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応用情報技術者試験

平成22年度 秋期 科目A(午前)

平成22年度 秋期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

後置表記法(逆ポーランド表記法)では,例えば,式 Y=(A−B)×C を YAB−C×= と表現する。次の式を後置表記法で表現したものはどれか。

Y=(A+B)×(C−(D÷E))

正解 イ

解説

後置表記法では,演算の優先順位に従って,演算子を二つの被演算子の後ろに置く。括弧の内側から変換すると,D÷E は DE÷,C−(D÷E) は CDE÷−,A+B は AB+ となる。

これらを掛けた (A+B)×(C−(D÷E)) は AB+CDE÷−× となり,最後に Y と代入の=を例と同じように付けて YAB+CDE÷−×= となる。イが正しい。アは (A+B)−C に D÷E を掛ける式,ウは D と E の順序が逆で E÷D になっている。エは A と B が逆で,C−D を E で割る式になっている。

(A+B)×(C−D÷E) を式の木にして後置記法にする (A+B)×(C−D÷E) の木は,根が×,左の子が A+B,右の子が C−D÷E。後行順にたどると A,B,+,C,D,E,÷,−,× の順になり,Y と代入の=を付けて YAB+CDE÷−×= になる。 × + − A B C ÷ D E 1 2 3 4 5 6 7 8 9 Y A B + C D E ÷ − × =
括弧の内側ほど木の下になる。左 → 右 → 自分 の順にたどる

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

a,b,c,d の4文字から成るメッセージを符号化してビット列にする方法として表のア〜エの4通りを考えた。この表は a,b,c,d の各1文字を符号化するときのビット列を表している。メッセージ中での a,b,c,d の出現頻度は,それぞれ 50%,30%,10%,10%であることが分かっている。符号化されたビット列から元のメッセージが一意に復号可能であって,ビット列の長さが最も短くなるものはどれか。

符号化の表。ア:a=0,b=1,c=00,d=11。イ:a=0,b=01,c=10,d=11。ウ:a=0,b=10,c=110,d=111。エ:a=00,b=01,c=10,d=11。

正解 ウ

解説

一意に復号できるかは,どの符号も他の符号の先頭部分になっていない(接頭符号である)かで確かめる。アは a=0 が c=00 の先頭,b=1 が d=11 の先頭になっており,“00”が c なのか aa なのか区別できない。イも a=0 が b=01 の先頭になっていて一意に復号できない。ウとエは接頭符号で,一意に復号できる。

1文字当たりの平均ビット数は,ウが 0.5×1+0.3×2+0.1×3+0.1×3=1.7 ビット,エは全て2ビットなので2ビットである。ウのほうが短く,ウが正しい。出現頻度の高い文字ほど短い符号を割り当てるハフマン符号の考え方である。

一意に復号できる符号(接頭符号) 符号を木で表すと,a=0,b=10,c=110,d=111 はどの符号も葉にあり,ほかの符号の途中(先頭部分)にならないので,区切りがなくても一意に読める。a=0,c=00 のように a が c の先頭になっていると,“00” が c か aa か区別できない。出現頻度 50%・30%・10%・10% なら,平均の長さは 0.5×1+0.3×2+0.1×3+0.1×3=1.7 ビット。 0 1 0 1 0 1 a 0 b 10 c 110 d 111 平均の長さ 0.5×1 +0.3×2 +0.1×3 +0.1×3 =1.7 ビット a=0,c=00 だと “00” が c か aa か 分からない
符号が全部「葉」にあれば一意に復号できる。よく出る文字ほど短く

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

PCM 伝送方式によって音声をサンプリング(標本化)して8ビットのディジタルデータに変換し,圧縮処理しないで転送したところ,転送速度は 64,000 ビット/秒であった。このときサンプリング間隔は何マイクロ秒か。

正解 ウ

解説

PCM 伝送では,1回のサンプリングごとに 8 ビットのデータが送られる。転送速度が 64,000 ビット/秒なので,1秒間のサンプリング回数は 64,000÷8=8,000 回で,サンプリング間隔は 1÷8,000 秒=125 マイクロ秒になる。ウが正しい。

アの 15.6 は 1÷64,000 秒で,1ビットを送るのに掛かる時間(約 15.6 マイクロ秒)である。イの 46.8 はその3倍で3ビット分の時間,エの 128 は 2 進の区切り(2 の7乗)を使った値で,10 進の 64,000 ビット/秒から求める 125 とは合わない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

ロボットなどの制御システムを構成するアクチュエータの機能として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

アクチュエータは,制御システムで,制御部からの指令を受けて機械・機構を物理的に動かす装置(モーターやシリンダなど)である。ウが正しい。

アの動きを計測するのはセンサ,イの動きを制御するための計算・判断を行うのは制御部(コントローラ),エの制御システムを駆動するエネルギーを供給するのは電源(動力源)の機能である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

先頭ポインタと末尾ポインタをもち,多くのデータがポインタでつながった単方向の線形リストの処理のうち,先頭ポインタ,末尾ポインタ又は各データのポインタをたどる回数が最も多いものはどれか。ここで,単方向のリストは先頭ポインタからつながっているものとし,追加するデータはポインタをたどらなくても参照できるものとする。

正解 エ

解説

単方向リストでは各データが次のデータへのポインタだけをもつ。末尾のデータを削除するには,新たな末尾になる「元の末尾の一つ前」のデータのポインタを書き換える必要があるが,その位置は前へさかのぼれないので先頭からたどるしかない。データ数に比例した回数のポインタ参照が要るので,エが最も多くなる。

アの先頭への追加は,追加するデータのポインタを現在の先頭に向けて先頭ポインタを書き換えるだけ。イの先頭の削除も先頭のデータのポインタを読んで付け替えるだけ。ウの末尾への追加は末尾ポインタから直接たどり着ける。いずれもデータ数に関係なく一定回数で済む。

単方向の連結リストで末尾を追加・削除する front だけをもつ実装では,末尾への追加も末尾の削除も,front から順にたどって末尾を探すので,どちらも n に比例する時間がかかる。rear も併せもつ実装では,末尾への追加は rear から直接できるので一定時間で済む。しかし末尾の削除では,一つ前のセル(x n−1)のポインタを空にして rear を付け替える必要があり,単方向のリストでは前へ戻れないので front からたどるしかなく,n に比例する。 実装方法1(front だけ) x1 x2 xn−1 xn … / front 追加も削除も先頭からたどる → どちらも n に比例 実装方法2(front と rear) x1 x2 xn−1 xn … / front rear 削除では x n−1 を先頭から探す(n に比例)。追加は rear から直接(一定)
単方向のリストは前へ戻れない。末尾の削除には「一つ前」を先頭から探す必要がある

