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応用情報技術者試験

平成29年度 秋期 科目A(午前)

平成29年度 秋期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

相関係数に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

相関係数は2変量の直線的な関係の強さを −1 から +1 の範囲で表す指標。全ての標本点が1本の直線上に並び,その傾きが正であれば,相関係数はちょうど +1 になる。アが正しい。

イは逆で,きれいな線形の関係があれば相関係数の絶対値は1に近づく。0になるのは直線的な関係が見られないときである。ウは,非線形の関係でも相関係数が正になることも0付近になることもあり,負になるとは限らない。エの無相関のときは0であって −1 ではない。−1 になるのは負の傾きの直線上に全ての点が並ぶときである。

相関係数と散布図 全ての点が正の傾きの直線上にあれば相関係数は+1,負の傾きの直線上にあれば−1。直線的な関係が見られなければ0に近い(無相関)。相関係数が表すのは直線的な関係の強さだけ。 +1 0(無相関) −1
+1 と −1 は全ての点が1本の直線上。無相関は 0

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

次の BNF において非終端記号 〈A〉 から生成される文字列はどれか。

正解 ア

解説

〈A〉〈B〉〈C〉は,それぞれ“各桁の数字の和を 3 で割った余りが 0,1,2 になる数字列”を生成する。〈R0〉は 0,3,6,9(余り 0),〈R1〉は 1,4,7(余り 1),〈R2〉は 2,5,8(余り 2)で,たとえば〈A〉::= 〈B〉〈R2〉は,余り 1 の列に余り 2 の数字を続けて余り 0 の列を作る規則である。123 は,“1”が〈B〉,“12”が〈B〉〈R2〉で〈A〉になり,さらに 3 を〈A〉〈R0〉で続けて〈A〉になる(各桁の和 6 が 3 の倍数)。アが正しい。

イの 124(和 7)とウの 127(和 10)は余りが 1 なので〈B〉,エの 128(和 11)は余りが 2 なので〈C〉から生成される文字列で,〈A〉からは生成されない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

四つのアルファベット a〜d から成るテキストがあり,各アルファベットは2ビットの固定長2進符号で符号化されている。このテキストにおける各アルファベットの出現確率を調べたところ,表のとおりであった。各アルファベットの符号を表のような可変長2進符号に変換する場合,符号化されたテキストの,変換前に対する変換後のビット列の長さの比は,およそ幾つか。

アルファベット a,b,c,d の出現確率(%)は 40,30,20,10。可変長2進符号は a が 0,b が 10,c が 110,d が 111。

正解 エ

解説

変換前は全て2ビットの固定長なので,1文字あたり平均2ビット。変換後は符号の長さが a は1ビット,b は2ビット,c と d は3ビットなので,出現確率で重み付けすると 0.4×1+0.3×2+0.2×3+0.1×3=0.4+0.6+0.6+0.3=1.9ビット。比は 1.9÷2=0.95 となり,エが正しい。

この符号は,どの符号も他の符号の先頭部分になっていない(語頭条件を満たす)ので,区切り記号なしで一意に復号できる。出現頻度の高い文字ほど短い符号を割り当てることで平均長を縮める,ハフマン符号と同じ考え方である。

一意に復号できる符号(接頭符号) 符号を木で表すと,a=0,b=10,c=110,d=111 はどの符号も葉にあり,ほかの符号の途中(先頭部分)にならないので,区切りがなくても一意に読める。a=0,c=00 のように a が c の先頭になっていると,“00” が c か aa か区別できない。出現頻度 40%・30%・20%・10% なら,平均の長さは 0.4×1+0.3×2+0.2×3+0.1×3=1.9 ビット。2ビットの固定長と比べると 1.9÷2≒0.95。 0 1 0 1 0 1 a 0 b 10 c 110 d 111 平均の長さ 0.4×1 +0.3×2 +0.2×3 +0.1×3 =1.9 ビット 2ビット固定の 0.95 倍 a=0,c=00 だと “00” が c か aa か 分からない
符号が全部「葉」にあれば一意に復号できる。よく出る文字ほど短く

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

UTF-8 の説明に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

UTF-8 は Unicode の符号化方式の一つで,1 文字を 1~4 バイト(当初の規格では 6 バイトまで)の可変長で表す。ASCII の範囲の文字は ASCII と同じ 1 バイト(最上位ビットが 0)で表すので,ASCII と上位互換性がある。アが適切である。

イは,2 バイトに収まらない文字を上位・下位サロゲートの組合せ(4 バイト)で表す UTF-16 の説明である。ウは,7 ビットで表して ASCII 文字だけを扱う電子メールで使えるようにした UTF-7 の説明である。エは,各符号位置を 4 バイトの固定長で表す UTF-32 の説明である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

配列 A[1],A[2],…,A[n] で,A[1] を根とし,A[i] の左側の子を A[2i],右側の子を A[2i+1] とみなすことによって,2分木を表現する。このとき,配列を先頭から順に調べていくことは,2分木の探索のどれに当たるか。

正解 エ

解説

A[1] を根とし,A[i] の子を A[2i] と A[2i+1] とする配列表現では,添字は根(1)の次に深さ1の節点(2,3),その次に深さ2の節点(4〜7)というように,上の段から,同じ段は左から右へ並ぶ。配列を先頭から順に調べるとは,この順に節点を訪れることなので,浅い節点から段ごとに調べる幅優先探索に当たる。エが正しい。

ア,イ,ウは,いずれも根から枝を深く下って調べる深さ優先探索で,節点を訪れる順番だけが違う。行きがけ順は親→左→右,通りがけ順は左→親→右,帰りがけ順は左→右→親の順に節点を訪れ,どれも配列の添字の順にはならない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

ノード 1〜5 をもつグラフを隣接行列で表したもののうち,木となるものはどれか。ここで,隣接行列の i 行 j 列目の成分は,ノード i とノード j を結ぶエッジがある場合は1,ない場合は0とする。

正解 イ

解説

木は,閉路(ぐるっと回る道)がなく,全てのノードがつながっているグラフで,ノードが 5 個ならエッジは 4 本である。隣接行列の 1 の個数はエッジ数の 2 倍(8 個)になる。イは,1 の個数が 8 個で,エッジが 1-2,1-5,2-3,2-4 の 4 本,全てのノードがつながっていて閉路もないので,木である。

アは 1 の個数が 10 個(エッジ 5 本)で,1-2-3-4-5-1 の閉路がある。ウもエッジが 1-2,1-4,2-3,3-4,3-5 の 5 本で,1-2-3-4-1 の閉路がある。エはエッジが 1-2,1-3,2-3,3-4,3-5,4-5 の 6 本で,1-2-3-1 などの閉路がある。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

fact(n) は,非負の整数 n に対して n の階乗を返す。fact(n) の再帰的な定義はどれか。

正解 ウ

解説

階乗は 0!=1,n!=n×(n−1)! と定義される。したがって再帰の終了条件では 1 を返し,それ以外では n×fact(n−1) を返す。ウが正しい。

アとイは n=0 のときに 0 を返すので,どの値を与えても最終的に0が掛かって結果が0になってしまう。イとエは fact(n+1) と引数を増やしており,終了条件に近づかないので無限に再帰して停止しない。

fact(3) の再帰呼出しと戻り fact(3) は 3×fact(2) を,fact(2) は 2×fact(1) を,fact(1) は 1×fact(0) を呼ぶ。fact(0) は終了条件で 1 を返す。戻りながら 1×1=1,2×1=2,3×2=6 と掛け合わせ,fact(3)=6 になる。fact(0) が 0 を返すと全体が 0 になってしまう。 fact(3) 3×2 = 6 fact(2) 2×1 = 2 fact(1) 1×1 = 1 fact(0) 1 を返す 呼ぶ(下へ) 戻りながら掛ける(上へ)
終了条件 fact(0)=1 で止まり,戻りながら掛けていく

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

パイプライン制御を適切に表しているものはどれか。ここで,図中の記号 D は解読,E は実行,F は命令フェッチとする。

正解 ウ

解説

パイプライン制御は,命令を命令フェッチ(F),解読(D),実行(E)の段階に分け,前の命令が次の段階に進んだら,次の命令が空いた段階を使い始めることで,複数の命令を重ねて処理する方式である。ウは,各命令が F,D,E の順に進み,命令 2 は命令 1 より 1 段階遅れて,命令 3 は命令 2 より 1 段階遅れて始まっており,段階が重なっている。

アは前の命令が終わってから次の命令を始めていて,段階が重ならない(パイプラインではない)。イは各命令が D,F,E の順で,命令フェッチの前に解読が来ているので,順序が誤っている。エは命令 1 と命令 2 が同じ時刻に同じ段階(D)を使っていて,一つの段階を二つの命令が同時に使うことはできない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

