平成21年度 春期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
通信回線を使用したデータ伝送システムに M/M/1 の待ち行列モデルを適用すると,平均回線待ち時間,平均伝送時間,回線利用率の関係は,次の式で表すことができる。
平均回線待ち時間=平均伝送時間×回線利用率/(1−回線利用率)
回線利用率が 0%から徐々に上がっていく場合,平均回線待ち時間が平均伝送時間よりも最初に長くなるのは,回線利用率が何%を超えたときか。
正解 イ
解説
平均回線待ち時間が平均伝送時間より長くなるのは,平均伝送時間に掛かる係数 回線利用率/(1−回線利用率) が 1 を超えるときである。回線利用率を ρ とすると ρ/(1−ρ)>1 を解いて ρ>1−ρ,すなわち ρ>0.5(50%)になる。50%を超えたときに初めて待ち時間が伝送時間を上回るので,イが正しい。
ρ=50%のとき係数はちょうど 1 で,待ち時間と伝送時間が等しくなる。ア(40%)では係数が 0.4/0.6≒0.67 で,まだ伝送時間より短い。ウ(60%)では 1.5 倍,エ(70%)では約 2.33 倍で,これらは 50% を超えて既に長くなった後の値である。
M/M/1 の待ち時間と利用率
M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。
0.5 → 1倍
0.8 → 4倍
0.9 → 9倍
1
利用率 ρ
ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
(1+α)n の計算を,1+n×α で近似計算ができる条件として,適切なものはどれか。
ア |α| が1に比べて非常に小さい。 正解
イ |α| が n に比べて非常に大きい。
ウ |α÷n| が1より大きい。
エ |n×α| が1より大きい。
正解 ア
解説
二項定理により (1+α)n =1+nα+{n(n−1)/2}α2 +… と展開できる。|α| が1に比べて非常に小さければ,α2 以降の項は nα に比べて無視できるほど小さくなるので,1+n×α で近似できる。アが適切である。
イのように |α| が大きいと α2 以降の項が大きくなり,近似が成り立たない。ウの |α÷n| が1より大きい場合やエの |n×α| が1より大きい場合も,α が十分に小さいことが保証されず,2次以降の項を無視できない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
次に示す有限オートマトンが受理する入力列はどれか。ここで,S1 は初期状態を,S3 は受理状態を表している。
ア 1011
イ 1100
ウ 1101 正解
エ 1110
正解 ウ
解説
初期状態 S1 から入力に従って状態をたどり,最後に受理状態 S3 にいるものを探す。ウの 1101 は,S1 →(1) S2 →(1) S1 →(0) S3 →(1) S3 となり,S3 で終わるので受理される。ウが正しい。
アの 1011 は S2 ,S2 ,S1 ,S2 の順で S2 に終わる。イの 1100 は S2 ,S1 ,S3 ,S2 で S2 に終わる。エの 1110 は S2 ,S1 ,S2 ,S2 で S2 に終わり,いずれも受理されない。
有限オートマトンで入力 1101 をたどる
S1 から 1 で S2,0 で S3。S2 から 0 で S2,1 で S1。S3 から 1 で S3,0 で S2。1101 は S1 →1→ S2 →1→ S1 →0→ S3 →1→ S3 で,受理状態 S3 で終わるので受理される。
S1
S2
S3
1 ①
1 ②
0 ③
1 ④
0
0
1101:S1→S2→S1→S3→S3
1文字ずつ矢印をたどり,最後に受理状態(二重丸)にいれば受理
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
長さ n の文字列 c1 c2 …cn の中に,部分文字列は全部で幾つあるかを表す式はどれか。ここで,空文字列(長さ 0 の文字列)と c1 c2 …cn 自身も部分文字列とみなす。例えば,長さ3の文字列 c1 c2 c3 の中に,部分文字列は c1 ,c2 ,c3 ,c1 c2 ,c2 c3 ,c1 c2 c3 及び空文字列の7個がある。
ア 2n −1
イ n(n+1)/2+1 正解
ウ n(n−1)+1
エ n!+1
正解 イ
解説
長さ n の文字列では,長さ k(1≦k≦n)の部分文字列が先頭の位置ごとに n−k+1 個ある。n−k+1 を k=1〜n で足すと n+(n−1)+…+1=n(n+1)/2 個で,これに空文字列の1個を加えると n(n+1)/2+1 個になる。n=3 なら 6+1=7 個で,問題の例と合う。イが正しい。
n=3 のときはア(2n −1),ウ(n(n−1)+1),エ(n!+1)もすべて7になるので,例だけでは区別できない。n=4 で数えると部分文字列は 4+3+2+1+1=11 個で,アは15,ウは13,エは25となり合わない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
次の数式は,ある細菌の第 n 世代の個数 f(n) が1世代後にどのように変化するかを表現したものである。この漸化式の解釈として,1世代後の細菌の個数が,第 n 世代と比較してどのようになるかを説明しているものはどれか。
f(n+1)+0.2×f(n)=2×f(n)
ア 1世代後の個数は,第 n 世代の個数の 1.8 倍に増える。 正解
イ 1世代後の個数は,第 n 世代の個数の 2.2 倍に増える。
ウ 1世代後の個数は,第 n 世代の個数の2倍になり,更に増殖後の 20%が増える。
エ 1世代後の個数は,第 n 世代の個数の2倍になるが,増殖後の 20%が死ぬ。
正解 ア
解説
式を変形すると f(n+1)=2×f(n)−0.2×f(n)=1.8×f(n) となる。1世代後の個数は第 n 世代の 1.8 倍に増えるので,アが適切である。
イの 2.2 倍は 2×f(n)+0.2×f(n) の場合。ウは“2倍になり,更に増殖後の 20%が増える”なので 2×1.2=2.4 倍,エは“増殖後の 20%が死ぬ”なので 2×0.8=1.6 倍になり,どちらも 1.8 倍にならない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を h(x)=x mod n とすると,キー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。
ア a+b が n の倍数
イ a−b が n の倍数 正解
ウ n が a+b の倍数
エ n が a−b の倍数
正解 イ
解説
衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。
例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。
x mod n のハッシュ表で衝突する組
n=5 の表に,キーを5で割った余りの箱へ入れる。7 と 2 はどちらも余りが 2 で同じ箱に入り,衝突する。差 7−2=5 が n の倍数なので余りがそろう。1 と 4 は和が5でも余りは1と4で,衝突しない。
h(x) = x mod 5
0
1
1
7 と 2
2
3
4
4
衝突
7 mod 5 = 2,2 mod 5 = 2 → 差 7 − 2 = 5 は 5 の倍数
1 と 4:和は 5 でも余りは 1 と 4(衝突しない)
箱の下の数字が余り(格納位置)
余りが等しい ⇔ 差 a−b が n で割り切れる
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
文字列を引数とする関数 len,first,butfirst を用いて,関数 comp を再帰的に定義した。comp(“11”, “101”) を呼び出したとき,返されるものはどれか。
〔関数の定義〕
len(S) : 文字列 S の長さを返す。S が空文字列のときは 0 を返す。
first(S) : 文字列 S の先頭の1文字の ASCII コードを返す。S が空文字列のときはエラーを返す。
butfirst(S) : 文字列 S の先頭の1文字を除いた残りの文字列を返す。S が空文字列のときはエラーを返す。 comp(A, B)
begin
if len(A) = 0 and len(B) = 0 then return 0;
if len(A) = 0 and len(B) ≠ 0 then return 1;
if len(A) ≠ 0 and len(B) = 0 then return −1;
if first(A) < first(B) then return 1;
if first(A) > first(B) then return −1;
return comp(butfirst(A), butfirst(B));
end
正解 ア
解説
comp(“11”, “101”) を順にたどる。A=“11”,B=“101” はどちらも空でなく,先頭の文字はともに“1”で first(A)=first(B) なので,最後の行の comp(“1”, “01”) を呼び出す。ここで first(A)=“1”の ASCII コード 49,first(B)=“0”の ASCII コード 48 となり,first(A)>first(B) なので −1 を返す。アが正しい。
再帰の呼出しで返した値がそのまま最初の呼出しの結果になる。1を返すのは first(A)<first(B) のときで,0を返すのは A,B がともに空になるときだが,今回はその前に −1 が決まる。空文字列に first や butfirst を使うとエラーになるが,この呼出しでは起こらない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
相異なる n 個のデータが昇順に整列された表がある。この表を m 個のデータごとのブロックに分割し,各ブロックの最後尾のデータだけを線形探索することによって,目的のデータの存在するブロックを探し出す。次に,当該ブロック内を線形探索して目的のデータを探し出す。このときの平均比較回数を表す式はどれか。ここで,m は十分大きく,n は m の倍数とし,目的のデータは必ず表の中に存在するものとする。
ア m+n/m
イ m/2+n/(2m) 正解
ウ n/m
エ n/(2m)
正解 イ
解説
表は n/m 個のブロックに分かれる。まず各ブロックの最後尾を先頭から線形探索するので,目的のブロックに着くまでの比較回数は平均で (n/m)/2=n/(2m) 回になる。次にそのブロック内の m 個を線形探索するので,平均 m/2 回の比較が加わる。
合計の平均比較回数は m/2+n/(2m) で,イが正しい。m が十分大きいので,線形探索の平均回数を (個数+1)/2 ではなく 個数/2 で近似している。アとウはブロック内・ブロック間の探索を平均でなく全件の回数で数えたもの,エはブロック内の探索を数えていない。
ブロックに分けた探索の平均比較回数
昇順に並んだ n 個を m 個ずつのブロックに分けると,ブロックは n/m 個。まず各ブロックの最後尾だけを先頭から調べて,目的のブロックを見つける(平均 n/(2m) 回)。次にそのブロックの m 個を調べる(平均 m/2 回)。合計 m/2 + n/(2m)。
ブロック1
ブロック2
ブロック3
ブロック4
ブロック5
① 最後尾(塗ったマス)だけを先頭から
① ブロックは n/m 個 → 平均 n/(2m) 回
② 見つけたブロックの m 個の中 → 平均 m/2 回
平均 = m/2 + n/(2m)
最後尾をたどる回数と,ブロックの中を調べる回数を足す
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
複数のデータに対して1個の命令で同一の操作を同時並列に行う方式で,マルチメディアデータなどを扱う CPU に採用されているものはどれか。
ア MIMD
イ MISD
ウ SIMD 正解
エ SISD
正解 ウ
解説
SIMD(Single Instruction Multiple Data)は,1個の命令で複数のデータに同じ操作を同時に施す方式。画像や音声のように同じ処理を大量の要素へ繰り返し適用する場面で効率がよく,CPU のマルチメディア拡張命令に採用されている。ウが正しい。
アの MIMD は複数の命令流が複数のデータを扱う方式でマルチプロセッサが該当する。エの SISD は1命令1データの一般的な逐次処理。イの MISD は1つのデータに複数の命令流を適用する方式で,実用例はほとんどない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
外部割込みの要因となるものはどれか。
ア 仮想記憶管理における存在しないページにアクセスしたときのページフォールト
イ システム管理命令を一般ユーザモードで実行したときの特権命令違反
ウ ハードウェア異常などによるマシンチェック 正解
エ 浮動小数点演算命令でのオーバフローなどの演算例外
正解 ウ
解説