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

探索表の構成法を例とともに a〜c に示す。探索の平均計算量が最も小さい探索手法の組合せはどれか。ここで,探索表のコードの空欄は表の空きを示す。

三つの探索表(コードとデータ,8行)。a コード順に格納した探索表:120380,120381,120520,140140 の順に先頭から詰めて格納し,残りは空き。b コードの使用頻度順に格納した探索表:120381,140140,120520,120380 の順に先頭から格納し,残りは空き。c コードから一意に決まる場所に格納した探索表:2行目に 120381,4行目に 120520,5行目に 140140,7行目に 120380 を格納し,ほかは空き。

正解 ア

解説

a のようにコード順に並べた表は,中央の要素と比べて探索範囲を半分ずつ絞り込む2分探索が使える。b のように使用頻度順に並べた表は,コードの大小順になっていないので2分探索は使えないが,よく使うコードほど先頭にあるので,先頭から順に調べる線形探索で平均比較回数が少なくなる。

c のようにコードから一意に決まる場所に格納した表は,コードからハッシュ関数で格納位置を計算して直接参照するハッシュ表探索が最も速い。したがって,アが正しい。

探索の方法と探索時間の増え方 線形探索は先頭から順に調べるので,データの個数 n に比例して長くなる(O(n))。2分探索は範囲を半分ずつ絞るので,n が増えても log n でゆっくりしか増えない。ハッシュ表探索は,衝突がなければキーから格納位置を計算して1回で見つかるので,個数によらず一定(O(1))。 データの個数 n 探索時間 線形探索 n 2分探索 log n ハッシュ表 一定 ハッシュ表は衝突がなければ,計算で1回で見つかる
ハッシュ表は個数によらず一定,2分探索は緩やかに増え,線形探索は比例して増える

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

正の整数 M に対して,次の二つの流れ図に示すアルゴリズムを実行したとき,結果 x の値が等しくなるようにしたい。a に入れる条件として,適切なものはどれか。

二つの流れ図。左は,開始,1→x,ループ端“演算 n:M,−1,1”(変数名:初期値,増分,終値。n を M から −1 ずつ変えて 1 になるまで繰り返す),x×n→x,ループ端“演算”,終了。右は,開始,1→x,1→n,x×n→x,n+1→n,条件 [ a ] の判定(Yes で終了,No で x×n→x の前に戻る)。

正解 ウ

解説

左の流れ図は,n を M から 1 ずつ減らしながら x に n を掛けるので,x=M×(M−1)×…×1=M! になる。右の流れ図で同じ結果にするには,n を 1 から M まで 1 ずつ増やして x に掛ければよい。右の図では x に n を掛けた直後に n を 1 増やし,そのあとで a を判定している。n=M を掛け終えた時点で n は M+1 になっているので,この時点で終了させる条件は n>M である。ウが正しい。

ア(n<M)では,M が2より大きいとき最初の判定(n=2)で終了してしまい,M! にならない。イ(n>M−1)は n=M の段階,すなわち M を掛ける前に終了するので,x は (M−1)! になる。エ(n>M+1)は,n=M+1 まで掛けてしまうので,x は (M+1)! になる。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

再入可能(リエントラント)プログラムに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

再入可能(リエントラント)プログラムは,実行の途中で別のタスクから呼び出されても正しく動作するプログラムで,局所変数や作業領域を呼出し元ごとに確保した領域(スタックなど)に割り当て,プログラムのコード部分を複数のタスクで共用する。イが正しい。

アは誤りで,再入可能プログラムは逐次再使用可能プログラムから呼び出すことができる。ウも誤りで,待ち状態が発生しても,作業領域が呼出し元ごとに分かれていれば再入可能である。エは誤りで,逐次再使用可能プログラムは,実行が終わるたびに初期状態に戻して繰り返し使えるだけで,同時に複数のタスクから呼び出されることは想定しておらず,再入可能とは限らない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

動作クロック周波数が 700 MHz の CPU で,命令の実行に必要なクロック数及びその命令の出現率が表に示す値である場合,この CPU の性能は約何 MIPS か。

命令の種別ごとの命令実行に必要なクロック数と出現率(%)。レジスタ間演算は4クロックで30%,メモリ・レジスタ間演算は8クロックで60%,無条件分岐は10クロックで10%。

正解 エ

解説

命令1個当たりの平均クロック数は,4×0.3+8×0.6+10×0.1=1.2+4.8+1.0=7.0 クロックである。動作クロック周波数 700 MHz は1秒間に 700×106 クロックなので,1秒間に実行できる命令数は 700÷7=100 百万命令,すなわち 100 MIPS になる。エが正しい。

ウの 70 は,最もクロック数の多い無条件分岐の 10 クロックを全命令に当てはめた値(700÷10)である。アの 10 とイの 50 は,平均クロック数を 70 や 14 とした場合の値で,出現率で重み付けした平均 7 クロックとは合わない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

スーパスカラの説明はどれか。

正解 ウ

解説

スーパスカラは,複数のパイプラインを並べ,同時に実行できる複数の命令をそれぞれのパイプラインで並列に実行することで高速化を図る方式である。ウが適切である。

アはベクトルレジスタの長さに分割してベクトル演算を繰り返すベクトルプロセッサの処理(ループ分割)の説明。イはパイプラインの段数を増やして1段当たりの処理を細かくするスーパパイプラインの説明。エは同時に実行できる命令をまとめた長い命令語で複数の演算ユニットを同時に制御する VLIW の説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

容量が a M バイトでアクセス時間が x ナノ秒のキャッシュメモリと,容量が b M バイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPU からみた,主記憶とキャッシュメモリとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで,読み込みたいデータがキャッシュメモリに存在しない確率を r とし,キャッシュメモリ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。

正解 イ

解説

読み込みたいデータがキャッシュメモリにある確率は 1−r で,このときのアクセス時間は x ナノ秒である。キャッシュメモリにない確率は r で,このときは主記憶から読むので y ナノ秒掛かる。平均アクセス時間は,それぞれのアクセス時間に確率を掛けて足した (1−r)・x+r・y で,イが正しい。

平均アクセス時間はそれぞれの時間に確率を掛けて足した (1−r)・x+r・y となり,イが正しい。平均アクセス時間は,キャッシュメモリにあるかどうかの確率で決まり,容量 a,b の比は関係しないので,ア,ウは誤り。エは確率 r と 1−r を逆に対応させている。

キャッシュに無い確率 r のときの平均アクセス時間 読みたいデータがキャッシュにある確率は 1−r で,そのときはキャッシュのアクセス時間 x で読める。無い確率 r のときは主記憶から y で読む。平均は (1−r)・x + r・y。容量 a・b は関係しない。 CPU キャッシュ 時間 x 主記憶 時間 y 1−r r (1−r)・x r・y 平均 = (1−r)・x + r・y
r は「無い」確率なので,主記憶の側に掛ける

