高度試験は,午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱで問われる力がまったく違います。 午前は知識の量,午後Ⅰは事例を読んで答える技術,午後Ⅱは自分で答案を組み立てる力です。 このページでは,科目ごとの勉強の進め方と,このサイトでの演習のしかたをまとめます。
はじめに:どの科目も落とせない
高度試験は,前の科目が基準点に届かないと,その後の科目は採点されません。 午後の対策に時間をかけても,午前Ⅰや午前Ⅱで落ちると結果に結びつかないということです。 午前の勉強は早めに始めて,ほかの科目と並行して続けるのがおすすめです。
試験区分と科目の組み立ては情報処理技術者試験とはにまとめています。 午前Ⅰの免除を受けられる方は,午前Ⅱから始めてかまいません。
午前Ⅰ・午前Ⅱ:過去問を間隔をあけて繰り返す
午前は四肢択一で,過去に出た問題とよく似た問題,ときには同じ問題がくり返し出ます。 そのため,過去問をくり返し解くのがいちばんの近道です。 ただし,同じ問題を続けて解くと答えの位置を覚えてしまい,わかったつもりになりがちです。 次のように,数週間あけて解き直すサイクルを回すのがおすすめです。
- 1つの年度をひと通り解き,正答率を記録する
- 間違えた問題の解説を読み,その場でもう一度解いて復習する
- 数週間あけてから,同じ年度をもう一度解く。正答率を記録し,また間違えた問題を復習する
- これをくり返す
正答率が回を追うごとに上がっていれば,知識が身についている証拠です。 反対に,何度解いても間違える問題は,そこが苦手な分野だということです。 苦手な問題・分野は,解説だけでなく用語の意味から復習し直してください。
午前Ⅱは,ほかの試験区分の午前Ⅱで出た問題が再び出ることもあります。 たとえば,セキュリティやネットワークの問題は複数の区分にまたがって出題されます。 自分の区分の過去問を一通り終えて余裕があれば,近い分野の区分の午前Ⅱも解いておくと安心です。
このサイトでの演習のしかた
- 「年度別に演習」で1つの年度を解くと,正答率が演習履歴に残ります。2回目以降と見比べてください
- 解いたあとは「間違えた問題を復習」で,直近の解答で間違えた問題だけを解き直せます
- 何度も間違える問題はブックマークしておくと,あとでまとめて演習できます
- 「ランダムに演習」の「まだ解いていない問題だけ」を使うと,取りこぼしを埋められます
- 苦手な用語は用語解説で,実際に出た過去問とあわせて確かめられます
午後Ⅰ:まず解き方を身につける
午後Ⅰは,数ページの事例を読み,設問に記述で答える試験です(90分で3問のうち2問を解答)。 知識があっても,問題文の読み方と答案の作り方を知らないと点数になりません。 いきなり数をこなすより,先に解き方を身につけるほうが早く伸びます。
問題文は「設問を先に」読む
問題文を最初から最後まで,すべてじっくり読む必要はありません。 先に設問に目を通し,何を問われているのかを押さえてから問題文を読みます。 問われていることがわかっていれば,問題文のどこが大事なのかがわかり,読む速さも上がります。
- 設問の多くは,問題文の下線部(①,②…)や空欄(a,b…)に結びついています。下線部や空欄の前後は特に丁寧に読みます
- 設問に「〔運用の現状〕について」のように見出しが書かれていれば,答えの根拠はその節の中にあります
- 読みながら,設問に関係しそうな箇所に印を付けておくと,答案を書くときに探し直さずに済みます
答えの根拠は問題文の中にある
午後Ⅰで問われるのは「一般的に正しいこと」ではなく,その事例の状況で何が言えるかです。 自分の職場ならこうする,という経験や知識だけで答えると,問題文の条件から外れた答案になりがちです。 問題文に書かれた制約(予算・期間・体制・既存の設備など)や,さりげなく書かれた一文が答えの手がかりになっていることがよくあります。 使われていない記述があったら,どこかの設問の手がかりではないかと疑ってみてください。
設問のパターンを知っておく
設問の聞き方には,ある程度の型があります。型ごとに答え方を決めておくと迷いが減ります。
| 聞き方の例 | 答え方 |
|---|---|
| 空欄に入れる字句を答えよ/本文中の字句で答えよ | 用語の知識を問う。「本文中の字句で」とあれば,問題文の言葉をそのまま抜き出す |
| 〜とあるが,その理由(目的)を答えよ | 理由なら「〜ため」,目的なら「〜するため」で終える。問題文の状況に沿った理由を選ぶ |
| どのような問題(リスク)があるか | 何が起きて,どう困るのかまで書く。「〜が〜になり,〜できなくなる」の形にすると伝わりやすい |
| どのような対策(方法)をとるべきか | 問題文の制約の中で実行できる具体策を書く。一般論の対策だけでは点になりにくい |
| 数値を求めよ | 問題文の表や条件から計算する。単位と,どの値を使ったかを確かめる |
答案の作り方
- 問われた形で答える。「理由」を問われたら理由を,「対策」を問われたら対策を書き,ほかのことを混ぜない
- できるだけ問題文で使われている言葉を使う。言い換えると,採点で意図が伝わりにくくなる
- 答えは1つに絞る。思いついたことを並べると,正しい答えが含まれていても評価が下がることがある
- 字数の制限は「上限」だが,短すぎる答案は要素が足りないことが多い。制限の7〜8割を目安に,必要な要素がそろっているかを見直す
練習の進め方
