信頼性設計(フェールセーフ・フェールソフト・フールプルーフ)
故障や操作の誤りは,どんなシステムでも起こり得ます。信頼性設計の言葉は,起きたときにどうするか,そもそも起こさないようにするかの違いで区別されています。 科目A-1(午前Ⅰ)のほか,PM・SC・SA・SM・NW の科目A-2(午前Ⅱ)にも繰り返し出ていて,ほとんどが名前と例を対応させる問題です。
故障を防ぐか,故障に耐えるか
| 考え方 | やり方 | 例 |
|---|---|---|
| フォールトアボイダンス | 構成要素の一つ一つの品質を高め,故障そのものを起こさない | 品質管理を徹底する,信頼性の高い部品を使う |
| フォールトトレランス | 故障が起きても,システム全体としては正常に動き続ける | システム全体を二重化する |
故障が起きたときの振る舞い
| 考え方 | 故障したら | 例 |
|---|---|---|
| フェールセーフ | 安全な側に止める(固定する) | 交通管制システムが故障したら,信号機を赤にする |
| フェールソフト | 故障した部分を切り離し,機能や性能を落として動き続ける | ハードウェアの障害時に,構成を縮小して運転を続ける(縮退運転) |
| フェールオーバ | 故障した系を切り離し,待機系に自動で切り替える | クラスタで,障害ノードの代わりに代替ノードでアプリケーションを動かす |
フェールセーフは「止めてでも安全」,フェールソフトは「落としてでも続ける」と覚えると取り違えません。 どちらを選ぶかは,止まったときと動き続けたときのどちらが危ないかで決まります。 不具合の箇所を切り離して残りで処理を続けるフォールバックも,フェールソフトの一つのやり方です。
フェールオーバは待機系にすぐ切り替えるので,故障の起きやすさ(MTBF)は変わりませんが,復旧までの時間(MTTR)が短くなります。
人の誤りに備える:フールプルーフ
フールプルーフは,利用者が誤った操作やデータの入力をしても,システムが誤動作したり異常終了したりしないようにする考え方です。 故障ではなく人の誤りに備える点が,ほかの言葉と違います。
- 入力されたデータをチェックし,前提に合わなければエラーメッセージを出して再入力を促す
- メニュー画面で,使用権限のない機能は実行できないようにする
- 動いている機械の近くに人が立ち入ったら,センサで感知して機械を止める(インタロック)
試験での問われ方
当サイトが収録している科目A(午前)の問題のうち,フェールセーフ・フェールソフト・フールプルーフなどの語が出てくるのは40問です。 同じ問題が何度も再出題されています。型ごとに数えると次のとおりです。
- フェールソフト(15問)。フェールソフトの例を選ぶ問題がほとんどで,正解は「ハードウェアの障害時に,パフォーマンスは低下するが,構成を縮小して運転を続けられるようにする。」です(12問)。 このほか,フェールソフトの説明や動作(「性能が低下しても,処理を継続する。」など)と,フォールバックの説明です。
- フールプルーフ(10問)。データチェックの方針や,誤入力でも異常終了させない設計の説明を読んで用語を選ぶ問題(8問)がほとんどで, ほかにフールプルーフに当たる例(「メニュー画面上の使用権限のない機能は,実行できないようにする。」)とインタロックの例です。
- フェールセーフ(7問)。フェールセーフの考えで設計したもの(「交通管制システムが故障したときには,信号機に赤色が点灯するようにする。」,4問)と, フェールセーフの考え方(「システムに障害が発生したときでも,常に安全側にシステムを制御する。」など)です。
- フォールトトレランス・フォールトアボイダンス・フェールオーバ(7問)。信頼性向上技術の記述から正しいものを選ぶ問題で, 誤りの選択肢では言葉と説明が入れ替えてあります(フェールセーフの説明に誤操作の防止を書くなど)。 フェールオーバが MTBF ではなく MTTR に効くことを問う問題もあります。
- このほか,ハンドオーバーを選ぶ問題の選択肢に出てきます。
出題された過去問(40問)
リンク先の年度ページで,問題と解説を読めます。
科目A-1(午前Ⅰ・高度試験 共通)(11問)
- 令和6年度 春期 問5システムの信頼性設計に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 令和5年度 春期 問11モバイル通信サービスにおいて,移動中のモバイル端末が通信相手との接続を維持したまま,ある基地局経…
- 平成31年度 春期 問16フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。
- 平成30年度 秋期 問16安全性と信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。
- 平成27年度 秋期 問5クラスタリングシステムで,ノード障害が発生したときに信頼性を向上させる機能のうち,適切なものはど…
