平成29年度 秋期に実施されたITストラテジスト試験
午後Ⅰの全4問(記述式)です。事例本文・設問・解答例と解説をそのまま読めます。
この試験について:ITストラテジスト試験について
この年度を解いてみる
問1 大型機器製造業における IoT を活用したビジネスモデル構築
大型機器製造業における IoT を活用したビジネスモデル構築に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
A 社は,輸送用,生産用の大型機器・車両(以下,製品という)の製造を得意とする製造業であり,個別受注生産方式で,製品の設計,調達,製造,保守・整備を行っている。
A 社の今年度の業績は,売上げが目標を達成できず,利益も前年度を下回っている。この状況を打開するために,A 社の経営層は,新年度の経営計画において,次の柱を決めた。
サービス事業拡大による売上げ増加 業務プロセスの見直しによる固定費の削減 また,関係各部の部長で構成する事業改革推進チーム(以下,推進チームという)を組織し,活動を開始した。
〔A 社の課題〕
推進チームは,A 社の各部の課題を洗い出すところからスタートした。
A 社は,営業部,設計部,製造部,研究部,エンジニアリングサービス部(以下,ES 部という)及び本社部門で構成されている。各部の課題は次のとおりである。
受注確保のために顧客からの新機能や機能改善の要求をできる限り受けている。一方で,その要求を実現するために設計・製造のリードタイムが長くなってしまい,顧客から納期遅延のクレームを受けることも多い。顧客からの引き合い時に,対応可能な納期を提示できれば,このようなクレームもなくなり,顧客の満足度を高めることができると考えている。
製品の型式ごとに専任の技術者を置いている。それぞれの技術者が多忙であり,製品の型式間で部品の標準化や共通化の取組みが進んでいない。顧客から機能の変更要求があった場合,ベースとなる製品の型式を基に,仕様を変更して派生モデルを設計することがある。派生モデルもその都度専任の技術者が設計しているので,全社で見ると,同じような部品を重複して設計してしまうことがある。
営業部が受けた顧客からの新機能や機能改善の要求についても,技術者の余裕がなく,設計部として迅速に対応できていない。
納期遵守のために,加工機械の稼働率は高い。製造部の要員も超過勤務で業務をこなすことが多く,原価を押し上げる原因となっている。複数の製品を並行して製造する場合,ある工程で製品ごとに必要な工数を累積した工数が稼働可能な要員の総工数を超えてしまい,全体の納期を遅らせる工程(以下,ボトルネック工程という)が発生し,製造の計画を変更せざるを得ないことがある。ボトルネック工程は,製品の組合せによって変動するので,どこで発生するか予測することが難しく,要員を効率よく配置できず,顧客に約束した納期が遅延する大きな要因となっている。
最近では,IoT に関する技術の発展で,個々の機器の制御情報や稼働状況の情報(以下,機器情報という)を長期間保存できる機器が開発され,そこから通信回線を介して収集し,時系列データとして蓄積できるようになっている。また,その時系列データと他のデータを組み合わせてビッグデータ解析を行い,様々な切り口で相関関係を把握して,製品で発生した障害の原因を推定する AI を活用したソフトウェアパッケージも出回っている。研究部では,専任のデータアナリストを育成し,ビッグデータの活用方法を探っている。この試みの一環として,製品の機器情報を保存して送信できる組込みユニット(以下,ユニットという)を開発した。今後,どの製品にこのユニットが適用可能かどうかを見極めた上で,できるだけ多くの製品にこのユニットを組み込み,顧客に納入することにした。
顧客に製品を納入した後の,顧客ごとの製品の保守・修理は,ES 部が担当している。ES 部は,A 社の全ての製品について,全国の MRO(Maintenance, Repair and Overhaul:整備,修理,分解点検)を担当している。ES 部は,顧客からの利用上の問合せに迅速に対応したり,障害発生時の運転や整備の履歴の調査結果を基に運転や整備に対する改善提案をしたりしており,顧客に密着した高い品質のサービスを提供することで業界での評判も高い。最近では,他社製品への対応を有償で依頼されることも増えてきている。その結果として MRO に関して豊富な事例をもち,製品で発生した障害と,その時点での運転や整備の履歴との関係や,製品の型式ごとの障害の特徴などをナレッジシステムとして保有している。
ES 部としては,顧客が継続的に記録してきた,製品の運転や整備の履歴情報を得ることができれば,自社でもつナレッジシステムの情報と組み合わせて分析ができ,障害に関するノウハウをより高めることができると考えている。また,研究部で開発したユニットを多くの顧客の製品に組み込んでもらい,機器情報を継続的に入手し,障害のノウハウを適用できれば,予防的な MRO の提案が可能になると考えている。顧客の協力のもとで,このような情報の活用ができれば,顧客にとっては,機器の障害による業務の停止を防止するというメリットを得ることができると考えている。
〔顧客の状況〕
推進チームは,顧客の要求を把握するために,A 社の大口顧客である P 社からヒアリングを行った。
P 社は歴史がある大手輸送業であり,A 社の製品を中心に,多くの大型車両を保有して全国で事業を展開している。P 社の整備部門は,P 社が保有する大型車両の整備を担当している。P 社として修理や交換が必要になった場合は,A 社の車両であれば A 社に依頼する。
近年,P 社の整備部門への新規要員の採用が難しく,技術者の高齢化と作業負荷の増大という問題を抱えている。熟練社員の退職も多く,整備業務全体を管理できる要員も少なくなっている。
このような状況を受け,P 社は緊急課題として,整備部門を縮小しつつも,大型車両の運用を継続できる施策の検討を開始した。また,この検討に加え,長期的な検討課題として,保有する車両の障害による業務の停止を防ぎ,より効率的かつ安定的に運用することを可能にする施策についても検討する必要があると考えている。
〔業務プロセスの見直し〕
推進チームは,まず,業務プロセスの見直しから着手することにした。
情報システムの整備の一環として,過去に実際に顧客へ納入した全製品の仕様,部品構成,派生モデルの有無とその仕様などのデータベース(以下,製品 DB という)の整備を実施した。
その上で,推進チームは,設計部に対して,製品の設計完了段階で,①原価低減を主眼とした設計レビュー(以下,DR という)の徹底を指示した 。また,原価低減以外の観点での課題にも対応するために,②営業部の担当者と研究部の担当者も交えて DR を行い,それぞれの部門の視点からのレビューも併せて行うこととした 。
推進チームは,製造部に対して,整備した製品 DB を利用し,製品ごとに,製造の工程ごとに必要となる標準工数を算出するよう指示した。その上で,③複数の製品を受注した場合に,工程ごとに累積工数を算出するように指示した 。また,稼働可能な要員の配置計画と,製品の納品までの日程計画を対比できるようにした上で,④営業部と定例的なミーティングを実施することを指示した 。
〔サービス事業拡大〕
次に,推進チームは,サービス事業拡大を目指して,IoT を活用した新ビジネスモデルを企画することにした。
そのためには,顧客の課題を実際に解決する方策を顧客と共同で検討することが有効だと考え,大口顧客の P 社に対して,緊急課題への対応として,⑤A 社の強みを生かしたあるサービスについて,共同で実証検討を開始する提案を行った 。P 社としても,自社だけでは実現できないと考えていたところであり,共同での検討を進めることに合意した。
さらに,推進チームは,P 社の長期的な検討課題に対応するために,⑥P 社に対して,ある協力依頼をすることにした 。
出題趣旨(IPA)
ITストラテジストには,顧客のニーズ,技術の動向を的確につかみ,自社のリソース,技術力の課題などと照らし合わせて,自社の戦略に対する最適な方針を設定し,それを具体的な施策に落とし込む能力が求められる。本問では,大型機器製造業におけるIoTを活用したビジネスモデル構築を題材として,組織内の各部門に存在する課題を統合して解決を図る課題解決力を評価する。具体的には,業務プロセスの分析能力と新たなプロセスの設計能力,顧客の課題に対応した提案能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問1では,大型機器製造業におけるIoTを活用したビジネスモデル構築について出題した。題意や状況設定は,おおむね理解されているようであった。
ITストラテジストは,顧客のニーズを的確につかみ,自社の強みなどと照らし合わせて,具体的な施策に落とし込む能力を高めてほしい。
設問と解答例
設問1(1)
30字以内
本文中の下線①の原価低減を主眼とした DR のポイントについて,30 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔A 社の課題〕設計部
製品の型式ごとに専任の技術者を置いている。それぞれの技術者が多忙であり,製品の型式間で部品の標準化や共通化の取組みが進んでいない。
〔A 社の課題〕設計部
派生モデルもその都度専任の技術者が設計しているので,全社で見ると,同じような部品を重複して設計してしまうことがある。
〔業務プロセスの見直し〕
情報システムの整備の一環として,過去に実際に顧客へ納入した全製品の仕様,部品構成,派生モデルの有無とその仕様などのデータベース(以下,製品 DB という)の整備を実施した。
設計部の課題は,型式ごとの専任の技術者が多忙で「部品の標準化や共通化の取組みが進んでいない」ことと,派生モデルもその都度設計するので「同じような部品を重複して設計してしまう」ことである。部品を型式ごとに別々に設計すれば,設計の工数も調達・製造の単価も増え,原価を押し上げる。
推進チームは先に,全製品の仕様と部品構成,派生モデルの有無とその仕様を収めた製品 DB を整備した。設計完了段階の DR でこれを参照すれば,新しく設計した部品が既存の部品と重複していないか,標準部品や共通部品を使えているかを確かめられる。原価低減を主眼とした DR のポイントは,設計部の課題として書かれている標準化・共通化が設計に徹底されているかどうかである。
30字に対し,解答例は「部品の標準化や共通化の取組みが徹底されていること」で24字。本文の「部品の標準化や共通化の取組み」をそのまま使い,DR で確かめる点なので「徹底されていること」と状態で結ぶ。
設問1(2)
解答欄2つ
本文中の下線②で,営業部の担当者と研究部の担当者に求められている役割について,それぞれ 35 字以内で述べよ。
〔営業部〕解答例
顧客からの新機能や機能改善の要求を満たしているかを確認すること
解説
本文の根拠
〔A 社の課題〕営業部
受注確保のために顧客からの新機能や機能改善の要求をできる限り受けている。
〔A 社の課題〕設計部
営業部が受けた顧客からの新機能や機能改善の要求についても,技術者の余裕がなく,設計部として迅速に対応できていない。
〔A 社の課題〕研究部
