平成21年度 秋期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
2進数の表現で,2の補数を使用する理由はどれか。
ア 値が1のビット数を数えることで,ビット誤りを検出できる。
イ 減算を,負数の作成と加算処理で行うことができる。 正解
ウ 除算を,減算の組合せで行うことができる。
エ ビットの反転だけで,負数を求めることができる。
正解 イ
解説
2の補数で負数を表すと,減算 A−B を,B の2の補数(−B)を作って A に加える加算 A+(−B) として計算できる。減算のための専用の回路を用意せずに,加算回路で減算を処理できることが2の補数を使う理由である。イが正しい。
アの値が1のビット数を数えて誤りを検出するのはパリティチェック。ウの除算を減算の組合せで行うことは,2の補数を使う理由ではない。エのビットの反転だけで負数を求めるのは1の補数で,2の補数はビットを反転した後に1を加えて求める。
2の補数で減算を加算にする
4ビットで 5−3 を計算する例。3 は 0011,その2の補数(ビットを反転して1を足す)は 1101 で −3 を表す。5+(−3) を 0101+1101 と加算すると 1 0010 になり,あふれた桁を捨てると 0010=2。減算の回路が要らず,加算回路で計算できる。
3
0011
反転
1100
+1 → −3
1101
5
0101
+ (−3)
1101
和
(1) 0010
= 2
あふれた1は捨てる
−B を作って足せば A−B になる
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
論理和(∨),論理積(∧),排他的論理和(⊕)の結合法則の成立に関する記述として,適切な組合せはどれか。
ア (A∨B)∨C=A∨(B∨C):必ずしも成立しない,(A∧B)∧C=A∧(B∧C):成立する,(A⊕B)⊕C=A⊕(B⊕C):成立する
イ (A∨B)∨C=A∨(B∨C):成立する,(A∧B)∧C=A∧(B∧C):必ずしも成立しない,(A⊕B)⊕C=A⊕(B⊕C):成立する
ウ (A∨B)∨C=A∨(B∨C):成立する,(A∧B)∧C=A∧(B∧C):成立する,(A⊕B)⊕C=A⊕(B⊕C):必ずしも成立しない
エ (A∨B)∨C=A∨(B∨C):成立する,(A∧B)∧C=A∧(B∧C):成立する,(A⊕B)⊕C=A⊕(B⊕C):成立する 正解
正解 エ
解説
論理和(∨)と論理積(∧)は,3項の結び方を変えても結果が変わらないので結合法則が成り立つ。排他的論理和(⊕)も,(A⊕B)⊕C と A⊕(B⊕C) はどちらも“1の個数が奇数のとき1”という同じ結果になるので成り立つ。したがって,三つとも“成立する”のエが適切である。
アはどれかを“必ずしも成立しない”としている組合せで,イ,ウも同様。論理和・論理積・排他的論理和は,いずれも常に結合法則が成り立つので,“必ずしも成立しない”と書かれた欄はどれも誤りである。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
0〜20 kHz の帯域幅のオーディオ信号をディジタル信号に変換するのに必要な最大のサンプリング周期を標本化定理によって求めると,何マイクロ秒か。
正解 ウ
解説
標本化定理によれば,元の信号を復元できるのは,サンプリング周波数が信号に含まれる最高周波数の2倍以上のときである。最高周波数が 20kHz なので,サンプリング周波数は 40kHz 以上必要で,サンプリング周期は 1÷40,000 秒=25μ秒以下になる。必要な最大のサンプリング周期は 25μ秒で,ウが正しい。
エの 50 は,サンプリング周波数を最高周波数と同じ 20kHz とした場合(1÷20,000=50μ秒)で,2倍にしていない。アの 2.5 とイの 5 は,周期を短く求めすぎた値で,最大の周期にはならない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
誤り検出方式である CRC に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 検査用のデータは,検査対象のデータを生成多項式で処理して得られる1ビットの値である。
イ 受信側では,付加されてきた検査用のデータで検査対象のデータを割り,余りがなければ送信が正しかったと判断する。
ウ 送信側では,生成多項式を用いて検査対象のデータから検査用のデータを作り,これを検査対象のデータに付けて送信する。 正解
エ 送信側と受信側では,異なる生成多項式が用いられる。
正解 ウ
解説
CRC(巡回冗長検査)では,送信側で,検査対象のデータを生成多項式で割った余りを検査用のデータとして作り,これを検査対象のデータに付けて送信する。ウが適切である。
アは誤りで,検査用のデータは生成多項式の次数に応じた複数ビットの値で,1ビットではない。イは誤りで,受信側では,受信したデータ全体を送信側と同じ生成多項式で割り,余りが0なら誤りがないと判断する。エは誤りで,送信側と受信側では同じ生成多項式を用いる。
CRC:生成多項式で割った余りを付けて送る
送信側は,データを生成多項式で割った余り(複数ビット)を検査用のデータとして作り,データの後ろに付けて送る。受信側は,受け取ったデータ全体を同じ生成多項式で割り,余りが0なら誤りがないと判断する。
送信側
データ
÷ 生成多項式 → 余り
データ
余り
送る
受信側
データ
余り
全体 ÷ 同じ生成多項式
余り 0 → 誤りなし
余りは生成多項式の次数
だけのビット数
送信側と受信側で同じ生成多項式を使う。余りは1ビットとは限らない
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
n 個の要素 x1 ,x2 ,…,xn から成る連結リストに対して,新たな要素 xn+1 の末尾への追加に要する時間を f(n) とし,末尾の要素 xn の削除に要する時間を g(n) とする。n が非常に大きいとき,実装方法1と実装方法2における g(n)/f(n) の挙動として,適切なものはどれか。
〔実装方法1〕
先頭のセルを指すポインタ型の変数 front だけをもつ。
〔実装方法2〕
先頭のセルを指すポインタ型の変数 front と,末尾のセルを指すポインタ型の変数 rear を併せもつ。
ア 実装方法1:ほぼ1になる。,実装方法2:ほぼ1になる。
イ 実装方法1:ほぼ1になる。,実装方法2:ほぼ n に比例する。 正解
ウ 実装方法1:ほぼ n に比例する。,実装方法2:ほぼ1になる。
エ 実装方法1:ほぼ n に比例する。,実装方法2:ほぼ n に比例する。
正解 イ
解説
実装方法1では,末尾に追加するにも末尾を削除するにも,front から順にたどって末尾(削除では末尾の一つ前)のセルを探す必要があり,f(n) も g(n) も n に比例する。その比 g(n)/f(n) はほぼ1になる。
実装方法2では,rear が末尾のセルを指すので,追加は rear から直接行え,f(n) は n によらず一定になる。一方,削除では末尾の一つ前のセルのポインタを空にし,rear をそのセルに付け替える必要があるが,単方向の連結リストでは一つ前のセルを rear からたどれないので,front から順にたどる必要があり,g(n) は n に比例する。比はほぼ n に比例し,イが正しい。
単方向の連結リストで末尾を追加・削除する
front だけをもつ実装では,末尾への追加も末尾の削除も,front から順にたどって末尾を探すので,どちらも n に比例する時間がかかる。rear も併せもつ実装では,末尾への追加は rear から直接できるので一定時間で済む。しかし末尾の削除では,一つ前のセル(x n−1)のポインタを空にして rear を付け替える必要があり,単方向のリストでは前へ戻れないので front からたどるしかなく,n に比例する。
実装方法1(front だけ)
x1
x2
xn−1
xn
…
/
front
追加も削除も先頭からたどる → どちらも n に比例
実装方法2(front と rear)
x1
x2
xn−1
xn
…
/
front
rear
削除では x n−1 を先頭から探す(n に比例)。追加は rear から直接(一定)
単方向のリストは前へ戻れない。末尾の削除には「一つ前」を先頭から探す必要がある
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
流れ図で表される処理を複数回実行した場合,途中に出現し得る実行順序はどれか。ここで,二重線は並列処理の同期を表す。
ア B→A→B→A
イ B→X→A→Y 正解
ウ X→B→A→Y
エ Y→X→B→A
正解 イ
解説
二重線は並列処理の同期を表し,同期を通った後に A→B と X→Y が並列に実行される。両方が終わって初めて次の周回の同期を通過できるので,A は B より前,X は Y より前に実行されるが,二つの系列の間の前後は決まらない。イの B→X→A→Y は,前の周回の B と Y が終わって同期を通った後に,X と A が始まり,A の後に Y が終わる順序で,起こり得る。
アの B→A→B→A は,B の後の A が次の周回の A だとすると,その開始前に前の周回の Y が終わっている必要があるが,間に Y がない。ウの X→B→A→Y も,B の後の A が次の周回のものなので,その前に Y が必要なのに B と A の間にない。エの Y→X→B→A は,Y の後の X が次の周回のものなので,その前に B が終わっている必要があるが,X の前に B がない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
Linux システムにおいて,静的ライブラリと比較した場合の共有ライブラリの特徴はどれか。
ア 実行可能ファイルのサイズが大きくなる。
イ 実行時のメモリの使用効率が良い。 正解
ウ ライブラリの修正後,それを利用するプログラムの再コンパイルが必要である。
エ リンク時のオーバヘッドが小さい。
正解 イ
解説
共有ライブラリは,実行時にライブラリをメモリに読み込み,複数のプログラムで同じ領域を共有できるので,実行時のメモリの使用効率が良い。イが適切である。
アの実行可能ファイルのサイズが大きくなるのは,ライブラリのコードを実行可能ファイルに取り込む静的ライブラリの特徴。ウは誤りで,共有ライブラリは,インタフェースが変わらなければ,ライブラリを修正して差し替えるだけで済み,利用するプログラムの再コンパイルは不要である。エのリンクのオーバヘッドが小さいのは,実行前にリンクを済ませておく静的ライブラリの特徴で,共有ライブラリは実行時にリンクの処理が必要になる。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
XML 文書を,別の文書形式をもつ XML 文書や HTML 文書などに変換するための仕様はどれか。
正解 エ
解説
XSLT(XSL Transformations)は,XML 文書を,別の文書形式をもつ XML 文書や HTML 文書などに変換するための仕様である。エが正しい。
アの CSS は,HTML や XML 文書の表示スタイル(文字の大きさ,色,配置など)を指定する仕様。イの DTD は,XML 文書の要素や属性の構造を定義する文書型定義。ウの XLink は,XML 文書どうしのリンクを記述するための仕様である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
パイプラインの深さを D,パイプラインピッチを P 秒とすると,I 個の命令をパイプラインで実行するのに要する時間を表す式はどれか。ここで,パイプラインの各ステージは1ピッチで処理されるものとし,パイプラインハザードについては,考慮しなくてよい。
ア (I+D)×P
イ (I+D−1)×P 正解
ウ (I×D)+P
エ (I×D−1)+P
正解 イ
解説
パイプラインでは,最初の命令が D 個のステージを通り終えるのに D ピッチかかる。その後は,1ピッチごとに次の命令が1個ずつ完了するので,残りの I−1 個の命令には I−1 ピッチかかる。
合計は D+(I−1) ピッチで,1ピッチが P 秒なので,所要時間は (I+D−1)×P 秒となり,イが正しい。アは最後に1ピッチ余分に数えている。ウ,エは時間の単位であるピッチ P を掛けずに足しており,式として成り立たない。
パイプラインの所要時間
深さ D=4 のパイプラインで I=5 個の命令を流す例。最初の命令が4つのステージを通り終えるのに4ピッチかかり,その後は1ピッチごとに1個ずつ命令が終わるので,残り4個に4ピッチ。合計 D+I−1=8 ピッチで,時間は (I+D−1)×P。
1
2
3
4
5
6
7
8
ピッチ
命令1
取出
解読
実行
書込
命令2
取出
解読
実行
書込
命令3
取出
解読
実行
書込