- 最初の数問は,制限時間を気にせずじっくり解く。上の読み方と答え方を試しながら,解答例と比べて「どこを読めば答えが出たのか」を確かめる
- 次に,本番と同じ制限時間をつけて解く。90分で2問なので,1問あたり40分強が目安
- 解けなかった原因を分ける。時間が足りなかったのか,解き方(読み方)が違っていたのか,答案の作り方がよくなかったのかで,やるべきことが変わる
- 苦手だとわかったところを重点的に練習する(時間不足なら読む順番,読み方なら根拠の探し方,答案なら書き方)
- もう一度,制限時間をつけて解き,正答できる設問の割合が上がっているかを確かめる
このサイトでの演習のしかた
- 午後Ⅰは「問題を選んで演習」で1問ずつ解けます。「制限時間をつける」で本番と同じ時間を計れます
- 答案を書いたら,IPA の解答例と見比べて設問ごとに○△×で自己採点します。運営者の解説では,問題文のどこが手がかりになるかを説明しています
- 自己採点で△や×を付けた設問は,あとで「書けなかった設問を見返す」から読み返せます
ネットワークスペシャリストの午後Ⅱと,情報処理安全確保支援士の午後は記述式です。 事例が長く,試験時間も長くなりますが,進め方は午後Ⅰと同じです。
午後Ⅱ(論述式):題材と時間配分を先に用意する
ITストラテジスト・システムアーキテクト・プロジェクトマネージャ・ITサービスマネージャ・システム監査技術者の午後Ⅱは, 2問から1問を選び,120分で答案を書く論述式です。 設問はア・イ・ウの3つで,字数は次のとおりです(このサイトに収録している論述式の午後Ⅱで確かめました)。 設問アには,令和7年度から400字以上という下限が付きました。
| 設問 | 字数 | 主に書くこと |
|---|---|---|
| ア | 400字以上 800字以内 (令和6年度までは800字以内) | 自分が関わったシステムや業務の概要と,自分の立場 |
| イ | 800字以上 1,600字以内 | 問題文のテーマに沿って,何に取り組み,どう工夫したか(答案の中心) |
| ウ | 600字以上 1,200字以内 | 取組みの評価と今後の改善,または設問イの続き(区分や年度によって違う) |
2時間で合わせて2,000〜3,000字ほどを書くので,その場で一から考えていては間に合いません。 論述式では一般に,書く材料と時間の使い方を試験の前に決めておくのがよいとされています。
題材を複数用意しておく
論述の題材にする経験(プロジェクトやサービスなど)を,1つではなく複数用意しておきます。 本番では問題文を読んでから,そのストーリーに合う題材を選んで使います。 題材が1つだけだと,問題のテーマに合わないときに無理に当てはめることになり,問われたことからずれた答案になりがちです。
設問アの概要と,設問イの「起きた問題と対応」のセットを用意する
設問アで書く概要(システムや業務の規模,関係者,自分の役割など)は,題材ごとに先に書いておけます。 設問イで中心になる取組みは,「起きた問題」と「それにどう対応したか」のセットとしていくつか用意しておくと, さまざまなテーマに対応できます。たとえば次のような場面です。
- 途中で要件が変わった
- 要員が交代した,または足りなくなった
- スケジュールが遅れた
- システム障害が起きた
セットごとに,「なぜその対応を選んだのか」「ほかにどんな案があり,なぜ採らなかったのか」まで考えておくと, 設問イに厚みが出て,設問ウの評価や改善にもつなげやすくなります。
ただし,用意した文章をそのまま書き写すのではなく,問題文で問われていることに合わせて組み立て直すことが大切です。 IPA の採点講評でも,設問の趣旨や題意に沿っていない論述がたびたび指摘されています。
時間配分を最初に決める
どの作業に何分使うかを先に決めておき,本番ではそれに沿って進めます。目安の例は次のとおりです。
| 作業 | 目安 |
|---|---|
| 2問の問題文を読み,解く問題を選ぶ | 10分 |
| 答案の構成を考える(設問ごとに何を書くかのメモ) | 15分 |
| 設問アを書く | 20分 |
| 設問イを書く | 45分 |
| 設問ウを書く | 25分 |
| 見直す | 5分 |
書く時間は設問ア〜ウで合わせて90分です。 たとえば設問アを700字,設問イを1,300字,設問ウを700字(合計2,700字)書くなら, 1分あたり約30字のペースが必要です。 まずは自分が1分で何字書けるかを測っておくと,配分を決めやすくなります。
配分は書く速さによって変わるので,実際に時間を計って何本か書き,自分に合った配分に直してください。 2026年度からの CBT 方式で答案をどう入力するかは,申し込む前に IPA の案内で確かめ, 本番と同じ書き方で練習しておくと安心です。
このサイトでの演習のしかた
- 午後Ⅱは解答例を載せていません(IPA も公表していません)。かわりに,IPA の出題趣旨と採点講評を設問ごとの字数と合わせて読めます
- 問題文を読んで題材を選び,構成のメモを作るまでの練習だけでも,時間を計ってやってみると効果があります
- 書いた答案は,出題趣旨で求められていることに答えているか,採点講評で指摘されている書き方になっていないかを見直してください
演習を始める
試験区分を選ぶと,午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの過去問を演習できます。 どこから始めるか迷ったら,どの区分でも同じ問題が出る午前Ⅰから始めてみてください。