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平成22年度 春期 午前Ⅱ

平成22年度 春期に実施されたプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱの全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:プロジェクトマネージャ試験について

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問1

PMBOK のプロジェクト憲章は,何のために発行するのか。

正解 エ

解説

PMBOK ガイドでは,プロジェクト憲章は,プロジェクトの存在を公式に認可し,プロジェクトマネージャに組織の資源を使う権限を与える文書と位置付けられている。プロジェクトの立上げの段階で,スポンサなどプロジェクトの外部の承認者が発行する。エが正しい。

アのプロジェクトの方針をメンバに示すことは,キックオフなどで行うコミュニケーションの話で,憲章を発行する目的ではない。イの資金調達の交渉は憲章の発行より前の事業判断の段階の活動である。ウのプロジェクトマネジメント計画書は,憲章で認可されたあとに計画プロセスで作成するものである。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問2

COCOMO にはシステム開発の工数を見積もる式の一つに

MM=3.0×(KDSI)1.12

がある。開発規模(KDSI)と開発生産性(KDSI/MM)の関係を表したグラフはどれか。ここで,MM は開発工数(人月),KDSI は開発規模(注釈を除いたソースコードの行数,単位は k 行)である。

正解 エ

解説

開発生産性は開発規模 ÷ 開発工数なので,式を代入すると 規模 ÷(3.0×規模1.12)= 規模−0.12 ÷ 3.0 となる。指数がマイナスなので,規模が大きくなるほど生産性は下がる。さらに,指数の絶対値が小さい累乗の曲線なので,規模が小さいうちは大きく下がり,規模が大きくなるにつれて下がり方は緩やかになる。この形はエである。

指数が1を超える(1.12)ことは,規模が大きくなると工数がそれ以上の割合で増える,つまり大規模ほど調整や管理の負担で効率が落ちることを表している。アとイは生産性が上がるグラフで逆。ウは下がり方が次第に急になっており,曲線の曲がり方が逆である。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

PMBOK のプロジェクトスコープマネジメントにおいて作成するプロジェクトスコープ記述書の説明のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

PMBOK のプロジェクトスコープ記述書は,プロジェクトの要素成果物(成果物)と,それを生み出すために必要な作業を記述する文書である。成果物の受入れ基準,スコープから除外する事項,制約条件や前提条件なども書く。ウが正しい。

アは順序が逆で,WBS はスコープ記述書を基に作成し,スコープ記述書と WBS などを合わせたものがスコープベースラインになる。イは誤りで,スコープに含まれない事項も除外事項として明記し,関係者の認識のずれを防ぐ。エの予算の見積りやスケジュールの策定は,コストやタイムのマネジメントのプロセスで行う。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問4

工程管理図表の特徴に関する記述のうち,ガントチャートの特徴はどれか。

正解 ウ

解説

ガントチャートは,縦に作業を並べ,横軸の時間に沿って各作業の予定と実績を横棒で表す図である。作業ごとの計画に対する実績が一目で分かるので,個人やグループの進捗管理に向く。一方,作業どうしの前後関係は表せない。ウが正しい。

アは計画と実績の推移を線で表し,費用と進捗を同時に管理するトレンドチャートの特徴である。イは作業の順序と相互関係を表し,クリティカルパスなどの重要作業を把握するアローダイアグラム(PERT 図)の特徴である。エは節目となる時点を示して全体の進捗を管理するマイルストーンチャートの特徴である。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

クリティカルチェーン法の説明はどれか。

正解 エ

解説

クリティカルチェーン法は,作業の依存関係に加えて,同じ要員などの資源を複数の作業が取り合う依存関係も考慮して,最も長い作業の連なり(クリティカルチェーン)を求め,スケジュールを管理する手法である。各作業の見積りから余裕を取り除き,まとめてバッファとして最後や合流点に置いて管理する。エが正しい。

アのアローダイアグラムで各作業の余裕日数を算出するのは,PERT やクリティカルパス法である。イはエラー発生時の対応手順を事前に決めておくことで,障害対応の計画の話である。ウのようにクリティカルパスが変わったときの変更手法という説明は,クリティカルチェーン法の説明ではない。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

