平成26年度 秋期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
A,B,C,D を論理変数とするとき,次のカルノー図と等価な論理式はどれか。ここで,・は論理積,+は論理和,X は X の否定を表す。
ア A・B・C ・D+B ・D
イ Ā・B ・C ・D +B・D
ウ A・B・D+B ・D
エ Ā・B ・D +B・D 正解
正解 エ
解説
カルノー図の1のマスをまとめる。AB=01 と 11 の行(B=1)で,CD=01 と 11 の列(D=1)にある四つの1は,A と C の値に関係なく B=1,D=1 のときなので B・D にまとまる。残る AB=00 の行の CD=00 と CD=10 の1は,左右の端が隣接しているとみなして一つにまとめられ,A=0,B=0,D=0 のときなので Ā・B ・D となる。
よって論理式は Ā・B ・D +B・D で,エが正しい。アとウの B ・D は AB=10 の行の CD=00,10 にも1を置くことになるが,その行はすべて0なので誤り。イの Ā・B ・C ・D は AB=00,CD=10 のマスの1を表していない。
カルノー図の1をまとめる
B=1 の行(AB=01,11)で D=1 の列(CD=01,11)にある4つの1は,A と C に関係なく B・D。AB=00 の行の CD=00 と CD=10 の1は,左右の端がつながっているとみなして1つにまとめ,Ā・B̄・D̄。全体は Ā・B̄・D̄+B・D。
AB\CD
00
01
11
10
00
1
0
0
1
01
0
1
1
0
11
0
1
1
0
10
0
0
0
0
B・D(実線)+ A ・B ・D (破線:両端がつながる)
左右の端(上下の端)は隣どうし。大きな四角でまとめるほど式が短くなる
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
4n ビットを用いて整数を表現するとき,符号なし固定小数点表示法で表現できる最大値を a とし,BCD(2進化10進符号)で表現できる最大値を b とする。n が大きくなると a/b はどれに近づくか。
ア (15/9)×n
イ (15/9)n
ウ (16/10)×n
エ (16/10)n 正解
正解 エ
解説
4n ビットの符号なし整数で表せる最大値は 24n −1=16n −1 である(a)。BCD は 10 進数の 1 桁を 4 ビットで表すので,4n ビットでは n 桁を表せ,最大値は 10n −1 である(b)。n が大きくなると,どちらも 1 を引く影響が小さくなり,a/b は 16n /10n =(16/10)n に近づく。エが正しい。
アとウは n に比例する形で,16n や 10n が指数的に増えることを表していない。イの (15/9)n は,1 桁の最大値(16 進数で 15,BCD で 9)の比をべき乗にした誤りで,a は 16n −1 であり 15n ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
コンピュータによる伝票処理システムがある。このシステムは,伝票データをためる待ち行列をもち,M/M/1 の待ち行列モデルが適用できるものとする。平均待ち時間が T 秒以上となるのは,処理装置の利用率が少なくとも何%以上となったときか。ここで,伝票データをためる待ち行列の特徴は次のとおりである。
伝票データは,ポアソン分布に従って発生する。 伝票データのたまる数に制限はない。 1件の伝票データの処理時間は,平均 T 秒の指数分布に従う。
正解 イ
解説
M/M/1 では平均待ち時間=平均処理時間×ρ/(1−ρ)(ρ は利用率)で表せる。1件の処理時間の平均が T 秒なので,平均待ち時間が T 秒以上になるのは ρ/(1−ρ)≧1 のとき。これを解くと ρ≧1−ρ,すなわち ρ≧0.5 となり,利用率50%以上。イが正しい。
利用率が50%のとき待ち時間はちょうど T と等しくなり,それを超えると待つ時間のほうが処理時間より長くなる。ウの67%では 0.67/0.33 で約2倍,エの80%では0.8/0.2 で4倍まで伸びる。アの33%では約0.5倍で T に届かない。
M/M/1 の待ち時間と利用率
M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。
0.5 → 1倍
0.8 → 4倍
0.9 → 9倍
1
利用率 ρ
ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
配列 A[1],A[2],…,A[n] で,A[1] を根とし,A[i] の左側の子を A[2i],右側の子を A[2i+1] とみなすことによって,2分木を表現する。このとき,配列を先頭から順に調べていくことは,2分木の探索のどれに当たるか。
ア 行きがけ順(先行順)深さ優先探索
イ 帰りがけ順(後行順)深さ優先探索
ウ 通りがけ順(中間順)深さ優先探索
エ 幅優先探索 正解
正解 エ
解説
A[1] を根とし,A[i] の子を A[2i] と A[2i+1] とする配列表現では,添字は根(1)の次に深さ1の節点(2,3),その次に深さ2の節点(4〜7)というように,上の段から,同じ段は左から右へ並ぶ。配列を先頭から順に調べるとは,この順に節点を訪れることなので,浅い節点から段ごとに調べる幅優先探索に当たる。エが正しい。
ア,イ,ウは,いずれも根から枝を深く下って調べる深さ優先探索で,節点を訪れる順番だけが違う。行きがけ順は親→左→右,通りがけ順は左→親→右,帰りがけ順は左→右→親の順に節点を訪れ,どれも配列の添字の順にはならない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
グラフに示される頂点 V1 から V4 ,V5 ,V6 の各点への最短所要時間を求め,短い順に並べたものはどれか。ここで,グラフ中の数値は各区間の所要時間を表すものとし,最短所要時間が同一の場合には添字の小さい順に並べるものとする。
ア V4 ,V5 ,V6
イ V4 ,V6 ,V5 正解
ウ V5 ,V4 ,V6
エ V5 ,V6 ,V4
正解 イ
解説
ダイクストラ法の考え方で,V1 から近い頂点から順に最短所要時間を確定していく。V3 は直接 1。V2 は直接なら 4 だが,V3 経由で 1+1=2。V4 は V2 経由で 2+1=3(V3 から直接だと 1+4=5)。V6 は V4 経由で 3+1=4。V5 は V4 経由 3+2=5,V2 経由 2+4=6,V3 経由 1+5=6,V6 経由 4+2=6 のうち最小の 5 となる。
したがって V4 (3),V6 (4),V5 (5)の順で,イが正しい。V3 を経由して V2 に行く近道を見落とし,V1 –V2 を 4 として計算すると順序を誤りやすい。
V1 からの最短所要時間
V1 から近い頂点から順に最短所要時間を確定していく。V3 は 1,V2 は V3 経由で 1+1=2,V4 は V2 経由で 2+1=3,V6 は V4 経由で 3+1=4,V5 は V4 経由で 3+2=5(ほかの経路は6)。短い順に V4,V6,V5。
4
1
1
1
4
4
5
2
1
2
V1
V2
V3
V4
V5
V6
0
2
1
3
5
4
短い順に V4(3),V6(4),V5(5)
四角の数字が V1 からの最短所要時間。濃い線が最短の経路
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
データ列が整列の過程で図のように上から下に推移する整列方法はどれか。ここで,図中のデータ列中の縦の区切り線は,その左右でデータ列が分割されていることを示す。
ア クイックソート
イ シェルソート
ウ ヒープソート
エ マージソート 正解
正解 エ
解説
図は,8 個のデータ列を 2 個ずつの組に分けて組ごとに整列し(1 6|3 7|4 8|2 5),隣り合う整列済みの組を併合して 4 個ずつの組(1 3 6 7|2 4 5 8)にし,最後に全体を併合して整列している。整列済みの列を併合しながら大きくしていくマージソートで,エが正しい。
アのクイックソートは,基準値を選んでそれより小さい値と大きい値に分け,各部分を同じ方法で整列する。イのシェルソートは,離れた要素どうしを挿入ソートで整列し,その間隔を狭めながら繰り返す。ウのヒープソートは,ヒープ(木構造)から最大値や最小値を順に取り出して整列する。いずれも,図のように整列済みの列を併合していく推移にはならない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
パイプライン方式のプロセッサにおいて,パイプラインが分岐先の命令を取得するときに起こるハザードはどれか。
ア 構造ハザード
イ 資源ハザード
ウ 制御ハザード 正解
エ データハザード
正解 ウ
解説
パイプラインのハザードは,命令の流れが乱れて,次の命令をそのまま実行できなくなる状況である。分岐命令では,分岐するかどうか,分岐先がどこかが確定するまで,次に取得すべき命令が決まらない。このため分岐先の命令を取得するときに起こるのは制御ハザードで,ウが正しい。
アの構造ハザードは,複数の命令が同じ回路やメモリなどの資源を同時に使おうとして起こる衝突,イの資源ハザードは構造ハザードの別名で,同じく資源の競合によって起こる。エのデータハザードは,先行する命令の結果がまだ書き込まれていないのに,後続の命令がそのデータを使おうとして起こる。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
現在の商用超並列コンピュータの多くが採用しているマルチプロセッサの処理方式の一つであり,プロセッサごとに異なる命令を並列に実行させるものはどれか。
ア CISC
イ MIMD 正解
ウ RISC
エ SIMD
正解 イ
解説
マルチプロセッサの処理方式は,命令の流れ(インストラクション)とデータの流れの数で分類される。MIMD(Multiple Instruction Multiple Data)は,各プロセッサが異なる命令を,それぞれ異なるデータに対して並列に実行する方式で,イが正しい。
エの SIMD は,1 つの命令で複数のデータを同時に処理する方式(ベクトル演算や画像処理などに使う)。アの CISC は複雑で多機能な命令をもつ命令セットの設計方針,ウの RISC は単純な命令に絞って高速化する設計方針で,いずれも並列に実行する処理方式ではなく,命令セットの考え方である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
キャッシュの書込み方式には,ライトスルー方式とライトバック方式がある。ライトバック方式を使用する目的として,適切なものはどれか。
ア キャッシュと主記憶の一貫性(コヒーレンシ)を保ちながら,書込みを行う。
イ キャッシュミスが発生したときに,キャッシュの内容の主記憶への書き戻しを不要にする。
ウ 個々のプロセッサがそれぞれのキャッシュをもつマルチプロセッサシステムにおいて,キャッシュ管理をライトスルー方式よりも簡単な回路構成で実現する。
エ プロセッサから主記憶への書込み頻度を減らす。 正解
正解 エ
解説
ライトバック方式は,書込みをまずキャッシュだけに行い,主記憶(書込み先の記憶装置)への反映は後でまとめて行う方式である。書き込むたびに主記憶へ書き込む必要がないので,プロセッサから主記憶への書込み頻度を減らせる。エが適切である。
アのキャッシュと主記憶の一貫性を保ちながら書き込むのは,キャッシュと主記憶の両方に同時に書き込むライトスルー方式の特徴で,ライトバック方式は反映までの間に一貫性が崩れる。イは誤りで,ライトバック方式ではキャッシュの内容を置き換える前に主記憶へ書き戻す必要がある。ウのように回路構成を簡単にすることは,ライトバック方式の目的ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
ストレージ技術におけるシンプロビジョニングの説明として,適切なものはどれか。
ア 同じデータを複数台のハードディスクに書き込み,冗長化する。
イ 一つのハードディスクを,OS をインストールする領域とデータを保存する領域とに分割する。
ウ ファイバチャネルなどを用いてストレージをネットワーク化する。
エ 利用者の要求に対して仮想ボリュームを提供し,物理ディスクは実際の使用量に応じて割り当てる。 正解
正解 エ
解説
シン・プロビジョニングはストレージの仮想化技術の一つで,利用者(サーバ)には必要と見込まれる容量の仮想ボリュームを見せておき,物理ディスクの領域は実際にデータが書き込まれた分だけ割り当てる。物理容量を最初から全て用意する必要がなく,使用量の増加に合わせて追加できるので,ストレージの利用効率が上がる。エが適切である。
アは同じデータを複数のディスクに書き込むミラーリング(RAID 1),イは 1 台のディスクを複数の領域に分けるパーティション分割の説明である。ウは,ファイバチャネルなどでサーバとストレージをネットワーク接続する SAN(Storage Area Network)の説明である。
シン・プロビジョニング
サーバには必要と見込まれる大きさの仮想ボリュームを見せておき,物理ディスクの領域は実際に書き込まれた分だけを割り当てる。最初から全ての容量を用意しなくてよく,使う量が増えたら物理ディスクを足せばよい。
サーバA
仮想 1T バイト
サーバB
仮想 1T バイト
サーバC
仮想 1T バイト
使った分だけ
物理ディスク(あとから足せる)
塗った部分が実際に書き込まれた量
見せる容量は大きく,実際に割り当てるのは使った分だけ
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
3層クライアントサーバシステムの説明のうち,適切なものはどれか。
ア システムを機能的に,Web サーバ,ファイアウォール,クライアントの 3 階層に分けたシステムである。
イ システムを機能的に,アプリケーション,通信,データベースの 3 階層に分けたシステムである。
ウ システムを物理的に,メインフレーム,サーバ,クライアントの 3 階層に分けたシステムである。
