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応用情報技術者試験

平成24年度 春期 科目A(午前)

平成24年度 春期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

任意のオペランドに対するブール演算 A の結果とブール演算 B の結果が互いに否定の関係にあるとき,A は B の(又は,B は A の)相補演算であるという。排他的論理和の相補演算はどれか。

選択肢ごとに,二つの円が重なるベン図で演算の結果が塗り分けられている。ア 等価演算は,二つの円の重なり部分と,二つの円の外側が塗られている。イ 否定論理和は,二つの円の外側だけが塗られている。ウ 論理積は,二つの円の重なり部分だけが塗られている。エ 論理和は,二つの円の全体が塗られている。

正解 ア

解説

排他的論理和は,二つの入力が異なるときに真になる演算。その否定は「二つの入力が同じときに真」となり,これが等価演算(一致演算,XNOR)である。図でも,等価演算は二つの円の重なり部分(両方が真)と円の外側(両方が偽)が塗られていて,排他的論理和が真になる範囲とちょうど裏返しの関係になっている。アが正しい。

イの否定論理和は二つの円の外側だけなので,両方が真の場合が抜けており,相補にはならない。ウの論理積は重なり部分だけ,エの論理和は二つの円の全体で,いずれも排他的論理和の否定とは一致しない。

排他的論理和と等価演算 排他的論理和は,A と B のどちらか一方だけが真のときに真で,ベン図では2つの円の重なっていない部分。その否定は,両方が真(重なり)か両方が偽(円の外)のときに真になる等価演算(一致)で,塗る部分がちょうど裏返しになる。 A B 排他的論理和 A B 等価演算(一致)
排他的論理和の相補演算は等価演算。塗る部分が裏返しになる

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

M/M/1 の待ち行列モデルにおいて,一定時間内に到着する客数の分布はどれか。

正解 エ

解説

M/M/1 は,到着がポアソン過程(客が互いに独立にランダムに到着する)に従い,サービス時間が指数分布に従う,窓口(サーバ)が1つの待ち行列モデルである。ポアソン過程では,一定時間内に到着する客数がポアソン分布に従う。エが正しい。

イの指数分布は,客の到着間隔やサービス時間の分布である。アの一様分布とウの正規分布は,M/M/1 モデルで到着客数やサービス時間に仮定する分布ではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

次の BNF で定義される <DNA> に合致するものはどれか。

<DNA> ::= <コドン> | <DNA> <コドン>
<コドン> ::= <塩基> <塩基> <塩基>
<塩基> ::= A | T | G | C

正解 ウ

解説

<DNA> は,<コドン>を1個以上並べたものである。<コドン>は<塩基>3個で,<塩基>は A,T,G,C のどれか1文字なので,<DNA> に合致するのは,A,T,G,C だけからなる,文字数が3の倍数(3,6,9,…)の文字列である。AGC は3文字で,ウが合致する。

アの AC は2文字,イの ACGCG は5文字,エの ATGC は4文字で,いずれも3の倍数にならないので,<コドン>の繰返しとして表せない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

Unicode 文字列を UTF-8 でエンコードすると,各文字のエンコード結果の先頭バイトは2進表示が 0 又は 11 で始まり,それ以降のバイトは 10 で始まる。16 進表示された次のデータは何文字の Unicode 文字列をエンコードしたものか。

CF 80 E3 81 AF E7 B4 84 33 2E 31 34 E3 81 A7 E3 81 99

正解 ア

解説

UTF-8 では,各文字の先頭バイトが 0 又は 11 で始まり,それ以降のバイトは 10 で始まる。先頭バイトの数を数えると文字数になる。16進数の上位4ビットで見ると,0〜7(2進で 0 から始まる)と C〜F(2進で 11 から始まる)が先頭バイト,8〜B(2進で 10 から始まる)が後続バイトである。

与えられた18バイトを先頭から見ると,CF 80(2バイト),E3 81 AF(3バイト),E7 B4 84(3バイト),33,2E,31,34(それぞれ1バイト),E3 81 A7(3バイト),E3 81 99(3バイト)に分かれ,先頭バイトは 9個,後続バイトは 9個である。文字数は9で,アが正しい。イ〜エは,後続バイト(8〜B で始まるもの)の一部を先頭バイトと数えるなど,先頭バイトの見分けを誤ったときの値である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

図のように 16 ビットのデータを 4×4 の正方形状に並べ,行と列にパリティビットを付加することによって何ビットまでの誤りを訂正できるか。ここで,図の網掛け部分はパリティビットを表す。

4×4 のデータビットと,各行の右端・各列の下端に付けたパリティビット(網掛け)。1行目 1 0 0 0|1,2行目 0 1 1 0|0,3行目 0 0 1 0|1,4行目 1 1 0 1|1,列のパリティ 0 0 0 1。

正解 ア

解説

行と列にパリティビットを付けた水平垂直パリティでは,1ビットの誤りが起きると,その誤りを含む行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなる。合わない行と列の交点が誤りの位置なので,特定して反転すれば訂正できる。訂正できるのは1ビットまでで,アが正しい。

2ビットの誤りが同じ行や同じ列に並ぶと,その行(列)のパリティは偶数個の反転で元に戻ってしまい,誤りがあることすら分からなくなる。離れた位置の2ビットなら合わない行と列が2つずつ出るが,どの組合せが誤りかを決められないので,やはり訂正はできない。

水平垂直パリティで1ビットの誤りを見つける 4×4 のデータに行ごと・列ごとのパリティ(1の数を偶数にするビット)を付ける。1ビットが反転すると,その行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなるので,合わない行と列の交点が誤りの位置と分かり,反転して訂正できる。2ビットの誤りは,位置を決められないので訂正できない。 1 0 0 0 1 0 1 0 0 0 ← 合わない 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 0 0 0 1 ↑ 合わない 列のパリティ パリティ
合わない行と合わない列の交わるところが誤り。訂正できるのは1ビットまで

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

A,B,C の順序で入力されるデータがある。各データについてスタックへの挿入と取出しを1回ずつ行うことができる場合,データの出力順序は何通りあるか。

スタックの図。スタックの上端の右側から A,B,C の順にデータが入り,上端の左側へ取り出される。

正解 ウ

解説

スタックは後入れ先出しなので,各データの push と pop を1回ずつ行うときに得られる出力順序は ABC,ACB,BAC,BCA,CBA の5通り。

CAB は作れない。C を最初に出すには A,B,C を全て積む必要があり,その時点で残りは B,A の順にしか取り出せないため。なお,この個数は n=3 のカタラン数に一致する。

スタックで作れる出力順と作れない出力順 A,B,C の順に入力し,それぞれ1回ずつ積んで取り出す。ABC,ACB,BAC,BCA,CBA の5通りは作れる。CAB は作れない。C を最初に出すには A,B,C を全部積む必要があり,そのときスタックの上には B があるので,次に出せるのは B だけ(CBA になる)。 C を最初に出すとき A B C A,B,C を積む A B → C C を出す A → B 次は B しか出せない 作れる:ABC・ACB・BAC・BCA・CBA の5通り 作れない:CAB(C の次に A は出せない)
後から積んだものが先に出る。C を先に出したら,残りは B,A の順に決まる

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

次の手順はシェルソートによる整列を示している。データ列 7,2,8,3,1,9,4,5,6 を手順 (1)〜(4) に従って整列するとき,手順 (3) を何回繰り返して完了するか。ここで,[ ] は小数点以下を切り捨てた結果を表す。

〔手順〕

正解 ア

解説

データ数は9なので,手順(1)で H=[9÷3]=3 となる。手順(2)で間隔3の部分列ごとに整列した後,手順(3)で H=[3÷3]=1 とする(1回目)。H は0でないので手順(2)に戻り,間隔1(通常の挿入法)で整列した後,手順(3)で H=[1÷3]=0 とする(2回目)。手順(4)で H が0なので整列は完了する。

手順(3)は2回繰り返されるので,アが正しい。データの値の並びは回数に関係せず,データ数だけで決まる。

シェルソートの手順 データ数9なので H=[9÷3]=3。間隔3の部分列(1・4・7番目,2・5・8番目,3・6・9番目)をそれぞれ挿入法で整列する。手順(3)で H=[3÷3]=1(1回目)。間隔1で全体を挿入法で整列し,手順(3)で H=[1÷3]=0(2回目)になって完了する。 H=3 整列前 7 2 8 3 1 9 4 5 6 部分列ごと 3 1 6 4 2 8 7 5 9 同じ色が同じ部分列(3つおき) 手順(3) 1回目:H=[3÷3]=1 → 全体を挿入法で整列 手順(3) 2回目:H=[1÷3]=0 → 完了 繰り返すのは2回
手順(3)の回数はデータ数だけで決まる:H は 3 → 1 → 0 の2回

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

関数 gcd(m,n) が次のように定義されている。m=135,n=35 のとき,gcd(m,n) は何回呼ばれるか。ここで,最初の gcd(135,35) の呼出しも,1回に数えるものとする。また,m,n(m>n≧0)は整数とし,m mod n は m を n で割った余りを返すものとする。

関数の定義。gcd(m,n) は,n=0 のとき m,n>0 のとき gcd(n,m mod n)。

正解 ウ

解説

定義に従って呼出しを追う。gcd(135,35) では 135 mod 35=30 なので gcd(35,30) を呼ぶ。gcd(35,30) では 35 mod 30=5 なので gcd(30,5) を呼ぶ。gcd(30,5) では 30 mod 5=0 なので gcd(5,0) を呼ぶ。gcd(5,0) は n=0 なので 5 を返して終わる。

