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応用情報技術者試験

平成27年度 秋期 科目A(午前)

平成27年度 秋期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

0以上255以下の整数 n に対して,next(n) を次のように定義する。next(n) と等しい式はどれか。ここで,x AND y 及び x OR y は,それぞれ x と y を2進表現にして,桁ごとの論理積及び論理和をとったものとする。

next(n) の定義。0≦n<255 のとき n+1,n=255 のとき 0。

正解 ア

解説

255 は2進数で 11111111(下位8ビットがすべて1)。したがって「AND 255」は下位8ビットだけを残す操作になる。

n が0〜254のときは n+1 が1〜255なので8ビットに収まり,AND 255 をとっても値は変わらず n+1 のまま。n=255 のときは n+1=256=100000000 となり,AND 255 で下位8ビットだけを残すと 0 になる。これは定義どおりの動きなのでアが正しい。

イの AND 256 は9ビット目だけを残すので常に0か256になる。ウとエの OR はビットを立てる操作なので,値が n+1 に一致しない。

AND 255 で下位8ビットだけを残す 255 は2進数で 11111111 なので,AND 255 は下位8ビットだけを残す。n が 0〜254 なら n+1 は8ビットに収まり値は変わらない。n=255 のときは n+1=256=1 0000 0000 で,下位8ビットを残すと 0 になる。これは next(n) の定義どおり。 n+1(2進) AND 1111 1111 結果 n=254 → 255 0 1111 1111 1111 1111 255 n=255 → 256 1 0000 0000 0000 0000 0 9 ビット目(256)は AND 255 で消える AND 256 は 9 ビット目だけ,OR はビットを立てるので違う
(n+1) AND 255 は 255 の次で 0 に戻る

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

集合 A,B,C に対して A∪B∪C が空集合であるとき,包含関係として適切なものはどれか。ここで,∪ は和集合を,∩ は積集合を,X は X の補集合を,また,X⊆Y は X が Y の部分集合であることを表す。

正解 エ

解説

A∪B∪C の補集合が空集合ということは,A∪B∪C が全体集合に等しいということ。つまりどの要素も A,B,C の少なくとも一つには属する。言い換えると,A にも B にも属さない要素は必ず C に属するので,(A∩B)⊆C が成り立つ。エが正しい。

ア・イ・ウの左辺は,A か B のどちらかには属する要素の集合なので,C に含まれる保証はない。例えば A と B の両方に属して C には属さない要素があっても,A∪B∪C は全体集合になり得るので,アの (A∩B)⊆C は必ずしも成り立たない。イの (A∩B) とウの (A∩B) についても同じことがいえる。

A∪B∪C が全体になるとき A∪B∪C の補集合が空集合なら,どの要素も A・B・C の少なくとも1つに入る。だから A にも B にも入らない部分(Ā∩B̄,塗った部分)は,必ず C に入る。よって (Ā∩B̄)⊆C が成り立つ。 A B S A∩B ここは C に 入るしかない (A∩B) ⊆ C
A にも B にも入らない要素は,C に入るしかない

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

3台の機械 A,B,C が良品を製造する確率は,それぞれ60%,70%,80%である。機械 A,B,C が製品を一つずつ製造したとき,いずれか二つの製品が良品で残り一つが不良品になる確率は何%か。

正解 ウ

解説

いずれか二つが良品で残り一つが不良品になるのは三通りで,A と B が良品で C が不良品なら 0.6×0.7×0.2=0.084,A と C が良品で B が不良品なら 0.6×0.8×0.3=0.144,B と C が良品で A が不良品なら 0.4×0.7×0.8=0.224 である。互いに排反なので合計は 0.084+0.144+0.224=0.452,すなわち 45.2%になり,ウが正しい。

アの 22.4 は三通りのうち最後の一通りだけ,イの 36.8 は 0.084 の一通りを落とした値である。エの 78.8 は,三つとも良品になる確率 0.6×0.7×0.8=0.336 を加えた,少なくとも二つが良品になる確率である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

図のように16ビットのデータを 4×4 の正方形状に並べ,行と列にパリティビットを付加することによって何ビットまでの誤りを訂正できるか。ここで,図の網掛け部分はパリティビットを表す。

16ビットのデータを4行4列に並べ,各行の右端と各列の下端にパリティビットを付けた図。データは1行目が1,0,0,0で行パリティが1。2行目が0,1,1,0で行パリティが0。3行目が0,0,1,0で行パリティが1。4行目が1,1,0,1で行パリティが1。列パリティは左から0,0,0,1。

正解 ア

解説

行と列にパリティビットを付けた水平垂直パリティでは,1ビットの誤りが起きると,その誤りを含む行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなる。合わない行と列の交点が誤りの位置なので,特定して反転すれば訂正できる。訂正できるのは1ビットまでで,アが正しい。

2ビットの誤りが同じ行や同じ列に並ぶと,その行(列)のパリティは偶数個の反転で元に戻ってしまい,誤りがあることすら分からなくなる。離れた位置の2ビットなら合わない行と列が2つずつ出るが,どの組合せが誤りかを決められないので,やはり訂正はできない。

水平垂直パリティで1ビットの誤りを見つける 4×4 のデータに行ごと・列ごとのパリティ(1の数を偶数にするビット)を付ける。1ビットが反転すると,その行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなるので,合わない行と列の交点が誤りの位置と分かり,反転して訂正できる。2ビットの誤りは,位置を決められないので訂正できない。 1 0 0 0 1 0 1 0 0 0 ← 合わない 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 0 0 0 1 ↑ 合わない 列のパリティ パリティ
合わない行と合わない列の交わるところが誤り。訂正できるのは1ビットまで

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

キーが小文字のアルファベット1文字(a,b,…,z のいずれか)であるデータを,大きさが10のハッシュ表に格納する。ハッシュ関数として,アルファベットの ASCII コードを10進表記法で表したときの1の位の数を用いることにする。衝突が起こるキーの組合せはどれか。ASCII コードでは,昇順に連続した2進数が,アルファベット順にコードとして割り当てられている。

正解 エ

解説

ASCII では a が10進で97,以降 b が98,c が99……とアルファベット順に1ずつ増える。1の位が同じになる組合せを探すと,d は 97+3=100 で1の位が0,x は 97+23=120 で1の位が0となり一致する。したがって d と x が衝突する。エが正しい。

アの a は7,i は 97+8=105 で5。イの b は8,r は 97+17=114 で4。ウの c は9,l は 97+11=108 で8。いずれも1の位が異なるので衝突しない。

ASCII コードの1の位で決まる格納位置 a は 10進で 97 で,b,c,…と1ずつ増える。1の位で箱を決めると,d(100)と x(120)はどちらも 0 の箱に入って衝突する。a(97)は 7,i(105)は 5,b(98)は 8,r(114)は 4,c(99)は 9,l(108)は 8 で,ほかの組は1の位がそろわない。 d x 0 1 2 3 r 4 i 5 6 a 7 b l 8 c 9 衝突 d = 97 + 3 = 100,x = 97 + 23 = 120 → どちらも 0 a 97→7 i 105→5 b 98→8 r 114→4 c 99→9 l 108→8 箱の下の数字が1の位(格納位置)
1の位が同じ ⇔ ASCII コードの差が 10 の倍数(d と x の差は 20)

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

次に示すユークリッドの互除法(方法1,方法2)で,正の整数 a,b の最大公約数は,それぞれ m と n のどちらの変数に求まるか。ここで,m mod n は,m を n で割った余りを表す。

ユークリッドの互除法の流れ図。方法1は,開始,a→m,b→n,m mod n→r,ループ1(終了条件 r=0),n→m,r→n,m mod n→r,ループ1の端,終了の順。方法2は,開始,a→m,b→n,ループ2(開始),m mod n→r,n→m,r→n,ループ2(終了条件 r=0),終了の順。

正解 ウ

解説

方法1 は,先に r=m mod n を求め,r=0 でなければ n→m,r→n と進めて m mod n を r に求め直すことを,r=0 になるまで繰り返す。r=0 になったとき,直前の余りで割り切れた数である n が最大公約数になる。方法2 は,ループ内で m mod n→r,n→m,r→n を実行してから r=0 かどうかを調べる。r=0 になった時点の n は 0 で,直前に n→m で移した値が m に残っているので,最大公約数は m に求まる。方法1 が n,方法2 が m で,ウが正しい。

ア・イ・エは,方法1 と方法2 のどちらか,又は両方を取り違えた組合せである。方法1 のループは r=0 を先に調べてから n→m,r→n を行うので最後の n が答えになり,方法2 は r→n を行ってから r=0 を調べるので,r=0 のときの n は 0 になって答えは m に残る。判定の位置の違いが,答えの入る変数を変えている。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

JavaBeans を利用してソフトウェア開発を行うメリットとして,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

JavaBeans は,Java で部品(コンポーネント)を作るための仕様で,プロパティやメソッド,イベントの定義の仕方を決めておくことで,開発ツール上で部品として組み合わせたり,別のプログラムで再利用したりしやすくしている。コンポーネントを容易に再利用できる点が開発のメリットで,イが正しい。

アの HTML 文書の動的生成は,サーブレットや JSP などが担う。ウの分散トランザクション処理は,EJB(Enterprise JavaBeans)などのサーバ側のコンポーネントの機能で,JavaBeans そのものの機能ではない。エのメッセージングによる非同期通信は JMS などの機能である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

CPU のパイプライン処理を有効に機能させるプログラミング方法はどれか。ここで,CPU は命令の読込みとデータのアクセスを分離したアーキテクチャとする。

正解 ウ

解説

パイプライン処理は,命令の取出しや解読,実行などを段階(ステージ)に分け,複数の命令を重ねて処理する方式である。分岐命令があると,次に実行する命令が分岐先に決まるまで,先に取り込んだ命令を捨てて取り込み直す必要があり,パイプラインの流れが乱れて性能が落ちる。したがって分岐命令を少なくするプログラミングが有効で,ウが正しい。

アの CASE 文や,イの関数の個数が多いこと(呼出しと復帰が分岐を伴う)は,いずれも分岐を増やすので逆効果である。エのメモリアクセス命令を少なくすることは,ここでは命令の読込みとデータのアクセスを分離したアーキテクチャなので,命令の読込みと競合せず,パイプラインの乱れの原因にならない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