命令4
取出
解読
実行
書込
命令5
取出
解読
実行
書込
D=4 ピッチ
I−1=4 ピッチ
合計 (I+D−1) ピッチ = 8 ピッチ → 時間は (I+D−1)×P
最初の1個に D ピッチ,残りの I−1 個は1ピッチに1個ずつ終わる
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
キャッシュメモリにおけるダイレクトマップ方式の説明として,適切なものはどれか。
ア アドレスが連続した二つ以上のメモリブロックを格納するセクタを,キャッシュ内の任意のロケーションに割り当てる。
イ 一つのメモリブロックをキャッシュ内の単一のロケーションに割り当てる。 正解
ウ メモリブロックをキャッシュ内の任意のロケーションに割り当てる。
エ メモリブロックをキャッシュ内の二つ以上の配置可能なロケーションに割り当てる。
正解 イ
解説
ダイレクトマップ方式(直接マッピング方式)は,主記憶の1つのメモリブロックが入れるキャッシュ内の位置(ロケーション)を,ブロックのアドレスから1か所に決める方式である。イが適切である。
アはアドレスが連続した複数のブロックをまとめたセクタを任意の位置に割り当てるセクタマッピング方式,ウはブロックを任意の位置に割り当てるフルアソシアティブ方式,エはブロックを置ける位置が複数あるセットアソシアティブ方式の説明である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
キャッシュメモリのアクセス時間が 10 ナノ秒,主記憶のアクセス時間が 60 ナノ秒,キャッシュメモリのヒット率が 90%であるときの,実効アクセス時間は何ナノ秒か。
正解 ア
解説
実効アクセス時間は,キャッシュメモリのアクセス時間×ヒット率+主記憶のアクセス時間×(1−ヒット率) で求める。10×0.9+60×0.1=9+6=15 ナノ秒となり,アが正しい。
ウの 35 は,ヒット率を考えず二つのアクセス時間の平均 (10+60)÷2 を求めた値。エの 55 は,ヒット率と外れる確率を逆にして 10×0.1+60×0.9 と計算した値。イの 25 は,15 にキャッシュメモリのアクセス時間 10 ナノ秒をもう一度足した値で,キャッシュへのアクセスを二重に数えている。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
USB 2.0 の特徴として,適切なものはどれか。
ア CPU と内蔵磁気ディスクドライブ,DVD ドライブなどを接続するための ATA インタフェース規格の一つである。
イ PC と磁気ディスク装置などを接続するためのインタフェース規格の一つであり,別名 FireWire とも呼ばれている。
ウ データ転送速度が最大のモードは,ハイスピードモードである。 正解
エ データ転送速度が最大のモードは,フルスピードモードである。
正解 ウ
解説
USB 2.0 には,ロースピード(1.5 M ビット/秒),フルスピード(12 M ビット/秒),ハイスピード(480 M ビット/秒)の三つの転送モードがあり,データ転送速度が最大のモードはハイスピードモードである。ウが適切である。
アの CPU と内蔵磁気ディスクドライブ,DVD ドライブなどを接続するための規格は ATA。イの別名 FireWire と呼ばれているのは IEEE 1394。エのフルスピードモードは,USB 1.1 から備わっている 12 M ビット/秒のモードで,USB 2.0 の最大のモードではない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
液晶ディスプレイの特徴として,適切なものはどれか。
ア 電圧を加えると発光する有機化合物を用いる。
イ 電子銃から発射された電子ビームが蛍光体に当たり発光する。
ウ 光の透過を画素ごとに制御し,カラーフィルタを用いて色を表現する。 正解
エ 放電によって発生する紫外線と蛍光体を利用する。
正解 ウ
解説
液晶ディスプレイ(LCD)は,液晶に加える電圧で光(バックライト)の透過を画素ごとに制御し,カラーフィルタを通すことで色を表現する。ウが適切である。
アの電圧を加えると発光する有機化合物を用いるのは有機 EL ディスプレイ。イの電子銃から発射された電子ビームが蛍光体に当たって発光するのはブラウン管(CRT)。エの放電で発生する紫外線と蛍光体を利用するのはプラズマディスプレイである。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
現状の HPC(High Performance Computing)マシンの構成を,次の条件で更新することにした。更新後の,ノード数と総理論ピーク演算性能はどれか。ここで,総理論ピーク演算性能は,コア数に比例するものとする。
〔現状の構成〕
(1) 一つのコアの理論ピーク演算性能は 10 GFLOPS である。 (2) 一つのノードのコア数は8個である。 (3) ノード数は 1,000 である。 〔更新条件〕
(1) 一つのコアの理論ピーク演算性能を現状の2倍にする。 (2) 一つのノードのコア数を現状の2倍にする。 (3) 総コア数を現状の4倍にする。
ア ノード数:2,000,総理論ピーク演算性能(TFLOPS):320
イ ノード数:2,000,総理論ピーク演算性能(TFLOPS):640 正解
ウ ノード数:4,000,総理論ピーク演算性能(TFLOPS):320
エ ノード数:4,000,総理論ピーク演算性能(TFLOPS):640
正解 イ
解説
現状の総コア数は 8×1,000=8,000。更新条件(3)より更新後の総コア数はその4倍の 32,000 になる。一つのノードのコア数は更新条件(2)で 8×2=16 になるので,ノード数は 32,000÷16=2,000 である。一つのコアの理論ピーク演算性能は更新条件(1)で 10×2=20 GFLOPS なので,総理論ピーク演算性能は 32,000×20=640,000 GFLOPS=640 TFLOPS。イが正しい。
アは,コア当たりの性能が 10 GFLOPS のまま(32,000×10=320 TFLOPS)として求めた値。ウとエは,ノード当たりのコア数が 8 のまま(32,000÷8=4,000 ノード)として求めたもので,エの 640 TFLOPS は性能の計算だけが合っている。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
フェールセーフの考え方として,適切なものはどれか。
ア システムに障害が発生したときでも,常に安全側にシステムを制御する。 正解
イ システムの機能に異常が発生したときに,すぐにシステムを停止しないで機能を縮退させて運用を継続する。
ウ システムを構成する要素のうち,信頼性に大きく影響するものを複数備え,システムの信頼性を高める。
エ 不特定多数の人が操作しても,誤動作が起こりにくいように設計する。
正解 ア
解説
フェールセーフは,システムに障害が発生したときに,被害が広がらないよう常に安全な側に動作するように制御する設計の考え方である。例えば信号機の故障時に赤を点灯させる,踏切の故障時に遮断機を下ろすなどがこれに当たる。アが適切である。
イは機能を縮退させて運用を継続するフェールソフト。ウは重要な構成要素を複数備えて信頼性を高める冗長化(フォールトトレランス)。エは誰が操作しても誤動作が起きにくいようにするフールプルーフの考え方である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
オンラインシステムの端末数と平均応答時間の関係を表したグラフとして,適切なものはどれか。ここで,一定時間内に1台の端末から到着する平均トランザクション数は一定とする。また,それぞれのグラフの特徴が分かりやすいように補助線(点線)を加えてある。
正解 エ
解説
オンラインシステムでは,端末数が少ないうちは待ち行列がほとんどできず,応答時間はほぼ一定でわずかに増えるだけだが,端末数が増えて処理能力に近づくと待ち行列が長くなり,応答時間が急激に長くなる。実線が緩やかに増えた後,途中から急な右上がりになるエが適切である。
アは,端末数が少ない範囲で応答時間が急に増えており,端末が少なければ待ちがほとんど生じないという特性に合わない。イは,端末数に比例して直線的に増えており,待ち行列の特性と異なる。ウは,端末数が増えると頭打ちになるが,処理能力を超えると待ち行列は増え続けるので,応答時間は頭打ちにならない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
2台のプリンタがあり,それぞれの稼働率が 0.7 と 0.6 である。この2台のいずれか一方が稼働していて,他方が故障している確率は幾らか。ここで,2台のプリンタの稼働状態は独立であり,プリンタ以外の要因は考慮しないものとする。
ア 0.18
イ 0.28
ウ 0.42
エ 0.46 正解
正解 エ
解説
いずれか一方だけが稼働している確率は,“1台目が稼働して2台目が故障”と“1台目が故障して2台目が稼働”の和になる。0.7×(1−0.6)+(1−0.7)×0.6=0.28+0.18=0.46 となり,エが正しい。
アの 0.18 とイの 0.28 はそれぞれ片方の場合だけを求めた値,ウの 0.42 は両方とも稼働している確率 0.7×0.6 である。
2台のうち片方だけが動いている確率
稼働率 0.7 と 0.6 のプリンタの状態は4通り。両方稼働 0.7×0.6=0.42,1台目だけ 0.7×0.4=0.28,2台目だけ 0.3×0.6=0.18,両方故障 0.3×0.4=0.12。片方だけが動いているのは 0.28+0.18=0.46。
両方稼働
0.42
2台目だけ
0.18
1台目だけ
0.28
両方故障
0.12
1台目 稼働 0.7
故障 0.3
2台目 稼働 0.6
故障 0.4
0.28 + 0.18 = 0.46
片方だけの2つの面積を足す
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
制御系の組込みシステムで使用されるリアルタイム OS の特徴として,適切なものはどれか。
ア MMU によって仮想記憶制御を行い,データの仮想化を行わなければならない。
イ タスク生成は主に静的に行う。 正解
ウ ファイルマネージャ及びメモリプロテクション機能は必須である。
エ ラウンドロビン方式のスケジューリングを用いてシステム全体のスループットの向上を図る。
正解 イ
解説
制御系の組込みシステムのリアルタイム OS は,応答時間の予測しやすさと少ないメモリ消費を重視し,タスクの生成を設計時に決めておく静的な生成が主である。イが適切である。
アの MMU による仮想記憶制御は,処理時間が予測しにくくなるので,必須ではない。ウのファイルマネージャやメモリプロテクション機能も必須ではなく,必要に応じて組み込む。エのラウンドロビン方式は,時分割で公平に処理を割り当てる方式で,スループットの向上には向くが,リアルタイム OS は優先度に基づくスケジューリングで応答時間を保証することを重視する。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
リアルタイム OS のマルチタスク管理機能において,タスク A が実行状態から実行可能状態へ遷移するのはどの場合か。
ア タスク A が入出力要求のシステムコールを発行した。
イ タスク A が優先度の低いタスク B に対して,メッセージ送信を行った。
ウ タスク A より優先度の高いタスク B が実行状態となった。 正解
エ タスク A より優先度の高いタスク B が待ち状態となった。
正解 ウ
解説
リアルタイム OS のマルチタスク管理では,実行状態のタスク A より優先度の高いタスク B が実行状態となるとき,A は CPU を取り上げられて実行可能状態に戻る(プリエンプション)。ウが正しい。
アの入出力要求のシステムコールを発行したときは,入出力の完了を待つ待ち状態に遷移する。イの優先度の低いタスク B にメッセージを送信しても,A は実行状態のままで,B が実行可能状態になる。エの優先度の高いタスク B が待ち状態となる場合,B は CPU を使っていないので,A の状態は変わらず実行状態のままである。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
UNIX ではファイルを,通常ファイル,ディレクトリファイル及び特殊ファイルの3種類に分類している。ディレクトリファイルの説明として,適切なものはどれか。
ア 磁気ディスクなどの入出力装置にアクセスするためのファイル
イ テキスト,オブジェクトコード,画像データなどを格納するためのファイル
ウ ファイル名とファイルの実体を対応付けるためのファイル 正解
エ 複数のパスから一つのファイルを参照できるようにするためのファイル
正解 ウ
解説