呼ばれるのは gcd(135,35),gcd(35,30),gcd(30,5),gcd(5,0) の4回で,ウが正しい。最後の n=0 の呼出しを数え忘れると3回(イ)と誤る。

gcd(135,35) の呼出しを追う gcd(135,35) は 135 mod 35=30 なので gcd(35,30) を呼ぶ。35 mod 30=5 なので gcd(30,5),30 mod 5=0 なので gcd(5,0) を呼ぶ。gcd(5,0) は n=0 なので 5 を返す。呼ばれるのは4回。 gcd(135,35) 1回目 135 mod 35=30 gcd(35,30) 2回目 35 mod 30=5 gcd(30,5) 3回目 30 mod 5=0 gcd(5,0) 4回目 n=0 → 5 を返す 呼ばれるのは4回(最大公約数は 5)
最後の gcd(5,0) も1回に数える

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

相異なる n 個のデータが昇順に整列された表がある。この表を m 個のデータごとのブロックに分割し,各ブロックの最後尾のデータだけを線形探索することによって,目的のデータの存在するブロックを探し出す。次に,当該ブロック内を線形探索して目的のデータを探し出す。このときの平均比較回数を表す式はどれか。ここで,m は十分に大きく,n は m の倍数とし,目的のデータは必ず表の中に存在するものとする。

正解 イ

解説

表は n/m 個のブロックに分かれる。まず各ブロックの最後尾を先頭から線形探索するので,目的のブロックに着くまでの比較回数は平均で (n/m)/2=n/(2m) 回になる。次にそのブロック内の m 個を線形探索するので,平均 m/2 回の比較が加わる。

合計の平均比較回数は m/2+n/(2m) で,イが正しい。m が十分に大きいので,線形探索の平均回数を (個数+1)/2 ではなく 個数/2 で近似している。アとウはブロック内・ブロック間の探索を平均でなく全件の回数で数えたもの,エはブロック内の探索を数えていない。

ブロックに分けた探索の平均比較回数 昇順に並んだ n 個を m 個ずつのブロックに分けると,ブロックは n/m 個。まず各ブロックの最後尾だけを先頭から調べて,目的のブロックを見つける(平均 n/(2m) 回)。次にそのブロックの m 個を調べる(平均 m/2 回)。合計 m/2 + n/(2m)。 ブロック1 ブロック2 ブロック3 ブロック4 ブロック5 ① 最後尾(塗ったマス)だけを先頭から ① ブロックは n/m 個 → 平均 n/(2m) 回 ② 見つけたブロックの m 個の中 → 平均 m/2 回 平均 = m/2 + n/(2m)
最後尾をたどる回数と,ブロックの中を調べる回数を足す

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

キャッシュメモリにおけるダイレクトマップ方式の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ダイレクトマップ方式(直接マッピング方式)は,主記憶の1つのメモリブロックが入れるキャッシュ内の位置(ロケーション)を,ブロックのアドレスから1か所に決める方式である。イが適切である。

アはアドレスが連続した複数のブロックをまとめたセクタを任意の位置に割り当てるセクタマッピング方式,ウはブロックを任意の位置に割り当てるフルアソシアティブ方式,エはブロックを置ける位置が複数あるセットアソシアティブ方式の説明である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

スーパスカラの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

スーパスカラは,複数のパイプラインを並べ,同時に実行できる複数の命令をそれぞれのパイプラインで並列に実行することで高速化を図る方式である。ウが適切である。

アはベクトルレジスタの長さに分割してベクトル演算を繰り返すベクトルプロセッサの処理(ループ分割)の説明。イはパイプラインの段数を増やして1段当たりの処理を細かくするスーパパイプラインの説明。エは同時に実行できる命令をまとめた長い命令語で複数の演算ユニットを同時に制御する VLIW の説明である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

同じ命令セットをもつコンピュータ A と B がある。それぞれの CPU クロック周期,及びあるプログラムを実行したときの CPI(Cycles Per Instruction)は,表のとおりである。そのプログラムを実行したとき,コンピュータ A の処理時間は,コンピュータ B の処理時間の何倍になるか。

表。コンピュータ A:CPU クロック周期 1ナノ秒,CPI 4.0。コンピュータ B:CPU クロック周期 4ナノ秒,CPI 0.5。

正解 ウ

解説

1命令あたりの実行時間は CPU クロック周期×CPI で求められる。コンピュータ A は 1ナノ秒×4.0=4ナノ秒,コンピュータ B は 4ナノ秒×0.5=2ナノ秒。

同じ命令セットの同じプログラム(=実行命令数が同じ)なので,処理時間の比はそのまま 4÷2=2 倍になる。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

キャッシュメモリを搭載した CPU の書込み動作において,主記憶及びキャッシュメモリに関し,コヒーレンシ(一貫性)の対策が必要な書込み方式はどれか。

正解 イ

解説

ライトバック方式は,データをまずキャッシュメモリだけに書き込み,主記憶への反映は後から行う方式である。反映するまでの間は,キャッシュメモリの内容が新しく主記憶の内容が古いという食い違いが生じるので,主記憶を直接参照する他の装置などに古いデータが使われないよう,一貫性(コヒーレンシ)を保つ対策が必要になる。イが正しい。

アのライトスルー方式は,キャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,主記憶の内容は常に最新であり,一貫性の問題は生じにくい。ウのライトバッファは書込みデータを一時的に蓄えるバッファ,エのライトプロテクトは書込みを禁止する機能で,いずれもキャッシュメモリの書込み方式ではない。

ライトスルーとライトバック ライトスルー方式は,CPU が書き込むたびにキャッシュメモリと主記憶の両方に書くので,主記憶の内容は常に最新だが,書込みは主記憶の速さに引きずられる。ライトバック方式は,キャッシュメモリにだけ書いて済ませ,そのブロックがキャッシュから追い出されるときにまとめて主記憶に書き戻す。書込みは速いが,追い出されるまで主記憶は古いまま。 ライトスルー CPU キャッシュ 主記憶 書く 同時に書く 主記憶は常に最新,書込みは遅い ライトバック CPU キャッシュ 主記憶 書く 追い出すときに まとめて書き戻す 速いが,主記憶は古いことがある
ライトスルーは主記憶が常に最新,ライトバックは追い出すときに書き戻す

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

RAID の分類において,ミラーリングを用いることで信頼性を高め,障害発生時には冗長ディスクを用いてデータ復元を行う方式はどれか。

正解 ア

解説

RAID1 は,同じデータを2台以上のディスクに書き込むミラーリングの方式である。一方のディスクに障害が起きても,もう一方の冗長なディスクに同じデータがあるので,そこからデータを復元できる。アが正しい。

イの RAID2 はハミング符号による誤り訂正用のディスクを使う方式,ウの RAID3 はバイト単位でデータを分散し専用のディスクにパリティを記録する方式,エの RAID4 はブロック単位でデータを分散し専用のディスクにパリティを記録する方式で,いずれもミラーリングではなくパリティなどの冗長情報でデータを復元する。

RAID1・3・4・5 の違い RAID1 は同じデータを2台に書くミラーリング。RAID3 はビット(バイト)単位で分散し,パリティを専用の1台に固定する。RAID4 はブロック単位で分散し,パリティを専用の1台に固定する。RAID5 はブロック単位で分散し,パリティを全ての台に分散する。 RAID1 ミラーリング A B A B RAID3 ビット単位・パリティ固定 a1 b1 a2 b2 P P RAID4 ブロック単位・パリティ固定 A1 B1 A2 B2 P P RAID5 ブロック単位・パリティ分散 A1 B1 A2 P P B2 P:パリティ(1台壊れても残りから復元できる)
分散の単位(ビット・ブロック)と,パリティの置き場(固定・分散)で見分ける

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

ストアドプロシージャの特徴を生かして通信回数を減らしたシステムをクライアントサーバシステムで実現するとき,クライアントとサーバの機能分担構成はどれか。ここで,データベースアクセス層は DB 層,ファンクション層は FN 層,プレゼンテーション層は PR 層とそれぞれ略す。

正解 イ

解説

ストアドプロシージャは,一連の SQL 文と処理手順をあらかじめデータベース側に登録(格納)しておき,クライアントから呼び出して実行する仕組みである。複数の SQL 文を送り,その結果を受け取って処理するという往復をサーバ内で済ませられるので,クライアントとサーバの間の通信回数を減らせる。業務処理(FN 層)の一部がサーバ側に移るので,クライアントが FN 層と PR 層,サーバが DB 層と FN 層を受け持つ構成になり,イが適切である。

アはクライアントが DB 層まで受け持つので,SQL 文のやり取りが多くなり,通信回数を減らせない。ウはサーバ側に PR 層があり,利用者とのやり取りを受け持つ層が二重になる不自然な構成である。エはクライアントが PR 層だけを受け持つ構成で,ストアドプロシージャで減らせる DB 層と FN 層の間の通信とは関係がない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

クラスタリングで,処理を実行しているノード X に障害が発生すると,他のノード Y に処理が引き継がれる。元のノード X の障害が復旧した後,再びノード Y から処理を引き継ぐことを何と言うか。

正解 イ

解説

クラスタリングで,障害が起きたノード X から別のノード Y に処理が引き継がれることをフェールオーバという。X の障害が復旧した後,処理を Y から X へ戻すことをフェールバックという。イが正しい。

アのフェールオーバは,障害時に処理を別のノードへ引き継ぐ動作である。エのフォールバックは,障害時などに機能や性能を落として運転を続けるなど,代替の手段に切り替えることを指すことが多く,元のノードへの復帰を表す言葉ではない。ウのフォールダウンは,この意味で使われる用語ではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

信頼度関数が R1(t) 及び R2(t) である2台の装置からなるシステム全体の信頼度関数に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,信頼度関数とは時刻 t において装置が正常に稼働する確率である。

正解 イ

解説

システムを構成する装置が全て正常に動作していなければならない直列接続では,システム全体の信頼度は,各装置の信頼度の積 R1(t)×R2(t) になる。イが適切である。

並列接続では,どちらかが動作していればよいので,全体の信頼度は 1−(1−R1(t))×(1−R2(t)) で表される。アとウの和 R1(t)+R2(t) は,確率なのに 1 を超えることがあり,どちらの接続でも成り立たない。エの積は,並列ではなく直列の信頼度である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