複数のデータに対して1個の命令で同一の操作を同時並列に行う方式で,マルチメディアデータなどを扱う CPU に採用されているものはどれか。

正解 ウ

解説

SIMD(Single Instruction Multiple Data)は,1個の命令で複数のデータに同じ操作を同時に施す方式。画像や音声のように同じ処理を大量の要素へ繰り返し適用する場面で効率がよく,CPU のマルチメディア拡張命令に採用されている。ウが正しい。

アの MIMD は複数の命令流が複数のデータを扱う方式でマルチプロセッサが該当する。エの SISD は1命令1データの一般的な逐次処理。イの MISD は1つのデータに複数の命令流を適用する方式で,実用例はほとんどない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

MMU(Memory Management Unit)の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

MMU(メモリ管理ユニット)は,CPU が出力した仮想アドレス(論理アドレス)を,主記憶上の物理アドレスに変換するハードウェアである。仮想記憶方式のページング機構などで,ページテーブルを引いてアドレスの対応づけを行う。イが正しい。

アのページフォールトを受けて物理ページのスワップを行うのは,OS のメモリ管理の処理である。ウのキャッシュ制御機能とバス調整機能は,MMU の役割ではなく,OS の一部でもない。エの主記憶のデータの一部を保持して CPU と主記憶の速度差を吸収するのは,キャッシュメモリの説明である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

有機 EL ディスプレイの説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

有機 EL ディスプレイは,有機化合物の発光層に電圧をかけ,注入された電子と正孔が再結合するときのエネルギーで素子自体が発光する表示装置である。自発光なのでバックライトが不要で,薄型化しやすく,コントラストが高い。アが適切である。

イの電子ビームを蛍光体に当てて発光させるのは CRT(ブラウン管)ディスプレイ,ウのバックライトなどの光の透過量を液晶で制御するのは液晶ディスプレイ,エの放電で発生した紫外線で蛍光体を発光させるのはプラズマディスプレイの説明である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

クラスタリングシステムで,ノード障害が発生したときに信頼性を向上させる機能のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

クラスタリングシステムでは,あるノードに障害が起きると,そのノードをクラスタから切り離し,待機していた代替ノードでアプリケーションを引き継いで実行する。これをフェールオーバという。ウが正しい。

アのホットプラグは電源を入れたまま機器を抜き差しする機能で,アプリケーションの転送とは関係がない。イは代替ノードを再起動するとしているが,代替ノードは正常なので再起動は不要。エのフェールバックは,復旧した元のノードへ処理を戻すことを指し,障害発生時の動作ではない。

フェールオーバとフェールバック クラスタリングシステムで稼働中のノードに障害が起きると,そのノードを切り離し,待機していた代替ノードでアプリケーションを引き継いで実行する(フェールオーバ)。障害のノードが復旧したあとに処理を元のノードへ戻すのがフェールバック。代替ノードは正常なので再起動は要らない。 ① 障害が起きた ノード1 障害 ノード2 待機 フェールオーバ ② 復旧したあと ノード1 復旧 ノード2 稼働中 フェールバック フェールオーバ:障害のノードを切り離し,代替ノードで引き継ぐ(ウ) ホットプラグ:電源を入れたまま機器を抜き差しする(別の話)
障害時はフェールオーバ,復旧後に戻すのがフェールバック

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

次のシステムにおいて,ピーク時間帯の CPU 使用率は何%か。ここで,トランザクションはレコードアクセス処理と計算処理から成り,レコードアクセスは CPU 処理だけで I/O は発生せず,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。また,1日のうち発生するトランザクション数が最大になる1時間をピーク時間帯と定義する。

〔システムの概要〕

正解 エ

解説

ピーク時間帯のトランザクション数は 54,000×20%=10,800 件である。1 トランザクションの CPU 時間は,レコードアクセスが 100 レコード×1 ミリ秒=100 ミリ秒,計算処理が 100 ミリ秒で,合計 200 ミリ秒(0.2 秒)である。ピーク時間帯 1 時間(3,600 秒)に必要な CPU 時間は 10,800×0.2=2,160 秒なので,CPU 使用率は 2,160÷3,600=0.6,すなわち 60%になる。エが正しい。

イの 30% は,1 トランザクションの CPU 時間を 100 ミリ秒(レコードアクセスだけ,又は計算処理だけ)として求めた値である。アの 20% は,ピーク時間帯のトランザクション数の割合(20%)で,CPU 使用率ではない。ウの 50% は,与えられた条件からは得られない値である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

システムの信頼性設計に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

フォールトアボイダンス(故障回避)は,構成要素の品質や信頼性そのものを高めることで,故障の発生を未然に防ごうとする考え方。

アはフールプルーフ(利用者の誤操作を防ぐ)の説明。イは誤りで,フェールソフトは機能を縮退させてでも稼働を継続する考え方。エはフェールセーフ(故障時に安全側に倒す)の説明で,フォールトトレランスは故障が起きても冗長性によって機能を維持する考え方。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

MTBF が x 時間,MTTR が y 時間のシステムがある。使用条件が変わったので,MTBF,MTTR がともに従来の1.5倍になった。新しい使用条件での稼働率はどうなるか。

正解 イ

解説

稼働率は MTBF/(MTBF+MTTR) で求められる。MTBF と MTTR がともに 1.5 倍になると 1.5x/(1.5x+1.5y)=x/(x+y) となり,1.5 が約分されて元の稼働率と変わらない。

稼働率は MTBF と MTTR の比だけで決まるため,比が変わらない限り値も変わらない。よってア・ウ・エはいずれも誤り。

MTBF と MTTR が同じ倍率で変わっても稼働率は同じ 稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR)。両方が1.5倍になると 1.5x÷(1.5x+1.5y)=x÷(x+y) で変わらない。稼働率は MTBF と MTTR の比だけで決まるので,稼働率が等しければ MTTR÷MTBF も等しい。ただし MTBF や MTTR そのものが等しいとは限らない。 従来 MTBF x y 稼働 80% 1.5倍 MTBF 1.5x 1.5y 稼働 80% 1.5x ÷ (1.5x + 1.5y) = x ÷ (x + y)
稼働率は比で決まる。帯の長さが変わっても,稼働の割合は同じ

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

プリエンプション方式のタスクスケジューリングにおいて,タスク B の実行中にプリエンプションが発生する契機となるのはどれか。ここで,タスクの優先度は,タスク A が最も高く,タスク A > タスク B = タスク C > タスク D の関係とする。

正解 ア

解説

プリエンプション方式では,実行中のタスクよりも優先度の高いタスクが実行可能状態になると,実行中のタスクから CPU を取り上げ,優先度の高いタスクに割り当てる。タスク B の実行中に,B より優先度が高いタスク A が実行可能状態になるアが,プリエンプションの契機になる。

イは B 自身が待ち状態になる場合で,自分から CPU を手放すのでプリエンプションではない。ウの C は B と同じ優先度なので B から CPU を取り上げない。エの D は B より優先度が低いので,実行可能状態になっても B の実行は続く。

タスクの3つの状態 実行可能状態のタスクは,CPU を割り当てられる(ディスパッチ)と実行状態になる。実行状態のタスクは,入出力の完了などを自分で待つと待ち状態に,優先度の高いタスクに CPU を取り上げられる(プリエンプション)と実行可能状態に移る。待ち状態のタスクは,待っていた事象が起きると実行可能状態に移り,直接は実行状態に移らない。 実行 CPU を使っている 実行可能 CPU の割当て待ち 待ち 入出力の完了待ち ディスパッチ プリエンプション 入出力など を待つ 待っていた事象が起きた 待ち → 実行 へ直接は移らない(一度,実行可能に並ぶ)
プリエンプションで移るのは実行可能状態。待ち状態から実行状態へは直接移らない

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

デマンドページング方式による仮想記憶の利点はどれか。

正解 ア

解説

デマンドページング方式は,ページが実際に参照された時点で初めて主記憶へ読み込む方式。プログラムのうち使われない部分は読み込まれないので,主記憶を無駄に占有せずに済む。アが正しい。

イは,仮想記憶の容量比を大きくするほど主記憶に載りきらない部分が増えるので,ページフォールトはむしろ増える。ウは,前もってまとめて読み込むプリページングの説明で,デマンドページングとは逆の考え方。エは,ページフォールトが多発する状態こそがスラッシングなので,記述が矛盾している。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

三つの媒体 A~C に次の条件でファイル領域を割り当てた場合,割り当てた領域の総量が大きい順に媒体を並べたものはどれか。

〔条件〕

正解 エ

解説

空き領域が最大の媒体,つまり割り当てた総量が最小の媒体を選ぶ。等しければ A,B,C の順に選ぶ。90 は全て空きなので A(A 90)。30 は B と C が等しいので B(B 30)。40 は C が最小なので C(C 40)。次の 40 は B(30)が最小なので B(B 70)。70 は C(40)が最小なので C(C 110)。最後の 30 は B(70)が最小なので B(B 100)。

割り当てた総量は A 90,B 100,C 110 となり,大きい順に C,B,A で,エが正しい。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

目的プログラムの実行時間を短くするためにコンパイラが行う最適化の方法として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

コンパイラの最適化では,実行時間を短くするために,プログラムの意味を変えずに,より速く動く形に書き換える。定数が格納された変数を追跡し,途中で値が変わらないことが確認できれば,その変数を定数に置き換える(定数伝播)。実行時の変数参照や計算が減るので速くなる。ウが正しい。

アは,繰返し回数の多いループを回数の少ないループの繰返しに変えても,全体の実行回数は同じで,実行時間は短くならない(ループ制御のオーバヘッドを減らすのはループアンローリングのように繰返しを減らす書換えである)。イは,加算より乗算のほうが一般に時間が掛かるので,“X+X”を“X*2”に置き換えると遅くなり,最適化では逆に乗算を加算やシフトに置き換える。エはサブルーチン化でプログラムの大きさは減るが,呼出しの分だけ実行時間は増える。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)の特徴として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