エ システムを論理的に,プレゼンテーション,ファンクション,データベースの 3 階層に分けたシステムである。 正解
正解 エ
解説
3層クライアントサーバシステムは,システムを論理的に,画面の表示や入力を担うプレゼンテーション層,業務の処理を担うファンクション層,データの管理を担うデータベース層の 3 階層に分けたものである。層ごとに独立して変更や拡張ができる。エが適切である。
アのファイアウォールは通信を制御する機器であり,機能の層ではない。イの通信も,機能の層には当たらない。ウのメインフレーム,サーバ,クライアントに分ける構成は,機器の配置による物理的な 3 階層で,3 層クライアントサーバシステムが指す論理的な分割とは違う。
3層アーキテクチャ
システムを,プレゼンテーション層(画面の表示と入力),アプリケーション層(業務の処理),データ層(データベースの管理)の3つに分ける。層ごとに独立して変更や拡張ができ,クライアントには表示の機能だけを置けばよい。
プレゼンテーション層
画面(ブラウザ)
アプリケーション層
業務の処理
データ層
データベース
層ごとに変更・拡張できる(業務の処理はサーバ側)
2層(クライアントサーバ)では業務処理がクライアントに載る
表示・業務処理・データを分ける
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
NAS を利用することによって,達成できることはどれか。
ア サーバごとに専用の磁気ディスクを搭載して個別管理するよりも,ファイルサーバのようにシステム全体で磁気ディスク群を効率的に利用することができる。 正解
イ 磁気ディスクに障害が発生しても,自動的に予備の磁気ディスクを起動して,パリティ情報からデータを復元し,処理を継続することができる。
ウ 磁気ディスクのファイル領域の断片化を解消し,ヘッドの移動量の増大から起こる読み書き速度の低下や故障の誘発を防止することができる。
エ データベースにアクセスするのに,SQL を使わず,表計算ソフトを操作する感覚でアクセスすることができる。
正解 ア
解説
NAS(Network Attached Storage)は,LAN に直接つなぐファイルサーバ専用の記憶装置で,複数のサーバやクライアントが同じ記憶装置をファイル単位で共有できる。サーバごとに専用のディスクを個別に管理するよりも,システム全体でディスク群を効率よく利用できる。アが達成できることである。
イは,パリティ情報から復元したり予備のディスクを自動で使ったりする RAID の機能。ウは,ファイルの断片化を解消するデフラグ(最適化)の説明。エは,SQL を使わずにデータベースを操作するという話で,ファイルを共有する NAS の機能とは関係がない。
DAS・SAN・NAS の違い
DAS はサーバにディスクを直接つなぎ,ブロック単位で読み書きする。SAN は LAN とは別の専用ネットワーク(ファイバチャネルなど)でサーバとストレージをつなぎ,ブロック単位で読み書きする。NAS はふだんの LAN につなぐファイルサーバで,NFS や SMB でファイル単位で共有する。
DAS
SAN
NAS
サーバ
ディスク
直接つなぐ
サーバ
サーバ
FC スイッチ
ストレージ
LAN とは別の専用網
PC
サーバ
ふだんの LAN
NAS
NFS・SMB で共有
ブロック単位
ブロック単位
ファイル単位
SAN は大量の読み書きが LAN を混ませない
見分けるのは「どの線でつなぐか」と「ブロックかファイルか」
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
次の条件で運転するクライアントサーバシステムにおいて,ネットワークに必要な転送速度は,最低何ビット/秒か。
〔条件〕
(1) トランザクション1件の平均的な処理は,CPU 命令 300 万ステップとデータ入出力 40 回で構成され,ネットワークで転送されるデータは送受信それぞれ 1,000 バイトである。 (2) サーバでの CPU 命令1ステップの平均実行時間は 300 ナノ秒である。 (3) データ入出力は1回平均 20 ミリ秒で処理されている。 (4) 1バイトは 8 ビットとする。 (5) クライアントにおけるデータの送信開始から受信完了までに許容される時間は 2.5 秒である。 (6) サーバは 1 CPU,1 コアで構成されている。 (7) 待ち時間及びその他のオーバヘッドは考慮しない。
ア 10,000
イ 16,000
ウ 20,000 正解
エ 25,000
正解 ウ
解説
1 件のトランザクションの処理時間は,CPU が 3,000,000 ステップ×300 ナノ秒=0.9 秒,データ入出力が 40 回×20 ミリ秒=0.8 秒で,合計 1.7 秒である。許容される 2.5 秒からこれを引くと,ネットワークで送受信に使える時間は 0.8 秒になる。転送するデータは送受信それぞれ 1,000 バイトで合計 2,000 バイト=16,000 ビットなので,必要な転送速度は 16,000÷0.8=20,000 ビット/秒である。ウが正しい。
アの 10,000 は,2.5 秒から CPU の時間 0.9 秒だけを引いて 1.6 秒とし,データ入出力の時間を引き忘れた場合の値。イの 16,000 ビット/秒では 16,000 ビットの転送に 1 秒掛かり,合計 2.7 秒になって 2.5 秒に収まらない。エの 25,000 ビット/秒は条件を満たすが,最低の速度ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
2台のプリンタがあり,それぞれの稼働率が 0.7 と 0.6 である。この2台のいずれか一方が稼働していて,他方が故障している確率は幾らか。ここで,2台のプリンタの稼働状態は独立であり,プリンタ以外の要因は考慮しないものとする。
ア 0.18
イ 0.28
ウ 0.42
エ 0.46 正解
正解 エ
解説
いずれか一方だけが稼働している確率は,“1台目が稼働して2台目が故障”と“1台目が故障して2台目が稼働”の和になる。0.7×(1−0.6)+(1−0.7)×0.6=0.28+0.18=0.46 となり,エが正しい。
アの 0.18 とイの 0.28 はそれぞれ片方の場合だけを求めた値,ウの 0.42 は両方とも稼働している確率 0.7×0.6 である。
2台のうち片方だけが動いている確率
稼働率 0.7 と 0.6 のプリンタの状態は4通り。両方稼働 0.7×0.6=0.42,1台目だけ 0.7×0.4=0.28,2台目だけ 0.3×0.6=0.18,両方故障 0.3×0.4=0.12。片方だけが動いているのは 0.28+0.18=0.46。
両方稼働
0.42
2台目だけ
0.18
1台目だけ
0.28
両方故障
0.12
1台目 稼働 0.7
故障 0.3
2台目 稼働 0.6
故障 0.4
0.28 + 0.18 = 0.46
片方だけの2つの面積を足す
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
プログラムの実行時に利用される記憶領域にスタック領域とヒープ領域がある。それらの領域に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア サブルーチンからの戻り番地の退避にはスタック領域が使用され,割当てと解放の順序に関連がないデータの格納にはヒープ領域が使用される。 正解
イ スタック領域には未使用領域が存在するが,ヒープ領域には未使用領域は存在しない。
ウ ヒープ領域はスタック領域の予備領域であり,スタック領域が一杯になった場合にヒープ領域が動的に使用される。
エ ヒープ領域も構造的にはスタックと同じプッシュとポップの操作によって,データの格納と取出しを行う。
正解 ア
解説
スタック領域は,サブルーチンの戻り番地や局所変数のように,最後に割り当てたものから先に解放する後入れ先出しの順で使われる。一方ヒープ領域は,実行時に必要な大きさの領域を任意の順序で割り当てたり解放したりするために使われる。割当てと解放の順序に関連がないデータにヒープ領域を使うアが適切である。
イは,ヒープ領域も使われていない部分をもつので誤り。ウのように,ヒープ領域はスタック領域の予備ではなく,別の用途の領域である。エの,プッシュとポップでデータを出し入れするのはスタックの操作で,ヒープは任意の位置の領域を確保,解放する。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
三つの資源 X〜Z を占有して処理を行う四つのプロセス A〜D がある。各プロセスは処理の進行に伴い,表中の数値の順に資源を占有し,実行終了時に三つの資源を一括して解放する。プロセス A とデッドロックを起こす可能性があるプロセスはどれか。
ア B,C,D
イ C,D 正解
ウ C だけ
エ D だけ
正解 イ
解説
デッドロックは,複数のプロセスが資源を異なる順序で確保しようとして,互いに相手が持つ資源の解放を待ち合うことで起こる。逆に,すべてのプロセスが同じ順序で資源を確保すれば待ち合いの輪はできない。
A の占有順序は X→Y→Z。B も X→Y→Z で A と同じ順序なのでデッドロックしない。C は Z→X→Y,D は Z→Y→X で,どちらも A と順序が異なるため,A が X を確保して Z を待つ一方で相手が Z を確保して X を待つ,という状況が起こり得る。よって C と D。
資源を占有する順番とデッドロック
A は X→Y→Z の順に資源を占有する。B も X→Y→Z で同じ順番なので,待ち合いの輪はできない。C は Z→X→Y,D は Z→Y→X で順番が違うので,A が X を持って Z を待ち,相手が Z を持って X を待つ,という状態が起こり得る。
A
X → Y → Z
B
X → Y → Z
A と同じ順番 → 大丈夫
C
Z → X → Y
A と順番が違う → 危ない
D
Z → Y → X
A と順番が違う → 危ない
例:A が X を持って Z を待ち,C が Z を持って X を待つ
答え:C と D
同じ順番なら輪はできない。順番が違う C と D は A とデッドロックし得る
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
固定区画方式を使用した主記憶において,大きさが 100k バイト,200k バイト,300k バイト,400k バイトの区画をそれぞれ一つ設定する。この主記憶に,大きさが 250k バイト,250k バイト,50k バイトのプログラムをベストフィット方式で割り当てた。この時点で,使用できない領域は合計で何 k バイト生じているか。
正解 イ
解説
ベストフィット方式は,空いている区画のうち,プログラムが入る最小の区画に割り当てる方式である。250k バイトのプログラムは 300k バイトの区画(余り 50k),次の 250k バイトのプログラムは残る 400k バイトの区画(余り 150k),50k バイトのプログラムは 100k バイトの区画(余り 50k)に入る。区画の中の余りで使えない領域は 50+150+50=250k バイトで,イが正しい。
未使用の 200k バイトの区画は,ほかのプログラムが入れば使える領域なので,使用できない領域ではない。アの 200 は未使用の区画だけを数えた値,エの 450 は余りの 250 に未使用の区画 200 を足した値である。ウの 350 は,50k バイトのプログラムを 100k ではなく 200k の区画に入れた(ベストフィットでない)場合の余り 50+150+150 に当たる。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
Linux カーネルの説明として,適切なものはどれか。
ア GUI が組み込まれていて,マウスを使った直感的な操作が可能である。
イ Web ブラウザ,ワープロソフト,表計算ソフトなどが含まれており,Linux カーネルだけで多くの業務が行える。
ウ シェルと呼ばれる CUI が組み込まれていて,文字での操作が可能である。
エ プロセス管理やメモリ管理などの,アプリケーションが動作するための基本機能を提供する。 正解
正解 エ
解説
カーネルは OS の中核部分で,プロセス管理,メモリ管理,ファイルシステム,デバイス制御など,アプリケーションが動作するための基本機能を提供する。Linux カーネルもこれに当たるので,エが適切である。
アの GUI(X Window System やデスクトップ環境)や,ウのシェル(CUI)は,カーネルの上で動くソフトウェアで,カーネル自体には組み込まれていない。イの Web ブラウザや表計算ソフトなどのアプリケーションを含めて提供されるのは Linux ディストリビューションであり,カーネルではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
8ビット D/A 変換器を使って負でない電圧を発生させる。使用する D/A 変換器は,最下位の 1 ビットの変化で出力が 10 ミリ V 変化する。データに 0 を与えたときの出力は 0 ミリ V である。データに 16 進数で 82 を与えたときの出力は何ミリ V か。
ア 820
イ 1,024
ウ 1,300 正解
エ 1,312
正解 ウ
解説
16進数の 82 を10進数に直すと,8×16+2=130 になる。最下位の1ビットの変化で出力が 10 ミリ V 変わり,データ 0 のとき 0 ミリ V なので,出力は 130×10=1,300 ミリ V となる。ウが正しい。
アの 820 は 82 を10進数のまま使った値。エの 1,312 は 82 を16倍して 1,312 とした値など,基数の変換を誤ったときの値である。イの 1,024 は 210 で,この計算とは関係がない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
図の論理回路において,S=1,R=1,X=0,Y=1 のとき,S を一旦 0 にした後,再び 1 に戻した。この操作を行った後の X,Y の値はどれか。
ア X=0,Y=0
イ X=0,Y=1
ウ X=1,Y=0 正解
エ X=1,Y=1
正解 ウ
解説