スループットの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

スループットは,単位時間当たりに処理できるジョブの件数(処理量)である。エが適切である。スプーリングは,低速な出力装置への出力をいったん磁気ディスクなどに蓄えておき,CPU を待たせずに次のジョブの処理に移れるようにする方式で,スループットの向上に役立つ。

アはジョブを投入してから結果が全て得られるまでの時間なので,ターンアラウンドタイムの説明である。イは稼働時間を運用時間で割った稼働率の考え方である。ウはジョブの同時実行可能数で,多重度に当たる。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

あるクライアントサーバシステムにおいて,クライアントから要求された1件の検索を処理するために,サーバで平均 100 万命令が実行される。1件の検索につき,ネットワーク内で転送されるデータは,平均 2×105 バイトである。このサーバの性能は 100 MIPS であり,ネットワークの転送速度は,8×107 ビット/秒である。このシステムにおいて,1秒間に処理できる検索要求は何件か。ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。また,1バイトは8ビットとする。

正解 ア

解説

サーバは 100 MIPS,すなわち1秒間に 100 万命令を実行でき,1件の検索に 100 万命令が必要なので,1秒間に処理できるのは 100 件である。ネットワークは1件当たり 2×105 バイト=1.6×106 ビットを転送し,転送速度が 8×107 ビット/秒なので,1秒間に転送できるのは 8×107÷1.6×106=50 件である。

システム全体で処理できる件数は,遅いほうのネットワークで決まり,1秒間に 50 件となる。アが正しい。1バイト=8ビットの換算を忘れると,ネットワークが 400 件(エ)となり,サーバの 100 件(イ)が上限と誤る。

サーバとネットワークで,1秒に処理できる件数を比べる サーバは 100 MIPS で1件 100 万命令なので,1秒に 100 件。ネットワークは1件 2×10⁵ バイト=1.6×10⁶ ビットを 8×10⁷ ビット/秒で送るので,1秒に 50 件。全体は遅いほうのネットワークで決まり,1秒に 50 件。バイトをビットにし忘れるとネットワークが 400 件になり,サーバの 100 件を答えてしまう。 サーバ 100 件/秒 100 MIPS ÷ 100 万命令 ネットワーク 50 件/秒 8×10⁷ ÷ 1.6×10⁶ ビット システム全体:1 秒に 50 件(ア)
遅いほう(ネットワークの 50 件)で決まる

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

二つのタスクの優先度と各タスクを単独で実行した場合の CPU と入出力装置(I/O)の動作順序と処理時間は,表のとおりである。二つのタスクが同時に実行可能状態になってから,全てのタスクの実行が終了するまでの経過時間は何ミリ秒か。ここで,CPU は1個であり,I/O の同時動作はできないものとし,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。また,表の( )内の数字は処理時間を示すものとする。

タスクの表(単位 ミリ秒)。優先度 高:CPU(2)→I/O(7)→CPU(3)→I/O(4)→CPU(3)。優先度 低:CPU(2)→I/O(3)→CPU(2)→I/O(2)→CPU(3)。

正解 エ

解説

CPU は1個で高優先度のタスクを先に使い,I/O は同時に一つしか動かない。時刻を追うと,0〜2 高 CPU,2〜4 低 CPU(高は I/O 待ち),2〜9 高 I/O,9〜12 低 I/O(高 I/O の終了を待つ),9〜12 高 CPU,12〜16 高 I/O,12〜14 低 CPU,16〜18 低 I/O(高 I/O の終了を待つ),16〜19 高 CPU で高が終了,19〜22 低 CPU で低が終了する。

全てのタスクが終わるのは 22 ミリ秒で,エが正しい。I/O を同時に動かせると考えて待ちを入れないと,より短い時間になってしまう。

2つのタスクの CPU と I/O の使い方 CPU は1個で優先度の高いタスクが先に使い,I/O も同時には1つしか動かない。高 CPU 0〜2,高 I/O 2〜9,低 CPU 2〜4,低 I/O 9〜12(高の I/O の終わりを待つ),高 CPU 9〜12,高 I/O 12〜16,低 CPU 12〜14,低 I/O 16〜18,高 CPU 16〜19 で高が終わり,低 CPU 19〜22 で全て終わる。 CPU 高 低 高 低 高 低 I/O 高 低 高 低 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 塗った帯が優先度の高いタスク 全部終わる 22
I/O も1つしか動かないので,空くまで待つ。全て終わるのは 22 ミリ秒

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

ページング方式の仮想記憶において,ページ置換えの発生頻度が高くなり,システムの処理能力が急激に低下することがある。このような現象を何と呼ぶか。

正解 ア

解説

仮想記憶で実装している主記憶が不足すると,ページの読込みと追出し(ページイン・ページアウト)が頻発し,CPU がその処理に追われて本来の処理がほとんど進まなくなる。この現象をスラッシングといい,アが正しい。

イのスワップアウトは,主記憶上のプロセスやページを補助記憶に退避させる操作そのもの。ウのフラグメンテーションは,記憶領域が細切れの空き領域に分断されて有効に使えなくなる現象。エのページフォールトは,参照したページが主記憶上にないときに発生する割込みである。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

プロセスを,実行状態,実行可能状態,待ち状態,休止状態の四つの状態で管理するプリエンプティブなマルチタスクの OS 上で,A,B,C の三つのプロセスが動作している。各プロセスの現在の状態は,A が待ち状態,B が実行状態,C が実行可能状態である。プロセス A の待ちを解消する事象が発生すると,それぞれのプロセスの状態はどのようになるか。ここで,プロセス A の優先度が最も高く,C が最も低いものとし,CPU は1個とする。

正解 エ

解説

プリエンプティブなマルチタスクの OS では,実行可能状態になったプロセスの優先度が,実行中のプロセスより高ければ,実行中のプロセスから CPU を取り上げて実行する。プロセス A の待ちが解消されると A は実行可能状態になるが,優先度が最も高いので,実行状態の B から CPU を奪って実行状態になる。B は実行可能状態に戻り,C は実行可能状態のままである。エが正しい。

アは優先度の最も高い A が実行可能状態のまま低い B が実行されており,プリエンプティブな動作ではない。イは B が待ち状態に,ウは C が休止状態になっているが,この事象でそのような状態になる理由はない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

ECC メモリの使用例として適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ECC メモリは,データに誤り訂正符号(ECC)を付けて記憶し,1ビット程度の誤りを検出して訂正できるメモリである。障害が起きたときの影響が大きく,高い信頼性が求められるサーバなどで,メモリの誤り訂正に使われる。ウが適切である。

アの RAID3 はパリティ専用のディスクを使う方式で,メモリではない。イの携帯電話の通信,エの地上デジタル放送の通信は,伝送路での誤り制御の話で,メモリ素子の誤り訂正を行う ECC メモリの使用例ではない。また,冗長なビットを付ける ECC は,情報転送量を最大化するためのものではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

ワンチップマイコンにおける内部クロック発生器のブロック図を示す。15 MHz の発振器と,内部の PLL1,PLL2 及び分周器の組合せで CPU に 240 MHz,シリアル通信(SIO)に 115 kHz のクロック信号を供給する場合の分周器の値は幾らか。ここで,シリアル通信のクロック精度は±5%以内に収まればよいものとする。

内部クロック発生器のブロック図。発振器(15MHz)→PLL1(8逓倍)。PLL1 の出力は PLL2(2逓倍)と分周器に分かれる。PLL2 の出力は 240MHz で CPU へ,分周器の出力は 115kHz(±5%)で SIO へ供給される。

正解 エ

解説

分周器に入るのは PLL1 の出力で,15MHz×8=120MHz。ここを 1/2n に分周して 115kHz に近づける。1/210 なら 120,000÷1,024≒117.2kHz で,115kHz との差は約1.9%なので ±5% 以内に収まる。エが正しい。

ウの 1/28 では 120,000÷256≒468.8kHz と4倍以上ずれ,イやアの分周比ではさらに大きく外れる。CPU 向けの 240MHz は PLL1 の出力を PLL2 で2逓倍して得ており,分周器はその手前の 120MHz から分岐している点に注意する。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

テクスチャマッピングを説明したものはどれか。

正解 エ

解説

テクスチャマッピングは,3次元の物体の表面に,木目や布地などの模様を表した画像(テクスチャ)を貼り付けることで,表面の質感を表現する技法である。エが該当する。

アは光源からの光の反射,屈折,透過をたどって描画するレイトレーシング。イは光源と物体の形状に基づいて陰影を付けるシェーディング。ウは表示画面からはみ出す部分をあらかじめ取り除くクリッピングの説明である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

販売価格が決められていない“商品”表に,次の SQL 文を実行して販売価格を設定する。このとき,販売ランクが b の商品の販売価格の平均値は幾らか。

UPDATE 商品 SET 販売価格 =
    CASE
        WHEN 販売ランク = 'a' THEN 単価 * 0.9
        WHEN 販売ランク = 'b' THEN 単価 - 500
        WHEN 販売ランク = 'c' THEN 単価 * 0.7
        ELSE 単価
    END
商品表。列は商品番号,商品名,販売ランク,単価,販売価格。1001,U,a,2,000,NULL。2002,V,b,2,000,NULL。3003,W,a,3,000,NULL。4004,X,c,3,000,NULL。5005,Y,b,4,000,NULL。6006,Z,d,100,NULL。

正解 エ

解説

UPDATE 文の CASE 式は,販売ランクに応じて販売価格を決める。ランクが b の行は,商品番号 2002(V)が単価 2,000−500=1,500,商品番号 5005(Y)が単価 4,000−500=3,500 である。

平均は(1,500+3,500)÷2=2,500 で,エが正しい。ランク a(単価×0.9),ランク c(単価×0.7),それ以外の d(ELSE で単価のまま)の行は,ランク b の平均には含まれない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