外部割込みは,CPU の外部で起こる事象によって発生する割込みで,入出力割込み,タイマ割込み,マシンチェック割込み(ハードウェアの異常)などがある。ハードウェア異常などによるマシンチェックは外部割込みで,ウが正しい。
ア(存在しないページへのアクセスによるページフォールト),イ(一般ユーザモードでの特権命令の実行),エ(浮動小数点演算でのオーバフローなどの演算例外)は,実行中の命令そのものが原因で起こる内部割込み(プログラム割込み)である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
メモリインタリーブの説明はどれか。
ア CPU と磁気ディスク装置との間に半導体メモリによるデータバッファを設けて,磁気ディスクアクセスの高速化を図る。
イ 主記憶のデータの一部をキャッシュメモリにコピーすることによって,CPU と主記憶とのアクセス速度のギャップを埋め,メモリアクセスの高速化を図る。
ウ 主記憶へのアクセスを高速化するため,アクセス要求,データの読み書き及び後処理が終わってから,次のメモリアクセスの処理に移る。
エ 主記憶を複数の独立したグループに分けて,各グループに交互にアクセスすることによって,主記憶へのアクセスの高速化を図る。 正解
正解 エ
解説
メモリインタリーブは,主記憶を複数の独立したグループ(バンク)に分け,連続するアドレスを異なるグループに割り当てて,各グループに交互にアクセスする方式である。一つのグループが読み書きや後処理をしている間に別のグループへのアクセスを進められるので,主記憶へのアクセスが高速になる。エが該当する。
アは CPU と磁気ディスク装置の間にバッファを置くディスクキャッシュ,イは CPU と主記憶の速度差を埋めるキャッシュメモリの説明である。ウは一つのアクセスが完全に終わってから次に移る逐次的な動作で,インタリーブのように並行して進めないので高速化にはならない。
メモリインタリーブ
主記憶を4つのバンクに分け,連続したアドレスを 0 番地はバンク0,1 番地はバンク1,… と順に割り当てる。連続したアドレスを読むとき,バンク0 のアクセスが終わるのを待たずにバンク1・2・3 へのアクセスを始められるので,全体として速く読める。
バンク0
0 番地
4 番地
8 番地
12 番地
バンク1
1 番地
5 番地
9 番地
13 番地
バンク2
2 番地
6 番地
10 番地
14 番地
バンク3
3 番地
7 番地
11 番地
15 番地
0〜3 番地を続けて読むと,アクセスが重なる
バンク0
0 番地
バンク1
1 番地
バンク2
2 番地
バンク3
3 番地
時間
連続したアドレスが別々のバンクに入るので,並行して読める
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
メモリの誤り制御方式で,2ビットの誤り検出機能と,1ビットの誤り訂正機能をもたせるのに用いられるものはどれか。
ア 奇数パリティ
イ 水平パリティ
ウ チェックサム
エ ハミング符号 正解
正解 エ
解説
ECC メモリで用いられるハミング符号は,データビットに複数の検査ビットを付加し,検査ビットの組合せから誤りのあるビットの位置を特定できる符号である。1 ビットの誤りを訂正でき,2 ビットの誤りを検出できるので,エが該当する。
アの奇数パリティとイの水平パリティは,1ビットの誤りがあったことは分かるが,どのビットかは分からないので訂正できない。ウのチェックサムはデータの合計値を付けて誤りの有無を調べる方式で,こちらも訂正はできない。
パリティとハミング符号でできること
パリティ(偶数・奇数・垂直・水平)は1ビットの誤りがあることは分かるが,どのビットかは分からないので直せない。ハミング符号は複数の検査ビットの組合せで誤りの位置まで分かるので,1ビットの誤りを訂正できる。ECC メモリで使う方式(SECDED)は,さらに2ビットの誤りがあることも検出できる。
方式
1ビット誤りの検出
1ビット誤りの訂正
2ビット誤りの検出
パリティ
○
×
×
ハミング符号(ECC)
○
○
○
検査ビットの組合せで,誤ったビットの位置を指せる
パリティ・チェックサムは誤りの有無が分かるだけ
ハミング符号は誤りの位置まで分かる → 1ビット訂正,2ビット検出
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
CPU と主記憶との間に置かれるキャッシュメモリにおいて,主記憶のあるブロックを,キャッシュメモリの複数の特定ブロックに対応付ける方式はどれか。
ア セットアソシアティブ方式 正解
イ ダイレクトマッピング方式
ウ フルアソシアティブ方式
エ ライトスルー方式
正解 ア
解説
キャッシュメモリへの主記憶ブロックの対応付けには,ダイレクトマッピング方式,フルアソシアティブ方式,セットアソシアティブ方式がある。セットアソシアティブ方式は,キャッシュを幾つかのセットに分け,主記憶のブロックを特定のセットの中の複数のブロックのどれにでも置けるようにする方式で,アが正しい。
イのダイレクトマッピング方式は,主記憶のブロックを置けるキャッシュのブロックが一つに決まっている。ウのフルアソシアティブ方式は,キャッシュの空いている任意のブロックに置ける。エのライトスルー方式は,書込み時に主記憶にも同時に書き込む書込み方式で,ブロックの対応付けの方式ではない。
キャッシュの配置の3つの方式
主記憶のあるブロックをキャッシュのどこに置けるかが違う。ダイレクトマップ方式はアドレスで決まる1か所だけ。セットアソシアティブ方式はアドレスで決まる1つのセットの中ならどこでもよい(2ウェイなら2か所)。フルアソシアティブ方式はキャッシュのどこにでも置ける。
ダイレクトマップ
ブロック
1か所だけ
セットアソシアティブ
ブロック
セット
セットの中の2か所
フルアソシアティブ
ブロック
どこでも
キャッシュ
セットアソシアティブは,ダイレクトマップとフルアソシアティブの中間
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
クライアントサーバシステムのクライアントにおいて,遠隔サーバ内の手続をクライアントにある手続と同様の方法で呼び出すことを可能とした機能はどれか。
ア ACID
イ NFS
ウ RPC 正解
エ TCP/IP
正解 ウ
解説
RPC(Remote Procedure Call)は,ネットワークの先にあるサーバ上の手続(プロシージャ)を,クライアント側にある手続を呼び出すのと同じ方法で呼び出せるようにする機能である。ウが正しい。
アの ACID は,トランザクションが備えるべき性質(原子性,一貫性,独立性,耐久性)の頭文字である。イの NFS は,ネットワーク上のファイルを共有するためのファイルシステムのプロトコル。エの TCP/IP は,ネットワーク通信に使うプロトコルの総称で,遠隔手続を呼び出す機能そのものではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
物理的に複数のサーバを用意したときと比較した場合,仮想化によって1台のサーバに統合したときの特徴はどれか。ここで,物理的な資源とは,CPU,主記憶,磁気ディスクなどのコンピュータを構成する装置を示す。
ア 物理的な資源の運用管理:簡易,物理的な資源の利用率:高い,オーバヘッドによる負荷:高い 正解
イ 物理的な資源の運用管理:簡易,物理的な資源の利用率:低い,オーバヘッドによる負荷:低い
ウ 物理的な資源の運用管理:煩雑,物理的な資源の利用率:高い,オーバヘッドによる負荷:高い
エ 物理的な資源の運用管理:煩雑,物理的な資源の利用率:低い,オーバヘッドによる負荷:低い
正解 ア
解説
仮想化では,1台の物理サーバの上に複数の仮想サーバを動かす。物理サーバの台数が減るので物理的な資源の運用管理は簡易になり,各仮想サーバが資源を分け合って使うので物理的な資源の利用率は高くなる。一方,仮想化ソフトウェアが資源の割当てなどを仲介するため,その処理によるオーバヘッドによる負荷は高くなる。この組合せのアが正しい。
イ,エは利用率が低くオーバヘッドが低い組合せで,統合による特徴と逆である。ウは運用管理が煩雑としており,台数を減らして管理を簡素にできる仮想化の特徴と合わない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
3台の装置 X〜Z を接続したシステム A,B の稼働率について,適切なものはどれか。ここで,3台の装置の稼働率は,いずれも0より大きく1より小さいものとする。
ア 各装置の稼働率の値によって,A と B の稼働率のどちらが高いかは変化する。
イ 常に A と B の稼働率は等しい。
ウ 常に A の稼働率が高い。
エ 常に B の稼働率が高い。 正解
正解 エ
解説
装置 X,Y,Z の稼働率を x,y,z とする。A は X と Y の並列に Z を直列につないだもので,稼働率は {1−(1−x)(1−y)}z=xz+yz−xyz である。B は X と Z の直列に Y を並列につないだもので,稼働率は 1−(1−xz)(1−y)=xz+y−xyz である。
B から A を引くと y−yz=y(1−z) となり,0<y<1,0<z<1 なので常に正である。したがって常に B の稼働率が高く,エが正しい。
2つのシステムの稼働率を比べる
装置 X,Y,Z の稼働率を x,y,z とする。A は X と Y の並列に Z を直列につないだもので,{1−(1−x)(1−y)}z=xz+yz−xyz。B は X と Z の直列に Y を並列につないだもので,1−(1−xz)(1−y)=xz+y−xyz。B−A=y(1−z) は常に正なので,常に B が高い。
A:(X と Y の並列) に Z を直列
X
Y
Z
{1−(1−x)(1−y)}・z
= xz+yz−xyz
B:(X と Z の直列) に Y を並列
X
Z
Y
1−(1−xz)(1−y)
= xz+y−xyz
B − A = y − yz = y(1−z) > 0 → 常に B が高い
並列をまとめて1台とみなし,直列は掛ける。引き算すると y(1−z)>0
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
CPU と磁気ディスク装置で構成されるシステムで,表に示すジョブ A,B を実行する。この二つのジョブが実行を終了するまでの CPU の使用率と磁気ディスク装置の使用率との組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,ジョブ A,B はシステムの動作開始時点ではいずれも実行可能状態にあり,A,B の順で実行される。CPU 及び磁気ディスク装置は,ともに一つの要求だけを発生順に処理する。ジョブ A,B とも,CPU の処理を終了した後,磁気ディスク装置の処理を実行する。
ア CPU の使用率:0.47,磁気ディスク装置の使用率:0.53
イ CPU の使用率:0.60,磁気ディスク装置の使用率:0.68 正解
ウ CPU の使用率:0.79,磁気ディスク装置の使用率:0.89
エ CPU の使用率:0.88,磁気ディスク装置の使用率:1.00
正解 イ
解説
A,B の順に実行する。CPU は A に 0〜3 秒,B に 3〜15 秒使う。磁気ディスク装置は,A が CPU を終えた 3 秒後から 7 秒間(3〜10 秒)使い,B は CPU の処理が終わる 15 秒後から 10 秒間(15〜25 秒)使う。二つのジョブが終わるまで 25 秒かかるので,CPU の使用率は (3+12)/25=0.60,磁気ディスク装置の使用率は (7+10)/25=0.68 で,イが正しい。
アの 0.47 と 0.53 は 15/32 と 17/32 で,全体の時間を CPU の時間 15 秒とディスクの時間 17 秒の合計 32 秒とした値である。両装置が同時に動く時間を考えていない。エの 0.88 と 1.00 は 15/17 と 17/17 で,全体を 17 秒とした値だが,B のディスクの処理は B の CPU の処理が終わる 15 秒後から始まるので,17 秒では終わらない。ウも,二つのジョブが終わるまでの 25 秒と合わない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
プログラムの実行時に利用される記憶領域にスタック領域とヒープ領域がある。それらの領域に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア サブルーチンからの戻り番地の退避にはスタック領域が,割当てと解放の順序に関連のないデータにはヒープ領域が使用される。 正解
イ スタック領域には未使用領域が存在するが,ヒープ領域には未使用領域は存在しない。
ウ ヒープ領域はスタック領域の予備領域であり,スタック領域が一杯になった場合にヒープ領域が動的に使用される。
エ ヒープ領域も構造的にはスタックと同じプッシュとポップの操作によって,データの格納と取出しを行う。
正解 ア
解説
スタック領域は,サブルーチンの戻り番地や局所変数のように,最後に割り当てたものから先に解放する後入れ先出しの順で使われる。一方ヒープ領域は,実行時に必要な大きさの領域を任意の順序で割り当てたり解放したりするために使われる。割当てと解放の順序に関連がないデータにヒープ領域を使うアが適切である。
