平成22年度 春期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
0以上255以下の整数 n に対して,
と定義する。next(n) と等しい式はどれか。ここで,x AND y 及び x OR y は,それぞれ x と y を 2 進数表現にして,けたごとの論理積及び論理和をとったものとする。
ア (n+1) AND 255 正解
イ (n+1) AND 256
ウ (n+1) OR 255
エ (n+1) OR 256
正解 ア
解説
255 は2進数で 11111111(下位8ビットがすべて1)。したがって「AND 255」は下位8ビットだけを残す操作になる。
n が0〜254のときは n+1 が1〜255なので8ビットに収まり,AND 255 をとっても値は変わらず n+1 のまま。n=255 のときは n+1=256=100000000 となり,AND 255 で下位8ビットだけを残すと 0 になる。これは定義どおりの動きなのでアが正しい。
イの AND 256 は9ビット目だけを残すので常に0か256になる。ウとエの OR はビットを立てる操作なので,値が n+1 に一致しない。
AND 255 で下位8ビットだけを残す
255 は2進数で 11111111 なので,AND 255 は下位8ビットだけを残す。n が 0〜254 なら n+1 は8ビットに収まり値は変わらない。n=255 のときは n+1=256=1 0000 0000 で,下位8ビットを残すと 0 になる。これは next(n) の定義どおり。
n+1(2進)
AND 1111 1111
結果
n=254
→ 255
0 1111 1111
1111 1111
255
n=255
→ 256
1 0000 0000
0000 0000
0
9 ビット目(256)は AND 255 で消える
AND 256 は 9 ビット目だけ,OR はビットを立てるので違う
(n+1) AND 255 は 255 の次で 0 に戻る
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
図に示す 16 ビットの浮動小数点形式において,10 進数 0.25 を正規化した表現はどれか。ここで,正規化は仮数部の最上位けたが 1 になるように指数部と仮数部を調節する操作とする。
正解 ウ
解説
0.25 は 2 進数で 0.01 である。正規化は仮数部の最上位けたが 1 になるように調節する操作なので,0.01=0.1×2−1 と表す。仮数部 f は小数点の位置の直後から 11 ビットで 10000000000(=0.1),指数部 e は −1 を 2 の補数で表した 1111(4 ビット)で,符号 s は正なので 0。ウが正しい。
アの指数部 0001 は+1 で 0.1×21 =1.0,イの指数部 1001 は 2 の補数で −7 なので 0.1×2−7 ,エは符号が 1(負)で −1.0 を表す。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
多数のクライアントが,LAN に接続された1台のプリンタを共同利用するときの印刷要求から印刷完了までの所要時間を,待ち行列理論を適用して見積もる場合について考える。プリンタの運用方法や利用状況に関する記述のうち,M/M/1 の待ち行列モデルの条件に反しないものはどれか。
ア 一部のクライアントは,プリンタの空き具合を見ながら印刷要求をする。
イ 印刷の緊急性や印刷量の多少にかかわらず,先着順に印刷する。 正解
ウ 印刷待ち文書の総量がプリンタのバッファサイズを超えるときは,一時的に受付を中断する。
エ 一つの印刷要求から印刷完了までの所要時間は,印刷の準備に要する一定時間と,印刷量に比例する時間の合計である。
正解 イ
解説
M/M/1 の待ち行列モデルは,要求の到着がランダム(ポアソン分布)で,サービス時間が指数分布に従い,窓口が1つで,待ち行列の長さに制限がなく,先着順にサービスするという条件を前提とする。印刷の緊急性や印刷量にかかわらず先着順に印刷するイは,この条件に反しない。
アのプリンタの空き具合を見ながら印刷要求をすると,到着がランダムでなくなる。ウの受付を中断すると,待ち行列の長さに制限があることになる。エの所要時間が一定時間と印刷量に比例する時間の合計になるのは,サービス時間が指数分布に従うという条件に合わない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
連立一次方程式
から,x の項の係数,y の項の係数,及び定数項だけを取り出した表(行列)を作り,基本操作 (1)〜(3) のいずれかを順次施すことによって,解
が得られた。表(行列)が次のように左から右に推移する場合,同じ種類の基本操作が施された箇所の組合せはどれか。
〔基本操作〕
(1) ある行に 0 でない数を掛ける。 (2) ある行とほかの行を入れ替える。 (3) ある行にほかの行の定数倍を加える。 〔表(行列)の推移〕
ア a と b
イ a と c 正解
ウ b と c
エ b と d
正解 イ
解説
基本操作の種類を a〜d で見分ける。a は 2 行目が 5,6,7 から 1,0,−1 に変わっており,2 行目から 1 行目の 2 倍を引いた(5−2×2,6−2×3,7−2×4)ので,(3) の「ある行にほかの行の定数倍を加える」。b は 1 行目と 2 行目が入れ替わっているので (2)。c は 2 行目から 1 行目の 2 倍を引いた(2−2×1,3−0,4−2×(−1))ので (3)。d は 2 行目全体を 1/3 倍(0,3,6 → 0,1,2)しているので (1)。同じ種類の操作は a と c で,イが正しい。
ア,ウ,エの組合せには (1) の d か (2) の b が含まれ,種類が一致しない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
流れ図は,シフト演算と加算の繰返しによって2進整数の乗算を行う手順を表したものである。この流れ図中の a,b の組合せとして,適切なものはどれか。ここで,乗数と被乗数は符号なしの16ビットで表される。X,Y,Z は32ビットのレジスタであり,けた送りには論理シフトを用いる。最下位ビットを第0ビットと記す。
ア a:Y の第0ビット,b:X を1ビット左シフト,Y を1ビット右シフト 正解
イ a:Y の第0ビット,b:X を1ビット右シフト,Y を1ビット左シフト
ウ a:Y の第15ビット,b:X を1ビット左シフト,Y を1ビット右シフト
エ a:Y の第15ビット,b:X を1ビット右シフト,Y を1ビット左シフト
正解 ア
解説
筆算の掛け算と同じく,乗数 Y を下位のけたから1ビットずつ調べ,そのビットが1なら,そのけたの重みに合わせてずらした被乗数 X を Z に加える。毎回 Y の最下位ビットである第0ビットを調べるので,a は Y の第0ビットである。
1回ごとに,次のけたのために X を1ビット左シフトして重みを2倍にし,Y を1ビット右シフトして次のビットを第0ビットに移す。したがって b は“X を1ビット左シフト,Y を1ビット右シフト”で,アが正しい。Y の第15ビットを調べる場合は上位のけたから処理することになり,X の重みの付け方と合わない。
シフトと加算で掛け算をする
筆算と同じく,乗数 Y を下の桁から1ビットずつ調べ,1 なら被乗数 X を Z に足す。毎回見るのは Y の第0ビット。1回ごとに X を1ビット左へずらして重みを2倍にし,Y を1ビット右へずらして次のビットを第0ビットに持ってくる。
例:X=1011(11)× Y=0101(5)
回
Y(右へ)
第0ビット
X(左へ)
Z
1
0101
1 → 足す
1011
1011
2
0010
0
10110
1011
3
0001
1 → 足す
101100
110111
4
0000
0
1011000
110111
Z = 110111 = 55(11 × 5)
a:Y の第0ビット b:X を左シフト,Y を右シフト
Y の第0ビットを見て,X は左へ,Y は右へずらす
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
指定された点が指定された多角形の内部にあるか外部にあるかを判定したい。多角形のすべての辺について,点から水平に延ばした半直線との交差回数を調べる。点 A のように交差回数が奇数回ならば内部,点 B のように交差回数が偶数回又は 0 ならば外部とする。点 C のように半直線が多角形の頂点上を通過する場合,二つの辺の端点(上端又は下端)と交差することになるが,このときの交差回数の数え方として,適切なものはどれか。ここで,多角形には水平な辺はないものとし,辺の上の点は考えない。
ア それぞれの辺について,下端での交差は 0 回,上端での交差は 1 回とし,合計したものを交差回数とする。 正解
イ 二つの辺それぞれを 0 回とし,交差回数には加えない。
ウ 二つの辺それぞれを 0.5 回,つまり合計で 1 回の交差回数とする。
エ 二つの辺それぞれを 1 回,つまり合計で 2 回の交差回数とする。
正解 ア
解説
水平な半直線が頂点を通るときは,その頂点に接する 2 辺について,下端での交差を 0 回,上端での交差を 1 回と数える。点 C の半直線が通る頂点では,辺 4 の下端(0 回)と辺 3 の上端(1 回)が交差するので合計 1 回(奇数)となり,C は内部と判定される。2 辺が頂点の同じ側(共に上端,又は共に下端)にあって半直線が接するだけの場合は,合計 2 回又は 0 回(偶数)となり,正しく外部と判定できる。アが適切である。
イは 2 辺とも 0 回とするので,C のように半直線が頂点で多角形を横切る場合に偶数となって外部と誤る。エは 2 辺とも 1 回とするので合計が常に 2 回(偶数)で,同じく誤る。ウは 1 辺 0.5 回で合計 1 回とするので,C では合っているが,半直線が頂点に接するだけの場合にも 1 回(奇数)となり,外部の点を内部と誤る。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
HTML だけでは実現できず,JavaScript を使うことによってブラウザ側で実現可能になることはどれか。
ア アプレットの使用
イ 画像の表示
ウ サーバへのデータの送信
エ 入力データの検査 正解
正解 エ
解説
JavaScript はブラウザ上で動くスクリプト言語で,フォームに入力された値が空でないか,数字だけか,といった入力データの検査を,サーバへ送る前にブラウザ側で行える。エが正しい。
アのアプレットは Java で作るプログラムで,JavaScript ではなく HTML の applet(object)要素で組み込む。イの画像の表示は HTML の img 要素だけでできる。ウのサーバへのデータの送信も HTML の form 要素だけでできる。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
整形式(well-formed)の XML 文書が妥当(valid)な XML 文書である条件はどれか。
ア DTD に適合している。 正解
イ XML 宣言が完全に記述されている。
ウ XML データを記述するための文法に従っている。
エ エンティティ参照ができる。
正解 ア
解説
整形式(well-formed)の XML 文書は,開始タグと終了タグの対応など XML の文法に従っている文書である。妥当(valid)な XML 文書は,整形式であることに加えて,DTD などで定義された文書の構造(要素の並びや属性など)に適合している文書である。アが正しい。
イの XML 宣言は省略することもでき,妥当性の条件ではない。ウの XML の文法に従っていることは整形式の条件である。エのエンティティ参照ができることは,妥当な XML 文書であるための条件ではない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
プロセッサの実行効率を上げる,VLIW の説明はどれか。
ア 依存関係のない複数の命令を,プログラム中での出現順序とは異なる順序で実行する。
イ 各命令のフェッチ,デコード,実行,演算結果の出力などの各段階を並列に処理する。
ウ 同時に実行可能な複数の動作をまとめて一つの命令として,同時に実行する。 正解
エ 複数のパイプラインを用いて複数の命令を同時に実行させる。
正解 ウ
解説
VLIW(Very Long Instruction Word)は,同時に実行できる複数の命令を,コンパイラがあらかじめ 1 つの長い命令語にまとめておき,プロセッサがそれを 1 命令として同時に実行する方式である。実行時に依存関係を調べる回路が不要になる。ウが正しい。
アは,依存関係のない命令を実行時に追い越して実行するアウトオブオーダ実行。イは,命令の各段階を重ねて処理するパイプライン方式。エは,複数のパイプラインをもち,実行時に複数の命令を同時に発行するスーパスカラ方式の説明である。
スーパスカラと VLIW
スーパスカラは,パイプラインを複数用意し,同時に実行できる命令を実行時にハードウェアが空いている演算器へ割り当てて並べて流す。VLIW は,同時に実行できる複数の動作をコンパイラが前もって1つの長い命令にまとめておき,そのまま並列に実行する。
