実績は,販売管理システムの在庫管理に反映する。売上の情報は,会計システムに連携し,自動仕訳を行い,一般会計処理で関連する勘定科目に計上する。それによって,売上伝票を起票して経理部門に回付することは廃止する。また,経理部門での仕訳伝票の起票とその入力も廃止する。
返品については,販売管理システムに新たに返品受付の処理を設ける。ここで受け付ける返品は,自社責任が明確になった返品だけとする。売上の修正が必要な返品は,売上ファイルにその修正を反映し,会計システムにもその修正を連携して反映する。また,良品の返品の場合は,販売管理システムの在庫管理に反映する。
売上及び返品に関する処理の改善後のシステムフローを図 1 に示す。
図1 売上及び返品に関する処理の改善後のシステムフロー
大手顧客からの支払通知書に基づく請求については,顧客からの支払の対象となる支払明細データを事前に EDI で入手できるように顧客と調整する。その支払明細データと売上データとの照合処理を,毎月顧客ごとの締日を基準にして実施する。照合の結果,不一致が発生した場合は,人手で顧客との確認・調整を行い,確定結果をシステムに登録し,必要な売上データの修正を行う。
請求に関する処理の改善後のシステムフローを図 2 に示す。
図2 請求に関する処理の改善後のシステムフロー
売掛金管理において,新規の管理帳票として売掛金年齢表を作成する。売掛金年齢表は,売掛金の回収を促進し,不良債権化を未然に防止するための情報を提供する管理表であり,現時点の売掛金残高に対する回収が,顧客の売掛金の支払条件に応じた回収になっているか,回収が遅れている場合はいつの売上分の売掛金残高が幾ら未回収となっているかが出力されている。
売掛金年齢表の帳票イメージを図 3 に示す。売掛金年齢表に例示している,顧客 F 社,G 社,H 社の売掛金の支払条件は,3 社とも月末締め翌月末払いである。また,売掛金年齢表の作成は,月末入金による売掛金の消し込み処理の後に行うものとする。
図3 売掛金年齢表の帳票イメージ
出題趣旨(IPA)
業務の改善や変更によって,既存システムへの機能追加や機能改善が行われることが多い。システムアーキテクトには,業務の改善や変更の要件をシステム要件として定義していく能力が求められる。本問では,卸売業の販売管理システム及び会計システムを題材として,業務の改善や変更に対して,システムの機能要件を踏まえ,処理設計,入出力設計,システム間連携の設計などについて,具体的な記述を求めている。業務機能要件を正しく理解し,求められている情報システムを設計する能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問3では,商品の出荷後の売上から回収までの業務を例にとり,業務の改善や変更の要件について出題した。
システムアーキテクトとして,業務要件の内容を十分に理解した上で,入出力設計,処理設計,システム間のデータ連携の設計などが行えるように心掛けてほしい。
設問と解答例
設問1(1)
解答欄2つ
改善後のシステムで作成される出荷実績ファイルから,システムで自動的に売上ファイルに売上計上できるデータと,売上計上できないデータがある。それはどのようなデータか。それぞれ 15 字以内で述べよ。
解説
本文の根拠
〔現状の売上から回収までの業務と関連システムの概要〕(1) 売上業務
出荷した時点で売上を計上する(以下,出荷基準という)場合と,顧客からの検収書を入手した時点で売上を計上する(以下,検収基準という)場合の 2 通りがある。
〔改善後のシステムの内容〕(1) 売上及び返品に関する処理
出荷後の出荷伝票又は顧客検収後の検収書を販売管理システムに登録し,その実績データに基づき売上計上を行う。また,出荷実績は,販売管理システムの在庫管理に反映する。
図1 売上及び返品に関する処理の改善後のシステムフロー
出荷実績ファイルと検収実績ファイルは販売管理システム(売上計上)に入力され,売上ファイルを出力する。
出荷伝票は,売上計上の基準にかかわらず出荷した商品すべてについて登録される。出荷実績は在庫管理にも反映するので,検収基準の商品の出荷も出荷実績ファイルに入る。一方,売上を計上する時点は商品によって違い,出荷基準の商品は出荷した時点,検収基準の商品は顧客からの検収書を入手した時点である。
