令和元年度 秋期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
あるホテルは客室を1,000部屋もち,部屋番号は,数字 4 と 9 を使用しないで 0001 から順に数字 4 桁の番号としている。部屋番号が 0330 の部屋は,何番目の部屋か。
正解 ウ
解説
部屋番号に使える数字は 0,1,2,3,5,6,7,8 の8種類なので,番号は 5→4,6→5,7→6,8→7 と読み替えれば8進数の数え方と同じになる。0000 は部屋番号に使わず 0001 が1番目なので,番号を8進数とみなした値がそのまま何番目かになる。0330 は 3×82 +3×8+0=192+24=216 で,ウが正しい。
アの204は 0315,イの210は 0322,エの218は 0332 に当たる番号である(番号の 5 は8進数の 4 として数える)。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
全体集合 S 内に異なる部分集合 A と B があるとき,A ∩B に等しいものはどれか。ここで,A∪B は A と B の和集合,A∩B は A と B の積集合,A は S における A の補集合,A−B は A から B を除いた差集合を表す。
ア A −B正解
イ (A ∪B )−(A∩B)
ウ (S−A)∪(S−B)
エ S−(A∩B)
正解 ア
解説
ド・モルガンの法則により,A ∩B は A∪B の補集合,つまり A にも B にも属さない要素の集合になる。アの A −B は「A に属さない要素から,さらに B に属するものを除いたもの」なので A かつ B でない,すなわち A ∩B と同じ集合を表す。アが正しい。
イの (A ∪B )−(A∩B) は,A ∪B がド・モルガンの法則で A∩B の補集合になり,そこから A∩B を引いても変わらないので A∩B の補集合のまま。ウの (S−A)∪(S−B) は A ∪B で,これも A∩B の補集合。エの S−(A∩B) も同じ集合で,イ・ウ・エはいずれも「A と B の少なくとも一方に属さない要素」を表しており,求める集合より広い。
Ā∩B̄(A にも B にも入らない部分)
塗った部分は,A にも B にも属さない要素で,Ā∩B̄。これは A∪B の補集合で(ド・モルガンの法則),「A に属さないものから,B に属するものを除いた」Ā−B とも同じ。一方,Ā∪B̄ や S−(A∩B) は「少なくとも一方に属さない」部分で,A と B の重なり以外を全部含む。
A
B
A ∩B = A −B
A
B
A ∪B = S−(A∩B)
A にも B にも入らない部分は Ā−B と同じ。「少なくとも一方に入らない」部分はもっと広い
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
通信回線を使用したデータ伝送システムに M/M/1 の待ち行列モデルを適用すると,平均回線待ち時間,平均伝送時間,回線利用率の関係は,次の式で表すことができる。
平均回線待ち時間 = 平均伝送時間 × 回線利用率/(1−回線利用率)
回線利用率が0から徐々に増加していく場合,平均回線待ち時間が平均伝送時間よりも最初に長くなるのは,回線利用率が幾つを超えたときか。
正解 イ
解説
平均回線待ち時間が平均伝送時間より長くなるのは,掛かっている係数 回線利用率/(1−回線利用率) が1を超えるとき。回線利用率を ρ とすると ρ/(1−ρ)>1 を解いて ρ>1−ρ,すなわち ρ>0.5 となる。回線利用率が0.5を超えたときに初めて待ち時間が伝送時間を上回るので,イが正しい。
ρ=0.5 のとき係数はちょうど1で,待ち時間と伝送時間が等しくなる。ρ=0.6 なら1.5倍,ρ=0.7 なら約2.33倍で,利用率が1に近づくと係数は際限なく大きくなる。待ち行列を扱うときに利用率を上げすぎてはいけないのは,この非線形な伸びのためである。
M/M/1 の待ち時間と利用率
M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。
0.5 → 1倍
0.8 → 4倍
0.9 → 9倍
1
利用率 ρ
ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
AI の機械学習における教師なし学習で用いられる手法として,最も適切なものはどれか。
ア 幾つかのグループに分かれている既存データ間に分離境界を定め,新たなデータがどのグループに属するかはその分離境界によって判別するパターン認識手法
イ 数式で解を求めることが難しい場合に,乱数を使って疑似データを作り,数値計算をすることによって解を推定するモンテカルロ法
ウ データ同士の類似度を定義し,その定義した類似度に従って似たもの同士は同じグループに入るようにデータをグループ化するクラスタリング 正解
エ プロットされた時系列データに対して,曲線の当てはめを行い,得られた近似曲線によってデータの補完や未来予測を行う回帰分析
正解 ウ
解説
教師なし学習は,正解ラベルの付いていないデータから構造や規則性を見つけ出す学習方法。クラスタリングは,データ同士の類似度だけを手掛かりに似たもの同士をまとめる手法なので,これに当たる。ウが正しい。
アは既にグループ分けされた(ラベル付きの)データから分離境界を学ぶ判別分析やサポートベクタマシンの説明で,教師あり学習。エの回帰分析も正解となる値を与えて学習するので教師あり学習である。イのモンテカルロ法は乱数を使った数値計算の手法で,機械学習の分類には当たらない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
組込みシステムにおけるリアルタイムシステムにおいて,システムへの入力に対する応答のうち,最も適切なものはどれか。
ア OS を使用しないで応答する。
イ 定められた制限時間内に応答する。 正解
ウ 入力された順序を守って応答する。
エ 入力時刻を記録して応答する。
正解 イ
解説
リアルタイムシステムは,入力に対する応答が,あらかじめ定められた制限時間(デッドライン)内に必ず完了することを求められるシステムである。応答の正しさが結果だけでなく時刻にも依存するので,制限時間内に応答するイが適切である。
アはリアルタイム性の条件ではなく,リアルタイム OS を載せて制限時間を守る組込みシステムも多い。ウの入力順の遵守は待ち行列の先入れ先出しの話で,応答時間の保証とは別の性質である。エの入力時刻の記録は,ログや時刻同期のための処理であり,応答の速さを保証するものではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
先頭ポインタと末尾ポインタをもち,多くのデータがポインタでつながった単方向の線形リストの処理のうち,先頭ポインタ,末尾ポインタ又は各データのポインタをたどる回数が最も多いものはどれか。ここで,単方向のリストは先頭ポインタからつながっているものとし,追加するデータはポインタをたどらなくても参照できるものとする。
ア 先頭にデータを追加する処理
イ 先頭のデータを削除する処理
ウ 末尾にデータを追加する処理
エ 末尾のデータを削除する処理 正解
正解 エ
解説
単方向リストでは各データが次のデータへのポインタだけをもつ。末尾のデータを削除するには,新たな末尾になる「元の末尾の一つ前」のデータのポインタを書き換える必要があるが,その位置は前へさかのぼれないので先頭からたどるしかない。データ数に比例した回数のポインタ参照が要るので,エが最も多くなる。
アの先頭への追加は,追加するデータのポインタを現在の先頭に向けて先頭ポインタを書き換えるだけ。イの先頭の削除も先頭のデータのポインタを読んで付け替えるだけ。ウの末尾への追加は末尾ポインタから直接たどり着ける。いずれもデータ数に関係なく一定回数で済む。
単方向の連結リストで末尾を追加・削除する
front だけをもつ実装では,末尾への追加も末尾の削除も,front から順にたどって末尾を探すので,どちらも n に比例する時間がかかる。rear も併せもつ実装では,末尾への追加は rear から直接できるので一定時間で済む。しかし末尾の削除では,一つ前のセル(x n−1)のポインタを空にして rear を付け替える必要があり,単方向のリストでは前へ戻れないので front からたどるしかなく,n に比例する。
実装方法1(front だけ)
x1
x2
xn−1
xn
…
/
front
追加も削除も先頭からたどる → どちらも n に比例
実装方法2(front と rear)
x1
x2
xn−1
xn
…
/
front
rear
削除では x n−1 を先頭から探す(n に比例)。追加は rear から直接(一定)
単方向のリストは前へ戻れない。末尾の削除には「一つ前」を先頭から探す必要がある
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を
h(x)=x mod n
とすると,任意のキー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。
ア a+b が n の倍数
イ a−b が n の倍数 正解
ウ n が a+b の倍数
エ n が a−b の倍数
正解 イ
解説
衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。
例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。
x mod n のハッシュ表で衝突する組
n=5 の表に,キーを5で割った余りの箱へ入れる。7 と 2 はどちらも余りが 2 で同じ箱に入り,衝突する。差 7−2=5 が n の倍数なので余りがそろう。1 と 4 は和が5でも余りは1と4で,衝突しない。
h(x) = x mod 5
0
1
1
7 と 2
2
3
4
4
衝突
7 mod 5 = 2,2 mod 5 = 2 → 差 7 − 2 = 5 は 5 の倍数
1 と 4:和は 5 でも余りは 1 と 4(衝突しない)
箱の下の数字が余り(格納位置)
余りが等しい ⇔ 差 a−b が n で割り切れる
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
分割統治を利用した整列法はどれか。
ア 基数ソート
イ クイックソート 正解
ウ 選択ソート
エ 挿入ソート
正解 イ
解説
分割統治は,問題を小さな部分問題に分け,それぞれを解いて結果を組み合わせる考え方。クイックソートは,基準値(ピボット)より小さい要素と大きい要素の二つの部分に分け,それぞれを同じ方法で再帰的に整列する。イが正しい。
アの基数ソートは,桁ごとに順に仕分けていく方法。ウの選択ソートは未整列部分から最小値を選んで先頭へ移す方法,エの挿入ソートは整列済みの部分に要素を一つずつ挿入していく方法で,いずれも問題を分割して解く方法ではない。
クイックソートの分割を2回目まで
1回目の分割は,左端の2を基準値にして,小さい値(1)と大きい値(3,5,4)に分け,1|2|3,5,4 になる。2回目は,要素が1つの左のグループは分割済みなので,右のグループ 3,5,4 の左端3を基準値にし,小さい値はなく大きい値は 5,4 なので,1|2|3|5,4 になる。
はじめ
2
3
5
4
1
基準値 2
1回目の後
1
2
3
5
4
2回目の後
1
2
3
5
4
基準値 3
2回目が終わった状態は 1,2,3,5,4
基準値(塗った箱)より小さいものを左,大きいものを右へ。順番は元のまま
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
CPU のプログラムレジスタ(プログラムカウンタ)の役割はどれか。
ア 演算を行うために,メモリから読み出したデータを保持する。
イ 条件付き分岐命令を実行するために,演算結果の状態を保持する。
ウ 命令のデコードを行うために,メモリから読み出した命令を保持する。
エ 命令を読み出すために,次の命令が格納されたアドレスを保持する。 正解
正解 エ
解説
プログラムレジスタ(プログラムカウンタ)は,次に実行する命令が格納されたメモリのアドレスを保持するレジスタで,命令を読み出すたびに次の命令のアドレスに更新される。エが正しい。
アは演算の対象となるデータを保持する汎用レジスタ,イは条件付き分岐の判断に使う演算結果の状態(ゼロ,負,桁あふれなど)を保持するフラグレジスタ(状態レジスタ),ウはデコード中の命令そのものを保持する命令レジスタの役割である。
命令の取出しと解読
プログラムカウンタが次に実行する命令のアドレスを示し,そのアドレスの命令を主記憶から取り出して命令レジスタに入れる。命令デコーダは命令レジスタの命令を解読し,演算装置などに指示を出す。演算の対象や結果はアキュムレータなどのレジスタに置く。
主記憶
プロセッサ
プログラム
カウンタ
命令レジスタ
命令デコーダ
演算装置
アキュムレータ
アドレス
命令
取り出した命令は,まず命令レジスタに入ってから命令デコーダへ
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
容量が a M バイトでアクセス時間が x ナノ秒の命令キャッシュと,容量が b M バイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPU からみた,主記憶と命令キャッシュとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで,読み込みたい命令コードがキャッシュに存在しない確率を r とし,キャッシュ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。
正解 イ
解説
平均アクセス時間は,キャッシュに当たったときの時間とキャッシュに外れて主記憶を読むときの時間を,それぞれの確率で重み付けした平均になる。r は「キャッシュに存在しない確率」=ミス率なので,ヒット率は 1−r。したがって (1−r)·x + r·y となり,イが正しい。
エは r と 1−r を取り違えており,ミス率が高いほど速くなるという逆の式になっている。アとウは容量 a,b の比で重み付けしているが,平均アクセス時間を決めるのはアクセスがどちらに向かうかの確率であって,容量の比ではない。