スーパスカラ(パイプライン2本)
命令1
取
解
実
書
命令2
取
解
実
書
命令3
取
解
実
書
命令4
取
解
実
書
同時に流せる命令を
ハードウェアが
実行時に割り当てる
VLIW(長い命令1つに複数の動作)
加算
乗算
読込み
分岐
1命令
まとめるのは
コンパイラ
取:取出し 解:解読 実:実行 書:書込み
割当てを決めるのは,スーパスカラは実行時のハードウェア,VLIW はコンパイラ
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
同じ命令セットをもつコンピュータ A と B がある。それぞれの CPU クロック周期,及びあるプログラムを実行したときの CPI(Cycles Per Instruction)は,表のとおりである。そのプログラムを実行したとき,コンピュータ A の処理時間は,コンピュータ B の処理時間の何倍になるか。
正解 ウ
解説
1命令あたりの実行時間は CPU クロック周期×CPI で求められる。コンピュータ A は 1ナノ秒×4.0=4ナノ秒,コンピュータ B は 4ナノ秒×0.5=2ナノ秒。
同じ命令セットの同じプログラム(=実行命令数が同じ)なので,処理時間の比はそのまま 4÷2=2 倍になる。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
ECC メモリで,2ビットの誤りを検出し,1ビットの誤りを訂正するために用いるものはどれか。
ア 偶数パリティ
イ 垂直パリティ
ウ チェックサム
エ ハミング符号 正解
正解 エ
解説
ECC メモリで用いられるハミング符号は,データビットに複数の検査ビットを付加し,検査ビットの組合せから誤りのあるビットの位置を特定できる符号である。1 ビットの誤りを訂正でき,2 ビットの誤りを検出できるので,エが該当する。
アの偶数パリティとイの垂直パリティは,1 ビットの誤りを検出できるが,誤りの位置は分からないので訂正できない。ウのチェックサムは,データの合計値を比べて誤りの有無を検出する方法で,誤りを訂正することはできない。
パリティとハミング符号でできること
パリティ(偶数・奇数・垂直・水平)は1ビットの誤りがあることは分かるが,どのビットかは分からないので直せない。ハミング符号は複数の検査ビットの組合せで誤りの位置まで分かるので,1ビットの誤りを訂正できる。ECC メモリで使う方式(SECDED)は,さらに2ビットの誤りがあることも検出できる。
方式
1ビット誤りの検出
1ビット誤りの訂正
2ビット誤りの検出
パリティ
○
×
×
ハミング符号(ECC)
○
○
○
検査ビットの組合せで,誤ったビットの位置を指せる
パリティ・チェックサムは誤りの有無が分かるだけ
ハミング符号は誤りの位置まで分かる → 1ビット訂正,2ビット検出
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
RAID の種類 a,b,c に対応する組合せとして,適切なものはどれか。
ア a:RAID3 b:RAID4 c:RAID5 正解
イ a:RAID3 b:RAID5 c:RAID4
ウ a:RAID4 b:RAID3 c:RAID5
エ a:RAID4 b:RAID5 c:RAID3
正解 ア
解説
RAID3 は,ビット(バイト)単位でデータを複数台のディスクに分けて書き込み(ストライピング),誤り訂正のパリティを専用の1台に固定して格納する。RAID4 は,ストライピングの単位がブロックで,パリティは専用ディスクに固定される。RAID5 は,ブロック単位のストライピングで,パリティを全てのディスクに分散して格納する。表の a(ビット・固定)は RAID3,b(ブロック・固定)は RAID4,c(ブロック・分散)は RAID5 に当たり,アが適切である。
イは b と c を入れ替えており,b を RAID5,c を RAID4 としている。ウは a と b を入れ替えており,a を RAID4,b を RAID3 としている。エは a を RAID4,b を RAID5,c を RAID3 とし,三つとも誤っている。
RAID1・3・4・5 の違い
RAID1 は同じデータを2台に書くミラーリング。RAID3 はビット(バイト)単位で分散し,パリティを専用の1台に固定する。RAID4 はブロック単位で分散し,パリティを専用の1台に固定する。RAID5 はブロック単位で分散し,パリティを全ての台に分散する。
RAID1
ミラーリング
A
B
A
B
RAID3
ビット単位・パリティ固定
a1
b1
a2
b2
P
P
RAID4
ブロック単位・パリティ固定
A1
B1
A2
B2
P
P
RAID5
ブロック単位・パリティ分散
A1
B1
A2
P
P
B2
P:パリティ(1台壊れても残りから復元できる)
分散の単位(ビット・ブロック)と,パリティの置き場(固定・分散)で見分ける
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
図に示すような二つのプロセッサで構成したシステムは,何と呼ばれるか。
ア アレイプロセッサシステム
イ スレーブシステム
ウ 疎結合マルチプロセッサシステム 正解
エ 密結合マルチプロセッサシステム
正解 ウ
解説
二つのプロセッサがそれぞれ別の主記憶をもち,磁気ディスクを共用して,通信ポートと伝送ラインでデータをやり取りする構成は,疎結合マルチプロセッサシステムである。プロセッサごとに主記憶が独立していて,結合の度合いが低い。ウが正しい。
エの密結合マルチプロセッサシステムは,複数のプロセッサが 1 つの主記憶を共有し,1 つの OS で制御される構成で,図のように主記憶が別々のものではない。アのアレイプロセッサは,多数の演算器に同じ命令を与えて配列データを一斉に処理する方式。イのスレーブシステムは,主となるプロセッサ(マスタ)が従となるプロセッサ(スレーブ)に処理を割り当てる主従関係の構成で,図には主従を示すものがない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
RASIS の各特性のうち,“I”で表される特性は,何に関するものか。
ア 情報の一貫性を確保する能力 正解
イ 情報の漏えい,紛失,不正使用などを防止する能力
ウ 要求された機能を,規定された期間実行する能力
エ 要求されたサービスを,提供し続ける能力
正解 ア
解説
RASIS は,信頼性(Reliability),可用性(Availability),保守性(Serviceability),保全性(Integrity),機密性(Security)の頭文字で,“I”は保全性(完全性)を表す。保全性は,情報の一貫性(正確さや矛盾のなさ)を確保する能力で,アが正しい。
イは機密性(S:情報の漏えい,紛失,不正使用などの防止)。ウは信頼性(R:要求された機能を規定された期間実行する能力)。エは可用性(A:要求されたサービスを提供し続ける能力)の説明である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
コンピュータシステムの性能評価法の一つであるモニタリングの説明として,適切なものはどれか。
ア 各プログラムの実行状態や資源の利用状況を測定し,システムの構成や応答性能を改善するためのデータを得る。 正解
イ システムの各構成要素に関するカタログ性能データを収集し,それらのデータからシステム全体の性能を算出する。
ウ 典型的なプログラムを実行し,入出力や制御プログラムを含めたシステムの総合的な処理性能を測定する。
エ 命令を分類し,それぞれの使用頻度を重みとした加重平均によって全命令の平均実行速度を求める。
正解 ア
解説
モニタリング(モニタ法)は,稼働中のコンピュータシステムの各プログラムの実行状態や資源の利用状況を実際に測定し,システムの構成や応答性能を改善するためのデータを得る性能評価法である。アが適切である。
イは仕様書やカタログに載った各構成要素の性能から,システム全体の性能を机上で算出する方法。ウは典型的なプログラムを実行して総合的な処理性能を測定するベンチマークテスト。エは命令の使用頻度を重みとして平均実行速度を求める命令ミックスの説明である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
あるシステムでは,平均すると 100 時間に2回の故障が発生し,その都度復旧に2時間を要していた。機器を交換することによって,故障の発生が 100 時間で1回になり,復旧に要する時間も1時間に短縮した。機器を交換することによって,このシステムの稼働率は幾ら向上したか。
ア 0.01
イ 0.02
ウ 0.03 正解
エ 0.04
正解 ウ
解説
交換前は,100時間に2回故障し,1回の復旧に2時間かかるので,100時間のうち4時間停止し,稼働率は (100−4)÷100=0.96 である。
交換後は,100時間に1回故障し,復旧に1時間かかるので,停止は1時間で,稼働率は (100−1)÷100=0.99 である。0.99−0.96=0.03 向上したので,ウが正しい。
100時間あたりの停止時間で稼働率を比べる
交換前は100時間に2回故障し,1回2時間で復旧するので停止は4時間,稼働率 0.96。交換後は100時間に1回,1時間で停止は1時間,稼働率 0.99。0.03 向上した。
交換前
停止4時間 → 0.96
交換後
停止1時間 → 0.99
0
100時間
0.99 − 0.96 = 0.03
100時間のうち止まっている時間を数えれば,稼働率がすぐ出る
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
あるクライアントサーバシステムにおいて,クライアントから要求された 1 件の検索を処理するために,サーバで平均 100 万命令が実行される。1 件の検索につき,ネットワーク内で転送されるデータは,平均 2×105 バイトである。このサーバの性能は 100 MIPS であり,ネットワークの転送速度は,8×107 ビット/秒である。このシステムにおいて,1 秒間に処理できる検索要求は何件か。ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。また,1 バイトは 8 ビットとする。
正解 ア
解説
サーバは 100 MIPS,すなわち1秒間に 100 万命令を実行でき,1件の検索に 100 万命令が必要なので,1秒間に処理できるのは 100 件である。ネットワークは1件当たり 2×105 バイト=1.6×106 ビットを転送し,転送速度が 8×107 ビット/秒なので,1秒間に転送できるのは 8×107 ÷1.6×106 =50 件である。
システム全体で処理できる件数は,遅いほうのネットワークで決まり,1秒間に 50 件となる。アが正しい。1バイト=8ビットの換算を忘れると,ネットワークが 400 件(エ)となり,サーバの 100 件(イ)が上限と誤る。
サーバとネットワークで,1秒に処理できる件数を比べる
サーバは 100 MIPS で1件 100 万命令なので,1秒に 100 件。ネットワークは1件 2×10⁵ バイト=1.6×10⁶ ビットを 8×10⁷ ビット/秒で送るので,1秒に 50 件。全体は遅いほうのネットワークで決まり,1秒に 50 件。バイトをビットにし忘れるとネットワークが 400 件になり,サーバの 100 件を答えてしまう。
サーバ
100 件/秒
100 MIPS ÷ 100 万命令
ネットワーク
50 件/秒
8×10⁷ ÷ 1.6×10⁶ ビット
システム全体:1 秒に 50 件(ア)
遅いほう(ネットワークの 50 件)で決まる
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
表のような状態の 4 ブロック分のキャッシュメモリ C0〜C3 がある。ここで,新たに別のブロックの内容をキャッシュメモリにロードする必要が生じたとき,C2 の内容を置換の対象とするアルゴリズムはどれか。
正解 エ
解説
C2 のブロックに当てはまる特徴を表から探す。最終参照時刻が 0:05 で4ブロックの中で最も古いので,最も長い間参照されていないブロックを置き換える LRU(Least Recently Used)なら C2 が対象になる。エが正しい。
アの FIFO は最も早くロードされたブロックを置き換えるので,ロード時刻 0:00 の C0 が対象。イの LFU は参照回数が最も少ないブロックを置き換えるので,参照回数1の C1 が対象。ウの LIFO は最も新しくロードされたブロックを置き換えるので,ロード時刻 0:05 の C3 が対象となる。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
プログラムの局所参照性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 繰り返し呼ばれる手続をサブルーチン化すると,サブルーチンの呼出しと復帰のために分岐命令が増えるので,必ず局所参照性は低下する。
イ 同様の処理を反復する場合,ループやサブルーチンを用いずにプログラムにコードを繰り返して記述する方が,局所参照性は高くなる。
ウ 分岐命令などによって,メモリを短い時間に広範囲に参照するほど,局所参照性は高くなる。