第1,第2,第3正規形とそれらの特徴 a〜c の組合せとして,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

第1正規形は,一つの欄に複数の値が入る繰返し属性をなくした形なので c。第2正規形は,第1正規形であって,非キー属性が主キーの一部(真部分集合)だけで決まる部分関数従属をなくした形なので a。第3正規形は,第2正規形であって,非キー属性が別の非キー属性を介して主キーに従属する推移的関数従属をなくした形なので b。よってウの組合せになる。

正規化は,繰返しをなくす(c)→ 複合キーの一部だけで決まる属性を分離する(a)→ 非キー属性どうしの従属を分離する(b)の順に進む。ア・イ・エはこの対応が入れ替わっている。

正規化で表を分けていく 受注明細(受注番号,商品番号,顧客番号,顧客名,商品名,数量)の例。主キーは受注番号と商品番号の組。第2正規形にするには,主キーの一部だけで決まる属性を分ける(受注番号で決まる顧客番号・顧客名,商品番号で決まる商品名)。第3正規形にするには,主キー以外の属性で決まる属性を分ける(顧客番号で決まる顧客名)。 第1正規形(1つの欄に1つの値) 受注明細( 受注番号 , 商品番号 , 顧客番号 , 顧客名 , 商品名 , 数量 ) 受注番号だけで顧客番号・顧客名が,商品番号だけで商品名が決まる 第2正規形(キーの一部で決まる属性を分ける) 受注( 受注番号 , 顧客番号 , 顧客名 ) 受注明細( 受注番号 , 商品番号 , 数量 ) 商品( 商品番号 , 商品名 ) 受注の中で,顧客番号から顧客名が決まる(推移的関数従属) 第3正規形(キー以外で決まる属性を分ける) 受注( 受注番号 , 顧客番号 ) 顧客( 顧客番号 , 顧客名 ) +受注明細・商品
下線は主キー。第2は「キーの一部で決まるもの」,第3は「キー以外で決まるもの」を別の表へ

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

関係データベース管理システム(RDBMS)の表へのアクセスにおいて,特定の利用者だけにアクセス権を与える方法として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

SQL の GRANT 文は,表やビューに対する SELECT,INSERT,UPDATE,DELETE などの権限を,指定した利用者に与える文である。特定の利用者だけに表を更新する権限を与えるには GRANT 文を使う。エが適切である。与えた権限を取り消すには REVOKE 文を使う。

アの CONNECT 文は,データベースへの接続(セッション)を確立するための文で,表ごとのアクセス権を与えるものではない。イの CREATE ASSERTION 文は,複数の表にまたがる整合性の制約(表明)を定義する文である。ウの参照制約は,外部キーの値が参照先の表に存在することを保証する参照整合性の制約であり,いずれも利用者ごとのアクセス権とは関係がない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

関係データベースの表定義において,列の値の重複を禁止するために指定する字句はどれか。

正解 エ

解説

表を定義するとき,列の値の重複を禁止する制約は UNIQUE である。エが正しい。

アの CLUSTERING は,データを物理的に近い位置にまとめるための指定で,重複の禁止ではない。イの DISTINCT は,SELECT 文の結果から重複する行を取り除く指定で,表の定義には使わない。ウの NOT NULL は,列に NULL(値なし)を入れることを禁止する制約で,値の重複は禁止しない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

トランザクションが,データベースに対する更新処理を完全に行うか,全く処理しなかったかのように取り消すか,のいずれかを保証する特性はどれか。

正解 イ

解説

原子性(atomicity)は,トランザクションの処理が全て実行されるか,全く実行されなかったかのように取り消されるかのどちらかであることを保証する特性である。イが正しい。

アの一貫性はトランザクションの実行前後でデータベースの整合性が保たれる特性,ウの耐久性はコミットした結果が障害が起きても失われない特性,エの独立性は同時に実行される複数のトランザクションが互いに影響を与えない特性である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

DBMS の媒体障害時の回復法はどれか。

正解 エ

解説

媒体障害は記憶媒体そのものが壊れる障害で,データベースの内容が失われる。回復するには,まずバックアップコピーから復元し,その後にログを使って,バックアップ取得以降にコミットされたトランザクションをロールフォワードして障害直前の状態まで進める。エが正しい。

アはトランザクション障害での回復,ウはシステム障害での回復に当たり,どちらも媒体は無事なのでロールバックで済む。イもシステム障害での回復で,バックアップからの復元を伴わない点が媒体障害の場合と異なる。

媒体障害からの回復 媒体障害ではディスクの内容そのものが失われる。まずバックアップからデータベースを復元し,バックアップを取った後にコミットしたトランザクションを,ログの更新後情報で順に反映して(ロールフォワードして)障害の直前まで戻す。 バックアップ T1 コミット T2 コミット T3 コミット 媒体障害 ② 更新後ログで T1〜T3 をロールフォワード ① 復元
バックアップで「その時点」に戻し,更新後ログで「障害の直前」まで進める

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

CSMA/CD 方式の LAN で使用されるスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)は,フレームの蓄積機能,速度変換機能や交換機能をもっている。このようなスイッチングハブと同等の機能をもち,同じプロトコル階層で動作する装置はどれか。

正解 イ

解説

スイッチングハブはデータリンク層(第2層)で MAC アドレスを見てフレームを転送する装置。同じ第2層で動作し,フレームをいったん蓄積してから転送するのがブリッジで,スイッチングハブは多ポートのブリッジといえる。イが正しい。

アのゲートウェイはトランスポート層より上位でプロトコルの変換を行う装置。ウのリピータは物理層(第1層)で信号を増幅・整形するだけで,宛先は見ない。エのルータはネットワーク層(第3層)で IP アドレスを見て経路を選ぶ装置である。

コリジョンドメインとブロードキャストドメイン リピータハブは信号をそのまま全ポートに流すので,つながった機器は1つのコリジョンドメインになる。スイッチ(ブリッジ)はポートごとにコリジョンドメインを分けるが,ブロードキャストは全ポートに中継する。ルータはブロードキャストも中継しないので,ブロードキャストドメインはルータで分かれる。 PC1 PC2 ハブ スイッチ PC3 ルータ PC4 コリジョンドメイン PC1・PC2・ハブ PC3 PC4 ブロードキャストドメイン ルータの手前はすべて同じ 別
コリジョンドメインは4つ(スイッチとルータの間も1つ),ブロードキャストドメインは2つ

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

TCP/IP ネットワークにおける ARP の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ARP(Address Resolution Protocol)は,通信相手の IP アドレスは分かっているが MAC アドレスが分からないときに,同じネットワーク上へ問合せをブロードキャストして MAC アドレスを得るプロトコル。アが正しい。

イの誤り制御や到達不能の通知を行うのは ICMP。ウのホップ数で経路を制御するのは RIP などのルーティングプロトコル。エの動的な IP アドレスの割当ては DHCP である。

ARP で MAC アドレスを調べる PC A が 192.168.1.20 の MAC アドレスを知りたいとき,「この IP アドレスの人は MAC アドレスを教えて」という ARP 要求をブロードキャストで LAN 全体に送る。その IP アドレスをもつ機器だけが ARP 応答で自分の MAC アドレスを返し,PC A は ARP キャッシュに覚える。宛先が別のネットワークにあるときは,デフォルトゲートウェイ(ルータ)の MAC アドレスを調べてルータに渡す。 PC A 192.168.1.10 PC B 192.168.1.15 サーバ C 192.168.1.20 ルータ 192.168.1.1 ① ARP 要求(ブロードキャスト) 「192.168.1.20 の人,MAC アドレスを教えて」 ② ARP 応答(サーバ C だけが返す) 「MAC アドレスは 00-1B-…」 別のネットワーク宛てなら,ルータ(.1)の MAC を調べて渡す
要求はブロードキャスト(ルータを越えない),応答はその1台からだけ

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

二つの IPv4 ネットワーク 192.168.0.0/23 と 192.168.2.0/23 を集約したネットワークはどれか。

正解 ア

解説

192.168.0.0/23 は第3オクテットが 0〜1,192.168.2.0/23 は 2〜3 の範囲を表し,合わせると 192.168.0.0〜192.168.3.255 になる。第3オクテットの 0〜3 は2進数で 000000xx の形で,上位6ビットが共通なので,プレフィックス長は 16+6=22 になる。集約したネットワークは 192.168.0.0/22 で,アが正しい。

イの 192.168.1.0/22 は,第3オクテットが4の倍数でないので,/22 のネットワークアドレスとして成り立たない。ウの 192.168.1.0/23 とエの 192.168.3.0/23 は,第3オクテットが奇数で /23 のネットワークアドレスにならず,範囲も二つの /23 を合わせたものではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

図で示したネットワーク構成において,アプリケーションサーバ A 上の DBMS のデーモンが異常終了したという事象とその理由を,監視用サーバ X で検知するのに有効な手段はどれか。

ネットワーク構成図。左のネットワークに監視用サーバ X とルータが,右のネットワークにルータとアプリケーションサーバ A が接続されている。二つのネットワークはルータで結ばれている。

正解 イ

解説

SNMP トラップは,監視される側の機器(SNMP エージェント)が,異常などの事象が起きたときに監視する側(マネージャ)へ自発的に通知する仕組みである。アプリケーションサーバ A 側で DBMS のデーモンが異常終了したことを検知して,その内容を監視用サーバ X へ通知させれば,事象とその理由を X で検知できる。イが有効である。

アの ICMP 宛先到達不能メッセージは,IP パケットを届けられないときにルータやホストが送信元へ返すもので,DBMS のデーモンの異常を知らせるものではない。ウの finger は利用者情報を問い合わせるコマンドである。エの ping は ICMP のエコー要求で到達性を確かめるだけなので,デーモンが止まっても A 自体が動いていれば応答が返り,異常を検知できない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