DSP(ディジタルシグナルプロセッサ)は,音声や画像などのディジタル信号を高速に処理するためのプロセッサで,乗算と加算を一度に行う積和演算を高速に実行できる。ディジタルフィルタや FFT は積和演算の繰返しで実現できるので,これらに適している。イが正しい。

アのシリアル入出力ポートの誤り訂正は DSP の特徴ではない。ウは多チャンネルの A/D 変換器と大容量メモリでデータを収集・記録するデータロガーなどの説明。エのベクトル演算機能で大規模な科学技術計算を行うのは,ベクトルプロセッサを備えたスーパーコンピュータなどである。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

モータの速度制御などに PWM(Pulse Width Modulation)制御が用いられる。PWM の駆動波形を示したものはどれか。ここで,波形は制御回路のポート出力であり,低域通過フィルタを通していないものとする。

正解 イ

解説

PWM(パルス幅変調)は,電圧の高さを一定にしたまま,パルスのオン時間の幅(デューティ比)を変えて,モータなどに与える平均電力を調節する方式である。低域通過フィルタを通す前のポート出力は,高さが一定でパルスの幅が変わる矩形波になる。イが該当する。

アは幅が一定で高さが変わるパルスで,PAM(パルス振幅変調)の波形である。ウは階段状になだらかに変化する波形で,PWM の信号を低域通過フィルタに通した後や D/A 変換器の出力のような波形である。エは電圧が数段階に変わる多値の信号で,PWM の波形ではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

図の論理回路の動作の説明として,適切なものはどれか。

二つの否定論理積素子(NAND)を組み合わせた回路図。上の NAND の入力は A と下の NAND の出力 D,出力は C。下の NAND の入力は B と上の NAND の出力 C,出力は D。出力どうしが相手の入力へたすき掛けに接続されている。

正解 エ

解説

図は,二つの NAND を互いの出力を相手の入力につなぎ合わせたラッチ回路で,C=NOT(A AND D),D=NOT(B AND C) が成り立つ。A=1,B=1 のとき,C=NOT(D),D=NOT(C) となり,C と D は互いに反転した値を保つ。つまり直前の状態がそのまま保持される。エが正しい。

アの A=0,B=0 では,C=NOT(0)=1,D=NOT(0)=1 で,前の状態の保持ではなく,C と D がともに1になる。イの A=0,B=1 では C=1,D=NOT(1 AND 1)=0 になり,D=1 にはならない。ウの A=1,B=0 では D=1,C=NOT(1 AND 1)=0 になり,C=1,D=0 とは逆の値になる。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

ワンチップマイコンにおける内部クロック発生器のブロック図を示す。15MHz の発振器と,内部の PLL1,PLL2 及び分周器の組合せで CPU に 240MHz,シリアル通信(SIO)に 115kHz のクロック信号を供給する場合の分周器の値は幾らか。ここで,シリアル通信のクロック精度は ±5% 以内に収まればよいものとする。

内部クロック発生器のブロック図。15MHz の発振器の出力が 8 逓倍の PLL1 に入り,その出力が 2 逓倍の PLL2 と分周器に分岐する。PLL2 の出力 240MHz が CPU へ,分周器の出力 115kHz(±5%)が SIO へ供給される。

正解 エ

解説

分周器に入るのは PLL1 の出力で,15MHz×8=120MHz。ここを 1/2n に分周して 115kHz に近づける。1/210 なら 120,000÷1,024≒117.2kHz で,115kHz との差は約1.9%なので ±5% 以内に収まる。エが正しい。

ウの 1/28 では 120,000÷256≒468.8kHz と4倍以上ずれ,イやアの分周比ではさらに大きく外れる。CPU 向けの 240MHz は PLL1 の出力を PLL2 で2逓倍して得ており,分周器はその手前の 120MHz から分岐している点に注意する。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

コードの値からデータの対象物が連想できるものはどれか。

正解 ウ

解説

ニモニックコードは,対象物の名称の一部や略号をそのままコードに使う方式。例えば東京を TKY,鉛筆を PEN とするように,コードの値を見れば何を指しているかが連想できる。ウが正しい。

アのシーケンスコードは発生順に番号を振るだけ,イのデシマルコードは10進の桁ごとに分類を割り当てるもの,エのブロックコードは分類ごとに番号の範囲を区切って割り当てるもので,いずれも値そのものから対象物を思い浮かべることはできない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

ディジタルハイビジョン対応のビデオカメラやワンセグの映像圧縮符号化方式として採用されているものはどれか。

正解 ウ

解説

H.264/AVC は,MPEG-2 に比べて約2倍の圧縮効率をもつ映像圧縮符号化方式。ハイビジョン映像から携帯端末向けのワンセグまで幅広いビットレートに対応でき,ディジタルハイビジョン対応のビデオカメラやワンセグ放送に採用されている。ウが正しい。

アの AC-3 とイの G.729 はいずれも音声の符号化方式。エの MPEG-1 は Video CD などに使われた古い方式で,ハイビジョンの画質には対応していない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

クライアントサーバシステムにおけるストアドプロシージャに関する記述のうち,適切でないものはどれか。

正解 ウ

解説

ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をまとめて DBMS に格納しておき,クライアントから名前を指定して呼び出す仕組みである。複数の SQL 文を1回の呼出しで実行できるので通信回数を減らせる。データベースへのアクセスを細かい単位でプロシージャにすると,呼出しの回数が増えて通信の負荷が高まり,処理性能はかえって低下するので,ウが適切でない。

アの機密性の高い処理を特定のプロシージャ経由に限定することによるセキュリティの向上,イの共通処理をプロシージャとして格納することによる処理の標準化,エの複数の SQL 文を1回の呼出しで実行することによる通信回数の削減は,いずれもストアドプロシージャの利点として正しい。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

社員と年の対応関係を UML のクラス図で記述する。二つのクラス間の関連が次の条件を満たす場合,a,b に入る多重度の適切な組合せはどれか。ここで,年クラスのインスタンスは毎年存在する。

〔条件〕

UML のクラス図。クラス“社員”とクラス“年”が関連“入社年”で結ばれている。社員側の端に多重度 a,年側の端に多重度 b が入る。

正解 イ

解説

条件(1)の“全ての社員は入社年を特定できる”から,社員 1 人に対応する年(入社年)はちょうど一つなので,年側の多重度 b は 1..1 になる。条件(2)の“年によっては社員が入社しないこともある”から,一つの年に対応する社員は 0 人以上なので,社員側の多重度 a は 0..* になる。イが適切である。

ア,ウの b が 0..1 だと,入社年が特定できない社員の存在を許してしまい,条件(1)に反する。ウ,エの a が 1..* だと,どの年にも必ず 1 人以上の社員が入社することになり,条件(2)に反する。

多重度の読み方 多重度は,関連の相手側の端に書く。部門(1)と社員(*)なら,社員の側から見て部門は必ず1つ(どの社員もちょうど1つの部門に所属し,兼務はない),部門の側から見て社員は0人以上(社員のいない部門もある)。1..* なら1以上,0..1 なら0か1。 部門 社員 1 * 社員から見て部門は 1 つ(必ず,兼務なし) 部門から見て社員は 0 人以上 書き方 意味 1 ちょうど1 0..1 0 か 1 *(0..*) 0 以上 1..* 1 以上
相手から見て何個か,を相手側の端に書く

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

関係 R(A,B,C,D,E,F)において,次の関数従属が成立するとき,候補キーとなるのはどれか。

〔関数従属〕

A→B,A→F,B→C,C→D,{B,C}→E,{C,F}→A

正解 ウ

解説

候補キーは,その属性の組から全ての属性が決まり,かつ,その一部では決まらないものである。{B,F} の閉包を求める。B→C,C→D,{B,C}→E から C,D,E が決まり,{C,F}→A から A が決まる。A→B は B に戻るだけなので,{B,F} から A~F の全てが決まる。B だけでは F が決まらず,F は A→F の右辺にしか現れないので,{B,F} の一部では決まらない。したがって {B,F} が候補キーで,ウが正しい。

アの B は,B→C→D と {B,C}→E で C,D,E は決まるが,A と F は決まらない。イの {B,C} と エの {B,D,E} も,F が決まらないので全ての属性を決められない。F は他の属性から導かれず,A が決まって初めて決まる属性である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

“倉庫別商品在庫集計”表から在庫数の合計を求めたい。倉庫番号 'C003' の倉庫で在庫数が100以上の商品に対して,全ての倉庫における在庫数の合計を求める SQL 文の a に入る適切な字句はどれか。ここで,該当する商品は複数存在するとともに在庫数が100未満の商品も存在するものとする。また,実線の下線は主キーを表す。

倉庫別商品在庫集計(倉庫番号,商品コード,在庫数)

〔SQL 文〕

SELECT 商品コード, SUM(在庫数) AS 在庫合計 FROM 倉庫別商品在庫集計
  WHERE a
  GROUP BY 商品コード

正解 ウ

解説

条件は“倉庫番号 'C003' で在庫数が100以上の商品”について,全ての倉庫の在庫数を商品ごとに合計することである。副問合せで 'C003' の倉庫で在庫数が100以上の商品コードを求め,外側の WHERE で商品コード IN (…) とすれば,該当する商品の全倉庫分の行だけが GROUP BY の対象になる。ウが正しい。

アの“商品コード=(副問合せ)”は,副問合せが複数行を返すとエラーになる。該当する商品は複数あるとされている。イの“= ALL”は副問合せの全ての値と等しい場合だけ真になるので,商品が複数あるときは該当する行が選ばれない。エの EXISTS は,外側の行と無関係な副問合せなので,副問合せに1行でも該当すれば全ての商品が真になり,絞込みの条件として働かない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

チェックポイントを取得する DBMS において,図のような時間経過でシステム障害が発生した。前進復帰(ロールフォワード)によって障害回復できるトランザクションだけを全て挙げたものはどれか。

5 本のトランザクションの実行期間を時間軸に沿って示した図。T1 はチェックポイントより前に開始してコミットしている。T2 はチェックポイントより前に開始し,システム障害発生時点でまだコミットしていない。T3 はチェックポイントの後に開始し,システム障害発生時点でまだコミットしていない。T4 はチェックポイントより前に開始し,チェックポイントの後にコミットしている。T5 はチェックポイントの後に開始し,システム障害発生前にコミットしている。