したがって,出荷実績ファイルのうち出荷基準の商品のデータは,そのまま売上ファイルに売上計上できる。検収基準の商品のデータは,出荷しただけではまだ売上にならないので計上できず,顧客検収後に検収書を登録した検収実績ファイルのデータで計上する。図 1 で売上計上の処理に出荷実績ファイルと検収実績ファイルの両方が入っているのはこのためである。講評は,出荷基準と検収基準での売上計上のタイミングが理解できていれば解答できたとしている。
それぞれ15字で「出荷基準の商品のデータ」「検収基準の商品のデータ」と書く。解答例はどちらも11字。
採点講評(IPA)
設問1は,(1),(2)ともに正答率は高かった。(1)は,出荷基準と検収基準での売上計上のタイミングが理解できていれば解答できたはずである。(2)では,勘定科目を二つ解答すべきところを一つだけ解答しているものが散見された。
設問1(2)
20字以内
改善後のシステムでの売上ファイルから会計システムへの連携において,自動仕訳後,会計システムの一般会計処理で行われる処理について,具体的な勘定科目名を挙げて 20 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔現状の売上から回収までの業務と関連システムの概要〕(1) 売上業務
売上伝票の控えが経理部門に回付され,経理部門で仕訳伝票を起票し,会計システムに入力して,売上勘定と売掛金勘定に計上している。
〔改善後のシステムの内容〕(1) 売上及び返品に関する処理
売上の情報は,会計システムに連携し,自動仕訳を行い,一般会計処理で関連する勘定科目に計上する。
現状では,経理部門が売上伝票の控えから仕訳伝票を起票して会計システムに入力し,売上勘定と売掛金勘定に計上している。改善後は,売上ファイルの情報を会計システムに連携して自動仕訳を行い,一般会計処理で関連する勘定科目に計上する。
自動化されるのは仕訳伝票の起票と入力であって,計上する勘定科目そのものは変わらない。“関連する勘定科目”は,現状の手作業で計上している売上勘定と売掛金勘定である。講評は,勘定科目を二つ解答すべきところを一つだけ解答しているものが散見されたとしている。
20字で,勘定科目名を二つとも挙げて「売上勘定と売掛金勘定への計上処理」と書く。解答例は16字。
採点講評(IPA)
設問1は,(1),(2)ともに正答率は高かった。(1)は,出荷基準と検収基準での売上計上のタイミングが理解できていれば解答できたはずである。(2)では,勘定科目を二つ解答すべきところを一つだけ解答しているものが散見された。
設問2(1)
解答欄2つ
改善後のシステムでの返品受付で入力された返品情報に基づき,販売管理システム又は会計システムで,三つの処理が行われる。一つは売上計上済商品の売上減算処理である。他の二つについて,それぞれ 20 字以内で述べよ。
〔備考〕①と②は順不同
解説
本文の根拠
〔改善後のシステムの内容〕(1) 売上及び返品に関する処理
売上の修正が必要な返品は,売上ファイルにその修正を反映し,会計システムにもその修正を連携して反映する。また,良品の返品の場合は,販売管理システムの在庫管理に反映する。
図1 売上及び返品に関する処理の改善後のシステムフロー
返品ファイルは会計システム(一般会計処理,売掛金管理)と販売管理システム(売上計上,在庫管理)に入力される。
〔現状の売上から回収までの業務と関連システムの概要〕(2) 返品業務
良品の返品は,倉庫在庫へ戻入れを行い,それ以外は廃棄などの処理を行う。
図 1 で,返品ファイルは販売管理システム(売上計上,在庫管理)と会計システム(一般会計処理,売掛金管理)に入力される。販売管理システムの売上計上で行うのが,設問が挙げている売上計上済商品の売上減算処理である。残りの二つは,会計システムの売掛金管理と,販売管理システムの在庫管理で行う処理になる。
売上を修正すれば,その売上で計上していた売掛金も減らさなければならないので,会計システムで売上計上済商品の売掛金を減算する。また,良品の返品は倉庫在庫へ戻入れを行うので,販売管理システムの在庫管理で良品の返品を在庫に加算する。廃棄などの処理をする良品以外の返品は在庫に戻らない。
それぞれ20字で,何を(売上計上済商品の売掛金,良品の返品)どうする(減算,在庫への加算)かを書く。解答例は15字と14字。
設問2(2)
20字以内
返品受付された返品データの中で,売上を修正する必要がないデータがある。どのようなデータか。20 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔現状の売上から回収までの業務と関連システムの概要〕(1) 売上業務