エ ループによる反復実行のように,短い時間にメモリの近接した場所を参照するプログラムの局所参照性は高くなる。 正解
正解 エ
解説
局所参照性は,プログラムが短い時間のうちに,メモリ上の近接した場所を繰り返し参照する性質で,ループによる反復実行のようにその傾向が強いほど局所参照性は高くなり,キャッシュメモリや仮想記憶が効果的に働く。エが適切である。
アは,サブルーチン化すると同じ命令が 1 か所にまとまり,繰り返し同じ領域を参照するので,必ず低下するとは言えない。イは,ループやサブルーチンを使わずにコードを繰り返し書くと,参照する範囲が広がって局所参照性は低くなる。ウは,短い時間に広範囲を参照するほど局所参照性は低くなる。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
三つの媒体 A〜C に次の条件でファイル領域を割り当てた場合,割り当てた領域の総量が大きい順に媒体を並べたものはどれか。
〔条件〕
(1) ファイル領域を割り当てる際の媒体選択アルゴリズムとして,空き領域が最大の媒体を選択する方式を採用する。 (2) 割当て要求されるファイル領域の大きさは,順に 90,30,40,40,70,30(M バイト)であり,割り当てられたファイル領域は,途中で解放されない。 (3) 各媒体は容量が同一であり,割当て要求に対して十分な大きさをもち,初めはすべて空きの状態である。 (4) 空き領域の大きさが等しい場合には,A,B,C の順に選択する。
ア A,B,C
イ A,C,B
ウ B,A,C
エ C,B,A 正解
正解 エ
解説
空き領域が最大の媒体,つまり割り当てた総量が最小の媒体を選ぶ。等しければ A,B,C の順に選ぶ。90 は全て空きなので A(A 90)。30 は B と C が等しいので B(B 30)。40 は C が最小なので C(C 40)。次の 40 は B(30)が最小なので B(B 70)。70 は C(40)が最小なので C(C 110)。最後の 30 は B(70)が最小なので B(B 100)。
割り当てた総量は A 90,B 100,C 110 となり,大きい順に C,B,A で,エが正しい。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
プログラミングツールの機能の説明のうち,適切なものはどれか。
ア インスペクタは,プログラム実行時にデータの内容を表示する。 正解
イ シミュレータは,プログラム内又はプログラム間の実行経路を表示する。
ウ トレーサは,プログラム単位の機能説明やデータ定義の探索を容易にする。
エ ブラウザは,文字の挿入,削除,置換などの機能によってプログラムのソースコードを編集する。
正解 ア
解説
インスペクタは,デバッグの際に,プログラムの実行を止めた時点での変数やデータ構造の内容を表示するツールである。アが適切である。
イのプログラムの実行経路を表示するのはトレーサ。ウのプログラム単位の機能説明やデータ定義の探索を容易にするのはブラウザ。エの文字の挿入,削除,置換などでソースコードを編集するのはエディタである。シミュレータは,実機がなくても対象のハードウェアなどの動作を模擬してプログラムを実行するツールである。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
Web サーバ用のソフトウェアである Apache を変更して,新しい製品を作って頒布するとき,実行しなければならないものはどれか。
ア Apache の名称を製品名に使う。
イ 変更したファイルに自社の著作権表示を追加する。
ウ 変更したファイルには変更した旨の告知を入れる。 正解
エ ライセンス文を改変し,添付する。
正解 ウ
解説
Apache License, Version 2.0 は,改変した Apache を再頒布するとき,第 4 条で次を求めている。受け取る人にライセンスの写しを渡すこと(4(a)),変更したファイルに変更した旨の目立つ告知を入れること(4(b)),元のソースの著作権表示などを保持すること(4(c))である。ウが実行しなければならないものである。
アは,第 6 条で,ライセンサの商号や製品名などを使う許可は与えられないので,Apache の名称を製品名に使うことは認められていない。イの自社の著作権表示の追加は,認められてはいるが,実行しなければならないものではない。エは,ライセンス文は改変せずに添付することが前提で,改変して添付してはならない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
8 ビット D/A 変換器を使って,電圧を発生させる。使用する D/A 変換器は,最下位の 1 ビットの変化で 10 ミリ V 変化する。データに 0 を与えたときの出力は 0 ミリ V である。データに 16 進数で 82 を与えたときの出力は何ミリ V か。
ア 820
イ 1,024
ウ 1,300 正解
エ 1,312
正解 ウ
解説
16進数の 82 を10進数に直すと,8×16+2=130 になる。最下位の1ビットの変化で出力が 10 ミリ V 変わり,データ 0 のとき 0 ミリ V なので,出力は 130×10=1,300 ミリ V となる。ウが正しい。
アの 820 は 82 を10進数のまま使った値。エの 1,312 は 82 を16倍して 1,312 とした値など,基数の変換を誤ったときの値である。イの 1,024 は 210 で,この計算とは関係がない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
SRAM と比較した場合の DRAM の特徴はどれか。
ア SRAM よりも高速なアクセスが実現できる。
イ データを保持するためのリフレッシュ動作が不要である。
ウ 内部構成が複雑になるので,ビット当たりの単価が高くなる。
エ ビット当たりの面積を小さくできるので,高集積化に適している。 正解
正解 エ
解説
DRAM は,1ビットを1個のトランジスタとコンデンサで記憶する。SRAM はフリップフロップ回路で1ビットを記憶し,多くのトランジスタを使う。DRAM は構造が単純でビット当たりの面積を小さくできるので,高集積化に適し,主記憶に使われる。エが正しい。
アの高速なアクセスは SRAM の特徴で,キャッシュメモリに使われる。イは誤りで,DRAM はコンデンサの電荷が漏れるので,定期的にリフレッシュ動作が必要である。ウは誤りで,DRAM は内部構成が単純なので,ビット当たりの単価は SRAM より安い。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
ワンチップマイコンにおける内部クロック発生器のブロック図を示す。15 MHz の発振器と,内部の PLL1,PLL2 及び分周器の組合せで CPU に 240 MHz,シリアル通信(SIO)に 115 kHz のクロック信号を供給する場合の分周器の値は幾らか。ここで,シリアル通信のクロック精度は±5%以内に収まればよいものとする。
ア 1/24
イ 1/26
ウ 1/28
エ 1/210 正解
正解 エ
解説
分周器に入るのは PLL1 の出力で,15MHz×8=120MHz。ここを 1/2n に分周して 115kHz に近づける。1/210 なら 120,000÷1,024≒117.2kHz で,115kHz との差は約1.9%なので ±5% 以内に収まる。エが正しい。
ウの 1/28 では 120,000÷256≒468.8kHz と4倍以上ずれ,イやアの分周比ではさらに大きく外れる。CPU 向けの 240MHz は PLL1 の出力を PLL2 で2逓倍して得ており,分周器はその手前の 120MHz から分岐している点に注意する。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
一般的に専門家が,様々なユーザインタフェース設計によく当てはまる経験則を基にして,インタフェースを評価する方法はどれか。
ア 回顧法
イ 思考発話法
ウ 認知的ウォークスルー法
エ ヒューリスティック評価法 正解
正解 エ
解説
ヒューリスティック評価法は,ユーザインタフェースの専門家が,経験則(ヒューリスティックス)に照らしてインタフェースを評価し,使いやすさの問題点を見つける手法である。エが正しい。
アの回顧法は,利用者に操作をしてもらった後に,操作中に考えたことを振り返って話してもらう手法。イの思考発話法は,利用者に考えていることを声に出しながら操作してもらう手法。ウの認知的ウォークスルー法は,評価者が利用者の立場で操作の手順を一つずつたどり,利用者が迷わずに操作できるかを検討する手法である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
音声などのアナログデータをディジタル化するために用いられる PCM で,音の信号を一定の周期でアナログ値のまま切り出す処理はどれか。
正解 イ
解説
PCM(パルス符号変調)は,標本化,量子化,符号化の順にアナログ信号をディジタル化する。音の信号を一定の周期で切り出し,その時点の値をアナログ値のまま取り出す処理が標本化(サンプリング)で,イが正しい。
エの量子化は,標本化で切り出した値を,決められた段階の離散的な値に近似する処理。ウの符号化は,量子化した値を2進数のビット列に変換する処理である。アの暗号化は,PCM の処理には含まれない。
PCM:標本化・量子化・符号化
アナログの音の波形を,一定の周期で切り出してその時点の値を取り出す(標本化)。取り出した値を決められた段階の値に近づける(量子化)。段階の値を2進数のビット列にする(符号化)。この順でディジタル化する。
0
1
2
3
4
5
6
7
110
111
110
011
001
000
010
100
110
111
標本化:○ を一定の間隔で取り出す
量子化:● 段階の値にそろえる 符号化:下の2進数
一定の周期で切り出すのが標本化。値を段階にそろえるのが量子化
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
CG における基本的な用語の説明として,適切なものはどれか。
ア アンチエイリアシングとは,画像のサンプリングが不十分であることが原因で生じる現象のことである。
イ レイトレーシングとは,曲面を陰影によって表現することである。
ウ レンダリングとは,ウィンドウの外部の図形を切り取り,内部だけを表示する処理のことである。
エ ワイヤフレーム表現とは,3 次元形状をすべて線で表現することである。 正解
正解 エ
解説
ワイヤフレーム表現は,3 次元形状を稜線などの線だけで表現する方法で,エが適切である。
アはエイリアシング(輪郭のぎざぎざ)が生じる原因の説明で,アンチエイリアシングは,このぎざぎざを目立たなくする処理である。イの曲面を陰影によって表現することはシェーディングで,レイトレーシングは,視点から出た光線を追跡して反射や屈折を計算し,画像を生成する手法である。ウのウィンドウの外部の図形を切り取り,内部だけを表示する処理はクリッピングで,レンダリングは,形状や色,光源などのデータから実際の画像を生成する処理である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
顧客は一般に複数の銀行に預金するものとして,顧客と銀行の関連を,E-R 図で次のように表現する。このモデルを関係データベース上に“銀行”表,“口座”表,“顧客”表として実装する場合の記述として,適切なものはどれか。
ア “銀行”表から“口座”表へのカーディナリティは多対1である。
イ “銀行”表中に参照制約を課した外部キーがある。
ウ “口座”表から“顧客”表へのカーディナリティは1対多である。
エ “口座”表には二つ以上の外部キーがある。 正解
正解 エ
解説
銀行と顧客は多対多の関連で,関連“口座”によって結ばれている。関係データベースで多対多の関連を実装するには,関連を表す“口座”表を作り,“銀行”表の主キーを参照する外部キーと,“顧客”表の主キーを参照する外部キーの両方をもたせる。したがって,“口座”表には二つ以上の外部キーがあり,エが適切である。
アは誤りで,一つの銀行には複数の口座があるので,“銀行”表から“口座”表へは1対多である。イは誤りで,外部キーは“口座”表がもち,“銀行”表にはない。ウは誤りで,一人の顧客が複数の口座をもつので,“口座”表から“顧客”表へは多対1である。
多対多の関連を表にする
顧客は複数の銀行に,銀行には複数の顧客が預金するので,銀行と顧客は多対多。関係データベースでは関連“口座”を表にし,銀行の主キーを参照する外部キーと,顧客の主キーを参照する外部キーの2つを“口座”表にもたせる。銀行から口座へは1対多,口座から顧客へは多対1になる。
銀行
口座
顧客
m
n
銀行
銀行コード
口座
銀行コード(外部キー)
顧客番号(外部キー)
顧客
顧客番号
1
多
多
1
“口座”表には外部キーが2つある
多対多は間に関連の表を作り,そこに両方への外部キーを置く
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
インデックス方式のうち,キー値を基に算出して格納位置を求めるとき,異なったキー値でも同一の算出結果となる可能性があるものはどれか。
ア B+ 木インデックス
イ 転置インデックス