所有者と公開鍵の対応付けをするのに必要なポリシや技術の集合によって実現される基盤はどれか。

正解 イ

解説

PKI(公開鍵基盤)は,認証局(CA)が公開鍵証明書を発行することで,所有者と公開鍵の対応付けを保証し,公開鍵暗号やディジタル署名を安全に使えるようにする基盤である。イが正しい。

アの IPsec は IP 層で通信を暗号化や認証するプロトコル,ウのゼロ知識証明は秘密にしている情報を明かさずにその情報を知っていることを証明する方法,エのハイブリッド暗号は共通鍵暗号と公開鍵暗号を組み合わせて使う方式である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

WAF の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

WAF(Web Application Firewall)は,Web アプリケーションとやり取りされる通信の内容を検査し,SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃に特徴的なパターンを含む通信を検知して遮断する仕組みである。エが適切である。

アは実際に侵入を試みて脆弱性を確認するペネトレーションテスト,イは SSL の暗号化と復号を専用機器で肩代わりする SSL アクセラレータ,ウはシステム管理者が質問に答えて情報セキュリティ対策のレベルを診断する自己診断ツール(チェックシートなど)の説明である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

ディジタル署名などに用いるハッシュ関数の特徴はどれか。

正解 ウ

解説

ディジタル署名などに用いるハッシュ関数には,メッセージダイジェスト(ハッシュ値)から元のメッセージを求めることが困難である一方向性が求められる。ウが正しい。

アは誤りで,同じメッセージダイジェストになる異なる二つのメッセージを見つけることが困難である(衝突困難性)ことも求められる。イは誤りで,メッセージが少しでも異なればメッセージダイジェストは大きく変わる。エは誤りで,メッセージダイジェストはメッセージの長さに関係なく固定長になる。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

手順に示すクライアントとサーバの処理と通信で可能になることはどれか。

〔手順〕

正解 ウ

解説

この手順はチャレンジレスポンス認証である。パスワードそのものではなく,パスワードのメッセージダイジェストとチャレンジから計算したレスポンスを送るので,ネットワーク上にパスワードが流れず,盗聴されても漏えいしない。また,チャレンジは要求のたびに異なる予測困難な値なので,盗聴したレスポンスを再送しても照合に通らず,リプレイ攻撃を防げる。ウが正しい。

アとイのビット誤りの訂正は行わない。照合が一致しなければ認証に失敗するだけである。エの利用者 ID は手順(2)で平文のままサーバへ送られるので,漏えいは防止されない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

ディジタル署名における署名鍵の用い方と,ディジタル署名を行う目的のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ディジタル署名では,送信者が自分の署名鍵(秘密鍵)でメッセージのハッシュ値などから署名を作成してメッセージに付け,受信者は送信者の検証鍵(公開鍵)で署名を検証する。署名鍵をもつのは送信者だけなので,検証に成功すれば送信者を確認でき,メッセージが改ざんされていないことも確かめられる。ウが適切である。

アの受信者が暗号文を元に戻すのは暗号化通信での復号であり,署名鍵は送信者だけがもつ鍵で受信者は使わない。イのディジタル署名で分かるのは改ざんの有無で,改ざんされた部位までは特定できない。エのメッセージの内容を関係者以外に分からないようにするのは暗号化による機密性の確保で,ディジタル署名の目的ではない。

ディジタル署名の作り方と確かめ方 送信者は文書のハッシュ値を求め,自分の秘密鍵で変換して署名を作り,文書に付けて送る。受信者は署名を送信者の公開鍵で戻し,受け取った文書から自分で求めたハッシュ値と比べる。一致すれば,文書は書き換えられておらず,送信者の秘密鍵で作られたと分かる。暗号化とは鍵の使い方が逆になる。 送信者 受信者 文書 ハッシュ関数 ハッシュ値 送信者の秘密鍵 署名 文書 ハッシュ ハッシュ値 =? ハッシュ値 署名 送信者の公開鍵 一致 → 書き換えられていない・送信者が作った(否認防止) 署名:送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる 暗号化:受信者の公開鍵で暗号化し,受信者の秘密鍵で戻す
署名は送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる(暗号化と逆)

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

サイト運営者に不特定の利用者が電子メールで機密データを送信するに当たって,機密性を確保できる仕組みのうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

不特定の利用者から機密データを受け取るには,サイト運営者が自分の公開鍵を公開し,利用者がそれでデータを暗号化して送ればよい。復号できるのは対になる秘密鍵を持つサイト運営者だけなので,機密性を確保できる。公開鍵を SSL で保護された Web ページに置けば,偽の公開鍵にすり替えられるおそれも減らせる。イが適切である。

アの共通鍵を公開すると,誰でも暗号文を復号できてしまうので機密性を確保できない。ウとエの利用者の秘密鍵で暗号化したデータは,公開されている利用者の公開鍵で誰でも復号できるので,機密性は確保できない(これは署名の用途である)。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

JIS Q 27001 では,情報セキュリティは三つの特性を維持するものとして特徴付けられている。それらのうちの二つは機密性と完全性である。残りの一つはどれか。

正解 イ

解説

JIS Q 27001 では,情報セキュリティを,情報の機密性,完全性及び可用性を維持することと特徴付けている。機密性は認可された者だけが情報にアクセスできること,完全性は情報と処理方法が正確・完全であること,可用性は認可された者が必要なときに情報にアクセスできることである。残りの一つは可用性で,イが正しい。

ア,ウ,エの安全性,効率性,保守性は,この三つの特性には含まれない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

Web アプリケーションにおける脅威とそのセキュリティ対策の適切な組合せはどれか。

正解 イ

解説

SQL インジェクションは,入力値に SQL 文の一部を紛れ込ませて,データベースへの問合せを不正に変える攻撃である。バインド機構(プレースホルダ)を使うと,SQL 文の構造を先に確定させてから入力値をパラメタとして埋め込むので,入力値が SQL 文の一部として解釈されなくなる。IPA の“安全なウェブサイトの作り方”でも根本的な対策として示されている。イが適切である。

アのセッション ID を推測困難にするのはセッションハイジャックの対策。ウの入力データをファイル名として直接指定しないのはディレクトリトラバーサルの対策。エのシェルを起動できないようにするのは OS コマンドインジェクションの対策で,いずれも脅威と対策の組合せが入れ替わっている。

SQL インジェクションとプレースホルダ 入力を文字列としてつなげて SQL 文を作ると,入力の「' OR '1'='1」が文の一部になり,条件が常に真になって全員の行が返る。プレースホルダを使うと SQL 文の形が先に決まり,入力はまるごと1つの値として当てはめられるので,命令として解釈されない。 文字列をつなげて SQL 文を作ると 入力:' OR '1'='1 SELECT * FROM 会員 WHERE id = '' OR '1'='1' 入力の引用符で文が閉じ,OR 以下が条件に加わる → 常に真で全員分が返る プレースホルダを使うと SELECT * FROM 会員 WHERE id = ? 形が先に決まる ' OR '1'='1 ← 1つの値として入る 入力 「id が ' OR '1'='1 の会員」を探すだけになる
根本の対策は,SQL 文の形を先に確定させるプレースホルダ

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

ステガノグラフィを説明したものはどれか。

正解 エ

解説

ステガノグラフィは,伝えたいメッセージを画像や音声などの別のデータの中に,見た目や聞こえ方ではほとんど分からない形で埋め込み,メッセージが存在すること自体を隠す技術である。エが該当する。暗号がメッセージの中身を読めなくするのに対し,ステガノグラフィはメッセージがあることを気付かせない点が違う。

アのデータをコピーできないようにする技術はコピーガード(コピープロテクト)である。イの決まった規則に従ってデータを変換して解読できないようにするのは暗号化である。ウの文書の正当性を保証するために付ける暗号化された署名情報はディジタル署名である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

オブジェクト指向における抽象クラスで,できないことはどれか。

正解 ア

解説

抽象クラスは,具体的な処理を決め切らず,サブクラスに継承させて使うためのクラスなので,そのクラスだけではインスタンス(実体)を生成できない。アが「できない」ことである。

抽象クラスでも,継承されてサブクラスをもつこと(イ)は可能で,むしろそのために作る。別のクラスを継承してスーパクラスをもつこと(ウ)や,属性をもつこと(エ)もできる。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

安全性や信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。

“不特定多数の人が使用するプログラムには,自分だけが使用するプログラムに比べて,より多くのデータチェックの機能を組み込む。プログラムが処理できるデータの前提条件を文書に書いておくだけでなく,その前提を満たしていないデータが実際に入力されたときは,エラーメッセージを表示して再入力を促すようにプログラムを作る。”

正解 ア

解説

フールプルーフは,利用者が誤った操作をしたり想定外のデータを入力したりしても,システムが異常な動作をしないようにあらかじめ防いでおく考え方である。前提条件を満たさないデータが入力されたらエラーメッセージを出して再入力を促す,という方針はこれに当たる。アが正しい。

イのフェールセーフは故障したときに安全な側に倒す設計,ウのフェールソフトは故障時に機能を落としてでも運転を続ける設計,エのフォールトトレラントは構成要素を多重化するなどして故障が起きても正常な動作を続けられるようにする設計である。いずれも故障への備えで,利用者の誤りを防ぐ考え方ではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

作業成果物の作成者以外の参加者がモデレータとして主導すること,及び公式な記録,分析を行うことが特徴のレビュー技法はどれか。

正解 ア

解説

インスペクションは,成果物の作成者以外の参加者がモデレータとなって進行を主導し,指摘事項を公式に記録して欠陥の件数や種類を分析する,最も公式度の高いレビュー技法。分析結果を以後の開発の改善につなげる点も特徴になる。アが正しい。

イのウォークスルーは作成者自身が主催し,参加者に説明しながら進める非公式なレビュー。ウのパスアラウンドは成果物を回覧してコメントを集める方法。エのペアプログラミングは2人で1台の端末を使って一緒にコードを書く手法で,モデレータも公式な記録もない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