キャッシュに無い確率 r のときの平均アクセス時間
読みたいデータがキャッシュにある確率は 1−r で,そのときはキャッシュのアクセス時間 x で読める。無い確率 r のときは主記憶から y で読む。平均は (1−r)・x + r・y。容量 a・b は関係しない。
CPU
キャッシュ
時間 x
主記憶
時間 y
1−r
r
(1−r)・x
r・y
平均 = (1−r)・x + r・y
r は「無い」確率なので,主記憶の側に掛ける
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
PC とディスプレイの接続に用いられるインタフェースの一つである DisplayPort の説明として,適切なものはどれか。
ア DVI と同じサイズのコネクタで接続する。
イ アナログ映像信号も伝送できる。
ウ 映像と音声をパケット化して,シリアル伝送できる。 正解
エ 著作権保護の機能をもたない。
正解 ウ
解説
DisplayPort は,PC とディスプレイをつなぐデジタルのインタフェースで,映像と音声をパケットにして,シリアル伝送する。ウが正しい。
アは,DisplayPort のコネクタは DVI とは形状が異なる。イのアナログ映像信号を伝送できるのは,VGA や DVI-I で,DisplayPort は伝送しない。エは,DisplayPort には著作権保護の機能がある。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
SD メモリカードの上位規格の一つである SDXC の特徴として,適切なものはどれか。
ア GPS,カメラ,無線 LAN アダプタなどの周辺機能をハードウェアとしてカードに搭載している。
イ SD メモリカードの4分の1以下の小型サイズで,最大 32G バイトの容量をもつ。
ウ 著作権保護技術として AACS を採用し,従来の SD メモリカードよりもセキュリティが強化された。
エ ファイルシステムに exFAT を採用し,最大 2T バイトの容量に対応できる。 正解
正解 エ
解説
SD メモリカードの規格は,容量で SD(2G バイトまで),SDHC(2G バイト超〜32G バイト),SDXC(32G バイト超〜2T バイト)に分かれる。SDXC はファイルシステムに exFAT を採用し,最大 2T バイトに対応する。エが正しい。
アの周辺機能をカードに搭載するのは SDIO の考え方で,SDXC の特徴ではない。イの32G バイトまでという容量は SDHC に当たり,SDXC はそれを超える。ウの AACS は Blu-ray Disc などで使われる著作権保護技術で,SD メモリカードの著作権保護技術は CPRM である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
システムの性能を向上させるための方法として,スケールアウトが適しているシステムはどれか。
ア 一連の大きな処理を一括して実行しなければならないので,並列処理が困難な処理が中心のシステム
イ 参照系のトランザクションが多いので,複数のサーバで分散処理を行っているシステム 正解
ウ データを追加するトランザクションが多いので,データの整合性を取るためのオーバヘッドを小さくしなければならないシステム
エ 同一のマスタデータベースがシステム内に複数配置されているので,マスタを更新する際にはデータベース間で整合性を保持しなければならないシステム
正解 イ
解説
スケールアウトは,サーバの台数を増やして処理を分散し,システム全体の性能を向上させる方法である。参照系のトランザクションが多いシステムは,データを更新しないので,複数のサーバに処理を振り分けても整合性の問題が起きにくく,スケールアウトが適している。イが該当する。
アの並列処理が困難な処理は,台数を増やしても速くならないので,1 台の性能を上げるスケールアップが向く。ウとエは,データの追加や更新が多く,複数のサーバ間で整合性を保つ負担が台数とともに大きくなるので,スケールアウトの効果を得にくい。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
キャパシティプランニングの目的の一つに関する記述のうち,最も適切なものはどれか。
ア 応答時間に最も影響があるボトルネックだけに着目して,適切な変更を行うことによって,そのボトルネックの影響を低減又は排除することである。
イ システムの現在の応答時間を調査し,長期的に監視することによって,将来を含めて応答時間を維持することである。 正解
ウ ソフトウェアとハードウェアをチューニングして,現状の処理能力を最大限に引き出して,スループットを向上させることである。
エ パフォーマンスの問題はリソースの過剰使用によって発生するので,特定のリソースの有効利用を向上させることである。
正解 イ
解説
キャパシティプランニングは,将来の業務量の増加を見込んで必要な資源をあらかじめ計画する活動。現在の応答時間を把握して長期的に監視し,将来にわたって必要な性能を保てるようにするのが目的の一つになる。イが正しい。
アのボトルネックだけに着目した変更や,ウのチューニングによるスループット向上は,いま起きている性能問題を改善する活動であって,先を見越した計画ではない。エは「パフォーマンスの問題はリソースの過剰使用によって発生する」と原因を一つに決めつけており,キャパシティプランニングの目的の説明としては適切でない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
1件のデータを処理する際に,読取りには40ミリ秒,CPU 処理には30ミリ秒,書込みには50ミリ秒掛かるプログラムがある。このプログラムで,n 件目の書込みと並行して n+1 件目の CPU 処理と n+2 件目の読取りを実行すると,1分当たりの最大データ処理件数は幾つか。ここで,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。
正解 エ
解説
並行して実行できる読取り・CPU 処理・書込みを流れ作業のように重ねるので,1 件の処理が終わる間隔は,最も長い処理の時間で決まる。三つの処理のうち最長は書込みの 50 ミリ秒なので,1 件を 50 ミリ秒ごとに処理でき,1 分(60,000 ミリ秒)当たりの最大データ処理件数は 60,000÷50=1,200 件である。エが正しい。
アの 500 件は,並行処理をせず 1 件を 40+30+50=120 ミリ秒で処理した場合(60,000÷120)の値である。イの 666 件は読取りと書込みの合計 90 ミリ秒,ウの 750 件は CPU 処理と書込みの合計 80 ミリ秒で割った値で,並行して実行する処理の時間を足してしまった誤りである。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
システムの信頼性向上技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 故障が発生したときに,あらかじめ指定されている安全な状態にシステムを保つことを,フェールソフトという。
イ 故障が発生したときに,あらかじめ指定されている縮小した範囲のサービスを提供することを,フォールトマスキングという。
ウ 故障が発生したときに,その影響が誤りとなって外部に出ないように訂正することを,フェールセーフという。
エ 故障が発生したときに対処するのではなく,品質管理などを通じてシステム構成要素の信頼性を高めることを,フォールトアボイダンスという。 正解
正解 エ
解説
フォールトアボイダンス(故障回避)は,故障が起きてから対処するのではなく,品質管理や高信頼の部品の採用などによって,システムの構成要素そのものの信頼性を高め,故障の発生を防ぐ考え方である。エが適切である。
アの故障時に安全な状態にシステムを保つのはフェールセーフ。イの故障時に縮小した範囲のサービスを提供するのはフェールソフト。ウの故障の影響が誤りとなって外部に出ないように訂正するのはフォールトマスキングの説明で,いずれも用語と説明の組合せが入れ替わっている。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
ジョブ群と実行の条件が次のとおりであるとき,一時ファイルを作成する磁気ディスクに必要な容量は最低何 M バイトか。
〔ジョブ群〕
〔実行の条件〕
(1) ジョブの実行多重度を2とする。 (2) 各ジョブの処理時間は同一であり,他のジョブの影響は受けない。 (3) 各ジョブは開始時に 50M バイトの一時ファイルを新たに作成する。 (4) X→Y の関係があれば,ジョブ X の開始時に作成した一時ファイルは,直後のジョブ Y で参照し,ジョブ Y の終了時にその一時ファイルを削除する。直後のジョブが複数個ある場合には,最初に生起されるジョブだけが先行ジョブの一時ファイルを参照する。 (5) X から Y,Z の二つへ矢印が分かれている場合は,ジョブ X の終了時に,ジョブ Y,Z のようにジョブ X と矢印で結ばれる全てのジョブが,上から記述された順に優先して生起されることを示す。 (6) X,Y の二つから Z へ矢印が集まっている場合は,先行するジョブ X,Y 両方が終了したときにジョブ Z が生起されることを示す。 (7) ジョブの生起とは実行待ち行列への追加を意味し,各ジョブは待ち行列の順に実行される。 (8) OS のオーバヘッドは考慮しない。
正解 ウ
解説
処理時間が同じで多重度が2なので,時間の刻みごとに走るジョブを追う。まず A が単独で実行され一時ファイルを1個作る(50M バイト)。A の終了で B と C が生起し,多重度2で同時に実行されてそれぞれ一時ファイルを作るので,A・B・C の3個で150M バイト。次に B と C が終わると,B の一時ファイルは D が,C の一時ファイルは E が参照するので残り,A の一時ファイルだけが削除される。そこへ D と E が同時に実行されて一時ファイルを作るため,B・C・D・E の4個で200M バイトになる。これが最大なのでウが正しい。
その後 D と E が終わると B・C の一時ファイルが消え,F が実行されて D・E・F の3個(150M バイト)に減る。多重度が2なので同時に走るジョブは二つまでで,一時ファイルが5個以上同時に存在することはない。したがってエの250M バイトは要らず,アの100M バイトやイの150M バイトでは D と E を同時に実行する時点で足りなくなる。
ジョブの実行と一時ファイルの数
多重度2で処理時間は同じ。1つ目の時間は A だけが動き一時ファイルは A の1個。2つ目は B と C が動き,A・B・C の3個(150M バイト)。3つ目は D と E が動く。A のファイルは B が使い終えて消えるが,B のファイルは D が,C のファイルは E が使うので残り,B・C・D・E の4個(200M バイト)で最大になる。4つ目は F が動き,D・E・F の3個に減る。
1つ目
実行:A
A のファイル
50M
2つ目
実行:B・C
A のファイル
B のファイル
C のファイル
150M
3つ目
実行:D・E
B のファイル
C のファイル
D のファイル
E のファイル
200M
4つ目
実行:F
D のファイル
E のファイル
F のファイル
150M
一時ファイル1個=50M バイト
ファイルは「直後のジョブが終わるまで」残る。最大は D と E が動く時点の4個=200M バイト
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
ページング方式の仮想記憶において,主記憶に存在しないページをアクセスした場合の処理や状態の順番として,適切なものはどれか。ここで,現在主記憶には,空きページはないものとする。
ア 置換え対象ページの決定 → ページイン → ページフォールト → ページアウト
イ 置換え対象ページの決定 → ページフォールト → ページアウト → ページイン
ウ ページフォールト → 置換え対象ページの決定 → ページアウト → ページイン 正解
エ ページフォールト → 置換え対象ページの決定 → ページイン → ページアウト
正解 ウ
解説
ページング方式で主記憶にないページをアクセスすると,まずページフォールトが発生する。主記憶に空きページがないので,次に追い出すページ(置換え対象ページ)を決め,そのページを補助記憶へ書き出し(ページアウト),その空きにアクセスされたページを読み込む(ページイン)。この順序のウが正しい。
ア・イは置換え対象を決めるのがページフォールトの前か,ページインがページアウトより先になっており,空きページがないのに読み込むことになる。エはページインの後にページアウトするので,読み込む領域がない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
三つの媒体 A〜C に次の条件でファイル領域を割り当てた場合,割り当てた領域の総量が大きい順に媒体を並べたものはどれか。
〔条件〕
(1) ファイル領域を割り当てる際の媒体選択アルゴリズムとして,空き領域が最大の媒体を選択する方式を採用する。 (2) 割当て要求されるファイル領域の大きさは,順に 90,30,40,40,70,30(M バイト)であり,割り当てられたファイル領域は,途中で解放されない。 (3) 各媒体は容量が同一であり,割当て要求に対して十分な大きさをもち,初めは全て空きの状態である。 (4) 空き領域の大きさが等しい場合には,A,B,C の順に選択する。
ア A,B,C
イ A,C,B
ウ B,A,C
エ C,B,A 正解
正解 エ
解説
空き領域が最大の媒体,つまり割り当てた総量が最小の媒体を選ぶ。等しければ A,B,C の順に選ぶ。90 は全て空きなので A(A 90)。30 は B と C が等しいので B(B 30)。40 は C が最小なので C(C 40)。次の 40 は B(30)が最小なので B(B 70)。70 は C(40)が最小なので C(C 110)。最後の 30 は B(70)が最小なので B(B 100)。