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

DMA コントローラの説明として適切なものはどれか。

正解 エ

解説

DMA(Direct Memory Access)コントローラーは,主記憶と入出力装置,又は主記憶どうしの間のデータ転送を,MPU を介さずに行う装置である。転送の間,MPU は別の処理を続けられるので,エが正しい。

アの積和演算を高速に行うのは DSP(デジタルシグナルプロセッサ)の特徴である。イの仮想メモリ機能やメモリ保護機能を提供するのは MMU(メモリ管理装置)である。ウのクロックに合わせてカウントして時間の経過を保持するのはタイマーである。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

マイクロホンから入力された音声信号をメモリに記録する機能と,メモリに記録された音声データをスピーカから出力する機能とをもつディジタル録音・再生システムに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ディジタル録音・再生システムでは,録音時にマイクロホンからの音声信号を A/D 変換器でディジタルデータにしてメモリに書き込み,再生時にメモリから読み出したデータを D/A 変換器で音声信号に戻してスピーカから出力する。したがって,A/D 変換器の出力と D/A 変換器の入力を,どちらもメモリのデータ線に接続する。アが適切である。

イは誤りで,音質はサンプリング周波数だけでなく,量子化ビット数(1回のサンプリングを何段階で表すか)にも左右される。ウは A/D 変換と D/A 変換が逆である。エは,再生には D/A 変換器が必要で,A/D 変換器だけでは再生できない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

商品検索と発注入力を行う Web システムについて,時間帯別のトランザクション数を表1に,TPS(Transaction Per Second)と必要な CPU 数の関係を表2に示す。この Web システムに必要な CPU 数は最低幾つか。ここで,OS のオーバヘッドなどの処理については無視でき,トランザクションはそれぞれの時間帯の中で均等に発生するものとする。

表1 時間帯別トランザクション数。9:00〜10:00 は商品検索 12,000,発注入力 6,000。11:00〜12:00 は商品検索 48,000,発注入力 24,000。13:00〜14:00 は商品検索 24,000,発注入力 12,000。
表2 TPS と必要な CPU 数の関係。TPS が 10 以下は 1,20 以下は 2,30 以下は 3,40 以下は 4。

正解 イ

解説

各時間帯のトランザクション数を1時間(3,600秒)で割って TPS を求める。9:00〜10:00 は (12,000+6,000)÷3,600=5 TPS,11:00〜12:00 は (48,000+24,000)÷3,600=20 TPS,13:00〜14:00 は (24,000+12,000)÷3,600=10 TPS。表2では 10 TPS 以下が1,20 TPS 以下が2なので,必要な CPU 数は順に 1,2,1 になる。最も多い時間帯に合わせた2個があれば全時間帯を賄えるので,最低必要な CPU 数は2。イが正しい。

アの1個では 20 TPS の時間帯に足りない。ウの3個とエの4個は,20 TPS に対して多過ぎて,足りてはいても最低限の数ではない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

システムの経済性を評価する場合,TCO の評価項目から除外されるものはどれか。

正解 イ

解説

TCO(Total Cost of Ownership)は,情報システムの導入から運用管理までを含んだ総コストで,ハードウェアやソフトウェアの導入費に加え,管理,保守,教育,サポートなど,システムを所有・利用するために掛かる費用が評価項目になる。システムに入力された売上データを分析する販売管理コストは,システムを使って行う業務活動のコストで,システムの所有・運用に掛かる費用ではないので,TCO の評価項目から除外される。イが正しい。

アの管理コスト,ウの導入コスト,エのヘルプデスクや利用者教育などのサポートコストは,いずれもシステムを所有・運用するために必要な費用で,TCO に含まれる。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

システムの信頼性向上技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

フォールトアボイダンス(故障回避)は,故障が起きてから対処するのではなく,品質管理や高信頼の部品の採用などによって,システムの構成要素そのものの信頼性を高め,故障の発生を防ぐ考え方である。エが適切である。

アの故障時に安全な状態にシステムを保つのはフェールセーフ。イの故障時に縮小した範囲のサービスを提供するのはフェールソフト。ウの故障の影響が誤りとなって外部に出ないように訂正するのはフォールトマスキングの説明で,いずれも用語と説明の組合せが入れ替わっている。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

3台の装置 X〜Z を接続したシステム A,B の稼働率について,適切なものはどれか。ここで,3台の装置の稼働率は,いずれも 0 より大きく 1 より小さいものとする。

装置の接続図。システム A は,X と Y を並列に接続したものに Z を直列に接続する。システム B は,X と Z を直列に接続したものと Y を並列に接続する。

正解 エ

解説

装置 X,Y,Z の稼働率を x,y,z とする。A は X と Y の並列に Z を直列につないだもので,稼働率は {1−(1−x)(1−y)}z=xz+yz−xyz である。B は X と Z の直列に Y を並列につないだもので,稼働率は 1−(1−xz)(1−y)=xz+y−xyz である。

B から A を引くと y−yz=y(1−z) となり,0<y<1,0<z<1 なので常に正である。したがって常に B の稼働率が高く,エが正しい。

2つのシステムの稼働率を比べる 装置 X,Y,Z の稼働率を x,y,z とする。A は X と Y の並列に Z を直列につないだもので,{1−(1−x)(1−y)}z=xz+yz−xyz。B は X と Z の直列に Y を並列につないだもので,1−(1−xz)(1−y)=xz+y−xyz。B−A=y(1−z) は常に正なので,常に B が高い。 A:(X と Y の並列) に Z を直列 X Y Z {1−(1−x)(1−y)}・z = xz+yz−xyz B:(X と Z の直列) に Y を並列 X Z Y 1−(1−xz)(1−y) = xz+y−xyz B − A = y − yz = y(1−z) > 0 → 常に B が高い
並列をまとめて1台とみなし,直列は掛ける。引き算すると y(1−z)>0

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

五つのタスク A〜E の優先度と,各タスクを単独で実行した場合の CPU と入出力装置(I/O)の動作順序と処理時間は,表のとおりである。優先度“高”のタスク A と B〜E のどのタスクを組み合わせれば,組み合わせたタスクが同時に実行を開始してから,両方のタスクの実行が終了するまでの間の CPU の遊休時間をゼロにできるか。ここで,I/O は競合せず,OS のオーバヘッドは無視できるものとする。また,表の( )内の数字は処理時間を表すものとする。