メモリインタリーブの説明はどれか。

正解 エ

解説

メモリインタリーブは,主記憶を複数の独立したグループ(バンク)に分け,連続するアドレスを異なるグループに割り当てて,各グループに交互にアクセスする方式である。一つのグループが読み書きや後処理をしている間に別のグループへのアクセスを進められるので,主記憶へのアクセスが高速になる。エが該当する。

アは CPU と磁気ディスク装置の間にバッファを置くディスクキャッシュ,イは CPU と主記憶の速度差を埋めるキャッシュメモリの説明である。ウは一つのアクセスが完全に終わってから次に移る逐次的な動作で,インタリーブのように並行して進めないので高速化にはならない。

メモリインタリーブ 主記憶を4つのバンクに分け,連続したアドレスを 0 番地はバンク0,1 番地はバンク1,… と順に割り当てる。連続したアドレスを読むとき,バンク0 のアクセスが終わるのを待たずにバンク1・2・3 へのアクセスを始められるので,全体として速く読める。 バンク0 0 番地 4 番地 8 番地 12 番地 バンク1 1 番地 5 番地 9 番地 13 番地 バンク2 2 番地 6 番地 10 番地 14 番地 バンク3 3 番地 7 番地 11 番地 15 番地 0〜3 番地を続けて読むと,アクセスが重なる バンク0 0 番地 バンク1 1 番地 バンク2 2 番地 バンク3 3 番地 時間
連続したアドレスが別々のバンクに入るので,並行して読める

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

IoT での活用が検討されている LPWA(Low Power, Wide Area)の特徴として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

LPWA(Low Power, Wide Area)は,消費電力が小さく,広い範囲をカバーできる無線通信技術の総称で,電池で長期間動かすセンサなどを,少ない基地局で広域に,多数つなぐ IoT の用途に向く。エが適切である。

アは,2 本の信号線だけで,同じ基板上の IC 間をつなぐシリアルバスの I2C の説明である。イは,60 GHz 帯を使って 4K・8K の映像などを高速に伝送する近距離無線通信(IEEE 802.11ad など)の説明である。ウは,電力線を通信に使う電力線搬送通信(PLC)の説明である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

容量が a M バイトでアクセス時間が x ナノ秒の命令キャッシュと,容量が b M バイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPU からみた,主記憶と命令キャッシュとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで,読み込みたい命令コードがキャッシュに存在しない確率を r とし,キャッシュ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。

正解 イ

解説

平均アクセス時間は,キャッシュに当たったときの時間とキャッシュに外れて主記憶を読むときの時間を,それぞれの確率で重み付けした平均になる。r は「キャッシュに存在しない確率」=ミス率なので,ヒット率は 1−r。したがって (1−r)·x + r·y となり,イが正しい。

エは r と 1−r を取り違えており,ミス率が高いほど速くなるという逆の式になっている。アとウは容量 a,b の比で重み付けしているが,平均アクセス時間を決めるのはアクセスがどちらに向かうかの確率であって,容量の比ではない。

キャッシュに無い確率 r のときの平均アクセス時間 読みたいデータがキャッシュにある確率は 1−r で,そのときはキャッシュのアクセス時間 x で読める。無い確率 r のときは主記憶から y で読む。平均は (1−r)・x + r・y。容量 a・b は関係しない。 CPU キャッシュ 時間 x 主記憶 時間 y 1−r r (1−r)・x r・y 平均 = (1−r)・x + r・y
r は「無い」確率なので,主記憶の側に掛ける

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

1台のコンピュータで複数の仮想マシン環境を実現するための制御機能はどれか。

正解 ウ

解説

1 台のコンピュータの上で,複数の仮想マシン(OS を含む実行環境)を動かすための制御ソフトウェアを,ハイパバイザ(ハイパーバイザ)という。仮想マシンに,CPU やメモリなどの資源を割り当てて管理する。ウが正しい。

アのシストリックアレイは,演算器を規則的に並べ,データを順に流して並列処理する構成である。イのデスクトップグリッドは,業務時間外などの遊休 PC をネットワークで束ね,大規模な計算に使う技術である。エのモノリシックカーネルは,OS の主要な機能を一つのカーネルにまとめた OS の構造である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

MTBF を長くするよりも,MTTR を短くするのに役立つものはどれか。

正解 ア

解説

MTTR(平均修復時間)は,故障してから復旧するまでにかかる時間の平均。エラーログを取得しておけば,障害が起きたときに原因の特定と切分けが早く済むので,復旧までの時間を短縮できる。アが正しい。

イの誤り訂正機能とウの命令再試行機能は,誤りが起きても処理を続けられるようにして故障そのものを表面化させないので,MTBF(平均故障間隔)を長くする働きをする。エの予防保守も故障を未然に防ぐもので,やはり MTBF を長くする側の対策である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

次のシステムにおいて,ピーク時間帯の CPU 使用率は何%か。ここで,トランザクションはレコードアクセス処理と計算処理から成り,レコードアクセスは CPU 処理だけで I/O は発生せず,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。また,1日のうち発生するトランザクション数が最大になる1時間をピーク時間帯と定義する。

〔システムの概要〕

正解 エ

解説

ピーク時間帯のトランザクション数は 54,000×20%=10,800 件である。1 トランザクションの CPU 時間は,レコードアクセスが 100 レコード×1 ミリ秒=100 ミリ秒,計算処理が 100 ミリ秒で,合計 200 ミリ秒(0.2 秒)である。ピーク時間帯 1 時間(3,600 秒)に必要な CPU 時間は 10,800×0.2=2,160 秒なので,CPU 使用率は 2,160÷3,600=0.6,すなわち 60%になる。エが正しい。

イの 30% は,1 トランザクションの CPU 時間を 100 ミリ秒(レコードアクセスだけ,又は計算処理だけ)として求めた値である。アの 20% は,ピーク時間帯のトランザクション数の割合(20%)で,CPU 使用率ではない。ウの 50% は,与えられた条件からは得られない値である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

ジョブの多重度が1で,到着順にジョブが実行されるシステムにおいて,表に示す状態のジョブ A〜C を処理するとき,ジョブ C が到着してから実行が終了するまでのターンアラウンドタイムは何秒か。ここで,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。

単位は秒。ジョブ A は到着時刻 0・処理時間 5,ジョブ B は到着時刻 2・処理時間 6,ジョブ C は到着時刻 3・処理時間 3(処理時間は単独実行時)。

正解 ア

解説

多重度 1 で到着順に実行するので,ジョブ A が時刻 0 から 5 まで実行され,その間に到着したジョブ B が 5 から 11 まで,ジョブ C が 11 から 14 まで実行される。ジョブ C は時刻 3 に到着して時刻 14 に終了するので,ターンアラウンドタイムは 14−3=11 秒であり,アになる。

エの 14 は到着時刻を差し引かずに終了時刻をそのまま答えた値である。イの 12 やウの 13 は,実行の順序や待ち時間を取り違えた値である。

到着順に実行するジョブのターンアラウンドタイム 多重度1で到着順に実行するので,ジョブ A が 0〜5 秒,その間に到着した B が 5〜11 秒,C が 11〜14 秒に実行される。C は 3 秒に到着して 14 秒に終わるので,ターンアラウンドタイムは 14−3=11 秒。 CPU A B C 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 A着 B着 C着 C のターンアラウンドタイム 14−3=11 秒 秒
ターンアラウンドタイムは「到着してから終わるまで」。待っている時間も含む

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

リアルタイム OS において,実行中のタスクがプリエンプションによって遷移する状態はどれか。

正解 イ

解説

プリエンプションは,実行中のタスクより優先度の高いタスクが実行可能になったときなどに,OS が実行権を取り上げて切り替えること。取り上げられたタスク自体は実行を続けられる状態のままなので,実行状態から実行可能状態に戻る。イが正しい。

アの休止状態はタスクがまだ起動されていないか終了した後の状態。ウの終了状態はタスクが処理を終えたときに移る状態。エの待ち状態は,入出力の完了やイベントの発生をタスク自身が待つときに移る状態で,横取りによる遷移先ではない。

タスクの3つの状態 実行可能状態のタスクは,CPU を割り当てられる(ディスパッチ)と実行状態になる。実行状態のタスクは,入出力の完了などを自分で待つと待ち状態に,優先度の高いタスクに CPU を取り上げられる(プリエンプション)と実行可能状態に移る。待ち状態のタスクは,待っていた事象が起きると実行可能状態に移り,直接は実行状態に移らない。 実行 CPU を使っている 実行可能 CPU の割当て待ち 待ち 入出力の完了待ち ディスパッチ プリエンプション 入出力など を待つ 待っていた事象が起きた 待ち → 実行 へ直接は移らない(一度,実行可能に並ぶ)
プリエンプションで移るのは実行可能状態。待ち状態から実行状態へは直接移らない