ウ ハッシュインデックス 正解
エ ビットマップインデックス
正解 ウ
解説
ハッシュインデックスは,キー値をハッシュ関数で計算して格納位置を求める方式で,異なるキー値から同じ結果(格納位置)が得られること(シノニム,衝突)がある。その場合は別の領域に格納するなどの対処が必要になる。ウが正しい。
アの B+ 木インデックスは,キー値の大小で枝を選ぶ木構造で,キー値は一意に位置づけられる。イの転置インデックスは,語句から,それを含む文書や行を引く索引。エのビットマップインデックスは,列の値ごとに該当する行を 1 ビットで表す索引で,どちらもキー値から計算で格納位置を求める方式ではない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
データの正規化に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 正規化は,データベースへのアクセス効率を向上させるために行う。
イ 正規化を行うと,複数の項目で構成される属性は,単一の項目をもつ属性に分解される。 正解
ウ 正規化を完全に行うと,同一の属性を複数の表で重複してもつことはなくなる。
エ 非正規形の表に対しては,選択,射影などの関係演算は実行不可能である。
正解 イ
解説
正規化の第 1 段階(第 1 正規形)では,複数の項目で構成される属性(繰返し項目や複合項目)を,単一の値をもつ属性に分解する。イが適切である。
アは誤りで,正規化の目的は,データの重複を除いて更新時の不整合(更新時異常)を防ぐことで,アクセス効率の向上ではない。ウは誤りで,正規化を完全に行っても,表どうしを結び付けるための主キーと外部キーが複数の表に現れる。エは誤りで,非正規形の表に対しても,選択や射影などの関係演算は実行できる。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
“受注明細”表は,どのレベルまでの正規形の条件を満足しているか。ここで,受注番号と明細番号の組は主キーである。
ア 第1正規形
イ 第2正規形 正解
ウ 第3正規形
エ 第4正規形
正解 イ
解説
“受注明細”表の主キーは(受注番号,明細番号)で,各列は1つの値しか持たず(第1正規形),商品コードと数量は主キー全体で決まる。商品名は商品コードだけで決まり,主キーにとっては商品コードを介して決まる関係(推移的関数従属)にあるので,第3正規形の条件は満たさない。主キーの一部だけで決まる列(部分関数従属)が無いので第2正規形までは満たし,イが適切である。
アは第1正規形までしか満たさない場合,ウは推移的関数従属が無い場合である。エの第4正規形は,第3正規形を満たしたうえで多値従属も取り除いた形で,この表は第3正規形も満たしていない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
表 A から実行結果 B を得るための SQL 文はどれか。
ア SELECT 部署コード, 社員コード, 名前 FROM A
GROUP BY 社員コード
イ SELECT 部署コード, 社員コード, 名前 FROM A
GROUP BY 部署コード
ウ SELECT 部署コード, 社員コード, 名前 FROM A
ORDER BY 社員コード, 部署コード
エ SELECT 部署コード, 社員コード, 名前 FROM A
ORDER BY 部署コード, 社員コード 正解
正解 エ
解説
実行結果 B は,部署コードの昇順に並び,同じ部署コードの中では社員コードの昇順に並んでいるので,ORDER BY 部署コード,社員コードで並べ替える。エが正しい。
ウは ORDER BY 社員コード,部署コードで,社員コードの順(10010,10020,…)に並んでしまう。ア,イの GROUP BY は,指定した列で行をまとめて集計するための句で,並べ替えを指定するものではなく,出力の順序は保証されない。また,GROUP BY に指定していない列を SELECT に書くことはできない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
DBMS のロールフォワードを説明したものはどれか。
ア 更新前ログ情報によって,直近の整合性のとれた状態に回復する。
イ 障害のもととなったプログラムを修正し,再実行によって回復する。
ウ チェックポイント情報と更新後ログ情報を使って回復する。 正解
エ データベースのレコードの内容を,SQL を使って直接修正する。
正解 ウ
解説
ロールフォワードは,媒体障害などでデータベースが失われたときに,バックアップやチェックポイントの時点の状態から,更新後ログ(更新後の値)を使ってコミット済みのトランザクションの更新をやり直し,障害直前の状態に回復する方法である。ウが正しい。
アの更新前ログによって整合性のとれた状態に戻すのは,ロールバックの説明である。イのプログラムを修正して再実行することや,エの SQL でレコードを直接修正することは,DBMS の回復機能ではない。
媒体障害からの回復
媒体障害ではディスクの内容そのものが失われる。まずバックアップからデータベースを復元し,バックアップを取った後にコミットしたトランザクションを,ログの更新後情報で順に反映して(ロールフォワードして)障害の直前まで戻す。
バックアップ
T1 コミット
T2 コミット
T3 コミット
媒体障害
② 更新後ログで T1〜T3 をロールフォワード
① 復元
バックアップで「その時点」に戻し,更新後ログで「障害の直前」まで進める
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
100 M ビット/秒の LAN に接続されているブロードバンドルータ経由でインターネットを利用している。FTTH の実効速度が 90 M ビット/秒で,LAN の伝送効率が 80%のときに,LAN に接続された PC でインターネット上の 540 M バイトのファイルをダウンロードするのにかかる時間は,およそ何秒か。ここで,制御情報やブロードバンドルータの遅延時間などは考えず,また,インターネットは十分に高速であるものとする。
正解 ウ
解説
ダウンロードの速度は,LAN の実効速度と FTTH の実効速度のうち遅いほうで決まる。LAN は 100 M ビット/秒×0.8=80 M ビット/秒,FTTH は 90 M ビット/秒なので,80 M ビット/秒が全体の速度になる。ファイルは 540 M バイト=540×8=4,320 M ビットなので,掛かる時間は 4,320÷80=54 秒。ウが正しい。
アの 43 秒は 4,320÷100 に近い値で LAN の伝送効率を考えていない。イの 48 秒は 4,320÷90 で FTTH の速度だけを使った値。エの 60 秒は 4,320÷72 で,伝送効率の 80%を LAN ではなく FTTH の 90 M ビット/秒に掛けた(90×0.8=72)値である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
OSI 基本参照モデルにおいて,アプリケーションプロセス間での会話を構成し,同期をとり,データ交換を管理するために必要な手段を提供する層はどれか。
ア アプリケーション層
イ セッション層 正解
ウ トランスポート層
エ プレゼンテーション層
正解 イ
解説
OSI 基本参照モデルのセッション層(第 5 層)は,アプリケーションプロセス間の会話(セッション)を確立・維持・終了し,同期をとってデータ交換を管理するための手段を提供する。イが正しい。
アのアプリケーション層(第 7 層)は,ファイル転送や電子メールなど,アプリケーションが通信に使うサービスを提供する。ウのトランスポート層(第 4 層)は,端末間の通信の信頼性を確保する。エのプレゼンテーション層(第 6 層)は,データの表現形式(符号化や圧縮,暗号化など)を変換する。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
ルータの機能に関する記述として,適切なものはどれか。
ア LAN 同士や LAN と WAN を接続して,ネットワーク層での中継処理を行う。 正解
イ データ伝送媒体上の信号を物理層で増幅して中継する。
ウ データリンク層でネットワーク同士を接続する。
エ 二つ以上の LAN を接続し,LAN 上の MAC アドレスを参照して,その参照結果を基にデータフレームをほかのセグメントに流すかどうかの判断を行う。
正解 ア
解説
ルータは,LAN 同士や LAN と WAN を接続して,ネットワーク層(OSI 基本参照モデルの第 3 層)で IP アドレスを基に中継経路を決める装置である。アが適切である。
イは,物理層で信号を増幅して中継するリピータの説明。ウは,データリンク層でネットワーク同士を接続するブリッジ(L2 スイッチ)の説明。エは,MAC アドレスを参照してデータフレームを流すかどうかを判断する,ブリッジ(L2 スイッチ)の説明である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
クラス C の IP アドレスとして,コンピュータに付与できるものはどれか。
ア 192.168.32.0
イ 192.168.32.1 正解
ウ 192.168.32.255
エ 192.168.32.256
正解 イ
解説
IP アドレスのクラス C は 192〜223 で始まり,上位 24 ビットがネットワークアドレス,下位 8 ビットがホストアドレスである。ホストアドレスは 0〜255 だが,全ビット 0 はネットワーク自体を表し,全ビット 1(255)は同じネットワーク内の全ホストへのブロードキャストアドレスなので,コンピュータには付与できない。192.168.32.1 はホストに付与でき,イが正しい。
アの 192.168.32.0 はネットワークアドレス,ウの 192.168.32.255 はブロードキャストアドレスで,どちらも付与できない。エの 192.168.32.256 は,1 バイト(0〜255)で表せる範囲を超えており,IP アドレスとして成り立たない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
社内ネットワークからインターネット接続を行うときに,インターネットへのアクセスを中継し,Web コンテンツをキャッシュすることによってアクセスを高速にする仕組みで,セキュリティ確保にも利用されるものはどれか。
ア DMZ
イ IP マスカレード(NAPT)
ウ ファイアウォール
エ プロキシ 正解
正解 エ
解説
プロキシ(プロキシサーバ)は,社内のクライアントに代わってインターネットへのアクセスを中継するサーバで,取得した Web コンテンツをキャッシュしておき,同じ要求にはキャッシュから応答してアクセスを高速にする。社内のクライアントが直接インターネットに接続しないので,アクセス制御やログの記録などセキュリティ確保にも利用される。エが正しい。
アの DMZ は,インターネットと社内ネットワークの間に設けて公開サーバを置くネットワーク領域。イの IP マスカレード(NAPT)は,プライベート IP アドレスとポート番号をグローバル IP アドレスとポート番号に変換する仕組み。ウのファイアウォールは,通信を許可するかどうかを判断して不正なアクセスを遮断する仕組みで,いずれもコンテンツをキャッシュするものではない。
フォワードプロキシとリバースプロキシ
フォワードプロキシは,組織内のクライアントの代わりにインターネット上のサーバへアクセスする(クライアント側の代理)。リバースプロキシは,インターネットから来た要求をサーバの手前で受け,内部の Web サーバに振り分ける(サーバ側の代理)。負荷分散や TLS の終端,キャッシュに使う。
フォワードプロキシ
社内 PC
プロキシ
外の Web
クライアント側の代理
リバースプロキシ
外の利用者
リバースプロキシ
社内 Web
サーバ側の代理(振り分け・TLS 終端)
どちら側の代理か。フォワードはクライアント側,リバースはサーバ側
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
ディジタル署名を生成するときに,発信者がメッセージのハッシュ値をディジタル署名に変換するのに使う鍵はどれか。
ア 受信者の公開鍵
イ 受信者の秘密鍵
ウ 発信者の公開鍵
エ 発信者の秘密鍵 正解
正解 エ
解説
ディジタル署名では,発信者が自分だけがもつ秘密鍵でメッセージのハッシュ値を暗号化して署名を生成し,受信者は発信者の公開鍵で署名を検証する。秘密鍵を持っているのは発信者本人だけなので,署名が本人によって作られたことを確かめられる。エが正しい。
ウの発信者の公開鍵は署名の検証に使う鍵である。アとイの受信者の鍵は,受信者あてにメッセージを暗号化して秘密にする場合に使うもので,ディジタル署名の生成には使わない。
ディジタル署名の作り方と確かめ方
送信者は文書のハッシュ値を求め,自分の秘密鍵で変換して署名を作り,文書に付けて送る。受信者は署名を送信者の公開鍵で戻し,受け取った文書から自分で求めたハッシュ値と比べる。一致すれば,文書は書き換えられておらず,送信者の秘密鍵で作られたと分かる。暗号化とは鍵の使い方が逆になる。
送信者
受信者
文書
ハッシュ関数
ハッシュ値
送信者の秘密鍵
署名
文書
ハッシュ
ハッシュ値
=?
