UML(Unified Modeling Language,統一モデリング言語)は,システムの構造と振る舞いを図で表すための標準の記法です。 オブジェクト指向の分析・設計で使われていた複数の記法をまとめたもので,標準化団体の OMG が仕様を定めています。 午前Ⅰとシステムアーキテクトの午前Ⅱでよく出ます。
ひとことで
UML は1つの図ではなく,目的ごとに使い分ける図の集まりです。 UML 2 の図は,ものの形を表す構造図と,動きを表す振る舞い図に大きく分かれます。
試験では「この目的にはどの図を使うか」がいちばんよく問われます。 それぞれの図が何に注目しているかを一言で言えるようにしておくと,選択肢を見分けられます。
比べて覚える:よく出る図
| 図 | 分類 | 何を表すか |
|---|---|---|
| クラス図 | 構造図 | クラスの属性・操作と,クラス間の関係(関連・汎化・集約など)と多重度 |
| オブジェクト図 | 構造図 | ある時点のインスタンス(オブジェクト)どうしの関係。クラス図の具体例 |
| ユースケース図 | 振る舞い図 | システムが提供する機能と,利用者や外部システム(アクタ)とのやり取り。システムの内と外の境界 |
| アクティビティ図 | 振る舞い図 | 処理の流れ。分岐・並行処理・同期を書ける。業務フローに向く |
| ステートマシン図 | 振る舞い図 | イベントによって状態がどう移り変わるか |
| シーケンス図 | 振る舞い図(相互作用図) | オブジェクト間のメッセージのやり取りを,時間の流れに沿って上から下へ並べる |
| コミュニケーション図 | 振る舞い図(相互作用図) | オブジェクト間のメッセージのやり取りを,オブジェクトのつながりに注目して書く |
同じやり取りを書く図でも,時間の順序に注目するのがシーケンス図,誰と誰がつながっているか(作業分担)に注目するのがコミュニケーション図です。 このほか構造図にはコンポーネント図・配置図・パッケージ図など,振る舞い図にはタイミング図などがあります。
クラス図の読み方
クラス図は,データモデル(どんな表を作るか)を考える問題にもよく使われます。読むときの決まりは次の3つです。
- 多重度:関連の線の端に,相手のインスタンスがいくつ対応するかを書きます。 「1」はちょうど1つ,「0..1」は0か1つ,「1..*」は1つ以上,「*」(「0..*」)は0以上です。 たとえば社員側から見た部門の多重度が「1」なら,どの部門にも所属しない社員は登録できません。
- 汎化:白抜きの三角の矢印で,共通の性質をまとめた上位のクラスを指します。 「“バス”,“トラック”などのクラスの共通部分を抽出し“自動車”クラスとして定義することを,汎化という。」が正解として3回出ています。
- 可視性:属性や操作の前の記号で,「+」が public(公開),「-」が private,「#」が protected,「~」が package です。
試験での問われ方
当サイトが収録している午前の問題のうち,UML かその図の名前が出てくるのは53問です。 午前Ⅰとシステムアーキテクトの午前Ⅱがそれぞれ22問で,残りはネットワークスペシャリスト(5問)などです。型ごとに数えると次のとおりです。
-
目的に合う図を選ぶ(23問)。いちばん多い型です。
- アクティビティ図(8問):業務フローで「処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図」を選ぶ問題が5回,特徴(「ある振る舞いから次の振る舞いへの制御の流れを表現する。」など)が3回
- ユースケース図(6問):「システムとアクタの相互作用を表現する。」や,システム内部と外部との境界を明示する図
- シーケンス図(6問):「オブジェクト間の相互作用を時間の経過に注目して記述するもの」(3問)と,イベント駆動型のアプリケーションでイベント処理のタイミングを設計するのに有用な図(3問)
- オブジェクト図(インスタンス間の関係),コミュニケーション図(各オブジェクトの作業分担),ステートマシン図の記法が1問ずつ
- クラス図とデータモデル(17問)。UML で書いたデータモデルから多重度や表の設計を読む問題(11問), 汎化(3問),操作の可視性(3問)です。注文と注文明細のクラス図を選ぶ問題は3回出ています。
- UML の活用シーン(4問)。正解はいつも「複数の観点でプロセスを表現するために,目的に応じたモデル図法を使用し,オブジェクトモデリングのために標準化された記述ルールで表現する。」です。
- ほかの用語の問題の選択肢(8問)。UML を拡張した SysML(3問),アジャイル開発の“INVEST”(3問。誤りの選択肢が「効率よくアクティビティ図を作成する。」), エンタープライズアーキテクチャ,MDA の問題に UML が並んでいます。
- このほか,分散データベースのコマンドの流れをシーケンス図の記法で書いた問題が1問あります。
出題された過去問(53問)
リンク先の年度ページで,問題と解説を読めます。
午前Ⅰ(高度試験 共通)(22問)
- 令和7年度 秋期 問16UML のダイアグラムのうち,インスタンス間の関係を表現するものはどれか。
- 令和6年度 秋期 問25UML の図のうち,業務要件定義において,業務フローを記述する際に使用する,処理の分岐や並行処理…
- 令和5年度 春期 問9UML を用いて表した図のデータモデルの a,b に入れる多重度はどれか。
- 令和4年度 春期 問25UML の図のうち,業務要件定義において,業務フローを記述する際に使用する,処理の分岐や並行処理…
- 令和3年度 秋期 問16UML における振る舞い図の説明のうち,アクティビティ図のものはどれか。
- 令和2年度 10月 問9UML を用いて表した図のデータモデルから,“部品”表,“納入”表及び“メーカ”表を関係データベ…
- 令和2年度 10月 問16UML のアクティビティ図の特徴はどれか。
- 平成31年度 春期 問25要件定義において,利用者や外部システムと,業務の機能を分離して表現することによって,利用者を含め…
- 平成30年度 秋期 問23業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。
- 平成29年度 春期 問25業務要件定義において,業務フローを記述する際に,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる…