UNIX のディレクトリファイルは,ファイル名と,ファイルの実体(i ノード)とを対応付ける情報を格納したファイルである。ウが適切である。
アの磁気ディスクなどの入出力装置にアクセスするためのファイルは特殊ファイル(デバイスファイル)。イのテキスト,オブジェクトコード,画像データなどを格納するためのファイルは通常ファイル。エの複数のパスから一つのファイルを参照できるようにするためのファイルは,リンクの説明である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
OSI(Open Source Initiative)が定義している OSS の性質はどれか。
ア OSS とともに頒布される,ほかのソフトウェアのソースコードも公開しなければならない。
イ OSS を再頒布する場合は,無料にしなければならない。
ウ 営利目的の企業での使用や,研究分野での使用も許可される。 正解
エ ソースコードを改変した場合の再頒布条件に,制約があってはならない。
正解 ウ
解説
OSI(Open Source Initiative)が定義するオープンソースの定義(OSD)では,利用する分野による差別を禁止しており,営利目的の企業での使用や研究分野での使用も制限してはならない。ウが適切である。
アは誤りで,OSS とともに頒布されるほかのソフトウェアに制限を加えてはならないとされ,ほかのソフトウェアのソースコードの公開を求めるものではない。イは誤りで,再頒布を有償で行うことは妨げられない。エは誤りで,作者のソースコードの完全性を保つために,改変したものを別の名前や版番号で頒布するよう求めるなどの条件を付けることが認められている。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
産業機器の機械制御装置として使われる PLC(Programmable Logic Controller)の記述として,適切なものはどれか。
ア 自動制御であり,偏差の比例,積分及び微分の3要素で制御する。
イ 主としてラダー図を使ったシーケンスプログラムによって制御する。 正解
ウ 電圧及び電流のアナログ信号をディジタル信号に変換する。
エ リレーシーケンス回路のハードウェアによって制御する。
正解 イ
解説
PLC(Programmable Logic Controller)は,産業機器の制御に使われる制御装置で,リレー回路を置き換えるものとして生まれた。リレーシーケンス図を基にしたラダー図を使い,シーケンスプログラムによって制御するので,イが適切である。
アの偏差の比例,積分及び微分の 3 要素で制御するのは PID 制御である。ウのアナログ信号をディジタル信号に変換するのは A/D 変換器である。エのリレーシーケンス回路のハードウェアによって制御するのは,PLC が置き換えた従来のリレー制御盤である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
図の論理回路において,S=1,R=1,X=0,Y=1 のとき,S をいったん 0 にした後,再び1に戻した。この操作を行った後の X,Y の値はどれか。
ア X=0,Y=0
イ X=0,Y=1
ウ X=1,Y=0 正解
エ X=1,Y=1
正解 ウ
解説
X=NOT(S・Y),Y=NOT(R・X) で動くラッチ回路である。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で,X=NOT(1・1)=0,Y=NOT(1・0)=1 と安定している。
S を 0 にすると X=NOT(0・Y)=1 になり,これを受けて Y=NOT(1・1)=0 に変わる。次に S を 1 に戻しても,Y=0 なので X=NOT(1・0)=1 のままで,Y=NOT(1・1)=0 も変わらない。操作後は X=1,Y=0 で,ウが正しい。S を一時的に 0 にすることで状態が反転し,戻した後もその状態が保持される(セット)。
ラッチ回路の値の移り変わり
X=¬(S・Y),Y=¬(R・X) の回路。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で安定している。S を0にすると X=¬(0・Y)=1 になり,続いて Y=¬(1・1)=0 になる。S を1に戻しても Y=0 なので X=¬(1・0)=1 のままで,X=1,Y=0 が保たれる。
S
R
X
Y
S
R
X
Y
1
1
0
1
0
1
1
0
1
1
1
0
初め:
S を0に:
S を1に戻す:
X=¬(1・1)=0,Y=¬(1・0)=1 で安定
X=¬(0・1)=1 → Y=¬(1・1)=0
X=¬(1・0)=1 のまま(保持)
S を一度0にすると状態が入れ替わり,1に戻してもそのまま保たれる
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
16 進数 ABCD1234 をリトルエンディアンで4バイトのメモリに配置したものはどれか。
ア 0:12,+1:34,+2:AB,+3:CD
イ 0:34,+1:12,+2:CD,+3:AB 正解
ウ 0:43,+1:21,+2:DC,+3:BA
エ 0:AB,+1:CD,+2:12,+3:34
正解 イ
解説
リトルエンディアンは,多バイトのデータを,下位のバイトから順に,若いアドレスに配置する方式である。ABCD1234 は,AB,CD,12,34 の4バイトで,最下位のバイトは 34 なので,アドレス 0 から 34,12,CD,AB の順に並ぶ。イが正しい。
アは,2バイトごとの組を保ったまま下位の組を先に並べた配置で,リトルエンディアンではない。ウは,バイトの中の 4 ビットずつまで入れ替えた並び。エは,上位のバイトから順に並べたビッグエンディアンの配置である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
Web アクセシビリティに配慮した画面の設計方針のうち,適切なものはどれか。
ア head 要素の中の title 要素を同一にして,各ページに同じ表題を付ける。
イ 確認は緑,取消しは赤などのように,共通に使用されるボタンは色だけで判別できるようにする。
ウ 仮名入力欄の前には,“フリガナ(カタカナで入力)”のように,仮名の種類も明記する。 正解
エ ハイパリンク及びボタンは,操作性を良くするために隣り合うものとの間隔を狭くとる。
正解 ウ
解説
仮名入力欄の前に“フリガナ(カタカナで入力)”のように入力すべき仮名の種類を明記すれば,入力の誤りが減り,画面読上げソフトの利用者にも入力の条件が伝わる。ウが適切である。
アは誤りで,title 要素はページの内容を表すようにページごとに異なる表題を付けるべきで,同じ表題ではページの区別がつかない。イは誤りで,色の違いを見分けにくい利用者もいるので,色だけでなく文字などでも判別できるようにする。エは誤りで,隣り合うハイパリンクやボタンの間隔が狭いと押し間違えやすいので,十分な間隔をとる。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
ある業務用に開発した入力画面で,多くの利用者が誤操作していることが分かった。初めに実施する対策として適切なものはどれか。
ア 誤操作した利用者の操作記録をとり,インタビューして問題点を解析する。 正解
イ 誤操作は慣れていないために起きることなので,利用者の習熟度を調べる。
ウ 入力画面を設計した人にインタビューして,問題点を明らかにする。
エ プログラム設計書を調査して,設計に操作上の無理がないか分析する。
正解 ア
解説
多くの利用者が誤操作しているときは,まず,実際にどこで,なぜ誤操作が起きているかの事実を把握する必要がある。誤操作した利用者の操作記録をとり,インタビューして問題点を解析するアが,初めに実施する対策として適切である。
イは,誤操作の原因を習熟度の問題と決め付けており,原因を調べる前に結論を出している。ウの設計者へのインタビューと,エのプログラム設計書の調査は,作る側の視点での確認で,利用者がどこで誤操作するかは分からないので,初めに行う対策ではない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
各種コードの特徴を記述した表中の項目 a〜c に入るコード種別の組合せとして,適切なものはどれか。
ア a:区分コード,b:けた別コード,c:順番コード
イ a:けた別コード,b:順番コード,c:区分コード
ウ a:順番コード,b:区分コード,c:けた別コード 正解
エ a:順番コード,b:けた別コード,c:区分コード
正解 ウ
解説
順番コードは,発生順に連番を付けるので,けた数が少なく追加も容易だが,コードから分類は分からない(a)。区分コードは,対象をグループに分け,グループごとに連続した範囲を割り当てるもので,少ないけた数で多くのグループ分けができるが,データの追加や件数が多いと不便になる(b)。けた別コードは,各けたに分類上の意味をもたせるので分かりやすいが,けた数が大きくなりやすい(c)。ウが正しい。
アは,a を区分コード,b をけた別コード,c を順番コードとしており,三つとも取り違えている。イも,a をけた別コード,b を順番コード,c を区分コードとしており,三つとも取り違えている。エは a の順番コードは合っているが,b と c の区分コードとけた別コードを入れ替えている。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
コンピュータグラフィックスの要素技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア アンチエイリアシングは,周辺の画素との平均化演算などを施すことで,斜め線や曲線のギザギザを目立たなくする。 正解
イ メタボールは,光の相互反射を利用して物体表面の光のエネルギーを算出することで,表面の明るさを決定する。
ウ ラジオシティは,光源からの光線の経路を計算することで光の反射や透過などを表現し,物体の形状を描画する。
エ レイトレーシングは,物体を球やだ円体の集合として疑似的にモデル化する。
正解 ア
解説
アンチエイリアシングは,画素の境界に生じる斜め線や曲線のギザギザ(ジャギー)を,周辺の画素との平均化演算などで中間の色を付けることによって目立たなくする技術である。アが適切である。
イの光の相互反射から物体表面の光のエネルギーを算出して明るさを決めるのはラジオシティ。ウの光線の経路を計算して反射や透過を表現するのはレイトレーシング。エの物体を球やだ円体などの集合として疑似的にモデル化するのはメタボールの説明で,それぞれ用語と説明が入れ替わっている。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
3次元の物体を表すコンピュータグラフィックスの手法に関する記述のうち,サーフェスモデルの説明はどれか。
ア 物体を,引力効果を考慮して球体を変形させることで得られる滑らかな曲面で表現する。
イ 物体を頂点と頂点をつなぐりょう線で表現する。
ウ 物体を中身の詰まった固形物として表現する。
エ 物体をポリゴンや曲面パッチを用いて表現する。 正解
正解 エ
解説
サーフェスモデルは,物体の表面を,小さな多角形(ポリゴン)や曲面パッチ(ベジェ曲面,NURBS 曲面など)の集まりで表現する手法で,物体の内部の情報はもたない。エが適切である。
アは,球体どうしが近づくと滑らかにつながる性質を使って曲面を表現するメタボールの説明。イは頂点と頂点を線で結んで針金のように表すワイヤフレームモデル,ウは内部まで詰まった固形物として表現し,体積や断面を扱えるソリッドモデルの説明である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
部品在庫管理台帳における,部品,仕入先,在庫の三つのエンティティの関係をデータモデルとして記述した。エンティティ a〜c の組合せとして,適切なものはどれか。ここで,1―* は1対多の関連を表す。
部品在庫管理台帳
ア a:在庫,b:仕入先,c:部品
イ a:在庫,b:部品,c:仕入先
ウ a:仕入先,b:部品,c:在庫
エ a:部品,b:在庫,c:仕入先 正解
正解 エ
解説
台帳の1行は,ある部品を,ある仕入先から,ある日付に仕入れたときの仕入価格と在庫数を表す。1つの部品は何度も仕入れられ,1つの仕入先からも複数の部品や複数回の仕入れがあるので,在庫の側が多,部品と仕入先の側が1になる。部品(a)1―*在庫(b)*―1仕入先(c)となり,エが正しい。
ア,イは在庫を1の側の a に置いており,1つの在庫に複数の仕入先や部品が対応することになるので誤り。ウは部品を多の側の b に,在庫を1の側の c に置いており,1つの部品に複数の在庫があるという実態と逆である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
