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応用情報技術者試験

平成25年度 秋期 科目A(午前)

平成25年度 秋期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

会員を4桁の会員番号で管理している小売店がある。会員の中には,4と9の数字を嫌う人がいるとの理由で,会員番号は,0001,0002,0003,0005,…のように,この二つの数字を使わないように連番で発行している。会員番号を 0001 から 0528 まで発行したとき,会員番号を付与した会員数は何人か。

正解 ア

解説

4 と 9 を使わない番号は,各桁に使える数字が 0〜3 と 5〜8 の 8 種類なので,8 進数のように数えられる。0000〜0399 は百の位が 0〜3 の 4 通り,十の位と一の位が各 8 通りで 4×8×8=256 通り(0000 を含む)。0500〜0528 は百の位が 5,十の位が 0・1・2 の 3 通り,一の位が 8 通りで 3×8=24 通り。合計 280 通りから 0000 を除くと 279 人で,アが正しい。

ウの 422 は,一の位の制限だけを考えて 528×8/10≒422 とした値。イの 344 は,詰めずに 5,2,8 をそのまま 8 進数の重みに掛けた 5×64+2×8+8 の値。エの 427 は,使える数字を詰めた後の桁の並び 0427 を 10 進数のまま読んだ値で,いずれも発行した会員数ではない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

桁落ちによる誤差の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

桁落ちは,値がほぼ等しい二つの数値の差を求めたときに,上位の桁が打ち消し合って有効数字の桁数が少なくなることで生じる誤差である。例えば有効数字4桁の 1.234 と 1.233 の差は 0.001 となり,有効数字が1桁に減ってしまう。アが適切である。

イは有効桁数に合わせて下位の桁を切り捨てたり丸めたりすることで生じる丸め誤差。ウは絶対値の大きな数と小さな数を加減算したときに小さな数が反映されない情報落ち。エは無限に続く計算を途中で打ち切ることで生じる打切り誤差の説明である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

負の整数を表現する代表的な方法として,次の3種類がある。

4ビットのパターン 1101 を a〜c の方法で表現したものと解釈したとき,値が小さい順になるように三つの方法を並べたものはどれか。

正解 エ

解説

1101 は左端ビットが 1 なので負の数である。a(1 の補数)は全ビットを反転した 0010=2 の負数で −2。b(2 の補数)は反転して 1 を足した 0011=3 の負数で −3。c(絶対値に符号を付けた表現)は左端を除いた 101=5 の負数で −5。値は c(−5)<b(−3)<a(−2)の順で,エが正しい。

アは a の −2 を最小としている。イは c の −5 を最大としている。ウは b の −3 を最小としている。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

論理式 P,Q がいずれも真であるとき,論理式 R の真偽にかかわらず真になる式はどれか。ここで,“ ̄”は否定,“∨”は論理和,“∧”は論理積,“→”は含意(“真 → 偽”となるときに限り偽となる演算)を表す。

正解 エ

解説

P と Q がともに真のとき,含意 A→B は A(前件)が偽なら B の真偽によらず真になる。エは,P→Q が 真→偽 で偽,Q→P も 真→偽 で偽なので,前件 (P→Q)∨(Q→P) が偽となり,R の真偽にかかわらず式全体が真になる。

ア・ウは,後件 R→Q の Q が偽なので,R が真のとき後件が偽になる。前件は真(アは (P→Q)∧(Q→P),ウは Q→P が真)なので,R が真のとき全体が偽になる。イは前件が真で,後件 Q→R は Q が真なので R と同じ値になり,R が偽のとき全体が偽になる。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

通信回線を使用したデータ伝送システムに M/M/1 の待ち行列モデルを適用すると,平均回線待ち時間,平均伝送時間,回線利用率の関係は,次の式で表すことができる。回線利用率が0%から徐々に上がっていく場合,平均回線待ち時間が平均伝送時間よりも最初に長くなるのは,回線利用率が何%を超えたときか。

平均回線待ち時間 = 平均伝送時間 × 回線利用率/(1−回線利用率)

正解 イ

解説

平均回線待ち時間が平均伝送時間より長くなるのは,平均伝送時間に掛かる係数 回線利用率/(1−回線利用率) が 1 を超えるときである。回線利用率を ρ とすると ρ/(1−ρ)>1 を解いて ρ>1−ρ,すなわち ρ>0.5(50%)になる。50%を超えたときに初めて待ち時間が伝送時間を上回るので,イが正しい。

ρ=50%のとき係数はちょうど 1 で,待ち時間と伝送時間が等しくなる。ア(40%)では係数が 0.4/0.6≒0.67 で,まだ伝送時間より短い。ウ(60%)では 1.5 倍,エ(70%)では約 2.33 倍で,これらは 50% を超えて既に長くなった後の値である。

M/M/1 の待ち時間と利用率 M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。 0.5 → 1倍 0.8 → 4倍 0.9 → 9倍 1 利用率 ρ ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

葉以外の節点は全て二つの子をもち,根から葉までの深さが全て等しい木を考える。この木に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,深さとは根から葉に至るまでの枝の個数を表す。また,節点には根及び葉も含まれる。

正解 エ

解説

題意の木は,葉以外の節点(内部節点)が全て二つの子をもつ二分木で,どの葉も根からの深さが等しい。節点の総数は(内部節点の数+葉の数),枝の数は(節点の総数−1)で,枝は内部節点から2本ずつ出るので,内部節点を k 個,葉を n 個とすると 2k=(k+n)−1 が成り立つ。これを解くと k=n−1 となり,葉の個数が n ならば葉以外の節点の個数は n−1 である。エが正しい。

アは,枝の個数が n ならば節点の個数は n+1 になる。イは,深さが n ならば葉の個数は 2n(深さ1で2個,深さ2で4個)で,2n−1 ではない。ウは,節点の個数が n のとき深さは log2(n+1)−1 で,log2n ではない(深さ2の木は節点が7個で,log27 は2にならない)。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を h(x)=x mod n とすると,キー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。

正解 イ

解説

衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。

例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。

x mod n のハッシュ表で衝突する組 n=5 の表に,キーを5で割った余りの箱へ入れる。7 と 2 はどちらも余りが 2 で同じ箱に入り,衝突する。差 7−2=5 が n の倍数なので余りがそろう。1 と 4 は和が5でも余りは1と4で,衝突しない。 h(x) = x mod 5 0 1 1 7 と 2 2 3 4 4 衝突 7 mod 5 = 2,2 mod 5 = 2 → 差 7 − 2 = 5 は 5 の倍数 1 と 4:和は 5 でも余りは 1 と 4(衝突しない) 箱の下の数字が余り(格納位置)
余りが等しい ⇔ 差 a−b が n で割り切れる

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

再帰的に定義された手続 proc で,proc(5) を実行したとき,印字される数字を順番に並べたものはどれか。

proc(n)
 n=0 ならば戻る
そうでなければ
{
   n を印字する
   proc(n−1) を呼び出す
   n を印字する
}
を実行して戻る

正解 イ

解説

proc(n) は n を印字し,proc(n−1) を呼び出し,戻ってからもう一度 n を印字する。proc(5) は 5 を印字して proc(4) を呼び,その中で proc(3),proc(2),proc(1) と呼び出しが入れ子になる。proc(0) は何も印字せずに戻る。前半は 5 4 3 2 1,呼出しから戻りながらの後半は 1 2 3 4 5 となり,5432112345 で,イが正しい。

アは 1 を一度しか印字していない。ウ・エは n=0 のときにも 0 を印字しているが,n=0 では何も印字せずに戻る。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

未整列の配列 a[i](i=1,2,…,n)を,流れ図で示すアルゴリズムによって昇順に整列する。n=6 で a[1]〜a[6] の値がそれぞれ,21,5,53,71,3,17 の場合,流れ図において,a[j−1] と a[j] の値の入替えは何回行われるか。

流れ図。開始 → ループ1(i:1,1,n−1)→ ループ2(j:n,−1,i+1)→ 判定 a[j−1]>a[j] が Yes なら a[j−1] と a[j] の値を入れ替える → ループ2の終わり → ループ1の終わり → 終了。注:ループ端の繰返し指定は,変数名:初期値,増分,終値を示す。

正解 ウ

解説

流れ図は,後ろ(j=n)から前へ向かって隣どうしを比べ,前の値が大きければ入れ替える操作を,i=1 から n−1 まで繰り返すバブルソートである。バブルソートの入替え回数は,配列の中で“前にある値が後ろの値より大きい”組(逆転している組)の数に等しい。

21,5,53,71,3,17 で逆転している組を数えると,21 と(5,3,17)で3組,5 と 3 で1組,53 と(3,17)で2組,71 と(3,17)で2組,合わせて8組になる。入替えは8回行われ,ウが正しい。

バブルソートの入替え回数=逆転している組の数 隣どうしを入れ替えるたびに,前の値が後ろの値より大きい組(逆転している組)が1つずつ減る。21,5,53,71,3,17 では,21 の後ろに小さい 5・3・17 で3組,5 の後ろに 3 で1組,53 の後ろに 3・17 で2組,71 の後ろに 3・17 で2組,合わせて8組なので,入替えは8回。 21 5 53 71 3 17 21 の後ろの小さい値:5・3・17 3 組 5 の後ろの小さい値:3 1 組 53 の後ろの小さい値:3・17 2 組 71 の後ろの小さい値:3・17 2 組 3・17 の後ろに小さい値はない 3 + 1 + 2 + 2 = 8 回
入替え1回で逆転している組が1つ減る。逆転の数=入替えの回数

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

メモリインタリーブの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

メモリインタリーブは,主記憶を幾つかの区画(バンク)に分割し,連続したアドレスを異なる区画に割り当てることで,連続したメモリアドレスへのアクセス要求を複数の区画で並行して処理し,アクセスを高速化する方式である。エが適切である。

アはキャッシュメモリから追い出す情報を主記憶に書き戻すライトバック方式の動作。イは主記憶と磁気ディスクのアクセス時間の差を補うディスクキャッシュ。ウは主記憶とキャッシュメモリを同時に更新するライトスルー方式の説明である。