用語解説:クリティカルパス

問6

システムを開発するときの費用管理と進捗管理を同時に行うために,トレンドチャートを用いる。マイルストーンの予定の位置から実績の位置に結んだ矢印が垂直に下に向かっているときの費用と進捗に関する状況説明として,適切なものはどれか。

横軸が開発期間(0〜11か月),縦軸が予算消化率(%,0〜100)のトレンドチャート。予定は破線,実績は実線。予定の線は0から約2.7か月で約8%,約6.5か月で約65%,9か月で約72%,11か月で100%へと折れ曲がる。実績の線は0から約2.3か月で約18%,約6.5か月で約53%へ進む。約2.5か月のマイルストーンでは予定の位置から実績の位置へ上向きの矢印があり,約6.5か月のマイルストーンでは予定の位置(約65%)から実績の位置(約53%)へ垂直に下向きの矢印がある。

正解 ア

解説

トレンドチャートは,横軸に開発期間,縦軸に予算消化率をとり,マイルストーンごとに予定と実績を記入して,進捗と費用を同時に管理する図である。予定の位置から実績の位置への矢印が横にずれていれば,マイルストーンの達成時期がずれている(進捗の遅れや進み)ことを,縦にずれていれば,予算の消化が予定と違うことを表す。

矢印が垂直に下に向かっているのは,マイルストーンを予定どおりの時期に達成し,そのときの予算消化率が予定より低いことを表すので,進捗が予定どおりで費用が予算を下回っている。アが適切である。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

プロジェクト期間の80%を経過した時点での進捗率が70%,発生したコストは8,500万円であった。完成時総予算は1億円であり,プランドバリューはプロジェクトの経過期間に比例する。このときの適切な分析結果はどれか。

正解 イ

解説

完成時総予算(BAC)が1億円なので,出来高70%のアーンドバリュー(EV)は7,000万円,期間の80%が経過した時点のプランドバリュー(PV)は8,000万円,実コスト(AC)は発生したコストの8,500万円である。コスト差異は EV−AC=7,000−8,500=−1,500万円で,イが正しい。

アの8,500万円は AC の値,ウの7,000万円は EV の値で,それぞれ取り違えている。エのスケジュール差異は EV−PV=7,000−8,000=−1,000万円で,−500万円ではない。差異がマイナスなら,コストは超過,スケジュールは遅延を表す。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

用語解説:EVM(アーンドバリューマネジメント)

問8

過去のプロジェクトの開発実績から構築した作業配分モデルがある。要件定義からシステム内部設計までをモデルどおりに228日で完了してプログラム開発に入り,200本のプログラムのうち100本のプログラム開発を完了し,残り100本は未着手である。プログラム開発以降もモデルどおりに進捗するとき,プロジェクト全体の完了まで,あと何日かかるか。

作業配分モデルの表。工数比:要件定義 0.17,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.16,プログラム開発 0.16,システム結合 0.11,システムテスト 0.19。期間比:要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11,プログラム開発 0.11,システム結合 0.11,システムテスト 0.21。

正解 イ

解説

期間比で見ると,システム要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11 の合計 0.57 が 228 日に当たるので,全体の期間は 228÷0.57=400 日。プログラム開発は 400×0.11=44 日で,200 本中 100 本が終わっているので残りは 22 日。システム結合は 400×0.11=44 日,システムテストは 400×0.21=84 日。残りの合計は 22+44+84=150 日。

工数比の列は,人員をどう割り振るかを見るための値で,期間の計算には使わない。工数比で同じ計算をすると別の値になるので,どちらの比を使うかを取り違えないことが要点。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

情報システムの企画,開発,運用,保守作業にかかわる国際標準の一つである SPA(Software Process Assessment)の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

SPA(Software Process Assessment)は,組織のソフトウェアプロセスの能力を評価するための枠組みで,国際規格 ISO/IEC 15504 として標準化された。プロセスがどの程度標準化,定量化され,継続的に改善されているかを成熟度や能力水準で判定し,プロセス改善に役立てる。アが該当する。