プログラムに“事実”と“規則”を記述し,プログラム言語の処理系がもつ導出原理によって結論を得るプログラミングパラダイムであって,エキスパートシステムの開発に適しているものはどれか。

正解 エ

解説

論理型プログラミングは,プログラムに“事実”と“規則”を記述し,処理系がもつ導出原理(推論の仕組み)によって結論を求めるパラダイムである。Prolog が代表的な言語で,知識を事実と規則で表すエキスパートシステムの開発に適している。エが該当する。

アのオブジェクト指向プログラミングはデータと手続をまとめたオブジェクトを組み合わせる方法,イの関数型プログラミングは関数の適用や合成で処理を表す方法,ウの手続型プログラミングは命令を順番に実行する手順を記述する方法である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

マッシュアップを利用して Web コンテンツを表示している例として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

マッシュアップは,Web API などで公開されている他のサイトのサービスの機能や情報を組み合わせて,新しいサービスやコンテンツを作ることである。店舗案内のページに,他のサイトが提供する地図情報を取り込んで表示するエがこれに当たる。

アは過去の検索履歴を使って入力中の検索キーワードの候補を表示する入力補完(サジェスト)の機能で,他のサイトのサービスを組み合わせたものではない。イは Ajax などを使ってページを切り替えずに表示を更新する技術。ウは各路線会社の Web ページへのリンクを置いているだけで,他のサービスの機能を利用して情報を組み合わせているわけではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

リバースエンジニアリングの説明はどれか。

正解 ア

解説

リバースエンジニアリングは,既存のプログラム(ソースコードや実行形式)を解析して,その仕様や設計情報を導き出すことである。ドキュメントが失われたシステムの保守や,作り直しの準備などに使う。アが正しい。

イは,リバースエンジニアリングで導き出した仕様を修正して新たにプログラムを作るもので,リエンジニアリングと呼ばれる。ウはクラスライブラリの既存のクラスを再利用する開発,エは部品として作られたプログラムを組み合わせるコンポーネントベースの開発である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

図に示すとおりに作業を実施する予定であったが,作業 A で1日の遅れが生じた。各作業の費用増加率を表の値とするとき,当初の予定日数で終了するためにかかる増加費用を最も少なくするには,どの作業を短縮すべきか。ここで,費用増加率とは,作業を1日短縮するのに要する増加費用のことである。

アローダイアグラムと費用増加率の表。作業 A(標準日数 4)の後に,B(6)→E(5),C(8),D(4)→F(4)の3経路が並び,それらが合流して作業 G(5)に続く。凡例は,作業名と標準日数。表(作業名/費用増加率):A 4,B 6,C 3,D 2,E 2.5,F 2.5,G 5。

正解 エ

解説

まず各経路の日数を求める。A→B→E→G は 4+6+5+5=20日,A→C→G は 4+8+5=17日,A→D→F→G は 4+4+4+5=17日。最長の20日がクリティカルパスで,A が1日遅れると21日になる。20日に戻すには,クリティカルパス上の作業(A,B,E,G)のどれかを1日短縮する必要がある。費用増加率はそれぞれ4,6,2.5,5なので,最も安い E を短縮するのがよい。エが正しい。

E を1日短縮すると A→B→E→G は遅れを含めて20日になり,他の経路は 17+1=18日なので新たなクリティカルパスは生まれない。イの C とウの D はクリティカルパス上にないので,短縮しても全体の日数は縮まらない。

遅れを取り戻すのに最も安い作業 クリティカルパスは A→B→E→G(4+6+5+5=20 日)。A が1日遅れて 21 日になったので,クリティカルパス上の作業を1日縮める。費用増加率は A 4,B 6,E 2.5,G 5 で,E が最も安い。E を縮めても他の経路(A→C→G,A→D→F→G は遅れ込みで 18 日)を超えない。 A 4 B 6 C 8 D 4 E 5 F 4 G 5 0 / 0 4 / 4 10 / 10 8 / 11 15 / 15 20 / 20 費用増加率:A 4,B 6,E 2.5,G 5 → E を縮める
縮めるのはクリティカルパス上で,1日あたりの費用が最も安い作業

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

システム開発のプロジェクトにおいて,EVM を活用したパフォーマンス管理をしている。開発途中のある時点で EV−PV の値が負であるとき,どのような状況を示しているか。

正解 ウ

解説

EV−PV はスケジュール差異(SV)。EV(出来高)が PV(計画価値)を下回っている,つまりその時点で完了しているはずの作業量に実績が届いていないので,進捗が計画より遅れている状態を示す。

アとエは SV が正のときの状態。イは将来の見通しの話で,SV が負でも以降で挽回できる可能性があるため,この時点で完了が遅れるとは断定できない。

EVM の3本の線と SV・CV PV(計画の出来高)・EV(実際の出来高)・AC(実際のコスト)を累積で描く。現時点の EV と PV の縦の差がスケジュール差異 SV=EV−PV で,負なら進捗の遅れを金額で表したもの。EV と AC の差がコスト差異 CV=EV−AC で,負ならコスト超過。EV が PV 以上なら納期に遅れず,EV が AC 以上ならコストは超過しない。 時間 金額(累積) 現時点 PV EV AC SV CV SV=EV−PV(進捗) CV=EV−AC(コスト)
EV と PV の差は進捗の遅れ(金額),EV と AC の差はコストの超過

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

システム開発の見積方法の一つであるファンクションポイント法の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ファンクションポイント法は,システムの機能を,外部入力,外部出力,内部論理ファイル,外部インタフェースファイル,外部照会といった要素の数で定量的に計測し,複雑さやアプリケーションの特性による調整を加えてシステムの規模を見積もる方法である。ウが適切である。

アは開発規模を入力として工数と工期を見積もる COCOMO などの方法。イは過去の類似システムと比べて見積もる類推見積法。エは作業を細かく分解して積み上げる標準タスク法(WBS による積算)の説明である。

ファンクションポイント法の5つの機能 アプリケーションの境界の内側で管理するデータが内部論理ファイル(ILF),外部のアプリケーションが管理し参照だけするデータが外部インタフェースファイル(EIF)。境界を越えるやり取りは,データを入れて更新する外部入力(EI),計算や加工をして出す外部出力(EO),そのまま取り出して見せる外部照会(EQ)。 アプリケーションの境界 ILF 内部論理ファイル EIF 外部のファイル 利用者 EI 入力 利用者 EO 出力 EQ 照会 参照
データ2種(ILF・EIF)と,境界を越える処理3種(EI・EO・EQ)

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

システムの要求分析時に行うインタビュー実施上の留意点のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

要求分析のインタビューでは,対象者の回答が,確認された事実なのか,対象者の推測や意見なのかを区別して記録することが大切である。区別しないと,推測を事実として要件に取り込んでしまうおそれがある。アが適切である。

イは誤りで,対象者を担当者に限ると,管理者や関連部門の立場からの要求を聞き漏らす。ウは誤りで,質問内容を事前に渡しておけば,対象者が準備でき,インタビューの時間を有効に使える。エは誤りで,“はい”か“いいえ”で答えられる質問だけでは,要求の理由や背景といった詳しい情報が得にくい。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

IT サービスマネジメントのイベント管理における,フィルタリングのレベルの設定方針のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

イベント管理では,システムやサービスの状態の変化(イベント)を監視し,対応が必要なものを選び出す。何を通知の対象にするかを決めるフィルタリングのレベルは,最初に設計して合意した後も,有効性評価プロセスでの評価結果に基づいて継続的に見直し,見落としや不要な通知が多くならないようにする。エが適切である。

アは既知のエラーに関するものだけでは,未知の問題の兆候を見逃す。イはささいなものまで全て検出すると,通知が多すぎて重要なイベントが埋もれ,対応しきれなくなる。ウは設定を固定すると,環境の変化に合わなくなっても改善できない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

レプリケーションが有効な対策となるものはどれか。

正解 ウ

解説

レプリケーションは,データを別の場所にある複製先へほぼリアルタイムに複製し,常に同じ内容を保つ仕組みである。災害で主系のシステムが使えなくなっても,遠隔地の複製先に切り替えれば,最新に近いデータで早期にサービスを再開できるので,システムの長時間停止を防ぐ対策になる。ウが該当する。

ア,イ,エの改ざん,ウイルスによる破壊,操作ミスによる削除は,いずれも元のデータへの変更がそのまま複製先にも反映されてしまうので,レプリケーションでは防げない。これらには,アクセス制御やウイルス対策,世代管理したバックアップなどが有効である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

新システムの開発を計画している。提案された4案の中で,TCO が最小のものはどれか。ここで,このシステムは開発後,3年間使用されるものとする。

費用の表(単位 百万円)。列は A 案,B 案,C 案,D 案。ハードウェア導入費用:30,30,40,40。システム開発費用:30,50,30,40。導入教育費用:5,5,5,5。ネットワーク通信費用/年:20,20,15,15。保守費用/年:6,5,5,5。システム運用費用/年:6,4,6,4。

正解 ウ

解説

TCO は,導入時の費用に,使用期間中に毎年掛かる費用を3年分足して求める。導入時の費用(ハードウェア導入+開発+教育)と年間の費用(通信+保守+運用)はそれぞれ,A案が65と32,B案が85と29,C案が75と26,D案が85と24。3年間の TCO は,A案 65+32×3=161,B案 85+29×3=172,C案 75+26×3=153,D案 85+24×3=157 となり,C案の153百万円が最小。ウが正しい。

導入時の費用が最も安いのは A案,年間の費用が最も安いのは D案だが,どちらも3年通すと C案に及ばない。片方だけで比べず,使用期間全体の合計で比べるのが TCO の考え方である。