分散トランザクション処理で利用される2相コミットプロトコルでは,コミット処理を開始する調停者(coordinator)と,調停者からの指示を受信してから必要なアクションを開始する参加者(participant)がいる。この2相コミットプロトコルに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 参加者は,フェーズ1で調停者にコミット了承の応答を返してしまえば,フェーズ2のコミット要求を受信していなくても,ローカルにコミット処理が進められる。
イ 調停者に障害が発生するタイミングによっては,その回復処理が終わらない限り,参加者全員がコミットもロールバックも行えない事態が起こる。 正解
ウ 一つの分散トランザクションに複数の調停者及び参加者が存在し得る。例えば,5個のシステム(プログラム)が関与している場合,調停者の数が2,参加者の数が3となり得る。
エ フェーズ1で返答のない参加者が存在しても,調停者は強制的にそのトランザクションをコミットすることができる。
正解 イ
解説
2相コミットプロトコルでは,参加者がフェーズ1でコミット可能と応答した後は,調停者からのフェーズ2の指示(コミット又はロールバック)を待つ状態になる。このときに調停者に障害が発生すると,その回復処理が終わるまで,参加者はコミットもロールバックも行えない状態(ブロッキング)になる。イが適切である。
アは誤りで,参加者はフェーズ2のコミット要求を受け取るまでコミット処理を進められない。ウは誤りで,一つの分散トランザクションの調停者は1つである。エは誤りで,フェーズ1で返答のない参加者がいれば,調停者はトランザクション全体をロールバックする。
2相コミット
第1相で,調停者は各システムに COMMIT できるか問い合わせる。全てのシステムから“可”が返れば第2相で COMMIT を指示し,1つでも“否”があれば全てのシステムに ROLLBACK を指示して,結果をそろえる。この例ではシステム2が“否”なので ROLLBACK。
調停者
システム1
システム2
第1相
COMMIT できるか
可
否
第2相
ROLLBACK
全部“可”なら COMMIT,1つでも“否”なら ROLLBACK
1つでも“否”があれば,全部 ROLLBACK。全部“可”のときだけ COMMIT
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
データベースの障害回復処理に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 異なるトランザクション処理プログラムが,同一データベースを同時更新することによって生じる論理的な矛盾を防ぐために,データのブロック化が必要となる。
イ システムが媒体障害以外の原因によって停止した場合,チェックポイントの取得以前に終了したトランザクションについての回復作業は不要である。 正解
ウ データベースの媒体障害に対して,バックアップファイルをリストアした後,ログファイルの更新前情報を使用してデータの回復処理を行う。
エ トランザクション処理プログラムがデータベースの更新中に異常終了した場合には,ログファイルの更新後情報を使用してデータの回復処理を行う。
正解 イ
解説
システム障害(媒体障害以外)では,チェックポイントの時点で主記憶上の更新内容はディスクに書き出されている。チェックポイントの取得以前に終了したトランザクションの更新はデータベースに反映済みなので,回復作業は要らない。イが適切である。
アの同時更新による矛盾を防ぐのはブロック化ではなく排他制御(ロック)。ウの媒体障害では,バックアップをリストアした後にログの更新後情報を使ってロールフォワードする。エのトランザクションの異常終了では,ログの更新前情報を使ってロールバックし,更新前の状態に戻す。
障害の種類と回復に使うログ
トランザクション障害(実行中の異常終了)では,更新前ログを使ってロールバックし,トランザクション開始前の状態に戻す。システム障害では,チェックポイント以降にコミットしたものを更新後ログでロールフォワードし,未コミットのものを更新前ログでロールバックする。媒体障害では,バックアップから復元し,バックアップ以降にコミットしたものを更新後ログでロールフォワードする。
ロールバック
更新前ログ → 開始前に戻す
ロールフォワード
更新後ログ → 障害直前まで進める
トランザクション障害
異常終了したものを戻す
—
システム障害
未コミットを戻す
チェックポイント後のコミット
媒体障害
—
バックアップを復元してから
ロールバックは更新前ログで戻す,ロールフォワードは更新後ログで進める
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
関係データベースにおいて,“注文”表から“商品”表へ参照制約が設定されている場合の記述のうち,適切なものはどれか。
ア “商品”表のタプルが存在すれば,それに対応する“注文”表のタプルは存在する。
イ “商品”表のタプルと“注文”表のタプルはそれぞれ独立に存在する。
ウ “注文”表のタプルが消滅すれば,それに対応する“商品”表のタプルも消滅する。
エ “注文”表のタプルが存在すれば,それに対応する“商品”表のタプルは存在する。 正解
正解 エ
解説
“注文”表から“商品”表へ参照制約が設定されている場合,“注文”表の外部キーの値は,“商品”表の主キーに存在するものでなければならない。したがって,“注文”表のタプルが存在すれば,それに対応する“商品”表のタプルは存在する。エが適切である。
アは誤りで,“商品”表のタプルがあっても,それを注文した“注文”表のタプルがあるとは限らない。イは誤りで,“注文”表のタプルは“商品”表のタプルに依存し,独立には存在できない。ウは誤りで,“注文”表のタプルが消滅しても,“商品”表のタプルは消滅しない。
参照制約で拒否される操作
“在庫”表の製品番号は“製品”表の製品番号を参照する外部キー。“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に無ければ拒否される。参照される側の“製品”表から,参照されている行を削除したり製品番号を変えたりするのも拒否されうる。“在庫”表の行や表の削除,“製品”表への行の追加は拒否されない。
在庫(参照する側)
管理番号
製品番号
Z01
P1
Z02
P2
Z03
P9
製品(参照される側)
製品番号
製品名
P1
ねじ
P2
ばね
P9 は製品に無い
→ 在庫への追加は拒否
参照されている P1・P2
の削除も拒否されうる
拒否されない:在庫の行・表の削除,製品への行の追加
外部キー → 参照先に同じ値が要る
参照する側への追加と,参照される側からの削除が引っかかる
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
1000BASE-T のケーブルに関する制約として,適切なものはどれか。
ア カテゴリ5又はそれ以上の UTP ケーブルを使用する。 正解
イ 短波長レーザ光を使用したマルチモード光ファイバケーブルを使用する。
ウ 長波長レーザ光を使用したシングルモード光ファイバケーブルを使用する。
エ 同軸ケーブルを使用する。
正解 ア
解説
1000BASE-T は,ツイストペアケーブル(UTP)を使うギガビットイーサネットの規格で,カテゴリ5又はそれ以上の UTP ケーブルを使用する。アが適切である。
イの短波長レーザ光を使用したマルチモード光ファイバケーブルは 1000BASE-SX,ウの長波長レーザ光を使用する光ファイバケーブルは 1000BASE-LX で使う。エの同軸ケーブルは,10BASE5 や 10BASE2 などの規格で使う。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
伝送速度 64 k ビット/秒の回線を使ってデータを連続送信したとき,平均して 100 秒に1回の1ビット誤りが発生した。この回線のビット誤り率は幾らか。
ア 1.95×10−8
イ 1.56×10−7 正解
ウ 1.95×10−5
エ 1.56×10−4
正解 イ
解説
64 k ビット/秒の回線で 100 秒間に送るビット数は 64×103 ×100=6.4×106 ビットで,その間に1ビットの誤りが起きる。
ビット誤り率は 1÷(6.4×106 )≒1.56×10−7 となり,イが正しい。8ビットを1バイトとしてバイト数で割ると 1.95×10−8 (ア)になるが,ビット誤り率はビット数で求める。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
IP ネットワークのプロトコルのうち,OSI 基本参照モデルのトランスポート層に位置するものはどれか。
正解 エ
解説
OSI 基本参照モデルのトランスポート層は,端末間でのデータの転送を担う層で,IP ネットワークでは TCP と UDP がこの層のプロトコルである。エの UDP が正しい。
アの HTTP とウの SMTP は Web や電子メールのためのアプリケーション層のプロトコル,イの ICMP は IP の通信のエラー通知や診断に使うネットワーク層のプロトコルである。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
図は,既存の電話機を使用した企業内 PBX の内線網を,IP ネットワークに統合する場合の接続構成を示している。図中の a〜c に該当する装置の適切な組合せはどれか。
ア a:PBX,b:VoIP ゲートウェイ,c:ルータ 正解
イ a:PBX,b:ルータ,c:VoIP ゲートウェイ
ウ a:VoIP ゲートウェイ,b:PBX,c:ルータ
エ a:VoIP ゲートウェイ,b:ルータ,c:PBX
正解 ア
解説
既存の電話機はまず内線交換機である PBX に接続する。PBX が扱う電話の音声信号を IP パケットに変換して IP ネットワークでやり取りできるようにするのが VoIP ゲートウェイであり,そのパケットをルータを通して IP ネットワークへ送る。電話機から順に PBX,VoIP ゲートウェイ,ルータとなるので,アが適切である。
イは PBX の出す電話の信号を IP 化しないままルータに渡すことになり,ルータは IP パケットしか中継できないので通信できない。ウは VoIP ゲートウェイで IP 化した後に PBX を置き,エは IP ネットワークの直前に PBX を置いているが,既存の PBX は電話の信号を交換する装置で IP パケットを扱えないので,どちらも成り立たない。
既存の電話機を IP ネットワークにつなぐ順番
電話機は内線交換機の PBX につなぐ。PBX が扱う電話の音声信号を,VoIP ゲートウェイが IP パケットに変換する。そのパケットをルータが IP ネットワークへ送る。電話機 → PBX → VoIP ゲートウェイ → ルータ の順。
電話機
PBX
VoIP
ゲートウェイ
ルータ
IP 網
a
b
c
電話の音声信号
IP パケット
a:PBX b:VoIP ゲートウェイ c:ルータ
電話の信号を IP にするのが VoIP ゲートウェイ,IP を運ぶのがルータ
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
公開鍵暗号方式を用いて送信者が文書にディジタル署名を行う場合,文書が間違いなく送信者のものであることを受信者が確認できるものはどれか。
ア 送信者は自分の公開鍵を使用して署名処理を行い,受信者は自分の秘密鍵を使用して検証処理を行う。
イ 送信者は自分の秘密鍵を使用して署名処理を行い,受信者は送信者の公開鍵を使用して検証処理を行う。 正解
ウ 送信者は受信者の公開鍵を使用して署名処理を行い,受信者は自分の秘密鍵を使用して検証処理を行う。
エ 送信者は受信者の秘密鍵を使用して署名処理を行い,受信者は自分の公開鍵を使用して検証処理を行う。
正解 イ
解説
ディジタル署名では,送信者は自分の秘密鍵を使って署名を生成し,受信者は送信者の公開鍵を使って署名を検証する。送信者の公開鍵で正しく検証できれば,対になる秘密鍵を持つ送信者本人が署名したことが確認できる。イが正しい。
アの送信者の公開鍵は誰でも入手できるので,署名に使っても本人の証明にならない。ウの受信者の公開鍵を使って受信者の秘密鍵で復号するのは,内容を秘密にする暗号化の手順で,送信者の確認にはならない。エの受信者の秘密鍵は受信者だけが持つもので,送信者は使えない。
ディジタル署名の作り方と確かめ方
送信者は文書のハッシュ値を求め,自分の秘密鍵で変換して署名を作り,文書に付けて送る。受信者は署名を送信者の公開鍵で戻し,受け取った文書から自分で求めたハッシュ値と比べる。一致すれば,文書は書き換えられておらず,送信者の秘密鍵で作られたと分かる。暗号化とは鍵の使い方が逆になる。
送信者
受信者
文書
ハッシュ関数
ハッシュ値
送信者の秘密鍵
署名
文書
ハッシュ
ハッシュ値
=?