今後,どの製品にこのユニットが適用可能かどうかを見極めた上で,できるだけ多くの製品にこのユニットを組み込み,顧客に納入することにした。
〔業務プロセスの見直し〕
また,原価低減以外の観点での課題にも対応するために,②営業部の担当者と研究部の担当者も交えて DR を行い,それぞれの部門の視点からのレビューも併せて行うこととした。
下線②は,原価低減以外の観点での課題に対応するため,営業部と研究部の担当者がそれぞれの部門の視点からレビューするというものである。そこで,各部門が設計に対して何を求めているかを〔A 社の課題〕から拾う。営業部は顧客からの新機能や機能改善の要求をできる限り受けているが,設計部は技術者の余裕がなく迅速に対応できていない。研究部は,どの製品にユニットが適用可能かを見極めた上で,できるだけ多くの製品に組み込むことにしている。
したがって,営業部の担当者の役割は,設計が顧客からの新機能や機能改善の要求を満たしているかを確認すること,研究部の担当者の役割は,その製品にユニットが適用可能かどうかを見極めることになる。講評によると,営業部について「顧客の要求を設計部に伝える」という解答が多かった。DR は設計完了段階のレビューなので,要求を伝える場ではなく,要求が設計に反映されていることを確認する場である。
35字ずつに対し,解答例は営業部が「顧客からの新機能や機能改善の要求を満たしているかを確認すること」で31字,研究部が「製品にユニットが適用可能かどうかを見極めること」で23字。どちらも本文の語句を使い,レビューでの役割なので「確認すること」「見極めること」で結ぶ。
採点講評(IPA)
設問1(2)営業部の担当者の役割では,“顧客の要求を設計部に伝える”という解答が多かった。設問1(2)は,設計レビューについて問うており,事前に種々協議・調整してきたことが,設計に適切に反映されていることを“確認”することが目的であることを理解してほしかった。
設問1(3)
20字以内
本文中の下線③で,工程ごとに累積工数を算出するよう指示した狙いについて,20 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔A 社の課題〕製造部
複数の製品を並行して製造する場合,ある工程で製品ごとに必要な工数を累積した工数が稼働可能な要員の総工数を超えてしまい,全体の納期を遅らせる工程(以下,ボトルネック工程という)が発生し,製造の計画を変更せざるを得ないことがある。
〔A 社の課題〕製造部
ボトルネック工程は,製品の組合せによって変動するので,どこで発生するか予測することが難しく,要員を効率よく配置できず,顧客に約束した納期が遅延する大きな要因となっている。
〔業務プロセスの見直し〕
③複数の製品を受注した場合に,工程ごとに累積工数を算出するように指示した。
本文はボトルネック工程を「ある工程で製品ごとに必要な工数を累積した工数が稼働可能な要員の総工数を超えてしまい,全体の納期を遅らせる工程」と定義している。製造部の課題は,ボトルネック工程が製品の組合せによって変動するので,どこで発生するかを予測できないことである。
製品 DB から製品ごとに工程別の標準工数を算出しておけば,複数の製品を受注したときに工程ごとの累積工数を計算できる。これを稼働可能な要員の総工数と比べれば,どの工程が超えるか,つまりボトルネック工程がどこで発生するかを受注の時点で予測できる。予測できれば要員を前もって配置でき,納期遅延を防げる。累積工数はボトルネック工程の定義そのものに使われている量なので,狙いはその予測になる。
20字に対し,解答例は「ボトルネック工程を予測するため」で15字。本文の「どこで発生するか予測することが難しく」の裏返しとして「予測する」を使い,狙いなので「〜ため」で結ぶ。
設問1(4)
25字以内
本文中の下線④の営業部との定例的なミーティングで協議すべき内容について,25 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔A 社の課題〕営業部
顧客からの引き合い時に,対応可能な納期を提示できれば,このようなクレームもなくなり,顧客の満足度を高めることができると考えている。
〔業務プロセスの見直し〕
また,稼働可能な要員の配置計画と,製品の納品までの日程計画を対比できるようにした上で,④営業部と定例的なミーティングを実施することを指示した。
営業部の課題は,顧客の要求を受けることで設計・製造のリードタイムが長くなり,納期遅延のクレームを受けることである。営業部は「顧客からの引き合い時に,対応可能な納期を提示できれば」クレームがなくなり,顧客満足度を高められると考えている。
製造部は,累積工数と稼働可能な要員の配置計画,製品の納品までの日程計画を対比できるようにした。これで製造の余力と納品の見通しが分かるので,営業部とのミーティングでは,引き合いの段階で顧客に提示できる対応可能な納期を協議すればよい。製造部の準備(配置計画と日程計画の対比)と営業部の課題(対応可能な納期の提示)を結び付ける。
25字に対し,解答例は「顧客に対して提示できる対応可能な納期」で18字。本文の「対応可能な納期」をそのまま使い,誰に向けたものか(顧客に対して提示できる)を添える。
設問2(1)
30字以内
本文中の下線⑤の,A 社の強みを生かしたあるサービスについて共同で実証検討を開始する提案の内容について,30 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔A 社の課題〕ES 部
ES 部は,A 社の全ての製品について,全国の MRO(Maintenance, Repair and Overhaul:整備,修理,分解点検)を担当している。
〔A 社の課題〕ES 部
顧客に密着した高い品質のサービスを提供することで業界での評判も高い。最近では,他社製品への対応を有償で依頼されることも増えてきている。
〔顧客の状況〕
近年,P 社の整備部門への新規要員の採用が難しく,技術者の高齢化と作業負荷の増大という問題を抱えている。熟練社員の退職も多く,整備業務全体を管理できる要員も少なくなっている。
〔顧客の状況〕
このような状況を受け,P 社は緊急課題として,整備部門を縮小しつつも,大型車両の運用を継続できる施策の検討を開始した。
下線⑤は,P 社の「緊急課題への対応として」の提案である。P 社の緊急課題は,新規要員の採用が難しく熟練社員の退職も多い中で,整備部門を縮小しつつも大型車両の運用を継続できる施策である。整備部門を縮小すれば,その分の整備業務を誰かが担わなければならない。
A 社の強みは ES 部にある。ES 部は A 社の全製品について全国の MRO(整備,修理,分解点検)を担当し,高い品質のサービスで業界の評判も高く,他社製品への対応も有償で依頼されている。そこで,P 社の整備部門の業務を ES 部が受託すれば,P 社は整備部門を縮小しても車両の運用を続けられる。講評によると「予防的な MRO を可能にする提案」という解答が多かったが,これは長期的な検討課題への対応(設問2(2))で,緊急課題である整備部門の要員不足には応えていない。
30字に対し,解答例は「P 社の整備部門の業務を A 社の ES 部が受託する提案」で24字。誰の何を(P 社の整備部門の業務を),誰が(ES 部が)どうする(受託する)かを書き,提案の内容なので「〜提案」で結ぶ。
採点講評(IPA)
設問2(1)では,“予防的なMROを可能にする提案”という解答が多かった。設問2(1)はP社の緊急課題である,整備部門の要員不足への対応策の提案であり,ES部の強みを生かして“P社の整備部門の業務をES部が受託する”提案ができることを読み取ることが必要である。
設問2(2)
40字以内
A 社が,本文中の下線⑥で P 社に対して行う協力依頼の内容について,40 字以内で述べよ。
解答例
P社の製品へのユニットの組込みと,運転や整備の履歴情報の提供
解説
本文の根拠
〔A 社の課題〕ES 部
ES 部としては,顧客が継続的に記録してきた,製品の運転や整備の履歴情報を得ることができれば,自社でもつナレッジシステムの情報と組み合わせて分析ができ,障害に関するノウハウをより高めることができると考えている。
〔A 社の課題〕ES 部
また,研究部で開発したユニットを多くの顧客の製品に組み込んでもらい,機器情報を継続的に入手し,障害のノウハウを適用できれば,予防的な MRO の提案が可能になると考えている。
〔顧客の状況〕
また,この検討に加え,長期的な検討課題として,保有する車両の障害による業務の停止を防ぎ,より効率的かつ安定的に運用することを可能にする施策についても検討する必要があると考えている。
P 社の長期的な検討課題は,保有する車両の障害による業務の停止を防ぎ,効率的かつ安定的に運用する施策である。ES 部は,顧客の協力のもとで情報を活用できれば,顧客は「機器の障害による業務の停止を防止するというメリット」を得られると考えている。
その情報は二つある。一つは研究部のユニットを顧客の製品に組み込んでもらって継続的に入手する機器情報で,障害のノウハウを適用すれば予防的な MRO を提案できる。もう一つは顧客が継続的に記録してきた運転や整備の履歴情報で,ナレッジシステムと組み合わせて障害に関するノウハウを高められる。どちらも P 社の協力なしには得られないので,協力依頼の内容は,P 社の製品へのユニットの組込みと,運転や整備の履歴情報の提供になる。
40字に対し,解答例は「P 社の製品へのユニットの組込みと,運転や整備の履歴情報の提供」で30字。ES 部の考えに出てくる二つの情報源を「〜と,〜」で並べ,依頼する中身(組込み,提供)を名詞で書く。
出典:平成29年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2 飲料メーカの合併に伴う物流業務の見直し
飲料メーカの合併に伴う物流業務の見直しに関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
F 社は,飲料メーカである。今回,健康飲料メーカの G 社を買収して商品力を高め,物流業務を見直して物流コストを削減し,競争力を強化することにした。物流業務の見直しは,二段階で行う計画である。第一段階で物流業務及びシステムの統合を行い,第二段階で物流センタの見直しを行う。合併に伴い,F 社単独に比べて,商品の種類は約 2 倍になり,出荷数量は約 50%増加する。
〔F 社の概要〕
お茶,コーヒーなどの飲料を製造,販売している。製造工場は,東西と中部に,計 3 か所ある。販売,在庫管理,輸送・配送の業務と物流センタの運営は,自社で行っている。それぞれの業務は,自社開発の物流管理システムで管理している。
〔G 社の概要〕
健康飲料を中心に製造,販売している。製造工場は,東西に,計 2 か所ある。販売の業務は自社で行い,在庫管理,輸送・配送の業務と物流センタの運営は,物流会社に委託している。販売の業務は,ソフトウェアパッケージを導入して管理している。現在,G 社は,委託先の物流会社に,商品の物流センタへの入荷予定情報と顧客への出荷情報を通知している。
〔F 社の物流センタの運用〕