割り当てた総量は A 90,B 100,C 110 となり,大きい順に C,B,A で,エが正しい。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
分解能が8ビットの D/A 変換器に,ディジタル値0を入力したときの出力電圧が 0V となり,ディジタル値128を入力したときの出力電圧が 2.5V となる場合,最下位の1ビットの変化による当該 D/A 変換器の出力電圧の変化は何 V か。
ア 2.5/128 正解
イ 2.5/255
ウ 2.5/256
エ 2.5/512
正解 ア
解説
ディジタル値0のときの出力が0V,128のときが2.5Vなので,1ビット当たりの電圧は 2.5V÷128=2.5/128 V。D/A 変換器の出力はディジタル値に比例するので,最下位の1ビットが変化したときの出力電圧の変化は 2.5/128 V になる。アが正しい。
イの 2.5/255 や,ウの 2.5/256 は,2.5V がフルスケール(最大のディジタル値)に対応するとして割った値で,ディジタル値128で2.5V になるという条件と合わない。エの 2.5/512 は条件の半分の値になる。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
組込みシステムにおける,ウォッチドッグタイマの機能はどれか。
ア あらかじめ設定された一定時間内にタイマがクリアされなかった場合,システム異常とみなしてシステムをリセット又は終了する。 正解
イ システム異常を検出した場合,タイマで設定された時間だけ待ってシステムに通知する。
ウ システム異常を検出した場合,マスカブル割込みでシステムに通知する。
エ システムが一定時間異常であった場合,上位の管理プログラムを呼び出す。
正解 ア
解説
ウォッチドッグタイマは,システムが正常に動いているあいだ,プログラムが一定時間ごとにタイマをクリア(リセット)することで動作を確認する仕組みである。あらかじめ設定された一定時間内にタイマがクリアされなかった場合は,プログラムの暴走や停止などの異常とみなして,システムのリセットや終了を行う。アが正しい。
イは異常を検出してから設定時間だけ待って通知するもので,タイマのクリアを監視する仕組みではない。ウのマスカブル割込みは,割込み禁止にされると受け付けられないので,暴走したシステムの異常通知には向かない(リセットや,マスクできない割込みを使う)。エは異常が一定時間続いたときに上位の管理プログラムを呼び出すという説明で,ウォッチドッグタイマの機能ではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
エネルギーハーベスティングの適用例として,適切なものはどれか。
ア AC 電源で充電したバッテリで駆動される携帯電話機
イ インバータ制御を用いるエアーコンディショナの室外機
ウ スイッチを押す力を電力に変換して作動する RF リモコン 正解
エ 無停電電源装置を備えたデータサーバ
正解 ウ
解説
エネルギーハーベスティング(環境発電)は,身の回りにある光・熱・振動・電波などのわずかなエネルギーを電力に変換して利用する技術。スイッチを押す力を電力に変えて動く RF リモコンは,電池も外部電源も要らなくなる典型的な適用例である。ウが正しい。
アの AC 電源で充電したバッテリや,エの無停電電源装置は,外部から供給された電力を蓄えて使うもの。イのインバータ制御は電力の使い方を効率化する技術で,いずれも周囲に散在するエネルギーを収穫しているわけではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
3ビットのデータ x1 ,x2 ,x3 に偶数パリティビット c を付加する回路はどれか。
正解 ウ
解説
偶数パリティビットは,データと付加するビットを合わせた 1 の数が偶数になるように付ける。x1 ,x2 ,x3 の 1 の数が奇数のとき c=1,偶数のとき c=0 とすればよいので,c=x1 ⊕x2 ⊕x3 (排他的論理和)になる。XOR 回路を2段つないだウが正しい。
エはウの出力を NOT 回路で反転しており,1 の数を奇数にそろえる奇数パリティの回路になる。ア・イは AND 回路と OR 回路の組合せで,1 の数が偶数か奇数かを表す論理にならない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
ユーザインタフェースのユーザビリティを評価するときの,利用者の立場からの評価手法と専門家の立場からの評価手法の適切な組みはどれか。
ア 利用者の立場からの評価手法:アンケート,専門家の立場からの評価手法:回顧法
イ 利用者の立場からの評価手法:回顧法,専門家の立場からの評価手法:思考発話法
ウ 利用者の立場からの評価手法:思考発話法,専門家の立場からの評価手法:ヒューリスティック評価法 正解
エ 利用者の立場からの評価手法:認知的ウォークスルー法,専門家の立場からの評価手法:ヒューリスティック評価法
正解 ウ
解説
ユーザビリティの評価手法には,利用者に操作してもらって評価する手法と,専門家が基準や経験則に照らして評価する手法がある。思考発話法は,利用者に考えていることを声に出しながら操作してもらう手法で利用者の立場,ヒューリスティック評価法は,専門家が経験則(ヒューリスティクス)をもとにインタフェースの問題点を洗い出す手法で専門家の立場である。ウが適切である。
アとイは,回顧法(操作したあとで利用者に振り返って語ってもらう手法)を専門家の立場の欄に置いたり,思考発話法を専門家の立場の欄に置いたりしている。エの認知的ウォークスルー法は,専門家が利用者の操作手順をたどって評価する手法なので,利用者の立場の欄には入らない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
H.264/MPEG-4 AVC の説明として,適切なものはどれか。
ア インターネットで動画や音声データのストリーミング配信を制御するための通信方式
イ テレビ会議やテレビ電話で双方向のビデオ配信を制御するための通信方式
ウ テレビの電子番組案内で使用される番組内容のメタデータを記述する方式
エ ワンセグやインターネットで用いられる動画データの圧縮符号化方式 正解
正解 エ
解説
H.264/MPEG-4 AVC は,動画データを圧縮して符号化する方式で,ワンセグ放送やインターネットの動画配信,ブルーレイなどに使われる。エが適切である。
アはストリーミング配信の制御に使う RTSP などのプロトコル,イはテレビ会議などで使う H.323 などの通信方式,ウは番組内容などのメタデータを記述する MPEG-7 などの規格の説明であり,いずれも動画データを圧縮符号化する方式ではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
データベースの概念設計に用いられ,対象世界を,実体と実体間の関連という二つの概念で表現するデータモデルはどれか。
ア E-R モデル 正解
イ 階層モデル
ウ 関係モデル
エ ネットワークモデル
正解 ア
解説
E-R モデルは,対象世界を実体(エンティティ)と実体間の関連(リレーションシップ)の二つの概念で表現するデータモデルで,データベースの概念設計に用いられる。アが正しい。
イの階層モデルは木構造,ウの関係モデルは表(リレーション),エのネットワークモデルは網構造でデータを表現する,データベースの論理設計に関するモデルである。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
図のような関係データベースの“注文”表と“注文明細”表がある。“注文”表の行を削除すると,対応する“注文明細”表の行が,自動的に削除されるようにしたい。SQL 文の ON DELETE 句に指定する語句はどれか。ここで,図中の実線の下線は主キーを,破線の下線は外部キーを表す。
ア CASCADE 正解
イ INTERSECT
ウ RESTRICT
エ UNIQUE
正解 ア
解説
参照制約の削除規則(ON DELETE)に CASCADE を指定すると,参照されている側(注文表)の行を削除したとき,参照している側(注文明細表)の対応する行も連鎖して自動的に削除される。アが正しい。
イの INTERSECT は,二つの問合せ結果の共通部分を求める集合演算で,削除規則ではない。ウの RESTRICT は,参照している行が残っているとき,参照される側の行の削除を拒否する規則。エの UNIQUE は,列の値の重複を禁止する制約で,削除規則には指定できない。
参照されている行を削除したときの動き
“受注”表の商品コードが“商品”表を参照しているとき,“商品”の行を削除したら受注の行をどうするかを ON DELETE で決める。CASCADE は受注の行も連鎖して削除,RESTRICT は削除そのものを拒否,SET NULL は受注の商品コードを NULL に,SET DEFAULT は既定値に置き換える。
指定
商品の行を消すと,受注の行は
CASCADE
一緒に削除される
RESTRICT
残る(商品の削除が拒否される)
SET NULL
残る(商品コードが NULL に)
SET DEFAULT
残る(商品コードが既定値に)
ON DELETE CASCADE = 連鎖して削除
受注の行も自動で消すのは CASCADE
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
RDBMS のロックに関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,X,Y はトランザクションとする。
ア X が A 表内の特定行 a に対して共有ロックを獲得しているときは,Y は A 表内の別の特定行 b に対して専有ロックを獲得することができない。
イ X が A 表内の特定行 a に対して共有ロックを獲得しているときは,Y は A 表に対して専有ロックを獲得することができない。 正解
ウ X が A 表に対して共有ロックを獲得しているときでも,Y は A 表に対して専有ロックを獲得することができる。
エ X が A 表に対して専有ロックを獲得しているときでも,Y は A 表内の特定行 a に対して専有ロックを獲得することができる。
正解 イ
解説
共有ロックは読取りのためのロックで,ほかのトランザクションの共有ロックとは両立するが,専有ロックとは両立しない。X が A 表の行 a に共有ロックを掛けているときに,Y が A 表全体に専有ロックを獲得できると,行 a も Y に専有されてしまい,X のロックと矛盾する。したがって Y は A 表に専有ロックを獲得できない。イが適切である。
アは行 a と別の行 b へのロックなので,対象が重ならず,Y は行 b に専有ロックを獲得できる。ウは表全体への共有ロックと専有ロックが競合するので,Y は専有ロックを獲得できない。エは X が表全体を専有しているので,Y は表内のどの行にも専有ロックを獲得できない。
共有ロックと専有ロックの両立
共有ロック(読取り)どうしは同時にかけられるが,専有ロック(更新)はほかのどのロックとも同時にかけられない。並行して実行できるのは先行・後続がともに共有の組合せだけ。表全体へのロックは表の中の全ての行に及ぶので,ある行に共有ロックがある間は,表全体への専有ロックはかけられない。
先行\後続
共有
専有
共有
○ 並行
× 待つ
専有
× 待つ
× 待つ
○ 並行
表と行のロック(SA の問題)
A 表
行 a
X が共有
行 b
Y が行 b に専有 → ○(重ならない)
Y が A 表に専有 → ×(行 a も含む)
並行できるのは共有と共有だけ
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
データベースに媒体障害が発生したときのデータベースの回復法はどれか。
ア 障害発生時,異常終了したトランザクションをロールバックする。
イ 障害発生時点でコミットしていたがデータベースの実更新がされていないトランザクションをロールフォワードする。
ウ 障害発生時点でまだコミットもアボートもしていなかった全てのトランザクションをロールバックする。
エ バックアップコピーでデータベースを復元し,バックアップ取得以降にコミットした全てのトランザクションをロールフォワードする。 正解
正解 エ
解説
媒体障害は記憶媒体そのものが壊れる障害で,データベースの内容が失われる。回復するには,まずバックアップコピーから復元し,その後にログを使って,バックアップ取得以降にコミットされたトランザクションをロールフォワードして障害直前の状態まで進める。エが正しい。
アはトランザクション障害での回復,ウはシステム障害での回復に当たり,どちらも媒体は無事なのでロールバックで済む。イもシステム障害での回復で,バックアップからの復元を伴わない点が媒体障害の場合と異なる。
媒体障害からの回復
媒体障害ではディスクの内容そのものが失われる。まずバックアップからデータベースを復元し,バックアップを取った後にコミットしたトランザクションを,ログの更新後情報で順に反映して(ロールフォワードして)障害の直前まで戻す。
バックアップ
T1 コミット
T2 コミット
T3 コミット
媒体障害
② 更新後ログで T1〜T3 をロールフォワード
① 復元
バックアップで「その時点」に戻し,更新後ログで「障害の直前」まで進める
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
分散トランザクション管理において,複数サイトのデータベースを更新する場合に用いられる2相コミットプロトコルに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 主サイトが一部の従サイトからのコミット準備完了メッセージを受け取っていない場合,コミット準備が完了した従サイトに対してだけコミット要求を発行する。
イ 主サイトが一部の従サイトからのコミット準備完了メッセージを受け取っていない場合,全ての従サイトに対して再度コミット準備要求を発行する。
ウ 主サイトが全ての従サイトからコミット準備完了メッセージを受け取った場合,全ての従サイトに対してコミット要求を発行する。 正解
エ 主サイトが全ての従サイトに対してコミット準備要求を発行した場合,従サイトは,コミット準備が完了したときだけ応答メッセージを返す。
正解 ウ
解説
2相コミットプロトコルは,第1相で主サイトが全ての従サイトにコミット準備要求を発行し,各従サイトが準備完了か失敗かを応答する。第2相で,全ての従サイトから準備完了を受け取れば,全ての従サイトにコミット要求を発行する。全サイトで更新を確定するか,全サイトで取り消すかのどちらかにそろえるための方式で,ウが適切である。
アとイは,一部の従サイトから準備完了を受け取れていないときの動作で,準備完了の従サイトだけをコミットさせるとサイト間で結果がそろわなくなる。この場合は全ての従サイトにロールバックを指示して全体を取り消す。エの従サイトは,準備が完了したときだけでなく,準備できなかったときもその旨を応答する。
2相コミット
第1相で,調停者は各システムに COMMIT できるか問い合わせる。全てのシステムから“可”が返れば第2相で COMMIT を指示し,1つでも“否”があれば全てのシステムに ROLLBACK を指示して,結果をそろえる。この例ではシステム2が“否”なので ROLLBACK。
調停者
システム1
システム2
第1相
COMMIT できるか
可
否
第2相
ROLLBACK
全部“可”なら COMMIT,1つでも“否”なら ROLLBACK
1つでも“否”があれば,全部 ROLLBACK。全部“可”のときだけ COMMIT
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
VoIP 通信において 8k ビット/秒の音声符号化を行い,パケット生成周期が10ミリ秒のとき,1パケットに含まれる音声ペイロードは何バイトか。
正解 イ
解説
8k ビット/秒の符号化では,1秒間に 8,000 ビット=1,000 バイトの音声データができる。パケット生成周期が10ミリ秒(0.01秒)なので,1パケットに含まれる音声ペイロードは 1,000 バイト×0.01=10 バイトである。イが正しい。
ウの80は 8,000 ビット×0.01=80 ビットで,バイトに換算していない値。エの100は10ミリ秒を0.1秒として計算した値になる。アの8は,1ミリ秒分の音声データ(8ビット)の値で,生成周期の10ミリ秒もバイトへの換算も反映していない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
イーサネットで使用されるメディアアクセス制御方式である CSMA/CD に関する記述として,適切なものはどれか。
ア それぞれのステーションがキャリア検知を行うとともに,送信データの衝突が起きた場合は再送する。 正解
イ タイムスロットと呼ばれる単位で分割して,同一周波数において複数の通信を可能にする。
ウ データ送受信の開始時にデータ送受信のネゴシエーションとして RTS/CTS 方式を用い,受信の確認は ACK を使用する。
エ 伝送路上にトークンを巡回させ,トークンを受け取った端末だけがデータを送信できる。
正解 ア
解説
CSMA/CD は,送信前に伝送路が使われていないかを調べ(Carrier Sense),空いていれば送信する。同時に送信されて衝突が起きたことを検出したら(Collision Detection)送信を中断し,ランダムな時間だけ待ってから再送する。アが正しい。
イはタイムスロットで分割する TDMA(時分割多元接続)。ウは無線 LAN の CSMA/CA で,無線では衝突を検出できないため RTS/CTS で事前に調整し,ACK で受信を確認する。エはトークンパッシング方式の説明である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
TCP/IP ネットワークで使用される ARP の説明として,適切なものはどれか。
ア IP アドレスから MAC アドレスを得るためのプロトコル 正解
イ IP アドレスからホスト名(ドメイン名)を得るためのプロトコル
ウ MAC アドレスから IP アドレスを得るためのプロトコル
エ ホスト名(ドメイン名)から IP アドレスを得るためのプロトコル
正解 ア
解説
ARP(Address Resolution Protocol)は,通信相手の IP アドレスから,同じネットワーク上でフレームを届けるために必要な MAC アドレスを問い合わせるプロトコル。
ウの MAC アドレスから IP アドレスを得るのは RARP。イの IP アドレスからホスト名を得るのは DNS の逆引き,エのホスト名から IP アドレスを得るのは DNS の正引きである。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
IPv6 アドレスの表記として,適切なものはどれか。
ア 2001:db8::3ab::ff01
イ 2001:db8::3ab:ff01 正解
ウ 2001:db8.3ab:ff01
エ 2001.db8.3ab.ff01
正解 イ
解説
IPv6 アドレスは,128 ビットを 16 ビットずつ 8 組に分け,各組を 16 進数で書いてコロン(:)で区切る。0 が続く組は,アドレス中で1回に限りコロン二つ(::)にまとめて省略できる。イは,“::” が1回だけで,各組も 16 進数なので適切である。
アは,“::” が2回使われている。2回使うと,省略した 0 の組の数が決まらない。ウは,db8 と 3ab の間の区切りがピリオド(.)になっている。エは,全ての区切りがピリオドで,IPv4 のドット付き10進表記のような形になっている。
IPv6 アドレスの書き方とアドレスの種類
IPv6 アドレスは128ビットで,16ビットずつ「:」で区切って16進数で書く。各区切りの先頭の0は省略でき,0だけの区切りが続くところは「::」で1か所だけまとめられる。インタフェースには,インターネットで使えるグローバルユニキャストアドレス(2000::/3 の範囲)と,fe80:: で始まり同じリンクの相手との通信にだけ使うリンクローカルユニキャストアドレスが付く。
128 ビット = 16 ビット × 8 つ(16 進数)
2001
0db8
0000
0000
0000
0000
0000
0001
先頭の 0 を省く:2001:db8:0:0:0:0:0:1
0 の続く区切りをまとめる:2001:db8::1
「::」は 1 か所だけ(2 か所だと何個の 0 か決まらない)
種類
始まり
使える範囲
グローバルユニキャスト
2000::/3
インターネット
リンクローカル
fe80::
同じリンクだけ
マルチキャスト
ff00::/8
グループ宛て
先頭の0を省き,0の続く区切りは「::」で1か所だけまとめる
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
TCP/IP ネットワークのフォワードプロキシに関する説明のうち,最も適切なものはどれか。
ア Web サーバと同一の組織内(例えば企業内)にあって,Web ブラウザからのリクエストに対して Web サーバの代理として応答する。
イ Web ブラウザと同一の組織内(例えば企業内)になければならない。
ウ Web ブラウザの代理として,Web サーバに対するリクエストを送信する。 正解
エ 電子メールをインターネット上の複数のサーバを経由して転送する。
正解 ウ
解説
フォワードプロキシは,内部のクライアント(Web ブラウザ)の代理として,外部の Web サーバへリクエストを送る中継サーバ。ブラウザ側に立つ代理なのでウが正しい。アクセス制御やログ取得,キャッシュによる高速化に使われる。
アはリバースプロキシの説明で,こちらはサーバ側に置かれてサーバの代理として応答する。イは,フォワードプロキシは同じ組織内に置くのが普通だが,インターネット上のプロキシを経由することもできるので「なければならない」とは言えない。エは電子メールを中継する MTA の説明である。
フォワードプロキシとリバースプロキシ
フォワードプロキシは,組織内のクライアントの代わりにインターネット上のサーバへアクセスする(クライアント側の代理)。リバースプロキシは,インターネットから来た要求をサーバの手前で受け,内部の Web サーバに振り分ける(サーバ側の代理)。負荷分散や TLS の終端,キャッシュに使う。
フォワードプロキシ
社内 PC
プロキシ
外の Web
クライアント側の代理
リバースプロキシ
外の利用者
リバースプロキシ
社内 Web
サーバ側の代理(振り分け・TLS 終端)
どちら側の代理か。フォワードはクライアント側,リバースはサーバ側
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
IPv6 において,拡張ヘッダを利用することによって実現できるセキュリティ機能はどれか。
ア URL フィルタリング機能
イ 暗号化通信機能 正解
ウ 情報漏えい検知機能
エ マルウェア検知機能
正解 イ
解説
IPv6 では,基本ヘッダの後ろに必要に応じて拡張ヘッダを連ねる。拡張ヘッダとして,ペイロードを暗号化する ESP(暗号ペイロード)ヘッダや,改ざん検知と送信元認証を行う認証ヘッダ(AH)を使うことで,IPsec の暗号化通信機能を IP 層で実現できる。イが正しい。
アの URL フィルタリングはアプリケーション層で URL を見て制御するもの,ウの情報漏えい検知やエのマルウェア検知は,パケットの内容を検査する上位層の仕組みで,いずれも IP の拡張ヘッダで実現できるものではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
インターネットとの接続において,ファイアウォールの NAPT 機能によるセキュリティ上の効果はどれか。
ア DMZ 上にある公開 Web サーバの脆弱性を悪用する攻撃から防御できる。
イ インターネットから内部ネットワークへの侵入を検知し,検知後の通信を遮断できる。
ウ インターネット上の特定の Web サービスを利用する HTTP 通信を検知し,遮断できる。
エ 内部ネットワークからインターネットにアクセスする利用者 PC について,インターネットからの不正アクセスを困難にすることができる。 正解
正解 エ
解説
NAPT は,内部の複数の PC のプライベート IP アドレスとポート番号を,グローバル IP アドレスと別のポート番号の組に対応付けて変換する。この対応表は内部から外へ通信を始めたときに作られるので,インターネット側から内部の PC を名指しで指定して接続を仕掛けることが難しくなる。エが正しい。
アの公開 Web サーバの脆弱性を突く攻撃への防御は WAF の役割。イの侵入検知と遮断は IPS,ウの特定の Web サービスを使う HTTP 通信の検知・遮断はプロキシや URL フィルタリングの役割で,いずれも NAPT の機能ではない。
NAPT のアドレス変換
PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。
PC
192.168.1.10
ルータ
NAPT
Web
198.51.100.5
送信元 .10:5000
送信元 .1:60001
宛先 203.0.113.1:60001
宛先 .10:5000
対応表
内側(プライベート)
外側(グローバル)
192.168.1.10 : 5000
203.0.113.1 : 60001
応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」
外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
チャレンジレスポンス認証方式に該当するものはどれか。
ア 固定パスワードを TLS によって暗号化し,クライアントからサーバに送信する。
イ 端末のシリアル番号を,クライアントで秘密鍵を使って暗号化してサーバに送信する。
ウ トークンという装置が自動的に表示する,認証のたびに異なるデータをパスワードとしてサーバに送信する。
エ 利用者が入力したパスワードと,サーバから受け取ったランダムなデータとをクライアントで演算し,その結果をサーバに送信する。 正解
正解 エ
解説
チャレンジレスポンス認証では,サーバが毎回異なるランダムなデータ(チャレンジ)をクライアントに送り,クライアントはチャレンジと利用者が入力したパスワードからハッシュ関数などで計算した値(レスポンス)を返す。サーバも登録されたパスワードで同じ計算をして結果を照合する。パスワードそのものはネットワークに流れず,レスポンスも毎回変わるので,盗聴や再送攻撃に強い。エが適切である。
アは通信路を暗号化して固定パスワードを送るだけで,チャレンジを使っていない。イは端末のシリアル番号を暗号化して送るもので,毎回同じ値になる。ウは時刻同期方式のワンタイムパスワードで,値は毎回変わるがサーバからのチャレンジを受け取っていない点が異なる。
チャレンジレスポンス認証
サーバは毎回違うランダムな値(チャレンジ)を送り,クライアントはチャレンジとパスワードからハッシュ値(レスポンス)を計算して返す。サーバも同じ計算をして一致すれば認証する。パスワードそのものはネットワークに流れず,チャレンジが毎回違うので,盗聴したレスポンスを使い回しても通らない。
クライアント
サーバ
① チャレンジ(毎回違う乱数)
② レスポンス=hash(チャレンジ+パスワード)
③ サーバも同じ計算をして一致すれば認証
パスワードそのものは流れない
パスワードは流れない。チャレンジが毎回違うので,盗んだ値は使い回せない
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
無線 LAN 環境における WPA2-PSK の機能はどれか。
ア アクセスポイントに設定されている SSID を共通鍵とし,通信を暗号化する。
イ アクセスポイントに設定されているのと同じ SSID とパスワード(Pre-Shared Key)が設定されている端末だけに接続を許可する。 正解
ウ アクセスポイントは,IEEE 802.11ac に準拠している端末だけに接続を許可する。
エ アクセスポイントは,利用者ごとに付与された SSID を確認し,無線 LAN へのアクセス権限を識別する。
正解 イ
解説
