システムへの投資が引き合うかどうかを,お金の出入り(キャッシュフロー)から数字で評価する方法です。 ITストラテジストの午前Ⅱと午前Ⅰで,用語の説明と計算の両方が繰り返し出ています。
主な評価方法
| 方法 | 何を見るか | お金の時間価値 |
|---|---|---|
| ROI(投資利益率) | 利益額 ÷ 投資額。投資に対してどれだけ利益が出たか | 考えない |
| PBP(回収期間法) | 投資した額を何年で回収できるか。短いほどよい | 考えない(割り引く方法もある) |
| NPV(正味現在価値) | 将来のキャッシュフローを今の価値に割り引いて合計し,投資額を引いた額。正なら投資する価値がある | 考える |
| IRR(内部収益率) | NPV がちょうど0になる割引率。基準の割引率より大きければ有利 | 考える |
| EVA(経済的付加価値) | 税引後営業利益から資本コストを引いた額 | ― |
NPV と IRR は,「今日の100万円と1年後の100万円は同じ価値ではない」という考え方(DCF 法)に立っています。 割引率を r とすると,n 年後の金額は (1 + r)n で割って今の価値に直します。
計算の例
初期投資200,その後の5年間に毎年100・90・80・60・50の効果がある投資を,割引率2.5%で評価すると,NPV の式は次のようになります。
NPV = −200 + 100/1.025 + 90/1.0252 + 80/1.0253 + 60/1.0254 + 50/1.0255
初期投資は今払うので割り引かず,1年後の効果は1回,2年後の効果は2回…と割り引きます。 指数を1つずらした式が誤りの選択肢として並ぶので,何年後のお金かを1つずつ確かめます。
試験での問われ方
当サイトが収録している午前の問題のうち,NPV・IRR・ROI・現在価値などの語が出てくるのは38問です。 半分がITストラテジストの午前Ⅱで,午前Ⅰにも出ます。型ごとに数えると次のとおりです。
- 現在価値の計算(17問)。割引率5%で正味現在価値が最も大きいシナリオを選ぶ問題(5問), NPV の算出式を選ぶ問題(3問),DCF 法での算定結果,顧客生涯価値(LTV)の計算(4問)などです。
- ROI(10問)。「利益額を分子に,投資額を分母にして算出するもの」(ROI,5問)や, ROI の説明(「売上増やコスト削減などによって創出された利益額を投資額で割ったもの」)です。
- IRR と回収期間(4問)。IRR 法の説明(「投資から回収される現金収入(利益額)の現在価値が投資額に等しくなるような割引率を求め,基準の割引率よりも大きければ有利と評価する方法である」など), PBP 法(「投資金額の回収期間の長さによって投資を評価する手法である」)です。
- EVA(3問)。「利益から資本費用(投資額×資本コスト)を引いて金額を求める」などです。
- このほか,システム化案の費用比較(2問)やバランススコアカードを使った評価(2問)の問題に出てきます。
出題された過去問(38問)
リンク先の年度ページで,問題と解説を読めます。
午前Ⅰ(高度試験 共通)(11問)
- 令和7年度 秋期 問25投資の意思決定手法の一つである PBP 法に関する記述として,適切なものはどれか。
- 令和5年度 春期 問23情報化投資計画において,投資効果の評価指標である ROI を説明したものはどれか。
- 令和4年度 秋期 問24投資効果を正味現在価値法で評価するとき,最も投資効果が大きい(又は最も損失が小さい)シナリオはど…
- 令和4年度 春期 問24IT 投資効果の評価方法において,キャッシュフローベースで初年度の投資によるキャッシュアウトを何…
- 令和2年度 10月 問23情報戦略の投資効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。
- 平成27年度 春期 問23情報戦略の投資効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。
- 平成26年度 秋期 問23IT 投資の評価手法のうち,バランススコアカードを用いた手法を説明したものはどれか。
- 平成26年度 春期 問24IT 投資効果の評価に用いられる手法のうち,ROI によるものはどれか。