F 社の物流センタには,エリアセンタ,地域センタ,拠点センタの 3 種類がある。全国を八つのエリアに分け,エリアごとにエリアセンタを設置している。エリアセンタでは,工場から輸送される全ての商品を在庫し,配下の地域センタが在庫する商品を補充している。地域センタは,エリアセンタの配下に複数箇所,設置されている。地域センタは一部の商品を在庫し,エリアセンタから到着する商品を仕分けして拠点センタへの輸送と顧客への配送を行っている。地域センタの在庫スペースには余裕がある。拠点センタは,地域センタの配下に複数箇所,設置されている。拠点センタは商品を在庫せずに,地域センタから到着した商品を仕分けして顧客へ配送している。
エリアセンタでは,作業者数は時間帯ごとに決めているので,工場から到着するトラック数が多いと作業者が不足してしまうことがある。
顧客への配送サポート範囲が広い地域センタと拠点センタでは,一部の顧客への配送距離が長くなることがある。
物流管理システムは,物流センタにおける商品の在庫管理と,物流センタにおいて発生する入出庫作業,出荷準備作業及び積込み作業を管理している。また,それぞれの作業に掛かった実績時間の情報を蓄積している。
顧客への配送の計画は,物流管理システムで作成している。顧客への配送を担当するドライバには,商品を積み込む物流センタへの入場予定時刻を連絡し,物流センタでの積込み待ち時間の短縮を図っている。入場予定時刻は,配送の計画による出発予定時刻と積込み作業時間を考慮して決定している。ここで,積込み作業時間の設定値は,物流管理システムの導入時から変更していない。
商品は,出荷数量の実績に基づいた ABC 分析を行い,出荷数量が多い順に A,B,C の 3 区分に分類している。エリアセンタと地域センタは,A,B,C の分類に従って商品を在庫している。具体的には,エリアセンタは全区分の商品を在庫している。顧客から区分 A の商品が大量に注文されることを考慮して,区分 A の在庫量を増やしている。地域センタは区分 A の商品だけを在庫している。
(4) 商品の輸送・配送及びドライバのアンケート分析 エリアセンタは入出荷伝票に従って区分 B,区分 C の商品を取りそろえて,地域センタに輸送している。地域センタはトラックが到着次第,事前に取りそろえている区分 A の在庫商品を出庫し,エリアセンタから輸送された区分 B,区分 C の商品を加え,取りそろえた上で,拠点センタへの輸送と顧客への配送を行っている。地域センタへのトラックの到着が遅れたときには,出発予定時刻までに急いで拠点センタや顧客ごとに仕分けして取りそろえたり,出発予定時刻を変更したりしている。
F 社は,ドライバを確保することが困難になっており,ドライバの作業改善のためにアンケートを実施したところ,次の項目の回答が多かった。
工場からエリアセンタへの輸送では,到着するトラック数に対して作業者が不足している時間帯にトラックがエリアセンタに到着すると,エリアセンタの入場に 2 時間から 4 時間程度の入場待ち時間が発生することがある。 地域センタと拠点センタでは,ドライバが指定された入場予定時刻に入場しても,前のトラックの積込み作業が終わっておらず,積込み作業までに 2 時間程度待たされることがある。 地域センタ及び一部の拠点センタでは,顧客への配送距離が長いので拘束時間が長い。 〔物流業務及びシステムの統合〕
G 社の在庫管理,輸送・配送の業務は,F 社で運用中の物流業務に統合する。G 社の商品は,F 社と同様に出荷数量の実績に基づいた ABC 分析を行い,3 区分に分類する。その結果によって,F 社の物流センタで在庫管理するとともに,F 社のトラックで G 社の工場から F 社の物流センタへの輸送と G 社の顧客への配送を行う。これらは F 社の物流管理システムに統合して管理する。
物流センタで使用する G 社の商品の入出荷伝票は,G 社の販売の業務システムには手を加えずに,ソフトウェアパッケージがもつ伝票作成機能を利用して現在のままの伝票を用いることを検討している。しかし,物流業務の担当者から,伝票の書式が異なることから,入出庫作業,出荷準備作業の混乱の懸念が示されている。今回の統合の担当者は,作業を円滑に行うためには伝票の書式を統一するだけでなく,ある情報を G 社の販売の業務システムから F 社の物流管理システムに取り込むことが必要であると考えている。
F 社と G 社の顧客は,ほとんど同じである。しかし,同じ顧客でも,登録している届け先コードはそれぞれ異なっている。また,配送希望時間の契約は,F 社の顧客は時間幅がある時間帯指定で,G 社の顧客は時刻指定である。顧客への配送は,F 社の配送と G 社の配送を同じ便で行う共同配送とする。物流管理システムで作成する配送の計画において,現在の顧客の登録情報では,同じ届け先でも同一と識別できない。配送ルート上の異なる届け先に同じ時刻指定がある場合には,それぞれ別のトラックを割り当てる必要があり,共同配送による物流コスト削減の効果を十分に得られない。
〔物流センタの見直し〕
合併によって商品の種類が増加する。また,販売量の増加によって区分 A の商品の在庫量の増加が見込まれている。エリアセンタは全商品を在庫するスペースが不足するので,次のとおり在庫の見直しを行う。
全商品を在庫するエリアセンタは全国に 3 か所とし,残りの 5 か所のエリアセンタは,区分 A と区分 B の全ての商品を在庫する。また,8 か所の全てのエリアセンタは,これ以上の在庫が増えないようにする。 地域センタの在庫スペースには余裕があるので,在庫する商品の種類を,区分 A の商品と,区分 B の商品から販売状況によって選んだ一部の商品とする。その結果,商品の種類が現在よりも増えるので,出荷準備作業の手順の変更を検討する。 今回の見直しに合わせて,顧客から区分 A の商品が大量に注文された場合には,顧客を担当する地域センタに対し,工場から商品を直送する。
地域センタと拠点センタの配送サポート範囲について,従来よりも配送距離が短くなるように見直して,ドライバのアンケート項目に対応する。
〔ドライバの作業改善〕
G 社の商品の輸送・配送が加わるので,エリアセンタ,地域センタへの輸送が増加する。そのために,エリアセンタ,地域センタでは輸送トラックが同時に入場することが多くなり,入場待ちの回数や時間が増加すると見込まれる。ドライバの入場待ち時間の短縮のために,トラックの入場予約システムを導入する。入場予約システムでは,1 時間単位で入場予約枠をあらかじめ設け,事前にトラックの入場割当てを行う。
一方,顧客への配送を担当する地域センタと拠点センタでは,入場予定時刻の精度の向上を行い,ドライバの積込み待ち時間の短縮を図る。
出題趣旨(IPA)
ITストラテジストには,業種ごとの事業特性を踏まえて,業務システム課題の定義,業務プロセスの見直し,情報システムの改善に関する個別システム化計画の策定を行う能力が求められる。本問では,飲料メーカの合併に伴う物流業務の見直しを題材として,個別システム化計画の策定に関する能力を問う。具体的には,物流業務及びシステムの統合における課題と解決策の検討,物流センタの見直しにおける課題と業務の見直しの検討,ドライバの作業改善において活用すべき情報と検討すべき事項について問う。
採点講評(問全体・IPA)
問2では,飲料メーカの合併に伴う物流業務の見直しについて出題した。題意や状況設定はおおむね理解されているようであった。
ITストラテジストは,情報を有効活用する能力,及び情報化計画の提案能力を高めてほしい。
設問と解答例
設問1(1)
35字以内
物流センタ内の作業を円滑に行うために,G 社の販売の業務システムから F 社の物流管理システムに取り込む情報について,35 字以内で述べよ。
解答例
G社の商品の物流センタへの入荷予定情報と顧客への出荷情報
解説
本文の根拠
〔G 社の概要〕
現在,G 社は,委託先の物流会社に,商品の物流センタへの入荷予定情報と顧客への出荷情報を通知している。
(2) 物流管理システム
物流管理システムは,物流センタにおける商品の在庫管理と,物流センタにおいて発生する入出庫作業,出荷準備作業及び積込み作業を管理している。
〔物流業務及びシステムの統合〕
今回の統合の担当者は,作業を円滑に行うためには伝票の書式を統一するだけでなく,ある情報を G 社の販売の業務システムから F 社の物流管理システムに取り込むことが必要であると考えている。
G 社は今まで物流業務を物流会社に委託し,「商品の物流センタへの入荷予定情報と顧客への出荷情報」を通知していた。統合後は F 社の物流センタが G 社の商品を扱うので,物流会社が受け取っていたこの情報を,今度は F 社の物流管理システムが受け取る必要がある。
F 社の物流管理システムは,物流センタの在庫管理と入出庫作業・出荷準備作業・積込み作業を管理している。入荷予定が分かれば入庫の準備ができ,出荷情報が分かれば出荷準備作業を計画できる。伝票の書式を統一するだけでは紙の上の話にとどまり,システムで作業を管理するには,この二つの情報をデータとして取り込まなければならない。
35字に対し,解答例は「G 社の商品の物流センタへの入荷予定情報と顧客への出荷情報」で28字。〔G 社の概要〕の語句をそのまま使い,入荷と出荷の二つをそろえて書く。
設問1(2)
解答欄2つ
共同配送の効果を上げるために行うべきことについて,F 社と G 社で統一すべき情報を答えよ。また,G 社の顧客に依頼することを 35 字以内で述べよ。
〔依頼〕解答例
配送希望時間を時刻指定から時間帯指定に変更を依頼する。
解説
本文の根拠
〔物流業務及びシステムの統合〕
F 社と G 社の顧客は,ほとんど同じである。しかし,同じ顧客でも,登録している届け先コードはそれぞれ異なっている。また,配送希望時間の契約は,F 社の顧客は時間幅がある時間帯指定で,G 社の顧客は時刻指定である。
〔物流業務及びシステムの統合〕
物流管理システムで作成する配送の計画において,現在の顧客の登録情報では,同じ届け先でも同一と識別できない。配送ルート上の異なる届け先に同じ時刻指定がある場合には,それぞれ別のトラックを割り当てる必要があり,共同配送による物流コスト削減の効果を十分に得られない。
共同配送の効果を妨げている原因は二つ書かれている。一つは,同じ顧客でも F 社と G 社で登録している届け先コードが異なり,配送の計画で同じ届け先を同一と識別できないこと。もう一つは,G 社の顧客が時刻指定のため,配送ルート上の異なる届け先に同じ時刻指定があると別々のトラックを割り当てる必要があることである。
前者は両社のデータの問題なので,F 社と G 社で届け先コードを統一すれば同じ届け先を1便にまとめられる。後者は顧客との契約の問題なので,G 社の顧客に配送希望時間を時刻指定から時間帯指定(F 社と同じ,時間幅のある指定)に変更してもらうよう依頼すれば,1台のトラックで順に回れる。統一すべき情報は社内で直せるもの,依頼することは顧客の同意が要るものと分けて考える。
情報は字数の指定が無く,解答例は「届け先コード」。依頼は35字に対し,解答例は「配送希望時間を時刻指定から時間帯指定に変更を依頼する。」で27字。何を(配送希望時間を)何から何へ(時刻指定から時間帯指定に)変えるかを本文の語句で書く。
設問2(1)
30字以内
地域センタで在庫する商品の種類が増加することによる出荷作業への効果について,30 字以内で述べよ。
解答例
出荷準備作業がトラック到着前に行える割合が増える。