各タスクの優先度と単独実行時の動作順序・処理時間(ミリ秒)。A は優先度高で CPU(3)→I/O(3)→CPU(3)→I/O(3)→CPU(2)。ア B は低で CPU(2)→I/O(5)→CPU(2)→I/O(2)→CPU(3)。イ C は低で CPU(3)→I/O(2)→CPU(2)→I/O(3)→CPU(2)。ウ D は低で CPU(3)→I/O(2)→CPU(3)→I/O(1)→CPU(4)。エ E は低で CPU(3)→I/O(4)→CPU(2)→I/O(5)→CPU(2)。

正解 ウ

解説

優先度が高いタスク A が CPU を使っている間,優先度の低いタスクは CPU を待たされ,A が I/O を行っている間に CPU を使う。A は CPU 3,I/O 3,CPU 3,I/O 3,CPU 2 の順に動き,CPU を使うのは 0〜3,6〜9,12〜14 ミリ秒である。D を組み合わせると,D は 3〜6 に CPU 3 を使い,6〜8 は I/O,8〜9 は A が CPU を使っているので待ち,9〜12 に CPU 3,12〜13 は I/O,13〜14 は A が使っているので待ち,14〜18 に CPU 4 を使う。0〜18 ミリ秒の間に CPU の空く時間が無いので,ウが正しい。

B と組み合わせると 5〜6 と 9〜10 の計 2 ミリ秒,C と組み合わせると 11〜12 の 1 ミリ秒,E と組み合わせると 9〜10 の 1 ミリ秒と 14〜17 の 3 ミリ秒の計 4 ミリ秒,CPU の遊休時間ができる。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

ほとんどのプログラムの大きさがページサイズの半分以下のシステムにおいて,ページサイズを半分にしたときに予想されるものはどれか。ここで,このシステムは主記憶が不足しがちで,多重度やスループットなどはシステム性能の限界で運用しているものとする。

正解 ウ

解説

ほとんどのプログラムの大きさがページサイズの半分以下なので,ページサイズを半分にしても,多くのプログラムは1ページに収まったままで,使用するページ数は増えない。一方,1ページに割り付けた主記憶のうち使われない部分(ページ内の無駄な空き領域)は半分になるので,主記憶不足が緩和される。ウが適切である。

イ,エのように,ページ数が増えてページ置換えやページフォールトが増えるのは,プログラムがページサイズより大きい場合である。アのページサイズを小さくすると,管理するページの数が増えるので,ページテーブルなどの領域管理のオーバヘッドは増える。

外部断片化と内部断片化 セグメンテーション方式は大きさの違う領域を割り当てるので,解放と割当てを繰り返すと小さな空きが散らばり,合計は足りても連続した大きな領域を取れなくなる(外部断片化)。ページング方式は同じ大きさのページ枠に割り当てるので外部断片化は起きないが,最後のページの使わない部分が無駄になる(内部断片化)。 セグメンテーション A B C D 小さな空きが 散らばる 外部断片化 ページング ページ1 ページ2 ページ3 ページ4 余り 最後の ページ 内部断片化
ページングは外部断片化が起きない代わりに,ページの中の余りが無駄になる

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

UNIX のデーモンに関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

デーモン(daemon)は,UNIX で OS の起動と同時,又は必要に応じて起動され,バックグラウンドで常に動作して,プリントキューからの印刷の管理や通信,ログの記録などの機能を提供するプログラムである。ウが最も適切である。

アはアプリケーション間でデータを埋め込んで連携させる OLE のような機能の説明である。イはアプリケーションが OS の機能を呼び出して使うシステムコール(API)の説明,エは OS と利用者のインタフェースを提供し,ログインすると起動されるシェルの説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

オープンソースソフトウェアの特徴のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

オープンソースソフトウェアは,ソースコードが公開され,利用,改変,再配布が一定の条件(ライセンス)の下で認められているソフトウェアである。オープンソースの定義(Open Source Initiative)では,再頒布の自由,ソースコードの公開,派生物の許可,個人やグループ・利用分野に対する差別の禁止などを求めている。アが適切である。

イは誤りで,使用分野や利用者を制限してはならない。ウは誤りで,著作権は放棄されておらず,著作者がライセンスに基づいて利用を許諾している。エは誤りで,無償で配布しなければならないという決まりは無く,有償で販売することもできる。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

デュアルライセンスのソフトウェアを利用する条件のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

デュアルライセンスは,同じソフトウェアに二つのライセンス(例えば,GPL などのオープンソースライセンスと,ソースコードの公開義務のない商用ライセンス)を設定して提供する方式である。利用者は,そのうちの一つを選択し,そのライセンスの条件に同意して利用する。イが適切である。

アのように全てのライセンスに同意する必要はなく,ウのように二つを選ぶものでもない。エの複数のライセンスを組み合わせた一つのライセンスが設定されているわけではない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

DSP(Digital Signal Processor)の特徴的な演算機能はどれか。

正解 ア

解説

DSP(Digital Signal Processor)は,音声や画像などのディジタル信号を高速に処理するためのプロセッサで,フィルタ処理や FFT などで多用される,乗算と加算を繰り返す積和演算を,1命令で高速に行う回路をもつのが特徴である。アが正しい。

イの複素数演算は FFT などで使うが,DSP に特有の演算機能ではない。ウの浮動小数点演算は汎用のプロセッサも備えており,DSP に特徴的とはいえない。エの論理演算はどのプロセッサにもある基本的な演算である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

図の論理回路と等価な回路はどれか。

NAND 素子4個の論理回路。A と B を1段目の NAND 素子に入れる。2段目の上の NAND 素子には A と1段目の出力を,下の NAND 素子には B と1段目の出力を入れる。2段目の二つの出力を最後の NAND 素子に入れて Y とする。

正解 ウ

解説

1段目の NAND 素子の出力を P=¬(A・B) とする。2段目の上の素子の出力は ¬(A・P),下の素子の出力は ¬(B・P) で,最後の NAND 素子の出力は Y=¬(¬(A・P)・¬(B・P))=A・P+B・P=(A+B)・¬(A・B) となる。

これは A と B のどちらか一方だけが1のときに1になる排他的論理和である。実際に,A=B=0 なら Y=0,A=1,B=0 なら Y=1,A=B=1 なら P=0 で Y=0 となる。したがって,排他的論理和素子のウが等価である。アは論理和,イは論理積,エは否定論理和の素子で,A=B=1 や A=B=0 のときの出力が合わない。

NAND 素子4個で作る排他的論理和 1段目の出力を P=¬(A・B) とすると,2段目の上は ¬(A・P),下は ¬(B・P),最後の出力は Y=A・P+B・P=(A+B)・¬(A・B)。A と B のどちらか一方だけが1のときに1になるので,排他的論理和と同じ。 A B Y P ¬(A・P) ¬(B・P) ¬(A・B) A B P Y 0 0 1 0 0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 0
途中の信号を書き込むと,最後の式が読みやすくなる