X=NOT(S・Y),Y=NOT(R・X) で動くラッチ回路である。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で,X=NOT(1・1)=0,Y=NOT(1・0)=1 と安定している。
S を 0 にすると X=NOT(0・Y)=1 になり,これを受けて Y=NOT(1・1)=0 に変わる。次に S を 1 に戻しても,Y=0 なので X=NOT(1・0)=1 のままで,Y=NOT(1・1)=0 も変わらない。操作後は X=1,Y=0 で,ウが正しい。S を一時的に 0 にすることで状態が反転し,戻した後もその状態が保持される(セット)。
ラッチ回路の値の移り変わり
X=¬(S・Y),Y=¬(R・X) の回路。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で安定している。S を0にすると X=¬(0・Y)=1 になり,続いて Y=¬(1・1)=0 になる。S を1に戻しても Y=0 なので X=¬(1・0)=1 のままで,X=1,Y=0 が保たれる。
S
R
X
Y
S
R
X
Y
1
1
0
1
0
1
1
0
1
1
1
0
初め:
S を0に:
S を1に戻す:
X=¬(1・1)=0,Y=¬(1・0)=1 で安定
X=¬(0・1)=1 → Y=¬(1・1)=0
X=¬(1・0)=1 のまま(保持)
S を一度0にすると状態が入れ替わり,1に戻してもそのまま保たれる
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
図の回路を用いてアドレスバスから CS 信号を作る。CS 信号が L のときのアドレス範囲はどれか。ここで,アドレスバスは A0〜A15 の 16 本で,A0 が LSB とする。また,解答群の数値は 16 進数である。
ア 3B00〜3BFF
イ 8300〜9BFF
ウ A400〜A4FF
エ C400〜C4FF 正解
正解 エ
解説
回路は,A15〜A8 の 8 本の入力をもつ NAND(否定論理積)素子に入り,その出力が CS 信号になる。NAND の出力が L になるのは,全ての入力が 1 のときである。○印のある A13,A12,A11,A9,A8 は否定されて入力されるので 0,○印のない A15,A14,A10 は 1 でなければならない。A15〜A8 が 1100 0100(16 進数で C4)で,下位 8 ビット(A7〜A0)は何でもよいので,範囲は C400〜C4FF となり,エが正しい。
アの 3B00〜3BFF は,上位 8 ビットが 0011 1011 で,求めた C4 の全ビットを反転した値。ウの A400〜A4FF は 1010 0100 で A14 が 0 になる。イの 8300〜9BFF は,上位 8 ビットが 1 つに決まらない広い範囲で,8 本の入力がそろったときの 1 つの組合せにならない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
ウォッチドッグタイマの機能はどれか。
ア あらかじめ設定された一定時間内にタイマがクリアされなかった場合,システム異常とみなしてシステムをリセット又は終了する。 正解
イ システム異常を検出した場合,タイマで設定された時間だけ待ってシステムに通知する。
ウ システム異常を検出した場合,マスカブル割込みでシステムに通知する。
エ システムが一定時間異常であった場合,上位の管理プログラムを呼び出す。
正解 ア
解説
ウォッチドッグタイマは,システムが正常に動いているあいだ,プログラムが一定時間ごとにタイマをクリア(リセット)することで動作を確認する仕組みである。あらかじめ設定された一定時間内にタイマがクリアされなかった場合は,プログラムの暴走や停止などの異常とみなして,システムのリセットや終了を行う。アが正しい。
イは異常を検出してから設定時間だけ待って通知するもので,タイマのクリアを監視する仕組みではない。ウのマスカブル割込みは,割込み禁止にされると受け付けられないので,暴走したシステムの異常通知には向かない(リセットや,マスクできない割込みを使う)。エは異常が一定時間続いたときに上位の管理プログラムを呼び出すという説明で,ウォッチドッグタイマの機能ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
顧客に,英大文字 A〜Z の 26 種類を用いた顧客コードを割り当てたい。現在の顧客総数は 8,000 人であって,新規顧客が毎年2割ずつ増えていくものとする。3年後まで顧客全員にコードを割り当てられるようにするための,顧客コードの最も少ない桁数は幾つか。
正解 ア
解説
3年後の顧客数は 8,000×1.2×1.2×1.2=13,824 人になる。英大文字26種類を n 桁並べると 26n 通りのコードが作れる。
262 =676 では足りず,263 =17,576 なら 13,824 人全員に割り当てられるので,少なくとも3桁必要で,アが正しい。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
CG に関する用語の説明として,適切なものはどれか。
ア アンチエイリアシングとは,画像のサンプリングが不十分であることが原因で生じる現象のことである。
イ クリッピングとは,曲面を陰影によって表現することである。
ウ レンダリングとは,ウィンドウの外部の図形を切り取り,内部だけを表示する処理のことである。
エ ワイヤフレーム表現とは,3次元形状を全て線で表現することである。 正解
正解 エ
解説
ワイヤフレーム表現は,3 次元形状を稜線などの線だけで表現する方法で,エが適切である。
アはエイリアシング(輪郭のぎざぎざ)が生じる原因の説明で,アンチエイリアシングは,このぎざぎざを目立たなくする処理である。イの曲面を陰影によって表現することはシェーディングで,クリッピングは,ウの説明にあるようにウィンドウの外部の図形を切り取り内部だけを表示する処理である。レンダリングは,形状や色,光源などのデータから実際の画像を生成する処理である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
表に対する SQL の GRANT 文の説明として,適切なものはどれか。
ア パスワードを設定してデータベースへの接続を制限する。
イ ビューを作成して,データベースへのアクセス処理を隠蔽し,表を直接アクセスできないようにする。
ウ 表のデータを暗号化して,第三者がアクセスしてもデータの内容が分からないようにする。
エ 表の利用者に対し,表への問合せ,更新,追加,削除などの操作を許可する。 正解
正解 エ
解説
SQL の GRANT 文は,表などのデータベースオブジェクトに対する操作権限(SELECT,INSERT,UPDATE,DELETE など)を,利用者に付与する文である。エが適切である。
アのパスワードを設定した接続の制限は,利用者の登録と認証の機能で行う。イのビューを作成して表への直接のアクセスをできないようにするのは CREATE VIEW 文などの役割で,GRANT 文はそのビューや表への権限を与えるのに使う。ウの表データの暗号化は,DBMS やストレージの暗号化機能で行うもので,GRANT 文の機能ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
関係 R(A,B,C,D,E,F)において,関数従属 A→B,C→D,C→E,{A,C}→F が成立するとき,関係 R の候補キーはどれか。
正解 ウ
解説
候補キーは,その属性の組の値が決まれば関係の全ての属性の値が決まる,極小の属性の組である。A から B,C から D と E,{A,C} から F が決まるので,{A,C} が決まれば B,D,E,F の全てが決まる。
A だけでは C,D,E,F が,C だけでは A,B,F が決まらないので,ア,イは候補キーではない。エの {A,C,E} も全ての属性を決められるが,E を除いた {A,C} でも決まるので極小ではなく,候補キーではない(スーパーキー)。よってウが正しい。
関数従属から候補キーを求める
関係 R(A,B,C,D,E,F)で A→B,C→D,C→E,{A,C}→F が成り立つ。A が決まると B が,C が決まると D と E が,A と C の両方が決まると F が決まる。A と C で全ての属性が決まり,A だけ・C だけでは足りないので,候補キーは {A,C}。
A
B
C
D
E
F
A→B
C→D,C→E
{A,C}→F(両方そろって F が決まる)
A と C が決まれば全部決まる → 候補キーは {A,C}
矢印の出どころをまとめると,全部を決められる最小の組(候補キー)が見える
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
その月に受注した商品を,顧客ごとにまとめて月末に出荷する場合,受注クラスと出荷クラスとの間の関連の a,b に入る多重度の組合せはどれか。ここで,出荷のデータは実績に基づいて登録される。また,モデルの表記には UML を用いる。
ア a:1,b:1..*
イ a:1,b:0..1
ウ a:1..*,b:0..1 正解
エ a:1..*,b:1..*
正解 ウ
解説
多重度は,関連の端に,反対側のクラスの 1 つのオブジェクトに対して,その端のクラスのオブジェクトがいくつ関連するかを書く。a は受注側の端で,顧客ごとにまとめて出荷するので,1 回の出荷には 1 件以上の受注が含まれ,1..* になる。b は出荷側の端で,1 件の受注は月末の出荷にまとめて出荷される(複数回には分かれない)が,出荷のデータは実績に基づいて登録されるので,まだ出荷されていない受注には出荷がなく,0..1 になる。ウが正しい。
アとイは a が 1 で,1 回の出荷が 1 件の受注だけになり,顧客ごとにまとめるという条件に合わない。エは b が 1..* で,1 件の受注が複数回出荷されることになり,出荷前の受注も表せない。
多重度の読み方
多重度は,関連の相手側の端に書く。部門(1)と社員(*)なら,社員の側から見て部門は必ず1つ(どの社員もちょうど1つの部門に所属し,兼務はない),部門の側から見て社員は0人以上(社員のいない部門もある)。1..* なら1以上,0..1 なら0か1。
部門
社員
1
*
社員から見て部門は 1 つ(必ず,兼務なし)
部門から見て社員は 0 人以上
書き方
意味
1
ちょうど1
0..1
0 か 1
*(0..*)
0 以上
1..*
1 以上
相手から見て何個か,を相手側の端に書く
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
分散データベースシステムのデータディクショナリ/ディレクトリの配置方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 集中管理方式では,データディクショナリ/ディレクトリを保有するサイトに負荷が集中することはない。
イ 集中管理方式では,データディクショナリ/ディレクトリを保有するサイトの障害が,分散データベースシステムの重大な障害になる。 正解
ウ 分散管理方式で,各サイトにデータディクショナリ/ディレクトリを重複保有しない形態では,表の構造の変化が発生した場合,全てのサイトで内容を変更する必要がある。
エ 分散管理方式で,各サイトにデータディクショナリ/ディレクトリを重複保有する形態では,問合せに対して,他のサイトの内容を調べることがある。
正解 イ
解説
データディクショナリ/ディレクトリは,分散データベースにある表や項目,格納場所などの情報を管理するものである。集中管理方式は,これを 1 つのサイトだけに置く方式なので,そのサイトに問合せが集中して負荷が高くなり,そのサイトが故障すると,システム全体が使えなくなる重大な障害になる。イが適切である。
アは,負荷が集中しないとしている点が誤り。ウは,重複保有しない分散管理方式では,表の構造が変わったときに変更が必要なのはその表を保有するサイトの内容だけで,全てのサイトを変更する必要があるのは,各サイトが同じ内容を重複して保有する場合である。エは,重複保有する形態では各サイトが全体の情報をもつので,他のサイトの内容を調べる必要が少ない。他のサイトの内容を調べることがあるのは,重複保有しない形態である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
データマイニングの説明はどれか。
ア 検索効率を高めるために,大規模データベースの一部をあらかじめ用途に合わせて抽出し,データの要約などの加工をしておくこと
イ 大規模データベースから,統計や推論の手法を使って,意味のある情報を見つけ出すこと 正解
ウ 大規模データベースにおけるスタースキーマを実装するのに適した,索引ファイルを作成すること
エ 大規模データベースにおけるメタデータを効率よく管理すること
正解 イ
解説
データマイニングは,大規模なデータベースから,統計や推論などの手法を使って,それまで知られていなかった意味のある情報(規則性やパターン)を見つけ出すことである。イが正しい。
アは,大規模データベースの一部を用途に合わせて抽出して加工しておくデータマートに近い説明。ウは,データウェアハウスのデータ構造(スタースキーマ)を実装するための索引に関する話,エは,メタデータ(データについてのデータ)の管理の話で,いずれもデータから情報を見つけ出す手法の説明ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
VoIP 通信において 8k ビット/秒の音声符号化を行い,パケット生成周期が 10 ミリ秒のとき,1パケットに含まれる音声ペイロードは何バイトか。
正解 イ
解説
8k ビット/秒の符号化では,1秒間に 8,000 ビット=1,000 バイトの音声データができる。パケット生成周期が10ミリ秒(0.01秒)なので,1パケットに含まれる音声ペイロードは 1,000 バイト×0.01=10 バイトである。イが正しい。