解説
本文の根拠
(4) 商品の輸送・配送及びドライバのアンケート分析
地域センタはトラックが到着次第,事前に取りそろえている区分 A の在庫商品を出庫し,エリアセンタから輸送された区分 B,区分 C の商品を加え,取りそろえた上で,拠点センタへの輸送と顧客への配送を行っている。地域センタへのトラックの到着が遅れたときには,出発予定時刻までに急いで拠点センタや顧客ごとに仕分けして取りそろえたり,出発予定時刻を変更したりしている。
〔物流センタの見直し〕
地域センタの在庫スペースには余裕があるので,在庫する商品の種類を,区分 A の商品と,区分 B の商品から販売状況によって選んだ一部の商品とする。その結果,商品の種類が現在よりも増えるので,出荷準備作業の手順の変更を検討する。
今の地域センタは区分 A の商品だけを在庫し,区分 B,C の商品はエリアセンタからのトラックの到着を待って取りそろえている。トラックの到着が遅れると,出発予定時刻までに急いで仕分けしたり,出発予定時刻を変更したりしている。つまり,出荷準備作業のうちトラックの到着を待たずにできるのは,自分の在庫(区分 A)の分だけである。
見直し後は区分 B の一部も地域センタに在庫するので,事前に取りそろえられる商品が増える。その分,出荷準備作業のうちトラック到着前に行える割合が増え,到着が遅れたときの影響も小さくなる。講評によると「エリアセンタからのトラックの到着を待たずに拠点センタや顧客に配送できる」という解答が一部に見られた。区分 C などはやはりトラックで届くので配送自体は待つ必要があり,問われているのは出荷作業への効果,つまり到着前にできる準備作業が増えることである。
30字に対し,解答例は「出荷準備作業がトラック到着前に行える割合が増える。」で25字。全部が前倒しになるわけではないので,「割合が増える」と量の変化で書く。
採点講評(IPA)
設問2(1)では,“エリアセンタからのトラックの到着を待たずに拠点センタや顧客に配送できる”という解答が一部に見られた。物流センタの見直しでは,地域センタに在庫する商品が増えることによる出荷作業の効果について問うており,トラック到着前に出荷準備作業も増やすことができることに気付いてほしかった。
設問2(2)
20字以内
地域センタへ商品を工場から直送することによるエリアセンタへの効果について,20 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
(3) 物流センタで扱う商品の区分
顧客から区分 A の商品が大量に注文されることを考慮して,区分 A の在庫量を増やしている。
〔物流センタの見直し〕
また,販売量の増加によって区分 A の商品の在庫量の増加が見込まれている。エリアセンタは全商品を在庫するスペースが不足するので,次のとおり在庫の見直しを行う。
〔物流センタの見直し〕
また,8 か所の全てのエリアセンタは,これ以上の在庫が増えないようにする。
〔物流センタの見直し〕
今回の見直しに合わせて,顧客から区分 A の商品が大量に注文された場合には,顧客を担当する地域センタに対し,工場から商品を直送する。
エリアセンタは今,区分 A の商品が大量に注文されることに備えて区分 A の在庫量を増やしている。合併で販売量が増えると区分 A の在庫量はさらに増える見込みだが,エリアセンタは在庫スペースが不足しており,見直しでは「これ以上の在庫が増えないようにする」としている。
区分 A の大量注文を工場から地域センタへ直送すれば,エリアセンタは大量注文に備えた区分 A の在庫を持たなくてよい。これで販売量が増えてもエリアセンタの在庫量が増えずに済み,見直しの方針(これ以上の在庫を増やさない)を守れる。
20字に対し,解答例は「エリアセンタの在庫量が増えない。」で16字。本文の「これ以上の在庫が増えないようにする」に合わせ,エリアセンタへの効果として在庫量が増えないことを書く。
設問2(3)
15字以内
物流センタの配送サポート範囲を見直すことで,ドライバの作業改善をどのように実現できるか,15 字以内で答えよ。
解答例
解説
本文の根拠
(4) 商品の輸送・配送及びドライバのアンケート分析
地域センタ及び一部の拠点センタでは,顧客への配送距離が長いので拘束時間が長い。
〔物流センタの見直し〕
地域センタと拠点センタの配送サポート範囲について,従来よりも配送距離が短くなるように見直して,ドライバのアンケート項目に対応する。
ドライバのアンケートで多かった回答の一つが「地域センタ及び一部の拠点センタでは,顧客への配送距離が長いので拘束時間が長い」である。〔物流センタの見直し〕は,配送サポート範囲を配送距離が短くなるように見直して「ドライバのアンケート項目に対応する」としている。
アンケートの項目は配送距離が長いことを原因に,拘束時間が長いことを不満として挙げている。配送距離が短くなれば,その結果としてドライバの拘束時間が少なくなる。配送距離の短縮は見直しの手段なので,作業改善としては,ドライバにとっての結果である拘束時間を答える。
15字に対し,解答例は「拘束時間が少なくなる。」で11字。アンケートの「拘束時間が長い」を裏返して書けばよい。
設問3(1)
15字以内
入場予定時刻の精度を向上させるために活用すべき情報について,15 字以内で答えよ。
解答例
解説
本文の根拠
(2) 物流管理システム
また,それぞれの作業に掛かった実績時間の情報を蓄積している。
(2) 物流管理システム
入場予定時刻は,配送の計画による出発予定時刻と積込み作業時間を考慮して決定している。ここで,積込み作業時間の設定値は,物流管理システムの導入時から変更していない。
(4) 商品の輸送・配送及びドライバのアンケート分析
地域センタと拠点センタでは,ドライバが指定された入場予定時刻に入場しても,前のトラックの積込み作業が終わっておらず,積込み作業までに 2 時間程度待たされることがある。
入場予定時刻は,出発予定時刻と積込み作業時間から決めている。ところが積込み作業時間の設定値は物流管理システムの導入時から変わっていないので,実際の作業時間とずれている。その結果,指定された時刻に入場しても前のトラックの積込み作業が終わっておらず,2時間程度待たされることがある。
物流管理システムは「それぞれの作業に掛かった実績時間の情報を蓄積している」。このうち積込み作業の実績時間を使えば,積込み作業時間を実態に合わせて見積もれるので,入場予定時刻の精度が上がる。古い設定値を直すための材料がシステムの中にすでにある,という筋道である。
15字に対し,解答例は「積込み作業の実績時間情報」で12字。どの作業か(積込み作業)と何の情報か(実績時間)の二つを書く。
設問3(2)
30字以内
エリアセンタと地域センタに導入するトラックの入場予約システムにおける入場予約枠を決めるときに検討すべきことについて,30 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
(1) 物流センタの配置と機能
エリアセンタでは,作業者数は時間帯ごとに決めているので,工場から到着するトラック数が多いと作業者が不足してしまうことがある。
(4) 商品の輸送・配送及びドライバのアンケート分析
工場からエリアセンタへの輸送では,到着するトラック数に対して作業者が不足している時間帯にトラックがエリアセンタに到着すると,エリアセンタの入場に 2 時間から 4 時間程度の入場待ち時間が発生することがある。
〔ドライバの作業改善〕
入場予約システムでは,1 時間単位で入場予約枠をあらかじめ設け,事前にトラックの入場割当てを行う。
エリアセンタの入場待ちは,作業者数が時間帯ごとに決まっているのに,到着するトラック数に対して作業者が足りない時間帯にトラックが来ることで起きている。合併で輸送が増えれば,入場待ちの回数や時間はさらに増えると見込まれている。
入場予約システムは1時間単位で入場予約枠を設け,事前にトラックを割り当てる。入場待ちを生まないためには,各時間帯の予約枠を,その時間帯の作業者数でさばけるトラック数に合わせればよい。講評によると「積込み作業時間の設定値を見直す」という解答が一部に見られた。これは地域センタと拠点センタの積込み待ち(設問3(1))への対策で,入場予約枠は時間帯ごとに準備できる作業者の人数で決まる。
30字に対し,解答例は「時間帯ごとの作業者数によって対応可能なトラック数」で24字。予約枠の単位(時間帯ごと)と決め手(作業者数),決めるもの(対応可能なトラック数)を1文にまとめる。
採点講評(IPA)
設問3(2)では,“積込み作業時間の設定値を見直す”という解答が一部に見られた。合併によって工場からの輸送が増えても,入場待ち時間を増やさず短縮させる目的で設ける入場予約枠を決めるときに検討すべきことについて問うており,時間帯ごとに準備できる作業者の人数で決まることについて理解することが必要であった。
出典:平成29年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3 クレジットカード会社の保有データを活用した取組み
クレジットカード会社の保有データを活用した取組みに関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。
C 社は,中堅の金融系クレジットカード会社である。主に,カード会員(以下,会員という)からのキャッシングやリボルビング支払での利息,加盟店からのクレジットカード取引の手数料によって,収益を得ている。
〔C 社の状況〕
同業他社が景気や消費の回復によって業績を持ち直しているのに対し,C 社は会員数が伸び悩んでおり,手数料収入の増加も見られず,利益率も同業他社よりも見劣りしている。
C 社は,契約している加盟店が多いこと,加盟店の業種・業態が多岐にわたること,会員には個人事業主や会社員など様々な属性の者がいることが特徴である。また,C 社は,各加盟店でのカード利用の決済データを取得できるが,POS のデータや EC サイトでの購買データとは異なり,商品単位の決済データは取得できない。
このような状況を踏まえ,C 社では,収益の改善を図る方針を打ち出した。
〔新たな取組みに向けた背景〕
他のクレジットカード会社では,親会社の事業と関連性が強いポイントシステム,マイレージシステムなどとの連携を進め,顧客の囲い込みを図り,有力な加盟店との取引規模の維持・拡大を狙う戦略を進めてきている。
C 社でも,ポイントシステムは顧客のロイヤリティ維持に有効性が高いと考え,取引額に応じたポイントを付与する取組みを進めてきた。また,幾つかの加盟店から割引券などの特典(以下,特典という)を提供してもらい,その数量や特典内容に応じて C 社で特典対象会員を決めて,利用明細書に特典を同封して送付するようなマーケティング活動も実施してきた。
しかし,会員の退会が毎年一定数発生し,新規会員獲得の効果をそいでいる状況である。データ分析をしたところ,次のことが分かった。
会員,退会者ともポイントの利用は活発ながら,退会者は多くのポイントを残したまま退会しているケースが多い。 会員の特典利用は活発である。 送付された特典は退会後も利用できるが,退会者の特典の利用状況は把握できていない。 このことから,C 社は特典提供の拡大に力点を置いてマーケティングを進める方針とした。