ハッシュ値
署名
送信者の公開鍵
一致 → 書き換えられていない・送信者が作った(否認防止)
署名:送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる
暗号化:受信者の公開鍵で暗号化し,受信者の秘密鍵で戻す
署名は送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる(暗号化と逆)
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
公開鍵暗号方式を採用した電子商取引において,認証局(CA)の役割はどれか。
ア 取引当事者の公開鍵に対するディジタル証明書を発行する。 正解
イ 取引当事者のディジタル署名を管理する。
ウ 取引当事者のパスワードを管理する。
エ 取引当事者の秘密鍵に対するディジタル証明書を発行する。
正解 ア
解説
認証局(CA)は,公開鍵暗号方式を用いた取引で,公開鍵がその持ち主本人のものであることを証明するため,取引当事者の公開鍵に対するディジタル証明書を発行する。アが適切である。
イは誤りで,認証局はディジタル署名を管理しない。署名は秘密鍵をもつ本人が生成する。ウは誤りで,パスワードの管理は認証局の役割ではない。エは誤りで,秘密鍵は本人だけが保管するものであり,認証局が秘密鍵に対する証明書を発行することはない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
完全性を脅かす攻撃はどれか。
ア Web ページの改ざん 正解
イ システム内に保管されているデータの持出しを目的とした不正コピー
ウ システムの過負荷状態をねらう DoS 攻撃
エ 通信内容の盗聴
正解 ア
解説
情報セキュリティの三つの要素のうち,完全性は,情報が正確で,改ざんや破壊されていないことをいう。Web ページの改ざんは,情報の内容を書き換えて完全性を損なう攻撃である。アが該当する。
イのデータの持出しを目的とした不正コピーと,エの通信内容の盗聴は,権限のない者に情報が知られるので,機密性を脅かす攻撃である。ウのシステムの過負荷状態をねらう DoS 攻撃は,必要なときにシステムが使えなくなるので,可用性を脅かす攻撃である。
攻撃が損なう要素と,それを守る対策
盗聴は機密性を,改ざんは完全性を,DoS 攻撃は可用性を,なりすましは真正性を損なう。機密性は暗号化やアクセス制御,完全性はハッシュ値・MAC・ディジタル署名,可用性は冗長化やバックアップ,真正性は利用者認証やサーバ証明書で守る。問題文の脅威がどの要素に当たるかを考えると,対策の選択肢を絞り込める。
攻撃
損なう要素
守る対策の例
盗聴
機密性
暗号化,アクセス制御
改ざん
完全性
ハッシュ値・MAC,署名
DoS 攻撃
可用性
冗長化,DoS 対策
なりすまし
真正性
利用者認証,サーバ証明書
否認防止はディジタル署名・タイムスタンプ,責任追跡性はログ
盗聴→機密性,改ざん→完全性,DoS→可用性,なりすまし→真正性
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
JIS Q 2001:2001 に規定されたリスク算定の定量的評価を,組織のセキュリティ対策の優先度を検討するリスク分析に適用したものはどれか。
ア 過去に発生した被害件数と対策の難易度で評価する。
イ 攻撃に対する対処時間と被害の顕在性で評価する。
ウ 攻撃元の特定可否と攻撃手法の新しさで評価する。
エ 被害が発生する確率と被害額で評価する。 正解
正解 エ
解説
JIS Q 2001:2001 のリスク算定では,リスクを,事象が発生する確率(発生頻度)と,発生したときの結果の大きさ(影響度)の組合せとしてとらえる。定量的評価では,これを数値で表し,セキュリティのリスク分析に適用すると,被害が発生する確率と被害額で評価することになる。エが該当する。
アの対策の難易度,イの対処時間,ウの攻撃元の特定可否や攻撃手法の新しさは,被害の発生確率や被害の大きさを表すものではなく,リスク算定の定量的評価には当たらない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
無線 LAN において,事前にアクセスポイントに登録した端末以外の接続を制限するためのものはどれか。
ア AES
イ IEEE 802.11b
ウ MAC アドレスフィルタリング 正解
エ TKIP
正解 ウ
解説
MAC アドレスフィルタリングは,アクセスポイントに,接続を許可する端末の MAC アドレスをあらかじめ登録しておき,それ以外の端末の接続を拒否する機能である。ウが正しい。
アの AES と,エの TKIP は,無線 LAN の通信を暗号化する方式で,接続する端末の制限を目的とするものではない。イの IEEE 802.11b は,2.4 GHz 帯を使い最大 11 M ビット/秒で通信する無線 LAN の規格である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
UML のクラス図が表す内容はどれか。
ア クラス間の動的な関係
イ クラス同士が,必ず1対1の対応になるような相互関係
ウ クラスを構成するクラス名,インスタンス,メッセージの3要素
エ 汎化,集約,関連などのクラス間の関係 正解
正解 エ
解説
UML のクラス図は,システムを構成するクラスと,汎化,集約,関連などのクラス間の静的な関係を表す図である。エが正しい。
アのクラス間の動的な関係(メッセージのやり取り)を表すのは,シーケンス図などの図。イは誤りで,クラス間の関連は,1対1に限らず,1対多や多対多も表せる。ウは誤りで,クラスはクラス名,属性,操作で構成され,インスタンスやメッセージはクラスの構成要素ではない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
オブジェクト指向におけるインヘリタンスの説明はどれか。
ア 幾つかのオブジェクトを集めて,これらを成分とするオブジェクトを作成する。
イ オブジェクトのデータ構造や値を隠ぺいし,オブジェクトの外部から直接,内部のデータにアクセスできないようにする。
ウ 基底クラスで定義したデータ構造と手続をサブクラスで引き継いで使用する。 正解
エ 同一のデータ構造と同一の手続をもつオブジェクトをまとめて表現する。
正解 ウ
解説
インヘリタンス(継承)は,基底クラス(スーパークラス)で定義したデータ構造と手続を,サブクラスが引き継いで使用する仕組みである。ウが正しい。
アの幾つかのオブジェクトを集めて,これらを成分とするオブジェクトを作成するのは集約。イのデータ構造や値を隠ぺいし,外部から直接アクセスできないようにするのはカプセル化。エの同一のデータ構造と同一の手続をもつオブジェクトをまとめて表現するのはクラスである。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
モジュール結合度が最も弱いモジュールはどれか。
ア 単一のデータ項目を大域的データで受け渡すモジュール
イ 単一のデータ項目を引数で受け渡すモジュール 正解
ウ データ構造を大域的データで受け渡すモジュール
エ データ構造を引数で受け渡すモジュール
正解 イ
解説
モジュール結合度は,弱い(望ましい)ものから順に,データ結合,スタンプ結合,制御結合,外部結合,共通結合,内容結合となる。単一のデータ項目を引数で受け渡すのは,必要なデータだけをやり取りするデータ結合で,最も結合度が低い。イが該当する。
エのデータ構造を引数で受け渡すのはスタンプ結合で,受け取る側が使わない項目まで構造に依存する。アの単一のデータ項目を大域的データで受け渡すのは外部結合,ウのデータ構造を大域的データで受け渡すのは共通結合であり,いずれも大域的データを介して多くのモジュールが依存し合うので結合度が高い。
モジュール結合度とモジュール強度
結合度はモジュールどうしのつながりの強さで,弱いほどよい。弱い順に,データ結合(必要な項目だけを引数で),スタンプ結合(データ構造を引数で),制御結合(制御の情報を渡す),外部結合(単一の大域データ),共通結合(共通域のデータ構造),内容結合(相手の内部を直接参照)。強度はモジュールの中のまとまりで,強いほどよい。機能的強度が最も強く,処理コードで機能を選ぶ論理的強度や,関係のない機能を集めた暗合的強度は弱い。
結合度(弱いほどよい)
データ結合
項目を引数で
スタンプ結合
構造を引数で
制御結合
制御情報を渡す
外部結合
単一の大域データ
共通結合
共通域の構造
内容結合
内部を直接参照
強度(強いほどよい)
機能的強度
1つの機能
情報的強度
同じ情報を扱う
連絡的強度
データを受け渡す
手順的強度
順に実行する
論理的強度
コードで機能を選ぶ
暗合的強度
関係のないものの寄せ集め
上ほど望ましい(時間的強度は手順的と論理的の間)
結合度は弱いほど,強度は強いほどよい
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
変数の間で論理的に成立すべき条件が満たされているか否かを検査するコードをプログラムの適切な箇所に挿入し,実行時に検査結果が確認できる支援ツールはどれか。
ア アサーションチェッカ 正解
イ コードオーディタ
ウ テストカバレージモニタ
エ トレーサ
正解 ア
解説
アサーションチェッカは,プログラムの適切な箇所に,変数の間で論理的に成立すべき条件(アサーション)を検査するコードを挿入し,実行時にその条件が満たされているかを確認できるようにするツールである。アが正しい。
イのコードオーディタは,ソースコードがコーディング規約に従っているかを検査するツール。ウのテストカバレージモニタは,テストでプログラムのどの部分が実行されたか(網羅率)を測定するツール。エのトレーサは,プログラムの実行経路や変数の値の変化を追跡して記録するツールである。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
次のテストで用いるテストケース設計法はどれか。
読み込んだデータが正しくないときにエラーメッセージを出力するかどうかをテストしたい。プログラム仕様書を基に,正しくないデータのクラスを識別し,その中から任意の一つのデータを代表として選びテストケースとする。
ア 原因結果グラフ
イ 限界値分析
ウ 同値分割 正解
エ 分岐網羅
正解 ウ
解説
正しくないデータのクラスを識別し,その中から任意の一つのデータを代表として選んでテストケースとする方法は,同値分割である。ウが正しい。
アの原因結果グラフは,入力の条件(原因)と出力(結果)の論理関係をグラフに表してテストケースを導く方法。イの限界値分析は,同値クラスの境界の値をテストケースにする方法。エの分岐網羅は,プログラム内のすべての分岐を実行するようにテストケースを設計する方法である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
JIS X 0129-1 で規定されたソフトウェア製品の品質副特性の説明のうち,信頼性に分類されるものはどれか。
ア 故障時に,指定された達成水準を再確立し,直接に影響を受けたデータを回復するソフトウェア製品の能力 正解
イ ソフトウェアにある欠陥の診断又は故障原因の追及,及びソフトウェアの修正箇所の識別を行うためのソフトウェア製品の能力
ウ 一つ以上の指定されたシステムと相互作用するソフトウェア製品の能力
エ 利用者がソフトウェアの運用及び運用管理を行うことができるソフトウェア製品の能力
正解 ア
解説
JIS X 0129-1 では,信頼性の品質副特性として,成熟性,障害許容性,回復性などを定めている。故障時に指定された達成水準を再確立し,直接に影響を受けたデータを回復する能力は回復性で,信頼性に分類される。アが該当する。
イの欠陥の診断や故障原因の追及,修正箇所の識別を行う能力は,保守性の副特性である解析性。ウの指定されたシステムと相互作用する能力は,機能性の副特性である相互運用性。エの利用者が運用及び運用管理を行うことができる能力は,使用性の副特性である運用性である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
取得者(発注者)と供給者(受注者)の二者間取引を明確化するためのものであり,業務分析,業務設計,ソフトウェアを中心としたシステムの企画,要件定義,開発,運用,保守及びそれらにかかわる諸活動を対象としており,国際規格に適合しているものはどれか。
ア CMMI
イ PMBOK
ウ 共通フレーム 正解
エ ソフトウェア保守規格
正解 ウ
解説
共通フレームは,取得者(発注者)と供給者(受注者)がソフトウェアに関する取引の内容を共通の言葉で理解できるよう,企画,要件定義,開発,運用,保守などの作業項目を定義した枠組みで,国際規格(ISO/IEC 12207)に適合している。ウが正しい。