- 平成28年度 秋期 問16UML のユースケース図の説明はどれか。
- 平成28年度 春期 問25表は,ビジネスプロセスを UML で記述する際に使用される図法とその用途を示している。表中の b…
- 平成27年度 春期 問24エンタープライズアーキテクチャ(EA)を説明したものはどれか。
- 平成26年度 春期 問8UML を用いて表した部門と社員の関係を表すデータモデルの説明のうち,適切なものはどれか。
- 平成26年度 春期 問9分散データベースにおいて図のようなコマンドシーケンスがあった。調停者がシーケンス a で発行した…
- 平成26年度 春期 問23業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。
- 平成25年度 春期 問16図は“顧客が商品を注文する”を表現した UML のクラス図である。“顧客が複数の商品をまとめて注…
- 平成25年度 春期 問25業務要件定義において,業務フローを記述する際に,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる…
- 平成24年度 春期 問24業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。
- 平成23年度 特別試験 問15図は“顧客が商品を注文する”を表現した UML のクラス図である。“顧客が複数の商品をまとめて注…
- 平成22年度 春期 問16UML 2.0 において,オブジェクト間の相互作用を時間の経過に注目して記述するものはどれか。
- 平成21年度 春期 問11次の概念データモデルの解釈として,適切なものはどれか。ここで,モデルの記法として UML を用い…
システムアーキテクト 午前Ⅱ(22問)
- 令和7年度 春期 問13要件定義において,システムが提供する機能単位と利用者又は外部システムとの間の相互作用や,システム…
- 令和6年度 春期 問1アジャイル開発プロセスにおいて,Bill Wake が提案した“INVEST”と呼ばれる六つの観…
- 令和5年度 春期 問3複数のシステムの組合せによって実現する SoS(System of Systems)をモデル化す…
- 令和5年度 春期 問9UML 2.0 のステートマシン図の記法に適合している図はどれか。
- 令和3年度 春期 問4イベント駆動型のアプリケーションプログラムにおけるイベント処理のタイミングを設計するのに有用なも…
- 令和3年度 春期 問14要件定義において,システムが提供する機能単位と利用者又は外部システムとの間の相互作用や,システム…
- 令和元年度 秋期 問14UML の図のうち,業務要件定義において,業務フローを記述する際に使用する,処理の分岐や並行処理…
- 平成29年度 秋期 問1アジャイル開発プロセスにおいて,Bill Wake が提案した“INVEST”と呼ばれる六つの観…
- 平成29年度 秋期 問3図は“顧客が商品を注文する”を表現した UML のクラス図である。“顧客が複数の商品をまとめて注…
- 平成29年度 秋期 問4複数のシステムの組合せによって実現する SoS(System of Systems)をモデル化す…
- 平成29年度 秋期 問7イベント駆動型のアプリケーションにおけるイベント処理のタイミングを設計するのに有用なものはどれか…
- 平成29年度 秋期 問21UML を用いて表した図のデータモデルを基にして設計したテーブルのうち,適切なものはどれか。ここ…
- 平成27年度 秋期 問2UML を使って図のクラス P を定義した。このクラスの操作のうち,公開可視性(public)を…
- 平成26年度 秋期 問21階層構造をもつ組織と社員の所属を表す UML のクラス図のうち,“社員は組織階層中のどの組織にも…
- 平成25年度 秋期 問1UML を使って図のクラス P を定義した。このクラスの操作のうち,公開可視性(public)を…
- 平成25年度 秋期 問3イベント駆動型のアプリケーションにおけるイベント処理のタイミングを設計するのに有用な図はどれか。
- 平成24年度 秋期 問21社員と年の対応関係を UML のクラス図で記述する。二つのクラス間の関連が次の条件を満たす場合,…
- 平成23年度 秋期 問1UML を使って図のクラス P を定義した。このクラスの操作のうち,公開可視性(public)を…
- 平成23年度 秋期 問4ソフトウェア方式設計時の“ソフトウェア構造とコンポーネントの方式設計”において,機能要求を実現す…
- 平成22年度 秋期 問17業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。
- 平成22年度 秋期 問21概念データモデルの解釈として,適切なものはどれか。ここで,モデルの表記には UML を用いる。
- 平成21年度 秋期 問1UML のアクティビティ図の特徴はどれか。
ネットワークスペシャリスト 午前Ⅱ(5問)
- 令和5年度 春期 問24SysML の説明として,適切なものはどれか。
- 令和元年度 秋期 問24UML のユースケース図の説明はどれか。
- 平成25年度 秋期 問25次のクラス図におけるクラス間の関係の説明のうち,適切なものはどれか。
- 平成24年度 秋期 問25組込みソフトウェアなどの設計にも有効な技法であって,システムをプラットフォームに依存する部分と依…
- 平成23年度 秋期 問24次のクラス図におけるクラス間の関係の説明のうち,適切なものはどれか。
情報処理安全確保支援士 午前Ⅱ(3問)
- 平成30年度 春期 問22UML 2.0 において,オブジェクト間の相互作用を時間の経過に注目して記述するものはどれか。
- 平成26年度 春期 問22UML 2.0 において,オブジェクト間の相互作用を時間の経過に注目して記述するものはどれか。
- 平成22年度 春期 問22次のクラス図におけるクラス間の関係の説明のうち,適切なものはどれか。
プロジェクトマネージャ 午前Ⅱ(1問)
- 令和7年度 秋期 問13アジャイル開発プロセスにおいて,Bill Wake が提案した“INVEST”と呼ばれる六つの観…
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