また,キャッシングやカード取引に関する延滞の取扱いについては,自社で回収業務を行う余裕がないことから,一定期間を超過した延滞債権は大幅に割引をして債権回収事業者に売却している。割引額は債権の内容などを基に交渉によって調整するが,債権回収見込みを客観的な証拠で示すことができると交渉は有利になる。
C 社は,保有する大量の会員データ,決済データ,請求データなどを活用した新たな取組みを検討することにした。
〔営業部門の取組み〕
C 社は,会員の属性や購買履歴を基に,加盟店の特定商品に利用できる特典を付与するサービスを提供し,カード取引量を増やすことで収益拡大を目指すことにした。
これまでも類似のサービスを実施してきたが,会員からは特典を持ち歩くのが面倒といった意見や,利用するタイミングを逸するといった意見が出ていた。このことから,会員が事前に C 社の Web ページで利用したい特典を登録しておけば,決済時に自動的に特典が受けられるようにすることにした。
また,過去には,特典を提供した会員を匿名にしていたにもかかわらず,特典の対象者が極めて少ない地域において,特典対象会員の決定のタイミングで加盟店によって会員を特定されてしまい,該当する会員に加盟店からダイレクトメールの送付などの営業活動が行われ,個人情報の流出事故を疑われる事案があった。
これらのことから,会員データの保護にも配慮した次の取組みを行うこととした。
(1) 特典の利用を申し込んだ会員の属性や購買履歴を基に,加盟店から要請があった条件(以下,抽出条件という)に合致する会員を抽出する。 (2) 改正個人情報保護法の趣旨にのっとり,加盟店の抽出条件において結果が一定数以下の極めて少数になるような場合には,営業部門が結果を確認して集計カテゴリの調整を行う。例えば,ある特定の地域で 90 歳以上の条件のような場合は 70 歳以上のカテゴリの条件に変更する。 (3) 抽出データは,加盟店に提供する。このとき加盟店から直接,会員に営業活動が行われることがないよう個人情報を匿名化する。 (4) 抽出された会員に対しては,利用明細書に特典の通知を印刷したり同封したりする。 (5) 会員は,通知を見て,C 社の Web ページで利用したい特典を登録する。 (6) 会員は,購買時に特典を提示しなくても,特典の利用に該当する取引をした場合,C 社はカード利用料金の会員向け請求データの作成の際に,特典利用の清算処理を行う。C 社はこのサービスを無償で提供し,加盟店は特典の利用額分を負担する。 加盟店はマーケティング効果を高めるために,必要に応じて,抽出条件を追加,変更することができる。ある加盟店で,近隣地域に住むことを抽出条件にしてこのサービスを試したところ,想定以上にサービス利用者が多く,特典に要する費用が多くなった。このことから,この加盟店では,対象者を絞るべく利用実績が高額であることを抽出条件に追加することにした。
加盟店からは,特定顧客向けに特定商品に利用できる特典を提供するなどの時宜を得たマーケティングの希望が多くあった。しかし,営業部門で検討した結果,特定商品に利用できる特典とはせず,特典を利用額に応じた割引とし,利用額と割引率の組合せを加盟店で選択できるサービスとすることにした。
〔審査部門の取組み〕
C 社は,会員の新規入会時や既存会員のカード更新時には,利用限度額を適切に設定することで,カード利用の拡大を促しつつ,延滞になる事案も削減して債権割引額を減少させたい。利用限度額については,会員の住所や居住年数といった属性のほか,これまでの支払状況,未決済の残高に応じた評価(以下,クレジットスコアリングという)を行い,その評価結果を基に,金額を設定する。
C 社では,クレジットスコアリングのシステム化を行うことにした。システム化に当たっては,表 1 の情報を入力して,利用限度額を設定できるようにする。ただし,全社の債権総額に応じて,各情報の重み付けの係数を微調整することがある。
表1 クレジットスコアリングのシステムへの入力
カード利用額の請求後,継続して入金がない場合は,延滞会員の扱いとして利用限度額から請求額を減額して設定し直し,督促を行う。その後,更に一定期間経過しても入金が確認されなかった場合は,カード利用を停止し,個人信用情報機関に登録を行う。当該会員には入会時の約款に従って別の事業者に債権譲渡する旨を通知の上,債権回収事業者に当該会員の延滞債権を売却する。
審査部門では,これまでの経験から,延滞の増減は,顧客の年収や地域性との関係や,低額の日用品のような商品と,高額な耐久消費財のような商品の間の購買頻度の変化に関係があると仮説を立てている。システム化の後には,住所,年収,購入額などのデータ項目を匿名化して外部のデータ解析事業者に提供し,この仮説を検証したいと思っている。
〔情報システムに関する取組み〕
営業部門では,取組内容のプロトタイプを作成し,試行をした結果,収益が増加したことから,本格的な導入に取り組むことにした。また,審査部門では,取組内容を机上で検証した結果,延滞債権が減少する可能性があることが分かったので,施策に取り組むことにした。
情報企画部門は,営業部門と審査部門の取組みについて,試行や検証の際の仕様に基づいて,それぞれ,特典システム,クレジットスコアリングシステムとして情報システムを構築し,運用を開始した。
この結果,営業部門では加盟店からの抽出条件の変更が相次ぎ,業務が多忙になった。審査部門では,利用限度額の設定値と,机上の検証結果に差異が出てきていることが分かった。債権回収事業者への債権売却額は交渉によって,割引額の削減ができた。
出題趣旨(IPA)
ITストラテジストには,情報技術を活用した,新たなビジネスモデルの構築やサービスの付加価値の向上を提案する能力が求められる。本問では,クレジットカード会社の保有データを活用した取組みを題材として,新しいサービス構築やサービス向上に向けた情報技術を応用する能力を評価する。具体的には,新たなマーケティングの取組み,損失削減への取組み,情報システム運用後の課題について問う。
採点講評(問全体・IPA)
問3ではクレジットカード会社の保有データを活用した取組みについて出題した。題意や状況設定はおおむね理解されているようであった。
ITストラテジストは,企業のおかれた状況に応じて課題を抽出し,効果の高い適切な解決策を提案する能力を高めてほしい。
設問と解答例
設問1
30字以内
〔新たな取組みに向けた背景〕について,C 社が特典の取組みに力点を置くことに至ったポイントシステムの問題点について,30 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔新たな取組みに向けた背景〕
他のクレジットカード会社では,親会社の事業と関連性が強いポイントシステム,マイレージシステムなどとの連携を進め,顧客の囲い込みを図り,有力な加盟店との取引規模の維持・拡大を狙う戦略を進めてきている。
〔新たな取組みに向けた背景〕
C 社でも,ポイントシステムは顧客のロイヤリティ維持に有効性が高いと考え,取引額に応じたポイントを付与する取組みを進めてきた。
〔新たな取組みに向けた背景〕
しかし,会員の退会が毎年一定数発生し,新規会員獲得の効果をそいでいる状況である。
〔新たな取組みに向けた背景〕
会員,退会者ともポイントの利用は活発ながら,退会者は多くのポイントを残したまま退会しているケースが多い。
C 社はポイントシステムを「顧客のロイヤリティ維持に有効性が高い」と考えて進めてきた。ポイントシステムの狙いは,他社と同じく顧客の囲い込み,つまり会員に使い続けてもらうことである。ところが会員の退会は毎年一定数発生している。
データ分析によると,退会者は「多くのポイントを残したまま退会している」。ポイントが貯まっていても会員は退会をためらわないので,ポイントの残高が退会を思いとどまらせる力になっていない。これが囲い込みに有効に機能していないポイントシステムの問題点で,C 社は活発に利用されている特典の方に力点を移した。講評によると「退会後のポイントの利用状況が分からない」という解答が散見された。利用状況が分からないのは特典の方であり,しかも退会後の話で,囲い込みによって取引を維持・拡大するという C 社の課題とは合わない。
30字に対し,解答例は「ポイントの残高が退会の抑止になっていないこと」で22字。事実(残したまま退会)ではなく,そこから読み取れる問題点(退会の抑止になっていない)を書く。
採点講評(IPA)
設問1では,ポイントシステムが,顧客の囲い込みに有効に機能していない問題点を解答として期待したが,“退会後のポイントの利用状況が分からない”という解答が散見された。これは,顧客の囲い込みによって取引の維持・拡大を担うC社の課題とは合致しないことに気付いてほしい。
設問2(1)
30字以内
抽出条件における結果が一定数以下にならない仕組みとした理由を,30 字以内で述べよ。
解答例
加盟店が特典の対象者を特定できないようにしたいから
解説
本文の根拠
〔営業部門の取組み〕
また,過去には,特典を提供した会員を匿名にしていたにもかかわらず,特典の対象者が極めて少ない地域において,特典対象会員の決定のタイミングで加盟店によって会員を特定されてしまい,該当する会員に加盟店からダイレクトメールの送付などの営業活動が行われ,個人情報の流出事故を疑われる事案があった。
〔営業部門の取組み〕
(2) 改正個人情報保護法の趣旨にのっとり,加盟店の抽出条件において結果が一定数以下の極めて少数になるような場合には,営業部門が結果を確認して集計カテゴリの調整を行う。
過去に,会員を匿名にしていたにもかかわらず,特典の対象者が極めて少ない地域で加盟店に会員を特定され,加盟店からダイレクトメールなどが送られて個人情報の流出事故を疑われる事案があった。対象者が少なければ,匿名でも地域や条件から個人を絞り込めてしまう。
そこで取組み(2)は,抽出の結果が一定数以下の極めて少数になる場合には集計カテゴリを広げる(90歳以上を70歳以上にする)。結果を一定数以上に保てば,加盟店は抽出された会員が誰かを特定できない。これは会員データの保護に配慮した取組みであり,理由は加盟店による会員の特定を防ぐことにある。
30字に対し,解答例は「加盟店が特典の対象者を特定できないようにしたいから」で25字。誰が(加盟店が)何を(特典の対象者を)できないようにするかを書き,理由なので「〜から」で結ぶ。
設問2(2)
25字以内
特典を利用額に応じた割引とし,利用額と割引率の組合せを加盟店側で選択できるサービスにした理由について,25 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔C 社の状況〕
また,C 社は,各加盟店でのカード利用の決済データを取得できるが,POS のデータや EC サイトでの購買データとは異なり,商品単位の決済データは取得できない。
〔営業部門の取組み〕
(6) 会員は,購買時に特典を提示しなくても,特典の利用に該当する取引をした場合,C 社はカード利用料金の会員向け請求データの作成の際に,特典利用の清算処理を行う。
〔営業部門の取組み〕
しかし,営業部門で検討した結果,特定商品に利用できる特典とはせず,特典を利用額に応じた割引とし,利用額と割引率の組合せを加盟店で選択できるサービスとすることにした。