メモリインタリーブ 主記憶を4つのバンクに分け,連続したアドレスを 0 番地はバンク0,1 番地はバンク1,… と順に割り当てる。連続したアドレスを読むとき,バンク0 のアクセスが終わるのを待たずにバンク1・2・3 へのアクセスを始められるので,全体として速く読める。 バンク0 0 番地 4 番地 8 番地 12 番地 バンク1 1 番地 5 番地 9 番地 13 番地 バンク2 2 番地 6 番地 10 番地 14 番地 バンク3 3 番地 7 番地 11 番地 15 番地 0〜3 番地を続けて読むと,アクセスが重なる バンク0 0 番地 バンク1 1 番地 バンク2 2 番地 バンク3 3 番地 時間
連続したアドレスが別々のバンクに入るので,並行して読める

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

容量が a M バイトでアクセス時間が x ナノ秒のキャッシュメモリと,容量が b M バイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPU からみた,主記憶とキャッシュメモリとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで,読み込みたいデータがキャッシュメモリに存在しない確率を r とし,キャッシュメモリ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。

正解 イ

解説

読み込みたいデータがキャッシュメモリにある確率は 1−r で,このときのアクセス時間は x ナノ秒である。キャッシュメモリにない確率は r で,このときは主記憶から読むので y ナノ秒掛かる。平均アクセス時間は,それぞれのアクセス時間に確率を掛けて足した (1−r)・x+r・y で,イが正しい。

エは r と 1−r を取り違えた式である。アとウは容量の比 a/(a+b),b/(a+b) を掛けているが,平均アクセス時間はデータがどちらにあるかの確率だけで決まり,キャッシュメモリや主記憶の容量は関係しない。

キャッシュに無い確率 r のときの平均アクセス時間 読みたいデータがキャッシュにある確率は 1−r で,そのときはキャッシュのアクセス時間 x で読める。無い確率 r のときは主記憶から y で読む。平均は (1−r)・x + r・y。容量 a・b は関係しない。 CPU キャッシュ 時間 x 主記憶 時間 y 1−r r (1−r)・x r・y 平均 = (1−r)・x + r・y
r は「無い」確率なので,主記憶の側に掛ける

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

DMA の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

DMA(Direct Memory Access)は,専用の制御回路(DMA コントローラ)が CPU を介さずに,入出力装置と主記憶などの間のデータ転送を行う方式である。転送の間も CPU は別の処理を続けられる。ウが適切である。

アは CPU が入出力装置と主記憶の間のデータの受渡しを自ら行うプログラム制御の転送方式で,DMA ではない。イは入出力装置のレジスタをアドレス空間に割り当てて入出力を行う方式(メモリマップド I/O など)の説明。エは複数の命令の実行ステージを重ねて処理するパイプライン処理の説明である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

80 G バイトの磁気ディスク8台を使用して,RAID0 の機能と RAID1 の機能の両方の機能を同時に満たす構成にした場合,実効データ容量は何 G バイトか。

正解 ア

解説

RAID0(ストライピング)と RAID1(ミラーリング)の両方の機能を同時に満たす構成は RAID0+1(又は RAID1+0)で,データを複数のディスクに分散して書き込み,その内容をもう一組のディスクに複製する。8 台のうち半分がミラーに使われるので,実効データ容量は 80G×8÷2=320G バイトである。アが正しい。

エの 640 は 8 台全部をデータに使える RAID0 だけの値。ウの 560 はパリティ 1 台分を引いた RAID5 の 80×7。イの 480 はパリティ 2 台分を引いた RAID6 の 80×6 で,いずれもミラーリングによる半減を反映していない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

分散処理システムに関する記述のうち,アクセス透過性を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

アクセス透過性は,分散システムの利用者が,資源がどこにあるか,またそこでどのような方式で処理されるかを意識せずに,手元にある資源と同じ操作で利用できることをいう。アが当てはまる。

イは各組織が運用と管理を独立して行える自律性,ウはデータの発生場所や要求場所で処理して通信量を抑える分散処理の利点,エは対等なコンピュータが複数あることで一部が故障しても処理を続けられるという信頼性の向上に関する記述で,資源へのアクセス方法を共通にするというアクセス透過性の説明ではない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

1件のデータを処理する際に,読取りには 40 ミリ秒,CPU 処理には 30 ミリ秒,書込みには 50 ミリ秒掛かるプログラムがある。このプログラムで,n 件目の書込みと並行して n+1件目の CPU 処理と n+2件目の読取りを実行すると,1分当たりの最大データ処理件数は幾つか。ここで,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。

正解 エ

解説

並行して実行できる読取り・CPU 処理・書込みを流れ作業のように重ねるので,1 件の処理が終わる間隔は,最も長い処理の時間で決まる。三つの処理のうち最長は書込みの 50 ミリ秒なので,1 件を 50 ミリ秒ごとに処理でき,1 分(60,000 ミリ秒)当たりの最大データ処理件数は 60,000÷50=1,200 件である。エが正しい。

アの 500 件は,並行処理をせず 1 件を 40+30+50=120 ミリ秒で処理した場合(60,000÷120)の値である。イの 666 件は読取りと書込みの合計 90 ミリ秒,ウの 750 件は CPU 処理と書込みの合計 80 ミリ秒で割った値で,並行して実行する処理の時間を足してしまった誤りである。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

フェールセーフの考え方として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

フェールセーフは,システムに障害が発生したときに,被害が広がらないよう常に安全な側に動作するように制御する設計の考え方である。例えば信号機の故障時に赤を点灯させる,踏切の故障時に遮断機を下ろすなどがこれに当たる。アが適切である。

イは機能を縮退させて運用を継続するフェールソフト。ウは重要な構成要素を複数備えて信頼性を高める冗長化(フォールトトレランス)。エは誰が操作しても誤動作が起きにくいようにするフールプルーフの考え方である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

稼働率が α(0<α<1)の装置三つを用いて図のようにシステムを設計するとき,システムの稼働率が装置単体の稼働率を上回るものはどれか。ここで,並列に接続されている部分は,いずれかの経路が稼働していればシステムは稼働しているものとする。

三つのシステム構成。A は装置三つを並列に接続したもの。B は装置一つと,装置二つを並列にしたものを直列に接続したもの。C は装置一つと,装置二つを直列にしたものを並列に接続したもの。

正解 イ

解説

A は装置三つの並列なので,稼働率は 1−(1−α)3 で,一つでも動けばよいため α より大きくなる。B は装置一つと並列の二つの直列で,α×{1−(1−α)2}=α×(2α−α2) となる。0<α<1 では 2α−α2<1 なので,α を下回る。

C は装置一つと直列の二つの並列で,1−(1−α)(1−α2)=α+α2−α3 となる。α2>α3 なので α を上回る。単体の稼働率を上回るのは A と C で,イが正しい。

装置3つの組み方と稼働率 A は3つの並列で 1−(1−α)³ となり α より大きい。B は1つと「2つの並列」の直列で α{1−(1−α)²},かっこの中は1未満なので α より小さい。C は1つと「2つの直列」の並列で 1−(1−α)(1−α²)=α+α²−α³ となり,α²>α³ なので α より大きい。 A α α α 1−(1−α)³ > α B α α α α{1−(1−α)²} < α C α α α α+α²−α³ > α 単体(α)を上回るのは A と C B は直列の1台が足を引っ張る
直列が入ると単体より下がり,並列が入ると上がる。A と C が単体を上回る

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

記憶領域の動的な割当て及び解放を繰り返すことによって,どこからも利用できない記憶領域が発生することがある。このような記憶領域を再び利用可能にする機能はどれか。

正解 ア

解説

ガーベジコレクションは,プログラムの実行中に記憶領域の割当てと解放を繰り返すうちに生じる,どこからも参照されなくなった不要な領域を自動的に回収し,再び利用できるようにする機能である。アが正しい。

イのスタックは後入れ先出しで領域を管理するデータ構造,ウのヒープは実行時に動的に割り当てる記憶領域そのもので,領域を回収する機能ではない。エのフラグメンテーションは,空き領域が細切れになって有効に使えなくなる現象である。

ガーベジコレクション:どこからも参照されない領域を回収する プログラムが動的に確保したヒープ領域のうち,変数(ルート)からたどれる領域はまだ使われている。どこからもたどれなくなった領域は二度と使われないので,ガーベジコレクションが自動的に見つけて回収し,再び割り当てに使えるようにする。空き領域を寄せて連続にするのはコンパクション,細切れになる現象はフラグメンテーション。 変数 (ルート) ヒープ A B C D E どこからも参照されない 塗り(D・E):ルートからたどれない → 回収して再利用 D から E を指していても,D に誰も届かなければ E も回収
ルートからたどれない領域を見つけて回収する

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

プロセスのスケジューリングに関する記述のうち,ラウンドロビン方式の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ラウンドロビン方式は,実行可能なプロセスを待ち行列に並べ,先頭から順に一定の時間(タイムクウォンタム)ずつ CPU を割り当て,時間内に終了しなければ待ち行列の最後につないで次のプロセスに切り替える方式である。エが適切である。

アは優先度の高いプロセスが到着すると実行中のプロセスを中断させるプリエンプティブな優先度順方式。イはイベントの発生を契機にその時点で最も優先度の高いプロセスを実行するイベントドリブンな優先度順方式。ウのように処理時間に比例してタイムクウォンタムを変えるのは,一定の時間ずつ公平に割り当てるラウンドロビン方式の特徴とは異なる。

ラウンドロビン方式 実行可能なプロセスを待ち行列に並べ,先頭から順に一定の時間(タイムクウォンタム)ずつ CPU を割り当てる。時間内に終わらなければ待ち行列の最後につなぎ直し,次のプロセスに切り替える。 待ち行列(右が先頭) P4 P3 P2 最後 先頭 CPU P1 を実行中 次 タイムクウォンタムを使い切っても終わらない → 待ち行列の最後へ 終わったプロセスは列から抜ける
決まった時間ずつ順番に。終わらなければ列の最後へ

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

コンパイラにおける処理を字句解析,構文解析,意味解析,最適化の四つのフェーズに分けたとき,意味解析のフェーズで行う処理はどれか。

正解 ウ

解説

コンパイラの意味解析は,構文解析で得られた構造をもとに,変数の宣言と使用の対応付けや,演算におけるデータ型の整合性のチェックなど,プログラムの意味上の誤りを調べるフェーズである。ウが該当する。

アは文法誤りをチェックする構文解析。イは文字の列を意味のある最小の構成要素(トークン)の列に変換する字句解析。エはレジスタ割付けや不要な演算の省略などを行う最適化の処理である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

表は OSS のライセンスごとに,その OSS を利用したプログラムを配布するとき,ソースコードを公開しなければならないかどうかを示す。a〜d に入れるライセンスの適切な組合せはどれか。ここで,表中の“○”は公開しなければならないことを表し,“×”は公開しなくてもよいことを表す。

OSS のライセンス a〜d ごとに,ソースコードを公開しなければならないかを示す表。OSS のソースコードを修正して作ったプログラムは,a,b,c が○,d が×。OSS に静的にリンクしたプログラムは,a,b が○,c,d が×。OSS に動的にリンクしたプログラムは,a が○,b,c,d が×。

正解 ア

解説

ソースコードの公開義務の強さで並べると,GPL は,GPL のソースを修正した場合はもちろん,静的にも動的にもリンクしたプログラムまで公開が必要で,表の a(すべて○)に当たる。LGPL は,ライブラリ自体を修正したときと静的リンクのときは公開が必要で,動的リンクは公開が不要なので,b(○,○,×)に当たる。MPL は,MPL のソースコードを修正したときは公開が必要だが,リンクしただけのプログラムは公開が不要なので,c(○,×,×)に当たる。BSD は,ソースコードの公開義務がなく,d(すべて×)に当たる。組合せはアである。

イ~エは GPL を a 以外に置いたり,BSD を d 以外に置いたりしており,いずれもライセンスの性質と合わない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

SRAM と比較した場合の DRAM の特徴はどれか。

正解 ウ

解説

DRAM は,1ビットをトランジスタ1個とコンデンサ1個という単純な構成のメモリセルで記憶する。集積度を上げやすく,ビット当たりの単価が安いので,主記憶に使われる。ウが正しい。

アは誤り。高速なキャッシュメモリには SRAM が使われる。イは誤り。DRAM はコンデンサの電荷が時間とともに失われるので,定期的なリフレッシュが必要である(リフレッシュが不要なのは SRAM)。エは誤り。フリップフロップでデータを保持するのは SRAM である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

RTC(Real-Time Clock)の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

RTC(Real-Time Clock)は,日付及び時刻を示すカレンダ情報をもち,電池などでバックアップして電源が切れた状態でも時刻を刻み続ける回路で,システムの時刻の管理に使われる。エが適切である。

アはカウンタ値と設定値が一致したときに割込みを発生させるインターバルタイマ(コンペアマッチ)の動作。イは設定時間内にリスタートされないとシステムをリセットするウォッチドッグタイマの動作。ウは入力信号又は基準周波数と出力信号の周波数を一致させる PLL(位相同期回路)の説明である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

図の回路において出力が x=0,y=1 である状態から,x=1,y=0 に変える入力 a 及び b の組合せはどれか。

否定論理和素子(NOR)二つを組み合わせた回路。上の NOR の入力は a と下の NOR の出力 y,出力は x。下の NOR の入力は b と上の NOR の出力 x,出力は y。出力 x,y は互いのもう一方の素子の入力にたすき掛けで戻される。

正解 イ

解説

否定論理和(NOR)は,入力が両方とも 0 のときだけ 1 を出力する。この回路は x=NOR(a,y),y=NOR(b,x) で,互いの出力を相手の入力に戻している。初めは x=0,y=1 である。a=0,b=1 を入力すると,y=NOR(1,0)=0 になり,これを受けて x=NOR(0,0)=1 になる。x=1,y=0 に変わるので,イが正しい(b を 0 に戻しても,y=NOR(0,1)=0,x=NOR(0,0)=1 のまま保たれる)。

アは a=b=0 で,x=NOR(0,1)=0,y=NOR(0,0)=1 のまま変わらない。ウは a=1,b=0 で,x=NOR(1,1)=0,y=NOR(0,0)=1 のまま変わらない。エは a=1,b=1 で,x=NOR(1,y)=0,y=NOR(1,x)=0 となり,x は 1 にならない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

ユーザビリティの説明として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ユーザビリティ(使用性)は,ある製品が,指定された利用者によって,指定された利用の状況下で,指定された目的を達成するために用いられる際の,有効さ,効率及び利用者の満足度の度合いをいう(JIS Z 8521:1999)。どれだけ利用者がストレスを感じずに,目標とする要求が達成できるかを表すエが最も適切である。

アは障害,年齢,性別,国籍などにかかわらず誰もが使えるようにするユニバーサルデザインの考え方。イは障害者や高齢者がサービスを支障なく操作・利用できる度合いを表すアクセシビリティ。ウは障害者や高齢者に負担を与えないことを目指すバリアフリーの設計の考え方である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

動画や音声などのマルチメディアコンテンツのレイアウトや再生のタイミングを XML フォーマットで記述するための W3C 勧告はどれか。

正解 ウ

解説

SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)は,動画・音声・静止画・テキストなどをどこに配置し,どのタイミングで再生するかを XML で記述するための W3C 勧告。ウが正しい。

アの Ajax は非同期通信で画面を部分更新する Web の実装手法で W3C 勧告ではない。イの CSS は文書の見た目を指定するスタイルシート言語。エの SVG はベクター画像を XML で記述する形式で,どちらも再生のタイミングを扱うものではない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

クライアントサーバシステムにおけるストアドプロシージャに関する記述のうち,誤っているものはどれか。

正解 ウ

解説

ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をまとめて DBMS に格納しておき,クライアントから名前を指定して呼び出す仕組みである。複数の SQL 文を1回の呼出しで実行できるので通信回数を減らせる。データベースへのアクセスを細かい単位でプロシージャにすると,呼出しの回数が増えて通信の負荷が高まり,処理性能はかえって低下するので,ウが誤りである。

アの機密性の高い処理を特定のプロシージャ経由に限定することによるセキュリティの向上,イの共通処理をプロシージャとして格納することによる処理の標準化,エの複数の SQL 文を1回の呼出しで実行することによる通信回数の削減は,いずれもストアドプロシージャの利点として正しい。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

RDBMS のコストベースのオプティマイザの機能の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

コストベースのオプティマイザは,RDBMS が収集した統計情報(表の行数,列の値の分布,索引の有無など)をもとに,複数のアクセスパスについて実行コストを見積もって実行計画を比較し,コストが最小のものを選ぶ。アが適切である。

イは誤りで,オプティマイザが比べるのは SQL 文ごとのアクセスパスで,アプリケーション全体の実行計画ではない。ウは誤りで,インデックスがあっても表全体を走査した方が低コストと見積もられれば,インデックスを使わない。エのルールの優先度でアクセスパスを選ぶのは,ルールベースのオプティマイザである。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

関係を第2正規形から第3正規形に変換する手順はどれか。

正解 イ

解説

第3正規形は,非キー属性間の関数従属(推移的関数従属)を取り除いた形。第2正規形の関係に非キー属性間の関数従属があれば,その部分を別の関係に分解する。

ウは部分関数従属を取り除く第2正規形への変換,エは繰返し項目をなくす第1正規形への変換。アは非キー属性から候補キーの一部への従属を扱うもので,ボイス・コッド正規形に関する話。

正規化で表を分けていく 受注明細(受注番号,商品番号,顧客番号,顧客名,商品名,数量)の例。主キーは受注番号と商品番号の組。第2正規形にするには,主キーの一部だけで決まる属性を分ける(受注番号で決まる顧客番号・顧客名,商品番号で決まる商品名)。第3正規形にするには,主キー以外の属性で決まる属性を分ける(顧客番号で決まる顧客名)。 第1正規形(1つの欄に1つの値) 受注明細( 受注番号 , 商品番号 , 顧客番号 , 顧客名 , 商品名 , 数量 ) 受注番号だけで顧客番号・顧客名が,商品番号だけで商品名が決まる 第2正規形(キーの一部で決まる属性を分ける) 受注( 受注番号 , 顧客番号 , 顧客名 ) 受注明細( 受注番号 , 商品番号 , 数量 ) 商品( 商品番号 , 商品名 ) 受注の中で,顧客番号から顧客名が決まる(推移的関数従属) 第3正規形(キー以外で決まる属性を分ける) 受注( 受注番号 , 顧客番号 ) 顧客( 顧客番号 , 顧客名 ) +受注明細・商品
下線は主キー。第2は「キーの一部で決まるもの」,第3は「キー以外で決まるもの」を別の表へ

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

関係 R と関係 S に対して,関係 X を求める関係演算はどれか。

関係 R(ID,A,B)は 0001・a・100,0002・b・200,0003・d・300 の3行。関係 S は 0001・a・100,0002・a・200 の2行。関係 X は 0001・a・100,0002・a・200,0002・b・200,0003・d・300 の4行。

正解 エ

解説

関係 X は,R の3行(0001 a 100,0002 b 200,0003 d 300)と S の2行(0001 a 100,0002 a 200)を合わせ,重複する 0001 a 100 を1行にまとめた4行になっている。R と S の一方又は両方に含まれる行を集めた和(R∪S)で,エが正しい。

アの ID による結合なら,ID が一致する行どうしをつなげた列の多い関係になる。イの差(R−S)は R にあって S にない 0002 b 200 と 0003 d 300 の2行になる。ウの直積は R と S の行の全ての組合せで 3×2=6行になる。

関係演算:選択・射影・和・差 選択は条件に合う行を取り出し,射影は指定した列を取り出す。射影の結果は集合なので,重複する行は1つにまとめる(SQL では DISTINCT)。表 T の A と C への射影では (a1,c1) と (a2,c2) が重なり,3行になる。和 R∪S は両方の行を合わせて重複を1つに,差 R−S は R にあって S にない行。 表 T(A と C を射影) ID A B C 001 a1 b1 c1 002 a1 b1 c2 003 a1 b2 c1 004 a2 b1 c2 005 a2 b2 c2 射影の結果 A C a1 c1 a1 c2 a2 c2 (a1,c1) と (a2,c2) が 重なるので 3行に R ID A B 0001 a 100 0002 b 200 0003 d 300 S ID A B 0001 a 100 0002 a 200 和 R∪S ID A B 0001 a 100 0002 a 200 0002 b 200 0003 d 300 差 R−S ID A B 0002 b 200 0003 d 300 0001 a 100 は S にもあるので除く
選択は行,射影は列。射影は重複を取り除く

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

地域別に分かれている同じ構造の三つの商品表,“東京商品”,“名古屋商品”,“大阪商品”がある。次の SQL 文と同等の結果が得られる関係代数式はどれか。ここで,三つの商品表の主キーは“商品番号”である。

SELECT * FROM 大阪商品
     WHERE 商品番号 NOT IN (SELECT 商品番号 FROM 東京商品)
UNION
SELECT * FROM 名古屋商品
     WHERE 商品番号 NOT IN (SELECT 商品番号 FROM 東京商品)

正解 イ

解説

NOT IN の副問合せで東京商品にある商品番号を除いた大阪商品の行と,同様に除いた名古屋商品の行を UNION(和集合)でまとめている。式にすると (大阪商品−東京商品)∪(名古屋商品−東京商品)=(大阪商品∪名古屋商品)−東京商品 で,イが正しい。

アは共通部分(∩)を使っており,大阪と名古屋の両方にある商品しか残らない。ウ・エは東京商品を引かれる側にしており,東京商品の行から他の表の行を除いた結果になるため,東京にない商品を求めるこの SQL 文とは逆になる。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

IPv4 ネットワークで用いられる可変長サブネットマスクとして,正しいものはどれか。

正解 エ

解説

サブネットマスクは,上位のビットから連続して1が並び,その後に連続して0が並ぶ形でなければならない。可変長サブネットマスクは,この1の並びの長さを用途に応じて変えるものである。最後のオクテットが 128=10000000 の 255.255.255.128 は,1が25ビット連続するので正しいサブネットマスクで,エが正しい。

アの 1=00000001,イの 32=00100000,ウの 64=01000000 は,いずれも1の並びの途中に0が入る形になり,サブネットマスクとして使えない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

ビット誤り率が 10%の伝送路を使ってビットデータを送る。誤り率を改善するために,送信側は元データの各ビットを3回ずつ連続して送信し,受信側は多数決をとって元データを復元する処理を行う。このとき,復元されたデータのビット誤り率はおよそ何%か。ここで,伝送路におけるビットデータの増減や,同期方法については考慮しないものとする。

正解 イ

解説

ビット誤り率 p=0.1 の伝送路で各ビットを 3 回送ると,多数決で誤るのは 3 回中 2 回以上が誤るときである。ちょうど 2 回誤る確率は 3×0.1²×0.9=0.027,3 回とも誤る確率は 0.1³=0.001 で,合計 0.028=2.8%になる。イが正しい。

アの 1.0 は 2 ビットが誤る確率 0.1² だけで,誤りの位置の組合せ 3 通りを考えていない値。ウの 3.1 は 3×0.1²+0.1³ で,2 回誤るときに残る 1 回が正しい確率 0.9 を掛けていない値。エの 3.3 は 3×0.1²+3×0.1³ のように,3 回とも誤る場合の組合せ数を取り違えた値である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

イーサネット方式の LAN で用いられるブロードキャストフレームによるデータ伝送の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ブロードキャストフレームは,宛先 MAC アドレスを全ビット 1(FF:FF:FF:FF:FF:FF)にして送るフレームで,同一セグメント内の全てのノードが受信する。送信元は一度の送信で全てのノードにデータを伝送できる。アが正しい。

イは全てのノードに順番に送るので,ユニキャストを繰り返す方法である。ウは選択された複数のノードに一度の送信で届けるマルチキャスト,エは選択されたノードに順番に送るので,ユニキャストを必要な数だけ繰り返す方法である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

IP ネットワークのプロトコルのうち,OSI 基本参照モデルのトランスポート層に位置するものはどれか。

正解 エ

解説

OSI 基本参照モデルのトランスポート層は,端末間でのデータの転送を担う層で,IP ネットワークでは TCP と UDP がこの層のプロトコルである。エの UDP が正しい。

アの HTTP とウの SMTP は Web や電子メールのためのアプリケーション層のプロトコル,イの ICMP は IP の通信のエラー通知や診断に使うネットワーク層のプロトコルである。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

図に示す IP ネットワークにおいて,端末 a から端末 b への送信パケットをモニタツールで採取した。パケットのヘッダ情報に含まれるアドレスの組合せとして,適切なものはどれか。

IP ネットワークの構成図。上段のセグメントにルータ1,モニタツール,ルータ2が接続されている。ルータ1の下のセグメントに端末 a,ルータ2の下のセグメントに端末 b が接続されている。

正解 ウ

解説

モニタツールはルータ1 とルータ2 の間のセグメントにつながっている。ここを流れるパケットは,ルータ1 がルータ2 に転送するものなので,宛先 MAC アドレスはルータ2,送信元 MAC アドレスはルータ1 になる(MAC アドレスは同じセグメント内の次の機器宛てで,ルータを経由するたびに付け替えられる)。IP アドレスは端末間でそのまま保たれ,宛先は端末 b,送信元は端末 a である。ウが適切である。

アは MAC アドレスまで端末のままで,端末 a と端末 b が同じセグメントにあるときのパケット。イは MAC アドレスが端末,IP アドレスがルータとなっており,どちらも逆の関係である。エは IP アドレスまでルータにしているが,IP アドレスはルータを経由しても変わらない。

区間ごとに変わる宛先 MAC,変わらない宛先 IP ホスト A から別のネットワークのホスト B へ送るとき,LAN1 では宛先 MAC アドレスをルータの MAC3,宛先 IP アドレスをホスト B の IP2 にする。ルータは LAN2 へ転送するとき,宛先 MAC アドレスを MAC2 に付け替える。宛先 IP アドレスは最後まで IP2 のまま。LAN2 で IP2 と MAC2 を ARP で対応付けるのはルータ。 ホスト A MAC1/IP1 ルータ MAC3 / MAC4 ホスト B MAC2/IP2 LAN1 LAN2 宛先 MAC:MAC3 宛先 IP:IP2 宛先 MAC:MAC2 宛先 IP:IP2 LAN1 のフレーム LAN2 のフレーム LAN2 で ARP を使って IP2 と MAC2 を対応付けるのはルータ
MAC アドレスは区間(LAN)ごとの宛先,IP アドレスは最終的な宛先

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

PC からサーバに対し,IPv6 を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うのに利用するものはどれか。

正解 ア

解説

IPsec は IP パケット自体を暗号化・認証するプロトコルで,OSI 基本参照モデルのネットワーク層(第3層)で動作する。IPv6 では標準的に組み込まれている。

イの PPP はデータリンク層のプロトコル。ウの SSH とエの SSL はトランスポート層より上位で動作し,ネットワーク層の暗号化には当たらない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

非常に大きな数の素因数分解が困難なことを利用した公開鍵暗号方式はどれか。

正解 エ

解説

RSA は,非常に大きな二つの素数の積を素因数分解することが困難であることを安全性の根拠とする公開鍵暗号方式である。エが正しい。

アの AES とウの IDEA は共通鍵暗号方式。イの DSA は離散対数問題の困難さを根拠とする,ディジタル署名のための方式である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

ディジタル署名において,発信者がメッセージのハッシュ値からディジタル署名を生成するのに使う鍵はどれか。

正解 エ

解説

ディジタル署名では,発信者が自分だけがもつ秘密鍵でメッセージのハッシュ値を暗号化して署名を生成し,受信者は発信者の公開鍵で署名を検証する。秘密鍵を持っているのは発信者本人だけなので,署名が本人によって作られたことを確かめられる。エが正しい。

ウの発信者の公開鍵は署名の検証に使う鍵である。アとイの受信者の鍵は,受信者あてにメッセージを暗号化して秘密にする場合に使うもので,ディジタル署名の生成には使わない。

ディジタル署名の作り方と確かめ方 送信者は文書のハッシュ値を求め,自分の秘密鍵で変換して署名を作り,文書に付けて送る。受信者は署名を送信者の公開鍵で戻し,受け取った文書から自分で求めたハッシュ値と比べる。一致すれば,文書は書き換えられておらず,送信者の秘密鍵で作られたと分かる。暗号化とは鍵の使い方が逆になる。 送信者 受信者 文書 ハッシュ関数 ハッシュ値 送信者の秘密鍵 署名 文書 ハッシュ ハッシュ値 =? ハッシュ値 署名 送信者の公開鍵 一致 → 書き換えられていない・送信者が作った(否認防止) 署名:送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる 暗号化:受信者の公開鍵で暗号化し,受信者の秘密鍵で戻す
署名は送信者の秘密鍵で作り,送信者の公開鍵で確かめる(暗号化と逆)

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

ISMS において定義することが求められている情報セキュリティ基本方針に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ISMS 適合性評価制度の基準(JIS Q 27001 とその管理策)では,情報セキュリティ基本方針は,事業上の要求事項や関連する法令に従って,情報セキュリティのための経営陣の方向性及び支持を規定するものとされる。ウが適切である。

アは誤りで,基本方針は従業員や関係する外部の者に周知する必要がある。イは誤りで,ビジネス環境や技術の変化に応じて定期的にレビューし,必要に応じて見直す。エは特定のシステムについてのリスク分析と対策や運用の詳細で,基本方針の下位にある個別の規程や手順書で定める内容である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

ビヘイビア法のウイルス検出手法に当たるものはどれか。

正解 エ

解説

ビヘイビア法は,検査対象を実際に(隔離した仮想環境などで)動作させ,ファイルの書込みや通信などの挙動を監視して,ウイルスらしい振る舞いを検出する手法である。エが当たる。

アは感染していないことを保証する情報を付けておく,チェックサム法(インテグリティチェック法)。イは原本と比較するコンペア法。ウは既知のウイルスの特徴と照合する点で,パターンマッチング法(シグネチャ法)に近い考え方である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

クロスサイトスクリプティングの手口はどれか。

正解 ア

解説

クロスサイトスクリプティングは,Web アプリケーションが入力データを適切に無害化せずに Web ページに出力する脆弱性を突き,入力フィールドなどに悪意のあるスクリプト(JavaScript など)を含むデータを送り込んで,閲覧者の Web ブラウザ上で実行させる攻撃である。アが該当する。

イは不正アクセスによるデータの改ざんや破壊の一般的な説明。ウは大量のデータを送り込んでバッファ領域をあふれさせるバッファオーバフロー攻撃。エはパス名を推測して認証を経ずにページへ直接アクセスする強制ブラウジングの説明である。

XSS・CSRF・クリックジャッキング XSS(反射型)は,スクリプトを含む罠のリンクを利用者に開かせ,脆弱なサイトがそのスクリプトをそのままページに埋めて返すので,利用者のブラウザで実行される。CSRF は,ログイン中の利用者に罠のページを開かせ,その利用者の Cookie 付きで意図しない要求(書込み・送金など)を正規のサイトに送らせる。クリックジャッキングは,透明にした正規サイトを罠のページに重ね,別のボタンだと思わせて押させる。 XSS(反射型) 攻撃者 利用者のブラウザ 脆弱なサイト ① 罠のリンク ② 開く ③ そのまま返す 埋め込まれたスクリプトが利用者のブラウザで動く(Cookie を盗むなど) 対策:出力時のエスケープ,Cookie の HttpOnly 属性 CSRF 罠のページ 利用者のブラウザ 正規のサイト ログイン中 ① 開く ② 送信させる ③ Cookie 付き 本人が操作したものとして,書込みや送金が行われる 対策:推測できないトークンを埋めて確かめる,SameSite 属性 クリックジャッキング プレゼント 上に透明な正規サイト(「退会する」など)を 重ねて,下のボタンだと思わせて押させる 対策:X-Frame-Options,CSP の frame-ancestors
XSS はサイトの出力が汚される,CSRF は要求が偽造される,クリックジャッキングは画面が重ねられる

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

ディジタルフォレンジックスでハッシュ値を利用する目的として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ディジタルフォレンジックスは,不正アクセスなどの法的な証拠として使えるように,記録媒体のデータを保全し,収集・分析する手続である。収集した証拠のハッシュ値を原本のハッシュ値と比べれば,二つが同一で改変されていないことを証明できる。ウが適切である。

アはハッシュ関数をパスワードの保存に使う例で,フォレンジックスでの目的ではない。イは誤りで,ハッシュ値は一方向性なので元のデータを復元できない。エはハッシュ値でパスワードの盗聴の有無を検証するわけではない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

サーバへのログイン時に用いるパスワードを不正に取得しようとする攻撃とその対策の組合せのうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

辞書攻撃は,辞書に載っている単語や人名などパスワードに使われやすい語を順に試す攻撃なので,推測されにくいランダムな値をパスワードにすることが対策になる。スニッフィングは通信を盗聴する攻撃なので,パスワードを平文で送信しないことが対策になる。ブルートフォース攻撃は考えられる組合せを総当たりで試す攻撃なので,ログインの試行回数に制限を設けることが対策になる。この組合せのイが適切である。

ア・ウ・エは攻撃と対策の対応がずれている。例えばスニッフィングに試行回数の制限を設けても,盗聴そのものは防げないし,ブルートフォース攻撃に平文で送らない対策をしても,総当たりの試行は止まらない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

E-R 図の解釈として,適切なものはどれか。ここで,* *は多対多の関連を表し,自己参照は除くものとする。

E-R 図。エンティティ“組織”から出た線が組織自身に戻る自己参照の関連で,一方の端は“親”で多重度 *,もう一方の端は“子”で多重度 *。

正解 ア

解説

E-R 図は,エンティティ“組織”が自分自身と親子の関連で結ばれ,親の側も子の側も多重度が * になっている。一つの組織が複数の親組織をもつこともでき,複数の子組織をもつこともできるので,親組織の数が子組織の数より多い組織があり得る。アが適切である。

イは誤りで,多重度 * は0以上を表すので子組織をもたない組織もあり得る。ウは誤りで,親子の関連を繰り返しつなげられるので,階層の段数は2段階に限られない。エは誤りで,一つの組織が複数の親をもてるので,単純な木構造ではなくネットワーク構造になり得る。

自己参照の関連(親 * と子 *)の例 組織が自分自身と親子の関連で結ばれ,親の側も子の側も多重度が * なので,1つの組織が複数の親組織をもつことも,複数の子組織をもつこともできる。子をもたない組織もあり,親子を何段もつなげられる。複数の親をもてるので,単純な木構造ではなく網の目(ネットワーク)の構造になりうる。 本部A 本部B 部C 部D 課E 親が2つ 子をもたない組織や,3段以上の階層もありうる
親も子も * なら,親が2つ以上の組織もありうる(木にならない)

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

設計上の誤りを早期に発見することを目的として,作成者と複数の関係者が設計書をレビューする方法はどれか。

正解 ア

解説

設計書などを作成者と複数の関係者が集まって検討し,設計上の誤りを早期に見つけるレビュー手法がウォークスルーである。作成者が内容を説明し,参加者が指摘する。アが正しい。

イの机上デバッグは,プログラムの処理を机上で追って誤りを探す方法。ウのトップダウンテストは,上位のモジュールから順に結合してテストする方法。エの並行シミュレーションは,監査人が用意したプログラムと本番のプログラムに同じデータを処理させて結果を比べる,システム監査の技法である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

オブジェクト指向言語のクラスに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

オブジェクト指向では,オブジェクトに共通する性質(属性と操作)を定義したものがクラスである。クラスを集めたものがクラスライブラリで,再利用の単位になる。イが正しい。

アは,インスタンス変数は個々のインスタンスごとに別の値を保存するもので,クラス全体で共有するのはクラス変数なので誤り。ウは,メソッドはデータではなく処理(手続)であり,共有データではない。エは,継承の向きが逆で,サブクラスがスーパクラスの性質を継承する。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

表は,現行プロジェクトにおけるソフトウェア誤りの発生・除去の実績,及び次期プロジェクトにおける誤り除去の目標を記述したものである。誤りは,設計とコーディングの作業で埋め込まれ,デザインレビュー,コードレビュー及びテストで全て除去されるものとする。次期プロジェクトにおいても,ソフトウェアの規模と誤りの発生状況は変わらないと仮定したときに,テストで除去すべきソフトウェア誤りの比率は全体の何%となるか。

〔ソフトウェア誤りが埋め込まれる工程ごとの割合〕設計:現行プロジェクトの実績は誤り件数全体の 50%,次期プロジェクトでの予測は誤り件数全体の 50%。コーディング:現行プロジェクトの実績は誤り件数全体の 50%,次期プロジェクトでの予測は誤り件数全体の 50%。〔ソフトウェア誤りがレビューごとに除去される割合〕デザインレビュー:現行プロジェクトの実績は設計時に埋め込まれた誤り全体の 50%を除去,次期プロジェクトでの目標は現行プロジェクトのデザインレビューの実績の 1.5 倍。コードレビュー:現行プロジェクトの実績はコーディング時に埋め込まれた誤り全体の 40%を除去,次期プロジェクトでの目標は現行プロジェクトのコードレビューの実績の 1.5 倍。

正解 エ

解説

全誤りを 100 とすると,設計で埋め込まれる誤りが 50,コーディングで埋め込まれる誤りが 50 である。次期のデザインレビューの除去率は現行の 50% の 1.5 倍で 75%,コードレビューは現行の 40% の 1.5 倍で 60%。レビュー後に残る誤りは,設計が 50×(1−0.75)=12.5,コーディングが 50×(1−0.6)=20 で,これらがテストで除去すべき誤りになる。12.5+20=32.5(%)で,エが正しい。

イの 25 は設計の誤りを現行の除去率 50% で残した値,ウの 30 はコーディングの誤りを現行の除去率 40% で残した値で,次期の目標(1.5 倍)も両工程の合計も反映していない。アの 17.5 は,レビュー後に残る両工程の誤りの合計(32.5)より小さく,テストで除去すべき誤りを数え漏らしている。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

流れ図において,分岐網羅を満たし,かつ,条件網羅を満たすテストデータの組はどれか。

流れ図。0→a,0→b の後,判定 x≧1 or y=1 が Yes なら1→a。次に判定 y>1が Yes なら1→b。

正解 エ

解説

分岐網羅は各判定の Yes と No をそれぞれ一度は通ること,条件網羅は判定の中の個々の条件(x≧1,y=1,y>1)がそれぞれ真と偽の両方をとることを求める。エの3組で調べると,(1,2) は x≧1 が真で1つ目の判定が Yes,y>1 が真,(0,1) は y=1 が真で1つ目が Yes,y>1 が偽,(0,2) は x≧1 と y=1 がともに偽で1つ目が No,y>1 が真となる。全ての判定の Yes と No,全ての条件の真と偽がそろうので,エが正しい。

アは x≧1 が偽になる組がなく,1つ目の判定の No も通らない。イは y=1 が真になる組がない。ウは1つ目の判定がいつも Yes で No を通らない。

命令網羅・分岐網羅・条件網羅 「A かつ B」なら処理 X を行う流れ図。命令網羅は全ての命令を一度は通すので,A も B も真の1件で足りる。分岐網羅は判定の真と偽を両方通すので,(真,真)と(偽,真)の2件が要る。条件網羅は A と B のそれぞれが真と偽を取ればよいので(真,偽)と(偽,真)でも満たせるが,このとき判定は2回とも偽で,処理 X を一度も通らない。 A かつ B 真 処理 X 偽 命令網羅 (A,B)=(真,真)の1件 分岐網羅 (真,真)(偽,真)の2件 条件網羅 (真,偽)(偽,真)でもよい 条件網羅の例では判定が2回とも偽になり,処理 X を通らない 判定条件/条件網羅は,判定と各条件の真偽を両方そろえる
条件網羅を満たしても,分岐網羅や命令網羅を満たすとは限らない

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

マッシュアップを利用して Web コンテンツを表示している例として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

マッシュアップは,Web API などで公開されている他のサイトのサービスの機能や情報を組み合わせて,新しいサービスやコンテンツを作ることである。店舗案内のページに,他のサイトが提供する地図情報を取り込んで表示するエがこれに当たる。

アは Web ブラウザにプラグインを組み込んで,表示できる内容を広げるもの。イは Ajax などを使ってページを切り替えずに表示を更新する技術。ウは各路線会社の Web ページへのリンクを置いているだけで,他のサービスの機能を利用して情報を組み合わせているわけではない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

アプリケーションにおける外部入力,外部出力,内部論理ファイル,外部インタフェースファイル,外部照会の五つの要素の個数を求め,それぞれを重み付けして集計する。集計した値がソフトウェアの規模に相関するという考え方に基づいて,開発規模の見積りに利用されるものはどれか。

正解 エ

解説

ファンクションポイント法は,アプリケーションの外部入力,外部出力,内部論理ファイル,外部インタフェースファイル,外部照会の五つの要素の個数を数え,複雑さに応じて重み付けして集計した値(ファンクションポイント)がソフトウェアの規模に相関するという考え方で,開発規模を見積もる手法である。エが正しい。

アの COCOMO は,プログラムの規模(ステップ数)から開発工数を見積もるモデル。イの Doty モデルもプログラムの規模(ステップ数)から工数を算出するモデル。ウの Putnam モデルは,開発規模と期間,工数の関係をソフトウェアの生産性を表す方程式でとらえるモデルで,いずれも五つの要素の個数を数える方法ではない。

ファンクションポイント法の5つの機能 アプリケーションの境界の内側で管理するデータが内部論理ファイル(ILF),外部のアプリケーションが管理し参照だけするデータが外部インタフェースファイル(EIF)。境界を越えるやり取りは,データを入れて更新する外部入力(EI),計算や加工をして出す外部出力(EO),そのまま取り出して見せる外部照会(EQ)。 アプリケーションの境界 ILF 内部論理ファイル EIF 外部のファイル 利用者 EI 入力 利用者 EO 出力 EQ 照会 参照
データ2種(ILF・EIF)と,境界を越える処理3種(EI・EO・EQ)

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

過去のプロジェクトの開発実績から構築した作業配分モデルがある。要件定義からシステム内部設計までをモデルどおりに 228 日で完了してプログラム開発を開始した。現在,200 本のプログラムのうち 100 本のプログラム開発を完了し,残りの 100 本は未着手の状況である。プログラム開発以降もモデルどおりに進捗すると仮定するとき,プロジェクト全体の完了まで,あと何日掛かるか。

作業配分モデルの表。工数比:要件定義 0.17,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.16,プログラム開発 0.16,システム結合 0.11,システムテスト 0.19。期間比:要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11,プログラム開発 0.11,システム結合 0.11,システムテスト 0.21。

正解 イ

解説

期間比で見ると,システム要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11 の合計 0.57 が 228 日に当たるので,全体の期間は 228÷0.57=400 日。プログラム開発は 400×0.11=44 日で,200 本中 100 本が終わっているので残りは 22 日。システム結合は 400×0.11=44 日,システムテストは 400×0.21=84 日。残りの合計は 22+44+84=150 日。

工数比の列は,人員をどう割り振るかを見るための値で,期間の計算には使わない。工数比で同じ計算をすると別の値になるので,どちらの比を使うかを取り違えないことが要点。

作業配分モデルで残りの日数を求める 期間比で考える。要件定義から内部設計までの期間比は 0.25+0.21+0.11=0.57 で,これが 228 日にあたるので,全体は 228÷0.57=400 日。残りはプログラム開発の半分(0.11÷2),システム結合 0.11,システムテスト 0.21 で,期間比 0.375,つまり 400×0.375=150 日。 要件 0.25 外部 0.21 内部 0.11 PG PG 結合 0.11 テスト 0.21 0.11 0.57 → 228 日(全体 400 日) 残り 0.375 400 × 0.375 = 150 日
日数は期間比で計算する。工数比は使わない

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

予算が4千万円,予定期間が1年の開発プロジェクトを EVM で管理している。半年が経過した時点で EV が1千万円,PV が2千万円,AC が3千万円であった。このプロジェクトが今後も同じコスト効率で実行される場合,EAC は何千万円になるか。

正解 エ

解説

EV=1,AC=3 なので,コスト効率指数 CPI=EV÷AC=1/3 である。今後も同じコスト効率で実行されるとき,完成時総コスト見積り EAC=BAC÷CPI=4÷(1/3)=12(千万円)になる。エが正しい。

アの 6 は,残りの作業は予算どおりの効率で進むとして AC+(BAC−EV)=3+3 で求めた値で,同じコスト効率という条件に合わない。イの 8 は BAC÷SPI=4÷(EV/PV=1/2) で,スケジュール効率で割った値。ウの 9 は AC÷CPI=3×3 で,予算 BAC ではなく現在までの実コスト AC を CPI で割った値である。

EVM:完成時総コスト見積り(EAC) 5 日目の終わりで BAC 100,PV 50,EV 40,AC 60(万円)。コスト効率 CPI=EV÷AC=40÷60=2/3。この効率が今後も続くなら EAC=BAC÷CPI=100÷(2/3)=150 万円。残りは予算どおりと仮定するなら AC+(BAC−EV)=120 万円になる。 PV 50 AC 60 EV 40 5日目 10日 BAC 100 CPI=40÷60=2/3 → EAC=100÷(2/3)=150
「今の効率が続く」なら BAC÷CPI

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

プロジェクトマネジメントにおけるリスクの対応例のうち,PMBOK の分類における転嫁に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

リスクの転嫁は,リスクによるマイナスの影響とその対応の責任を第三者に移す戦略で,保険の購入や契約による責任の移転が代表例である。損害に備えて損害賠償保険を掛けるウが該当する。

アの損失を他のサブプロジェクトの利益で相殺するのは,リスクの影響を受け入れたうえでの対処で転嫁ではない。イの本番データの個人情報部分をマスキングして漏えいが起きないようにするのは,リスクの発生確率や影響を下げる軽減。エの信用に不安のある取引先との新規取引を止めるのは,リスクの原因そのものを取り除く回避である。

リスクへの対応の戦略 マイナスのリスク(脅威)には,回避(原因を取り除く・計画を変える),転嫁(保険や契約で第三者に移す),軽減(確率や影響を下げる),受容(何もしないか予備を持つ)。プラスのリスク(好機)には,活用(確実に起こす),共有(能力のある第三者と組む),強化(確率や影響を上げる),受容。 脅威(マイナス) 好機(プラス) なくす/確実に 回避 活用 他者へ 転嫁(保険など) 共有(組む) 小さく/大きく 軽減 強化 何もしない 受容 受容 保険を掛けるのは転嫁,計画を変えて避けるのは回避
脅威は回避・転嫁・軽減・受容,好機は活用・共有・強化・受容

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

ITIL によれば,障害が発生した場合にインシデント管理プロセスで行う活動はどれか。

正解 ア

解説

ITIL のインシデント管理は,サービスの中断や品質低下を起こす事象(インシデント)に対し,IT サービスをできるだけ迅速に復旧させることを目的とする。そのために回復策(暫定的な対処を含む)を実施する活動が当たる。アが正しい。

イの既知のエラーレコードの作成と,エの根本原因の追究及び解決策の実施は,問題管理の活動。ウの RFC(変更要求)に基づく構成の変更は,変更管理の活動である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

データベースのバックアップ処理には,フルバックアップ方式と差分バックアップ方式がある。差分バックアップ方式による運用に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

差分バックアップは,直前のフルバックアップ以降に変更されたデータをバックアップする方式である。復旧時は,まずフルバックアップのデータで復元し,その後に差分を加える。イが適切である。

アは誤りで,差分バックアップだけではフルバックアップ時点のデータがないので復元できず,復旧にはフルバックアップの復元に加えて差分の反映が必要になるので,手順が増える。ウは誤りで,差分バックアップは,フルバックアップと組み合わせて,たとえば週に一度のフルバックアップの間に毎日取るというように運用する。エは誤りで,差分バックアップは変更分だけを取るので,毎回全データを取るフルバックアップより,バックアップに要する時間は短い。

フル・差分・増分バックアップ 日曜にフルバックアップを取る。差分バックアップは毎日,日曜のフル以降に変わった全てを取るので,日がたつほど量が増え,復旧はフルと最新の差分の2つで済む。増分バックアップは毎日,前日のバックアップ以降に変わった分だけを取るので量は少ないが,復旧にはフルとそれ以降の全ての増分が要る。 日 月 火 水 木 差分 フル 月 月〜火 月〜水 月〜木 増分 フル 月 火 水 木 木曜に復旧するとき 差分:フル+木の差分 増分:フル+月火水木の増分
差分は「フルから」,増分は「前回から」。復旧に使う数が違う

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

ミッションクリティカルシステムの意味として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ミッションクリティカルシステムは,障害が発生して停止すると,企業活動や社会に重大な影響を及ぼすシステムである。銀行の勘定系システムや交通機関の運行管理システムなどが該当し,高い信頼性と可用性が求められる。ウが適切である。

アは業務システムの基盤となる OS などの基本ソフトウェア,イは性能の限界に近い高負荷で稼働するシステムの説明である。エは試験的に導入されるパイロットシステムの説明である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム監査実施体制のうち,システム監査人の独立性の観点から避けるべきものはどれか。

正解 ア

解説

システム監査人は,監査の対象から独立していなければならず,自分が所属する部門や担当する業務を自ら監査すると,独立性が損なわれる。アは総務部の A さんが総務部の入退室管理を監査するので,避けるべきである。

イは監査部の B さんが外部企業を監査するもので,独立性に問題はない。ウの C さんは情報システム部から異動して 5 年が経ち,監査対象のマーケティング部とは関係がない。エの D さんは法務部の立場で,監査部からの依頼によって監査人に協力するだけで,監査人として判断する立場ではない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

販売管理システムにおいて,起票された受注伝票が漏れなく,重複することなく入力されていることを確かめる監査手続のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

受注伝票が漏れなく重複なく入力されているかは,入力結果の一覧(プルーフリスト)と元の伝票を突き合わせているかを確かめれば分かる。照合が行われた証跡として,プルーフリストや受注伝票に押された照合印を確認するのが適切な監査手続になる。ウが正しい。

アの例外取引の承認記録の確認は,取引が正当に認められたかという承認の妥当性を見るもの。イの論理チェックやフォーマットチェックの確認は入力データの正確性を見るもの。エの並行シミュレーション法はプログラムの処理ロジックの正しさを検証する技法で,いずれも入力の網羅性を確かめるものではない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

システム開発計画の策定におけるコントロールのうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

システム開発計画の策定では,情報システムの目的を達成するための手段を一つに決め打ちせず,複数の代替案を作って費用や効果を比較検討し,最適な案を選ぶことで,不必要な開発コストを抑えられる。ウが適切である。

アは誤りで,計画は組織全体の最適化を踏まえて策定する必要があり,利用部門の要望だけで決めると全体最適を損なう。イは誤りで,開発計画は開発作業に着手する前に承認を得る必要がある。エは誤りで,利用部門とシステム部門の役割分担を明確にしてから計画を策定しないと,責任が曖昧になる。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

IT ポートフォリオの説明はどれか。

正解 エ

解説

IT ポートフォリオは,情報化投資をリスクや期待する投資価値の性質が似たもので幾つかのカテゴリ(戦略投資,業務効率化投資,インフラ投資など)に分け,ビジネス戦略の実現に向けてカテゴリごとの資源配分を最適化する手法である。エが該当する。

アは間接コストをアクティビティの種別に基づいて原価に配賦する ABC(活動基準原価計算)。イは多面的な視点で戦略を立案し業績を評価するバランススコアカード。ウは業界などで統一した指標値群を使って企業の投資効果を他社と比べて測定するベンチマーキングの説明である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

エンタープライズアーキテクチャを説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し,業務とシステムを同時に改善することを目的とした,業務とシステムの最適化手法である。政策・業務体系,データ体系,適用処理体系,技術体系の四つの体系で現状(As-Is)と理想(To-Be)を整理する。ウが正しい。

アは IT ガバナンス,イは業務処理統制(業務プロセスに組み込まれた内部統制),エは EVM(アーンドバリューマネジメント)の説明である。

エンタープライズアーキテクチャ(EA)の4つの体系 EA は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネス(政策・業務体系),データ(データ体系),アプリケーション(適用処理体系),テクノロジ(技術体系)の4つの体系で整理する。それぞれの現状(As-Is)と理想(To-Be)を描き,その差を埋める移行計画で全体最適を図る。 現状(As-Is) 理想(To-Be) ビジネス 政策・業務体系 データ データ体系 アプリケーション 適用処理体系 テクノロジ 技術体系 差を埋める移行計画
4つの体系ごとに現状と理想を描き,移行計画を立てる

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

業務のあるべき姿を表す論理モデルを説明したものはどれか。

正解 イ

解説

業務のあるべき姿を表す論理モデル(To-Be モデル)は,経営目標を達成するために必要な業務機能を定義し,体系化したものである。現在のやり方にとらわれず,本来必要な機能を明らかにする。イが該当する。

アとウは,現状の業務機能や情報システムでの処理を分析したもので,現状を表すモデル(As-Is モデル)である。エは,あるべき姿と現状を比較してその差異を分析するギャップ分析の結果である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

“システム管理基準”によれば,情報戦略策定段階の成果物はどれか。

正解 イ

解説

システム管理基準(平成16年)は,情報戦略の策定段階で,経営戦略に基づいて組織体全体で整合性及び一貫性を確保した情報化を推進するため,方針及び目標に基づいて全体最適化計画を策定することを求めている。全体最適化計画が情報戦略策定段階の成果物に当たるので,イが正しい。

アの全体最適化計画との整合性を考慮した開発計画とエの標準化された開発方法に基づく開発手順は企画業務や開発業務の段階,ウの運用設計及び運用管理ルールに基づく運用手順は運用業務の段階で作成するものである。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

IT 投資を,投資目的によって表のように分類した。IT 投資評価の指標として KPI を使用するとき,戦略的投資に該当する KPI の例はどれか。

IT 投資の分類と投資目的の表。業務効率投資:業務の効率向上,業務の生産性向上など。情報活用投資:ナレッジの共有,管理精度の向上など。戦略的投資:競争優位の確立,ビジネスの創出など。IT 基盤投資:IT コスト削減,システム性能向上など。

正解 イ

解説

表で戦略的投資の目的は,競争優位の確立やビジネスの創出である。戦略的投資の KPI には,投資によって実現しようとする事業上の成果を表す指標が適している。新製品投入後の市場シェアは,競争優位を確立できたか,新しいビジネスを創出できたかを表す指標なので,イが該当する。

アのシステムの障害件数は,システム性能の向上などを目的とする IT 基盤投資の KPI の例である。ウの提案事例の登録件数は,ナレッジの共有を目的とする情報活用投資の KPI の例である。エの連結決算の所要日数は,業務の効率向上を目的とする業務効率投資の KPI の例である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

あるメーカがビールと清涼飲料水を生産する場合,ケース A〜F で必要なコストは,表のとおりである。このメーカの生産活動における,両製品のスケールメリットとシナジー効果についての記述のうち,適切なものはどれか。

ケースごとのビール(万本),清涼飲料水(万本),コスト(万円)の表。A:20,0,1,500。B:40,0,3,300。C:0,10,500。D:0,20,1,100。E:20,10,1,900。F:40,20,4,200。

正解 イ

解説

スケールメリットは,生産量が増えるほど製品 1 本当たりのコストが下がることである。ビールは 20 万本で 1,500 万円(75 円/本),40 万本で 3,300 万円(82.5 円/本)と 1 本当たりのコストが上がり,清涼飲料水も 10 万本で 500 万円(50 円/本),20 万本で 1,100 万円(55 円/本)と上がるので,スケールメリットはない。シナジー効果は,複数の事業を同時に行うことでコストが下がることである。ビール 20 万本と清涼飲料水 10 万本を同時に生産する E(1,900 万円)は,別々に生産する A+C(1,500+500=2,000 万円)より安く,F(4,200 万円)も B+D(3,300+1,100=4,400 万円)より安いので,シナジー効果はある。イが正しい。

アはスケールメリットがあるとする点,ウは両方あるとする点,エはシナジー効果がないとする点が,上の計算と合わない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

現在の動向から未来を予測したり,システム分析に使用したりする手法であり,専門的知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い,その結果を互いに参照した上で調査を繰り返して,集団としての意見を収束させる手法はどれか。

正解 エ

解説

デルファイ法は,専門的な知識や経験をもつ複数の人に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら答え直してもらうことで,集団としての意見を収束させる予測手法。匿名で行うため,立場や声の大きさに引きずられにくい。エが正しい。

アの因果関係分析法は原因と結果の関係をたどって分析する手法,イのクロスセクション法は同時点の複数のデータを横断的に比較する手法,ウの時系列回帰分析法は過去の時系列データに回帰式を当てはめて先を読む手法である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

売り手側でのマーケティング要素 4P は,買い手側での要素 4C に対応するという考え方がある。4P の一つであるプロモーションに対応する 4C の構成要素はどれか。

正解 ウ

解説

4P は売り手側からみたマーケティングの要素(Product,Price,Place,Promotion),4C はそれを買い手側からみた要素で,Product は顧客価値(Customer Value),Price は顧客コスト(Customer Cost),Place は利便性(Convenience),Promotion はコミュニケーション(Communication)に対応する。

プロモーション(販売促進)は,売り手から一方的に働きかけるのではなく,買い手との双方向の情報のやり取りと捉えるので,ウのコミュニケーションが正しい。アは製品,イは価格,エは流通に対応する。

4P と 4C の対応 売り手から見た 4P を,買い手から見た 4C に置き換えると,製品(Product)は顧客価値,価格(Price)は顧客コスト,流通(Place)は利便性,プロモーション(Promotion)はコミュニケーションに当たる。 4P(売り手) 4C(買い手) 製品 Product 顧客価値 Customer Value 価格 Price 顧客コスト Customer Cost 流通 Place 利便性 Convenience プロモーション Promotion コミュニケーション Communication
プロモーションに対応するのはコミュニケーション

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

設定した戦略を遂行するために,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長という四つの視点に基づいて,相互の適切な関係を考慮しながら具体的に目標及び施策を策定する経営管理手法はどれか。

正解 ウ

解説

バランススコアカードは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点について,相互の因果関係を考慮しながら目標,指標,施策を設定し,戦略の遂行を管理する経営管理手法である。ウが正しい。

アのコアコンピタンスは他社がまねできない企業の中核的な能力,イのセグメンテーションは市場を顧客の属性などで細分化すること,エのプロダクトポートフォリオマネジメントは市場成長率と市場占有率の2軸で製品や事業への資源配分を考える手法である。

バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ 下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。 財務 売上高を伸ばす 売上高・利益率 顧客 顧客満足度を上げる 顧客満足度・シェア 内部ビジネスプロセス 出荷を速くする 出荷までの日数 学習と成長 専門人材を育てる 育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

プロダクトイノベーションの例として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

プロダクトイノベーションは,これまでにない新しい機能や性能をもつ製品・サービスを生み出すことによる革新である。マルチコア CPU を採用して高性能で低消費電力の製品を開発するエが該当する。

ア,イ,ウは,工程管理,部品在庫の削減,製造方法の見直しなど,製品を作り出す過程を改善するものであり,プロセスイノベーションの例である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。

正解 エ

解説

EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。

アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

インターネットオークションにおいて,出品者と落札者の間の決済で使用されるエスクローサービスはどれか。

正解 エ

解説

エスクローサービスは,売手と買手の間に第三者が入って代金を預かる仕組みである。インターネットオークションでは,落札者がまずこの第三者に代金を送金し,第三者は商品の受渡しが完了したことを確認してから出品者へ送金する。代金を払ったのに商品が届かない,商品を送ったのに代金が支払われないという取引の危険を減らせる。エが正しい。

アは,個人情報や決済情報の取扱いが基準に適合しているかを第三者機関が審査・監視する認証制度の説明である。イは,送信元やメールアドレスの正当性を確かめる送信ドメイン認証などの説明である。ウは,SSL/TLS による暗号化やサーバ証明書によって通信の安全とショップの正当性を確保する仕組みの説明である。

エスクローサービス 売手と買手の間に第三者が入り,代金をいったん預かる。落札者(買手)が代金を第三者に払い,出品者(売手)が商品を送り,落札者が受け取ったことを確かめてから,第三者が出品者に代金を払う。代金を払ったのに商品が届かない,などの危険を減らせる。 落札者 買手 エスクロー 第三者 出品者 売手 ① 代金 ② 商品を送る ④ 代金 ③ 受け取ったことを第三者に知らせる 届いてから払われるので,持ち逃げを防げる
代金は第三者が預かり,商品が届いてから売手へ

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

VICS(Vehicle Information and Communication System)の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

VICS(Vehicle Information and Communication System)は,道路上のビーコンや FM 多重放送で渋滞,事故,工事などの道路交通情報を車載機に送り,カーナビゲーションなどに表示するシステムである。ウが適切である。

アはエンジンやブレーキなどを制御する車載の制御システム。イは自動車メーカが自社のユーザ向けに提供している,インターネット接続を使ったテレマティクスなどのサービス。エは料金所の路側無線装置と車載器の間で通行料金を自動的に支払う ETC の説明である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

リーダシップのスタイルは,その組織の状況に合わせる必要がある。組織とリーダシップの関係に次のことが想定できるとすると,野球チームの監督のリーダシップのスタイルとして,図の d と考えられるものはどれか。

〔組織とリーダシップの関係〕

組織は発足当時,構成員や仕組みの成熟度が低いので,リーダが仕事本位のリーダシップで引っ張っていく。成熟度が上がるにつれ,リーダと構成員の人間関係が培われ,仕事本位から人間関係本位のリーダシップに移行していく。更に成熟度が進むと,構成員は自主的に行動でき,リーダシップは仕事本位,人間関係本位のいずれもが弱まっていく。

横軸は仕事本位のリーダシップ(左が強い,右が弱い),縦軸は人間関係本位のリーダシップ(上が強い,下が弱い)の図。左下から右下へ山なりの曲線が引かれ,曲線上に左から順に a,b,c,d の点がある。a は左下寄りで仕事本位が強く人間関係本位が弱い位置,b と c は人間関係本位が強い頂上付近の左右,d は右下寄りで仕事本位も人間関係本位も弱い位置。

正解 ウ

解説

図の曲線は,組織の成熟度が上がるにつれて a→b→c→d と進む。a は成熟度が低く仕事本位が強い,b・c は人間関係本位が強い,d は仕事本位も人間関係本位もともに弱い段階である。d では構成員が自主的に行動できるので,選手に戦術の立案と実行を任せるウが当たる。

エは選手を管理する仕事本位のリーダシップで a。イは選手と話し合って戦略を作る人間関係本位のリーダシップで b。アは仕事本位の口出しが減ってきた段階で c に当たる。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

横軸にロットの不良率,縦軸にロットの合格率をとり,抜取検査でのロットの品質とその合格率との関係を表したものはどれか。

正解 ア

解説

OC 曲線(検査特性曲線)は,横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとり,ロットの品質と合格率の関係を表した曲線である。抜取検査の方式(サンプル数や合格判定個数)がどの程度の品質のロットを合格させるかを評価するのに使う。アが正しい。

イのバスタブ曲線は,時間の経過に対する故障率の変化(初期故障期,偶発故障期,摩耗故障期)を表す曲線。ウのポアソン分布は,一定時間内などに稀な事象が起きる回数の確率分布。エのワイブル分布は,寿命や故障までの時間の分布を表すのに使われる確率分布である。

OC 曲線(検査特性曲線) 横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとった曲線。不良率が低い良いロット(p0)でも合格率は1にならず,不合格になる確率 α が生産者危険。不良率が高い悪いロット(p1)でも合格する確率 β が消費者危険。 ロットの不良率 合格率 1 p0 p1 α 生産者危険 良いロットが落ちる β 消費者危険 悪いロットが通る
良いロットを落とすのが生産者危険 α,悪いロットを通すのが消費者危険 β

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

今年度の A 社の販売実績と費用(固定費,変動費)を表に示す。来年度,固定費が5%上昇し,販売単価が5%低下すると予測されるとき,今年度と同じ営業利益を確保するためには,最低何台を販売する必要があるか。

A 社の今年度の販売実績と費用の表。販売台数 2,500 台,販売単価 200 千円,固定費 150,000 千円,変動費 100 千円/台。

正解 エ

解説

今年度の営業利益は,売上 200×2,500=500,000 千円から,固定費 150,000 千円と変動費 100×2,500=250,000 千円を引いた 100,000 千円である。来年度は固定費が 5%増えて 157,500 千円,販売単価が 5%下がって 190 千円になり,変動費は 1 台当たり 100 千円のままである。1 台当たりの限界利益は 190−100=90 千円なので,営業利益 100,000 千円を確保する販売台数を n とすると,90n−157,500=100,000 より n=257,500÷90≒2,861.1 となり,切り上げて 2,862 台が必要である。エが正しい。

ア(2,575)は,販売単価の低下を考えず限界利益を 100 千円として 257,500÷100 で求めた値,ウ(2,778)は,固定費の増加を考えず 250,000÷90 で求めた値で,どちらも条件の一部を見落としている。イ(2,750)では 90×2,750−157,500=90,000 千円となり,今年度の営業利益に足りない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

サーバ機器(取得価額 800 千円,耐用年数5年)を3年間利用した後に 115 千円で売却したときの固定資産売却損は何千円か。ここで,減価償却は定額法で行うものとし,残存価額は0円とする。また,機器の購入及び売却時期は全て期首であるとみなす。

正解 ア

解説

定額法で残存価額0円なので,1年当たりの減価償却費は 800÷5=160 千円である。3年間利用したので減価償却累計額は 160×3=480 千円となり,売却時点の帳簿価額は 800−480=320 千円になる。

これを 115 千円で売却したので,固定資産売却損は 320−115=205 千円となり,アが正しい。エの 320 は帳簿価額そのもの,イとウは減価償却の年数や計算を取り違えたときの値である。

定額法の帳簿価額と売却損 取得価額 800 千円,耐用年数5年,残存価額0円の定額法なので,1年に 800÷5=160 千円ずつ減る。3年後の帳簿価額は 800−160×3=320 千円。これを 115 千円で売ると,320−115=205 千円の売却損になる。 帳簿価額(千円) 800 0年 640 1年 480 2年 320 3年 115 売値 売却損 205 1年に 160 ずつ減る(800 ÷ 5)
帳簿価額と売った値段の差が売却損

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

前期繰越及び期中の仕入と売上は表のとおりであった。期末日である3月 31 日に先入先出法によって棚卸資産を評価した場合,在庫の評価額は何円か。

仕入の表と売上の表。仕入は,前期繰越が数量 10 個・単価 100 円,5月1日が数量 15 個・単価 90 円,10 月 15 日が数量5個・単価 70 円。売上は,4月 20 日が数量4個,8月 31 日が数量8個,11 月 20 日が数量6個。

正解 イ

解説

先入先出法は,先に仕入れたものから先に売れたとして払い出し,期末在庫は最後に仕入れたものから残る。仕入は 10+15+5=30 個,売上は 4+8+6=18 個なので,在庫は 12 個。新しい仕入から数えると,10/15 仕入の 5 個(単価 70 円)と 5/1 仕入の 7 個(単価 90 円)で,5×70+7×90=350+630=980(円)になる。イが正しい。

アの 840 は 12 個全部を最新の単価 70 円とした値。ウの 1,038 は移動平均法(仕入のたびに平均単価を出す方法)での評価額。エの 1,080 は総平均法(総額 2,700 円÷30 個=90 円)で 12×90 とした値で,いずれも先入先出法ではない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

Web ページの著作権に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

著作権法第12条は,素材の選択又は配列によって創作性を有する編集物を編集著作物として保護している。特定の分野ごとに URL を収集し,簡単なコメントを付けて整理したリンク集は,その選択や配列に創作性があれば編集著作物として保護されるので,エが適切である。

アは誤りで,Web ページへの掲載は不特定多数が閲覧できる公衆送信に当たり,趣味で営利目的がなくても私的使用の範囲を超えるので,無断掲載は著作権の侵害になる。イは誤りで,フリーウェアとして無償で公開しても著作権は作成者に残る。ウは誤りで,シェアウェアを使って利用者が作成したデータの著作権は利用者にあり,ソフトウェアの著作権の侵害には当たらない。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

情報システム開発において適用される契約形態のうち,準委任契約について説明したものはどれか。

正解 ア

解説

準委任契約は,法律行為でない事務の遂行を委託する契約(民法第 656 条)である。仕事の完成は約束されず,受託者は委託元の求めに応じて事務処理の状況を報告する義務を負う(同法第 645 条)。業務分析や IT 戦略のコンサルティングなどに使われる。アが説明している。

イはハードウェアやソフトウェアパッケージの賃貸借(リース)契約。ウは労働者派遣契約。エは仕事の完成を約束し,進め方は受託側の裁量に任せる請負契約の説明である。

出典:平成25年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)