アの CMMI は,組織のプロセスの成熟度を評価して改善するためのモデル。イの PMBOK は,プロジェクトマネジメントの知識体系をまとめたもの。エのソフトウェア保守規格は,ソフトウェアの保守のプロセスを定めた規格で,開発や運用を含む取引全体を対象とするものではない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
プロジェクトのタイムマネジメントのために次のアローダイアグラムを作成した。クリティカルパスはどれか。
ア A→C→E→G
イ A→D→H
ウ B→E→F→H
エ B→E→G 正解
正解 エ
解説
各経路の所要日数は,A→D→H が 1+3+4=8 日,A→C→E→G が 1+3+4+5=13 日,B→E→F→H が 5+4+0+4=13 日(F はダミー作業で所要日数 0),B→E→G が 5+4+5=14 日である。最も長い B→E→G がクリティカルパスで,エが正しい。
アとウは 13 日で,最長の経路より 1 日短い。イは 8 日で,最長の経路とは大きく差がある。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
期間10日のプロジェクトを5日目の終了時にアーンドバリュー分析したところ,表のとおりであった。現在のコスト効率が今後も続く場合,完成時総コスト見積り(EAC)は何万円か。
正解 エ
解説
現在のコスト効率が今後も続く場合の完成時総コスト見積りは EAC=BAC÷CPI で求める。CPI=EV÷AC=40÷60=2/3 なので,EAC=100÷(2/3)=150 万円。
イの 120 は,残りの作業は予算どおりに進むと仮定した EAC=AC+(BAC−EV)=60+60 の値で,設問の“現在のコスト効率が今後も続く”という条件には合わない。アの 110 とウの 135 は,いずれの EAC の式からも出てこない。
EVM:完成時総コスト見積り(EAC)
5 日目の終わりで BAC 100,PV 50,EV 40,AC 60(万円)。コスト効率 CPI=EV÷AC=40÷60=2/3。この効率が今後も続くなら EAC=BAC÷CPI=100÷(2/3)=150 万円。残りは予算どおりと仮定するなら AC+(BAC−EV)=120 万円になる。
PV 50
AC 60
EV 40
5日目
10日
BAC 100
CPI=40÷60=2/3 → EAC=100÷(2/3)=150
「今の効率が続く」なら BAC÷CPI
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
ファンクションポイント法の説明として,適切なものはどれか。
ア 開発規模,難易度及び開発の特性による要因を考慮し,工数やコストを見積もる手法である。
イ 開発するすべてのプログラム・モジュールの行数を算定し,それを基にシステムの開発規模や所要資源を見積もる手法である。
ウ システム開発の工程を細かい作業に分割し,分割された個々の作業を詳細に見積もり,これを積み上げて,全体の開発規模や所要工数を見積もる手法である。
エ システムの外部仕様の情報からそのシステムの機能の量を算定し,それを基にシステムの開発規模を見積もる手法である。 正解
正解 エ
解説
ファンクションポイント法は,システムの外部仕様から,入力,出力,照会,内部ファイル,外部インタフェースなどの機能の量を算定し,それを基にシステムの開発規模を見積もる手法である。エが正しい。
アは,開発規模に,難易度や開発の特性による要因を考慮して工数やコストを見積もる COCOMO の説明。イは,プログラム・モジュールの行数を基に見積もる LOC 法(行数による見積り)。ウは,工程を細かい作業に分割して個々に見積もり,積み上げる積上げ法の説明である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
ソフトウェアの開発規模と開発工数の関係を表すグラフはどれか。
正解 エ
解説
ソフトウェアの開発規模が大きくなると,要員間のコミュニケーションや調整,インタフェースの確認などの作業が増えるので,開発工数は規模に比例する以上の割合で増加する。COCOMO でも,開発工数は規模の1より大きいべき乗に比例するとしている。規模が大きくなるほど増え方が急になるエが適切である。
ウは規模が大きくなるほど工数の増え方が緩やかになるので,規模の効果が逆になっている。ア,イは途中で増え方が緩やかになる部分があり,開発規模と開発工数の一般的な関係を表していない。
開発規模と工数・生産性
規模が大きくなると,人どうしの調整やインタフェースの確認が増えるので,工数は規模に比例する以上に増える(COCOMO:工数=a×規模^b,b>1)。そのため生産性(規模÷工数)は規模が大きいほど下がり,下がり方は初めが急で次第に緩やかになる。
規模
工数
規模
生産性
規模以上の割合で増える
規模が大きいほど下がる
例:E=5.2L^0.98,L=10 → E≒49.7,生産性≒0.2
工数は規模以上に増え,生産性は下がる
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
プレゼンテーションの目的に合ったグラフの使い方の記述のうち,適切なものはどれか。
ア Z グラフを利用して,一定期間の売上実績や業績傾向を表示する。 正解
イ 円グラフを利用して,作業予定に対する実際の進捗の度合いを表示する。
ウ 折れ線グラフを利用して,複数の評価項目に基づく製品の機能の優劣を表示する。
エ 散布図を利用して,製品に対する各社の市場占有率を表示する。
正解 ア
解説
Z グラフは,月ごとの値と,その累計,移動年計(直近 12 か月の合計)の三つの折れ線を一つのグラフに表したもので,一定期間の売上実績や業績の傾向を見るのに使う。アが適切である。
イの円グラフは,全体に占める構成比を表すもので,作業予定に対する進捗の度合いは,ガントチャートなどで表す。ウの折れ線グラフは時間の推移を表すもので,複数の評価項目に基づく優劣は,レーダチャートなどで表す。エの散布図は二つの量の相関を見るもので,各社の市場占有率(構成比)は円グラフなどで表す。
グラフの使い分け
2つの量の相関を見るのは散布図。時間に沿った推移は折れ線グラフや棒グラフ,全体に占める内訳(構成比)は円グラフや帯グラフ,複数の指標を並べて比べるのはレーダチャート。
散布図
2つの量の相関
折れ線
時間の推移
円・帯
内訳・構成比
レーダ
複数の指標の比較
乗降客数と来客数のように2つの量の関係は散布図
相関は散布図,推移は折れ線,構成比は円・帯,複数の指標はレーダ
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
データ管理者(DA)とデータベース管理者(DBA)を別々に任命した場合の DA の役割として,適切なものはどれか。
ア 業務データ量の増加傾向を把握し,ディスク装置の増設などを計画して実施する。
イ システム開発の設計工程では,主に論理データベース設計を行い,データ項目を管理し標準化する。 正解
ウ システム開発のテスト工程では,主にパフォーマンスチューニングを担当する。
エ システム障害が発生した場合には,データの復旧や整合性のチェックなどを行う。
正解 イ
解説
DA(データ管理者)は,組織全体のデータを資源として捉え,データ項目の標準化や論理データベース設計といった“データそのもの”の管理を担う。
ア・ウ・エはいずれも DBA(データベース管理者)の役割で,容量の管理,性能チューニング,障害時の復旧など,DBMS の運用に関わる業務。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
システムの移行方式のうち,パイロット移行方式について説明したものはどれか。
ア 機能的に閉じたサブシステム単位に,短期間で順次移行していくので,運用部門の負荷が少なく,問題が発生しても当該サブシステム内に抑えることができる。
イ 限定した部門で新システムを導入・観察した後にほかの全部門を移行するので,移行に関する問題が発生しても影響範囲を局所化できる。 正解
ウ 新・旧両システム分のリソースを用意し,並行稼働させるので,新システムで問題が発生しても業務への影響を最小にできる。
エ ほかの移行方式に比べると移行期間は短くできるが,事前に全部門との間で詳細な計画を立てるとともに,新システムに高い信頼性が要求される。
正解 イ
解説
パイロット移行方式は,特定の部門や拠点など限定した範囲で先に新システムを導入し,稼働状況を観察して問題がないことを確かめた後に,ほかの全部門を移行する方式である。問題が発生しても影響範囲を局所化できる。イが正しい。
アのサブシステム単位に順次移行するのは段階移行方式。ウの新旧両システムを並行稼働させるのは並行移行方式。エの移行期間は短いが詳細な計画と新システムの高い信頼性が求められるのは,全部門を一度に移行する一斉移行方式の説明である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
ITIL において,問題管理でエラーの根本原因を識別した後に RFC を出す対象となるプロセスはどれか。
ア インシデント管理
イ 可用性管理
ウ 構成管理
エ 変更管理 正解
正解 エ
解説
ITIL では,問題管理でエラーの根本原因を識別し,解決のためにサービスやシステムの変更が必要になった場合,変更要求(RFC)を変更管理プロセスに提出する。変更管理では,RFC を評価して承認し,変更の実施を管理する。エが正しい。
アのインシデント管理は,サービスを速やかに復旧させるプロセス。イの可用性管理は,サービスの可用性を目標どおりに維持するプロセス。ウの構成管理は,構成アイテムの情報を管理するプロセスで,いずれも RFC を受け付けて変更を管理するものではない。
障害が起きてから本格的に直るまで
インシデント管理はサービスをできるだけ早く元に戻し,原因が分からなくても再起動や回避策で戻ればよしとする。問題管理は根本原因を突き止め,原因と回避策を既知の誤りとして記録してインシデント管理に渡す。恒久的な解決策は変更要求(RFC)として変更管理に出され,リリース管理を経て本番に展開される。
インシデント管理
早く元に戻す
問題管理
根本原因を探す
変更管理
変更を評価・承認
リリース管理
本番に展開
RFC
既知の誤り・回避策
時間をかけずに戻す
時間をかけてでも再発を防ぐ
原因を調べるのはインシデント管理ではなく問題管理
既知の誤り(原因と回避策)の情報は,問題管理からインシデント管理へ渡る
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
システム運用業務(オペレーション)に関するシステム監査証跡はどれか。
ア アプリケーションプログラムの仕様書
イ 原始帳票の入力チェックを行うためのプルーフリストを出力するプログラム
ウ 出力情報のエラー状況に関する記録 正解
エ プログラムの運用上のパフォーマンスに関するテスト結果
正解 ウ
解説
システム運用業務に関する監査証跡は,運用の実施の事実を示す記録である。出力情報のエラー状況に関する記録は,運用業務の実施状況を示す証跡で,ウが該当する。
アのアプリケーションプログラムの仕様書とエのパフォーマンスに関するテスト結果は,システム開発の工程で作成される資料である。イの原始帳票の入力チェックを行うためのプルーフリストを出力するプログラムは,データの入力に関する統制の手段で,運用業務の実施記録ではない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
システム監査人が行った監査業務の実施記録であり,監査意見表明の根拠となるべき監査証拠,その他関連資料などをまとめたものはどれか。
ア 監査チェックリスト
イ 監査調書 正解
ウ 監査手続書
エ 監査報告書
正解 イ
解説
監査調書は,システム監査人が行った監査業務の実施記録で,監査意見を表明する根拠となる監査証拠や,その他の関連資料をまとめたものである。イが正しい。
アの監査チェックリストは,監査で確認する項目を一覧にしたもの。ウの監査手続書は,監査の手順を具体的に記述したもの。エの監査報告書は,監査の結果として監査意見や改善提言を記載して監査の依頼者などに報告する文書である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
営業債権管理業務に関する内部統制のうち,適切なものはどれか。
ア 売掛金回収条件の設定は,営業部門ではなく,審査部門が行っている。 正解
イ 売掛金の消込み入力と承認処理は,販売を担当した営業部門が行っている。
ウ 顧客ごとの与信限度の決定は,審査部門ではなく,営業部門の責任者が行っている。