4案の TCO の比べ方 導入時の費用(ハードウェア+開発+教育)と年間の費用(通信+保守+運用)を案ごとに足し,年間の費用は3年分にする。A案 65+32×3=161,B案 85+29×3=172,C案 75+26×3=153,D案 85+24×3=157 で,C案が最小。 案 導入時 年間 3年の TCO A 65 32 65+96=161 B 85 29 85+87=172 C 75 26 75+78=153 D 85 24 85+72=157 単位 百万円。TCO = 導入時 + 年間 × 3
導入時の費用が最も安い A案ではなく,3年分を足した C案が最小

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

“システム管理基準”において,システムテストの監査におけるチェックポイントのうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

システム管理基準は,システムテストについて,テスト計画を利用部門と情報システム部門などの関係者で承認すること,テスト環境を本番環境と分離すること,例外ケースや異常ケースを含むテストケースを設計して実施することなどを求めている。例外ケースや異常ケースを想定したテストが行われていることは,適切なチェックポイントであり,エが該当する。

アの利用者側の責任者だけによる承認や,イの利用者側の担当者だけによるテストでは,開発側や運用側の観点が欠ける。ウの本番環境でのテストは,本番のデータや稼働中のシステムに影響を与えるおそれがあり,テスト環境で行うべきである。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

監査において発見した問題に対するシステム監査人の責任として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

システム監査人は,監査で発見した問題を,監査報告書にまとめて監査依頼者に報告する責任を負う。アが適切である。

イの利用部門への通報は監査人の責任ではなく,監査結果は監査依頼者への報告を通じて伝えられる。ウの是正の命令は,監査人には権限がなく,監査人は被監査部門に改善を勧告する立場である。エの自ら是正することは,被監査部門の業務に関わることになり,監査の独立性を損なう。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

情報システムに識別コード及びパスワードによるアクセスコントロール機能を組み込むことによって,コントロール可能なリスクはどれか。

正解 エ

解説

識別コードとパスワードによるアクセスコントロールは,利用者を識別・認証し,権限のない者がシステムやデータにアクセスするのを防ぐ。したがって,権限のない者によるファイルやデータ内容の改ざんというリスクをコントロールできる。エが適切である。

アの通信上のデータの盗聴は通信の暗号化,イのデータの入力エラーは入力データのチェック,ウのハードウェアの物理的な破壊は設備の保護や入退室の管理などで対処するもので,アクセスコントロールでは防げない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

災害や事故の発生後の対応を順に,BCP 発動,業務再開,業務回復,全面復旧の四つのフェーズに分けたとき,業務再開フェーズで実施するものはどれか。

正解 エ

解説

業務再開フェーズは,BCP を発動した後,最も緊急度の高い業務を再開する段階である。代替設備や代替手段に切り替え,復旧作業を進め,要員などの経営資源を重要な業務へ振り向ける。エが該当する。

イの発生事象の確認,対策本部の立上げ,情報収集,基本方針の決定は BCP 発動フェーズ。ウの緊急度の高い業務の再開後に業務範囲を拡大するのは業務回復フェーズ。アの本番環境への切替えと平常運用への移行,BCP の見直しは全面復旧フェーズで実施する。

BCP 発動後の4つのフェーズ BCP 発動フェーズでは状況を確かめて対策本部を立ち上げ,方針を決める。業務再開フェーズでは代替の設備や手段に切り替え,最も急ぐ業務を再開し,要員などを重要な業務へ回す。業務回復フェーズでは業務の範囲を広げる。全面復旧フェーズでは本番の環境に戻して平常の運用に移り,BCP を見直す。 BCP 発動 本部を立ち上げ 業務再開 代替手段で急ぐ業務 業務回復 範囲を広げる 全面復旧 平常へ・見直し 代替の設備・手段への切替えと経営資源のシフトは業務再開 時間 →
業務再開:代替手段に切り替えて最も急ぐ業務を再開

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

情報戦略の投資対効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。

正解 エ

解説

ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割って求める指標で,投資効果を評価するのに使う。エが正しい。

アの EVA(経済的付加価値)は税引後営業利益から資本コストの額を差し引いた金額。イの IRR(内部収益率)は投資の正味現在価値が 0 になる割引率。ウの NPV(正味現在価値)は将来のキャッシュフローの現在価値の合計から投資額を差し引いた金額で,いずれも利益額を投資額で割る比率ではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。

正解 ウ

解説

UML はオブジェクト指向のモデリングのために標準化された記法で,クラス図,アクティビティ図,シーケンス図など目的の異なる複数の図を使い分け,同じ対象を複数の観点から表現する。ウが正しい。

アはエンティティと属性,関連で表す E-R 図によるデータ中心アプローチ,イはデータの発生と吸収,蓄積,処理をデータの流れでつなぐ DFD(データフロー図),エは一つの要件に対して発生する事象を条件分岐の形で記述するデシジョンツリーや決定表の説明で,いずれも UML の図法ではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

共通フレーム 2007 によれば,システム化構想を立案する段階で行う作業はどれか。

正解 ア

解説

共通フレーム 2007 では,システム化構想の立案は,企画のプロセスで行う。経営上のニーズや課題を踏まえて,競争優位や事業機会を生み出す情報技術の利用方法について分析することは,この段階の作業である。アが該当する。

イのシステム運用スケジュールの作成は運用の段階,ウのハードウェアとネットワークの実現方法を記述したシステム構成図の作成はシステム方式設計の段階の作業である。エの利用者の要望を基に情報管理の観点などを分析する作業は,システム化構想を受けて行う要件定義の段階の内容である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

情報システムの開発を発注するための提案依頼書(RFP)の作成と提案依頼に当たって,取得者であるユーザ企業側の対応のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

RFP(提案依頼書)では,ベンダが的確な提案をできるように,取得者が要求事項を明確にしておく必要がある。要求事項が複数ある場合に,重要な要求とそうでない要求の区別がつくよう重要度を設定しておけば,ベンダは優先度を踏まえた提案ができ,取得者も提案を評価しやすくなる。ウが適切である。

アは誤りで,要求事項を最小限にして曖昧さを残すと,提案の内容がばらつき比較が難しくなる。イは誤りで,取得者も事前に要求事項の実現性を確認しておく必要がある。エは誤りで,要求事項は実現したい機能として記述し,実現手段はベンダの提案に委ねるのが基本であり,製品などを細かく指定すると有効な提案の幅を狭めてしまう。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

戦略を立案するために,SWOT 分析を実施した。市場機会を獲得するために自社の強みを生かすことができる戦略はどれか。

SWOT 分析の表。S(強み):高い技術力をもつ,データセンタを多数所有している。O(機会):クラウドコンピューティングが注目されている,市場のグローバル化が進んでいく。W(弱み):営業力がない,メーカの子会社であり意思決定が遅い。T(脅威):海外ベンダが日本市場に参入している,市場の成長率が低い。

正解 エ

解説

SWOT 分析で,市場機会(O)を獲得するために自社の強み(S)を生かす戦略は,S と O を組み合わせた戦略である。強みである“データセンタを多数所有している”を生かして,機会である“クラウドコンピューティングが注目されている”に対応するエが該当する。

アは弱み(意思決定が遅い)を克服して脅威(市場の成長率が低い)に対応する W と T の戦略。イは弱み(営業力がない)を補って機会(市場のグローバル化)を捉える W と O の戦略。ウは強み(高い技術力)で脅威(海外ベンダの参入)に対抗する S と T の戦略である。

SWOT のクロス分析 強み(S)と機会(O)を組み合わせて,強みを生かして機会をつかむのが SO 戦略。データセンタを多数持つ強みを生かし,クラウドへの注目という機会にクラウドサービスを提供するのがこれに当たる。ST は強みで脅威に対抗,WO は弱みを補って機会をつかみ,WT は弱みと脅威による最悪を避ける。 機会 O 脅威 T 強み S 弱み W SO 強みで機会をつかむ ST 強みで脅威に対抗 WO 弱みを補い機会へ WT 最悪の事態を避ける 例:データセンタ(S)× クラウドの注目(O)
強み × 機会=SO(強みを生かして機会をつかむ)

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

競争戦略におけるニッチ戦略の特徴はどれか。

正解 ウ

解説

ニッチ戦略は,大企業が参入しにくい特定の小さな市場(ニッチ)に経営資源を集中し,専門化して,その市場で圧倒的な地位を築こうとする戦略である。ウが正しい。

アはトップシェアを狙って差別化する,チャレンジャの戦略である。イは市場全体を拡大して利益を得る,リーダの戦略である。エはリーダの行動を観察して模倣し,コストを抑える,フォロワの戦略である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

RFM 分析において,特に R(Recency)と F(Frequency)をそれぞれ三つに分類した。表の各セルに対する考察のうち,適切なものはどれか。

RFM 分析の表。列は Frequency(20回以上,19〜5回,4回以下),行は Recency(60日以内,61〜120日,121日以上)。60日以内:AA,AB,AC。61〜120日:BA,BB,BC。121日以上:CA,CB,CC。

正解 ウ

解説

RFM 分析は,最後に購入した時点(Recency)と,購入の頻度(Frequency),購入金額(Monetary)で顧客を分類する分析である。CA は,Recency が 121 日以上と最後に購入してから長くたち,頻度は 20 回以上と以前はよく購入していた顧客の分類である。この層は,最近は購入せず,離反しているおそれがあるので,離反していないかを調査することが重要になる。ウが正しい。

アの AA は,最近も頻繁に購入している優良顧客で,再購入を促すより,優良顧客の関係を維持する施策が重要になる。イの AC は,最近購入しているが頻度は低いので,新規顧客などに当たり,コストを掛けて再購入を促し,頻度を上げる施策が重要になる。エの CC は,最近購入せず,頻度も低い顧客で,個人的なおもてなしにコストを掛けるべき層ではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

ワントゥワンマーケティングを説明したものはどれか。

正解 イ

解説

ワントゥワンマーケティングは,市場をひとまとまりとして扱うのではなく,購買履歴や問合せの記録などから顧客一人ひとりの好みをつかみ,個別に働きかけるマーケティングである。新規の顧客を広く集めて市場シェアを伸ばすよりも,既存の顧客との関係を深めて長く買い続けてもらうことを重視する。イが正しい。