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

システム LSI に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

システム LSI は,これまで複数の LSI(プロセッサ,メモリ,周辺回路など)で実現していたシステムの機能を,1個のチップに集約したものである。エが適切である。

アは,動作の管理用にマイコンを複数まとめたもので,プロセッサ,メモリ,周辺回路など,システムを構成する異なる機能を1チップにまとめるシステム LSI とは違う。イは複数の LSI を一つの基板上に実装してシステムを構成するもので,チップを集約したものではない。ウは利用者が回路機能を書き換えられる FPGA などのプログラマブルデバイスの説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

ヤコブ・ニールセンのユーザインタフェースに関する 10 か条のヒューリスティックスの一つである“システム状態の視認性”に該当するものはどれか。

正解 イ

解説

ヤコブ・ニールセンのヒューリスティックスの“システム状態の視認性”は,システムが今何をしているのかを,適切な時間内に適切なフィードバックによって利用者に常に知らせることである。実行中に処理の進捗度を表示するイが該当する。

アの異なる画面間でも類似の手順で操作できることは“一貫性と標準”。ウの必須項目に印を付けて入力漏れを防ぐことは“エラーの防止”。エの文字の大きさや色を適切にし,効果的に画像を使うことは“美的で最小限のデザイン”に関するものである。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

コンピュータグラフィックスに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ラジオシティ法は,光が拡散反射面の間で相互に反射し合う効果まで計算に入れて,各面の輝度を求める手法。間接光による柔らかな陰影を表現できる。

アはレイトレーシング,エはテクスチャマッピングの説明で,アとエは入れ替わっている。イのメタボールは,濃度分布をもつ点の集まりで曲面を表現する手法であり,記述はボリュームレンダリングに近い内容。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

データウェアハウスを構築するために,業務システムごとに異なっているデータ属性やコード体系を統一する処理はどれか。

正解 イ

解説

データクレンジングは,データウェアハウスを構築するときなどに,複数の業務システムから集めたデータについて,システムごとに異なるデータ属性やコード体系を統一したり,重複や誤り,表記の揺れを修正したりして,データの品質を高める処理である。イが正しい。

ア,ウ,エは,多次元データを分析する OLAP の操作である。アのダイスは分析の軸(次元)を入れ替えて見方を変える操作,ウのドリルダウンは集計の階層を下げて詳細なデータを見る操作,エのロールアップは集計の階層を上げてまとめたデータを見る操作である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

関係データベースの候補キーとなる列又は列の組に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

候補キーは,表の行を唯一に識別できる列又は列の組のうち,その部分集合では識別できないもの(極小のもの)で,候補キーの中から主キーが選ばれる。エが適切である。

アは,候補キーのうち主キーに選ばれたものは空値(null)にできないが,主キーに選ばれなかった候補キーの空値を一律に認めないわけではなく,候補キーに共通する性質とはいえない。イは検索の高速化のために格納位置を記録するインデックスの説明,ウは他の表の列と関連付ける外部キーの説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

分散データベースシステムにおいて,一連のトランザクション処理を行う複数サイトに更新処理が確定可能かを問い合わせ,すべてのサイトの更新処理が確定可能である場合,更新処理を確定する方式はどれか。

正解 ア

解説

分散データベースの2相コミット方式は,第1相でコーディネータが更新処理に関係するすべてのサイトに更新を確定できるかを問い合わせ,すべてのサイトが確定可能と答えたときに,第2相で全サイトに更新の確定(コミット)を指示する方式である。一つでも確定できないサイトがあれば,全サイトに取消しを指示する。アが正しい。

イの排他制御は,複数のトランザクションが同じデータを同時に更新して矛盾が生じないよう,ロックなどで制御する仕組みである。ウのロールバックは,障害時などに更新前の状態へ戻す処理,エのロールフォワードは,障害後にログの更新後情報を使って障害発生直前の状態まで復旧する処理である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

関係データベースにおけるインデックスの設定に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

インデックスは,検索を速くする代わりに,データの追加・更新・削除のたびにインデックスも更新するので,その分の負荷が掛かる。また,レコード数が少ない表では全件を読んでも速いので効果が小さいなど,検索条件の検討だけでなく,テーブルのレコード数も考慮して設定する。アが適切である。

イは誤りで,検索性能が上がる一方,更新・削除・追加の処理は遅くなることが多い。ウは誤りで,検索条件に指定されるすべての列ではなく,効果のある列に絞って設定する。エは誤りで,性別のように値の種類が少なく同じ値の行が多数ある列では,インデックスで絞り込める行が少なく,効果が小さい。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

次の表定義において,“在庫”表の製品番号に定義された参照制約によって拒否される可能性のある操作はどれか。ここで,実線は主キーを,破線は外部キーを表す。

表定義。在庫(在庫管理番号,製品番号,在庫量):在庫管理番号に実線の下線(主キー),製品番号に破線の下線(外部キー)。製品(製品番号,製品名,型,単価):製品番号に実線の下線(主キー)。

正解 ウ

解説

“在庫”表の製品番号は,“製品”表の製品番号を参照する外部キーである。参照制約によって,“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に存在しなければ追加が拒否される。ウが正しい。

アの“在庫”表の行削除とイの表削除は,参照する側の行や表を消すだけなので,参照制約に反しない。エの“製品”表への行追加は,参照される側に新しい製品番号を増やすだけなので拒否されない。拒否される可能性があるのは,“在庫”表から参照されている“製品”表の行の削除や製品番号の更新である。

参照制約で拒否される操作 “在庫”表の製品番号は“製品”表の製品番号を参照する外部キー。“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に無ければ拒否される。参照される側の“製品”表から,参照されている行を削除したり製品番号を変えたりするのも拒否されうる。“在庫”表の行や表の削除,“製品”表への行の追加は拒否されない。 在庫(参照する側) 管理番号 製品番号 Z01 P1 Z02 P2 Z03 P9 製品(参照される側) 製品番号 製品名 P1 ねじ P2 ばね P9 は製品に無い → 在庫への追加は拒否 参照されている P1・P2 の削除も拒否されうる 拒否されない:在庫の行・表の削除,製品への行の追加 外部キー → 参照先に同じ値が要る
参照する側への追加と,参照される側からの削除が引っかかる

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

LAN 間接続装置に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

リピータは,同種のセグメント間で信号を増幅(再生)して中継することによって,伝送距離を延長する装置で,OSI 基本参照モデルの第1層(物理層)で動作する。ウが適切である。