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

ページング方式の仮想記憶において,ページ置換えの発生頻度が高くなり,システムの処理能力が急激に低下することがある。このような現象を何と呼ぶか。

正解 ア

解説

仮想記憶で実装している主記憶が不足すると,ページの読込みと追出し(ページイン・ページアウト)が頻発し,CPU がその処理に追われて本来の処理がほとんど進まなくなる。この現象をスラッシングといい,アが正しい。

イのスワップアウトは,主記憶上のプロセスやページを補助記憶に退避させる操作そのもの。ウのフラグメンテーションは,記憶領域が細切れの空き領域に分断されて有効に使えなくなる現象。エのページフォールトは,参照したページが主記憶上にないときに発生する割込みである。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

CPU スケジューリングにおけるラウンドロビンスケジューリング方式に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ラウンドロビン方式は,実行可能なタスクを待ち行列に並べ,先頭から順に,あらかじめ決めた一定の時間(タイムクォンタム)だけ CPU を割り当て,時間が来たら実行を中断して待ち行列の最後尾に回す方式である。全てのタスクに CPU を公平に割り当てられるので,複数の利用者が同時に対話的に使うタイムシェアリングシステムに適している。ウが適切である。

アのリアルタイムシステムでは,応答の期限を守るために,優先度の高いタスクを先に実行する方式が向く。イは,一定時間で処理を中断するのにタイマ割込みが必要なので,タイマ機能がないと実現できない。エの“優先順位を付ける”のは,優先度順(プライオリティ)方式の特徴である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

Hadoop の説明はどれか。

正解 エ

解説

Hadoop は,Apache Software Foundation が開発しているオープンソースの分散処理基盤で,大規模なデータセットを複数のコンピュータに分散して蓄積(HDFS)・処理(MapReduce)するためのソフトウェアライブラリである。エが正しい。

アは Java EE 仕様に準拠したアプリケーションサーバで,WildFly や GlassFish などが当たる。イは Apache HTTP Server や nginx などの Web サーバ。ウは機能が豊富な RDBMS の説明で,Hadoop は RDBMS ではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

SRAM と比較した場合の DRAM の特徴はどれか。

正解 ウ

解説

DRAM は,1ビットをトランジスタ1個とコンデンサ1個という単純な構成のメモリセルで記憶する。集積度を上げやすく,ビット当たりの単価が安いので,主記憶に使われる。ウが正しい。

アは誤り。高速なキャッシュメモリには SRAM が使われる。イは誤り。DRAM はコンデンサの電荷が時間とともに失われるので,定期的なリフレッシュが必要である(リフレッシュが不要なのは SRAM)。エは誤り。フリップフロップでデータを保持するのは SRAM である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

モータの速度制御などに PWM(Pulse Width Modulation)制御が用いられる。PWM の駆動波形を示したものはどれか。ここで,波形は制御回路のポート出力であり,低域通過フィルタを通していないものとする。

正解 イ

解説

PWM(パルス幅変調)は,電圧の高さを一定にしたまま,パルスのオン時間の幅(デューティ比)を変えて,モータなどに与える平均電力を調節する方式である。低域通過フィルタを通す前のポート出力は,高さが一定でパルスの幅が変わる矩形波になる。イが該当する。

アは幅が一定で高さが変わるパルスで,PAM(パルス振幅変調)の波形である。ウは階段状になだらかに変化する波形で,PWM の信号を低域通過フィルタに通した後や D/A 変換器の出力のような波形である。エは電圧が数段階に変わる多値の信号で,PWM の波形ではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

組込みシステムにおける,ウォッチドッグタイマの機能はどれか。

正解 ア

解説

ウォッチドッグタイマは,システムが正常に動いているあいだ,プログラムが一定時間ごとにタイマをクリア(リセット)することで動作を確認する仕組みである。あらかじめ設定された一定時間内にタイマがクリアされなかった場合は,プログラムの暴走や停止などの異常とみなして,システムのリセットや終了を行う。アが正しい。

イは異常を検出してから設定時間だけ待って通知するもので,タイマのクリアを監視する仕組みではない。ウのマスカブル割込みは,割込み禁止にされると受け付けられないので,暴走したシステムの異常通知には向かない(リセットや,マスクできない割込みを使う)。エは異常が一定時間続いたときに上位の管理プログラムを呼び出すという説明で,ウォッチドッグタイマの機能ではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

入力 G=0 のときは X=A,Y=B を出力し,G=1 のときは X=Ā,Y=B を出力する回路はどれか。

正解 ウ

解説

G=0 のときは入力をそのまま,G=1 のときは反転して出力したい。排他的論理和は,一方の入力が0なら他方をそのまま通し,1なら反転して出力する性質をもつ。したがって X=A⊕G,Y=B⊕G とすればよく,A と G,B と G をそれぞれ排他的論理和素子に入れているウが正しい。

アは X=A・G となり G=0 のとき常に0になる。イは X=A+G で G=1 のとき常に1になる。エは X=A・G,Y=B・G で,どちらも G の値によって出力が固定されてしまい,条件を満たさない。

G で反転するかを切り替える(XOR) 排他的論理和は,一方の入力 G が0なら他方の A をそのまま通し,G が1なら A を反転して出す。X=A⊕G,Y=B⊕G とすれば,G=0 で X=A,Y=B,G=1 で X=¬A,Y=¬B になる。 G A X=A⊕G 説明 0 0 0 そのまま 0 1 1 そのまま 1 0 1 反転 1 1 0 反転 G=0 → X=A,G=1 → X=¬A
XOR は「G=1 のときだけ反転」のスイッチになる

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

アクセシビリティ設計に関する規格である JIS X 8341-1:2010(高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−第1部:共通指針)を適用する目的のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

JIS X 8341-1:2010 は,アクセシビリティを「等しい水準のユーザビリティを全ての個人について達成すること」ではなく,利用の状況(利用者・仕事・機器・環境)の幅を広げることで,少なくともある程度のユーザビリティを多くの個人について達成することと捉えている。多様な人々に対して利用の状況を理解しながら,多くの個人のアクセシビリティ水準を改善するというイがこの考え方に合う。

アは「全ての個人に対して,等しい水準」としており,規格が明確に否定している捉え方。ウは人間工学の規格より高い水準を求めるものではない。エは平均的能力をもった人々を対象としており,能力の幅が広い人々を想定するアクセシビリティの考え方と逆である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

W3C で仕様が定義され,矩形や円,直線,文字列などの図形オブジェクトを XML 形式で記述し,Web ページでの図形描画にも使うことができる画像フォーマットはどれか。

正解 ウ

解説

SVG(Scalable Vector Graphics)は W3C が仕様を定めたベクター画像フォーマットで,矩形・円・直線・文字列などの図形オブジェクトを XML 形式で記述する。拡大しても劣化せず,HTML に直接埋め込んで Web ページの図形描画に使える。

アの OpenGL は3次元グラフィックスの API であって画像フォーマットではない。イの PNG とエの TIFF はいずれもラスタ(ビットマップ)形式の画像フォーマット。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

ストアドプロシージャの利点はどれか。

正解 ア

解説

ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をあらかじめ DBMS 側に登録しておき,呼出し1回で実行させる仕組み。SQL 文を1文ずつ送る必要がなくなるので,アプリケーションと DBMS の間の通信量(ネットワーク負荷)が減る。

イ・ウ・エはいずれもストアドプロシージャによって直接減るものではない。処理する内容が同じである以上,実行計画の数やバッファ数,ディスクへの I/O 回数が減るわけではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

第3正規形であることの効果又は影響に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

第 3 正規形は,主キー以外の属性が,主キーだけで決まる(推移的な関数従属がない)ように表を分割した状態である。同じ情報が複数の場所に重複して入らないので冗長性が排除され,更新時にデータがちぐはぐになるのを防ぎ,データの整合性を保ちやすくなる。エが適切である。

アは,画面や帳票の行をそのまま表の行にした非正規形(繰返し項目をもつ表など)の特徴で,データ量が増える。イは,正規化で表が分割されるので,必要な情報を取り出すのに結合操作が必要になり,処理効率が下がることがある。ウのデッドロックは,排他制御(ロック)の取り方で起きる問題で,正規形とは関係がない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

関係 R(ID,A,B,C)の A,C への射影の結果と SQL 文で求めた結果が同じになるように,a に入れるべき字句はどれか。ここで,関係 R を表 T で実現し,表 T に各行を格納したものを次に示す。

表 T(列 ID,A,B,C)。001 a1 b1 c1,002 a1 b1 c2,003 a1 b2 c1,004 a2 b1 c2,005 a2 b2 c2
T

〔SQL 文〕

SELECT a A, C FROM T

正解 イ

解説

射影は指定した列だけを取り出す関係代数の演算で,結果は集合なので重複する行は取り除かれる。表 T から A と C を取り出すと (a1,c1),(a1,c2),(a1,c1),(a2,c2),(a2,c2) となり重複があるため,SQL でも DISTINCT を付けて重複を除く必要がある。イが正しい。