エ 値引き・割戻し処理は,取引先の実態を熟知している営業部門の担当者が行っている。
正解 ア
解説
内部統制では,不正や誤りを防ぐために,業務を担当する部門と,その業務を牽制する部門の職務を分離することが重要である。売掛金の回収条件を,販売を担当する営業部門ではなく審査部門が設定していれば,営業部門が売上を優先して不利な条件で取引することを牽制できる。アが適切である。
イの消込み入力と承認処理,ウの与信限度の決定,エの値引きや割戻しの処理を,いずれも取引を担当する営業部門が自ら行っていると,担当者による不正や誤りを他の部門が発見できず,職務の分離がなされていない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
エンタープライズアーキテクチャを構成するアプリケーションアーキテクチャについて説明したものはどれか。
ア 業務に必要なデータの内容,データ間の関連や構造などを体系的に示したもの
イ 業務プロセスを支援するシステムの機能や構成などを体系的に示したもの 正解
ウ 情報システムの構築・運用に必要な技術的構成要素を体系的に示したもの
エ ビジネス戦略に必要な業務プロセスや情報の流れを体系的に示したもの
正解 イ
解説
エンタープライズアーキテクチャは,ビジネス,データ,アプリケーション,テクノロジの四つの体系から成る。アプリケーションアーキテクチャは,業務プロセスを支援するシステムの機能や構成などを体系的に示したものである。イが正しい。
アの業務に必要なデータの内容や関連を示すのはデータアーキテクチャ,ウの技術的構成要素を示すのはテクノロジアーキテクチャ,エのビジネス戦略に必要な業務プロセスや情報の流れを示すのはビジネスアーキテクチャの説明である。
エンタープライズアーキテクチャ(EA)の4つの体系
EA は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネス(政策・業務体系),データ(データ体系),アプリケーション(適用処理体系),テクノロジ(技術体系)の4つの体系で整理する。それぞれの現状(As-Is)と理想(To-Be)を描き,その差を埋める移行計画で全体最適を図る。
現状(As-Is)
理想(To-Be)
ビジネス
政策・業務体系
データ
データ体系
アプリケーション
適用処理体系
テクノロジ
技術体系
差を埋める移行計画
4つの体系ごとに現状と理想を描き,移行計画を立てる
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
エンタープライズアーキテクチャを構成する四つの体系のうち,ビジネスアーキテクチャを策定する場合の成果物はどれか。
ア 業務流れ図 正解
イ 実体関連ダイアグラム
ウ 情報システム関連図
エ ソフトウェア構成図
正解 ア
解説
エンタープライズアーキテクチャは,ビジネスアーキテクチャ(政策・業務体系),データアーキテクチャ(データ体系),アプリケーションアーキテクチャ(適用処理体系),テクノロジアーキテクチャ(技術体系)の四つの体系で構成される。ビジネスアーキテクチャでは業務の内容や流れを整理するので,成果物は業務流れ図になる。アが正しい。
イの実体関連ダイアグラムはデータアーキテクチャ,ウの情報システム関連図はアプリケーションアーキテクチャ,エのソフトウェア構成図はテクノロジアーキテクチャの成果物である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
情報戦略の立案時に,必ず整合性をとるべき対象はどれか。
ア 新しく登場した情報技術
イ 基幹システムの改修計画
ウ 情報システム部門の年度計画
エ 中長期の経営計画 正解
正解 エ
解説
情報戦略は,経営戦略を実現するために情報システムをどう活用するかを定めるものなので,立案時には,必ず中長期の経営計画との整合性をとる必要がある。エが正しい。
アの新しく登場した情報技術は,戦略に取り入れるかどうかを検討する材料で,整合性をとる対象ではない。イの基幹システムの改修計画とウの情報システム部門の年度計画は,情報戦略から導かれる下位の計画で,戦略を立てる際に整合性をとる相手ではない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
“システム管理基準”によれば,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にする計画はどれか。
ア 開発計画
イ 事業継続計画
ウ 全体最適化計画 正解
エ 年間運用計画
正解 ウ
解説
システム管理基準では,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にし,情報システムの全体最適化を図るための計画を全体最適化計画としている。個々の開発計画は,この全体最適化計画に基づいて策定する。ウが正しい。
アの開発計画は個別の情報システムの開発に関する計画,イの事業継続計画は災害や事故の際に重要な業務を継続・復旧するための計画,エの年間運用計画は情報システムの運用を年度単位で計画するもので,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にするものではない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
ソフトウェアライフサイクルを,企画,要件定義,開発,運用,保守のプロセスに区分したとき,企画プロセスの目的はどれか。
ア 新しい業務のあり方や運用をまとめた上で,業務上実現すべき要件を明らかにすること
イ 事業の目的,目標を達成するために必要なシステムに関係する要求事項の集合とシステム化の方針,及びシステムを実現するための実施計画を得ること 正解
ウ システムに関する要件について技術的に実現可能であるかどうかを検証し,システム設計が可能な技術要件に変換すること
エ システムの仕様を明確化し,それを基に IT 化範囲とその機能を具体的に明示すること
正解 イ
解説
共通フレーム 2007 では,企画プロセスの目的を,経営・事業の目的,目標を達成するために必要なシステムに関係する要求事項の集合とシステム化の方針,及びシステムを実現するための実施計画を得ることとしている。イが正しい。
アの新しい業務のあり方や運用をまとめた上で業務上実現すべき要件を明らかにするのは,要件定義プロセスで行う業務要件の定義。エのシステムの仕様を明確化し,IT 化範囲とその機能を具体的に明示するのは,要件定義プロセスの目的。ウの要件を技術的に実現可能かどうかを検証し,システム設計が可能な技術要件に変換するのは,開発プロセスの目的に当たる。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
CSR の説明として,適切なものはどれか。
ア 企業が製品やサービスを販売する場合は,環境負荷ができるだけ小さいものにする。
イ 企業が法律,規則などのルールに従って活動する。
ウ 企業が自ら業務の適正を確保するための体制を構築していく。
エ 企業は組織の決定や活動が社会や環境に及ぼす影響に責任をもつ。 正解
正解 エ
解説
CSR(企業の社会的責任)は,企業が,組織の決定や活動が社会や環境に及ぼす影響に責任をもち,利害関係者の期待に応えながら,社会の持続可能な発展に貢献することをいう。エが適切である。
アの環境負荷をできるだけ小さくするのは,環境への配慮という CSR の一つの側面にすぎない。イの法律や規則などのルールに従って活動するのはコンプライアンス(法令遵守)。ウの自ら業務の適正を確保するための体制を構築するのは内部統制の説明である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
RFI を説明したものはどれか。
ア サービス提供者と顧客との間で,提供するサービスの内容,品質などに関する保証範囲やペナルティについてあらかじめ契約としてまとめた文書
イ システムの調達に際して,調達側から技術的要件やサービスレベル要件を提示し,ベンダに対して,指定した期限内で効果的な実現策の提案を依頼する文書
ウ ユーザ要件を実現するために,現在の状況において利用可能な技術・製品,ベンダにおける導入実績など実現手段に関する情報提供をベンダに依頼する文書 正解
エ 要求定義との整合性を図り,ユーザと開発要員及び運用要員の共有物とするために,業務処理の概要,入出力情報の一覧,データフローなどをまとめた文書
正解 ウ
解説
RFI(Request For Information:情報提供依頼書)は,システム化を検討する初期の段階で,利用可能な技術や製品,導入実績などの情報の提供をベンダに依頼する文書である。集めた情報を基に要件を固め,その後に提案を求める。ウが正しい。
アはサービスの内容や品質の保証範囲,ペナルティを取り決める SLA(サービスレベル合意書)。イは要件を提示して期限内に実現策の提案を依頼する RFP(提案依頼書)。エは業務処理の概要や入出力情報,データフローをまとめ,ユーザと開発・運用の要員が共有する設計書(外部設計書など)の説明である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
“システム管理基準”によれば,調達の要求事項に含まれる運用業務の要員スキルはどれか。
ア 業務と情報システムのあるべき姿を明確にし,情報システムの設計ができる。
イ 情報システムに対する変更要求を理解し,対応事項の抽出ができる。
ウ 情報処理全体の体系を理解し,障害などの異常処理に対する判断ができる。 正解
エ テスト環境の下で,現行情報システムのプログラムやデータの変更ができる。
正解 ウ
解説
運用業務を行う要員には,情報処理全体の体系を理解した上で,障害などの異常が起きたときに,その処理を判断できるスキルが求められる。ウが該当する。
アの業務と情報システムのあるべき姿を明確にして情報システムを設計するスキルは,企画や設計を担当する要員に求められるもの。イの変更要求を理解して対応事項を抽出するスキルと,エのテスト環境の下で現行情報システムのプログラムやデータを変更するスキルは,保守業務の要員に求められるものである。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)における“花形”を説明したものはどれか。
ア 市場成長率,市場占有率ともに高い製品である。成長に伴う投資も必要とするので,資金創出効果は大きいとは限らない。 正解
イ 市場成長率,市場占有率ともに低い製品である。資金創出効果は小さく,資金流出量も少ない。
ウ 市場成長率は高いが,市場占有率が低い製品である。長期的な将来性を見込むことはできるが,資金創出効果の大きさは分からない。
エ 市場成長率は低いが,市場占有率は高い製品である。資金創出効果が大きく,企業の支柱となる資金源である。
正解 ア
解説
PPM の“花形”は,市場成長率も市場占有率もともに高い製品。売上が大きく資金を多く生む一方で,成長する市場で地位を保つための投資も多く必要になるので,差引きの資金創出効果は大きいとは限らない。アが正しい。
イは市場成長率・占有率がともに低い“負け犬”。ウは成長率は高いが占有率が低い“問題児”。エは成長率は低いが占有率が高い“金のなる木”の説明である。
PPM の4つの区分
縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェア(左が高い)をとる。成長率もシェアも高い花形,成長率が高くシェアが低い問題児,成長率が低くシェアが高い金のなる木,どちらも低い負け犬に分ける。金のなる木が生んだ資金を,花形や問題児に回す。
花形
成長に合わせた投資も要る
問題児
シェアを取るには投資が要る
金のなる木
投資が少なく資金を生む
負け犬
撤退を考える
高
低
成長率
市場
高
低
相対的市場シェア
金のなる木の資金を,花形と問題児へ回す
金のなる木が生む資金を,花形と問題児に回す
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
デルファイ法を説明したものはどれか。
ア 会議の参加者に自由にアイディアを出させ,出されたアイディアに批判や評価を加えないようにする。
イ 将来にわたる意思決定の各段階を樹木構造で示した図に基づいて,最適な意思決定の経路を求める。
ウ 専門家にアンケートを何度か繰り返し,その結果をフィードバックして意見を収束させる。 正解
エ 予測項目間の影響を定量化してマトリックスを使って示し,予測項目間の波及効果をシミュレーションして定量的に示す。
正解 ウ
解説
デルファイ法は,複数の専門家にアンケートを行い,その集計結果をフィードバックして再びアンケートに答えてもらうことを何度か繰り返し,意見を収束させて将来を予測する手法である。ウが正しい。
