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応用情報技術者試験

令和6年度 春期 科目A(午前)

令和6年度 春期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

複数の袋からそれぞれ白と赤の玉を幾つかずつ取り出すとき,ベイズの定理を利用して事後確率を求める場合はどれか。

正解 エ

解説

ベイズの定理は,結果(観測したデータ)から原因の確からしさを逆にたどる,事後確率を求めるための定理である。袋の選ばれやすさ(事前確率)と,各袋から白や赤の玉が出る確率(尤度)から,「取り出した玉の色が分かったとき,それがどの袋から出たものか」の確率を求める場面が典型である。エが当たる。

アとイは,玉の色の組合せが起こる確率(同時確率や条件の付かない確率)を求める場合で,結果から原因をたどる事後確率ではない。ウは「ある袋が選ばれる確率」であり,玉を取り出す前の確率(事前確率)に当たる。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

ATM(現金自動預払機)が1台ずつ設置してある二つの支店を統合し,統合後の支店には ATM を1台設置する。統合後の ATM の平均待ち時間を求める式はどれか。ここで,待ち時間は M/M/1 の待ち行列モデルに従い,平均待ち時間にはサービス時間を含まず,ATM を1台に統合しても十分に処理できるものとする。

〔条件〕

正解 エ

解説

M/M/1 モデルの平均待ち時間(サービス時間を含まない)は,利用率を ρ,平均サービス時間を Ts として ρ/(1−ρ)×Ts で表される。

統合すると利用者数は2倍になる一方,平均サービス時間 Ts は変わらない。利用率は「到着率×サービス時間」なので統合後は 2ρ になる。これを式に代入して 2ρ/(1−2ρ)×Ts となる。

M/M/1 の待ち時間と利用率 M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。 0.5 → 1倍 0.8 → 4倍 0.9 → 9倍 1 利用率 ρ ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

AI におけるディープラーニングに関する記述として,最も適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ディープラーニング(深層学習)は,人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワークの層を多数重ね,データから特徴を自動的に学習して,画像認識や音声認識などの複雑な判断を行えるようにする機械学習の手法である。アが適切である。

イは大量のデータから未知の規則を見いだすデータマイニングに近い説明だが,例外事項を取り除きながら分析を繰り返す点はディープラーニングの特徴ではない。ウは統計的手法やパターン認識を組み合わせた高度なデータ分析一般の説明。エは知識をルールとして表現し演繹的に推論するエキスパートシステム(ルールベースの推論)の説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

符号長7ビット,情報ビット数4ビットのハミング符号による誤り訂正の方法を,次のとおりとする。

受信した7ビットの符号語 x1 x2 x3 x4 x5 x6 x7(xk=0 又は 1)に対して

c0=x1+x3+x5+x7,c1=x2+x3+x6+x7,c2=x4+x5+x6+x7(いずれも mod 2 での計算)

を計算し,c0,c1,c2 の中に少なくとも一つは 0 でないものがある場合には,

i = c₀+c₁×2+c₂×4

を求めて,左から i ビット目を反転することによって誤りを訂正する。

受信した符号語が 1000101 であった場合,誤り訂正後の符号語はどれか。

正解 エ

解説

受信語 1000101 は x1=1,x2=0,x3=0,x4=0,x5=1,x6=0,x7=1。

c0=x1+x3+x5+x7=1+0+1+1=3→1,c1=x2+x3+x6+x7=0+0+0+1=1,c2=x4+x5+x6+x7=0+1+0+1=2→0(mod 2)。

i=1+1×2+0×4=3 なので,左から3ビット目を反転する。1000101 の3ビット目 0 を 1 にして 1010101 となる。

ハミング符号 x1〜x7(c0・c1・c2) の誤りの位置 受信した符号 1000101 で各検査式の合計を求めると,c0 は 1,c1 は 1,c2 は 0。合わない式のすべてに含まれ,合う式には含まれないビットは x3 なので,それを反転して 1010101 になる。 x1 1 x2 0 x3 0 x4 0 x5 1 x6 0 x7 1 受信 合計 c0 1 0 1 1 1 ✕ c1 0 0 0 1 1 ✕ c2 0 1 0 1 0 合わない式すべてに入り,合う式に入らない x3 が誤り x3 を反転して 1010101
i = c0 + c1×2 + c2×4 = 1 + 2 + 0 = 3 ビット目を反転する

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

正の整数 M に対して,次の二つの流れ図に示すアルゴリズムを実行したとき,結果 x の値が等しくなるようにしたい。a に入れる条件として,適切なものはどれか。

二つの流れ図。左は x←1 の後,ループ端「n:M,−1,1」(n を M から1ずつ減らして1まで)で x←(x×n) を繰り返して終了。右は x←1,n←1 の後,x←(x×n),n←(n+1) を行い,条件 a を判定して,Yes なら終了,No なら x←(x×n) の前に戻る。

正解 ウ

解説

左の流れ図は,n を M から 1 ずつ減らしながら x に n を掛けるので,x=M×(M−1)×…×1=M! になる。右の流れ図で同じ結果にするには,n を 1 から M まで 1 ずつ増やして x に掛ければよい。右の図では x に n を掛けた直後に n を 1 増やし,そのあとで a を判定している。n=M を掛け終えた時点で n は M+1 になっているので,この時点で終了させる条件は n>M である。ウが正しい。

ア(n<M)では,M が2より大きいとき最初の判定(n=2)で終了してしまい,M! にならない。イ(n>M−1)は n=M の段階,すなわち M を掛ける前に終了するので,x は (M−1)! になる。エ(n>M+1)は,n=M+1 まで掛けてしまうので,x は (M+1)! になる。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

各ノードがもつデータを出力する再帰処理 f(ノード n)を定義した。この処理を,図の2分木の根(最上位のノード)から始めたときの出力はどれか。

〔f(ノード n)の定義〕

2分木。根は+で,左の子は A,右の子は ÷。÷ の左の子は ×,右の子は −。× の左の子は B,右の子は C。− の左の子は D,右の子は E。

正解 エ

解説

定義は「右の子→左の子→自分自身」の順に処理する後行順走査(右優先)。根の+から順に展開すると次のようになる。

+の右の子 ÷ へ。÷ の右の子 − へ。− の右 E を出力,左 D を出力,− 自身を出力(E D -)。次に ÷ の左の子 × へ。右 C,左 B,自身 ×(C B ×)。ここで ÷ 自身を出力。最後に + の左の子 A を出力し,+ 自身を出力する。

つなげると ED-CB×÷A+ となる。

右の子→左の子→自分の順に出力する f は,右の子を先に処理し,次に左の子を処理し,最後に自分を出力する。根の+から始めると,E(1),D(2),−(3),C(4),B(5),×(6),÷(7),A(8),+(9)の順に出力され,ED−CB×÷A+ になる。 + 9 A 8 ÷ 7 × 6 − 3 B 5 C 4 D 2 E 1 出力 ED−CB×÷A+
丸の横の数字が出力の順番。右の部分木を全部出してから左へ

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

整列方法に関するアルゴリズムの記述のうち,バブルソートの記述はどれか。ここで,整列対象は重複のない1から9の数字がランダムに並んでいる数字列とする。

正解 ア

解説

バブルソートは,隣り合う二つの要素を比較して,順序が逆なら入れ替える操作を,端から端へ繰り返し行う整列方法である。アは,末尾から先頭に向かって隣り合う数字を比べ,小さいほうを前に出していくので,バブルソートである。

イは基準値で二つのグループに分けて再帰的に整列するクイックソート,ウは列を半分ずつに分割し,整列したものを併合していくマージソート,エは未整列部分の最小値を探して先頭と入れ替える選択ソートの説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

同一メモリ空間で,転送元の開始アドレス,転送先の開始アドレス,方向フラグ及び転送語数をパラメータとして指定することによって,データをブロック転送できる機能をもつ CPU がある。図のようにアドレス 1001 から 1004 のデータをアドレス 1003 から 1006 に転送するとき,指定するパラメータとして適切なものはどれか。ここで,転送は開始アドレスから1語ずつ行われ,方向フラグに 0 を指定するとアドレスの昇順に,1 を指定するとアドレスの降順に転送を行うものとする。

実行前と実行後のメモリの図。実行前はアドレス 1001〜1004 の4語にデータがあり,実行後はそれがアドレス 1003〜1006 に移っている(1001→1003,1002→1004,1003→1005,1004→1006)。

正解 エ

解説

転送は開始アドレスから1語ずつ行われる。アドレス 1001〜1004 を 1003〜1006 へ移すとき,転送元と転送先の範囲が 1003・1004 で重なっている。昇順(方向フラグ 0)で 1001 から転送すると,1001→1003,1002→1004 の時点で元の 1003,1004 のデータが上書きされ,次の 1003→1005,1004→1006 では書き換え後の値が転送されてしまう。そこで,重なりを避けるため降順(方向フラグ 1)で,末尾の 1004 を 1006 へ,1003 を 1005 へ,…と転送する。パラメータは転送元 1004,転送先 1006,方向フラグ 1,転送語数 4 で,エが正しい。