顧客からの検収書を入手した時点で売上を計上する(以下,検収基準という)
〔改善後のシステムの内容〕(1) 売上及び返品に関する処理
返品については,販売管理システムに新たに返品受付の処理を設ける。ここで受け付ける返品は,自社責任が明確になった返品だけとする。売上の修正が必要な返品は,売上ファイルにその修正を反映し
本文が“売上の修正が必要な返品は”と条件を付けていることから,返品受付の中には売上を修正しなくてよい返品がある。売上を修正する必要がないのは,まだ売上が計上されていない商品の返品である。
検収基準の商品は,顧客からの検収書を入手した時点で売上を計上するので,検収前に返品されれば売上は計上されていない。検収後であれば,顧客が検収した商品なので返品は発生しないか,発生しても自社責任の返品にはならず,返品受付の対象にならない。したがって,返品受付された返品データのうち検収基準で出荷した商品の返品データは,売上を修正する必要がない。講評によれば正答率が低かった。
20字で「検収基準」で出荷した商品の「返品データ」と書く。解答例は「検収基準での出荷商品の返品データ」で16字。
採点講評(IPA)
設問2(2)は,正答率が低かった。検収基準で出荷された商品の返品の場合,検収前はまだ売上が計上されていないので,売上修正の対象にはならない。また検収後の商品は,返品は発生しないか,発生したとしても自社責任の返品とはならず,返品受付処理の対象にはならない。このことを理解してほしかった。
設問3
20字以内
請求に関する処理の中で,顧客からの支払明細データと請求予定の売上データの照合において,照合対象となるお互いのデータが発生した期間について整合がとれている必要がある。その期間はいつからいつまでか。20 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔改善後のシステムの内容〕(2) 請求に関する処理
その支払明細データと売上データとの照合処理を,毎月顧客ごとの締日を基準にして実施する。
〔現状の売上から回収までの業務と関連システムの概要〕(3) 請求業務
顧客への毎月の請求は,指定請求先に対し,締日までの売上情報に基づき請求書を発行する場合と
〔現状の売上から回収までの業務と関連システムの概要〕(4) 入金業務
全ての顧客の支払条件は,締日の翌月末払いとなっている。
請求は毎月,締日までの売上情報に基づいて行い,支払は締日の翌月末である。1 回の請求・支払の対象になる売上は,前回の締日の翌日から今回の締日までに発生したものになる。
照合は毎月,顧客ごとの締日を基準に実施する。顧客の支払明細データが対象とする期間と,E 社が請求予定の売上データの期間とがずれていると,同じ取引が片方にしかなかったり,月をまたいで二重に数えられたりして,内容が正しくても不一致になる。したがって,どちらのデータも前月締日の翌日から今月締日までに発生したものにそろえる必要がある。
20字で,始まり(前月締日翌日)と終わり(今月締日)の両方を書く。解答例は14字。
設問4
解答欄2つ
図 3 中の売掛金年齢表において,F 社,G 社,H 社の中で,売掛金の回収に問題がない顧客はどの顧客か。顧客名を答えよ。また,問題がない理由を,顧客の支払条件を含めて 40 字以内で述べよ。
〔理由〕解答例
支払条件である月末締め翌月末払いのとおりで,支払の遅れがないから
解説
本文の根拠
〔改善後のシステムの内容〕(3) 売掛金管理に関する処理
顧客 F 社,G 社,H 社の売掛金の支払条件は,3 社とも月末締め翌月末払いである。また,売掛金年齢表の作成は,月末入金による売掛金の消し込み処理の後に行うものとする。
図3 売掛金年齢表の帳票イメージ
F社:残高合計 15,000,10月売上分 15,000,9月・8月・7月以前売上分は空欄。
図3 売掛金年齢表の帳票イメージ
G社:残高合計 10,000,10月売上分 8,000,9月売上分 2,000,8月・7月以前売上分は空欄。
売掛金年齢表は平成28年11月1日現在で,10月末の入金による消し込みの後に作る。支払条件は3社とも月末締め翌月末払いなので,10月売上分は11月末払いでまだ支払期日が来ておらず,残っていて当然である。9月売上分は10月末に支払われているはずなので,残っていれば回収が遅れている。