アの ALL は重複を残す指定で,SELECT の既定の動作と同じ。ウの ORDER BY は結果の並べ替えを指定する句で,SELECT の直後には書けない。エの REFERENCES は表定義で参照制約を指定するときに使う語で,問合せには使わない。

関係演算:選択・射影・和・差 選択は条件に合う行を取り出し,射影は指定した列を取り出す。射影の結果は集合なので,重複する行は1つにまとめる(SQL では DISTINCT)。表 T の A と C への射影では (a1,c1) と (a2,c2) が重なり,3行になる。和 R∪S は両方の行を合わせて重複を1つに,差 R−S は R にあって S にない行。 表 T(A と C を射影) ID A B C 001 a1 b1 c1 002 a1 b1 c2 003 a1 b2 c1 004 a2 b1 c2 005 a2 b2 c2 射影の結果 A C a1 c1 a1 c2 a2 c2 (a1,c1) と (a2,c2) が 重なるので 3行に R ID A B 0001 a 100 0002 b 200 0003 d 300 S ID A B 0001 a 100 0002 a 200 和 R∪S ID A B 0001 a 100 0002 a 200 0002 b 200 0003 d 300 差 R−S ID A B 0002 b 200 0003 d 300 0001 a 100 は S にもあるので除く
選択は行,射影は列。射影は重複を取り除く

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

トランザクション A〜G の待ちグラフにおいて,永久待ちの状態になっているトランザクション全てを列挙したものはどれか。ここで,待ちグラフの X→Y は,トランザクション X はトランザクション Y がロックしている資源のアンロックを待っていることを表す。

〔トランザクション A〜G の待ちグラフ〕

待ちグラフ。B→D,D→E,E→G,C→B,D→C,C→A,F→D,F→E の有向辺をもつ。B→D→C→B が閉路になっている。

正解 ウ

解説

待ちグラフで,互いに相手を待つ閉路(B→D→C→B)があると,その閉路の中のトランザクション(B,C,D)はどれも先に進めず,永久待ち(デッドロック)になる。さらに,F は D のアンロックを待っている(F→D)ので,D が解放されることはなく,F も永久に待たされる。永久待ちの状態になっているのは B,C,D,F で,ウが正しい。

A は何も待っていない(A から出る矢印がない)ので処理を終えて資源を解放できる。G も何も待っていないので終了でき,G を待つ E も,その後に終了できる。したがって A や E,G を含むアとエは誤りである。イは,D を待つ F を含んでいないので不十分である。

待ちグラフの閉路とデッドロック 待ちグラフは,トランザクションを点にして,X が Y のロック解除を待っているとき X→Y の矢印を引いたもの。A→C→B→A のように矢印が一巡する閉路があると,互いに相手を待ち続けるのでデッドロックになる。D→C→B→A と D→A のように閉路が無ければ,A から順に終わって解消する。DBMS はこの閉路を探してデッドロックを検出する。 閉路あり → デッドロック A B C D 閉路なし A B C D X→Y:X は Y のロック解除を待っている
矢印が一巡する(閉路がある)とデッドロック

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

データマイニングの説明として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

データマイニングは,ニューラルネットワークや統計解析などの手法を使って,大量に蓄積されたデータの中から,人が気付きにくい規則性や特徴あるパターンを掘り出す(mining)ことをいう。エが正しい。

アはデータウェアハウス,イはデータマート,ウは OLAP(多次元分析)の説明である。データウェアハウスやデータマートは分析の対象となるデータを蓄積・整理する仕組み,OLAP は人が視点を切り替えながら集計値を見る操作であり,いずれも規則性そのものを見つけ出す手法ではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

無線 LAN で用いられる SSID の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

SSID(Service Set Identifier)は,無線 LAN のネットワークにつける最長 32 オクテットの名前である。アクセスポイントがビーコンで知らせ,端末はこの名前を見てどのネットワークにつなぐかを選ぶ。ウが適切である。

ア・イの 48 ビットの識別子は MAC アドレスのことである。アクセスポイントの MAC アドレスを使ってネットワークを識別するのは BSSID で,SSID とは別のものである。エの “ネットワーク上で一意なホスト識別子” という説明も SSID には当てはまらない。SSID は同じ名前を複数のアクセスポイントに付けて一つのネットワークとして見せる(ESSID として使う)こともできるので,一意である必要もない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

設置場所が異なるクライアントとサーバ間で,次の条件で通信を行う場合の応答時間は何秒か。ここで,クライアントの送信処理の始まりから受信処理の終了までを応答時間とし,距離による遅延は考慮しないものとする。

〔条件〕

クライアントとサーバ間の回線速度は 8M ビット/秒,伝送効率は 60%,電文長は上り 1M バイト・下り 2M バイト,クライアントの処理時間は送信・受信を合わせて 0.4 秒,サーバの処理時間は送信・受信を合わせて 0.4 秒。

正解 エ

解説

回線速度は 8M ビット/秒で,伝送効率が 60% なので,実効速度は 8×0.6=4.8M ビット/秒である。上りの電文 1M バイトは 8M ビットなので 8÷4.8=約 1.67 秒,下りの電文 2M バイトは 16M ビットなので 16÷4.8=約 3.33 秒で,通信時間は合わせて 5.0 秒になる。これに,クライアントの処理時間 0.4 秒とサーバの処理時間 0.4 秒を加えて 5.0+0.4+0.4=5.8 秒となる。エが正しい。

ウの 5.0 は,処理時間(0.8 秒)を加えていない。イの 3.8 は,伝送効率を考慮せず 8M ビット/秒で計算した値(24÷8=3.0 秒に 0.8 秒を加えた値)である。アの 1.4 は,上下の電文(24M ビット)を 8M ビット/秒で転送しても 3 秒かかるので,通信時間として成り立たない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

CSMA/CD 方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

CSMA/CD では,衝突が起きると送信を中断してランダムな時間だけ待ってから再送する。伝送路が混んで衝突が増えると,この待ち時間と再送が積み重なって実際に流れるデータ量が減るので,スループットが下がる。アが正しい。

イは,搬送波を検出して空いていることを確かめてから送信しても,信号が届くまでの遅延の間に別のステーションも送信を始めれば衝突は起こるので誤り。ウは,リピータハブで分岐接続した構成でも衝突は検出できるので誤り(ハブ配下は一つの衝突ドメインになる)。エは,イーサネットのフレームはオクテット単位で構成されるので誤りである。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

IPv4 において IP アドレスから MAC アドレスを取得するために用いるプロトコルはどれか。

正解 ア

解説

ARP(Address Resolution Protocol)は,宛先の IP アドレスをもつ機器の MAC アドレスを,同じネットワーク内へのブロードキャストで問い合わせて取得するプロトコルである。同一のネットワーク内でフレームを送るには相手の MAC アドレスが必要なので,IP アドレスから MAC アドレスを求めるのに使う。アが正しい。

イの DHCP は,ネットワークに接続した機器に IP アドレスなどの設定情報を自動で割り当てるプロトコルである。ウの ICMP は,IP 通信のエラー通知や到達確認(ping など)に使うプロトコルである。エの RARP は,ARP とは逆に,自分の MAC アドレスから IP アドレスを取得するプロトコルである。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

ONF(Open Networking Foundation)が標準化を進めている OpenFlow プロトコルを用いた SDN(Software-Defined Networking)の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

SDN は,パケットを転送する機能(データプレーン)と,どう転送するかを決める機能(コントロールプレーン)を論理的に分離し,後者をコントローラに集約してネットワーク全体をソフトウェアから集中制御できるようにするアーキテクチャ。OpenFlow は,そのコントローラとスイッチの間でフローテーブルをやり取りするプロトコルである。エが正しい。

アは SNMP を使ったネットワーク管理手法。イはルーティングプロトコルによる自律分散型の経路制御で,SDN の集中制御とは逆の考え方。ウはネットワーク機能を仮想環境で動かす NFV の説明である。

SDN:制御と転送を分ける SDN では,経路を決める制御(コントロールプレーン)をコントローラに集め,各スイッチはコントローラから OpenFlow などで受け取った規則(フローテーブル)に従ってパケットを転送するだけ(データプレーン)になる。ネットワーク全体をソフトウェアで一元的に設定・変更できる。 SDN コントローラ コントロールプレーン スイッチ スイッチ スイッチ OpenFlow データプレーン:規則に従って転送するだけ
頭脳(コントローラ)と手足(スイッチ)を分ける

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

認証局が発行する CRL に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

CRL(証明書失効リスト)は,認証局が発行するもので,有効期限内であるにもかかわらず秘密鍵の漏えいなどの理由で失効させたディジタル証明書のシリアル番号と,失効した日時を載せたリストである。証明書を受け取った側は,CRL を見てその証明書が失効していないかを確かめる。イが正しい。