正解 ウ

解説

前進復帰(ロールフォワード)は,チェックポイント以降にコミットされたトランザクションについて,ログを使って更新を進め直す処理。チェックポイントの時点でバッファの内容はディスクへ書き出されているので,その後にコミットしたものだけが対象になる。図では T4 と T5 が該当し,ウが正しい。

T1 はチェックポイントより前にコミットしており,更新は既にディスクに反映されているので何もしなくてよい。T2 と T3 は障害発生時点で未コミットなので,中途半端な更新を取り消す後退復帰(ロールバック)の対象になる。

システム障害からの回復:トランザクションの振り分け T1 はチェックポイントより前にコミットしているので何もしない。T4 と T5 は障害までにコミットしているので,更新後ログでロールフォワードする。T2 と T3 は障害の時点でコミットしていないので,更新前ログでロールバックする。 チェックポイント 障害 T1 何もしない T2 ロールバック T3 ロールバック T4 ロールフォワード T5 ロールフォワード コミット 破線:障害の時点でまだ終わっていない
ロールフォワードの対象は「チェックポイントの後,障害の前にコミットしたもの」

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

図のようなネットワーク構成のシステムにおいて,同じメッセージ長のデータをホストコンピュータとの間で送受信した場合のターンアラウンドタイムは,端末 A では100ミリ秒,端末 B では820ミリ秒であった。上り,下りのメッセージ長は同じ長さで,ホストコンピュータでの処理時間は端末 A,端末 B のどちらから利用しても同じとするとき,端末 A からホストコンピュータへの片道の伝送時間は何ミリ秒か。ここで,ターンアラウンドタイムは,端末がデータを回線に送信し始めてから応答データを受信し終わるまでの時間とし,伝送時間は回線速度だけに依存するものとする。

ネットワーク構成図。ホストコンピュータから端末 A へは回線速度 1G ビット/秒,端末 B へは 100M ビット/秒で接続されている。

正解 エ

解説

端末 A の片道の伝送時間を t ミリ秒,ホストの処理時間を P ミリ秒とする。上りと下りでメッセージ長は同じなので,ターンアラウンドタイムは 2t+P で表せる。

端末 B の回線は 100Mビット/秒で,端末 A の 1Gビット/秒の10分の1の速度だから,同じメッセージ長なら伝送時間は10倍の 10t になる。

2t+P=100,20t+P=820 の2式を引き算すると 18t=720,t=40ミリ秒。

2つの端末のターンアラウンドタイムから伝送時間を求める 端末 A の片道の伝送時間を t,ホストの処理時間を P とすると,A は 2t+P=100。端末 B の回線は A の 1/10 の速さなので片道 10t で,20t+P=820。引き算すると 18t=720 で t=40 ミリ秒。 A t P t = 100 B 10t P 10t = 820 A:2t + P = 100,B:20t + P = 820 18t = 720 → t = 40 ミリ秒
2つの式を引き算して P を消す(帯の長さは目安)

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

ルータがルーティングテーブルに ①~④ のエントリをもつとき,10.1.1.250 宛てのパケットをルーティングする場合に選択するエントリはどれか。ここで,ルータは最長一致検索及び可変長サブネットマスクをサポートしているものとする。

ルーティングテーブル。エントリ ① は宛先 10.0.0.0,サブネットマスク 255.0.0.0,ネクストホップ 192.168.2.1。② は宛先 10.1.1.0,サブネットマスク 255.255.255.0,ネクストホップ 192.168.3.1。③ は宛先 10.1.1.128,サブネットマスク 255.255.255.128,ネクストホップ 192.168.4.1。④ は宛先 0.0.0.0,サブネットマスク 0.0.0.0,ネクストホップ 192.168.1.1。

正解 ウ

解説

ルータは,宛先 10.1.1.250 に一致するエントリのうち,サブネットマスクが最も長い(一致するビット数が最も多い)ものを選ぶ(最長一致検索)。①の 10.0.0.0/8 は 10.1.1.250 に一致する。②の 10.1.1.0/24 も一致する。③の 10.1.1.128 とサブネットマスク 255.255.255.128(/25)は,アドレスの範囲が 10.1.1.128~10.1.1.255 で,250 を含むので一致する。④のデフォルトルート 0.0.0.0/0 も一致する。このうちマスクが最も長いのは /25 の③で,ウが正しい。

アの①(/8),イの②(/24),エの④(/0)は,いずれも一致するが,マスクが③より短いので選ばれない。

最長一致で経路を選ぶ 宛先 10.100.100.1 の第2オクテット 100 は 01100100。10.0.0.0/8 は第1オクテットだけを見るので一致する。10.64.0.0/11 は先頭3ビット 011 が 010 と一致しない。10.96.0.0/14 は先頭6ビット 011001 が 011000 と一致しない。10.128.0.0/9 は先頭1ビットが一致しない。一致するのは /8 と 0.0.0.0/0 で,長く一致する /8 のルータ A へ送る。 宛先の第2オクテット 100 = 0 1 1 0 0 1 0 0 10.0.0.0/8 第1オクテットだけ(一致) A 10.64.0.0/11 0 1 0 0 0 0 0 0 B 10.96.0.0/14 0 1 1 0 0 0 0 0 C 10.128.0.0/9 1 0 0 0 0 0 0 0 D 0.0.0.0/0 全てに一致(最後の手段) Y 一致するのは /8 と /0 → 長い /8 のルータ A へ
一致する経路のうち,マスクの長いものを選ぶ

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

電子メールの内容の機密性を高めるために用いられるプロトコルはどれか。

正解 エ

解説

S/MIME は,電子メールの本文や添付ファイルを暗号化したり,ディジタル署名を付けたりするための標準で,電子メールの内容の機密性を高めるのに用いられる。エが正しい。

アの IMAP4 とイの POP3 は,メールサーバから電子メールを受信するためのプロトコル。ウの SMTP は,電子メールを送信・転送するためのプロトコルで,いずれも内容を暗号化する機能はもたない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

IPv4 ネットワークで使用される IP アドレス a とサブネットマスク m からホストアドレスを求める式はどれか。ここで,“~”はビット反転の演算子,“|”はビットごとの論理和の演算子,“&”はビットごとの論理積の演算子を表し,ビット反転の演算子の優先順位は論理和,論理積の演算子よりも高いものとする。

正解 ウ

解説

サブネットマスク m はネットワーク部のビットが1,ホスト部のビットが0になっている。ホストアドレスはアドレス a のうちホスト部だけを残したものなので,m を反転してホスト部を1にした ~m と a のビットごとの論理積をとればよい。ウの a & ~m が正しい。

ネットワークアドレスは a & m で求める。アの ~a & m はネットワーク部を反転した値,イの ~a | m やエの a | ~m はビットが 1 に埋まってしまい,ホストアドレスにはならない(a | ~m はそのサブネットのブロードキャストアドレスになる)。

IP アドレスとサブネットマスクのビット演算 212.62.31.90/27(マスク 255.255.255.224)の第4オクテットで考える。90 は 01011010,マスクは 11100000,マスクを反転すると 00011111。a&m(論理積)はネットワーク部だけが残り 64,a&〜m はホスト部だけが残り 26(ホストアドレス),a|〜m はホスト部が全部1になり 95(ブロードキャストアドレス)。 a(90) 0 1 0 1 1 0 1 0 m(224) 1 1 1 0 0 0 0 0 〜m(31) 0 0 0 1 1 1 1 1 ネットワーク部 ホスト部 a & m 0 1 0 0 0 0 0 0 64 ネットワークアドレス a & 〜m 0 0 0 1 1 0 1 0 26 ホストアドレス a | 〜m 0 1 0 1 1 1 1 1 95 ブロードキャスト
& m でネットワーク部,& 〜m でホスト部,| 〜m でブロードキャスト

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

http://host.example.co.jp:8080/file で示される URL の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

URL の http://host.example.co.jp:8080/file は,先頭の http: がプロトコル(スキーム)で,HTTP を使って参照することを示す。続く host.example.co.jp がホスト名,:8080 がポート番号,/file がサーバ内の資源(パス)である。エが正しい。

アの :8080 はポート番号であり,プロキシサーバ経由を示すものではない。イの file はサーバ内の資源の名前で,HTML で作成された Web ページだとは限らない。ウのホスト名の末尾の jp は国別のドメイン名で,参照先のサーバが日本国内にあることまで示すものではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

クロスサイトスクリプティングの手口に該当するものはどれか。

正解 エ

解説

クロスサイトスクリプティング(XSS)は,脆弱な Web サイトに攻撃者のスクリプトを送り込み,閲覧者の Web ブラウザ上でそのスクリプトを実行させる攻撃である。罠のリンクなどを閲覧者に開かせ,サイトがスクリプトをそのままページに埋め込んで返すことで実行される。エが正しい。

アは OS コマンドインジェクション,イは大量の接続要求で通信機能を停止させる DoS 攻撃,ウはポートスキャンによる弱点探索の説明である。

XSS・CSRF・クリックジャッキング XSS(反射型)は,スクリプトを含む罠のリンクを利用者に開かせ,脆弱なサイトがそのスクリプトをそのままページに埋めて返すので,利用者のブラウザで実行される。CSRF は,ログイン中の利用者に罠のページを開かせ,その利用者の Cookie 付きで意図しない要求(書込み・送金など)を正規のサイトに送らせる。クリックジャッキングは,透明にした正規サイトを罠のページに重ね,別のボタンだと思わせて押させる。 XSS(反射型) 攻撃者 利用者のブラウザ 脆弱なサイト ① 罠のリンク ② 開く ③ そのまま返す 埋め込まれたスクリプトが利用者のブラウザで動く(Cookie を盗むなど) 対策:出力時のエスケープ,Cookie の HttpOnly 属性 CSRF 罠のページ 利用者のブラウザ 正規のサイト ログイン中 ① 開く ② 送信させる ③ Cookie 付き 本人が操作したものとして,書込みや送金が行われる 対策:推測できないトークンを埋めて確かめる,SameSite 属性 クリックジャッキング プレゼント 上に透明な正規サイト(「退会する」など)を 重ねて,下のボタンだと思わせて押させる 対策:X-Frame-Options,CSP の frame-ancestors
XSS はサイトの出力が汚される,CSRF は要求が偽造される,クリックジャッキングは画面が重ねられる