F 社は残高 15,000 千円がすべて 10 月売上分で,9 月以前の売上分は残っていない。G 社は 9 月売上分が 2,000 千円,H 社は 9 月・8 月・7 月以前の売上分が残っており,どちらも支払が遅れている。したがって回収に問題がないのは F 社だけである。講評は,“顧客の支払条件を含めて”と問うているにもかかわらず,支払条件を記述していない誤答が見られたとしている。
顧客名は「F社」。理由は40字で,支払条件「月末締め翌月末払い」のとおりで支払の遅れがないことを書く。解答例は32字。
採点講評(IPA)
設問4は,正答率が高かった。誤った解答としては,“顧客の支払条件を含めて”と問うているにもかかわらず,支払条件を記述していないものが見られた。
出典:平成28年度 秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4 生活支援ロボットシステムの開発
生活支援ロボットシステムの開発に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。
K 社は,生活支援ロボット及びそれを用いたシステムを開発し,製造・販売している。生活支援ロボットは,移動作業型,人間装着型及び搭乗型に分類されている。K 社では,物をつかむ,つかんだ状態で移動する,つかんだ物を離すという基本機能をもつ移動作業型ロボット(以下,従来ロボットという)を製品化している。K 社はこれまで,従来ロボットを用いて生活支援ロボットシステム(以下,従来システムという)を構成し,販売してきた。
近年,少子高齢化社会の到来が問題となってきており,高齢者世帯における生活支援の要求が高まっている。また,共働き世帯及び単身生活者の増加によって,一般家庭でも不在時の配達物受取りなどの生活支援の要求が高まっている。K 社は,生活支援機能を充実させ,他社との差別化を図ることによって,移動作業型の生活支援ロボットの需要が更に見込まれると考え,新たな機能を追加した生活支援ロボットシステム(以下,新システムという)を開発することにした。
〔従来システムの概要〕
K 社の従来ロボットは,基本機能以外に,タッチパネル付きディスプレイ,カメラ,マイク,スピーカ及び音声認識機能による人とのコミュニケーション能力を備え,人が生活する場所で生活支援の機能を果たすことができる。また,無線 LAN 通信機能も備え,無線 LAN アクセスポイントを介してデータ通信が可能である。
K 社がこれまでに開発した生活支援機能は,従来ロボットと,LAN,無線 LAN アクセスポイント及びサーバで構成された従来システムが実現している。サーバは,システム管理,利用者の認証などを行う。従来システムの構成を図 1 に,従来システムが実現している生活支援機能を表 1 に示す。
図1 従来システムの構成
表1 従来システムが実現している生活支援機能
〔新システムに対する利用者の要望〕
新システムの開発は,K 社のシステムアーキテクトである L 氏が担当することになった。L 氏は開発に当たって,これまでに従来システムに対して利用者から寄せられた要望のうち,新たな機能追加の対象となる要望を次のとおりまとめた。
① 外出中の居住者,又は別居している家族,知人が,ロボットを遠隔操縦できるようにしてほしい。 ② 単に物を運ぶだけでなく,日用品の在庫管理もしてほしい。 ③ 室内の備品,収納品などが,通常と違う場所に移動又は放置されたとき,それらを元の場所に戻せるようにしてほしい。 ④ 留守中に配達物を受け取れるようにしてほしい。また,受け取った配達物が在庫管理対象品の場合,在庫管理に反映できるようにしてほしい。 〔新システムの開発目標〕
L 氏は,利用者の要望を考慮して,新システムの開発目標について検討し,次のとおり定めた。
① インターネットを介して,遠隔操縦できるようにする。 ② あらかじめ在庫管理対象と定めた日用品を,専用収納ボックスのトレイ単位で在庫管理できるようにする。 ③ 片付けの指示があったとき,通常と違う場所に移動又は放置されている物を識別し,元の場所に戻せるようにする。 ④ 事前に連絡があった配達物を,受け取れるようにする。配達物が在庫管理対象品の場合は,受取りが在庫管理に反映できるようにする。 新システムへの追加機能を表 2 に示す。
表2 新システムへの追加機能
〔新システムの構成〕
L 氏は,新システムの構成を次のとおりまとめた。