アは誤りで,CRL に秘密鍵は登録されない。ウは誤りで,CRL は定期的に発行されるリストであり,失効状況をリアルタイムに問い合わせるプロトコルは OCSP である。エも誤りで,有効期限が切れた証明書はそれだけで無効なので,CRL に載せる必要はない。

CRL と OCSP の違い CRL は,認証局が有効期限内に失効させた証明書のシリアル番号と失効日時を一覧にし,署名を付けて公開するもの。利用者はリストを取ってきて自分で照らし合わせる。OCSP は,利用者が調べたい証明書を OCSP レスポンダ(VA)にオンラインで問い合わせ,有効か失効しているかの答えを受け取る。 CRL(証明書失効リスト) 認証局 CA 失効した証明書の一覧 No.1024 3/10 失効 No.2041 5/02 失効 利用者 ブラウザなど 署名して公開 取ってきて照合 載るのは有効期限内に失効した証明書のシリアル番号と日時 OCSP 利用者 ブラウザなど OCSP レスポンダ VA(検証局) この証明書は有効? 有効・失効・不明を返す その都度オンラインで問い合わせるので,最新の状態が分かる
CRL は一覧を取ってきて自分で調べる,OCSP はその都度問い合わせる

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

SEO ポイズニングの説明はどれか。

正解 ア

解説

SEO ポイズニングは,検索エンジンの順位付けアルゴリズムを悪用して,悪意のある Web サイトを検索結果の上位に表示させ,利用者を誘い込む攻撃である。アが該当する。

イは,ウイルス対策ソフトのセキュリティ上の脆弱性を悪用して,システム権限で不正な処理を実行させる攻撃を説明したものである。ウは,車などで移動しながら無線 LAN のアクセスポイントを探し出して侵入するウォードライビングである。エは,ネットワークを流れるパケットから侵入のパターンを検出して通知や記録をする IDS(侵入検知システム)の機能である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

SIEM(Security Information and Event Management)の特徴はどれか。

正解 エ

解説

SIEM(Security Information and Event Management)は,複数のサーバやネットワーク機器のログを一か所に集めて,相関的に分析し,不審なアクセスや脅威の兆候を検知して管理者に通知する仕組みである。エが適切である。

アの“DMZ を通過する全ての通信データを監視し,不正な通信を遮断する”のは,IPS(侵入防止システム)などの働きである。イは,MIB 情報を分析する SNMP によるネットワーク管理の話で,中間者攻撃の遮断を行うものではない。ウの IPFIX は,通信のフロー情報を出力するための規格で,これを監視するのはフロー監視の働きであり,SIEM の特徴を説明したものではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

パスワードに使用できる文字の種類の数を M,パスワードの文字数を n とするとき,設定できるパスワードの理論的な総数を求める数式はどれか。

正解 ア

解説

パスワードの各文字には M 種類のどの文字も使え,同じ文字を繰り返し使ってもよい。n 文字の各位置でそれぞれ M 通りの選び方があるので,総数は M×M×…×M(n 個)=Mn であり,アになる。

イの M!/(M−n)! は同じ文字を使わずに並べる順列,ウの M!/(n!(M−n)!) は同じ文字を使わず並び順も区別しない組合せ,エの (M+n−1)!/(n!(M−1)!) は同じ文字の繰返しを許すが並び順を区別しない重複組合せの数である。パスワードは並び順が区別され,同じ文字を繰り返せるので,いずれも当てはまらない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

ドライブバイダウンロード攻撃の説明はどれか。

正解 エ

解説

ドライブバイダウンロード攻撃は,改ざんされた Web サイトや不正な広告を閲覧しただけで,利用者が何も操作していないのに気付かれないままマルウェアがダウンロード・実行される攻撃。エが正しい。

アは USB メモリの自動実行機能を悪用する攻撃。イはランサムウェア。ウは無線 LAN の電波を傍受して脆弱なアクセスポイントを探すウォードライビングの説明である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

暗号方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

共通鍵暗号方式は,暗号化と復号に同じ鍵を使う方式。鍵を送受信者だけの秘密に保つ必要があるが,公開鍵暗号方式より処理が高速なので,大量のデータの暗号化に向く。イが正しい。

アは逆で,AES が共通鍵暗号方式,RSA が公開鍵暗号方式である。ウも逆で,秘匿のために使う場合は受信者の公開鍵で暗号化し,受信者だけがもつ秘密鍵で復号する。エも逆で,ディジタル署名には公開鍵暗号方式が使われる。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

サイバーレスキュー隊(J-CRAT)の役割はどれか。

正解 エ

解説

サイバーレスキュー隊(J-CRAT)は IPA が運営する組織で,標的型サイバー攻撃を受けた組織や個人から提供された情報を分析し,被害の把握と分析,対策への早期着手を支援して攻撃の連鎖を断つことを目的としている。エが正しい。

アは内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の役割。イは J-CSIP(サイバー情報共有イニシアティブ)。ウは ISOG-J(日本セキュリティオペレーション事業者協議会)の活動の説明である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

暗号化や認証機能をもち,遠隔にあるコンピュータに安全にログインするためのプロトコルはどれか。

正解 ウ

解説

SSH(Secure Shell)は,通信を暗号化し,利用者やサーバの認証を行って,遠隔にあるコンピュータに安全にログインしたり,コマンドを実行したり,ファイルを転送したりするためのプロトコルである。ウが該当する。

アの L2TP は,レイヤ 2 のトンネルをつくって VPN を実現するプロトコルで,暗号化は IPsec などと組み合わせて行う。イの RADIUS は,利用者の認証や認可,利用の記録(アカウンティング)を行うためのプロトコルで,遠隔ログインに使うものではない。エの TLS は,通信を暗号化し,サーバなどを認証するプロトコルであるが,遠隔ログインのためのプロトコルではなく,HTTPS などの下位で使われる。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

IC カードの耐タンパ性を高める対策はどれか。

正解 ウ

解説

耐タンパ性は,IC チップの内部を不正に解析されたり,記録された情報を読み出されたりしにくい性質である。信号を読み出すためのプローブ(探針)が取り付けられたことを検出したら,チップ内の情報を消去する回路を設けておけば,物理的に解析しようとしても中身を得られない。ウが該当する。

アの非接触での認証は利用者の利便性を高めるもの,イの予備カードの保管は故障時にも使い続けられるようにする可用性の対策,エの退職者のカードの利用停止は運用上のアクセス管理であり,いずれもチップ内部の情報を解析から守る耐タンパ性の対策ではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

WAF の説明はどれか。

正解 ア

解説

WAF(Web Application Firewall)は,Web アプリケーションへの通信の中身を検査し,SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングといった攻撃を検知して遮断する仕組み。アが正しい。

イは PC 内で Web ブラウザの通信を監視する仕組み(MITB 対策など)。ウはサーバへの不正ログインの監視で,ホスト型の IDS などが担う。エはウイルス対策ソフトの働きで,いずれも WAF の説明ではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

モジュール設計に関する記述のうち,モジュール強度(結束性)が最も強いものはどれか。

正解 ア

解説

モジュール強度は弱いほうから,暗号的・論理的・時間的・手順的・連絡的・情報的・機能的の順に分類される。アは,木構造データとそれを扱う機能を一つにまとめ,データを外から見えないようにしたもので,情報的強度に当たる。選択肢の中では最も強い。

イは初期設定という「実行される時期が同じ」という理由でまとめた時間的強度。ウは共通部分をまとめて引数で機能を切り替える論理的強度。エは A の結果を B が使うという連絡的強度で,いずれも情報的強度より弱い。なお最も強い機能的強度は,単一の機能だけを実現するモジュールを指す。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

テストで使用されるスタブ又はドライバの説明のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ドライバは,下位のモジュールをテストするときに,まだ完成していない上位のモジュールの代わりに,テスト対象モジュールに引数を渡して呼び出すモジュールである。エが適切である。

スタブは,上位のモジュールをテストするときに,まだ完成していない下位のモジュールの代わりに,テスト対象モジュールから呼び出されて仮の値を返すモジュールである。イとウはドライバとスタブの説明が入れ替わっている。アの戻り値の表示・印刷は,スタブの役割ではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

アジャイル開発のプラクティスのうち,回帰テストを行うことを前提とするものはどれか。

正解 エ

解説

回帰テストは,プログラムの修正や変更で,これまで正しく動いていた部分に不具合が出ていない(デグレードしていない)ことを確認するテストである。リファクタリングは,外から見た振舞いを変えずにプログラムの内部構造を改善するもので,変更のたびに振舞いが変わっていないことを自動化したテストで確かめることが前提になる。エが該当する。

