令和2年度 10月に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
この年度を解いてみる
問1
正の整数の 10 進表示の桁数 D と 2 進表示の桁数 B との関係を表す式のうち,最も適切なものはどれか。
ア D≒2 log10 B
イ D≒10 log2 B
ウ D≒B log2 10
エ D≒B log10 2 正解
正解 エ
解説
正の整数 N が 10 進で D 桁なら 10D−1 ≦N<10D ,2 進で B 桁なら 2B−1 ≦N<2B である。桁数が大きいときは N≒10D ≒2B とみなせるので,両辺の常用対数をとると D≒B log10 2(≒0.301B)になる。エが正しい。
ウの D≒B log2 10 は 10 進の桁数と 2 進の桁数を取り違えた式で,これは B≒D log2 10(≒3.32D)に当たる。アとイは,桁数が桁数の対数に比例するという形になっており,桁数が数の大きさの対数に当たるという関係を表していない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
3台の機械 A,B,C が良品を製造する確率は,それぞれ 60%,70%,80%である。機械 A,B,C が製品を一つずつ製造したとき,いずれか二つの製品が良品で残り一つが不良品になる確率は何%か。
ア 22.4
イ 36.8
ウ 45.2 正解
エ 78.8
正解 ウ
解説
いずれか二つが良品で残り一つが不良品になるのは三通りで,A と B が良品で C が不良品なら 0.6×0.7×0.2=0.084,A と C が良品で B が不良品なら 0.6×0.8×0.3=0.144,B と C が良品で A が不良品なら 0.4×0.7×0.8=0.224 である。互いに排反なので合計は 0.084+0.144+0.224=0.452,すなわち 45.2%になり,ウが正しい。
アの 22.4 は三通りのうち最後の一通りだけ,イの 36.8 は 0.084 の一通りを落とした値である。エの 78.8 は,三つとも良品になる確率 0.6×0.7×0.8=0.336 を加えた,少なくとも二つが良品になる確率である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
式 A+B×C の逆ポーランド表記法による表現として,適切なものはどれか。
ア +×CBA
イ ×+ABC
ウ ABC×+ 正解
エ CBA+×
正解 ウ
解説
逆ポーランド表記法(後置記法)では,演算子を被演算子の後ろに書く。A+B×C は乗算を先に行うので,まず B×C を BC× とし,それと A の加算を A(BC×)+ として ABC×+ となる。ウが正しい。
イの ×+ABC は演算子を前に置く前置記法のつもりでも,正しくは +A×BC である。アの +×CBA は正解の並びを逆にしただけで,式として成り立たない。エの CBA+× は C×(B+A) を表し,演算の優先順位が異なる。
A+B×C を式の木にして後置記法にする
A+B×C は乗算が先なので,木の根は+で,右の子が B×C。左の子,右の子,自分の順(後行順)にたどると A,B,C,×,+ の順になり,逆ポーランド表記法は ABC×+。
+
A
×
B
C
1
2
3
4
5
A B C × +(小さな数字がたどる順番)
左の子 → 右の子 → 自分 の順にたどると後置記法になる
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
a,b,c,d の4文字から成るメッセージを符号化してビット列にする方法として表のア〜エの4通りを考えた。この表は a,b,c,d の各1文字を符号化するときのビット列を表している。メッセージ中での a,b,c,d の出現頻度は,それぞれ 50%,30%,10%,10%であることが分かっている。符号化されたビット列から元のメッセージが一意に復号可能であって,ビット列の長さが最も短くなるものはどれか。
正解 ウ
解説
一意に復号できるかは,どの符号も他の符号の先頭部分になっていない(接頭符号である)かで確かめる。アは a=0 が c=00 の先頭,b=1 が d=11 の先頭になっており,“00”が c なのか aa なのか区別できない。イも a=0 が b=01 の先頭になっていて一意に復号できない。ウとエは接頭符号で,一意に復号できる。
1文字当たりの平均ビット数は,ウが 0.5×1+0.3×2+0.1×3+0.1×3=1.7 ビット,エは全て2ビットなので2ビットである。ウのほうが短く,ウが正しい。出現頻度の高い文字ほど短い符号を割り当てるハフマン符号の考え方である。
一意に復号できる符号(接頭符号)
符号を木で表すと,a=0,b=10,c=110,d=111 はどの符号も葉にあり,ほかの符号の途中(先頭部分)にならないので,区切りがなくても一意に読める。a=0,c=00 のように a が c の先頭になっていると,“00” が c か aa か区別できない。出現頻度 50%・30%・10%・10% なら,平均の長さは 0.5×1+0.3×2+0.1×3+0.1×3=1.7 ビット。
0
1
0
1
0
1
a
0
b
10
c
110
d
111
平均の長さ
0.5×1
+0.3×2
+0.1×3
+0.1×3
=1.7 ビット
a=0,c=00 だと
“00” が c か aa か
分からない
符号が全部「葉」にあれば一意に復号できる。よく出る文字ほど短く
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
ポインタを用いた線形リストの特徴のうち,適切なものはどれか。
ア 先頭の要素を根とした n 分木で,先頭以外の要素は全て先頭の要素の子である。
イ 配列を用いた場合と比較して,2分探索を効率的に行うことが可能である。
ウ ポインタから次の要素を求めるためにハッシュ関数を用いる。
エ ポインタによって指定されている要素の後ろに,新たな要素を追加する計算量は,要素の個数や位置によらず一定である。 正解
正解 エ
解説
ポインタを用いた線形リストでは,各要素が次の要素へのポインタをもつ。ポインタで指されている要素の後ろに新しい要素を追加するときは,新しい要素のポインタと元の要素のポインタを付け替えるだけなので,要素の個数や位置によらず計算量は一定である。エが適切である。
アは誤りで,線形リストは要素を一列につないだ構造であり,n 分木ではない。イは誤りで,2 分探索は添字で中央の要素へ直接アクセスできる配列に向いた方法で,リストは先頭から順にたどる必要があるため効率が悪い。ウは誤りで,次の要素はハッシュ関数ではなくポインタ(次の要素の格納位置)で求める。
配列で作るリストとポインタで作るリスト
配列で作るリストは,入れられる最大個数分の領域を先に確保して要素を連続して並べるので,使われない領域が残ることがある。その代わり添字で中間の要素を直接参照できる。ポインタで作るリストは,要素ごとに次の要素へのポインタの領域が要り,中間の要素へは先頭からたどるが,挿入位置が分かっていればポインタを付け替えるだけで一定時間で挿入できる。
配列(最大8個分を確保)
A
[1]
B
[2]
C
[3]
D
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
使われない領域
添字で直接参照できる
ポインタ
A
B
C
D
/
要素
ポインタ
中間へは先頭からたどる。挿入はポインタの付替えだけ
配列は最大個数分を確保(空きが残る),ポインタは要素ごとにポインタの領域が要る
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
円周率 π の値を近似的に求める方法のうち,モンテカルロ法を応用したものはどれか。
ア 正方形の中に一様乱数を用いて多数の点をとったとき,その点の個数と正方形に内接する円の中にある点の個数の比が,点の個数を多くすると両者の面積比である 4:π に近づくことを用いて求める。 正解
イ 正方形の中に等間隔に多数の格子点をとったとき,その格子点の個数と正方形に内接する円の中にある格子点の個数の比が,格子点の間隔を細かくすると両者の面積比である 4:π に近づくことを用いて求める。
ウ 直径 1 の円に内接する正 n 角形の周の長さと円の直径の比が,n を大きくすると π:1 に近づくことを用いて求める。
エ 直径 1 の円に内接する正 n 角形の面積と円に内接する正方形の面積の比が,n を大きくすると π:2 に近づくことを用いて求める。
正解 ア
解説
モンテカルロ法は,乱数を用いた試行を多数繰り返し,その結果の統計から値を近似する方法である。正方形の中に一様乱数で多数の点をとると,点が内接円の中に入る割合は面積比(円:正方形=π:4)に近づくので,これを利用して π を求められる。アが該当する。
イは乱数ではなく等間隔の格子点を使うので,モンテカルロ法ではない。ウは円に内接する正 n 角形の周の長さが n を大きくすると円周に近づくことを使う方法,エは正 n 角形の面積が円の面積に近づくことを使う方法で,どちらも図形の極限を用いており,乱数による試行は使わない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
オブジェクト指向のプログラム言語であり,クラスや関数,条件文などのコードブロックの範囲はインデントの深さによって指定する仕様であるものはどれか。
ア JavaScript
イ Perl
ウ Python 正解
エ Ruby
正解 ウ
解説
Python は,クラスや関数の定義,if 文や for 文などのブロックの範囲を,波括弧や end などの記号ではなく,行頭のインデントの深さで表すオブジェクト指向のプログラム言語である。ウが正しい。
アの JavaScript とイの Perl はブロックを波括弧 { } で囲む。エの Ruby は def … end や if … end のように end キーワードでブロックの終わりを示す。いずれもインデントは読みやすさのためのもので,文法上の意味はもたない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
CPU のスタックポインタが示すものとして,最も適切なものはどれか。
ア サブルーチン呼出し時に,戻り先アドレス,レジスタの内容などを格納するメモリのアドレス 正解
イ 次に読み出す機械語命令が格納されているアドレス
ウ メモリから読み出された機械語命令
エ 割込みの許可状態,及び条件分岐の判断に必要な演算結果の状態
正解 ア
解説
スタックポインタは,スタック領域の最上段(次に読み書きする位置)のアドレスを保持するレジスタである。サブルーチン呼出し時に,戻り先アドレスやレジスタの内容をスタックに退避するので,その格納先のメモリのアドレスを示す。アが適切である。
イは次に読み出す機械語命令のアドレスを保持するプログラムカウンタ,ウはメモリから読み出した機械語命令を保持する命令レジスタ,エは割込みの許可状態や演算結果の状態(ゼロ,桁あふれなど)を保持するフラグ(ステータス)レジスタの説明である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
メモリインタリーブの説明はどれか。
ア CPU と磁気ディスク装置との間に半導体メモリによるデータバッファを設けて,磁気ディスクアクセスの高速化を図る。
イ 主記憶のデータの一部をキャッシュメモリにコピーすることによって,CPU と主記憶とのアクセス速度のギャップを埋め,メモリアクセスの高速化を図る。
ウ 主記憶へのアクセスを高速化するために,アクセス要求,データの読み書き及び後処理が終わってから,次のメモリアクセスの処理に移る。
エ 主記憶を複数の独立したグループに分けて,各グループに交互にアクセスすることによって,主記憶へのアクセスの高速化を図る。 正解
正解 エ
解説
メモリインタリーブは,主記憶を複数の独立したグループ(バンク)に分け,連続するアドレスを異なるグループに割り当てて,各グループに交互にアクセスする方式である。一つのグループが読み書きや後処理をしている間に別のグループへのアクセスを進められるので,主記憶へのアクセスが高速になる。エが該当する。
アは CPU と磁気ディスク装置の間にバッファを置くディスクキャッシュ,イは CPU と主記憶の速度差を埋めるキャッシュメモリの説明である。ウは一つのアクセスが完全に終わってから次に移る逐次的な動作で,インタリーブのように並行して進めないので高速化にはならない。
メモリインタリーブ
主記憶を4つのバンクに分け,連続したアドレスを 0 番地はバンク0,1 番地はバンク1,… と順に割り当てる。連続したアドレスを読むとき,バンク0 のアクセスが終わるのを待たずにバンク1・2・3 へのアクセスを始められるので,全体として速く読める。
バンク0
0 番地
4 番地
8 番地
12 番地
バンク1
1 番地
5 番地
9 番地
13 番地
バンク2
2 番地
6 番地
10 番地
14 番地
バンク3
3 番地
7 番地
11 番地
15 番地
0〜3 番地を続けて読むと,アクセスが重なる
バンク0
0 番地
バンク1
1 番地
バンク2
2 番地
バンク3
3 番地
時間
連続したアドレスが別々のバンクに入るので,並行して読める
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
メモリの誤り検出及び訂正を行う方式のうち,2ビットの誤り検出機能と,1ビットの誤り訂正機能をもつものはどれか。
ア 奇数パリティ
イ 水平パリティ
ウ チェックサム
エ ハミング符号 正解
正解 エ
解説
ECC メモリで用いられるハミング符号は,データビットに複数の検査ビットを付加し,検査ビットの組合せから誤りのあるビットの位置を特定できる符号である。1 ビットの誤りを訂正でき,2 ビットの誤りを検出できるので,エが該当する。
アの奇数パリティとイの水平パリティは,1ビットの誤りがあったことは分かるが,どのビットかは分からないので訂正できない。ウのチェックサムはデータの合計値を付けて誤りの有無を調べる方式で,こちらも訂正はできない。
パリティとハミング符号でできること
パリティ(偶数・奇数・垂直・水平)は1ビットの誤りがあることは分かるが,どのビットかは分からないので直せない。ハミング符号は複数の検査ビットの組合せで誤りの位置まで分かるので,1ビットの誤りを訂正できる。ECC メモリで使う方式(SECDED)は,さらに2ビットの誤りがあることも検出できる。
方式
1ビット誤りの検出
1ビット誤りの訂正
2ビット誤りの検出
パリティ
○
×
×
ハミング符号(ECC)
○
○
○
検査ビットの組合せで,誤ったビットの位置を指せる
パリティ・チェックサムは誤りの有無が分かるだけ
ハミング符号は誤りの位置まで分かる → 1ビット訂正,2ビット検出
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
3D 映像の立体視を可能とする仕組みのうち,アクティブシャッタ方式の説明として,適切なものはどれか。
ア 専用の特殊なディスプレイに右目用,左目用の映像を同時に描画し,網目状のフィルタを用いてそれぞれの映像が右目と左目に入るようにして,裸眼立体視を可能とする。
イ ディスプレイに赤色と青色で右目用,左目用の映像を重ねて描画し,一方のリム(フレームにおいてレンズを囲む部分)に赤,他方のリムに青のフィルタを付けた眼鏡で見ることによって,立体視を可能とする。
ウ ディスプレイに右目用,左目用の映像を交互に映し出し,眼鏡がそのタイミングに合わせて左右それぞれ交互に透過,遮断することによって,立体視を可能とする。 正解
エ ディスプレイに右目用,左目用の映像を同時に描画し,フィルタを用いてそれぞれの映像の光の振幅方向を回転して,透過する振幅方向が左右で異なる偏光眼鏡で見ることによって,立体視を可能とする。
正解 ウ
解説
アクティブシャッタ方式は,ディスプレイに右目用と左目用の映像を交互に映し出し,その切り替えに同期して,液晶シャッタを備えた眼鏡の左右のレンズを交互に透過・遮断させる方式である。左右の目には対応する映像だけが届くので立体視ができる。ウが適切である。
アは網目状のフィルタで映像を振り分ける,裸眼立体視(パララックスバリア方式など)の説明である。イは赤と青の色で映像を重ねて色フィルタ付きの眼鏡で見る,アナグリフ方式の説明である。エは光の振動方向(偏光)の違いで映像を振り分ける,偏光フィルタ方式の説明である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
現状の HPC(High Performance Computing)マシンの構成を,次の条件で更新することにした。更新後の,ノード数と総理論ピーク演算性能はどれか。ここで,総理論ピーク演算性能は,コア数に比例するものとする。
〔現状の構成〕
(1) 一つのコアの理論ピーク演算性能は 10 GFLOPS である。 (2) 一つのノードのコア数は8である。 (3) ノード数は 1,000 である。 〔更新条件〕
(1) 一つのコアの理論ピーク演算性能を現状の2倍にする。 (2) 一つのノードのコア数を現状の2倍にする。 (3) 総コア数を現状の4倍にする。
正解 イ
解説
現状の総コア数は 8×1,000=8,000。更新条件(3)より更新後の総コア数はその4倍の 32,000 になる。一つのノードのコア数は更新条件(2)で 8×2=16 になるので,ノード数は 32,000÷16=2,000 である。一つのコアの理論ピーク演算性能は更新条件(1)で 10×2=20 GFLOPS なので,総理論ピーク演算性能は 32,000×20=640,000 GFLOPS=640 TFLOPS。イが正しい。
アは,コア当たりの性能が 10 GFLOPS のまま(32,000×10=320 TFLOPS)として求めた値。ウとエは,ノード当たりのコア数が 8 のまま(32,000÷8=4,000 ノード)として求めたもので,エの 640 TFLOPS は性能の計算だけが合っている。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
複数のサーバを用いて構築されたシステムに対するサーバコンソリデーションの説明として,適切なものはどれか。
ア 各サーバに存在する複数の磁気ディスクを,特定のサーバから利用できるようにして,資源の有効活用を図る。
イ 仮想化ソフトウェアを利用して元のサーバ数よりも少なくすることによって,サーバ機器の管理コストを削減する。 正解
ウ サーバのうちいずれかを監視専用に変更することによって,システム全体のセキュリティを強化する。
エ サーバの故障時に正常なサーバだけで瞬時にシステムを再構成し,サーバ数を減らしてでも運転を継続する。
正解 イ
解説
サーバコンソリデーション(サーバ統合)は,複数の物理サーバで動かしていたシステムを,仮想化技術などを使ってより少ない台数の物理サーバに集約することである。機器の台数が減るので,設置スペース,電力,保守などの管理コストを削減できる。イが適切である。
アは複数のサーバのディスクを一か所から使えるようにするストレージの共有,ウはセキュリティ監視のための役割の変更,エは故障したサーバを切り離して縮退運転を続けるフェールソフトの説明である。
サーバコンソリデーション:仮想化して台数を減らす
複数の物理サーバで動かしていたシステムを,仮想化ソフトウェアを使って,より少ない台数の物理サーバに集約する。機器の台数が減るので,設置スペース,電力,保守などの管理コストを削減できる。
サーバ1
サーバ2
サーバ3
サーバ4
物理 4 台
集約
仮想サーバ1
仮想サーバ2
仮想サーバ3
仮想サーバ4
仮想化ソフトウェア
物理 1 台
台数が減る → スペース・電力・保守のコストが下がる(イ)
仮想化で物理サーバの台数を減らし,管理コストを下げる
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
MTBF を長くするよりも,MTTR を短くするのに役立つものはどれか。
ア エラーログ取得機能 正解
イ 記憶装置のビット誤り訂正機能
ウ 命令再試行機能
エ 予防保守
正解 ア
解説
MTTR(平均修復時間)は,故障してから復旧するまでにかかる時間の平均。エラーログを取得しておけば,障害が起きたときに原因の特定と切分けが早く済むので,復旧までの時間を短縮できる。アが正しい。
イの誤り訂正機能とウの命令再試行機能は,誤りが起きても処理を続けられるようにして故障そのものを表面化させないので,MTBF(平均故障間隔)を長くする働きをする。エの予防保守も故障を未然に防ぐもので,やはり MTBF を長くする側の対策である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
次のシステムにおいて,ピーク時間帯の CPU 使用率は何%か。ここで,トランザクションはレコードアクセス処理と計算処理から成り,レコードアクセスは CPU 処理だけで入出力は発生せず,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。また,1日のうち発生するトランザクション数が最大になる1時間をピーク時間帯と定義する。
〔システムの概要〕
(1) CPU 数:1個 (2) 1日に発生する平均トランザクション数:54,000 件 (3) 1日のピーク時間帯におけるトランザクション数の割合:20% (4) 1トランザクション当たりの平均レコードアクセス数:100 レコード (5) 1レコードアクセスに必要な平均 CPU 時間:1ミリ秒 (6) 1トランザクション当たりの計算処理に必要な平均 CPU 時間:100 ミリ秒
正解 エ
解説
ピーク時間帯のトランザクション数は 54,000×20%=10,800 件である。1 トランザクションの CPU 時間は,レコードアクセスが 100 レコード×1 ミリ秒=100 ミリ秒,計算処理が 100 ミリ秒で,合計 200 ミリ秒(0.2 秒)である。ピーク時間帯 1 時間(3,600 秒)に必要な CPU 時間は 10,800×0.2=2,160 秒なので,CPU 使用率は 2,160÷3,600=0.6,すなわち 60%になる。エが正しい。
イの 30% は,1 トランザクションの CPU 時間を 100 ミリ秒(レコードアクセスだけ,又は計算処理だけ)として求めた値である。アの 20% は,ピーク時間帯のトランザクション数の割合(20%)で,CPU 使用率ではない。ウの 50% は,与えられた条件からは得られない値である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
記憶領域の動的な割当て及び解放を繰り返すことによって,どこからも利用できない記憶領域が発生することがある。このような記憶領域を再び利用可能にする機能はどれか。
ア ガーベジコレクション 正解
イ スタック
ウ ヒープ
エ フラグメンテーション
正解 ア
解説
ガーベジコレクションは,プログラムの実行中に記憶領域の割当てと解放を繰り返すうちに生じる,どこからも参照されなくなった不要な領域を自動的に回収し,再び利用できるようにする機能である。アが正しい。
イのスタックは後入れ先出しで領域を管理するデータ構造,ウのヒープは実行時に動的に割り当てる記憶領域そのもので,領域を回収する機能ではない。エのフラグメンテーションは,空き領域が細切れになって有効に使えなくなる現象である。
ガーベジコレクション:どこからも参照されない領域を回収する
プログラムが動的に確保したヒープ領域のうち,変数(ルート)からたどれる領域はまだ使われている。どこからもたどれなくなった領域は二度と使われないので,ガーベジコレクションが自動的に見つけて回収し,再び割り当てに使えるようにする。空き領域を寄せて連続にするのはコンパクション,細切れになる現象はフラグメンテーション。
変数
(ルート)
ヒープ
A
B
C
D
E
どこからも参照されない
塗り(D・E):ルートからたどれない → 回収して再利用
D から E を指していても,D に誰も届かなければ E も回収
ルートからたどれない領域を見つけて回収する
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
三つの資源 X〜Z を占有して処理を行う四つのプロセス A〜D がある。各プロセスは処理の進行に伴い,表中の数値の順に資源を占有し,実行終了時に三つの資源を一括して解放する。プロセス A と同時にもう一つプロセスを動かした場合に,デッドロックを起こす可能性があるプロセスはどれか。
ア B,C,D
イ C,D 正解
ウ C だけ
エ D だけ
正解 イ
解説
デッドロックは,複数のプロセスが資源を異なる順序で確保しようとして,互いに相手が持つ資源の解放を待ち合うことで起こる。逆に,すべてのプロセスが同じ順序で資源を確保すれば待ち合いの輪はできない。
A の占有順序は X→Y→Z。B も X→Y→Z で A と同じ順序なのでデッドロックしない。C は Z→X→Y,D は Z→Y→X で,どちらも A と順序が異なるため,A が X を確保して Z を待つ一方で相手が Z を確保して X を待つ,という状況が起こり得る。よって C と D。
資源を占有する順番とデッドロック
A は X→Y→Z の順に資源を占有する。B も X→Y→Z で同じ順番なので,待ち合いの輪はできない。C は Z→X→Y,D は Z→Y→X で順番が違うので,A が X を持って Z を待ち,相手が Z を持って X を待つ,という状態が起こり得る。
A
X → Y → Z
B
X → Y → Z
A と同じ順番 → 大丈夫
C
Z → X → Y
A と順番が違う → 危ない
D
Z → Y → X
A と順番が違う → 危ない
例:A が X を持って Z を待ち,C が Z を持って X を待つ
答え:C と D
同じ順番なら輪はできない。順番が違う C と D は A とデッドロックし得る
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
仮想記憶方式で,デマンドページングと比較したときのプリページングの特徴として,適切なものはどれか。ここで,主記憶には十分な余裕があるものとする。
ア 将来必要と想定されるページを主記憶にロードしておくので,実際に必要となったときの補助記憶へのアクセスによる遅れを減少できる。 正解
イ 将来必要と想定されるページを主記憶にロードしておくので,ページフォールトが多く発生し,OS のオーバヘッドが増加する。
ウ プログラムがアクセスするページだけをその都度主記憶にロードするので,主記憶への不必要なページのロードを避けることができる。
エ プログラムがアクセスするページだけをその都度主記憶にロードするので,将来必要となるページの予想が不要である。
正解 ア
解説
デマンドページングは,プログラムが実際にページを参照してページフォールトが起きたときに,そのページを補助記憶から主記憶に読み込む方式である。これに対してプリページングは,将来必要になると予想したページをあらかじめ主記憶に読み込んでおくので,実際に参照したときに補助記憶へアクセスする待ち時間を減らせる。アが適切である。
イは誤りで,あらかじめ読み込んでおくのでページフォールトはむしろ減る。ウとエは,参照したページだけをその都度読み込むデマンドページングの特徴である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
OSS(Open Source Software)における,ディストリビュータの役割はどれか。
ア OSS やアプリケーションソフトウェアを組み合わせて,パッケージにして提供する。 正解
イ OSS を開発し,活動状況を Web で公開する。
ウ OSS を稼働用のコンピュータにインストールし,動作確認を行う。
エ OSS を含むソフトウェアを利用したシステムの提案を行う。
正解 ア
解説
OSS のディストリビュータは,OS のカーネルやアプリケーションなどの OSS を組み合わせ,インストーラや管理ツールを付けて,ひとまとまりのパッケージ(ディストリビューション)にして提供する役割を担う。Linux の各種ディストリビューションが代表例である。アが該当する。
イは OSS を開発するコミュニティや開発者の活動,ウは OSS を利用者側の稼働用コンピュータに導入して動作を確かめる作業,エは OSS を含むソフトウェアを使ったシステムを提案するシステムインテグレータなどの活動で,いずれもディストリビュータの役割ではない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
SRAM と比較した場合の DRAM の特徴はどれか。
ア 主にキャッシュメモリとして使用される。
イ データを保持するためのリフレッシュ又はアクセス動作が不要である。
ウ メモリセル構成が単純なので,ビット当たりの単価が安くなる。 正解
エ メモリセルにフリップフロップを用いてデータを保存する。
正解 ウ
解説
DRAM は,1ビットをトランジスタ1個とコンデンサ1個という単純な構成のメモリセルで記憶する。集積度を上げやすく,ビット当たりの単価が安いので,主記憶に使われる。ウが正しい。
アは誤り。高速なキャッシュメモリには SRAM が使われる。イは誤り。DRAM はコンデンサの電荷が時間とともに失われるので,定期的なリフレッシュが必要である(リフレッシュが不要なのは SRAM)。エは誤り。フリップフロップでデータを保持するのは SRAM である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
FPGA などに実装するディジタル回路を記述して,直接論理合成するために使用されるものはどれか。
正解 イ
解説