アは,効率よく大量に生産して安価な製品を不特定多数に提供するマスマーケティングの説明である。ウは,市場を細分化して幾つかのセグメントを狙うセグメントマーケティングの説明である。エは,環境保全や地域との融和まで含めて企業の社会的責任(CSR)を重視する経営の説明である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

設定した戦略を遂行するために,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長という四つの視点に基づいて相互の適切な関係を考慮しながら具体的に目標及び施策を策定する経営管理手法はどれか。

正解 ウ

解説

バランススコアカードは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点について,相互の因果関係を考慮しながら目標,指標,施策を設定し,戦略の遂行を管理する経営管理手法である。ウが正しい。

アのコアコンピタンスは他社がまねできない企業の中核的な能力,イのセグメンテーションは市場を顧客の属性などで細分化すること,エのプロダクトポートフォリオマネジメントは市場成長率と市場占有率の2軸で製品や事業への資源配分を考える手法である。

バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ 下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。 財務 売上高を伸ばす 売上高・利益率 顧客 顧客満足度を上げる 顧客満足度・シェア 内部ビジネスプロセス 出荷を速くする 出荷までの日数 学習と成長 専門人材を育てる 育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

図は,製品 A の構成部品を示している。この製品 A を 10 個生産する場合,部品 C の手配数量は何個になるか。ここで,括弧内の数字は上位部品1個当たりの所要数量であり,現在の部品 C の在庫は5個である。

製品 A の構成部品を示す部品表の木。A は B(2) と C(1) からなる。B(2) は D(1),E(1),C(1) からなる。括弧内の数字は上位部品1個当たりの所要数量。

正解 ウ

解説

製品 A を 10 個作るには,部品 B が 2×10=20 個,A に直接使う部品 C が 1×10=10 個必要になる。部品 B の在庫は 0 個なので B は 20 個作る必要があり,B 1個に C を1個使うので,B のために C が 20 個必要になる。

部品 C の総所要量は 10+20=30 個で,在庫の 5 個を引くと,少なくとも 25 個を発注する必要がある。ウが正しい。B の中に含まれる C を見落とすと 10−5=5 個,在庫を引かないと 30 個(エ)と誤る。

部品 C の手配数量 製品 A を10個作るには,部品 B が 2×10=20個,A に直接使う部品 C が10個。B 1個に C を1個使うので B のための C が20個。部品 C は合計30個,在庫5個を引いて25個を手配する。 A 10個 B 2×10=20 C 1×10=10 D E C 1×20=20 C:10 + 20 = 30,在庫5を引いて 25 個
部品 C は2か所(A の直下と B の中)に出てくる

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。

正解 エ

解説

EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。

アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

携帯電話端末の機能の一つであるテザリングの説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

テザリングは,携帯電話端末を,PC やゲーム機などのモデム又はアクセスポイントのように使って,それらの機器をインターネットなどに接続する機能である。アが適切である。

イは異なる通信事業者の SIM カードを挿して使える,SIM ロック解除(SIM フリー)の説明である。ウは契約外の事業者のサービスエリアでも使えるローミング,エは有害なサイトを表示しないようにするフィルタリングサービスの説明である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

A 社と B 社がそれぞれ2種類の戦略を採る場合の市場シェアが表のように予想されるとき,ナッシュ均衡,すなわち互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せはどれか。ここで,表の各欄において,左側の数値が A 社のシェア,右側の数値が B 社のシェアとする。

市場シェアの表(単位 %)。各欄は左が A 社,右が B 社のシェア。A 社の戦略 a1:B 社の戦略 b1 のとき 40,20,b2 のとき 50,30。A 社の戦略 a2:b1 のとき 30,10,b2 のとき 25,25。

正解 イ

解説

ナッシュ均衡は,どちらの会社も,相手の戦略が変わらない限り,自社の戦略を変えても得をしない組合せである。A 社が a1 のとき,B 社は b1 なら 20,b2 なら 30 なので b2 が最適。B 社が b2 のとき,A 社は a1 なら 50,a2 なら 25 なので a1 が最適。したがって a1 と b2 の組合せは互いに最適で,イがナッシュ均衡である。

アは B 社が b2 に替えると 20 から 30 に増えるので均衡ではない。ウは A 社が a1 に替えると 30 から 40 に増える。エは A 社が a1 に替えると 25 から 50 に増えるので,いずれも均衡ではない。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

X 社では,(1)〜(4) に示す算定方式で在庫補充量を決定している。第 n 週の週末時点での在庫量を B[n],第 n 週の販売量を C[n] としたとき,第 n 週の週末に発注する在庫補充量の算出式はどれか。ここで,n は3以上とする。

〔在庫補充量の算定方式〕

正解 ア

解説

第 n 週末に発注する在庫補充量は,(2) より“翌週の販売予測量−現在の在庫量+安全在庫量”である。(3) より翌週の販売予測量は先週と今週の販売量の平均 (C[n−1]+C[n])/2,(4) より安全在庫量はその 10%なので,販売予測量と安全在庫量の和は (C[n−1]+C[n])/2×1.1 になる。現在(第 n 週末)の在庫量は B[n] である。

したがって在庫補充量は (C[n−1]+C[n])/2×1.1−B[n] で,アが正しい。イは現在の在庫量として先週末の B[n−1] を引いている。ウは安全在庫量を今週の販売量 C[n] の 10%としている。エは販売予測量に先々週と先週の販売量を使っている。

在庫補充量の算定式 第 n 週の週末に,翌週の販売予測量(先週と今週の販売量の平均 (C[n−1]+C[n])÷2)に安全在庫量(予測の 10%)を足し,今の在庫 B[n] を引いた量を発注する。まとめると (C[n−1]+C[n])÷2×1.1−B[n]。 第 n−1 週 販売 C[n−1] 第 n 週 販売 C[n] 第 n+1 週 販売 予測 週末の在庫 B[n] 予測 = (C[n−1] + C[n]) ÷ 2 安全在庫 = 予測 × 0.1 補充量 = (C[n−1]+C[n])÷2×1.1 − B[n] 引くのは今週末の B[n](先週末の B[n−1] ではない)
予測×1.1 から今週末の在庫を引く

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

“1次式で表現される制約条件の下にある資源を,どのように配分したら1次式で表される効果の最大が得られるか”という問題を解く手法はどれか。

正解 エ

解説

1次式で表される制約条件の下で,1次式で表される目的(利益の最大化など)を最大にする資源配分を求める手法が,線形計画法(LP)である。エが正しい。

アの因子分析法は多くの変数の背後にある共通の要因を探る手法,イの回帰分析法は変数間の関係を式で表して予測する手法,ウの実験計画法は少ない実験で要因の影響を調べるための計画の立て方である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

表はある会社の前年度と当年度の財務諸表上の数値を表したものである。両年度とも売上高は 4,000 万円であった。前年度に比べ当年度に向上した財務指標はどれか。

財務諸表の数値の表(単位 万円)。前年度,当年度の順に,流動資産 1,100,900。固定資産 500,800。流動負債 700,800。固定負債 500,300。純資産 400,600。

正解 イ

解説

各指標を前年度と当年度で計算する。総資本は,前年度が 1,100+500=1,600 万円,当年度が 900+800=1,700 万円である(負債と純資産の合計とも一致する)。自己資本比率は 純資産÷総資本 なので,前年度 400÷1,600=25%,当年度 600÷1,700≒35.3% で向上している。イが正しい。

アの固定比率(固定資産÷自己資本)は 500÷400=125% から 800÷600≒133.3% になり,低いほうがよい指標なので悪化している。ウの総資本回転率(売上高÷総資本)は 4,000÷1,600=2.5 回から 4,000÷1,700≒2.35 回に下がっている。エの流動比率(流動資産÷流動負債)は 1,100÷700≒157.1% から 900÷800=112.5% に下がっている。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

シュリンクラップ契約において,ソフトウェアの使用許諾契約が成立するのはどの時点か。

正解 ウ

解説

シュリンクラップ契約は,包装(シュリンクラップ)を解くことで使用許諾条件に同意したとみなす契約形態。したがって契約が成立するのは CD-ROM の包装を解いた時点である。

アの代金の支払とイの受取りは売買に関する行為であって使用許諾への同意ではない。エのインストールの時点で成立するのは,インストール中に条件を表示して同意を求めるクリックオン(クリックラップ)契約である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

A 社は,B 社と著作物の権利に関する特段の取決めをせず,A 社の要求仕様に基づいて,販売管理システムのプログラム作成を B 社に依頼した。この場合のプログラム著作権の原始的帰属は,どのようになるか。

正解 エ

解説

著作権は,原則としてその著作物を実際に創作した者に原始的に帰属する。法人に帰属するのは著作権法第15条の職務著作に当たる場合で,これは法人等の業務に従事する者が職務上作成したときの規定である。今回プログラムを作成したのは受託した B 社なので,特段の取決めがなければ著作権は B 社に帰属する。エが正しい。

アのように後から話し合って決めるのは原始的帰属ではなく,譲渡の取決めの話になる。イの共有帰属となるのは両社が共同で創作し,各人の寄与を分離して利用できない場合。ウのように委託した A 社に帰属させるには,契約で著作権の譲渡を定めておく必要がある。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

労働者派遣法において,派遣先の責任として定められているものはどれか。

正解 イ

解説

労働者派遣法では,派遣先は派遣先責任者を選任し,派遣先責任者が行うべき職務として,労働者派遣契約の定めなどを,派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に周知することが定められている(第41条)。イが派遣先の責任として定められているものである。

アの雇用関係終了後の雇用に関する制限をしないこと,ウの労働者の希望や能力に応じた就業の機会を確保すること,エの労働者の教育訓練の機会を確保することは,派遣労働者を雇用する派遣元事業主が行うべき事項である。

出典:平成24年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)