ウの80は 8,000 ビット×0.01=80 ビットで,バイトに換算していない値。エの100は10ミリ秒を0.1秒として計算した値になる。アの8は,1ミリ秒分の音声データ(8ビット)の値で,生成周期の10ミリ秒もバイトへの換算も反映していない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
図のような IP ネットワークの LAN 環境で,ホスト A からホスト B にパケットを送信する。LAN1 において,パケット内のイーサネットフレームの宛先と IP データグラムの宛先の組合せとして,適切なものはどれか。ここで,図中の MACn/IPm はホスト又はルータがもつインタフェースの MAC アドレスと IP アドレスを示す。
ア イーサネットフレームの宛先:MAC2,IP データグラムの宛先:IP2
イ イーサネットフレームの宛先:MAC2,IP データグラムの宛先:IP3
ウ イーサネットフレームの宛先:MAC3,IP データグラムの宛先:IP2 正解
エ イーサネットフレームの宛先:MAC3,IP データグラムの宛先:IP3
正解 ウ
解説
ホスト A からみてホスト B は別のネットワークにあるので,パケットはデフォルトゲートウェイであるルータに渡す。LAN1 の中を流れるイーサネットフレームの宛先は,次に受け取る機器であるルータの LAN1 側のインタフェースの MAC3 になる。一方,IP データグラムの宛先は最終的な宛先であるホスト B の IP2 のままで,ルータを経由しても変わらない。ウが正しい。
アとイはイーサネットフレームの宛先をホスト B の MAC2 としているが,ホスト B は LAN1 上にないので直接届けられない。イとエは IP データグラムの宛先をルータの IP3 としており,ルータ自身が宛先になってしまう。
区間ごとに変わる宛先 MAC,変わらない宛先 IP
ホスト A から別のネットワークのホスト B へ送るとき,LAN1 では宛先 MAC アドレスをルータの MAC3,宛先 IP アドレスをホスト B の IP2 にする。ルータは LAN2 へ転送するとき,宛先 MAC アドレスを MAC2 に付け替える。宛先 IP アドレスは最後まで IP2 のまま。LAN2 で IP2 と MAC2 を ARP で対応付けるのはルータ。
ホスト A
MAC1/IP1
ルータ
MAC3 / MAC4
ホスト B
MAC2/IP2
LAN1
LAN2
宛先 MAC:MAC3
宛先 IP:IP2
宛先 MAC:MAC2
宛先 IP:IP2
LAN1 のフレーム
LAN2 のフレーム
LAN2 で ARP を使って IP2 と MAC2 を対応付けるのはルータ
MAC アドレスは区間(LAN)ごとの宛先,IP アドレスは最終的な宛先
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
PC が,NAPT(IP マスカレード)機能を有効にしているルータを経由してインターネットに接続されているとき,PC からインターネットに送出されるパケットの TCP と IP のヘッダのうち,ルータを経由する際に書き換えられるものはどれか。
ア 宛先の IP アドレスと宛先のポート番号
イ 宛先の IP アドレスと送信元の IP アドレス
ウ 送信元のポート番号と宛先のポート番号
エ 送信元のポート番号と送信元の IP アドレス 正解
正解 エ
解説
NAPT(IP マスカレード)では,PC からインターネットに送出されるパケットについて,ルータが送信元のプライベート IP アドレスと送信元のポート番号を,ルータのグローバル IP アドレスと自身が割り当てたポート番号に書き換える。宛先の IP アドレスとポート番号は変わらない。エが正しい。
宛先の IP アドレスや宛先のポート番号を含むア,イ,ウは,書き換えられない項目を含むので誤りである。なお,Web サーバからの応答パケットでは,ルータが対応表を使って,宛先を元の PC のプライベート IP アドレスとポート番号に戻す。
NAPT のアドレス変換
PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。
PC
192.168.1.10
ルータ
NAPT
Web
198.51.100.5
送信元 .10:5000
送信元 .1:60001
宛先 203.0.113.1:60001
宛先 .10:5000
対応表
内側(プライベート)
外側(グローバル)
192.168.1.10 : 5000
203.0.113.1 : 60001
応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」
外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
IP の上位階層のプロトコルとして,コネクションレスのデータグラム通信を実現し,信頼性のための確認応答や順序制御などの機能をもたないプロトコルはどれか。
正解 エ
解説
UDP は,トランスポート層で IP の上に位置し,コネクションを確立せずにデータグラムを送るプロトコルである。確認応答,再送,順序制御などの機能をもたない代わりに処理が軽く,リアルタイム性が求められる音声や動画,DNS の問合せなどに使われる。エが正しい。
ウの TCP はコネクション型で,確認応答や順序制御,再送制御によって信頼性を確保する。アの ICMP は IP の通信のエラー通知や診断(ping など)に使うネットワーク層のプロトコルで,データグラム通信を提供するものではない。イの PPP は2点間を接続するデータリンク層のプロトコルで,IP より下位にある。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
サブネットマスクが 255.255.252.0 のとき,IP アドレス 172.30.123.45 のホストが属するサブネットワークのアドレスはどれか。
ア 172.30.3.0
イ 172.30.120.0 正解
ウ 172.30.123.0
エ 172.30.252.0
正解 イ
解説
サブネットワークのアドレスは,IP アドレスとサブネットマスクのビットごとの論理積で求める。第3オクテットは 123=01111011,252=11111100 なので,論理積は 01111000=120。第4オクテットはマスクが 0 なので 0 になり,サブネットワークのアドレスは 172.30.120.0 となる。イが正しい。
ウの 172.30.123.0 は第3オクテットをそのまま残しており,サブネットマスクの 252 を適用していない。アとエは第3オクテットにマスクの値や別の値を当てはめたもので,論理積の結果とは異なる。
172.30.123.45/22 のネットワークアドレスの求め方
IP アドレス 172.30.123.45 とマスク 255.255.252.0(/22)。境目は第3オクテットで,123 は 01111011,マスクは 11111100。先頭22ビットがネットワーク部,残り10ビットがホスト部。ネットワークアドレスは 172.30.120.0。
第1
第2
第3(境目)
第4
IP アドレス
172
.
30
.
0
1
1
1
1
0
1
1
.
45
(123)
マスク
255
.
255
.
1
1
1
1
1
1
0
0
.
0
(252)
論理積
172
.
30
.
0
1
1
1
1
0
0
0
.
0
(120)
ネットワーク部 22ビット / ホスト部 10ビット
ネットワークアドレスは 172.30.120.0
境目のある第3オクテットだけを2進数にして考える
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
APT(Advanced Persistent Threats)の説明はどれか。
ア 攻撃者は DoS 攻撃及び DDoS 攻撃を繰り返し組み合わせて,長期間にわたり特定組織の業務を妨害する。
イ 攻撃者は興味本位で場当たり的に,公開されている攻撃ツールや脆弱性検査ツールを悪用した攻撃を繰り返す。
ウ 攻撃者は特定の目的をもち,標的となる組織の防御策に応じて複数の手法を組み合わせ,気付かれないよう執拗に攻撃を繰り返す。 正解
エ 攻撃者は不特定多数への感染を目的として,複数の攻撃方法を組み合わせたマルウェアを継続的にばらまく。
正解 ウ
解説
APT(Advanced Persistent Threats,高度で持続的な脅威)は,攻撃者が情報窃取などの特定の目的をもち,特定の組織を標的に定めて,標的型メールや脆弱性の悪用,内部での横展開といった複数の手法を組み合わせ,気付かれないように長期間にわたって執拗に攻撃を続けるものである。ウが該当する。
アの DoS 攻撃や DDoS 攻撃は業務を止めることが目的で,気付かれないように潜伏する APT とは性質が違う。イの興味本位で場当たり的に公開ツールを使うのは,いわゆるスクリプトキディの攻撃である。エの不特定多数への感染を狙ってマルウェアをばらまくのは,特定の組織を標的にしない無差別型の攻撃で,APT の “特定組織を狙う” という点に合わない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
ディジタル署名に用いる鍵の組合せのうち,適切なものはどれか。
ア ディジタル署名の作成に用いる鍵:共通鍵,ディジタル署名の検証に用いる鍵:秘密鍵
イ ディジタル署名の作成に用いる鍵:公開鍵,ディジタル署名の検証に用いる鍵:秘密鍵
ウ ディジタル署名の作成に用いる鍵:秘密鍵,ディジタル署名の検証に用いる鍵:共通鍵
エ ディジタル署名の作成に用いる鍵:秘密鍵,ディジタル署名の検証に用いる鍵:公開鍵 正解
正解 エ
解説
ディジタル署名は,送信者が文書のハッシュ値を自分の秘密鍵で変換して署名を作り,受信者が送信者の公開鍵で確かめる。作成には秘密鍵,検証には公開鍵を用いるので,エが適切である。
アは作成に共通鍵,ウは検証に共通鍵を用いるとしており,共通鍵は送受信者が同じ鍵を共有するので,署名した本人だけが作れることを確かめられない。イは作成と検証の鍵が逆で,公開鍵は誰でも入手できるので,公開鍵で署名を作ると誰でも偽造できてしまう。
ディジタル署名の作り方と確かめ方
送信者は文書のハッシュ値を求め,自分の秘密鍵で変換して署名を作り,文書に付けて送る。受信者は署名を送信者の公開鍵で戻し,受け取った文書から自分で求めたハッシュ値と比べる。一致すれば,文書は書き換えられておらず,送信者の秘密鍵で作られたと分かる。暗号化とは鍵の使い方が逆になる。
送信者
受信者
文書
ハッシュ関数
ハッシュ値
送信者の秘密鍵
署名
文書
ハッシュ
ハッシュ値
=?
ハッシュ値
署名
送信者の公開鍵
一致 → 書き換えられていない・送信者が作った(否認防止)
署名:送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる
暗号化:受信者の公開鍵で暗号化し,受信者の秘密鍵で戻す
署名は送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる(暗号化と逆)
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
SMTP-AUTH(SMTP Service Extension for Authentication)における認証の動作を説明したものはどれか。
ア SMTP サーバは,クライアントがアクセスしてきた場合に利用者認証を行い,認証が成功したとき電子メールを受け付ける。 正解
イ サーバは認証局のディジタル証明書をもち,クライアントから送信された認証局の署名付きクライアント証明書の妥当性を確認する。
ウ 電子メールを受信した際にパスワード認証が成功したクライアントの IP アドレスは,一定時間だけ SMTP サーバへの電子メールの送信が許可される。
エ パスワードを秘匿するために,パスワードからハッシュ値を計算して,その値で利用者が電子メールを受信する際の利用者認証を行う。
正解 ア
解説
SMTP-AUTH は,SMTP サーバが電子メールを送信しようとするクライアントに利用者 ID とパスワードなどによる利用者認証を求め,認証に成功した場合だけ電子メールの送信(受付)を許可する仕組みである。第三者による不正な中継や迷惑メールの送信を防ぐ。アが該当する。
イはクライアント証明書による認証(TLS のクライアント認証など)。ウは POP3 などで受信時にパスワード認証に成功したクライアントの IP アドレスに一定時間だけ送信を許す POP before SMTP。エは受信時のパスワードをハッシュ値にして送る APOP の説明である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
ディジタル証明書が失効しているかどうかをオンラインでリアルタイムに確認するためのプロトコルはどれか。
ア CHAP
イ LDAP
ウ OCSP 正解
エ SNMP
正解 ウ
解説
OCSP(Online Certificate Status Protocol)は,デジタル証明書が失効しているかどうかを,OCSP レスポンダにオンラインで問い合わせて確認するためのプロトコルである。失効リスト(CRL)全体を取得しなくても,個々の証明書の状態をその都度確認できる。ウが該当する。
アの CHAP は PPP で接続する際にチャレンジレスポンス方式で利用者を認証するプロトコル,イの LDAP はディレクトリサービスにアクセスするプロトコル,エの SNMP はネットワーク機器を監視・管理するプロトコルである。
CRL と OCSP の違い
CRL は,認証局が有効期限内に失効させた証明書のシリアル番号と失効日時を一覧にし,署名を付けて公開するもの。利用者はリストを取ってきて自分で照らし合わせる。OCSP は,利用者が調べたい証明書を OCSP レスポンダ(VA)にオンラインで問い合わせ,有効か失効しているかの答えを受け取る。
CRL(証明書失効リスト)
認証局
CA
失効した証明書の一覧
No.1024 3/10 失効
No.2041 5/02 失効
利用者
ブラウザなど
署名して公開
取ってきて照合
載るのは有効期限内に失効した証明書のシリアル番号と日時
OCSP
利用者
ブラウザなど
OCSP レスポンダ
VA(検証局)
この証明書は有効?