イはソフトウェアライフサイクルプロセスを定めた ISO/IEC 12207(共通フレーム),ウは品質マネジメントシステムの要求事項を定めた ISO 9000 シリーズ,エはプロジェクトマネジメントの知識体系ガイドである PMBOK の説明である。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

JIS X 0129-1 で定義されたソフトウェアの品質特性の説明のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

JIS X 0129-1 は機能性を“ソフトウェアが,指定された条件の下で利用されるときに,明示的及び暗示的必要性に合致する機能を提供するソフトウェア製品の能力”と定義している。アが正しい。

イの“理解,習得,利用でき,利用者にとって魅力的である”能力は使用性の定義で,効率性ではない。ウの“使用する資源の量に対比して適切な性能を提供する”能力は効率性の定義で,信頼性ではない。エの“指定された達成水準を維持する”能力は信頼性の定義で,保守性ではない。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

用語解説:JIS X 25010(システム及びソフトウェア品質モデル)

問11

品質の定量評価の指標のうち,ソフトウェアの保守性の評価指標になるものはどれか。

正解 イ

解説

保守性は,不具合を見つけて直すのがどれだけ容易かを表す品質特性。1件あたりの平均修正時間(修正時間の合計÷修正件数)が短いほど保守しやすいので,これが保守性の指標になる。

アは欠陥密度で信頼性の指標,ウは移植に伴う変更量の割合で移植性の指標。エは改良要求の発生頻度であり,ソフトウェアの保守性そのものを測るものではない。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

マグレガーの Y 理論の考え方はどれか。

正解 イ

解説

マグレガーは,人間観を X 理論と Y 理論に分けた。X 理論は“人間は本来仕事が嫌いで,命令や強制がなければ働かない”とみる考え方,Y 理論は“人間は条件次第で自ら進んで仕事に取り組み,責任を引き受けるだけでなく自ら責任を取ろうとする”とみる考え方である。イが Y 理論に当たる。

アの他人から認められたい欲求は,マズローの欲求段階説の承認(尊厳)の欲求,ウの脅威を受けずに安全に生きたい欲求は安全の欲求である。エの自己中心的で組織の要求に無関心という見方は X 理論に近い。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

データのグラフ化のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

散布図は,二つの量を縦軸と横軸にとって点を打ち,両者の相互関係(相関)を見るためのグラフである。店舗ごとの売場面積と売上の関係を見るのに適しており,エが正しい。

アのシェア(構成比)の比較には円グラフや帯グラフが向く。レーダチャートは複数の指標のバランスを比べるものである。イの科目別の正答率の比較には棒グラフやレーダチャートが向き,円グラフは一つの全体の内訳を示すものである。ウは,縦軸の最大値を売上に合わせると経常利益の線がつぶれて変化が読み取れない。二つの縦軸を使うなどの工夫が要る。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

PMBOK のリスクマネジメントでは,定性的リスク分析でリスク対応計画の優先順位を設定し,定量的リスク分析で数値によるリスクの等級付けを行う。定性的リスク分析で使用されるものはどれか。

正解 エ

解説

発生確率・影響度マトリックスは,各リスクの発生確率と影響度をそれぞれ段階で評価し,その組合せの位置からリスクの優先順位を決める表で,定性的リスク分析で使う。エが正しい。

アの感度分析,イの期待金額価値分析,ウのデシジョン・ツリーは,リスクがプロジェクトの目標に与える影響を金額や日数などの数値で求める技法で,いずれも定量的リスク分析で使う。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問15

要件定義フェーズにおいて BPMN(Business Process Modeling Notation)を導入する効果として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

BPMN は,業務プロセスをイベント,アクティビティ,ゲートウェイ,シーケンスフローなどの標準化された図記号で表記する方法で,OMG が仕様を管理している。業務担当者とシステム開発者が同じ表記法で業務の流れを共有できるので,要件定義で業務の流れを統一的な表記方法で表現できる。イが適切である。なお,BPMN 2.0 からは名称が Business Process Model and Notation に改められている。