アは誤りで,ゲートウェイは,第4層(トランスポート層)以上を含めてプロトコルを変換する。イは誤りで,ブリッジは MAC アドレスを基にフレームを中継する。エは誤りで,ルータは IP アドレスを基にパケットを中継する。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

図のような IP ネットワークの LAN 環境で,ホスト A からホスト B にパケットを送信する。LAN1 において,パケット内のイーサネットフレームのあて先と IP データグラムのあて先の組合せとして,適切なものはどれか。ここで,図中の MACn/IPm はホスト又はルータがもつインタフェースの MAC アドレスと IP アドレスを示す。

ネットワーク構成。LAN1 にホスト A(MAC1/IP1)とルータのインタフェース(MAC3/IP3)が接続されている。LAN2 にホスト B(MAC2/IP2)とルータのもう一つのインタフェース(MAC4/IP4)が接続されている。

正解 ウ

解説

ホスト A からみてホスト B は別のネットワークにあるので,パケットはデフォルトゲートウェイであるルータに渡す。LAN1 の中を流れるイーサネットフレームの宛先は,次に受け取る機器であるルータの LAN1 側のインタフェースの MAC3 になる。一方,IP データグラムの宛先は最終的な宛先であるホスト B の IP2 のままで,ルータを経由しても変わらない。ウが正しい。

アとイはイーサネットフレームの宛先をホスト B の MAC2 としているが,ホスト B は LAN1 上にないので直接届けられない。イとエは IP データグラムの宛先をルータの IP3 としており,ルータ自身が宛先になってしまう。

区間ごとに変わる宛先 MAC,変わらない宛先 IP ホスト A から別のネットワークのホスト B へ送るとき,LAN1 では宛先 MAC アドレスをルータの MAC3,宛先 IP アドレスをホスト B の IP2 にする。ルータは LAN2 へ転送するとき,宛先 MAC アドレスを MAC2 に付け替える。宛先 IP アドレスは最後まで IP2 のまま。LAN2 で IP2 と MAC2 を ARP で対応付けるのはルータ。 ホスト A MAC1/IP1 ルータ MAC3 / MAC4 ホスト B MAC2/IP2 LAN1 LAN2 宛先 MAC:MAC3 宛先 IP:IP2 宛先 MAC:MAC2 宛先 IP:IP2 LAN1 のフレーム LAN2 のフレーム LAN2 で ARP を使って IP2 と MAC2 を対応付けるのはルータ
MAC アドレスは区間(LAN)ごとの宛先,IP アドレスは最終的な宛先

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

IP アドレス 192.168.10.10 のアドレスクラスはどれか。

正解 ウ

解説

IP アドレスのクラスは,先頭のビットで決まる。クラス A は先頭が 0(1〜126 で始まる),クラス B は 10(128〜191 で始まる),クラス C は 110(192〜223 で始まる),クラス D は 1110(224〜239 で始まるマルチキャスト用)である。192.168.10.10 の先頭の数は 192 で,2進数では 11000000 となり先頭が 110 なので,クラス C である。ウが正しい。

アのクラス A は第1オクテットが 1〜126,イのクラス B は 128〜191,エのクラス D は 224〜239 のアドレスで,192 にはいずれも当たらない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

TCP/IP に関連するプロトコルである RARP の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

RARP(Reverse Address Resolution Protocol)は,MAC アドレスを基に,対応する IP アドレスを問い合わせるプロトコルで,ディスクレスの端末が自分の IP アドレスを知るときなどに使われた。ウが適切である。

アは IP アドレスを基に MAC アドレスを問い合わせる ARP,イは IP プロトコルのエラー通知や情報通知に使われる ICMP,エはルーティング情報を交換してルーティングテーブルを動的に作成する RIP や OSPF などのルーティングプロトコルの説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

ほかのコンピュータ上にあるデータやサービスを呼び出すためのプロトコルで,メッセージ記述が XML のヘッダとボディで構成されているものはどれか。

正解 エ

解説

SOAP は,ほかのコンピュータ上にあるデータやサービスを呼び出すためのプロトコルで,メッセージを XML で記述し,エンベロープの中にヘッダとボディをもつ構造になっている。主に HTTP の上で使われ,Web サービスの呼出しに用いられる。エが正しい。

アの CORBA は,異なる環境のオブジェクト間の通信を実現する分散オブジェクト技術の仕様で,メッセージは XML で記述しない。イの DCOM は,マイクロソフトの分散オブジェクト技術。ウの SIP は,IP 電話などでセッションの確立や切断を行うためのプロトコルで,テキスト形式のメッセージを用いる。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

セキュリティ対策で利用する CRL に記載されるデータはどれか。

正解 ウ

解説

CRL(Certificate Revocation List:証明書失効リスト)は,認証局が発行した,有効期間内に失効したディジタル証明書のシリアル番号を一覧にしたもので,失効日時や理由も記載される。証明書の検証時に,その証明書が失効していないかを調べるために利用する。ウが適切である。

アはスパムメールの発信元などのドメイン名を並べたブラックリスト,エは利用者に与えられた情報資源へのアクセス権限を示すアクセス制御リスト(ACL)である。イは,自己署名証明書及び相互認証証明書だけに限っており,CRL には認証局が発行した失効済みの証明書のシリアル番号が載るので,誤りである。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

ソーシャルエンジニアリングに分類される手口はどれか。

正解 イ

解説

ソーシャルエンジニアリングは,システムの技術的な脆弱性ではなく,人の心理や行動の隙を突いて,パスワードなどの情報を不正に取得する手口である。システム管理者などを装って利用者に問い合わせ,パスワードを聞き出すイが該当する。

アはウイルスが作成したバックドアを使う侵入,ウは総当たり攻撃(ブルートフォース)でパスワードを解析する手口,エはバッファオーバフローなどソフトウェアの脆弱性を突く侵入であり,いずれも人を介さない技術的な攻撃である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

公開鍵暗号方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

RSA は,大きな整数の素因数分解が困難であることを安全性の根拠にした公開鍵暗号方式である。イが適切である。

アは誤りで,AES は NIST が公募して選定した共通鍵暗号方式である。ウは誤りで,公開鍵暗号方式では各利用者が自分の秘密鍵を保管し,公開鍵だけを公開するので,利用者が増えても秘密鍵の配送は要らない(共通鍵暗号方式では,相手ごとの鍵を配送する必要がある)。エは誤りで,通信の秘匿には,送信者が受信者の公開鍵(暗号化の鍵)で暗号化し,受信者が自分の秘密鍵(復号鍵)で復号するので,公開するのは暗号化の鍵であり,復号鍵は秘密にする。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