アは昇順(方向フラグ 0)で転送するので,重なった範囲のデータが壊れる。イは転送元の開始アドレスが 1001 のまま降順なので,1001 から下の方向へ転送してしまい,範囲が合わない。ウは開始アドレスは正しいが昇順なので,1004 から上の方向へ転送してしまい,範囲が合わない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

量子ゲート方式の量子コンピュータの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

量子コンピュータは,0と1の状態を同時に表現できる量子ビット(qubit)と,その重ね合わせや量子もつれを利用して並列的に計算する。量子ゲート方式は,この量子ビットに量子ゲートを組み合わせて演算を行う汎用的な方式。

アは誤り。演算の途中は重ね合わせ状態であり,0か1かに定まる古典的な2進数の演算ではない。イは誤り。量子ゲート方式は汎用であり,加算を含む任意の演算を組み立てられる(特定用途向けなのは量子アニーリング方式)。エは誤り。量子状態を保つため,絶対零度近くの極低温で動作させる必要がある。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

主記憶のアクセス時間が60ナノ秒,キャッシュメモリのアクセス時間が10ナノ秒であるシステムがある。キャッシュメモリを介して主記憶にアクセスする場合の実効アクセス時間が15ナノ秒であるとき,キャッシュメモリのヒット率は幾らか。

正解 エ

解説

キャッシュメモリのヒット率を h とすると,実効アクセス時間は,ヒットしたときのキャッシュのアクセス時間 10 ナノ秒と,ヒットしなかったときの主記憶のアクセス時間 60 ナノ秒を,確率で重み付けして足した値になる。

10×h+60×(1−h)=15 より 60−50h=15,h=0.9。エが正しい。

ア(0.1)は,ヒットしなかった割合 1−h の値と取り違えた誤りで,この場合は実効アクセス時間が 55 ナノ秒になる。イ(0.17)とウ(0.83)は,式に当てはめても 15 ナノ秒にならない。

キャッシュに無い確率 r のときの平均アクセス時間 読みたいデータがキャッシュにある確率は 1−r で,そのときはキャッシュのアクセス時間 x で読める。無い確率 r のときは主記憶から y で読む。平均は (1−r)・x + r・y。容量 a・b は関係しない。 CPU キャッシュ 時間 x 主記憶 時間 y 1−r r (1−r)・x r・y 平均 = (1−r)・x + r・y
r は「無い」確率なので,主記憶の側に掛ける

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

15M バイトのプログラムを圧縮して,フラッシュメモリに格納している。プログラムのサイズは圧縮によって元のサイズの 40%になっている。フラッシュメモリから主記憶への転送速度が 20M バイト/秒であり,1M バイトに圧縮されたデータの展開に主記憶上で 0.03 秒が掛かるとき,このプログラムが主記憶に展開されるまでの時間は何秒か。ここで,フラッシュメモリから主記憶への転送と圧縮データの展開は同時には行われないものとする。

正解 ア

解説

圧縮率 40%なので,フラッシュメモリに格納されている圧縮後のプログラムは 15×0.4=6 M バイトである。これを 20 M バイト/秒で主記憶に転送するのに 6÷20=0.3 秒掛かる。

1 M バイトの圧縮データの展開に 0.03 秒掛かるので,6 M バイトの展開には 6×0.03=0.18 秒掛かる。転送と展開は同時に行われないので,合計は 0.3+0.18=0.48 秒となり,アが正しい。圧縮前の 15 M バイトで計算すると 0.75+0.45=1.20 秒(エ)となる。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

システムの信頼性設計に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

フォールトアボイダンス(故障回避)は,構成要素の品質や信頼性そのものを高めることで,故障の発生を未然に防ごうとする考え方。

アはフールプルーフ(利用者の誤操作を防ぐ)の説明。イは誤りで,フェールソフトは機能を縮退させてでも稼働を継続する考え方。エはフェールセーフ(故障時に安全側に倒す)の説明で,フォールトトレランスは故障が起きても冗長性によって機能を維持する考え方。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

オブジェクトストレージの記述として,最も適切なものはどれか。

正解 ア

解説

オブジェクトストレージは,データをファイルやブロックではなく「オブジェクト」(データ本体,メタデータ,識別子)の単位で扱うストレージで,階層構造をもたず,容量を柔軟に増やせる。更新頻度の少ない画像・動画・ログなどの非構造型データの格納に適しており,アが当たる。

イはストレージ専用ネットワークを介して複数のサーバが共有する SAN,ウはサーバごとに専用のストレージをもつ DAS(サーバ内蔵ディスクなど)の説明である。エは複数のストレージを組み合わせて1台に見せる,ストレージの仮想化や RAID に当たる。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

1台の CPU の性能を1とするとき,その CPU を n 台用いたマルチプロセッサの性能 P が,

P=n/(1+(n-1)a)

で表されるとする。ここで,a はオーバーヘッドを表す定数である。例えば,a=0.1,n=4 とすると,P≒3 なので,4台の CPU から成るマルチプロセッサの性能は約3になる。この式で表されるマルチプロセッサの性能には上限があり,n を幾ら大きくしても P はある値以上には大きくならない。a=0.1 の場合,P の上限は幾らか。

正解 イ

解説

P=n/(1+(n−1)a) の分子と分母を n で割ると,P=1/(1/n+a−a/n) となる。n を幾らでも大きくすると,1/n と a/n はいずれも 0 に近づくので,P は 1/a に近づく。

a=0.1 のとき,1/a=1/0.1=10 なので,マルチプロセッサの性能は幾ら CPU を増やしても 10 以上には大きくならない。イになる。

例えば n=100 でも P=100/(1+99×0.1)=100/10.9≒9.2 であり,10 には届かない。

マルチプロセッサの性能の上限 P=n÷(1+(n−1)a) で a=0.1 のとき,n=4 で P は約3.1,n=20 で約6.9,n=100 でも約9.2 にとどまる。n を大きくすると P は 1÷a=10 に近づくが,それを超えない。 台数 n 性能 P 10 上限 1÷a=10 n=4:3.1 n=20:6.9 n=100:9.2 5 0 a=0.1 の場合
台数を増やしても,オーバヘッド a で決まる 1÷a に頭打ちになる

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

コンピュータの性能評価には,シミュレーションを用いた方法,解析的な方法などがある。シミュレーションを用いた方法の特徴はどれか。

正解 ウ

解説

シミュレーションは,対象のモデルに乱数などで作った入力を与えて実際に動かし,その結果を統計的に集める方法である。数式(解析的な方法)で解が求められないほど複雑なモデルでも,数値的に解が求まるのが特徴で,ウが正しい。

アは誤りで,シミュレーションは試行を繰り返すので,解析的な方法より計算量は多くなりやすい。イも誤りで,乱数を用いるため結果には誤差が含まれ,試行回数を増やしても解析解より高精度になるとは限らない。エも誤りで,解析的に解が求められるモデルの結果と比べることによって,シミュレーションの妥当性の検証に使える。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

ノンプリエンプティブ方式のタスクの状態遷移に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ノンプリエンプティブ方式では,実行中のタスクが自分から処理を手放す(終了,待ち状態への移行,CPU の明け渡しの要求など)まで,OS は他のタスクへの切替えをしない。したがって「実行中のタスクが自らの中断を OS に要求したときにだけ,OS はそのタスクを中断して他のタスクに切り替える」というイが正しい。

アは誤りで,この方式では,OS が優先度を操作して切替えを防ぐのではなく,優先度に関係なく実行中のタスクが自分から手放すまで切り替えない。ウは誤りで,OS が実行中のタスクを強制的に終了させて切り替えることは,この方式の状態遷移には含まれない(無限ループのタスクがあると他のタスクが実行できなくなる)。エは,優先度の高いタスクが現れたら実行中のタスクを中断して切り替えるので,プリエンプティブ方式の動作である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

三つの資源 X〜Z を占有して処理を行う四つのプロセス A〜D がある。各プロセスは処理の進行に伴い,表中の数値の順に資源を占有し,実行終了時に三つの資源を一括して解放する。プロセス A と同時にもう一つプロセスを動かした場合に,デッドロックを起こす可能性があるプロセスはどれか。

資源の占有順序の表。プロセスAは資源X=1,資源Y=2,資源Z=3。プロセスBはX=1,Y=2,Z=3。プロセスCはX=2,Y=3,Z=1。プロセスDはX=3,Y=2,Z=1。

正解 イ

解説

デッドロックは,複数のプロセスが資源を異なる順序で確保しようとして,互いに相手が持つ資源の解放を待ち合うことで起こる。逆に,すべてのプロセスが同じ順序で資源を確保すれば待ち合いの輪はできない。

A の占有順序は X→Y→Z。B も X→Y→Z で A と同じ順序なのでデッドロックしない。C は Z→X→Y,D は Z→Y→X で,どちらも A と順序が異なるため,A が X を確保して Z を待つ一方で相手が Z を確保して X を待つ,という状況が起こり得る。よって C と D。

資源を占有する順番とデッドロック A は X→Y→Z の順に資源を占有する。B も X→Y→Z で同じ順番なので,待ち合いの輪はできない。C は Z→X→Y,D は Z→Y→X で順番が違うので,A が X を持って Z を待ち,相手が Z を持って X を待つ,という状態が起こり得る。 A X → Y → Z B X → Y → Z A と同じ順番 → 大丈夫 C Z → X → Y A と順番が違う → 危ない D Z → Y → X A と順番が違う → 危ない 例:A が X を持って Z を待ち,C が Z を持って X を待つ 答え:C と D
同じ順番なら輪はできない。順番が違う C と D は A とデッドロックし得る

