稼働率(アベイラビリティ)は,システムが使える状態にある時間の割合です。 平均して何時間ごとに故障するか(MTBF)と,直すのに平均何時間かかるか(MTTR)から求めます。 午前Ⅰで毎年のように計算問題が出る,覚えておけば確実に取れる分野です。
ひとことで
| MTBF | 平均故障間隔(Mean Time Between Failures)。直ってから次に故障するまでの,動いている時間の平均 |
|---|---|
| MTTR | 平均修理時間(Mean Time To Repair)。故障してから直るまでの,止まっている時間の平均 |
| 稼働率 | MTBF ÷(MTBF + MTTR)。動いている時間 ÷ 全体の時間 |
たとえば平均450時間動いて,故障すると平均50時間止まるなら, 稼働率は 450 ÷(450 + 50)= 0.9 です。 稼働率を上げるには,故障しにくくする(MTBF を延ばす)か,早く直せるようにする(MTTR を縮める)かの2通りがあります。
式が割合なので,MTBF と MTTR が同じ倍率で変わっても稼働率は変わりません。 両方が1.5倍になれば,分子も分母も1.5倍になるだけです。 逆に,稼働率が同じでも MTBF や MTTR が同じとは限りません(1000時間動いて100時間止まるのと,100時間動いて10時間止まるのは,どちらも稼働率が約0.91です)。
直列と並列の計算
装置を組み合わせたシステムの稼働率は,つなぎ方で計算が変わります。稼働率 a と b の2台なら次のとおりです。
| つなぎ方 | 動いている条件 | 稼働率 |
|---|---|---|
| 直列 | 2台とも動いている | a × b |
| 並列 | どちらか1台でも動いている | 1 −(1 − a)×(1 − b) |
並列は「両方とも止まっている場合だけを全体から引く」と考えると間違えません。 稼働率0.9の装置2台なら,直列は 0.9 × 0.9 = 0.81,並列は 1 − 0.1 × 0.1 = 0.99 です。 直列にすると単体より下がり,並列にすると単体より上がります。
複雑な図は,並列の部分を先に1台にまとめてから直列として掛けるのが定石です。 並列にした2台の組が2組,直列につながっているなら,0.99 × 0.99 のように計算します。
MTBF を延ばすのか,MTTR を縮めるのか
対策がどちらに効くかを選ばせる問題も繰り返し出ています。見分けるには, 故障そのものを減らすのか,故障したあとの対応を速くするのかを考えます。
- MTBF を延ばす:予防保守(壊れる前に部品を替える),誤り訂正の機能,命令の再試行など,故障として表に出る回数を減らすもの
- MTTR を縮める:エラーログの取得(原因を早く突き止める),保守拠点を分散して駆け付け時間を短くする,遠隔保守,待機系に自動で切り替えるフェールオーバなど,止まってから直るまでを短くするもの
「予防保守を実施することによって,MTTR は短くなる」「故障発生時に遠隔保守を実施することによって駆付け時間が不要になり,MTBF は長くなる」のように, 対策と指標の組合せを入れ替えた選択肢が誤りとして出ます。
試験での問われ方
当サイトが収録している午前の問題のうち,稼働率・MTBF・MTTR のどれかが出てくるのは37問です。 半分近くが午前Ⅰで,残りはITサービスマネージャ・システムアーキテクト・ネットワークスペシャリストの午前Ⅱです。型ごとに数えると次のとおりです。
- 直列・並列を組み合わせたシステムの稼働率を計算する(10問)。 午前Ⅰの定番です。2台のうち一方だけが動いている確率を求めるような, 並列の式をそのまま使えないひねった問いもあります(0.7 × 0.4 + 0.3 × 0.6 のように場合を分けて足します)。
- MTBF・MTTR と稼働率の関係や式(10問)。 MTBF と MTTR がともに1.5倍になったときの稼働率を問う問題(答えは「変わらない」)は, 午前Ⅰとサービスマネージャの午前Ⅱで3回出ています。 直列につないだときのシステム全体の MTBF(およそ半分になる)を問う問題もあります。
- 対策が MTBF と MTTR のどちらに効くか(6問)。上の節の内容です。
- ITIL の指標(2問)。ITサービスマネージャでは,MTTR に近い指標として MTRS(平均サービス回復時間)や MTBSI(平均サービス・インシデント間隔)が出ます。
- このほか,フェールセーフの例(4問)や RAID の方式の違い(2問),事業継続の MTPD(1問), 非機能要件の例(2問)の選択肢の中に,MTBF や稼働率という語が出てきます。
出題された過去問(37問)
リンク先の年度ページで,問題と解説を読めます。
午前Ⅰ(高度試験 共通)(17問)
- 令和7年度 春期 問5二つのシステム A,B の稼働率をそれぞれαA(0<αA<1),αB(0<αB<1),MTBF …
- 令和3年度 春期 問5稼働率が x である装置を四つ組み合わせて,図のようなシステムを作ったときの稼働率を f(x) …
- 平成31年度 春期 問16フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。