イは,ヒープ領域も使われていない部分をもつので誤り。ウのように,ヒープ領域はスタック領域の予備ではなく,別の用途の領域である。エの,プッシュとポップでデータを出し入れするのはスタックの操作で,ヒープは任意の位置の領域を確保,解放する。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
主記憶への1回のアクセスが 200 ナノ秒で,ページフォールトが発生すると1回当たり 100 ミリ秒のオーバヘッドを伴うコンピュータがある。ページフォールトが主記憶アクセスの 50 万回中に1回発生する場合,ページフォールトは1秒当たり最大何回発生するか。ここで,ページフォールトのオーバヘッド以外の要因は考慮しないものとする。
正解 ウ
解説
ページフォールトは主記憶アクセス 50 万回に1回発生する。50 万回のアクセスにかかる時間は 500,000×200 ナノ秒=0.1 秒で,これに1回のページフォールトのオーバヘッド 100 ミリ秒=0.1 秒が加わるので,ページフォールト1回当たり 0.2 秒かかる。
1秒間では 1÷0.2=5 回のページフォールトが発生し,ウが正しい。オーバヘッドの時間だけで考えると 10 回になり,アクセスの時間だけで考えても選択肢と合わない。
ページフォールト1回分の時間
主記憶アクセス 50 万回に1回ページフォールトが起きる。50 万回のアクセスは 500,000×200 ナノ秒=0.1 秒,そこにページフォールトのオーバヘッド 100 ミリ秒=0.1 秒が加わり,1回分は 0.2 秒。1 秒にはこれが 5 回入る。
1
2
3
4
5
アクセス
PF
1 秒
50万回 × 200 ナノ秒 = 0.1 秒 + オーバヘッド 0.1 秒 = 0.2 秒
1 ÷ 0.2 = 5 回
アクセス 0.1 秒+オーバヘッド 0.1 秒の組が,1 秒に5回
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
データ構造のキューを実現する方法において,片方向リンクに比べた場合の双方向リンクの特徴として,適切なものはどれか。
ア 片方向リンクよりオーバヘッドが小さい。
イ 追加は,最後尾だけに対して行える。
ウ 途中への挿入・取外しが容易に行える。 正解
エ 取外しは,先頭だけに対して行える。
正解 ウ
解説
キューは,後ろにデータを追加し,先頭からデータを取り出すデータ構造である。双方向リンクでは,各要素が次の要素だけでなく前の要素へのポインタももつので,途中の要素を取り外したり,途中に挿入したりする際に前後の要素をたどり直さなくても済み,容易に行える。ウが適切である。
アは誤りで,ポインタが増える分,記憶領域などのオーバヘッドは片方向リンクより大きい。イの追加は最後尾だけ,エの取外しは先頭だけという制約は,キューの操作の性質であって,片方向リンクでも同じである。双方向リンクに特有の特徴ではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
サーバの種類とそれに使用されるオープンソースソフトウェアの組合せはどれか。
ア DNS サーバ:Apache,Web サーバ:BIND,メールサーバ:Postfix
イ DNS サーバ:BIND,Web サーバ:Apache,メールサーバ:Postfix 正解
ウ DNS サーバ:BIND,Web サーバ:Postfix,メールサーバ:Apache
エ DNS サーバ:Postfix,Web サーバ:Apache,メールサーバ:BIND
正解 イ
解説
BIND は代表的な DNS サーバのソフトウェア,Apache(Apache HTTP Server)は代表的な Web サーバのソフトウェア,Postfix はメールサーバ(メール転送エージェント)のソフトウェアで,いずれもオープンソースソフトウェアである。この組合せのイが正しい。
ア,ウ,エは,いずれかのサーバの種類とソフトウェアの組合せが入れ替わっている。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
SoC(System on a Chip)の説明はどれか。
ア システム LSI と同義語で使われており,CPU は別チップになっている。
イ システム LSI に内蔵したソフトウェアのことである。
ウ 従来はボード上で実現していたシステムを,一つのチップ上で実現した LSI のことである。 正解
エ 複数の LSI を単一のパッケージに封入してシステム化した LSI のことである。
正解 ウ
解説
SoC(System on a Chip)は,従来は複数のチップをボード上に載せて実現していたシステムを,一つのチップ上に実現した LSI のことである。CPU やメモリ,周辺回路などを1チップに集積する。ウが正しい。
アは,SoC は CPU も同じチップに載せるので誤り。イの“LSI に内蔵したソフトウェア”はファームウェアなどの説明である。エの複数の LSI を単一のパッケージに封入したものは,SiP(System in Package)の説明である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
ウォッチドッグタイマの機能はどれか。
ア あらかじめ設定された一定時間内にタイマがクリアされなかった場合,システム異常とみなしてシステムに通知する。 正解
イ システム異常を検出した場合,タイマで設定された時間だけ待ってシステムに通知する。
ウ システム異常を検出した場合,マスカブル割込みでシステムに通知する。
エ システムが一定時間異常であった場合,上位の管理プログラムに通知する。
正解 ア
解説
ウォッチドッグタイマは,システムが正常に動いているあいだ,プログラムが一定時間ごとにタイマをクリア(リセット)することで動作を確認する仕組みである。あらかじめ設定された一定時間内にタイマがクリアされなかった場合は,プログラムの暴走や停止などの異常とみなして,システムに通知する(通知を受けたシステムが,リセットや終了などの処置をとる)。アが正しい。
イは異常を検出してから設定時間だけ待って通知するもので,タイマのクリアを監視する仕組みではない。ウのマスカブル割込みは,割込み禁止にされると受け付けられないので,暴走したシステムの異常通知には向かない(リセットや,マスクできない割込みを使う)。エは異常が一定時間続いたときに上位の管理プログラムに通知するという説明で,ウォッチドッグタイマの機能ではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
論理式 X=A ・B+A・B +A ・B と同じ結果が得られる論理回路はどれか。ここで,図記号はそれぞれ論理積(AND),論理和(OR),否定論理積(NAND),否定論理和(NOR)を表す。
正解 イ
解説
X=A ・B+A・B +A ・B を真理値表で調べると,A=0,B=1 のときは A ・B が1,A=1,B=0 のときは A・B が1,A=0,B=0 のときは A ・B が1 なので X=1 となり,A=1,B=1 のときだけ全ての項が0 で X=0 となる。
A と B がともに1のときだけ0になるのは否定論理積(NAND)なので,イが正しい。式で変形しても,A ・B+A ・B =A ,A・B +A ・B =B より X=A +B =¬(A・B) となる。アの論理積は A=B=1 のときだけ1,ウの論理和は A=B=0 のときだけ0,エの否定論理和は A=B=0 のときだけ1 になる。
X=¬A・B+A・¬B+¬A・¬B の真理値表
A=0・B=1 では ¬A・B が1,A=1・B=0 では A・¬B が1,A=0・B=0 では ¬A・¬B が1 で,X=1。A=1・B=1 のときだけどの項も0で X=0。両方が1のときだけ0になるのは否定論理積(NAND)。
A
B
¬A・B
A・¬B
¬A・¬B
X
0
0
0
0
1
1
0
1
1
0
0
1
1
0
0
1
0
1
1
1
0
0
0
0
X = ¬A + ¬B = ¬(A・B)(NAND)
両方が1のときだけ0 → NAND
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
Web ページに“パンくずリスト”や“topic path”,“breadcrumbs list”などと呼ばれる情報を表示する目的はどれか。
ア Web サイトに掲載されている情報を一覧表示することによって,利用者が必要としている情報を探しやすくする。
イ Web サイトの更新履歴や利用者への通知を日付順に表示することによって,各種の更新を分かりやすく伝えるとともに,頻繁に内容を更新している活気ある Web サイトであることを宣伝する。
ウ 閲覧しているページが Web サイトの中でどこに位置しているかを表示することによって,利用者が Web サイト内を移動しやすくする。 正解
エ 過去の不正アクセスへの対応状況を一覧表示するとともに,安全な Web サイトであることをアピールする。
正解 ウ
解説
パンくずリストは,“トップ > 情報公開 > サイト管理 > 不正アクセス対策”のように,閲覧しているページが Web サイトの階層構造のどこに位置しているかを示し,上位の階層へのリンクを並べたものである。利用者は現在位置を把握でき,上位のページへ移動しやすくなる。ウが正しい。
アの掲載情報を一覧表示するのはサイトマップ。イの更新履歴や通知を日付順に表示するのは新着情報や更新情報の欄。エの不正アクセスへの対応状況の一覧は,図の例のページの本文の内容で,パンくずリストの目的ではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
コード設計の作業のうち,最初に行うべき作業はどれか。
ア コード化作業とコード表作成
イ コード化対象の選定 正解
ウ コードの管理基準の設計
エ 使用期間とデータ量の予測
正解 イ
解説
コード設計では,まず何をコード化するのかを決める必要があるので,最初に行う作業はコード化対象の選定である。イが正しい。そのあとで,使用期間とデータ量の予測を行って桁数や体系の見通しを立て,コードの管理基準を設計し,最後にコード化作業とコード表の作成に進む。
ア(コード化作業とコード表作成)は最後の作業,エ(使用期間とデータ量の予測)とウ(コードの管理基準の設計)は,コード化の対象が決まったあとに行う作業である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
A 社では,優良顧客について調査することになった。優良顧客は,最近の購入実績があり,かつ購入金額の多い顧客とする。優良顧客の選定基準を決めるために,最近の1か月,2か月,3か月,… について,期間ごとに購入金額ごとの顧客数を求めて,顧客購入分析表を作成することにした。適切な顧客購入分析表はどれか。
正解 ウ
解説
優良顧客の選定基準を決めるには,期間(最近1か月,2か月,3か月,…)と購入金額(10万円以上,9万円以上,…)の2つの条件の組合せごとに顧客数を見比べる必要がある。期間を行,金額を列にとって交点に顧客数を並べたクロス集計表のウが適切である。期間を延ばしたときと金額の条件を下げたときの顧客数の増え方が,縦横に読み取れる。
ア,イ,エは,期間・金額・顧客数を1行ずつ並べた一覧表で,同じ金額で期間を変えたときや,同じ期間で金額を変えたときの顧客数を見比べるには行を探して回る必要があり,期間ごとに金額ごとの顧客数を比べるという目的に合わない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
MPEG-1 を説明したものはどれか。
ア 1.5 M ビット/秒程度の圧縮方式であり,主に CD-ROM などの蓄積型メディアを対象にしている。 正解
イ 60 M ビット/秒を超える圧縮方式であり,主に高品質なテレビ放送を対象にしている。
ウ 数 M〜数十 M ビット/秒という広い範囲の圧縮方式であり,蓄積型メディア,放送,通信で共通に利用できる汎用の方式である。
エ 数十 k〜数百 k ビット/秒という低ビットレートの圧縮方式の一つであり,携帯電子機器などへの利用を対象にしている。
正解 ア
解説
MPEG-1 は,1.5 M ビット/秒程度のビットレートで動画と音声を圧縮する方式で,主に CD-ROM などの蓄積型メディア(ビデオ CD など)を対象にしている。アが正しい。
ウの数 M〜数十 M ビット/秒で蓄積型メディア,放送,通信に共通に利用できる汎用の方式は MPEG-2。エの低ビットレートで携帯電子機器などへの利用を対象にしたのは MPEG-4 の説明である。イの 60 M ビット/秒を超える方式は MPEG-1 には当たらない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
3分間の演奏をサンプリング周波数 48 kHz,量子化ビット数 24 ビット,ステレオでサンプリングしたディジタルデータは,およそ何 M バイトか。
正解 イ
解説