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

複数のクライアントから接続されるサーバがある。このサーバのタスクの多重度が2以下の場合,タスク処理時間は常に4秒である。このサーバに1秒間隔で4件の処理要求が到着した場合,全ての処理が終わるまでの時間はタスクの多重度が1のときと2のときとで,何秒の差があるか。

正解 イ

解説

多重度1のとき,処理は1件ずつ順番に行われる。要求は 0,1,2,3 秒に到着し,各処理は4秒なので,終了時刻は 4,8,12,16 秒となり,全ての処理が終わるのは 16 秒後である。

多重度2のときは,2件が同時に処理できる。1件目(0〜4 秒)と2件目(1〜5 秒)を同時に始め,3件目は1件目が終わる4秒に開始して 8 秒に終わり,4件目は2件目が終わる5秒に開始して 9 秒に終わる。全てが終わるのは 9 秒後である。

差は 16−9=7 秒で,イが正しい。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

プログラムを構成するモジュールや関数の実行回数,実行時間など,性能改善のための分析に役立つ情報を収集するツールはどれか。

正解 エ

解説

プロファイラは,プログラムを実行して,モジュールや関数ごとの実行回数や実行時間などを計測し,性能改善のための分析に役立つ情報を収集するツールである。処理時間のかかっている箇所(ボトルネック)を見つけるのに使う。エが正しい。

アのエミュレーターは,ある環境の動作を別の環境で再現するもの,イのシミュレーターは,現実の仕組みを模擬して動作を調べるもの,ウのデバッガは,プログラムの誤りを見つけて取り除くために実行を制御するツールである。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

エアコンや電気自動車でエネルギー効率のよい制御や電力変換をするためにパワー半導体が用いられる。このパワー半導体の活用例の一つであるインバータの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

インバータは,直流電力を交流電力に変換する回路である。エアコンや電気自動車では,インバータで周波数や電圧を変えてモーターの回転を細かく制御することによって,エネルギー効率を高めている。エが正しい。

アは直流電圧を昇圧する DC-DC コンバータ(昇圧チョッパ),イは直流電圧を降圧する DC-DC コンバータ(降圧チョッパ),ウは交流を直流に変換する整流回路(AC-DC コンバータ)の説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

入力が A と B,出力が Y の論理回路を動作させたとき,図のタイムチャートが得られた。この論理回路として,適切なものはどれか。

入力AとB,出力Yのタイムチャート。AとBがともに1のときだけYが0になり,それ以外はYが1になっている。

正解 ウ

解説

タイムチャートを読むと,A と B がともに 1 のときだけ Y が 0 になり,それ以外(0と0,0と1,1と0)では Y が 1 になっている。これは論理積を反転した動作,すなわち NAND である。

アの XOR は入力が異なるとき 1,イの XNOR は入力が同じとき 1,エの NOR は両方 0 のときだけ 1 になるので,いずれもタイムチャートと合わない。

タイムチャートから論理回路を読む(NAND) A と B の組合せごとに Y を読むと,0・0,0・1,1・0 では Y=1,A と B がともに1のときだけ Y=0。両方が1のときだけ0になるのは論理積の否定(NAND)。 A B Y 両方1のときだけ Y=0 → NAND
A も B も1の区間(塗った部分)だけ Y が0

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

次の方式で画素にメモリを割り当てる 640×480 のグラフィック LCD モジュールがある。始点(5,4)から終点(9,8)まで直線を描画するとき,直線上の x=7 の画素に割り当てられたメモリのアドレスの先頭は何番地か。ここで,画素の座標は(x,y)で表すものとする。

〔方式〕

左にメモリ(0番地から z番地まで,1番地は8ビット)。右に画素の格子(x は0〜639,y は0〜479)。0番地と1番地が座標(0,0)の画素,2番地と3番地が座標(1,0)の画素に対応する。始点(5,4)から終点(9,8)まで,(5,4)(6,5)(7,6)(8,7)(9,8)の画素が黒で塗られている。

正解 ウ

解説

画素は (0,0) から x 方向に,1行 640 画素ずつ連続してメモリに割り当てられる。直線は (5,4),(6,5),(7,6),(8,7),(9,8) を通るので,x=7 の画素は (7,6) である。この画素は,先頭から 6×640+7=3,847 番目(0 始まり)の画素に当たる。1画素は 16 ビット(2 バイト)で,メモリの1番地は 8 ビット(1 バイト)なので,先頭のアドレスは 3,847×2=7,694 番地となる。ウが正しい。

アの 3,847 は,画素の番号をそのままアドレスにしており,1画素が2番地を占めることを考慮していない。イの 7,680 は,6行目の左端 (0,6) のアドレス(6×640×2)である。エの 8,978 は,対象の画素を取り違えた値である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

データセンターなどで採用されているサーバ,ネットワーク機器に対する直流給電の利点として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

データセンターのサーバやネットワーク機器の内部は,もともと直流で動いている。交流で給電すると,UPS や機器の電源で「交流→直流→交流→直流」と変換を繰り返し,そのたびに電力損失が出る。直流で給電すれば変換の回数が減り,電力損失を低減できる。アが正しい。

イは誤りで,直流のままでも,CPU などの LSI は低い電圧で動作するので,途中で電圧を変換する必要がある。ウは誤りで,直流給電にしても停電は起こるので,バックアップ用のバッテリは必要である。エは誤りで,トランスで昇圧・降圧できるのは交流であり,直流は変圧にトランスを使えない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

ビットマップフォントよりも,アウトラインフォントの利用が適している場合はどれか。

正解 エ

解説

アウトラインフォントは,文字の輪郭を数式(曲線)で表現しておき,表示時に必要なサイズで描画する。したがって任意の倍率に拡大・縮小しても輪郭が滑らかなまま保たれる。

アとイはどちらの方式でも実現できる。ウはあらかじめ点の配置が決まっているビットマップフォントのほうが有利で,アウトラインフォントは描画時に展開処理が必要なぶん不利になる。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

ストアドプロシージャの利点はどれか。

正解 ア

解説

ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をあらかじめ DBMS 側に登録しておき,呼出し1回で実行させる仕組み。SQL 文を1文ずつ送る必要がなくなるので,アプリケーションと DBMS の間の通信量(ネットワーク負荷)が減る。

イ・ウ・エはいずれもストアドプロシージャによって直接減るものではない。処理する内容が同じである以上,実行計画の数やバッファ数,ディスクへの I/O 回数が減るわけではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

“部品”表及び“在庫”表に対し,SQL 文を実行して結果を得た。SQL 文の a に入れる字句はどれか。

“部品”表(部品ID,発注点)は P01=100,P02=150,P03=100。“在庫”表(部品ID,倉庫ID,在庫数)は P01・W01・90,P01・W02・90,P02・W01・150。〔結果〕(部品ID,発注要否)は P01=不要,P02=不要,P03=必要。

〔SQL 文〕

SELECT 部品.部品ID AS 部品ID,
    CASE WHEN 部品.発注点 > a
        THEN N'必要' ELSE N'不要' END AS 発注要否
FROM 部品 LEFT OUTER JOIN 在庫
    ON 部品.部品ID = 在庫.部品ID
GROUP BY 部品.部品ID, 部品.発注点

正解 ウ

解説

結果では,部品 P01 の発注点 100 に対し在庫が 90+90=180 で「不要」,P02 は発注点 150 に対し在庫 150 で「不要」,P03 は在庫表に行がないため在庫が 0 とみなされて「必要」になっている。したがって a には,倉庫ごとの在庫数の合計を取り,在庫がない(LEFT OUTER JOIN で NULL になる)場合に 0 を返す式が入る。COALESCE(SUM(在庫.在庫数),0) で,ウが正しい。P01 は 100>180 が偽,P02 は 150>150 が偽,P03 は 100>0 が真となり,結果と一致する。

アの MIN は倉庫別の最小値で,P01 が 90 になり 100>90 で「必要」となって結果と合わない。エは P03 で COALESCE(NULL,NULL) が NULL となり,100>NULL は真にならず「不要」になってしまう。イはアと同じ理由に加えて NULL の問題もある。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

トランザクション T はチェックポイント後にコミットしたが,その後にシステム障害が発生した。トランザクション T の更新内容をその終了直後の状態にするために用いられる復旧技法はどれか。ここで,トランザクションは WAL プロトコルに従い,チェックポイントの他に,トランザクションログを利用する。

正解 エ

解説

WAL プロトコルでは,更新内容がデータベースに書かれるより先に,トランザクションログに記録される。チェックポイント後にコミットしたトランザクション T の更新が,障害の時点でディスクのデータベースに反映されていないことがあるので,復旧では,チェックポイント時点の状態から,ログの更新後の値を使って T の更新をやり直す。これをロールフォワード(前進復帰)といい,エが正しい。

ウのロールバック(後退復帰)は,コミット前のトランザクションの更新を,更新前の値で取り消す処理である。アの2相ロックは並行処理の排他制御の方式,イのシャドウページは更新前のページを保持しておいて復旧する方式で,ログを使う WAL とは別のものである。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