新しいサービスでは,会員が購買時に特典を提示しなくても,C 社が請求データを作るときに特典利用の清算処理を行う。つまり,特典の利用に該当する取引かどうかを,C 社が自社の決済データだけで判定しなければならない。
ところが C 社が取得できる決済データは加盟店でのカード利用の単位で,POS や EC サイトのデータと違い「商品単位の決済データは取得できない」。特定商品に使える特典にすると,どの商品を買ったかが分からないので清算できない。利用額に応じた割引なら,C 社が持つ決済の金額だけで判定できる。そのうえで利用額と割引率の組合せを加盟店に選ばせれば,加盟店の時宜を得たマーケティングの希望にも一定程度応えられる。
25字に対し,解答例は「商品単位の決済データが提供できないから」で19字。本文は「取得できない」と書くが,解答例は「提供できない」で,C 社がサービスとして商品単位のデータを扱えないことを表している。決め手は「商品単位」の語で,これを落とさない。
設問3(1)
35字以内
債権割引額を減少させる効果が期待できる事項について,35 字以内で述べよ。
解答例
債権回収事業者に債権回収見込みの客観的な証拠を提示する。
解説
本文の根拠
〔新たな取組みに向けた背景〕
また,キャッシングやカード取引に関する延滞の取扱いについては,自社で回収業務を行う余裕がないことから,一定期間を超過した延滞債権は大幅に割引をして債権回収事業者に売却している。割引額は債権の内容などを基に交渉によって調整するが,債権回収見込みを客観的な証拠で示すことができると交渉は有利になる。
〔審査部門の取組み〕
C 社は,会員の新規入会時や既存会員のカード更新時には,利用限度額を適切に設定することで,カード利用の拡大を促しつつ,延滞になる事案も削減して債権割引額を減少させたい。
〔情報システムに関する取組み〕
債権回収事業者への債権売却額は交渉によって,割引額の削減ができた。
延滞債権は大幅に割引をして債権回収事業者に売却している。割引額は交渉で調整するが,「債権回収見込みを客観的な証拠で示すことができると交渉は有利になる」。〔情報システムに関する取組み〕でも,交渉によって割引額の削減ができたと書かれている。
クレジットスコアリングのシステム化で,会員の属性や支払状況などのデータが体系的にそろう。これを基に,売却する債権の回収見込みを客観的な証拠として債権回収事業者に示せば,交渉で割引額を直接減らせる。講評によると,利用限度額の算定に触れた解答が一部に見られた。利用限度額の適切な設定は延滞を減らすことで割引額を間接的に減らすもので,ここではより直接的に割引額を削減できる客観的な証拠の提示が適切である。なお,講評は「債券割引額」と書いているが,本文の「債権割引額」のことである。
35字に対し,解答例は「債権回収事業者に債権回収見込みの客観的な証拠を提示する。」で28字。本文の「債権回収見込みを客観的な証拠で示す」を使い,相手(債権回収事業者に)を添える。
採点講評(IPA)
設問3(1)では,利用限度額の算定に言及した解答が一部に見られた。利用限度額の算定については,延滞債権を減少させることで債券割引額を間接的に減少させる効果を期待するものであり,ここではより直接的に債券割引額を削減できる客観的な証拠の提示が適切であることを理解してほしかった。
設問3(2)
20字以内
審査部門における仮説の検証のために,延滞の増減情報と併せて,住所,年収,購入額の他に,外部へ提供すべきデータ項目は何か。表 1 のうち該当するものを全て挙げ,20 字以内で答えよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔C 社の状況〕
POS のデータや EC サイトでの購買データとは異なり,商品単位の決済データは取得できない。
表1
購買履歴:会員番号,購入店舗名,購入日,購入額。
〔審査部門の取組み〕
審査部門では,これまでの経験から,延滞の増減は,顧客の年収や地域性との関係や,低額の日用品のような商品と,高額な耐久消費財のような商品の間の購買頻度の変化に関係があると仮説を立てている。システム化の後には,住所,年収,購入額などのデータ項目を匿名化して外部のデータ解析事業者に提供し,この仮説を検証したいと思っている。
仮説は,延滞の増減が年収や地域性と関係し,また低額の日用品のような商品と高額な耐久消費財のような商品の間の購買頻度の変化と関係するというものである。年収と地域性は年収と住所で見られる。残るのは「どんな商品を」「どれだけの頻度で」買ったかである。
C 社は商品単位の決済データを持たないので,どんな商品かは購入店舗名(日用品の店か,耐久消費財の店か)と購入額から推し量るしかない。頻度の変化を見るには購入日が要る。さらに,これらを延滞の増減情報や年収・住所と同じ会員のものとして結び付けるには会員番号が要る(匿名化して提供するので,個人を特定しない形で結び付けるための番号として使う)。表1の購買履歴のうち,購入額以外の会員番号,購入店舗名,購入日が該当する。
20字に対し,解答例は「会員番号,購入店舗名,購入日」で14字。「全て挙げ」とあるので,表1の項目名をそのまま読点で並べ,一つも落とさない。
設問4(1)
25字以内
営業部門の業務が多忙になったことを解決するために,特典システムに追加で組み込むべき機能について,25 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔営業部門の取組み〕
(2) 改正個人情報保護法の趣旨にのっとり,加盟店の抽出条件において結果が一定数以下の極めて少数になるような場合には,営業部門が結果を確認して集計カテゴリの調整を行う。
〔営業部門の取組み〕
加盟店はマーケティング効果を高めるために,必要に応じて,抽出条件を追加,変更することができる。
〔情報システムに関する取組み〕
この結果,営業部門では加盟店からの抽出条件の変更が相次ぎ,業務が多忙になった。
加盟店は抽出条件を必要に応じて追加・変更でき,運用開始後は変更が相次いだ。抽出条件が変わるたびに,結果が一定数以下の極めて少数になっていないかを営業部門が確認し,少なければ集計カテゴリを調整しなければならない。これが営業部門を多忙にしている作業である。
この確認と調整を人手で行っているのが問題なので,特典システムに,抽出結果の件数を見て適切な集計カテゴリを設定する作業を支援する機能を組み込めば,営業部門の負担を減らせる。取組み(2)の「営業部門が結果を確認して集計カテゴリの調整を行う」の部分をシステムに肩代わりさせる,という筋道である。
25字に対し,解答例は「適切な集計カテゴリの設定を支援する機能」で19字。本文の「集計カテゴリ」の語を使い,問われているのは機能なので「〜機能」で結ぶ。
設問4(2)
15字以内
情報システムの結果と机上の検証結果に差異が出ないようにするために,クレジットスコアリングシステムへの入力として表 1 に追加すべきデータ項目を,15 字以内で答えよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔審査部門の取組み〕
利用限度額については,会員の住所や居住年数といった属性のほか,これまでの支払状況,未決済の残高に応じた評価(以下,クレジットスコアリングという)を行い,その評価結果を基に,金額を設定する。
表1
現在設定情報:会員番号,現在の限度額(クレジットカード,キャッシング,リボルビング)。会員属性:会員番号,氏名,生年月日,性別,住所,居住開始年,勤務先,入社年,年収,口座開設日。購買履歴:会員番号,購入店舗名,購入日,購入額。支払状況:会員番号,月別請求日,月別入金日。
〔情報システムに関する取組み〕
審査部門では,利用限度額の設定値と,机上の検証結果に差異が出てきていることが分かった。
クレジットスコアリングは「属性のほか,これまでの支払状況,未決済の残高に応じた評価」と定義されている。表1と照らし合わせると,属性(住所,居住開始年など)は会員属性に,支払状況は支払状況の行にあるが,未決済の残高に当たる項目がどこにも無い。
机上の検証は定義どおりの評価で行ったはずなので,システムが未決済の残高を入力に持たなければ,利用限度額の設定値が机上の結果とずれる。差異を無くすには,表1に会員の未決済の残高を追加すればよい。定義に書かれた要素と表1の項目を一つずつ突き合わせて,欠けているものを探す。
15字に対し,解答例は「会員の未決済の残高」で9字。本文の「未決済の残高」をそのまま使い,誰のものか(会員の)を添える。
出典:平成29年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4 超小型人工衛星の事業化
超小型人工衛星の事業化に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
R 社は,ヘリコプタ,船舶などの移動体に搭載するスタビライザカメラを主力製品とする特殊カメラメーカである。スタビライザカメラは,ジャイロを用いてぶれが少ない映像を撮影できるシステムであり,その用途によって,ハイビジョンカメラなどを積んだ放送・映画用と,赤外線カメラを積んだ捜索・救難用に大別される。近年,ラジコンヘリコプタ及びマルチコプタに搭載するカメラの需要が増え,小型モデルも製品ラインナップに加えた。その結果,売上が増加し,今後 3 年間は安定した高い収益が得られると見込まれた。しかし,国内外メーカの新規参入が増えつつあり,中長期的には収益性が高い新たな事業戦略が必要となっていた。
R 社の IT ストラテジストである E 氏は,新たな事業戦略の検討を進める中で,農業機械メーカの関連会社が人工衛星によって得られる画像情報を求めているとの情報を入手した。その情報によると,麦の収穫が集中すると収穫機械及び乾燥施設が競合して,適期収穫ができなくなる。この問題を解決するために,人工衛星に特定波長の赤外線カメラを搭載して撮影した画像を基に,収穫に最適な時期を推測して,最適な収穫順番を計画するシステムを開発したいとの内容であった。
〔日本の宇宙事業の状況〕
E 氏が調査したところ,100 kg 以下の人工衛星(以下,超小型人工衛星という)を安価な小型ロケットに搭載して打ち上げる準備を進めている会社(以下,ロケット会社)は,数社あり,超小型人工衛星であれば一企業が数億円で所有できる時代になりつつあることが分かった。また,データ応用面では,農業以外にも人工衛星による地球観測(以下,リモートセンシングという)技術を利用した“漁業の高度化”,“樹木の健康管理,伐採管理”など,第一次産業を中心に人工衛星による画像データ利用の要求が急速に高まりつつあることが分かった。
現在の日本における宇宙事業は急成長の段階にある。人工衛星で収集したデータを扱うサービス事業を行っている会社(以下,データ処理会社という)及び行おうとしている会社は非常に多く,その利用目的ごとに複数存在するので競争が激しくなっている。また,一般的な人工衛星を開発している会社は何社かあるが,超小型人工衛星を開発している会社は現時点では少ない。さらに,人工衛星を自社で購入して活用するには,人工衛星開発会社,ロケット会社及びデータ処理会社を探して,各企業と個別に契約する必要がある。つまり,人工衛星を購入しても,それだけでは目的を達成できないという煩雑な状況に置かれている。