アの業務の実施状況や実績を定量的に把握するのは,BAM(Business Activity Monitoring)などの業務の監視の仕組みの役割である。ウの業務要件からデータモデルを自動生成する機能は,BPMN という表記法がもつ効果ではない。エの E-R 図は,データのエンティティと関連を表すデータモデリングの表記法で,BPMN とは別のものである。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

用語解説:データベースの設計(正規化・E-R 図・参照制約)

問16

論理データモデル作成におけるトップダウンアプローチ,ボトムアップアプローチに関する記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

論理データモデルの作成で,トップダウンアプローチは,業務の目的や概念から主要なエンティティとその関連を洗い出して全体の構造を作る方法,ボトムアップアプローチは,現状の画面や帳票などに現れるデータ項目を集め,正規化して積み上げる方法である。どちらから作っても,最終的な論理データモデルは正規化され,業務に必要な属性を全て備えていなければならない。イが適切である。

アは誤りで,トップダウンアプローチでも現状業務を分析してエンティティを洗い出すことはできる。ウの現状の画面や帳票を素材とするのはボトムアップアプローチの特徴である。エも誤りで,ボトムアップアプローチは新規システムの設計でも用いられ,二つの方法を組み合わせて使うことも多い。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

用語解説:データベースの設計(正規化・E-R 図・参照制約)

問17

次のクラス図におけるクラス間の関係の説明のうち,適切なものはどれか。

クラス図。“自動車”クラスの下に,“バス”,“トラック”,“セダン”,“バン”の各クラスが横に並び,それぞれから“自動車”クラスへ白抜きの三角の矢印(汎化)でつながっている。右端は破線で,ほかにもクラスが続くことを示している。

正解 イ

解説

“バス”,“トラック”などのクラスが共通に持つ性質を取り出して,上位の“自動車”クラスとして定義することを汎化という。クラス図では,下位のクラスから上位のクラスへ白抜きの三角の矢印を向けて汎化の関係を表す。イが適切である。

アの,下位のクラスが上位のクラスの定義を引き継ぐことは継承(インヘリタンス)であり,インスタンスはクラスから生成された個々の実体を指す。ウの“バス”などは“自動車”のサブクラス(下位クラス)であり,オブジェクトはクラスの定義に基づいて作られる実体である。エの特化は,上位のクラスを基に,それぞれの違いを加えて下位のクラスを定義することで,違いを上位のクラスとして定義するわけではない。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

用語解説:UML(統一モデリング言語)

問18

SOA(Service Oriented Architecture)の説明はどれか。

正解 ウ

解説

SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務上の機能をサービスという単位の部品として用意し,それらを組み合わせてシステムを構築する考え方である。サービスは標準化されたインタフェースで呼び出されるので,変化に合わせて組み替えたり再利用したりしやすい。ウが正しい。

アは Web サービスのインタフェースを記述する WSDL や,メッセージを交換する SOAP などの Web サービスの規格の説明である。イは Web サービスを登録・検索する UDDI,エは SLA(サービスレベル合意)の説明である。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

用語解説:SOA(サービス指向アーキテクチャ)

問19

リバースエンジニアリングの説明はどれか。

正解 ア

解説

リバースエンジニアリングは,既存のプログラム(ソースコードや実行形式)を解析して,その仕様や設計情報を導き出すことである。ドキュメントが失われたシステムの保守や,作り直しの準備などに使う。アが正しい。

イは,リバースエンジニアリングで導き出した仕様を修正して新たにプログラムを作るもので,リエンジニアリングと呼ばれる。ウはクラスライブラリの既存のクラスを再利用する開発,エは部品として作られたプログラムを組み合わせるコンポーネントベースの開発である。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

情報システムの設計において,フェールソフトが講じられているのはどれか。

正解 ウ

解説

フェールソフトは,故障が起きたときにシステムを止めるのではなく,機能や性能を落としてでも動き続けさせる(縮退運転する)考え方。ハードウェア障害時に構成を縮小して運転を続けるウがこれに当たる。

アとイは,障害時に安全な側へ倒して停止させるフェールセーフ。エは利用者の誤操作を未然に防ぐフールプルーフの例。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