- 平成25年度 秋期 問5フェールセーフの考え方として,適切なものはどれか。
- 平成25年度 春期 問6システムの信頼性向上技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 平成24年度 春期 問16安全性や信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。
- 平成23年度 秋期 問9フールプルーフに該当するものはどれか。
- 平成22年度 秋期 問5システムの信頼性向上技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 平成21年度 秋期 問5フェールセーフの考え方として,適切なものはどれか。
情報処理安全確保支援士 科目A-2(午前Ⅱ)(10問)
- 令和4年度 春期 問22システムに規定外の無効なデータが入力されたとき,誤入力であることを伝えるメッセージを表示して正し…
- 令和3年度 秋期 問24情報システムの設計の例のうち,フェールソフトの考え方を適用した例はどれか。
- 令和元年度 秋期 問24情報システムの設計の例のうち,フェールソフトの考え方を適用した例はどれか。
- 平成29年度 秋期 問24情報システムの設計のうち,フェールソフトの考え方を適用した例はどれか。
- 平成28年度 春期 問22フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。
- 平成25年度 秋期 問22安全性と信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。
- 平成25年度 春期 問24情報システムの設計のうち,フェールソフトの例はどれか。
- 平成23年度 秋期 問24情報システムの設計において,フェールソフトが講じられているのはどれか。
- 平成23年度 特別試験 問22操作に不慣れな人も利用するシステムでは,間違ったデータが入力されることが想定される。誤入力が発生…
- 平成22年度 春期 問24情報システムの設計において,フェールソフトが講じられているのはどれか。
システムアーキテクト 科目A-2(午前Ⅱ)(6問)
- 令和6年度 春期 問23システムに異常が起きた際の対応方法の一つであるフェールソフトとして,適切な動作はどれか。
- 令和4年度 春期 問23幾つかのサブシステムから成るシステムの信頼性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 令和3年度 春期 問23フォールトトレランスに関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 平成29年度 秋期 問8フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。
- 平成27年度 秋期 問19フォールトトレランスに関する説明のうち,適切なものはどれか。
- 平成22年度 秋期 問20フェールソフトの説明として,適切なものはどれか。
プロジェクトマネージャ 科目A-2(午前Ⅱ)(6問)
- 令和3年度 秋期 問19情報システムの設計の例のうち,フェールソフトの考え方を適用した例はどれか。
- 平成28年度 春期 問17フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。
- 平成28年度 春期 問21情報システムの設計のうち,フェールソフトの考え方を適用した例はどれか。
- 平成27年度 春期 問16安全性と信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。
- 平成25年度 春期 問19情報システムの設計のうち,フェールソフトの例はどれか。
- 平成22年度 春期 問20情報システムの設計において,フェールソフトが講じられているのはどれか。
ITサービスマネージャ 科目A-2(午前Ⅱ)(5問)
- 令和5年度 春期 問3情報システムの設計の例のうち,フェールソフトの考え方を適用した例はどれか。
- 令和3年度 春期 問9システムの安全性や信頼性を向上させる考え方のうち,フェールセーフはどれか。
- 平成30年度 秋期 問20信頼性設計においてフールプルーフを実現する仕組みの一つであるインタロックの例として,適切なものは…
- 平成23年度 秋期 問4情報システムの設計において,フェールソフトが講じられているのはどれか。
- 平成23年度 秋期 問21信頼性設計におけるフォールバックを説明したものはどれか。
ネットワークスペシャリスト 科目A-2(午前Ⅱ)(2問)
- 令和6年度 春期 問24安全性と信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。
- 令和4年度 春期 問24システムに規定外の無効なデータが入力されたとき,誤入力であることを伝えるメッセージを表示して正し…