有効・失効・不明を返す
その都度オンラインで問い合わせるので,最新の状態が分かる
CRL は一覧を取ってきて自分で調べる,OCSP はその都度問い合わせる
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
企業の DMZ 上で1台の DNS サーバを,インターネット公開用と,社内の PC,サーバからの名前解決の問合せに対応する社内用とで共用している。この DNS サーバが,DNS キャッシュポイズニングの被害を受けた結果,直接引き起こされ得る現象はどれか。
ア DNS サーバのハードディスク上に定義されている DNS サーバ名が書き換わり,外部からの参照者が,DNS サーバに接続できなくなる。
イ DNS サーバのメモリ上にワームが常駐し,DNS 参照元に対して不正プログラムを送り込む。
ウ 社内の利用者が,インターネット上の特定の Web サーバを参照する場合に,本来とは異なる Web サーバに誘導される。 正解
エ 社内の利用者間の電子メールについて,宛先メールアドレスが書き換えられ,送受信ができなくなる。
正解 ウ
解説
DNS キャッシュポイズニングは,DNS サーバのキャッシュに偽の名前解決情報を注入する攻撃である。この DNS サーバは社内からの名前解決にも使われているので,キャッシュが汚染されると,社内の利用者がインターネット上の Web サーバを参照したときに偽の IP アドレスが返され,本来とは異なる Web サーバに誘導される。ウが正しい。
アのハードディスク上の定義の書換えや,イのメモリ上へのワームの常駐は,キャッシュに偽の情報を入れる攻撃では直接起きない。エの電子メールの宛先メールアドレスの書換えは,名前解決の結果とは関係がなく,社内の利用者間のメールの送受信にも直接の影響はない。
公開用と社内用の DNS サーバを分ける
1台の DNS サーバで,外部に自社ドメインの情報を答える役(コンテンツサーバ)と,社内の利用者の問合せを代わりに引く役(キャッシュサーバ)を兼ねると,外部からの再帰的な問合せに答えてしまったり,キャッシュポイズニングで偽の情報が社内の利用者に返されたりする。公開用のコンテンツサーバと社内用のキャッシュサーバを分け,キャッシュサーバは社内からの問合せだけに答える。
兼用(危ない)
DNS(兼用)
答える+代わりに引く
外から再帰問合せができる
偽の情報が社内に返る
分ける
コンテンツサーバ(DMZ)
自社ドメインを外に答えるだけ
キャッシュサーバ(社内)
社内からの問合せだけに答える
役割ごとにサーバを分け,答える相手を絞る
外向けは「自社の情報を答えるだけ」,社内向けは「社内からの問合せだけ」
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
Web アプリケーションにおけるセキュリティ上の脅威と対策の適切な組合せはどれか。
ア OS コマンドインジェクションを防ぐために,Web アプリケーションが発行するセッション ID を推測困難なものにする。
イ SQL インジェクションを防ぐために,Web アプリケーション内でデータベースへの問合せを作成する際にバインド機構を使用する。 正解
ウ クロスサイトスクリプティングを防ぐために,外部から渡す入力データを Web サーバ内のファイル名として直接指定しない。
エ セッションハイジャックを防ぐために,Web アプリケーションからシェルを起動できないようにする。
正解 イ
解説
SQL インジェクションは,入力値に SQL 文の一部を紛れ込ませて,データベースへの問合せを不正に変える攻撃である。バインド機構(プレースホルダ)を使うと,SQL 文の構造を先に確定させてから入力値をパラメタとして埋め込むので,入力値が SQL 文の一部として解釈されなくなる。IPA の“安全なウェブサイトの作り方”でも根本的な対策として示されている。イが適切である。
アのセッション ID を推測困難にするのはセッションハイジャックの対策。ウの入力データをファイル名として直接指定しないのはディレクトリトラバーサルの対策。エのシェルを起動できないようにするのは OS コマンドインジェクションの対策で,いずれも脅威と対策の組合せが入れ替わっている。
SQL インジェクションとプレースホルダ
入力を文字列としてつなげて SQL 文を作ると,入力の「' OR '1'='1」が文の一部になり,条件が常に真になって全員の行が返る。プレースホルダを使うと SQL 文の形が先に決まり,入力はまるごと1つの値として当てはめられるので,命令として解釈されない。
文字列をつなげて SQL 文を作ると
入力:' OR '1'='1
SELECT * FROM 会員 WHERE id = '' OR '1'='1 '
入力の引用符で文が閉じ,OR 以下が条件に加わる → 常に真で全員分が返る
プレースホルダを使うと
SELECT * FROM 会員 WHERE id = ?
形が先に決まる
' OR '1'='1
← 1つの値として入る
入力
「id が ' OR '1'='1 の会員」を探すだけになる
根本の対策は,SQL 文の形を先に確定させるプレースホルダ
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
無線 LAN を利用するとき,セキュリティ方式として WPA2 を選択することで利用される暗号化アルゴリズムはどれか。
正解 ア
解説
WPA2 は暗号化方式として CCMP を採用しており,その基盤となる暗号化アルゴリズムは AES である。
ウの RC4 は WEP や WPA の TKIP で使われたストリーム暗号で,WPA2 では使わない。イの ECC(楕円曲線暗号)とエの RSA はいずれも公開鍵暗号であり,無線 LAN のフレームの暗号化には用いない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
通信を要求した PC に対し,ARP の仕組みを利用して実現できる通信可否の判定方法のうち,最も適切なものはどれか。
ア PC にインストールされているソフトウェアを確認し,事前に許可されているソフトウェア以外がインストールされていない場合だけ通信を許可する。
イ PC の MAC アドレスを確認し,事前に登録されている MAC アドレスである場合だけ通信を許可する。 正解
ウ PC の OS のパッチ適用状況を確認し,最新のパッチが適用されている場合だけ通信を許可する。
エ PC のウイルス対策ソフトの定義ファイルを確認し,最新になっている場合だけ通信を許可する。
正解 イ
解説
ARP は,IP アドレスから MAC アドレスを求めるプロトコルである。社内ネットワークに接続した PC が通信のために送る ARP 要求を監視すれば,その PC の MAC アドレスが分かる。事前に登録された MAC アドレスをもつ PC だけに通信を許可し,未登録の PC には偽の ARP 応答を返すなどして通信を妨げることで,不正な PC の接続を防げる。イが最も適切である。
ア,ウ,エのインストールされたソフトウェア,OS のパッチ適用状況,ウイルス対策ソフトの定義ファイルの状態は,ARP のやり取りでは確認できない。これらは検疫ネットワークなどで,PC に導入したエージェントを通じて確認する。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
自社の中継用メールサーバで,接続元 IP アドレス,電子メールの送信者のドメイン名及び電子メールの受信者のドメイン名のログを取得するとき,外部ネットワークからの第三者中継と判断できるログはどれか。ここで,AAA.168.1.5 と AAA.168.1.10 は自社のグローバル IP アドレスとし,BBB.45.67.89 と BBB.45.67.90 は社外のグローバル IP アドレスとする。a.b.c は自社のドメイン名とし,a.b.d と a.b.e は他社のドメイン名とする。また,IP アドレスとドメイン名は詐称されていないものとする。
ア 接続元 IP アドレス:AAA.168.1.5,送信者のドメイン名:a.b.c,受信者のドメイン名:a.b.d
イ 接続元 IP アドレス:AAA.168.1.10,送信者のドメイン名:a.b.c,受信者のドメイン名:a.b.c
ウ 接続元 IP アドレス:BBB.45.67.89,送信者のドメイン名:a.b.d,受信者のドメイン名:a.b.e 正解
エ 接続元 IP アドレス:BBB.45.67.90,送信者のドメイン名:a.b.d,受信者のドメイン名:a.b.c
正解 ウ
解説
第三者中継は,自社と無関係な者どうしのメールを,自社のメールサーバが中継してしまうこと。外部ネットワークからの第三者中継なら,接続元は社外の IP アドレスで,送信者も受信者も自社以外のドメインになる。社外の BBB.45.67.89 から,他社ドメイン a.b.d の送信者が他社ドメイン a.b.e の受信者に送っているウが該当する。
アは自社の IP アドレスから自社ドメインの利用者が社外へ送る通常の送信。イは自社内のやり取り。エは社外から自社ドメインの受信者宛てに届いた通常の受信であり,いずれも第三者中継ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
システム運用管理者による機密ファイルの不正な持出しを牽制するための対策はどれか。
ア 運用管理者の PC の定期的なウイルス検査
イ 運用管理者の PC へのクライアントファイアウォールの導入
ウ 監視者の配置 正解
エ 機密ファイルのバックアップ
正解 ウ
解説
システム運用管理者は,管理者権限をもつので,機密ファイルを持ち出す不正を行う可能性がある。監視者を配置して作業を見張ると,不正が見つかるという意識が働き,不正な持出しを牽制する効果がある。ウが適切である。
アのウイルス検査とイのクライアントファイアウォールの導入は,外部からの攻撃やマルウェアへの対策で,管理者自身による持出しの牽制にはならない。エのバックアップは,ファイルを失ったときに復旧するための対策で,持出しを牽制するものではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
電子メールに用いられる S/MIME の機能はどれか。
ア ウイルスの検出
イ 改ざんされた内容の復元
ウ スパムメールのフィルタリング
エ 内容の暗号化とディジタル署名の付与 正解
正解 エ
解説
S/MIME は,電子メールの形式を拡張する MIME に,公開鍵暗号方式による暗号化とディジタル署名の付与の機能を加えた規格である。内容を暗号化して盗み見を防ぎ,署名で送信者の確認と改ざんの検出ができる。エが正しい。
アのウイルスの検出は,ウイルス対策ソフトの機能で,S/MIME にはない。イの改ざんは,署名の検証で検出できるが,改ざんされた内容を元に戻すことはできない。ウのスパムメールのフィルタリングは,迷惑メール対策の機能で,S/MIME の機能ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
UML のユースケース図の説明はどれか。
ア 外部からのトリガに応じて,オブジェクトの状態がどのように遷移するかを表現している。
イ クラスと関連から構成され,システムの静的な構造を表現している。
ウ システムとアクタの相互作用を表現している。 正解
エ データの流れに注目してシステムの機能を表現している。
正解 ウ
解説
ユースケース図は,システムを利用する人や外部システム(アクタ)と,システムが提供する機能(ユースケース)との関係を線で結んで表す図。システムの外側から見た振る舞いを示すのに使う。ウが正しい。
アは状態マシン図,イはクラス図の説明。エのデータの流れに注目して機能を表すのは DFD で,UML の図ではない。
UML のおもな図の使い分け
シーケンス図はオブジェクト間のメッセージを時間の順に,コミュニケーション図はオブジェクトのつながりに注目して相互作用を表す。ユースケース図はアクタとシステムの機能の関係(システムの範囲),アクティビティ図は処理の流れ(分岐・並行・同期),状態マシン図は1つのオブジェクトの状態の移り変わり,クラス図は静的な構造,オブジェクト図はある時点のインスタンスのつながりを表す。
図
表すもの
シーケンス図
メッセージを時間の順に
コミュニケーション図
オブジェクトのつながりと相互作用
ユースケース図
アクタと機能,システムの範囲
アクティビティ図
処理の流れ(分岐・並行・同期)
状態マシン図
1つのオブジェクトの状態の遷移
クラス図
クラスと関連(静的な構造)
オブジェクト図
ある時点のインスタンスとリンク
時間の順はシーケンス図,範囲はユースケース図,業務の流れはアクティビティ図
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
ブラックボックステストのテストデータの作成方法のうち,最も適切なものはどれか。
ア 稼働中のシステムから実データを無作為に抽出し,テストデータを作成する。
イ 機能仕様から同値クラスや限界値を識別し,テストデータを作成する。 正解
ウ 業務で発生するデータの発生頻度を分析し,テストデータを作成する。
エ プログラムの流れ図から,分岐条件に基づいたテストデータを作成する。
正解 イ
解説
ブラックボックステストは,プログラムの内部構造を考慮せず,仕様に基づいて入力と出力の関係を確かめるテストである。機能仕様から,同じ処理になる入力の範囲(同値クラス)や,その境目の値(限界値)を識別してテストデータを作るのが代表的な方法で,イが最も適切である。
エのプログラムの流れ図の分岐条件に基づくテストデータの作成は,内部構造に着目するホワイトボックステストの方法。アの実データの無作為抽出やウのデータの発生頻度の分析では,仕様の境界や例外条件を網羅的に確認できない。
同値分割と限界値分析