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

手順に示す処理を行ったとき,検証できることはどれか。

〔手順〕

正解 エ

解説

手順は,ファイルのハッシュ値に信頼できる第三者機関が日時を結び付け,ディジタル署名を付けるタイムスタンプの仕組みである。受信者 B は署名で結合データが改ざんされていないことを確認し,ファイルから計算したハッシュ値が結合データ内のものと一致することで,その日時にファイルが存在し,それ以降改ざんされていないことを検証できる。エが正しい。

アの受信者 B に到達した日時や,イの送信者 A が送信した日時は,手順には含まれない。ウの作成された日時も,示せるのは“その日時にファイルが存在した”ことまでで,作成した時刻そのものではない。

タイムスタンプ タイムスタンプ機関(TSA)が,電子文書のハッシュ値に時刻を結び付けて署名する。その時刻に文書が存在したこと(存在証明)と,その時刻より後に改ざんされていないこと(完全性)を示せる。作成者のディジタル署名と組み合わせれば,作成者はその時刻より前に作ったことを否認できない。 電子文書 作成者の署名付き ハッシュ値 を TSA へ TSA 時刻+署名 分かること:その時刻に存在した,その後は改ざんされていない コピーして流用されることは防げない
その時刻に存在し,その後は変わっていないことを示す

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

暗号方式に関する説明のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

共通鍵暗号方式で相手ごとに秘密の通信をするには,通信相手ごとに別々の鍵を用意して安全に共有・保管しなければならない。n 人が互いに秘密の通信をするには n(n−1)/2 個の鍵が必要になり,相手が増えるほど鍵管理の手間が増える。アが適切である。

イは誤り。共通鍵暗号方式は送信者と受信者が同じ鍵を使うので,相手にその鍵を安全に渡す必要がある。ウは誤り。内容を秘密にする通信では,暗号化鍵(公開鍵)を公開し,復号鍵(秘密鍵)は受信者だけが秘密に保管する。エは誤り。署名に用いる鍵は署名者の秘密鍵で,公開するのは署名を検証するための公開鍵である。

鍵の数とハイブリッド暗号 共通鍵暗号では,n 人が互いに秘密に通信するには2人の組ごとに鍵が要り,n(n−1)÷2 本になる。4人なら6本,100人なら4,950本。公開鍵暗号では1人が公開鍵と秘密鍵の1組を持てばよく,2n 本(100人なら200本)。ハイブリッド暗号では,データは速い共通鍵暗号で暗号化し,その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して一緒に送る。 共通鍵:4人で6本 n(n−1)÷2 本 公開鍵:1人1組 2n 本(公開鍵と秘密鍵) 100人なら 共通鍵 4,950本 / 公開鍵 200本 ハイブリッド暗号 データ 共通鍵で暗号化(速い) 暗号文 共通鍵 受信者の公開鍵で暗号化 暗号化した共通鍵 受信者は秘密鍵で共通鍵を取り出し,データを復号する
鍵の配り方は公開鍵暗号で,データの暗号化は速い共通鍵暗号で

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

無線 LAN 環境における WPA2-PSK の機能はどれか。

正解 イ

解説

WPA2-PSK は,アクセスポイントと端末に同じ事前共有鍵(Pre-Shared Key,パスワード)を設定し,それを基に認証と暗号化を行う方式である。アクセスポイントと同じ SSID とパスワードが設定された端末だけが接続できるので,イが適切である。

アは誤り。SSID は無線 LAN を識別する名前で,暗号化の鍵ではない。ウは誤り。WPA2 はセキュリティの規格で,IEEE 802.11ac などの通信規格で接続を制限するものではない。エは誤り。利用者ごとに認証してアクセス権限を識別するのは IEEE 802.1X を使う WPA2-Enterprise で,SSID を利用者ごとに付与するものでもない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

公開鍵暗号方式の暗号アルゴリズムはどれか。

正解 ウ

解説

RSA は,大きな合成数の素因数分解が難しいことを安全性の根拠とする公開鍵暗号方式の代表的なアルゴリズム。暗号化と復号に別々の鍵を使い,ディジタル署名にも利用される。ウが正しい。

アの AES とイの KCipher-2 はいずれも共通鍵暗号方式のアルゴリズム。エの SHA-256 はハッシュ関数で,そもそも暗号化のアルゴリズムではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

図のような構成と通信サービスのシステムにおいて,Web アプリケーションの脆弱性対策のための WAF の設置場所として,最も適切な箇所はどこか。ここで,WAF には通信を暗号化したり,復号したりする機能はないものとする。

構成図。3台の PC がインターネットにつながり,インターネットからファイアウォール,SSL アクセラレータ,Web サーバ,データベースサーバが縦に順に接続されている。インターネットとファイアウォールの間(a)とファイアウォールと SSL アクセラレータの間(b)の通信は HTTPS,SSL アクセラレータと Web サーバの間(c)は HTTP,Web サーバとデータベースサーバの間(d)はデータベースアクセス用サービス。

正解 ウ

解説

WAF(Web Application Firewall)は,HTTP の通信の中身を調べて,Web アプリケーションの脆弱性を突く攻撃を検知・遮断する。暗号化されている通信は中身を調べられず,WAF には復号の機能もないので,暗号化されていない HTTP の区間に置く必要がある。図では,SSL アクセラレータが HTTPS を復号して HTTP にするので,SSL アクセラレータと Web サーバの間の c が適切である。ウが正しい。

a と b は HTTPS で暗号化されているので,WAF は通信の中身を検査できない。d は Web サーバとデータベースサーバの間のデータベースアクセス用の通信で,Web アプリケーションへの HTTP の入力ではないので,WAF が検査する対象ではない。

WAF は TLS を終端した後ろに置く WAF は HTTP の中身を見て攻撃を見つけるので,TLS で暗号化されたままでは検査できない。ロードバランサなどで TLS を終端(復号)したあとの HTTP を WAF に通すか,WAF 自身で TLS を終端する。 利用者 TLS 終端 (LB など) WAF Web HTTPS HTTP WAF に届くのは復号した HTTP → 中身を検査できる
暗号化されたままでは中身を見られない。復号してから検査する

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

ゼロデイ攻撃の特徴はどれか。

正解 ア

解説

ゼロデイ攻撃は,脆弱性が公表されてから修正プログラム(セキュリティパッチ)が提供されるまでの,あるいは提供されても適用が済んでいない期間を狙って,その脆弱性を突く攻撃。パッチがまだない状態を突かれるので防ぎにくい。アが正しい。

イは DDoS 攻撃,ウは標的型のフィッシング(スピアフィッシング),エはメールサーバを踏み台にした大量送信の説明である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

ディジタルフォレンジックスの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ディジタルフォレンジックスは,不正アクセスや情報漏えいなどのコンピュータに関する事件・事故が起きたときに,法的な証拠として使えるように,ログや記憶媒体などの情報を改変しない形で保全・収集し,分析して原因を究明する技術や手続である。エが適切である。

アは送受信メールのフィルタリング,イはファイアウォールや IDS などによる攻撃の防御,ウは記憶媒体のデータを復元できないように上書きするデータ消去の説明である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

ブルートフォース攻撃に該当するものはどれか。

正解 イ

解説

ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)は,使える文字のあらゆる組合せを片端からパスワードとして試し,ログインできるまで繰り返す攻撃。イが正しい。パスワードを長く複雑にする,一定回数の失敗でアカウントをロックするといった対策がとられる。

アは通信中のセッション情報を盗んで成りすますセッションハイジャック。ウはキー入力を記録して外部へ送るキーロガー。エは盗聴したログインのやり取りをそのまま送り直すリプレイ攻撃である。

ブルートフォース・リバースブルートフォース・パスワードスプレー ブルートフォース攻撃は,1つの ID に対してパスワードを総当たりする。リバースブルートフォース攻撃は,よく使われる1つのパスワードを固定して ID を総当たりする。パスワードスプレー攻撃は,よく使われる少数のパスワードを多数の ID に順に試し,1つの ID への失敗回数を少なく抑えてアカウントロックを避ける。 ブルートフォース ID は1つ,パスワードを全部 1つの ID に失敗が集中 リバース パスワードは1つ,ID を全部 ID ごとの失敗は1回 パスワードスプレー よく使う数個の,パスワードを多数の ID に 時間をあけ,ロックを避ける
何を固定し,何を変えるか。スプレーは1つの ID への失敗を少なくする

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

ペネトレーションテストの目的はどれか。

正解 エ

解説

ペネトレーションテスト(侵入テスト)は,実際に攻撃者の立場でファイアウォールや公開サーバへ侵入を試み,防御を破れるかどうかを確かめるテスト。設定の不備や既知の脆弱性が実害につながるかを実地で確認する。エが正しい。

アの暗号方式と鍵長の確認は設計仕様との照合,イの入出力の照合は機能テスト,ウの処理できるセッション数の確認は性能テストで,いずれも侵入の可否を確かめるものではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

DFD におけるデータストアの性質として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

DFD では,データストアはデータを保管するだけの受動的な存在で,データを読み書きするのは必ずプロセス(処理)である。したがってデータストアどうしが直接データフローで結ばれることはなく,間に必ず処理が入る。エが正しい。

アは,DFD は論理的なモデルなので,データストアが必ず物理ファイルになるとは限らない。イは,データストア自体がデータを作ったり変えたりすることはなく,それを行うのは処理。ウは,データストアに出入りするデータは必ずデータフローとして表す。

DFD の作り方と図形要素 既存のシステムを基に新しいシステムをモデル化するときは,現物理モデル(担当者や媒体を含む今の姿)→現論理モデル(実装に依らない本質)→新論理モデル(新しい要求を入れる)→新物理モデル(実現手段を当てはめる)の順に作る。図形要素は,プロセス(円),データフロー(矢印),データストア(二本線),源泉と吸収(外部実体,四角)の4つ。データストアどうしを直接つなぐことはなく,間に必ずプロセスが入る。 現物理 現論理 新論理 新物理 図形要素 源泉・吸収 プロセス データストア データフロー データストアどうしは直接つながらない(間にプロセス) 実体(エンティティ)・関連は E-R 図の要素
現物理 → 現論理 → 新論理 → 新物理。実体や関連は E-R 図の要素