〔日本の人工衛星事業の事業体制〕
人工衛星事業の事業体制は,企業が単独で進める場合,複数企業が協業する場合,及び公的な研究開発機構が催す“オープンラボ”に参加し,公的な研究開発機構の研究者,民間の研究者及び大学の研究者とプロジェクトを組む場合,の三つがあり,それぞれ次に示す特徴がある。
開発費用は,自社で準備する必要がある。 自社で準備できない技術は,安価で購入できることが前提となる。 開発で得られた技術は,自社の知的財産として保有できる。 収益は,自社で独占できる。 必要となる技術をもつ企業を探す必要がある。 開発費用は,企業間で分担できる。 技術及び収益は,関わった企業間で共有することになる。 公的な研究開発機構から,年ごとに共同研究費を受けられる。 公的な研究開発機構及び大学の実験設備を利用できる。 プロジェクト内で相互に最新の保有技術,研究成果を生かせる。 研究成果は,基本的には独占することができない。 〔人工衛星事業の分析〕
E 氏が,人工衛星事業について分析したところ,今まで R 社が行ってきた事業とは異なり,次の特徴があることが分かった。
打ち上げ失敗などによって,人工衛星として運用できなくなるリスクがある。 打ち上げ後の修理が困難なことから,運用の途中で運用停止となるリスクがある。 単品かつ高額の製品である。 初期投資が大きく,製品販売まで長い期間を必要とする。 多くの機能と高い冗長性が求められるので開発期間が長くなり,原価が高く,収益性が悪い。 人工衛星一基当たりの打ち上げコストが小さい。 リスクが表面化した場合の損失額が,一般的な人工衛星と比較して小さい。 価格が安いので一企業で購入でき,得たデータも一企業で専有できる。 数多く販売しないと,事業として成り立たない。 〔人工衛星事業の事業性検討〕
E 氏は,最新のデータ活用技術の調査を行った。その結果,人工衛星のリモートセンシングで得たデータを気象情報など他のデータと組み合わせて AI 技術で解析することによって,より価値が高い情報を得られる可能性があることが分かった。
E 氏は,R 社における人工衛星事業の事業性を検討して,次のとおりまとめた。
一般的な人工衛星の開発事業は,R 社の事業として成り立つ可能性は低い。 超小型人工衛星の開発事業は,早期に製品化すると大きな売上を見込めるが,R 社が単独で開発するには保有技術面で課題が多い。 E 氏は,技術面の課題はあるものの,将来的な事業性を見込み,超小型人工衛星の開発を行うことを想定し,一般的な人工衛星との差別化を図った超小型人工衛星の開発事業を具体化するための材料を集めることにした。
〔要素技術の調査〕
E 氏は,システムアーキテクトの N 氏に,超小型人工衛星を開発するために必要な要素技術の調査を依頼した。調査においては,留意すべき次の 2 点を伝えた。
一般的な人工衛星から流用できる技術と超小型人工衛星用に開発しなくてはならない技術を見極めること。 技術ごとの先行メーカを把握すること。 後日,N 氏は表 1 に示す調査結果を E 氏に報告した。
表1 超小型人工衛星を開発するために必要な要素技術
E 氏は,超小型人工衛星を開発するために必要な要素技術は表 1 に示すように数多くあるものの,R 社が保有する赤外線カメラシステムの技術とジャイロの技術は,超小型人工衛星を開発するに当たり,それぞれ観測機器系技術及び姿勢制御系技術として強みとなる可能性が高いと考えた。
〔R 社の事業方針〕
E 氏は,開発コストと収益を考慮した結果,R 社の開発体制は,初期段階ではオープンラボに参加する体制で事業を早期に開始し,ある条件が整った段階で,自社単独で開発を進める体制とするのがよいと考えた。
また,E 氏は,超小型人工衛星の汎用性が高い部分をプラットフォーム化することで,打ち上げ失敗,運用故障などで補償期間内に人工衛星として運用できなくなった場合に,1 回に限り同一の人工衛星を 180 日以内に製造し,無償提供するオプション補償サービスを提示することにした。これによって,超小型人工衛星では,一般的な人工衛星で必要な高い冗長性を省くことにした。
〔事業展開〕
E 氏は,超小型人工衛星の開発事業が軌道に乗った後には,一般的な人工衛星との差別化を図った超小型人工衛星の事業を次の方針で展開することを考えた。
方針①:超小型人工衛星とそのデータ処理システムを自社で保有することによって,リモートセンシングで得たデータを処理して提供する事業を展開する。 方針②:超小型人工衛星を開発する企業が増えることを想定し,自社のシェアを維持するために購入者の利便性を高める工夫をする。
出題趣旨(IPA)
ITストラテジストには,経営戦略の実現に向けて,社会の状況と自社の保有技術を基に,将来性のある事業計画を立案する能力が求められる。本問では,特殊カメラメーカにおける超小型人工衛星の事業化を題材として,従来の事業と比較し,金額,リスクなど,特徴の異なる事業を企画する場合の企画能力を評価する。具体的には,要素技術を調査して事業性を検討する能力,有効な事業方針を立てる能力,戦略的な事業展開を企画・立案する能力を問う。
採点講評(問全体・IPA)
問4では,超小型人工衛星の事業化について出題した。状況設定はおおむね理解されているようであった。
ITストラテジストとして,市場状況,技術動向及び自社の保有技術を基に,事業戦略を立て推進する能力を高めてほしい。
設問と解答例
設問1(1)
35字以内
E 氏が,超小型人工衛星の開発事業は,早期に製品化すると大きな売上を見込めると考えた理由を,需要面から 35 字以内で述べよ。
解答例
人工衛星による画像データ利用の要求が急速に高まりつつあるから
解説
本文の根拠
〔日本の宇宙事業の状況〕
E 氏が調査したところ,100 kg 以下の人工衛星(以下,超小型人工衛星という)を安価な小型ロケットに搭載して打ち上げる準備を進めている会社(以下,ロケット会社)は,数社あり,超小型人工衛星であれば一企業が数億円で所有できる時代になりつつあることが分かった。
〔日本の宇宙事業の状況〕
また,データ応用面では,農業以外にも人工衛星による地球観測(以下,リモートセンシングという)技術を利用した“漁業の高度化”,“樹木の健康管理,伐採管理”など,第一次産業を中心に人工衛星による画像データ利用の要求が急速に高まりつつあることが分かった。
〔人工衛星事業の事業性検討〕
超小型人工衛星の開発事業は,早期に製品化すると大きな売上を見込めるが,R 社が単独で開発するには保有技術面で課題が多い。
売上を見込める理由には,買い手の側(需要)と売り手の側(供給)の二つの見方がある。設問は需要面からと指定しているので,超小型人工衛星を欲しがる顧客の動きを本文から探す。E 氏の調査では,農業のほかにも漁業の高度化,樹木の健康管理・伐採管理など,「第一次産業を中心に人工衛星による画像データ利用の要求が急速に高まりつつある」。超小型人工衛星なら一企業が数億円で所有できる時代にもなりつつある。
要求が急速に高まっている今のうちに製品化すれば,その需要を取り込めるので,早期に製品化すると大きな売上を見込める。講評によると,正答率は高かったが「超小型人工衛星を開発している会社は現時点では少ない」のように供給面から答えた誤りも見られた。競合が少ないことは供給の話で,指定された需要面の理由ではない。
35字に対し,解答例は「人工衛星による画像データ利用の要求が急速に高まりつつあるから」で30字。本文の語句をそのまま使い,理由なので「〜から」で結ぶ。
採点講評(IPA)
設問1(1)では,早期に製品化すると大きな売上を見込めると考えた理由を需要面から求めた。正答率は高かったが,“超小型人工衛星を開発している会社は現時点では少ない”など,供給面から答えた誤った解答も見られた。
設問1(2)
30字以内
E 氏が,赤外線カメラシステム及びジャイロの自社保有技術は,超小型人工衛星を開発するに当たり強みとなる可能性が高いと考えた理由を,30 字以内で述べよ。
解答例
超小型人工衛星用に開発が必要な要素技術に使えるから
解説
本文の根拠
〔要素技術の調査〕
一般的な人工衛星から流用できる技術と超小型人工衛星用に開発しなくてはならない技術を見極めること。
表1
姿勢制御系技術:低(小型軽量化,高強度化),海外メーカ。
表1
観測機器系技術:低(小型軽量化とそれに伴う設計変更),無し。
〔要素技術の調査〕
R 社が保有する赤外線カメラシステムの技術とジャイロの技術は,超小型人工衛星を開発するに当たり,それぞれ観測機器系技術及び姿勢制御系技術として強みとなる可能性が高いと考えた。
E 氏は調査で,一般的な人工衛星から流用できる技術と,超小型人工衛星用に開発しなくてはならない技術を見極めるよう求めた。表1で流用性が「低」なのは,姿勢制御系技術(小型軽量化,高強度化)と観測機器系技術(小型軽量化とそれに伴う設計変更)の二つで,これらは新たに開発しなければならない技術である。
R 社の赤外線カメラシステムとジャイロの技術は,ちょうどこの観測機器系技術と姿勢制御系技術に当たる。しかも R 社はスタビライザカメラで,ヘリコプタやマルチコプタに載せる小型モデルまで手掛けている。流用できない(開発が必要な)要素技術に自社の技術を使えるので,強みとなる可能性が高い。観測機器系には先行メーカが無いことも,強みになりやすい事情である。
30字に対し,解答例は「超小型人工衛星用に開発が必要な要素技術に使えるから」で25字。〔要素技術の調査〕の「超小型人工衛星用に開発しなくてはならない技術」を言い換えて使い,理由なので「〜から」で結ぶ。
設問2(1)
30字以内
E 氏が,R 社の開発体制は,初期段階ではオープンラボに参加する体制で事業を早期に開始するのがよいと考えたその目的を,30 字以内で述べよ。
解答例
プロジェクト内の最新の保有技術,研究成果を生かすため
解説
本文の根拠
〔日本の人工衛星事業の事業体制〕
プロジェクト内で相互に最新の保有技術,研究成果を生かせる。
〔人工衛星事業の事業性検討〕
超小型人工衛星の開発事業は,早期に製品化すると大きな売上を見込めるが,R 社が単独で開発するには保有技術面で課題が多い。
〔R 社の事業方針〕
E 氏は,開発コストと収益を考慮した結果,R 社の開発体制は,初期段階ではオープンラボに参加する体制で事業を早期に開始し,ある条件が整った段階で,自社単独で開発を進める体制とするのがよいと考えた。
R 社の課題は,早期に製品化すれば大きな売上を見込めるのに,単独で開発するには「保有技術面で課題が多い」ことである。早く始めるには,自社に足りない技術を補える体制が要る。
オープンラボに参加する場合の特徴には,共同研究費を受けられる,実験設備を利用できる,に加えて「プロジェクト内で相互に最新の保有技術,研究成果を生かせる」がある。保有技術面の課題を解くのはこの最後の特徴で,研究機構・民間・大学の研究者の技術や研究成果を生かせば,自社だけでは足りない技術を補って早期に事業を始められる。講評によると,正答率は高かったが「保有技術面で課題が多い」など,問題点や実情を目的として答えた誤りも見られた。問われているのは参加する目的である。
30字に対し,解答例は「プロジェクト内の最新の保有技術,研究成果を生かすため」で26字。オープンラボの特徴の語句をそのまま使い,目的なので「〜ため」で結ぶ。
採点講評(IPA)
