JIS X 25010 は,ソフトウェア製品やシステムの品質を品質特性と品質副特性に分けて定義した品質モデルの規格です。 品質の要求を決めたり評価したりするときに,「何を品質と呼ぶか」をそろえるために使います。 SQuaRE(スクエア)と呼ばれる規格群の一つで,前身は JIS X 0129-1(ISO/IEC 9126-1)です。 試験で名指しされているのは2013年版(ISO/IEC 25010:2011 と一致)で,システムアーキテクトと情報処理安全確保支援士の午前Ⅱによく出ます。
2013年版の2つの品質モデル
2013年版は,製品そのものの品質を表す製品品質モデル(8特性)と,利用者が使ったときの品質を表す利用時の品質モデル(5特性)の2つを定めています。
| 製品品質の特性 | 品質副特性 |
|---|---|
| 機能適合性 | 機能完全性,機能正確性,機能適切性 |
| 性能効率性 | 時間効率性,資源効率性,容量満足性 |
| 互換性 | 共存性,相互運用性 |
| 使用性 | 適切度認識性,習得性,運用操作性,ユーザエラー防止性,ユーザインタフェース快美性,アクセシビリティ |
| 信頼性 | 成熟性,可用性,障害許容性(耐故障性),回復性 |
| セキュリティ | 機密性,インテグリティ,否認防止性,責任追跡性,真正性 |
| 保守性 | モジュール性,再利用性,解析性,修正性,試験性 |
| 移植性 | 適応性,設置性,置換性 |
| 利用時の品質の特性 | 品質副特性 |
|---|---|
| 有効性 | (副特性なし)利用者が目標を達成する上での正確さ及び完全さ |
| 効率性 | (副特性なし)正確さ及び完全さに関連して使用した資源 |
| 満足性 | 実用性,信用性,快感性,快適性 |
| リスク回避性 | 経済リスク緩和性,健康・安全リスク緩和性,環境リスク緩和性 |
| 利用状況網羅性 | 利用状況完全性,柔軟性 |
「可用性」は製品品質では信頼性の副特性,「効率性」は利用時の品質の特性,「性能効率性」は製品品質の特性と,似た名前が別の場所にあるので取り違えないようにします。
副特性の名前は JIS X 25010:2013 の見出しによる。
試験での問われ方
当サイトが収録している午前の問題のうち,JIS X 25010(前身の JIS X 0129-1 を含む)を名指しするのは11問です。 システムアーキテクト4問,情報処理安全確保支援士3問,プロジェクトマネージャ2問,午前Ⅰ2問です。
- 製品品質の特性の定義(4問)。正解は4問とも「機能適合性とは,明示された状況下で使用するとき,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させる機能を,製品又はシステムが提供する度合いのことである。」 (平成29年度春期・令和3年度春期の情報処理安全確保支援士,平成30年度秋期・令和5年度春期のシステムアーキテクト)。 誤りの選択肢は,特性の名前と定義を入れ替えたものです。「信頼性」の名前に性能効率性(資源の量に関係する性能の度合い)の定義を, 「性能効率性」に使用性の定義を,「保守性」に信頼性(明示された条件下で機能を実行する度合い)の定義を付けています。
- 信頼性の副特性(4問)。信頼性に分類される副特性の説明として,回復性 「中断時又は故障時に,製品又はシステムが直接的に影響を受けたデータを回復し,システムを希望する状態に復元することができる度合い」を選ぶ問題が3問 (平成27年度春期の午前Ⅰ,令和3年度春期のシステムアーキテクト,令和4年度秋期のプロジェクトマネージャ),前身の JIS X 0129-1 で同じ趣旨の問題が1問です。 ほかの選択肢は運用操作性(使用性),解析性(保守性),相互運用性(互換性)です。
- 利用時の品質(3問)。満足性の副特性の実用性「利用の結果及び利用の影響を含め,利用者が把握した目標の達成状況によって得られる利用者の満足の度合い」, 効率性の説明,満足性に当たるリスクの例(快適でないと評価される)です。
これから問われそうなところ(予想):2025年の改正
国際規格は2023年に ISO/IEC 25010:2023(第2版)へ改訂され,日本でも JIS X 25010:2025(2025年12月22日改正)になりました。 過去問はまだ2013年版しか名指ししていないので,新しい版の変更点が問われると考えます。主な変更は次のとおりです。
- JIS X 25010 は製品品質モデルだけを扱うようになり,利用時の品質モデルは JIS X 25019 に,品質モデルの概観と使い方は JIS X 25002 に移った
- 品質特性に安全性が加わった(副特性は運用制約性,リスク識別性,フェールセーフ,危険警告性,統合時安全性)
- 使用性はインタラクション容易性(対話性)に,移植性は柔軟性に置き換わった
- 副特性として,インクルーシビティ(包摂性)と自己記述性(インタラクション容易性),耐攻撃性(セキュリティ),拡張性(柔軟性)が加わった
- ユーザインタフェース快美性はユーザエンゲージメント(利用者関与性)に,成熟性は無障害性に置き換わり,アクセシビリティはインクルーシビティとユーザ支援性に分かれた
出典:日本規格協会「JIS X 25010:2025」試し読み(序文)(2026年10月3日に確認)
予想問題(オリジナル)
当サイトが作ったオリジナルの問題です。IPA の過去問ではありません。ほかの用語の予想問題の一覧
問1JIS X 25010:2025(製品品質モデル)で,2013年版から新たに品質特性として加わったものはどれか。
- ア安全性
- イ互換性
- ウセキュリティ
- エ保守性
正解と解説
正解:ア
安全性は2025年版で加わった品質特性で,副特性に運用制約性,リスク識別性,フェールセーフ,危険警告性,統合時安全性があります。
- イ・ウ・エ:いずれも2013年版からある品質特性です。セキュリティには,2025年版で副特性の耐攻撃性が加わりました。
問2JIS X 25010:2025 で,2013年版の品質特性“移植性”に置き換わった品質特性はどれか。
- アインタラクション容易性
- イ互換性
- ウ柔軟性
- エ性能効率性
正解と解説
正解:ウ
移植性は柔軟性に置き換わり,副特性に拡張性が加わりました。なお,2013年版では「柔軟性」は利用時の品質(利用状況網羅性)の副特性の名前でした。
- ア:使用性に置き換わった品質特性です。
- イ・エ:2013年版からある品質特性です。
出題された過去問(11問)
リンク先の年度ページで,問題と解説を読めます。
午前Ⅰ(高度試験 共通)(2問)
- 平成27年度 春期 問16JIS X 25010:2013 で規定されたシステム及びソフトウェア製品の品質副特性の説明のう…
- 平成21年度 秋期 問16JIS X 0129-1 で規定されたソフトウェア製品の品質副特性の説明のうち,信頼性に分類され…
システムアーキテクト 午前Ⅱ(4問)
- 令和5年度 春期 問8JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)…
- 令和3年度 春期 問10JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)…
- 平成30年度 秋期 問6JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)…
- 平成28年度 秋期 問8JIS X 25010:2013 におけるシステムの利用時の品質特性の一つである,効率性の説明は…
情報処理安全確保支援士 午前Ⅱ(3問)
- 令和3年度 春期 問22JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)…
- 平成29年度 秋期 問22JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)…
- 平成29年度 春期 問22システム及びソフトウェア品質モデルの規格である JIS X 25010:2013 で定義されたシ…
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- 令和4年度 秋期 問14JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)…
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