① 従来ロボットに新たな機能を追加した移動作業型ロボット(以下,新ロボットという)と,サーバ,専用収納ボックスで構成し,これらを LAN,無線 LAN で接続してデータ通信を行えるようにする。また,配達物受入所の扉の錠,テレビドアホンなどを無線 LAN で接続する。 ② 新ロボットには,遠隔操縦のためのデータ送受信機能と遠隔操縦用カメラを追加する。 ③ 遠隔操縦に用いるモバイル端末を用意し,インターネット経由でサーバと通信できるようにする。操縦者の顔画像・音声をサーバに送信し,新ロボットのカメラ映像とマイクからの音声をサーバ経由で受信する。 ④ サーバには,新ロボット及びテレビドアホンからの映像の処理,居住者・操縦者・訪問者の顔認証,電子メールの送受信,在庫管理などの機能を追加する。 新システムの構成を図 2 に,新ロボットの各部の機能を表 3 に示す。
図2 新システムの構成
表3 新ロボットの各部の機能
〔新システムの追加機能の検討結果〕
L 氏は,新システムの追加機能を検討し,結果を次のとおり整理した。
遠隔操縦時には,セキュリティの観点から操縦要求者の顔認証をサーバで行う。また,操縦中も 1 分ごとに顔認証を行う。さらに,サーバで顔認証によって居住者かどうかを判断できるようにする。
居住者の在宅時の遠隔操縦は,操縦の輻輳を避けるため居住者の承諾を得てから行う。新ロボットは,赤外線センサ及びカメラ映像から近くに人がいることを確認した場合,サーバにカメラ映像を送信する。サーバは居住者かどうかの認証を行い,居住者と判断できたら,新ロボットが音声で居住者にa ,返事を聞く。居住者に拒否された場合,新ロボットは,その旨を操縦要求者に返信する。居住者の不在時は,操縦要求者が認証できたら操縦可能とする。
遠隔操縦は,新ロボットの遠隔操縦用カメラからの映像とマイクからの音声を見聞きしながら行う。新ロボットを移動させたり,アームを動かしたりする操縦指示は,モバイル端末を介して音声で行う。対象を特定して見る場合は,モバイル端末の画面を向けた方向に遠隔操縦用カメラが向くように制御する。
在庫管理は,在庫管理対象品を,あらかじめサーバの在庫管理マスタに登録し,専用収納ボックスのトレイに 1 品目ずつ保管する。トレイには識別コードのラベルを貼付し,専用収納ボックスの収納位置及びトレイ自体の重量も特定できるようにしておく。新ロボットは,専用収納ボックスからトレイを引き出したとき,及び収納するときに,トレイを含む重量を量り,そのデータをサーバに送信する。そのために,専用収納ボックスの近くに電子はかりを用意する。入庫時は,新ロボットが在庫管理対象品を 1 個ずつトレイに移し,入庫数をカウントする。
サーバは受信したデータから在庫数を算出し,更新する。在庫数が定められた数量以下となった場合は,アラーム“在庫僅か”を出力し,補充を求める。
片付ける対象は,重さなどの制約から室内の家具などは除外し,床面に放置された器具,置物などに限定する。対象物の保管場所をあらかじめ定めておき,形状などを新ロボットに認識・記憶させておく。新ロボットは,片付け指示を受けると,近くの床面から順次,探索し,置かれている物を判別する。保管場所から移動又は放置された物と判別した場合,新ロボットは,記憶している保管場所に戻し,判別できない場合は,不明品保管場所に運ぶ。
定期的な配達物,及び事前に電子メールで連絡があった配達物は,人を介さずに受け取れるようにする。テレビドアホンの映像をサーバに取り込み,定期的な配達物の場合は配達人の認証を行い,事前に連絡があった配達物は伝票番号と照合する。認証又は照合ができれば配達物受入所の扉を開錠し,配達物受入所に置くよう案内する。新ロボットは,ステレオカメラで撮影した配達物の映像をサーバに送信する。
サーバは,受け取った配達物が在庫管理対象品であることを確認した場合,新ロボットに対し,開封し,b するよう指示する。
出題趣旨(IPA)
生活支援ロボットの機能が向上し,様々な分野で利用が拡大しつつある。本問では,家庭内で移動しながら作業を行う生活支援ロボットを用いたシステムを題材として,システムアーキテクチャの決定,機能仕様の検討及び策定について,具体的な記述を求めている。移動型の生活支援ロボットを用いたシステムの開発という観点から,機能性,確実性,安全対策などの条件を考慮した機能仕様を策定するという,システムアーキテクトとしての能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問4では,生活支援ロボットシステムを例にとり,システムアーキテクチャの決定,機能仕様の策定について出題した。全体として正答率は高かった。