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

ソフトウェア開発に利用されるピアレビューの説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ピアレビューは,成果物の作成者と対等な立場にある同僚(ピア)が,成果物を点検して欠陥を見つけるレビューである。同じ職場内の様々なスキルや知識をもつレビューアが成果物を検証するのは,ピアレビューの説明に当たる。アが正しい。

イの次の開発工程に進むための関門(審査・承認)として実施するのは,工程の完了を判定するレビューの役割である。ウの管理職のメンバの参加が必要という点は,同僚どうしで欠陥を取り除くというピアレビューの考え方に合わない。エのプロトタイピングで試作したソフトウェアを発注元と検証するのは,利用者を交えた確認で,ピアレビューではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

二つの独立したテストグループ A,B が,あるシステムについて一定期間並行してテストを行い,それぞれ NA 個及び NB 個のエラーを検出した。このうち,共通のエラーは NAB 個であった。このシステムの総エラー数 N を予測する式はどれか。ここで,NA>0,NB>0,NAB>0 とする。また,グループ A,B の,エラーを検出する能力及び効率は等しいものとする。

正解 エ

解説

二つの独立したテストグループが,同じ能力と効率でエラーを探すものとする。グループ A が見つけたエラー NA 個のうち,グループ B も見つけた共通のエラーは NAB 個なので,B は全エラー N のうち NAB/NA の割合を見つけていることになる。B が見つけた割合は NB/N と等しいと考えられるので,NB/N=NAB/NA から N=NA×NB/NAB となる。エが正しい。

アの NA+NB−NAB は,二つのグループが見つけたエラーの延べの合計(まだ見つかっていないものを含まない)で,総エラー数の予測にはならない。イとウは,このような割合の関係から導かれない式である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

エクストリームプログラミング(XP)におけるリファクタリングの説明はどれか。

正解 ア

解説

リファクタリングは,エクストリームプログラミング(XP)のプラクティスの一つで,プログラムの外部から見た動作を変えずに,内部の構造を整理して,理解しやすく保守しやすいものに作り直すことである。アが正しい。

イは,チームが XP の進め方に沿って開発できるよう支援するコーチの役割の説明である。ウは,プログラミングとテストを小さな単位で繰り返す進め方の説明で,プログラムの構造を直すことではない。エは,プログラムを作成する前にテストケースを考える,テスト駆動開発(テストファースト)の説明である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

共通フレームをプロジェクトに適用する場合の考え方のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

共通フレームは,システム開発や取引で使う作業内容と用語をそろえるための「共通のものさし」であって,そのまま順番どおりに実施することを求める手順書ではない。プロジェクトの特性や採用する開発モデルに合わせて,必要なアクティビティやタスクを選び,不要なものを外して使う(テーラリング)ことが前提になっている。エが正しい。

アは変えずに適用するとしている点,イは規定された実施順序に合わせるとしている点が,このテーラリングの考え方に反する。ウは開発モデルや技法・ツールの取捨選択に触れているが,共通フレームは特定の開発モデルや技法を推奨するものではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

WBS 作成プロセスが含まれるマネジメントプロセスはどれか。

正解 イ

解説

PMBOK のプロジェクトスコープマネジメントには,スコープの計画,要求事項の収集,スコープの定義,WBS の作成,スコープの妥当性確認,スコープのコントロールのプロセスがある。WBS の作成プロセスが含まれるのは,プロジェクトスコープマネジメントで,イが正しい。

アのプロジェクトコストマネジメントは,コストの見積りや予算の設定,コントロールなどのプロセス。ウのプロジェクト品質マネジメントは品質の計画や保証,コントロール,エのプロジェクトリスクマネジメントはリスクの特定や分析,対応の計画などのプロセスで,WBS の作成は含まれない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

プロジェクト管理においてパフォーマンス測定に使用する EVM の管理対象の組みはどれか。

正解 ア

解説

EVM(Earned Value Management)は,作業の出来高を金額に換算した EV(アーンドバリュー)を軸に,計画値 PV と実コスト AC を比べることで,スケジュールの進み遅れとコストの超過・節約を同じ土俵で測る手法。管理対象はコストとスケジュールなのでアが正しい。

EV と PV の差がスケジュール差異,EV と AC の差がコスト差異になる。イ・ウ・エに含まれるリスクや品質は,EVM の数値からは直接測れず,別の手法で管理する対象である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

図に示すとおりに作業を実施する予定であったが,作業 A で1日の遅れが生じた。各作業の費用増加率を表の値とするとき,当初の予定日数で終了するために掛かる増加費用を最も少なくするには,どの作業を短縮すべきか。ここで,費用増加率とは,作業を1日短縮するために要する増加費用のことである。

アローダイアグラムと費用増加率の表。作業と標準日数は A が4日,B が6日,C が8日,D が4日,E が5日,F が4日,G が5日。A の後に B,C,D が分かれ,B の後に E,D の後に F が続き,C,E,F が合流したあとに G がある。費用増加率は A が4,B が6,C が3,D が2,E が2.5,F が2.5,G が5。

正解 エ

解説

まず各経路の日数を求める。A→B→E→G は 4+6+5+5=20日,A→C→G は 4+8+5=17日,A→D→F→G は 4+4+4+5=17日。最長の20日がクリティカルパスで,A が1日遅れると21日になる。20日に戻すには,クリティカルパス上の作業(A,B,E,G)のどれかを1日短縮する必要がある。費用増加率はそれぞれ4,6,2.5,5なので,最も安い E を短縮するのがよい。エが正しい。

E を1日短縮すると A→B→E→G は遅れを含めて20日になり,他の経路は 17+1=18日なので新たなクリティカルパスは生まれない。イの C とウの D はクリティカルパス上にないので,短縮しても全体の日数は縮まらない。

遅れを取り戻すのに最も安い作業 クリティカルパスは A→B→E→G(4+6+5+5=20 日)。A が1日遅れて 21 日になったので,クリティカルパス上の作業を1日縮める。費用増加率は A 4,B 6,E 2.5,G 5 で,E が最も安い。E を縮めても他の経路(A→C→G,A→D→F→G は遅れ込みで 18 日)を超えない。 A 4 B 6 C 8 D 4 E 5 F 4 G 5 0 / 0 4 / 4 10 / 10 8 / 11 15 / 15 20 / 20 費用増加率:A 4,B 6,E 2.5,G 5 → E を縮める
縮めるのはクリティカルパス上で,1日あたりの費用が最も安い作業

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

ソフトウェアの開発規模見積りに利用されるファンクションポイント法の説明はどれか。

正解 イ

解説

ファンクションポイント法は,システムがもつ機能の量を,利用者から見える外部仕様をもとに数える方法である。外部入力・外部出力・外部照会・内部論理ファイル・外部インタフェースファイルの5種類の要素を数え,それぞれの複雑さに応じた重みを掛けて合計し,規模(ファンクションポイント)とする。イが正しい。

アは WBS で作業を洗い出して工数を積み上げるボトムアップ見積り,ウは作業を標準作業に分けて標準工数を割り当てる標準タスク法の説明である。エは言語とプログラマのスキルから求めた生産性を使っており,機能の量を数えるファンクションポイント法ではない。

ファンクションポイント法の5つの機能 アプリケーションの境界の内側で管理するデータが内部論理ファイル(ILF),外部のアプリケーションが管理し参照だけするデータが外部インタフェースファイル(EIF)。境界を越えるやり取りは,データを入れて更新する外部入力(EI),計算や加工をして出す外部出力(EO),そのまま取り出して見せる外部照会(EQ)。 アプリケーションの境界 ILF 内部論理ファイル EIF 外部のファイル 利用者 EI 入力 利用者 EO 出力 EQ 照会 参照
データ2種(ILF・EIF)と,境界を越える処理3種(EI・EO・EQ)

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

ITIL は,各プロセスに対する重要成功要因(CSF)と重要業績評価指標(KPI)を例示している。次のインシデント管理の CSF に対する KPI として,適切なものはどれか。

〔CSF〕

インシデントをできるだけ迅速に解決し,事業へのインパクトを最小限にする。

正解 イ

解説

CSF(重要成功要因)は目標を達成するための鍵となる要因で,KPI(重要業績評価指標)はその達成度を測る指標である。CSF が“インシデントをできるだけ迅速に解決し,事業へのインパクトを最小限にする”なので,迅速な解決の度合いを測る指標が KPI になる。サービスデスクが他のサポート・レベルに問い合わせずにクローズできたインシデントの割合は,一次の窓口で迅速に解決できているかを表すので,イが適切である。

アのインシデントの総件数は,解決の迅速さではなく発生の多さを表す。ウの担当者当たりの処理件数は担当者の稼働量,エの変更とリリースに関連するインシデントの件数と割合は変更・リリースの管理の状況を表すもので,いずれも迅速な解決の度合いを示す指標ではない。

KGI・CSF・KPI の流れ まず最終の目標を数値にする(KGI:物流コスト 10%削減)。次にそれを達成する鍵になる要因を見極める(CSF:在庫の削減,誤出荷の削減)。その要因の達成度を測る指標を決める(KPI:在庫日数7日以内,誤出荷率3%以内)。改善を実施して成果を測り,ギャップを分析して KGI に戻る。 物流コストの削減 a KGI の設定 10%の物流コスト削減 目標 b CSF の抽出 在庫・誤出荷の削減 鍵になる要因 c KPI の設定 在庫日数7日・誤出荷率3% 測る指標 改善活動の実施 計測とギャップ分析
a=KGI の設定,b=CSF の抽出,c=KPI の設定

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

IT サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理プロセスの活動はどれか。

正解 エ

解説

サービスレベル管理プロセスは,提供する IT サービスとそのサービス目標を特定し,サービス提供者と顧客の間でサービスレベル合意書(SLA)として合意し,その達成状況を監視・報告して改善していくプロセスである。エが該当する。

アは IT サービスの予算と資金を管理する財務管理,イは現在の資源の最適化と将来の資源要件の予測を行うキャパシティ管理,ウは事業影響度の評価や復旧優先順位を明確にする IT サービス継続性管理の活動である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