- 平成30年度 春期 問54種類の装置で構成される次のシステムの稼働率は,およそ幾らか。ここで,アプリケーションサーバとデ…
- 平成29年度 秋期 問5MTBF を長くするよりも,MTTR を短くするのに役立つものはどれか。
- 平成29年度 春期 問5図に示す二つの装置から構成される並列システムの稼働率は幾らか。ここで,どちらか一つの装置が稼働し…
- 平成28年度 秋期 問5あるシステムにおいて,MTBF と MTTR がともに1.5倍になったとき,アベイラビリティ(稼…
- 平成26年度 秋期 問52台のプリンタがあり,それぞれの稼働率が 0.7 と 0.6 である。この2台のいずれか一方が稼…
- 平成26年度 春期 問5システムの信頼性指標に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 平成25年度 秋期 問6稼働率が α(0<α<1)の装置三つを用いて図のようにシステムを設計するとき,システムの稼働率が…
- 平成24年度 秋期 問6図の回線網における福岡・東京間の回線の稼働率はおよそ幾らか。ここで,隣接するノード間の回線の稼働…
- 平成23年度 秋期 問6MTBF が x 時間,MTTR が y 時間のシステムがある。使用条件が変わったので,MTBF…
- 平成23年度 特別試験 問5システムの稼働率を表す式はどれか。
- 平成23年度 特別試験 問25受注管理システムにおける要件のうち,非機能要件に該当するものはどれか。
- 平成22年度 春期 問5あるシステムでは,平均すると 100 時間に2回の故障が発生し,その都度復旧に2時間を要していた…
- 平成21年度 秋期 問62台のプリンタがあり,それぞれの稼働率が 0.7 と 0.6 である。この2台のいずれか一方が稼…
- 平成21年度 春期 問53台の装置 X〜Z を接続したシステム A,B の稼働率について,適切なものはどれか。ここで,3…
ITサービスマネージャ 午前Ⅱ(8問)
- 令和7年度 春期 問22MTBF が x 時間,MTTR が y 時間のシステムがある。稼働環境が変わったので,MTBF…
- 令和6年度 春期 問4ITIL4 の可用性管理プラクティスにおいて,障害発生後のサービスの回復の速さを測定する指標はど…
- 令和4年度 春期 問3ITIL 2011 edition では,可用性管理における KPI の例として,平均サービス・…
- 令和3年度 春期 問22MTBF が R で MTTR が S であるサブシステムを二つ直列に結合したシステムがある。シ…
- 平成28年度 秋期 問19RAID 1〜5 の方式の違いは,何に基づいているか。
- 平成27年度 秋期 問24JIS Q 22301:2013(事業継続マネジメントシステム−要求事項)において,“製品・サー…
- 平成26年度 秋期 問20二つのシステムの信頼性評価指標の関係に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 平成24年度 秋期 問21二つのシステムの信頼性評価指標の関係に関する記述のうち,適切なものはどれか。
システムアーキテクト 午前Ⅱ(6問)
- 令和4年度 春期 問23幾つかのサブシステムから成るシステムの信頼性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 平成29年度 秋期 問8フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。
- 平成28年度 秋期 問12全国に分散しているシステムの保守に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 平成28年度 秋期 問18RAID 1〜5 の方式の違いは,何に基づいているか。
- 平成25年度 秋期 問12全国に分散しているシステムの保守に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 平成21年度 秋期 問14受注管理システムにおける要件のうち,非機能要件に該当するものはどれか。
ネットワークスペシャリスト 午前Ⅱ(4問)
- 令和7年度 春期 問23MTBF を長くするよりも,MTTR を短くするのに役立つものはどれか。
- 令和4年度 春期 問23ある 2 局間の通信回線のアベイラビリティ(稼働率)は 0.9 であった。通信回線部分の二重化を…
- 平成30年度 秋期 問24全国に分散しているシステムを構成する機器の保守に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- 平成22年度 秋期 問23ノード N1 とノード N2 の間をノード N を介して通信路で結んだデータ伝送網がある。N1 …
プロジェクトマネージャ 午前Ⅱ(1問)
- 平成28年度 春期 問17フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。
情報処理安全確保支援士 午前Ⅱ(1問)
- 平成28年度 春期 問22フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。