システムアーキテクトとして,システム要件をよく理解して,機能仕様を策定するように心掛けてほしい。
設問と解答例
設問1(1)
解答欄1つ
本文中のa に入れる適切な字句を答えよ。
解説
本文の根拠
〔新システムの追加機能の検討結果〕① 遠隔操縦機能
居住者の在宅時の遠隔操縦は,操縦の輻輳を避けるため居住者の承諾を得てから行う。
〔新システムの追加機能の検討結果〕① 遠隔操縦機能
居住者と判断できたら,新ロボットが音声で居住者にa ,返事を聞く。居住者に拒否された場合,新ロボットは,その旨を操縦要求者に返信する。
居住者が在宅しているときの遠隔操縦は,操縦の輻輳を避けるため,居住者の承諾を得てから行う決まりである。空欄 a の文は,新ロボットが近くの人を居住者と判断した後の手順で,この承諾を得る場面に当たる。
空欄の後は“返事を聞く”,さらに“居住者に拒否された場合”と続くので,新ロボットは音声で居住者に遠隔操縦を受け入れてよいかを尋ね,諾否の返事を待つことになる。したがって a には「承諾を求め」が入る。
“返事を聞く”につながるよう,連用形で「承諾を求め」と書く。本文の“承諾を得て”の語を使うとよい。
設問1(2)
40字以内
遠隔操縦中に,1 分ごとに顔認証を行う理由は何か。40 字以内で述べよ。
解答例
遠隔操縦者がモバイル端末から離れたときに,他人に操縦されることを防ぎたいから
解説
本文の根拠
〔新システムの追加機能の検討結果〕① 遠隔操縦機能
遠隔操縦時には,セキュリティの観点から操縦要求者の顔認証をサーバで行う。また,操縦中も 1 分ごとに顔認証を行う。
〔新システムの構成〕③
遠隔操縦に用いるモバイル端末を用意し,インターネット経由でサーバと通信できるようにする。操縦者の顔画像・音声をサーバに送信し
遠隔操縦を始めるときには,セキュリティの観点から操縦要求者の顔認証を行う。しかし,認証が済んだ後にモバイル端末を操作している人が入れ替わっても,開始時の認証だけでは気付けない。
モバイル端末は操縦者の顔画像をサーバに送り続けているので,操縦中も 1 分ごとに顔認証を行えば,認証された操縦者がモバイル端末から離れ,他人が操作している状態を検知できる。遠隔操縦ではロボットが住宅の中を動き回り,カメラで室内を見られるので,認証されていない他人に操縦されることを防ぐ必要がある。
40字で「遠隔操縦者がモバイル端末から離れたとき」と「他人に操縦されることを防ぐ」の両方を書く。解答例は38字。
設問2(1)
35字以内
トレイ内の在庫数量をカウントするために電子はかりを用いる。入庫数をカウントした後,トレイの在庫管理対象品 1 個当たりの重量を求める場合の算出方法を,35 字以内で述べよ。
解答例
トレイの収納時と引出し時の重量の差を求め,入庫数で割る。
解説
本文の根拠
〔新システムの追加機能の検討結果〕② 在庫管理機能
新ロボットは,専用収納ボックスからトレイを引き出したとき,及び収納するときに,トレイを含む重量を量り,そのデータをサーバに送信する。
〔新システムの追加機能の検討結果〕② 在庫管理機能
入庫時は,新ロボットが在庫管理対象品を 1 個ずつトレイに移し,入庫数をカウントする。
新ロボットは,トレイを引き出したときと収納するときに,トレイを含む重量を量ってサーバに送る。入庫では,トレイを引き出し,在庫管理対象品を 1 個ずつトレイに移して入庫数をカウントし,トレイを収納する。
引き出したときの重量には入庫前の品物が,収納するときの重量には入庫後の品物が含まれる。両者の差は,今回入庫した品物の重量の合計である。これを入庫数で割れば 1 個当たりの重量が求まる。トレイ自体の重量は差を取ると消えるので,別に引く必要はない。1 個当たりの重量が分かれば,以後はトレイの重量から在庫数を算出できる。
35字で「収納時と引出し時の重量の差」を求め「入庫数で割る」と書く。解答例は28字。
設問2(2)
35字以内
電子メールで送られてきた伝票番号と,配達物に貼付された伝票番号との照合を,新ロボットではなくサーバで行わせる。その理由を,35 字以内で述べよ。
解答例
伝票番号がサーバにあり,テレビドアホンの映像の処理も行うから
解説
本文の根拠
〔新システムの追加機能の検討結果〕④ 配達物受取機能
テレビドアホンの映像をサーバに取り込み,定期的な配達物の場合は配達人の認証を行い,事前に連絡があった配達物は伝票番号と照合する。
〔新システムの構成〕④
サーバには,新ロボット及びテレビドアホンからの映像の処理,居住者・操縦者・訪問者の顔認証,電子メールの送受信,在庫管理などの機能を追加する。