アの日次ミーティングは,チームが毎日短時間で進捗や課題を共有する場である。イのふりかえりは,反復(イテレーション)の終わりに,進め方の良かった点や改善点を話し合う場である。ウのペアプログラミングは,2 人が 1 台の PC でコードを書きながら相互にレビューする手法で,どちらも回帰テストを前提とするものではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

CMMI の説明はどれか。

正解 ア

解説

CMMI(Capability Maturity Model Integration,能力成熟度モデル統合)は,ソフトウェア開発組織やプロジェクトのプロセスがどれだけ成熟しているかを,5段階のレベルで評価するためのモデル。アが正しい。

イのプロセスモデルはウォータフォールモデルやスパイラルモデルのような開発の進め方の型のこと。ウの共通フレームは,システム開発や取引で使う作業内容や用語をそろえた枠組み(SLCP-JCF)。エは成熟度に応じて開発手順を定義するものではなく,CMMI は手順そのものを規定しない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

アジャイル開発におけるプラクティスの一つであるバーンダウンチャートはどれか。ここで,図中の破線は予定又は予想を,実線は実績を表す。

正解 ア

解説

バーンダウンチャートは,縦軸に残作業量,横軸に時間をとり,残作業が減っていく予定と実績を示すグラフである。予定の線と実績の線を比べることで,作業の進み具合や遅れが一目で分かる。アが該当する。

イは時間とともに故障(不具合)の発生数が減った後,再び増えるバスタブ曲線。ウは累積バグ数が S 字状に増えて収束していく信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線など)。エは時期ごとの要員数の予定と実績を示す要員計画のグラフである。

バーンダウンチャート 縦軸に残っている作業量,横軸に日付をとり,予定(破線)と実績(実線)を描く。実績が予定の線より上にあれば遅れている。スプリントの終わりに残作業が0になるよう,日々の進み具合を確かめる。 日 残りの作業量 予定 実績が予定より上 → 遅れ
縦軸は「残り」。右下がりの予定線より上なら遅れ

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

ソフトウェア開発プロジェクトで行う構成管理の対象項目はどれか。

正解 ウ

解説

ソフトウェア開発の構成管理は,プログラムのソースコードや設計書などの成果物(構成品目)を識別し,そのバージョンや変更履歴を管理して,どの時点の成果物の組合せが正しいかを把握できるようにする活動である。プログラムのバージョンが対象になるので,ウが適切である。

アの進捗状況は進捗管理(スケジュール管理),イのレビューの実施結果は品質管理,エのプロジェクト組織の編成は資源管理(体制管理)の対象である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

プロジェクト管理においてパフォーマンス測定に使用する EVM の管理対象の組みはどれか。

正解 ア

解説

EVM(Earned Value Management)は,作業の出来高を金額に換算した EV(アーンドバリュー)を軸に,計画値 PV と実コスト AC を比べることで,スケジュールの進み遅れとコストの超過・節約を同じ土俵で測る手法。管理対象はコストとスケジュールなのでアが正しい。

EV と PV の差がスケジュール差異,EV と AC の差がコスト差異になる。イ・ウ・エに含まれるリスクや品質は,EVM の数値からは直接測れず,別の手法で管理する対象である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

次のプレシデンスダイアグラムで表現されたプロジェクトスケジュールネットワーク図を,アローダイアグラムに書き直したものはどれか。ここで,プレシデンスダイアグラムの依存関係は全て FS 関係とする。

プレシデンスダイアグラム。開始から A と B が始まり,A の後に C→E→G,B の後に D→F→H と続く。A の後には F も続く(A→F)。G と H の後に終了。凡例は各ノードの下段が作業名。
アローダイアグラムの凡例。丸(結合点)の間の矢印の上に作業名を書く。破線の矢印はダミー作業。
凡例

正解 イ

解説

プレシデンスダイアグラムでは,作業 F の前に A と D の二つの矢印が入っている。アローダイアグラムで F を“A と D の両方が終わってから始まる作業”として表すには,A の終了の結合点から D の終了(F の開始)の結合点へダミー作業を引く必要がある。それ以外の依存関係は矢印をつなげればそのまま表せるので,ダミー作業を1本だけ加えたイが正しい。

アはダミー作業がなく,F が A の終了を待たずに始められることになる。ウは A の終了から H の開始へのダミー作業も加えているが,F の後に H があるので既に表されている関係で,余分である。エは A の終了から H の開始へのダミー作業だけで,F が A の終了を待つ関係を表していない。

PDM をアローダイアグラムに書き直す PDM では F の前に A と D の2本が入っている。アローダイアグラムで F を“A と D の両方が終わってから始まる作業”にするには,A の終わりの結合点から D の終わり(F の始まり)の結合点へダミー作業(破線)を1本引く。 A B D C E G F H ダミー A の終わり → F の始まりへダミーを1本
前の作業が2つある所にダミー作業が要る

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

品質の定量的評価の指標のうち,ソフトウェアの保守性の評価指標になるものはどれか。

正解 イ

解説

保守性は,不具合を見つけて直すのがどれだけ容易かを表す品質特性。1件あたりの平均修正時間(修正時間の合計÷修正件数)が短いほど保守しやすいので,これが保守性の指標になる。

アは欠陥密度で信頼性の指標,ウは移植に伴う変更量の割合で移植性の指標。エは改良要求の発生頻度であり,ソフトウェアの保守性そのものを測るものではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

サービス提供時間帯が毎日6〜20時のシステムにおいて,ある月の停止時間,修復時間及びシステムメンテナンス時間は次のとおりであった。この月の可用性は何%か。ここで,1か月の稼働日数は30日,可用性(%)は小数第2位を四捨五入するものとする。

〔停止時間,修復時間及びシステムメンテナンス時間〕

正解 ウ

解説

サービス提供時間は 6時〜20時の14時間×30日=420時間。

サービス可用性の計算に含めるのは,サービス提供時間内に止まっていた時間だけである。提供時間外の修復時間3時間とメンテナンス時間8時間は,もともとサービスを提供していない時間帯なので停止時間に数えない。

したがって (420−7)÷420=413÷420=0.98333…,すなわち 98.3%。

提供時間内の停止だけを数える可用性 サービス提供時間は 6〜20 時の14時間×30日=420時間。数えるのは提供時間内に止まった7時間だけで,提供時間外の修復3時間とメンテナンス8時間は,もともと提供していない時間なので数えない。(420−7)÷420≒98.3%。 提供時間 6〜20 時 × 30日 = 420 時間(帯の長さは目安) 提供できた 413 時間 停止 7 止まった(数える) 提供時間に含めない(分母から除く) 停止 7 時間(提供時間内) (420 − 7) ÷ 420 ≒ 98.3% 提供時間外の修復 3 時間・メンテナンス 8 時間は入れない(帯の外)
提供時間外の修復・メンテナンスは停止に数えない

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

バックアップ処理には,フルバックアップ方式と差分バックアップ方式がある。差分バックアップ方式による運用に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

差分バックアップは,直前のフルバックアップ以降に変更されたデータをバックアップする方式である。復旧時は,まずフルバックアップのデータで復元し,その後に差分バックアップのデータを反映させる。イが適切である。

アは誤りで,差分バックアップだけではフルバックアップ時点のデータがないので復元できず,復旧にはフルバックアップの復元に加えて差分の反映が必要になるので,手順が増える。ウは誤りで,差分バックアップは,フルバックアップと組み合わせて,たとえば週に一度のフルバックアップの間に毎日取るというように運用する。エは誤りで,差分バックアップは変更分だけを取るので,毎回全データを取るフルバックアップより,バックアップに要する時間は短い。

フル・差分・増分バックアップ 日曜にフルバックアップを取る。差分バックアップは毎日,日曜のフル以降に変わった全てを取るので,日がたつほど量が増え,復旧はフルと最新の差分の2つで済む。増分バックアップは毎日,前日のバックアップ以降に変わった分だけを取るので量は少ないが,復旧にはフルとそれ以降の全ての増分が要る。 日 月 火 水 木 差分 フル 月 月〜火 月〜水 月〜木 増分 フル 月 火 水 木 木曜に復旧するとき 差分:フル+木の差分 増分:フル+月火水木の増分
差分は「フルから」,増分は「前回から」。復旧に使う数が違う

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

空調計画における冷房負荷には,“外気負荷”,“室内負荷”,“伝熱負荷”,“日射負荷”などがある。冷房負荷の軽減策のうち,“伝熱負荷”の軽減策として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

伝熱負荷は,外気と室内の温度差によって,屋根・壁・床・窓などの建物の構造体を通して伝わってくる熱による負荷である。屋根や壁面の断熱をしっかり施して熱の伝わりを抑えるのが直接の軽減策になる。エが正しい。

アの PC の電源を切るのは,室内の機器や人が出す熱による室内負荷の軽減策。イの隙間風や換気の影響を減らすのは,外から入り込む空気による外気負荷の軽減策。ウの南向きの窓を大きくしないのは,窓から差し込む日光による日射負荷の軽減策である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム監査の改善指導(フォローアップ)において,被監査部門による改善が計画よりも遅れていることが判明したとき,システム監査人が採るべき行動はどれか。

正解 ウ

解説

システム監査人は監査対象から独立した立場を保つ必要があるので,改善そのものを指示したり実施に加わったりしてはならない。改善が遅れているときは,被監査部門の責任者に方策を助言するにとどめ,実施の責任は被監査部門に残す。ウが正しい。

アの具体的な対策の実施を指示すること,イの改善活動に参加すること,エの人事部長への要員追加の要求は,いずれも監査人が改善活動そのものに関与することになり,監査の独立性・客観性を損なう。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

開発プロジェクトにおいて,開発検討フェーズ,プログラムテストフェーズ,移行判定フェーズを対象とし,それぞれのフェーズ終了時に監査を実施する場合,移行判定フェーズで実施することが適切な監査手続はどれか。

正解 ウ

解説

移行判定フェーズは,開発したシステムを本番環境に移行してよいかを判定する段階である。この段階の監査では,システムの品質が本番稼働にとって問題がないことの判断資料が作成されていることを,品質報告書を閲覧して確認する。ウが適切である。

アの開発計画書とイのフィージビリティスタディ報告書は,開発の目的・体制や実現方法,代替案を検討する開発検討フェーズで確認する資料である。エのプログラムテスト計画書は,プログラムテストに着手する時点,つまりプログラムテストフェーズで確認する資料である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

在庫管理システムを対象とするシステム監査において,当該システムに記録された在庫データの網羅性のチェックポイントとして,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

網羅性は,記録されるべき取引が漏れなく記録されているかという観点。入庫・出庫の記録に自動で連番を付与しておけば,番号の飛びを調べることで記録漏れを検出できるので,網羅性のチェックポイントになる。エが正しい。

アの購入業者の自動選定とウの発注点による自動発注は,業務処理の適切さや効率性に関する項目。イの適正在庫高の承認は,在庫の量が妥当かどうかの正確性・妥当性に関する項目で,記録の漏れを見るものではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

エンタープライズアーキテクチャにおいて,業務と情報システムの理想を表すモデルはどれか。

正解 イ

解説

エンタープライズアーキテクチャでは,現状の姿を As-Is モデル,目指すべき理想の姿を To-Be モデルとして描き,その差を埋める道筋を計画する。業務と情報システムの理想を表すのは To-Be モデルなのでイが正しい。

アの EA 参照モデルは,業務や技術の分類体系をあらかじめ整理した参照用のひな型。ウのザックマンモデルは,観点と問い(何を・どのように・どこで など)の組合せで構造を整理するフレームワーク。エのデータモデルは四つの体系のうちデータアーキテクチャで用いる記述である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

システム管理基準(平成16年)によれば,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にする計画はどれか。

正解 ウ

解説

システム管理基準では,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にし,情報システムの全体最適化を図るための計画を全体最適化計画としている。個々の開発計画は,この全体最適化計画に基づいて策定する。ウが正しい。

アの開発計画は個別の情報システムの開発に関する計画,イの事業継続計画は災害や事故の際に重要な業務を継続・復旧するための計画,エの年間運用計画は情報システムの運用を年度単位で計画するもので,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にするものではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

クラウドサービスの導入事例のうち,データから新たな知見を抽出し,付加価値として提供しているものはどれか。

正解 イ

解説

データから新たな知見を抽出し,それを付加価値として提供している事例は,イである。多数の自動車から集めた位置情報とブレーキ作動情報をクラウド上で蓄積・分析し,急ブレーキが多い危険地点という新たな知見を得て,運転者に配信している。

アはサーバの構築期間の短縮で,クラウドサービスの迅速性という利点の事例である。ウは自社運用のメールサーバをクラウドに移行して TCO を削減したというコスト面の事例である。エはクラウドへのバックアップによる事業継続性の確保で,データの分析による付加価値の提供ではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

共通フレーム 2013 によれば,要件定義プロセスで行うことはどれか。

正解 エ

解説

共通フレーム 2013 では,企画プロセスの次に要件定義プロセスがあり,そこでは利害関係者(ステークホルダ)を識別して,利害関係者のニーズを抽出し,要件として整理して合意する。エが該当する。

アのシステム化計画の立案は,要件定義より前の企画プロセスで行う。イのシステム方式設計とウのソフトウェア詳細設計は,要件定義の後の開発プロセスで行う作業である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

“情報システム・モデル取引・契約書”によれば,情報システムの開発において,多段階契約の考え方を採用する目的はどれか。ここで,多段階契約とは,工程ごとに個別契約を締結することである。

正解 ア

解説

多段階契約は,要件定義・設計・製造といった工程ごとに個別契約を結ぶ方式。開発を進めるうちに前工程の結果として後工程の前提条件が変わることがあるため,各工程の開始時点であらためて見積りをやり直せるようにするのが目的である。アが正しい。

イはサービスレベル合意(SLA)に関する取決めの話。ウは正式契約前に着手せざるを得ない場合の仮発注合意書(LOI)の話。エは役割分担をあらかじめ詳細に決めておくという内容で,工程ごとに見直せるようにする多段階契約の趣旨とはむしろ逆になる。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

半導体ファブレス企業の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ファブレス企業は,製品の企画・設計・開発は自社で行うが,製造のための工場(fab)をもたず,生産はファウンドリなどの外部に委託する。エが正しい。設備投資の負担を負わずに済むので,設計や開発に資源を集中できる。

アは他社の依頼を受けて製造だけを請け負うファウンドリ。イは相手先ブランドで製造・納入する OEM。ウは設計から製造まで自社で一貫して行う IDM(垂直統合型メーカ)の説明である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

営業部門で設定する KPI と KGI の適切な組合せはどれか。

正解 エ

解説

KGI は,目標がどれだけ達成できたかを測る最終的な成果の指標であり,KPI は,その最終目標に至る過程が順調に進んでいるかを測る中間的な指標である。営業部門で新規顧客の開拓を目標にするなら,最終成果である新規顧客売上高が KGI,その成果を生むための日々の活動量である新規顧客訪問件数が KPI になる。エが適切である。

アは既存顧客売上高も新規顧客売上高もどちらも最終成果の指標であり,過程を測る KPI にはならない。イはどちらも訪問件数という活動量の指標で,最終成果を表す KGI がない。ウは成果の指標と過程の指標を取り違えており,組合せが逆である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

CRM を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

CRM(Customer Relationship Management)は,営業・サポート・Web など企業内の全ての顧客チャネルで顧客情報を共有し,一貫した質の高い対応によって顧客満足度を高め,長期的な顧客ロイヤルティにつなげる考え方。ウが正しい。

アは卸売業者やメーカが小売店を支援するリテールサポート。イは企業全体の経営資源を統合的に管理する ERP。エはサプライチェーン全体の情報をリアルタイムに共有して効率を上げる SCM の説明である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

ISO,IEC,ITU などの国際標準に適合した製品を製造及び販売する利点として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

WTO 政府調達協定では,加盟国の政府機関が調達を行うとき,国際標準が存在する場合はそれに基づいて仕様を定めることとされている。したがって国際標準に適合した製品は,加盟国の政府調達に参加しやすくなる。アが正しい。

イは,国際標準への適合は共通の要件を満たしていることを示すだけで,競合製品より技術的に優れていることを保証するものではない。ウは,標準に必要な特許は「公正・妥当かつ非差別的(FRAND)」な条件でライセンスされるのが原則で,無償とは限らない。エは,国際標準に適合していても輸出先国の国内法規は適用されるので誤りである。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

構成表の製品 A を 300 個出荷しようとするとき,部品 b の正味所要量は何個か。ここで,A,a,b,c の在庫量は在庫表のとおりとする。また,他の仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。

構成表(単位 個)は,A の構成部品が a 3・b 2・c 0,a の構成部品が b 1・c 2(a は a を含まない)。在庫表(単位 個)は A 100,a 100,b 300,c 400。

正解 イ

解説

正味所要量は,総所要量から在庫量を差し引いた量である。製品 A は 300 個出荷するが在庫が 100 個あるので,A の正味所要量は 200 個。

A 1個に部品 a が3個,b が2個使われる。a の総所要量は 200×3=600 個で在庫 100 個を引いて正味 500 個。b は A から直接 200×2=400 個,a から 500×1=500 個で総所要量 900 個,在庫 300 個を引いて正味所要量は 600 個となり,イが正しい。