サンプリング周波数 48 kHz は1秒間に 48,000 回標本化することで,量子化ビット数 24 ビットは1回の標本が 3 バイト,ステレオは 2 チャンネルである。3分間は 180 秒なので 48,000×3×2×180=51,840,000 バイトで,およそ 52 M バイトになる。イが正しい。
ア(26)はモノラル(1チャンネル)として数えた値。エ(415)は 24 ビットを 24 バイトとして 48,000×24×2×180 を計算した値で,ウ(207)はその半分である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
3次元グラフィックス処理におけるクリッピングの説明はどれか。
ア CG 映像作成における最終段階として,物体のデータをディスプレイに描画できるように映像化する処理である。
イ 画像表示領域にウィンドウを定義し,ウィンドウ内の見える部分だけを取り出す処理である。 正解
ウ モデリングされた物体の表面に柄や模様などをはり付ける処理である。
エ 立体感を生じさせるため,物体の表面に陰付けを行う処理である。
正解 イ
解説
クリッピングは,3次元グラフィックスで,画像を表示する領域(ウィンドウ)を定義し,その中に見える部分だけを取り出す処理である。表示領域の外にある部分は描画の対象から外れる。イが正しい。
アは,物体のデータをディスプレイに描画できるように映像化するレンダリングの説明。ウは,物体の表面に柄や模様をはり付けるテクスチャマッピング。エは,物体の表面に陰付けをして立体感を出すシェーディングの説明である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
クライアントサーバシステムにおけるストアドプロシージャに関する記述のうち,誤っているものはどれか。
ア 機密性の高いデータに対する処理を特定プロシージャ呼出しに限定することによって,セキュリティを向上させることができる。
イ システム全体に共通な処理をプロシージャとして格納しておくことによって,処理の標準化を行うことができる。
ウ データベースへのアクセスを細かい単位でプロシージャ化することによって,処理性能(スループット)を向上させることができる。 正解
エ 複数の SQL 文から成る手続を1回の呼出しで実行できるので,クライアントとサーバ間の通信回数を減らすことができる。
正解 ウ
解説
ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をまとめて DBMS に格納しておき,クライアントから名前を指定して呼び出す仕組みである。複数の SQL 文を1回の呼出しで実行できるので通信回数を減らせる。データベースへのアクセスを細かい単位でプロシージャにすると,呼出しの回数が増えて通信の負荷が高まり,処理性能はかえって低下するので,ウが誤りである。
アの機密性の高い処理を特定のプロシージャ経由に限定することによるセキュリティの向上,イの共通処理をプロシージャとして格納することによる処理の標準化,エの複数の SQL 文を1回の呼出しで実行することによる通信回数の削減は,いずれもストアドプロシージャの利点として正しい。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
次の概念データモデルの解釈として,適切なものはどれか。ここで,モデルの記法として UML を用いる。
ア 従業員が所属していない部署の存在は許されない。
イ 従業員が所属している部署を削除しても,参照整合性は保証される。
ウ 従業員は,同時に複数の部署に所属してもよい。 正解
エ どの部署にも所属しない従業員が存在してもよい。
正解 ウ
解説
UML の多重度は,関連の相手側に書く。部署側の 1..* は,一人の従業員が所属する部署の数が1以上であることを表し,従業員側の 0..* は,一つの部署に所属する従業員の数が0以上であることを表す。したがって,従業員は同時に複数の部署に所属してもよく,ウが適切である。
アは誤りで,一つの部署の従業員は0人でもよいので,従業員が所属していない部署も存在できる。イは誤りで,従業員が所属している部署を削除すると,その従業員の所属先がなくなり参照整合性が保証されない。エは誤りで,従業員は少なくとも一つの部署に所属しなければならない。
多重度の読み方
多重度は,関連の相手側の端に書く。部門(1)と社員(*)なら,社員の側から見て部門は必ず1つ(どの社員もちょうど1つの部門に所属し,兼務はない),部門の側から見て社員は0人以上(社員のいない部門もある)。1..* なら1以上,0..1 なら0か1。
部門
社員
1
*
社員から見て部門は 1 つ(必ず,兼務なし)
部門から見て社員は 0 人以上
書き方
意味
1
ちょうど1
0..1
0 か 1
*(0..*)
0 以上
1..*
1 以上
相手から見て何個か,を相手側の端に書く
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
分散データベースにおいて図のようなコマンドシーケンスがあった。調停者がシーケンス a で発行したコマンドはどれか。ここで,コマンドシーケンスの記述に UML のシーケンス図の記法を用いる。
ア COMMIT の実行要求
イ ROLLBACK の実行要求 正解
ウ 判定レコードの書出し要求
エ ログ書出しの実行要求
正解 イ
解説
図は分散データベースの2相コミットの手順を表している。第1相で調停者が各システムに COMMIT の可否を問い合わせ,全てのシステムから“可”が返れば第2相で COMMIT を,一つでも“否”があれば全てのシステムに ROLLBACK を指示して,更新の結果をそろえる。
システム2から“否”が返っているので,調停者がシーケンス a で発行するのは ROLLBACK の実行要求であり,イが正しい。アの COMMIT の実行要求は,全てのシステムが“可”と応答した場合に発行する。ウの判定レコードの書出しやエのログ書出しは,各システムや調停者が内部で行う処理で,a のコマンドではない。
2相コミット
第1相で,調停者は各システムに COMMIT できるか問い合わせる。全てのシステムから“可”が返れば第2相で COMMIT を指示し,1つでも“否”があれば全てのシステムに ROLLBACK を指示して,結果をそろえる。この例ではシステム2が“否”なので ROLLBACK。
調停者
システム1
システム2
第1相
COMMIT できるか
可
否
第2相
ROLLBACK
全部“可”なら COMMIT,1つでも“否”なら ROLLBACK
1つでも“否”があれば,全部 ROLLBACK。全部“可”のときだけ COMMIT
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
関係データベースの“注文”表又は“商品”表の行を削除する場合,“注文明細”表に対する操作として,適切な組合せはどれか。ここで,表定義中の実線の下線は主キーを,破線の下線は外部キーを表す。
〔削除時の操作〕
A:主キー側の行を削除する際,それを参照している外部キー側の行を同時に削除する。 B:主キー側の行を削除する際,それを参照している外部キー側の行があれば,主キー側の行の削除を許さない。
ア “注文”表の行を削除する場合:A,“商品”表の行を削除する場合:A
イ “注文”表の行を削除する場合:A,“商品”表の行を削除する場合:B 正解
ウ “注文”表の行を削除する場合:B,“商品”表の行を削除する場合:A
エ “注文”表の行を削除する場合:B,“商品”表の行を削除する場合:B
正解 イ
解説
主キーと外部キーの関係で,“注文”表の行を削除する場合,その注文に属する“注文明細”表の行は,注文がなくなれば意味をもたないので,同時に削除する(A)のが適切である。“商品”表の行を削除する場合は,その商品を参照している“注文明細”表の行があるのに商品だけを削除すると,参照先のない行が残って参照整合性が保てなくなる。参照している行があれば削除を許さない(B)のが適切である。イが正しい。
アは商品表でも明細を同時に削除するので,過去の注文の明細が失われる。ウは注文表と商品表の操作が逆で,エは注文表でも削除を許さないので,注文を削除するには明細を先に消す必要が生じる。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
広帯域無線アクセス技術の一つで,最大半径 50 km の広範囲において最大約 75 M ビット/秒の通信が可能であり,周波数帯域幅を 1.25〜20 MHz 使用するという特徴をもつものはどれか。
ア iBurst
イ WiMAX 正解
ウ W-CDMA
エ 次世代 PHS
正解 イ
解説
WiMAX(IEEE 802.16)は広帯域無線アクセスの技術で,最大半径 50 km の広範囲で最大約 75 M ビット/秒の通信ができ,周波数帯域幅を 1.25〜20 MHz の範囲で使う。イが正しい。
ウの W-CDMA は第3世代携帯電話の方式で,1 チャネルの帯域幅は 5 MHz に決まっている。アの iBurst は 625 kHz 幅の狭い搬送波を使う移動無線アクセスの方式,エの次世代 PHS は PHS の小さなセル(マイクロセル)を生かした方式で,どちらも半径 50 km の広い範囲を1つの基地局で覆うものではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
IP ネットワークにおいて,二つの LAN セグメントを,ルータを経由して接続する。ルータの各ポート及び各端末の IP アドレスを図のとおりに設定し,サブネットマスクを全ネットワーク共通で 255.255.255.128 とする。ルータの各ポートのアドレス設定は正しいとした場合,IP アドレスの設定を正しく行っている端末の組合せはどれか。
ア A と B
イ A と D 正解
ウ B と C
エ C と D
正解 イ
解説
サブネットマスク 255.255.255.128 では,第4オクテットの上位1ビットまでがネットワーク部になり,0〜127 と 128〜255 の二つのサブネットに分かれる。ルータのポート 172.16.0.1 側のサブネットは 172.16.0.0〜172.16.0.127,ポート 172.16.1.5 側は 172.16.1.0〜172.16.1.127 である。
端末 A の 172.16.0.10 と端末 D の 172.16.1.20 は,それぞれ接続されたルータのポートと同じサブネットに含まれるので正しい。端末 B の 172.16.0.130 と端末 C の 172.16.1.140 は,第4オクテットが 128 以上で別のサブネットになるので誤りである。したがって,A と D のイが正しい。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
TCP/IP ネットワーク上で,メールサーバから電子メールを取り出すプロトコルはどれか。
正解 ア
解説
POP3 は,メールサーバのメールボックスに届いた電子メールを,クライアントが取り出す(受信する)ためのプロトコルである。アが正しい。
イの PPP は,2点間をつないでデータを転送するデータリンク層のプロトコル。ウの SMTP は,電子メールを送信したりメールサーバ間で転送したりするプロトコル。エの UDP は,コネクションを確立せずにデータを送るトランスポート層のプロトコルである。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
SSL によるクライアントと Web サーバ間の通信手順 (1)〜(5) において,a,b に入る適切な語句の組合せはどれか。ここで,記述した手順は,一部簡略化している。
(1) クライアントからの SSL による接続要求に対し,Web サーバはサーバ証明書をクライアントに送付する。 (2) クライアントは,保持している a によってこのサーバ証明書の正当性を確認する。 (3) クライアントは,共通鍵生成用のデータを作成し,サーバ証明書に添付された b によってこの共通鍵生成用データを暗号化し,Web サーバに送付する。 (4) 受け取った Web サーバは,自らの秘密鍵によって暗号化された共通鍵生成用データを復号する。 (5) クライアントと Web サーバの両者は,同一の共通鍵生成用データによって共通鍵を作成し,これ以降の両者間の通信は,この共通鍵による暗号化通信を行う。
ア a:クライアントの公開鍵,b:Web サーバの秘密鍵
イ a:クライアントの秘密鍵,b:Web サーバの公開鍵
ウ a:認証局の公開鍵,b:Web サーバの公開鍵 正解
エ a:認証局の公開鍵,b:Web サーバの秘密鍵
正解 ウ
解説
SSL(TLS)では,(2) でクライアントは,サーバ証明書に付けられた認証局のディジタル署名を,あらかじめ保持している認証局の公開鍵で検証し,証明書が正当であることを確認する。よって a は認証局の公開鍵である。
(3) でクライアントは,サーバ証明書に含まれる Web サーバの公開鍵で共通鍵生成用データを暗号化して送る。(4) で Web サーバが自らの秘密鍵で復号できるのは,対になる公開鍵で暗号化されているからで,b は Web サーバの公開鍵となる。ウが正しい。