データウェアハウスのテーブル構成をスタースキーマとする場合,分析対象のトランザクションデータを格納するテーブルはどれか。

正解 ウ

解説

スタースキーマは,中心に分析の対象となる出来事(売上,注文など)を記録したファクトテーブルを置き,その周りに,時間・商品・顧客などの分析の切り口を表すディメンジョンテーブルを星形に配置する構成である。トランザクションデータを格納するのはファクトテーブルで,ウが正しい。

イのディメンジョンテーブルは分析の切り口となる属性を格納する。アのサマリテーブルは集計済みのデータ,エのルックアップテーブルはコードと名称などの参照用データを格納するテーブルである。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

ビッグデータの基盤技術として利用される NoSQL に分類されるデータベースはどれか。

正解 ウ

解説

NoSQL は,関係データベースのような表形式や SQL にとらわれずにデータを扱うデータベースの総称で,大量のデータを複数のサーバに分散して高速に処理するビッグデータの基盤に使われる。代表的な種類として,キーとそれに対応する値の組でデータを管理するキーバリュー型のほか,ドキュメント型,列指向型,グラフ型がある。ウが該当する。

アは関係データモデルにオブジェクト指向の機能を加えたオブジェクト関係データベース。イは意思決定支援のために主題ごとに過去から現在までのデータを蓄積するデータウェアハウス。エはデータ項目の名称や形式などのメタデータを管理するデータディクショナリ(リポジトリ)の説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

CSMA/CD 方式の LAN に接続されたノードの送信動作として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

CSMA/CD は,送信前に伝送路が空いているか確認し(キャリア検知),空いていれば送信する。同時に送信して衝突が起きたら,それを検出してランダムな時間だけ待ってから再送する方式。

アはトークンバス,ウはトークンリングの動作。エは TDMA(時分割多重アクセス)の説明。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

IP アドレス 208.77.188.166 は,どのアドレスに該当するか。

正解 ア

解説

IP アドレス 208.77.188.166 は,プライベートアドレス(10.0.0.0〜10.255.255.255,172.16.0.0〜172.31.255.255,192.168.0.0〜192.168.255.255)にも,マルチキャストアドレス(224.0.0.0〜239.255.255.255)にも含まれない。ブロードキャストアドレスはホスト部のビットが全て 1 のアドレスだが,これも該当しない。インターネット上で一意に割り当てられるグローバルアドレスで,アが正しい。

イはプライベートアドレスの範囲,エはクラス D(224〜239)の範囲に当たらないので誤り。ウは,ネットワーク内の全ホストに宛てる特殊なアドレスで,この値は該当しない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

ルータを冗長化するために用いられるプロトコルはどれか。

正解 エ

解説

VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は,複数のルータで一つの仮想ルータ(仮想 IP アドレス)を構成し,稼働中のルータに障害が起きたら待機中のルータに処理を引き継ぐ,ルータの冗長化のためのプロトコルである。エが正しい。

アの PPP は2点間を接続するデータリンク層のプロトコル,イの RARP は MAC アドレスから IP アドレスを求めるプロトコル,ウの SNMP はネットワーク機器の監視・管理のためのプロトコルである。

VRRP:2台のルータで1台の仮想ルータ 2台のルータで1つの仮想ルータを作り,仮想 IP アドレス(と仮想 MAC アドレス)を共有する。PC はデフォルトゲートウェイに仮想 IP アドレスを設定しておく。ふだんはマスタが転送し,マスタが故障するとバックアップが引き継ぐので,PC の設定を変えずに通信を続けられる。 PC GW:仮想 IP 仮想ルータ(仮想 IP .1) マスタ 転送する バックアップ 待機 故障すると 引き継ぐ PC の設定を変えずにデフォルトゲートウェイの障害を回避
PC は仮想 IP を見ているので,切り替わっても設定はそのまま

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

ビット誤り率が0.0001%の回線を使って,1,500バイトのパケットを10,000個送信するとき,誤りが含まれるパケットの個数の期待値はおよそ幾らか。

正解 エ

解説

ビット誤り率 0.0001% は 1×10−6。1パケットは 1,500バイト=12,000ビットなので,1パケットに含まれる誤りビット数の期待値は 12,000×10−6=0.012。誤り率が十分小さいため,これはそのまま「そのパケットに誤りが含まれる確率」とみなせる。

10,000個のパケットを送るので,誤りを含むパケット数の期待値は 10,000×0.012=120個。

誤りを含むパケットの数の期待値 誤り率 0.0001% は 10⁻⁶。1パケットは 1,500 バイト=12,000 ビットなので,1パケットの誤りビット数の期待値は 0.012。誤り率が小さいので,これがそのパケットに誤りが含まれる確率とみなせて,10,000 個では 120 個。 誤り率 0.0001% 10⁻⁶ 1パケットのビット数 1,500 × 8 12,000 ビット 1パケットの誤りの期待値 12,000 × 10⁻⁶ 0.012 10,000 × 0.012 = 120 個
0.0001% = 10⁻⁶。バイトはビットに直す

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

OpenFlow を使った SDN(Software-Defined Networking)の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

SDN(Software-Defined Networking)は,ネットワーク機器のデータを転送する機能(データプレーン)と経路などを制御する機能(コントロールプレーン)を分離し,コントローラと呼ばれるソフトウェアによってネットワーク全体を集中的に制御・管理するアーキテクチャである。OpenFlow はコントローラとスイッチの間で制御情報をやり取りする代表的なプロトコル。イが適切である。

アは物理サーバ内の仮想スイッチによる仮想サーバ同士の通信で,SDN の説明ではない。ウは通信プロトコルの形式的な記述方法に関する規格の説明。エは機器内部のソフトウェアをオープンソースで実装する方式で,制御機能を機器から分離して集中管理する SDN の考え方とは異なる。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

3D セキュア2.0(EMV 3-D セキュア)は,オンラインショッピングにおけるクレジットカード決済時に,不正取引を防止するための本人認証サービスである。3D セキュア2.0で利用される本人認証の特徴はどれか。

正解 イ

解説

3D セキュア2.0 の特徴は,取引ごとにリスクを判定する「リスクベース認証」を採用したこと。過去の取引履歴や利用デバイスの情報から不正利用の疑いが低いと判断されれば追加認証を求めず(利用者の手間を減らし),高リスクと判断された場合にだけワンタイムパスワードなどの追加認証を行う。

アはパスワード再発行の話で 3D セキュア2.0 の特徴ではない。ウは全件で追加認証を行うことになり,リスクベース認証の考え方に反する。エの「人間であることの確認」(CAPTCHA など)は 3D セキュア2.0 の認証の要素ではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

企業の DMZ 上で1台の DNS サーバを,インターネット公開用と,社内の PC 及びサーバからの名前解決の問合せに対応する社内用とで共用している。この DNS サーバが,DNS キャッシュポイズニング攻撃による被害を受けた結果,直接引き起こされ得る現象はどれか。

正解 ウ

解説

DNS キャッシュポイズニングは,DNS サーバのキャッシュに偽の名前解決情報を注入する攻撃である。この DNS サーバは社内の PC やサーバからの名前解決にも使われているので,キャッシュが汚染されると,社内の利用者がインターネット上の Web サーバにアクセスしようとしたときに偽の IP アドレスが返され,本来とは異なる Web サーバに誘導される。ウが正しい。

アのハードディスク上の DNS サーバ名の書換えや,イのメモリ上へのワームの常駐は,キャッシュに偽の情報を入れる攻撃では直接起きない。エの電子メールの宛先メールアドレスの書換えは,名前解決の結果とは関係がなく,社内の利用者間のメールの送信にも直接の影響はない。

公開用と社内用の DNS サーバを分ける 1台の DNS サーバで,外部に自社ドメインの情報を答える役(コンテンツサーバ)と,社内の利用者の問合せを代わりに引く役(キャッシュサーバ)を兼ねると,外部からの再帰的な問合せに答えてしまったり,キャッシュポイズニングで偽の情報が社内の利用者に返されたりする。公開用のコンテンツサーバと社内用のキャッシュサーバを分け,キャッシュサーバは社内からの問合せだけに答える。 兼用(危ない) DNS(兼用) 答える+代わりに引く 外から再帰問合せができる 偽の情報が社内に返る 分ける コンテンツサーバ(DMZ) 自社ドメインを外に答えるだけ キャッシュサーバ(社内) 社内からの問合せだけに答える 役割ごとにサーバを分け,答える相手を絞る
外向けは「自社の情報を答えるだけ」,社内向けは「社内からの問合せだけ」

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

DNSSEC で実現できることはどれか。

正解 ア

解説

DNSSEC は,権威 DNS サーバがリソースレコードにデジタル署名を付け,DNS キャッシュサーバが公開鍵でその署名を検証する仕組みである。応答が正当な権威 DNS サーバで管理されているものであり,途中で改ざんされていないことを確認できるので,DNS キャッシュポイズニングへの対策になる。アが該当する。