WPA2-PSK は,アクセスポイントと端末に同じ事前共有鍵(Pre-Shared Key,パスワード)を設定し,それを基に認証と暗号化を行う方式である。アクセスポイントと同じ SSID とパスワードが設定された端末だけが接続できるので,イが適切である。
アは誤り。SSID は無線 LAN を識別する名前で,暗号化の鍵ではない。ウは誤り。WPA2 はセキュリティの規格で,IEEE 802.11ac などの通信規格で接続を制限するものではない。エは誤り。利用者ごとに認証してアクセス権限を識別するのは IEEE 802.1X を使う WPA2-Enterprise で,SSID を利用者ごとに付与するものでもない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
JIS Q 27000:2019(情報セキュリティマネジメントシステム−用語)では,情報セキュリティは主に三つの特性を維持することとされている。それらのうちの二つは機密性と完全性である。残りの一つはどれか。
正解 ア
解説
JIS Q 27000:2019 では,情報セキュリティを,情報の機密性,完全性及び可用性を維持することと定義している。機密性と完全性のほかの一つは可用性で,アが正しい。
イの効率性と,エの有効性は,システムの利用時の品質に関する特性。ウの保守性は,システム及びソフトウェアの製品品質の特性で,いずれも情報セキュリティの三つの特性ではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
内部ネットワークの PC からインターネット上の Web サイトを参照するときに,DMZ に設置した VDI(Virtual Desktop Infrastructure)サーバ上の Web ブラウザを利用すると,未知のマルウェアが PC にダウンロードされるのを防ぐというセキュリティ上の効果が期待できる。この効果を生み出す VDI サーバの動作の特徴はどれか。
ア Web サイトからの受信データのうち,実行ファイルを削除し,その他のデータを PC に送信する。
イ Web サイトからの受信データは,IPsec でカプセル化し,PC に送信する。
ウ Web サイトからの受信データは,受信処理ののち生成したデスクトップ画面の画像データだけを PC に送信する。 正解
エ Web サイトからの受信データは,不正なコード列が検知されない場合だけ PC に送信する。
正解 ウ
解説
VDI サーバ上の Web ブラウザで Web サイトを参照すると,Web サイトからのデータは VDI サーバで処理され,PC にはその結果のデスクトップ画面の画像データだけが送られる。Web サイトからのファイルやプログラムそのものは PC に届かないので,未知のマルウェアであっても PC に感染しない。ウが正しい。
アの実行ファイルの削除やエの不正なコード列の検知は,内容を検査して問題がなければ通す方式なので,パターンの分からない未知のマルウェアには効きにくい。イの IPsec によるカプセル化は通信路を保護するだけで,中身のマルウェアは防げない。
VDI による Web 分離
社内の PC からは直接インターネットの Web を見ず,仮想デスクトップ(VDI)サーバ上のブラウザで閲覧する。PC には画面の情報だけが届き,Web から落としたファイルや実行されたマルウェアは VDI 側にとどまるので,社内の PC や社内ネットワークに広がりにくい。
社内 PC
VDI サーバ
ブラウザが動く
Web
画面だけ
が届く
マルウェアはここに
とどまる
Web の中身は PC に来ない
PC に届くのは画面だけ。危ないものは VDI の中にとどまる
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
エクスプロイトキットの説明はどれか。
ア JPEG データを読み込んで表示する機能をもつ製品に対して,セキュリティ上の問題を発生させる可能性のある値を含んだ JPEG データを読み込ませることによって,脆弱性がないかをテストするツール
イ JVN などに掲載された脆弱性情報の中に,利用者自身が PC 又はサーバにインストールした製品に関する情報が含まれているかどうかを確認するツール
ウ OS やアプリケーションソフトウェアの脆弱性を悪用して攻撃するツール 正解
エ Web サイトのアクセスログから,Web サイトの脆弱性を悪用した攻撃を検出するツール
正解 ウ
解説
エクスプロイトキットは,OS やアプリケーションソフトウェアの脆弱性を悪用して攻撃するためのツールをまとめたもので,Web サイトの閲覧などをきっかけにマルウェアに感染させる攻撃などに使われる。ウが正しい。
アは,問題を引き起こしそうな値を入力して脆弱性を探すファジングのツール。イは,公開された脆弱性情報の中に自分が使っている製品が含まれるかを確認するツール。エは,Web サイトのアクセスログから攻撃を検出するツールで,いずれも攻撃に使うツールではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
ダークネットは,インターネット上で到達可能であるが,使われていない IP アドレス空間を示す。このダークネットにおいて観測されるものはどれか。
ア インターネット上で公開されている Web サイトに対して Web ブラウザから送信するパケット
イ インターネットにつながっており,実在する IoT 機器から実在するサーバに送信されるパケット
ウ マルウェアが IoT 機器やサーバなどの攻撃対象を探すために送信するパケット 正解
エ 有効な電子メールアドレスに対して攻撃者が標的型攻撃メールを送信する SMTP のパケット
正解 ウ
解説
インターネット上で,どの機器にも割り当てられていない IP アドレス空間(ダークネット)には,通常の通信は届かない。そこに大量に届くパケットは,攻撃者やマルウェアが,攻撃対象となる IoT 機器やサーバを探すために,広い範囲のアドレスへ手当たり次第に送るスキャンのパケットが中心である。ウが該当する。
ア,イ,エは,いずれも実在する宛先に送られる通信で,使われていないアドレスには届かない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
ファジングに該当するものはどれか。
ア サーバに FIN パケットを送信し,サーバからの応答を観測して,稼働しているサービスを見つけ出す。
イ サーバの OS やアプリケーションソフトウェアが生成したログやコマンド履歴などを解析して,ファイルサーバに保存されているファイルの改ざんを検知する。
ウ ソフトウェアに,問題を引き起こしそうな多様なデータを入力し,挙動を監視して,脆弱性を見つけ出す。 正解
エ ネットワーク上を流れるパケットを収集し,そのプロトコルヘッダやペイロードを解析して,あらかじめ登録された攻撃パターンと一致した場合は不正アクセスと判断する。
正解 ウ
解説
ファジング(fuzzing)は,極端に長い文字列や想定外の値など,問題を引き起こしそうなデータを大量に入力し,異常終了や想定外の動作が起きないかを監視して脆弱性を洗い出す手法。仕様やソースコードが分からなくても実施できる。ウが正しい。
アはサーバに FIN パケットを送って応答から稼働中のサービスを探る FIN スキャン。イはログを解析するファイル改ざんの検知。エはあらかじめ登録した攻撃パターンと照合するシグネチャ型の IDS/IPS の説明である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
虹彩認証に関する記述のうち,最も適切なものはどれか。
ア 経年変化による認証精度の低下を防止するために,利用者の虹彩情報を定期的に登録し直さなければならない。
イ 赤外線カメラを用いると,照度を高くするほど,目に負担を掛けることなく認証精度を向上させることができる。
ウ 他人受入率を顔認証と比べて低くすることが可能である。 正解
エ 本人が装置に接触したあとに残された遺留物を採取し,それを加工することによって認証データを偽造し,本人になりすますことが可能である。
正解 ウ
解説
虹彩は瞳孔の周りにある模様で,個人差が非常に大きく,読み取れる情報量も多い。そのため他人を誤って本人と認めてしまう割合(他人受入率)を,顔認証より低く抑えることができる。ウが正しい。
アは,虹彩の模様は生後2年ほどで安定した後はほとんど変化しないので,定期的な登録し直しは要らない。イは,照度を高くすると目に負担がかかるうえ瞳孔が縮んで虹彩の見え方が変わるので,精度が上がるとは限らない。エは指紋認証で問題になる話で,虹彩認証は装置に接触しないため遺留物は残らない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
ソフトウェアの要求分析や設計に利用されるモデルに関する記述のうち,ペトリネットの説明として,適切なものはどれか。
ア 外界の事象をデータ構造として表現する,データモデリングのアプローチをとる。その表現は,エンティティ,関連及び属性で構成される。
イ システムの機能を入力データから出力データへの変換とみなすとともに,機能を段階的に詳細化して階層的に分割していく。
ウ 対象となる問題領域に対して,プロセスではなくオブジェクトを用いて解決を図るというアプローチをとる。
エ 並行して進行する事象間の同期を表す。その構造はプレースとトランジションという2種類の節点をもつ有向2部グラフで表される。 正解
正解 エ
解説
ペトリネットは,プレース(状態や条件を表す節点)とトランジション(事象を表す節点)の 2 種類の節点を有向の枝で結んだ有向 2 部グラフで,プレースに置いたトークンがトランジションの発火によって移動する様子で,システムの振る舞いを表す。並行して進む事象の間の同期や排他,因果関係を表現できるので,並行処理を行うシステムの分析に用いられる。エが該当する。
アのエンティティ,関連及び属性でデータ構造を表すのは E-R モデル,イの入力から出力への変換として機能をとらえ段階的に階層分割していくのは構造化分析(DFD を用いる手法),ウのプロセスではなくオブジェクトを中心に問題領域をとらえるのはオブジェクト指向分析の説明である。
ペトリネット
ペトリネットは,プレース(○,状態や条件)とトランジション(|,事象)の2種類の節点を矢印で結んだ有向2部グラフ。トランジションに入る全てのプレースにトークン(●)があると発火し,トークンが出口のプレースへ移る。2つの処理の両方が終わるのを待ってから次へ進む,といった並行処理の同期を表せる。
処理Aが終わった
処理Bが終わった
両方そろうと
発火
次へ進める
○ プレース ▮ トランジション ● トークン
入口のプレースが全部そろうと発火してトークンが移る。同期を表せる
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−システム及びソフトウェア品質モデル)で規定されたシステム及びソフトウェア製品の品質特性の一つである“機能適合性”の説明はどれか。
ア 同じハードウェア環境又はソフトウェア環境を共有する間,製品,システム又は構成要素が他の製品,システム又は構成要素の情報を交換することができる度合い,及び/又はその要求された機能を実行することができる度合い
イ 人間又は他の製品若しくはシステムが,認められた権限の種類及び水準に応じたデータアクセスの度合いをもてるように,製品又はシステムが情報及びデータを保護する度合い
ウ 明示された時間帯で,明示された条件下に,システム,製品又は構成要素が明示された機能を実行する度合い
エ 明示された状況下で使用するとき,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させる機能を,製品又はシステムが提供する度合い 正解
正解 エ
解説
JIS X 25010:2013 の製品品質モデルで,機能適合性は,明示された状況下で使用するとき,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させる機能を,製品又はシステムが提供する度合いと定義されている。エが正しい。
アは互換性,イはセキュリティ,ウは信頼性の定義である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
作業成果物の作成者以外の参加者がモデレータとしてレビューを主導する役割を受け持つこと,並びに公式な記録及び分析を行うことが特徴のレビュー技法はどれか。
ア インスペクション 正解
イ ウォークスルー
ウ パスアラウンド
エ ペアプログラミング
正解 ア
解説
インスペクションは,成果物の作成者以外の参加者がモデレータとなって進行を主導し,指摘事項を公式に記録して欠陥の件数や種類を分析する,最も公式度の高いレビュー技法。分析結果を以後の開発の改善につなげる点も特徴になる。アが正しい。
イのウォークスルーは作成者自身が主催し,参加者に説明しながら進める非公式なレビュー。ウのパスアラウンドは成果物を回覧してコメントを集める方法。エのペアプログラミングは2人で1台の端末を使って一緒にコードを書く手法で,モデレータも公式な記録もない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
(1)〜(7) に示した七つの原則を適用して,アジャイル開発プラクティスを実践する考え方はどれか。
(1) ムダをなくす (2) 品質を作り込む (3) 知識を作り出す (4) 決定を遅らせる (5) 早く提供する (6) 人を尊重する (7) 全体を最適化する
ア エクストリームプログラミング
イ スクラム
ウ フィーチャ駆動型開発
エ リーンソフトウェア開発 正解
正解 エ
解説
リーンソフトウェア開発は,トヨタ生産方式の考え方をソフトウェア開発に応用したもので,ムダをなくす,品質を作り込む,知識を作り出す,決定を遅らせる,早く提供する,人を尊重する,全体を最適化する,の七つの原則からなる。エが正しい。
アのエクストリームプログラミングは,ペアプログラミングやテスト駆動開発などのプラクティスで開発を進める手法。イのスクラムは,スプリントと呼ぶ短い期間を繰り返し,役割と会議体を決めて進める手法。ウのフィーチャ駆動型開発は,機能(フィーチャ)の単位で設計と構築を繰り返す手法である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
自社開発したソフトウェアの他社への使用許諾に関する説明として,適切なものはどれか。
ア 既に自社の製品に搭載して販売していると,ソフトウェア単体では使用許諾できない。
イ 既にハードウェアと組み合わせて特許を取得していると,ソフトウェア単体では使用許諾できない。
ウ ソースコードを無償で使用許諾すると,無条件でオープンソースソフトウェアになる。
エ 特許で保護された技術を使っていないソフトウェアであっても,使用許諾することは可能である。 正解
正解 エ
解説
使用許諾(ライセンス)は,著作権者が自分の著作物を他人に使わせることを認める行為。特許で保護された技術を使っているかどうかとは関係なく,著作権をもっていれば使用を許諾できる。エが正しい。
アは,自社製品に組み込んで販売していてもソフトウェアの著作権は自社にあるので,単体でも許諾できる。イも,ハードウェアと組み合わせた特許を取得していることと,ソフトウェアの著作権を許諾することとは別の話。ウは,ソースコードを無償で提供しただけではオープンソースソフトウェアにはならず,改変や再頒布の自由を認めるライセンスを付けて初めてそう呼べる。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
PMBOK ガイド第6版によれば,プロジェクト・マネジャー,プログラム・マネジャー,ポートフォリオ・マネジャー,プロジェクトマネジメント・オフィス(PMO)は,それぞれ他と異なる役割を担っている。それぞれに対応した役割の説明のうち,PMO のものはどれか。
ア 戦略目標に整合させるよう,関連する複数のプロジェクトに影響する制約条件及びコンフリクトを解消する。
イ 戦略目標を達成するために,プログラム及びプロジェクトの最適な組合せを選択して,構成要素の優先順位を決定し,必要な資源を提供する。
ウ プロジェクトに関連するガバナンス・プロセスを標準化し,資源,方法論,ツール及び技法の共有を促進する。 正解
エ プロジェクトの要求事項を満たすために,知識,スキル,ツールと技法をプロジェクトのアクティビティへ適用する。
正解 ウ
解説
PMBOK ガイドでは PMO(プロジェクトマネジメント・オフィス)を,プロジェクトに関連するガバナンスのプロセスを標準化し,資源・方法論・ツール・技法の共有を促進する組織構造と位置付けている。個々のプロジェクトを動かすのではなく,組織全体でやり方をそろえて支援するのが役割である。ウが正しい。
アは複数のプロジェクトをまとめて扱うプログラム・マネジャー,イは戦略目標に沿って何をやるかを選ぶポートフォリオ・マネジャー,エは担当プロジェクトを完遂させるプロジェクト・マネジャーの役割である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
アローダイアグラムで表される作業 A〜H を見直したところ,作業 D だけが短縮可能であり,その所要日数は6日に短縮できることが分かった。作業全体の所要日数は何日短縮できるか。
正解 ウ
解説
最早結合点時刻を順に求める。A の終点は5日目。C の終点は 5+5=10日目。E の始点は,B 経由の 5+3=8日目と D 経由の 10+10=20日目のうち遅いほうで20日目。E の終点は25日目で,ダミー作業があるので H の始点も F 経由の22日目と25日目のうち25日目になる。最終結合点は G 経由の28日目と H 経由の31日目で31日。D を6日にすると E の始点が 10+6=16日目,E の終点が21日目,H の始点は F 経由の22日目と21日目のうち22日目となり,最終は G 経由24日目と H 経由28日目で28日。31−28=3日短縮できるのでウが正しい。
D を4日縮めても全体が4日縮まらないのは,D を通らない経路 A→C→F→H(5+5+12+6=28日)が下限として残るため。作業を短縮するときは,短縮後に別の経路がクリティカルパスに変わらないかを必ず確かめる。
作業 D を短縮したときの全体の短縮
当初は A→C→D→E→(ダミー)→H が 5+5+10+5+6=31 日でクリティカルパス。D を 10 日から 6 日に4日縮めると,D を通る経路は 27 日になるが,D を通らない A→C→F→H が 5+5+12+6=28 日で残るので,全体は 31 日から 28 日の3日しか縮まらない。
A 5
B 3
C 5
D 10
E 5
F 12
G 3
H 6
0 / 0
5 / 5
10 / 10
20 / 20
25 / 25
25 / 25
31 / 31
D を6日に → A→C→F→H(28日)が残り,31→28日(3日短縮)
短縮後は別の経路がクリティカルパスに変わらないかを確かめる
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
プロジェクトのスケジュールを短縮するために,アクティビティに割り当てる資源を増やして,アクティビティの所要期間を短縮する技法はどれか。
ア クラッシング 正解
イ クリティカルチェーン法
ウ ファストトラッキング
エ モンテカルロ法
正解 ア
解説
クラッシングは,アクティビティに要員や設備などの資源を追加して所要期間を短縮する,スケジュール短縮の技法である。費用が増えるのが一般的だが,期間を縮められる。アが正しい。
イのクリティカルチェーン法は,資源の制約を考慮して,バッファを置いてスケジュールを管理する技法。ウのファストトラッキングは,通常は順に行う作業を並行して行って期間を短縮する技法。エのモンテカルロ法は,確率的な見積りのシミュレーションで,スケジュールの達成確率などを求める手法である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
プログラム x,y,z の開発を2か月以内に完了したい。外部から調達可能な要員は A,B,C の3名であり,開発生産性と単価が異なる。このプログラム群を開発する最小のコストは,何千円か。ここで,各プログラムの開発は,それぞれ1名が担当し,要員は開発生産性どおりの効率で開発できるものとする。また,それぞれの要員は,担当したプログラムの開発が完了する時点までの契約とする。
〔プログラムの規模〕
〔要員の開発生産性と単価〕
ア 3,200
イ 3,400
ウ 3,600 正解
エ 3,700
正解 ウ
解説
2か月以内に完了するには,x(4キロステップ)は生産性2の A か B が2か月かけて開発する必要があり(C は4か月かかるので不可),y,z(各2キロステップ)は A か B が1か月,C が2か月で開発できる。要員は担当したプログラムが完了するまでの契約なので,費用は単価×期間になる。x が B(900×2=1,800),y が C(400×2=800),z が A(1,000×1=1,000)なら 3,600 千円。x が B,y が A,z が C でも同じ 3,600 千円である。x を A(1,000×2=2,000)にすると,残りを B(900)と C(800)で担当して 3,700 千円になる。最小は 3,600 千円で,ウが正しい。
アの3,200とイの3,400は,条件を満たす割当ての中に出てこない。エの3,700は x を A に割り当てた場合の費用で,最小ではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
ITIL 2011 edition によれば,サービス・パッケージの説明として,適切なものはどれか。
ア コアサービス,実現サービス及び強化サービスの組合せで構成された,特定の種類の顧客ニーズへのソリューションを提供する複数のサービスの集まりである。 正解
イ サービス・パイプライン,サービス・カタログ及び廃止済みサービスで構成された,サービス・プロバイダによって管理されている全てのサービスである。
ウ 成果物,価格,連絡先などが内容として含まれた,稼働中の全ての IT サービスに関する情報を格納するデータベース又は構造化された文書である。
エ ハードウェア,ソフトウェア,ライセンス,文書などで構成された,稼働中の IT サービスに対して承認された変更を実施するためのコンポーネントの集合である。
正解 ア
解説
ITIL 2011 edition で,サービス・パッケージは,コアサービス,実現サービス及び強化サービスの組合せで構成され,特定の種類の顧客ニーズへのソリューションを提供する,複数のサービスの集まりである。アが適切である。
イは,サービス・パイプライン,サービス・カタログ及び廃止済みサービスで構成されるサービス・ポートフォリオの説明。ウは,稼働中の全ての IT サービスの情報を格納するサービス・カタログの説明。エは,承認された変更を実施するためのコンポーネントの集合で,リリースの説明である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
ITIL 2011 edition によれば,7ステップの改善プロセスにおける a,b 及び c の適切な組合せはどれか。
〔7ステップの改善プロセス〕
ア a:情報とデータを分析する,b:情報を提示して利用する,c:データを処理する
イ a:情報とデータを分析する,b:データを処理する,c:情報を提示して利用する
ウ a:データを処理する,b:情報とデータを分析する,c:情報を提示して利用する 正解
エ a:データを処理する,b:情報を提示して利用する,c:情報とデータを分析する
正解 ウ
解説
7 ステップの改善プロセスは,①改善の戦略を識別する,②測定するものを定義する,③データを収集する,④データを処理する,⑤情報とデータを分析する,⑥情報を提示して利用する,⑦改善を実施する,の順に回る。よって a はデータを処理する,b は情報とデータを分析する,c は情報を提示して利用する。
集めたままのデータを整形・集計してから(④)分析し(⑤),その結果を関係者に示して意思決定に使い(⑥),実際の改善につなげる(⑦),という流れを押さえると順序を取り違えない。
ITIL の7ステップの改善プロセス
①改善の戦略を識別する ②測定するものを定義する ③データを収集する ④データを処理する ⑤情報とデータを分析する ⑥情報を提示して利用する ⑦改善を実施する,の順に回し,①へ戻る。集めたデータをまず整えて(④)から分析し(⑤),結果を示して使う(⑥)。
1 戦略を識別
2 測定するもの
3 データを収集
4 データを処理
5 分析する
6 提示して利用
7 改善を実施
回す
空欄 a・b・c は④処理・⑤分析・⑥提示と利用
収集 → 処理 → 分析 → 提示・利用 → 実施
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
IT サービスマネジメントの活動のうち,インシデント及びサービス要求管理として行うものはどれか。
ア サービスデスクに対する顧客満足度が合意したサービス目標を満たしているかどうかを評価し,改善の機会を特定するためにレビューする。
イ ディスクの空き容量がしきい値に近づいたので,対策を検討する。
ウ プログラムを変更した場合の影響度を調査する。
エ 利用者からの障害報告を受けて,既知の誤りに該当するかどうかを照合する。 正解
正解 エ
解説
インシデント及びサービス要求管理は,サービスの中断や品質低下(インシデント)と,利用者からの依頼(サービス要求)を受け付けて記録・分類し,合意した水準へできるだけ早く戻す活動。障害報告を受けて既知の誤りに該当するか照合するのは,登録済みの回避策を素早く適用するための典型的な手順なのでエが正しい。
アはサービスの報告やレビューに関する活動。イのしきい値に近づいた資源への対策はキャパシティ管理。ウの変更による影響度の調査は変更管理の活動である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
クラウドサービスの導入検討プロセスに対するシステム監査において,クラウドサービス上に保存されている情報の消失の予防に関するチェックポイントとして,最も適切なものはどれか。
ア 既存の社内情報システムとの ID の一元管理の可否が検討されているか。
イ クラウドサービスの障害時における最大許容停止時間が検討されているか。
ウ クラウドサービスを提供する事業者に信頼が置け,かつ,事業やサービスが継続して提供されるかどうかが検討されているか。 正解
エ クラウドサービスを提供する事業者の施設内のネットワークに,暗号化通信が採用されているかどうかが検討されているか。
正解 ウ
解説
問われているのは「情報の消失の予防」なので,情報が失われる原因をあらかじめ断てているかを見る。クラウドでは,事業者が倒産したりサービスを終了したりすると,預けた情報を取り出せなくなる(消失する)ことが大きなリスクになる。したがって,事業者に信頼が置けるか,事業やサービスが継続して提供されるかを導入の検討段階で確かめることが,消失の予防のチェックポイントになる。ウが正しい。
アの ID の一元管理は運用の利便性,イの最大許容停止時間は可用性,エの施設内ネットワークの暗号化は機密性に関するチェックポイントで,いずれも情報の消失の予防とは目的が異なる。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
システム監査基準(平成30年)における監査手続の実施に際して利用する技法に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア インタビュー法とは,システム監査人が,直接,関係者に口頭で問い合わせ,回答を入手する技法をいう。 正解
イ 現地調査法は,システム監査人が監査対象部門に直接赴いて,自ら観察・調査するものなので,当該部門の業務時間外に実施しなければならない。
ウ コンピュータ支援監査技法は,システム監査上使用頻度の高い機能に特化した,しかも非常に簡単な操作で利用できる専用ソフトウェアによらなければならない。
エ チェックリスト法とは,監査対象部門がチェックリストを作成及び利用して,監査対象部門の見解を取りまとめた結果をシステム監査人が点検する技法をいう。
正解 ア
解説
インタビュー法は,監査人が関係者に直接口頭で問い合わせて回答を得る技法。アはその定義そのもの。
イは誤り。現地調査は業務の実際を観察するものなので,むしろ業務時間内に行う必要がある。ウは誤り。表計算ソフトや汎用の監査ツールを使ってもよく,専用ソフトウェアに限られない。エは誤り。チェックリストを作成するのは監査人であり,監査対象部門ではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
販売管理システムにおいて,起票された受注伝票の入力が,漏れなく,かつ,重複することなく実施されていることを確かめる監査手続として,適切なものはどれか。
ア 受注データから値引取引データなどの例外取引データを抽出し,承認の記録を確かめる。
イ 受注伝票の入力時に論理チェック及びフォーマットチェックが行われているか,テストデータ法で確かめる。
ウ 販売管理システムから出力したプルーフリストと受注伝票との照合が行われているか,プルーフリストと受注伝票上の照合印を確かめる。 正解
エ 並行シミュレーション法を用いて,受注伝票を処理するプログラムの論理の正確性を確かめる。
正解 ウ
解説
受注伝票が漏れなく重複なく入力されているかは,入力結果の一覧(プルーフリスト)と元の伝票を突き合わせているかを確かめれば分かる。照合が行われた証跡として,プルーフリストや受注伝票に押された照合印を確認するのが適切な監査手続になる。ウが正しい。
アの例外取引の承認記録の確認は,取引が正当に認められたかという承認の妥当性を見るもの。イの論理チェックやフォーマットチェックの確認は入力データの正確性を見るもの。エの並行シミュレーション法はプログラムの処理ロジックの正しさを検証する技法で,いずれも入力の網羅性を確かめるものではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
BCP の説明はどれか。
ア 企業の戦略を実現するために,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長という四つの視点から戦略を検討したもの
イ 企業の目標を達成するために業務内容や業務の流れを可視化し,一定のサイクルをもって継続的に業務プロセスを改善するもの
ウ 業務効率の向上,業務コストの削減を目的に,業務プロセスを対象としてアウトソースを実施するもの
エ 事業の中断・阻害に対応し,事業を復旧し,再開し,あらかじめ定められたレベルに回復するように組織を導く手順を文書化したもの 正解
正解 エ
解説
BCP(事業継続計画)は,災害や事故などで事業が中断・阻害されたときに,事業を復旧し,再開して,あらかじめ定めた水準まで回復させるための手順を文書にしたもの。事業継続マネジメントシステムの規格 JIS Q 22301 でもこの趣旨で定義されている。エが正しい。
アは財務・顧客・内部ビジネスプロセス・学習と成長の四つの視点から戦略を検討するバランススコアカード。イは業務プロセスを可視化して継続的に改善する BPM。ウは業務プロセスを外部に委託する BPO の説明である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
TCO の算定に当たって,適切なものはどれか。
ア エンドユーザコンピューティングにおける利用部門の運用費用は考慮しない。
イ システム監査における監査対象データの収集費用や管理費用は考慮しない。
ウ システム障害の発生などによって,その障害とは直接関係のない仕入先企業が被るおそれがある,将来的な損失額も考慮する。
エ 利用部門におけるシステム利用に起因する,埋没原価などの見えない費用も考慮する。 正解
正解 エ
解説
TCO(Total Cost of Ownership)は,情報システムを導入してから廃棄するまでに掛かる総所有費用である。ハードウェアやソフトウェアの購入費・保守費といった目に見える直接費だけでなく,利用部門の側で発生する間接費も含めて算定する。利用者同士の教え合いや自己学習に費やす時間,計画外の停止による手待ちなど,費用として計上されにくい見えない費用も考慮するので,エが適切である。
アのエンドユーザコンピューティングにおける利用部門の運用費用は,間接費の代表例であり TCO に含める。イのシステム監査における監査対象データの収集費用や管理費用も,システムを所有し運用するために掛かる費用である。ウは自社が所有のために負担する費用ではなく,障害が波及して取引先に生じるおそれのある損害であり,TCO ではなくリスクの評価で扱うものである。
TCO(総所有費用)の積上げ
TCO は導入から使い終わるまでに掛かる費用の総額。一度だけ掛かる費用(ハードウェア 40,000+開発 50,000+教育 5,000=95,000 千円)に,毎年掛かる費用(通信 1,500+保守 7,000+運営 5,000=13,500 千円)の3年分 40,500 千円を足して 135,500 千円。利用部門で起きる見えにくい費用(教え合いの時間,停止中の手待ちなど)も含めて考える。
導入 95,000
1年目
2年目
3年目
単位 千円
13,500×3
95,000 + 13,500 × 3 = 135,500 千円
利用部門の見えない費用(教え合い・手待ち)も含める
一度だけの費用+毎年の費用×使う年数
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
オープンデータの説明はどれか。
ア 営利・非営利の目的を問わず二次利用が可能という利用ルールが定められており,編集や加工をする上で機械判読に適し,原則無償で利用できる形で公開された官民データ 正解
イ 行政事務の効率化・迅速化を目的に,国,地方自治体を相互に接続する行政専用のネットワークを通じて利用するアプリケーションシステム内に,安全に保管されたデータ
ウ コンビニエンスストアチェーンの売上データや運輸業者の運送量データなど,事業運営に役立つデータであり,提供元が提供先を限定して販売しているデータ
エ 商用の DBMS に代わりオープンソースの DBMS を用いて蓄積されている企業内の基幹業務データ
正解 ア
解説
オープンデータは,国や地方公共団体,事業者などが保有するデータのうち,営利目的を含む二次利用ができるルールで,機械判読に適した形式で,原則無償で公開されたデータである。アが正しい。
イは,国と地方自治体などの行政専用のネットワーク内に保管されるデータで,公開を前提にしていない。ウは,提供先を限定して販売するデータで,誰でも利用できる公開データではない。エは,企業内の基幹業務データで,オープンソースの DBMS に蓄積していても公開されたデータではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
定性的な評価項目を定量化するために評価点を与える方法がある。表に示す4段階評価を用いた場合,重み及び4段階評価の結果から評価されたシステム全体の目標達成度は,評価項目が全て目標どおりだった場合の評価点に対し,何%となるか。
正解 イ
解説
評価点は,省力化効果が「目標どおり」で3点,期間の短縮が「変わらず」で0点,情報の統合化が「部分改善」で1点。これに重みを掛けて合計すると 5×3+8×0+12×1=27 になる。評価項目が全て目標どおりだった場合は (5+8+12)×3=75 なので,27/75=0.36 で36%。イが正しい。
アの27は重み付けした評価点の合計そのもので,割合ではない。分母を全項目の重みの合計25と取り違えたり,重みを掛けずに評価点だけで計算したりすると別の値になるが,ウの43やエの52はこの表の数値からは導けない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
共通フレーム 2013 によれば,要件定義プロセスで行うことはどれか。
ア システム化計画の立案
イ システム方式設計
ウ ソフトウェア詳細設計
エ 利害関係者の識別 正解
正解 エ
解説
共通フレーム 2013 の要件定義プロセスの活動内容には,利害関係者の識別,要件の識別,要件の評価,要件の合意などがある。利害関係者の識別は,システムのライフサイクル全体を通して利害関係者を明らかにする活動で,エが要件定義プロセスで行うことに当たる。
アのシステム化計画の立案は,要件定義より前の企画プロセスで行う。イのシステム方式設計とウのソフトウェア詳細設計は,要件定義のあとの開発(実装)のプロセスで行う。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
半導体メーカが行っているファウンドリサービスの説明として,適切なものはどれか。
ア 商号や商標の使用権とともに,一定地域内での商品の独占販売権を与える。
イ 自社で半導体製品の企画,設計から製造までを一貫して行い,それを自社ブランドで販売する。
ウ 製造設備をもたず,半導体製品の企画,設計及び開発を専門に行う。
エ 他社からの製造委託を受けて,半導体製品の製造を行う。 正解
正解 エ
解説
ファウンドリサービスは,他社が設計した半導体を製造だけ請け負う事業。自社ブランドの製品はもたず,多くの企業からの注文をまとめて製造設備の稼働率を高めることで成り立っている。エが正しい。
アは商号や商標の使用権と独占販売権を与えるフランチャイズ。イは企画から製造・販売まで自社で一貫して行う IDM(垂直統合型メーカ)。ウは製造設備をもたず設計・開発に特化するファブレス企業の説明である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)における“花形”を説明したものはどれか。
ア 市場成長率,市場占有率ともに高い製品である。成長に伴う投資も必要とするので,資金創出効果は大きいとは限らない。 正解
イ 市場成長率,市場占有率ともに低い製品である。資金創出効果は小さく,資金流出量も少ない。
ウ 市場成長率は高いが,市場占有率が低い製品である。長期的な将来性を見込むことはできるが,資金創出効果の大きさは分からない。
エ 市場成長率は低いが,市場占有率は高い製品である。資金創出効果が大きく,企業の支柱となる資金源である。
正解 ア
解説
PPM の“花形”は,市場成長率も市場占有率もともに高い製品。売上が大きく資金を多く生む一方で,成長する市場で地位を保つための投資も多く必要になるので,差引きの資金創出効果は大きいとは限らない。アが正しい。
イは市場成長率・占有率がともに低い“負け犬”。ウは成長率は高いが占有率が低い“問題児”。エは成長率は低いが占有率が高い“金のなる木”の説明である。
PPM の4つの区分
縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェア(左が高い)をとる。成長率もシェアも高い花形,成長率が高くシェアが低い問題児,成長率が低くシェアが高い金のなる木,どちらも低い負け犬に分ける。金のなる木が生んだ資金を,花形や問題児に回す。
花形
成長に合わせた投資も要る
問題児
シェアを取るには投資が要る
金のなる木
投資が少なく資金を生む
負け犬
撤退を考える
高
低
成長率
市場
高
低
相対的市場シェア
金のなる木の資金を,花形と問題児へ回す
金のなる木が生む資金を,花形と問題児に回す
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
売手側でのマーケティング要素 4P は,買手側での要素 4C に対応するという考え方がある。4P の一つであるプロモーションに対応する 4C の構成要素はどれか。
ア 顧客価値(Customer Value)
イ 顧客コスト(Customer Cost)
ウ コミュニケーション(Communication) 正解
エ 利便性(Convenience)
正解 ウ
解説
4P は売り手側からみたマーケティングの要素(Product,Price,Place,Promotion),4C はそれを買い手側からみた要素で,Product は顧客価値(Customer Value),Price は顧客コスト(Customer Cost),Place は利便性(Convenience),Promotion はコミュニケーション(Communication)に対応する。
プロモーション(販売促進)は,売り手から一方的に働きかけるのではなく,買い手との双方向の情報のやり取りと捉えるので,ウのコミュニケーションが正しい。アは製品,イは価格,エは流通に対応する。
4P と 4C の対応
売り手から見た 4P を,買い手から見た 4C に置き換えると,製品(Product)は顧客価値,価格(Price)は顧客コスト,流通(Place)は利便性,プロモーション(Promotion)はコミュニケーションに当たる。
4P(売り手)
4C(買い手)
製品 Product
顧客価値 Customer Value
価格 Price
顧客コスト Customer Cost
流通 Place
利便性 Convenience
プロモーション Promotion
コミュニケーション Communication
プロモーションに対応するのはコミュニケーション
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
CRM を説明したものはどれか。
ア 卸売業者・メーカが,小売店の経営活動を支援してその売上と利益を伸ばすことによって,自社との取引拡大につなげる方法である。
イ 企業全体の経営資源を有効かつ総合的に計画して管理し,経営の高効率化を図るための手法である。
ウ 企業内の全ての顧客チャネルで情報を共有し,サービスのレベルを引き上げて顧客満足度を高め,顧客ロイヤルティの最大化に結び付ける考え方である。 正解
エ 生産,在庫,購買,販売,物流などの全ての情報をリアルタイムに交換することによって,サプライチェーン全体の効率を大幅に向上させる経営手法である。
正解 ウ
解説
CRM(Customer Relationship Management)は,営業・サポート・Web など企業内の全ての顧客チャネルで顧客情報を共有し,一貫した質の高い対応によって顧客満足度を高め,長期的な顧客ロイヤルティにつなげる考え方。ウが正しい。
アは卸売業者やメーカが小売店を支援するリテールサポート。イは企業全体の経営資源を統合的に管理する ERP。エはサプライチェーン全体の情報をリアルタイムに共有して効率を上げる SCM の説明である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