ア,イのクライアントの鍵はこの手順では使わない。エの Web サーバの秘密鍵はサーバだけが持つもので,サーバ証明書に添付されることはない。
証明書の連鎖
サーバ証明書は中間 CA が署名し,中間 CA の証明書はルート CA が署名している。受け取った側は,サーバ証明書から中間 CA,ルート CA へと署名をたどって検証し,ブラウザや OS に組み込まれているルート CA に行き着けば信頼できると判断する。署名の検証には,署名した CA の公開鍵を使う。
ルート CA の証明書
ブラウザ・OS に組み込み済み
中間 CA の証明書
ルート CA が署名
サーバ証明書
中間 CA が署名
署名
たどって
検証
署名は,署名した CA の公開鍵で確かめる
上の CA が下の証明書に署名し,受け取った側は下から上へたどって検証する
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
公開鍵暗号方式によって,n 人が相互に暗号を使って通信する場合,異なる鍵は全体で幾つ必要になるか。ここで,公開鍵,秘密鍵をそれぞれ一つと数える。
ア n+1
イ 2n 正解
ウ n(n−1)/2
エ log2 n
正解 イ
解説
公開鍵暗号方式では,一人ひとりが自分用の公開鍵と秘密鍵の組を一つ持てばよい。相手に送るときは相手の公開鍵で暗号化し,受け取った相手は自分の秘密鍵で復号するので,通信の相手が何人いても鍵の組を増やす必要はない。n 人なら n 組で,1組を2個と数えるので 2n 個。イが正しい。
ウの n(n−1)/2 は,共通鍵暗号方式で n 人が相互に通信する場合に必要な鍵の数で,2人1組ごとに別々の鍵が要るためである。人数が多いほど,公開鍵暗号方式のほうが必要な鍵の数を大幅に減らせる。
鍵の数とハイブリッド暗号
共通鍵暗号では,n 人が互いに秘密に通信するには2人の組ごとに鍵が要り,n(n−1)÷2 本になる。4人なら6本,100人なら4,950本。公開鍵暗号では1人が公開鍵と秘密鍵の1組を持てばよく,2n 本(100人なら200本)。ハイブリッド暗号では,データは速い共通鍵暗号で暗号化し,その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して一緒に送る。
共通鍵:4人で6本
n(n−1)÷2 本
公開鍵:1人1組
2n 本(公開鍵と秘密鍵)
100人なら 共通鍵 4,950本 / 公開鍵 200本
ハイブリッド暗号
データ
共通鍵で暗号化(速い)
暗号文
共通鍵
受信者の公開鍵で暗号化
暗号化した共通鍵
受信者は秘密鍵で共通鍵を取り出し,データを復号する
鍵の配り方は公開鍵暗号で,データの暗号化は速い共通鍵暗号で
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
ISMS 適合性評価制度における情報セキュリティ基本方針に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 重要な基本方針を定めた機密文書であり,社内の関係者以外の目に触れないようにする。
イ 情報セキュリティのための経営陣の方向性及び支持を規定する。 正解
ウ セキュリティの基本方針を述べたものであり,ビジネス環境や技術が変化しても変更してはならない。
エ 特定のシステムについてリスク分析を行い,そのセキュリティ対策とシステム運用の詳細を記述したものである。
正解 イ
解説
ISMS 適合性評価制度の基準(JIS Q 27001 とその管理策)では,情報セキュリティ基本方針は,事業上の要求事項や関連する法令に従って,情報セキュリティのための経営陣の方向性及び支持を規定するものとされる。イが適切である。
アは誤りで,基本方針は経営陣が承認し,全ての従業員や関連する外部関係者に公表して通知する。ウは誤りで,ビジネス環境や技術の変化などに応じて,定期的に見直す必要がある。エの特定のシステムについてのリスク分析やセキュリティ対策,運用の詳細は,基本方針の下位にある対策基準や実施手順で定める。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
企業内情報ネットワークやサーバにおいて,通常のアクセス経路以外で,侵入者が不正な行為に利用するために設置するものはどれか。
ア VoIP ゲートウェイ
イ ストリクトルーティング
ウ バックドア 正解
エ フォレンジック
正解 ウ
解説
バックドアは,侵入者が一度侵入したコンピュータに,次回以降も通常の認証やアクセス経路を経ずに侵入できるように設置する裏口のような仕組みである。ウが正しい。
アの VoIP ゲートウェイは,電話の音声信号と IP パケットを相互に変換する装置。イのストリクトルーティングは,パケットが経由するルータを送信元が厳密に指定する経路制御の方式。エのフォレンジックは,不正アクセスなどの事後に,証拠となる記録を収集・分析する手法で,いずれも侵入者が設置するものではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
ディレクトリトラバーサル攻撃に該当するものはどれか。
ア Web アプリケーションの入力データとしてデータベースへの命令文を構成するデータを入力し,想定外の SQL 文を実行する。
イ Web サイトに利用者を誘導して,Web サイトの入力データ処理の欠陥を悪用し,利用者のブラウザで悪意のあるスクリプトを実行する。
ウ サーバ内の想定外のファイル名を直接指定することによって,本来は許されないファイルを不正に閲覧する。 正解
エ セッション ID によってセッションが管理されるとき,ログイン中の利用者のセッション ID を不正に取得し,その利用者に成りすましてアクセスする。
正解 ウ
解説
ディレクトリトラバーサル攻撃は,ファイル名の指定に“../”などを入れて,サーバ内の想定外のファイル名を直接指定することによって,本来は閲覧が許されないファイルを不正に閲覧する攻撃である。ウが該当する。
アは SQL インジェクション,イはクロスサイトスクリプティング,エはセッションハイジャック(セッション ID を不正に取得して利用者に成りすます攻撃)の説明である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
ユースケースは,システムへの機能的要求を明確にする手段として,利用者とシステムとのやり取りを定義したものである。ユースケースを利用してモデル化するのが適切なものはどれか。
ア インターネットを活用した新しい IT サービスを企画する。
イ コンピュータ室の空調設備の工事を行う。
ウ 処理時間を短くするために並列プロセッサで処理を行う。
エ 預金者が ATM から現金を引き出す。 正解
正解 エ
解説
ユースケースは,利用者(アクター)とシステムとのやり取りを定義したもので,システムの機能的要求を明確にするために使う。預金者が ATM から現金を引き出すという,利用者とシステムのやり取りは,ユースケースでモデル化するのに適している。エが適切である。
アのインターネットを活用した新しい IT サービスの企画は,ビジネスモデルや事業の検討である。イのコンピュータ室の空調設備の工事は,システムと利用者とのやり取りではない。ウの並列プロセッサによる処理時間の短縮は,システムの内部の実装方式の話で,利用者から見た機能的要求のやり取りではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
新システムのモデル化を行う場合の DFD 作成の手順として,適切なものはどれか。
ア 現物理モデル → 現論理モデル → 新物理モデル → 新論理モデル
イ 現物理モデル → 現論理モデル → 新論理モデル → 新物理モデル 正解
ウ 現論理モデル → 現物理モデル → 新物理モデル → 新論理モデル
エ 現論理モデル → 現物理モデル → 新論理モデル → 新物理モデル
正解 イ
解説
DFD で既存システムを基に新システムをモデル化するときは,まず現状の業務を担当者や媒体などの実装を含めて表した現物理モデルを作り,そこから実装に依存しない本質的な処理だけを抜き出した現論理モデルにする。次に,新しい要求を反映した新論理モデルを作り,最後にそれを実現する具体的な手段を当てはめた新物理モデルにする。イが適切である。
論理モデルは物理モデルから実装の制約を取り除いたものなので,ウやエのように現論理モデルから始めることはできない。アとウのように新物理モデルを先に作ると,実現手段を決めてから本質的な要求を整理することになり,手順が逆である。
DFD の作り方と図形要素
既存のシステムを基に新しいシステムをモデル化するときは,現物理モデル(担当者や媒体を含む今の姿)→現論理モデル(実装に依らない本質)→新論理モデル(新しい要求を入れる)→新物理モデル(実現手段を当てはめる)の順に作る。図形要素は,プロセス(円),データフロー(矢印),データストア(二本線),源泉と吸収(外部実体,四角)の4つ。データストアどうしを直接つなぐことはなく,間に必ずプロセスが入る。
現物理
現論理
新論理
新物理
図形要素
源泉・吸収
プロセス
データストア
データフロー
データストアどうしは直接つながらない(間にプロセス)
実体(エンティティ)・関連は E-R 図の要素
現物理 → 現論理 → 新論理 → 新物理。実体や関連は E-R 図の要素
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
デザインレビューの目的はどれか。
ア 成果物の問題点の早期発見を行う。 正解
イ 設計プロセスとマネジメントプロセスに関する問題点の早期発見と是正を行う。
ウ 第三者機関による成果物のサンプリング検査で品質上の問題点の早期発見と是正を行う。
エ 第三者機関による全成果物の合否判定を行う。
正解 ア
解説
デザインレビューは,設計工程の中で設計の成果物を関係者がレビューし,後工程に不具合を持ち越さないよう,成果物の問題点を早期に発見することを目的とする。アが正しい。
イは,設計の成果物ではなく,設計プロセスやマネジメントプロセス自体を対象にしている点が異なる。ウとエの第三者機関によるサンプリング検査や全成果物の合否判定は,設計工程の外で行う検査や判定で,関係者が設計工程の中で行うデザインレビューではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
図において,“営業状況を報告してください”という同じ指示(メッセージ)に対して,営業課長と営業部員は異なる報告(サービス)を行っている。オブジェクト指向において,このような特性を表す用語はどれか。
正解 ウ
解説
多相性(ポリモーフィズム)は,同じメッセージを送っても,受け取るオブジェクトのクラスによって異なる振る舞いをする性質である。図では,営業部長が同じ“営業状況を報告してください”という指示を送り,営業課長は課全体の目標と実績を,営業部員は個人の目標と実績と担当顧客状況を報告している。受け手ごとに応答が異なるので,ウが該当する。
アのカプセル化は,データとそれを操作する手続を一つにまとめ,内部を外部から隠蔽すること,イの継承は,上位クラスの属性や操作を下位クラスが引き継ぐ仕組み,エの抽象化は,対象から共通する本質的な性質を取り出して,細部を捨ててモデル化することである。
ポリモーフィズム(多相性)
同じメッセージ(例えば draw())を送っても,受け取ったオブジェクトのクラスによって違う振る舞いをする。呼び出す側は相手が円か四角かを気にせず,図形として draw() を呼ぶだけでよい。
呼び出す側
draw() を送る
円
円を描く
四角
四角を描く
三角
三角を描く
draw()
呼び出す側は相手のクラスを気にしなくてよい
同じ呼び方で,相手ごとに違う動きをする
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
結合テストで用いられるスタブの役割はどれか。
ア テストが完了したモジュールの代わりに結合される。
イ テスト対象のモジュールからの呼出し命令の条件に合わせて,値を返す。 正解
ウ テスト対象のモジュールからの呼出し命令の条件に合わせて,テストデータを自動生成する。
エ テスト対象のモジュールを呼出し命令で呼び出す。
正解 イ
解説
スタブは,結合テストで上位のモジュールから呼び出される下位のモジュールがまだできていないときに,その代わりに置く仮のモジュールである。テスト対象のモジュールからの呼出し命令の条件に合わせて,決まった値を返す。イが正しい。
アは,スタブは未完成のモジュールの代わりであり,テストが完了したモジュールの代わりではない。ウのテストデータを自動生成するのはテストデータジェネレータなどのツール。エのテスト対象のモジュールを呼出し命令で呼び出すのは,ドライバの役割である。
トップダウンテストのスタブとボトムアップテストのドライバ
トップダウンテストは上位のモジュールから結合していき,まだできていない下位のモジュールの代わりに,呼ばれたら決まった値を返すだけのスタブを使う。ボトムアップテストは下位のモジュールから結合していき,まだできていない上位のモジュールの代わりに,テストしたいモジュールを呼び出すドライバを使う。
トップダウン
上位(本物)
スタブ
スタブ
下位の代わりに値を返す
ボトムアップ
ドライバ
下位(本物)
下位(本物)
上位の代わりに呼び出す
スタブは下の代役(呼ばれる側),ドライバは上の代役(呼ぶ側)
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
CMMI の開発モデルの目的はどれか。
ア 各種のソフトウェア設計・開発技法を使って開発作業を自動化し,ソフトウェア開発の生産性の向上を図る。
イ 製品やサービスについて,組織が開発と保守のプロセスを改善するのを助ける。 正解
ウ ソフトウェアライフサイクルを,主,支援及び組織に関する三つのライフサイクルプロセスに分けてアクティビティを定め,ソフトウェアプロセスの標準化を図る。
エ 特定の購入者と製作者の間で授受されるソフトウェア製品の品質保証を行い,顧客満足度の向上を図る。
正解 イ
解説
CMMI(能力成熟度モデル統合)は,組織がプロセスを改善するためのベストプラクティスを体系的にまとめ,その適用の手引を提供するモデルである。組織のプロセスの成熟度を段階で示し,改善の進め方の指針とする。イが正しい。
アの設計・開発技法を使って開発作業を自動化するのは CASE ツールなどの考え方。ウのソフトウェアライフサイクルを主,支援,組織の三つのライフサイクルプロセスに分けて作業を定めるのは,ISO/IEC 12207(JIS X 0160)や共通フレームである。エの特定の購入者と製作者の間で授受されるソフトウェア製品の品質保証は,CMMI の目的ではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
マッシュアップを利用して Web コンテンツを表示しているものはどれか。
ア 検索キーワードの入力中に,キーワードの候補をサーバから取得して表示する。
イ 地図上のカーソル移動に伴い,ページを切り替えずにスクロール表示する。
ウ 電車経路の探索結果上に,各路線会社の Web ページへのリンクを表示する。
エ 店舗案内のページ上に,ほかのサイトが提供する地図情報を表示する。 正解
正解 エ
解説
マッシュアップは,Web API などで公開されている他のサイトのサービスの機能や情報を組み合わせて,新しいサービスやコンテンツを作ることである。店舗案内のページに,ほかのサイトが提供する地図情報を取り込んで表示するエがこれに当たる。
アは入力中の検索キーワードの候補をサーバから取得して表示する入力補完(サジェスト)の機能で,他のサイトのサービスを組み合わせたものではない。イは Ajax などを使ってページを切り替えずに表示を更新する技術。ウは各路線会社の Web ページへのリンクを置いているだけで,他のサービスの機能を利用して情報を組み合わせているわけではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
WBS(Work Breakdown Structure)を利用する効果として,適切なものはどれか。
ア 作業の内容や範囲が体系的に整理でき,作業の全体が把握しやすくなる。 正解
イ ソフトウェア,ハードウェアなど,システムの構成要素を効率よく管理できる。
ウ プロジェクト体制を階層的に表すことで,指揮命令系統が明確になる。
エ 要員ごとに作業が適正に配分されているかどうかが把握できる。
正解 ア
解説
WBS は,プロジェクトで行う作業や作成する成果物を,管理しやすい大きさまで階層的に分解して表したものである。作業の内容や範囲が体系的に整理され,漏れや重複を防ぎ,作業の全体を把握しやすくなる。アが適切である。
イのシステムの構成要素の管理は構成管理。ウのプロジェクト体制を階層的に表して指揮命令系統を明確にするのは,組織ブレークダウンストラクチャ(OBS)などの体制図。エの要員ごとの作業配分の把握は,責任分担マトリックスや資源ヒストグラムの役割である。
WBS とワークパッケージ
WBS(作業分解構成図)は,プロジェクトの成果物と作業を,管理できる大きさまで階層的に分解したもの。いちばん下の要素がワークパッケージで,これを単位に費用や期間を見積もり,担当を決めて管理する。上の要素は下の要素の合計(100%ルール)。
システム開発
設計
WP
WP
製造
WP
WP
テスト
WP
WP
WP:ワークパッケージ(費用・期間・担当を決める単位)
いちばん下がワークパッケージ。見積りと管理の単位
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
図のプロジェクトの日程計画において,プロジェクトの所要日数は何日か。
正解 エ
解説
各結合点の最早結合点時刻を求める。A は0日目から10日で終わる。B の終点には B(0+5=5)と A の後のダミー作業(10)が入るので10日目,そこから G 25 で35日目となる。D は10日目から15日で25日目に終わり,C の終点には C(10+10=20)と D の後のダミー作業(25)が入るので25日目となる。
E は25日目から20日で45日目,F は25日目から15日で40日目に終わる。E,F,G が入る結合点は最も遅い45日目で,H 10 を加えて全体は55日となり,エが正しい。ダミー作業を無視すると E の開始が20日目になり50日(ウ)と誤る。
ダミー作業のあるアローダイアグラムの所要日数
A(10日)の終点から B の終点へ,D の終点から C の終点へダミー作業がある。C と E は A と D の両方が終わってから始まるので,C の後の結合点は 25 日目。E は 25+20=45 日目,F は 40 日目,G は 35 日目に終わり,H の手前の結合点は最も遅い 45 日目。H の 10 日を足して 55 日。
A 10
B 5
D 15
C 10
F 15
E 20
G 25
H 10
0 / 0
10 / 10
10 / 20
25 / 25
25 / 25
45 / 45
55 / 55
結合点の数字:最早 / 最遅 濃い線:クリティカルパス
合流する結合点は「最も遅く着く作業」に合わせる。ダミー作業も合流に数える
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
ある開発プロジェクトの見積工数は 88 人月である。作業を開始した1月から5月までは各月に 10 名を投入したが,5月末時点で 40 人月分の作業しか完了していない。8月末までにこのプロジェクトを完了するためには,6月以降は最低何名の要員を追加する必要があるか。ここで,6月以降のすべての要員の作業効率は,5月までの要員と同じであるものとする。
正解 イ
解説
5月末までに 10 名×5か月=50 人月を投入して 40 人月分の作業が済んでいるので,作業効率は 40÷50=0.8 である。見積工数 88 人月のうち残りは 88−40=48 人月分で,8月末までの6〜8月の3か月で終えるには,月当たり 48÷3=16 人月分の作業が要る。効率が 0.8 なので 16÷0.8=20 名が必要で,現在の 10 名に対して 10 名を追加する。イが正しい。
ウの 16 は,作業効率を考えずに 48 人月を3か月で割った必要要員数。ア(6)はその 16 名から現在の 10 名を引いた値。エの 20 は,効率を考慮した必要な要員の総数であって,追加する人数ではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
グラフの使い方のうち,適切なものはどれか。
ア 企業の財務評価などで,複数の特性間のバランスを把握するために,円グラフを使用する。
イ 商品価格の最高値と最安値など,ある期間内に幅のある数値を時系列で表現するために,浮動棒グラフを使用する。 正解
ウ 全支社の商品ごとの売上高の比率など,二つ以上の関連する要素の比率の変化を比較するために,積上げ棒グラフを使用する。
エ 年度ごとの売上高の内訳の推移など,要素の変化と要素の合計の変化を比較するために,帯グラフを使用する。
正解 イ
解説
浮動棒グラフは,棒の下端と上端で値の幅(最小値と最大値など)を表すグラフで,商品価格の最高値と最安値のように,ある期間内に幅のある数値を時系列で表現するのに適している。イが正しい。
アの複数の特性間のバランスを把握するのは,レーダチャートの役割で,円グラフは一つの全体の内訳を示す。ウの比率の変化を比較するのは帯グラフ(100%積上げ)に向く。エの要素の変化と要素の合計の変化を比較するのは積上げ棒グラフに向いており,ウとエは使うグラフが入れ替わっている。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
教育技法の説明のうち,適切なものはどれか。
ア インバスケットは,一定時間内に数多くの問題を処理させることによって,問題の関連性,緊急性,重要性などに対する総合的判断力を高める技法である。 正解
イ ケーススタディは,日常の開発業務の中で,先輩や上司が個別に指導し,実体験から知識を習得させる技法である。
ウ ブレーンストーミングは,参加者に特定の役割を演技させることによって,各立場の理解や問題解決力を高める技法である。
エ ロールプレイングは,参加者のアイディアを批判することなく,またそのアイディアから新たなアイディアを導き出そうとする創造的問題解決に適した技法である。
正解 ア
解説
インバスケットは,管理者などの立場に置かれたと想定して,限られた時間内に未処理の書類(案件)を数多く処理させる訓練である。案件どうしの関連や緊急性,重要性を見極めて優先順位を付ける総合的な判断力を養う。アが正しい。
イの日常業務の中で先輩や上司が個別に指導するのは OJT である。ケーススタディは実際の事例を題材に分析や討議をさせる技法である。ウの役割を演技させるのはロールプレイングの説明,エのアイディアを批判せずに出し合うのはブレーンストーミングの説明で,名前と説明が入れ替わっている。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
SLA に記載する内容として,適切なものはどれか。
ア 顧客とサービスプロバイダの間で合意されたサービスの目標及び責任範囲 正解
イ サービスデスクと IT サポート部門の役割分担
ウ サービスプロバイダが提供するすべてのサービスの特徴,構成要素,料金
エ 利用者から出された IT サービスに対する業務要件
正解 ア
解説
SLA(サービスレベル合意書)は,顧客とサービスプロバイダの間で,提供するサービスの内容,サービスレベルの目標,双方の責任範囲などを合意して文書にしたものである。アが適切である。
イのサービスデスクと IT サポート部門の役割分担は,サービスプロバイダ内部の取決め(OLA など)に記載する。ウの提供する全てのサービスの特徴や料金はサービスカタログ,エの利用者から出された業務要件は SLA の合意に先立って把握するサービスレベル要求の内容である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
システムの移行計画に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 移行計画書には,移行作業で問題が発生した場合に旧システムに戻す際の判断基準が必要である。 正解
イ 移行するデータ量が多いほど,切替え直前に一括してデータの移行作業を実施するべきである。
ウ 新旧両システムで環境の一部を共有することによって,移行の確認が容易になる。
エ 新旧両システムを並行運用することによって,移行に必要な費用が低減できる。
正解 ア
解説
システムの移行では,移行作業で問題が発生したときに旧システムに戻せるようにしておく必要がある。そのため,移行計画書には,旧システムに戻すかどうかを判断する基準を定めておく。アが適切である。
イは,データ量が多いほど,切替え直前の一括移行は時間も危険も大きくなるので,事前に分けて移行しておくなどの計画が必要である。ウの新旧両システムで環境の一部を共有すると,一方の変更や障害が他方に影響し,移行の確認や切戻しが難しくなる。エの並行運用は,二重に運用する分,かえって費用が増える。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
ソフトウェア開発・保守工程において,リポジトリを構築する理由はどれか。
ア 各工程での作業手順を定義することが容易になり,開発・保守時の作業ミスを防止することができる。
イ 各工程での作業予定と実績を関連付けて管理することが可能になり,作業の進捗管理が容易になる。
ウ 各工程での成果物を一元管理することによって,開発・保守作業の効率が良くなり,用語を統一することができる。 正解
エ 各工程での発生不良を管理することが可能になり,ソフトウェアの品質分析が容易になる。
正解 ウ
解説
リポジトリは,要求仕様書,設計書,プログラム,テストデータなど,ソフトウェア開発・保守の各工程で作成される成果物とその情報を一元的に管理するデータベースである。成果物を共有して再利用しやすくなるので開発・保守作業の効率が良くなり,データ項目名などの用語を辞書として統一することもできる。ウが該当する。
アの作業手順の定義は開発標準や手順書,イの作業予定と実績の管理は進捗管理のツール,エの発生不良の管理は障害管理や品質管理の仕組みの役割である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
ヒアリングに関するシステム監査人の行為として,適切なものはどれか。
ア システム監査人は,監査対象部門に関係する管理者の中からヒアリングの対象者を選ぶ。
イ ヒアリングで被監査部門から聞いた話を裏付けるための文書や記録を入手するよう努める。 正解
ウ ヒアリングの中で気が付いた不備事項について,その場で被監査部門に改善を指示する。
エ 複数人で行うと記録内容に相違が出ることがあるので,1人のシステム監査人がすべてのヒアリングを行う。
正解 イ
解説
システム監査では,ヒアリングで聞いた内容が事実かどうかを確かめるため,それを裏付ける文書や記録を入手するように努める。監査の判断は証拠に基づく必要があるので,イが適切である。
アは,対象者を管理者に限ると現場の実態をつかめないため,実務の担当者も含めて選ぶ必要がある。ウは,不備事項への改善の指示は監査人の役割ではなく,監査結果として報告し勧告する。エは,複数人で行うと記録に相違が出るのではなく,記録を突き合わせることで正確さが増すので,1人で行う必要はない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
情報システムの安全性のコントロールに関係する監査証跡はどれか。
ア CPU の性能評価レポート
イ アクセスログ 正解
ウ 計算チェックプログラムの単体テストの結果報告書
エ ソフトウェア導入の費用対効果分析表
正解 イ
解説
監査証跡は,システムの処理の過程を後から追跡できるように記録したもので,監査人がコントロールの有効性を確かめる証拠になる。情報システムの安全性のコントロール(不正アクセスの防止など)については,誰がいつどの資源にアクセスしたかを記録したアクセスログが監査証跡になる。イが正しい。
アの CPU の性能評価レポートは効率性,ウの計算チェックプログラムの単体テストの結果報告書は信頼性,エのソフトウェア導入の費用対効果分析表は有効性や効率性に関係する資料である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
コンピュータセキュリティのリスク対策のうち,リスクの保有に該当するものはどれか。
ア インターネットからの不正アクセスが Web サーバの被害にとどまるので,LAN 上の配置は現状の DMZ のままとする。 正解
イ 水害を避けるために安全な高台にコンピュータセンタを移設する。
ウ 大規模な災害によるシステムの長時間停止に備えて,保険に加入する。
エ ノート PC の紛失に備えて,指紋認証の機能と PC 内に保存するデータの暗号化ソフトを取り入れる。
正解 ア
解説
リスク対策には,回避,低減,移転,保有(受容)がある。リスクの保有は,リスクの発生を認識した上で,対策を取らずに受け入れる対応である。不正アクセスの被害が Web サーバにとどまるとして,現状の DMZ の配置のまま変えないのは,リスクの保有に当たる。アが正しい。
イは水害という原因を避けるために移設するので回避。ウは災害による損害を保険に移すので移転。エは指紋認証とデータの暗号化によって紛失時の被害を小さくするので低減(軽減)である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
共通フレーム 2007 によれば,企画プロセスにおけるシステム化構想の立案の前提となるものはどれか。
ア 業務要件定義
イ 経営事業目標 正解
ウ システム化計画
エ システム設計
正解 イ
解説
共通フレーム 2007 の企画プロセスでは,経営・事業の目的や目標を達成するために,システム化構想を立案する。構想の立案の前提となるのは,経営事業目標である。イが正しい。
アの業務要件定義は要件定義プロセスで行う作業。ウのシステム化計画は,システム化構想を立案したあとに企画プロセスで立案するもので,構想の立案の前提ではない。エのシステム設計は,開発プロセスで行う作業である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
“システム管理基準”によれば,全体最適化計画策定の段階で,業務モデルを定義する目的はどれか。
ア 企業の全体業務と使用される情報の関連を整理し,情報システムの全体像を明確化すること 正解
イ システム化の範囲や開発規模を把握し,システム化に要する期間,開発工数,開発費用を見積もること
ウ 情報システムの構築のために必要なハードウェア,ソフトウェア,ネットワークなどの構成要素を洗い出すこと
エ 情報システムを実際に運用するために必要なユーザマニュアルや運用マニュアルを作成するために,業務手順を確認すること
正解 ア
解説
全体最適化計画の策定では,企業の全体業務とそこで使われる情報の関連を業務モデルとして整理し,組織全体として情報システムがどうあるべきかを明確にする。業務モデルを定義する目的はアである。
イのシステム化の範囲や開発規模を把握して期間,工数,費用を見積もるのは,個別の開発計画(システム化計画)の段階で行う。ウのハードウェアやソフトウェアなどの構成要素の洗い出しは,システムの設計の段階で行う。エのユーザマニュアルや運用マニュアルの作成に向けた業務手順の確認は,導入や運用の準備の段階で行う。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
ある営業部員の1日の業務活動を分析した結果は,表のとおりである。営業支援システムの導入によって訪問準備時間が1件当たり 0.1 時間短縮できる。総業務時間と1件当たりの顧客訪問時間を変えずに,1日の顧客訪問件数を6件にするには,“その他業務時間”を何時間削減する必要があるか。
正解 ウ
解説
現状は,1日の顧客訪問時間が 5.0 時間で5件なので,1件当たり 1.0 時間である。顧客訪問件数を6件にすると,顧客訪問時間は 6×1.0=6.0 時間となり,総業務時間 8.0 時間のうち社内業務時間は 8.0−6.0=2.0 時間になる。訪問準備時間は,現状は 1.5÷5=0.3 時間/件で,システム導入により 0.1 時間短縮されて 0.2 時間/件になるので,6件で 0.2×6=1.2 時間。社内業務時間 2.0 時間から訪問準備時間 1.2 時間を引くと,その他業務時間は 0.8 時間となり,現状の 1.5 時間から 1.5−0.8=0.7 時間削減する必要がある。ウが正しい。
検算すると,削減後は訪問時間 6.0+訪問準備時間 1.2+その他業務時間 0.8=8.0 時間となり,総業務時間と一致する。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
ERP パッケージを導入して,基幹業務システムを再構築する場合の留意点はどれか。
ア 各業務システムを段階的に導入するのではなく,必要なすべての業務システムを同時に導入し稼働させることが重要である。
イ 現場部門のユーザの意見を十分に尊重し,現行業務プロセスと合致するようにパッケージのカスタマイズを行うことが重要である。
ウ 最初に会計システムを導入し,その後でほかの業務システムを導入することが重要である。
エ パッケージが前提としている業務モデルに配慮して,会社全体の業務プロセスを再設計することが重要である。 正解
正解 エ
解説
ERP パッケージは,業務のベストプラクティスに基づく業務モデルを前提に作られている。導入に当たっては,パッケージが前提とする業務モデルに合わせて会社全体の業務プロセスを見直し,再設計することで,パッケージの利点を生かし,カスタマイズを最小限にできる。エが適切である。
アの全ての業務システムの同時導入は,リスクが大きく,段階的な導入も行われる。イの現行業務プロセスに合わせたカスタマイズを多くすると,開発費用や保守の負担が増え,パッケージのバージョンアップにも対応しにくくなる。ウの会計システムから導入しなければならないという決まりはない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
共通フレーム 2007 によれば,要件定義プロセスで行うべき作業はどれか。
ア 新しい業務のあり方や運用をまとめた上で,業務上実現すべき要件を定義する。 正解
イ 企業で将来的に必要となる最上位の業務機能と組織モデルを検討する。
ウ システム化機能の整理とネットワーク構成などのシステム方式を策定する。
エ システムが提供する信頼性,性能,セキュリティなどのサービスレベルを定義する。
正解 ア
解説
共通フレーム 2007 の要件定義プロセスでは,新しい業務のあり方や運用をまとめた上で,業務上実現すべき要件(業務要件)を定義する。アが正しい。
イの企業で将来的に必要となる最上位の業務機能と組織モデルの検討は,企画プロセス(システム化構想の立案)の作業。ウのシステム化機能の整理とネットワーク構成などのシステム方式の策定は,開発プロセスのシステム方式設計の作業。エのシステムが提供する信頼性,性能,セキュリティなどの定義は,開発プロセスのシステム要件定義で行うシステム要件の定義である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
提案依頼書を作成するために,必要な情報の提供を要請するものはどれか。
正解 イ
解説
RFI(Request For Information,情報提供依頼書)は,システム化の構想や調達の検討を始める段階で,発注する側がベンダに対して,提案依頼書(RFP)を作成するために必要な情報の提供を依頼する文書である。イが該当する。
アの IFB(Invitation For Bid)は,仕様や条件を示して入札への参加を募る入札招請書である。ウの RFP(Request For Proposal,提案依頼書)は,システム化の要件や制約を示して,具体的なシステムの構成や費用の提案を依頼する文書である。エの RFQ(Request For Quotation,見積依頼書)は,調達する物品やサービスを特定した上で価格の見積りを依頼する文書である。
RFI から契約までの流れ
まず RFI(情報提供依頼)でベンダから技術や製品の情報を集める。次に RFP(提案依頼書)で要件や条件を示して提案を求め,届いた提案書を評価してベンダを選び,契約する。RFP には,システムの概要,要件,提案の範囲,評価の方法などを書く。
RFI
情報を集める
RFP
提案を求める
提案書
ベンダが出す
評価・選定
契約
RFP には要件・提案の範囲・評価の方法などを書く
RFI は依頼の前に,ベンダの技術や製品の情報を得るため
情報を集めるのが RFI,提案を求めるのが RFP
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
図に示すマトリックス表を用いたポートフォリオ類型によって,事業計画や競争優位性の分析を行う目的はどれか。
ア 目標として設定したプロモーション効果を測定するために,自らの置かれた立場を評価する。
イ 目標を設定し,資源配分の優先順位を設定するための基礎として,自らの置かれた立場を評価する。 正解
ウ 目標を設定し,製品の品質を高めることによって,市場での優位性を維持する方策を評価する。
エ 目標を設定するために,季節変動要因や地域的広がりを加味することによって,市場の変化を評価する。
正解 イ
解説
図は,事業の強み(市場シェア)と事業の魅力度(市場成長率)の2軸で事業を分類するプロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)のマトリックスである。各事業が四つの領域のどこに位置するかによって自らの置かれた立場を評価し,目標を設定して,どの事業に経営資源を優先的に配分するかを決める基礎とする。イが正しい。
アのプロモーション効果の測定,ウの製品の品質向上による優位性維持の方策の評価,エの季節変動要因や地域的広がりによる市場の変化の評価は,いずれもこのマトリックスを用いる目的ではない。
PPM の4つの区分
縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェア(左が高い)をとる。成長率もシェアも高い花形,成長率が高くシェアが低い問題児,成長率が低くシェアが高い金のなる木,どちらも低い負け犬に分ける。金のなる木が生んだ資金を,花形や問題児に回す。
花形
成長に合わせた投資も要る
問題児
シェアを取るには投資が要る
金のなる木
投資が少なく資金を生む
負け犬
撤退を考える
高
低
成長率
市場
高
低
相対的市場シェア
金のなる木の資金を,花形と問題児へ回す
金のなる木が生む資金を,花形と問題児に回す
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
SWOT 分析を説明したものはどれか。
ア 企業の財務諸表を基に,収益性及び安全性を分析する手法である。
イ 経営戦略を立てるために,自社の強みと弱み,機会と脅威を分析する手法である。 正解
ウ 自社製品・サービスの市場での位置付けや評価を明らかにする手法である。
エ 自社製品の価格設定のために,市場での競争力を分析する手法である。
正解 イ
解説
SWOT 分析は,自社の内部環境である強み(Strengths)と弱み(Weaknesses),外部環境である機会(Opportunities)と脅威(Threats)を分析して,経営戦略を立てる手法である。イが正しい。
アの財務諸表を基にした収益性や安全性の分析は,財務分析(経営分析)である。ウの自社製品・サービスの市場での位置付けや評価を明らかにするのは,ポジショニング分析などの手法。エの価格設定のための市場での競争力の分析は,SWOT 分析ではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
サプライチェーンマネジメントを説明したものはどれか。
ア 購買,生産,販売及び物流を結ぶ一連の業務を,企業間で全体最適の視点から見直し,納期短縮や在庫削減を図る。 正解
イ 個人がもっているノウハウや経験などの知的資産を共有して,創造的な仕事につなげていく。
ウ 社員のスキルや行動特性を管理し,人事戦略の視点から適切な人員配置・評価などを行う。
エ 多様なチャネルを通して集められた顧客情報を一元化し,活用することで,顧客との関係を密接にしていく。
正解 ア
解説
サプライチェーンマネジメント(SCM)は,購買,生産,販売,物流という一連の業務を,企業間にまたがって全体最適の視点から見直し,納期の短縮や在庫の削減などを図る経営手法である。アが正しい。
イの知的資産を共有して創造的な仕事につなげるのはナレッジマネジメント。ウの社員のスキルや行動特性を管理して適切な人員配置を行うのは,人的資源管理(タレントマネジメント)。エの顧客情報を一元化して顧客との関係を密接にするのは,CRM(顧客関係管理)である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
TLO(Technology Licensing Organization)法に基づき,承認又は認定された事業者の役割として,適切なものはどれか。
ア 企業からの委託研究,又は共同研究を受け入れる窓口として,企業と大学との調整を行う。
イ 研究者からの応募に基づき,補助金を支給して先進的な研究を発展させる。
ウ 大学の研究成果を特許化し,又は企業への技術移転を支援し,産学の仲介役を果たす。 正解
エ 民間企業が保有する休眠特許を発掘し,他企業にライセンスして活用を図る。
正解 ウ
解説
TLO 法(大学等技術移転促進法)に基づいて承認又は認定された TLO(技術移転機関)は,大学などの研究成果を特許化し,その特許を企業にライセンスするなどして技術移転を支援し,大学と産業界の仲介役を果たす。ウが適切である。
アの企業からの委託研究や共同研究を受け入れる窓口は,大学の産学連携部門などの役割。イの研究者の応募に基づいて補助金を支給するのは,研究助成を行う機関の役割。エの民間企業が保有する休眠特許の発掘とライセンスは,大学の研究成果を対象とする TLO の役割ではない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
ある期間の生産計画において,図の部品表で表される製品 A の需要量が 10 個であるとき,部品 D の正味所要量は何個か。ここで,ユニット B の在庫残が5個,部品 D の在庫残が 25 個あり,ほかの在庫残,仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。
正解 イ
解説
製品 A が10個なので,ユニット B は 10×4=40個必要だが在庫が5個あるので正味35個,ユニット C は 10×1=10個必要で在庫はないので10個。部品 D はユニット B から 35×3=105個,ユニット C から 10×1=10個で合計115個必要になる。部品 D の在庫が25個あるので,正味所要量は 115−25=90個。イが正しい。
上位のユニット B の在庫を引かずに40個のまま計算すると,部品 D は 40×3+10=130個必要となり,在庫25個を引いて105個(エ)になってしまう。在庫は上位の品目から順に引き当てていく点に注意する。アの80とウの95は,この部品表からは導けない値である。
部品表から部品 D の正味所要量を求める
製品 A が10個なので,ユニット B は 4×10=40個,在庫5個を引いて正味35個。ユニット C は10個。部品 D は B から 35×3=105個,C から 10×1=10個で合計115個,在庫25個を引いて正味90個。
A
10個
B
40−在庫5=35
C
10
D
35×3
E
D
10×1
F
D:105 + 10 = 115,在庫25を引いて 90 個
在庫は上の階層から順に引いていく
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
製造業の A 社では,NC 工作機械を用いて,四つの仕事 a〜d を行っている。各仕事間の段取り時間は表のとおりである。合計の段取り時間が最小になるように仕事を行った場合の合計段取り時間は何時間か。ここで,仕事はどの順序で行ってもよいものとし,FROM から TO への段取り時間で検討する。
正解 ア
解説
各仕事を一度ずつ行う順序のうち,段取り時間の合計が最小になるものを探す。3 回の段取りがあるので,合計の最小は 3(すべて 1 時間)以上である。1 時間の段取りは,a→c,b→a,b→c の三つだけで,三つの仕事をつなぐ b→a→c(1+1=2)までしか作れず,d は他からの段取りが 2 時間以上掛かる。b→a→c→d の合計は 1+1+2=4 時間で,これが最小である。アが正しい。
他の順序,例えば a→c→b→d は 1+2+2=5 時間,a→b→c→d は 2+1+2=5 時間で,4 時間を下回るものはない。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。
ア 企業間の取引の契約内容
イ システムの運用時間
ウ 伝送制御手順
エ メッセージの形式 正解
正解 エ
解説
EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。
アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
組込みシステムの用途として,適切でないものはどれか。
ア FA 機器又は医療機器を制御するシステム
イ 音響・映像機器を制御するシステム
ウ 銀行の ATM 端末システム
エ 列車の座席予約を管理するホストシステム 正解
正解 エ
解説
組込みシステムは,機器に組み込まれて,その機器を制御するシステムである。ア(FA 機器や医療機器の制御)とイ(音響・映像機器の制御)は,機器を制御する組込みシステムの代表的な用途で,ウの銀行の ATM 端末システムも機器に組み込まれて動作する。エの列車の座席予約を管理するホストシステムは,多数の端末から利用される業務システムで,機器を制御する組込みシステムではないので,適切でないものはエである。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
企業活動における BCP を説明したものはどれか。
ア 企業が事業活動を営む上で,社会に与える影響に責任をもち,あらゆるステークホルダからの要求に対し適切な説明責任を果たすための取組のこと
イ 形式知だけでなく,暗黙知を含めた幅広い知識を共有して活用することで,新たな知識を創造しながら経営を実践する経営手法のこと
ウ 災害やシステム障害など予期せぬ事態が発生した場合でも,重要な業務の継続を可能とするために事前に策定される行動計画のこと 正解
エ 組織体の活動に伴い発生するあらゆるリスクを,統合的,包括的,戦略的に把握,評価,最適化し,価値の最大化を図る手法のこと
正解 ウ
解説
BCP(事業継続計画)は,災害やシステム障害などの予期せぬ事態が発生した場合でも,重要な業務の継続を可能とするために,あらかじめ策定しておく行動計画である。ウが正しい。
アは,社会に与える影響に責任をもち,ステークホルダへの説明責任を果たす取組で,CSR(企業の社会的責任)の説明。イは,形式知と暗黙知を共有して活用するナレッジマネジメント。エは,組織の活動に伴うあらゆるリスクを統合的,包括的,戦略的にとらえる ERM(全社的リスクマネジメント)の説明である。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
ゲーム理論を使って検討するのに適している業務はどれか。
ア イベント会場の入場ゲート数の決定
イ 売れ筋商品の要因の分析
ウ 競争者がいる地域での販売戦略の策定 正解
エ 新規開発商品の需要の予測
正解 ウ
解説
ゲーム理論は,利害が対立する複数の意思決定者(プレイヤ)が,互いに相手の行動を考慮しながら自らの最適な行動を選ぶ状況を分析する理論である。競争者がいる地域での販売戦略の策定は,競争者の出方によって自社の結果が変わるので,ゲーム理論が適している。ウが正しい。
アの入場ゲート数の決定は待ち行列理論,イの売れ筋商品の要因の分析は回帰分析などの多変量解析,エの新規開発商品の需要の予測は市場調査や時系列分析などの需要予測の手法が適している。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
表は,ある企業の損益計算書である。損益分岐点は何百万円か。
正解 エ
解説
損益分岐点売上高は,固定費÷(1−変動費率) で求める。変動費は 100+40=140 百万円で,変動費率は 140÷700=0.2,固定費は 200+300=500 百万円なので,損益分岐点は 500÷(1−0.2)=625 百万円になる。エが正しい。売上高 625 百万円のとき,限界利益は 625×0.8=500 で固定費と等しく,利益は 0 になる。
ウの 500 は固定費の合計そのもので,限界利益率 0.8 で割っていない。ア(250)やイ(490)も,この式の値と合わない。
損益分岐点図表
横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。
売上高
金額
固定費
総費用
売上高
損益分岐点
損益分岐点売上高
利益
損失
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
不正競争防止法において,営業秘密となる要件は,“秘密として管理されていること”,“事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること”ともう一つはどれか。
ア 営業譲渡が可能なこと
イ 期間が 10 年を超えないこと
ウ 公然と知られていないこと 正解
エ 特許出願をしていること
正解 ウ
解説
不正競争防止法第2条第6項は,営業秘密を“秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないもの”と定義している。秘密管理性,有用性,非公知性の三つが要件で,ウが正しい。
アの営業譲渡が可能なこと,イの期間が10年を超えないこと,エの特許出願をしていることは,いずれも要件ではない。特許出願をすると出願内容が公開されるので,むしろ非公知性を失うことになる。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
請負契約の下で,自己の雇用する労働者を契約先の事業所などで働かせる場合,適切なものはどれか。
ア 勤務時間,出退勤時刻などの労働条件は,契約先が調整する。
イ 雇用主が自らの指揮命令の下に当該労働者を業務に従事させる。 正解
ウ 当該労働者は,契約先で働く期間は,契約先との間にも雇用関係が生じる。
エ 当該労働者は,契約先の指示によって配置変更が行える。
正解 イ
解説
請負契約では,請負業者(雇用主)が労働者を自ら指揮命令して業務に従事させ,仕事を完成させる。契約先の事業所で働く場合でも,雇用主が自らの指揮命令の下に労働者を業務に従事させる必要がある。イが適切である。
アの勤務時間や出退勤時刻などの労働条件は雇用主が管理する。ウの契約先との間に雇用関係は生じない。エの契約先の指示による配置変更は,契約先が指揮命令することになり,請負ではなく労働者派遣(偽装請負)に当たる。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
圧縮された情報を伸張しても,完全には元の情報を復元できない場合がある圧縮方式はどれか。
正解 イ
解説
圧縮された情報を伸張しても完全には元に戻らない圧縮方式を非可逆圧縮という。JPEG は,人間の目では分かりにくい画像の細かい情報を間引いて圧縮する非可逆圧縮方式で,イが該当する。
アの GIF は可逆圧縮方式の画像形式。ウの MH(Modified Huffman)とエの MR(Modified READ)は,ファクシミリで使われる可逆圧縮方式で,伸張すれば元の情報に完全に戻る。
出典:平成21年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
平成21年度 秋期
平成21年度 春期
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