ハッシュ値
署名
送信者の公開鍵
一致 → 書き換えられていない・送信者が作った(否認防止)
署名:送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる
暗号化:受信者の公開鍵で暗号化し,受信者の秘密鍵で戻す
署名は送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる(暗号化と逆)
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
JIS Q 27002 における情報資産に対する脅威の説明はどれか。
ア 情報資産に害をもたらすおそれのある事象の原因 正解
イ 情報資産に内在して,リスクを顕在化させる弱点
ウ リスク対策に費用をかけないでリスクを許容する選択
エ リスク対策を適用しても解消しきれずに残存するリスク
正解 ア
解説
JIS Q 27002 などの情報セキュリティの規格では,脅威は,システムや組織に損害を与えるおそれのある望ましくない事象の潜在的な原因を指す。アが正しい。
イは脆弱性(情報資産に内在し,脅威によって顕在化するリスクの原因となる弱点)の説明。ウはリスク受容(リスク対策に費用をかけずにリスクを許容する選択)の説明。エは残留リスク(リスク対策を適用しても残るリスク)の説明である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
ネットワーク障害の原因を調べるために,ミラーポートを用意して,LAN アナライザを使用するときに留意することはどれか。
ア LAN アナライザがパケットを破棄してしまうので,測定中は測定対象外のコンピュータの利用を制限しておく必要がある。
イ LAN アナライザにはネットワークを通過するパケットを表示できるので,盗聴などに悪用されないように注意する必要がある。 正解
ウ 障害発生に備えて,ネットワーク利用者に LAN アナライザの保管場所と使用方法を周知しておく必要がある。
エ 測定に当たって,LAN ケーブルを一時的に切断する必要があるので,利用者に対して測定日を事前に知らせておく必要がある。
正解 イ
解説
ミラーポートは,スイッチの特定のポートを通過するパケットを複製して出力するポートで,ここに LAN アナライザを接続すると,ネットワークを流れるパケットの内容を取り込んで表示できる。通信内容を見ることができるので,盗聴などに悪用されないよう,使用する者や保管を管理する必要がある。イが適切である。
アの LAN アナライザはパケットを複製して受け取るだけで,通信中のパケットを破棄しない。ウの保管場所と使用方法を利用者に広く周知すると,悪用の危険が高まる。エのミラーポートを使えば,LAN ケーブルを切断せずに測定できる。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
SQL インジェクションの説明はどれか。
ア Web アプリケーションに悪意のある入力データを与えてデータベースの問合せや操作を行う命令文を組み立てて,データを改ざんしたり不正に情報取得したりする攻撃 正解
イ 悪意のあるスクリプトが埋め込まれた Web ページを訪問者に閲覧させて,別の Web サイトで,その訪問者が意図しない操作を行わせる攻撃
ウ 市販されているデータベース管理システムの脆弱性を利用して,宿主となるデータベースサーバを探して自己伝染を繰り返し,インターネットのトラフィックを急増させる攻撃
エ 訪問者の入力データをそのまま画面に表示する Web サイトに対して,悪意のあるスクリプトを埋め込んだ入力データを送り,訪問者のブラウザで実行させる攻撃
正解 ア
解説
SQL インジェクションは,Web アプリケーションの入力欄などに悪意のある文字列を入力し,データベースへの問合せや操作を行う SQL 文を不正に組み立てさせて,データの改ざんや不正な情報取得を行う攻撃である。アが正しい。
イは,訪問者に意図しない操作を別の Web サイトで行わせるクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)。ウは,データベース管理システムの脆弱性を突いて自己伝染を繰り返すワームの説明。エは,入力データをそのまま表示する Web サイトを悪用して訪問者のブラウザでスクリプトを実行させるクロスサイトスクリプティング(XSS)の説明である。
SQL インジェクションとプレースホルダ
入力を文字列としてつなげて SQL 文を作ると,入力の「' OR '1'='1」が文の一部になり,条件が常に真になって全員の行が返る。プレースホルダを使うと SQL 文の形が先に決まり,入力はまるごと1つの値として当てはめられるので,命令として解釈されない。
文字列をつなげて SQL 文を作ると
入力:' OR '1'='1
SELECT * FROM 会員 WHERE id = '' OR '1'='1 '
入力の引用符で文が閉じ,OR 以下が条件に加わる → 常に真で全員分が返る
プレースホルダを使うと
SELECT * FROM 会員 WHERE id = ?
形が先に決まる
' OR '1'='1
← 1つの値として入る
入力
「id が ' OR '1'='1 の会員」を探すだけになる
根本の対策は,SQL 文の形を先に確定させるプレースホルダ
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
UML 2.0 において,オブジェクト間の相互作用を時間の経過に注目して記述するものはどれか。
ア アクティビティ図
イ コミュニケーション図
ウ シーケンス図 正解
エ ユースケース図
正解 ウ
解説
シーケンス図は,オブジェクト間でやり取りされるメッセージを,縦方向の時間軸に沿って順に並べ,相互作用を時間の経過に注目して記述する図である。ウが正しい。
イのコミュニケーション図も相互作用を表すが,オブジェクト間のつながり(リンク)に注目して記述する。アのアクティビティ図は,処理の流れや分岐を表す図。エのユースケース図は,システムが提供する機能と利用者(アクタ)の関係を表す図である。
UML のおもな図の使い分け
シーケンス図はオブジェクト間のメッセージを時間の順に,コミュニケーション図はオブジェクトのつながりに注目して相互作用を表す。ユースケース図はアクタとシステムの機能の関係(システムの範囲),アクティビティ図は処理の流れ(分岐・並行・同期),状態マシン図は1つのオブジェクトの状態の移り変わり,クラス図は静的な構造,オブジェクト図はある時点のインスタンスのつながりを表す。
図
表すもの
シーケンス図
メッセージを時間の順に
コミュニケーション図
オブジェクトのつながりと相互作用
ユースケース図
アクタと機能,システムの範囲
アクティビティ図
処理の流れ(分岐・並行・同期)
状態マシン図
1つのオブジェクトの状態の遷移
クラス図
クラスと関連(静的な構造)
オブジェクト図
ある時点のインスタンスとリンク
時間の順はシーケンス図,範囲はユースケース図,業務の流れはアクティビティ図
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
モジュールの結束性(強度)が最も高いものはどれか。
ア あるデータを対象として逐次的に複数の機能を実行するモジュール
イ 異なる入力媒体からのデータを処理するモジュール
ウ 単一の機能を実行するモジュール 正解
エ 特定の時点で必要とされる作業のすべてを含んでいるモジュール
正解 ウ
解説
モジュール強度(結束性)は,モジュールの内部の要素がどれだけ強く結び付いているかを表す。強い順に,機能的強度(1 つの機能だけを実行する),逐次的強度,通信的強度,手順的強度,時間的強度,論理的強度,偶発的強度となり,最も高いのは機能的強度の,単一の機能を実行するモジュールである。ウが正しい。
アは,あるデータを対象に順に複数の機能を実行するので,逐次的強度。イは,異なる入力媒体のデータを処理するという論理的な括りなので,論理的強度。エは,特定の時点で必要な作業をまとめたものなので,時間的強度で,いずれもウより弱い。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
プロセス制御などの事象駆動(イベントドリブン)による処理の仕様を表現する方法として,適切なものはどれか。
ア DFD
イ E-R 図
ウ クラス図
エ 状態遷移図 正解
正解 エ
解説
プロセス制御のように,外部からのイベント(事象)が起きると処理が動き出し,状態が変わる仕様を表すには,状態遷移図が適している。状態遷移図は,システムがもつ状態と,イベントによる状態の遷移を表す。エが適切である。
アの DFD はデータの流れと処理の関係,イの E-R 図はエンティティ間の関連,ウのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の関係を表す図で,事象駆動による状態の変化を表現するものではない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
表は,現行プロジェクトのソフトウェアの誤りの発生,除去の実績及び次期プロジェクトにおける誤り除去の目標を記述したものである。誤りは,設計とコーディングの作業で埋め込まれ,デザインレビュー,コードレビュー及びテストですべて除去されるものとする。次期プロジェクトにおいても,ソフトウェアの規模と誤りの発生状況は変わらないと仮定したときに,テストで除去すべきソフトウェア誤りの比率は全体の何%となるか。
正解 エ
解説
全誤りを 100 とすると,設計で埋め込まれる誤りが 50,コーディングで埋め込まれる誤りが 50 である。次期のデザインレビューの除去率は現行の 50% の 1.5 倍で 75%,コードレビューは現行の 40% の 1.5 倍で 60%。レビュー後に残る誤りは,設計が 50×(1−0.75)=12.5,コーディングが 50×(1−0.6)=20 で,これらがテストで除去すべき誤りになる。12.5+20=32.5(%)で,エが正しい。
イの 25 は設計の誤りを現行の除去率 50% で残した値,ウの 30 はコーディングの誤りを現行の除去率 40% で残した値で,次期の目標(1.5 倍)も両工程の合計も反映していない。アの 17.5 は,レビュー後に残る両工程の誤りの合計(32.5)より小さく,テストで除去すべき誤りを数え漏らしている。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
あるプログラムについて,流れ図で示される部分に関するテストを,命令網羅で実施する場合,最小のテストケース数は幾つか。ここで,各判定条件は流れ図に示された部分の先行する命令の結果から影響を受けないものとする。
正解 ア
解説
命令網羅は,全ての命令(処理)を少なくとも1回は実行できればよいという基準。この流れ図には判定が3段あり,分岐先の処理はそれぞれ3個,2個,3個ある。1件のテストケースは各段から1個ずつ処理を通るので,処理が3個ある段を覆うには3件必要で,逆に3件あれば処理が2個の段も同時に覆える。よって最小のテストケース数は3で,アが正しい。
各判定条件は互いに影響しないという前提なので,段ごとに好きな分岐を選んで組み合わせられる。エの18は3×2×3で全ての経路を数えた値,イの6やウの8も経路の組合せに関する数で,命令網羅に必要な件数ではない。
命令網羅・分岐網羅・条件網羅
「A かつ B」なら処理 X を行う流れ図。命令網羅は全ての命令を一度は通すので,A も B も真の1件で足りる。分岐網羅は判定の真と偽を両方通すので,(真,真)と(偽,真)の2件が要る。条件網羅は A と B のそれぞれが真と偽を取ればよいので(真,偽)と(偽,真)でも満たせるが,このとき判定は2回とも偽で,処理 X を一度も通らない。
A かつ B
真
処理 X
偽
命令網羅
(A,B)=(真,真)の1件
分岐網羅
(真,真)(偽,真)の2件
条件網羅
(真,偽)(偽,真)でもよい
条件網羅の例では判定が2回とも偽になり,処理 X を通らない
判定条件/条件網羅は,判定と各条件の真偽を両方そろえる
条件網羅を満たしても,分岐網羅や命令網羅を満たすとは限らない
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
ソフトウェアプロセスの標準化と最適化を推進し,製品やサービスの開発,調達及び保守活動において,組織のもつプロセスを改善するためのガイドラインを提供するものはどれか。
ア CMMI 正解
イ COBIT
ウ ITIL
エ ITSS
正解 ア
解説
CMMI(能力成熟度モデル統合)は,ソフトウェアやシステムの開発,調達,保守などの活動において,組織のプロセスの成熟度を段階的に評価し,プロセスを標準化・最適化して改善するためのガイドラインを提供するモデルである。アが正しい。
イの COBIT は IT ガバナンスのためのフレームワーク。ウの ITIL は IT サービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたもの。エの ITSS(ITスキル標準)は,IT サービスの提供に必要な人材のスキルを体系化した指標である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
あるソフトウェア開発部門では,開発工数 E(人月)と開発規模 L(キロ行)との関係が,E=5.2 L0.98 で表される。L=10 としたときの生産性(キロ行/人月)は,およそ幾らか。
正解 ア
解説
生産性は,開発規模を開発工数で割った値(k ステップ/人月)である。L=10 のとき E=5.2×100.98 で,100.98 は 10 よりわずかに小さい約9.5なので,E は約49.7人月。生産性は 10÷49.7 で約0.2となり,アが正しい。
指数が1なら E=52 で生産性は 10÷52≒0.19 なので,0.98 の影響は小さいと見当を付けてもよい。エの 5.2 は式の係数そのもので,規模当たりの工数(E÷L≒5)に近く,生産性の逆数に当たる量を見ている。