DNSSEC は署名による検証を行うだけで通信の暗号化は行わないので,イの通信の暗号化による漏えい防止はできない。ウの似た文字を使ったドメイン名で正規サイトに見せかける攻撃(ホモグラフ攻撃)や,エの URL の入力誤りを悪用するタイポスクワッティングは,正規に登録された別のドメイン名を使うので,DNSSEC では防止も検知もできない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

公開鍵暗号方式を使った暗号通信を n 人が相互に行う場合,全部で何個の異なる鍵が必要になるか。ここで,一組の公開鍵と秘密鍵は2個と数える。

正解 イ

解説

公開鍵暗号方式では,一人ひとりが自分用の公開鍵と秘密鍵の組を一つ持てばよい。相手に送るときは相手の公開鍵で暗号化し,受け取った相手は自分の秘密鍵で復号するので,通信の相手が何人いても鍵の組を増やす必要はない。n 人なら n 組で,1組を2個と数えるので 2n 個。イが正しい。

1人あたり2個なので,n 人では 2n 個。ウの n(n−1)/2 は,通信する組合せごとに共通鍵が必要になる共通鍵暗号方式の場合の鍵の個数。

鍵の数とハイブリッド暗号 共通鍵暗号では,n 人が互いに秘密に通信するには2人の組ごとに鍵が要り,n(n−1)÷2 本になる。4人なら6本,100人なら4,950本。公開鍵暗号では1人が公開鍵と秘密鍵の1組を持てばよく,2n 本(100人なら200本)。ハイブリッド暗号では,データは速い共通鍵暗号で暗号化し,その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して一緒に送る。 共通鍵:4人で6本 n(n−1)÷2 本 公開鍵:1人1組 2n 本(公開鍵と秘密鍵) 100人なら 共通鍵 4,950本 / 公開鍵 200本 ハイブリッド暗号 データ 共通鍵で暗号化(速い) 暗号文 共通鍵 受信者の公開鍵で暗号化 暗号化した共通鍵 受信者は秘密鍵で共通鍵を取り出し,データを復号する
鍵の配り方は公開鍵暗号で,データの暗号化は速い共通鍵暗号で

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

自社製品の脆弱性に起因するリスクに対応するための社内機能として,最も適切なものはどれか。

正解 イ

解説

PSIRT(Product Security Incident Response Team)は,自社が提供する製品やサービスの脆弱性を受け付けて対応し,修正や情報公開を行う組織。“Product”の頭文字が示すとおり,製品の脆弱性に特化している。

アの CSIRT は自組織で発生したセキュリティインシデントに対応する組織,ウの SOC はネットワークや機器を常時監視して脅威を検知する組織。エは WHOIS 上の連絡先であって,リスク対応を行う機能ではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

JIS Q 31000:2019(リスクマネジメント−指針)において,リスク特定で考慮することが望ましいとされている事項はどれか。

正解 ウ

解説

JIS Q 31000:2019 のリスク特定(6.4.2)では,考慮することが望ましい要素として,有形及び無形のリスク源,原因及び事象,脅威及び機会,ぜい弱性及び能力,外部及び内部の状況の変化,新たに発生するリスクの指標,資産及び組織の資源の性質及び価値,結果及び結果が目的に与える影響,知識の限界及び情報の信頼性,時間に関連する要素,関与する人の先入観・前提及び信条を挙げている。ウの“資産及び組織の資源の性質及び価値”がこれに当たる。

ア(結果の性質及び大きさ)とエ(事象の起こりやすさ及び結果)は,リスクの大きさを見積もるリスク分析(6.4.3)で考慮する事項,イ(残留リスクが許容可能かどうかの判断)は,リスク対応(6.5)で扱う事項である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

WAF による防御が有効な攻撃として,最も適切なものはどれか。

正解 イ

解説

WAF(Web Application Firewall)は,Web アプリケーションとやり取りされる HTTP 通信の中身を検査し,SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングなど,アプリケーションの脆弱性を狙う攻撃を遮断する。HTTP で提供される REST API の脆弱性を狙った攻撃も検査の対象にでき,イが適切である。

アの DNS キャッシュポイズニングは DNS の通信,ウの第三者中継を悪用したフィッシングメールの配信とエの大量・大容量の電子メールの配信は SMTP による電子メールの通信を使った攻撃で,HTTP 通信を検査する WAF では防御できない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

PC からサーバに対し,IPv6 を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。

正解 ア

解説

IPsec は IP パケット自体を暗号化・認証するプロトコルで,OSI 基本参照モデルのネットワーク層(第3層)で動作する。IPv6 では標準的に組み込まれている。

イの PPP はデータリンク層のプロトコル。ウの SSH とエの TLS はトランスポート層より上位で動作し,ネットワーク層の暗号化には当たらない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

SPF(Sender Policy Framework)の仕組みはどれか。

正解 イ

解説

SPF(Sender Policy Framework)は,電子メールを受信するサーバが,メールの送信元ドメイン(エンベロープの送信元アドレスのドメイン)に対して DNS に登録された SPF レコード(送信を許可するメールサーバの IP アドレス)を調べ,実際にメールを送信してきたサーバの IP アドレスと照合して,送信元ドメインの詐称がないかを確認する仕組みである。イが正しい。

アはデジタル署名を使って詐称と改ざんを確認する DKIM の説明である。ウは全ての電子メールを保管するメールアーカイブ,エは上司の承認が得られるまで送信を保留する運用の説明で,どちらも送信元ドメインの詐称を検証する仕組みではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

IC カードの耐タンパ性を高める対策はどれか。

正解 ウ

解説

耐タンパ性は,IC チップの内部を不正に解析されたり,記録された情報を読み出されたりしにくい性質である。信号を読み出すためのプローブ(探針)が取り付けられたことを検出したら,チップ内の情報を消去する回路を設けておけば,物理的に解析しようとしても中身を得られない。ウが該当する。

アの非接触での認証は利用者の利便性を高めるもの,イの予備カードの保管は故障時にも使い続けられるようにする可用性の対策,エの退職者のカードの利用停止は運用上のアクセス管理であり,いずれもチップ内部の情報を解析から守る耐タンパ性の対策ではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

オブジェクト指向におけるクラス間の関係のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

サブクラスはスーパークラスから操作を継承するが,同じ名前の操作を独自に定義し直すことができる。これをオーバーライド(再定義)といい,ポリモーフィズムを実現する仕組みになる。

アは誤り。3つ以上のクラス間の関連(多項関連)も定義できる。ウは誤り。継承した操作はサブクラスのインスタンス自身が実行するのであって,スーパークラスのインスタンスに依頼するわけではない。エは誤り。集約は「全体と部分」の関係であり,属性や操作を共有するものではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

モジュール結合度に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

モジュール結合度は,モジュール間の依存の強さを表し,強い順に内容結合,共通結合,外部結合,制御結合,スタンプ結合,データ結合となる。複数のモジュールが大域的なデータ(共通データ域)を参照し合う関係は,共通結合である。エが正しい。

アは,CALL 命令を使わずに JUMP 命令で他のモジュールの内部へ直接分岐するので,内容結合である。イは,実行する機能や論理を決めるための引数(制御情報)を渡すので,制御結合である。ウの大域的な単一のデータ項目を参照する関係は,外部結合である。

モジュール結合度とモジュール強度 結合度はモジュールどうしのつながりの強さで,弱いほどよい。弱い順に,データ結合(必要な項目だけを引数で),スタンプ結合(データ構造を引数で),制御結合(制御の情報を渡す),外部結合(単一の大域データ),共通結合(共通域のデータ構造),内容結合(相手の内部を直接参照)。強度はモジュールの中のまとまりで,強いほどよい。機能的強度が最も強く,処理コードで機能を選ぶ論理的強度や,関係のない機能を集めた暗合的強度は弱い。 結合度(弱いほどよい) データ結合 項目を引数で スタンプ結合 構造を引数で 制御結合 制御情報を渡す 外部結合 単一の大域データ 共通結合 共通域の構造 内容結合 内部を直接参照 強度(強いほどよい) 機能的強度 1つの機能 情報的強度 同じ情報を扱う 連絡的強度 データを受け渡す 手順的強度 順に実行する 論理的強度 コードで機能を選ぶ 暗合的強度 関係のないものの寄せ集め 上ほど望ましい(時間的強度は手順的と論理的の間)
結合度は弱いほど,強度は強いほどよい

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

ソフトウェア信頼度成長モデルの一つであって,テスト工程においてバグが収束したと判定する根拠の一つとして使用するゴンペルツ曲線はどれか。

正解 ウ

解説

ゴンペルツ曲線は,テスト初期はバグの検出が少なく,中盤で急増し,終盤には新たなバグが出にくくなって頭打ちになる S 字形(シグモイド形)を描く。曲線が水平に近づいたことをもって,バグが収束したと判断する根拠の一つにする。

アは増加が加速し続けており収束しない。イは一定のペースで検出され続ける直線。エは初めから急に増えて緩やかになる形で,序盤の立ち上がりが緩やかな S 字にはなっていない。

ゴンペルツ曲線(信頼度成長曲線) テストの初めはバグの検出が少なく,中盤で急に増え,終盤は新しいバグが出にくくなって頭打ちになる S 字の曲線。累積のバグ件数が水平に近づいたことを,バグが収束したと判断する根拠の1つにする。 テストの時間 バグの累積 緩やか 急増 頭打ち=収束
序盤は緩やか,中盤で急増,終盤で頭打ちの S 字

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

リーンソフトウェア開発において,ソフトウェア開発のプロセスとプロセスの所要時間とを可視化し,ボトルネックや無駄がないかどうかを確認するのに用いるものはどれか。

正解 エ

解説

バリューストリームマップは,リーン開発(トヨタ生産方式に由来)で使われる図で,開発のプロセスの流れと,各プロセスにかかる時間(作業時間と待ち時間)を可視化して,ボトルネックや無駄がないかを確認する。エが正しい。

アのストーリーカードは,ユーザーストーリー(利用者が求める機能)を書いたカード,イのスプリントバックログは,スプリントで実施する作業項目の一覧,ウのバーンダウンチャートは,残りの作業量の推移を表すグラフで,どれもプロセスと所要時間を可視化して無駄を探す用途のものではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

JIS X 33002:2017(プロセスアセスメント実施に対する要求事項)の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

JIS X 33002:2017 は,プロセスアセスメントの結果が客観的・一貫的・再現可能・代表的であることを確実にするために,アセスメントの実施に求められる最小限の要求事項を定めた規格である。すなわち組織のプロセスの品質を客観的に診断するための要求事項であり,イが正しい。

アはプロセス改善の進め方そのものを扱う規格(JIS X 33014 など)の説明で,X 33002 が定めているのは改善の手順ではなくアセスメントの実施要件である。ウは JIS Q 21500(プロジェクトマネジメントの手引),エは JIS X 0160(ソフトウェアライフサイクルプロセス)の説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

ドキュメンテーションジェネレーターの説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ドキュメンテーションジェネレーターは,ソースコード中に決められた書式で書かれたコメント文などを読み取って,プログラムの仕様書(ドキュメント)を自動生成するソフトウェアである。Javadoc や Doxygen などがある。イが正しい。

アは HTML や CSS を読み込んで画面に描画するブラウザ(レンダリングエンジン),ウは文書のテンプレートに入力データを埋め込んで Web ページを動的に生成するテンプレートエンジン,エはマーク付けされたテキストから印刷用の文書を組版する組版ソフトウェア(TeX など)の説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

EVM で管理しているプロジェクトがある。図は,プロジェクトの開始から完了予定までの期間の半分が経過した時点での状況である。コスト効率,スケジュール効率がこのままで推移すると仮定した場合の見通しのうち,適切なものはどれか。

EVMのグラフ。横軸は開始日・現時点・完了予定日,縦軸は累積値。現時点において上から PV,AC,EV の順に並んでおり,EV が最も小さい。

正解 ア

解説

図の現時点では PV>AC>EV となっている。

コスト効率指数 CPI=EV÷AC は EV<AC なので1未満。かけた費用に見合う出来高が得られておらず,このまま進むと完成時のコストは計画を超える。スケジュール効率指数 SPI=EV÷PV も EV<PV なので1未満で,計画より出来高が遅れている。

したがって「コストは多くなり,完了は遅くなる」が適切。

CPI と SPI で見通しを読む コスト効率指数 CPI=EV÷AC,スケジュール効率指数 SPI=EV÷PV。1 より小さいとそれぞれ悪い。現時点で PV>AC>EV なら CPI も SPI も1未満で,このまま進めばコストは計画を超え,完了は遅れる。残作業効率指数 TCPI が1を超えるときは,残りを計画より高い効率で進めないと予算に収まらない。 指数 式 1 未満なら CPI EV ÷ AC コストが超過 SPI EV ÷ PV 進捗が遅れ TCPI 残りの作業 ÷ 残りの予算 (1 超)残りを効率よく PV>AC>EV → CPI<1,SPI<1 → コスト増・完了は遅れる 例:EV 150,AC 150,PV 200 なら CPI=1.0,SPI=0.75
CPI=EV÷AC,SPI=EV÷PV。1 未満なら悪い

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

図のアローダイアグラムで表されるプロジェクトがある。結合点5の最早結合点時刻はプロジェクトの開始から第何日か。ここで,プロジェクトの開始日は0日目とする。

アローダイアグラム。結合点1から2へ作業A(3日),1から3へ作業B(2日),2から3へ作業C(1日),2から4へ作業D(4日),2から5へ作業E(2日),3から5へ作業F(2日),4から6へ作業G(1日),5から6へ作業H(1日)。4から5へダミー作業。凡例は,作業名と所要日数を矢印に付し,破線の矢印がダミー作業。

正解 エ

解説

最早結合点時刻は,その結合点に至る全ての経路のうち,最も長い経路の所要日数で決まる。結合点2は A で 3 日,結合点3は B(2 日)と A+C(3+1=4 日)のうち長いほうの 4 日,結合点4は A+D=3+4=7 日である。結合点5へは,E 経由が 3+2=5 日,F 経由が 4+2=6 日,結合点4からのダミー作業(所要 0 日)経由が 7 日なので,最も長い 7 日が最早結合点時刻になる。エが正しい。

ア(4)は結合点3の時刻,イ(5)は E 経由,ウ(6)は F 経由の値で,ダミー作業を通る経路を見落とすと誤る。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“リスクの管理”の目的はどれか。

正解 エ

解説

JIS Q 21500:2018 では,プロセス“リスクの管理”の目的は「リスクへの対応を実行するかどうか及びそれが期待する効果を上げられるかどうかを明らかにし,プロジェクトの混乱を最小限にすること」とされている。エが正しい。

アは“リスクの評価”(リスクを測定して優先順位を定める),イは“リスクの特定”(潜在的リスク事象及びその特性を決定する),ウは“リスクへの対応”(選択肢を作成して対策を決定する)の目的である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

工場の生産能力を増強する方法として,新規システムを開発する案と既存システムを改修する案とを検討している。次の条件で,期待金額価値の高い案を採用するとき,採用すべき案と期待金額価値との組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,期待金額価値は,収入と投資額との差で求める。

〔条件〕

正解 ア

解説

期待金額価値は,需要が拡大した場合と縮小した場合の収入をそれぞれの確率で重み付けして足し,投資額を引いて求める。新規システムの開発は 180×0.7+50×0.3=126+15=141億円の収入に対して投資額100億円なので41億円。既存システムの改修は 120×0.7+40×0.3=84+12=96億円の収入に対して投資額50億円なので46億円。

期待金額価値の高い既存システムの改修を採用し,その値は46億円となるので,アが正しい。イの96億円は投資額を引いていない収入の期待値,エの130億円は新規システムの収入の期待値から改修の投資額を引くなど組み合わせを誤った値である。新規システムは需要拡大時の収入が大きいが,投資額の差を埋めるほどではない。

デシジョンツリー:新規開発と改修 新規開発は 0.7×180+0.3×50−100=41 億円,改修は 0.7×120+0.3×40−50=46 億円。EMV の高い改修を採用する。 新規開発(投資100) 70%:拡大 180 30%:縮小 50 EMV 41 既存改修(投資50) 70%:拡大 120 30%:縮小 40 EMV 46 改修 46 億円 > 新規 41 億円 → 改修を採用
収入の期待値から投資額を引いて比べる

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

SaaS(Software as a Service)による新規サービスを提供するに当たって,顧客への課金方式を検討している。課金方式①〜④のうち,想定利用状況に基づいて最も高い利益が得られる課金方式を採用したときの,年間利益は何万円か。ここで,新規サービスの課金は月ごとに行い,各月の想定利用状況は同じとする。また,新規サービスの運用に掛かる費用は1,050万円/年とする。

〔課金方式〕

〔想定利用状況〕

正解 ウ

解説

課金方式ごとに月額を求める。①は 4,000 円×250 時間=100 万円,②は 700 円×1,500 件=105 万円,③は 300 円×3,300GB=99 万円,④は 1,600 円×650ID=104 万円となり,最も高いのは②の月 105 万円である。年間では 105×12=1,260 万円で,運用費用 1,050 万円/年を引いた年間利益は 1,260−1,050=210 万円となる。ウが正しい。

各方式の年間利益は,①が 1,200−1,050=150 万円(ア),③が 1,188−1,050=138 万円,④が 1,248−1,050=198 万円(イ)で,いずれも②より低い。エ(260)はどの方式の年間利益にも当たらない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理の活動はどれか。

正解 エ

解説

サービスレベル管理プロセスは,提供するサービスとそのサービスレベル目標を特定し,サービス提供者と顧客の間でサービスレベル合意書(SLA)として合意し,その達成状況を監視・報告して改善していくプロセスである。エが該当する。

アは容量・能力管理,イはサービスの予算業務及び会計業務,ウはサービス継続管理の活動。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

温室効果ガスの排出量の算定基準である GHG プロトコルでは,事業者の事業活動によって直接的,又は間接的に排出される温室効果ガスについて,スコープを三つに分けている。事業者 X 社がデータセンター事業者であるときの,スコープ1の例として,適切なものはどれか。

〔GHG プロトコルにおけるスコープの説明〕

表。スコープ1は,温室効果ガスの直接排出。事業者が所有している,又は管理している排出源から発生する。スコープ2は,電気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出。事業者が消費する購入電力の発電に伴う温室効果ガスの排出量を算定する。スコープ3は,その他の温室効果ガスの間接排出。事業者の活動に関連して生じるが,事業者が所有も管理もしていない排出源から発生する。

