令和5年度 秋期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
2 桁の 2 進数 x1 x2 が表す整数を x とする。2 進数 x2 x1 が表す整数を,x の式で表したものはどれか。ここで,int(r) は非負の実数 r の小数点以下を切り捨てた整数を表す。
ア 2x+4 int(x/2)
イ 2x+5 int(x/2)
ウ 2x-3 int(x/2) 正解
エ 2x-4 int(x/2)
正解 ウ
解説
2 桁の 2 進数 x1 x2 が表す整数 x は 2x1 +x2 である。x を 2 で割ると商が x1 ,余りが x2 なので,x1 =int(x/2),x2 =x-2 int(x/2) となる。x2 x1 が表す整数は 2x2 +x1 =2{x-2 int(x/2)}+int(x/2)=2x-3 int(x/2) で,ウが正しい。x=2(2 進数 10)なら x2 x1 =01=1 で,2×2-3×1=1 と一致する。
ア,イ,エは int(x/2) の係数を取り違えた式で,x=2 を代入すると,アは 8,イは 9,エは 0 になり,どれも 1 にならない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
複数の変数をもつデータに対する分析手法の記述のうち,主成分分析はどれか。
ア 変数に共通して影響を与える新たな変数を計算して,データの背後にある構造を取得する方法
イ 変数の値からほかの変数の値を予測して,データがもつ変数間の関連性を確認する方法
ウ 変数の値が互いに類似するものを集めることによって,データを分類する方法
エ 変数を統合した新たな変数を使用して,データがもつ変数の数を減らす方法 正解
正解 エ
解説
主成分分析は,多くの変数をもつデータから,それらをできるだけ情報を失わずに要約した少数の新しい変数(主成分)を作り,変数の数を減らす手法である。変数を統合した新たな変数を使って変数の数を減らす方法を述べたエが該当する。
アは,変数に共通して影響を与える潜在的な要因を求める因子分析。イは,ある変数の値から別の変数の値を予測する回帰分析。ウは,値が互いに類似するものを集めて分類するクラスタ分析の説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
逆ポーランド表記法(後置記法)で表現されている式 ABCD−×+ において,A=16,B=8,C=4,D=2 のときの演算結果はどれか。逆ポーランド表記法による式 AB+ は,中置記法による式 A+B と同一である。
正解 ア
解説
逆ポーランド表記法の式は,左から読んで被演算子をスタックに積み,演算子が来たら直前の二つを取り出して計算する。ABCD−×+ では,まず C−D=4−2=2,次に B×2=8×2=16,最後に A+16=16+16=32 となる。中置記法に直すと A+B×(C−D) で,アが正しい。
イの 46 は括弧を付けずに A+B×C−D=16+32−2 と計算した値,ウの 48 は (A+B)×(C−D)=24×2,エの 94 は (A+B)×C−D=96−2 と,いずれも演算の順序を取り違えたときの値である。
逆ポーランド記法をスタックで計算する
ABCD−×+ を A=16,B=8,C=4,D=2 で計算する。左から読み,値はスタックに積み,演算子が来たら上の2つを取り出して計算した結果を積む。16,8,4,2 を積み,− で 4−2=2,× で 8×2=16,+ で 16+16=32。中置記法では A+B×(C−D)。
A
16
B
16
8
C
16
8
4
D
16
8
4
2
−
16
8
2
4−2
×
16
16
8×2
+
32
16+16
A+B×(C−D) = 16+8×2 = 32
演算子が来たら上の2つで計算して結果を積み直す。答えは32
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
図のように 16 ビットのデータを 4×4 の正方形状に並べ,行と列にパリティビットを付加することによって何ビットまでの誤りを訂正できるか。ここで,図の網掛け部分はパリティビットを表す。
正解 ア
解説
行と列にパリティビットを付けた水平垂直パリティでは,1ビットの誤りが起きると,その誤りを含む行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなる。合わない行と列の交点が誤りの位置なので,特定して反転すれば訂正できる。訂正できるのは1ビットまでで,アが正しい。
2ビットの誤りが同じ行や同じ列に並ぶと,その行(列)のパリティは偶数個の反転で元に戻ってしまい,誤りがあることすら分からなくなる。離れた位置の2ビットなら合わない行と列が2つずつ出るが,どの組合せが誤りかを決められないので,やはり訂正はできない。
水平垂直パリティで1ビットの誤りを見つける
4×4 のデータに行ごと・列ごとのパリティ(1の数を偶数にするビット)を付ける。1ビットが反転すると,その行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなるので,合わない行と列の交点が誤りの位置と分かり,反転して訂正できる。2ビットの誤りは,位置を決められないので訂正できない。
1
0
0
0
1
0
1
0
0
0
← 合わない
0
0
1
0
1
1
1
0
1
1
0
0
0
1
↑ 合わない
列のパリティ
パリティ
合わない行と合わない列の交わるところが誤り。訂正できるのは1ビットまで
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
双方向リストを三つの一次元配列 elem[i],next[i],prev[i] の組で実現する。双方向リストが図の状態のとき,要素 D の次に要素 C を挿入した後の next[6],prev[6] の値の組合せはどれか。ここで,双方向リストは次のように表現する。
双方向リストの要素は,elem[i] に値,next[i] に次の要素の要素番号,prev[i] に前の要素の要素番号を設定 双方向リストの先頭,末尾の要素番号は,それぞれ変数 Head,Tail に設定 next[i],prev[i] の値が 0 である要素は,それぞれ双方向リストの末尾,先頭を表す。 双方向リストへの要素の追加は,一次元配列の末尾に追加
ア next[6]:2,prev[6]:3
イ next[6]:3,prev[6]:4
ウ next[6]:5,prev[6]:3 正解
エ next[6]:5,prev[6]:4
正解 ウ
解説
双方向リストの要素 D は要素番号 3 で,next[3]=5(次は E),prev[3]=4(前は B)である。D の次に C を挿入すると,新しい要素は一次元配列の末尾の要素番号 6 に置かれ,前が D,次が E になる。よって prev[6]=3,next[6]=5 となり,ウが正しい。このほか next[3] を 6 に,prev[5] を 6 に書き換えて,D→C→E の順につなぎ直す。
アは next[6] が F の要素番号 2 になっており,D の次の E につながらない。イは next[6]=3,prev[6]=4 で,C を B と D の間に入れたときの値。エは next[6] は合っているが,prev[6] が B の要素番号 4 になっており,C の前が D ではなく B になってしまう。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
あるデータ列を整列したら状態 0 から順に状態 1,2,…,N へと推移した。整列に使ったアルゴリズムはどれか。
状態0 3, 5, 9, 6, 1, 2
状態1 3, 5, 6, 1, 2, 9
状態2 3, 5, 1, 2, 6, 9
⋮
状態N 1, 2, 3, 5, 6, 9
ア クイックソート
イ 挿入ソート
ウ バブルソート 正解
エ ヒープソート
正解 ウ
解説
状態0 から状態1 で最大値の 9 が末尾へ移り,状態2 では次に大きい 6 が 9 の手前へ移っている。隣り合う要素を比べて大きいほうを後ろへ交換していく操作を1回通すたびに,残りの中の最大値が末尾に確定していくのはバブルソートの動きで,ウが正しい。
アのクイックソートは基準値より小さい要素と大きい要素に分割していくので,最大値から順に末尾へ並ぶ動きにはならない。イの挿入ソートは先頭から整列済みの部分を広げていくので,状態1 は先頭の要素が並び替わる形になる。エのヒープソートはまず全体をヒープに組み替えるため,状態1 で末尾以外の並びがほぼ保たれることはない。
バブルソートの1回ごとの状態
隣り合う2つを前から比べ,前のほうが大きければ入れ替える。1回通すと残りの中の最大値が末尾に移って確定する。状態0 の 3,5,9,6,1,2 は,1回目で 9 が末尾へ移って 3,5,6,1,2,9。2回目で 6 が 9 の手前へ移って 3,5,1,2,6,9。
状態0
3
5
9
6
1
2
状態1
3
5
6
1
2
9
9 が末尾へ
状態2
3
5
1
2
6
9
6 が末尾へ
隣どうしを比べて大きいほうを後ろへ送る
1回通すごとに,最大値が1つずつ末尾に確定する(塗ったマス)
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
JavaScript のオブジェクトの表記法などを基にして規定したものであって,“名前と値との組みの集まり”と“値の順序付きリスト”の二つの構造に基づいてオブジェクトを表現する,データ記述の仕様はどれか。
正解 イ
解説
JSON(JavaScript Object Notation)は,JavaScript のオブジェクトの表記法を基にしたデータ記述の仕様で,“名前と値との組みの集まり”(オブジェクト)と“値の順序付きリスト”(配列)の二つの構造でデータを表現する。軽量で読み書きしやすく,Web API のデータ交換によく使われる。イが該当する。
アの DOM は,HTML や XML の文書をプログラムから操作するための API とオブジェクトモデル。ウの SOAP は,XML を使って他のコンピュータのサービスを呼び出すためのプロトコル。エの XML は,タグで意味や構造を表現するマークアップ言語である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
スマートフォンなどで高い処理性能と低消費電力の両立のために,異なる目的に適した複数の種類のコアを搭載したプロセッサはどれか。
ア スーパースカラプロセッサ
イ ソフトコアプロセッサ
ウ ヘテロジニアスマルチコアプロセッサ 正解
エ ホモジニアスマルチコアプロセッサ
正解 ウ
解説
ヘテロジニアスマルチコアプロセッサは,性能重視の高性能コアと省電力重視の低消費電力コアのように,目的の異なる複数の種類のコアを一つのプロセッサに搭載したもので,負荷に応じて使うコアを切り替えて,処理性能と低消費電力を両立する。スマートフォン向けのプロセッサに使われている。ウが該当する。
アのスーパースカラプロセッサは,複数の命令を同時に発行して実行する方式のプロセッサ。イのソフトコアプロセッサは,FPGA などの上に論理回路として実装して使うプロセッサ。エのホモジニアスマルチコアプロセッサは,同じ種類のコアを複数搭載したプロセッサである。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
パイプラインの性能を向上させるための技法の一つで,分岐条件の結果が決定する前に,分岐先を予測して命令を実行するものはどれか。
ア アウトオブオーダー実行
イ 遅延分岐
ウ 投機実行 正解
エ レジスタリネーミング
正解 ウ
解説
投機実行は,分岐命令の条件が確定する前に分岐先を予測し,その先の命令を先行して実行しておく方式。予測が当たればそのまま結果を使い,外れたら実行結果を破棄してやり直す。パイプラインの停滞(制御ハザード)を減らせるので,ウが該当する。
アのアウトオブオーダー実行は,命令を記述順ではなく,実行に必要なデータがそろった順に実行する方式。イの遅延分岐は,分岐命令の直後の命令を分岐の成否にかかわらず実行する方式で,分岐先の予測は行わない。エのレジスタリネーミングは,命令間で同じレジスタを使うことによる見かけ上の依存関係を,別の物理レジスタを割り当てて解消する方式である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
ファイルシステムをフラッシュメモリで構成するとき,ブロックごとの書換え回数を管理することによって,フラッシュメモリの寿命を延ばす技術はどれか。
ア ウェアレベリング 正解
イ ジャーナリング
ウ デフラグ
エ ライトアンプリフィケーション
正解 ア
解説
フラッシュメモリは,ブロックごとの書換え回数に上限があり,特定のブロックに書込みが集中すると,そのブロックだけが先に寿命を迎える。ウェアレベリングは,ブロックごとの書換え回数を管理して書込み先を分散し,書換え回数を平準化することで,全体の寿命を延ばす技術である。アが該当する。
イのジャーナリングは,ファイルの更新内容を先に記録して,障害時に整合性を回復しやすくするファイルシステムの技術。ウのデフラグは,断片化したファイルを連続した領域に並べ直す処理で,書換え回数を管理するものではない。エのライトアンプリフィケーションは,ホストからの書込み量よりフラッシュメモリへの実際の書込み量が多くなる現象で,寿命を縮める要因である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
画面表示用フレームバッファがユニファイドメモリ方式であるシステムの特徴はどれか。
ア 主記憶とは別に専用のフレームバッファをもつ。
イ 主記憶の一部を表示領域として使用する。 正解
ウ シリアル接続した表示デバイスに,描画コマンドを用いて表示する。
エ 表示リフレッシュが不要である。
正解 イ
解説
ユニファイドメモリ方式は,CPU とグラフィックス処理が一つの主記憶を共有し,その一部を画面表示用のフレームバッファ(表示領域)として使う方式である。専用のメモリを別に持たないので,部品点数やコストを抑えやすい。イが該当する。
アは専用のビデオメモリをもつ方式の説明で,ユニファイドメモリ方式の逆である。ウは画面を直接駆動せず,シリアル接続の表示デバイスに描画コマンドを送って表示させる方式で,フレームバッファの方式とは別の話。エは誤り。画面の表示内容は一定の周期で繰り返し読み出して表示し続ける必要があり,表示リフレッシュは不要にならない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
SAN(Storage Area Network)におけるサーバとストレージの接続形態の説明として,適切なものはどれか。
ア シリアル ATA などの接続方式によって内蔵ストレージとして 1 対 1 に接続する。
イ ファイバチャネルなどによる専用ネットワークで接続する。 正解
ウ プロトコルは CIFS(Common Internet File System)を使用し,LAN で接続する。
エ プロトコルは NFS(Network File System)を使用し,LAN で接続する。
正解 イ
解説
SAN は,サーバとストレージをファイバチャネルなどによる専用のネットワークで接続する構成。業務用の LAN とは別の経路になるので,ストレージへのアクセスが LAN の通信と干渉しない。
アはサーバに直結する DAS,ウとエは LAN 上でファイル共有プロトコル(CIFS や NFS)を使う NAS の説明である。
DAS・SAN・NAS の違い
DAS はサーバにディスクを直接つなぎ,ブロック単位で読み書きする。SAN は LAN とは別の専用ネットワーク(ファイバチャネルなど)でサーバとストレージをつなぎ,ブロック単位で読み書きする。NAS はふだんの LAN につなぐファイルサーバで,NFS や SMB でファイル単位で共有する。
DAS
SAN
NAS
サーバ
ディスク
直接つなぐ
サーバ
サーバ
FC スイッチ
ストレージ
LAN とは別の専用網
PC
サーバ
ふだんの LAN
NAS
NFS・SMB で共有
ブロック単位
ブロック単位
ファイル単位
SAN は大量の読み書きが LAN を混ませない
見分けるのは「どの線でつなぐか」と「ブロックかファイルか」
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
システムの性能を向上させるための方法として,スケールアウトが適しているシステムはどれか。
ア 一連の大きな処理を一括して実行しなければならないので,並列処理が困難な処理が中心のシステム
イ 参照系のトランザクションが多いので,複数のサーバで分散処理を行っているシステム 正解
ウ データを追加するトランザクションが多いので,データの整合性を取るためのオーバーヘッドを小さくしなければならないシステム
エ 同一のマスターデータベースがシステム内に複数配置されているので,マスターを更新する際にはデータベース間で整合性を保持しなければならないシステム
正解 イ
解説
スケールアウトは,サーバの台数を増やして処理を分散し,システム全体の性能を向上させる方法である。参照系のトランザクションが多いシステムは,データを更新しないので,複数のサーバに処理を振り分けても整合性の問題が起きにくく,スケールアウトが適している。イが該当する。
アの並列処理が困難な処理は,台数を増やしても速くならないので,1 台の性能を上げるスケールアップが向く。ウとエは,データの追加や更新が多く,複数のサーバ間で整合性を保つ負担が台数とともに大きくなるので,スケールアウトの効果を得にくい。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
IaC(Infrastructure as Code)に関する記述として,最も適切なものはどれか。
ア インフラストラクチャの自律的なシステム運用を実現するために,インシデントへの対応手順をコードに定義すること
イ 各種開発支援ツールを利用するために,ツールの連携手順をコードに定義すること
ウ 継続的インテグレーションを実現するために,アプリケーションの生成手順や試験の手順をコードに定義すること
エ ソフトウェアによる自動実行を可能にするために,システムの構成や状態をコードに定義すること 正解
正解 エ
解説
IaC(Infrastructure as Code)は,サーバ,ネットワーク,ストレージなどのインフラの構成や設定をコードとして記述し,そのコードをツールで実行して環境を自動的に構築・変更する考え方。人手による設定作業のばらつきをなくし,同じ構成を何度でも再現できる。システムの構成や状態をコードに定義するエが適切である。
アはインシデント対応手順の自動化(ランブックの自動実行など),イは開発支援ツール間の連携,ウは継続的インテグレーションのためのビルドやテストの手順の自動化で,いずれもインフラの構成そのものをコードで定義するものではない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
アクティブスタンバイ構成の 2 台のサーバから成るシステムがある。各サーバの MTBF は 99 時間,MTTR は 10 時間,フェールオーバーに要する時間は 2 時間であるとき,このシステムの稼働率はおよそ幾らか。ここで,二重に障害は発生しないものとする。
ア 0.82
イ 0.89
ウ 0.91
エ 0.98 正解
正解 エ
解説
アクティブスタンバイ構成では,稼働系が故障すると待機系に切り替えて処理を続ける。故障した稼働系の修復(MTTR の 10 時間)は,切替え後に待機系が稼働している間に行え,二重に障害は発生しないので,システムの停止には影響しない。システムが止まるのは,稼働系が MTBF(99 時間)ごとに故障したときの,フェールオーバーの 2 時間だけである。稼働率は 99÷(99+2)=99÷101≒0.98 となり,エが正しい。
ウの 0.91 は,サーバ 1 台の稼働率 99÷(99+10)≒0.91 である。イの 0.89 は,修復の 10 時間とフェールオーバーの 2 時間を両方とも停止時間に数えた 99÷(99+10+2)≒0.89。アの 0.82 は,停止時間をさらに多く見積もった値である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
ページング方式の仮想記憶において,あるプログラムを実行したとき,1 回のページフォールトの平均処理時間は 30 ミリ秒であった。ページフォールト発生時の処理時間が次の条件であったとすると,ページアウトを伴わないページインだけの処理の割合は幾らか。
〔ページフォールト発生時の処理時間〕
(1) ページアウトを伴わない場合,ページインの処理時間は 20 ミリ秒である。 (2) ページアウトを伴う場合,置換えページの選択,ページアウト,ページインの合計処理時間は 60 ミリ秒である。
ア 0.25
イ 0.33
ウ 0.67
エ 0.75 正解
正解 エ
解説
ページアウトを伴わない処理の割合を p とすると,平均処理時間は 20p+60(1−p)=30 と表せる。展開すると 20p+60−60p=30 なので −40p=−30,p=0.75。エが正しい。
20ミリ秒と60ミリ秒を混ぜた平均が30ミリ秒なので,短いほうに大きく偏っていることが分かる。60と30の差が30,30と20の差が10で,重みは3対1。3/(3+1)=0.75 と考えても同じ答えになる。アの0.25はページアウトを伴う処理のほうの割合である。
平均 30 ミリ秒を 20 と 60 の内分で読む
ページアウトを伴わない処理(20 ミリ秒)の割合を p とすると,20p+60(1−p)=30 で p=0.75。天秤で考えると,平均の 30 から 20 までが 10,60 までが 30 なので,重みは距離の逆の 3 対 1 になり,20 ミリ秒の側が 3/4=0.75。
平均 30
20 ミリ秒
ページインだけ
60 ミリ秒
ページアウトも
10
30
距離 10:30 → 重みは 3:1
20p+60(1−p)=30 → p=0.75(エ)
平均が短いほうに寄っているので,短いほうの割合が大きい(3 対 1)
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
プリエンプティブな優先度ベースのスケジューリングで実行する二つの周期タスク A 及び B がある。タスク B が周期内に処理を完了できるタスク A 及び B の最大実行時間及び周期の組合せはどれか。ここで,タスク A の方がタスク B より優先度が高く,かつ,タスク A と B の共有資源はなく,タスク切替え時間は考慮しないものとする。また,時間及び周期の単位はミリ秒とする。
正解 ア
解説
優先度の高いタスク A は周期ごとに必ず先に実行され,タスク B は A が動いていない時間だけで処理を進める。各組合せで,B の周期内に B の実行時間を確保できるかを確かめる。
アは,0〜2 に A,2〜4 に B(2ミリ秒分),4〜6 に A,6〜7 に B(残り1ミリ秒)となり,B は 7 ミリ秒で完了し周期 8 に間に合う。アが正しい。
イは 0〜3 に A,3〜6 に B(3ミリ秒分),6〜9 に A となり,周期 9 までに B の残り1ミリ秒を実行できない。ウは 0〜3 A,3〜5 B,5〜8 A,8〜10 B,10〜13 A で,B は 13 までに4ミリ秒しか実行できない。エは 0〜4 A,4〜6 B,6〜10 A,10〜12 B,12〜16 A で,B は 15 までに4ミリ秒しか実行できない。
周期タスクが周期内に終わるか
優先度の高いタスク A は周期ごとに必ず先に実行され,B は A が動いていない時間だけで進む。組合せア(A:実行2・周期4,B:実行3・周期8)では,A 0〜2,B 2〜4,A 4〜6,B 6〜7 で B は 7 ミリ秒に終わり,周期8に間に合う。組合せイ(A:実行3・周期6,B:実行4・周期9)では,A 0〜3,B 3〜6,A 6〜9 となり,B は周期9までに3ミリ秒しか実行できない。
ア:A(実行2・周期4),B(実行3・周期8)
A
A
A
B
B
B
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
B の周期
イ:A(実行3・周期6),B(実行4・周期9)
A
A
A
B
B(3)
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
イは B の残り1ミリ秒が周期9までに入らない
B は A のすき間でしか動けない。B の周期の終わりまでに実行時間を確保できるかを見る
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
あるコンピュータ上で,当該コンピュータとは異なる命令形式のコンピュータで実行できる目的プログラムを生成する言語処理プログラムはどれか。
ア エミュレーター
イ クロスコンパイラ 正解
ウ 最適化コンパイラ
エ プログラムジェネレーター
正解 イ
解説
クロスコンパイラは,あるコンピュータ上で,当該コンピュータとは命令形式(アーキテクチャ)の異なる別のコンピュータで実行できる目的プログラムを生成するコンパイラである。組込みシステムの開発などで,開発用のコンピュータから対象機器向けのプログラムを作るのに使われる。イが正しい。
アのエミュレーターは,別のコンピュータの命令形式を模倣して,そのコンピュータ用のプログラムを実行するもの。ウの最適化コンパイラは,実行速度やメモリ使用量が改善されるように目的プログラムを生成するコンパイラ。エのプログラムジェネレーターは,パラメータなどを指定してプログラムを自動生成するものである。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
Linux カーネルの説明として,適切なものはどれか。
ア CUI によるコマンド入力のためのシェルと呼ばれるソフトウェアが組み込まれていて,文字での操作が可能である。
イ GUI を利用できるデスクトップ環境が組み込まれていて,マウスを使った直感的な操作が可能である。
ウ Web ブラウザ,ワープロソフト,表計算ソフトなどが含まれており,Linux カーネルだけで多くの業務が行える。
エ プロセス管理やメモリ管理などの,アプリケーションソフトウェアが動作するための基本機能を提供する。 正解
正解 エ
解説
Linux カーネルは OS の中核部分で,プロセス管理,メモリ管理,ファイルシステム,デバイス制御など,アプリケーションソフトウェアが動作するための基本機能を提供する。エが適切である。
アのシェル(CUI)や,イの GUI のデスクトップ環境は,カーネルの上で動くソフトウェアで,カーネル自体には組み込まれていない。ウの Web ブラウザや表計算ソフトなどのアプリケーションまで含めて提供されるのは Linux ディストリビューションであり,Linux カーネルだけで多くの業務が行えるわけではない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
FPGA の説明として,適切なものはどれか。
ア 電気的に記憶内容の書換えを行うことができる不揮発性メモリ
イ 特定の分野及びアプリケーション用に限定した特定用途向け汎用集積回路
ウ 浮動小数点数の演算を高速に実行する演算ユニット
エ 論理回路を基板上に実装した後で再プログラムできる集積回路 正解
正解 エ
解説
FPGA(Field Programmable Gate Array)は,製造後に利用者が内部の論理回路の構成をプログラムによって書き換えられる集積回路である。論理回路を基板上に実装した後でも再プログラムできるエが適切である。
アは EEPROM やフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ。イは特定の用途向けに設計・製造する ASIC(特定用途向け IC)で,製造後に回路を変えられない。ウは浮動小数点数の演算を高速に実行する演算ユニット(FPU)の説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
MOS トランジスタの説明として,適切なものはどれか。
ア pn 接合における電子と正孔の再結合によって光を放出するという性質を利用した半導体素子
イ pn 接合部に光が当たると電流が発生するという性質を利用した半導体素子
ウ 金属と半導体との間に酸化物絶縁体を挟んだ構造をもつことが特徴の半導体素子 正解
エ 逆方向電圧をある電圧以上印加すると,電流だけが増加し電圧がほぼ一定に保たれるという特性をもつ半導体素子
正解 ウ
解説
MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタは,金属(ゲート電極)と半導体との間に酸化物の絶縁体を挟んだ構造をもち,ゲート電圧で半導体中の電流を制御するトランジスタである。ウが適切である。
アは,pn 接合で電子と正孔が再結合するときに光を出す発光ダイオード(LED)。イは,pn 接合部に光が当たると電流が発生するフォトダイオード。エは,逆方向電圧をある電圧以上かけると,電圧がほぼ一定のまま電流だけが増える特性を使うツェナーダイオードの説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
図の論理回路において,S=1,R=1,X=0,Y=1 のとき,S を一旦 0 にした後,再び 1 に戻した。この操作を行った後の X,Y の値はどれか。
ア X=0,Y=0
イ X=0,Y=1
ウ X=1,Y=0 正解
エ X=1,Y=1
正解 ウ
解説
X=NOT(S・Y),Y=NOT(R・X) で動くラッチ回路である。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で,X=NOT(1・1)=0,Y=NOT(1・0)=1 と安定している。
S を 0 にすると X=NOT(0・Y)=1 になり,これを受けて Y=NOT(1・1)=0 に変わる。次に S を 1 に戻しても,Y=0 なので X=NOT(1・0)=1 のままで,Y=NOT(1・1)=0 も変わらない。操作後は X=1,Y=0 で,ウが正しい。S を一時的に 0 にすることで状態が反転し,戻した後もその状態が保持される(セット)。
ラッチ回路の値の移り変わり
X=¬(S・Y),Y=¬(R・X) の回路。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で安定している。S を0にすると X=¬(0・Y)=1 になり,続いて Y=¬(1・1)=0 になる。S を1に戻しても Y=0 なので X=¬(1・0)=1 のままで,X=1,Y=0 が保たれる。
S
R
X
Y
S
R
X
Y
1
1
0
1
0
1
1
0
1
1
1
0
初め:
S を0に:
S を1に戻す:
X=¬(1・1)=0,Y=¬(1・0)=1 で安定
X=¬(0・1)=1 → Y=¬(1・1)=0
X=¬(1・0)=1 のまま(保持)
S を一度0にすると状態が入れ替わり,1に戻してもそのまま保たれる
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
真理値表に示す 3 入力多数決回路はどれか。
正解 ア
解説
3入力多数決回路は,三つの入力のうち二つ以上が 1 のとき出力が 1 になる回路で,論理式は Y=A・B+B・C+C・A となる。二つずつの AND をとり,それらを OR でまとめるアの回路がこの式そのものなので,アが正しい。
イは XOR の OR なので,入力がすべて等しい 000 と 111 のときだけ 0 になり,111 で 1 にならない。ウは (A+B)(B+C)(C+A) の否定で,(A+B)(B+C)(C+A) 自体が多数決の式と等しいため,出力が真理値表と逆になる。エは三つの XOR が同時に 1 になることがない(3入力のうち二つずつが全て異なることはない)ので,AND の結果は常に 0 で,Y は常に 1 になる。
3入力多数決回路の真理値表
3つの入力のうち2つ以上が1のとき Y=1。A・B,B・C,C・A のどれかが1なら2つ以上が1なので,Y=A・B+B・C+C・A。2つずつを AND に入れ,その出力を OR でまとめる回路になる。
A
B
C
A・B
B・C
C・A
Y
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
1
1
0
1
0
1
1
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
1
1
1
1
0
1
0
0
1
1
1
1
1
1
1
1
Y = A・B + B・C + C・A
2つずつの AND を OR でまとめる
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
JIS X 9303-1:2006(ユーザシステムインタフェース及びシンボルーアイコン及び機能ーアイコン一般)で規定されているアイコンの習得性の説明はどれか。
ア アイコンによって表現されたシステム機能が,それが理解された後に,どれだけ容易に思い出すことができるかを示す。 正解
イ アイコンの図柄の詳細を,どれだけ容易に区別できるかを示す。
ウ 同じ又は類似したアイコンによる以前の経験に基づいて,どれだけ容易にアイコンを識別できるかを示す。
エ 空間的,時間的又は文脈的に近くに表示された別のアイコンから,与えられたアイコンをどれだけ容易に区別できるかを示す。
正解 ア
解説
アイコンの習得性は,アイコンによって表現されたシステム機能を,利用者が一度理解した後に,どれだけ容易に思い出せるかを示す性質である。アが該当する。
イは図柄の細部をどれだけ容易に区別できるか,ウは同じ又は類似したアイコンによる以前の経験に基づいてどれだけ容易に識別できるか,エは近くに表示された別のアイコンから与えられたアイコンをどれだけ容易に区別できるかを述べたもので,いずれも理解した後の思い出しやすさを示す習得性の説明ではない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
バーチャルリアリティに関する記述のうち,レンダリングの説明はどれか。
ア ウェアラブルカメラ,慣性センサーなどを用いて非言語情報を認識する処理
イ 仮想世界の情報をディスプレイに描画可能な形式の画像に変換する処理 正解
ウ 視覚的に現実世界と仮想世界を融合させるために,それぞれの世界の中に定義された 3 次元座標を一致させる処理
エ 時間経過とともに生じる物の移動などの変化について,モデル化したものを物理法則などに当てはめて変化させる処理
正解 イ
解説
レンダリングは,3次元のモデルとして表現された仮想世界の情報を,光源や視点の位置を踏まえて,ディスプレイに表示できる2次元の画像に変換する処理。イが正しい。
アはウェアラブルカメラや慣性センサで人の動きなどを取り込むモーションキャプチャなどの処理。ウは現実世界と仮想世界の座標系を合わせるレジストレーション(位置合わせ)。エはモデル化した対象を物理法則に従って時間変化させるシミュレーションの説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
“売上”表への次の検索処理のうち,B+ 木インデックスよりもハッシュインデックスを設定した方が適切なものはどれか。ここで,インデックスを設定する列を<>内に示す。
売上(伝票番号,売上年月日,商品名,利用者 ID,店舗番号,売上金額)
ア 売上金額が 1 万円以上の売上を検索する。<売上金額>
イ 売上年月日が今月の売上を検索する。<売上年月日>
ウ 商品名が‘DB’で始まる売上を検索する。<商品名>
エ 利用者 ID が‘1001’の売上を検索する。<利用者 ID> 正解
正解 エ
解説
ハッシュインデックスは,検索キーをハッシュ関数で変換した値から格納位置を求めるので,値が完全に一致する検索(等価検索)を高速に行える。一方でキーの大小の順序は保たれない。エの利用者 ID が‘1001’の売上の検索は等価検索なので,B+ 木よりハッシュインデックスが適している。
B+ 木はキーを順序どおりに保つので,範囲検索や前方一致の検索に向く。アの“1万円以上”とイの“今月”(月初から月末の範囲)は範囲検索,ウの‘DB’で始まる商品名の検索は前方一致の検索であり,いずれもハッシュインデックスでは対応できず B+ 木が適している。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
関係モデルにおける外部キーの説明として,適切なものはどれか。
ア ある関係の候補キーを参照する属性,又は属性の組 正解
イ 主キー以外で,タプルを一意に識別できる属性,又は属性の組
ウ タプルを一意に識別できる属性,又は属性の組の集合のうち極小のもの
エ タプルを一意に識別できる属性,又は属性の組を含む集合
正解 ア
解説
関係モデルの外部キーは,ある関係(表)の属性又は属性の組で,別の関係の候補キー(通常は主キー)を参照するものである。参照整合性制約によって,外部キーの値は,参照先の関係に存在する値か,空値のどちらかに限られる。アが適切である。
イは,候補キーのうち主キーに選ばれなかった代替キーの説明。ウは,タプルを一意に識別できる属性又は属性の組のうち極小のものを指す候補キー。エは,候補キーを含む属性の集合であるスーパーキーの説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
更新可能なビューを作成する SQL 文はどれか。ここで,SQL 文中に現れる基底表は全て更新可能とする。
ア CREATE VIEW 高額商品(商品番号,商品名,商品単価)
AS SELECT 商品番号,商品名,商品単価 FROM 商品 WHERE 商品単価>1000 正解
イ CREATE VIEW 受注商品(商品番号)
AS SELECT DISTINCT 商品番号 FROM 受注
ウ CREATE VIEW 商品受注(商品番号,受注数量)
AS SELECT 商品番号,SUM(受注数量) FROM 受注 GROUP BY 商品番号
エ CREATE VIEW 商品平均受注数量(平均受注数量)
AS SELECT AVG(受注数量) FROM 受注
正解 ア
解説
更新可能なビューは,ビューの 1 行が基底表の 1 行に対応していて,ビューへの更新を基底表に反映できるものである。アは基底表の列を選択し,WHERE 句で行を絞っただけなので,各行が基底表の行と 1 対 1 に対応し,更新可能である。
イは DISTINCT で重複を除いており,ビューの 1 行が複数の行をまとめたものになる。ウは GROUP BY と SUM で集計しており,エは AVG で集計している。集計や重複の除去を行うビューは,更新したい行を基底表の中で特定できないので,更新できない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
“製品”表と“在庫”表に対し,次の SQL 文を実行した結果として得られる表の行数は幾つか。
SELECT DISTINCT 製品番号 FROM 製品
WHERE NOT EXISTS (SELECT 製品番号 FROM 在庫
WHERE 在庫数 > 30 AND 製品.製品番号 = 在庫.製品番号)
正解 イ
解説
副問合せの NOT EXISTS は,在庫数が 30 を超える在庫がある製品を除外する条件になる。在庫数が 30 を超える行は,AB1805(WH101 の 150),CC5001(WH100 の 200,WH103 の 40),ZZ9900(WH100 の 130)の三つの製品にある。これらを除いて残る製品は,在庫表に行がない MZ1000 と,在庫数が 30 と 20 で 30 を超えない XZ3000 の 2 件で,結果の行数は 2 になる。イが正しい。
アの 1 は,条件を“30 以上”と読んで XZ3000 まで除外したときの値。ウの 3 は,除外される製品(AB1805,CC5001,ZZ9900)の数。エの 4 は,在庫数が 30 を超える在庫表の行(4 行)を数えた値で,求めるのは製品の数である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
DBMS をシステム障害発生後に再立上げするとき,ロールフォワードすべきトランザクションとロールバックすべきトランザクションの組合せとして,適切なものはどれか。ここで,トランザクションの中で実行される処理内容は次のとおりとする。
ア ロールフォワード:T2,T5,ロールバック:T6 正解
イ ロールフォワード:T2,T5,ロールバック:T3,T6
ウ ロールフォワード:T1,T2,T5,ロールバック:T6
エ ロールフォワード:T1,T2,T5,ロールバック:T3,T6
正解 ア
解説
システム障害からの再立上げでは,チェックポイント以降にコミットされたトランザクションの更新が主記憶のバッファに残ったまま失われている可能性があるので,ログを使って進め直す(ロールフォワード)。図で該当するのはチェックポイントをまたいでコミットした T2 と T5。一方,障害時点で未コミットのトランザクションは中途半端な更新を取り消す(ロールバック)が,これが要るのは実際に書込みを行ったものだけである。
未コミットなのは T3,T4,T6 だが,表を見ると T3 と T4 は Read 100 だけで Write がないので,取り消すべき更新がなくロールバックは不要。書込みのある T6 だけがロールバックの対象になる。T1 はチェックポイント前にコミットしており,その時点で更新が確定しているので何もしなくてよい。したがってアが正しい。
システム障害からの回復:トランザクションの振り分け
T1 はチェックポイントより前にコミットしているので何もしない。T2 と T5 はチェックポイントの後,障害の前にコミットしたのでロールフォワード。未コミットの T3・T4・T6 のうち,T3 と T4 は読むだけで書込みがないので取り消すものがなく,ロールバックするのは T6 だけ。
チェックポイント
障害
T1
何もしない
T2
ロールフォワード
T3
なし(読むだけ)
T4
なし(読むだけ)
T5
ロールフォワード
T6
ロールバック
コミット
破線:障害の時点でまだ終わっていない
更新(Write)のないトランザクションは取り消すものがない
未コミットでも,書込みのないトランザクションはロールバック不要
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
100M ビット/秒の LAN を使用し,1 件のレコード長が 1,000 バイトの電文を 1,000 件連続して伝送するとき,伝送時間は何秒か。ここで,LAN の伝送効率は 50%とする。
正解 ウ
解説
伝送するデータ量は 1,000 バイト×1,000 件=1,000,000 バイト=8,000,000 ビットである。伝送効率が 50% なので,実際に使える速度は 100M ビット/秒×0.5=50M ビット/秒になる。伝送時間は 8,000,000÷50,000,000=0.16 秒であり,ウになる。
アの 0.02 はバイトをビットに換算せずに 1,000,000÷50,000,000 とした値,イの 0.08 は伝送効率を考えずに 8,000,000÷100,000,000 とした値である。エの 1.6 は桁を一つ取り違えた値である。
伝送効率 50%の LAN で 1,000 件を送る時間
送るデータは 1,000 バイト×1,000 件=10⁶ バイト=8×10⁶ ビット。伝送効率 50%なので,実際に使える速度は 100M×0.5=50M ビット/秒。伝送時間は 8×10⁶÷5×10⁷=0.16 秒。バイトをビットにし忘れると 0.02,効率を忘れると 0.08。
1,000 バイト × 1,000 件 × 8
= 8×10⁶ ビット
100M ビット/秒 × 0.5(伝送効率)
= 50M ビット/秒(実際に使える速さ)
8×10⁶ ÷ 5×10⁷
= 0.16 秒(ウ)
×8 を忘れると 0.02(ア),効率を忘れると 0.08(イ)
8×10⁶ ビット ÷ 50M ビット/秒 = 0.16 秒
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
プライベート IP アドレスを割り当てられた PC が NAPT(IP マスカレード)機能をもつルータを経由して,インターネット上の Web サーバにアクセスしている。Web サーバから PC への応答パケットに含まれるヘッダー情報のうち,このルータで書き換えられるフィールドの組合せとして,適切なものはどれか。ここで,表中の ○ はフィールドの情報が書き換えられることを表す。
ア 宛先 IP アドレス,送信元 IP アドレス
イ 宛先 IP アドレス,宛先ポート番号 正解
ウ 送信元 IP アドレス,送信元ポート番号
エ 宛先ポート番号,送信元ポート番号
正解 イ
解説
NAPT では,PC から Web サーバへの要求パケットの送信元 IP アドレス(プライベート IP アドレス)と送信元ポート番号を,ルータがグローバル IP アドレスと自身が割り当てたポート番号に書き換える。Web サーバからの応答パケットは,そのグローバル IP アドレスとポート番号を宛先として届くので,ルータは対応表を使って宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を PC のプライベート IP アドレスとポート番号に書き換える。イが正しい。
応答パケットの送信元 IP アドレスと送信元ポート番号は Web サーバのものであり,ルータは書き換えない。アとウとエは送信元の項目を含んでいるので誤りである。ウは要求パケットで書き換えられる組合せである。
NAPT のアドレス変換
PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。
PC
192.168.1.10
ルータ
NAPT
Web
198.51.100.5
送信元 .10:5000
送信元 .1:60001
宛先 203.0.113.1:60001
宛先 .10:5000
対応表
内側(プライベート)
外側(グローバル)
192.168.1.10 : 5000
203.0.113.1 : 60001
応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」
外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
TCP/IP 環境において,ping によってホストの接続確認をするときに使用されるプロトコルはどれか。
ア CHAP
イ ICMP 正解
ウ SMTP
エ SNMP
正解 イ
解説
ping は,相手のホストに ICMP(Internet Control Message Protocol)のエコー要求を送り,エコー応答が返ってくるかどうかで,接続できているかを確認するコマンドである。イの ICMP が使われる。
アの CHAP は,PPP の接続時に使うチャレンジレスポンス方式の認証プロトコル。ウの SMTP は電子メールを送信するプロトコル。エの SNMP は,ネットワーク機器を監視・管理するためのプロトコルである。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
サブネットマスクが 255.255.252.0 のとき,IP アドレス 172.30.123.45 のホストが属するサブネットワークのアドレスはどれか。
ア 172.30.3.0
イ 172.30.120.0 正解
ウ 172.30.123.0
エ 172.30.252.0
正解 イ
解説
サブネットワークのアドレスは,IP アドレスとサブネットマスクのビットごとの論理積で求める。第3オクテットは 123=01111011,252=11111100 なので,論理積は 01111000=120。第4オクテットはマスクが 0 なので 0 になり,サブネットワークのアドレスは 172.30.120.0 となる。イが正しい。
ウの 172.30.123.0 は第3オクテットをそのまま残しており,サブネットマスクの 252 を適用していない。アとエは第3オクテットにマスクの値や別の値を当てはめたもので,論理積の結果とは異なる。
172.30.123.45/22 のネットワークアドレスの求め方
IP アドレス 172.30.123.45 とマスク 255.255.252.0(/22)。境目は第3オクテットで,123 は 01111011,マスクは 11111100。先頭22ビットがネットワーク部,残り10ビットがホスト部。ネットワークアドレスは 172.30.120.0。
第1
第2
第3(境目)
第4
IP アドレス
172
.
30
.
0
1
1
1
1
0
1
1
.
45
(123)
マスク
255
.
255
.
1
1
1
1
1
1
0
0
.
0
(252)
論理積
172
.
30
.
0
1
1
1
1
0
0
0
.
0
(120)
ネットワーク部 22ビット / ホスト部 10ビット
ネットワークアドレスは 172.30.120.0
境目のある第3オクテットだけを2進数にして考える
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
IPv4 ネットワークにおけるマルチキャストの使用例に関する記述として,適切なものはどれか。
ア LAN に初めて接続する PC が,DHCP プロトコルを使用して,自分自身に割り当てられる IP アドレスを取得する際に使用する。
イ ネットワーク機器が,ARP プロトコルを使用して,宛先 IP アドレスから MAC アドレスを得るためのリクエストを送信する際に使用する。
ウ メーリングリストの利用者が,SMTP プロトコルを使用して,メンバー全員に対し,同一内容の電子メールを一斉送信する際に使用する。
エ ルータが RIP-2 プロトコルを使用して,隣接するルータのグループに,経路の更新情報を送信する際に使用する。 正解
正解 エ
解説
マルチキャストは,特定のグループに属する複数のホストへ同時に送信する方式。RIP-2 はルータ間で経路情報を交換するときに,マルチキャストアドレス 224.0.0.9 宛てに更新情報を送るので,エが該当する。
アの DHCP でアドレスを取得する前の PC は,自分の IP アドレスも DHCP サーバのアドレスも分からないので,要求をブロードキャストで送る。イの ARP リクエストも同一ネットワークの全ホストに向けたブロードキャストである。ウのメーリングリストは,利用者がメーリングリストのアドレス宛てに SMTP で1通送り,サーバがメンバーごとに配送するもので,IP のマルチキャストは使わない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
パスワードクラック手法の一種である,レインボーテーブル攻撃に該当するものはどれか。
ア 何らかの方法で事前に利用者 ID と平文のパスワードのリストを入手しておき,複数のシステム間で使い回されている利用者 ID とパスワードの組みを狙って,ログインを試行する。
イ パスワードに成り得る文字列の全てを用いて,総当たりでログインを試行する。
ウ 平文のパスワードとハッシュ値をチェーンによって管理するテーブルを準備しておき,それを用いて,不正に入手したハッシュ値からパスワードを解読する。 正解
エ 利用者の誕生日,電話番号などの個人情報を言葉巧みに聞き出して,パスワードを類推する。
正解 ウ
解説
レインボーテーブル攻撃は,平文のパスワードとハッシュ値の対応をチェーン状にまとめて圧縮したテーブル(レインボーテーブル)をあらかじめ作っておき,不正に入手したハッシュ値から元のパスワードを効率よく割り出す攻撃である。ウが該当する。ソルトを付けてハッシュ化すると,事前に作ったテーブルが使えなくなり対策になる。
アは他のサービスから流出した ID とパスワードの組みを使い回しに期待して試すパスワードリスト攻撃,イは全ての文字列を試す総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃),エは人をだまして情報を聞き出すソーシャルエンジニアリングである。
レインボーテーブル攻撃と Pass the Hash 攻撃
レインボーテーブル攻撃は,パスワードとハッシュ値の対応を前もって表にしておき,盗んだハッシュ値から元のパスワードを素早く割り出す(ソルトで防げる)。Pass the Hash 攻撃は,ハッシュ値で認証が成り立つ仕組み(NTLM など)を悪用し,盗んだハッシュ値を解読しないまま認証に使ってログインする。
レインボーテーブル
盗んだハッシュ値
事前に作った表で引く
元のパスワード
Pass the Hash
盗んだハッシュ値
解読しない
そのまま認証に使う
対策:ソルト
NTLM 認証などを悪用
表で元に戻すのがレインボーテーブル,戻さずそのまま使うのが Pass the Hash
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
楕円曲線暗号の特徴はどれか。
ア RSA 暗号と比べて,短い鍵長で同レベルの安全性が実現できる。 正解
イ 共通鍵暗号方式であり,暗号化や復号の処理を高速に行うことができる。
ウ 総当たりによる解読が不可能なことが,数学的に証明されている。
エ データを秘匿する目的で用いる場合,復号鍵を秘密にしておく必要がない。
正解 ア
解説
楕円曲線暗号は,楕円曲線上の離散対数問題の困難さを安全性の根拠とする公開鍵暗号方式で,RSA 暗号と比べて短い鍵長で同レベルの安全性を実現できる。そのため処理が軽く,IoT 機器やスマートフォンなどにも向く。アが正しい。
イは,暗号化と復号に別々の鍵を使う公開鍵暗号方式なので誤り。ウは,鍵の長さによる総当たりの難しさは計算量の問題で,解読が不可能なことが数学的に証明されているわけではない。エは,データの秘匿に使う場合,復号に使う秘密鍵は秘密にしておく必要がある。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
自社の中継用メールサーバで,接続元 IP アドレス,電子メールの送信者のメールアドレスのドメイン名,及び電子メールの受信者のメールアドレスのドメイン名から成るログを取得するとき,外部ネットワークからの第三者中継と判断できるログはどれか。ここで,AAA.168.1.5 と AAA.168.1.10 は自社のグローバル IP アドレスとし,BBB.45.67.89 と BBB.45.67.90 は社外のグローバル IP アドレスとする。a.b.c は自社のドメイン名とし,a.b.d と a.b.e は他社のドメイン名とする。また,IP アドレスとドメイン名は詐称されていないものとする。
ア 接続元 IP アドレス:AAA.168.1.5,送信者のドメイン名:a.b.c,受信者のドメイン名:a.b.d
イ 接続元 IP アドレス:AAA.168.1.10,送信者のドメイン名:a.b.c,受信者のドメイン名:a.b.c
ウ 接続元 IP アドレス:BBB.45.67.89,送信者のドメイン名:a.b.d,受信者のドメイン名:a.b.e 正解
エ 接続元 IP アドレス:BBB.45.67.90,送信者のドメイン名:a.b.d,受信者のドメイン名:a.b.c
正解 ウ
解説
第三者中継は,自社と無関係な者どうしのメールを,自社のメールサーバが中継してしまうこと。外部ネットワークからの第三者中継なら,接続元は社外の IP アドレスで,送信者も受信者も自社以外のドメインになる。社外の BBB.45.67.89 から,他社ドメイン a.b.d の送信者が他社ドメイン a.b.e の受信者に送っているウが該当する。
アは自社の IP アドレスから自社ドメインの利用者が社外へ送る通常の送信。イは自社内のやり取り。エは社外から自社ドメインの受信者宛てに届いた通常の受信であり,いずれも第三者中継ではない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
JPCERT コーディネーションセンター“CSIRT ガイド(2021年11月30日)”では,CSIRT を機能とサービス対象によって六つに分類しており,その一つにコーディネーションセンターがある。コーディネーションセンターの機能とサービス対象の組合せとして,適切なものはどれか。
ア 機能:インシデント対応の中で,CSIRT 間の情報連携,調整を行う。サービス対象:他の CSIRT 正解
イ 機能:インシデントの傾向分析やマルウェアの解析,攻撃の痕跡の分析を行い,必要に応じて注意を喚起する。サービス対象:関係組織,国又は地域
ウ 機能:自社製品の脆弱性に対応し,パッチ作成や注意喚起を行う。サービス対象:自社製品の利用者
エ 機能:組織内 CSIRT の機能の一部又は全部をサービスプロバイダとして,有償で請け負う。サービス対象:顧客
正解 ア
解説
JPCERT/CC の“CSIRT ガイド”は,コーディネーションセンターを,サービス対象を協力関係にある他の CSIRT とし,インシデント対応において CSIRT 間の情報連携,調整を行うものとしている。アが適切である。
イは,サービス対象をその CSIRT が属する組織や国・地域とし,傾向分析やマルウェア解析を行う分析センター。ウは,自社製品の脆弱性に対応してパッチ作成や注意喚起を行うベンダーチーム。エは,契約を結んだ顧客に組織内 CSIRT の機能の一部又は全部を有償で提供するインシデントレスポンスプロバイダーである。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
JIS Q 27000:2019(情報セキュリティマネジメントシステムー用語)において,認可されていない個人,エンティティ又はプロセスに対して,情報を使用させず,また,開示しない特性として定義されているものはどれか。
正解 ア
解説
JIS Q 27000:2019 は,機密性を“認可されていない個人,エンティティ又はプロセスに対して,情報を使用させず,また,開示しない特性”と定義している。問題文の記述と一致するので,アが該当する。
イの真正性は“エンティティは,それが主張するとおりのものであるという特性”,ウの認証は“エンティティの主張する特性が正しいという保証の提供”,エの否認防止は“主張された事象又は処置の発生,及びそれらを引き起こしたエンティティを証明する能力”と,それぞれ別に定義されている。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
暗号機能を実装した IoT 機器における脅威のうち,サイドチャネル攻撃に該当するものはどれか。
ア 暗号化関数を線形近似する式を導き,その線形近似式から秘密情報の取得を試みる。
イ 機器が発する電磁波を測定することによって秘密情報の取得を試みる。 正解
ウ 二つの平文の差とそれぞれの暗号文の差の関係から,秘密情報の取得を試みる。
エ 理論的にあり得る復号鍵の全てを機器に入力して秘密情報の取得を試みる。
正解 イ
解説
サイドチャネル攻撃は,暗号機能を実装した機器が処理を行うときの消費電力,処理時間,放射される電磁波などの物理的な情報を測定・解析して,機器内部の暗号鍵などの秘密情報を推定する攻撃である。機器が発する電磁波を測定するイが該当する。
アの暗号化関数を線形近似する式から秘密情報を求めるのは線形解読法,ウの二つの平文の差と暗号文の差の関係から求めるのは差分解読法で,いずれも数学的な暗号解読である。エのあり得る全ての鍵を試すのはブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
セキュアブートの説明はどれか。
ア BIOS にパスワードを設定し,PC 起動時に BIOS のパスワード入力を要求することによって,OS の不正な起動を防ぐ技術
イ HDD 又は SSD にパスワードを設定し,PC 起動時に HDD 又は SSD のパスワード入力を要求することによって,OS の不正な起動を防ぐ技術
ウ PC の起動時に OS のプログラムやドライバのデジタル署名を検証し,デジタル署名が有効なものだけを実行することによって,OS 起動完了前のマルウェアの実行を防ぐ技術 正解
エ マルウェア対策ソフトを OS のスタートアッププログラムに登録し,OS 起動時に自動的にマルウェアスキャンを行うことによって,マルウェアの被害を防ぐ技術
正解 ウ
解説
セキュアブートは,PC の起動時に,UEFI が OS のブートローダやドライバのデジタル署名を検証し,正当な署名があるものだけを実行する仕組みである。OS の起動が完了する前に動くマルウェア(ブートキットなど)の実行を防げる。ウが該当する。
アは BIOS パスワード,イは HDD 又は SSD に設定する ATA パスワードで,どれも利用者の認証によって起動を制限するもので,プログラムの署名は検証しない。エは,OS の起動後にマルウェア対策ソフトで検査するもので,OS 起動完了前のマルウェアの実行は防げない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
PC のストレージ上の重要なデータを保護する方法のうち,ランサムウェア感染による被害の低減に効果があるものはどれか。
ア WORM(Write Once Read Many)機能を有するストレージを導入して,そこに重要なデータをバックアップする。 正解
イ ストレージを RAID5 構成にして,1 台のディスク故障時にも重要なデータを利用可能にする。
ウ 内蔵ストレージを増設して,重要なデータを常時レプリケーションする。
エ ネットワーク上のストレージの共有フォルダをネットワークドライブに割り当てて,そこに重要なデータをバックアップする。
正解 ア
解説
ランサムウェアは,データを暗号化して使えなくし,復元と引換えに金銭を要求するマルウェアである。WORM(Write Once Read Many)機能をもつストレージは,一度書き込んだデータを書き換えたり削除したりできないので,そこにバックアップしておけば,感染しても暗号化されず,データを復元できる。アが被害の低減に効果がある。
イの RAID5 は,ディスク 1 台の故障に備えるもので,暗号化されたデータもそのまま保存される。ウの常時レプリケーションでは,暗号化された内容が複製先にも反映される。エのネットワークドライブに割り当てた共有フォルダは,感染した PC から書込みできるので,ランサムウェアに暗号化されるおそれがある。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
DKIM(DomainKeys Identified Mail)に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 送信側のメールサーバで電子メールにデジタル署名を付与し,受信側のメールサーバでそのデジタル署名を検証して送信元ドメインの認証を行う。 正解
イ 送信者が電子メールを送信するとき,送信側のメールサーバは,送信者が正規の利用者かどうかの認証を利用者 ID とパスワードによって行う。
ウ 送信元ドメイン認証に失敗した際の電子メールの処理方法を記載したポリシーを DNS サーバに登録し,電子メールの認証結果を監視する。
エ 電子メールの送信元ドメインでメール送信に使うメールサーバの IP アドレスを DNS サーバに登録しておき,受信側で送信元ドメインの DNS サーバに登録されている IP アドレスと電子メールの送信元メールサーバの IP アドレスとを照合する。
正解 ア
解説
DKIM は,送信側のメールサーバが電子メールにデジタル署名を付与し,受信側のメールサーバが送信元ドメインの DNS に公開された公開鍵で署名を検証することで,送信元ドメインの正当性とメールが改ざんされていないことを確かめる仕組みである。アが適切である。
イは送信時に利用者 ID とパスワードで利用者を認証する SMTP-AUTH。ウは認証に失敗したメールの扱い方をポリシーとして DNS に登録し,認証結果のレポートを受け取る DMARC。エは送信元ドメインの DNS に登録された送信サーバの IP アドレスと,実際の送信元の IP アドレスを照合する SPF の説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
DNSSEC についての記述のうち,適切なものはどれか。
ア DNS サーバへの問合せ時の送信元ポート番号をランダムに選択することによって,DNS 問合せへの不正な応答を防止する。
イ DNS の再帰的な問合せの送信元として許可するクライアントを制限することによって,DNS を悪用した DoS 攻撃を防止する。
ウ 共通鍵暗号方式によるメッセージ認証を用いることによって,正当な DNS サーバからの応答であることをクライアントが検証できる。
エ 公開鍵暗号方式によるデジタル署名を用いることによって,正当な DNS サーバからの応答であることをクライアントが検証できる。 正解
正解 エ
解説
DNSSEC は,DNS の応答に公開鍵暗号方式のデジタル署名を付け,クライアント(キャッシュ DNS サーバ)が署名を検証して,正当な DNS サーバからの応答であることと,応答が改ざんされていないことを確かめられるようにする仕組みである。エが適切である。
アは,問合せの送信元ポート番号をランダムにして,偽の応答の注入を難しくするソースポートランダマイゼーションの説明。イは,再帰的な問合せを許可するクライアントを制限して,DNS を悪用した DoS 攻撃(DNS リフレクション攻撃など)を防ぐ対策。ウの共通鍵暗号方式によるメッセージ認証は,DNSSEC ではなく,サーバ間の通信の認証に使う TSIG などの方式である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
問題を引き起こす可能性があるデータを大量に入力し,そのときの応答や挙動を監視することによって,ソフトウェアの脆弱性を検出するテスト手法はどれか。
ア 限界値分析
イ 実験計画法
ウ ファジング 正解
エ ロードテスト
正解 ウ
解説
ファジング(fuzzing)は,極端に長い文字列や想定外の記号,境界に近い数値など,問題を引き起こしそうなデータ(ファズ)を大量に自動生成してソフトウェアに入力し,異常終了や応答の異常が起きないかを監視することで,設計時に想定していなかった脆弱性を見つけるテスト手法である。ウが該当する。
アの限界値分析は,仕様上の境界の前後を狙ってテストケースを選ぶ技法で,大量のデータを機械的に流し込むものではない。イの実験計画法は,複数の因子の組合せを効率よく割り付けて少ない回数で影響を調べる統計的な手法である。エのロードテストは,想定する負荷をかけて性能や安定性を確かめるテストで,脆弱性の検出を目的としない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
アプリケーションソフトウェアの開発環境上で,用意された部品やテンプレートを GUI による操作で組み合わせたり,必要に応じて一部の処理のソースコードを記述したりして,ソフトウェアを開発する手法はどれか。
ア 継続的インテグレーション
イ ノーコード開発
ウ プロトタイピング
エ ローコード開発 正解
正解 エ
解説
ローコード開発は,用意された部品やテンプレートを GUI 上で組み合わせることを基本としつつ,標準の部品で足りない処理は一部だけソースコードを書いて補う開発手法である。“必要に応じて一部の処理のソースコードを記述”する点が当てはまり,エが正しい。
イのノーコード開発は,ソースコードを一切書かずに GUI の操作だけでソフトウェアを作る手法で,コードを記述する点が合わない。アの継続的インテグレーションは変更のたびにビルドやテストを自動で行う手法,ウのプロトタイピングは試作品を作って利用者に確認しながら要件を固める手法である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
問題は発生していないが,プログラムの仕様書と現状のソースコードとの不整合を解消するために,リバースエンジニアリングの手法を使って仕様書を作成し直す。これはソフトウェア保守のどの分類に該当するか。
ア 完全化保守 正解
イ 是正保守
ウ 適応保守
エ 予防保守
正解 ア
解説
JIS X 0161:2008 はソフトウェア保守を是正保守・予防保守・適応保守・完全化保守の四つに分類しており,完全化保守は引渡し後のソフトウェア製品の性能又は保守性を改善するための修正と定義されている。仕様書と実装の食い違いを直して文書を整え直す作業は,以後の変更をしやすくする=保守性の改善に当たるので,アの完全化保守になる。
イの是正保守は引渡し後に発見された問題を訂正する受身の修正,ウの適応保守は変化した環境で使い続けられるようにするための修正,エの予防保守は潜在的な障害が運用障害になる前に発見して是正する修正である。この設問では障害も環境変化も起きていない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
アジャイルソフトウェア開発宣言では,“あることがらに価値があることを認めながらも別のことがらにより価値をおく”としている。“別のことがら”に該当するものの組みはどれか。
ア 個人と対話,動くソフトウェア,顧客との協調,変化への対応 正解
イ 個人と対話,包括的なドキュメント,顧客との協調,計画に従うこと
ウ プロセスやツール,動くソフトウェア,契約交渉,変化への対応
エ プロセスやツール,包括的なドキュメント,契約交渉,計画に従うこと
正解 ア
解説
アジャイルソフトウェア開発宣言は,“プロセスやツールよりも個人と対話を”,“包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを”,“契約交渉よりも顧客との協調を”,“計画に従うことよりも変化への対応を”と述べている。価値があることを認めながらも,より価値をおくのは,個人と対話,動くソフトウェア,顧客との協調,変化への対応で,アが該当する。
イ,ウ,エは,価値をおく側(個人と対話,動くソフトウェア,顧客との協調,変化への対応)と,その左側にある項目(プロセスやツール,包括的なドキュメント,契約交渉,計画に従うこと)を取り違えて組み合わせている。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
組込みシステムのソフトウェア開発に使われる IDE の説明として,適切なものはどれか。
ア エディター,コンパイラ,リンカ,デバッガなどが一体となったツール 正解
イ 専用のハードウェアインタフェースで CPU の情報を取得する装置
ウ ターゲット CPU を搭載した評価ボードなどの実行環境
エ タスクスケジューリングの仕組みなどを提供するソフトウェア
正解 ア
解説
IDE(Integrated Development Environment,統合開発環境)は,ソースコードを書くエディター,コンパイラ,リンカ,デバッガなど,ソフトウェア開発に必要なツールを一つの環境にまとめたものである。アが適切である。
イは JTAG などの専用インタフェースでターゲットの CPU の状態を取得・制御する ICE(インサーキットエミュレータ)などのデバッグ用装置。ウはターゲット CPU を搭載してソフトウェアを動かして確かめる評価ボード。エはタスクスケジューリングなどの機能を提供するリアルタイム OS の説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
PMBOK ガイド 第7版によれば,プロジェクト・スコープ記述書に記述する項目はどれか。
ア WBS
イ コスト見積額
ウ ステークホルダー分類
エ プロジェクトの除外事項 正解
正解 エ
解説
プロジェクト・スコープ記述書は,プロジェクトのスコープ,主要な成果物と,プロジェクトに含めない事項(除外事項)を記述した文書である。何をやらないかを明記しておくことで,関係者の期待の食い違いやスコープの膨張を防げる。エが該当する。
アの WBS はスコープ記述書を基に成果物と作業を階層的に分解したもので,スコープ記述書とは別に作る(両者と WBS 辞書を合わせてスコープ・ベースラインとなる)。イのコスト見積額はコストの見積りの成果,ウのステークホルダー分類はステークホルダー登録簿などで扱う情報である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
システム開発のプロジェクトにおいて,EVM を活用したパフォーマンス管理をしている。開発途中のある時点で EV−PV の値が負であるとき,どのような状況を示しているか。
ア スケジュール効率が,計画よりも良い。
イ プロジェクトの完了が,計画よりも遅くなる。
ウ プロジェクトの進捗が,計画よりも遅れている。 正解
エ プロジェクトの進捗が,計画よりも進んでいる。
正解 ウ
解説
EV-PV はスケジュール差異(SV)。EV(出来高)が PV(計画価値)を下回っている,つまりその時点で完了しているはずの作業量に実績が届いていないので,進捗が計画よりも遅れている状態を示す。
アとエは SV が正のときの状態。イは将来の見通しの話で,SV が負でも以降で挽回できる可能性があるため,この時点で完了が遅れるとは断定できない。
EVM の3本の線と SV・CV
PV(計画の出来高)・EV(実際の出来高)・AC(実際のコスト)を累積で描く。現時点の EV と PV の縦の差がスケジュール差異 SV=EV−PV で,負なら進捗の遅れを金額で表したもの。EV と AC の差がコスト差異 CV=EV−AC で,負ならコスト超過。EV が PV 以上なら納期に遅れず,EV が AC 以上ならコストは超過しない。
時間
金額(累積)
現時点
PV
EV
AC
SV
CV
SV=EV−PV(進捗) CV=EV−AC(コスト)
EV と PV の差は進捗の遅れ(金額),EV と AC の差はコストの超過
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
プロジェクトのスケジュールを短縮したい。当初の計画は図1のとおりである。作業 E を作業 E1,E2,E3 に分けて,図2のとおりに計画を変更すると,スケジュールは全体で何日短縮できるか。
正解 ア
解説
図1のクリティカルパスは A→B→E→H→I で,5+8+9+4+2=28日。
図2では E が E1(3),E2(4),E3(2) に分割され,E3 の直前の結合点には E1 とダミー作業(E2 の後)が入る。B の完了時点(13日)から見ると,E1 経由は 3 日,E2 経由は 4 日で,遅いほうの 4 日で結合点に到達し,そこから E3 が 2 日かかる。よって B→H は 4+2=6日となり,A→B→E2→E3→H→I は 5+8+4+2+4+2=25日。もう一方の A→B→D→G は 5+8+7+7=27日なので,図2 全体は 27日。
28−27=1日短縮できる。
作業 E を分けて並行させると
当初は A→B→E→H→I が 28 日でクリティカルパス。E(9日)を E1(3日),E2(4日),E3(2日)に分け,E1 と E2 を並行させると,B の後から H の手前までが 4+2=6 日に縮まり,その経路は 25 日。代わって A→B→D→G の 27 日がクリティカルパスになり,全体は 1 日だけ縮む。
A 5
B 8
C 7
D 7
E1 3
E2 4
E3 2
F 5
G 7
H 4
I 2
0 / 0
5 / 5
13 / 13
12 / 16
20 / 20
16 / 19
17 / 27
18 / 21
22 / 25
27 / 27
変更前 28 日 → 変更後 27 日(1日短縮)
縮めた結果,別の経路(27 日)が新しいクリティカルパスになる
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
プロジェクトマネジメントにおいて,コンティンジェンシー計画を作成するプロセスはどれか。
ア リスクの管理
イ リスクの特定
ウ リスクの評価
エ リスクへの対応 正解
正解 エ
解説
コンティンジェンシー計画は,リスクが顕在化したときにどう行動するかをあらかじめ定めておく計画で,JIS Q 21500 のリスク対象群(リスクの特定,リスクの評価,リスクへの対応,リスクの管理)では,対策を決める“リスクへの対応”のプロセスで作成する。エが該当する。
アのリスクの管理は,リスクへの対応を実行するかどうか,それが期待する効果を上げられるかどうかを明らかにするプロセスで,計画を作るプロセスではない。イのリスクの特定は,プロジェクトに影響しうるリスクを洗い出すプロセス。ウのリスクの評価は,特定したリスクの発生確率や影響度を評価して優先順位を付けるプロセスで,対応策の計画はまだ作らない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
サービスマネジメントシステム(SMS)における是正処置の説明はどれか。
ア 検出された不適合又はほかの望ましくない状況の原因を除去する,又は再発の起こりやすさを低減するための処置 正解
イ 構成品目の変更の展開に伴って,構成情報を更新する処置
ウ パフォーマンスを向上するために繰り返し行われる活動であって,SMS 及びサービスの適切性,妥当性及び有効性を継続的に改善するための処置
エ 問題を“記録・分類”し,“優先度付け”し,“必要ならばエスカレーション”し,“可能ならば解決する”一連の処置
正解 ア
解説
JIS Q 20000-1:2020 は,是正処置を“検出された不適合又は他の望ましくない状況の原因を除去する,又は再発の起こりやすさを低減するための処置”と定義している。アが該当する。
イは,構成品目の変更に伴う構成情報の更新で,構成管理の活動。ウは,同じ規格の継続的改善の定義で,“パフォーマンスを向上するために繰り返し行われる活動”である。エは,問題を記録・分類して優先度を付け,必要なら上位にエスカレーションし,可能なら解決する,インシデント管理などの一連の活動を述べたものである。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
Y 社は,受注管理システムを運用し,顧客に受注管理サービスを提供している。日数が 30 日,月曜日の回数が 4 回である月において,サービス提供条件を達成するために許容されるサービスの停止時間は最大何時間か。ここで,サービスの停止時間は,小数第 1 位を切り捨てるものとする。
〔サービス提供条件〕
サービスは,計画停止時間を除いて,毎日 0 時から 24 時まで提供する。 計画停止は,毎週月曜日の 0 時から 6 時まで実施する。 サービスの可用性は 99%以上とする。
正解 イ
解説
この月の暦上の時間は 30日×24時間=720時間。毎週月曜日の計画停止は 4回×6時間=24時間なので,サービスを提供すべき時間は 720−24=696時間になる。計画停止はこの計算から除くので,可用性の対象には含めない。
可用性 99%以上を達成するには,停止時間を 696×1%=6.96時間以内に収める必要がある。小数第1位を切り捨てると 6時間となり,イが正しい。計画停止を除かずに 720時間で計算すると 7.2 から 7時間(ウ)と誤る。
計画停止を除いて許される停止時間
30日×24時間=720時間から,毎週月曜 0〜6 時の計画停止 4回×6時間=24時間を除くと,提供すべき時間は 696時間。可用性 99% 以上なら停止は 696×1%=6.96時間まで。小数第1位を切り捨てて6時間。
30日 × 24時間 = 720 時間(帯の長さは目安)
提供すべき 696 時間
計画停止 24
止まった(数える)
提供時間に含めない(分母から除く)
696 × 1% = 6.96 → 6 時間
720 で計算すると 7.2 → 7 時間(誤り)
計画停止は分母から除く。除かないと 7 時間と誤る
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
フルバックアップ方式と差分バックアップ方式とを用いた運用に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 障害からの復旧時に差分バックアップのデータだけ処理すればよいので,フルバックアップ方式に比べ,差分バックアップ方式は復旧時間が短い。
イ フルバックアップのデータで復元した後に,差分バックアップのデータを反映させて復旧する。 正解
ウ フルバックアップ方式と差分バックアップ方式とを併用して運用することはできない。
エ フルバックアップ方式に比べ,差分バックアップ方式はバックアップに要する時間が長い。
正解 イ
解説
差分バックアップは,直前のフルバックアップ以降に変更されたデータをバックアップする方式である。復旧時は,まずフルバックアップのデータで復元し,その後に最新の差分バックアップのデータを反映させる。イが適切である。
アは誤り。差分バックアップだけではフルバックアップ時点のデータがないので復元できず,フルバックアップだけで復旧するより手順が増える。ウは誤り。差分バックアップはフルバックアップと組み合わせて運用することが前提である。エは誤り。差分バックアップは変更分だけを取るので,毎回全データを取るフルバックアップより時間が短い。
フル・差分・増分バックアップ
日曜にフルバックアップを取る。差分バックアップは毎日,日曜のフル以降に変わった全てを取るので,日がたつほど量が増え,復旧はフルと最新の差分の2つで済む。増分バックアップは毎日,前日のバックアップ以降に変わった分だけを取るので量は少ないが,復旧にはフルとそれ以降の全ての増分が要る。
日
月
火
水
木
差分
フル
月
月〜火
月〜水
月〜木
増分
フル
月
火
水
木
木曜に復旧するとき 差分:フル+木の差分 増分:フル+月火水木の増分
差分は「フルから」,増分は「前回から」。復旧に使う数が違う
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
システム監査人が作成する監査調書に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 監査調書の作成は任意であり,作成しなくても問題はない。
イ 監査調書は,監査人自身の行動記録であり,監査チーム内でも他の監査人と共有すべきではない。
ウ 監査調書は,監査の結論を支える合理的な根拠とするために,発見した事実及び発見事実に関する所見を記載する。 正解
エ 監査調書は,保管の必要がない監査人の備忘録である。
正解 ウ
解説
監査調書は,システム監査人が行った監査業務の実施記録である。監査の結論(監査意見や指摘事項)を支える合理的な根拠となるように,発見した事実とそれに関する所見を記載し,入手した監査証拠を添えてまとめる。ウが適切である。
アは,監査調書は作成するもので,任意ではない。イは,監査調書は監査チームで共有し,監査報告書の内容を確認するときの根拠にするものなので,共有すべきでないとはいえない。エは,監査の根拠を示す記録なので,備忘録にとどまらず,適切に保管する必要がある。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
販売管理システムにおいて,起票された受注伝票の入力が,漏れなく,かつ,重複することなく実施されていることを確かめる監査手続として,適切なものはどれか。
ア 受注データから値引取引データなどの例外取引データを抽出し,承認の記録を確かめる。
イ 受注伝票の入力時に論理チェック及びフォーマットチェックが行われているか,テストデータ法で確かめる。
ウ 販売管理システムから出力したプルーフリストと受注伝票との照合が行われているか,プルーフリストと受注伝票上の照合印を確かめる。 正解
エ 並行シミュレーション法を用いて,受注伝票を処理するプログラムの論理の正確性を確かめる。
正解 ウ
解説
受注伝票が漏れなく重複なく入力されているかは,入力結果の一覧(プルーフリスト)と元の伝票を突き合わせているかを確かめれば分かる。照合が行われた証跡として,プルーフリストや受注伝票に押された照合印を確認するのが適切な監査手続になる。ウが正しい。
アの例外取引の承認記録の確認は,取引が正当に認められたかという承認の妥当性を見るもの。イの論理チェックやフォーマットチェックの確認は入力データの正確性を見るもの。エの並行シミュレーション法はプログラムの処理ロジックの正しさを検証する技法で,いずれも入力の網羅性を確かめるものではない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
金融庁“財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(令和元年)”における“IT への対応”に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア IT 環境とは,企業内部に限られた範囲での IT の利用状況である。
イ IT の統制は,IT に係る全般統制及び IT に係る業務処理統制から成る。 正解
ウ IT の利用によって統制活動を自動化している場合,当該統制活動は有効であると評価される。
エ IT を利用せず手作業だけで内部統制を運用している場合,直ちに内部統制の不備となる。
正解 イ
解説
金融庁の“財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準”では,IT の統制を,IT 基盤の整備や運用に関わる「IT に係る全般統制」と,個々の業務処理の正確性を確保する「IT に係る業務処理統制」の二つに分けて考えるとしている。イが正しい。
アは,IT 環境には企業を取り巻く社会の IT 利用状況も含まれるので,企業内部に限られない。ウは,自動化されていてもプログラムの設定や運用が適切でなければ有効とはいえない。エは,手作業だけの内部統制でも有効に機能していれば不備とはされない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
バックキャスティングの説明として,適切なものはどれか。
ア システム開発において,先にプロジェクト要員を確定し,リソースの範囲内で優先すべき機能から順次提供する開発手法
イ 前提として認識すべき制約を受け入れた上で未来のありたい姿を描き,予想される課題や可能性を洗い出し解決策を検討することによって,ありたい姿に近づける思考方法 正解
ウ 組織において,下位から上位への発議を受け付けて経営の意思決定に反映するマネジメント手法
エ 投資戦略の有効性を検証する際に,過去のデータを用いてどの程度の利益が期待できるかをシミュレーションする手法
正解 イ
解説
バックキャスティングは,まず目指す未来のありたい姿を描き,そこから現在へ時間を遡るように,実現するために必要な課題や施策を洗い出していく思考方法である。現在の延長線上で未来を予測するフォアキャスティングと対比される。イが適切である。
アは開発期間やリソースを固定して優先度の高い機能から提供するタイムボックス型の開発の考え方。ウは下位からの提案を意思決定に取り入れるボトムアップ型のマネジメント。エは過去のデータで投資戦略を検証するバックテストの説明である。
バックキャスティングとフォアキャスティング
フォアキャスティングは,現在の延長線上で未来を予測して計画を立てる。バックキャスティングは,まず制約を受け入れた上で未来のありたい姿を描き,そこから現在へさかのぼって,必要な課題や施策を洗い出す。
現在
ありたい姿
未来
フォアキャスティング(延長して予測)
バックキャスティング(さかのぼって施策)
延長線の先は,ありたい姿に届かないことがある
ありたい姿から現在へさかのぼるのがバックキャスティング
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
A 社は,ソリューションプロバイダから,顧客に対するワントゥワンマーケティングを実現する統合的なソリューションの提案を受けた。この提案に該当するソリューションとして,最も適切なものはどれか。
ア CRM ソリューション 正解
イ HRM ソリューション
ウ SCM ソリューション
エ 財務管理ソリューション
正解 ア
解説
CRM(Customer Relationship Management,顧客関係管理)は,顧客の属性や購買履歴,問合せ履歴などの情報を一元管理し,顧客一人一人に合わせた対応や提案を行うことで,長期的に良好な関係を築くための仕組みである。顧客ごとに個別の働きかけをするワントゥワンマーケティングを実現するソリューションに当たるので,アが適切である。
イの HRM(人的資源管理)は従業員の採用,評価,育成など人事に関するもの,ウの SCM(サプライチェーンマネジメント)は調達から生産,物流,販売までの供給の流れを最適化するもの,エの財務管理は会計や資金を扱うもので,いずれも顧客への個別のマーケティングを目的としていない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
SOA を説明したものはどれか。
ア 企業改革において既存の組織やビジネスルールを抜本的に見直し,業務フロー,管理機構及び情報システムを再構築する手法のこと
イ 企業の経営資源を有効に活用して経営の効率を向上させるために,基幹業務を部門ごとではなく統合的に管理するための業務システムのこと
ウ 発注者と IT アウトソーシングサービス提供者との間で,サービスの品質について合意した文書のこと
エ ビジネスプロセスの構成要素とそれを支援する IT 基盤を,ソフトウェア部品であるサービスとして提供するシステムアーキテクチャのこと 正解
正解 エ
解説
SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務プロセスを構成する機能と,それを支える IT 基盤を,再利用可能なソフトウェア部品(サービス)として提供し,それらを組み合わせてシステムを構築するアーキテクチャである。エが該当する。
アは組織や業務のやり方を抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング),イは基幹業務を統合的に管理する ERP,ウは発注者とサービス提供者の間でサービスの品質を合意する SLA(サービスレベル合意書)の説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
IT 投資効果の評価方法において,キャッシュフローベースで初年度の投資によるキャッシュアウトを何年後に回収できるかという指標はどれか。
ア IRR(Internal Rate of Return)
イ NPV(Net Present Value)
ウ PBP(Pay Back Period) 正解
エ ROI(Return On Investment)
正解 ウ
解説
PBP(Pay Back Period,回収期間法)は,投資によって出ていったキャッシュを,その後のキャッシュインで何年後に回収できるかを見る指標。金額ではなく期間で評価する点が特徴で,ウが正しい。
アの IRR は正味現在価値がゼロになる割引率を求めるもの。イの NPV は将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて投資額を差し引いた金額。エの ROI は投資額に対する利益の割合で,いずれも回収までの期間を表す指標ではない。
回収期間(PBP)を累計の折れ線で比べる
投資額 500 に対して,キャッシュインの累計が 500 を越える年を比べる。d は 300,500 で2年目ちょうどに回収し,最も早い。b は3年目,a と c は4年目に回収する。a は合計が最も大きいが,前半が小さいので回収は遅い。PBP は回収後のキャッシュインを評価に含めない。
年
累計
投資 500
a
b
c
d
1
2
3
4
5
d:2年で回収
累計の線が投資額の線を越える年。早いほど良い
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
システム開発の成果物が利害関係者の要件(要求事項)を満たしているという客観的な証拠を得るための検証手法として,JIS X 0166:2021(システム及びソフトウェア技術ーライフサイクルプロセスー要求エンジニアリング)では,インスペクション,分析又はシミュレーション,デモンストレーション,テストを挙げている。これらのうち,成果物となる文書について要件(要求事項)への遵守度合いを検査するものはどれか。
ア インスペクション 正解
イ テスト
ウ デモンストレーション
エ 分析又はシミュレーション
正解 ア
解説
JIS X 0166:2021 は,成果物が要件(要求事項)を満たしていることの検証手法として,インスペクション,分析又はシミュレーション,デモンストレーション,テストを挙げている。成果物となる文書について,要件への遵守度合いを調べて検査するのはインスペクションで,アが該当する。
イのテストは,あらかじめ定めた条件で実際に動作させ,結果を測定して確かめる手法。ウのデモンストレーションは,実際に動作させて,その様子を観察して確かめる手法。エの分析又はシミュレーションは,モデルや計算によって性能などを見積もって確かめる手法で,いずれも文書を検査するものではない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
半導体メーカーが行っているファウンドリーサービスの説明として,適切なものはどれか。
ア 商号や商標の使用権とともに,一定地域内での商品の独占販売権を与える。
イ 自社で半導体製品の企画,設計から製造までを一貫して行い,それを自社ブランドで販売する。
ウ 製造設備をもたず,半導体製品の企画,設計及び開発を専門に行う。
エ 他社からの製造委託を受けて,半導体製品の製造を行う。 正解
正解 エ
解説
ファウンドリサービスは,他社が設計した半導体を製造だけ請け負う事業。自社ブランドの製品はもたず,多くの企業からの注文をまとめて製造設備の稼働率を高めることで成り立っている。エが正しい。
アは商号や商標の使用権と独占販売権を与えるフランチャイズ。イは企画から製造・販売まで自社で一貫して行う IDM(垂直統合型メーカ)。ウは製造設備をもたず設計・開発に特化するファブレス企業の説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
H. I. アンゾフが提唱した成長マトリクスを説明したものはどれか。
ア 既存製品か新製品かという製品軸と既存市場か新市場かという市場軸の両軸で捉え,事業成長戦略を考える。 正解
イ コストで優位に立つかコスト以外で差別化するか,ターゲットを広くするか集中するかによって戦略を考える。
ウ 市場成長率が高いか低いか,相対的市場シェアが大きいか小さいかによって事業を捉え,資源配分の戦略を考える。
エ 自社の内部環境の強みと弱み,取り巻く外部環境の機会と脅威を抽出し,取組方針を整理して戦略を考える。
正解 ア
解説
アンゾフの成長マトリクスは,縦軸に既存製品か新製品か(製品軸),横軸に既存市場か新市場か(市場軸)をとって,市場浸透,新市場開拓,新製品開発,多角化の四つの事業成長戦略を考える手法である。アが該当する。
イは,コスト優位性か差別化か,ターゲットを広くするか集中するかで戦略を分けるポーターの競争戦略。ウは,市場成長率と相対的市場シェアで事業を捉え,資源配分を考える PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)。エは,内部環境の強みと弱み,外部環境の機会と脅威を整理する SWOT 分析である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
顧客から得る同意の範囲を段階的に広げながら,プロモーションを行うことが特徴的なマーケティング手法はどれか。
ア アフィリエイトマーケティング
イ 差別型マーケティング
ウ パーミッションマーケティング 正解
エ バイラルマーケティング
正解 ウ
解説
パーミッションマーケティングは,顧客から情報提供の許可(同意)を得た上でプロモーションを行い,関係が深まるにつれて,許可を得る範囲を段階的に広げていくマーケティング手法である。ウが該当する。
アのアフィリエイトマーケティングは,他のサイトに広告を掲載してもらい,そこを経由した成果に応じて報酬を支払う手法。イの差別型マーケティングは,セグメントごとに異なる製品や施策を提供する手法。エのバイラルマーケティングは,口コミや SNS で評判が人から人へ広がるように仕掛ける手法である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
市場を消費者特性でセグメント化する際に,基準となる変数を,地理的変数,人口統計的変数,心理的変数,行動的変数に分類するとき,人口統計的変数に分類されるものはどれか。
ア 社交性などの性格
イ 職業 正解
ウ 人口密度
エ 製品の使用割合
正解 イ
解説
人口統計的変数(デモグラフィック変数)は,年齢,性別,所得,職業,学歴,家族構成など,人口統計で把握できる消費者の属性をいう。職業はこれに当たるので,イが正しい。
アの社交性などの性格はライフスタイルや価値観と並ぶ心理的変数(サイコグラフィック変数)。ウの人口密度は都市部か地方かなどを表す地理的変数(ジオグラフィック変数)。エの製品の使用割合は購買や使用の状況を表す行動的変数である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
オープンイノベーションの説明として,適切なものはどれか。
ア 外部の企業に製品開発の一部を任せることで,短期間で市場へ製品を投入する。
イ 顧客に提供する製品やサービスを自社で開発することで,新たな価値を創出する。
ウ 自社と外部組織の技術やアイディアなどを組み合わせることで創出した価値を,さらに外部組織へ提供する。 正解
エ 自社の業務の工程を見直すことで,生産性向上とコスト削減を実現する。
正解 ウ
解説
オープンイノベーションは,自社の技術やアイディアだけに頼らず,大学や他社など外部組織の技術やアイディアを取り入れて組み合わせ,新たな価値を生み出す考え方である。自社で活用しきれない技術を外部に提供して価値を生むことも含む。ウが適切である。
アは開発の一部を外部に委託するアウトソーシング。イは研究開発から製品化までを自社の中だけで行うクローズドイノベーションの考え方。エは業務の工程を見直して生産性を上げる業務改善(BPR など)の説明である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
CPS(サイバーフィジカルシステム)を活用している事例はどれか。
ア 仮想化された標準的なシステム資源を用意しておき,業務内容に合わせてシステムの規模や構成をソフトウェアによって設定する。
イ 機器を販売するのではなく貸し出し,その機器に組み込まれたセンサーで使用状況を検知し,その情報を基に利用者から利用料金を徴収する。
ウ 業務処理機能やデータ蓄積機能をサーバにもたせ,クライアント側はネットワーク接続と最小限の入出力機能だけをもたせてデスクトップの仮想化を行う。
エ 現実世界の都市の構造や活動状況のデータによって仮想世界を構築し,災害の発生や時間軸を自由に操作して,現実世界では実現できないシミュレーションを行う。 正解
正解 エ
解説
CPS(サイバーフィジカルシステム)は,現実世界(フィジカル空間)のデータを収集し,仮想世界(サイバー空間)で分析やシミュレーションを行い,その結果を現実世界に役立てる仕組みである。都市の構造や活動状況のデータで仮想世界を構築し,現実には試せない災害などのシミュレーションを行うエが該当する(デジタルツインとも呼ばれる)。
アはソフトウェアでシステム資源を構成する仮想化(SDx),イは機器の使用量に応じて課金するサブスクリプションや従量課金のビジネスモデル,ウはデスクトップ仮想化(シンクライアント)の事例で,いずれも現実世界のデータを仮想世界で分析して現実世界に還元する仕組みではない。
CPS とデジタルツイン
CPS は,現実世界のデータをセンサで集め,サイバー空間で分析・加工し,結果を現実世界に返して価値を生む仕組み全体。デジタルツインは,その輪のうちサイバー空間に現実をそっくり再現し,現実では試せないシミュレーションを行うところにあたる。
現実(フィジカル)
工場・都市・設備
センサ
サイバー空間
デジタルツイン
現実をそっくり再現
シミュレーション
① 集める
③ 現実に返す
② 分析する
VR やメタバースは,現実を再現して返すことが目的ではない
CPS は「集める→分析する→返す」の輪。デジタルツインは「分析する」場所
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
個人が,インターネットを介して提示された単発の仕事を受託する働き方や,それによって形成される経済形態を表すものはどれか。
ア API エコノミー
イ ギグエコノミー 正解
ウ シャドーエコノミー
エ トークンエコノミー
正解 イ
解説
ギグエコノミーは,個人が,インターネット上のプラットフォームを介して提示された単発の仕事(ギグ)を受託する働き方や,それによって形成される経済形態をいう。配達員や,クラウドソーシングによる仕事などが例である。イが該当する。
アの API エコノミーは,企業が API を公開して他社のサービスと連携することで形成される経済圏。ウのシャドーエコノミーは,統計や課税の対象にならない非公式な経済活動。エのトークンエコノミーは,ブロックチェーン上のトークンを報酬や価値の移転に使う経済圏である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
スマートファクトリーで使用される AI を用いたマシンビジョンの目的として,適切なものはどれか。
ア 作業者が装着した VR ゴーグルに作業プロセスを表示することによって,作業効率を向上させる。
イ 従来の人間の目視検査を自動化し,検査効率を向上させる。 正解
ウ 需要予測を目的として,クラウドに蓄積した入出荷データを用いて機械学習を行い,生産数の最適化を行う。
エ 設計変更内容を,AI を用いて吟味して,製造現場に正確に伝達する。
正解 イ
解説
マシンビジョンは,カメラで撮影した画像をコンピュータで解析して,対象物の位置や形状,傷などを判別する技術。スマートファクトリーでは AI による画像認識と組み合わせて,人が目で見て行っていた外観検査などを自動化し,検査の効率と精度を高めるのに使われる。イが適切である。
アは VR(又は AR)ゴーグルによる作業支援,ウは入出荷データを使った機械学習による需要予測,エは設計変更内容の伝達であり,いずれも画像を解析して判別するマシンビジョンの目的ではない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
BCM(Business Continuity Management)において考慮すべきレジリエンスの説明はどれか。
ア 競争力の源泉となる,他社に真似のできない自社固有の強み
イ 想定される全てのリスクを回避して事業継続を行う方針
ウ 大規模災害などの発生時に事業の継続を可能とするために事前に策定する計画
エ 不測の事態が生じた場合の組織的対応力や,支障が生じた事業を復元させる力 正解
正解 エ
解説
BCM におけるレジリエンスは,災害や事故などの不測の事態が発生したときに,組織として柔軟に対応し,被害を受けて支障が生じた事業を速やかに復元させる力である。エが該当する。
アは他社に真似のできない自社の強みであるコアコンピタンスの説明である。イは誤りで,想定される全てのリスクを回避することは現実的ではなく,BCM ではリスクの発生を前提として事業の継続と早期復旧を図る。ウは事業継続計画(BCP)の説明であり,レジリエンスはその計画などによって高められる組織の能力である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
リーダーシップ論のうち,F. E. フィードラーが提唱するコンティンジェンシー理論の特徴はどれか。
ア 優れたリーダーシップを発揮する,リーダー個人がもつ性格,知性,外観などの個人的資質の分析に焦点を当てている。
イ リーダーシップのスタイルについて,目標達成能力と集団維持能力の二つの次元に焦点を当てている。
ウ リーダーシップの有効性は,部下の成熟(自律性)の度合いという状況要因に依存するとしている。
エ リーダーシップの有効性は,リーダーがもつパーソナリティと,リーダーがどれだけ統制力や影響力を行使できるかという状況要因に依存するとしている。 正解
正解 エ
解説
フィードラーのコンティンジェンシー理論は,リーダーシップの有効性が,リーダーのパーソナリティ(タイプ)と,リーダーが統制力や影響力をどれだけ行使できるかという状況要因の組合せで決まるとする理論である。エが該当する。
アは,リーダー個人の資質に注目する特性理論(資質論)。イは,目標達成機能(P)と集団維持機能(M)の二つの次元でリーダーシップを捉える,三隅二不二の PM 理論。ウは,部下の成熟度に応じてリーダーの取るべき行動が変わるとする SL(シチュエーショナルリーダーシップ)理論である。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
発生した故障について,発生要因ごとの件数の記録を基に,故障発生件数で上位を占める主な要因を明確に表現するのに適している図法はどれか。
ア 特性要因図
イ パレート図 正解
ウ マトリックス図
エ 連関図
正解 イ
解説
パレート図は,項目を件数の多い順に並べた棒グラフと,その累積比率の折れ線グラフを組み合わせた図である。どの要因が故障件数の大部分を占めているかが一目で分かり,重点的に対策すべき要因を明確にできる。イが適切である。
アの特性要因図は結果(特性)とそれに影響する要因の関係を魚の骨の形に整理する図,ウのマトリックス図は行と列に要素を並べて要素間の関連を表す図,エの連関図は複雑に絡み合う原因と結果の関係を矢印でつないで表す図で,いずれも件数の大小を比べるものではない。
パレート図
不良の原因などを件数の多い順に棒で並べ,累積比率を折れ線で重ねる。上位の少数の項目で全体の大部分(例えば80%)を占めることが分かり,どこから対策すれば効果が大きいかを決めるのに使う。
寸法
傷
汚れ
欠け
色
他
80%
100%
累積比率
上位2項目で約7割 → ここから対策する
多い順の棒と累積比率の折れ線。左の数項目に集中して対策する
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
取得原価 30 万円の PC を 2 年間使用した後,廃棄処分し,廃棄費用 2 万円を現金で支払った。このときの固定資産の除却損は廃棄費用も含めて何万円か。ここで,耐用年数は 4 年,減価償却方法は定額法,定額法の償却率は 0.250,残存価額は 0 円とする。
正解 エ
解説
定額法の減価償却費は,取得原価×償却率=30万円×0.250=7.5万円/年である。2年間使用したので減価償却累計額は 15万円となり,廃棄時点の帳簿価額は 30−15=15万円になる。
廃棄すると帳簿価額の 15万円が除却損となり,廃棄費用の 2万円も含めると 17.0万円である。エが正しい。廃棄費用を含めないと 15.0万円(ウ)になる。
除却損と廃棄費用
取得原価 30 万円,償却率 0.250 の定額法なので,1年の減価償却費は 7.5 万円。2年使うと 15 万円償却し,帳簿価額は 15 万円残る。廃棄するとこの 15 万円が除却損になり,廃棄費用 2 万円を加えて 17 万円。
1年目 7.5
2年目 7.5
帳簿価額 15
費用2
取得原価 30 万円
除却損
15 + 2 = 17 万円
償却済みの 15 は損にならない
残った帳簿価額+廃棄費用
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
プログラムの著作物について,著作権法上,適法である行為はどれか。
ア 海賊版を複製したプログラムと事前に知りながら入手し,業務で使用した。
イ 業務処理用に購入したプログラムを複製し,社内教育用として各部門に配布した。
ウ 職務著作のプログラムを,作成した担当者が独断で複製し,他社に貸与した。
エ 処理速度を向上させるために,購入したプログラムを改変した。 正解
正解 エ
解説
著作権法第47条の3第1項は,プログラムの著作物の複製物の所有者が,自ら電子計算機で実行するために必要と認められる限度で,そのプログラムを複製したり翻案(改変)したりすることを認めている。購入したプログラムを処理速度の向上など効果的に利用するために改変することはこれに当たり,エが適法である。
アは,海賊版と知りながら入手したプログラムを業務で使用する行為で,同法第113条により著作権を侵害する行為とみなされる。イは,購入したプログラムを社内教育用に複製して各部門へ配布する行為で,自ら利用するために必要な限度を超えるので許されない。ウは職務著作なので著作権は法人に帰属しており,作成した担当者が独断で複製・貸与することはできない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
匿名加工情報取扱事業者が,適正な匿名加工を行った匿名加工情報を第三者提供する際の義務として,個人情報保護法に規定されているものはどれか。
ア 第三者に提供される匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目及び提供方法を公表しなければならない。 正解
イ 第三者へ提供した場合は,速やかに個人情報保護委員会へ提供した内容を報告しなければならない。
ウ 第三者への提供の手段は,ハードコピーなどの物理的な媒体を用いることに限られる。
エ 匿名加工情報であっても,第三者提供を行う際には事前に本人の承諾が必要である。
正解 ア
解説
個人情報保護法第44条は,匿名加工情報取扱事業者が匿名加工情報を第三者に提供するときは,あらかじめ,第三者に提供される匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目及びその提供の方法について公表するとともに,提供先に対して提供する情報が匿名加工情報である旨を明示しなければならないと定めている。アが該当する。
イの個人情報保護委員会への提供内容の報告,ウの物理的な媒体に限る提供手段は,法に規定されていない。エは誤りで,匿名加工情報は特定の個人を識別できず元の個人情報を復元できないように加工したものなので,第三者提供に本人の同意は求められていない。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
図は,企業と労働者の関係を表している。企業 B と労働者 C の関係に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア “契約”が請負契約で,企業 A が受託者,企業 B が委託者であるとき,企業 B と労働者 C との間には,指揮命令関係が生じる。
イ “契約”が出向にかかわる契約で,企業 A が企業 B に労働者 C を出向させたとき,企業 B と労働者 C との間には指揮命令関係が生じる。 正解
ウ “契約”が労働者派遣契約で,企業 A が派遣元,企業 B が派遣先であるとき,企業 B と労働者 C の間にも,雇用関係が生じる。
エ “契約”が労働者派遣契約で,企業 A が派遣元,企業 B が派遣先であるとき,企業 B に労働者 C が出向しているといえる。
正解 イ
解説
出向では,出向先の企業が労働者に対して業務の指示などを行うので,出向先と労働者の間に指揮命令関係が生じる。企業 A が企業 B に労働者 C を出向させたとき,企業 B と労働者 C の間には指揮命令関係が生じるので,イが適切である。
アの請負契約では,受託者である企業 A が自社の労働者 C を指揮命令するので,委託者の企業 B と労働者 C の間に指揮命令関係は生じない。ウの労働者派遣契約では,雇用関係は派遣元の企業 A と労働者 C の間にあるままで,派遣先の企業 B と労働者 C の間には,指揮命令関係だけが生じる。エの労働者派遣は,派遣先との間に雇用関係をもたない点で,出向とは異なる。
出典:令和5年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
平成21年度 秋期
平成21年度 春期
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