1ページに30件ずつ印字するプログラムの例。印字件数を,0件,1〜30件(1ページ),31件以上(2ページ以上)の同値クラスに分ける。同値分割では各クラスから代表の値(例えば15件,45件)を1つずつ選ぶ。限界値分析では誤りの多い境目の値,0件・1件・30件・31件を選ぶ。
1〜30件(1ページ)
31件〜(2ページ以上)
0件
0
1
30
31
15
45
限界値分析:境目の両側 0・1・30・31
同値分割:各グループの代表(15,45 など)
印字する件数
同値分割は各グループの代表,限界値分析は境目の両側を選ぶ
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
回帰テスト(リグレッションテスト)の説明として,適切なものはどれか。
ア 新規に作成したプログラムの各モジュールの誤りを検出するためのテストである。
イ プログラムを修正したことによって,想定外の影響が出ていないかどうかを確認するためのテストである。 正解
ウ ホワイトボックステストに限定して,単体モジュールの誤りを検出するためのテストである。
エ 毎回,テストケースとテストデータを,作り直して行うテストである。
正解 イ
解説
回帰テスト(リグレッションテスト)は,プログラムを修正したときに,修正した箇所以外に想定外の影響が出ていないか,それまで正しく動いていた機能が変わらず動くかを確認するテストである。イが適切である。
アは,新規に作成したモジュールの誤りを検出する単体テストの説明。ウのように手法をホワイトボックステストに限定するものではなく,ブラックボックステストも使う。エの毎回テストケースとテストデータを作り直すのではなく,既存のテストケースやテストデータを再利用して繰り返し実施する。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
アジャイルソフトウェア開発などで導入されている“ペアプログラミング”の説明はどれか。
ア 開発工程の初期段階に要求仕様を確認するために,プログラマと利用者がペアとなり,試作した画面や帳票を見て,相談しながらプログラムの開発を行う。
イ 効率よく開発するために,2人のプログラマがペアとなり,メインプログラムとサブプログラムを分担して開発を行う。
ウ 短期間で開発するために,2人のプログラマがペアとなり,作業と休憩を交代しながら長時間にわたって連続でプログラムの開発を行う。
エ 品質の向上や知識の共有を図るために,2人のプログラマがペアとなり,その場で相談したりレビューしたりしながら,一つのプログラムの開発を行う。 正解
正解 エ
解説
ペアプログラミングは,2人のプログラマが1台のコンピュータに向かい,一人がコードを書き,もう一人がその場でレビューや助言をしながら一つのプログラムを開発する手法で,役割は適宜交代する。誤りを早く見つけて品質を高めるとともに,知識や技術をメンバー間で共有できる。エが適切である。
アはプログラマと利用者が試作品を見ながら要件を固めるプロトタイピング。イはメインプログラムとサブプログラムを分担する作業分割で,一つのプログラムを2人で作るものではない。ウは交代で休憩しながら長時間作業を続けるもので,ペアプログラミングの目的とは異なる。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
組込み機器用のソフトウェアを開発委託する契約書に開発成果物の著作権の帰属先が記載されていない場合,委託元であるソフトウェア発注者に発生するおそれがある問題はどれか。ここで,ソフトウェアは委託先が全て自主開発するものとする。
ア 開発成果物を,委託元で開発する別のソフトウェアに適用できなくなる。 正解
イ ソースコードを公開することが義務付けられる。
ウ ソフトウェアをバイナリ形式でしか販売できなくなる。
エ ハードウェアと合わせて,アルゴリズムに関する特許を取得できなくなる。
正解 ア
解説
著作権は,契約で特に定めなければ,実際に著作物を創作した者に帰属する。開発を委託先が全て行ったのであれば,ソフトウェアの著作権は委託先に残り,委託元は契約で認められた範囲でしか使えない。そのため,成果物を別のソフトウェアに流用するといった,複製や改変を伴う利用ができなくなるおそれがある。アが正しい。
イのソースコードの公開義務は,GPL などのライセンスのソフトウェアを組み込んだ場合に生じるもので,著作権の帰属の定めがないことからは生じない。ウの販売形式や,エのアルゴリズムの特許取得は,プログラムの著作権の帰属とは関係がない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
WBS(Work Breakdown Structure)を利用する効果として,適切なものはどれか。
ア 作業の内容や範囲が体系的に整理でき,作業の全体が把握しやすくなる。 正解
イ ソフトウェア,ハードウェアなど,システムの構成要素を効率よく管理できる。
ウ プロジェクト体制を階層的に表すことによって,指揮命令系統が明確になる。
エ 要員ごとに作業が適正に配分されているかどうかが把握できる。
正解 ア
解説
WBS は,プロジェクトで行う作業や作成する成果物を,管理しやすい大きさまで階層的に分解して表したものである。作業の内容や範囲が体系的に整理され,漏れや重複を防ぎ,作業の全体を把握しやすくなる。アが適切である。
イのシステムの構成要素の管理は構成管理。ウのプロジェクト体制を階層的に表して指揮命令系統を明確にするのは,組織ブレークダウンストラクチャ(OBS)などの体制図。エの要員ごとの作業配分の把握は,責任分担マトリックスや資源ヒストグラムの役割である。
WBS とワークパッケージ
WBS(作業分解構成図)は,プロジェクトの成果物と作業を,管理できる大きさまで階層的に分解したもの。いちばん下の要素がワークパッケージで,これを単位に費用や期間を見積もり,担当を決めて管理する。上の要素は下の要素の合計(100%ルール)。
システム開発
設計
WP
WP
製造
WP
WP
テスト
WP
WP
WP:ワークパッケージ(費用・期間・担当を決める単位)
いちばん下がワークパッケージ。見積りと管理の単位
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
ソフトウェア開発プロジェクトで行う構成管理の対象項目として,適切なものはどれか。
ア 開発作業の進捗状況
イ 成果物に対するレビューの実施結果
ウ プログラムのバージョン 正解
エ プロジェクト組織の編成
正解 ウ
解説
ソフトウェア開発の構成管理は,プログラムのソースコードや設計書などの成果物(構成品目)を識別し,そのバージョンや変更履歴を管理して,どの時点の成果物の組合せが正しいかを把握できるようにする活動である。プログラムのバージョンが対象になるので,ウが適切である。
アの進捗状況は進捗管理(スケジュール管理),イのレビューの実施結果は品質管理,エのプロジェクト組織の編成は資源管理(体制管理)の対象である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
プロジェクトの進捗を金銭価値に換算して,コスト効率とスケジュール効率を評価する手法はどれか。
ア アーンドバリューマネジメント 正解
イ クリティカルパス法
ウ ファンクションポイント法
エ モンテカルロ法
正解 ア
解説
アーンドバリューマネジメント(EVM)は,プロジェクトの進捗を金銭価値に換算し,計画した作業の価値(PV),実際に完了した作業の価値(EV),実際に掛かったコスト(AC)を比べて,コスト効率(CPI=EV÷AC)とスケジュール効率(SPI=EV÷PV)を評価する手法である。アが正しい。
イのクリティカルパス法は,作業の順序関係から,工期を決める最長の経路を求める手法。ウのファンクションポイント法は,機能の数と複雑さからソフトウェアの規模を見積もる手法。エのモンテカルロ法は,乱数を使って試行を繰り返し,確率的に結果を見積もる手法で,いずれも進捗を金銭価値に換算して評価する手法ではない。
CPI と SPI で見通しを読む
コスト効率指数 CPI=EV÷AC,スケジュール効率指数 SPI=EV÷PV。1 より小さいとそれぞれ悪い。現時点で PV>AC>EV なら CPI も SPI も1未満で,このまま進めばコストは計画を超え,完了は遅れる。残作業効率指数 TCPI が1を超えるときは,残りを計画より高い効率で進めないと予算に収まらない。
指数
式
1 未満なら
CPI
EV ÷ AC
コストが超過
SPI
EV ÷ PV
進捗が遅れ
TCPI
残りの作業 ÷ 残りの予算
(1 超)残りを効率よく
PV>AC>EV → CPI<1,SPI<1 → コスト増・完了は遅れる
例:EV 150,AC 150,PV 200 なら CPI=1.0,SPI=0.75
CPI=EV÷AC,SPI=EV÷PV。1 未満なら悪い
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
工期を短縮させるために,クリティカルパス上の作業に“ファストトラッキング”技法を適用した対策はどれか。
ア 時間外勤務を実施する。
イ 生産性を高められる開発ツールを導入する。
ウ 全体の設計が完了する前に,仕様が固まっているモジュールの開発を開始する。 正解
エ 要員を追加投入する。
正解 ウ
解説
ファストトラッキングは,本来は順番に行う作業を並行して進めることで,期間を短縮する技法である。全体の設計が終わる前に,仕様が固まっているモジュールの開発を始めるウが該当する。手戻りが生じるリスクは高まる。
アの時間外勤務の実施とエの要員の追加投入は,資源を追加して作業期間を短縮するクラッシング。イの開発ツールの導入は作業の生産性を高める施策で,作業を並行させるものではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
SLA に記載する内容として,適切なものはどれか。
ア サービス及びサービス目標を特定した,サービス提供者と顧客との間の合意事項 正解
イ サービス提供者が提供する全てのサービスの特徴,構成要素,料金
ウ サービスデスクなどの内部グループとサービス提供者との間の合意事項
エ 利用者から出された IT サービスに対する業務要件
正解 ア
解説
SLA(サービスレベル合意書)は,提供するサービスとサービス目標(可用性,応答時間など)を特定し,サービス提供者と顧客との間で合意した内容を文書にしたものである。アが適切である。
イのサービス提供者が提供する全てのサービスの特徴,構成要素,料金をまとめたものはサービスカタログ。ウのサービスデスクなどの内部グループとの合意事項は OLA(運用レベル合意書)。エの利用者から出されたサービスに対する業務要件は,SLA を取り決める前の要求事項である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
目標復旧時点(RPO)を 24 時間に定めているのはどれか。
ア 業務アプリケーションをリリースするための中断時間は,24 時間以内とする。
イ 業務データの復旧は,障害発生時点から 24 時間以内に完了させる。
ウ 障害発生時点の 24 時間前の業務データの復旧を保証する。 正解
エ 中断した IT サービスを 24 時間以内に復旧させる。
正解 ウ
解説
目標復旧時点(RPO)は,障害が起きたときに,どの時点までさかのぼったデータを復旧するかの目標で,許容できるデータの損失の範囲を表す。RPO を24時間とするのは,障害発生時点の24時間前までの業務データを復旧できることを保証するウである。
イとエの,障害発生から24時間以内に復旧を完了させることは,復旧に掛かる時間の目標である目標復旧時間(RTO)。アのリリースのための中断時間は,計画停止時間の取決めであり,RPO ではない。
RPO・RTO・MTPD の関係
障害が起きた時点を中心に,RPO(目標復旧時点)は過去に向かって,どの時点のデータまで戻すか(失ってよいデータの範囲)を表す。RTO(目標復旧時間)は未来に向かって,どれだけの時間で戻すかを表す。MTPD(最大許容停止時間)は止まっていられる限界で,RTO はこれより短く置く。
時間
最後のバックアップ
障害発生
復旧
RPO
どこまで戻すか
RTO
何時間で戻すか
MTPD:これ以上止まると事業が立ち行かない
← 過去(データ)
未来(時間)→
RPO は障害の前(データ),RTO は障害の後(時間)を向く。RTO は MTPD より短く
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
ディスク障害時に,交換したディスクにフルバックアップを取得したテープからデータを復元した後,フルバックアップ取得時以降の更新後コピーをログから反映させてデータベースを回復する方法はどれか。
ア チェックポイントリスタート
イ リブート
ウ ロールバック
エ ロールフォワード 正解
正解 エ
解説
ロールフォワードは,媒体障害などでデータベースが失われたときに,バックアップから復元した後,バックアップ取得以降のログに記録された更新後の値(更新後コピー)を反映させて,障害直前の状態までデータベースを回復する方法である。エが正しい。
ウのロールバックは,ログの更新前の値を使って,トランザクション開始前の状態に戻す方法である。アのチェックポイントリスタートは,チェックポイントの時点から処理を再開する方法で,イのリブートはシステムを再起動することである。
媒体障害からの回復
媒体障害ではディスクの内容そのものが失われる。まずバックアップからデータベースを復元し,バックアップを取った後にコミットしたトランザクションを,ログの更新後情報で順に反映して(ロールフォワードして)障害の直前まで戻す。
バックアップ
T1 コミット
T2 コミット
T3 コミット
媒体障害
② 更新後ログで T1〜T3 をロールフォワード
① 復元
バックアップで「その時点」に戻し,更新後ログで「障害の直前」まで進める