FPGA(Field Programmable Gate Array)は,製造後に回路構成を書き換えられる LSI である。その回路は,ハードウェア記述言語(HDL:Hardware Description Language)で動作を記述し,論理合成ツールで回路図に相当する情報へ変換して実装する。HDL には VHDL や Verilog HDL がある。イが正しい。
アの DDL はデータベースのデータ定義言語,ウの UML はソフトウェアの設計を図で表すモデリング言語,エの XML は文書やデータを構造化して記述するマークアップ言語である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
モータの速度制御などに PWM(Pulse Width Modulation)制御が用いられる。PWM の駆動波形を示したものはどれか。ここで,波形は制御回路のポート出力であり,低域通過フィルタを通していないものとする。
正解 イ
解説
PWM(パルス幅変調)は,電圧の高さを一定にしたまま,パルスのオン時間の幅(デューティ比)を変えて,モータなどに与える平均電力を調節する方式である。低域通過フィルタを通す前のポート出力は,高さが一定でパルスの幅が変わる矩形波になる。イが該当する。
アは幅が一定で高さが変わるパルスで,PAM(パルス振幅変調)の波形である。ウは階段状になだらかに変化する波形で,PWM の信号を低域通過フィルタに通した後や D/A 変換器の出力のような波形である。エは電圧が数段階に変わる多値の信号で,PWM の波形ではない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
次の表に示す値が格納された LUT(Lookup Table)と等価な回路はどれか。ここで,LUT のアドレス信号 A2 〜A0 は A0 が LSB で,ア〜エの回路の入力信号 a が A2 ,b が A1 ,c が A0 に対応する。
正解 イ
解説
LUT の値の表を a(A2 ),b(A1 ),c(A0 )で読むと,出力が 1 になるのは abc=001,011,101,110 のときである。これは c と(a AND b)の排他的論理和に等しい。abc=110 では a AND b=1,c=0 で出力 1,abc=111 では a AND b=1,c=1 で出力 0 となり,表と一致する。a と b を AND 回路に入れ,その出力と c を XOR 回路に入れるイが等価である。
アは(a AND b)OR c で,abc=111 の出力が 1 になり表(0)と合わない。ウは(a OR b)AND c で,abc=001 の出力が 0 になり表(1)と合わない。エは(a OR b)XOR c で,abc=010 の出力が 1 になり表(0)と合わない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
8ビット D/A 変換器を使って負でない電圧を発生させる。使用する D/A 変換器は,最下位の1ビットの変化で出力が 10 ミリ V 変化する。データに0を与えたときの出力は0ミリ V である。データに 16 進数で 82 を与えたときの出力は何ミリ V か。
ア 820
イ 1,024
ウ 1,300 正解
エ 1,312
正解 ウ
解説
16進数の 82 を10進数に直すと,8×16+2=130 になる。最下位の1ビットの変化で出力が 10 ミリ V 変わり,データ 0 のとき 0 ミリ V なので,出力は 130×10=1,300 ミリ V となる。ウが正しい。
アの 820 は 82 を10進数のまま使った値。エの 1,312 は 82 を16倍して 1,312 とした値など,基数の変換を誤ったときの値である。イの 1,024 は 210 で,この計算とは関係がない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
800×600 ピクセル,24 ビットカラーで 30 フレーム/秒の動画像の配信に最小限必要な帯域幅はおよそ幾らか。ここで,通信時にデータ圧縮は行わないものとする。
ア 350k ビット/秒
イ 3.5M ビット/秒
ウ 35M ビット/秒
エ 350M ビット/秒 正解
正解 エ
解説
1フレームのデータ量は,800×600=480,000 ピクセルに 1ピクセル当たり24ビットを掛けて 11,520,000 ビット。これを1秒に30フレーム送るので,11,520,000×30=345,600,000 ビット/秒,約 350M ビット/秒が必要になる。エが正しい。
ウの 35M ビット/秒は1桁小さく,1秒当たり3フレーム程度しか送れない。アとイは更に小さい値で,圧縮しない動画像の配信には足りない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
表に対する SQL の GRANT 文の説明として,適切なものはどれか。
ア パスワードを設定してデータベースへの接続を制限する。
イ ビューを作成して,ビューの基となる表のアクセスできる行や列を制限する。
ウ 表のデータを暗号化して,第三者がアクセスしてもデータの内容が分からないようにする。
エ 表の利用者に対し,表への問合せ,更新,追加,削除などの操作権限を付与する。 正解
正解 エ
解説
SQL の GRANT 文は,表などのデータベースオブジェクトに対する操作権限(SELECT,INSERT,UPDATE,DELETE など)を,利用者に付与する文である。エが適切である。
アのパスワードを設定した接続の制限は,利用者の登録と認証の機能で行う。イのビューを作成して行や列を制限するのは CREATE VIEW 文の役割で,GRANT 文はそのビューへの権限を与えるのに使う。ウの表データの暗号化は,DBMS やストレージの暗号化機能で行うもので,GRANT 文の機能ではない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
UML を用いて表した図のデータモデルから,“部品”表,“納入”表及び“メーカ”表を関係データベース上に定義するときの解釈のうち,適切なものはどれか。
ア 同一の部品を同一のメーカから複数回納入することは許されない。
イ “納入”表に外部キーは必要ない。
ウ 部品番号とメーカ番号の組みを“納入”表の候補キーの一部にできる。 正解
エ “メーカ”表は,外部キーとして部品番号をもつことになる。
正解 ウ
解説
部品と納入が 1 対多,メーカと納入が 1 対多なので,“納入”表は,どの部品をどのメーカから納入したかを表すために,部品番号とメーカ番号を外部キーとしてもつ。同じ部品を同じメーカから複数回納入することもあるので,部品番号とメーカ番号に納入日などを加えた組みで行を識別することになり,部品番号とメーカ番号の組みは候補キーの一部にできる。ウが適切である。
アは誤り。多重度が“*”なので,同一の部品を同一のメーカから複数回納入できる。イは誤り。“納入”表は部品とメーカを参照する外部キーが必要である。エは誤り。1対多の関係では多の側(“納入”表)が外部キーをもち,“メーカ”表は部品番号をもたない。
多重度の読み方
多重度は,関連の相手側の端に書く。部門(1)と社員(*)なら,社員の側から見て部門は必ず1つ(どの社員もちょうど1つの部門に所属し,兼務はない),部門の側から見て社員は0人以上(社員のいない部門もある)。1..* なら1以上,0..1 なら0か1。
部門
社員
1
*
社員から見て部門は 1 つ(必ず,兼務なし)
部門から見て社員は 0 人以上
書き方
意味
1
ちょうど1
0..1
0 か 1
*(0..*)
0 以上
1..*
1 以上
相手から見て何個か,を相手側の端に書く
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
関係“注文記録”の属性間に①〜⑥の関数従属性があり,それに基づいて第3正規形まで正規化を行って,“商品”,“顧客”,“注文”,“注文明細”の各関係に分解した。関係“注文明細”として,適切なものはどれか。ここで,{X,Y} は,属性 X と Y の組みを表し,X→Y は,X が Y を関数的に決定することを表す。また,実線の下線は主キーを表す。
注文記録(注文番号,注文日,顧客番号,顧客名,商品番号,商品名,数量,販売単価)
〔関数従属性〕
① 注文番号 → 注文日 ② 注文番号 → 顧客番号 ③ 顧客番号 → 顧客名 ④ {注文番号,商品番号} → 数量 ⑤ {注文番号,商品番号} → 販売単価 ⑥ 商品番号 → 商品名
ア 注文明細(注文番号 ,顧客番号 ,商品番号 ,顧客名,数量,販売単価)
イ 注文明細(注文番号 ,顧客番号 ,数量,販売単価)
ウ 注文明細(注文番号 ,商品番号 ,数量,販売単価) 正解
エ 注文明細(注文番号 ,数量,販売単価)
正解 ウ
解説
関係“注文明細”は,④と⑤から {注文番号,商品番号} によって数量と販売単価が決まるので,主キーは {注文番号,商品番号},属性は数量と販売単価になる。顧客番号は注文番号で決まる(②)ので“注文”関係に,顧客名は顧客番号で決まる(③)ので“顧客”関係に,商品名は商品番号で決まる(⑥)ので“商品”関係に分かれる。よって注文明細(注文番号,商品番号,数量,販売単価)のウが適切である。
アは顧客番号と顧客名を含んでおり,これらは“注文”と“顧客”関係に分けるべき属性である。イは商品番号が主キーに入っておらず,顧客番号が注文番号で決まる属性なのに主キーの一部になっている。エは主キーが注文番号だけで,1 件の注文に複数の商品があるときに数量と販売単価を表せない。
正規化で表を分けていく
受注明細(受注番号,商品番号,顧客番号,顧客名,商品名,数量)の例。主キーは受注番号と商品番号の組。第2正規形にするには,主キーの一部だけで決まる属性を分ける(受注番号で決まる顧客番号・顧客名,商品番号で決まる商品名)。第3正規形にするには,主キー以外の属性で決まる属性を分ける(顧客番号で決まる顧客名)。
第1正規形(1つの欄に1つの値)
受注明細(
受注番号
,
商品番号
,
顧客番号
,
顧客名
,
商品名
,
数量
)
受注番号だけで顧客番号・顧客名が,商品番号だけで商品名が決まる
第2正規形(キーの一部で決まる属性を分ける)
受注(
受注番号
,
顧客番号
,
顧客名
)
受注明細(
受注番号
,
商品番号
,
数量
)
商品(
商品番号
,
商品名
)
受注の中で,顧客番号から顧客名が決まる(推移的関数従属)
第3正規形(キー以外で決まる属性を分ける)
受注(
受注番号
,
顧客番号
)
顧客(
顧客番号
,
顧客名
)
+受注明細・商品
下線は主キー。第2は「キーの一部で決まるもの」,第3は「キー以外で決まるもの」を別の表へ
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
“東京在庫”表と“大阪在庫”表に対して,SQL 文を実行して得られる結果はどれか。ここで,実線の下線は主キーを表す。
〔SQL 文〕
SELECT 商品コード, 在庫数 FROM 東京在庫
UNION ALL
SELECT 商品コード, 在庫数 FROM 大阪在庫
正解 エ
解説
UNION ALL は,二つの問合せ結果を重複行も除かずにそのまま連結する。“東京在庫”表の 3 行と“大阪在庫”表の 3 行がすべて残り,C003 の 35 の行も 2 行出るので,6 行のエが得られる。
UNION(ALL なし)なら重複行を除くので,C003 の 35 の行が 1 行になって 5 行のウとなる。アは C003 の行が両方とも欠けていて,重複した行を残らず消した結果のように見えるが,そのような処理は行わない。イは同じ商品コードの在庫数を合計した結果(B002=25+15,C003=35+35)で,GROUP BY と SUM を使った場合の結果である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
トランザクションの ACID 特性のうち,耐久性(durability)に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 正常に終了したトランザクションの更新結果は,障害が発生してもデータベースから消失しないこと 正解
イ データベースの内容が矛盾のない状態であること
ウ トランザクションの処理が全て実行されるか,全く実行されないかのいずれかで終了すること
エ 複数のトランザクションを同時に実行した場合と,順番に実行した場合の処理結果が一致すること
正解 ア
解説
ACID 特性の耐久性(durability)は,正常に終了(コミット)したトランザクションの更新結果が,その後に障害が発生してもデータベースから失われないことをいう。ログなどを使って障害から回復し,更新結果を保証する。アが適切である。
イはデータベースの内容が矛盾のない状態に保たれる一貫性(consistency),ウは処理が全て実行されるか全く実行されないかのどちらかになる原子性(atomicity),エは同時に実行しても順番に実行した場合と同じ結果になる分離性(独立性,isolation)の説明である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
無線 LAN のアクセスポイントや IP 電話機などに,LAN ケーブルを利用して給電も行う仕組みはどれか。
正解 イ
解説
PoE(Power over Ethernet)は,LAN ケーブルを使ってデータ通信と給電を同時に行う仕組み。無線 LAN アクセスポイントや IP 電話機,ネットワークカメラなど,電源コンセントを確保しにくい場所の機器に使われる。
アの PLC は電力線を通信に使う技術,ウの UPS は停電時に電力を供給する無停電電源装置,エの USB は周辺機器接続の規格。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
図のようなネットワーク構成のシステムにおいて,同じメッセージ長のデータをホストコンピュータとの間で送受信した場合のターンアラウンドタイムは,端末 A では 100 ミリ秒,端末 B では 820 ミリ秒であった。上り,下りのメッセージ長は同じ長さで,ホストコンピュータでの処理時間は端末 A,端末 B のどちらから利用しても同じとするとき,端末 A からホストコンピュータへの片道の伝送時間は何ミリ秒か。ここで,ターンアラウンドタイムは,端末がデータを回線に送信し始めてから応答データを受信し終わるまでの時間とし,伝送時間は回線速度だけに依存するものとする。
正解 エ
解説
端末 A の片道の伝送時間を t ミリ秒,ホストの処理時間を P ミリ秒とする。上りと下りでメッセージ長は同じなので,ターンアラウンドタイムは 2t+P で表せる。
端末 B の回線は 100Mビット/秒で,端末 A の 1Gビット/秒の10分の1の速度だから,同じメッセージ長なら伝送時間は10倍の 10t になる。
2t+P=100,20t+P=820 の2式を引き算すると 18t=720,t=40ミリ秒。
2つの端末のターンアラウンドタイムから伝送時間を求める
端末 A の片道の伝送時間を t,ホストの処理時間を P とすると,A は 2t+P=100。端末 B の回線は A の 1/10 の速さなので片道 10t で,20t+P=820。引き算すると 18t=720 で t=40 ミリ秒。
A
t
P
t
= 100
B
10t
P
10t
= 820
A:2t + P = 100,B:20t + P = 820
18t = 720 → t = 40 ミリ秒
2つの式を引き算して P を消す(帯の長さは目安)
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
スイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)の機能として,適切なものはどれか。
ア IP アドレスを解析することによって,データを中継するか破棄するかを判断する。
イ MAC アドレスを解析することによって,必要な LAN ポートにデータを流す。 正解
ウ OSI 基本参照モデルの物理層において,ネットワークを延長する。
エ 互いに直接,通信ができないトランスポート層以上の二つの異なるプロトコルの翻訳作業を行い,通信ができるようにする。
正解 イ
解説
スイッチングハブ(レイヤ 2 スイッチ)は,受信したフレームの宛先 MAC アドレスを MAC アドレステーブルと照らして,宛先のある LAN ポートだけにフレームを転送する。MAC アドレスを解析して必要なポートにデータを流すイが適切である。
アの IP アドレスを解析して中継か破棄かを判断するのは,ルータやレイヤ 3 スイッチ,パケットフィルタリング型のファイアウォールの機能である。ウの物理層でネットワークを延長するのはリピータやリピータハブの機能である。エのトランスポート層以上で異なるプロトコルを変換するのはゲートウェイの機能である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
TCP,UDP のポート番号を識別し,プライベート IP アドレスとグローバル IP アドレスとの対応関係を管理することによって,プライベート IP アドレスを使用する LAN 上の複数の端末が,一つのグローバル IP アドレスを共有してインターネットにアクセスする仕組みはどれか。
ア IP スプーフィング
イ IP マルチキャスト
ウ NAPT 正解
エ NTP
正解 ウ
解説
NAPT(Network Address Port Translation)は,IP アドレスに加えて TCP,UDP のポート番号も変換し,プライベート IP アドレスとポート番号の組と,グローバル IP アドレスとポート番号の組との対応を管理する。これにより,LAN 上の複数の端末が一つのグローバル IP アドレスを共有してインターネットにアクセスできる。ウが該当する。
アの IP スプーフィングは送信元 IP アドレスを偽装する攻撃,イの IP マルチキャストは特定のグループの複数の宛先に同時にデータを送る通信方式,エの NTP は機器の時刻を同期させるプロトコルである。
NAPT のアドレス変換
PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。
PC
192.168.1.10
ルータ
NAPT
Web
198.51.100.5
送信元 .10:5000
送信元 .1:60001
宛先 203.0.113.1:60001
宛先 .10:5000
対応表
内側(プライベート)
外側(グローバル)
192.168.1.10 : 5000
203.0.113.1 : 60001
応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」
外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
IPv4 ネットワークにおいて,IP アドレスを付与されていない PC が DHCP サーバを利用してネットワーク設定を行う際,最初に DHCPDISCOVER メッセージをブロードキャストする。このメッセージの送信元 IP アドレスと宛先 IP アドレスの適切な組合せはどれか。ここで,この PC には DHCP サーバから IP アドレス 192.168.10.24 が付与されるものとする。
正解 イ
解説
IP アドレスを付与されていない PC が最初に送る DHCPDISCOVER は,自分のアドレスがまだないので送信元 IP アドレスを 0.0.0.0(未指定)とし,DHCP サーバの場所も分からないので宛先を,ネットワーク全体へのブロードキャストアドレス 255.255.255.255 とする。イが適切である(RFC 2131)。
ウは,DHCP サーバから付与される予定の 192.168.10.24 を送信元にしているが,この時点ではまだ PC はそのアドレスを使えない。アは宛先が 0.0.0.0 でブロードキャストにならず,エは 255.255.255.255 を送信元にしている。255.255.255.255 は宛先専用のアドレスで,送信元には使えない。
DHCP の4つのメッセージとリレーエージェント
IP アドレスの無い PC は,宛先 255.255.255.255 のブロードキャストで DHCPDISCOVER を送る。サーバが DHCPOFFER で候補を出し,PC が DHCPREQUEST で申し込み,サーバが DHCPACK で承諾する。ブロードキャストはルータを越えないので,別のサブネットのサーバへはルータの DHCP リレーエージェントがユニキャストで中継する。PC にサーバのアドレスを設定しておく必要はない。
PC
ルータ(リレー)
DHCP サーバ
DISCOVER(255.255.255.255 宛て)
ユニキャストで中継
OFFER(このアドレスでどうか)
REQUEST(それをください)
ACK(割り当てた)
最初は自分のサブネットも知らないので 255.255.255.255 宛て
ルータはブロードキャストを越えて転送しない
DISCOVER → OFFER → REQUEST → ACK。ルータ越えはリレーエージェントが中継
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
認証局が発行する CRL に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア CRL には,失効したディジタル証明書に対応する秘密鍵が登録される。
イ CRL には,有効期限内のディジタル証明書のうち失効したディジタル証明書のシリアル番号と失効した日時の対応が提示される。 正解
ウ CRL は,鍵の漏えい,失効申請の状況をリアルタイムに反映するプロトコルである。
エ 有効期限切れで失効したディジタル証明書は,所有者が新たなディジタル証明書を取得するまでの間,CRL に登録される。
正解 イ
解説
CRL(証明書失効リスト)は,認証局が発行するもので,有効期限内であるにもかかわらず秘密鍵の漏えいなどの理由で失効させたディジタル証明書のシリアル番号と,失効した日時を載せたリストである。証明書を受け取った側は,CRL を見てその証明書が失効していないかを確かめる。イが正しい。
アは誤りで,CRL に秘密鍵は登録されない。ウは誤りで,CRL は定期的に発行されるリストであり,失効状況をリアルタイムに問い合わせるプロトコルは OCSP である。エも誤りで,有効期限が切れた証明書はそれだけで無効なので,CRL に載せる必要はない。
CRL と OCSP の違い
CRL は,認証局が有効期限内に失効させた証明書のシリアル番号と失効日時を一覧にし,署名を付けて公開するもの。利用者はリストを取ってきて自分で照らし合わせる。OCSP は,利用者が調べたい証明書を OCSP レスポンダ(VA)にオンラインで問い合わせ,有効か失効しているかの答えを受け取る。
CRL(証明書失効リスト)
認証局
CA
失効した証明書の一覧
No.1024 3/10 失効
No.2041 5/02 失効
利用者
ブラウザなど
署名して公開
取ってきて照合
載るのは有効期限内に失効した証明書のシリアル番号と日時
OCSP
利用者
ブラウザなど
OCSP レスポンダ
VA(検証局)
この証明書は有効?
有効・失効・不明を返す
その都度オンラインで問い合わせるので,最新の状態が分かる
CRL は一覧を取ってきて自分で調べる,OCSP はその都度問い合わせる
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
PC からサーバに対し,IPv6 を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。
正解 ア
解説
IPsec は IP パケット自体を暗号化・認証するプロトコルで,OSI 基本参照モデルのネットワーク層(第3層)で動作する。IPv6 では標準的に組み込まれている。
イの PPP はデータリンク層のプロトコル。ウの SSH とエの TLS はトランスポート層より上位で動作し,ネットワーク層の暗号化には当たらない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
OCSP クライアントと OCSP レスポンダとの通信に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア ディジタル証明書全体を OCSP レスポンダに送信し,その応答でディジタル証明書の有効性を確認する。
イ ディジタル証明書全体を OCSP レスポンダに送信し,その応答としてタイムスタンプトークンの発行を受ける。
ウ ディジタル証明書のシリアル番号,証明書発行者の識別名(DN)のハッシュ値などを OCSP レスポンダに送信し,その応答でディジタル証明書の有効性を確認する。 正解
エ ディジタル証明書のシリアル番号,証明書発行者の識別名(DN)のハッシュ値などを OCSP レスポンダに送信し,その応答としてタイムスタンプトークンの発行を受ける。
正解 ウ
解説
OCSP(Online Certificate Status Protocol)は,ディジタル証明書が失効していないかをリアルタイムに問い合わせるためのプロトコルである。OCSP クライアントは,証明書全体ではなく,証明書発行者の識別名(DN)のハッシュ値や公開鍵のハッシュ値,証明書のシリアル番号などを OCSP レスポンダに送信する。OCSP レスポンダは,その証明書が有効か,失効しているか,不明かを示す署名付きの応答を返す。ウが適切である。
アとイは,証明書全体を送信するとしている点が誤りである。イとエのタイムスタンプトークンは,時刻認証局(TSA)がデータの存在時刻を証明するために発行するもので,OCSP の応答ではない。
CRL と OCSP の違い
CRL は,認証局が有効期限内に失効させた証明書のシリアル番号と失効日時を一覧にし,署名を付けて公開するもの。利用者はリストを取ってきて自分で照らし合わせる。OCSP は,利用者が調べたい証明書を OCSP レスポンダ(VA)にオンラインで問い合わせ,有効か失効しているかの答えを受け取る。
CRL(証明書失効リスト)
認証局
CA
失効した証明書の一覧
No.1024 3/10 失効
No.2041 5/02 失効
利用者
ブラウザなど
署名して公開
取ってきて照合
載るのは有効期限内に失効した証明書のシリアル番号と日時
OCSP
利用者
ブラウザなど
OCSP レスポンダ
VA(検証局)
この証明書は有効?
有効・失効・不明を返す
その都度オンラインで問い合わせるので,最新の状態が分かる
CRL は一覧を取ってきて自分で調べる,OCSP はその都度問い合わせる
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
SEO ポイズニングの説明はどれか。
ア Web 検索サイトの順位付けアルゴリズムを悪用して,検索結果の上位に,悪意のある Web サイトを意図的に表示させる。 正解
イ 車などで移動しながら,無線 LAN のアクセスポイントを探し出して,ネットワークに侵入する。
ウ ネットワークを流れるパケットから,侵入のパターンに合致するものを検出して,管理者への通知や,検出した内容の記録を行う。
エ マルウェア対策ソフトのセキュリティ上の脆弱性を悪用して,システム権限で不正な処理を実行させる。
正解 ア
解説
SEO ポイズニングは,検索エンジンの順位付けアルゴリズムを悪用して,悪意のある Web サイトを検索結果の上位に表示させ,利用者を誘い込む攻撃である。アが該当する。
イは車などで移動しながら無線 LAN のアクセスポイントを探して侵入するウォードライビング,ウはネットワークを流れるパケットから侵入のパターンを検出して通知や記録をする IDS(侵入検知システム)の機能である。エはマルウェア対策ソフトの脆弱性を悪用して,システム権限で不正な処理を実行させる攻撃を説明したものである。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
送信者 A からの文書ファイルと,その文書ファイルのディジタル署名を受信者 B が受信したとき,受信者 B ができることはどれか。ここで,受信者 B は送信者 A の署名検証鍵 X を保有しており,受信者 B と第三者は送信者 A の署名生成鍵 Y を知らないものとする。
ア ディジタル署名,文書ファイル及び署名検証鍵 X を比較することによって,文書ファイルに改ざんがあった場合,その部分を判別できる。
イ 文書ファイルが改ざんされていないこと,及びディジタル署名が署名生成鍵 Y によって生成されたことを確認できる。 正解
ウ 文書ファイルがマルウェアに感染していないことを認証局に問い合わせて確認できる。
エ 文書ファイルとディジタル署名のどちらかが改ざんされた場合,どちらが改ざんされたかを判別できる。
正解 イ
解説
受信者 B は,送信者 A の署名検証鍵 X でディジタル署名を検証し,文書ファイルから求めたハッシュ値と比べる。一致すれば,文書ファイルが改ざんされていないことと,署名が A だけが知る署名生成鍵 Y で作られたこと(送信者が A であること)を確認できる。イが正しい。
アは誤り。署名の検証で分かるのは改ざんの有無だけで,改ざんされた部分までは特定できない。ウは誤り。ディジタル署名や認証局はマルウェアの感染を確認するものではない。エは誤り。検証に失敗しても,文書ファイルと署名のどちらが改ざんされたかは区別できない。
ディジタル署名の作り方と確かめ方
送信者は文書のハッシュ値を求め,自分の秘密鍵で変換して署名を作り,文書に付けて送る。受信者は署名を送信者の公開鍵で戻し,受け取った文書から自分で求めたハッシュ値と比べる。一致すれば,文書は書き換えられておらず,送信者の秘密鍵で作られたと分かる。暗号化とは鍵の使い方が逆になる。
送信者
受信者
文書
ハッシュ関数
ハッシュ値
送信者の秘密鍵
署名
文書
ハッシュ
ハッシュ値
=?
ハッシュ値
署名
送信者の公開鍵
一致 → 書き換えられていない・送信者が作った(否認防止)
署名:送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる
暗号化:受信者の公開鍵で暗号化し,受信者の秘密鍵で戻す
署名は送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる(暗号化と逆)
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
クリプトジャッキングに該当するものはどれか。
ア PC にマルウェアを感染させ,その PC の CPU などが有する処理能力を不正に利用して,暗号資産の取引承認に必要となる計算を行い,報酬を得る。 正解
イ 暗号資産の取引所から利用者のアカウント情報を盗み出し,利用者になりすまして,取引所から暗号資産を不正に盗みとる。
ウ カード加盟店に正規に設置されている,カードの磁気ストライプの情報を読み取る機器から,カード情報を窃取する。
エ 利用者の PC を利用できなくし,再び利用できるようにするのと引換えに金銭を要求する。
正解 ア
解説
クリプトジャッキング(cryptojacking)は,暗号資産(crypto)とハイジャック(hijacking)を組み合わせた語で,他人の PC に感染させたマルウェアなどで,その PC の CPU などのリソースを勝手に使い,暗号資産の取引承認に必要な計算(マイニング)を行って報酬を得る攻撃である。アが該当する。
イは暗号資産の取引所から利用者のアカウント情報を盗んで,なりすまして暗号資産を盗む攻撃である。ウはカード加盟店の読取り機器から磁気ストライプの情報を盗むスキミングである。エは PC を使えなくして,復旧と引換えに金銭を要求するランサムウェアである。いずれも他人の計算資源でマイニングを行う攻撃ではない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
暗号方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア AES は公開鍵暗号方式,RSA は共通鍵暗号方式の一種である。
イ 共通鍵暗号方式では,暗号化及び復号に同一の鍵を使用する。 正解
ウ 公開鍵暗号方式を通信内容の秘匿に使用する場合は,暗号化に使用する鍵を秘密にして,復号に使用する鍵を公開する。
エ ディジタル署名に公開鍵暗号方式が使用されることはなく,共通鍵暗号方式が使用される。
正解 イ
解説
共通鍵暗号方式は,暗号化と復号に同じ鍵を使う方式。鍵を送受信者だけの秘密に保つ必要があるが,公開鍵暗号方式より処理が高速なので,大量のデータの暗号化に向く。イが正しい。
アは逆で,AES が共通鍵暗号方式,RSA が公開鍵暗号方式である。ウも逆で,秘匿のために使う場合は受信者の公開鍵で暗号化し,受信者だけがもつ秘密鍵で復号する。エも逆で,ディジタル署名には公開鍵暗号方式が使われる。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
ボットネットにおける C&C サーバの役割として,適切なものはどれか。
ア Web サイトのコンテンツをキャッシュし,本来のサーバに代わってコンテンツを利用者に配信することによって,ネットワークやサーバの負荷を軽減する。
イ 外部からインターネットを経由して社内ネットワークにアクセスする際に,CHAP などのプロトコルを中継することによって,利用者認証時のパスワードの盗聴を防止する。
ウ 外部からインターネットを経由して社内ネットワークにアクセスする際に,時刻同期方式を採用したワンタイムパスワードを発行することによって,利用者認証時のパスワードの盗聴を防止する。
エ 侵入して乗っ取ったコンピュータに対して,他のコンピュータへの攻撃などの不正な操作をするよう,外部から命令を出したり応答を受け取ったりする。 正解
正解 エ
解説
C&C(Command and Control)サーバは,ボットネットを構成する,侵入して乗っ取ったコンピュータ(ボット)に対して,他のコンピュータへの攻撃などの不正な操作をするよう命令を出し,応答や収集した情報を受け取る司令塔の役割を担う。エが適切である。
アは Web サイトのコンテンツをキャッシュして配信する CDN やリバースプロキシの役割である。イは外部からのアクセスの認証を中継して,パスワードの盗聴を防ぐ認証プロキシ(RADIUS サーバなど)の役割である。ウは時刻同期方式のワンタイムパスワードを発行して認証に使う,ワンタイムパスワード認証の仕組みの説明である。
ボットネットと C&C サーバ
C&C(Command and Control)サーバは,マルウェアに感染して操られる多数のボットに指令を出す司令塔。ボットは指令に従って,情報を集めたり,標的に DDoS 攻撃をしたりする。
C&C サーバ
ボット
ボット
ボット
ボット
標的
指令
一斉に攻撃
C&C サーバがボットに指令を出す
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
TPM(Trusted Platform Module)に該当するものはどれか。
ア PC などの機器に搭載され,鍵生成,ハッシュ演算及び暗号処理を行うセキュリティチップ 正解
イ 受信した電子メールが正当な送信者から送信されたものであることを保証する,送信ドメイン認証技術
ウ ファイアウォール,侵入検知,マルウェア対策など,複数のセキュリティ機能を統合したネットワーク監視装置
エ ログデータを一元的に管理し,セキュリティイベントの監視者への通知及び相関分析を行うシステム
正解 ア
解説
TPM(Trusted Platform Module)は,PC などの機器に搭載され,鍵の生成,ハッシュ演算や暗号処理,鍵の安全な保管などを行うセキュリティチップである。耐タンパ性があり,秘密鍵をチップの外に取り出さずに扱える。アが該当する。
イは,SPF や DKIM などの送信ドメイン認証技術の説明。ウは,ファイアウォール・侵入検知・マルウェア対策などを一体にした UTM(統合脅威管理)の説明。エは,ログを一元管理して相関分析や通知を行う SIEM の説明である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
電子メールをスマートフォンで受信する際のメールサーバとスマートフォンとの間の通信をメール本文を含めて暗号化するプロトコルはどれか。
ア APOP
イ IMAPS 正解
ウ POP3
エ SMTP Submission
正解 イ
解説
IMAPS は,メールを受信・閲覧するプロトコル IMAP の通信を TLS で暗号化したもの(IMAP over TLS)で,認証情報だけでなくメール本文を含む通信全体が暗号化される。イが該当する。
アの APOP は,POP3 のパスワードをチャレンジレスポンス方式でハッシュ化して送る認証方式で,パスワードは平文で流れないがメール本文は暗号化されない。ウの POP3 はそのままでは通信を暗号化しない。エの SMTP Submission は,メールクライアントからメールサーバへの送信に使う仕組み(ポート 587)であり,受信のためのプロトコルではない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
UML のアクティビティ図の特徴はどれか。
ア 多くの並行処理を含むシステムの,オブジェクトの振る舞いが記述できる。 正解
イ オブジェクト群がどのようにコラボレーションを行うか記述できる。
ウ クラスの仕様と,クラスの間の静的な関係が記述できる。
エ システムのコンポーネント間の物理的な関係が記述できる。
正解 ア
解説
UML のアクティビティ図は,処理や業務の流れを表す図で,分岐や合流に加えて,フォークとジョインによって並行して行われる処理を記述できる。多くの並行処理を含むシステムのオブジェクトの振る舞いを記述できるので,アが適切である。
イのオブジェクト群のコラボレーション(相互作用)を記述するのはコミュニケーション図(コラボレーション図)。ウのクラスの仕様とクラス間の静的な関係はクラス図。エのコンポーネント間の物理的な関係はコンポーネント図や配置図で記述する。
UML のおもな図の使い分け
シーケンス図はオブジェクト間のメッセージを時間の順に,コミュニケーション図はオブジェクトのつながりに注目して相互作用を表す。ユースケース図はアクタとシステムの機能の関係(システムの範囲),アクティビティ図は処理の流れ(分岐・並行・同期),状態マシン図は1つのオブジェクトの状態の移り変わり,クラス図は静的な構造,オブジェクト図はある時点のインスタンスのつながりを表す。
図
表すもの
シーケンス図
メッセージを時間の順に
コミュニケーション図
オブジェクトのつながりと相互作用
ユースケース図
アクタと機能,システムの範囲
アクティビティ図
処理の流れ(分岐・並行・同期)
状態マシン図
1つのオブジェクトの状態の遷移
クラス図
クラスと関連(静的な構造)
オブジェクト図
ある時点のインスタンスとリンク
時間の順はシーケンス図,範囲はユースケース図,業務の流れはアクティビティ図
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
次の流れ図において,①→②→③→⑤→②→③→④→②→⑥ の順に実行させるために,①において m と n に与えるべき初期値 a と b の関係はどれか。ここで,a,b はともに正の整数とする。
ア a=2b
イ 2a=b
ウ 2a=3b
エ 3a=2b 正解
正解 エ
解説
流れ図は,m と n が等しくなるまで大きい方から小さい方を引き続ける(ユークリッドの互除法による最大公約数の計算)。指定の順序では,1 回目の③で m<n なので⑤で n-m→n,2 回目の③で m>n なので④で m-n→m となり,その後の②で m=n となる必要がある。3a=2b となる a=2,b=3 で試すと,m=2,n=3 → ⑤で n=1 → ④で m=1 → ②で m=n となり,指定どおりに実行される。エになる。
アの a=2b(例 a=2,b=1)とウの 2a=3b(例 a=3,b=2)は,最初の③で m>n となり④に進むので順序が合わない。イの 2a=b(例 a=1,b=2)は,⑤で n=1 となった直後の②で m=n となり,④を通らずに⑥へ進む。
a=2,b=3 で流れ図をたどる
m と n が等しくなるまで,大きいほうから小さいほうを引く。m=2,n=3 で始めると,① の後 ② で m≠n,③ で m<n なので ⑤ で n=3−2=1。② で m≠n,③ で m>n なので ④ で m=2−1=1。② で m=n となり ⑥ で印字する。指定の順 ①→②→③→⑤→②→③→④→②→⑥ になるので,3a=2b が答え。
手順
m
n
判定
①
2
3
初期値
②③
2
3
m≠n,m<n
⑤
2
1
n ← 3−2
②③
2
1
m≠n,m>n
④
1
1
m ← 2−1
②⑥
1
1
m=n → 印字
a=2,b=3(3a=2b)で指定どおりの順になる
③ で一度目は m<n,二度目は m>n になる組を選ぶ
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
ソフトウェア保守で修正依頼を保守のタイプに分けるとき,次の a〜d に該当する保守のタイプの,適切な組合せはどれか。
〔保守のタイプ〕
正解 エ
解説
ソフトウェア保守(JIS X 0161,ISO/IEC 14764)では,保守を,是正保守,予防保守,適応保守,完全化保守の四つのタイプに分ける。表の c は,問題が発見されたときに行う訂正で,是正保守である。a は,潜在的な障害が顕在化する前に行う訂正で,予防保守である。d は,環境の変化に合わせる改良で,適応保守である。b は,潜在的な障害が顕在化する前に行う改良(性能や保守性の向上など)で,完全化保守である。a から順に予防保守,完全化保守,是正保守,適応保守のエが適切である。
アは a と b を入れ替えた組合せ,イは a と b,c と d をそれぞれ入れ替えた組合せ,ウは a と c を入れ替えた組合せである。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
アジャイル開発手法の説明のうち,スクラムのものはどれか。
ア コミュニケーション,シンプル,フィードバック,勇気,尊重の五つの価値を基礎とし,テスト駆動型開発,ペアプログラミング,リファクタリングなどのプラクティスを推奨する。
イ 推測(プロジェクト立上げ,適応的サイクル計画),協調(並行コンポーネント開発),学習(品質レビュー,最終 QA/リリース)のライフサイクルをもつ。
ウ プロダクトオーナなどの役割,スプリントレビューなどのイベント,プロダクトバックログなどの作成物,及びルールから成るソフトウェア開発のフレームワークである。 正解
エ モデルの全体像を作成した上で,優先度を付けた詳細なフィーチャリストを作成し,フィーチャを単位として計画し,フィーチャ単位に設計と構築を繰り返す。
正解 ウ
解説
スクラムは,プロダクトオーナ,スクラムマスタ,開発者という役割,スプリント,スプリントプランニング,デイリースクラム,スプリントレビュー,スプリントレトロスペクティブというイベント,プロダクトバックログ,スプリントバックログ,インクリメントという作成物,及びそれらを結び付けるルールから成る,ソフトウェア開発のフレームワークである。ウが該当する。
アはコミュニケーション,シンプル,フィードバック,勇気,尊重の価値を掲げるエクストリームプログラミング(XP)。イは推測・協調・学習のサイクルを繰り返す適応型ソフトウェア開発(ASD)。エはフィーチャ(顧客にとって価値のある機能)を単位として計画と開発を進めるフィーチャ駆動型開発(FDD)の説明である。
スクラムの1スプリントの流れ
プロダクトオーナーが優先順位を付けたプロダクトバックログから,スプリントプランニングで今回やることを選んでスプリントバックログにする。1か月以内のスプリントの間,毎日デイリースクラムで進み具合を確かめ,動くインクリメントを作る。最後にスプリントレビューで利害関係者に成果を見せ,スプリントレトロスペクティブでふりかえってから次のスプリントへ進む。
プロダクト
バックログ
スプリント
バックログ
プランニング
スプリント
1か月以内
毎日
デイリースクラム
インクリメント
スプリントレビュー
利害関係者に成果を見せる
レトロスペクティブ
ふりかえり(KPT など)
次のスプリントへ
プロダクトオーナー:バックログの優先順位を決める
スクラムマスター:進め方を支える
開発者:スプリントバックログを自分たちで変えられる
役割3つ・イベント4つ(プランニング・デイリー・レビュー・レトロスペクティブ)・作成物3つ
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
日本において特許 A を取得した特許権者から,実施許諾を受けることが必要になるのはどれか。
ア 出願日から 25 年を超えた特許 A と同じ技術を新たに事業化する場合
イ 特許 A の出願日よりも前から特許 A と同じ技術を独自に開発して,特許 A の出願日に日本国内でその技術を用いた製品を製造し,市場で販売していたことが証明できる場合
ウ 特許 A を家庭内で個人的に利用するだけの場合
エ 日本国内で製造し,米国に輸出する製品に特許 A を利用する場合 正解
正解 エ
解説
特許権者は,業として特許発明の実施をする権利を専有する(特許法 68 条)。物の生産は実施に当たる(同法 2 条 3 項)ので,日本国内で製品を製造すれば,米国へ輸出する製品であっても,特許権の及ぶ日本国内での実施になり,特許権者から実施許諾を受ける必要がある。エが該当する。
アの出願日から 25 年を超えた特許は,存続期間(出願日から 20 年)を過ぎて権利が消滅しているので,許諾が要らない。イは,特許出願の際に既に日本国内でその発明を実施していた者に認められる先使用による通常実施権(79 条)があるので,許諾が要らない。ウの家庭内で個人的に利用するだけの場合は,“業として”の実施に当たらないので,許諾が要らない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
PMBOK ガイド 第6版によれば,プロジェクト・スコープ記述書に記述する項目はどれか。
ア WBS
イ コスト見積額
ウ ステークホルダー分類
エ プロジェクトからの除外事項 正解
正解 エ
解説
PMBOK ガイド第 6 版では,プロジェクト・スコープ記述書に,プロダクト・スコープ記述書,プロジェクトの成果物,受入れ基準,プロジェクトからの除外事項などを記述する。何をやらないかを明記して,関係者の認識のずれやスコープの膨張を防ぐ。エが該当する。
アの WBS は,スコープ記述書を基にプロジェクトの成果物と作業を階層的に分解したもので,スコープ記述書とは別に作成する。イのコスト見積額はコストの見積りの成果物,ウのステークホルダー分類はステークホルダー登録簿などに記録する情報であり,スコープ記述書の記述項目ではない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
プロジェクトマネジメントにおいてパフォーマンス測定に使用する EVM の管理対象の組みはどれか。
ア コスト,スケジュール 正解
イ コスト,リスク
ウ スケジュール,品質
エ 品質,リスク
正解 ア
解説
EVM(Earned Value Management)は,作業の出来高を金額に換算した EV(アーンドバリュー)を軸に,計画値 PV と実コスト AC を比べることで,スケジュールの進み遅れとコストの超過・節約を同じ土俵で測る手法。管理対象はコストとスケジュールなのでアが正しい。
EV と PV の差がスケジュール差異,EV と AC の差がコスト差異になる。イ・ウ・エに含まれるリスクや品質は,EVM の数値からは直接測れず,別の手法で管理する対象である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
図は,実施する三つのアクティビティについて,プレシデンスダイアグラム法を用いて,依存関係及び必要な作業日数を示したものである。全ての作業を完了するのに必要な日数は最少で何日か。
正解 イ
解説
A は開始から 6 日で終わる。A→B は終了-開始関係でリードが 2 日なので,B は A の終了より 2 日前倒しでき,6−2=4 日目から着手できる。B は 7 日かかるので終了は 4+7=11 日目。B→C は開始-開始関係でラグが 3 日なので,C は B の開始の 3 日後,4+3=7 日目から着手でき,5 日かかるので終了は 7+5=12 日目。全体の完了はこれらのうち最も遅い 12 日で,イが正しい。
リードは後続作業を前倒しできる日数,ラグは後続作業を待たせる日数である。アの 11 は C の終了を見落として B の終了だけを答えた値。ウの 13 はリード 2 日を見落とし,B を A の終了直後(6 日目)から始めたときの B の終了日。エの 14 は同じくリードを見落としたうえで C の終了まで数えた値である。
リード付きの終了−開始と,ラグ付きの開始−開始
A(6日)と B(7日)は終了−開始関係でリード2日なので,B は A の終了の2日前(4日目)に始まり 11 日目に終わる。B と C(5日)は開始−開始関係でラグ3日なので,C は B の開始の3日後(7日目)に始まり 12 日目に終わる。全体は 12 日。
A
A 6日
B
B 7日
C
C 5日
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
C が終わる 12 日目で全て完了
SS は「開始どうし」の関係。C は B の開始から数える
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
PMBOK ガイド 第6版によれば,脅威と好機の,どちらに対しても採用されるリスク対応戦略として,適切なものはどれか。
正解 ウ
解説
PMBOK ガイド第6版は,脅威に対する戦略としてエスカレーション,回避,転嫁,軽減,受容の五つを,好機に対する戦略としてエスカレーション,活用,共有,強化,受容の五つを挙げている。受容は,リスクの存在を認めたうえで積極的な対策をとらない戦略で,脅威と好機のどちらにも使われる。ウが正しい。
アの回避とエの転嫁は脅威に対してだけ使う戦略である。イの共有は,好機を最もうまく活かせる第三者に好機の実現を任せる戦略で,好機に対してだけ使う。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
IT サービスにおけるコンピュータシステムの利用に対する課金を逓減課金方式で行うときのグラフはどれか。ここで,グラフの縦軸は累計の課金額を示す。
正解 ウ
解説
逓減課金方式は,利用量が増えるほど1単位当たりの単価を安くする方式である。単価が下がっても利用した分の料金は積み上がるので,利用料金の総額は利用量とともに増え続けるが,その増え方(グラフの傾き)は右へ行くほど緩やかになる。この形はウである。
アは利用量が増えるほど料金の総額が減っており,課金方式として成り立たない。イは一定量を超えると料金が増えなくなる上限付きの方式で,単価が段階的に下がるのではなく 0 になっている。エは右へ行くほど傾きが急になる形で,単価が上がっていく逓増課金方式である。
逓減課金のグラフ
逓減課金は,使用量が増えるほど1単位あたりの単価を安くする。使った分の料金は積み上がるので総額は増え続けるが,増え方(傾き)は段階的に緩やかになる。傾きがだんだん急になるのは逓増課金,一定量で頭打ちになるのは上限付きの定額。
使用量
料金(総額)
単価 高
単価 中
単価 低
点線:単価が一定のとき
傾きが急になっていくのは逓増課金
総額は増えるが,傾きが段階的に緩やかになる
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
サービス提供時間帯が毎日0〜24時の IT サービスにおいて,ある年の4月1日0時から6月30日24時までのサービス停止状況は表のとおりであった。システムバージョンアップ作業に伴う停止時間は,計画停止時間として顧客との間で合意されている。このとき,4月1日から6月30日までの IT サービスの可用性は何%か。ここで,可用性(%)は小数第3位を四捨五入するものとする。
〔サービス停止状況〕
ア 95.52
イ 95.70
ウ 99.52 正解
エ 99.63
正解 ウ
解説
4月1日から6月30日までは 30+31+30=91日。毎日0時から24時が提供時間帯なので,合計は 91×24=2,184時間。システムバージョンアップ作業の84時間は,サービス提供時間に含めない計画停止として顧客と合意しているので,分母から除く。分母は 2,184−84=2,100時間,実際の停止はハードウェア故障の10時間だけなので,可用性は (2,100−10)÷2,100=2,090÷2,100=0.99523…,すなわち 99.52% でウになる。
イの 95.70 は,バージョンアップの84時間を除かずに分母を 2,184時間とし,停止時間に含めて計算した値(2,090÷2,184=0.95696…)である。アの 95.52 は,分母から84時間を除いたうえで停止時間にも84時間を数えた値((2,100−94)÷2,100=0.95523…)である。
合意した計画停止を除いた可用性
4月1日〜6月30日は91日で 91×24=2,184時間。バージョンアップの84時間は計画停止として合意しているので分母から除き,2,100時間。実際の停止はハードウェア故障の10時間だけで,(2,100−10)÷2,100≒99.52%。
91日 × 24時間 = 2,184 時間(帯の長さは目安)
提供すべき 2,100 時間
停止 10
計画停止 84
止まった(数える)
提供時間に含めない(分母から除く)
故障の停止 10 時間だけを数える
(2,100 − 10) ÷ 2,100 ≒ 99.52%
84 時間を分母に残すと 95.70%,停止にも数えると 95.52%(誤り)
計画停止は分母から除き,停止にも数えない
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
サービスマネジメントの容量・能力管理における,オンラインシステムの容量・能力の利用の監視についての注意事項のうち,適切なものはどれか。
ア SLA の目標値を監視しきい値に設定し,しきい値を超過した場合には対策を講ずる。
イ 応答時間や CPU 使用率などの複数の測定項目を定常的に監視する。 正解
ウ オンライン時間帯に性能を測定することはサービスレベルの低下につながるので,測定はオフライン時間帯に行う。
エ 容量・能力及びパフォーマンスに関するインシデントを記録する。
正解 イ
解説
容量・能力の利用の監視では,応答時間や CPU 使用率など複数の測定項目を平常時から継続して測る。単発の測定では判断できないが,定常的に測っていれば傾向がつかめ,容量・能力が不足する時期を予測して先手を打てる。
アは誤り。SLA の目標値をしきい値にすると,検知した時点で既に SLA 違反になっている。しきい値は目標値より手前に置く。ウは誤り。実際の負荷が掛かるオンライン時間帯こそ測定が必要で,オフライン時間帯では利用実態が分からない。エはインシデント管理の活動であり,利用の監視そのものではない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
システム監査基準(平成 30 年)におけるウォークスルー法の説明として,最も適切なものはどれか。
ア あらかじめシステム監査人が準備したテスト用データを監査対象プログラムで処理し,期待した結果が出力されるかどうかを確かめる。
イ 監査対象の実態を確かめるために,システム監査人が,直接,関係者に口頭で問い合わせ,回答を入手する。
ウ 監査対象の状況に関する監査証拠を入手するために,システム監査人が,関連する資料及び文書類を入手し,内容を点検する。
エ データの生成から入力,処理,出力,活用までのプロセス,及び組み込まれているコントロールを,システム監査人が,書面上で,又は実際に追跡する。 正解
正解 エ
解説
ウォークスルー法は,データの生成から入力,処理,出力,活用に至るプロセスと,その過程に組み込まれたコントロールを,監査人が書面上で,又は実際に追跡して確かめる監査技法である。エが適切である。
アは監査人があらかじめ用意したテストデータを監査対象プログラムで処理し,期待した結果が出るかを確かめるテストデータ法の説明である。イは関係者に口頭で問い合わせて回答を入手する質問(インタビュー)の説明である。ウは関連する資料や文書類を入手して内容を点検する閲覧(査閲)の説明である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
システム監査のフォローアップにおいて,監査対象部門による改善が計画よりも遅れていることが判明した際に,システム監査人が採るべき行動はどれか。
ア 遅れの原因に応じた具体的な対策の実施を,監査対象部門の責任者に指示する。
イ 遅れの原因を確かめるために,監査対象部門に対策の内容や実施状況を確認する。 正解
ウ 遅れを取り戻すために,監査対象部門の改善活動に参加する。
エ 遅れを取り戻すための監査対象部門への要員の追加を,人事部長に要求する。
正解 イ
解説
システム監査人は,監査対象から独立した立場で監査を行うので,改善の実施そのものを指示したり,改善活動に参加したりしてはならない。改善が計画より遅れているときは,まず遅れの原因を確かめるために,監査対象部門に対策の内容や実施状況を確認する。イが適切である。
アの具体的な対策の実施を責任者に指示すること,ウの改善活動への参加,エの人事部長への要員追加の要求は,いずれも監査人が改善の実施に関与することになり,独立性と客観性を損なう。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
監査証拠の入手と評価に関する記述のうち,システム監査基準(平成 30 年)に照らして,適切でないものはどれか。
ア アジャイル手法を用いたシステム開発プロジェクトにおいては,管理用ドキュメントとしての体裁が整っているものだけが監査証拠として利用できる。 正解
イ 外部委託業務実施拠点に対する現地調査が必要と考えたとき,委託先から入手した第三者の保証報告書に依拠できると判断すれば,現地調査を省略できる。
ウ 十分かつ適切な監査証拠を入手するための本調査の前に,監査対象の実態を把握するための予備調査を実施する。
エ 一つの監査目的に対して,通常は,複数の監査手続を組み合わせて監査を実施する。
正解 ア
解説
システム監査基準(平成30年)の基準8は,監査手続の適用に当たり,十分かつ適切な監査証拠を入手し評価することを求めている。その解釈指針では,アジャイル型開発のように管理用ドキュメントとしての体裁が整っていない記録であっても監査証拠として利用できるとしており,監査対応のためだけに文書を作らせて負荷をかけないよう求めている。体裁が整っているものだけに限るとするアが,基準に照らして適切でない。
イは,委託先から入手した第三者の保証報告書に依拠できると判断すれば現地調査に代えられるという考え方で,基準に沿う。ウの予備調査は,本調査の前に監査対象の実態を把握する手続として基準に定められている。エも,一つの監査目的に対して複数の監査手続を組み合わせるという基準の考え方どおりである。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
情報戦略の投資効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。
正解 エ
解説
ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割って求める指標で,投資効果を評価するのに使う。エが正しい。
アの EVA(経済的付加価値)は税引後営業利益から資本コストの額を差し引いた金額。イの IRR(内部収益率)は投資の正味現在価値が 0 になる割引率。ウの NPV(正味現在価値)は将来のキャッシュフローの現在価値の合計から投資額を差し引いた金額で,いずれも利益額を投資額で割る比率ではない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
共通フレーム 2013 によれば,企画プロセスで実施すべきものはどれか。
ア 市場,競合など事業環境を分析し,企業の情報戦略と事業目標の関係を明確にする。 正解
イ システムのライフサイクルの全期間を通して,システムの利害関係者を識別する。
ウ 人間の能力及びスキルの限界を考慮して,利用者とシステムとの間の相互作用を識別する。
エ 利害関係者の要件が正確に表現されていることを,利害関係者とともに確立する。
正解 ア
解説
共通フレーム 2013 の企画プロセスは,システム化構想の立案とシステム化計画の立案から成り,経営上のニーズや課題を確認して,新しい事業や業務の構想,システム化の計画をまとめる工程である。その中で,市場や競合などの事業環境を分析し,企業の情報戦略と事業目標との関係を明確にするタスクが定められている。アが正しい。
イのシステムのライフサイクルの全期間を通した利害関係者の識別,ウの人間の能力及びスキルの限界を考慮した利用者とシステムとの相互作用の識別,エの利害関係者の要件が正確に表現されていることを利害関係者とともに確立することは,いずれも企画プロセスの後に位置する要件定義プロセスのタスクである。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
SOA の説明はどれか。
ア 会計,人事,製造,購買,在庫管理,販売などの企業の業務プロセスを一元管理することによって,業務の効率化や経営資源の全体最適を図る手法
イ 企業の業務プロセス,システム化要求などのニーズと,ソフトウェアパッケージの機能性がどれだけ適合し,どれだけかい離しているかを分析する手法
ウ 業務プロセスの問題点を洗い出して,目標設定,実行,チェック,修正行動のマネジメントサイクルを適用し,継続的な改善を図る手法
エ 利用者の視点から業務システムの機能を幾つかの独立した部品に分けることによって,業務プロセスとの対応付けや他ソフトウェアとの連携を容易にする手法 正解
正解 エ
解説
SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務システムの機能を利用者から見た意味のある単位(サービス)に分割し,それらを組み合わせてシステムを構築する考え方。業務プロセスの変更に合わせてサービスを組み替えやすく,他システムとの連携も容易になる。
アは ERP,イはフィット&ギャップ分析,ウは BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の説明。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
クラウドサービスの利用手順を,“利用計画の策定”,“クラウド事業者の選定”,“クラウド事業者との契約締結”,“クラウド事業者の管理”,“サービスの利用終了”としたときに,“利用計画の策定”において,利用者が実施すべき事項はどれか。
ア クラウドサービスの利用目的,利用範囲,利用による期待効果を検討し,クラウドサービスに求める要件やクラウド事業者に求めるコントロール水準を定める。 正解
イ クラウド事業者が SLA などを適切に遵守しているかモニタリングし,また,自社で構築しているコントロールの有効性を確認し,改善の必要性を検討する。
ウ クラウド事業者との間で調整不可となる諸事項については,自社による代替策を用意した上で,クラウド事業者との間でコントロール水準を SLA などで合意する。
エ 複数あるクラウド事業者のサービス内容を比較検討し,自社が求める要件及びコントロール水準が充足できるかどうかを判定する。
正解 ア
解説
利用計画の策定は,クラウドサービスを使うかどうかを決める最初の段階で,利用目的,利用範囲,期待効果を検討し,クラウドサービスに求める要件やクラウド事業者に求めるコントロール水準を定める。アが該当する。
イの SLA の遵守状況のモニタリングやコントロールの有効性の確認は“クラウド事業者の管理”,ウの調整不可の事項への代替策を用意したうえでの SLA などでの合意は“クラウド事業者との契約締結”,エの複数の事業者のサービス内容を比較して要件を満たせるかを判定するのは“クラウド事業者の選定”の段階で行う事項である。
クラウドサービスの利用手順と各段階でやること
利用計画の策定では,利用目的・利用範囲・期待効果を検討し,クラウドサービスに求める要件と事業者に求めるコントロール水準を定める。事業者の選定では複数の事業者を比べて要件を満たせるかを判定し,契約締結では調整できない事項に代替策を用意して SLA などで合意し,事業者の管理では SLA の遵守をモニタリングする。最後にサービスの利用を終了する。
利用計画の策定
目的・範囲・期待効果,要件とコントロール水準を決める
クラウド事業者の選定
複数の事業者を比べ,要件を満たせるか判定
契約締結
調整できない事項は代替策を用意し SLA などで合意
クラウド事業者の管理
SLA の遵守をモニタリングし,改善を検討
サービスの利用終了
利用計画の策定:目的・範囲・効果,求める要件と水準を決める(ア)
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
次に示すグリーン購入基本原則の“製品・サービスのライフサイクルの考慮”に該当する購入例はどれか。
〔グリーン購入基本原則〕
1. 必要性の考慮 購入する前に必要性を十分に考える。 2. 製品・サービスのライフサイクルの考慮 資源採取から廃棄までの製品ライフサイクルにおける多様な環境負荷を考慮して購入する。 3. 事業者の取組の考慮 環境負荷の低減に努める事業者から製品・サービスを優先して購入する。 4. 環境情報の入手・活用 製品・サービスや事業者に関する環境情報を積極的に入手・活用して購入する。
ア 環境マネジメントシステムを導入し,環境方針,環境対応の責任体制などを定め,環境改善に取り組んでいる企業を,重要な購入先として指定する。
イ 環境や人の健康に悪影響を与えるような物質の使用や排出が削減されており,リユースやリサイクルが可能な製品を選定する。 正解
ウ 製品の購入に当たっては,遊休資産となっている製品や使用頻度が少ない製品の活用などの代替策を検討した上で判断をする。
エ 複数の製品を環境配慮や環境保全効果などの視点で比較するために,製品紹介の Web ページ,カタログなどに示されている環境表示を参考にする。
正解 イ
解説
問題文のグリーン購入基本原則の“製品・サービスのライフサイクルの考慮”は,資源採取から廃棄までの製品ライフサイクルにおける多様な環境負荷を考慮して購入することである。環境や人の健康に悪影響を与える物質の使用や排出が削減されており,リユースやリサイクルが可能な製品を選ぶイが該当する。
アは環境改善に取り組む企業を購入先とする点で,“事業者の取組の考慮”に当たる。ウは購入前に代替策を検討する点で,“必要性の考慮”に当たる。エは製品の環境表示を比較の参考にする点で,“環境情報の入手・活用”に当たる。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
システムを委託する側のユーザ企業と,受託する側の SI 事業者との間で締結される契約形態のうち,レベニューシェア型契約はどれか。
ア SI 事業者が,ユーザ企業に対して,クラウドサービスを活用したシステム開発と運用に関わる SE サービスを月額固定料金で課金する。
イ SI 事業者が,ユーザ企業に対して,ネットワーク経由でアプリケーションサービスを提供する際に,サービスの利用時間に応じて加算された料金を課金する。
ウ 開発したシステムによって将来,ユーザ企業が獲得する売上や利益を SI 事業者にも分配することを条件に,開発初期の SI 事業者への委託金額を抑える。 正解
エ システム開発に必要な工数と人員の単価を掛け合わせた費用を SI 事業者が見積もり,システム構築費用としてシステム完成時にユーザ企業に請求する。
正解 ウ
解説
レベニューシェア型契約は,開発したシステムが将来生み出す売上や利益を,あらかじめ決めた配分率でユーザ企業と SI 事業者が分け合う契約である。その代わりに,開発初期の委託金額を抑える。ウが該当する。
アは月額固定料金で課金する形,イはサービスの利用時間に応じて課金する従量課金型(クラウドサービスなどで見られる)の形,エは工数と単価から見積もった費用を完成時に請求する形(請負契約など)で,いずれも将来の収益を分配する契約ではない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
企業の事業活動を機能ごとに主活動と支援活動に分け,企業が顧客に提供する製品やサービスの利益が,どの活動で生み出されているかを分析する手法はどれか。
ア 3C 分析
イ SWOT 分析
ウ バリューチェーン分析 正解
エ ファイブフォース分析
正解 ウ
解説
バリューチェーン分析は,M.E.ポーターが提唱した手法で,企業の事業活動を購買物流,製造,出荷物流,販売・マーケティング,サービスの主活動と,調達,技術開発,人事・労務管理,全般管理の支援活動に分け,製品やサービスの利益(価値)がどの活動で生み出されているかを分析する。ウが正しい。
アの 3C 分析は顧客(Customer),競合(Competitor),自社(Company)の三つの観点から事業環境を分析する手法,イの SWOT 分析は自社の強み・弱みと外部環境の機会・脅威を整理する手法,エのファイブフォース分析は業界の競争状態を五つの競争要因から分析する手法である。
バリューチェーン
企業の活動を,製品やサービスが顧客に届くまでの主活動(購買物流・製造・出荷物流・販売とマーケティング・サービス)と,それを支える支援活動(全般管理・人事労務管理・技術開発・調達)に分け,どの活動で価値(利益,マージン)が生まれているかを分析する。
全般管理(インフラストラクチャ)
人事・労務管理
技術開発
調達活動
購買物流
製造
出荷物流
販売・マーケ
サービス
マージン
上:支援活動 下:主活動
主活動5つと支援活動4つ。右端のマージンが生み出した価値
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
現在の動向から未来を予測したり,システム分析に使用したりする手法であり,専門的知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い,その結果を互いに参照した上で調査を繰り返して,集団としての意見を収束させる手法はどれか。
ア 因果関係分析法
イ クロスセクション法
ウ 時系列回帰分析法
エ デルファイ法 正解
正解 エ
解説
デルファイ法は,専門的な知識や経験をもつ複数の人に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら答え直してもらうことで,集団としての意見を収束させる予測手法。匿名で行うため,立場や声の大きさに引きずられにくい。エが正しい。
アの因果関係分析法は原因と結果の関係をたどって分析する手法,イのクロスセクション法は同時点の複数のデータを横断的に比較する手法,ウの時系列回帰分析法は過去の時系列データに回帰式を当てはめて先を読む手法である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
プライスライニング戦略はどれか。
ア 消費者が選択しやすいように,複数の価格帯に分けて商品を用意する。 正解
イ 商品の品質の良さやステータスを訴えるために意図的に価格を高く設定する。
ウ 商品本体の価格を安く設定し,関連消耗品の販売で利益を得る。
エ 新商品に高い価格を設定して早い段階で利益を回収する。
正解 ア
解説
プライスライニングは,商品を“松・竹・梅”のように幾つかの価格帯に分けて用意し,消費者が選びやすくする価格戦略である。アが該当する。
イは,品質やステータスを訴えるために高い価格を設定する威光価格(プレステージ価格)。ウは,本体を安く売り,関連する消耗品で利益を得るキャプティブ価格(ジレット戦略)。エは,新商品に高い価格を設定して早期に開発費などを回収するスキミング価格である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
MPEG-4 などに存在するパテントプールの説明として,適切なものはどれか。
ア 国際機関及び標準化団体による公的な標準ではなく,市場の実勢によって事実上の標準とみなされるようになった規格及び製品
イ 著作権表示を保持することによって,ソフトウェアの使用,複製,改変及び再頒布が認められる仕組み
ウ 特許料が無償でライセンスされている技術
エ 複数の企業が自社の特許権をもち寄り,特許権を一括して管理する仕組み 正解
正解 エ
解説
パテントプールは,複数の企業が自社の特許権を持ち寄り,それらを一括して管理し,第三者にまとめてライセンスする仕組みである。MPEG-4 のように多数の企業の特許が絡む規格で,利用者が個々の企業と交渉しなくて済むようにする。エが適切である。
アは国際機関や標準化団体の公的な標準ではなく,市場の実勢で事実上の標準になったデファクトスタンダードの説明である。イは著作権表示を保持することを条件に使用,複製,改変,再頒布を認める,オープンソースソフトウェアのライセンスの考え方である。ウは特許料が無償でライセンスされるロイヤリティフリーの技術の説明である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
CPS(サイバーフィジカルシステム)を活用している事例はどれか。
ア 仮想化された標準的なシステム資源を用意しておき,業務内容に合わせてシステムの規模や構成をソフトウェアによって設定する。
イ 機器を販売するのではなく貸し出し,その機器に組み込まれたセンサで使用状況を検知し,その情報を元に利用者から利用料金を徴収する。
ウ 業務処理機能やデータ蓄積機能をサーバにもたせ,クライアント側はネットワーク接続と最小限の入出力機能だけをもたせてデスクトップの仮想化を行う。
エ 現実世界の都市の構造や活動状況のデータによって仮想世界を構築し,災害の発生や時間軸を自由に操作して,現実世界では実現できないシミュレーションを行う。 正解
正解 エ
解説
CPS(サイバーフィジカルシステム)は,現実世界(フィジカル空間)のデータを収集し,仮想世界(サイバー空間)で分析やシミュレーションを行い,その結果を現実世界に役立てる仕組みである。都市の構造や活動状況のデータで仮想世界を構築し,現実には試せない災害などのシミュレーションを行うエが該当する(デジタルツインとも呼ばれる)。
アはソフトウェアでシステム資源を構成する仮想化(SDx),イは機器の使用量に応じて課金するサブスクリプションや従量課金のビジネスモデル,ウはデスクトップ仮想化(シンクライアント)の事例で,いずれも現実世界のデータを仮想世界で分析して現実世界に還元する仕組みではない。
CPS とデジタルツイン
CPS は,現実世界のデータをセンサで集め,サイバー空間で分析・加工し,結果を現実世界に返して価値を生む仕組み全体。デジタルツインは,その輪のうちサイバー空間に現実をそっくり再現し,現実では試せないシミュレーションを行うところにあたる。
現実(フィジカル)
工場・都市・設備
センサ
サイバー空間
デジタルツイン
現実をそっくり再現
シミュレーション
① 集める
③ 現実に返す
② 分析する
VR やメタバースは,現実を再現して返すことが目的ではない
CPS は「集める→分析する→返す」の輪。デジタルツインは「分析する」場所
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
企業システムにおける SoE(Systems of Engagement)の説明はどれか。
ア 高可用性,拡張性,セキュリティを確保しながら情報システムを稼働・運用するためのハードウェア,ソフトウェアから構成されるシステム基盤
イ 社内業務プロセスに組み込まれ,定型業務を処理し,結果を記録することによって省力化を実現するためのシステム
ウ データの活用を通じて,消費者や顧客企業とのつながりや関係性を深めるためのシステム 正解
エ 日々の仕訳伝票を入力した上で,データの改ざん,消失を防ぎながら取引データベースを維持・管理することによって,財務報告を行うためのシステム
正解 ウ
解説
SoE(Systems of Engagement)は,データの活用を通じて,消費者や顧客企業とのつながり(エンゲージメント)や関係性を深めることを目的とするシステムである。変化の激しい顧客の行動に合わせて素早く改善を繰り返すことが求められる。ウが該当する。
これに対し,イやエのように,社内の定型業務を処理して結果を正確に記録し,財務報告などを支えるシステムは,SoR(Systems of Record)と呼ばれる。アは情報システムを稼働させるための IT 基盤(インフラストラクチャ)の説明である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。
ア 企業間の取引の契約内容
イ システムの運用時間
ウ 伝送制御手順
エ メッセージの形式 正解
正解 エ
解説
EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。
アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
不良品の個数を製品別に集計すると表のようになった。ABC 分析を行って,まず A 群の製品に対策を講じることにした。A 群の製品は何種類か。ここで,A 群は 70%以上とする。
正解 ウ
解説
ABC 分析では,不良品の個数が多い製品から順に並べて累計構成比を求め,累計が 70%以上になるまでを A 群とする。合計は 875 個で,P が 182(20.8%),Q を加えて 318(36.3%),R を加えて 438(50.1%),S を加えて 536(61.3%),T を加えて 627(71.7%)となり,T まで加えたところで初めて 70%以上になる。A 群は P,Q,R,S,T の 5 種類で,ウが正しい。
アの 3 種類(累計 50.1%)やイの 4 種類(累計 61.3%)では 70%に届かない。エの 6 種類は,累計が 710 個(81.1%)となり,70%を超えた後の U まで含めてしまっている。
ABC 分析と発注方式
品目を年間の使用金額の大きい順に並べて累計比率を求め,上位(例えば累計 70%まで)を A,次(90%まで)を B,残りを C に分ける。金額の大きい A はきめ細かく管理する定期発注方式,B は定量発注方式,C は手間の掛からない2ビン(ダブルビン)方式というように発注方式を選ぶ。
累計比率
A
定期発注
B
定量発注
C
2ビン
70
90
品目(金額の大きい順)
区切りの比率は例
金額の大きい順に A・B・C に分け,ランクごとに発注方式を変える
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
図は,定量発注方式を運用する際の費用と発注量の関係を示したものである。図中の③を表しているものはどれか。ここで,1回当たりの発注量を Q,1回当たりの発注費用を C,1単位当たりの年間保管費用を H,年間需要量を R とする。また,選択肢ア〜エのそれぞれの関係式は成り立っている。
ア 経済的発注量=√(2RC/H) 正解
イ 総費用=(Q/2)×H+(R/Q)×C
ウ 年間発注費用=(R/Q)×C
エ 平均年間保管費用=(Q/2)×H
正解 ア
解説
定量発注方式で,1 回当たりの発注量 Q を増やすと,年間の発注費用 (R/Q)×C(②)は減り,平均年間保管費用 (Q/2)×H(①)は増える。両者の合計である総費用(④)が最小になるのは①と②が交わる発注量で,それが経済的発注量(③)である。(Q/2)×H=(R/Q)×C を解くと Q=√(2RC/H) となるので,アが③を表している。
イの総費用は④,ウの年間発注費用は右下がりの曲線②,エの平均年間保管費用は右上がりの直線①を表す式である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
複雑な要因の絡む問題について,その因果関係を明らかにすることによって,問題の原因を究明する手法はどれか。
ア PDPC 法
イ クラスタ分析法
ウ 系統図法
エ 連関図法 正解
正解 エ
解説
連関図法は,複雑な要因が絡み合う問題について,原因と結果,原因と原因の因果関係を矢印でつないで図に表し,問題の真の原因を究明する手法(新 QC 七つ道具の一つ)である。エが該当する。
アの PDPC 法は,事態の進展に伴って起こりうる事態を予測し,目標に至る過程を決める手法である。イのクラスタ分析法は,性質の似たデータをまとめて分類する多変量解析の手法である。ウの系統図法は,目的を達成するための手段を段階的に展開する手法である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
資料は今年度の損益実績である。翌年度の計画では,営業利益を 30 百万円にしたい。翌年度の売上高は何百万円を計画すべきか。ここで,翌年度の固定費,変動費率は今年度と変わらないものとする。
正解 イ
解説
今年度の変動費は材料費 200+外注費 100=300 百万円なので,変動費率は 300÷500=0.6,限界利益率は 1−0.6=0.4 になる。固定費は製造固定費 100+販売固定費 80=180 百万円である。
翌年度の売上高を S とすると,営業利益は 0.4S−180 なので,これが 30 になるには 0.4S=210,S=525 百万円が必要である。イが正しい。営業利益を 10 増やすのに売上高を 10 増やせばよいと考えると 510(ア)になるが,売上高の増加分の 60%は変動費として消えるので足りない。
損益分岐点図表
横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。
売上高
金額
固定費
総費用
売上高
損益分岐点
損益分岐点売上高
利益
損失
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
プロバイダ責任制限法が定める特定電気通信役務提供者が行う送信防止措置に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 明らかに不当な権利侵害がなされている場合でも,情報の発信者から事前に承諾を得ていなければ,特定電気通信役務提供者は送信防止措置の結果として生じた損害の賠償責任を負う。
イ 権利侵害を防ぐための送信防止措置の結果,情報の発信者に損害が生じた場合でも,一定の条件を満たしていれば,特定電気通信役務提供者は賠償責任を負わない。 正解
ウ 情報発信者に対して表現の自由を保障し,通信の秘密を確保するため,特定電気通信役務提供者は,裁判所の決定を受けなければ送信防止措置を実施することができない。
エ 特定電気通信による情報の流通によって権利を侵害された者が,個人情報保護委員会に苦情を申し立て,被害が認定された際に特定電気通信役務提供者に命令される措置である。
正解 イ
解説
プロバイダ責任制限法は,プロバイダなどの特定電気通信役務提供者が権利侵害の情報について送信防止措置を講じた場合,それが必要な限度で行われ,他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったときなど一定の条件を満たせば,発信者に生じた損害について賠償責任を負わないと定めている。イが正しい。
アは誤りで,権利侵害を信じる相当の理由がある場合などは,発信者の承諾がなくても責任を負わない。ウも誤りで,送信防止措置は裁判所の決定がなくてもプロバイダの判断で講じられる。エの個人情報保護委員会への申立てと命令という仕組みは,この法律にはない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
マイナンバー法の個人番号を取り扱う事業者が特定個人情報の提供をすることができる場合はどれか。
ア A 社からグループ企業である B 社に転籍した従業員の特定個人情報について,B 社での給与所得の源泉徴収票の提出目的で,A 社が B 社から提出を求められた場合
イ A 社の従業員が B 社に出向した際に,A 社の従業員の業務成績を引き継ぐために,個人番号を業務成績に付加して提出するように,A 社が B 社から求められた場合
ウ 事業者が,営業活動情報を管理するシステムを導入する際に,営業担当者のマスタ情報として使用する目的で,システムを導入するベンダから提出を求められた場合
エ 事業者が,個人情報保護委員会による特定個人情報の取扱いに関する立入検査を実施された際,同委員会から資料の提出を求められた場合 正解
正解 エ
解説
番号法は,特定個人情報の提供を,法律で列挙した場合に限って認めている。その一つが,個人情報保護委員会が同法 35 条 1 項の規定により求めた特定個人情報を,事業者が同委員会に提供する場合で,立入検査の際に委員会から資料の提出を求められた場合のエが該当する。
ア(転籍した従業員)とイ(出向した従業員)は,A 社と B 社が別の事業者で,B 社は本人から直接個人番号の提供を受けるのが原則なので,A 社が B 社に提供することは認められない。ウは,営業活動情報のシステムを導入するベンダへの提供で,業務上の必要があっても番号法が認める場合に当たらない。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
A 社は B 社に対して業務システムの開発を委託し,A 社と B 社は請負契約を結んでいる。作業の実態から,偽装請負とされる事象はどれか。
ア A 社の従業員が,B 社を作業場所として,A 社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っている。
イ A 社の従業員が,B 社を作業場所として,B 社の責任者の指揮命令に従ってシステムの検証を行っている。
ウ B 社の従業員が,A 社を作業場所として,A 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成している。 正解
エ B 社の従業員が,A 社を作業場所として,B 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成している。
正解 ウ
解説
偽装請負は,請負契約の形をとりながら,実態は発注者が請負業者の従業員に直接指揮命令をしている状態をいう。請負では,請負業者が自らの責任者の指揮命令で仕事を完成させるのが原則である。B 社の従業員が A 社を作業場所とし,A 社の責任者の指揮命令に従って設計書を作成しているウは,実態が労働者派遣に当たるので,偽装請負とされる。
アは,A 社の従業員を A 社の責任者が指揮しており,自社の従業員の通常の管理である。イは,A 社の従業員が B 社の責任者の指揮命令に従っており,請負業者である B 社の従業員が発注者である A 社に指揮されるという偽装請負の形ではない。エは,B 社の従業員が B 社の責任者の指揮命令に従っており,作業場所が A 社でも,請負として適切な形である。
出典:令和2年度 10月 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
平成21年度 秋期
平成21年度 春期
この試験について すべての試験区分の一覧