設問2(1)では,初期段階ではオープンラボに参加する体制で事業を早期に開始するのがよいと考えたその目的を求めた。正答率は高かったが,“保有技術面で課題が多い”など,問題点や実情を答えた誤った解答も見られた。
設問2(2)
25字以内
E 氏が,R 社の開発体制は,ある条件が整った段階で,自社単独で開発を進める体制とするのがよいと考えたその条件を,25 字以内で述べよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔日本の人工衛星事業の事業体制〕
自社で準備できない技術は,安価で購入できることが前提となる。
表1 注記
その他の要素技術は,一般的な人工衛星と同様に,超小型人工衛星向けの標準化が進むことが見込まれる。
〔R 社の事業方針〕
E 氏は,開発コストと収益を考慮した結果,R 社の開発体制は,初期段階ではオープンラボに参加する体制で事業を早期に開始し,ある条件が整った段階で,自社単独で開発を進める体制とするのがよいと考えた。
企業が単独で進める場合の特徴に「自社で準備できない技術は,安価で購入できることが前提となる」とある。単独なら技術を知的財産として保有でき,収益も独占できるが,それは足りない技術を安く買えることが前提である。この前提が満たされることが,自社単独に切り替える条件になる。
表1の注記によると,観測機器系技術以外の要素技術は,超小型人工衛星向けの標準化が進むことが見込まれる。標準化が進めば,R 社が持たない推進系や通信系などの技術も部品として安価に購入できるようになる。その段階で単独の体制にすれば,強みの技術を自社の知的財産として持ち,収益を独占できる。講評によると,正答率は低く,自社単独とする「目的」や「理由」を答えた受験者が多かった。問われているのは切り替えの条件である。
25字に対し,解答例は「自社で準備できない技術が,安価で購入できること」で23字。単独の場合の特徴の語句をそのまま使い,条件なので「〜こと」で結ぶ。
採点講評(IPA)
設問2(2)では,ある条件が整った段階で,自社単独で開発を進める体制とするのがよいと考えたその条件とは何かを求めた。正答率は低く,自社単独とする“目的”や“理由”を解答した受験者が多かった。設問をよく読んで解答してほしかった。
設問2(3)
解答欄2つ
E 氏は,超小型人工衛星では,高い冗長性を省くことにした。それは,超小型人工衛星のどのような特徴を生かして,どのような事業戦略を立てようと考えたからか。特徴を 40 字以内,事業戦略を 15 字以内で述べよ。
〔特徴〕解答例
リスクが表面化した場合の損失額が,一般的な人工衛星と比較して小さい。
解説
本文の根拠
〔人工衛星事業の分析〕
多くの機能と高い冗長性が求められるので開発期間が長くなり,原価が高く,収益性が悪い。
〔人工衛星事業の分析〕
リスクが表面化した場合の損失額が,一般的な人工衛星と比較して小さい。
〔人工衛星事業の分析〕
数多く販売しないと,事業として成り立たない。
冒頭
しかし,国内外メーカの新規参入が増えつつあり,中長期的には収益性が高い新たな事業戦略が必要となっていた。
〔R 社の事業方針〕
また,E 氏は,超小型人工衛星の汎用性が高い部分をプラットフォーム化することで,打ち上げ失敗,運用故障などで補償期間内に人工衛星として運用できなくなった場合に,1 回に限り同一の人工衛星を 180 日以内に製造し,無償提供するオプション補償サービスを提示することにした。これによって,超小型人工衛星では,一般的な人工衛星で必要な高い冗長性を省くことにした。
一般的な人工衛星は,打ち上げ失敗や運用停止のリスクに備えて多くの機能と高い冗長性が求められ,そのために開発期間が長く,原価が高く,収益性が悪い。超小型人工衛星の特徴の一つは「リスクが表面化した場合の損失額が,一般的な人工衛星と比較して小さい」ことである。損失額が小さければ,冗長性で失敗を防ぐ代わりに,失敗したら作り直して提供する(オプション補償サービス)という対処が成り立つ。
冗長性を省けば,開発期間が短くなり原価が下がる。これは R 社が中長期的に必要としている「収益性が高い新たな事業戦略」につながる。また,超小型人工衛星事業は「数多く販売しないと,事業として成り立たない」ので,原価を下げて価格を抑え,数多く販売する事業戦略とも読める。解答例は事業戦略にこの二つを別解として挙げている。
特徴は40字に対し,解答例は「リスクが表面化した場合の損失額が,一般的な人工衛星と比較して小さい。」で34字,〔人工衛星事業の分析〕の1項目をそのまま写す。事業戦略は15字に対し,「収益性が高い新たな事業戦略」13字,「数多く販売する事業戦略」11字。どちらも本文の語句に「事業戦略」を付けて結ぶ。
設問3(1)
10字以内
方針①において,E 氏が事業展開するとしている市場を,10 字以内で答えよ。
解答例
解説
本文の根拠
〔日本の宇宙事業の状況〕
また,データ応用面では,農業以外にも人工衛星による地球観測(以下,リモートセンシングという)技術を利用した“漁業の高度化”,“樹木の健康管理,伐採管理”など,第一次産業を中心に人工衛星による画像データ利用の要求が急速に高まりつつあることが分かった。
〔事業展開〕
方針①:超小型人工衛星とそのデータ処理システムを自社で保有することによって,リモートセンシングで得たデータを処理して提供する事業を展開する。
方針①は,リモートセンシングで得たデータを処理して提供する事業である。本文でリモートセンシングのデータを求めている顧客は,農業機械メーカの関連会社(麦の収穫時期の推測)と,漁業の高度化や樹木の健康管理・伐採管理で,本文はこれらをまとめて「第一次産業を中心に」画像データ利用の要求が急速に高まっているとしている。
したがって,E 氏が事業展開するとしている市場は第一次産業である。R 社が強みとする赤外線カメラ(観測機器系技術)で撮影した画像は,農業の例のように第一次産業の用途に直結する。
10字に対し,解答例は「第一次産業」で5字。本文の語をそのまま書く。農業・漁業のように個別の業種を挙げると,範囲が狭くなる。
設問3(2)
30字以内
方針②において,自社のシェアを維持するために購入者の利便性を高める工夫をするとしている。そのために取るべき戦略を,30 字以内で述べよ。
解答例(2通り)
ロケット会社と提携して個別に契約する必要をなくす。 目的に合うデータ処理会社を探して仲介する。
解説
本文の根拠
〔日本の宇宙事業の状況〕
さらに,人工衛星を自社で購入して活用するには,人工衛星開発会社,ロケット会社及びデータ処理会社を探して,各企業と個別に契約する必要がある。つまり,人工衛星を購入しても,それだけでは目的を達成できないという煩雑な状況に置かれている。
〔日本の宇宙事業の状況〕
人工衛星で収集したデータを扱うサービス事業を行っている会社(以下,データ処理会社という)及び行おうとしている会社は非常に多く,その利用目的ごとに複数存在するので競争が激しくなっている。
〔事業展開〕
方針②:超小型人工衛星を開発する企業が増えることを想定し,自社のシェアを維持するために購入者の利便性を高める工夫をする。
購入者の不便は〔日本の宇宙事業の状況〕に書かれている。人工衛星を購入して活用するには,人工衛星開発会社,ロケット会社,データ処理会社を探して各企業と個別に契約しなければならず,「人工衛星を購入しても,それだけでは目的を達成できないという煩雑な状況」にある。
人工衛星を売る R 社がこの煩雑さを引き受ければ,購入者の利便性が高まり,開発企業が増えても選ばれやすくなる。一つは,ロケット会社と提携して,購入者がロケット会社と個別に契約する必要をなくすこと。もう一つは,利用目的ごとに多数あるデータ処理会社の中から,目的に合う会社を探して仲介することである。解答例はこの二つを別解として挙げており,どちらか一方を書けばよい。
30字に対し,解答例は「ロケット会社と提携して個別に契約する必要をなくす。」で25字,「目的に合うデータ処理会社を探して仲介する。」で21字。本文の「探して」「個別に契約する必要」を使い,購入者の手間が何によって減るかを書く。
出典:平成29年度 秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(表記を一部改変)
ほかの年度
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 春期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 春期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 春期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 特別試験 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 春期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和7年度 春期 午後Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 春期 午後Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 春期 午後Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 春期 午後Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 春期 午後Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
令和元年度 秋期 午後Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 秋期 午後Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 秋期 午後Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 秋期 午後Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅰ
平成27年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成27年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 春期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅱ
平成25年度 春期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅱ
平成24年度 春期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅱ
平成23年度 特別試験 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅱ
平成22年度 春期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅰