クリティカルパスは,プロジェクトの作業をつないだ経路のうち,最初から最後まで最も長くかかる経路です。 この経路上の作業には余裕がなく,1日遅れればプロジェクトの完了も1日遅れます。 試験では,用語そのものより「期間を縮めるにはどうするか」という形でよく問われます。
ひとことで
作業には「A が終わらないと B を始められない」という前後関係があります。 前後関係をたどって開始から完了までの経路を全部書き出すと,所要日数の合計がいちばん大きい経路が1本(以上)見つかります。 それがクリティカルパスで,その合計日数がプロジェクトの最短の期間になります。
たとえば次のような4つの作業があるとします。
| 作業 | 日数 | 先に終わっている必要がある作業 |
|---|---|---|
| A | 3日 | なし |
| B | 5日 | A |
| C | 4日 | A |
| D | 2日 | B と C |
経路は A→B→D(3+5+2=10日)と A→C→D(3+4+2=9日)の2本です。 長いほうの A→B→D がクリティカルパスで,全体は最短10日かかります。 C は1日遅れても D の開始に響かないので,1日の余裕(総余裕日数)があります。 クリティカルパス上の作業は,この余裕が0です。
期間を縮める3つの方法
期間を縮めたいときは,クリティカルパス上の作業に手を打たなければ効果がありません。 上の例で C を縮めても,全体は10日のままです。試験に出る方法は次の3つで,違いを問う問題が繰り返し出ています。
| 方法 | やること | 引き換えになるもの |
|---|---|---|
| クラッシング | クリティカルパス上の作業に要員や時間外勤務を足す | 費用が増える |
| ファストトラッキング | 本来は順番に行う作業を,前の作業が終わる前に並行して始める | 手戻りのリスクが増える |
| クリティカルチェーン法 | 個々の作業に含めていた余裕を取り除き,バッファとしてまとめて管理する | (期間の見積り方を変える方法) |
クリティカルチェーン法は,人や設備の取り合い(資源の制約)まで考えて最長の経路を求め, プロジェクトの最後にプロジェクトバッファを,ほかの経路が合流するところに 合流バッファ(フィーディングバッファ)を置きます。 作業ごとに少しずつ余裕を持たせると,余裕があるぶんだけ着手が遅れて結局使い切ってしまうので, 余裕を1か所にまとめて,減り方を見て管理しようという考え方です。
もう1つ大事なのは,縮めるとクリティカルパスが入れ替わることがある点です。 上の例で B を2日縮めると,A→B→D は8日になり,今度は A→C→D(9日)が最長になります。 縮めた結果,ほかの作業の余裕日数も変わります。
試験での問われ方
当サイトが収録している午前の問題のうち,クリティカルパスという語が出てくるのは28問です。 主にプロジェクトマネージャ・ITサービスマネージャの午前Ⅱと,午前Ⅰに出ています。型ごとに数えると次のとおりです。
- クリティカルチェーン法の実施例・特徴(9問)。 正解は「合流バッファとプロジェクトバッファを設ける」で,ほかの選択肢は ツールの導入・要員の追加(クラッシング)・後続作業の前倒し(ファストトラッキング)です。 つまり3つの方法の違いが分かっていれば消去法でも解けます。
- クラッシングの例(6問)。正解は「クリティカルパス上の遅れているアクティビティに人員を増強した」など。 「設計が終わったモジュールから順に並行してプログラム開発を実施するように,スケジュールを変更した」はファストトラッキングなので誤りです。
- アローダイアグラムを読み取る(5問)。最早開始日・最遅開始日・余裕日数を計算させます。 午前Ⅰとプロジェクトマネージャの午前Ⅱで,ほぼ同じ問題が4回出ています。 また,作業を短縮したときにほかの作業の余裕日数がどれだけ減るかを問う計算問題もあります(ITサービスマネージャ)。
- ガントチャートの特徴(3問)。正解は「各作業の開始時点と終了時点が一目で把握できる」。 ガントチャートは作業の前後関係を表さないので,クリティカルパスは読み取れません。 「クリティカルパスが把握できる」は誤りの選択肢として出ます。
- ファストトラッキングの例(2問)。正解は「全体の設計が完了する前に,仕様が固まっているモジュールの開発を開始する」など。
- このほか,WBS を作る目的(クリティカルパスの把握は WBS ではなくアローダイアグラムの役目)や, 発注方式を決める手法(正解は ABC 分析で,クリティカルパスメソッドは誤り)の誤りの選択肢として出ています。
出題された過去問(28問)
リンク先の年度ページで,問題と解説を読めます。
午前Ⅰ(高度試験 共通)(8問)
- 令和7年度 春期 問19プロジェクトの期間を短縮する方法のうち,クラッシングに該当するものはどれか。
- 令和6年度 秋期 問19プロジェクトマネジメントにおけるファストトラッキングの例として,適切なものはどれか。
- 平成31年度 春期 問19図のアローダイアグラムから読み取れることとして,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日…
- 平成29年度 春期 問18図のアローダイアグラムから読み取ったことのうち,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日…
- 平成26年度 秋期 問19工期を短縮させるために,クリティカルパス上の作業に“ファストトラッキング”技法を適用した対策はど…
- 平成26年度 春期 問19スコープを縮小せずにプロジェクト全体のスケジュールを短縮する技法の一つである“クラッシング”では…
- 平成24年度 秋期 問18図のアローダイアグラムから読み取れることのうち,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日…
- 平成23年度 秋期 問18プロジェクトの工程管理や進捗管理に使用されるガントチャートの特徴はどれか。
プロジェクトマネージャ 午前Ⅱ(12問)
- 令和7年度 秋期 問8プロジェクトのスケジュール管理で使用する“クリティカルチェーン法”の実施例はどれか。
- 令和5年度 秋期 問8プロジェクトのスケジュール管理で使用する“クリティカルチェーン法”の実施例はどれか。
- 令和4年度 秋期 問8ソフトウェア開発プロジェクトにおいて WBS を作成する目的として,適切なものはどれか。
- 令和4年度 秋期 問9図のアローダイアグラムから読み取れることとして,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日…
- 令和3年度 秋期 問6プロジェクトマネジメントにおけるクラッシングの例として,適切なものはどれか。
- 令和3年度 秋期 問7プロジェクトのスケジュール管理で使用する“クリティカルチェーン法”の実施例はどれか。
- 令和2年度 10月 問6プロジェクトの工程管理や進捗管理に使用されるガントチャートの特徴はどれか。
- 平成31年度 春期 問4プロジェクトのスケジュール管理で使用する“クリティカルチェーン法”の実施例はどれか。
- 平成29年度 春期 問1プロジェクトのスケジュールを管理するときに使用する“クリティカルチェーン法”の実施例はどれか。
- 平成29年度 春期 問9プロジェクトマネジメントにおけるクラッシングの例として,適切なものはどれか。
- 平成27年度 春期 問7クリティカルチェーン法におけるタスクのスケジューリングとバッファの設定方法のうち,適切なものはど…
- 平成27年度 春期 問9プロジェクトマネジメントにおけるクラッシングの例として,適切なものはどれか。
ITサービスマネージャ 午前Ⅱ(8問)
- 令和6年度 春期 問19アローダイアグラムで表される日程のプロジェクトにおいて,現在のクリティカルパスは作業 A,D,I…
- 平成30年度 秋期 問18プロジェクトマネジメントにおけるクラッシングの例として,適切なものはどれか。
- 平成27年度 秋期 問18プロジェクトのスケジュールを管理するときに使用する“クリティカルチェーン法”の特徴はどれか。
- 平成24年度 秋期 問18クリティカルチェーン法におけるタスクのスケジューリングとバッファの設定方法のうち,適切なものはど…
- 平成23年度 秋期 問1重要性や需要変動,在庫コストの観点から商品単位に定量発注法,定期発注法,2 ビン発注法のいずれの…
- 平成23年度 秋期 問16プロジェクトのスケジュールを管理するときに使用する“クリティカルチェーン法”の特徴はどれか。
- 平成21年度 秋期 問1重要性や需要変動,在庫コストの観点から商品単位に定量発注法,定期発注法,2 ビン発注法のいずれの…
- 平成21年度 秋期 問18プロジェクトの工程管理や進捗管理に使用されるガントチャートの特徴はどれか。