公開鍵暗号方式によって,暗号を使って n 人が相互に通信する場合,異なる鍵は全体で幾つ必要になるか。ここで,公開鍵,秘密鍵をそれぞれ一つと数える。

正解 イ

解説

公開鍵暗号方式では,一人ひとりが自分用の公開鍵と秘密鍵の組を一つ持てばよい。相手に送るときは相手の公開鍵で暗号化し,受け取った相手は自分の秘密鍵で復号するので,通信の相手が何人いても鍵の組を増やす必要はない。n 人なら n 組で,1組を2個と数えるので 2n 個。イが正しい。

ウの n(n−1)/2 は,共通鍵暗号方式で n 人が相互に通信する場合に必要な鍵の数で,2人1組ごとに別々の鍵が要るためである。人数が多いほど,公開鍵暗号方式のほうが必要な鍵の数を大幅に減らせる。

鍵の数とハイブリッド暗号 共通鍵暗号では,n 人が互いに秘密に通信するには2人の組ごとに鍵が要り,n(n−1)÷2 本になる。4人なら6本,100人なら4,950本。公開鍵暗号では1人が公開鍵と秘密鍵の1組を持てばよく,2n 本(100人なら200本)。ハイブリッド暗号では,データは速い共通鍵暗号で暗号化し,その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して一緒に送る。 共通鍵:4人で6本 n(n−1)÷2 本 公開鍵:1人1組 2n 本(公開鍵と秘密鍵) 100人なら 共通鍵 4,950本 / 公開鍵 200本 ハイブリッド暗号 データ 共通鍵で暗号化(速い) 暗号文 共通鍵 受信者の公開鍵で暗号化 暗号化した共通鍵 受信者は秘密鍵で共通鍵を取り出し,データを復号する
鍵の配り方は公開鍵暗号で,データの暗号化は速い共通鍵暗号で

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

ISMS 適合性評価制度における情報セキュリティ基本方針に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ISMS 適合性評価制度の基準(JIS Q 27001 とその管理策)では,情報セキュリティ基本方針は,事業上の要求事項や関連する法令に従って,情報セキュリティのための経営陣の方向性及び支持を規定するものとされる。ウが適切である。

アは誤りで,基本方針は従業員や関係する外部の者に周知する必要がある。イは誤りで,ビジネス環境や技術の変化に応じて定期的にレビューし,必要に応じて見直す。エは特定のシステムについてのリスク分析と対策や運用の詳細で,基本方針の下位にある個別の規程や手順書で定める内容である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

Autorun.inf を悪用した USB ワームの説明のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

USB ワームは,USB メモリなどを PC に接続したときに,Autorun.inf に書かれた内容を基に自動実行される仕組みを悪用する。Autorun.inf は,自動実行するプログラムのファイル名などを書いたテキストファイルで,ワームは,特定のワームのファイル名を登録した Autorun.inf を USB メモリ内に生成して,接続した PC で自動的に実行されるようにする。エが適切である。

アの IC レコーダも,イの暗号化 USB メモリも,PC からは USB 接続の記憶装置として認識され,接続すれば Autorun.inf が読まれるので,感染する可能性がある。暗号化はメモリ上のデータを守るもので,ワームの自動実行の仕組みを防ぐものではない。ウは,ワーム自体を Autorun.inf に埋め込むのではなく,Autorun.inf はワームのファイル名を指定するだけである。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

プログラム実行中の特定の時点で成立する変数間の関係や条件を記述した論理式を埋め込んで,そのプログラムの正当性を検証する手法はどれか。

正解 ア

解説

アサーションチェックは,プログラムの特定の位置に,その時点で成り立つべき変数間の関係や条件を論理式(アサーション)として埋め込み,実行時にその式が成り立つかを確かめることで,プログラムの正当性を検証する手法である。アが該当する。

イのコード追跡(トレース)は実行した命令の順序や変数の値の変化を追跡する手法,ウのスナップショットダンプはプログラムの実行中の指定した時点で主記憶やレジスタの内容を出力する手法である。エのテストカバレッジ分析は,テストによってプログラムの命令や分岐がどれだけ実行されたかの網羅率を測る手法である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

テスト工程におけるスタブの利用方法に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

スタブは,テスト工程で,トップダウンでテストを行うときに,作成したモジュールから呼び出される,まだ完成していない下位モジュールの代わりに用意する仮のモジュールである。イが適切である。

アは指定した命令を実行するたびにレジスタや主記憶の内容を出力するトレース,ウは実行中に変数やレジスタの内容を表示・修正しながらテストを続けるデバッガの機能の説明である。エは,モジュールの単体テストで,そのモジュールを呼び出す仮の上位モジュールを用意するもので,ドライバの説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

ホワイトボックステストのテストケースを設計する際に使用するものはどれか。

正解 ウ

解説

ホワイトボックステストは,プログラムの内部構造(処理の流れや条件分岐)を基にテストケースを設計するテストで,命令網羅,分岐網羅,条件網羅などのカバレッジ基準を使う。ウの条件網羅が該当する。

アの原因-結果グラフ,イの限界値分析,エの同値分割は,いずれもプログラムの外部仕様(入出力の条件)からテストケースを設計するブラックボックステストの技法である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

XP(Extreme Programming)のプラクティスの一つに取り入れられているものはどれか。

正解 エ

解説

XP(エクストリームプログラミング)は,短い反復で開発を進めるアジャイル開発手法の一つで,プラクティスとしてペアプログラミング,テスト駆動開発,リファクタリング,継続的インテグレーション,コードの共同所有などを挙げる。2人1組で1台のコンピュータを使い,一方がコードを書き他方がレビューしながら進めるペアプログラミングはその代表で,エが正しい。

アの構造化プログラミングは,順次・選択・繰返しの制御構造でプログラムを組み立てる考え方。イのコンポーネント指向プログラミングは,部品を組み合わせてソフトウェアを作る考え方。ウのビジュアルプログラミングは,図形を操作してプログラムを作る方式で,いずれも XP のプラクティスではない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

マッシュアップに該当するものはどれか。

正解 エ

解説

マッシュアップは,Web API などで公開されている複数のサービスを組み合わせて,新しいサービスを作り出す手法である。例えば地図サービスと店舗情報のサービスを組み合わせて,店舗の場所を地図に示すサービスを作る。エが正しい。

アは既存のプログラムを解析して仕様を導き出すリバースエンジニアリング。イは既存のプログラムを部品化して組み合わせるソフトウェア部品の再利用,ウはクラスライブラリを使った開発で,いずれも自組織のプログラム資産を再利用する方法であり,外部に公開されたサービスを組み合わせるマッシュアップとは異なる。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

特許権に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

特許法第79条では,他社の特許出願の際に,その発明の内容を知らずに自ら発明し,既に日本国内でその発明を実施する事業をしていた者に,先使用による通常実施権を認めている。A 社が特許を出願する前に独自に開発して発売した製品は,その後も製造・販売を続けることができ,A 社の特許権の侵害にならない。アが適切である。