アの参加者に自由にアイディアを出させ,批判や評価を加えないのはブレーンストーミング。イの意思決定の各段階を樹木構造で示して最適な経路を求めるのはデシジョンツリー(決定木)。エの予測項目間の影響をマトリックスで示し,波及効果をシミュレーションするのはクロスインパクト分析の説明である。
デルファイ法の進め方
複数の専門家に匿名でアンケートを行い,集計した結果を回答者に返して,同じ質問にもう一度答えてもらう。これを繰り返すと,ばらばらだった予測が収束していく。専門家どうしを直接議論させないので,声の大きい人に引っ張られにくい。
専門家
専門家
専門家
専門家
匿名で別々に回答
集計する
集計結果を返して,答え直してもらう
回数を重ねると予測の幅が狭まる
1回目
2回目
3回目
直接議論させず,集計を返して答え直してもらうことを繰り返す
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
ラディカルイノベーションの説明として,適切なものはどれか。
ア 革新的な新製品を開発するといった,製品そのものに関する技術革新である。
イ 既存製品の細かな部分改良を積み重ねる技術革新である。
ウ 経営構造の全面的な変革を必要とする技術革新である。 正解
エ 研究開発過程,製造工程,及び物流過程の技術革新である。
正解 ウ
解説
ラディカルイノベーションは,既存の技術や事業の延長線上にない,根本的に新しい技術革新で,これを取り込むには組織や事業の仕組みなど経営構造の全面的な変革を必要とする。ウが適切である。
イの既存製品の細かな部分改良を積み重ねるのはインクリメンタルイノベーション。アの製品そのものに関する技術革新はプロダクトイノベーション。エの研究開発過程,製造工程,物流過程などの技術革新はプロセスイノベーションの説明である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
電子自治体において,G to B に該当するものはどれか。
ア 自治体内で電子決裁や電子公文書管理を行う。
イ 自治体の利用する物品や資材の電子調達,電子入札を行う。 正解
ウ 住民基本台帳ネットワークによって,自治体間で住民票データを送受信する。
エ 住民票や戸籍謄本,婚姻届,パスポートなどを電子申請する。
正解 イ
解説
電子自治体の G to B(Government to Business)は,自治体(Government)と企業(Business)との間の取引で,自治体の利用する物品や資材の電子調達,電子入札がこれに当たる。イが正しい。
アの自治体内での電子決裁や電子公文書管理は,自治体内部の業務の電子化。ウの住民基本台帳ネットワークで自治体間で住民票データを送受信するのは,政府・自治体間の G to G。エの住民票や戸籍謄本,婚姻届,パスポートなどの電子申請は,住民(Citizen)が行うので G to C である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
セル生産方式の利点が生かせる対象はどれか。
ア 生産性を上げるために,大量生産が必要なもの
イ 製品の仕様が長期間変わらないもの
ウ 多種類かつフレキシブルな生産が求められるもの 正解
エ 標準化,単純化,専門化による分業が必要なもの
正解 ウ
解説
セル生産方式は,1人又は少人数の作業者が,部品の取付けから組立て,検査までの複数の工程を受け持って製品を完成させる生産方式である。作業者の組合せや作業内容を柔軟に変えられるので,多品種少量で需要の変化に応じたフレキシブルな生産が求められるものに向いている。ウが正しい。
アの大量生産,イの長期間仕様が変わらない製品,エの標準化,単純化,専門化による分業は,作業を細かく分けて流れ作業で行うライン生産方式が利点を生かせる対象である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
ディジタルテレビ,DVD レコーダなどで使われている,音声や映像を転送するインタフェースの規格の説明のうち,適切なものはどれか。
ア D 端子は,ディジタル映像信号に直接対応した規格である。
イ HDMI は,音声と映像を合わせて送受信する規格である。 正解
ウ IEEE 1394 は,PC を介して映像などを送受信する規格である。
エ S 端子は,コンポーネント映像信号に対応した規格である。
正解 イ
解説
HDMI(High-Definition Multimedia Interface)は,ディジタルテレビや DVD レコーダなどで,音声と映像を一本のケーブルで合わせて送受信する規格である。イが適切である。
アの D 端子は,コンポーネント映像信号をアナログで伝送する規格で,ディジタル映像信号に直接対応したものではない。ウの IEEE 1394 は,PC を介さずに,ディジタルビデオカメラなどの AV 機器を直接接続して送受信することもできる規格で,PC を介することが特徴ではない。エの S 端子は,輝度信号と色信号を分離して伝送する規格で,コンポーネント映像信号に対応するのは D 端子である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
横軸にロットの不良率,縦軸にロットの合格確率をとり,抜取検査でのロットの品質とその合格確率との関係を表したものはどれか。
ア OC 曲線 正解
イ バスタブ曲線
ウ ポアソン分布
エ ワイブル分布
正解 ア
解説
OC 曲線(検査特性曲線)は,横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとり,ロットの品質と合格率の関係を表した曲線である。抜取検査の方式(サンプル数や合格判定個数)がどの程度の品質のロットを合格させるかを評価するのに使う。アが正しい。
イのバスタブ曲線は,時間の経過に対する故障率の変化(初期故障期,偶発故障期,摩耗故障期)を表す曲線。ウのポアソン分布は,一定時間内などに稀な事象が起きる回数の確率分布。エのワイブル分布は,寿命や故障までの時間の分布を表すのに使われる確率分布である。
OC 曲線(検査特性曲線)
横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとった曲線。不良率が低い良いロット(p0)でも合格率は1にならず,不合格になる確率 α が生産者危険。不良率が高い悪いロット(p1)でも合格する確率 β が消費者危険。
ロットの不良率
合格率
1
p0
p1
α 生産者危険
良いロットが落ちる
β 消費者危険
悪いロットが通る
良いロットを落とすのが生産者危険 α,悪いロットを通すのが消費者危険 β
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
ROE を求める次の式の,a に入るものはどれか。
正解 ア
解説
ROE(自己資本利益率)は,株主が出資した資本(自己資本)を使って,どれだけの当期純利益を上げたかを表す指標で,当期純利益÷自己資本×100 で求める。アが正しい。
ウの総資本で割るのは総資本利益率(ROA)。イの資本金と,エの他人資本(負債)は,株主の持分全体を表すものではないので,ROE の分母にならない。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
表の条件で喫茶店を開業したい。月10万円の利益を出すためには,1客席当たり1日何人の客が必要か。
正解 エ
解説
客1人当たりの利益への貢献(限界利益)は,売上高 500円から変動費 100円を引いた 400円である。月10万円の利益を出すには,固定費 300,000円と目標利益 100,000円の合計 400,000円を限界利益で賄う必要があるので,1か月に 400,000÷400=1,000人の客が必要になる。
1か月の営業日数は20日,客席数は10席なので,1客席当たり1日 1,000÷(20×10)=5人となり,エが正しい。目標利益を含めずに固定費だけで計算すると 3.75人(ア)になる。
損益分岐点図表
横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。
売上高
金額
固定費
総費用
売上高
損益分岐点
損益分岐点売上高
利益
損失
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
利用権限をもたない第三者が,他人の ID やパスワードを使ってネットワークに接続されたコンピュータを利用可能にする行為及びその助長行為を処罰の対象にしている法律はどれか。
ア 刑法
イ 通信傍受法
ウ 電気通信事業法
エ 不正アクセス禁止法 正解
正解 エ
解説
不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)は,利用権限をもたない者が,他人の ID やパスワード(識別符号)を入力して,ネットワークに接続されたコンピュータを利用可能にする不正アクセス行為と,他人の識別符号を無断で第三者に提供するなどの助長行為を処罰の対象としている。エが正しい。
アの刑法は,電子計算機損壊等業務妨害罪や電磁的記録不正作出罪などを定めるが,他人の ID やパスワードを使ってコンピュータを利用可能にすること自体を処罰の対象とはしていない。イの通信傍受法は,犯罪捜査のための通信の傍受の手続を定めた法律。ウの電気通信事業法は,電気通信事業の運営や通信の秘密の保護などを定めた法律である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
A 社は B 社に対して業務システムの開発を委託し,A 社と B 社は請負契約を結んでいる。作業の実態から,偽装請負とされる事象はどれか。
ア A 社の従業員が,B 社を作業場所として,A 社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っている。
イ A 社の従業員が,B 社を作業場所として,B 社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っている。
ウ B 社の従業員が,A 社を作業場所として,A 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成している。 正解
エ B 社の従業員が,A 社を作業場所として,B 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成している。
正解 ウ
解説
偽装請負は,請負契約の形をとりながら,実態は発注者が請負業者の従業員に直接指揮命令をしている状態をいう。請負では,請負業者が自らの責任者の指揮命令で仕事を完成させるのが原則である。B 社の従業員が A 社を作業場所とし,A 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成しているウは,実態が労働者派遣に当たるので,偽装請負とされる。
アは,A 社の従業員を A 社の責任者が指揮しており,自社の従業員の通常の管理である。イは,A 社の従業員が B 社の責任者の指揮命令に従っており,請負業者である B 社の従業員が発注者である A 社に指揮されるという偽装請負の形ではない。エは,B 社の従業員が B 社の責任者の指揮命令に従っており,作業場所が A 社でも,請負として適切な形である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
日本工業標準調査会を説明したものはどれか。
ア 経済産業省に設置されている審議会で,工業標準化法に基づいて工業標準化に関する調査・審議を行っており,特に JIS の制定,改正などに関する審議を行っている。 正解
イ 電気機械器具・材料などの標準化に関する事項を調査審議し,JEC 規格の制定及び普及の事業を行っている。
ウ 電気・電子技術に関する非営利の団体であり,主な活動内容としては,学会活動,書籍の発行,IEEE で始まる規格の標準化を行っている。
エ 電子情報技術産業の総合的な発展に資することを目的とした団体であり,JEITA で始まる規格の制定及び普及の事業を行っている。
正解 ア
解説
日本工業標準調査会(JISC)は,工業標準化法に基づいて経済産業省に置かれた審議会で,JIS(日本工業規格)の制定や改正などを審議している。アが正しい。
イは JEC 規格を定める電気学会の電気規格調査会,ウは IEEE(米国電気電子学会),エは電子情報技術産業協会(JEITA)の説明である。
出典:平成21年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
平成21年度 秋期
平成21年度 春期
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