正解 ウ

解説

スコープ1は,事業者が所有又は管理している排出源から直接排出される温室効果ガスである。データセンター事業者の X 社が自社で管理する発電装置を稼働させると,その燃料の燃焼で温室効果ガスが直接排出されるので,ウがスコープ1の例である。

アは X 社が購入した電力の発電に伴う排出なので,スコープ2である。イは X 社の IT 機器の廃棄に伴って産業廃棄物処理事業者が排出するもの,エは X 社のサービスの利用企業が購入した電力の発電に伴うものであり,どちらも X 社の活動に関連するが X 社が所有も管理もしていない排出源から出るので,スコープ3に当たる。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム監査基準(令和5年)が規定している監査調書の説明として,最も適切なものはどれか。

正解 ア

解説

監査調書は,システム監査人が監査の過程で実施した手続や入手した証拠,その評価などを記録したもので,監査の結論に至った過程を明らかにし,結論を支える合理的な根拠とするためのものである。アが正しい。

イは,監査の目的に応じて作成し,監査依頼者に提出する監査報告書の説明である。ウは,システム監査対象ごとに具体的な監査手続やスケジュールを定める個別計画,エは,システム監査の中長期的な方針などを明らかにする中長期計画(に相当する文書)の説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

システム監査基準(令和5年)によれば,システム監査において,監査人が一定の基準に基づいて総合的に点検・評価を行う対象とするものは,情報システムのマネジメント,コントロールと,あと一つはどれか。

正解 ア

解説

システム監査基準(令和5年)は,システム監査を「情報システムのガバナンス,マネジメント,コントロールを点検・評価・検証する」ものと位置付けている。経営陣による統治の仕組みであるガバナンスまでを対象に含めている点が特徴。

イ・ウ・エはいずれもこの3つの並びには含まれない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

情報システムに対する統制を IT に係る全般統制と IT に係る業務処理統制に分けたとき,IT に係る業務処理統制に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

IT に係る業務処理統制は,個々の業務システムの中に組み込まれ,その業務の処理が正確・網羅的に行われることを確保する統制。入力データの正当性チェック機能はその典型例。

ア・イ・エはいずれも複数の業務システムに共通して働く基盤的な統制であり,IT に係る全般統制(物理的アクセス管理,外部委託の管理,セキュリティ運用など)に当たる。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

エンタープライズアーキテクチャの参照モデルのうち,BRM(Business Reference Model)として提供されるものはどれか。

正解 ウ

解説

エンタープライズアーキテクチャ(EA)では,組織の姿を政策・業務体系,データ体系,適用処理体系,技術体系の四つの体系で捉え,その検討の雛形として参照モデルを用意する。BRM(Business Reference Model,業務参照モデル)は参照モデルの中で最も業務に近い階層に当たり,業務の分類に従って整理した業務体系・システム体系と,機能構成図や業務流れ図などの各種業務モデルを提供する。ウが正しい。

アは,アプリケーションの機能を部品として分類・体系化した SRM(Service Component Reference Model)である。イは,基盤や技術の標準仕様を示した TRM(Technical Reference Model)である。エは,組織間で共有される情報の名称・定義・属性を記述した DRM(Data Reference Model)の説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

“デジタルガバナンス・コード2.0”の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

デジタルガバナンス・コード2.0 は,企業の自主的なデジタル変革(DX)の推進を促すために,デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定など,経営者に求められる対応を,経済産業省が取りまとめたものである。アが正しい。

イは文部科学省が公表した教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン,ウは総務省の自治体 DX 推進計画のように自治体が重点的に取り組む事項を示したもの,エはデジタル庁がまとめた「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

SOA の説明はどれか。

正解 エ

解説

SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務システムの機能を利用者から見た意味のある単位(サービス)に分割し,それらを組み合わせてシステムを構築する考え方。業務プロセスの変更に合わせてサービスを組み替えやすく,他システムとの連携も容易になる。

アは ERP,イはフィット&ギャップ分析,ウは BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の説明。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

IT 投資案件において,投資効果を PBP(Pay Back Period)で評価する。投資額が500のとき,期待できるキャッシュインの四つのシナリオ a〜d のうち,効果が最も高いものはどれか。

四つのシナリオのキャッシュイン(1〜5年目)。a は 100,150,200,250,300。b は 100,200,300,200,100。c は 200,150,100,150,200。d は 300,200,100,50,50。

正解 エ

解説

PBP(回収期間)は,投資額をキャッシュインの累計で回収し終えるまでの期間で,短いほど投資効率が良いと評価する。投資額 500 に対する累計は,a が 100,250,450,700 で 4 年目に回収(約 3.2 年),b が 100,300,600 で 3 年目に回収(約 2.7 年),c が 200,350,450,600 で 4 年目に回収(約 3.3 年),d が 300,500 でちょうど 2 年目に回収する。最も短い d が最も投資効率が良く,エになる。

a はキャッシュインの合計(1,000)が最も大きいが,前半の金額が小さいので回収が遅い。PBP は回収後のキャッシュインを評価に含めないので,合計額の大小では決まらない。b と c も d より回収に時間がかかる。

回収期間(PBP)を累計の折れ線で比べる 投資額 500 に対して,キャッシュインの累計が 500 を越える年を比べる。d は 300,500 で2年目ちょうどに回収し,最も早い。b は3年目,a と c は4年目に回収する。a は合計が最も大きいが,前半が小さいので回収は遅い。PBP は回収後のキャッシュインを評価に含めない。 年 累計 投資 500 a b c d 1 2 3 4 5 d:2年で回収
累計の線が投資額の線を越える年。早いほど良い

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

EMS(Electronics Manufacturing Services)の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

EMS は,自社で生産設備をもつ企業が,他社のブランドで販売される電子機器の製造を受託するサービス。複数社の製品をまとめて生産することで規模の経済を働かせ,委託側は生産設備を持たずに済む。

アは設計だけを受託しており製造を行っていない点で誤り。イは自社ブランド販売,ウは自社製造なので,いずれも受託製造ではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

組込み機器のハードウェアの製造を外部に委託する場合のコンティンジェンシープランの記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)は,リスクが実際に起きてしまった場合に何をするかをあらかじめ決めておく計画。「顕在化したときに備えて,対処するための計画を策定する」がこれに当たる。

ア・イ・ウはいずれもリスクが起きる前に発生確率や影響を下げようとする予防的な対策(リスク軽減策)であり,顕在化後の対応計画ではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

PPM において,投資用の資金源として位置付けられる事業はどれか。

正解 ウ

解説

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)では,市場成長率と相対的市場占有率の2軸で事業を四つに分ける。市場成長率が低く相対的市場占有率が高い「金のなる木」は,追加投資が少なくて済むうえ大きな資金を生むので,他の事業への投資用の資金源として位置付けられる。ウが正しい。

アは「花形」で,資金は生むが成長に合わせた投資も必要になる。イは「問題児」で,資金を投入して花形に育てるか撤退するかを判断する対象。エは「負け犬」で,撤退を検討する対象である。

PPM の4つの区分 縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェア(左が高い)をとる。成長率もシェアも高い花形,成長率が高くシェアが低い問題児,成長率が低くシェアが高い金のなる木,どちらも低い負け犬に分ける。金のなる木が生んだ資金を,花形や問題児に回す。 花形 成長に合わせた投資も要る 問題児 シェアを取るには投資が要る 金のなる木 投資が少なく資金を生む 負け犬 撤退を考える 高 低 成長率 市場 高 低 相対的市場シェア 金のなる木の資金を,花形と問題児へ回す
金のなる木が生む資金を,花形と問題児に回す

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

企業が属する業界の競争状態と収益構造を,“新規参入の脅威”,“供給者の支配力”,“買い手の交渉力”,“代替製品・サービスの脅威”,“既存競合者同士の敵対関係”の要素に分類して,分析するフレームワークはどれか。

正解 エ

解説

ファイブフォース分析は,業界の競争環境を「新規参入の脅威」「供給者の交渉力」「買い手の交渉力」「代替品の脅威」「既存競合者同士の敵対関係」という五つの力に分けて,その業界の収益性を分析する枠組み。

アの PEST 分析は政治・経済・社会・技術という外部のマクロ環境を分析する枠組み,イの VRIO 分析は経営資源の競争優位性を評価する枠組み,ウのバリューチェーン分析は自社の活動を機能別に分解して付加価値の源泉を探る手法。

ファイブフォース分析 業界の収益性を決める5つの競争要因として,業界内の競争(既存の競合企業どうしの敵対関係)を中心に,新規参入の脅威,代替品の脅威,売り手(供給業者)の交渉力,買い手(顧客)の交渉力を置いて分析する。 業界内の競争 既存企業どうし 新規参入の脅威 代替品の脅威 売り手の交渉力 買い手の交渉力
中心が業界内の競争。上下に脅威2つ,左右に交渉力2つ

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

フィージビリティスタディの説明はどれか。

正解 ア

解説

フィージビリティスタディ(実現可能性調査)は,事業やプロジェクトに本格的に投資する前に,技術面・採算面などから実現できるかどうかを調査・検証する評価活動。

イはデルファイ法,ウはブレーンストーミング,エはプロダクトライフサイクルの説明。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

