平成24年度 秋期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
全体集合 S 内に異なる部分集合 A と B があるとき,A ∩B に等しいものはどれか。ここで,A∪B は A と B の和集合,A∩B は A と B の積集合,A は S における A の補集合,A−B は A から B を除いた差集合を表す。
ア A −B正解
イ (A ∪B )−(A∩B)
ウ (S−A)∪(S−B)
エ S−(A∩B)
正解 ア
解説
ド・モルガンの法則により,A ∩B は A∪B の補集合,つまり A にも B にも属さない要素の集合になる。アの A −B は「A に属さない要素から,さらに B に属するものを除いたもの」なので A かつ B でない,すなわち A ∩B と同じ集合を表す。アが正しい。
イの (A ∪B )−(A∩B) は,A ∪B がド・モルガンの法則で A∩B の補集合になり,そこから A∩B を引いても変わらないので A∩B の補集合のまま。ウの (S−A)∪(S−B) は A ∪B で,これも A∩B の補集合。エの S−(A∩B) も同じ集合で,イ・ウ・エはいずれも「A と B の少なくとも一方に属さない要素」を表しており,求める集合より広い。
Ā∩B̄(A にも B にも入らない部分)
塗った部分は,A にも B にも属さない要素で,Ā∩B̄。これは A∪B の補集合で(ド・モルガンの法則),「A に属さないものから,B に属するものを除いた」Ā−B とも同じ。一方,Ā∪B̄ や S−(A∩B) は「少なくとも一方に属さない」部分で,A と B の重なり以外を全部含む。
A
B
A ∩B = A −B
A
B
A ∪B = S−(A∩B)
A にも B にも入らない部分は Ā−B と同じ。「少なくとも一方に入らない」部分はもっと広い
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
食品 A 及び食品 B の各 1 g に含まれる三つの成分 1〜3 を調べたところ,含有量は表のようになった。成分 1 を 70 mg 以上,成分 2 を 80 mg 以上摂取するとき,成分 3 の最小摂取量は何 mg か。
正解 イ
解説
食品 A を x g,食品 B を y g 摂取するとして条件を式にすると,成分 1 は x+4y≧70,成分 2 は 3x+2y≧80 で,成分 3 の摂取量は x+y(mg)になる。この二つの不等式を満たす領域の頂点は (0,40),(18,13),(70,0) の3点で,x+y はそれぞれ 40,31,70。(18,13) は x+4y=70 と 3x+2y=80 の交点で,成分 3 の最小摂取量は 31 mg となり,イが正しい。
x+y の最小値は領域の頂点のどれかで現れるので,値の候補は 31,40,70 だけである。ア(28),ウ(32),エ(34)は頂点での値と一致せず,どれも最小値にならない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
4ビットから成る情報ビット x1 x2 x3 x4 に対して,次の式を満たす冗長ビット x5 x6 x7 を付加した符号 x1 x2 x3 x4 x5 x6 x7 を送信する。受信符号 y1 y2 y3 y4 y5 y6 y7 が,送信符号と高々1ビットしか異ならないとき,(y1 +y2 +y3 +y5 ) mod 2,(y1 +y2 +y4 +y6 ) mod 2,(y2 +y3 +y4 +y7 ) mod 2 がそれぞれ 0 になるかどうかによって,正しい情報ビット x1 x2 x3 x4 を求めることが可能である。y1 y2 y3 y4 y5 y6 y7 =1100010 であるとき,正しい情報ビットはどれか。ここで,a mod b は,a を b で割った余りを表す。
(x₁+x₂+x₃+x₅) mod 2=0
(x₁+x₂+x₄+x₆) mod 2=0
(x₂+x₃+x₄+x₇) mod 2=0
ア 0100
イ 1000
ウ 1100
エ 1101 正解
正解 エ
解説
受信符号 1100010 を y1 〜y7 に当てはめると,y1 =1,y2 =1,y3 =0,y4 =0,y5 =0,y6 =1,y7 =0。三つの検査式は,(1+1+0+0) mod 2=0,(1+1+0+1) mod 2=1,(1+0+0+0) mod 2=1 となり,2番目と3番目の式だけが0にならない。
誤りが1ビットなら,2番目と3番目の式にだけ現れ,1番目の式に現れないビットが誤っている。該当するのは y4 だけなので,y4 を0から1に訂正すると情報ビットは 1101 になり,エが正しい。ウの 1100 は受信した情報ビットをそのまま答えたもので,誤りを訂正していない。
ハミング符号 y1〜y7 の誤りの位置
受信した符号 1100010 で各検査式の合計を求めると,1番目 は 0,2番目 は 1,3番目 は 1。合わない式のすべてに含まれ,合う式には含まれないビットは y4 なので,それを反転して 1101010 になる。
y1
1
y2
1
y3
0
y4
0
y5
0
y6
1
y7
0
受信
合計
1番目
1
1
0
0
0
2番目
1
1
0
1
1 ✕
3番目
1
0
0
0
1 ✕
合わない式すべてに入り,合う式に入らない y4 が誤り
y4 を反転して 1101010
丸は各式に入るビット。合わない2番目・3番目の式にだけ入るのは y4
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
式 E=(A+B)×(C-D) と対応する逆ポーランド表記法はどれか。
ア =E×+AB-CD
イ EAB+CD-×= 正解
ウ EAB-CD+×=
エ EABC×+D-=
正解 イ
解説
逆ポーランド表記法は,演算子を被演算子の後ろに書く表記法で,左から順に読み,演算子が現れたらその直前の二つの値に作用させる。E=(A+B)×(C-D) は,右辺を A B + と C D - に分けて掛け合わせ(×),最後に E へ代入する(=)ので,E A B + C D - × = となる。イが正しい。
アは演算子を被演算子の前に書く前置(ポーランド)表記法の並びである。ウは A と B の間が-,C と D の間が+になっており,演算子が入れ替わっている。エは E A B C × + D - = で,E=A+B×C-D に当たる式を表している。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
配列を用いてスタックを実現する場合の構成要素として,最低限必要なものはどれか。
ア スタックに最後に入った要素を示す添字の変数 正解
イ スタックに最初に入った要素と最後に入った要素を示す添字の変数
ウ スタックに一つ前に入った要素を示す添字の変数を格納する配列
エ スタックの途中に入っている要素を示す添字の変数
正解 ア
解説
スタックは後入れ先出しのデータ構造で,要素の追加(プッシュ)も取出し(ポップ)も,最後に入った要素の位置で行う。配列でスタックを実現するには,要素を格納する配列と,最後に入った要素(スタックの頂上)の位置を示す添字の変数が一つあれば足りる。アが正しい。
イの最初に入った要素の位置は,先入れ先出しのキューで取出し位置を管理するのに必要なもので,スタックには不要である。ウの一つ前の要素を示す添字を格納する配列は,連結リストでスタックを作る場合の考え方で,配列では要素が連続して並ぶので要らない。エの途中の要素を示す添字は,スタックの操作では使わない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
アルゴリズムの処理時間や問題の計算時間を比較するときに使用するオーダ記法の説明として,適切なものはどれか。
ア アルゴリズムが解に到達するまでの計算量の下限値を表す。
イ アルゴリズムがこれより遅くならないという計算量の上限値を表す。 正解
ウ アルゴリズムの解析では,主要項の部分を除いて比較する。
エ アルゴリズムを実現した場合の変数領域の大きさを表す。
正解 イ
解説
オーダ記法(O 記法)は,入力の大きさ n に対して,アルゴリズムの計算量(処理時間など)が n の関数としてどの程度の速さで増えるかを表す。O(n) や O(n2 ) のように書き,“これより遅くはならない”という計算量の上限を示すので,イが適切である。
アの下限値は,Ω(オメガ)記法で表す考え方である。ウは,オーダ記法では逆に,最も影響の大きい主要項だけを残し,係数や低次の項を無視して比較する。エの変数領域の大きさは使用する記憶領域の大きさ(空間計算量)の説明で,処理時間を比較するというこの問いの内容に合わない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
次の関数 g(x) の定義に従って g(4) を再帰的に求めるとき,必要な加算の回数は幾らか。
g(x) = if x<2 then 1
else g(x−1)+g(x−2)
正解 イ
解説
加算の回数を A(x) とすると,x<2 のときは加算をしないので A(0)=A(1)=0。x≧2 のときは g(x-1),g(x-2) を求めるための加算に,両者を足す加算 1 回が加わるので A(x)=A(x-1)+A(x-2)+1。A(2)=0+0+1=1,A(3)=1+0+1=2,A(4)=2+1+1=4 となり,イが正しい。
なお,値は g(2)=2,g(3)=3,g(4)=5 で,ウの 5 は加算の回数ではなく g(4) の値である。アの 3 は g(3) の値に当たる。また,g の呼出し全体は 9 回で,そのうち加算を行うのは 4 回である。エの 7 はこのどの数え方にも一致しない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
リアルタイムシステムにおいて,複数のタスクから並行して呼び出された場合に,同時に実行する必要がある共用ライブラリのプログラムに要求される性質はどれか。
ア リエントラント 正解
イ リカーシブ
ウ リユーザブル
エ リロケータブル
正解 ア
解説
リエントラント(再入可能)なプログラムは,実行中に自分自身が書き換えられず,共有するデータを持たないか,持っても呼出しごとに別の領域(スタックなど)に置く。そのため,複数のタスクから並行して呼び出されても,互いに影響せずに同時に実行できる。リアルタイムシステムの共用ライブラリに要求される性質で,アが正しい。
イのリカーシブ(再帰的)は,プログラムが実行中に自分自身を呼び出せる性質。ウのリユーザブル(再使用可能)は,一度実行した後,再ロードせずに繰り返し使える性質。エのリロケータブル(再配置可能)は,主記憶上のどのアドレスに置いても実行できる性質で,いずれも並行実行のための条件ではない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
命令を並列実行するためのアーキテクチャであって,複数の命令を同時に実行するとき,命令を実行する演算器をハードウェアによって動的に割り当てる方式はどれか。
ア SMP
イ VLIW
ウ スーパスカラ 正解
エ スーパパイプライン
正解 ウ
解説
スーパスカラは,プロセッサ内に複数の演算器(実行ユニット)を備え,同時に実行できる複数の命令を,実行時にハードウェアが空いている演算器へ動的に割り当てて並列に実行する方式である。ウが正しい。
イの VLIW は,並列に実行できる命令の組合せをコンパイラが事前に解析して一つの長い命令にまとめる方式で,演算器の割当てはハードウェアではなくコンパイル時に決まる。アの SMP は,複数のプロセッサが主記憶を共有して対等に処理を分担するマルチプロセッサの構成。エのスーパパイプラインは,パイプラインの段数を増やして1段当たりの処理を細かくし,動作周波数を上げる方式である。
スーパスカラと VLIW
スーパスカラは,パイプラインを複数用意し,同時に実行できる命令を実行時にハードウェアが空いている演算器へ割り当てて並べて流す。VLIW は,同時に実行できる複数の動作をコンパイラが前もって1つの長い命令にまとめておき,そのまま並列に実行する。
スーパスカラ(パイプライン2本)
命令1
取
解
実
書
命令2
取
解
実
書
命令3
取
解
実
書
命令4
取
解
実
書
同時に流せる命令を
ハードウェアが
実行時に割り当てる
VLIW(長い命令1つに複数の動作)
加算
乗算
読込み
分岐
1命令
まとめるのは
コンパイラ
取:取出し 解:解読 実:実行 書:書込み
割当てを決めるのは,スーパスカラは実行時のハードウェア,VLIW はコンパイラ
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
CPU のスタックポインタが示すものはどれか。
ア サブルーチン呼出し時に,戻り先アドレス及びレジスタの内容を格納するメモリのアドレス 正解
イ 次に読み出す機械語命令が格納されているアドレス
ウ メモリから読み出された機械語命令
エ 割込みの許可状態,及び条件分岐の判断に必要な演算結果の状態
正解 ア
解説
スタックポインタは,スタック領域の最上段(次に読み書きする位置)のアドレスを保持するレジスタである。サブルーチン呼出し時に,戻り先アドレスやレジスタの内容をスタックに退避するので,その格納先のメモリのアドレスを示す。アが適切である。
イは次に読み出す機械語命令のアドレスを保持するプログラムカウンタ,ウはメモリから読み出した機械語命令を保持する命令レジスタ,エは割込みの許可状態や演算結果の状態(ゼロ,桁あふれなど)を保持するフラグ(ステータス)レジスタの説明である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
キャッシュメモリへの書込み動作には,ライトスルー方式とライトバック方式がある。それぞれの特徴のうち,適切なものはどれか。
ア ライトスルー方式では,データをキャッシュメモリだけに書き込むので,高速に書込みができる。
イ ライトスルー方式では,データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,主記憶の内容は常に最新である。 正解
ウ ライトバック方式では,データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,速度が遅い。
エ ライトバック方式では,読出し時にキャッシュミスが発生してキャッシュメモリの内容が追い出されるときに,主記憶に書き戻す必要が生じることはない。
正解 イ
解説
ライトスルー方式は,書込みのたびにキャッシュメモリと主記憶の両方へ書くので,主記憶の内容が常に最新に保たれる。イが正しい。キャッシュだけを見て主記憶が古いという状態にならないため,複数のプロセッサや DMA から主記憶を参照する構成でも整合性を取りやすい。
アはライトバック方式の特徴で,キャッシュだけに書くから速い。ウはライトスルー方式の説明を「ライトバック方式」として書いているので誤り。エはライトバック方式では主記憶が古いままなので,追い出されるときに書き戻しが必要になる。
ライトスルーとライトバック
ライトスルー方式は,CPU が書き込むたびにキャッシュメモリと主記憶の両方に書くので,主記憶の内容は常に最新だが,書込みは主記憶の速さに引きずられる。ライトバック方式は,キャッシュメモリにだけ書いて済ませ,そのブロックがキャッシュから追い出されるときにまとめて主記憶に書き戻す。書込みは速いが,追い出されるまで主記憶は古いまま。
ライトスルー
CPU
キャッシュ
主記憶
書く
同時に書く
主記憶は常に最新,書込みは遅い
ライトバック
CPU
キャッシュ
主記憶
書く
追い出すときに
まとめて書き戻す
速いが,主記憶は古いことがある
ライトスルーは主記憶が常に最新,ライトバックは追い出すときに書き戻す
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
毎分 6,000 回転,平均位置決め時間が 20 ミリ秒,1 トラック当たりの記憶容量が 20 k バイトの磁気ディスク装置がある。1 ブロック 4 k バイトのデータを 1 ブロック転送するのに要する平均アクセス時間は何ミリ秒か。ここで,磁気ディスクコントローラのオーバヘッドは無視できるものとする。
正解 ウ
解説
毎分 6,000 回転なので 1 回転は 60 秒÷6,000=10 ミリ秒で,平均回転待ち時間は半回転分の 5 ミリ秒。1 トラックが 20 k バイトで 1 ブロックが 4 k バイトなので,1 ブロックの転送時間は 1 回転の 4/20 に当たる 10×4/20=2 ミリ秒。平均アクセス時間は,位置決め 20+回転待ち 5+転送 2=27 ミリ秒となり,ウが正しい。
アの 20 は位置決め時間だけで,回転待ちと転送を含めていない。イの 22 は回転待ちを加え忘れた 20+2 の値。エの 32 は回転待ちを半回転ではなく 1 回転分(10 ミリ秒)として 20+10+2 とした値である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
NAS(Network Attached Storage)の特徴と,特徴を生かした適用業務について述べたものはどれか。
ア 各種 OS からファイルを共有することができるので,データを交換する業務に適している。 正解
イ データの読み書きを高速に行うことができるようになるので,負荷が高い業務に適している。
ウ データベースのデータを扱うことが容易なので,簡易言語で情報検索を行う業務に適している。
エ ファイルの改ざんを監視することが容易なので,個人情報を管理する業務に適している。
正解 ア
解説
NAS(Network Attached Storage)は,LAN に直接接続して使うファイルサーバ専用の記憶装置で,NFS や CIFS などの標準的なプロトコルでファイル単位のアクセスを提供する。Windows や UNIX など各種 OS から同じファイルを共有できるので,データを交換する業務に適している。アが正しい。
イの高速な読み書きが必要な高負荷の業務には,専用の高速網(ファイバチャネルなど)でブロック単位にアクセスする SAN の方が向いている。ウのデータベースのデータを扱って簡易言語で検索するのは,DBMS の機能である。エのファイルの改ざん監視は NAS の特徴ではなく,個人情報の管理に向くという根拠にもならない。
DAS・SAN・NAS の違い
DAS はサーバにディスクを直接つなぎ,ブロック単位で読み書きする。SAN は LAN とは別の専用ネットワーク(ファイバチャネルなど)でサーバとストレージをつなぎ,ブロック単位で読み書きする。NAS はふだんの LAN につなぐファイルサーバで,NFS や SMB でファイル単位で共有する。
DAS
SAN
NAS
サーバ
ディスク
直接つなぐ
サーバ
サーバ
FC スイッチ
ストレージ
LAN とは別の専用網
PC
サーバ
ふだんの LAN
NAS
NFS・SMB で共有
ブロック単位
ブロック単位
ファイル単位
SAN は大量の読み書きが LAN を混ませない
見分けるのは「どの線でつなぐか」と「ブロックかファイルか」
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
コンピュータシステムの信頼性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア MTBF/(MTBF+MTTR) は,システムが稼働している時間の割合を表す。 正解
イ MTBF-MTTR は,システムが正常であった時間を表す。
ウ MTBF は,正常なシステムが運用を開始してから初めて故障が起きるまでの時間を表す。
エ MTTR は,システムの故障が回復した時点から次に故障が起きるまでの平均時間を表す。
正解 ア
解説
システムの稼働率は MTBF/(MTBF+MTTR) で表す。MTBF(平均故障間隔)はシステムが正常に動いている時間の平均,MTTR(平均修復時間)は故障してから回復するまでの時間の平均で,その合計が1サイクルの長さなので,稼働している時間の割合を表す。アが適切である。
イの MTBF−MTTR は意味のある指標ではない。ウは誤り。MTBF は初めて故障するまでの時間ではなく,故障から回復した後に次の故障が起きるまでの時間の平均である。エは誤り。MTTR は故障が回復した時点から次の故障までではなく,故障が発生してから回復するまでの平均時間で,これは MTBF の説明に近い。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
CPU と磁気ディスク装置で構成されるシステムで,表に示すジョブ A,B を実行する。この二つのジョブが実行を終了するまでの CPU の使用率と磁気ディスク装置の使用率との組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,ジョブ A,B はシステムの動作開始時点ではいずれも実行可能状態にあり,A,B の順で実行される。CPU 及び磁気ディスク装置は,ともに一つの要求だけを発生順に処理する。ジョブ A,B とも,CPU の処理を終了した後,磁気ディスク装置の処理を実行する。
ア CPU の使用率 0.47,磁気ディスク装置の使用率 0.53
イ CPU の使用率 0.60,磁気ディスク装置の使用率 0.68 正解
ウ CPU の使用率 0.79,磁気ディスク装置の使用率 0.89
エ CPU の使用率 0.88,磁気ディスク装置の使用率 1.00
正解 イ
解説
A,B の順に実行する。CPU は A に 0〜3 秒,B に 3〜15 秒使う。磁気ディスク装置は,A が CPU を終えた 3 秒後から 7 秒間(3〜10 秒)使い,B は CPU の処理が終わる 15 秒後から 10 秒間(15〜25 秒)使う。二つのジョブが終わるまで 25 秒かかるので,CPU の使用率は (3+12)/25=0.60,磁気ディスク装置の使用率は (7+10)/25=0.68 で,イが正しい。
アの 0.47 と 0.53 は 15/32 と 17/32 で,全体の時間を CPU の時間 15 秒とディスクの時間 17 秒の合計 32 秒とした値である。両装置が同時に動く時間を考えていない。エの 0.88 と 1.00 は 15/17 と 17/17 で,全体を 17 秒とした値だが,B のディスクの処理は B の CPU の処理が終わる 15 秒後から始まるので,17 秒では終わらない。ウも,二つのジョブが終わるまでの 25 秒と合わない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
図の回線網における福岡・東京間の回線の稼働率はおよそ幾らか。ここで,隣接するノード間の回線の稼働率は,全て 0.9 とする。
ア 0.81
イ 0.88 正解
ウ 0.89
エ 0.98
正解 イ
解説
福岡と大阪の間は1本の回線だけで,稼働率は 0.9 である。大阪と東京の間は,直通の回線(0.9)と,名古屋を経由する経路(0.9×0.9=0.81)の並列になるので,稼働率は 1−(1−0.9)×(1−0.81)=1−0.1×0.19=0.981 となる。
福岡・東京間はこの二つの部分の直列なので,0.9×0.981≒0.883,およそ 0.88 となり,イが正しい。名古屋経由の経路を考えずに 0.9×0.9 とすると 0.81(ア)になる。
福岡・東京間の稼働率
福岡・大阪間は1本で 0.9。大阪・東京間は,直通(0.9)と名古屋経由(0.9×0.9=0.81)の並列なので 1−0.1×0.19=0.981。全体は2つの部分の直列で 0.9×0.981≒0.88。
0.9
0.9
0.9
0.9
福岡
大阪
名古屋
東京
① 名古屋経由:0.9 × 0.9 = 0.81
② 大阪・東京間(並列):1 − 0.1 × 0.19 = 0.981
③ 福岡・東京間(直列):0.9 × 0.981 ≒ 0.88
破線の中が並列
経路を「直列の部分」と「並列の部分」に分けて,内側から計算する
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
プログラム実行時の主記憶管理に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 主記憶の空き領域を結合して一つの連続した領域にすることを,可変区画方式という。
イ プログラムが使用しなくなったヒープ領域を回収して再度使用可能にすることを,ガーベジコレクションという。 正解
ウ プログラムの実行中に主記憶内でモジュールの格納位置を移動させることを,動的リンキングという。
エ プログラムの実行中に必要になった時点でモジュールをロードすることを,動的再配置という。
正解 イ
解説
ガーベジコレクションは,プログラムが動的に確保したヒープ領域のうち,どこからも参照されなくなった領域を自動的に見つけて回収し,再び割当てに使えるようにする仕組み。イが正しい。
アの空き領域を結合して連続領域にすることはコンパクション(ガーベジコレクションの一部として行われることもある)。ウの実行中にモジュールの格納位置を移動させることは動的再配置。エの必要になった時点でモジュールをロードすることは動的リンキング(動的ロード)で,ウとエは用語が入れ替わっている。
ガーベジコレクション:どこからも参照されない領域を回収する
プログラムが動的に確保したヒープ領域のうち,変数(ルート)からたどれる領域はまだ使われている。どこからもたどれなくなった領域は二度と使われないので,ガーベジコレクションが自動的に見つけて回収し,再び割り当てに使えるようにする。空き領域を寄せて連続にするのはコンパクション,細切れになる現象はフラグメンテーション。
変数
(ルート)
ヒープ
A
B
C
D
E
どこからも参照されない
塗り(D・E):ルートからたどれない → 回収して再利用
D から E を指していても,D に誰も届かなければ E も回収
ルートからたどれない領域を見つけて回収する
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
ページング方式の仮想記憶を用いることによって,フラグメンテーションの問題を解決できる理由はどれか。
ア 一連のプログラムやデータを,不連続な主記憶に割り付けることができる。 正解
イ 仮想記憶のページ数を主記憶のページ数よりも多くすることができる。
ウ プログラム全体を1ページに割り付けることができる。
エ プログラムのローディング時に主記憶を割り付けることができる。
正解 ア
解説
ページング方式では,プログラムやデータを固定長のページに分け,主記憶上の空いているページ枠であれば場所を問わずに割り付けられる。連続した空き領域を必要としないので,空き領域が細切れになって大きな領域を確保できなくなるフラグメンテーションの問題を解決できる。アが正しい。
イの仮想記憶のページ数を主記憶より多くできることは,主記憶より大きなプログラムを実行できるという仮想記憶の利点で,フラグメンテーションの解決とは別の話である。ウのプログラム全体を1ページに割り付けることはページング方式の特徴ではない。エのローディング時に主記憶を割り付けることは,ページングを使わない方式でも行える。
外部断片化と内部断片化
セグメンテーション方式は大きさの違う領域を割り当てるので,解放と割当てを繰り返すと小さな空きが散らばり,合計は足りても連続した大きな領域を取れなくなる(外部断片化)。ページング方式は同じ大きさのページ枠に割り当てるので外部断片化は起きないが,最後のページの使わない部分が無駄になる(内部断片化)。
セグメンテーション
A
B
C
D
小さな空きが
散らばる
外部断片化
ページング
ページ1
ページ2
ページ3
ページ4
余り
最後の
ページ
内部断片化
ページングは外部断片化が起きない代わりに,ページの中の余りが無駄になる
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
仮想記憶管理におけるページ置換えアルゴリズムとして,LRU 方式を採用する。参照かつ更新されるページ番号の順番が,1,2,3,4,1,2,5,1,2,3,6,5 で,ページ枠が 4 のとき,ページフォールトに伴って発生するページアウトは何回か。ここで,初期状態では,いずれのページも読み込まれていないものとする。
正解 イ
解説
参照順 1,2,3,4,1,2,5,1,2,3,6,5 を,ページ枠 4 で LRU(最も長く参照されていないページを置き換える)方式で追う。最初の 1〜4 は空き枠に読み込むだけでページアウトは起こらず,次の 1,2 は枠内にある。5 を参照すると枠がいっぱいなので,最も長く参照されていない 3 を追い出す(1回目)。1,2 は枠内にあり,3 を参照すると 4 を追い出し(2回目),6 を参照すると 5 を追い出し(3回目),最後の 5 を参照すると 1 を追い出す(4回目)。ページアウトは 4 回で,イが正しい。
アの 3 は最後の 5 の参照によるページアウトを数えなかった値。エの 6 は,最も古く読み込まれたページから追い出す FIFO 方式で同じ参照順を追ったときの回数である。ウの 5 は LRU でも FIFO でも,この参照順では得られない回数である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
三つの媒体 A〜C に次の条件でファイル領域を割り当てた場合,割り当てた領域の総量が大きい順に媒体を並べたものはどれか。
〔条件〕
(1) ファイル領域を割り当てる際の媒体選択アルゴリズムとして,空き領域が最大の媒体を選択する方式を採用する。 (2) 割当て要求されるファイル領域の大きさは,順に 90,30,40,40,70,30(M バイト)であり,割り当てられたファイル領域は,途中で解放されない。 (3) 各媒体は容量が同一であり,割当て要求に対して十分な大きさをもち,初めは全て空きの状態である。 (4) 空き領域の大きさが等しい場合には,A,B,C の順に選択する。
ア A,B,C
イ A,C,B
ウ B,A,C
エ C,B,A 正解
正解 エ
解説
空き領域が最大の媒体,つまり割り当てた総量が最小の媒体を選ぶ。等しければ A,B,C の順に選ぶ。90 は全て空きなので A(A 90)。30 は B と C が等しいので B(B 30)。40 は C が最小なので C(C 40)。次の 40 は B(30)が最小なので B(B 70)。70 は C(40)が最小なので C(C 110)。最後の 30 は B(70)が最小なので B(B 100)。
割り当てた総量は A 90,B 100,C 110 となり,大きい順に C,B,A で,エが正しい。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
8 ビット D/A 変換器を使って,電圧を発生させる。使用する D/A 変換器は,最下位の 1 ビットの変化で 10 ミリ V 変化する。データに 0 を与えたときの出力は 0 ミリ V である。データに 16 進数で 82 を与えたときの出力は何ミリ V か。
ア 820
イ 1,024
ウ 1,300 正解
エ 1,312
正解 ウ
解説
16進数の 82 を10進数に直すと,8×16+2=130 になる。最下位の1ビットの変化で出力が 10 ミリ V 変わり,データ 0 のとき 0 ミリ V なので,出力は 130×10=1,300 ミリ V となる。ウが正しい。
アの 820 は 82 を10進数のまま使った値。エの 1,312 は 82 を16倍して 1,312 とした値など,基数の変換を誤ったときの値である。イの 1,024 は 210 で,この計算とは関係がない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
真理値表に示す 3 入力多数決回路はどれか。
正解 ア
解説
真理値表で Y が 1 になるのは,入力の 3 本のうち 2 本以上が 1 のときで,Y=A・B+B・C+C・A と表せる。アは A と B,B と C,C と A の論理積をそれぞれ求め,3 つを論理和にまとめた回路で,この式のとおりの多数決回路になる。
イは排他的論理和の論理和で,入力が全て同じ(000,111)のときだけ 0 になるため,001 などで Y が 1 になり,真理値表と合わない。ウは (A+B)・(B+C)・(C+A) の否定で,多数決の結果を反転した回路になる。エは (A⊕B)・(B⊕C)・(C⊕A) の否定で,3 本の入力が互いに全て異なることはないので,積は常に 0 となり,Y は常に 1 になる。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
視覚障害者に対して Web コンテンツの情報アクセシビリティを向上させるための配慮のうち,適切な例はどれか。
ア 写真やイラストを多く取り入れたので,それらに対する代替テキストを付けなかった。
イ 多数の項目を列挙する際に,リスト形式の代わりに,表形式を使用した。
ウ 文書のレイアウトが複雑であり,正しい読上げ順になるように HTML で記述するのが難しかったので,タグ付き PDF を使用した。 正解
エ 見出しの表現には,見出し要素(例 H1〜H6)を用いず,フォントの相対サイズ(例 font-size:200%)を用いて大きい文字にした。
正解 ウ
解説
タグ付き PDF は,見出しや段落,表などの文書構造を示すタグを PDF に埋め込んだもので,スクリーンリーダなどの音声読み上げ機器が正しい順序で内容を読み上げられる。レイアウトが複雑で,正しい読上げ順になるように HTML で記述するのが難しい場合に,これを使うのは視覚障害者への配慮として適切である。ウが正しい。
アの代替テキストは,写真やイラストを読み上げ機器が伝えられるよう,付けるのが配慮である。イの項目の列挙は,リスト形式(ul,ol)で記述すれば項目の構造が伝わるが,表形式にすると構造が伝わりにくい。エの見出しは,見出し要素(H1〜H6)で記述すると機器が見出しとして扱えるが,フォントサイズだけで見た目を大きくしても見出しとして認識されない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
コンピュータグラフィックスの要素技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア アンチエイリアシングは,周辺の画素との平均化演算などを施すことによって,斜め線や曲線のギザギザを目立たなくする。 正解
イ メタボールは,光の相互反射を利用して物体表面の光のエネルギーを算出することによって,表面の明るさを決定する。
ウ ラジオシティは,光源からの光線の経路を計算することによって,光の反射や透過などを表現し,物体の形状を描画する。
エ レイトレーシングは,物体を球や楕円体の集合として疑似的にモデル化する。
正解 ア
解説
アンチエイリアシングは,画素の境界に生じる斜め線や曲線のギザギザ(ジャギー)を,周辺の画素との平均化演算などで中間の色を付けることによって目立たなくする技術である。アが適切である。
イの光の相互反射から物体表面の光のエネルギーを算出して明るさを決めるのはラジオシティ。ウの光線の経路を計算して反射や透過を表現するのはレイトレーシング。エの物体を球や楕円体などの集合として疑似的にモデル化するのはメタボールの説明で,それぞれ用語と説明が入れ替わっている。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
ストアドプロシージャの利点はどれか。
ア アプリケーションプログラムからネットワークを介して DBMS にアクセスする場合,両者間の通信量を減少させる。 正解
イ アプリケーションプログラムからの一連の要求を一括して処理することによって,DBMS 内の実行計画の数を減少させる。
ウ アプリケーションプログラムからの一連の要求を一括して処理することによって,DBMS 内の必要バッファ数を減少させる。
エ データが格納されているディスク装置への I/O 回数を減少させる。
正解 ア
解説
ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をあらかじめ DBMS 側に登録しておき,呼出し1回で実行させる仕組み。SQL 文を1文ずつ送る必要がなくなるので,アプリケーションと DBMS の間の通信量(ネットワーク負荷)が減る。
イ・ウ・エはいずれもストアドプロシージャによって直接減るものではない。処理する内容が同じである以上,実行計画の数やバッファ数,ディスクへの I/O 回数が減るわけではない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
六つのタプルから成る関係 R の単一の属性間において成立する全ての関数従属性を挙げたものはどれか。ここで,X→Y は,X が Y を関数的に決定することを表す。
ア A→B
イ A→C,C→A
ウ A→B,A→C,C→A,C→B 正解
エ A→B,A→C,B→C,C→A,C→B
正解 ウ
解説
R の 6 行で,A と B と C のそれぞれの値の組を見ると,A=300 のとき B は阿部商店,C は 3,A=400 のとき鈴木商店と 2,A=500 のとき鈴木商店と 1 で,A は B と C を決める(A→B,A→C)。C の値も A と B を決めるので C→A,C→B も成り立つ。B から C へは,鈴木商店に 2 と 1 の二つの値が対応するので B→C は成り立たず,B→A も成り立たない。成り立つ関数従属性は A→B,A→C,C→A,C→B の 4 つで,ウが正しい。
アは A→B だけ,イは A→C と C→A だけで,成り立つものが漏れている。エは成り立たない B→C を含んでいる。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
顧客は一般に複数の銀行に預金するものとして,顧客と銀行の関連を,E-R 図で次のように表現する。このモデルを関係データベース上に“銀行”表,“口座”表,“顧客”表として実装する場合の記述として,適切なものはどれか。
ア “銀行”表から“口座”表への対応関係は多対 1 である。
イ “銀行”表中に参照制約を課した外部キーがある。
ウ “口座”表から“顧客”表への対応関係は 1 対多である。
エ “口座”表には二つ以上の外部キーがある。 正解
正解 エ
解説
銀行と顧客は多対多の関連で,関連“口座”によって結ばれている。関係データベースで多対多の関連を実装するには,関連を表す“口座”表を作り,“銀行”表の主キーを参照する外部キーと,“顧客”表の主キーを参照する外部キーの両方をもたせる。したがって,“口座”表には二つ以上の外部キーがあり,エが適切である。
アは誤りで,一つの銀行には複数の口座があるので,“銀行”表から“口座”表へは1対多である。イは誤りで,外部キーは“口座”表がもち,“銀行”表にはない。ウは誤りで,一人の顧客が複数の口座をもつので,“口座”表から“顧客”表へは多対1である。
多対多の関連を表にする
顧客は複数の銀行に,銀行には複数の顧客が預金するので,銀行と顧客は多対多。関係データベースでは関連“口座”を表にし,銀行の主キーを参照する外部キーと,顧客の主キーを参照する外部キーの2つを“口座”表にもたせる。銀行から口座へは1対多,口座から顧客へは多対1になる。
銀行
口座
顧客
m
n
銀行
銀行コード
口座
銀行コード(外部キー)
顧客番号(外部キー)
顧客
顧客番号
1
多
多
1
“口座”表には外部キーが2つある
多対多は間に関連の表を作り,そこに両方への外部キーを置く
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
R 表に,(A,B) の 2 列で一意にする制約(UNIQUE 制約)が定義されているとき,R 表に対する SQL 文のうち,この制約に違反するものはどれか。ここで,R 表には主キーの定義がなく,また,全ての列は値が決まっていない場合(NULL)もあるものとする。
ア DELETE FROM R WHERE A = 'AA01' AND B = 'BB02'
イ INSERT INTO R(A, B, C, D) VALUES ('AA01', NULL, 'DD01', 'EE01')
ウ INSERT INTO R(A, B, C, D) VALUES (NULL, NULL, 'AA01', 'BB02')
エ UPDATE R SET A = 'AA02' WHERE A = 'AA01' 正解
正解 エ
解説
UNIQUE 制約は,(A,B) の組が他の行と重複してはいけないという制約である。エの UPDATE は,A='AA01' の行の A を 'AA02' に変える。1 行目 (AA01,BB01) が (AA02,BB01) になるが,3 行目に同じ (AA02,BB01) があるので重複し,制約に違反する。
アの DELETE は行を削除するだけで,制約には違反しない。イの (AA01,NULL) とウの (NULL,NULL) は,どちらも NULL を含み,NULL は他の値と等しいとは判定されないので,(A,B) の組が重複したことにはならず,制約に違反しない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
データウェアハウスに業務データを取り込むとき,データを抽出して加工し,データベースに書き出すツールはどれか。
ア ETL ツール 正解
イ OLAP ツール
ウ データマイニングツール
エ 統計ツール
正解 ア
解説
ETL ツールは,業務システムなどのデータベースからデータを抽出(Extract)し,データウェアハウスで使えるように形式をそろえるなどの変換・加工(Transform)を行い,データウェアハウスのデータベースに書き出す(Load)ツールである。アが正しい。
イの OLAP ツールは,データウェアハウスに蓄積されたデータを多次元的に集計・分析するツール。ウのデータマイニングツールは,大量のデータから規則性や相関関係を見つけ出すツール。エの統計ツールは,データに統計的な手法を適用して分析するツールで,いずれもデータを取り込む前段の処理を担うものではない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
CSMA/CD 方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 衝突発生時の再送動作によって,衝突の頻度が増すとスループットが下がる。 正解
イ 送信要求の発生したステーションは,共通伝送路の搬送波を検出してからデータを送信するので,データ送出後の衝突は発生しない。
ウ ハブによって複数のステーションが分岐接続されている構成では,衝突の検出ができないので,この方式は使用できない。
エ フレームとしては任意長のビットが直列に送出されるので,フレーム長がオクテットの整数倍である必要はない。
正解 ア
解説
CSMA/CD では,衝突が起きると送信を中断してランダムな時間だけ待ってから再送する。伝送路が混んで衝突が増えると,この待ち時間と再送が積み重なって実際に流れるデータ量が減るので,スループットが下がる。アが正しい。
イは,搬送波を検出して空いていることを確かめてから送信しても,信号が届くまでの遅延の間に別のステーションも送信を始めれば衝突は起こるので誤り。ウは,リピータハブで分岐接続した構成でも衝突は検出できるので誤り(ハブ配下は一つの衝突ドメインになる)。エは,イーサネットのフレームはオクテット単位で構成されるので誤りである。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
伝送速度 64 k ビット/秒の回線を使ってデータを連続送信したとき,平均して 100 秒に 1 回の 1 ビット誤りが発生した。この回線のビット誤り率は幾らか。
ア 1.95×10−8
イ 1.56×10−7 正解
ウ 1.95×10−5
エ 1.56×10−4
正解 イ
解説
64 k ビット/秒の回線で 100 秒間に送るビット数は 64×103 ×100=6.4×106 ビットで,その間に1ビットの誤りが起きる。
ビット誤り率は 1÷(6.4×106 )≒1.56×10−7 となり,イが正しい。8ビットを1バイトとしてバイト数で割ると 1.95×10−8 (ア)になるが,ビット誤り率はビット数で求める。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
JavaScript などのスクリプト言語を使って,Web ブラウザに組み込まれているサーバとの非同期通信機能を利用する技術であり,地図の高速なスクロールや,キーボード入力に合わせた検索候補の逐次表示などを実現するものはどれか。
正解 ア
解説
Ajax(Asynchronous JavaScript and XML)は,JavaScript から Web ブラウザの非同期通信機能(XMLHttpRequest など)を使ってサーバとデータをやり取りし,ページ全体を再読込みせずに画面の一部だけを書き換える技術である。地図のスクロールに応じた画像の読込みや,入力途中での検索候補の表示に使われ,アが該当する。
イの CSS は Web ページのレイアウトや装飾を指定する言語,ウの DOM は HTML や XML の文書をプログラムから木構造として操作するための API である。エの SAX は XML 文書を先頭から読み進め,要素の開始や終了をイベントとして通知するパーサの API である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
SSL によるクライアントと Web サーバ間の通信手順 (1)〜(5) において,a,b に入る適切な語句の組合せはどれか。ここで,記述した手順は,一部簡略化している。
(1) クライアントからの SSL による接続要求に対し,Web サーバはサーバ証明書をクライアントに送付する。 (2) クライアントは,保持している a を用いてこのサーバ証明書の正当性を確認する。 (3) クライアントは,共通鍵生成用のデータを作成し,サーバ証明書に添付された b を用いてこの共通鍵生成用データを暗号化し,Web サーバに送付する。 (4) 暗号化された共通鍵生成用データを受け取った Web サーバは,自らの秘密鍵を用いてこれを復号する。 (5) クライアントと Web サーバの両者は,同一の共通鍵生成用データによって共通鍵を作成し,これ以降の両者間の通信は,この共通鍵による暗号化通信を行う。
ア a:クライアントの公開鍵,b:Web サーバの秘密鍵
イ a:クライアントの秘密鍵,b:Web サーバの公開鍵
ウ a:認証局の公開鍵,b:Web サーバの公開鍵 正解
エ a:認証局の公開鍵,b:Web サーバの秘密鍵
正解 ウ
解説
SSL(TLS)では,(2) でクライアントは,サーバ証明書に付けられた認証局のディジタル署名を,あらかじめ保持している認証局の公開鍵で検証し,証明書が正当であることを確認する。よって a は認証局の公開鍵である。
(3) でクライアントは,サーバ証明書に含まれる Web サーバの公開鍵で共通鍵生成用データを暗号化して送る。(4) で Web サーバが自らの秘密鍵で復号できるのは,対になる公開鍵で暗号化されているからで,b は Web サーバの公開鍵となる。ウが正しい。
ア,イのクライアントの鍵はこの手順では使わない。エの Web サーバの秘密鍵はサーバだけが持つもので,サーバ証明書に添付されることはない。
証明書の連鎖
サーバ証明書は中間 CA が署名し,中間 CA の証明書はルート CA が署名している。受け取った側は,サーバ証明書から中間 CA,ルート CA へと署名をたどって検証し,ブラウザや OS に組み込まれているルート CA に行き着けば信頼できると判断する。署名の検証には,署名した CA の公開鍵を使う。
ルート CA の証明書
ブラウザ・OS に組み込み済み
中間 CA の証明書
ルート CA が署名
サーバ証明書
中間 CA が署名
署名
たどって
検証
署名は,署名した CA の公開鍵で確かめる
上の CA が下の証明書に署名し,受け取った側は下から上へたどって検証する
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
W3C で仕様が定義され,矩形や円,直線,文字列などの図形オブジェクトを XML 形式で記述し,Web ページでの図形描画にも使うことができる画像フォーマットはどれか。
ア OpenGL
イ PNG
ウ SVG 正解
エ TIFF
正解 ウ
解説
SVG(Scalable Vector Graphics)は W3C が仕様を定めたベクター画像フォーマットで,矩形・円・直線・文字列などの図形オブジェクトを XML 形式で記述する。拡大しても劣化せず,HTML に直接埋め込んで Web ページの図形描画に使える。
アの OpenGL は3次元グラフィックスの API であって画像フォーマットではない。イの PNG とエの TIFF はいずれもラスタ(ビットマップ)形式の画像フォーマット。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
ルータ,PBX,VoIP ゲートウェイ,VoIP ゲートキーパを図の①〜④に配置して内線用のアナログ電話機と IP 電話機を混在させる場合,VoIP ゲートウェイを配置する場所はどこか。
正解 イ
解説
①は公衆電話網とアナログ電話機を収容しているので PBX である。PBX と IP 網の間に置き,アナログ電話の音声を IP パケットに変換したり,その逆に戻したりする装置が VoIP ゲートウェイで,②に当たる。イが正しい。
③は IP 網に接続しているのでルータ。④は LAN 上に置かれ,IP 電話機などの呼制御やアドレス変換を行う VoIP ゲートキーパである。したがって,アの①は PBX,ウの③はルータ,エの④は VoIP ゲートキーパが入る位置である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
シングルサインオンの説明のうち,適切なものはどれか。
ア クッキーを使ったシングルサインオンの場合,サーバごとの認証情報を含んだクッキーをクライアントで生成し,各サーバ上で保存,管理する。
イ クッキーを使ったシングルサインオンの場合,認証対象のサーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。
ウ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,認証対象の Web サーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。
エ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,利用者認証においてパスワードの代わりにディジタル証明書を用いることができる。 正解
正解 エ
解説
リバースプロキシ型のシングルサインオンでは全ての通信がリバースプロキシを経由するので,そこで利用者認証を行う。認証方式はパスワードに限られず,クライアント証明書(デジタル証明書)を用いることもできる。
アは誤り。cookie を生成するのはクライアントではなく認証を行うサーバ側。イは誤り。cookie は発行元ドメインにしか送られないので,cookie 方式では同一ドメインに配置する必要がある。ウは誤り。リバースプロキシ方式ではドメインを分ける必要はない。
シングルサインオンの3つの方式
リバースプロキシ方式は,利用者と Web サーバの間に置いたリバースプロキシで認証をまとめる(全ての通信が集まる)。エージェント方式は,各 Web サーバに入れたエージェントが認証サーバの発行したチケットを確かめる。SAML は,IdP が発行したアサーションを別の組織の SP が検証するので,ドメインをまたいで使える。
リバースプロキシ方式
利用者
リバースプロキシ
ここで認証
Web サーバ 1
Web サーバ 2
全ての通信がプロキシを通る。Web サーバの改修が少ない
エージェント方式
利用者
Web サーバ 1(エージェント)
Web サーバ 2(エージェント)
認証サーバ
チケット発行
各サーバのエージェントがチケットを確かめる。通信は集中しない
SAML(フェデレーション)
利用者
IdP(組織 X)
SP(組織 Y)
アサーション
IdP の署名付きアサーションで,別の組織(ドメイン)をまたいで使える
どこで認証の結果を確かめるかが違う
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
パスワードに使用できる文字の種類の数を M,パスワードの文字数を n とするとき,設定できるパスワードの理論的な総数を求める数式はどれか。
ア Mn 正解
イ M!/(M−n)!
ウ M!/(n!(M−n)!)
エ (M+n−1)!/(n!(M−1)!)
正解 ア
解説
パスワードの各文字には M 種類のどの文字も使え,同じ文字を繰り返し使ってもよい。n 文字の各位置でそれぞれ M 通りの選び方があるので,総数は M×M×…×M(n 個)=Mn であり,アになる。
イの M!/(M−n)! は同じ文字を使わずに並べる順列,ウの M!/(n!(M−n)!) は同じ文字を使わず並び順も区別しない組合せ,エの (M+n−1)!/(n!(M−1)!) は同じ文字の繰返しを許すが並び順を区別しない重複組合せの数である。パスワードは並び順が区別され,同じ文字を繰り返せるので,いずれも当てはまらない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
手順に示すハッシュ関数とメッセージダイジェストの処理を行うことで得られるセキュリティ上の効果はどれか。ここで,メッセージダイジェストは安全な方法で保護され,改ざんや破壊がされていないものとする。
〔手順〕
(1) 送信者 A は,電子メールの本文からハッシュ関数を用いて,メッセージダイジェストを作成する。電子メールの本文とメッセージダイジェストを別々に受信者 B に送信する。 (2) 受信者 B は受信した電子メールの本文からハッシュ関数を用いて,メッセージダイジェストを作成する。その作成したメッセージダイジェストと,受信したメッセージダイジェストを比較する。
ア 電子メールの改ざんの有無の確認 正解
イ 電子メールの誤送信の防止
ウ 電子メールの送達確認
エ 電子メールの盗聴の防止
正解 ア
解説
送信者は電子メールの本文からハッシュ関数でメッセージダイジェストを作成し,受信者も受け取った本文から同じ関数でメッセージダイジェストを作って,保護されたメッセージダイジェストと比較する。本文が少しでも変わればダイジェストの値が変わるので,一致すれば改ざんされていないことが確認できる。アが正しい。
イの誤送信の防止は,宛先の確認など別の仕組みで行うもので,ダイジェストの比較では分からない。ウの送達確認は,受信者が受け取ったことを送信者に知らせる仕組みで,この手順にはそれに当たる処理がない。エの盗聴の防止は,本文を暗号化することで実現する。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
暗号方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア AES は公開鍵暗号方式,RSA は共通鍵暗号方式の一種である。
イ 共通鍵暗号方式では,暗号化及び復号に使用する鍵が同一である。 正解
ウ 公開鍵暗号方式を通信内容の秘匿に使用する場合は,暗号化に使用する鍵を秘密にして,復号に使用する鍵を公開する。
エ ディジタル署名に公開鍵暗号方式が使用されることはなく,共通鍵暗号方式が使用される。
正解 イ
解説
共通鍵暗号方式は,暗号化と復号に同じ鍵を使う方式。鍵を送受信者だけの秘密に保つ必要があるが,公開鍵暗号方式より処理が高速なので,大量のデータの暗号化に向く。イが正しい。
アは誤りで,AES は共通鍵暗号方式,RSA は公開鍵暗号方式である。ウも誤りで,公開鍵暗号方式を通信内容の秘匿に使う場合は,受信者の公開鍵で暗号化し,受信者だけがもつ秘密鍵で復号する。暗号化鍵を公開し,復号鍵を秘密にする。エも誤りで,ディジタル署名では,送信者が自分の秘密鍵で署名を作り,受信者が送信者の公開鍵で検証するので,公開鍵暗号方式が使われる。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
完全性を脅かす攻撃はどれか。
ア Web ページの改ざん 正解
イ システム内に保管されているデータの持出しを目的とした不正コピー
ウ システムを過負荷状態にする DoS 攻撃
エ 通信内容の盗聴
正解 ア
解説
情報セキュリティの三つの要素のうち,完全性は,情報が正確で,改ざんや破壊されていないことをいう。Web ページの改ざんは,情報の内容を書き換えて完全性を損なう攻撃である。アが該当する。
イのデータの持出しを目的とした不正コピーと,エの通信内容の盗聴は,権限のない者に情報が知られるので,機密性を脅かす攻撃である。ウの過負荷にする DoS 攻撃は,必要なときにシステムが使えなくなるので,可用性を脅かす攻撃である。
攻撃が損なう要素と,それを守る対策
盗聴は機密性を,改ざんは完全性を,DoS 攻撃は可用性を,なりすましは真正性を損なう。機密性は暗号化やアクセス制御,完全性はハッシュ値・MAC・ディジタル署名,可用性は冗長化やバックアップ,真正性は利用者認証やサーバ証明書で守る。問題文の脅威がどの要素に当たるかを考えると,対策の選択肢を絞り込める。
攻撃
損なう要素
守る対策の例
盗聴
機密性
暗号化,アクセス制御
改ざん
完全性
ハッシュ値・MAC,署名
DoS 攻撃
可用性
冗長化,DoS 対策
なりすまし
真正性
利用者認証,サーバ証明書
否認防止はディジタル署名・タイムスタンプ,責任追跡性はログ
盗聴→機密性,改ざん→完全性,DoS→可用性,なりすまし→真正性
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
安全な Web アプリケーションの作り方について,攻撃と対策の適切な組合せはどれか。
ア 攻撃:SQL インジェクション 対策:SQL 文の組立てに静的プレースホルダを使用する。 正解
イ 攻撃:クロスサイトスクリプティング 対策:任意の外部サイトのスタイルシートを取り込めるようにする。
ウ 攻撃:クロスサイトリクエストフォージェリ 対策:リクエストに GET メソッドを使用する。
エ 攻撃:セッションハイジャック 対策:利用者ごとに固定のセッション ID を使用する。
正解 ア
解説
SQL インジェクションは,入力値に SQL の一部を紛れ込ませて意図しない SQL 文を実行させる攻撃である。静的プレースホルダを使うと,SQL 文の構造があらかじめ確定し,入力値は常に値として扱われるので,攻撃を根本的に防げる。アが適切である。
イは誤りで,任意の外部サイトのスタイルシートを取り込めるようにすると,かえってクロスサイトスクリプティングなどの危険が増す。ウは誤りで,クロスサイトリクエストフォージェリの対策は秘密のトークンの確認などであり,GET メソッドを使うことは対策にならない。エは誤りで,セッション ID を固定するとセッションハイジャックの危険が高まり,ログイン後に新しいセッション ID を発行するなどの対策が必要である。
SQL インジェクションとプレースホルダ
入力を文字列としてつなげて SQL 文を作ると,入力の「' OR '1'='1」が文の一部になり,条件が常に真になって全員の行が返る。プレースホルダを使うと SQL 文の形が先に決まり,入力はまるごと1つの値として当てはめられるので,命令として解釈されない。
文字列をつなげて SQL 文を作ると
入力:' OR '1'='1
SELECT * FROM 会員 WHERE id = '' OR '1'='1 '
入力の引用符で文が閉じ,OR 以下が条件に加わる → 常に真で全員分が返る
プレースホルダを使うと
SELECT * FROM 会員 WHERE id = ?
形が先に決まる
' OR '1'='1
← 1つの値として入る
入力
「id が ' OR '1'='1 の会員」を探すだけになる
根本の対策は,SQL 文の形を先に確定させるプレースホルダ
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
ウイルス検知手法の一つであるビヘイビア法を説明したものはどれか。
ア ウイルスの特徴的なコード列が検査対象プログラム内に存在するかどうかを調べて,もし存在していればウイルスとして検知する。
イ 各ファイルに,チェックサム値などウイルスではないことを保証する情報を付加しておき,もし保証する情報が検査対象ファイルに付加されていないか無効ならば,ウイルスとして検知する。
ウ 検査対象ファイルのハッシュ値と,安全な場所に保管してあるその対象の原本のハッシュ値を比較して,もし異なっていればウイルスとして検知する。
エ 検査対象プログラムを動作させてその挙動を監視し,もしウイルスによく見られる行動を起こせばウイルスとして検知する。 正解
正解 エ
解説
ビヘイビア法(動的ヒューリスティック法)は,検査対象のプログラムをサンドボックスなどの隔離した環境で実際に動作させ,ファイルの書換えや不審な通信などウイルスによく見られる振る舞いを起こすかどうかを観察して検知する手法である。未知のウイルスにも対応できる。エが該当する。
アはウイルス定義ファイル(シグネチャ)と照合するパターンマッチング法である。イはファイルにチェックサムなどを付けておいて改変の有無を調べるチェックサム法である。ウは原本のハッシュ値と比べて改変の有無を調べるコンペア法である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
自社の中継用メールサーバで,接続元 IP アドレス,電子メールの送信者のドメイン名及び電子メールの受信者のドメイン名のログを取得するとき,外部ネットワークからの第三者中継と判断できるログはどれか。ここで,AAA.168.1.5 と AAA.168.1.10 は自社のグローバル IP アドレスとし,BBB.45.67.89 と BBB.45.67.90 は社外のグローバル IP アドレスとする。a.b.c は自社のドメイン名とし,a.b.d と a.b.e は他社のドメイン名とする。また,IP アドレスとドメイン名は詐称されていないものとする。
ア 接続元 IP アドレス AAA.168.1.5,送信者のドメイン名 a.b.c,受信者のドメイン名 a.b.d
イ 接続元 IP アドレス AAA.168.1.10,送信者のドメイン名 a.b.c,受信者のドメイン名 a.b.c
ウ 接続元 IP アドレス BBB.45.67.89,送信者のドメイン名 a.b.d,受信者のドメイン名 a.b.e 正解
エ 接続元 IP アドレス BBB.45.67.90,送信者のドメイン名 a.b.d,受信者のドメイン名 a.b.c
正解 ウ
解説
第三者中継は,メールサーバが外部から受けた,自社と関係のない者どうしのメールを中継してしまうことである。接続元が社外の IP アドレス(BBB.45.67.89)で,送信者のドメイン名も受信者のドメイン名も他社(a.b.d と a.b.e)のログは,社外から他社宛に自社のメールサーバを使って送られており,第三者中継と判断できる。ウが正しい。
アは自社の IP アドレス(AAA.168.1.5)から自社のドメイン(a.b.c)の送信者が他社(a.b.d)へ送るもので,自社の利用者の通常の送信である。イは自社内どうしのメールである。エは社外から他社(a.b.d)の送信者が自社(a.b.c)宛に送るもので,自社が受信者となる通常の受信である。
第三者中継(オープンリレー)の禁止
自組織と関係ない送信元から,関係ない宛先へのメールまで中継してしまう SMTP サーバ(オープンリレー)は,迷惑メールの踏み台にされる。送信元か宛先のどちらかが自組織のメールだけを中継し,第三者中継を禁止する。
自組織の
SMTP サーバ
外部 → 外部
自組織が関係
中継する
外部から外部へのメールは中継を禁止
自組織に関係のないメールは中継しない
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
UML で用いる図のうち,オブジェクト間で送受信するメッセージによる相互作用が表せるものはどれか。
ア コンポーネント図
イ シーケンス図 正解
ウ ステートチャート図
エ ユースケース図
正解 イ
解説
シーケンス図は,オブジェクト(又はアクタ)を横に並べ,その間で送受信するメッセージを時間の順に上から下へ矢印で並べて,オブジェクト間の相互作用を表す図である。イが正しい。
アのコンポーネント図は,ソフトウェアの部品(コンポーネント)とその依存関係を表す。ウのステートチャート図は,オブジェクトの状態と状態の遷移を表す。エのユースケース図は,システムの利用者(アクタ)とシステムが提供する機能との関係を表す。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
ソフトウェアの要件定義や分析・設計で用いられる技法に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 決定表は,条件と処理を対比させた表形式で論理を表現したものであり,複雑な条件判定を伴う要件定義の記述手段として有効である。 正解
イ 構造化チャートは,システムの“状態”の種別とその状態が遷移するための“要因”との関係を分かりやすく表現する手段として有効である。
ウ 状態遷移図は,DFD に“コントロール変換とコントロールフロー”を付加したものであり,制御系システムに特有な処理を表現する手段として有効である。
エ 制御フロー図は,データの“源泉,吸収,流れ,処理,格納”を基本要素としており,システム内のデータの流れを表現する手段として有効である。
正解 ア
解説
決定表(デシジョンテーブル)は,条件とその組合せ,それに対応する処理を表形式で対比させて論理を表現するもので,複雑な条件判定を漏れなく整理できるため,要件定義の記述手段として有効である。アが適切である。
イの“状態”とその遷移の“要因”との関係を表すのは状態遷移図で,構造化チャートはプログラムの階層構造を表す図である。ウの DFD にコントロール変換とコントロールフローを付加したものは,リアルタイムシステムの分析に使う制御フロー図(拡張 DFD)で,状態遷移図ではない。エのデータの源泉,吸収,流れ,処理,格納を基本要素とするのは DFD(データフロー図)である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
ソフトウェアの再利用の説明のうち,適切なものはどれか。
ア 再利用可能な部品の開発は,同一規模の通常のソフトウェアを開発する場合よりも工数がかかる。 正解
イ 同一機能のソフトウェアを開発するとき,一つの大きい部品を再利用するよりも,複数の小さい部品を再利用する方が,開発工数の削減効果は大きい。
ウ 部品の再利用を促進するための表彰制度などによるインセンティブの効果は,初期においては低いが,時間の経過とともに高くなる。
エ 部品を再利用したときに削減できる工数の比率は,部品の大きさに反比例する。
正解 ア
解説
再利用できる部品は,特定のシステムだけでなく,いろいろなシステムで使えるように汎用的に作り,文書やテストも整えなければならない。そのため,同じ規模の通常のソフトウェアを開発するよりも工数がかかる。アが適切である。