照合に使う一方の伝票番号は,事前に電子メールで送られてくる。電子メールの送受信はサーバの機能なので,伝票番号はサーバにある。もう一方の,配達物に貼付された伝票番号は,テレビドアホンの映像から読み取る。テレビドアホンの映像はサーバに取り込み,映像の処理もサーバで行う。
照合に必要なデータも処理も両方サーバにそろっているので,サーバで照合すれば新ロボットにデータを送る必要がない。しかも照合は配達物受入所の扉を開錠する前,配達物がまだ扉の外にある段階で行うので,新ロボットの出番はない。講評は,データ照合をサーバで行う理由の正答率が低く,システムの要件及び構成を十分把握したうえで解答してほしかったとしている。
35字で「伝票番号がサーバにある」ことと「テレビドアホンの映像の処理」もサーバで行うことの両方を書く。解答例は30字。
採点講評(IPA)
設問2(2)では,データ照合をサーバで行う理由を問うたが,正答率が低かった。システムの要件及び構成を十分把握した上で解答してもらいたかった。
設問2(3)
解答欄1つ
本文中のb に入れる適切な字句を答えよ。
解説
本文の根拠
〔新システムの追加機能の検討結果〕④ 配達物受取機能
サーバは,受け取った配達物が在庫管理対象品であることを確認した場合,新ロボットに対し,開封し,b するよう指示する。
〔新システムの追加機能の検討結果〕② 在庫管理機能
入庫時は,新ロボットが在庫管理対象品を 1 個ずつトレイに移し,入庫数をカウントする。
〔新システムの開発目標〕④
配達物が在庫管理対象品の場合は,受取りが在庫管理に反映できるようにする。
受け取った配達物が在庫管理対象品なら,受取りを在庫管理に反映させる必要がある。在庫管理では,在庫管理対象品を専用収納ボックスのトレイに 1 品目ずつ保管し,入庫時は新ロボットが対象品を 1 個ずつトレイに移して入庫数をカウントする。
配達物を在庫に反映するには,開封した中身をこの入庫の手順に乗せればよい。したがって b には,新ロボットの動作として「トレイに移替え」が入る。講評は,“在庫管理”との誤答が散見されたが,ロボットは対象品をトレイに移し,入庫数をカウントすることを問題文から読み取ってほしかったとしている。在庫管理は目的で,指示するのはロボットの具体的な動作である。
“するよう指示する”につながるよう,「トレイに移替え」と書く。
採点講評(IPA)
設問2(3)では,受け取った配達物が在庫管理対象品の場合に,サーバがロボットに指示する動作を問うた。“在庫管理”との誤った解答が散見されたが,ロボットは対象品をトレイに移し,入庫数をカウントすることを問題文から読み取ってほしかった。
設問3(1)
片付け機能で,床面に置かれている物を判別するときに用いる,新ロボットのカメラ以外のものを表 3 中の項目名で答えよ。
解答例
解説
本文の根拠
表3 対象物の形状認識・把持制御部
物の 3 次元形状を認識し,アームと二指ハンドの動かし方を判断してつかむ。認識した形状及びつかみ方を記憶し,以後,同じ物かどうかを判断する。
〔新システムの追加機能の検討結果〕③ 片付け機能
対象物の保管場所をあらかじめ定めておき,形状などを新ロボットに認識・記憶させておく。新ロボットは,片付け指示を受けると,近くの床面から順次,探索し,置かれている物を判別する。
片付け機能では,対象物の形状などをあらかじめ新ロボットに認識・記憶させておき,床面に置かれている物を探索して判別する。判別には,物の形を捉えることと,記憶した物と同じかどうかを判断することが必要になる。
表 3 のうち,物の 3 次元形状を認識し,認識した形状を記憶して,以後同じ物かどうかを判断するのは“対象物の形状認識・把持制御部”である。形を撮影するのはステレオカメラだが,設問はカメラ以外を問うているので除く。
項目名は表 3 の表記どおり「対象物の形状認識・把持制御部」と書く。
設問3(2)
解答欄2つ
片付け機能の実行中に,同一形状の物が複数あった場合に問題が生じる。想定される問題とその対策を,それぞれ 20 字以内で述べよ。
解説
本文の根拠
〔新システムの追加機能の検討結果〕③ 片付け機能
保管場所から移動又は放置された物と判別した場合,新ロボットは,記憶している保管場所に戻し,判別できない場合は,不明品保管場所に運ぶ。
表3 対象物の形状認識・把持制御部
認識した形状及びつかみ方を記憶し,以後,同じ物かどうかを判断する。