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
システム監査人による監査手法の適用方法として,適切なものはどれか。
ア アンケート調査では,被監査部門から要望が多かった項目を指摘事項にする。
イ 現場調査では,監査人が見た実態と被監査部門からの説明を総合的に判断して,監査証拠とする。 正解
ウ チェックリストを用いた調査では,被監査部門がチェックして記入した内容に限定して,監査意見を表明する。
エ 文書確認調査では,未作成であった証憑を,調査が完了するまでに被監査部門に作成させる。
正解 イ
解説
現場調査では,監査人が実際に見て確かめた実態と,被監査部門からの説明を総合的に判断して,監査証拠として採用する。イが適切である。
アのアンケート調査では,要望の多さではなく,監査の基準に照らして判断した事実を指摘事項にする。ウのチェックリストを用いた調査は,被監査部門が記入した内容だけに限定せず,必要に応じて現場や文書で裏付けを取る。エの文書確認調査で,未作成の証憑を調査中に被監査部門に作成させるのは,あるべき証拠を後から作らせることになり,監査証拠として適切でない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
外部委託に関するシステム監査において,経営破綻などによってソフトウェア資産のメンテナンスが受けられなくなることを防ぐために確認すべき契約項目はどれか。
ア 開発したソフトウェアの瑕疵担保責任条項
イ 外部委託先のサービスを評価するための SLA 条項
ウ 責任の所在を明確にするためのソフトウェア開発の再委託禁止条項
エ ソフトウェアのソースコードなどを第三者へ預託するエスクロウ条項 正解
正解 エ
解説
外部委託先が経営破綻すると,委託先からソフトウェアのメンテナンスを受けられなくなるおそれがある。ソフトウェアのソースコードなどを第三者に預託し,委託先が破綻したときなどに委託元が受け取って保守を続けられるようにするのがエスクロウ条項で,エが確認すべき契約項目である。
アの瑕疵担保責任条項は,納入後に見つかった欠陥の責任に関する条項で,委託先が破綻すると履行されない。イの SLA 条項はサービスの品質の水準,ウの再委託禁止条項は責任の所在を明確にするためのもので,いずれも破綻後のメンテナンスを確保するものではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
在庫管理システムを対象とするシステム監査において,当該システムに記録された在庫データの網羅性のチェックポイントとして,適切なものはどれか。
ア 設定された選定基準に従って,自動的に購入業者を選定していること
イ 適正在庫高であることを,責任者が承認していること
ウ 適正在庫量を維持するための発注点に達したときに,自動的に発注していること
エ 入庫及び出庫記録に対して,自動的に連番を付与していること 正解
正解 エ
解説
網羅性は,記録されるべき取引が漏れなく記録されているかという観点。入庫・出庫の記録に自動で連番を付与しておけば,番号の飛びを調べることで記録漏れを検出できるので,網羅性のチェックポイントになる。エが正しい。
アの購入業者の自動選定とウの発注点による自動発注は,業務処理の適切さや効率性に関する項目。イの適正在庫高の承認は,在庫の量が妥当かどうかの正確性・妥当性に関する項目で,記録の漏れを見るものではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
IT 投資の評価手法のうち,バランススコアカードを用いた手法を説明したものはどれか。
ア IT 投資の効果を正味現在価値などのキャッシュフローを用いて評価することによって,他の投資案件との整合性を確保する。
イ IT 投資をその性質やリスクの共通性によってカテゴリに分類し,カテゴリ単位での投資割合を評価することによって,経営戦略と IT 投資の整合性を確保する。
ウ 財務,顧客,内部業務プロセスなど複数の視点ごとに業績評価の指標を設定し,経営戦略との適合性を評価することによって,IT 投資の効果を多面的に把握する。 正解
エ 初期投資の価値に加えて,後続のプロジェクトにおいて選択可能な収益やリスクの期待値を,金融市場で使われるオプション価格付け理論に基づいて評価する。
正解 ウ
解説
バランススコアカードは,財務,顧客,内部業務プロセス,学習と成長の四つの視点ごとに目標と業績評価指標を設定し,戦略の実行状況を多面的に評価する手法である。IT 投資の評価に用いると,財務的な効果だけでなく,経営戦略との適合性を含めて投資効果を評価できる。ウが該当する。
アは NPV などのキャッシュフローで評価する財務的手法。イは投資を性質やリスクでカテゴリに分けて配分を評価する IT ポートフォリオ。エは後続の投資の選択の価値をオプション価格付け理論で評価するリアルオプションの説明である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
情報戦略の立案時に,必ず整合性をとるべきものはどれか。
ア 新しく登場した情報技術
イ 基幹システムの改修計画
ウ 情報システム部門の年度計画
エ 中長期の経営計画 正解
正解 エ
解説
情報戦略は,経営戦略を実現するために情報システムをどう活用するかを定めるものなので,立案時には,必ず中長期の経営計画との整合性をとる必要がある。エが正しい。
アの新しく登場した情報技術は,戦略に取り入れるかどうかを検討する材料で,整合性をとる対象ではない。イの基幹システムの改修計画とウの情報システム部門の年度計画は,情報戦略から導かれる下位の計画で,戦略を立てる際に整合性をとる相手ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
SOA を説明したものはどれか。
ア 企業改革において既存の組織やビジネスルールを抜本的に見直し,業務フロー,管理機構,情報システムを再構築する手法のこと
イ 企業の経営資源を有効に活用して経営の効率を向上させるために,基幹業務を部門ごとではなく統合的に管理するための業務システムのこと
ウ 発注者と IT アウトソーシングサービス提供者との間で,サービスの品質について合意した文書のこと
エ ビジネスプロセスの構成要素とそれを支援する IT 基盤を,ソフトウェア部品であるサービスとして提供するシステムアーキテクチャのこと 正解
正解 エ
解説
SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務プロセスを構成する機能と,それを支える IT 基盤を,再利用可能なソフトウェア部品(サービス)として提供し,それらを組み合わせてシステムを構築するアーキテクチャである。エが該当する。
アは組織や業務のやり方を抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング),イは基幹業務を統合的に管理する ERP,ウは発注者とサービス提供者の間でサービスの品質を合意する SLA(サービスレベル合意書)の説明である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
受注管理システムにおける要件のうち,非機能要件に該当するものはどれか。
ア 顧客から注文を受け付けるとき,与信残金額を計算し,結果がマイナスになった場合は,入力画面に警告メッセージを表示すること
イ 受注管理システムの稼働率を決められた水準に維持するために,障害発生時は半日以内に回復できること 正解
ウ 受注を処理するとき,在庫切れの商品であることが分かるように担当者に警告メッセージを出力すること
エ 出荷できる商品は,顧客から受注した情報を受注担当者がシステムに入力し,営業管理者が受注承認入力を行ったものに限ること
正解 イ
解説
非機能要件は,システムが提供する機能そのものではなく,可用性,性能,信頼性,保守性,セキュリティなど,品質や運用に関する要件である。稼働率を一定の水準に維持するために障害から半日以内に回復するというイは,可用性に関する要件で,非機能要件に該当する。
アの与信残金額の計算と警告メッセージの表示,ウの在庫切れの商品であることを知らせる警告メッセージの出力,エの受注承認入力を経たものだけを出荷可能とすることは,いずれもシステムが行う処理の内容を定めたもので,機能要件である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
総合評価落札方式による調達を説明したものはどれか。
ア 価格,提案内容などが点数化され,最高得点の提案が選ばれる。 正解
イ 過去の採用実績が総合的に評価され,入札を経ずに業者が選ばれる。
ウ 所定の契約限度額の枠内で最も優れた提案が,入札を経ずに選ばれる。
エ 予定価格の制限の範囲内で最低価格の提案が選ばれる。
正解 ア
解説
総合評価落札方式は,価格だけでなく,提案内容や技術力などの価格以外の要素も点数化して総合的に評価し,最も評価の高い(最高得点の)提案を落札者とする調達方式である。アが正しい。
イの採用実績を評価して入札を経ずに選ぶ方式と,ウの契約限度額の枠内で入札を経ずに選ぶ方式は,入札によらない選定で,総合評価落札方式ではない。エの予定価格の制限の範囲内で最低価格の提案を選ぶのは,価格だけで決める最低価格落札方式である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
“情報システム・モデル取引・契約書”によれば,ユーザ(取得者)とベンダ(供給者)間で請負型の契約が適切であるとされるフェーズはどれか。
ア システム化計画フェーズから導入・受入支援フェーズまで
イ 要件定義フェーズから導入・受入支援フェーズまで
ウ 要件定義フェーズからシステム結合フェーズまで
エ システム内部設計フェーズからシステム結合フェーズまで 正解
正解 エ
解説
“情報システム・モデル取引・契約書”は,ユーザが主体となって進める工程には準委任型を,ベンダが成果物の完成に責任を負える工程には請負型の契約を適切としている。システム化計画と要件定義はユーザの業務や要望を固める工程なので準委任型,システム外部設計は準委任型又は請負型,システム内部設計からソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテスト,システム結合までは請負型,システムテストは準委任型又は請負型,導入・受入支援は準委任型とされる。請負型が適切とされるのはシステム内部設計からシステム結合までで,エが正しい。
ア,イ,ウは,いずれも準委任型が適切とされる要件定義や導入・受入支援などのフェーズを含んでいる。
モデル取引・契約書:工程ごとの契約の型
ユーザが主体となって進めるシステム化計画・要件定義・導入・受入支援は準委任型。ベンダが成果物の完成に責任を負えるシステム内部設計からシステム結合までは請負型。システム外部設計とシステムテストは,準委任型か請負型のどちらか。
システム
化計画
準委任
要件定義
準委任
外部設計
どちらか
内部設計
請負
設計・製
造・テス
ト
請負
システム
結合
請負
システム
テスト
どちらか
導入・受
入支援
準委任
請負:内部設計〜システム結合
要件定義と導入・受入支援はユーザが主体(準委任)
成果物を完成させる約束ができる工程(内部設計〜結合)が請負
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
特定顧客,特定製品のセグメントに資源を集中し,専門化を図る戦略はどれか。
ア チャレンジャ戦略
イ ニッチ戦略 正解
ウ フォロワ戦略
エ リーダ戦略
正解 イ
解説
コトラーは,業界での競争上の地位によって企業をリーダ,チャレンジャ,フォロワ,ニッチャに分け,それぞれに適した戦略を示した。ニッチ戦略は,大手が狙わない特定の顧客層や特定の製品分野という狭い市場(ニッチ)に経営資源を集中し,専門化によってその市場で独自の地位を築く戦略である。イが正しい。
アのチャレンジャ戦略は,リーダに次ぐ地位の企業が差別化によって首位を奪おうとする戦略である。ウのフォロワ戦略は,上位企業を模倣して開発費を抑え,現在の地位と一定の利益を維持する戦略である。エのリーダ戦略は,最大シェアの企業が市場全体の拡大を図りながら現在のシェアを守る戦略である。
競争地位別の戦略(コトラー)
経営資源の量と質で4つに分ける。リーダは市場全体を広げ,全方位でシェアを守る。チャレンジャはリーダのシェアを奪うため,あらゆる面で差別化する。フォロワは上位企業をすばやく模倣してコストを抑える。ニッチャは大手が狙わない特定の顧客・製品に資源を集中して専門化する。
リーダ
市場拡大・全方位
チャレンジャ
差別化でシェアを奪う
ニッチャ
特定の顧客・製品に集中
フォロワ
模倣してコストを抑える
質 高
質 低
量 大
量 小
経営資源の量(大・小)と質(高・低)
ニッチャは特定のセグメントに集中,フォロワは模倣
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
新規ビジネスを立ち上げる上で実施するフィージビリティスタディはどれか。
ア 新規ビジネスに必要なシステム構築に対する IT 投資を行うこと
イ 新規ビジネスの採算性や実行可能性を,投資前に分析し,評価すること 正解
ウ 新規ビジネスの発掘のために,アイディアを社内公募すること
エ 新規ビジネスを実施するために必要な要員の教育訓練を行うこと
正解 イ
解説
フィージビリティスタディ(実現可能性調査)は,事業やプロジェクトに本格的に投資する前に,技術面・採算面などから実現できるかどうかを調査・検証する評価活動。
アは IT 投資の実行,ウはアイディアの社内公募,エは要員の教育訓練で,いずれも実現可能性を調査・分析して評価する活動ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
部品や資材の調達から製品の生産,流通,販売までの,企業間を含めたモノの流れを適切に計画・管理し,最適化して,リードタイムの短縮,在庫コストや流通コストの削減などを実現しようとする考え方はどれか。