IoT 活用におけるデジタルツインの説明はどれか。

正解 エ

解説

デジタルツインは,現実世界の物や環境の状態を様々なセンサーで収集し,そのデータを用いてデジタル空間に現実と同等の“双子”の世界を構築する技術である。デジタル空間の上で,現実世界では実施できないようなシミュレーションや将来の予測を行い,その結果を現実世界に生かす。エが適切である。

アは遠隔地の 3D プリンターへの設計データの送信による製作,イはシステムを正副二重に用意するデュプレックスシステムなどの冗長化,ウは家電を遠隔で監視・操作するウェアラブルデバイスで,いずれもデジタル空間に現実世界を再現するものではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

IoT を活用したビジネスモデルの事例のうち,マスカスタマイゼーションの事例はどれか。

正解 エ

解説

マスカスタマイゼーションは,大量生産の効率を保ちながら,顧客ごとの要望に合わせた個別仕様の製品を提供する方式である。エは,顧客の顔の形状を 3D スキャナーでデジタル化して,それに合わせたフレーム形状を設計し,工場へ設計情報を送って,パーツの組合せで効率的に製造するので,これに当たる。

アは建設機械の稼働状況の可視化と盗難時の遠隔操作によるエンジン停止,イはエンジンのセンサーデータの分析による予防保守,ウは遠隔操作で解錠できる車両を使ったカーシェアサービスで,いずれも製品を個別仕様で大量生産するものではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

IoT の技術として注目されている,エッジコンピューティングの説明として,最も適切なものはどれか。

正解 ア

解説

エッジコンピューティングは,クラウドにデータを送って処理するのではなく,端末に近い場所(エッジ)に演算資源を配置して処理する方式。通信の往復が減るので応答が速くなり,ネットワークに流れるデータ量も抑えられる。アが正しい。

イはウェアラブルコンピューティング,ウはグリッドコンピューティング(分散処理),エはエネルギーハーベスティングの説明。

エッジコンピューティング センサーなどの端末のデータを全部クラウドへ送って処理すると,往復に時間がかかり,回線のデータ量も増える。端末の近く(エッジ)に処理の資源を置いて先に処理すれば,応答が速くなり(低遅延),クラウドへ送るデータも減らせる。 クラウド エッジ 近くで処理 センサー1 センサー2 センサー3 要るものだけ 往復が短い → 低遅延 クラウドへ流すデータが減る
端末の近くで処理する → 速く,送るデータも少ない

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

ゲーム理論における“ナッシュ均衡”の説明はどれか。

正解 エ

解説

ナッシュ均衡は,非協力ゲームにおいて,各プレイヤーが相手の戦略を所与としたとき最適な戦略を選んでいて,どのプレイヤーも自分だけが戦略を変更しても利得を増やせない,戦略の組合せの状態である。エが正しい。

アは,一方の受取がそのまま他方の支払となり,利得の総和がゼロになるゼロ和ゲーム,イは,相手の利得を最小化する行動を選ぶ,ミニマックス戦略,ウは,自身の最悪の結果(最小利得)が最大になる行動を選ぶマキシミン戦略の説明である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

分析対象としている問題に数多くの要因が関係し,それらが相互に絡み合っているとき,原因と結果,目的と手段といった関係を追求していくことによって,因果関係を明らかにし,解決の糸口をつかむための図はどれか。

正解 エ

解説

連関図は,複雑に絡み合った原因と結果,目的と手段の関係を矢印でつないで図示し,因果関係を明らかにして問題解決の糸口をつかむための新 QC 七つ道具の一つである。エが正しい。

アのアローダイアグラムは作業の順序関係と日程を表す図,イのパレート図は項目を件数の多い順に並べて重点を見つける図,ウのマトリックス図は行と列に要素を並べて要素間の関連を表す図で,いずれも因果関係を追求するための図ではない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

製品 X,Y を1台製造するのに必要な部品数は,表のとおりである。製品1台当たりの利益が X,Y ともに1万円のとき,利益は最大何万円になるか。ここで,部品 A は120個,部品 B は60個まで使えるものとする。

製品1台を製造するのに必要な部品数の表(単位 個)。部品Aは製品Xが3,製品Yが2。部品Bは製品Xが1,製品Yが2。

正解 ウ

解説

製品 X の製造台数を x,製品 Y の製造台数を y とすると,部品 A の制約は 3x+2y≦120,部品 B の制約は x+2y≦60 であり,利益は x+y(万円)になる。二つの制約式を等号にして辺々引くと 2x=60 となり,x=30,y=15 でこのとき利益は 45 万円である。ほかに利益が最大になり得る点は,y=0 のとき部品 A から x=40 で 40 万円,x=0 のとき部品 B から y=30 で 30 万円である。最大は 45 万円なので,ウになる。

アの 30 は製品 Y だけを作った場合,イの 40 は製品 X だけを作った場合の利益である。エの 60 は,部品 B の制約だけを見て製品 X を 60 台作ったときの値だが,このとき部品 A が 180 個必要になり,120 個までという制約を満たさない。

線形計画法:実行可能領域と利益が最大の点 X を x 台,Y を y 台作るとき,部品 A の制約 3x+2y≦120 と部品 B の制約 x+2y≦60 を満たす範囲(塗った部分)の中で,利益 x+y が最大になる点を探す。最大になるのは領域の角で,2本の境界線の交点 x=30,y=15 のとき利益は45万円。X だけなら40,Y だけなら30。 X の台数 x Y の台数 y 3x+2y=120(部品 A) x+2y=60(部品 B) (30, 15) で利益45 x+y=45 40 30 60 作れる範囲
利益が最大になるのは領域の角。2本の制約の交点 (30, 15) で45万円

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

今年度の A 社の販売実績と費用(固定費,変動費)を表に示す。来年度,固定費が5%増加し,販売単価が5%低下すると予測されるとき,今年度と同じ営業利益を確保するためには,最低何台を販売する必要があるか。

A社の今年度の販売実績と費用。販売台数2,500台,販売単価200千円,固定費150,000千円,変動費100千円/台。

正解 エ

解説

今年度の営業利益は,売上 200×2,500=500,000 千円から,固定費 150,000 千円と変動費 100×2,500=250,000 千円を引いた 100,000 千円である。来年度は固定費が 5%増えて 157,500 千円,販売単価が 5%下がって 190 千円になり,変動費は 1 台当たり 100 千円のままである。1 台当たりの限界利益は 190−100=90 千円なので,営業利益 100,000 千円を確保する販売台数を n とすると,90n−157,500=100,000 より n=257,500÷90≒2,861.1 となり,切り上げて 2,862 台が必要である。エが正しい。

ア(2,575)は,販売単価の低下を考えず限界利益を 100 千円として 257,500÷100 で求めた値,ウ(2,778)は,固定費の増加を考えず 250,000÷90 で求めた値で,どちらも条件の一部を見落としている。イ(2,750)では 90×2,750−157,500=90,000 千円となり,今年度の営業利益に足りない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

損益計算資料から求められる損益分岐点売上高は,何百万円か。

損益計算資料(単位 百万円)。売上高500,材料費(変動費)200,外注費(変動費)100,製造固定費100,総利益100,販売固定費80,利益20。

正解 ウ

解説

変動費は材料費200+外注費100=300百万円,固定費は製造固定費100+販売固定費80=180百万円。

変動費率は 300÷500=0.6 なので,限界利益率は 1−0.6=0.4。

損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率=180÷0.4=450百万円。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

特許法による保護の対象となるものはどれか。

正解 ア

解説

特許法は,発明を保護する法律で,発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義されている(特許法第2条第1項)。アが正しい。

イの思想又は感情を創作的に表現したものは著作権法の保護対象(著作物),ウの物品の形状,模様,色彩などで美感を起こさせるものは意匠法の保護対象(意匠),エの文字,図形,記号などの標章で商品や役務について使用するものは商標法の保護対象(商標)である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

不正競争防止法の不正競争行為に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

不正競争防止法は,商標権の有無にかかわらず,不正の利益を得る目的でのドメイン名の取得・使用や,他人の商品形態を模倣した商品の譲渡などを不正競争行為として規制している。ウはコピー商品を販売して利益を得ており,これに該当する。

アは「偶然」であり,不正の利益を得る目的も他人に損害を加える目的も認められない。イは周知性の及ばない地方での販売で,混同が生じるおそれがない。エは正当な利益を得る目的が認められており,いずれも不正競争行為には当たらない。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

個人情報のうち,個人情報保護法における要配慮個人情報に該当するものはどれか。

正解 エ

解説

個人情報保護法第2条第3項は,要配慮個人情報を,本人の人種,信条,社会的身分,病歴,犯罪の経歴,犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別,偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報と定義している。エが該当する。

アは誤り。要配慮個人情報は法令で定められた情報であり,本人の申告によって設定されるものではない。イの運転免許証の番号などは個人識別符号に当たり得るが,要配慮個人情報ではない(クレジットカード番号は個人識別符号にも当たらない)。ウの勤務先や住所などは一般の個人情報である。

出典:令和6年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)