- 平成24年度 春期 問23情報戦略の投資対効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。
- 平成23年度 秋期 問23情報化投資計画において,投資価値の評価指標である ROI を説明したものはどれか。
- 平成22年度 春期 問24情報戦略の投資対効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。
ITストラテジスト 午前Ⅱ(19問)
- 令和7年度 春期 問4プロジェクト開始時点で 150 百万円の支出を行う IT 投資プロジェクトにおいて,3 年間の金…
- 令和6年度 春期 問21EVA(経済的付加価値)の算出方法を説明したものはどれか。
- 令和5年度 春期 問4スマートフォン向けのアプリケーションプログラムの開発プロジェクト a~d において,2 年間の投…
- 令和4年度 春期 問4プロジェクト開始時点で 150 百万円の支出を行う IT 投資プロジェクトにおいて,3 年間の金…
- 令和3年度 春期 問2情報システムの導入と活用によって生み出されるキャッシュフローの現在価値を計算することによって,投…
- 令和元年度 秋期 問22投資効果の評価に用いられる内部収益率法(IRR 法)を説明したものはどれか。
- 平成29年度 秋期 問4IT 投資効果の評価に用いられる手法のうち,ROI によるものはどれか。
- 平成29年度 秋期 問8投資効果を正味現在価値法で評価するとき,最も投資効果が大きい(又は損失が小さい)シナリオはどれか…
- 平成27年度 秋期 問5IT 投資案件 X の5年間の投資効果を NPV で評価する場合の算出式はどれか。
- 平成27年度 秋期 問21EVA(経済的付加価値)の算出方法を説明したものはどれか。
- 平成26年度 秋期 問12顧客の収益が表のように見込まれるとき,3 年間の顧客生涯価値(LTV)は何百万円か。ここで,割引…
- 平成25年度 秋期 問1情報戦略の投資効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。
- 平成24年度 秋期 問14表のような顧客の収益状況が見込まれるとき,3 年間の顧客生涯価値(LTV)は何百万円か。ここで,…
- 平成24年度 秋期 問23投資評価方法の説明のうち,IRR(Internal Rate of Return)法はどれか。
- 平成23年度 秋期 問4投資効果を現在価値法で評価するとき,最も投資効果の大きい(又は損失の小さい)シナリオはどれか。こ…
- 平成23年度 秋期 問14ある顧客層の今後 3 年間を通しての,年間顧客維持率が 40%,1 人当たり年平均売上高が 20…
- 平成22年度 秋期 問6IT 投資案件 X において,投資効果を NPV で評価する場合の算出式はどれか。
- 平成21年度 秋期 問13ある顧客層の今後 3 年間を通しての,年間顧客維持率が 40%,1 人当たり年平均売上高が 20…
- 平成21年度 秋期 問24EVA(経済付加価値)の算出方法を説明したものはどれか。
システムアーキテクト 午前Ⅱ(5問)
- 平成30年度 秋期 問17IT 投資の評価手法のうち,バランススコアカードを用いた手法を説明したものはどれか。
- 平成26年度 秋期 問14投資効果を現在価値法で評価するとき,最も投資効果の大きい(又は損失の小さい)シナリオはどれか。こ…
- 平成25年度 秋期 問15IT 投資案件 X の投資効果を NPV で評価する場合の算出式はどれか。
- 平成23年度 秋期 問12投資効果を現在価値法で評価するとき,最も投資効果の大きい(又は損失の小さい)シナリオはどれか。こ…
- 平成22年度 秋期 問14情報システムの導入に伴って変化するキャッシュフローの現在価値を計算することで,投資効果を評価する…
プロジェクトマネージャ 午前Ⅱ(2問)
- 令和4年度 秋期 問18ある業務を新たにシステム化するに当たって,A〜D のシステム化案の初期費用,運用費及びシステム化…
- 平成28年度 春期 問22IT 投資効果の評価に用いられる手法のうち,ROI によるものはどれか。
情報処理安全確保支援士 午前Ⅱ(1問)
- 令和4年度 秋期 問24ある業務を新たにシステム化するに当たって,A〜D のシステム化案の初期費用,運用費及びシステム化…