正解 エ
解説
SCM(サプライチェーンマネジメント)は,部品や資材の調達から生産,流通,販売までの一連の流れを,企業の枠を越えて全体として計画・管理し最適化する考え方で,リードタイムの短縮や在庫・流通コストの削減を目指す。エが正しい。
アの CRM は顧客との関係を管理して顧客満足と収益を高める考え方。イの ERP は企業内の基幹業務を統合的に管理する仕組み。ウの MRP は製品の生産計画から必要な部品や資材の量と時期を算出する資材所要量計画で,いずれも企業間を含むモノの流れ全体の最適化ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
コア技術の事例として適切なものはどれか。
ア アライアンスを組んでインタフェースなどを策定し,共通で使うことを目的とした技術
イ 競合他社がまねできないような,自動車エンジンのアイドリングストップ技術 正解
ウ 競合他社と同じ CPU コアを採用し,ソフトウェアの移植性を生かす技術
エ 製品の早期開発,早期市場投入を目的として,汎用部品を組み合わせて開発する技術
正解 イ
解説
コア技術は,企業の競争力の源泉となる中核的な技術で,競合他社が簡単にまねできないものである。競合他社がまねできないような自動車エンジンのアイドリングストップ技術は,この条件に当てはまるので,イが適切である。
アの複数企業でアライアンスを組んで共通で使う技術や,ウの競合他社と同じ CPU コアを採用する技術は,他社も同じように使えるので差別化の源泉にならない。エの汎用部品を組み合わせる技術も,他社が同じ部品で容易に再現できる。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
BTO(Build To Order)を説明したものはどれか。
ア 顧客のニーズに対応したカスタマイズを実現するために,顧客の注文を受けてから最終製品の生産を行う。 正解
イ 商品企画から生産,販売までを行う製造小売業として,自社のブランド商品を消費者に直接提供する。
ウ 製造業者などが,過剰在庫,返品,特殊サイズ,傷などによって正規の価格では売れない商品を低価格で販売する。
エ 特定の商品分野に絞り込み,豊富な品ぞろえとローコストオペレーションによって,徹底した低価格訴求を行う。
正解 ア
解説
BTO(Build To Order)は,顧客の注文を受けてから,仕様に合わせて製品を組み立てて生産する方式で,顧客のニーズに対応したカスタマイズができ,完成品の在庫を持たずに済む。アが正しい。
イは,商品企画から生産,販売までを行う製造小売業(SPA)の説明。ウは,過剰在庫や傷などで正規の価格では売れない商品を低価格で売るアウトレットの説明。エは,特定の商品分野に絞り込み,豊富な品ぞろえと低コストの運営で低価格を訴求するカテゴリキラーの説明である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
CE(コンカレントエンジニアリング)を説明したものはどれか。
ア CAD で設計された図形データを基に,NC データを作成すること
イ 生産時点で収集した情報を基に問題を分析し,生産活動の効率の向上を図ること
ウ 製品の開発や生産に関係する情報の中身や表現形式を標準化すること
エ 製品の企画・設計・製造を同時並行処理し,全体のリードタイムを短縮すること 正解
正解 エ
解説
コンカレントエンジニアリング(CE)は,製品の企画,設計,製造などの工程を順番に進めるのではなく,関係する部門が協力して同時並行で進めることで,手戻りを減らし全体のリードタイムを短縮する手法である。エが該当する。
アの CAD の図形データから NC データを作成するのは CAM。イの生産時点で収集した情報を分析して生産活動の効率向上を図るのは POP(生産時点情報管理)。ウの製品の開発や生産に関係する情報の中身や表現形式を標準化するのは,STEP などの製品データ交換の標準化である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
SEO の説明はどれか。
ア EC サイトにおいて,個々の顧客の購入履歴を分析し,新たに購入が見込まれる商品を自動的に推奨する機能
イ Web ページに掲載した広告が契機となって商品が購入された場合,売主から成功報酬が得られる仕組み
ウ 検索エンジンの検索結果一覧において自社サイトがより上位にランクされるように Web ページの記述内容を見直すなど様々な試みを行うこと 正解
エ 検索エンジンを運営する企業と契約し,自社の商品・サービスと関連したキーワードが検索に用いられた際に広告を表示する仕組み
正解 ウ
解説
SEO(Search Engine Optimization,検索エンジン最適化)は,検索エンジンの検索結果一覧で自社サイトがより上位に表示されるように,Web ページの記述内容を見直すなどの様々な工夫を行うことである。ウが該当する。
アは,購入履歴などを基に商品を推奨するレコメンデーション。イは,広告が契機で商品が購入されたときに成功報酬を得るアフィリエイト。エは,検索に使われたキーワードに関連した広告を表示する検索連動型広告(リスティング広告)の説明である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
企業経営の透明性を確保するために,企業は誰のために経営を行っているか,トップマネジメントの構造はどうなっているか,組織内部に自浄能力をもっているか,などを問うものはどれか。
ア コアコンピタンス
イ コーポレートアイデンティティ
ウ コーポレートガバナンス 正解
エ ステークホルダアナリシス
正解 ウ
解説
企業経営の透明性を確保するために,企業は誰のために経営を行っているか,トップマネジメントの構造はどうなっているか,組織内部に自浄能力をもっているかを問い,企業を統治する仕組みを整えることをコーポレートガバナンスという。ウが正しい。
アのコアコンピタンスは,競合他社にまねできない企業の中核的な強み。イのコーポレートアイデンティティは,企業の理念や個性を内外に統一して示す活動。エのステークホルダアナリシスは,利害関係者の関心や影響力を分析する手法で,いずれも経営の透明性や統治の仕組みを問うものではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
分析対象としている問題に数多くの要因が関係し,それらが相互に絡み合っているとき,原因と結果,目的と手段といった関係を追求していくことによって,因果関係を明らかにし,解決の糸口をつかむための図はどれか。
ア アローダイアグラム
イ パレート図
ウ マトリックス図
エ 連関図 正解
正解 エ
解説
連関図は,複雑に絡み合った原因と結果,目的と手段の関係を矢印でつないで図示し,因果関係を明らかにして問題解決の糸口をつかむための新 QC 七つ道具の一つである。エが正しい。
アのアローダイアグラムは作業の順序関係と日程を表す図,イのパレート図は項目を件数の多い順に並べて重点を見つける図,ウのマトリックス図は行と列に要素を並べて要素間の関連を表す図で,いずれも因果関係を追求するための図ではない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
図は,定量発注方式の在庫モデルを表している。発注 a の直後に資材使用量の予測が変わって,納品 a の直前の時点における在庫量予測が安全在庫量 S から①で示される X になるとき,発注 a 時点での発注量 E に対する適切な変更はどれか。ここで,発注直後の発注量の変更は可能であり,納品直後の在庫量は最大在庫量を超えないものとする。
ア E+S-X を追加発注する。
イ K+S-X を追加発注する。
ウ K-X の発注取消を行う。
エ X-S の発注取消を行う。 正解
正解 エ
解説
定量発注方式は,在庫量が発注点 K まで減ったときに,一定の発注量 E を発注する方式である。納品直前の在庫量予測が安全在庫量 S から X(X>S)に変わると,使用量が減って在庫が予定より多く残っているので,納品後の在庫量は X+E となり,最大在庫量(S+E)を X−S だけ超えてしまう。納品直後の在庫量が最大在庫量を超えないようにするには,超える分の X−S の発注取消を行えばよい。エが適切である。
アとイは追加発注で,在庫がすでに多いのに納品する量をさらに増やすことになり,最大在庫量を超えてしまう。ウの K−X は,発注点と予測在庫量の差で,最大在庫量を超える分とは一致しない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
最大利益が見込める新製品の設定価格はどれか。ここで,いずれの場合にも,次の費用が発生するものとする。
固定費:1,000,000 円 変動費:600 円/個
ア 1,000
イ 1,200
ウ 1,400
エ 1,600 正解
正解 エ
解説
利益は,売上高から費用を引いて求める。売上高は,設定価格×予測需要である。費用は,固定費 1,000,000 円と,変動費 600 円×予測需要の合計である。1,000 円のときは 1,000×80,000-(1,000,000+600×80,000)=31,000,000 円。1,200 円は 1,200×70,000-(1,000,000+42,000,000)=41,000,000 円。1,400 円は 1,400×60,000-(1,000,000+36,000,000)=47,000,000 円。1,600 円は 1,600×50,000-(1,000,000+30,000,000)=49,000,000 円。最大利益が見込めるのは 1,600 円のときで,エが正しい。
アの 1,000 円は 3,100 万円,イの 1,200 円は 4,100 万円,ウの 1,400 円は 4,700 万円で,いずれも 1,600 円のときの 4,900 万円を下回る。予測需要は価格が高いほど減るが,1 個当たりの利益(価格-変動費)の増え方が需要の減り方を上回っている。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
不正競争防止法において,営業秘密となる要件は,“秘密として管理されていること”,“事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること”と,もう一つはどれか。
ア 営業譲渡が可能なこと
イ 期間が10年を超えないこと
ウ 公然と知られていないこと 正解
エ 特許出願をしていること
正解 ウ
解説
不正競争防止法第2条第6項は,営業秘密を“秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないもの”と定義している。秘密管理性,有用性,非公知性の三つが要件で,ウが正しい。
アの営業譲渡が可能なこと,イの期間が10年を超えないこと,エの特許出願をしていることは,いずれも要件ではない。特許出願をすると出願内容が公開されるので,むしろ非公知性を失うことになる。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
広告や宣伝目的の電子メールを一方的に送信することを規制する法律はどれか。
ア 電子消費者契約法
イ 特定電子メール法 正解
ウ 不正競争防止法
エ プロバイダ責任制限法
正解 イ
解説
特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)は,広告や宣伝を目的とする電子メールを一方的に送信することを規制する法律で,原則として,あらかじめ送信に同意した者などにしか送信できないとするオプトイン方式を採っている(第3条)。イが正しい。
アの電子消費者契約法は,電子商取引での消費者の操作ミスなどについての民法の特例を定めた法律。ウの不正競争防止法は,営業秘密の保護など,不正な競争行為を規制する法律。エのプロバイダ責任制限法は,インターネット上の権利侵害について,プロバイダの損害賠償責任の範囲と発信者情報の開示を定めた法律である。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
発注者と受注者の間でソフトウェア開発における請負契約を締結した。ただし,発注者の事業所で作業を実施することになっている。この場合,指揮命令権と雇用契約に関して,適切なものはどれか。
ア 指揮命令権は発注者にあり,さらに,発注者の事業所での作業を実施可能にするために,受注者に所属する作業者は,新たな雇用契約を発注者と結ぶ。
イ 指揮命令権は発注者にあり,受注者に所属する作業者は,新たな雇用契約を発注者と結ぶことなく,発注者の事業所で作業を実施する。
ウ 指揮命令権は発注者にないが,発注者の事業所での作業を実施可能にするために,受注者に所属する作業者は,新たな雇用契約を発注者と結ぶ。
エ 指揮命令権は発注者になく,受注者に所属する作業者は,新たな雇用契約を発注者と結ぶことなく,発注者の事業所で作業を実施する。 正解
正解 エ
解説
請負契約では,受注者が仕事の完成を請け負い,作業者の指揮命令は受注者が行う。作業場所が発注者の事業所であっても,発注者が受注者の作業者に直接指揮命令をすると,実態が労働者派遣となる偽装請負になる。また,作業者は受注者との雇用関係のまま作業を行い,発注者と新たな雇用契約を結ぶ必要はない。エが適切である。
アとイは発注者に指揮命令権があるとしている点が誤りである。アとウは作業者が発注者と新たな雇用契約を結ぶとしている点も誤りで,作業場所が発注者の事業所であることは雇用契約を結ぶ理由にならない。
出典:平成26年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
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