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平成23年度 特別試験 午前Ⅱ

平成23年度 特別試験に実施されたプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱの全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:プロジェクトマネージャ試験について

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問1

プロジェクトマネージャがシステム開発プロジェクトを推進するために成すべき事項として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

システム化計画書は,企画の段階でシステム化の目的や範囲,概算の費用とスケジュールなどをまとめたものである。プロジェクトマネージャは,これを基にプロジェクトをどう進めるか(体制,スケジュール,品質やリスクの管理の方法など)を具体化したプロジェクト管理計画書を作成し,承認を得てからプロジェクトを進める。イが正しい。

アは,システム化計画書はプロジェクトの運営の仕方までは定めていないので,それに従うだけでは管理の計画が欠ける。ウの業務の課題の解決方法は,要件定義や方式設計の段階で決めておくべきもので,ソフトウェア詳細設計の段階で新たに採用すると手戻りを招く。エのスコープや目的は,プロジェクトの開始時に明確にしておく必要がある。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

PMBOK において,プロジェクト憲章は,どの知識エリアのどのプロセス群で作成するか。

正解 エ

解説

PMBOK ガイドでは,プロジェクト憲章の作成は,プロジェクト統合マネジメントの知識エリアに属し,立上げプロセス群のプロセスである。プロジェクト憲章でプロジェクトを公式に認可し,プロジェクトマネージャに資源を使う権限を与えてから,計画が始まる。エが正しい。

アのコミュニケーションマネジメントの実行プロセス群には,情報の配布などが属する。イのスコープマネジメントの計画プロセス群では,要求事項の収集やスコープの定義,WBS の作成を行う。ウの統合マネジメントの計画プロセス群では,プロジェクトマネジメント計画書を作成する。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問3

PMBOK のプロジェクト統合マネジメントにおいて,プロジェクトスコープの拡張や縮小を行うのに必要なものはどれか。

正解 ウ

解説

PMBOK ガイドでは,プロジェクトスコープを広げたり狭めたりするには変更要求を出し,統合変更管理のプロセスで影響を評価して承認を得る必要がある。スコープの変更はベースラインそのものを変えるので,変更要求による正式な手続を経る。ウが正しい。

アの欠陥修正は成果物の欠陥を直すこと,イの是正処置は実績を計画に合わせるための処置,エの予防処置は将来の実績を計画から外れないようにする処置で,いずれもスコープの拡張や縮小そのものではない。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問4

アローダイアグラムで示す計画に基づいてシステム開発を進めたい。各作業をそれぞれ最も早く開始するとき,必要となる人数の推移を表すものはどれか。ここで,アローダイアグラムのそれぞれの作業に付けられた記述は,作業に必要な日数と,1日当たりの必要人数を表す。

アローダイアグラム。最初の結合点から“20日5人”の作業で二つ目の結合点へ。二つ目の結合点から三つの作業が出る:上は“20日3人”で上の結合点へ進み,そこから“20日2人”で四つ目の結合点へ。中央は“20日4人”で四つ目の結合点へ。下は“20日2人”で下の結合点へ進み,そこからダミー作業(破線)で四つ目の結合点へつながり,また“10日2人”で最後の結合点へ直接つながる。四つ目の結合点から“10日3人”で最後の結合点へ。

正解 エ

解説

各作業を最も早く開始するとき,期間ごとに同時に行っている作業の人数を足し合わせる。0〜20日は最初の作業だけで5人。20〜40日は二つ目の結合点から出る3本の作業が並行するので 3+4+2=9人。40日には上の作業(20日2人)と,下の結合点から出る“10日2人”の作業が始まるので,40〜50日は 2+2=4人,50〜60日は上の作業だけで2人。四つ目の結合点には60日に到達し(上の経路が最も遅い),60〜70日は“10日3人”の作業で3人になる。5→9→4→2→3人と推移するエが正しい。

アは各期間の人数がほぼ平らで,並行作業の重なりを数えていない。イは40〜60日を2人,60〜70日を5人としており,下の結合点から出る“10日2人”の作業を最後に回している。ウは20〜40日の並行作業を3人としている。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

工程管理図表に関する記述のうち,ガントチャートの特徴はどれか。

正解 ウ

解説

ガントチャートは,縦に作業を並べ,横軸の時間に沿って各作業の開始・終了の予定と実績を横棒で表す図である。どの作業がいつ始まり,いつ終わる予定か,今どの作業が進行中か(仕掛かり中か)が一目で分かる。ウが正しい。

アの重要ポイント(節目)の把握に適するのはマイルストーンチャートである。イの作業の順序関係や余裕日数は,作業の前後関係を表せないガントチャートでは分からず,アローダイアグラム(PERT 図)で把握する。エの出来高の推移を表し,費用と進捗を同時に管理できるのはトレンドチャートである。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

用語解説:EVM(アーンドバリューマネジメント)

問6

スコープを縮小せずにプロジェクト全体のスケジュールを短縮する技法の一つである“クラッシング”では,メンバの時間外勤務を増やしたり,業務内容に精通したメンバを新たに増員したりする。“クラッシング”を行う際に,優先的に資源を投入すべきスケジュールアクティビティはどれか。

正解 イ

解説

クラッシングは,資源を追加して作業期間を短縮する技法である。プロジェクト全体の所要期間はクリティカルパスの長さで決まるので,クリティカルパス上にない作業を短縮しても全体の期間は縮まらない。資源はクリティカルパス上のスケジュールアクティビティに優先的に投入すべきで,イが正しい。

アの難易度が最も高いアクティビティ,ウの資源を確保できる時期に始まるアクティビティ,エの所要期間が最も長いアクティビティは,いずれもクリティカルパス上にあるとは限らず,短縮しても全体の期間が変わらないことがある。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

用語解説:クリティカルパス

問7

ファンクションポイント法の一つである IFPUG 法では,機能をデータファンクションとトランザクションファンクションとに分類する。機能を適切に分類したものはどれか。

〔機能種別〕

正解 ウ

解説

IFPUG 法のファンクションポイントでは,アプリケーションが保持・参照するデータのまとまりをデータファンクション,データを出し入れする処理をトランザクションファンクションとして数える。データファンクションは,アプリケーション内で維持する内部論理ファイル(ILF)と,他のアプリケーションが維持し参照だけする外部インタフェースファイル(EIF)の2種類。トランザクションファンクションは,外部入力(EI),外部出力(EO),外部照会(EQ)の3種類である。ウが正しい。

ア・イ・エは,処理である EI・EO・EQ をデータファンクションに含めたり,ファイルである EIF や ILF をトランザクションファンクションに含めたりしている。“ファイル”と付くものがデータ,“入力・出力・照会”がトランザクションと覚えるとよい。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

JIS X 0129-1 で規定されるソフトウェアの品質特性の定義のうち,“効率性”の定義はどれか。

正解 エ

解説

JIS X 0129-1(ISO/IEC 9126-1 の JIS 版。のちに JIS X 25010 に置き換わった)は,品質特性を機能性・信頼性・使用性・効率性・保守性・移植性の六つに分けている。効率性は“明示的な条件の下で,使用する資源の量に対比して適切な性能を提供するソフトウェア製品の能力”と定義されており,エが正しい。

アは必要性に合致する機能を提供する能力で機能性,イは達成水準を維持する能力で信頼性,ウは修正のしやすさで保守性の定義である。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

用語解説:JIS X 25010(システム及びソフトウェア品質モデル)

問9

A 社では,昨年までは X,Y,Z の3種類の商品を販売していたが,今年は商品体系を変更して P,Q,R,S の4種類の商品を販売している。P,Q,R,S それぞれの購入顧客数と,その顧客数の内訳として昨年まで X,Y,Z のそれぞれを購入していた購入顧客数を表示するために作成するグラフとして,最も適切なものはどれか。

正解 イ

解説

積上げ棒グラフは,項目ごとの棒の長さで全体の量を,棒の中を区切った長さで内訳を表すグラフである。P,Q,R,S ごとに1本の棒を立てて購入顧客数を示し,その棒を昨年の X,Y,Z の購入者で区切れば,商品ごとの顧客数と内訳を同時に比べられる。イが正しい。

アの層グラフは,内訳の量が時間とともにどう変わるかを表すもので,横軸に時系列をとる。ウの二重円グラフは一つの全体の構成比を内側と外側の2段階で表すもので,4商品の顧客数の大きさを比べるのには向かない。エのレーダチャートは,複数の指標のバランスを比べるものである。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

あるプレゼンテーションにおいて,次の順序で話を展開した。このような話の展開順序の方法を何というか。

正解 エ

解説

A 社から D 社までの個別の事例を幾つも示し,そこから“当社も間接部門の IT 化に着手すべきだ”という一般的な結論を導いている。具体的な事実を積み重ねて結論に至る展開は帰納的順序法で,エが正しい。

アの因果的順序法は,原因から結果へ,又は結果から原因へと因果関係に沿って話を進める方法である。イの演繹的順序法は,一般的な原則や結論を先に示し,そこから個別の事例や結論を導く方法で,帰納的順序法と逆の流れになる。ウの起承転結型順序法は,導入・展開・転換・結論の4段で構成する方法である。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

教育技法の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

インバスケットは,管理者などの立場に置かれたと想定して,限られた時間内に未処理の書類(案件)を数多く処理させる訓練である。案件どうしの関連や緊急性,重要性を見極めて優先順位を付ける総合的な判断力を養う。アが正しい。

イの日常業務の中で先輩や上司が個別に指導するのは OJT である。ケーススタディは実際の事例を題材に分析や討議をさせる技法である。ウの役割を演技させるのはロールプレイングの説明,エのアイディアを批判せずに出し合うのはブレーンストーミングの説明で,名前と説明が入れ替わっている。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

用語解説:デルファイ法と問題分析の技法

問12

リスクマネジメントにおける EMV(期待金額価値)の算出式はどれか。

正解 ア

解説

EMV(期待金額価値)は,リスク事象が起きたときの影響金額に,その事象の発生確率を掛けた値。確率で重み付けした金額なので,起こりやすさと大きさの両方を 1 つの数値で比べられる。

イのように確率で割ったり,ウ・エのようにリスク対応のコストを掛けたり割ったりしても,期待値にはならない。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

デルファイ法を利用して,プロジェクトのリスクを抽出しているものはどれか。

正解 イ

解説

デルファイ法は,複数の専門家に匿名でアンケートを行い,集計した結果を示してもう一度回答してもらう,ということを繰り返して意見を収束させる手法である。互いの顔を合わせないので,声の大きい人や上位者の意見に引きずられにくい。アンケートと要約を繰り返すイが正しい。

アはインタビュー,ウは関係者が集まって意見を出し合うブレーンストーミング,エは強み・弱み・好機・脅威で分析する SWOT 分析によるリスクの抽出である。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

用語解説:デルファイ法と問題分析の技法

問14

PMBOK のリスクマネジメントにおけるリスク対応戦略の適用に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

PMBOK ガイド第5版は,マイナスのリスク(脅威)への戦略として回避・転嫁・軽減・受容の四つ,プラスのリスク(好機)への戦略として活用・共有・強化・受容の四つを挙げている。受容はどちらにも含まれ,リスクを認めたうえで積極的な対応をとらない戦略である。ウが正しい。

アの強化は,好機の発生確率や影響を高めるプラスのリスクへの戦略。イの共有は,好機を最もうまく生かせる第三者と組むプラスのリスクへの戦略。エの転嫁は,脅威の影響と責任を保険や契約などで第三者に移すマイナスのリスクへの戦略である。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問15

システム構築の提案依頼書(RFP)を作成する際の留意点のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

RFP には,提案をどの観点でどう評価するかを明示しておく。評価項目が分かれば,供給者はそれに沿った提案を作れ,発注者も複数の提案を同じ基準で公平に比べられる。ウが正しい。

アの機能要件は,解釈の幅が出ないよう具体的に書く。広く解釈できる表現にすると,提案の範囲や見積りがばらつく。イの費用は,提案の中で見積もってもらい,選定の判断材料にするもので,選定後の話合いに回すものではない。エのマイルストーン(納期や主要な節目)は発注者側の要求として RFP に示し,供給者にはそれを守る計画を提案してもらう。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

共通フレーム2007 において,システム要件として定義するものはどれか。

正解 ア

解説

共通フレーム2007 のシステム要件定義では,システムの機能と能力,業務・組織及び利用者の要件,信頼性・安全性・セキュリティ,運用と保守などを,システム全体として定義する。業務,組織及び利用者の要件を挙げたアが正しい。

イのデータ定義及びデータベースに対する要件,ウの利用者の運用に対する要件,エの利用者の実行に対する要件は,システム要件を受けてソフトウェア要件定義のアクティビティで定義する項目である。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

用語解説:JIS X 0160 と共通フレーム(ソフトウェアライフサイクルプロセス)

問17

図は,階層化された DFD における,あるレベルの DFD の一部である。プロセス 1 を子プロセスに分割して詳細化した DFD のうち,適切なものはどれか。ここで,プロセス 1 の子プロセスは,プロセス 1-1,1-2 及び 1-3 と表す。

DFD の一部。外部からの入力 2 本がプロセス 1 に入る。プロセス 1 からプロセス 2 へ矢印が出る。プロセス 2 からデータストア(二重線)へ矢印が出て,データストアからプロセス 3 へ矢印が出る。プロセス 1 からプロセス 3 へも矢印が出る。プロセス 3 から出力 1 本が外へ出る。