ITIL v3 における変更管理プロセスの考え方のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ITIL v3 の変更管理では,通常の変更は変更諮問委員会(CAB)の助言を得て承認するが,緊急の変更は CAB を招集する時間がない。そこで,緊急時に決定を下す権限をもつ小規模な組織(緊急変更諮問委員会,ECAB)をあらかじめ特定しておく。エが正しい。

アは誤りで,事前に承認された手順で行う標準変更などは,すべてを CAB にかけるわけではない。イは誤りで,変更要求は到着順ではなく,影響度と緊急度から決めた優先度に従って処理する。ウのパスワードの更新や再設定は,サービス要求(要求実現)として扱うのが一般的で,変更要求として管理するものではない。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問22

システムの非機能要件はどれか。

正解 ウ

解説

非機能要件は,システムが何をするか(機能)ではなく,どのような品質や制約で動くかに関する要件である。操作性(使いやすさ)やサービス時間(いつ利用できるか)は,性能・信頼性・セキュリティなどと並ぶ非機能要件である。ウが正しい。

アのシステム化する業務の範囲,イのデータの流れ,エの他システムとのインタフェースは,いずれもシステムが果たす機能に関わる機能要件である。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

経済産業省の“情報システム・モデル取引・契約書”によれば,ユーザとベンダ間で請負型の契約を推奨しているフェーズはどれか。

開発のフェーズを左から順に並べた帯(システム化計画,要件定義,システム外部設計,システム内部設計,ソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテスト,システム結合,システムテスト,導入・受入支援)と,その下の4本の範囲の矢印。アはシステム化計画から導入・受入支援まで,イは要件定義から導入・受入支援まで,ウは要件定義からシステム結合まで,エはシステム内部設計からシステム結合まで。

正解 エ

解説

“情報システム・モデル取引・契約書”は,ユーザが主体となって進める工程には準委任型を,ベンダが成果物の完成に責任を負える工程には請負型の契約を適切としている。システム化計画と要件定義はユーザの業務や要望を固める工程なので準委任型,システム外部設計は準委任型又は請負型,システム内部設計からソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテスト,システム結合までは請負型,システムテストは準委任型又は請負型,導入・受入支援は準委任型とされる。請負型が適切とされるのはシステム内部設計からシステム結合までで,エが正しい。

ア,イ,ウは,いずれも準委任型が適切とされる要件定義や導入・受入支援などのフェーズを含んでいる。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

プロジェクトマネージャの P 氏は,A 社から受託予定のソフトウェア開発を行うために,X 社から一時的な要員派遣を受けることを検討している。労働者派遣法に照らして適切なものはどれか。

正解 エ

解説

労働者派遣では,派遣先は派遣労働者に対して直接,業務の指揮命令を行う。派遣先は派遣先責任者を選任し,業務の指示や苦情の処理など派遣に伴う業務を行う。P 氏がこれを直接行うことを伝えるエが適切である。

アの瑕疵担保責任は,仕事の完成を約束する請負契約で問われる責任である。派遣は労働力の提供であって仕事の完成を約束しないので,派遣元に負わせるのは適切でない。イの特定の人を契約の条件とすることや,ウの事前の面接は,派遣先が派遣労働者を特定する行為に当たり,紹介予定派遣の場合を除いて行わないよう努めることとされている。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

OECD の“プライバシー保護ガイドライン”の原則を適切に説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

OECD のプライバシー保護ガイドラインは8原則からなる。データ内容の原則は,個人データは利用目的に沿ったもので,利用目的に必要な範囲で正確,完全,最新に保たれなければならない,というものである。ウが正しい。

アの公開の原則は,個人データに関する開発・運用・方針を一般に公開することと,データの存在・性質・利用目的・管理者を明らかにすることを求めるもので,安全管理策の内容の公開を求めるものではない。イの責任の原則は,データの管理者が諸原則の実施に責任を負うというもので,すべての要員に責任を負わせるものではない。エの収集時に目的を通知し同意を得ることは,収集制限の原則や目的明確化の原則に当たる。利用制限の原則は,本人の同意がある場合などを除いて目的外に利用・開示しないことを求めるものである。

出典:平成22年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)