開発規模と工数・生産性
規模が大きくなると,人どうしの調整やインタフェースの確認が増えるので,工数は規模に比例する以上に増える(COCOMO:工数=a×規模^b,b>1)。そのため生産性(規模÷工数)は規模が大きいほど下がり,下がり方は初めが急で次第に緩やかになる。
規模
工数
規模
生産性
規模以上の割合で増える
規模が大きいほど下がる
例:E=5.2L^0.98,L=10 → E≒49.7,生産性≒0.2
工数は規模以上に増え,生産性は下がる
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
多くのプロジェクトライフサイクルに共通する特性はどれか。
ア プロジェクト完成時のコストに対してステークホルダが及ぼす影響の度合いは,プロジェクトの終盤が最も高い。
イ プロジェクトの開始時は不確実性の度合いが最も高いので,プロジェクト目標が達成できないリスクが最も大きい。 正解
ウ プロジェクト要員の必要人数は,プロジェクトの開始時点が最も多い。
エ 変更やエラー訂正にかかるコストは,プロジェクトの初期段階が最も高い。
正解 イ
解説
PMBOK ガイドは,多くのプロジェクトのライフサイクルに共通する特性として,リスクと不確実性はプロジェクトの開始時が最も高く,進むにつれて下がっていくことを挙げている。イが正しい。
アは誤りで,ステークホルダがコストや成果物に及ぼす影響の度合いは,プロジェクトの開始時が最も高く,進むにつれて低くなる。ウは誤りで,要員の必要人数は開始時には少なく,実行の中盤に最も多くなり,終盤に減っていく。エは誤りで,変更やエラー訂正にかかるコストは,プロジェクトが進むほど高くなる。
プロジェクトの時間と,リスク・変更のコスト
プロジェクトの初めほど,不確実性やリスク,ステークホルダが結果に与える影響は大きく,時間がたつにつれて小さくなる。一方,変更や誤りの修正にかかるコストは,プロジェクトが進むほど大きくなる。
リスク・不確実性・影響力
変更のコスト
時間
影響力・リスクは時間とともに下がり,変更のコストは上がる
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
図のプロジェクトを最短の日数で完了したいとき,作業 E の最遅開始日は何日目か。
正解 ウ
解説
最早開始日を求める。A は0日目から3日,B と C は3日目から始まり,B は9日目,C は8日目に終わる。D は B の後の9日目から3日で12日目に終わる。F は C と D の両方が終わった12日目から5日で17日目に終わる。E は B の後の9日目から4日で13日目に終わる。G は E と F の両方が終わった17日目から3日で,全体は20日で完了する。
最短の20日で完了するには,G を17日目までに始める必要がある。E はその前に4日かかるので,最も遅くても 17−4=13日目に開始すればよい。ウが正しい。E の最早開始日の9(ア)を答えると誤る。
作業 E の最遅開始日
最早は A の後 3,B の後 9,C と D が入る結合点 12,E と F が入る結合点 17,全体 20 日。後ろから最遅を求めると,E の終点(G の手前)は 17 日。E は 4 日かかるので,最も遅くても 17−4=13 日目に始めればよい。最早開始は 9 日目なので余裕は 4 日。
A 3
B 6
C 5
E 4
D 3
F 5
G 3
0 / 0
3 / 3
9 / 9
12 / 12
17 / 17
20 / 20
E の最遅開始 = 17 − 4 = 13 日目
最遅開始=終点の最遅−所要日数。最早開始(9)と取り違えない
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
プロジェクト品質マネジメントの活動を品質計画,品質保証,品質管理に分類したとき,品質保証の活動として適切なものはどれか。
ア プロジェクトで定めた品質基準に対して不満足な結果が発生したときに,その原因を取り除くための方法を決める。
イ プロジェクトで定めた品質基準を確実に満たすための,計画的かつ体系的な活動を行う。 正解
ウ プロジェクトの遂行結果が,定められた品質基準に適合しているかどうかを監視する。
エ プロジェクトの遂行結果に対する適切な品質基準を設定し,それを満たす手順を定める。
正解 イ
解説
プロジェクト品質マネジメントは,品質計画(品質基準を決め,それを満たす方法を定める),品質保証(品質基準を確実に満たすための,計画的かつ体系的な活動を行う),品質管理(成果物が基準に適合しているかを監視し,結果を記録する)に分けられる。品質保証の活動は,イである。
アは,不満足な結果の原因を取り除く方法を決める,品質管理の結果を受けた是正処置に当たる。ウは,遂行結果が品質基準に適合しているかを監視する,品質管理の活動。エは,適切な品質基準を設定して手順を定める,品質計画の活動である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
ITIL v3 における問題管理プロセスの目標はどれか。
ア インシデントに対する既存 IT サービスへの変更や新規サービスの導入を効率的かつ安全に実施する。
イ インシデントによって中断した IT サービスを合意した時間内に復旧する。
ウ インシデントの根本原因を突き止めて排除したり,インシデントの発生を予防したりする。 正解
エ 利用者に単一窓口を提供し,事業への影響を最小限にし,通常サービスへ復帰できるように支援する。
正解 ウ
解説
ITIL v3 の問題管理プロセスは,インシデントの根本原因を突き止めて排除し,インシデントの再発を防止するとともに,まだ起きていないインシデントの発生を予防することを目標とする。ウが正しい。
アの既存サービスへの変更や新規サービスの導入を効率的かつ安全に実施するのは変更管理やリリース管理。イの中断した IT サービスを合意した時間内に復旧するのはインシデント管理。エの利用者に単一窓口を提供して通常サービスへの復帰を支援するのはサービスデスクの目標である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
ITIL のキャパシティ管理において,監視項目となるものはどれか。
ア インシデント発生件数
イ オペレータ要員数
ウ ディスク使用率 正解
エ 平均故障間隔
正解 ウ
解説
キャパシティ管理は,IT リソースの能力が現在と将来の需要を満たすように管理するプロセスであり,CPU 使用率,メモリ使用率,ディスク使用率,ネットワーク帯域の使用率,応答時間などを監視して,資源の不足を事前に把握する。ウが該当する。
アのインシデント発生件数はインシデント管理,エの平均故障間隔は可用性管理で監視する指標である。イのオペレータ要員数は,IT リソースの使用状況を表す監視項目ではない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
データの追加・変更・削除が,少ないながらも一定の頻度で行われるデータベースがある。このデータベースのフルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの2倍にした。このとき,データベースのバックアップ又は復旧に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア ジャーナル情報からの復旧処理時間が平均して約2倍になる。 正解
イ フルバックアップ1回当たりの磁気テープ使用量が約2倍になる。
ウ フルバックアップ1回当たりの磁気テープ使用量が約半分になる。
エ フルバックアップ取得の平均実行時間が約2倍になる。
正解 ア
解説
フルバックアップの間隔を 2 倍にすると,1 回のフルバックアップから次までに蓄積されるジャーナル(更新ログ)の量が約 2 倍になる。復旧時はバックアップを復元してからジャーナルを反映(ロールフォワード)するので,その反映に掛かる平均処理時間が約 2 倍になる。
イ,ウのフルバックアップ1回当たりの磁気テープ使用量と,エのフルバックアップ取得の実行時間は,データベース全体の大きさで決まる。更新の件数は少ないのでデータベースの大きさはほとんど変わらず,これらは取得間隔を変えても変わらない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
IT サービスマネジメントシステムを構築するに当たって,現行の業務のやり方とベストプラクティスを比較するものはどれか。
ア システム監視
イ 内部監査
ウ ベンチマーキング 正解
エ マネジメントレビュー
正解 ウ
解説
ベンチマーキングは,自社の業務のやり方を,他社や業界のベストプラクティス(最も優れた事例)と比較して,改善点を見つける手法である。IT サービスマネジメントシステムの構築で,現行の業務のやり方とベストプラクティスを比較するものは,ウである。
アのシステム監視は,システムの稼働状況を監視して異常を検知する活動。イの内部監査は,組織自身が,規格や自らの定めた要求事項に適合しているかを確かめる活動。エのマネジメントレビューは,経営者が,マネジメントシステムが適切に運用されているかを見直す活動で,どれもベストプラクティスとの比較を目的とするものではない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
リスクアセスメントに基づく監査対象の選定として,適切なものはどれか。
ア 運用開始時期の順に,すべてのシステムを対象とする。
イ 監査実施体制を踏まえて,実施可能なシステムを対象とする。
ウ 無作為に抽出したシステムを対象とする。
エ 問題発生の可能性とその影響の大きなシステムを対象とする。 正解
正解 エ
解説
システム監査では,限られた監査資源を有効に使うため,リスクアセスメントの結果に基づいて,問題が発生する可能性とその影響の大きなシステムを優先して監査対象に選ぶ。エが適切である。
アの運用開始時期の順にすべてを対象とする方法や,ウの無作為に抽出する方法は,リスクの大きさを考慮していない。イの監査実施体制から実施可能なシステムを選ぶ方法も,リスクではなく監査側の都合で選ぶもので,リスクアセスメントに基づくとは言えない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
システム開発委託先(受託者)から委託元(委託者)に納品される成果物に対する受入テストの適切性を確かめるシステム監査の要点はどれか。
ア 委託者が作成した受入テスト計画書に従って,受託者が成果物に対して受入テストを実施していること
イ 受託者が成果物と一緒に受入テスト計画書を納品していること
ウ 受託者から納品された成果物に対して,委託者が受入テストを実施していること 正解
エ 受託者から納品された成果物に対して,監査人が受入テスト計画を策定していること
正解 ウ
解説
受入れテストは,委託者(委託元)が,受託者から納品された成果物が要求したとおりのものになっているかを確かめるために,委託者自身が実施するテストである。成果物に対して委託者が受入れテストを実施していることを確かめるウが,監査の要点として適切である。
アは受入れテストを受託者が実施しており,委託者による確認になっていない。イは受入れテスト計画書を受託者が作成して納品しており,委託者の立場からの計画になっていない。エのシステム監査人が受入れテスト計画を策定すると,監査対象の業務に自ら関与することになり,監査人の独立性を損なう。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
金融庁の“財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準”では,内部統制の基本的要素の一つとして“IT への対応”を示している。“IT への対応”に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア COSO の“内部統制の統合的枠組み”にも,構成要素の一つとして示されている。
イ IT 環境への対応と IT の利用及び統制からなる。 正解
ウ IT を利用しない手作業での統制活動では内部統制の目的は達成できない。
エ ほかの内部統制の基本的要素と独立に存在する。
正解 イ
解説
金融庁の“財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準”では,内部統制の基本的要素に“IT への対応”が含まれる。IT への対応は,IT 環境への対応と IT の利用及び統制からなる。イが適切である。
アは誤りで,COSO の“内部統制の統合的枠組み”の構成要素は,統制環境,リスクの評価,統制活動,情報と伝達,モニタリングの五つで,IT への対応は含まれず,日本の基準が基本的要素として加えたものである。ウは誤りで,IT を利用しない手作業による統制活動でも内部統制の目的を達成できる。エは誤りで,IT への対応は,統制活動などのほかの基本的要素と結び付いて機能する。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
共通フレーム 2007 によれば,システム化構想の立案で実施するタスクはどれか。
ア 新しい業務のあり方や運用をまとめた上で,業務の内容やルールを整理する。
イ 市場,競合などの事業環境を分析し,事業目標との関係を明確にする。 正解
ウ 新業務を遂行するために必要な設備の導入方針,スケジュールを明確にする。
エ 利害関係者から提示されたニーズ及び要望を識別し,整理する。
正解 イ
解説
共通フレーム 2007 では,企画のプロセスの中のシステム化構想の立案で,経営・事業の目的や目標を踏まえて,市場,競合などの事業環境を分析し,事業目標との関係を明確にする。イが正しい。