〔新システムの追加機能の検討結果〕② 在庫管理機能
トレイには識別コードのラベルを貼付し,専用収納ボックスの収納位置及びトレイ自体の重量も特定できるようにしておく。
新ロボットは形状で物を判別し,その物について記憶している保管場所に戻す。同じ形状の物が複数あり,それぞれ保管場所が違うと,形状だけではどれがどれか区別できない。その結果,別の物の保管場所に戻す,つまり保管場所を取り違えることになる。
対策は,形状以外で個々の物を見分けられるようにすることである。在庫管理機能でトレイに識別コードのラベルを貼付して個々のトレイを特定しているのと同じように,対象物に識別マークを付けておけば,同一形状でも区別して正しい保管場所に戻せる。
それぞれ20字で,問題は「区別できずに保管場所を取り違える」,対策は「識別マークを付ける」と書く。解答例は17字と14字。
設問4
30字以内
〔新システムの追加機能の検討結果〕について,配達物受取機能実施中は,遠隔操縦機能を受け付けないようにした。その理由を 30 字以内で述べよ。
解答例
新ロボットが実行中の配達物受取りが中断してしまうから
解説
本文の根拠
〔新システムの追加機能の検討結果〕④ 配達物受取機能
定期的な配達物,及び事前に電子メールで連絡があった配達物は,人を介さずに受け取れるようにする。
〔新システムの追加機能の検討結果〕④ 配達物受取機能
新ロボットは,ステレオカメラで撮影した配達物の映像をサーバに送信する。
〔新システムの追加機能の検討結果〕① 遠隔操縦機能
居住者の不在時は,操縦要求者が認証できたら操縦可能とする。
配達物受取機能は,人を介さずに配達物を受け取る機能で,新ロボットが配達物を撮影してサーバに送り,在庫管理対象品なら開封してトレイに移し替えるところまで行う。居住者が不在でも動くので,受取りの最中に遠隔操縦の要求が来ることがある。
居住者の不在時は,操縦要求者が認証できれば承諾なしで操縦可能になる。受取りの実行中に遠隔操縦を受け付けると,新ロボットは操縦者の指示で動き出し,実行中の配達物の受取りが途中で中断してしまう。これを防ぐため,受取中は遠隔操縦を受け付けない。講評は,理由ではなく表面的な事象を述べた解答が散見されたとし,そのような処理を行わない場合にどのような不具合が生じるかを考えてほしかったとしている。
30字で,受け付けた場合の不具合として「実行中の配達物受取りが中断してしまう」ことを書く。解答例は26字。
採点講評(IPA)
設問4では,配達物受取機能実施中に,遠隔操縦機能を受け付けないようにした理由を問うた。理由ではなく,表面的な事象を述べた解答が散見されたが,そのような処理を行わない場合,どのような不具合が生じるかを考えた上で解答してほしかった。
出典:平成28年度 秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問4(表記を一部改変)
ほかの年度
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 春期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 春期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 春期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 特別試験 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 春期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅰ
平成27年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 春期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 春期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 春期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 特別試験 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 春期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅰