令和3年度 秋期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
この年度を解いてみる
問1
非線形方程式 f(x)=0 の近似解法であり,次の手順によって解を求めるものはどれか。ここで,y=f(x) には接線が存在するものとし,(3)で x0 と新たな x0 の差の絶対値がある値以下になった時点で繰返しを終了する。
〔手順〕
(1) 解の近くの適当な x 軸の値を定め,x0 とする。 (2) 曲線 y=f(x) の,点 (x0 ,f(x0 )) における接線を求める。 (3) 求めた接線と,x 軸の交点を新たな x0 とし,手順(2)に戻る。
ア オイラー法
イ ガウスの消去法
ウ シンプソン法
エ ニュートン法 正解
正解 エ
解説
手順は,現在の近似値 x0 における曲線の接線を引き,その接線と x 軸の交点を次の近似値とする操作を繰り返している。式で表すと x0 −f(x0 )/f′(x0 ) を新たな x0 とするもので,ニュートン法(ニュートン・ラフソン法)である。エが正しい。
アのオイラー法は微分方程式を刻み幅ごとに近似して解く方法,イのガウスの消去法は連立一次方程式を前進消去と後退代入で解く方法,ウのシンプソン法は区間を放物線で近似して定積分の値を求める方法である。
ニュートン法:接線と x 軸の交点を次の近似値に
近似値 x0 での曲線 y=f(x) の接線を引き,その接線が x 軸と交わる点を次の近似値 x1 にする。これを繰り返すと解に近づく。式では x1=x0−f(x0)÷f′(x0)。
x0
x1
x2
解
y=f(x)
x1 = x0 − f(x0) ÷ f′(x0)
接線を引いて x 軸との交点へ。繰り返すと解に近づく
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
ATM(現金自動預払機)が 1 台ずつ設置してある二つの支店を統合し,統合後の支店には ATM を 1 台設置する。統合後の ATM の平均待ち時間を求める式はどれか。ここで,待ち時間は M/M/1 の待ち行列モデルに従い,平均待ち時間にはサービス時間を含まず,ATM を 1 台に統合しても十分に処理できるものとする。
〔条件〕
(1) 統合後の平均サービス時間:Ts (2) 統合前の ATM の利用率:両支店とも ρ (3) 統合後の利用者数:統合前の両支店の利用者数の合計
ア ρ/(1−ρ)×Ts
イ ρ/(1−2ρ)×Ts
ウ 2ρ/(1−ρ)×Ts
エ 2ρ/(1−2ρ)×Ts 正解
正解 エ
解説
M/M/1 モデルの平均待ち時間(サービス時間を含まない)は,利用率を ρ,平均サービス時間を Ts として ρ/(1−ρ)×Ts で表される。
統合すると利用者数は2倍になる一方,平均サービス時間 Ts は変わらない。利用率は「到着率×サービス時間」なので統合後は 2ρ になる。これを式に代入して 2ρ/(1−2ρ)×Ts となる。
M/M/1 の待ち時間と利用率
M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。
0.5 → 1倍
0.8 → 4倍
0.9 → 9倍
1
利用率 ρ
ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
AI におけるディープラーニングに最も関連が深いものはどれか。
ア ある特定の分野に特化した知識を基にルールベースの推論を行うことによって,専門家と同じレベルの問題解決を行う。
イ 試行錯誤しながら条件を満たす解に到達する方法であり,場合分けを行い深さ優先で探索し,解が見つからなければ一つ前の場合分けの状態に後戻りする。
ウ 神経回路網を模倣した方法であり,多層に配置された素子とそれらを結ぶ信号線で構成されたモデルにおいて,信号線に付随するパラメタを調整することによって入力に対して適切な解が出力される。 正解
エ 生物の進化を模倣した方法であり,与えられた問題の解の候補を記号列で表現して,それらを遺伝子に見立てて突然変異,交配,とう汰を繰り返して逐次的により良い解に近づける。
正解 ウ
解説
ディープラーニング(深層学習)は,人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワークの層を多数重ね,データから特徴を自動的に学習して,画像認識や音声認識などの複雑な判断を行えるようにする機械学習の手法である。多層に配置された素子とそれらを結ぶ信号線で構成されたモデルで,信号線に付随するパラメタ(重み)を調整することによって,入力に対して適切な解が出力されるようにするウが最も関連が深い。
アは特定分野の知識を基にルールベースの推論を行って専門家と同じレベルの問題解決をするエキスパートシステム,イは場合分けをして深さ優先で探索し,解が見つからなければ一つ前の場合分けに後戻りするバックトラック法,エは解の候補を記号列で表して遺伝子に見立て,突然変異,交配,とう汰を繰り返して良い解に近づける遺伝的アルゴリズムの説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
図のように 16 ビットのデータを 4×4 の正方形状に並べ,行と列にパリティビットを付加することによって何ビットまでの誤りを訂正できるか。ここで,図の網掛け部分はパリティビットを表す。
正解 ア
解説
行と列にパリティビットを付けた水平垂直パリティでは,1ビットの誤りが起きると,その誤りを含む行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなる。合わない行と列の交点が誤りの位置なので,特定して反転すれば訂正できる。訂正できるのは1ビットまでで,アが正しい。
2ビットの誤りが同じ行や同じ列に並ぶと,その行(列)のパリティは偶数個の反転で元に戻ってしまい,誤りがあることすら分からなくなる。離れた位置の2ビットなら合わない行と列が2つずつ出るが,どの組合せが誤りかを決められないので,やはり訂正はできない。
水平垂直パリティで1ビットの誤りを見つける
4×4 のデータに行ごと・列ごとのパリティ(1の数を偶数にするビット)を付ける。1ビットが反転すると,その行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなるので,合わない行と列の交点が誤りの位置と分かり,反転して訂正できる。2ビットの誤りは,位置を決められないので訂正できない。
1
0
0
0
1
0
1
0
0
0
← 合わない
0
0
1
0
1
1
1
0
1
1
0
0
0
1
↑ 合わない
列のパリティ
パリティ
合わない行と合わない列の交わるところが誤り。訂正できるのは1ビットまで
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
バブルソートの説明として,適切なものはどれか。
ア ある間隔おきに取り出した要素から成る部分列をそれぞれ整列し,更に間隔を詰めて同様の操作を行い,間隔が1になるまでこれを繰り返す。
イ 中間的な基準値を決めて,それよりも大きな値を集めた区分と,小さな値を集めた区分に要素を振り分ける。次に,それぞれの区分の中で同様の操作を繰り返す。
ウ 隣り合う要素を比較して,大小の順が逆であれば,それらの要素を入れ替えるという操作を繰り返す。 正解
エ 未整列の部分を順序木にし,そこから最小値を取り出して整列済の部分に移す。この操作を繰り返して,未整列の部分を縮めていく。
正解 ウ
解説
バブルソートは,隣り合う要素を比較して大小の順が逆なら入れ替える操作を繰り返す整列法である。1回通すごとに最大(又は最小)の要素が端に確定していく。ウが適切である。
アは間隔を空けた部分列ごとに整列し,間隔を詰めていくシェルソート。イは基準値より大きい区分と小さい区分に振り分けることを繰り返すクイックソート。エは未整列の部分を順序木(ヒープ)にして最小値を取り出していくヒープソートの説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
プログラム特性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 再帰的プログラムは再入可能な特性をもち,呼び出されたプログラムの全てがデータを共用する。
イ 再使用可能プログラムは実行の始めに変数を初期化する,又は変数を初期状態に戻した後にプログラムを終了する。 正解
ウ 再入可能プログラムは,データとコードの領域を明確に分離して,両方を各タスクで共用する。
エ 再配置可能なプログラムは,実行の都度,主記憶装置上の定まった領域で実行される。
正解 イ
解説
再使用可能(リユーザブル)プログラムは,一度実行を終えたあと,再び主記憶に読み込み直さなくても続けて実行できるプログラムである。前回の実行の影響が残らないように,実行の始めに変数を初期化するか,変数を初期状態に戻してから終了する。イが適切である。
アの再帰的(リカーシブ)プログラムは自分自身を呼び出すプログラムで,呼び出しのたびに別のデータ領域(スタックなど)を使うので,全てがデータを共用するのではない。ウの再入可能(リエントラント)プログラムは,コードの領域だけを各タスクで共用し,データの領域はタスクごとに別に持つので,データを共用しない。エの再配置可能(リロケータブル)プログラムは,主記憶上のどの番地に置いても実行できるプログラムで,定まった領域でしか実行されないのではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
静的型付けを行うプログラム言語では,コンパイル時に変数名の誤り,誤った値の代入などが発見できる。Web プログラミングで用いられるスクリプト言語のうち,変数の静的型付けができるものはどれか。
ア ECMAScript
イ JavaScript
ウ TypeScript 正解
エ VBScript
正解 ウ
解説
TypeScript は,JavaScript に型の仕組みを加えた言語で,変数や関数の引数・戻り値に型を書いておくと,コンパイル(JavaScript への変換)の時点で型の誤りを検出できる。変数の静的型付けができるウが正しい。
アの ECMAScript は JavaScript の言語仕様を標準化したもので,イの JavaScript とともに,変数の型は実行時に決まる動的型付けである。エの VBScript も,変数に宣言する型はなく(バリアント型),実行時に型が決まる。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
演算レジスタが 16 ビットの CPU で符号付き 16 ビット整数 x1,x2 を 16 ビット符号付き加算(x1+x2)するときに,全ての x1,x2 の組合せにおいて加算結果がオーバフローしないものはどれか。ここで,|x| は x の絶対値を表し,負数は2の補数で表すものとする。
ア |x1|+|x2|≦32,768 の場合
イ |x1| 及び |x2| がともに 32,767 未満の場合
ウ x1×x2>0 の場合
エ x1 と x2 の符号が異なる場合 正解
正解 エ
解説
16 ビットの2の補数で表せる範囲は −32,768〜32,767。x1 と x2 の符号が異なる場合,和の絶対値は |x1| と |x2| の大きいほうを超えないので,結果は必ず表現範囲に収まり,オーバフローしない。エが正しい。
アは x1=x2=16,384 のとき和が 32,768 になり,正の最大値 32,767 を超える。イは x1=x2=32,766 のとき和が 65,532 になる。ウの x1×x2>0 は同符号の場合で,例えば 20,000+20,000 がオーバフローする。
16ビットの2の補数の範囲とオーバフロー
16ビットの2の補数で表せるのは −32,768 〜 32,767。符号が異なる2つを足すと,和は2つの間に入るので必ず範囲内に収まる。同じ符号どうしだと,例えば 20,000+20,000=40,000 のように範囲を超えることがある。
−32,768
32,767
0
表せる範囲
符号が異なる:30,000 + (−20,000) = 10,000 → 範囲内
同じ符号:20,000 + 20,000 = 40,000 → 32,767 を超える
ア(|x1|+|x2|≦32,768)も 16,384+16,384=32,768 であふれる
符号が異なる数の和は,2つの数の間に入るのではみ出さない
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
メモリインタリーブの説明として,適切なものはどれか。
ア 主記憶と外部記憶を一元的にアドレス付けし,主記憶の物理容量を超えるメモリ空間を提供する。
イ 主記憶と磁気ディスク装置との間にバッファメモリを置いて,双方のアクセス速度の差を補う。
ウ 主記憶と入出力装置との間で CPU とは独立にデータ転送を行う。
エ 主記憶を複数のバンクに分けて,CPU からのアクセス要求を並列的に処理できるようにする。 正解
正解 エ
解説
メモリインタリーブは,主記憶を複数のバンクに分け,連続するアドレスを異なるバンクに割り当てることで,CPU からのアクセス要求を複数のバンクで並列に処理し,主記憶へのアクセスを高速にする方式である。エが適切である。
アは主記憶と外部記憶を合わせて主記憶より大きなアドレス空間を提供する仮想記憶。イは主記憶と磁気ディスク装置の速度差を補うディスクキャッシュ。ウは CPU を介さずに主記憶と入出力装置の間でデータを転送する DMA(Direct Memory Access)の説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
USB Type-C のプラグ側コネクタの断面図はどれか。ここで,図の縮尺は同一ではない。
正解 イ
解説
USB Type-C のプラグは,左右が丸い小判形で,向きを上下どちらにして差し込んでも使えるように,端子が上下に同じ配置で並んでいる。イがこの形である。
アは長方形の枠に端子が並んだ USB Type-A,ウは端子が5本の USB Mini-B,エは同じく端子が5本の USB Micro-B の断面であり,いずれも Type-C ではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
表に示す仕様の磁気ディスク装置において,1,000 バイトのデータの読取りに要する平均時間は何ミリ秒か。ここで,コントローラの処理時間は平均シーク時間に含まれるものとする。
ア 15.1 正解
イ 16.0
ウ 20.1
エ 21.0
正解 ア
解説
磁気ディスク装置の読取り時間は,平均シーク時間+平均回転待ち時間+データ転送時間で求める。6,000 回転/分は 1 秒間に 100 回転なので,1 回転が 10 ミリ秒で,平均回転待ち時間はその半分の 5 ミリ秒である。1,000 バイトの転送時間は 1,000÷(10×106 )=0.0001 秒=0.1 ミリ秒。コントローラの処理時間はシーク時間に含まれるので,10+5+0.1=15.1 ミリ秒となる。アが正しい。
イの 16.0 は転送時間を 1 ミリ秒としたもの(10+5+1),ウの 20.1 は回転待ちを 1 回転分の 10 ミリ秒としたもの(10+10+0.1),エの 21.0 はその両方の誤りをしたもの(10+10+1)である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
システムが使用する物理サーバの処理能力を,負荷状況に応じて調整する方法としてのスケールインの説明はどれか。
ア システムを構成する物理サーバの台数を増やすことによって,システムとしての処理能力を向上する。
イ システムを構成する物理サーバの台数を減らすことによって,システムとしてのリソースを最適化し,無駄なコストを削減する。 正解
ウ 高い処理能力の CPU への交換やメモリの追加などによって,システムとしての処理能力を向上する。
エ 低い処理能力の CPU への交換やメモリの削減などによって,システムとしてのリソースを最適化し,無駄なコストを削減する。
正解 イ
解説
スケールインは,システムを構成するサーバの台数を減らして処理能力を調整する方法で,負荷が下がったときに余分なリソースを減らし,コストを抑える。イが該当する。
アのサーバの台数を増やして処理能力を上げるのはスケールアウト。ウの CPU やメモリを高性能にして1台当たりの処理能力を上げるのはスケールアップ。エの CPU やメモリを低性能なものにして1台当たりの処理能力を下げるのはスケールダウンである。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
信頼性設計においてフールプルーフを実現する仕組みの一つであるインタロックの例として,適切なものはどれか。
ア ある機械が故障したとき,それを停止させて代替の機械に自動的に切り替える仕組み
イ ある条件下では,特定の人間だけが,システムを利用することを可能にする仕組み
ウ システムの一部に不具合が生じたとき,その部分を停止させて機能を縮小してシステムを稼働し続ける仕組み
エ 動作中の機械から一定の範囲内に人間が立ち入ったことをセンサが感知したとき,機械の動作を停止させる仕組み 正解
正解 エ
解説
インタロックは,危険な状態では機器が動かないようにして,人が誤った操作をしても事故に至らないようにする仕組み。動作中の機械の一定範囲に人が入ったことをセンサが感知して停止させるのがこれに当たる。
アはフェールオーバ(待機系への切替え),ウはフェールソフト(機能を縮小して運転を続ける)である。イはアクセス制御であり,誤操作による危険を防ぐインタロックとは目的が違う。
信頼性設計の考え方の見分け方
フォールトトレランスは故障しても機能を保つ(二重化など)。フェールソフトは故障部分を切り離し,機能を落として動かし続ける(フォールバック=縮退運転)。フェールセーフは故障したら安全な側に倒す(信号を赤に)。フールプルーフは人が誤った操作をしても危険にならない(インタロック,逆向きの電池が入らない)。
考え方
きっかけ
どうするか
例
フォールトトレランス
故障
機能を保つ
二重化・RAID1
フェールソフト
故障
落として続ける
縮退運転
フェールセーフ
故障
安全側に倒す
信号を全部赤
フールプルーフ
誤操作
危険にしない
インタロック
フォールバック(縮退運転)は,故障部分を切り離して残りで続けること
何が起きたとき(故障か誤操作か)に,どうするか(保つ・落とす・止める)で見分ける
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
コンテナ型仮想化の説明として,適切なものはどれか。
ア アプリケーションの起動に必要なプログラムやライブラリなどをまとめ,ホスト OS で動作させるので,独立性を保ちながら複数のアプリケーションを稼働できる。 正解
イ サーバで仮想化ソフトウェアを動かし,その上で複数のゲスト OS を稼働させるので,サーバの OS とは異なる OS も稼働できる。
ウ サーバで実行されたアプリケーションの画面情報をクライアントに送信し,クライアントからは端末の操作情報がサーバに送信されるので,クライアントにアプリケーションをインストールしなくても利用できる。
エ ホスト OS で仮想化ソフトウェアを動かし,その上で複数のゲスト OS を稼働させるので,物理サーバへアクセスするにはホスト OS を経由する必要がある。
正解 ア
解説
コンテナ型仮想化は,物理サーバのホスト OS 上でコンテナエンジンなどの仮想化ソフトウェアを動かし,アプリケーションの起動に必要なプログラムやライブラリなどをまとめたコンテナとして実行環境を分離する方式である。コンテナはホスト OS のカーネルを共有し,個別のゲスト OS をもたないので,独立性を保ちながら複数のアプリケーションを軽量に稼働できる。アが適切である。
イはサーバで仮想化ソフトウェアを動かし,その上で複数のゲスト OS を稼働させるので,サーバの OS とは異なる OS も稼働できるハイパーバイザ型,エはホスト OS 上の仮想化ソフトウェアでゲスト OS を稼働させるホスト型の説明である。ウはサーバで実行したアプリケーションの画面情報だけをクライアントに送る画面転送方式(シンクライアントなど)の説明である。
ハイパーバイザ型とコンテナ型の仮想化
ハイパーバイザ型は,ハードウェアの上のハイパーバイザが仮想マシンを作り,仮想マシンごとにゲスト OS が動く。コンテナ型は,1つのホスト OS のカーネルを共有し,コンテナエンジンがアプリケーションごとに分けた実行環境(コンテナ)を作る。ゲスト OS がないので軽く,すぐ起動する。
ハイパーバイザ型
アプリ
ゲスト OS
アプリ
ゲスト OS
ハイパーバイザ
ハードウェア
コンテナ型
アプリ(コンテナ)
アプリ(コンテナ)
コンテナエンジン
ホスト OS
ハードウェア
ゲスト OS の有無が違い
コンテナにはゲスト OS がない。ホスト OS のカーネルを共有する
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
1 件のデータを処理する際に,読取りには 40 ミリ秒,CPU 処理には 30 ミリ秒,書込みには 50 ミリ秒掛かるプログラムがある。このプログラムで,n 件目の書込みと並行して n+1 件目の CPU 処理と n+2 件目の読取りを実行すると,1 分当たりの最大データ処理件数は幾つか。ここで,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。
正解 エ
解説
並行して実行できる読取り・CPU 処理・書込みを流れ作業のように重ねるので,1 件の処理が終わる間隔は,最も長い処理の時間で決まる。三つの処理のうち最長は書込みの 50 ミリ秒なので,1 件を 50 ミリ秒ごとに処理でき,1 分(60,000 ミリ秒)当たりの最大データ処理件数は 60,000÷50=1,200 件である。エが正しい。
アの 500 件は,並行処理をせず 1 件を 40+30+50=120 ミリ秒で処理した場合(60,000÷120)の値である。イの 666 件は読取りと書込みの合計 90 ミリ秒,ウの 750 件は CPU 処理と書込みの合計 80 ミリ秒で割った値で,並行して実行する処理の時間を足してしまった誤りである。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
ページング方式の仮想記憶において,ページ置換えの発生頻度が高くなり,システムの処理能力が急激に低下することがある。このような現象を何と呼ぶか。
ア スラッシング 正解
イ スワップアウト
ウ フラグメンテーション
エ ページフォールト
正解 ア
解説
仮想記憶で実装している主記憶が不足すると,ページの読込みと追出し(ページイン・ページアウト)が頻発し,CPU がその処理に追われて本来の処理がほとんど進まなくなる。この現象をスラッシングといい,アが正しい。
イのスワップアウトは,主記憶上のプロセスやページを補助記憶に退避させる操作そのもの。ウのフラグメンテーションは,記憶領域が細切れの空き領域に分断されて有効に使えなくなる現象。エのページフォールトは,参照したページが主記憶上にないときに発生する割込みである。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
主記憶へのアクセスを 1 命令当たり平均 2 回行い,ページフォールトが発生すると 1 回当たり 40 ミリ秒のオーバヘッドを伴うシステムがある。ページフォールトによる命令実行の遅れを 1 命令当たり平均 0.4 マイクロ秒以下にするために許容できるページフォールト発生率は最大幾らか。ここで,他のオーバヘッドは考慮しないものとする。
ア 5×10−6 正解
イ 1×10−5
ウ 5×10−5
エ 1×10−4
正解 ア
解説
ページフォールト発生率を主記憶へのアクセス 1 回当たりの確率 p とすると,1 命令当たり平均 2 回アクセスするので,ページフォールトによる 1 命令当たりの遅れは 2×p×40 ミリ秒である。これを 0.4 マイクロ秒以下にしたいので,2×p×40×10−3 ≦0.4×10−6 ,すなわち p≦0.4×10−6 ÷(8×10−2 )=5×10−6 。アが正しい。
イの 1×10−5 は,1 命令当たりのアクセス回数 2 回を掛けずに求めた値(0.4×10−6 ÷(4×10−2 ))である。ウとエは,マイクロ秒とミリ秒の換算を誤った,桁の大きな値である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
分散開発環境において,各開発者のローカル環境に全履歴を含んだ中央リポジトリの完全な複製をもつことによって,中央リポジトリにアクセスできないときでも履歴の調査や変更の記録を可能にする,バージョン管理ツールはどれか。
ア Apache Subversion
イ CVS
ウ Git 正解
エ RCS
正解 ウ
解説
Git は分散型のバージョン管理ツールで,各開発者のローカル環境に,全履歴を含む中央リポジトリの完全な複製(クローン)をもつ。そのため中央リポジトリにアクセスできなくても,ローカルで履歴の参照やコミットができる。ウが該当する。
アの Apache Subversion とイの CVS は,履歴を中央のリポジトリで管理する集中型で,ローカルには作業コピーしかもたない。エの RCS はファイル単位で履歴を管理する古いツールで,リポジトリの複製を各開発者がもつ仕組みではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
仮想記憶方式における補助記憶の機能はどれか。
ア 主記憶からページアウトされたページを格納する。 正解
イ 主記憶が更新された際に,更新前の内容を保存する。
ウ 主記憶と連続した仮想アドレスを割り当てて,主記憶を拡張する。
エ 主記憶のバックアップとして,主記憶の内容を格納する。
正解 ア
解説
仮想記憶方式では,主記憶に入りきらないプログラムやデータを補助記憶(磁気ディスクなど)に置き,必要なページを主記憶に読み込んで使う。主記憶が不足したときは,使われていないページが補助記憶に書き出される(ページアウト)ので,補助記憶は主記憶からページアウトされたページを格納する役割をもつ。アが正しい。
イは主記憶の更新前の内容を保存するもので,ログ(更新前ログ)などの役割である。ウの主記憶と連続した仮想アドレスを割り当てるのは,補助記憶ではなく,OS のアドレス変換による仮想記憶管理の機能である。エのバックアップは,仮想記憶とは別の目的で取るものである。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
RFID のパッシブ方式の RF タグの説明として,適切なものはどれか。
ア アンテナで受け取った電力を用いて通信する。 正解
イ 可視光でデータ通信する。
ウ 静電容量の変化を捉えて位置を検出する。
エ 赤外線でデータ通信する。
正解 ア
解説
パッシブ方式の RF タグは電池をもたず,読取り装置(リーダ)のアンテナから送られる電波を受けて,その電力で動作し,タグに記録された情報を返す。アンテナで受け取った電力を用いて通信するアが適切である。
イの可視光による通信は可視光通信,エの赤外線による通信は IrDA などの赤外線通信で,RFID は電波を使う。ウの静電容量の変化を捉えて位置を検出するのは,静電容量方式のタッチパネルなどの仕組みである。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
組込みシステムにおける,ウォッチドッグタイマの機能はどれか。
ア あらかじめ設定された一定時間内にタイマがクリアされなかった場合,システム異常とみなしてシステムをリセット又は終了する。 正解
イ システム異常を検出した場合,タイマで設定された時間だけ待ってシステムに通知する。
ウ システム異常を検出した場合,マスカブル割込みでシステムに通知する。
エ システムが一定時間異常であった場合,上位の管理プログラムを呼び出す。
正解 ア
解説
ウォッチドッグタイマは,システムが正常に動いているあいだ,プログラムが一定時間ごとにタイマをクリア(リセット)することで動作を確認する仕組みである。あらかじめ設定された一定時間内にタイマがクリアされなかった場合は,プログラムの暴走や停止などの異常とみなして,システムのリセットや終了を行う。アが正しい。
イは異常を検出してから設定時間だけ待って通知するもので,タイマのクリアを監視する仕組みではない。ウのマスカブル割込みは,割込み禁止にされると受け付けられないので,暴走したシステムの異常通知には向かない(リセットや,マスクできない割込みを使う)。エは異常が一定時間続いたときに上位の管理プログラムを呼び出すという説明で,ウォッチドッグタイマの機能ではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
1桁の2進数 A,B を加算し,X に桁上がり,Y に桁上げなしの和(和の1桁目)が得られる論理回路はどれか。
正解 ア
解説
1桁どうしの加算では,桁上がり X は A と B が両方1のときだけ1になるので論理積,和の1桁目 Y は A と B が異なるときだけ1になるので排他的論理和で表せる。X に AND 素子,Y に排他的論理和素子を使っているアが正しい。この回路を半加算器という。
イは X に OR を使っているので,A と B の一方だけが 1 のときにも桁上がりが 1 になる。ウは X が OR,Y が AND,エは Y が OR で,いずれも和の1桁目が正しく求められない。
半加算器の真理値表
1桁の A+B は,0+0=00,0+1=01,1+0=01,1+1=10。桁上がり X は両方1のときだけ1なので論理積,和の1桁目 Y は A と B が違うときだけ1なので排他的論理和。
A
B
A+B
X 桁上がり
Y 和
0
0
00
0
0
0
1
01
0
1
1
0
01
0
1
1
1
10
1
0
X = A・B(AND),Y = A⊕B(XOR)
桁上がりは AND,和の1桁目は XOR
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
マイコンの汎用入出力ポートに接続された LED1 を,LED2 の状態を変化させずに点灯したい。汎用入出力ポートに書き込む値として,適切なものはどれか。ここで,使用されている汎用入出力ポートのビットは全て出力モードに設定されていて,出力値の読出しが可能で,この操作の間に汎用入出力ポートに対する他の操作は行われないものとする。
ア 汎用入出力ポートから読み出した値と 16 進数の 08 との論理積
イ 汎用入出力ポートから読み出した値と 16 進数の 08 との論理和 正解
ウ 汎用入出力ポートから読み出した値と 16 進数の 48 との論理積
エ 汎用入出力ポートから読み出した値と 16 進数の 48 との論理和
正解 イ
解説
LED1 はビット3,LED2 はビット6 に接続されている。LED2 の状態を変えずに LED1 だけを点灯するには,ポートの値を読み出し,ビット3 だけを 1 にして,ほかのビットは元のままにして書き込めばよい。ビット3 だけが 1 の値は 2 進数で 00001000,すなわち 16 進数の 08 なので,読み出した値と 08 との論理和(OR)を取る。イが適切である。
アの 08 との論理積は,ビット3 以外を全て 0 にしてしまい,LED2(ビット6)も消える。ウの 48(01001000)との論理積は,ビット3 とビット6 以外を 0 にするうえ,ビット3 が 0 のままなので LED1 を点灯できない。エの 48 との論理和は,LED1 は点灯するが,ビット6 も 1 になり LED2 を点灯させてしまう。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
ビットマップフォントよりも,アウトラインフォントの利用が適している場合はどれか。
ア 英数字だけでなく,漢字も表示する。
イ 各文字の幅を一定にして表示する。
ウ 画面上にできるだけ高速に表示する。
エ 文字を任意の倍率に拡大して表示する。 正解
正解 エ
解説
アウトラインフォントは,文字の輪郭を数式(曲線)で表現しておき,表示時に必要なサイズで描画する。したがって任意の倍率に拡大・縮小しても輪郭が滑らかなまま保たれる。
アとイはどちらの方式でも実現できる。ウはあらかじめ点の配置が決まっているビットマップフォントのほうが有利で,アウトラインフォントは描画時に展開処理が必要なぶん不利になる。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
コンピュータグラフィックスに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア テクスチャマッピングは,全てのピクセルについて,視線と全ての物体との交点を計算し,その中から視点に最も近い交点を選択することによって,隠面消去を行う。
イ メタボールは,反射・透過方向への視線追跡を行わず,与えられた空間中のデータから輝度を計算する。
ウ ラジオシティ法は,拡散反射面間の相互反射による効果を考慮して拡散反射面の輝度を決める。 正解
エ レイトレーシングは,形状が定義された物体の表面に,別に定義された模様を張り付けて画像を作成する。
正解 ウ
解説
ラジオシティ法は,光が拡散反射面の間で相互に反射し合う効果まで計算に入れて,各面の輝度を求める手法。間接光による柔らかな陰影を表現できる。
アはレイトレーシング,エはテクスチャマッピングの説明で,アとエは入れ替わっている。イのメタボールは,濃度分布をもつ点の集まりで曲面を表現する手法であり,記述はボリュームレンダリングに近い内容。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
関係 R と関係 S に対して,関係 X を求める関係演算はどれか。
正解 エ
解説
関係 X は,R の3行(0001 a 100,0002 b 200,0003 d 300)と S の2行(0001 a 100,0002 a 200)を合わせ,重複する 0001 a 100 を1行にまとめた4行になっている。R と S の一方又は両方に含まれる行を集めた和(R∪S)で,エが正しい。
アの ID による結合なら,ID が一致する行どうしをつなげた列の多い関係になる。イの差(R−S)は R にあって S にない 0002 b 200 と 0003 d 300 の2行になる。ウの直積は R と S の行の全ての組合せで 3×2=6行になる。
関係演算:選択・射影・和・差
選択は条件に合う行を取り出し,射影は指定した列を取り出す。射影の結果は集合なので,重複する行は1つにまとめる(SQL では DISTINCT)。表 T の A と C への射影では (a1,c1) と (a2,c2) が重なり,3行になる。和 R∪S は両方の行を合わせて重複を1つに,差 R−S は R にあって S にない行。
表 T(A と C を射影)
ID
A
B
C
001
a1
b1
c1
002
a1
b1
c2
003
a1
b2
c1
004
a2
b1
c2
005
a2
b2
c2
射影の結果
A
C
a1
c1
a1
c2
a2
c2
(a1,c1) と
(a2,c2) が
重なるので
3行に
R
ID
A
B
0001
a
100
0002
b
200
0003
d
300
S
ID
A
B
0001
a
100
0002
a
200
和 R∪S
ID
A
B
0001
a
100
0002
a
200
0002
b
200
0003
d
300
差 R−S
ID
A
B
0002
b
200
0003
d
300
0001 a 100 は
S にもあるので除く
選択は行,射影は列。射影は重複を取り除く
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
データベースの障害回復処理に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 異なるトランザクション処理プログラムが,同一データベースを同時更新することによって生じる論理的な矛盾を防ぐために,データのブロック化が必要となる。
イ システムが媒体障害以外のハードウェア障害によって停止した場合,チェックポイントの取得以前に終了したトランザクションについての回復作業は不要である。 正解
ウ データベースの媒体障害に対して,バックアップファイルをリストアした後,ログファイルの更新前情報を使用してデータの回復処理を行う。
エ トランザクション処理プログラムがデータベースの更新中に異常終了した場合には,ログファイルの更新後情報を使用してデータの回復処理を行う。
正解 イ
解説
システム障害(媒体障害以外)では,チェックポイントの時点で主記憶上の更新内容はディスクに書き出されている。チェックポイントの取得以前に終了したトランザクションの更新はデータベースに反映済みなので,回復作業は要らない。イが適切である。
アの同時更新による矛盾を防ぐのはブロック化ではなく排他制御(ロック)。ウの媒体障害では,バックアップをリストアした後にログの更新後情報を使ってロールフォワードする。エのトランザクションの異常終了では,ログの更新前情報を使ってロールバックし,更新前の状態に戻す。
障害の種類と回復に使うログ
トランザクション障害(実行中の異常終了)では,更新前ログを使ってロールバックし,トランザクション開始前の状態に戻す。システム障害では,チェックポイント以降にコミットしたものを更新後ログでロールフォワードし,未コミットのものを更新前ログでロールバックする。媒体障害では,バックアップから復元し,バックアップ以降にコミットしたものを更新後ログでロールフォワードする。
ロールバック
更新前ログ → 開始前に戻す
ロールフォワード
更新後ログ → 障害直前まで進める
トランザクション障害
異常終了したものを戻す
—
システム障害
未コミットを戻す
チェックポイント後のコミット
媒体障害
—
バックアップを復元してから
ロールバックは更新前ログで戻す,ロールフォワードは更新後ログで進める
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
受注入力システムによって作成される次の表に関する記述のうち,適切なものはどれか。受注番号は受注ごとに新たに発行される番号であり,項番は 1 回の受注で商品コード別に連番で発行される番号である。
なお,単価は商品コードによって一意に定まる。
ア 第 1 正規形でない。
イ 第 1 正規形であるが第 2 正規形でない。 正解
ウ 第 2 正規形であるが第 3 正規形でない。
エ 第 3 正規形である。
正解 イ
解説
表の主キーは受注番号と項番の組である。各列は一つの値だけをもち,繰返し項目もないので,第 1 正規形である。しかし,受注日と得意先コードは受注番号だけで決まり,主キーの一部だけに従属している(部分関数従属)。そのため,第 2 正規形ではない。イが適切である。
アは,繰返し項目がなく各列が単一値なので誤り。ウとエは,第 2 正規形であることが前提になるが,この表はそれを満たしていない。なお,単価が商品コードだけで決まる点も正規形に反するので,正規化するには受注と受注明細,商品の表に分ける。
正規化で表を分けていく
受注明細(受注番号,商品番号,顧客番号,顧客名,商品名,数量)の例。主キーは受注番号と商品番号の組。第2正規形にするには,主キーの一部だけで決まる属性を分ける(受注番号で決まる顧客番号・顧客名,商品番号で決まる商品名)。第3正規形にするには,主キー以外の属性で決まる属性を分ける(顧客番号で決まる顧客名)。
第1正規形(1つの欄に1つの値)
受注明細(
受注番号
,
商品番号
,
顧客番号
,
顧客名
,
商品名
,
数量
)
受注番号だけで顧客番号・顧客名が,商品番号だけで商品名が決まる
第2正規形(キーの一部で決まる属性を分ける)
受注(
受注番号
,
顧客番号
,
顧客名
)
受注明細(
受注番号
,
商品番号
,
数量
)
商品(
商品番号
,
商品名
)
受注の中で,顧客番号から顧客名が決まる(推移的関数従属)
第3正規形(キー以外で決まる属性を分ける)
受注(
受注番号
,
顧客番号
)
顧客(
顧客番号
,
顧客名
)
+受注明細・商品
下線は主キー。第2は「キーの一部で決まるもの」,第3は「キー以外で決まるもの」を別の表へ
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
“部門別売上”表から,部門コードごと,期ごとの売上を得る SQL 文はどれか。
ア SELECT 部門コード, '第1期' AS 期, 第1期売上 AS 売上
FROM 部門別売上
INTERSECT
(SELECT 部門コード, '第2期' AS 期, 第2期売上 AS 売上
FROM 部門別売上)
ORDER BY 部門コード, 期
イ SELECT 部門コード, '第1期' AS 期, 第1期売上 AS 売上
FROM 部門別売上
UNION
(SELECT 部門コード, '第2期' AS 期, 第2期売上 AS 売上
FROM 部門別売上)
ORDER BY 部門コード, 期 正解
ウ SELECT A.部門コード, '第1期' AS 期, A.第1期売上 AS 売上
FROM 部門別売上 A
CROSS JOIN
(SELECT B.部門コード, '第2期' AS 期, B.第2期売上 AS 売上
FROM 部門別売上 B) T
ORDER BY 部門コード, 期
エ SELECT A.部門コード, '第1期' AS 期, A.第1期売上 AS 売上
FROM 部門別売上 A
INNER JOIN
(SELECT B.部門コード, '第2期' AS 期, B.第2期売上 AS 売上
FROM 部門別売上 B) T ON A.部門コード = T.部門コード
ORDER BY 部門コード, 期
正解 イ
解説
二つの SELECT 文の結果を UNION でつなぐと,第 1 期の売上の行('第1期' AS 期)と第 2 期の売上の行('第2期' AS 期)が縦に連結され,部門コードごと,期ごとの 6 行が得られる。ORDER BY 部門コード,期で並べると問合せ結果と一致するので,イが正しい。
アの INTERSECT は両方に共通する行だけを返すが,期の値が異なるので共通する行はなく,結果は 0 行になる。ウの CROSS JOIN は直積で 3×3=9 行になり,列も '第1期' の売上だけが並ぶ。エの INNER JOIN は部門コードが等しい行どうしを結合し,SELECT に A の列だけを指定しているので,第 1 期の 3 行しか得られない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
分散データベースにおける“複製に対する透過性”の説明として,適切なものはどれか。
ア それぞれのサーバの DBMS が異種であっても,プログラムは DBMS の相違を意識する必要がない。
イ 一つの表が複数のサーバに分割されて配置されていても,プログラムは分割された配置を意識する必要がない。
ウ 表が別のサーバに移動されても,プログラムは表が配置されたサーバを意識する必要がない。
エ 複数のサーバに一つの表が重複して存在しても,プログラムは表の重複を意識する必要がない。 正解
正解 エ
解説
分散データベースの“複製に対する透過性”は,同じ表が複数のサーバに複製(重複)して存在していても,プログラムが表の重複を意識しなくてよいことをいう。エが正しい。
アは異種の DBMS の違いを意識しなくてよいこと,イは一つの表が複数のサーバに分割されて配置されていても分割された配置を意識しなくてよいこと(分割透過性),ウは表が別のサーバに移動されても配置されたサーバを意識しなくてよいこと(位置透過性)の説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
イーサネットで用いられるブロードキャストフレームによるデータ伝送の説明として,適切なものはどれか。
ア 同一セグメント内の全てのノードに対して,送信元が一度の送信でデータを伝送する。 正解
イ 同一セグメント内の全てのノードに対して,送信元が順番にデータを伝送する。
ウ 同一セグメント内の選択された複数のノードに対して,送信元が一度の送信でデータを伝送する。
エ 同一セグメント内の選択された複数のノードに対して,送信元が順番にデータを伝送する。
正解 ア
解説
ブロードキャストフレームは,宛先 MAC アドレスを全ビット 1(FF:FF:FF:FF:FF:FF)にして送るフレームで,同一セグメント内の全てのノードが受信する。送信元は一度の送信で全てのノードにデータを伝送できる。アが正しい。
イは全てのノードに順番に送るので,ユニキャストを繰り返す方法である。ウは選択された複数のノードに一度の送信で届けるマルチキャスト,エは選択されたノードに順番に送るので,ユニキャストを必要な数だけ繰り返す方法である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
TCP/IP ネットワークにおける ARP の説明として,適切なものはどれか。
ア IP アドレスから MAC アドレスを得るプロトコルである。 正解
イ IP ネットワークにおける誤り制御のためのプロトコルである。
ウ ゲートウェイ間のホップ数によって経路を制御するプロトコルである。
エ 端末に対して動的に IP アドレスを割り当てるためのプロトコルである。
正解 ア
解説
ARP(Address Resolution Protocol)は,通信相手の IP アドレスは分かっているが MAC アドレスが分からないときに,同じネットワーク上へ問合せをブロードキャストして MAC アドレスを得るプロトコル。アが正しい。
イの誤り制御や到達不能の通知を行うのは ICMP。ウのホップ数で経路を制御するのは RIP などのルーティングプロトコル。エの動的な IP アドレスの割当ては DHCP である。
ARP で MAC アドレスを調べる
PC A が 192.168.1.20 の MAC アドレスを知りたいとき,「この IP アドレスの人は MAC アドレスを教えて」という ARP 要求をブロードキャストで LAN 全体に送る。その IP アドレスをもつ機器だけが ARP 応答で自分の MAC アドレスを返し,PC A は ARP キャッシュに覚える。宛先が別のネットワークにあるときは,デフォルトゲートウェイ(ルータ)の MAC アドレスを調べてルータに渡す。
PC A
192.168.1.10
PC B
192.168.1.15
サーバ C
192.168.1.20
ルータ
192.168.1.1
① ARP 要求(ブロードキャスト)
「192.168.1.20 の人,MAC アドレスを教えて」
② ARP 応答(サーバ C だけが返す)
「MAC アドレスは 00-1B-…」
別のネットワーク宛てなら,ルータ(.1)の MAC を調べて渡す
要求はブロードキャスト(ルータを越えない),応答はその1台からだけ
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
PC が,NAPT(IP マスカレード)機能を有効にしているルータを経由してインターネットに接続されているとき,PC からインターネットに送出されるパケットの TCP と IP のヘッダのうち,ルータを経由する際に書き換えられるものはどれか。
ア 宛先の IP アドレスと宛先のポート番号
イ 宛先の IP アドレスと送信元の IP アドレス
ウ 送信元のポート番号と宛先のポート番号
エ 送信元のポート番号と送信元の IP アドレス 正解
正解 エ
解説
NAPT(IP マスカレード)では,PC からインターネットに送出されるパケットについて,ルータが送信元のプライベート IP アドレスと送信元のポート番号を,ルータのグローバル IP アドレスと自身が割り当てたポート番号に書き換える。宛先の IP アドレスとポート番号は変わらない。エが正しい。
宛先の IP アドレスや宛先のポート番号を含むア,イ,ウは,書き換えられない項目を含むので誤りである。なお,Web サーバからの応答パケットでは,ルータが対応表を使って,宛先を元の PC のプライベート IP アドレスとポート番号に戻す。
NAPT のアドレス変換
PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。
PC
192.168.1.10
ルータ
NAPT
Web
198.51.100.5
送信元 .10:5000
送信元 .1:60001
宛先 203.0.113.1:60001
宛先 .10:5000
対応表
内側(プライベート)
外側(グローバル)
192.168.1.10 : 5000
203.0.113.1 : 60001
応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」
外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
UDP のヘッダフィールドにはないが,TCP のヘッダフィールドには含まれる情報はどれか。
ア 宛先ポート番号
イ シーケンス番号 正解
ウ 送信元ポート番号
エ チェックサム
正解 イ
解説
TCP は信頼性のある通信を行うため,ヘッダに,送ったデータの位置を示すシーケンス番号と,受け取ったデータの位置を知らせる確認応答番号などをもつ。UDP は再送や順序制御を行わないので,これらをもたない。イが該当する。
ア(宛先ポート番号),ウ(送信元ポート番号),エ(チェックサム)は,TCP と UDP のヘッダのどちらにも含まれる。
項目
TCP
UDP
どこにある
送信元・宛先ポート番号
○
○
TCP・UDP
シーケンス番号・確認応答
○
TCP
宛先 IP アドレス・TTL
IP ヘッダー
宛先 MAC アドレス
イーサネット
両方にあるのは送信元ポート番号(と宛先ポート番号)
ポート番号は TCP と UDP の両方にある
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
IPv4 ネットワークにおいて,あるホストが属するサブネットのブロードキャストアドレスを,そのホストの IP アドレスとサブネットマスクから計算する方法として,適切なものはどれか。ここで,論理和,論理積はビットごとの演算とする。
ア IP アドレスの各ビットを反転したものとサブネットマスクとの論理積を取る。
イ IP アドレスの各ビットを反転したものとサブネットマスクとの論理和を取る。
ウ サブネットマスクの各ビットを反転したものと IP アドレスとの論理積を取る。
エ サブネットマスクの各ビットを反転したものと IP アドレスとの論理和を取る。 正解
正解 エ
解説
ブロードキャストアドレスは,IP アドレスのネットワーク部はそのままで,ホスト部のビットを全て 1 にしたアドレスである。サブネットマスクを反転するとホスト部だけが 1 になるので,これと IP アドレスの論理和を取れば,ネットワーク部を残したままホスト部を全て 1 にできる。エが正しい。
ウのように論理積を取ると,ネットワーク部が 0 になり,ホスト部だけが残る。アとイは IP アドレスを反転しており,ネットワーク部の値が変わってしまう。なお,IP アドレスとサブネットマスクの論理積を取ると,ネットワークアドレスが求められる。
IP アドレスとサブネットマスクのビット演算
212.62.31.90/27(マスク 255.255.255.224)の第4オクテットで考える。90 は 01011010,マスクは 11100000,マスクを反転すると 00011111。a&m(論理積)はネットワーク部だけが残り 64,a&〜m はホスト部だけが残り 26(ホストアドレス),a|〜m はホスト部が全部1になり 95(ブロードキャストアドレス)。
a(90)
0
1
0
1
1
0
1
0
m(224)
1
1
1
0
0
0
0
0
〜m(31)
0
0
0
1
1
1
1
1
ネットワーク部
ホスト部
a & m
0
1
0
0
0
0
0
0
64 ネットワークアドレス
a & 〜m
0
0
0
1
1
0
1
0
26 ホストアドレス
a | 〜m
0
1
0
1
1
1
1
1
95 ブロードキャスト
& m でネットワーク部,& 〜m でホスト部,| 〜m でブロードキャスト
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
IPv6 において,拡張ヘッダを利用することによって実現できるセキュリティ機能はどれか。
ア URL フィルタリング機能
イ 暗号化通信機能 正解
ウ 情報漏えい検知機能
エ マルウェア検知機能
正解 イ
解説
IPv6 では,基本ヘッダの後ろに必要に応じて拡張ヘッダを連ねる。拡張ヘッダとして,ペイロードを暗号化する ESP(暗号ペイロード)ヘッダや,改ざん検知と送信元認証を行う認証ヘッダ(AH)を使うことで,IPsec の暗号化通信機能を IP 層で実現できる。イが正しい。
アの URL フィルタリングはアプリケーション層で URL を見て制御するもの,ウの情報漏えい検知やエのマルウェア検知は,パケットの内容を検査する上位層の仕組みで,いずれも IP の拡張ヘッダで実現できるものではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
IoT 推進コンソーシアム,総務省,経済産業省が策定した“IoT セキュリティガイドライン(Ver 1.0)”における“要点 17. 出荷・リリース後も安全安心な状態を維持する”に対策例として挙げられているものはどれか。
ア IoT 機器及び IoT システムが収集するセンサデータ,個人情報などの情報の洗い出し,並びに保護すべきデータの特定
イ IoT 機器のアップデート方法の検討,アップデートなどの機能の搭載,アップデートの実施 正解
ウ IoT 機器メーカ,IoT システムやサービスの提供者,利用者の役割の整理
エ PDCA サイクルの実施,組織として IoT システムやサービスのリスクの認識,対策を行う体制の構築
正解 イ
解説
“出荷・リリース後も安全安心な状態を維持する”は運用・保守段階の要点で,脆弱性が見つかったときに直せるよう,アップデート方法を検討し,機能を搭載し,実際にアップデートを実施することが対策例として挙げられている。
アは分析段階の“守るべきものを特定する”,ウは方針段階の“つながることによるリスクを想定する”に関連する内容,エは方針段階の“IoT の性質を考慮した基本方針を定める”に当たる。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
ソフトウェア製品の脆弱性を第三者が発見し,その脆弱性を JPCERT コーディネーションセンターが製品開発者に通知した。その場合における製品開発者の対応のうち,“情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン(2019 年 5 月)”に照らして適切なものはどれか。
ア ISMS 認証を取得している場合,ISMS 認証の停止の手続を JPCERT コーディネーションセンターに依頼する。
イ 脆弱性関連の情報を集計し,統計情報として IPA の Web サイトで公表する。
ウ 脆弱性情報の公表に関するスケジュールを JPCERT コーディネーションセンターと調整し,決定する。 正解
エ 脆弱性の対応状況を JVN に書き込み,公表する。
正解 ウ
解説
“情報セキュリティ早期警戒パートナーシップガイドライン”では,製品開発者は,脆弱性関連情報の通知を受けた調整機関(JPCERT コーディネーションセンター)と連携して,脆弱性の検証や対策の作成を進め,脆弱性情報の公表日を調整機関と調整して決める。ウが適切である。
アの ISMS 認証は脆弱性情報の取扱いとは別の制度で,その停止の手続を依頼することはない。イの脆弱性関連情報の集計と統計情報の公表は,受付機関である IPA が行う。エの JVN への公表は,製品開発者ではなく調整機関が,決めた公表日に,製品開発者の対応状況とともに行う。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
JIS Q 27000:2019(情報セキュリティマネジメントシステム−用語)において定義されている情報セキュリティの特性に関する説明のうち,否認防止の特性に関するものはどれか。
ア ある利用者があるシステムを利用したという事実が証明可能である。 正解
イ 認可された利用者が要求したときにアクセスが可能である。
ウ 認可された利用者に対してだけ,情報を使用させる又は開示する。
エ 利用者の行動と意図した結果とが一貫性をもつ。
正解 ア
解説
JIS Q 27000:2019 は,否認防止を“主張された事象又は処置の発生,及びそれを引き起こしたエンティティを証明する能力”と定義している。ある利用者があるシステムを利用したという事実を後から証明できることは,否認防止の特性に当たる。アが該当する。
イの認可された利用者が要求したときにアクセスできることは可用性,ウの認可された利用者にだけ情報を使用させ又は開示することは機密性,エの行動と意図した結果が一貫していることは信頼性に関する説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
IoT デバイスの耐タンパ性の実装技術とその効果に関する記述として,適切なものはどれか。
ア CPU 処理の負荷が小さい暗号化方式を実装することによって,IoT デバイスとサーバとの間の通信経路での情報の漏えいを防止できる。
イ IoT デバイスに GPS を組み込むことによって,紛失時に IoT デバイスの位置を検知して捜索できる。
ウ IoT デバイスに光を検知する回路を組み込むことによって,ケースが開けられたときに内蔵メモリに記録されている秘密情報を消去できる。 正解
エ IoT デバイスにメモリカードリーダを実装して,IoT デバイスの故障時にはメモリカードを IoT デバイスの予備機に差し替えることによって,IoT デバイスを復旧できる。
正解 ウ
解説
耐タンパ性は,内部の情報や回路を不正に読み取ったり改変したりする物理的な攻撃に対する強さである。IoT デバイスに光を検知する回路を組み込み,ケースが開けられたら光で検知して内蔵メモリの秘密情報を消去するようにすれば,デバイスを分解して情報を盗み出す攻撃を防げるので,耐タンパ性の実装技術になる。ウが適切である。
アの暗号化方式の実装は通信経路での漏えいへの対策で,物理的な攻撃への耐性ではない。イの GPS による位置の検知は紛失時の捜索,エのメモリカードの差し替えは故障時の復旧のための工夫で,どちらも不正な読取りや改変を防ぐものではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
基本評価基準,現状評価基準,環境評価基準の三つの基準で情報システムの脆弱性の深刻度を評価するものはどれか。
ア CVSS 正解
イ ISMS
ウ PCI DSS
エ PMS
正解 ア
解説
CVSS(Common Vulnerability Scoring System,共通脆弱性評価システム)は,情報システムの脆弱性の深刻度を,脆弱性そのものの特性を評価する基本評価基準,時間の経過で変化する特性を評価する現状評価基準,利用者の環境に応じて評価する環境評価基準の三つの基準で評価し,数値で表す手法である。ベンダに依存しない共通の尺度で深刻度を比較できる。アが正しい。
イの ISMS は情報セキュリティマネジメントシステム,ウの PCI DSS はクレジットカード情報を保護するためのセキュリティ基準,エの PMS は個人情報保護マネジメントシステムである。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
盗まれたクレジットカードの不正利用を防ぐ仕組みのうち,オンラインショッピングサイトでの不正利用の防止に有効なものはどれか。
ア 3D セキュアによって本人確認する。 正解
イ クレジットカード内に保持された PIN との照合によって本人確認する。
ウ クレジットカードの有効期限を確認する。
エ セキュリティコードの入力によって券面認証する。
正解 ア
解説
3D セキュアは,オンラインでのクレジットカード決済の際に,カード会社に登録したパスワードやワンタイムパスワードなどで本人を認証する仕組みである。カードの番号や券面の情報だけでは決済できないので,盗まれたカードの情報による不正利用の防止に有効である。アが正しい。
イの PIN の照合は,実店舗の端末に IC カードを挿して行う仕組みで,オンラインショッピングでは使えない。ウの有効期限とエのセキュリティコードは,カードの券面に印字されており,カードそのものを盗まれた場合は犯人にも分かるので不正利用を防げない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
OSI 基本参照モデルのネットワーク層で動作し,“認証ヘッダ(AH)”と“暗号ペイロード(ESP)”の二つのプロトコルを含むものはどれか。
ア IPsec 正解
イ S/MIME
ウ SSH
エ XML 暗号
正解 ア
解説
IPsec は,OSI 基本参照モデルのネットワーク層で IP パケットを保護するプロトコル群で,改ざんの検知と送信元の認証を行う認証ヘッダ(AH)と,暗号化も行う暗号ペイロード(ESP)を含む。アが正しい。
イの S/MIME は電子メールの暗号化とデジタル署名,ウの SSH は遠隔ログインなどの通信の暗号化,エの XML 暗号は XML 文書の全体又は一部の暗号化を行うもので,いずれもネットワーク層より上位で動作し,AH と ESP を含まない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
オープンリダイレクトを悪用した攻撃に該当するものはどれか。
ア HTML メールのリンクを悪用し,HTML メールに,正規の Web サイトとは異なる偽の Web サイトの URL をリンク先に指定し,利用者がリンクをクリックすることによって,偽の Web サイトに誘導する。
イ Web サイトにアクセスすると自動的に他の Web サイトに遷移する機能を悪用し,攻撃者が指定した偽の Web サイトに誘導する。 正解
ウ インターネット上の不特定多数のホストから DNS リクエストを受け付けて応答する DNS キャッシュサーバを悪用し,攻撃対象の Web サーバに大量の DNS のレスポンスを送り付け,リソースを枯渇させる。
エ 設定の不備によって,正規の利用者以外からの電子メールや Web サイトへのアクセス要求を受け付けるプロキシを悪用し,送信元を偽った迷惑メールの送信を行う。
正解 イ
解説
オープンリダイレクトは,Web サイトが,URL のパラメタなどで指定された別の Web サイトへ自動的に遷移させる機能を,攻撃者が指定した偽の Web サイトにも転送するように悪用されることをいう。利用者は信頼できるサイトの URL をたどったつもりで,偽のサイトに誘導される。イが該当する。
アは偽サイトの URL をリンク先に指定した HTML メールによるフィッシング,ウは不特定多数のホストの DNS リクエストに応答する DNS キャッシュサーバ(オープンリゾルバ)を悪用して大量の応答を送り付ける DNS リフレクション攻撃,エは設定の不備で誰からの要求も受け付けるプロキシ(オープンプロキシ)を悪用した迷惑メールの送信である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
化学製品を製造する化学プラントに,情報ネットワークと制御ネットワークがある。この二つのネットワークを接続し,その境界に,制御ネットワークのセキュリティを高めるために DMZ を構築し,制御ネットワーク内の機器のうち,情報ネットワークとの通信が必要なものをこの DMZ に移した。DMZ に移した機器はどれか。
ア 温度,流量,圧力などを計測するセンサ
イ コントローラからの測定値を監視し,設定値(目標値)を入力する操作端末
ウ センサからの測定値が設定値に一致するように調整するコントローラ
エ 定期的にソフトウェアをアップデートする機器に対して,情報ネットワークから入手したアップデートソフトウェアを提供するパッチ管理サーバ 正解
正解 エ
解説
制御ネットワークと情報ネットワークの境界に DMZ を設け,制御ネットワークのセキュリティを高めるには,情報ネットワークとの通信が必要な機器だけを DMZ に置く。情報ネットワークから入手したアップデートソフトウェアを制御ネットワークの機器に提供するパッチ管理サーバは,情報ネットワークとの通信が必要なので,DMZ に移す対象になる。エが該当する。
アのセンサ,ウのコントローラ,イの操作端末は,制御ネットワークの内部で互いに通信して計測や制御を行う機器で,情報ネットワークと直接通信する必要がないので,制御ネットワーク内に置いたままにして外部から守る。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
CRUD マトリクスの説明はどれか。
ア ある問題に対して起こり得る全ての条件と,各条件に対する動作の関係を表形式で表現したものである。
イ 各機能が,どのエンティティに対して,どのような操作をするかを一覧化したものであり,操作の種類には生成,参照,更新及び削除がある。 正解
ウ システムやソフトウェアを構成する機能(又はプロセス)と入出力データとの関係を記述したものであり,データの流れを明確にすることができる。
エ データをエンティティ,関連及び属性の三つの構成要素でモデル化したものであり,業務で扱うエンティティの相互関係を示すことができる。
正解 イ
解説
CRUD マトリクスは,業務の機能(プロセス)を行,エンティティ(データ)を列にとり,各機能が各エンティティに対して生成(Create),参照(Read),更新(Update),削除(Delete)のどの操作をするかを記入して一覧化した表である。データを生成する機能や使われないデータの有無などを確認できる。イが該当する。
アは条件と動作の組合せを表形式で表す決定表(デシジョンテーブル),ウは機能と入出力データの関係を示してデータの流れを明確にする DFD,エはデータをエンティティ,関連,属性でモデル化する E-R 図の説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
UML における振る舞い図の説明のうち,アクティビティ図のものはどれか。
ア ある振る舞いから次の振る舞いへの制御の流れを表現する。 正解
イ オブジェクト間の相互作用を時系列で表現する。
ウ システムが外部に提供する機能と,それを利用する者や外部システムとの関係を表現する。
エ 一つのオブジェクトの状態がイベントの発生や時間の経過とともにどのように変化するかを表現する。
正解 ア
解説
アクティビティ図は,処理の開始から終了までの流れを,ある振る舞い(アクティビティ)から次の振る舞いへの制御の流れとして表す UML の図で,分岐や並行処理も書ける。アが該当する。
イのオブジェクト間の相互作用を時系列で表すのはシーケンス図,ウのシステムが提供する機能と利用者や外部システムとの関係を表すのはユースケース図,エの一つのオブジェクトの状態がイベントや時間とともにどう変わるかを表すのは状態マシン図である。
UML のおもな図の使い分け
シーケンス図はオブジェクト間のメッセージを時間の順に,コミュニケーション図はオブジェクトのつながりに注目して相互作用を表す。ユースケース図はアクタとシステムの機能の関係(システムの範囲),アクティビティ図は処理の流れ(分岐・並行・同期),状態マシン図は1つのオブジェクトの状態の移り変わり,クラス図は静的な構造,オブジェクト図はある時点のインスタンスのつながりを表す。
図
表すもの
シーケンス図
メッセージを時間の順に
コミュニケーション図
オブジェクトのつながりと相互作用
ユースケース図
アクタと機能,システムの範囲
アクティビティ図
処理の流れ(分岐・並行・同期)
状態マシン図
1つのオブジェクトの状態の遷移
クラス図
クラスと関連(静的な構造)
オブジェクト図
ある時点のインスタンスとリンク
時間の順はシーケンス図,範囲はユースケース図,業務の流れはアクティビティ図
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
図は,ある図形描画ツールのクラス図の一部である。新たな形状や線種で図形を描画する機能の追加を容易にするために,リファクタリング“継承の分割”を行った。変更後のクラス図はどれか。
〔クラス図〕
正解 ウ
解説
リファクタリング“継承の分割”は,一つの継承階層が二つの異なる役割(ここでは図形の形状と線の種類)を兼ねているときに,それぞれを別の階層に分け,一方から他方を関連で参照させる手法である。ウは,形状の階層(図形,三角形,四角形)と線種の階層(線種,太線,細線)に分け,図形から線種へ関連を引いているので,新たな形状や線種を追加するときは,該当する階層に 1 クラス足すだけでよい。ウが正しい。
アは形状と線種の組合せごとにクラスを並べたもので,種類が増えると組合せの数だけクラスが増える。イは太線の図形の階層を別に作って形状の継承を重複させている。エは太線のクラスを太線の三角形と太線の四角形の両方から継承させる形で,継承の分割ではなく,組合せを多重継承で表している。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
アジャイル開発におけるプラクティスの一つであるバーンダウンチャートはどれか。ここで,図中の破線は予定又は予想を,実線は実績を表す。
正解 ア
解説
バーンダウンチャートは,縦軸に残作業量,横軸に時間をとり,残作業が減っていく予定と実績を示すグラフである。予定の線と実績の線を比べることで,作業の進み具合や遅れが一目で分かる。アが該当する。
イは時間とともに故障(不具合)の発生数が減った後,再び増えるバスタブ曲線。ウは累積バグ数が S 字状に増えて収束していく信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線など)。エは時期ごとの要員数の予定と実績を示す要員計画のグラフである。
バーンダウンチャート
縦軸に残っている作業量,横軸に日付をとり,予定(破線)と実績(実線)を描く。実績が予定の線より上にあれば遅れている。スプリントの終わりに残作業が0になるよう,日々の進み具合を確かめる。
日
残りの作業量
予定
実績が予定より上 → 遅れ
縦軸は「残り」。右下がりの予定線より上なら遅れ
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
アジャイル開発手法の一つであるスクラムでは,プロダクトオーナ,スクラムマスタ,開発者でスクラムチームを構成する。スクラムマスタが行うこととして,最も適切なものはどれか。
ア 各スプリントの終わりにプロダクトインクリメントのリリースの可否を判断する。
イ スクラムの理論とプラクティスを全員が理解するように支援する。 正解
ウ プロダクトバックログアイテムを明確に表現する。
エ プロダクトバックログの優先順位を決定する。
正解 イ
解説
スクラムガイドでは,スクラムマスタは,スクラムを確立させることに責任をもち,スクラムチームと組織の全員がスクラムの理論とプラクティスを理解できるように支援する。イが最も適切である。
ウのプロダクトバックログアイテムを明確に表現することと,エのプロダクトバックログの優先順位を決定することは,プロダクトバックログの管理に責任をもつプロダクトオーナの役割である。アのリリースの可否の判断も,スクラムガイドがスクラムマスタの責任として挙げているものではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
PMBOK ガイド 第 6 版によれば,プロジェクトの各フェーズが終了した時点で実施する“フェーズ・ゲート”の目的として,適切なものはどれか。
ア 現在のプロジェクトのパフォーマンスを測定し,ベースラインと比較してプロジェクトの状況を把握する。
イ 第三者がプロジェクトの成果物をレビューすることによって,設計の不具合の有無を確認する。
ウ プロジェクトの全体リスク及び特定された個別リスクについて,リスク対応策の有効性を評価する。
エ プロジェクトのパフォーマンスや進捗状況を評価して,プロジェクトの継続や中止を判断する。 正解
正解 エ
解説
PMBOK ガイド 第 6 版では,フェーズ・ゲートは各フェーズの終わりに行うレビューで,プロジェクトのパフォーマンスや進捗状況を,ビジネス文書やプロジェクトマネジメント計画書と比べて評価し,次のフェーズに進むか,修正して進むか,プロジェクトを終了するか(継続や中止)を判断するものとされている。エが適切である。
アの現在のパフォーマンスをベースラインと比較して状況を把握するのは,作業の監視・コントロールで行う進捗の測定である。イの第三者が成果物をレビューして不具合を確認するのは,品質のためのレビューや監査。ウのリスク対応策の有効性の評価は,リスクの監視で行う。いずれもフェーズ・ゲートの目的ではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
次のプレシデンスダイアグラムで表現されたプロジェクトスケジュールネットワーク図を,アローダイアグラムに書き直したものはどれか。ここで,プレシデンスダイアグラムの依存関係は全て FS 関係とする。
正解 イ
解説
プレシデンスダイアグラムでは,作業 F の前に A と D の二つの矢印が入っている。アローダイアグラムで F を“A と D の両方が終わってから始まる作業”として表すには,A の終了の結合点から D の終了(F の開始)の結合点へダミー作業を引く必要がある。それ以外の依存関係は矢印をつなげればそのまま表せるので,ダミー作業を1本だけ加えたイが正しい。
アはダミー作業がなく,F が A の終了を待たずに始められることになる。ウは A の終了から H の開始へのダミー作業も加えているが,F の後に H があるので既に表されている関係で,余分である。エは A の終了から H の開始へのダミー作業だけで,F が A の終了を待つ関係を表していない。
PDM をアローダイアグラムに書き直す
PDM では F の前に A と D の2本が入っている。アローダイアグラムで F を“A と D の両方が終わってから始まる作業”にするには,A の終わりの結合点から D の終わり(F の始まり)の結合点へダミー作業(破線)を1本引く。
A
B
D
C
E
G
F
H
ダミー
A の終わり → F の始まりへダミーを1本
前の作業が2つある所にダミー作業が要る
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
PMBOK ガイド 第 6 版によれば,リスクの定量的分析で実施することはどれか。
ア 発生の可能性や影響のみならず他の特性を評価することによって,さらなる分析や行動のためにプロジェクトの個別リスクに優先順位を付ける。
イ プロジェクトの個別の特定した個別リスクと,プロジェクト目標全体における他の不確実性要因が複合した影響を数量的に分析する。 正解
ウ プロジェクトの全体リスクとプロジェクトの個別リスクに対処するために,選択肢の策定,戦略の選択,及び対応処置を合意する。
エ プロジェクトの全体リスクの要因だけでなくプロジェクトの個別リスクの要因も特定し,それぞれの特性を文書化する。
正解 イ
解説
PMBOK ガイド第6版は,リスクの定量的分析を,特定した個別リスクとプロジェクト目標全体に対するその他の不確実性要因が複合した影響を,数量的に分析するプロセスとしている。モンテカルロ・シミュレーションなどを使う。イが該当する。
アの発生確率や影響などを評価して個別リスクに優先順位を付けるのはリスクの定性的分析。ウの対応の選択肢を策定し戦略を選択して対応処置に合意するのはリスク対応の計画。エの個別リスクと全体リスクの要因を特定して特性を文書化するのはリスクの特定である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
サービスマネジメントシステムにおける問題管理の活動のうち,適切なものはどれか。
ア 同じインシデントが発生しないように,問題は根本原因を特定して必ず恒久的に解決する。
イ 同じ問題が重複して管理されないように,既知の誤りは記録しない。
ウ 問題管理の負荷を低減するために,解決した問題は直ちに問題管理の対象から除外する。
エ 問題を特定するために,インシデントのデータ及び傾向を分析する。 正解
正解 エ
解説
問題管理では,インシデントのデータや傾向を分析して,繰り返し起きているインシデントなどから,その根本原因となる問題を特定する。エが適切である。
アは誤り。根本原因が特定できても,費用対効果などから恒久的な解決をしない判断もあり,その場合は回避策を既知の誤りとして記録して管理する。イは誤り。既知の誤りは,インシデントを速やかに解決するために記録して活用する。ウは誤り。解決した問題も,解決策の有効性の確認やレビューを経てから終了し,記録は再発時などに活用する。
問題管理のリアクティブとプロアクティブ
リアクティブな活動は,起きたインシデントから根本原因を調べて取り除き,既知のエラーとして記録する。プロアクティブな活動は,過去のインシデントの記録を分析して傾向をつかみ,これから起きそうな問題を見つけて未然に防ぐ。
リアクティブ(事後)
プロアクティブ(予防)
きっかけ
起きたインシデント
過去の記録・傾向
すること
根本原因の究明・既知のエラー
起きそうな問題を予測して防ぐ
傾向を分析して予測する → プロアクティブ
起きた後に調べるのがリアクティブ,起きる前に傾向から防ぐのがプロアクティブ
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
次の処理条件で磁気ディスクに保存されているファイルを磁気テープにバックアップするとき,バックアップの運用に必要な磁気テープは最少で何本か。
〔処理条件〕
(1) 毎月初日(1日)にフルバックアップを取る。フルバックアップは1本の磁気テープに1回分を記録する。 (2) フルバックアップを取った翌日から次のフルバックアップを取るまでは,毎日,差分バックアップを取る。差分バックアップは,差分バックアップ用としてフルバックアップとは別の磁気テープに追記録し,1本に1か月分を記録する。 (3) 常に6か月前の同一日までのデータについて,指定日の状態にファイルを復元できるようにする。ただし,6か月前の月に同一日が存在しない場合は,当該月の末日までのデータについて,指定日の状態にファイルを復元できるようにする(例:本日が10月31日の場合は,4月30日までのデータについて,指定日の状態にファイルを復元できるようにする)。
正解 ウ
解説
処理条件 (3) から,常に 6 か月前の同一日以降の任意の日の状態に復元できなければならない。ある日の状態に復元するには,その月の 1 日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が必要である。
例えば本日が 10 月 31 日なら,4 月 30 日以降の日を復元できる必要があるので,4 月から 10 月までの 7 か月分のフルバックアップと差分バックアップを保管しておかなければならない。本日が 10 月 1 日でフルバックアップを取った後でも,4 月 1 日以降の復元のために同じく 4 月から 10 月までの 7 か月分が必要になる。
フルバックアップ用が 7 本,差分バックアップ用が 7 本で,合計 14 本となり,ウになる。
バックアップに必要な磁気テープの本数
ある日の状態に戻すには,その月の1日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が要る。6か月前の同じ日以降のどの日にも戻せるようにするには,例えば10月31日なら4月30日以降,つまり4月から10月までの7か月分を残す。フルバックアップ用7本と差分バックアップ用7本で14本。
4月
フル
差分
5月
フル
差分
6月
フル
差分
7月
フル
差分
8月
フル
差分
9月
フル
差分
10月
フル
差分
4月30日〜10月31日のどの日にも戻せる
7か月 × 2本 = 14本
(10月31日なら6か月前は4月30日。4月分のテープも要る)
6か月前の月も含めるので7か月分。月ごとにフルと差分で2本
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
“24 時間 365 日”の有人オペレーションサービスを提供する。シフト勤務の条件が次のとき,オペレータは最少で何人必要か。
〔条件〕
(1) 1日に3シフトの交代勤務とする。 (2) 各シフトで勤務するオペレータは2人以上とする。 (3) 各オペレータの勤務回数は7日間当たり5回以内とする。
正解 イ
解説
7 日間に必要な延べ勤務回数は,7 日×3 シフト×2 人=42 回。1 人当たりの勤務回数は 7 日間で 5 回以内なので,必要な人数は 42÷5=8.4,すなわち 9 人以上になる。
8 人では 8×5=40 回にしかならず 42 回に届かない。10 人や 16 人でも条件は満たせるが“最少”ではない。
シフト勤務に必要な人数
1日3シフト,各シフト2人以上なので,7日間で必要な延べ勤務は 7×3×2=42 回。1人は7日間に5回までなので,42÷5=8.4 で,9人以上が要る。8人では 8×5=40 回で足りない。
月
火
水
木
金
土
日
シフト1
2
2
2
2
2
2
2
シフト2
2
2
2
2
2
2
2
シフト3
2
2
2
2
2
2
2
延べ 7 × 3 × 2 = 42 回
42 ÷ 5 = 8.4 → 9 人
延べの回数 ÷ 1人の上限,端数は切り上げ
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
経済産業省“情報セキュリティ監査基準 実施基準ガイドライン(Ver1.0)”における,情報セキュリティ対策の適切性に対して一定の保証を付与することを目的とする監査(保証型の監査)と情報セキュリティ対策の改善に役立つ助言を行うことを目的とする監査(助言型の監査)の実施に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 同じ監査対象に対して情報セキュリティ監査を実施する場合,保証型の監査から手がけ,保証が得られた後に助言型の監査に切り替えなければならない。
イ 情報セキュリティ監査において,保証型の監査と助言型の監査は排他的であり,監査人はどちらで監査を実施するかを決定しなければならない。
ウ 情報セキュリティ監査を保証型で実施するか助言型で実施するかは,監査要請者のニーズによって決定するのではなく,監査人の責任において決定する。
エ 不特定多数の利害関係者の情報を取り扱う情報システムに対しては,保証型の監査を定期的に実施し,その結果を開示することが有用である。 正解
正解 エ
解説
保証型の監査は,情報セキュリティ対策が適切であることについて,監査人が一定の保証を付与するもので,結果を外部の利害関係者に示すために使える。不特定多数の利害関係者の情報を取り扱う情報システムでは,保証型の監査を定期的に実施してその結果を開示することが,対策の適切性を利害関係者に示すうえで有用である。エが適切である。
アは,保証型から助言型へ必ず切り替えなければならないという決まりはなく,誤り。イは,保証型と助言型は監査の目的に応じて選ぶもので,どちらか一方しか行えないというものではない。ウは,どちらで実施するかを監査人が一方的に決めるのではなく,監査要請者のニーズ(監査の目的)に基づいて決める。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
アジャイル開発を対象とした監査の着眼点として,システム管理基準(平成 30 年)に照らして,適切なものはどれか。
ア ウォータフォール型開発のように,要件定義,設計,プログラミングなどの工程ごとの完了基準に沿って,開発作業を逐次的に進めていること
イ 業務システムの開発チームが,情報システム部門の要員だけで構成されていること
ウ 業務システムの開発チームは,実装された機能について利害関係者へのデモンストレーションを実施し,参加者からフィードバックを得ていること 正解
エ 全ての開発作業が完了した後に,本番環境へのリリース計画を策定していること
正解 ウ
解説
アジャイル開発では,短い反復(イテレーション)ごとに動くソフトウェアを作り,利害関係者にデモンストレーションをしてフィードバックを得ながら進める。システム管理基準(平成 30 年)に照らした監査の着眼点としても,実装された機能について利害関係者へのデモンストレーションを実施し,参加者からフィードバックを得ているかを確かめることが適切である。ウが適切である。
アの工程ごとの完了基準に沿って逐次的に進めるのは,ウォータフォール型開発の特徴である。イの情報システム部門の要員だけで構成されたチームでは,業務側の要求や評価を取り込みにくく,アジャイル開発の着眼点として不適切である。エの全ての開発作業が完了した後にリリース計画を策定するのでは,反復ごとに価値を届けるアジャイル開発に合わない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
データの生成から入力,処理,出力,活用までのプロセス,及び組み込まれているコントロールを,システム監査人が書面上で又は実際に追跡する技法はどれか。
ア インタビュー法
イ ウォークスルー法 正解
ウ 監査モジュール法
エ ペネトレーションテスト法
正解 イ
解説
ウォークスルー法は,データの生成から入力,処理,出力,活用までのプロセスと,組み込まれているコントロールを,監査人が書面上で又は実際に追跡して確かめるシステム監査の技法である。イが該当する。
アのインタビュー法は関係者に口頭で質問して回答を得る技法。ウの監査モジュール法は,監査対象のプログラムに監査用のモジュールを組み込み,処理の状況を記録して検証する技法。エのペネトレーションテスト法は,実際に外部から侵入を試みてセキュリティ対策の有効性を確かめる技法である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
システム監査基準(平成 30 年)に基づいて,監査報告書に記載された指摘事項に対応する際に,不適切なものはどれか。
ア 監査対象部門が,経営者の指摘事項に対するリスク受容を理由に改善を行わないこととする。
イ 監査対象部門が,自発的な取組によって指摘事項に対する改善に着手する。
ウ システム監査人が,監査対象部門の改善計画を作成する。 正解
エ システム監査人が,監査対象部門の改善実施状況を確認する。
正解 ウ
解説
システム監査基準(平成 30 年)では,監査報告書に記載された指摘事項に対する改善計画の作成と実施は,監査対象部門の責任で行う。システム監査人は,その改善状況を確認(フォローアップ)する立場である。システム監査人が監査対象部門の改善計画を作成するとなると,監査人の独立性が損なわれるので,ウが不適切である。
アは,経営者が指摘事項のリスクを受容すると判断して改善を行わないこともあり得る。イの監査対象部門が自発的に改善に着手することと,エの監査人が改善実施状況を確認することは,いずれも適切な対応である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
テレワークで活用している VDI に関する記述として,適切なものはどれか。
ア PC 環境を仮想化してサーバ上に置くことで,社外から端末の種類を選ばず自分のデスクトップ PC 環境として利用できるシステム 正解
イ インターネット上に仮想の専用線を設定し,特定の人だけが利用できる専用ネットワーク
ウ 紙で保管されている資料を,ネットワークを介して遠隔地からでも参照可能な電子書類に変換・保存することができるツール
エ 対面での会議開催が困難な場合に,ネットワークを介して対面と同じようなコミュニケーションができるツール
正解 ア
解説
VDI(Virtual Desktop Infrastructure,仮想デスクトップ基盤)は,PC のデスクトップ環境を仮想化してサーバ上に置き,利用者は手元の端末から接続して,自分のデスクトップ環境として使うシステムである。テレワークでは,社外から端末の種類を選ばずに社内と同じ環境を利用できる。アが適切である。
イは仮想の専用線をインターネット上に設定する VPN,ウは紙の資料を電子書類に変換して保存する文書電子化のツール,エはネットワークを介して対面のような会議を行う Web 会議システムの説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
物流業務において,10%の物流コストの削減の目標を立てて,図のような業務プロセスの改善活動を実施している。図中の c に相当する活動はどれか。
ア CSF(Critical Success Factor)の抽出
イ KGI(Key Goal Indicator)の設定
ウ KPI(Key Performance Indicator)の設定 正解
エ MBO(Management by Objectives)の導入
正解 ウ
解説
図の流れでは,a で最終的な目標“10%の物流コストの削減”を定め,b でそれを達成するための重要な成功要因“在庫の削減,誤出荷の削減”を挙げ,c でその達成度合いを測る具体的な数値目標“在庫日数7日以内,誤出荷率3%以内”を決めている。c は KPI(重要業績評価指標)の設定に当たり,ウが正しい。
イの KGI(重要目標達成指標)の設定は最終目標を定める a に,アの CSF(重要成功要因)の抽出は b に相当する。エの MBO(目標による管理)は,従業員が自ら目標を設定して達成度で評価する人事管理の手法で,この流れのどの段階にも当たらない。
KGI・CSF・KPI の流れ
まず最終の目標を数値にする(KGI:物流コスト 10%削減)。次にそれを達成する鍵になる要因を見極める(CSF:在庫の削減,誤出荷の削減)。その要因の達成度を測る指標を決める(KPI:在庫日数7日以内,誤出荷率3%以内)。改善を実施して成果を測り,ギャップを分析して KGI に戻る。
物流コストの削減
a KGI の設定
10%の物流コスト削減
目標
b CSF の抽出
在庫・誤出荷の削減
鍵になる要因
c KPI の設定
在庫日数7日・誤出荷率3%
測る指標
改善活動の実施
計測とギャップ分析
a=KGI の設定,b=CSF の抽出,c=KPI の設定
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
事業目標達成のためのプログラムマネジメントの考え方として,適切なものはどれか。
ア 活動全体を複数のプロジェクトの結合体と捉え,複数のプロジェクトの連携,統合,相互作用を通じて価値を高め,組織全体の戦略の実現を図る。 正解
イ 個々のプロジェクト管理を更に細分化することによって,プロジェクトに必要な技術や確保すべき経営資源の明確化を図る。
ウ システムの開発に使用するプログラム言語や開発手法を早期に検討することによって,開発リスクを低減し,投資効果の最大化を図る。
エ リスクを最小化するように支援する専門組織を設けることによって,組織全体のプロジェクトマネジメントの能力と品質の向上を図る。
正解 ア
解説
プログラムマネジメントは,事業目標の達成という共通の目的に向けて,互いに関連する複数のプロジェクトをまとめて管理する考え方。個々のプロジェクトの成果を足し合わせるだけでなく,プロジェクト間の連携や統合,相互作用を通じて全体の価値を高め,組織の戦略を実現する。アが適切である。
イは個々のプロジェクト管理を細かくする話で,複数のプロジェクトを束ねる視点がない。ウは一つのシステム開発の技術選定によるリスク低減の話。エはプロジェクトマネジメントを組織的に支援する PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
A 社は,社員 10 名を対象に,ICT 活用によるテレワークを導入しようとしている。テレワーク導入後5年間の効果(“テレワークで削減可能な費用”から“テレワークに必要な費用”を差し引いた額)の合計は何万円か。
〔テレワークの概要〕
テレワーク対象者は,リモートアクセスツールを利用して,テレワーク用 PC から社内システムにインターネット経由でアクセスして,フルタイムで在宅勤務を行う。 テレワーク用 PC の購入費用,リモートアクセスツールの費用,自宅・会社間のインターネット回線費用は会社が負担する。 テレワークを導入しない場合は,育児・介護理由によって,毎年1名の離職が発生する。フルタイムの在宅勤務制度を導入した場合は,離職を防止できる。離職が発生した場合は,その補充のために中途採用が必要となる。 テレワーク対象者分の通勤費とオフィススペース・光熱費が削減できる。 在宅勤務によって,従来,通勤に要していた時間が削減できるが,その効果は考慮しない。
正解 イ
解説
削減可能な費用(5年間)は,通勤費 10万円×10名×5年=500万円,オフィススペース・光熱費 12万円×10名×5年=600万円,離職を防止できることによる中途採用費用 50万円×毎年1名×5年=250万円で,合計 1,350万円になる。
必要な費用(5年間)は,テレワーク用 PC 8万円×10台=80万円,リモートアクセスツールの初期費用 1万円×10名=10万円と運用費用 2万円×10名×5年=100万円,インターネット回線費用 6万円×10名×5年=300万円で,合計 490万円になる。
効果の合計は 1,350−490=860万円で,イが正しい。中途採用費用の削減を数えないと 610万円(ア)になる。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
RFI を説明したものはどれか。
ア サービス提供者と顧客との間で,提供するサービスの内容,品質などに関する保証範囲やペナルティについてあらかじめ契約としてまとめた文書
イ システム化に当たって,現在の状況において利用可能な技術・製品,ベンダにおける導入実績など実現手段に関する情報提供をベンダに依頼する文書 正解
ウ システムの調達のために,調達側からベンダに技術的要件,サービスレベル要件,契約条件などを提示し,指定した期限内で実現策の提案を依頼する文書
エ 要件定義との整合性を図り,利用者と開発要員及び運用要員の共有物とするために,業務処理の概要,入出力情報の一覧,データフローなどをまとめた文書
正解 イ
解説
RFI(Request For Information:情報提供依頼書)は,システム化を検討する初期の段階で,利用可能な技術や製品,導入実績などの情報の提供をベンダに依頼する文書である。集めた情報を基に要件を固め,その後に提案を求める。イが正しい。
アはサービスの内容や品質の保証範囲,未達時のペナルティを合意する SLA(サービスレベル合意書)。ウは要件や契約条件を示して期限内に提案を求める RFP(提案依頼書)。エは業務処理の概要や入出力情報,データフローをまとめ,利用者と開発・運用の要員が共有する設計書の説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
半導体メーカが行っているファウンドリサービスの説明として,適切なものはどれか。
ア 商号や商標の使用権とともに,一定地域内での商品の独占販売権を与える。
イ 自社で半導体製品の企画,設計から製造までを一貫して行い,それを自社ブランドで販売する。
ウ 製造設備をもたず,半導体製品の企画,設計及び開発を専門に行う。
エ 他社からの製造委託を受けて,半導体製品の製造を行う。 正解
正解 エ
解説
ファウンドリサービスは,他社が設計した半導体を製造だけ請け負う事業。自社ブランドの製品はもたず,多くの企業からの注文をまとめて製造設備の稼働率を高めることで成り立っている。エが正しい。
アは商号や商標の使用権と独占販売権を与えるフランチャイズ。イは企画から製造・販売まで自社で一貫して行う IDM(垂直統合型メーカ)。ウは製造設備をもたず設計・開発に特化するファブレス企業の説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
バリューチェーンの説明はどれか。
ア 企業活動を,五つの主活動と四つの支援活動に区分し,企業の競争優位の源泉を分析するフレームワーク 正解
イ 企業の内部環境と外部環境を分析し,自社の強みと弱み,自社を取り巻く機会と脅威を整理し明確にする手法
ウ 財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点から企業を分析し,戦略マップを策定するフレームワーク
エ 商品やサービスを,誰に,何を,どのように提供するかを分析し,事業領域を明確にする手法
正解 ア
解説
バリューチェーン(価値連鎖)は,M.E.ポーターが提唱したフレームワークで,企業活動を購買物流,製造,出荷物流,販売・マーケティング,サービスの五つの主活動と,全般管理(インフラストラクチャ),人事・労務管理,技術開発,調達の四つの支援活動に分け,どの活動で価値が生まれ競争優位につながっているかを分析する。アが該当する。
イは SWOT 分析,ウはバランススコアカード,エは“誰に(顧客),何を(機能),どのように(技術)”で事業領域を定める事業ドメインの定義の説明である。
バリューチェーン
企業の活動を,製品やサービスが顧客に届くまでの主活動(購買物流・製造・出荷物流・販売とマーケティング・サービス)と,それを支える支援活動(全般管理・人事労務管理・技術開発・調達)に分け,どの活動で価値(利益,マージン)が生まれているかを分析する。
全般管理(インフラストラクチャ)
人事・労務管理
技術開発
調達活動
購買物流
製造
出荷物流
販売・マーケ
サービス
マージン
上:支援活動 下:主活動
主活動5つと支援活動4つ。右端のマージンが生み出した価値
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
あるメーカがビールと清涼飲料水を生産する場合,表に示すように 6 種類の組合せ(A〜F)によって異なるコストが掛かる。このメーカの両製品の生産活動におけるスケールメリットとシナジー効果に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア スケールメリットはあるが,シナジー効果はない。
イ スケールメリットはないが,シナジー効果はある。 正解
ウ スケールメリットとシナジー効果がともにある。
エ スケールメリットとシナジー効果がともにない。
正解 イ
解説
スケールメリットは,生産量が増えるほど製品 1 本当たりのコストが下がることである。ビールは 20 万本で 1,500 万円(75 円/本),40 万本で 3,300 万円(82.5 円/本)と 1 本当たりのコストが上がり,清涼飲料水も 10 万本で 500 万円(50 円/本),20 万本で 1,100 万円(55 円/本)と上がるので,スケールメリットはない。シナジー効果は,複数の事業を同時に行うことでコストが下がることである。ビール 20 万本と清涼飲料水 10 万本を同時に生産する E(1,900 万円)は,別々に生産する A+C(1,500+500=2,000 万円)より安く,F(4,200 万円)も B+D(3,300+1,100=4,400 万円)より安いので,シナジー効果はある。イが正しい。
アはスケールメリットがあるとする点,ウは両方あるとする点,エはシナジー効果がないとする点が,上の計算と合わない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
新しい事業に取り組む際の手法として,E.リースが提唱したリーンスタートアップの説明はどれか。
ア 国・地方公共団体など,公共機関の補助金・助成金の交付を前提とし,事前に詳細な事業計画を検討・立案した上で,公共性のある事業を立ち上げる手法
イ 市場環境の変化によって競争力を喪失した事業分野に対して,経営資源を大規模に追加投入し,リニューアルすることによって,基幹事業として再出発を期す手法
ウ 持続可能な事業を迅速に構築し,展開するために,あらかじめ詳細に立案された事業計画を厳格に遂行して,成果の検証や計画の変更を最小限にとどめる手法
エ 実用最小限の製品・サービスを短期間で作り,構築・計測・学習というフィードバックループで改良や方向転換をして,継続的にイノベーションを行う手法 正解
正解 エ
解説
リーンスタートアップは,E.リースが提唱した新規事業の立ち上げ方で,MVP(実用最小限の製品)を短期間で作って市場に出し,構築・計測・学習のフィードバックループを素早く回しながら,改良や方向転換(ピボット)を繰り返してイノベーションを生む手法である。エが該当する。
アの補助金を前提に事前に詳細な計画を立てる手法,ウの詳細な計画を厳格に遂行し検証や変更を最小限にする手法は,仮説を検証しながら素早く修正していくリーンスタートアップとは逆の考え方である。イは衰退した事業への大規模な追加投資による再生で,新しい事業の立ち上げ方ではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
SFA を説明したものはどれか。
ア 営業活動に IT を活用して営業の効率と品質を高め,売上・利益の大幅な増加や,顧客満足度の向上を目指す手法・概念である。 正解
イ 卸売業・メーカが小売店の経営活動を支援することによって,自社との取引量の拡大につなげる手法・概念である。
ウ 企業全体の経営資源を有効かつ総合的に計画して管理し,経営の効率向上を図るための手法・概念である。
エ 消費者向けや企業間の商取引を,インターネットなどの電子的なネットワークを活用して行う手法・概念である。
正解 ア
解説
SFA(Sales Force Automation)は,商談の進捗,顧客との接触履歴,案件ごとの受注見込みなどを情報システムで記録・共有し,営業活動を支援する手法・概念である。担当者個人に抱え込まれていた情報を組織で使えるようにすることで,営業の効率と品質を高め,売上・利益の増加や顧客満足度の向上を目指す。アが正しい。
イは,卸売業やメーカが小売店の経営を支援して自社との取引を広げるリテールサポートの説明である。ウは,企業全体の経営資源を統合的に計画・管理する ERP の説明である。エは,ネットワークを使って商取引を行う電子商取引(EC)の説明である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
IoT 活用におけるディジタルツインの説明はどれか。
ア インターネットを介して遠隔地に設置した 3D プリンタへ設計データを送り,短時間に複製物を製作すること
イ システムを正副の二重に用意し,災害や故障時にシステムの稼働の継続を保証すること
ウ 自宅の家電機器とインターネットでつながり,稼働監視や操作を遠隔で行うことができるウェアラブルデバイスのこと
エ ディジタル空間に現実世界と同等な世界を,様々なセンサで収集したデータを用いて構築し,現実世界では実施できないようなシミュレーションを行うこと 正解
正解 エ
解説
ディジタルツインは,現実世界の物や環境の状態を様々なセンサで収集し,そのデータを用いてディジタル空間に現実と同等の“双子”の世界を構築する技術である。ディジタル空間の上で,現実世界では実施できないようなシミュレーションや将来の予測を行い,その結果を現実世界に生かす。エが適切である。
アは遠隔地の 3D プリンタへの設計データの送信による製作,イはシステムを正副二重に用意するデュプレックスシステムなどの冗長化,ウは家電を遠隔で監視・操作するウェアラブルデバイスで,いずれもディジタル空間に現実世界を再現するものではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
個人が,インターネットを介して提示された単発の仕事を受託する働き方や,それによって形成される経済形態を表すものはどれか。
ア API エコノミー
イ ギグエコノミー 正解
ウ シャドーエコノミー
エ トークンエコノミー
正解 イ
解説
ギグエコノミーは,個人が,インターネット上のプラットフォームを介して提示された単発の仕事(ギグ)を受託する働き方や,それによって形成される経済形態をいう。配達員や,クラウドソーシングによる仕事などが例である。イが該当する。
アの API エコノミーは,企業が API を公開して他社のサービスと連携することで形成される経済圏。ウのシャドーエコノミーは,統計や課税の対象にならない非公式な経済活動。エのトークンエコノミーは,ブロックチェーン上のトークンを報酬や価値の移転に使う経済圏である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
IoT の技術として注目されている,エッジコンピューティングの説明として,適切なものはどれか。
ア 演算処理のリソースをセンサ端末の近傍に置くことによって,アプリケーション処理の低遅延化や通信トラフィックの最適化を行う。 正解
イ 人体に装着して脈拍センサなどで人体の状態を計測して解析を行う。
ウ ネットワークを介して複数のコンピュータを結ぶことによって,全体として処理能力が高いコンピュータシステムを作る。
エ 周りの環境から微小なエネルギーを収穫して,電力に変換する。
正解 ア
解説
エッジコンピューティングは,クラウドにデータを送って処理するのではなく,端末に近い場所(エッジ)に演算資源を配置して処理する方式。通信の往復が減るので応答が速くなり,ネットワークに流れるデータ量も抑えられる。アが正しい。
イはウェアラブルコンピューティング,ウはグリッドコンピューティング(分散処理),エはエネルギーハーベスティングの説明。
エッジコンピューティング
センサーなどの端末のデータを全部クラウドへ送って処理すると,往復に時間がかかり,回線のデータ量も増える。端末の近く(エッジ)に処理の資源を置いて先に処理すれば,応答が速くなり(低遅延),クラウドへ送るデータも減らせる。
クラウド
エッジ
近くで処理
センサー1
センサー2
センサー3
要るものだけ
往復が短い → 低遅延
クラウドへ流すデータが減る
端末の近くで処理する → 速く,送るデータも少ない
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
リーダシップ論のうち,ハーシイ&ブランチャードが提唱する SL 理論の特徴はどれか。
ア 優れたリーダシップを発揮する,リーダ個人がもつ性格,知性,外観などの個人的資質の分析に焦点を当てている。
イ リーダシップのスタイルについて,目標達成能力と集団維持能力の二つの次元に焦点を当てている。
ウ リーダシップの有効性は,部下の成熟(自律性)の度合いという状況要因に依存するとしている。 正解
エ リーダシップの有効性は,リーダがもつパーソナリティと,リーダがどれだけ統制力や影響力を行使できるかという状況要因に依存するとしている。
正解 ウ
解説
ハーシイ&ブランチャードが提唱した SL 理論(Situational Leadership theory)は,唯一最適なリーダシップは存在せず,有効なスタイルは部下の成熟度(自律性)によって変わるとする理論である。ウが正しい。
アは,優れたリーダに共通する性格や知性などの個人的資質を分析する特性理論の説明である。イは,目標達成能力(P)と集団維持能力(M)の二つの次元でリーダシップのスタイルを捉える PM 理論の説明である。エは,リーダの個性と,リーダがどれだけ統制力や影響力を行使できるかという状況要因によって有効性が決まるとするフィードラーのコンティンジェンシー理論の説明である。
SL 理論(状況対応リーダーシップ)
ハーシィとブランチャードの SL 理論は,最適なリーダーシップは部下の成熟度によって変わるとする。成熟度が低いと細かく指示する教示的,少し上がると説明して納得させる説得的,さらに上がると意思決定に加える参加的,十分に高いと任せる委任的なスタイルが有効。
教示的
細かく指示
説得的
説明し納得
参加的
決定に加える
委任的
任せる
部下の成熟度 低 → 高
ジョハリの窓・SECI・欲求5段階とは別のもの
部下の成熟度が上がるにつれ,教示的 → 説得的 → 参加的 → 委任的
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
いずれも時価 100 円の株式 A〜D のうち,一つの株式に投資したい。経済の成長を高,中,低の三つに区分したときのそれぞれの株式の予想値上がり幅は,表のとおりである。マクシミン原理に従うとき,どの株式に投資することになるか。
正解 ア
解説
マクシミン原理は,各選択肢で起こり得る最悪の結果(最小値)を比べ,その最小値が最も大きい選択肢を選ぶ考え方である。各株式の最小の値上がり幅は,A が 10 円,B が 5 円,C が 5 円,D が −10 円なので,最小値が最も大きい A を選ぶ。アが正しい。
各株式の最大値が最も大きいものを選ぶマクシマックス原理なら,最大 40 円の D(エ)を選ぶことになる。
マクシミン原理(株式の選択)
各株式で最も悪い値上がり幅は A 10 円,B 5 円,C 5 円,D −10 円。その中で最も大きい A を選ぶ。最良の値を比べるマクシマックス原理なら,最大 40 円の D になる。
高
中
低
最小
A
20
10
15
10
B
25
5
20
5
C
30
20
5
5
D
40
10
−10
−10
最小のうち最大は 10 → A
単位 円。最大の最大(マクシマックス)なら D
最小値が最も大きい株式を選ぶ
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
製品 X,Y を 1 台製造するのに必要な部品数は,表のとおりである。製品 1 台当たりの利益が X,Y ともに 1 万円のとき,利益は最大何万円になるか。ここで,部品 A は 120 個,部品 B は 60 個まで使えるものとする。
正解 ウ
解説
製品 X の製造台数を x,製品 Y の製造台数を y とすると,部品 A の制約は 3x+2y≦120,部品 B の制約は x+2y≦60 であり,利益は x+y(万円)になる。二つの制約式を等号にして辺々引くと 2x=60 となり,x=30,y=15 でこのとき利益は 45 万円である。ほかに利益が最大になり得る点は,y=0 のとき部品 A から x=40 で 40 万円,x=0 のとき部品 B から y=30 で 30 万円である。最大は 45 万円なので,ウになる。
アの 30 は製品 Y だけを作った場合,イの 40 は製品 X だけを作った場合の利益である。エの 60 は,部品 B の制約だけを見て製品 X を 60 台作ったときの値だが,このとき部品 A が 180 個必要になり,120 個までという制約を満たさない。
線形計画法:実行可能領域と利益が最大の点
X を x 台,Y を y 台作るとき,部品 A の制約 3x+2y≦120 と部品 B の制約 x+2y≦60 を満たす範囲(塗った部分)の中で,利益 x+y が最大になる点を探す。最大になるのは領域の角で,2本の境界線の交点 x=30,y=15 のとき利益は45万円。X だけなら40,Y だけなら30。
X の台数 x
Y の台数 y
3x+2y=120(部品 A)
x+2y=60(部品 B)
(30, 15) で利益45
x+y=45
40
30
60
作れる範囲
利益が最大になるのは領域の角。2本の制約の交点 (30, 15) で45万円
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
A 社と B 社の比較表から分かる,A 社の特徴はどれか。
ア 売上高の増加が大きな利益に結び付きやすい。 正解
イ 限界利益率が低い。
ウ 損益分岐点が低い。
エ 不況時にも,売上高の減少が大きな損失に結び付かず不況抵抗力は強い。
正解 ア
解説
限界利益率は(売上高-変動費)÷売上高で求める。A 社は(1,000-500)÷1,000=0.5,B 社は(1,000-800)÷1,000=0.2 である。損益分岐点売上高は固定費÷限界利益率なので,A 社は 400÷0.5=800 億円,B 社は 100÷0.2=500 億円になる。A 社は限界利益率が高いので,売上高が 1 億円増えたときに増える営業利益も大きい。アが正しい。
イは誤りで,限界利益率は A 社 50%,B 社 20%で A 社のほうが高い。ウも誤りで,損益分岐点売上高は A 社 800 億円,B 社 500 億円で A 社のほうが高い。エも誤りで,A 社は固定費の割合が大きいので,売上高が減ったときの営業利益の減り方も大きく,不況抵抗力はむしろ弱い。
損益分岐点図表
横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。
売上高
金額
固定費
総費用
売上高
損益分岐点
損益分岐点売上高
利益
損失
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
企業が業務で使用しているコンピュータに,記憶媒体を介してマルウェアを侵入させ,そのコンピュータのデータを消去した者を処罰の対象とする法律はどれか。
ア 刑法 正解
イ 製造物責任法
ウ 不正アクセス禁止法
エ プロバイダ責任制限法
正解 ア
解説
業務で使っているコンピュータに,記憶媒体を介してマルウェアを侵入させ,データを消去した行為は,刑法の電子計算機損壊等業務妨害罪(第 234 条の 2)や,不正指令電磁的記録に関する罪(第 168 条の 2 など)の対象となる。アが該当する。
イの製造物責任法は,製造物の欠陥によって生じた損害の賠償責任を定めた法律である。ウの不正アクセス禁止法は,他人の ID やパスワードを使った不正なアクセスなどを処罰する法律で,マルウェアの侵入そのものは対象としない。エのプロバイダ責任制限法は,インターネット上の情報の流通で権利が侵害されたときの,プロバイダの損害賠償責任の制限や発信者情報の開示を定めた法律である。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
企業が,“特定電子メールの送信の適正化等に関する法律”に定められた特定電子メールに該当する広告宣伝メールを送信する場合に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア SMS で送信する場合はオプトアウト方式を利用する。
イ オプトイン方式,オプトアウト方式のいずれかを企業が自ら選択する。
ウ 原則としてオプトアウト方式を利用する。
エ 原則としてオプトイン方式を利用する。 正解
正解 エ
解説
“特定電子メールの送信の適正化等に関する法律”は,広告宣伝を目的とする特定電子メールについて,原則として,あらかじめ送信に同意した相手にだけ送信することを認める,オプトイン方式を採っている。エが適切である。
アの SMS(電話番号宛てのメッセージ)も法律の対象となる電子メールに含まれるので,オプトアウト方式ではなくオプトイン方式による。イのように,企業が方式を自由に選べるのではない。ウのオプトアウト方式(受信拒否の意思表示があるまで送信できる方式)は,原則の方式ではない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
労働基準法で定める 36 協定において,あらかじめ労働の内容や事情などを明記することによって,臨時的に限度時間の上限を超えて勤務させることが許される特別条項を適用する 36 協定届の事例として,適切なものはどれか。
ア 商品の売上が予想を超えたことによって,製造,出荷及び顧客サービスの作業量が増大したので,期間を3か月間とし,限度時間を超えて勤務する人数や所要時間を定めて特別条項を適用した。 正解
イ 新技術を駆使した新商品の研究開発業務がピークとなり,3か月間の業務量が増大したので,労働させる必要があるために特別条項を適用した。
ウ 退職者の増加に伴い従業員一人当たりの業務量が増大したので,新規に要員を雇用できるまで,特に期限を定めずに特別条項を適用した。
エ 慢性的な人手不足なので,増員を実施し,その効果を想定して1年間を期限とし,特別条項を適用した。
正解 ア
解説
36協定の特別条項は,通常予見することのできない業務量の大幅な増加などに伴い,臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合に限って定めることができる。適用する場合は,その事由をできる限り具体的に定め,限度時間を超えて労働させる期間や時間数などを明記する必要がある。予想を超えた売上増による作業量の増大という臨時の事由で,期間を3か月間とし,人数や所要時間を定めたアが適切である。
イは“労働させる必要があるため”という事由の書き方が具体的でなく,限度時間を超える必要性が特定されていない。ウの期限を定めない適用や,エの慢性的な人手不足への対応は,臨時的なものとはいえないので特別条項の適用として認められない。
出典:令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
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