アの新しい業務のあり方や運用をまとめて業務の内容やルールを整理することと,エの利害関係者のニーズ及び要望を識別して整理することは,要件定義のプロセスのタスク。ウの新業務を遂行するために必要な設備の導入方針やスケジュールを明確にすることは,システム化計画の立案のタスクである。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
情報システム全体の最適化目標は経営戦略に基づいて設定される必要があり,その整合性を検証する必要がある。“財務状態の予測”と整合性を確保すべきものはどれか。
ア 情報化投資計画 正解
イ 情報システム化計画
ウ 情報システム全体の SWOT 分析
エ 情報システム部門のバランススコアカード
正解 ア
解説
情報システム全体の最適化目標は,経営戦略に基づいて設定され,経営戦略との整合性を検証する必要がある。“財務状態の予測”は,必要な資金や投資の見通しを示す経営の財務面の計画であり,情報システムへの投資額や効果を示す情報化投資計画との整合性を確保すべきである。アが正しい。
イの情報システム化計画は,業務を支える情報システムの構成や開発の順序を示す計画。ウの SWOT 分析は強み・弱み・機会・脅威を整理する手法,エのバランススコアカードは財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の視点で戦略の達成度を測る手法で,いずれも財務状態の予測そのものと整合させる対象ではない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
SaaS を説明したものはどれか。
ア インターネット経由でアプリケーションソフトウェアの機能を,必要なときだけ利用者に提供するサービスのこと 正解
イ 企業の経営資源を有効に活用するために,基幹業務を統合的に管理するためのパッケージソフトウェアのこと
ウ 既存の組織やビジネスプロセスを抜本的に見直し,職務,業務フロー,管理機構,情報システムを再設計すること
エ 発注者とサービス提供者との間で,サービスの品質の内容について合意した文書のこと
正解 ア
解説
SaaS(Software as a Service)は,アプリケーションソフトウェアの機能を,インターネット経由で必要なときに必要な分だけ利用者に提供するサービスである。利用者は自社でソフトウェアを導入・運用せずに利用できる。アが正しい。
イの基幹業務を統合的に管理するパッケージソフトウェアは ERP パッケージ。ウの組織やビジネスプロセスを抜本的に見直して再設計することは BPR。エの発注者とサービス提供者との間でサービスの品質について合意した文書は SLA の説明である。
IaaS・PaaS・SaaS の管理の分担
下からハードウェア・ネットワーク,仮想化,OS,ミドルウェア・実行環境,アプリケーションの層がある。IaaS では利用者が OS から上を,PaaS では自分のアプリケーションだけを管理する。SaaS では全て提供者が管理し,利用者が扱うのは利用者 ID や設定だけ。
IaaS
利用者
利用者
利用者
提供者
提供者
PaaS
利用者
提供者
提供者
提供者
提供者
SaaS
提供者
提供者
提供者
提供者
提供者
アプリケーション
ミドルウェア・実行環境
OS
仮想化
ハードウェア・NW
SaaS で利用者が扱うのは,アプリケーションの利用者 ID や設定だけ
FaaS(サーバレス)は PaaS をさらに進め,関数を置くだけ
上の層に行くほど利用者の自由と責任が大きい。ゲスト OS に手を入れられるのは IaaS だけ
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
情報戦略の投資対効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。
正解 エ
解説
ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割って求める指標で,投資効果を評価するのに使う。エが正しい。
アの EVA(経済的付加価値)は税引後営業利益から資本コストの額を差し引いた金額。イの IRR(内部収益率)は投資の正味現在価値が 0 になる割引率。ウの NPV(正味現在価値)は将来のキャッシュフローの現在価値の合計から投資額を差し引いた金額で,いずれも利益額を投資額で割る比率ではない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
ベンダに対する提案依頼書(RFP)の提示に当たって留意すべきことはどれか。
ア 工程ごとの各種作業の完了時期は,ベンダに一任するよう提示する。
イ 情報提供依頼書(RFI)を提示したすべてのベンダに提示する。
ウ プログラム仕様書を提案依頼書に添付して,ベンダに提示する。
エ 要件定義を機能要件,非機能要件にまとめて,ベンダに提示する。 正解
正解 エ
解説
RFP(提案依頼書)では,ベンダが適切な提案を作成できるように,発注者側で要件定義の結果を機能要件と非機能要件に整理して提示する。エが適切である。
アの工程ごとの完了時期などのスケジュールの条件は,ベンダに一任するのではなく,発注者の要求として提示する。イの RFP は,RFI の回答などを基に選定したベンダに提示すればよく,RFI を提示した全てのベンダに提示する必要はない。ウのプログラム仕様書は,設計の後の工程で受注したベンダが作成するもので,提案依頼の段階で添付するものではない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
企業の事業活動を機能ごとに主活動と支援活動に分け,企業が顧客に提供する製品やサービスの利益は,どの活動で生み出されているかを分析する手法はどれか。
ア 3C 分析
イ SWOT 分析
ウ バリューチェーン分析 正解
エ ファイブフォース分析
正解 ウ
解説
バリューチェーン分析は,M.E.ポーターが提唱した手法で,企業の事業活動を購買物流,製造,出荷物流,販売・マーケティング,サービスの主活動と,調達,技術開発,人事・労務管理,全般管理の支援活動に分け,製品やサービスの利益(価値)がどの活動で生み出されているかを分析する。ウが正しい。
アの 3C 分析は顧客(Customer),競合(Competitor),自社(Company)の三つの観点から事業環境を分析する手法,イの SWOT 分析は自社の強み・弱みと外部環境の機会・脅威を整理する手法,エのファイブフォース分析は業界の競争状態を五つの競争要因から分析する手法である。
バリューチェーン
企業の活動を,製品やサービスが顧客に届くまでの主活動(購買物流・製造・出荷物流・販売とマーケティング・サービス)と,それを支える支援活動(全般管理・人事労務管理・技術開発・調達)に分け,どの活動で価値(利益,マージン)が生まれているかを分析する。
全般管理(インフラストラクチャ)
人事・労務管理
技術開発
調達活動
購買物流
製造
出荷物流
販売・マーケ
サービス
マージン
上:支援活動 下:主活動
主活動5つと支援活動4つ。右端のマージンが生み出した価値
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
企業の競争戦略におけるチャレンジャ戦略はどれか。
ア 上位企業の市場シェアを奪うことを目標に,製品,サービス,販売促進,流通チャネルなどのあらゆる面での差別化戦略をとる。 正解
イ 潜在的な需要がありながら,大手企業が参入してこないような専門特化した市場に,限られた経営資源を集中する。
ウ 目標とする企業の戦略を観察し,迅速に模倣することで,開発や広告のコストを抑制し,市場での存続を図る。
エ 利潤,名声の維持・向上と最適市場シェアの確保を目標として,市場内のすべての顧客をターゲットにした全方位戦略をとる。
正解 ア
解説
チャレンジャは,業界で2番手や3番手にあり,リーダの地位を狙う企業である。上位企業のシェアを奪うことを目標に,製品,サービス,販売促進,流通チャネルなどあらゆる面でリーダとの差別化を図る。アが該当する。
イの,大手が参入しない専門特化した市場に経営資源を集中するのはニッチャの戦略。ウの,上位企業の戦略を観察して迅速に模倣し,コストを抑えて存続を図るのはフォロワの戦略。エの,利潤や名声の維持と最適シェアの確保を目標に全ての顧客を狙う全方位戦略はリーダの戦略である。
競争地位別の戦略(コトラー)
経営資源の量と質で4つに分ける。リーダは市場全体を広げ,全方位でシェアを守る。チャレンジャはリーダのシェアを奪うため,あらゆる面で差別化する。フォロワは上位企業をすばやく模倣してコストを抑える。ニッチャは大手が狙わない特定の顧客・製品に資源を集中して専門化する。
リーダ
市場拡大・全方位
チャレンジャ
差別化でシェアを奪う
ニッチャ
特定の顧客・製品に集中
フォロワ
模倣してコストを抑える
質 高
質 低
量 大
量 小
経営資源の量(大・小)と質(高・低)
ニッチャは特定のセグメントに集中,フォロワは模倣
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
設定した戦略を遂行するために,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長という四つの視点に基づいて相互の適切な関係を考慮しながら具体的に目標及び施策を策定する経営管理手法はどれか。
ア コアコンピタンス
イ セグメンテーション
ウ バランススコアカード 正解
エ プロダクトポートフォリオマネジメント
正解 ウ
解説
バランススコアカードは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点について,相互の因果関係を考慮しながら目標,指標,施策を設定し,戦略の遂行を管理する経営管理手法である。ウが正しい。
アのコアコンピタンスは他社がまねできない企業の中核的な能力,イのセグメンテーションは市場を顧客の属性などで細分化すること,エのプロダクトポートフォリオマネジメントは市場成長率と市場占有率の2軸で製品や事業への資源配分を考える手法である。
バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ
下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。
財務
売上高を伸ばす
売上高・利益率
顧客
顧客満足度を上げる
顧客満足度・シェア
内部ビジネスプロセス
出荷を速くする
出荷までの日数
学習と成長
専門人材を育てる
育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
“技術の S カーブ”の説明として,適切なものはどれか。
ア 技術の期待感の推移を表すものであり,黎明期,流行期,反動期,回復期,安定期に分類される。
イ 技術の進歩の過程を表すものであり,当初は緩やかに進歩するが,やがて急激に進歩し,成熟期を迎えると進歩は停滞気味になる。 正解
ウ 工業製品において生産量と生産性の関係を表すものであり,生産量の累積数が増加するほど生産性は向上する傾向にある。
エ 工業製品の故障発生の傾向を表すものであり,初期故障期間では故障率は高くなるが,その後の偶発故障期間での故障率は低くなり,製品寿命に近づく摩耗故障期間では故障率は高くなる。
正解 イ
解説
技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,初めは研究開発に努力を注いでも性能の向上は緩やかだが,ある時点から急速に進歩し,成熟期に入ると限界に近づいて進歩が停滞する。進歩を時間に対して描くと S 字形になることからこう呼ばれる。イが適切である。
アは技術に対する期待の変化を表すハイプサイクル,ウは累積生産量が増えるほど単位当たりのコストが下がり生産性が向上する経験曲線(学習曲線),エは故障率の時間的変化を表すバスタブ曲線の説明である。
技術の S カーブ
技術の性能は,導入の初めは努力の割に伸びが小さく,ある時点から急に伸び,やがて限界に近づいて伸びが鈍る(S 字)。成熟した技術に努力を続けても伸びは小さいので,新しい技術の S カーブに乗り換える時期を見極める。
研究開発の努力(時間)
性能
導入期
成長期
成熟期
新しい技術
乗り換え
導入期は緩やか,成長期に急伸,成熟期に頭打ち。次の技術へ乗り換える
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
XBRL を説明したものはどれか。
ア 企業内又は企業間で使用される複数の業務システムを連携させることであり,データやビジネスプロセスの効率的な統合が可能となる。
イ 小売店の端末からネットワーク経由で発注を行うことで,迅速かつ正確な発注作業が実現でき,リードタイムの短縮や受発注業務の効率向上が可能となる。
ウ 財務報告用の情報の作成・流通・利用ができるように標準化した規約であり,適用業務パッケージやプラットフォームに依存せずに財務情報の利用が可能となる。 正解
エ 通信プロトコルやデータフォーマットの標準的な規約を定めることで,企業間での受発注,決済,入出荷などの情報の電子的な交換が可能となる。
正解 ウ
解説
XBRL(eXtensible Business Reporting Language)は,XBRL International が策定している,財務報告用の情報を電子的に記述するための標準化された言語である。XML を基礎とし,勘定科目などの意味をタクソノミで定義してデータに付けるので,計算機がそのまま読み取って処理できる。特定の適用業務パッケージやプラットフォームに依存せずに財務情報を作成・流通・利用できるので,ウが正しい。
アは,企業内又は企業間の複数の業務システムを連携させる EAI(Enterprise Application Integration)の説明である。イは,小売店の端末からネットワーク経由で発注を行う EOS(オンライン受発注システム)である。エは,通信プロトコルやデータフォーマットの規約を定めて,企業間で受発注や決済などの情報を電子的に交換する EDI である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