TLO(Technology Licensing Organization)の役割として,適切なものはどれか。
ア TLO 自らが研究開発して取得した特許の,企業へのライセンス
イ 企業から大学への委託研究の問合せ及び申込みの受付
ウ 新規事業又は市場への参入のための,企業の合併又は買収の支援
エ 大学の研究成果の特許化及び企業への技術移転の促進 正解
正解 エ
解説
TLO(Technology Licensing Organization,技術移転機関)は,大学や公的研究機関の研究成果を特許化し,企業へ技術移転(ライセンス)して,その収益を研究者や大学に還元する組織である。エが適切である。
アの TLO は自ら研究開発して特許を取得する組織ではない。イの委託研究の受付は産学連携の窓口の業務,ウの合併や買収の支援は M&A の仲介や助言を行う事業者の役割である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
RPA(Robotic Process Automation)の説明はどれか。
ア ホワイトカラーの単純な間接作業を,ルールエンジンや認知技術などを活用して代行するソフトウェア 正解
イ 自動制御によって,対象物をつかみ,動かす機能や,自動的に移動できる機能を有し,また,各種の作業をプログラムによって実行できる産業用ロボット
ウ 車両の状態や周囲の環境を認識し,利用者が行き先を指定するだけで自律的な走行を可能とするレーダ,GPS,カメラなどの自動運転関連機器
エ 人の生活と同じ空間で安全性を確保しながら,食事,清掃,移動,コミュニケーションなどの生活支援に使用されるロボット
正解 ア
解説
RPA(Robotic Process Automation)は,人が画面を操作して行っている定型的な事務作業を,ソフトウェアのロボットに代行させる仕組み。ルールエンジンによる決まった手順の処理から始まり,OCR や AI といった認知技術と組み合わせて対象を広げてきた。アが正しい。
イは産業用ロボット,ウは自動運転関連機器,エは生活支援ロボットの説明で,いずれも物理的に動くロボットの話であり,ソフトウェアで事務作業を自動化する RPA とは異なる。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
フィンテックのサービスの一つであるアカウントアグリゲーションの特徴はどれか。
ア 各金融機関のサービスに用いる,利用者の ID・パスワードなどの情報をあらかじめ登録し,複数の金融機関の口座取引情報を一括表示できる。 正解
イ 資金移動業者として登録された企業は,少額の取引に限り,国内・海外送金サービスを提供できる。
ウ 電子手形の受取り側が早期に債権回収することが容易になり,また,必要な分だけ債権の一部を分割して譲渡できる。
エ ネットショップで商品を購入した者に与信チェックを行い,問題がなければ商品代金の立替払いをすることによって,購入者は早く商品を入手できる。
正解 ア
解説
アカウントアグリゲーションは,利用者が各金融機関のサービスで使う ID・パスワードなどをあらかじめ登録しておくと,複数の金融機関の口座取引情報を一括して表示できるサービス。フィンテックの代表的なサービスの一つで,アが正しい。
イは資金移動業者が行う送金サービス,ウは電子記録債権(電子手形)の特徴,エは後払い決済(立替払い)サービスの説明である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
インターネット広告の効果指標として用いられるコンバージョン率の説明はどれか。
ア Web サイト上で広告が表示された回数に対して,その広告がクリックされた回数の割合を示す指標である。
イ Web サイト上の広告から商品購入に至った顧客の1人当たりの広告コストを示す指標である。
ウ Web サイト上の広告に掛けた費用の何倍の収益をその広告から得ることができたかを示す指標である。
エ Web サイト上の広告をクリックして訪れた人のうち会員登録や商品購入などに至った顧客数の割合を示す指標である。 正解
正解 エ
解説
コンバージョン率は,Web サイトの広告をクリックしてそのサイトを訪れた人のうち,会員登録や商品購入など,サイト側があらかじめ目的として設定した行動に至った顧客数の割合を表す指標である。広告が実際の成果にどれだけ結び付いたかを測るもので,エが正しい。
アは,広告が表示された回数に対してクリックされた回数の割合を表すクリック率(CTR)である。イは,顧客 1 人を獲得するのに掛かった広告コストを表す CPA(顧客獲得単価)である。ウは,広告に掛けた費用に対して何倍の収益が得られたかを表す ROAS(広告費用対効果)である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
ビッグデータ分析の手法の一つであるデシジョンツリーを活用してマーケティング施策の判断に必要な事象を整理し,発生確率の精度を向上させた上で二つのマーケティング施策 a,b の選択を行う。マーケティング施策を実行した場合の利益増加額(売上増加額−費用)の期待値が最大となる施策と,そのときの利益増加額の期待値の組合せはどれか。
ア 施策:a,利益増加額の期待値:70億円
イ 施策:a,利益増加額の期待値:160億円
ウ 施策:b,利益増加額の期待値:82億円 正解
エ 施策:b,利益増加額の期待値:162億円
正解 ウ
解説
意思決定の分岐点(四角)では期待値が大きい方を選び,発生し得る可能性の分岐点(丸)では確率を掛けて期待値を求める。施策 a は,確率 0.4 の側で,追加費用 60 億円を掛けると売上増加額の期待値は 0.3×200+0.7×100=130 億円で,費用を引いて 70 億円,掛けないと 50 億円なので,70 億円を選ぶ。確率 0.6 の側は 120 億円。0.4×70+0.6×120=100 億円から初期費用 30 億円を引くと 70 億円。施策 b は,確率 0.3 の側で,追加費用 40 億円を掛けると 0.4×150+0.6×100=120 億円で,費用を引いて 80 億円,掛けないと 70 億円なので,80 億円を選ぶ。確率 0.7 の側は 140 億円。0.3×80+0.7×140=122 億円から初期費用 40 億円を引くと 82 億円。利益増加額の期待値が最大なのは施策 b の 82 億円で,ウが正しい。
アは施策 a の期待値(70 億円)で,施策 b の 82 億円より小さい。イの 160 億円とエの 162 億円は,この決定木から求められる期待値とは合わない値である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
ワークサンプリング法の説明はどれか。
ア 観測回数・観測時刻を設定し,実地観測によって観測された要素作業数の比率などから,統計的理論に基づいて作業時間を見積もる。 正解
イ 作業動作を基本動作にまで分解して,基本動作の時間標準テーブルから,構成される基本動作の時間を合計して作業時間を求める。
ウ 作業票や作業日報などから各作業の実績時間を集計し,作業ごとに平均して標準時間を求める。
エ 実際の作業動作そのものをストップウォッチで数回反復測定して,作業時間を調査する。
正解 ア
解説
ワークサンプリング法は,観測回数と観測時刻を設定して実地観測を行い,観測された要素作業の数の比率などから,統計的理論に基づいて作業時間を見積もる方法。アが正しい。
イは作業動作を基本動作に分解し,時間標準テーブルの値を合計して求める PTS 法。ウは作業票や作業日報などの実績時間を集計して標準時間を求める実績資料法。エは作業動作をストップウォッチで繰り返し測定する,ストップウォッチ法の説明である。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
国際的な標準として取り決められた会計基準などの総称であり,資本市場の国際化に対し,利害関係者からみた会計情報の比較可能性や均質性を担保するものはどれか。
正解 ウ
解説
IFRS(International Financial Reporting Standards,国際財務報告基準)は,国際的な標準として定められた会計基準で,国をまたいで企業の財務情報を比較しやすくし,会計情報の比較可能性や均質性を確保するためのものである。ウが正しい。
アの GAAP は“一般に公正妥当と認められた会計原則”を指し,米国基準(US GAAP)など国ごとの会計基準を表すのに使われる。イの IASB は IFRS を策定する国際会計基準審議会という組織,エの SEC は米国証券取引委員会という規制当局で,いずれも会計基準そのものではない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
損益分岐点分析で A 社と B 社を比較した記述のうち,適切なものはどれか。
ア 安全余裕率は B 社の方が高い。 正解
イ 売上高が両社とも3,000万円である場合,営業利益は B 社の方が高い。
ウ 限界利益率は B 社の方が高い。
エ 損益分岐点売上高は B 社の方が高い。
正解 ア
解説
限界利益は売上高−変動費なので,A 社は 2,000−800=1,200万円(限界利益率0.6),B 社は 2,000−1,400=600万円(同0.3)。損益分岐点売上高は固定費÷限界利益率なので,A 社が 900÷0.6=1,500万円,B 社が 300÷0.3=1,000万円。安全余裕率は (売上高−損益分岐点売上高)÷売上高 なので,A 社が (2,000−1,500)/2,000=25%,B 社が (2,000−1,000)/2,000=50%で,B 社の方が高い。アが正しい。
ウの限界利益率は A 社0.6,B 社0.3で A 社の方が高い。エの損益分岐点売上高も A 社1,500万円,B 社1,000万円で A 社の方が高い。イは売上高3,000万円のときの営業利益を求めると,A 社が 3,000×0.6−900=900万円,B 社が 3,000×0.3−300=600万円で A 社の方が高くなる。固定費の大きい A 社は,売上が損益分岐点を超えた後の利益の伸びも大きい。
損益分岐点図表
横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。
売上高
金額
固定費
総費用
売上高
損益分岐点
損益分岐点売上高
利益
損失
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
プログラムの著作物について,著作権法上,適法である行為はどれか。
ア 海賊版を複製したプログラムと事前に知りながら入手し,業務で使用した。
イ 業務処理用に購入したプログラムを複製し,社内教育用として各部門に配布した。
ウ 職務著作のプログラムを,作成した担当者が独断で複製し,他社に貸与した。
エ 処理速度を向上させるために,購入したプログラムを改変した。 正解
正解 エ
解説
著作権法第47条の3第1項は,プログラムの著作物の複製物の所有者が,自ら電子計算機で実行するために必要と認められる限度で,そのプログラムを複製したり翻案(改変)したりすることを認めている。購入したプログラムを処理速度の向上など効果的に利用するために改変することはこれに当たり,エが適法である。
アは,海賊版と知りながら入手したプログラムを業務で使用する行為で,同法第113条により著作権を侵害する行為とみなされる。イは,購入したプログラムを社内教育用に複製して各部門へ配布する行為で,自ら利用するために必要な限度を超えるので許されない。ウは職務著作なので著作権は法人に帰属しており,作成した担当者が独断で複製・貸与することはできない。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
下請代金支払遅延等防止法において,親事業者の違法となる行為はどれか。
ア 支払期日を,発注したソフトウェアの受領後45日と決めた。
イ ソフトウェア開発の発注書面を,了解を得て電子メールで送った。
ウ 納品され受領したソフトウェアの仕様を変更したいので,返品した。 正解
エ 納品されるソフトウェアに不具合があるので,受領拒否した。
正解 ウ
解説
下請代金支払遅延等防止法では,親事業者に対し,下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,いったん受領した給付を返品することを禁止している(第4条第1項第4号)。仕様を変更したいという親事業者の都合での返品は下請事業者の責に帰すべき理由がないので違法となり,ウが正しい。
アの支払期日は,物品等を受領した日から起算して60日以内に定めればよい(第2条の2)ので,45日は違法ではない。イの発注書面は,下請事業者の承諾を得れば電子メールで交付できる。エの受領拒否が禁止されるのは下請事業者の責に帰すべき理由がない場合で,不具合のあるソフトウェアなら受領を拒否できる(第4条第1項第1号)。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
技術基準適合証明として用いられる技適マークの説明として,適切なものはどれか。
ア EU 加盟国で販売する製品が,EU の安全規制に適合していることを証明する。
イ 電波を発する通信機器が,日本の電波法で定められた条件に適合していることを証明する。 正解
ウ 日本国内で販売する電気用品が,日本の電気用品安全法の基準に適合していることを証明する。
エ 米国で設置する通信機器が,米国の規則に適合していることを証明する。
正解 イ
解説
技適マークは,電波法に基づく技術基準適合証明を受けた特定無線設備(Wi-Fi 機器や携帯電話機など)に表示するマークで,電波を発する通信機器が日本の電波法で定められた条件に適合していることを証明する。イが適切である。
アは EU の安全規制などへの適合を示す CE マーク,ウは電気用品安全法の基準への適合を示す PSE マーク,エは米国の連邦通信委員会(FCC)の規則への適合を示す FCC マークに当たる。
出典:令和元年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
平成21年度 秋期
平成21年度 春期
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