イは逆で,再利用する部品が大きいほど開発を省ける範囲が広く,複数の小さい部品を組み合わせるよりも削減効果は大きい。エも同様に,削減できる工数の比率は部品が大きいほど高くなり,反比例しない。ウの表彰制度などのインセンティブは,再利用が根付いていない初期にこそ効果が大きく,定着するにつれて薄れるので,逆である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
CMMI を説明したものはどれか。
ア ソフトウェア開発組織及びプロジェクトのプロセスの成熟度を評価するためのモデルである。 正解
イ ソフトウェア開発のプロセスモデルの一種である。
ウ ソフトウェアを中心としたシステム開発及び取引のための共通フレームのことである。
エ プロジェクトの成熟度に応じてソフトウェア開発の手順を定義したモデルである。
正解 ア
解説
CMMI(Capability Maturity Model Integration,能力成熟度モデル統合)は,ソフトウェア開発組織やプロジェクトのプロセスがどれだけ成熟しているかを,5段階のレベルで評価するためのモデル。アが正しい。
イのプロセスモデルはウォータフォールモデルやスパイラルモデルのような開発の進め方の型のこと。ウの共通フレームは,システム開発や取引で使う作業内容や用語をそろえた枠組み(SLCP-JCF)。エは成熟度に応じて開発手順を定義するものではなく,CMMI は手順そのものを規定しない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
SOA(Service Oriented Architecture)の説明はどれか。
ア Web サービスを利用するためのインタフェースやプロトコルを規定したものである。
イ XML を利用して,インターネット上に存在する Web サービスを検索できる仕組みである。
ウ 業務機能を提供するサービスを組み合わせることによって,システムを構築する考え方である。 正解
エ サービス提供者と委託者との間でサービスの内容,範囲及び品質に対する要求水準を明確にして,あらかじめ合意を得ておくことである。
正解 ウ
解説
SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務上の機能をサービスという単位の部品として用意し,それらを組み合わせてシステムを構築する考え方である。サービスは標準化されたインタフェースで呼び出されるので,変化に合わせて組み替えたり再利用したりしやすい。ウが正しい。
アは Web サービスのインタフェースを記述する WSDL や,メッセージを交換する SOAP などの Web サービスの規格の説明である。イは Web サービスを登録・検索する UDDI,エは SLA(サービスレベル合意)の説明である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
プログラムの著作権侵害に該当するものはどれか。
ア A 社が開発したソフトウェアの公開済プロトコルに基づいて,A 社が販売しているソフトウェアと同等の機能をもつソフトウェアを独自に開発して販売した。
イ ソフトウェアハウスと使用許諾契約を締結し,契約上は複製権の許諾は受けていないが,使用許諾を受けたソフトウェアにはプロテクトがかけられていたので,そのプロテクトを外し,バックアップのために複製した。 正解
ウ 他人のソフトウェアを正当な手段で入手し,逆コンパイルを行った。
エ 複製及び改変する権利が付与されたソース契約の締結によって,許諾されたソフトウェアを改造して製品に組み込み,ソース契約の範囲内で製品を販売した。
正解 イ
解説
使用許諾契約で複製権の許諾を受けていないのに,ソフトウェアにかけられていたプロテクト(技術的保護手段)を外して複製すると,著作権の侵害になる。著作権法第30条第1項第2号は,技術的保護手段を回避して行う複製を,私的使用の目的であっても認めていない。イが該当する。
アの公開されたプロトコルに基づいて同等の機能をもつソフトウェアを独自に開発することは,プログラムの表現を複製していないので侵害にならない(プロトコルは著作権法第10条第3項により保護の対象外)。ウの正当に入手したソフトウェアの逆コンパイルは,解析のための行為として直ちに侵害とはされない。エは契約で許諾された複製や改変の範囲内での改造と販売で,侵害にならない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
日本において特許 A を取得した特許権者から,実施許諾を受けることが必要になり得るのはどれか。
ア 出願日から 25 年を超えた特許 A と同じ技術を,新たに事業化する場合
イ 特許 A の出願日より前から,特許 A と同じ技術を独自に開発して,製品を製造・販売していたことが証明できる場合
ウ 特許 A を家庭内で個人的に利用するだけの場合
エ 日本国内で製造し,米国に輸出する製品に特許 A を利用する場合 正解
正解 エ
解説
特許権者は,業として特許発明の実施をする権利を専有する(特許法 68 条)。物の生産は実施に当たる(同法 2 条 3 項)ので,日本国内で製品を製造すれば,米国へ輸出する製品であっても,特許権の及ぶ日本国内での実施になり,特許権者から実施許諾を受ける必要がある。エが該当する。
アの出願日から 25 年を超えた特許は,存続期間(出願日から 20 年)を過ぎて権利が消滅しているので,許諾が要らない。イは,特許出願の際に既に日本国内でその発明を実施していた者に認められる先使用による通常実施権(79 条)があるので,許諾が要らない。ウの家庭内で個人的に利用するだけの場合は,“業として”の実施に当たらないので,許諾が要らない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
WBS(Work Breakdown Structure)を利用する効果として,適切なものはどれか。
ア 作業の内容や範囲が体系的に整理でき,作業の全体が把握しやすくなる。 正解
イ ソフトウェア,ハードウェアなど,システムの構成要素を効率よく管理できる。
ウ プロジェクト体制を階層的に表すことによって,指揮命令系統が明確になる。
エ 要員ごとに作業が適正に配分されているかどうかが把握できる。
正解 ア
解説
WBS は,プロジェクトで行う作業や作成する成果物を,管理しやすい大きさまで階層的に分解して表したものである。作業の内容や範囲が体系的に整理され,漏れや重複を防ぎ,作業の全体を把握しやすくなる。アが適切である。
イのシステムの構成要素の管理は構成管理。ウのプロジェクト体制を階層的に表して指揮命令系統を明確にするのは,組織ブレークダウンストラクチャ(OBS)などの体制図。エの要員ごとの作業配分の把握は,責任分担マトリックスや資源ヒストグラムの役割である。
WBS とワークパッケージ
WBS(作業分解構成図)は,プロジェクトの成果物と作業を,管理できる大きさまで階層的に分解したもの。いちばん下の要素がワークパッケージで,これを単位に費用や期間を見積もり,担当を決めて管理する。上の要素は下の要素の合計(100%ルール)。
システム開発
設計
WP
WP
製造
WP
WP
テスト
WP
WP
WP:ワークパッケージ(費用・期間・担当を決める単位)
いちばん下がワークパッケージ。見積りと管理の単位
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
図のアローダイアグラムから読み取れることのうち,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日は 0 日目とする。
ア 作業 C を最も早く開始できるのは5日目である。
イ 作業 D はクリティカルパス上の作業である。
ウ 作業 E の余裕日数は30日である。 正解
エ 作業 F を最も遅く開始できるのは10日目である。
正解 ウ
解説
開始日を0日目として,各結合点に最も早く到達できる日数を求める。A の後の結合点には,A 経由の5日と,B からのダミー作業経由の10日のうち遅い10日で到達する。そこから C の後が30日,E の後と F の後が合流する結合点は 10+10=20日,H の手前は G 経由 30+20=50日,D 経由 10+30=40日,ダミー作業経由20日のうち50日で,全体は60日になる。
逆に最も遅く到達すればよい日数は,H の手前が50日,E と F の合流点も(ダミー作業でつながるので)50日である。E は最も早く10日目に開始でき,最も遅くは 50−10=40日目に開始すればよいので,余裕日数は30日となり,ウが正しい。
アの C の最早開始は5日目ではなく10日目。イの D は 10+30=40日で H の手前に着くが最も遅くは50日でよく,余裕が10日あるのでクリティカルパス上にない(クリティカルパスは B,ダミー,C,G,H)。エの F の最遅開始は 50−10=40日目である。
アローダイアグラムから最早・最遅・余裕を読む
C・D・E が出る結合点は B とダミー作業の後なので最早 10 日。クリティカルパスは B→ダミー→C→G→H の 60 日。E は最早 10 日に始められ,E と F が入る結合点の最遅が 50 日なので,最遅開始は 40 日,余裕は 30 日。D は 10+30=40 日に着くが最遅は 50 日なので余裕 10 日でクリティカルではない。
A 5
B 10
C 20
D 30
E 10
G 20
F 10
H 10
0 / 0
5 / 5
10 / 35
25 / 25
20 / 45
45 / 45
55 / 55
E:最早開始 10,最遅開始 50−10=40 → 余裕 30 日
余裕=最遅開始−最早開始。ダミー作業の先も最遅は同じ値になる
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
プロジェクト管理においてパフォーマンス測定に使用する EVM の管理対象の組みはどれか。
ア コスト,スケジュール 正解
イ コスト,リスク
ウ スケジュール,品質
エ 品質,リスク
正解 ア
解説
EVM(Earned Value Management)は,作業の出来高を金額に換算した EV(アーンドバリュー)を軸に,計画値 PV と実コスト AC を比べることで,スケジュールの進み遅れとコストの超過・節約を同じ土俵で測る手法。管理対象はコストとスケジュールなのでアが正しい。
EV と PV の差がスケジュール差異,EV と AC の差がコスト差異になる。イ・ウ・エに含まれるリスクや品質は,EVM の数値からは直接測れず,別の手法で管理する対象である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
プロジェクトの品質マネジメントにおいて,プロセスが安定しているかどうか,又はパフォーマンスが予測のとおりであるかどうかを判断するために用いるものであって,許容される上限と下限が設定されているものはどれか。
ア 管理図 正解
イ 実験計画法
ウ 流れ図
エ ベンチマーク
正解 ア
解説
管理図は,プロセスの状態を時間の順に打点した図で,中心線のほかに,許容される上限(上方管理限界)と下限(下方管理限界)を設定する。点が限界内にあるかどうかや並び方を見て,プロセスが安定しているか,パフォーマンスが予測どおりかを判断する。アが正しい。
イの実験計画法は,要因の組合せを統計的に設計して効率よく実験する手法。ウの流れ図は,処理や作業の流れを表す図。エのベンチマークは,他社や他のプロジェクトの実績と比較して基準にする手法で,いずれも上限と下限を設定して安定性を判断するものではない。
管理図
工程の測定値を時間の順に打ち,中心線と上下の管理限界線を引く。点が管理限界の外に出たら異常。限界の内側でも,中心線の片側に連続して7点以上並ぶ(連)や,続けて上がり続けるなどの“くせ”があれば,工程に何らかの原因が働いていると考えて調べる。
上方管理限界
中心線
下方管理限界
中心線より上に7点続く → 異常を疑う
限界の外だけでなく,片側に7点続く“くせ”も異常のサイン
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
IT サービスマネジメントにおけるインシデント管理の主な活動はどれか。
ア インシデントから発生する問題の解決策の評価
イ インシデントの解決とサービスの復旧 正解
ウ インシデントの根本原因の究明
エ インシデントのトレンド分析と予防措置
正解 イ
解説
インシデント管理は,サービスの中断や品質の低下(インシデント)が発生したときに,合意したサービスレベルに従ってできるだけ早くインシデントを解決し,サービスを復旧させることを目的とするプロセスである。イが主な活動に当たる。
アの問題の解決策の評価,ウのインシデントの根本原因の究明,エのインシデントのトレンド分析と予防措置は,いずれもインシデントの根本原因を取り除いて再発を防ぐ問題管理の活動である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
IT サービスマネジメントの可用性管理の KPI として用いるものはどれか。
ア 災害を想定した復旧テストの回数
イ サービスの中断回数 正解
ウ 性能不足に起因するインシデントの数
エ 目標を達成できなかった SLA の項目数
正解 イ
解説
可用性管理は,IT サービスが合意した可用性の目標を満たすように管理する。可用性と信頼性の管理に関わる KPI としては,サービスの中断回数やその削減の度合いが用いられる。イが適切である。
アの災害を想定した復旧テストの回数は IT サービス継続性管理,ウの性能不足に起因するインシデントの数はキャパシティ管理,エの目標を達成できなかった SLA の項目数はサービスレベル管理の KPI である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
システム監査人が負う責任はどれか。
ア 監査結果の外部への開示
イ 監査対象システムの管理
ウ 監査報告会で指摘した問題点の改善
エ 監査報告書に記載した監査意見 正解
正解 エ
解説
システム監査人は,監査の結果に基づいて監査報告書に記載した監査意見(結論,指摘事項,改善提案など)について責任を負う。エが正しい。
アの監査結果を外部に開示するかどうかは,監査を依頼した経営者などが判断する。イの監査対象システムの管理と,ウの指摘した問題点の改善は,監査対象部門(被監査部門)の責任であり,監査人がこれらを行うと独立性を損なう。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
事業継続計画(BCP)について監査を実施した結果,適切な状況と判断されるものはどれか。
ア 従業員の緊急連絡先リストを作成し,最新版に更新している。 正解
イ 重要書類は複製せずに一か所で集中保管している。
ウ 全ての業務について,優先順位なしに同一水準の BCP を策定している。
エ 平時には BCP を従業員に非公開としている。
正解 ア
解説
事業継続計画(BCP)は,災害などの被害を受けても重要な事業を継続するための計画で,緊急時に連絡が取れるよう,従業員の緊急連絡先リストを作成して最新版に更新しておくのは適切な状況である。アが正しい。
イは,重要書類を1か所で集中保管すると,被災したときに失われるので,複製して別の場所にも保管するのが適切。ウは,全ての業務を同一水準で計画せず,重要な業務に優先順位を付けて策定するのが適切。エは,BCP は平時から従業員に周知し,教育や訓練を行うのが適切である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
業務システムの利用登録をするために,利用者登録フォーム画面(図 1)から登録処理を行ったところ,エラー画面(図 2)が表示され,再入力を求められた。このコントロールはどれか。
ア アクセスコントロール
イ エディットバリデーションチェック 正解
ウ コントロールトータルチェック
エ プルーフリスト
正解 イ
解説
エディットバリデーションチェックは,入力データの形式や範囲,必須項目の入力漏れなどを,入力の時点で検査するコントロールである。郵便番号が半角数字か,住所が入力されているか,生年月日が西暦かを検査してエラーを返す図 2 の動作が該当する。イが正しい。
アのアクセスコントロールは,利用者の権限に基づいて資源の利用を制限する。ウのコントロールトータルチェックは,件数や金額の合計などの集計値が処理の前後で一致するかを確認する。エのプルーフリストは,入力したデータを一覧にして出力し,原票と突き合わせて確認するための帳票である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
営業債権管理業務に関する内部統制のうち,適切なものはどれか。
ア 売掛金回収条件の設定は,営業部門ではなく,審査部門が行っている。 正解
イ 売掛金の消込み入力と承認処理は,販売を担当した営業部門が行っている。
ウ 顧客ごとの与信限度の決定は,審査部門ではなく,営業部門の責任者が行っている。
エ 値引き・割戻し処理は,取引先の実態を熟知している営業部門の担当者が行っている。
正解 ア
解説
内部統制では,不正や誤りを防ぐために,業務を担当する部門と,その業務を牽制する部門の職務を分離することが重要である。売掛金の回収条件を,販売を担当する営業部門ではなく審査部門が設定していれば,営業部門が売上を優先して不利な条件で取引することを牽制できる。アが適切である。
イの消込み入力と承認処理,ウの与信限度の決定,エの値引きや割戻しの処理を,いずれも取引を担当する営業部門が自ら行っていると,担当者による不正や誤りを他の部門が発見できず,職務の分離がなされていない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
エンタープライズアーキテクチャ(EA)を説明したものはどれか。
ア オブジェクト指向設計を支援する様々な手法を統一して標準化したものであり,クラス図などのモデル図によってシステムの分析や設計を行うための技法である。
イ 概念データモデルを,エンティティ,リレーションシップで表現することによって,データ構造やデータ項目間の関係を明らかにするための技法である。
ウ 各業務と情報システムを,ビジネス,データ,アプリケーション,テクノロジの四つの体系で分析し,全体最適化の観点から見直すための技法である。 正解
エ 企業のビジネスプロセスを,データフロー,プロセス,ファイル,データ源泉/データ吸収の四つの基本要素で抽象化して表現するための技法である。
正解 ウ
解説
エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネス(政策・業務体系),データ(データ体系),アプリケーション(適用処理体系),テクノロジ(技術体系)の四つの体系で整理・分析し,全体最適化の観点から見直すための手法である。ウが該当する。
アはオブジェクト指向の分析・設計の表記法を統一した UML,イはエンティティとリレーションシップでデータ構造を表す E-R 図(ERD),エはデータフロー,プロセス,ファイル(データストア),データ源泉/データ吸収で業務の流れを表す DFD の説明である。
エンタープライズアーキテクチャ(EA)の4つの体系
EA は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネス(政策・業務体系),データ(データ体系),アプリケーション(適用処理体系),テクノロジ(技術体系)の4つの体系で整理する。それぞれの現状(As-Is)と理想(To-Be)を描き,その差を埋める移行計画で全体最適を図る。
現状(As-Is)
理想(To-Be)
ビジネス
政策・業務体系
データ
データ体系
アプリケーション
適用処理体系
テクノロジ
技術体系
差を埋める移行計画
4つの体系ごとに現状と理想を描き,移行計画を立てる
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
BPO を説明したものはどれか。
ア 企業内の業務全体を対象として,業務プロセスを抜本的に見直すことによって,品質・コスト・スピードを改善し,競争優位性を確保すること
イ 災害や事故で被害を受けても,重要事業を中断させない,又は可能な限り中断期間を短くする仕組みを構築すること
ウ 社内業務のうちコアビジネス以外の業務の一部又は全部を,情報システムと併せて外部に委託することによって,経営資源をコアビジネスに集中させること 正解
エ プロジェクトを,戦略との適合性や費用対効果,リスクといった観点から評価を行い,情報化投資のバランスを管理し,最適化を図ること
正解 ウ
解説
BPO(Business Process Outsourcing)は,自社の中核ではない業務プロセスを,その分野を専門とする外部企業にまとめて委託すること。人事・経理・コールセンターなどが対象になりやすい。ウが正しい。
アは業務プロセスを抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)。イは災害や事故でも重要事業を中断させない,又は早期に復旧させる仕組みを作る BCP(事業継続計画)や BCM。エはプロジェクトを評価して情報化投資の配分を最適化する IT ポートフォリオマネジメントの説明である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
一般企業において,社内業務システムの活用を促進するために,全社員の情報リテラシを向上させる施策はどれか。
ア 各部門固有の様々な要求に応えることを目指し,システム開発力を向上させるために,社員一人一人のプログラミング能力の習熟を図る。
イ 業務に必要となるデータの収集・加工・発信を適切に実施することを目指し,コンピュータやネットワークを有効に利用する能力の習熟を図る。 正解
ウ 社内業務の内容を深く理解することを目指し,経理関係の知識に重点を置き,簿記の資格取得を義務付ける。
エ データの入力時間を短縮し,システムの稼働率を高めるために,キーボードの打鍵操作の速度を競うインセンティブを設定する。
正解 イ
解説
情報リテラシは,情報を適切に収集・加工・発信するために,コンピュータやネットワークを有効に利用する能力である。業務に必要なデータの収集・加工・発信を適切に行うことを目指し,この能力の習熟を図るイが,全社員の情報リテラシを向上させる施策である。
アのプログラミング能力は,システム開発の担当者に求める技能で,全社員に習熟させる必要はない。ウの簿記は経理の知識で,情報を活用する能力とは別である。エのキーボードの打鍵速度を競わせても,入力が速くなるだけで,情報を活用する能力の向上にはつながらない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
非機能要件に該当するものはどれか。
ア 新しい業務の在り方をまとめた上で,業務上実現すべき要件
イ 業務の手順や入出力情報,ルールや制約などの要件
ウ 業務要件を実現するために必要なシステムの機能に関する要件
エ ソフトウェアの信頼性,効率性など品質に関する要件 正解
正解 エ
解説
非機能要件は,システムが提供する機能そのものではなく,信頼性,効率性(性能),使用性,保守性,セキュリティなど,品質や性能,運用に関する要件である。ソフトウェアの信頼性や効率性など品質に関する要件のエが該当する。
アの新しい業務の在り方と業務上実現すべき要件,イの業務の手順や入出力情報,ルールや制約は業務要件。ウの業務要件を実現するために必要なシステムの機能に関する要件は機能要件である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
RFI を説明したものはどれか。
ア サービス提供者と顧客との間で,提供するサービスの内容,品質などに関する保証範囲やペナルティについてあらかじめ契約としてまとめた文書
イ システムの調達に際して,調達側から技術的要件やサービスレベル要件を提示し,ベンダに対して,指定した期限内で効果的な実現策の提案を依頼する文書
ウ ユーザ要件を実現するために,現在の状況において利用可能な技術・製品,ベンダにおける導入実績など実現手段に関する情報提供をベンダに依頼する文書 正解
エ 要件定義との整合性を図り,ユーザと開発要員及び運用要員の共有物とするために,業務処理の概要,入出力情報の一覧,データフローなどをまとめた文書
正解 ウ
解説
RFI(Request For Information:情報提供依頼書)は,システム化を検討する初期の段階で,利用可能な技術や製品,導入実績などの情報の提供をベンダに依頼する文書である。集めた情報を基に要件を固め,その後に提案を求める。ウが正しい。
アはサービスの内容や品質の保証範囲,ペナルティを取り決める SLA(サービスレベル合意書)。イは要件を提示して期限内に実現策の提案を依頼する RFP(提案依頼書)。エは業務処理の概要や入出力情報,データフローをまとめ,ユーザと開発・運用の要員が共有する設計書(外部設計書など)の説明である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
半導体ファブレス企業の説明として,適切なものはどれか。
ア 委託者の依頼を受けて,自社工場で半導体製造だけを行う。
イ 自社で設計し,自社工場で生産した製品を相手先ブランドで納入する。
ウ 自社内で回路設計から製造まで全ての設備をもち,自社ブランド製品を販売する。
エ 製品の企画,設計及び開発は行うが,半導体製造の工場は所有しない。 正解
正解 エ
解説
ファブレス企業は,製品の企画・設計・開発は自社で行うが,製造のための工場(fab)をもたず,生産はファウンドリなどの外部に委託する。エが正しい。設備投資の負担を負わずに済むので,設計や開発に資源を集中できる。
アは他社の依頼を受けて製造だけを請け負うファウンドリ。イは相手先ブランドで製造・納入する OEM。ウは設計から製造まで自社で一貫して行う IDM(垂直統合型メーカ)の説明である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
企業の競争戦略におけるフォロワ戦略はどれか。
ア 上位企業の市場シェアを奪うことを目標に,製品,サービス,販売促進,流通チャネルなどのあらゆる面での差別化戦略をとる。
イ 潜在的な需要がありながら,大手企業が参入してこないような専門特化した市場に,限られた経営資源を集中する。
ウ 目標とする企業の戦略を観察し,迅速に模倣することで,開発や広告のコストを抑制し,市場での存続を図る。 正解
エ 利潤,名声の維持・向上と最適市場シェアの確保を目標として,市場内の全ての顧客をターゲットにした全方位戦略をとる。
正解 ウ
解説
フォロワは,市場で上位企業に追随する立場の企業である。目標とする企業の戦略を観察して迅速に模倣することで,開発や広告に掛かるコストを抑え,市場での存続を図る。ウが該当する。
アの上位企業のシェアを奪うことを目標にあらゆる面で差別化を図るのはチャレンジャの戦略。イの大手が参入しない専門特化した市場に経営資源を集中するのはニッチャの戦略。エの利潤や名声の維持と最適シェアの確保を目標に全ての顧客を狙う全方位戦略はリーダの戦略である。
競争地位別の戦略(コトラー)
経営資源の量と質で4つに分ける。リーダは市場全体を広げ,全方位でシェアを守る。チャレンジャはリーダのシェアを奪うため,あらゆる面で差別化する。フォロワは上位企業をすばやく模倣してコストを抑える。ニッチャは大手が狙わない特定の顧客・製品に資源を集中して専門化する。
リーダ
市場拡大・全方位
チャレンジャ
差別化でシェアを奪う
ニッチャ
特定の顧客・製品に集中
フォロワ
模倣してコストを抑える
質 高
質 低
量 大
量 小
経営資源の量(大・小)と質(高・低)
ニッチャは特定のセグメントに集中,フォロワは模倣
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
アンゾフの成長マトリクスにおける多角化戦略に当てはまるものはどれか。
ア 新たな機能を付加した製品や新規に開発した製品を,現在の市場に投入する。
イ 技術開発,業務提携,M&A などで,新たな製品や市場での成長の機会を求める。 正解
ウ 現在の市場で現有製品の広告,宣伝を強化し,顧客の購入頻度や購入量を増やす。
エ 現有製品で海外市場に進出し,新たな市場セグメントの開拓を図る。
正解 イ
解説
アンゾフの成長マトリクスは,製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の組合せで成長戦略を四つに分類する。新たな製品を新たな市場に投入する多角化戦略はイが該当する。技術開発や業務提携,M&A などは,自社にない製品や市場を手に入れる手段としてよく用いられる。
アの新製品を現在の市場に投入するのは新製品開発戦略,ウの現在の市場で現有製品の販売を伸ばすのは市場浸透戦略,エの現有製品を新たな市場に投入するのは新市場開拓戦略である。
アンゾフの成長マトリクス
製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の組合せで成長の戦略を4つに分ける。既存の製品を既存の市場でもっと売るのが市場浸透,既存の製品を新しい市場に売るのが市場開拓(新市場開拓),新しい製品を既存の市場に出すのが製品開発(新製品開発),新しい製品で新しい市場に出るのが多角化。
製品
既存
新規
市場
既存
新規
市場浸透
今の製品を今の市場で
製品開発
新しい製品を今の市場に
市場開拓
今の製品を新しい市場に
多角化
新しい製品で新しい市場へ
製品と市場のどちらを新しくするか
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
施策案 a〜d のうち,利益が最も高くなるマーケティングミックスはどれか。ここで,広告費と販売促進費は固定費とし,1 個当たりの変動費は 1,000 円とする。
正解 ウ
解説
利益=(価格−変動費)×売上数量−(広告費+販売促進費)で求める(単位は千円)。a は(1.6−1.0)×12,000−(1,000+1,000)=7,200−2,000=5,200,b は 0.6×20,000−(1,000+5,000)=12,000−6,000=6,000,c は(2.4−1.0)×6,000−(1,000+1,000)=8,400−2,000=6,400,d は 1.4×8,000−(5,000+1,000)=11,200−6,000=5,200 となり,最も高いのは c で,ウが正しい。
ア(a)と エ(d)は 5,200 千円で等しく,イ(b)は 6,000 千円で c に及ばない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
技術は,理想とする技術を目指す過程において,導入期,成長期,成熟期,衰退期,そして次の技術フェーズに移行するという進化の過程をたどる。この技術進化過程を表すものとして,適切なものはどれか。
ア 技術の S カーブ 正解
イ 需要曲線
ウ バスタブ曲線
エ ラーニングカーブ
正解 ア
解説
技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,導入期には努力の割に性能の向上が緩やかだが,成長期に急速に進歩し,成熟期には限界に近づいて進歩が鈍り,やがて衰退して次の技術に移行していく。進歩を時間などに対して描くと S 字形になる。アが適切である。
イの需要曲線は価格と需要量の関係を表す曲線。ウのバスタブ曲線は時間の経過に対する故障率の変化を表す曲線。エのラーニングカーブ(学習曲線)は経験を積むほど作業効率が上がりコストが下がる関係を表す曲線である。
技術の S カーブ
技術の性能は,導入の初めは努力の割に伸びが小さく,ある時点から急に伸び,やがて限界に近づいて伸びが鈍る(S 字)。成熟した技術に努力を続けても伸びは小さいので,新しい技術の S カーブに乗り換える時期を見極める。
研究開発の努力(時間)
性能
導入期
成長期
成熟期
新しい技術
乗り換え
導入期は緩やか,成長期に急伸,成熟期に頭打ち。次の技術へ乗り換える
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
我が国における,社会システムとしてのスマートコミュニティの特徴はどれか。
ア 医療データの保存に関して従来手書きであったカルテが電子媒体に記録される。
イ 国民の個人情報を登録しておくことで,転入や転出手続などの行政サービスを簡略化できる。
ウ 再生可能エネルギーを地域内で有効活用するために,各家庭やオフィス,交通機関など地域活動全体のエネルギー使用状況を管理する。 正解
エ 有料道路の出口では無線通信によって自動的に料金計算が行われる。
正解 ウ
解説
スマートコミュニティは,再生可能エネルギーなどを活用し,ICT によって電力の需給を管理するスマートグリッドを核に,熱や交通なども含めて,地域全体のエネルギー使用を効率的に管理する次世代の社会システムである。各家庭やオフィス,交通機関などのエネルギー使用状況を管理して再生可能エネルギーを地域内で活用するウが,その特徴に当たる。
アは電子カルテ(医療の IT 化),イは住民基本台帳などを利用した行政サービスの電子化,エは ETC(自動料金収受システム)の説明で,いずれもエネルギーの管理を核とするスマートコミュニティの特徴ではない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
PLM(Product Lifecycle Management)の目的はどれか。
ア NC 工作機械,自動搬送装置,倉庫などを有機的に結合し,コンピュータで集中管理することで多品種少量生産に対応できる生産の自動化を実現する。
イ 製品開発,製造,販売,保守,リサイクルに至る製造業のプロセスにおいて,製品に関連する情報を一元管理し,商品力向上やコスト低減を図る。 正解
ウ 製品の生産計画に基づいてその生産に必要な資材の所要量を展開し,これを基準にして資材の需要とその発注時期を算出する。
エ 部品の供給から製品の販売までの一連のプロセスの情報をリアルタイムで交換することによって,在庫の削減とリードタイムの短縮を実現する。
正解 イ
解説
PLM(Product Lifecycle Management,製品ライフサイクル管理)は,製品の企画・開発から製造,販売,保守,リサイクル(廃棄)に至るライフサイクル全体にわたって,設計データや部品構成などの製品に関連する情報を一元管理し,開発期間の短縮,商品力の向上,コストの低減を図る考え方である。イが該当する。
アは工作機械や搬送装置などをコンピュータで集中管理して多品種少量生産を自動化する FMS(フレキシブル生産システム)。ウは生産計画から資材の所要量と発注時期を算出する MRP(資材所要量計画)。エは部品の供給から販売までの情報を共有して在庫削減とリードタイム短縮を図る SCM(サプライチェーンマネジメント)の目的である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
製造業の A 社では,NC 工作機械を用いて,四つの仕事 a〜d を行っている。各仕事間の段取り時間は表のとおりである。合計の段取り時間が最小になるように仕事を行った場合の合計段取り時間は何時間か。ここで,仕事はどの順序で行ってもよく,a〜d を一度ずつ行うものとし,FROM から TO への段取り時間で検討する。
正解 ア
解説
各仕事を一度ずつ行う順序のうち,段取り時間の合計が最小になるものを探す。3 回の段取りがあるので,合計の最小は 3(すべて 1 時間)以上である。1 時間の段取りは,a→c,b→a,b→c の三つだけで,三つの仕事をつなぐ b→a→c(1+1=2)までしか作れず,d は他からの段取りが 2 時間以上掛かる。b→a→c→d の合計は 1+1+2=4 時間で,これが最小である。アが正しい。
他の順序,例えば a→c→b→d は 1+2+2=5 時間,a→b→c→d は 2+1+2=5 時間で,4 時間を下回るものはない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
EC(Electronic Commerce)における B to C に該当するものはどれか。
ア CALS
イ Web-EDI
ウ バーチャルカンパニー
エ バーチャルモール 正解
正解 エ
解説
B to C(Business to Consumer)は,企業と一般消費者との間の電子商取引である。バーチャルモールは,インターネット上に多数の店舗が集まった仮想の商店街で,消費者が商品を購入する形態であり,B to C に該当する。エが正しい。
アの CALS は,製品のライフサイクルにわたる情報を電子化して共有する取組み。イの Web-EDI は,Web を使った企業間の電子データ交換で,B to B に当たる。ウのバーチャルカンパニーは,複数の企業が協力して,あたかも一つの企業のように事業を行う形態である。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
親和図の特徴はどれか。
ア 原因と結果を対比させた図式表現であり,不良原因の追及に用いられる。
イ 錯綜した問題点や,まとまっていない意見,アイディアなどを整理し,まとめるために用いられる。 正解
ウ 二つ以上の変数の相互関係を表すのに役立つ。
エ 分布の形,目標値からのばらつき状態などから,製品の品質の状態が規格値に対して満足いくものかなどを判断するために用いられる。
正解 イ
解説
親和図は,新 QC 七つ道具の一つである。錯綜した問題点や,まとまっていない意見,アイディアなどの言語データを,内容の似たもの(親和性のあるもの)同士でグループにまとめて整理し,問題の構造を明らかにするために用いる。KJ 法と同様の考え方の手法である。イが該当する。
アは原因と結果の関係を表す特性要因図,ウは二つの変数の関係を点で表す散布図,エはデータの分布の形やばらつきを表すヒストグラムの特徴である。
親和図法
集めた事実やアイデア,意見などの言語データを1枚ずつカードに書き,内容の近いもの(親和性の高いもの)どうしを小さなグループにまとめて見出しを付ける。さらにグループどうしをまとめていき,問題の構造をはっきりさせる。新 QC 七つ道具の一つで,収束技法に当たる。
待ち時間が長い
カード
カード
カード
説明が分かりにくい
カード
カード
カード
設備が古い
カード
カード
カード
見出しの付いたグループを,さらにまとめていく
似たカードどうしをまとめ,見出しを付ける
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
国際的な標準として取り決められた会計基準であり,資本市場の国際化に対し,利害関係者からみた会計情報の比較可能性や均質性を担保するものはどれか。
正解 ウ
解説
IFRS(International Financial Reporting Standards,国際財務報告基準)は,国際的な標準として定められた会計基準で,国をまたいで企業の財務情報を比較しやすくし,会計情報の比較可能性や均質性を確保するためのものである。ウが正しい。
アの GAAP は“一般に公正妥当と認められた会計原則”を指し,米国基準(US GAAP)など国ごとの会計基準を表すのに使われる。イの IASB は IFRS を策定する国際会計基準審議会という組織,エの SEC は米国証券取引委員会という規制当局で,いずれも会計基準そのものではない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
販売価格が 12 万円の製品を製造するのに,表のような案 A と案 B がある。販売数量によって,どちらの案が有利かが決まる。案 A と案 B において,有利さが逆転する月間販売数量は何個か。
正解 ア
解説
案 A と案 B の利益を月間販売数量 x(個)で表すと,限界利益×x-固定費から,案 A は 5x-1,000,案 B は 7x-2,000(万円)。有利さが逆転するのは両者が等しいときで,5x-1,000=7x-2,000 より x=500 個。500 個より少ないと案 A,多いと案 B が有利になる。アが正しい。
イ(600),ウ(700),エ(800)は,いずれも案 B の方が有利な範囲にあり,逆転する点ではない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
ユーザから請負うソフトウェア開発を下請業者に委託する場合,下請代金支払遅延等防止法で禁止されている行為はどれか。
ア 交通費などの経費については金額を明記せず,実費負担とする旨を発注書面に記載する。
イ 下請業者に委託する業務内容は決まっているが,ユーザとの契約代金が未定なので,下請代金の取決めはユーザとの契約決定後とする。 正解
ウ 発注書面を交付する代わりに,下請業者の承諾を得て,必要な事項を記載した電子メールで発注を行う。
エ ユーザの事情で下請予定の業務内容の一部が未定なので,その部分及び下請代金は別途取り決める。
正解 イ
解説
下請代金支払遅延等防止法は,親事業者に対し,発注に当たって下請代金の額を含む必要事項を記載した書面(3条書面)を直ちに交付することを義務付けている。委託する業務内容が決まっているのに,自社とユーザとの契約が決まるまで下請代金を定めないという進め方は,代金を定められない正当な理由があるとはいえず,この義務に反する。イが禁止されている行為である。
アは,具体的な金額を書くことが難しいやむを得ない事情がある場合,金額を定めることとなる算定方法を記載すれば足りるとされているので問題ない。ウは,下請事業者の承諾を得れば電磁的方法(電子メールなど)による提供が認められている。エは,正当な理由で内容を定められない事項について,その理由と内容を定めることとなる予定期日を書いたうえで,定まり次第あらためて書面を交付することが認められている。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
請負契約に基づく開発作業はどれか。
ア 受注者が雇用する労働者に対して,受注者側監督者が業務遂行に関する指示を行い,開発作業を行わせる。 正解
イ 受注者が雇用する労働者に対して,発注者側監督者が服務規律の設定及び指示を行い,開発作業を行わせる。
ウ 発注者側監督者が,受注者の雇用する労働者に対して作業場所に関する指示を行い,開発作業を行わせる。
エ 発注者側監督者が,発注者の雇用する労働者に対して作業開始時刻及び終了時刻の指示を与え,開発作業を行わせる。
正解 ア
解説
請負契約では,受注者が自ら雇用する労働者に対して,業務の遂行方法や労働時間,服務規律などを自分の責任で指示し,管理する。発注者は受注者の労働者に直接の指揮命令をしない。受注者の監督者が受注者の労働者に業務遂行の指示を行うアが,請負契約に基づく開発作業である。この区分は,昭和61年労働省告示第37号(労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準)にも示されている。
イとウは,発注者側の監督者が受注者の労働者に服務規律の設定や作業場所の指示をしており,発注者が指揮命令する労働者派遣(偽装請負)の形になる。エは発注者の監督者が発注者自身の労働者に指示するもので,発注者の社内の業務であり,請負契約に基づく作業ではない。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
ソフトウェアやデータに瑕疵がある場合に,製造物責任法の対象となるものはどれか。
ア ROM 化したソフトウェアを内蔵した組込み機器 正解
イ アプリケーションが CD-ROM に入ったソフトウェアパッケージ
ウ 利用者が OS をインストールした PC
エ 利用者によってネットワークからダウンロードされたデータ
正解 ア
解説
製造物責任法(PL 法)の対象になる“製造物”は,製造又は加工された動産である(同法 2 条 1 項)。ソフトウェアを ROM 化して組み込んだ機器は動産に当たり,その欠陥(問題文でいう瑕疵)によって損害が生じたときは製造物責任を問われうる。アが該当する。
ソフトウェア単体(イのパッケージ,ウの OS)や,ネットワークからダウンロードしたデータ(エ)は,それ自体は有体物の動産ではないので,一般に製造物責任法の対象にならないと解されている。
出典:平成24年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
平成21年度 秋期
平成21年度 春期
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