IT サービスマネジメントにおける問題管理プロセスにおいて実施することはどれか。

正解 イ

解説

問題管理は,インシデントの背後にある根本原因を突き止め,同じインシデントが再び起きないように恒久的な解決策を立てるプロセス。原因がまだ分かっていないものを調査して既知の誤りとして登録し,恒久対策につなげる。イが正しい。

アの暫定的な復旧とエのインシデントの記録・連絡はインシデント管理の活動。ウの復旧のための設計は,サービス継続及び可用性管理などで行うことである。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム監査人が,予備調査において実施する作業として,“システム監査基準”に照らして適切なものはどれか。

正解 エ

解説

予備調査は,本調査に入る前に監査対象の実態をつかむための段階。被監査部門から事前に資料を入手して閲覧し,業務やシステムの概要,管理体制を把握しておくことで,本調査で何をどう確かめるかを具体化できる。エが正しい。

アの監査項目の設定と監査手続の策定,個別監査計画書への記載は,予備調査の結果を踏まえて行う本調査の準備。イの経営トップへのヒアリングによる監査テーマの設定は,個別監査より前の監査計画の段階。ウの監査スケジュールの調整も個別監査計画の策定に関わる作業である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

販売管理システムにおいて,起票された受注伝票が漏れなく,重複することなく入力されていることを確かめる監査手続のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

受注伝票が漏れなく重複なく入力されているかは,入力結果の一覧(プルーフリスト)と元の伝票を突き合わせているかを確かめれば分かる。照合が行われた証跡として,プルーフリストや受注伝票に押された照合印を確認するのが適切な監査手続になる。ウが正しい。

アの例外取引の承認記録の確認は,取引が正当に認められたかという承認の妥当性を見るもの。イの論理チェックやフォーマットチェックの確認は入力データの正確性を見るもの。エの並行シミュレーション法はプログラムの処理ロジックの正しさを検証する技法で,いずれも入力の網羅性を確かめるものではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

営業債権管理業務に関する内部統制のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

内部統制では,不正や誤りを防ぐために,業務を担当する部門と,その業務を牽制する部門の職務を分離することが重要である。売掛金の回収条件を,販売を担当する営業部門ではなく審査部門が設定していれば,営業部門が売上を優先して不利な条件で取引することを牽制できる。アが適切である。

イの消込み入力と承認処理,ウの与信限度の決定,エの値引きや割戻しの処理を,いずれも取引を担当する営業部門が自ら行っていると,担当者による不正や誤りを他の部門が発見できず,職務の分離がなされていない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

エンタープライズアーキテクチャにおいて,業務と情報システムの理想を表すモデルはどれか。

正解 イ

解説

エンタープライズアーキテクチャでは,現状の姿を As-Is モデル,目指すべき理想の姿を To-Be モデルとして描き,その差を埋める道筋を計画する。業務と情報システムの理想を表すのは To-Be モデルなのでイが正しい。

アの EA 参照モデルは,業務や技術の分類体系をあらかじめ整理した参照用のひな型。ウのザックマンモデルは,観点と問い(何を・どのように・どこで など)の組合せで構造を整理するフレームワーク。エのデータモデルは四つの体系のうちデータアーキテクチャで用いる記述である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

情報化投資計画において,投資効果の評価指標である ROI を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割った比率。投じた資金がどれだけの利益を生んだかを表す。

イはベンチマーキング,ウは NPV(正味現在価値)の説明。エは投資評価の指標ではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

“システム管理基準”によれば,情報戦略における情報システム全体の最適化目標を設定する際の留意事項はどれか。

正解 ウ

解説

“システム管理基準”では,情報システム全体の最適化目標は経営戦略に基づいて策定するものとされている。情報システムは経営目標を達成するための手段なので,目標を設定する際は経営戦略との整合性を考慮しなければならない。ウが正しい。

アの費用の算出基礎の明確化は投資計画や予算の段階,イの開発手順の決定は開発計画の段階,エの要員・予算・設備・期間の確保は個別の計画を実行に移す段階で考えることで,いずれも全体最適化目標そのものの設定における留意事項ではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

要件定義において,利用者や外部システムと,業務の機能を分離して表現することで,利用者を含めた業務全体の範囲を明らかにするために使用される図はどれか。

正解 エ

解説

ユースケース図は,システムの外部にいる利用者や外部システム(アクタ)と,システムが提供する業務の機能(ユースケース)を分けて描き,その関係を表す UML の図である。要件定義で,利用者を含めた業務全体の範囲やシステム化の対象を明らかにするのに使われる。エが正しい。

アのアクティビティ図は処理や業務の流れ,イのオブジェクト図はある時点のインスタンスとその間のつながり,ウのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の静的な関係を表す図である。

UML のおもな図の使い分け シーケンス図はオブジェクト間のメッセージを時間の順に,コミュニケーション図はオブジェクトのつながりに注目して相互作用を表す。ユースケース図はアクタとシステムの機能の関係(システムの範囲),アクティビティ図は処理の流れ(分岐・並行・同期),状態マシン図は1つのオブジェクトの状態の移り変わり,クラス図は静的な構造,オブジェクト図はある時点のインスタンスのつながりを表す。 図 表すもの シーケンス図 メッセージを時間の順に コミュニケーション図 オブジェクトのつながりと相互作用 ユースケース図 アクタと機能,システムの範囲 アクティビティ図 処理の流れ(分岐・並行・同期) 状態マシン図 1つのオブジェクトの状態の遷移 クラス図 クラスと関連(静的な構造) オブジェクト図 ある時点のインスタンスとリンク
時間の順はシーケンス図,範囲はユースケース図,業務の流れはアクティビティ図

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

情報システムの調達の際に作成される RFI の説明はどれか。

正解 ア

解説

RFI(Request For Information,情報提供依頼書)は,調達の検討段階で,実現手段や技術動向などの情報提供をベンダに依頼する文書。提案を求める前の情報収集が目的。

イは RFP(提案依頼書)の説明。ウとエは契約変更や契約締結に関するもので,いずれも RFI ではない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

環境省の環境表示ガイドラインによれば,環境表示の説明はどれか。

正解 ウ

解説

環境省の環境表示ガイドラインでは,環境表示を,製品やサービスについて環境に配慮した点や環境負荷の低減効果などの特徴,事業者の環境配慮への姿勢を,説明文やシンボルマーク,図表などを通じて主張したものと位置付けている。ウが正しい。

アは排出量取引,イはグリーン購入法,エはグリーン電力証書の説明である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

多角化戦略のうち,M&A による垂直統合に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

垂直統合は,原材料の調達から製造・販売まで続く流れ(サプライチェーン)の川上や川下の企業を取り込むこと。製鉄メーカが原料である鉄鉱石の採掘会社を買収するのは,川上へ広げる典型的な垂直統合に当たる。ウが正しい。

イの自動車メーカによる軽自動車メーカの買収は,同じ段階の同業を取り込む水平統合。アの銀行による保険会社の買収は関連する事業分野への集中型多角化,エの電機メーカによる不動産会社の買収は関連のない分野への集成型(コングロマリット型)多角化である。

垂直統合と水平統合 原材料の調達から製造,販売へと続く流れの,川上や川下の企業を取り込むのが垂直統合(例:製鉄メーカが鉄鉱石の採掘会社を買収する)。同じ段階の企業(同業他社)を取り込むのが水平統合。 原料 企業 企業 企業 製造 自社 企業 企業 卸・販売 企業 企業 企業 垂直統合 (色の列) ← 水平統合:同じ段階の他社 →
流れの上下をつなぐのが垂直,同じ段階を広げるのが水平

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

現在の動向から未来を予測したり,システム分析に使用したりする手法であり,専門的知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い,その結果を互いに参照した上で調査を繰り返して,集団としての意見を収束させる手法はどれか。

正解 エ

解説

デルファイ法は,専門的な知識や経験をもつ複数の人に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら答え直してもらうことで,集団としての意見を収束させる予測手法。匿名で行うため,立場や声の大きさに引きずられにくい。エが正しい。

アの因果関係分析法は原因と結果の関係をたどって分析する手法,イのクロスセクション法は同時点の複数のデータを横断的に比較する手法,ウの時系列回帰分析法は過去の時系列データに回帰式を当てはめて先を読む手法である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

SFA を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

SFA(Sales Force Automation)は,商談の進捗,顧客との接触履歴,案件ごとの受注見込みなどを情報システムで記録・共有し,営業活動を支援する手法・概念である。担当者個人に抱え込まれていた情報を組織で使えるようにすることで,営業の効率と品質を高め,売上・利益の増加や顧客満足度の向上を目指す。アが正しい。

イは,卸売業やメーカが小売店の経営を支援して自社との取引を広げるリテールサポートの説明である。ウは,企業全体の経営資源を統合的に計画・管理する ERP の説明である。エは,ネットワークを使って商取引を行う電子商取引(EC)の説明である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

IoT(Internet of Things)の実用例として,適切でないものはどれか。

正解 ア

解説

IoT(Internet of Things)は,様々なモノがセンサや通信機能をもち,インターネットにつながって情報をやりとりする仕組みである。アは,セキュリティの問題を避けるためにサーバに接続せず,単独で作業を行うコンピュータで,インターネットにつながっていないので IoT の実用例ではない。アが適切でない。

イは大型機械のセンサと通信機能で稼働状況や部品の交換時期を製造元が把握するシステム,ウは自動車と路側機の通信で位置情報を集めて渋滞情報を配信するシステム,エは電力会社と通信して使用量を申告するスマートメータで,いずれも IoT の実用例である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

アクセシビリティを説明したものはどれか。

正解 エ

解説

アクセシビリティは,ソフトウェアや情報サービス,Web サイトなどを,高齢者や障害者を含む誰もが利用できる状態にあること,またはその度合いをいう。エが正しい。

アは住民基本台帳ネットワークシステム,イは仕様の異なる環境間で連携できる相互運用性(インタオペラビリティ),ウは生産から最終消費又は廃棄までの履歴を追跡できるトレーサビリティの説明である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