正解 イ

解説

階層化された DFD では,親のプロセスを子プロセスに分割しても,親のプロセスに出入りするデータフローと子の DFD 全体に出入りするデータフローが一致していなければならない(バランスの原則)。図のプロセス 1 には外部からの入力が 2 本あり,プロセス 2 とプロセス 3 への出力が 2 本ある。イは入力が 1-1 と 1-2 に 1 本ずつ,出力が 1-1 と 1-3 から 1 本ずつで,親と一致し,各子プロセスにも入力と出力がある。イが適切である。

アは入力が 1 本しかなく,親の入力 2 本と一致しない。ウは出力が 1 本しかなく,1-2 は出力をもたない(データを受け取るだけで何も出さない)プロセスになっている。エは入出力の本数は合うが,1-2 に入力がなく,何も受け取らずにデータを生み出すプロセスになっている。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

CMMI を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

CMMI(Capability Maturity Model Integration,能力成熟度モデル統合)は,ソフトウェア開発組織やプロジェクトのプロセスがどれだけ成熟しているかを,5段階のレベルで評価するためのモデル。アが正しい。

イのプロセスモデルはウォータフォールモデルやスパイラルモデルのような開発の進め方の型のこと。ウの共通フレームは,システム開発や取引で使う作業内容や用語をそろえた枠組み(SLCP-JCF)。エは成熟度に応じて開発手順を定義するものではなく,CMMI は手順そのものを規定しない。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

共通フレーム2007 の保守プロセスにおいて修正分析を行い,既存システムの通信ミドルウェアを改修することとした。改修をソフトウェア要件定義アクティビティから始めるとき,最後に実行するアクティビティとして,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

保守プロセスで修正を実施するときは,開発プロセスのアクティビティを,修正の範囲に応じて必要なところから必要なところまで使う。ソフトウェア要件定義から始めたなら,ソフトウェアの層のアクティビティ(ソフトウェア方式設計,詳細設計,コード作成とテスト,ソフトウェア結合)を進め,最後にソフトウェア要件を満たすかを確かめるソフトウェア適格性確認テストを行う。エが正しい。

イのシステム適格性確認テストとアの運用テストは,システム要件定義から始めたとき,つまりシステム全体の要件に手を入れたときに行うものである。ウのソフトウェア結合は,ソフトウェア適格性確認テストの前に行うアクティビティで,最後ではない。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

用語解説:JIS X 0160 と共通フレーム(ソフトウェアライフサイクルプロセス)

問20

システムの改善に向けて提出された4案について,評価項目を設定して採点した結果を,採点結果表に示す。効果及びリスクについては5段階評価とし,それぞれの評価項目の重要度に応じて,重み付け表に示すとおりの重み付けを行った上で次の式で総合評価点を算出したとき,総合評価点が最も高い改善案はどれか。

〔総合評価点の算出式〕

総合評価点 = 効果の評価 − リスクの評価

採点結果表。案1〜案4の順に,効果のセキュリティ強化は 3,4,5,2,システム運用品質向上は 2,4,2,5,作業コスト削減は 5,4,2,4。リスクのスケジュールリスクは 2,4,1,5,技術リスクは 4,1,5,1。
採点結果表
重み付け表。効果のセキュリティ強化の重みは 4,システム運用品質向上は 2,作業コスト削減は 3。リスクのスケジュールリスクは 8,技術リスクは 3。
重み付け表

正解 ウ

解説

各評価項目の点数に重みを掛けて合計する。効果の総評価点は,案1が 5×3+2×2+3×4=31,案2が 4×3+4×2+4×4=36,案3が 2×3+2×2+5×4=30,案4が 4×3+5×2+2×4=30。リスクの総評価点は,案1が 4×3+2×8=28,案2が 1×3+4×8=35,案3が 5×3+1×8=23,案4が 1×3+5×8=43。

総合評価点は,案1が 31−28=3,案2が 36−35=1,案3が 30−23=7,案4が 30−43=−13 で,最も高いのは案3。ウが正しい。効果だけを比べると案2が最も高いが,重みの大きいスケジュールリスクの点数が高いため総合では伸びない。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

(1)〜(4) はある障害の発生から本格的な対応までの一連の活動である。(1)〜(4) の各活動とそれに対応する ITIL の管理プロセスの組合せのうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