電子機器を対象とし,設計と製造を専門に,複数メーカから受託するビジネスはどれか。
正解 ウ
解説
EMS(Electronics Manufacturing Service)は,電子機器の設計と製造を専門に,複数のメーカから受託するビジネスである。ウが正しい。
アの 3PL(サードパーティロジスティクス)は,物流業務を専門業者に一括して委託する形態。イの ASP は,インターネット経由でアプリケーションの機能を提供する事業者。エの SCM は,原材料の調達から生産,流通,販売までの供給の連鎖を,企業の枠を超えて最適化する経営手法である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
IC タグ(RFID)の特徴はどれか。
ア GPS を利用し,受信地の位置情報や属性情報を表示する。
イ 大量の情報を扱うので,情報の記憶には外部記憶装置を使用する。
ウ プラスチック製のカードに埋め込み,専用の読取り装置に挿入して利用する。
エ 汚れに強く,梱包の外からも記録された情報を読むことができる。 正解
正解 エ
解説
IC タグ(RFID)は,IC チップとアンテナを組み込んだタグで,電波などを使って非接触で情報を読み書きする。バーコードと比べて汚れに強く,梱包の外や離れた場所からでも記録された情報を読み取れる。エが正しい。
アの GPS を利用して位置情報を表示するのは GPS 受信機の機能である。イは誤りで,IC タグは IC チップ内のメモリに情報を記憶し,外部記憶装置は使わない。ウの専用の読取り装置に挿入して利用するのは,接触型の IC カードの説明である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
モジュラ型アーキテクチャと比較したインテグラル型アーキテクチャの特徴として,適切なものはどれか。
ア 最大パフォーマンスが制限され,資源に機能が重複しやすい。
イ システム全体の最適化を行うことで,一つの製品ができる。 正解
ウ 標準的な部品の構成によって,製品組立てが可能である。
エ 複数の企業が役割を分担して,一つの製品を開発するときに有効な方法である。
正解 イ
解説
インテグラル型(すり合わせ型)アーキテクチャは,製品の各部分が互いに密接に関係していて,システム全体の最適化を行うことで一つの製品ができる。部品どうしを調整しながら作り込むので,高い性能を出しやすい。イが適切である。
アは,最大パフォーマンスが制限されて資源に機能が重複しやすいのは,モジュラ型の欠点。ウの標準的な部品の構成によって製品を組み立てられるのと,エの複数の企業が役割を分担して一つの製品を開発するときに有効なのは,部品のインタフェースを標準化したモジュラ型(組合せ型)の特徴である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
企業経営の透明性を確保するために,企業はだれのために経営を行っているか,トップマネジメントの構造はどうなっているか,組織内部に自浄能力をもっているか,などを問うものはどれか。
ア カテゴリマネジメント
イ コアコンピタンス
ウ コーポレートガバナンス 正解
エ ステークホルダアナリシス
正解 ウ
解説
コーポレートガバナンスは,企業経営の透明性や健全性を確保するための,企業を統治する仕組みである。企業はだれのために経営を行っているか,トップマネジメントの構造はどうなっているか,組織内部に自浄能力をもっているか,などを問う。ウが正しい。
アのカテゴリマネジメントは,小売業が商品カテゴリを一つの事業単位として管理する手法。イのコアコンピタンスは,競合他社にまねできない企業の中核的な強み。エのステークホルダアナリシスは,利害関係者の関心や影響力を分析する手法で,いずれも経営の透明性や統治の仕組みを問うものではない。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
組織設計の原則に適合しているものはどれか。
ア 1 人の上司が直接監督できる部下の数には特に制限がなく,上司の立場と管理職としての経験年数と能力によって増加させるべきである。
イ 組織の構成員が,組織の枠を超えたプロジェクトに参加しやすくするために,別組織の上司からの指示命令にも従うことができるようにすべきである。
ウ 組織を構成する個人が専門化された業務活動を担当できるように,階層化された組織構造のそれぞれの階層に独自の意思決定権を与えるべきである。
エ 日常的に反復して起こる問題や仕事の意思決定は部下に委譲し,上司は例外事項やより重要な問題について意思決定できるようにすべきである。 正解
正解 エ
解説
組織設計の原則の一つに,例外の原則(権限委譲の原則)がある。日常的に反復して起こる問題や仕事の意思決定は部下に委譲し,上司は例外事項やより重要な問題の意思決定に専念できるようにする。エが適切である。
アは,管理範囲の原則に反する。1 人の上司が直接監督できる部下の数には限度がある。イは,命令統一性の原則に反する。部下への指示命令は,1 人の上司から出すようにする。ウは,階層ごとに独自の意思決定権を与えるのではなく,上位から下位へ権限を委譲する形にするのが原則である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
経営会議で来期の景気動向を議論したところ,景気は悪化する,横ばいである,好転するという三つの意見に完全に分かれてしまった。来期の投資計画について,積極的投資,継続的投資,消極的投資のいずれかに決定しなければならない。表の予想利益については意見が一致した。意思決定に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 混合戦略に基づく最適意思決定は,積極的投資と消極的投資である。
イ 純粋戦略に基づく最適意思決定は,積極的投資である。
ウ マクシマックス原理に基づく最適意思決定は,継続的投資である。
エ マクシミン原理に基づく最適意思決定は,消極的投資である。 正解
正解 エ
解説
マクシミン原理は,各案について最悪の場合の利益を求め,その中で最も大きいものを選ぶ考え方。景気が悪化したときの利益は積極的投資50万円,継続的投資100万円,消極的投資400万円で,最も大きいのは消極的投資の400万円。したがってマクシミン原理での最適意思決定は消極的投資になり,エが正しい。
ウのマクシマックス原理は各案の最良の場合を比べる考え方で,最大値は積極的投資の500万円なので,継続的投資とするのは誤り。ア・イの混合戦略や純粋戦略は,相手の出方によって利得が決まるゲーム理論の用語で,景気動向のように意思をもたない自然を相手にする不確実性下の意思決定には当てはまらない。
マクシミン原理(投資計画)
マクシミン原理では,各案の最悪の場合(ここではどれも景気悪化のとき)の利益を比べ,その中で最も大きい案を選ぶ。積極的投資 50,継続的投資 100,消極的投資 400 なので,消極的投資。最良の場合を比べるマクシマックス原理なら,500 の積極的投資になる。
悪化
横ばい
好転
最悪
積極的投資
50
150
500
50
継続的投資
100
200
300
100
消極的投資
400
250
200
400
最悪のうち最大は 400 → 消極的投資
単位 万円。最良の最大(マクシマックス)なら積極的投資
各案の最悪の値を比べ,いちばん大きい案を選ぶ
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
X 社では,(1)〜(4) に示す算定方式で在庫補充量を決定している。第 n 週の週末時点での在庫量を B[n],第 n 週の販売量を C[n] としたとき,第 n 週の週末に発注する在庫補充量の算出式はどれか。ここで,n は3以上とする。
〔在庫補充量の算定方式〕
(1) 週末ごとに在庫補充量を算出し,発注を行う。在庫は翌週の月曜日に補充される。 (2) 在庫補充量は,翌週の販売予測量から現在の在庫量を引き,安全在庫量を加えて算出する。 (3) 翌週の販売予測量は,先週の販売量と今週の販売量の平均値とする。 (4) 安全在庫量は,翌週の販売予測量の 10%とする。
ア (C[n−1]+C[n])/2×1.1−B[n] 正解
イ (C[n−1]+C[n])/2×1.1−B[n−1]
ウ (C[n−1]+C[n])/2+C[n]×0.1−B[n]
エ (C[n−2]+C[n−1])/2+C[n]×0.1−B[n]
正解 ア
解説
第 n 週末に発注する在庫補充量は,(2) より“翌週の販売予測量−現在の在庫量+安全在庫量”である。(3) より翌週の販売予測量は先週と今週の販売量の平均 (C[n−1]+C[n])/2,(4) より安全在庫量はその 10%なので,販売予測量と安全在庫量の和は (C[n−1]+C[n])/2×1.1 になる。現在(第 n 週末)の在庫量は B[n] である。
したがって在庫補充量は (C[n−1]+C[n])/2×1.1−B[n] で,アが正しい。イは現在の在庫量として先週末の B[n−1] を引いている。ウは安全在庫量を今週の販売量 C[n] の 10%としている。エは販売予測量に先々週と先週の販売量を使っている。
在庫補充量の算定式
第 n 週の週末に,翌週の販売予測量(先週と今週の販売量の平均 (C[n−1]+C[n])÷2)に安全在庫量(予測の 10%)を足し,今の在庫 B[n] を引いた量を発注する。まとめると (C[n−1]+C[n])÷2×1.1−B[n]。
第 n−1 週
販売 C[n−1]
第 n 週
販売 C[n]
第 n+1 週
販売 予測
週末の在庫 B[n]
予測 = (C[n−1] + C[n]) ÷ 2
安全在庫 = 予測 × 0.1
補充量 = (C[n−1]+C[n])÷2×1.1 − B[n]
引くのは今週末の B[n](先週末の B[n−1] ではない)
予測×1.1 から今週末の在庫を引く
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
期末の決算において,表の損益計算資料が得られた。当期の営業利益は何百万円か。
正解 イ
解説
営業利益は,売上高から売上原価を引いて売上総利益を求め,さらに販売費及び一般管理費を引いて求める。1,500−1,000−200=300 百万円で,イが正しい。
営業外収益と営業外費用は本業以外の損益で,営業利益には含めない。これらを加減した 300+40−30=310(ウ)は経常利益である。エの 500 は売上総利益で,アの 270 は営業外収益を加えずに営業外費用だけを引いた値である。
損益計算書の段階利益
売上高 1,500 から売上原価 1,000 を引いた 500 が売上総利益。そこから販売費及び一般管理費 200 を引いた 300 が営業利益(本業のもうけ)。営業外収益 40 を足して営業外費用 30 を引いた 310 が経常利益。さらに特別損益を加減して税引前当期純利益,税金を引いて当期純利益になる。
1,500
売上高
500
売上総利益
−原価 1,000
300
営業利益
−販管費 200
310
経常利益
+40 −30
営業利益までは本業だけ。営業外の損益は経常利益で入る
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
プログラムの著作物について,著作権法上適法である行為はどれか。
ア 海賊版を複製したプログラムと事前に知りながら入手し,業務で使用した。
イ 業務処理用に購入したプログラムを複製し,社内教育用として各部門に配布した。
ウ 職務著作のプログラムを,作成した担当者が独断で複製し協力会社に貸与した。
エ 処理速度の向上など,購入したプログラムを効果的に利用するために改変した。 正解
正解 エ
解説
著作権法第47条の3第1項は,プログラムの著作物の複製物の所有者が,自ら電子計算機で実行するために必要と認められる限度で,そのプログラムを複製したり翻案(改変)したりすることを認めている。購入したプログラムを処理速度の向上など効果的に利用するために改変することはこれに当たり,エが適法である。
アは,海賊版と知りながら入手したプログラムを業務上電子計算機で使用する行為で,著作権の侵害とみなされる(第113条第5項)。イは,社内教育用に複製して各部門に配布しており,自ら実行するために必要な限度を超えている。ウは,職務著作の著作権は法人などに帰属するので,作成した担当者が独断で複製して貸与することは侵害に当たる。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
不正アクセス禁止法において,処罰の対象となる行為はどれか。
ア Web サイトで使用している他人の ID・パスワードを無断で第三者に教える行為 正解
イ 個人が開設しているアクセス制御機能のない Web サイトに対する侵害行為
ウ コンピュータウイルスを添付した電子メールをメールサーバに送信する行為
エ ネットワーク接続されていないスタンドアロンのコンピュータに対する侵害行為
正解 ア
解説
不正アクセス禁止法は,不正アクセス行為(他人の ID・パスワードなどの識別符号を使ってなりすまし,アクセス制御機能をもつコンピュータを利用する行為など)を禁止するとともに,その助長行為として,他人の識別符号を,正当な理由なく,その利用権者以外の者に提供することも禁止している。アがこれに当たり,処罰の対象となる。
イは,アクセス制御機能のない Web サイトへの侵害行為で,不正アクセス行為の対象となるのは,アクセス制御機能をもつコンピュータである。ウは,ウイルスを添付した電子メールの送信で,不正アクセス禁止法が規定する行為ではない。エは,ネットワークに接続されていないスタンドアロンのコンピュータは,電気通信回線を通じたアクセスを前提とする同法の対象外である。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
平成21年度 秋期
平成21年度 春期
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