かんばん方式の運用方法はどれか。

正解 イ

解説

かんばん方式では,後工程が必要な分だけを前工程へ「かんばん」で引き取りに行き,前工程はその指示量を補充するように生産する。前工程は次にどれだけ引き取られるか分からないので,指示量に応えられるだけの在庫を,過剰にならない最小限にとどめて持っておく必要がある。イが正しい。

アは前工程が作った分を押し出す押込み方式で,後工程が引き取るかんばん方式とは逆。ウは,かんばん方式では生産を平準化して指示量の変動を抑えることが前提なので,大きな変動に備えた余力を持つという考え方はとらない。エの故障に備えて余分に加算して供給するのも,在庫を最小にする方針に反する。

かんばん方式(後工程引取り) 後工程が,使った分だけの部品を前工程へ引き取りに行き,その指示(かんばん)を受けた前工程は,引き取られた分だけを作って補充する。必要なものを必要なときに必要な量だけ作る JIT の考え方で,作り過ぎの在庫を減らす。 前工程 後工程 出荷 部品 かんばん かんばん 使った分だけ引き取り,引き取られた分だけ作る
物は前から後へ,かんばん(指示)は後から前へ

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

インターネットショッピングで売上の全体に対して,あまり売れない商品の売上合計の占める割合が無視できない割合になっていることを指すものはどれか。

正解 エ

解説

ロングテールは,商品を売上の多い順に並べたグラフで,あまり売れない商品の部分が長く尾を引くことから,その部分の売上合計が全体の中で無視できない割合になることを指す。在庫や陳列の制約が小さいインターネットショッピングでは,品ぞろえを広げて,少量ずつ売れる商品の売上を積み上げられる。エが正しい。

アのアフィリエイトは,Web サイトに広告を載せ,成果に応じて報酬を支払う仕組み。イのオプトインは,広告メールの送信などを,受信者があらかじめ同意した場合に限ること。ウのドロップシッピングは,店が在庫をもたず,注文を受けたら製造元や卸売業者から購入者に直接発送する販売形態である。

ロングテール 商品を売上の多い順に左から並べると,少数の売れ筋(ヘッド)と,1つ1つは少ししか売れない多数の商品(テール)に分かれる。ネット販売では在庫や陳列のコストが小さいので,テールの商品の売上を合計すると,売れ筋に匹敵する大きさになる。 商品(売上の多い順) 売上 ヘッド テール(長い尾)
売れない商品も数が多ければ,合計で大きな売上になる

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

企業経営における,コンプライアンス強化の説明はどれか。

正解 イ

解説

コンプライアンスは,法令や社会規範,企業倫理などを守ることで,その強化は,企業存続の危機につながりかねない経営者や従業員による不法な行為の発生を抑制する取組みである。イが正しい。

アは事業を市場成長率と相対的マーケットシェアで評価して経営資源を配分する PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)の説明。ウは顧客や株主,従業員などの利害関係者の満足度を高める取組み(CS・ES など)の説明。エは他社にまねのできない独自の技術や能力を保有して競争力を強化するコアコンピタンス経営の説明である。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

経営会議で来期の景気動向を議論したところ,景気は悪化する,横ばいである,好転するという三つの意見に完全に分かれてしまった。来期の投資計画について,積極的投資,継続的投資,消極的投資のいずれかに決定しなければならない。表の予想利益については意見が一致した。意思決定に関する記述のうち,適切なものはどれか。

予想利益(万円)の表。景気動向が悪化・横ばい・好転のとき,積極的投資は50,150,500。継続的投資は100,200,300。消極的投資は400,250,200。

正解 エ

解説

マクシミン原理は,各案について最悪の場合の利益を求め,その中で最も大きいものを選ぶ考え方。景気が悪化したときの利益は積極的投資50万円,継続的投資100万円,消極的投資400万円で,最も大きいのは消極的投資の400万円。したがってマクシミン原理での最適意思決定は消極的投資になり,エが正しい。

ウのマクシマックス原理は各案の最良の場合を比べる考え方で,最大値は積極的投資の500万円なので,継続的投資とするのは誤り。ア・イの混合戦略や純粋戦略は,相手の出方によって利得が決まるゲーム理論の用語で,景気動向のように意思をもたない自然を相手にする不確実性下の意思決定には当てはまらない。

マクシミン原理(投資計画) マクシミン原理では,各案の最悪の場合(ここではどれも景気悪化のとき)の利益を比べ,その中で最も大きい案を選ぶ。積極的投資 50,継続的投資 100,消極的投資 400 なので,消極的投資。最良の場合を比べるマクシマックス原理なら,500 の積極的投資になる。 悪化 横ばい 好転 最悪 積極的投資 50 150 500 50 継続的投資 100 200 300 100 消極的投資 400 250 200 400 最悪のうち最大は 400 → 消極的投資 単位 万円。最良の最大(マクシマックス)なら積極的投資
各案の最悪の値を比べ,いちばん大きい案を選ぶ

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

表から,卸売業 A 社と小売業 B 社の財務指標を比較したとき,卸売業 A 社について適切な記述はどれか。

卸売業 A 社と小売業 B 社の財務指標の表(単位 百万円)。売上高は A 社が800,B 社が1,000。営業利益は A 社が20,B 社が90。総資産は A 社が100,B 社が900。

正解 エ

解説

表から,財務指標を求める。総資産回転率(売上高÷総資産)は A 社が 800÷100=8 回,B 社が 1,000÷900≒1.1 回,総資産営業利益率(営業利益÷総資産)は A 社が 20÷100=20%,B 社が 90÷900=10%,売上高営業利益率は A 社が 20÷800=2.5%,B 社が 90÷1,000=9%である。A 社は総資産回転率が高く,総資産営業利益率も高いので,エが適切である。

アは,売上高と総資産の額は低いが,総資産回転率は B 社より高い。イは,売上高営業利益率は B 社より低い。ウは,営業利益と総資産の額は低いが,総資産営業利益率は B 社より高い。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

表のような製品 A,B を製造,販売する場合,考えられる営業利益は最大で何円になるか。ここで,機械の年間使用可能時間は延べ 15,000 時間とし,年間の固定費は製品 A,B に関係なく 15,000,000 円とする。

製品 A,B の表。製品 A は販売単価 30,000円,販売変動費/個 18,000円,製造時間/個 8時間。製品 B は販売単価 25,000円,販売変動費/個 10,000円,製造時間/個 12時間。

正解 イ

解説

製造時間の上限 15,000 時間を,どちらの製品に使えば利益が最大になるかを考える。1個当たりの限界利益(販売単価−変動費)は A が 12,000 円,B が 15,000 円で,製造時間1時間当たりに直すと A が 12,000÷8=1,500 円,B が 15,000÷12=1,250 円となり,A のほうが大きい。

販売数量に制約はないので,全ての時間を A に使う。15,000÷8=1,875 個を製造し,限界利益は 1,875×12,000=22,500,000 円。固定費 15,000,000 円を引いた利益は 7,500,000 円で,イが正しい。1個当たりの限界利益だけで B を選ぶと,15,000÷12=1,250 個で 1,250×15,000−15,000,000=3,750,000 円(ア)となる。

限られた機械時間は「時間当たりの限界利益」で配る 1個当たりの限界利益は A 12,000 円,B 15,000 円で B が大きいが,製造時間1時間当たりでは A 1,500 円,B 1,250 円で A が大きい。販売数量に制約はないので 15,000 時間を全て A に使い,1,875 個×12,000 円=22,500,000 円。固定費 15,000,000 円を引いて利益は 7,500,000 円。 製品 限界利益/個 製造時間/個 1時間当たり A 12,000 円 8 時間 1,500 円 B 15,000 円 12 時間 1,250 円 15,000 時間 ÷ 8 = 1,875 個 × 12,000 円 = 2,250 万円 − 固定費 1,500 万円 = 利益 750 万円(イ) 1 個当たりで B を選ぶと 1,250 個 → 375 万円(ア) 制約が時間なら,時間当たりで比べる
1時間当たりの限界利益が大きい A に全部使う → 750 万円

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

Web ページの著作権に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

著作権法第12条は,素材の選択又は配列によって創作性を有する編集物を編集著作物として保護している。特定の分野ごとに URL を収集し,独自の解釈を付けて整理したリンク集は,その選択や配列,解釈に創作性があれば編集著作物として保護され得るので,エが適切である。

アは誤り。Web ページへの掲載は不特定多数が閲覧できる公衆送信に当たり,営利目的でなくても私的使用の範囲を超えるので,無断掲載は著作権の侵害になる。イは誤り。フリーウェアとして無償で公開しても,著作権は作成者に残り,著作権法による保護の対象である。ウは誤り。シェアウェアを使って利用者が作成したデータの著作権は作成した利用者にあり,試用期間の終了後に掲載してもソフトウェアの著作権の侵害には当たらない(試用条件に反して使い続けることは使用許諾契約の問題になる)。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

サイバーセキュリティ基本法において,サイバーセキュリティの対象として規定されている情報の説明はどれか。

正解 エ

解説

サイバーセキュリティ基本法第2条は,サイバーセキュリティを,電子的方式,磁気的方式その他人の知覚では認識できない方式(電磁的方式)により記録され,又は発信され,伝送され,若しくは受信される情報の漏えい・滅失・毀損の防止などの措置が講じられ,その状態が適切に維持管理されていることと定義している。対象となる情報は電磁的方式で扱われるものに限られるので,エが正しい。

アの外交・国家安全に関する機密情報やウの個人のプライバシー情報は,電磁的方式で扱われていれば対象に含まれるが,それだけに限られるわけではない。イの手書きの書類は電磁的方式によるものではないので対象に含まれない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

企業の Web サイトに接続して Web ページを改ざんし,システムの使用目的に反する動作をさせて業務を妨害する行為を処罰の対象とする法律はどれか。

正解 ア

解説

Web ページを改ざんしてシステムに使用目的に反する動作をさせ,業務を妨害する行為は,刑法 234 条の 2 の電子計算機損壊等業務妨害罪に当たる。

イの特定商取引法は通信販売や訪問販売などの取引を規制する法律,ウの不正競争防止法は営業秘密の侵害や模倣品などを規制する法律,エのプロバイダ責任制限法はプロバイダの損害賠償責任の制限と発信者情報の開示について定めた法律であり,いずれもこの行為を処罰する根拠にはならない。

出典:平成27年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)