ウの 900 は在庫を引く前の総所要量。在庫を考えずに A 300 個分で計算すると b は 300×2+900×1=1,500 個(エ)になる。

部品 b の正味所要量 製品 A は300個出荷するが在庫が100個あるので正味200個。部品 a は 200×3=600個から在庫100個を引いて正味500個。部品 b は A から 200×2=400個,a から 500×1=500個で計900個,在庫300個を引いて正味600個。 A 300−在庫100=200 a 600−100=500 b 200×2=400 b 500×1=500 c b:400 + 500 = 900,在庫300を引いて 600 個
在庫を引いた「正味」の数で下の階層を計算する

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

ドローン,マルチコプタなどの無人航空機に搭載されるセンサのうち,機体を常に水平に保つ姿勢制御のために使われるセンサはどれか。

正解 イ

解説

ジャイロセンサは,物体が回転する速さ(角速度)を検出するセンサである。機体の傾きの変化を検出して姿勢を保つ制御に使うので,ドローンなどが機体を常に水平に保つのに使われる。イが適切である。

アの気圧センサは,気圧の変化から高度を知るのに使う。ウの地磁気センサは,地磁気を測って機体の向き(方位)を知るのに使う。エの超音波センサは,超音波が反射して返るまでの時間から,地面や障害物までの距離を測るのに使う。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

IoT の技術として注目されている,エッジコンピューティングの説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

エッジコンピューティングは,クラウドにデータを送って処理するのではなく,端末に近い場所(エッジ)に演算資源を配置して処理する方式。通信の往復が減るので応答が速くなり,ネットワークに流れるデータ量も抑えられる。アが正しい。

イは機械学習の説明。ウはグリッドコンピューティングや分散処理の説明。エは周囲の微小なエネルギーを電力に変えるエネルギーハーベスティングの説明である。

エッジコンピューティング センサーなどの端末のデータを全部クラウドへ送って処理すると,往復に時間がかかり,回線のデータ量も増える。端末の近く(エッジ)に処理の資源を置いて先に処理すれば,応答が速くなり(低遅延),クラウドへ送るデータも減らせる。 クラウド エッジ 近くで処理 センサー1 センサー2 センサー3 要るものだけ 往復が短い → 低遅延 クラウドへ流すデータが減る
端末の近くで処理する → 速く,送るデータも少ない

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

3PL(3rd Party Logistics)を説明したものはどれか。

正解 エ

解説

3PL(3rd Party Logistics)は,荷主でも実際の輸送を行う事業者でもない第三者が,荷主の物流業務を包括的に引き受ける形態である。輸送や保管だけでなく,流通加工や在庫管理までを含めたアウトソーシングサービスを提供し,さらに荷主企業の物流の企画や改善までを代行する点に特徴がある。エが正しい。

アは,購買から生産,販売,物流までを企業間で全体最適の視点から見直す SCM(サプライチェーンマネジメント)の説明である。イは,調達から販売までの物流全体を総合的に管理して合理化するロジスティクスの説明である。ウは,電子・電機メーカから設計や製造などを一括して受託する EMS の説明である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

予測手法の一つであるデルファイ法の説明はどれか。

正解 エ

解説

デルファイ法は,複数の専門家に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら回答し直してもらうことで,意見を収束させて予測を得る手法。匿名で行うため,声の大きい人に引きずられにくい点が特徴になる。エが正しい。

アは景気動向指数のように先行指標から予測する方法。イは計量モデルによる予測。ウはクロスセクション分析(横断面分析)で,いずれも専門家の意見を集約する手法ではない。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

本社から工場まで車で行くのに,一般道路では 80 分掛かる。高速道路を利用すると,混雑していなければ 50 分,混雑していれば 100 分掛かる。高速道路の交通情報が“順調”ならば高速道路を利用し,“渋滞”ならば一般道路を利用するとき,期待できる平均所要時間は約何分か。ここで,高速道路の混雑具合の確率は,混雑している状態が 0.4,混雑していない状態が 0.6 とし,高速道路の真の状態に対する交通情報の発表の確率は表のとおりとする。

高速道路の真の状態が“混雑している”とき,交通情報が“渋滞”の確率は 0.9,“順調”の確率は 0.1。“混雑していない”とき,“渋滞”の確率は 0.2,“順調”の確率は 0.8。

正解 イ

解説

交通情報と高速道路の真の状態の組合せごとに確率を求める。“順調”と発表されて高速道路を使うのは,混雑している状態で 0.4×0.1=0.04(所要 100 分),混雑していない状態で 0.6×0.8=0.48(所要 50 分)である。“渋滞”と発表されて一般道路を使うのは,0.4×0.9+0.6×0.2=0.36+0.12=0.48(所要 80 分)である。期待できる平均所要時間は 0.04×100+0.48×50+0.48×80=4+24+38.4=66.4 分で,約 66 分になる。イが正しい。

アの 62 は,交通情報が高速道路の真の状態を常に正しく伝えるとしたときの値(0.6×50+0.4×80=62)である。実際には“順調”と発表されても混雑している場合があるので,これより大きくなる。ウの 68 とエの 72 は,求めた期待値 66.4 より大きく,選択肢の中で最も近いのはイである。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

プログラムのステップ数が多くなるほどステップ当たりのエラー数も多くなる傾向があるように見受けられたので,データを採って調べた。これを分析するのに最も適した図はどれか。

正解 イ

解説

プログラムのステップ数とステップ当たりのエラー数という二つの量の間に,一方が増えると他方も増える関係(相関)があるかを調べるには,2 変量を縦軸・横軸にとって,データの点をプロットする散布図が最も適している。イが適切である。

アの系統図は,目的を達成するための手段を,順に枝分かれさせて展開する図である。ウの特性要因図は,結果(特性)とそれに影響する原因との関係を魚の骨のような形に整理する図である。エのパレート図は,項目別の件数を大きい順に棒グラフで並べ,累積比率の折れ線を重ねた図で,重点的に対処すべき項目を見つけるのに使う。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

今年度の事業損益実績は表のとおりである。来年度の営業利益目標を 240 百万円としたとき,来年度の目標売上高は何百万円か。ここで,来年度の変動費率は今年度と同じであり,製造固定費と販売固定費は今年度に比べそれぞれ 80 百万円,20 百万円の増加を見込む。

今年度の事業損益実績(単位 百万円)。売上高 1,600,材料費(変動費)720,外注費(変動費)240,製造固定費 380,粗利益 260,販売固定費 100,営業利益 160。
〔今年度の事業損益実績〕 単位 百万円

正解 エ

解説

変動費率は,今年度の変動費(材料費 720+外注費 240=960 百万円)÷売上高 1,600 百万円=0.6 で,限界利益率は 1-0.6=0.4 である。来年度の固定費は,製造固定費 380+80=460,販売固定費 100+20=120 で,合計 580 百万円である。目標売上高を x 百万円とすると,営業利益 = 0.4x-580 = 240 なので,x=820÷0.4=2,050 百万円である。エが正しい。

ほかの選択肢では営業利益が目標に届かない。アの 1,750 では 1,750×0.4-580=120,イの 1,780 では 132,ウの 1,800 では 140 百万円にしかならない。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

企業が請負で受託して開発したか,又は派遣契約によって派遣された社員が開発したプログラムの著作権の帰属に関し契約に定めがないとき,著作権の原始的な帰属はどのようになるか。

正解 ア

解説

著作権は,原則としてそのプログラムを実際に創作した者に原始的に帰属する。請負では受託した企業(発注先)の従業員が職務上作成するので,職務著作として発注先の企業に帰属する。派遣では派遣された社員が派遣先の指揮命令を受けて職務上作成するので,派遣先の企業に帰属する。アが正しい。

いずれの場合も,発注元や派遣元に権利を移すには契約で著作権の譲渡を定めておく必要がある。イは派遣を派遣元としており,ウとエは請負を発注元としている点が誤りである。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

マイナンバー法におけるマイナンバー(個人番号)に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

マイナンバー(個人番号)は,マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)により,住民票コードを変換して市町村長が指定する。漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められるときに限り,本人の申請又は市町村長の職権によって変更できる。エが適切である。

アは誤りで,マイナンバーを利用できる事務は,社会保障,税,災害対策の分野に法律で限定されており,行政機関や企業などが使途を自由に決めることはできない。イは誤りで,マイナンバーは住民票をもつ人に指定されるので,国外に在住していて日本の市区町村に住民票がなければ指定されない。ウは誤りで,マイナンバーを指定するのは厚生労働省ではなく,市町村長である。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

ソフトウェアやデータに瑕疵がある場合に,製造物責任法の対象となるものはどれか。

正解 ア

解説

製造物責任法(PL 法)の対象になる“製造物”は,製造又は加工された動産である(同法2条1項)。ソフトウェアを ROM 化して組み込んだ機器は動産に当たり,その欠陥によって損害が生じたときは製造物責任を問われうる。アが該当する。

ソフトウェア単体(イのパッケージ,ウの OS)や,ネットワークからダウンロードしたデータ(エ)は,それ自体は有体物の動産ではないので,一般に製造物責任法の対象にならないと解されている。

出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)