(1) の,利用者からの連絡を受けて回避方法を伝え,まずサービスを使える状態に戻すのはインシデント管理である。(2) の,障害の根本原因を追究してアプリケーションの不具合を突き止めるのは問題管理である。(3) の,改修が必要か,他への影響はないかを関係者で確かめて改修を決めるのは変更管理である。(4) の,改修したプログラムを稼働環境へ適用するための周知や手順,切戻しの準備を行うのはリリース管理及び展開管理である。この組合せのアが適切である。

ウとエは (1) と (2) が逆で,原因の追究を後回しにしてまず業務を回復させるのがインシデント管理,根本原因を取り除くのが問題管理という役割分担に合わない。イとエは (3) と (4) が逆で,改修するかどうかの判断が変更管理,決まった変更を安全に稼働環境へ届けるのがリリース管理である。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理 ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問22

IT 投資案件において,投資効果を PBP(Pay Back Period)で評価する。投資額が500のとき,期待できるキャッシュインの四つのシナリオ a〜d のうち,最も投資効率が良いものはどれか。

シナリオごとの 1〜5 年目のキャッシュイン。a:100,150,200,250,300。b:100,200,300,200,100。c:200,150,100,150,200。d:300,200,100,50,50。

正解 エ

解説

PBP(回収期間)は,投資額をキャッシュインの累計で回収し終えるまでの期間で,短いほど投資効率が良いと評価する。投資額 500 に対する累計は,a が 100,250,450,700 で 4 年目に回収(約 3.2 年),b が 100,300,600 で 3 年目に回収(約 2.7 年),c が 200,350,450,600 で 4 年目に回収(約 3.3 年),d が 300,500 でちょうど 2 年目に回収する。最も短い d が最も投資効率が良く,エになる。

a はキャッシュインの合計(1,000)が最も大きいが,前半の金額が小さいので回収が遅い。PBP は回収後のキャッシュインを評価に含めないので,合計額の大小では決まらない。b と c も d より回収に時間がかかる。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

システム化計画の立案において実施する作業で,その作業の結果を基に,後続の作業でシステム化機能を整理し,情報と処理の流れを明確にするものはどれか。

正解 ウ

解説

共通フレームのシステム化計画の立案では,対象業務の内容の確認,課題の定義,対象システムの分析,適用情報技術の調査を行った後に業務モデルを作成し,その結果を基に,次の作業でシステム化する機能を整理してシステム方式を検討する。業務モデルの作成では業務プロセスとデータクラスを定義するので,情報と処理の流れを明確にする土台になる。ウが正しい。

アの機能要件の定義は,システム化計画の後の要件定義プロセスで行う作業である。イの業務運用手順の文書化は,完成したシステムを実際の業務で使えるようにするために,運用・移行の段階で行う作業である。エのシステム方式の設計は,要件定義の後のシステム開発プロセスで,要件をハードウェア,ソフトウェア,手作業に振り分けて実現方式を決める作業である。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

法人が作成し,公開,発売したソフトウェアの著作権の権利期間は公開から何年か。

正解 エ

解説

法人などの団体名義で公表された著作物(職務著作のプログラムなど)の著作権の保護期間は,公表後の一定期間とされている。この試験が行われた2011年当時の著作権法では公表後50年で,エが正しい。なお,2018年12月30日の改正法の施行により,保護期間は公表後70年に延びている。

アの15年,イの20年,ウの30年は,いずれも著作権法の保護期間ではない。個人の著作物の保護期間は,当時は著作者の死後50年(現在は70年)である。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

メーカの A 社は,A 社が設計し B 社がコーディングしたソフトウェアを ROM に組み込み,その ROM を部品とした製品 X を製造し,販売会社である C 社に卸している。C 社は,この製品 X に“製造元 A 社”と表示し,一般消費者に販売した。ある消費者が購入した製品 X を使用したところ,ROM に組み込まれたソフトウェアの欠陥によってけがをした。原因はソフトウェアの設計の不具合であった。製造物責任法上,製造物責任を問われる企業はどれか。

正解 ア

解説

製造物責任法の“製造物”は製造又は加工された動産であり,ソフトウェアそのものは無体物なので製造物に当たらない。ただし,ソフトウェアを組み込んだ ROM や製品 X は製造物であり,その欠陥によって人がけがをすれば,製造業者が責任を負う。製品 X を製造した A 社が製造物責任を問われるので,アが正しい。

B 社はソフトウェアをコーディングしただけで,製造物を製造・加工・輸入していないので責任を問われない。C 社は販売会社で,製品に“製造元 A 社”と表示しており,自らを製造業者として表示(表示製造業者)していないので,やはり責任を問われない。

出典:平成23年度 特別試験 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)