イは誤りで,ソフトウェアも,自然法則を利用した技術的思想の創作であれば,プログラムの発明として特許権で保護される。ウは誤りで,特許権の取得後でも,無効審判によって特許が無効とされることがある。エは誤りで,特許権は,独自に開発した技術であっても,特許発明と同一の技術を業として実施すれば侵害になる。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

WBS の構成要素であるワークパッケージに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ワークパッケージは WBS の最下位レベルの要素で,コストや期間を見積もって管理できる大きさの作業のまとまりである。スケジュールを作るときには,ワークパッケージをさらに,作業を完了させるために必要なアクティビティに分解する。ウが正しい。

アの OBS(組織ブレークダウンストラクチャ)は組織の構造を表すもので,担当者を割り当てたものがワークパッケージではない。イの関連のある要素成果物をまとめたものは,ワークパッケージより上位の階層の要素である。エのワークパッケージは,一つ上位の要素を分解したものなので,上位の要素成果物に対して複数ある場合もあり,1対1に対応するとは限らない。

WBS とワークパッケージ WBS(作業分解構成図)は,プロジェクトの成果物と作業を,管理できる大きさまで階層的に分解したもの。いちばん下の要素がワークパッケージで,これを単位に費用や期間を見積もり,担当を決めて管理する。上の要素は下の要素の合計(100%ルール)。 システム開発 設計 WP WP 製造 WP WP テスト WP WP WP:ワークパッケージ(費用・期間・担当を決める単位)
いちばん下がワークパッケージ。見積りと管理の単位

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

工程別の生産性が次のとき,全体の生産性を表す式はどれか。

正解 エ

解説

全体の生産性は,全工程を通した開発規模を,全工程の工数の合計で割った値である。規模を S ステップとすると,各工程の工数は S/X,S/Y,S/Z 人月なので,全体の生産性は S/(S/X+S/Y+S/Z)=1/(1/X+1/Y+1/Z)となる。エが正しい。

同じ S ステップを三つの工程が順に扱うので,工程ごとの生産性を足し合わせる(ア)ことも,単純に平均する(イ)こともできない。ウは全工程の工数を規模で割った“1ステップ当たりの人月”で,生産性の逆数に当たる。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

アローダイアグラムで表される作業 A〜H を見直したところ,作業 D だけが短縮可能であり,その所要日数を6日間に短縮できることが分かった。作業全体の所要日数は何日間短縮できるか。

アローダイアグラム(数字は所要日数)。A 5 の後に B 3 と C 5 に分かれる。C の終点から D 10 が出て B の終点と同じ結合点に入る。その結合点から E 5 が出る。C の終点から F 12 が出る。E の終点から G 3 が最終の結合点に向かい,E の終点から F の終点の結合点へダミー作業が出る。F の終点の結合点から H 6 が最終の結合点に向かう。凡例:矢印の上が作業名,下が所要日数。点線の矢印はダミー作業。

正解 ウ

解説

最早結合点時刻を順に求める。A の終点は5日目。C の終点は 5+5=10日目。E の始点は,B 経由の 5+3=8日目と D 経由の 10+10=20日目のうち遅いほうで20日目。E の終点は25日目で,ダミー作業があるので H の始点も F 経由の22日目と25日目のうち25日目になる。最終結合点は G 経由の28日目と H 経由の31日目で31日。D を6日にすると E の始点が 10+6=16日目,E の終点が21日目,H の始点は F 経由の22日目と21日目のうち22日目となり,最終は G 経由24日目と H 経由28日目で28日。31−28=3日短縮できるのでウが正しい。

D を4日縮めても全体が4日縮まらないのは,D を通らない経路 A→C→F→H(5+5+12+6=28日)が下限として残るため。作業を短縮するときは,短縮後に別の経路がクリティカルパスに変わらないかを必ず確かめる。

作業 D を短縮したときの全体の短縮 当初は A→C→D→E→(ダミー)→H が 5+5+10+5+6=31 日でクリティカルパス。D を 10 日から 6 日に4日縮めると,D を通る経路は 27 日になるが,D を通らない A→C→F→H が 5+5+12+6=28 日で残るので,全体は 31 日から 28 日の3日しか縮まらない。 A 5 B 3 C 5 D 10 E 5 F 12 G 3 H 6 0 / 0 5 / 5 10 / 10 20 / 20 25 / 25 25 / 25 31 / 31 D を6日に → A→C→F→H(28日)が残り,31→28日(3日短縮)
短縮後は別の経路がクリティカルパスに変わらないかを確かめる

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

PMBOK において,マイナスのリスクに対する戦略として用いられる“リスク転嫁”の説明はどれか。

正解 イ

解説

PMBOK では,マイナスのリスク(脅威)への対応戦略として,回避,転嫁,軽減,受容が挙げられている。転嫁は,リスクの影響や,それに対応する責任の一部又は全部を第三者に移すことで,保険や保証,契約などが使われる。リスクそのものはなくならない。イが該当する。

アは影響が及ばないようにする回避,ウは発生確率や影響度を許容できる水準まで下げる軽減の説明である。エは,事前に対応策を決めず,発生した時点で対処するために費用や時間の余裕をもっておく受容の説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

ソフトウェア開発の見積りに使われるファンクションポイント法に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ファンクションポイント法は,システムが提供する機能(入力,出力,照会,内部ファイル,外部インタフェースなど)の数や複雑さを基にファンクションポイントを求め,それにシステム特性による補正を加えて,ソフトウェアの規模を見積もる手法である。帳票数,画面数,ファイル数などのデータを基にするエが適切である。

アはソースプログラムの行数を基にする方法,イは規模を基に補正係数を使って開発工数やコストを見積もる COCOMO のような方法の説明である。ウは単位規模当たりの潜在バグ数を予測して品質を見積もる手法で,開発規模の見積りではない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

システムの開発部門と運用部門が別々に組織化されているとき,開発から運用への移行を円滑かつ効果的に進めるための方法のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

開発部門と運用部門が別々のとき,運用の立場でシステムを使いやすくするには,開発の早い段階から運用部門も参加して,運用性の観点から助言するのが効果的である。ウが適切である。

アは,運用テストの完了後では,運用上の問題が見つかっても手戻りが大きいので遅い。イは,運用テストを運用部門だけで行うと,システムの仕様や動作を知る開発部門の支援が受けられず,円滑な移行にならない。エは,開発部門だけで運用テストや運用マニュアルの作成を行うと,運用部門の要望が反映されず,運用部門への引渡し後に問題が出やすい。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

次の処理条件でサーバ上のファイルを磁気テープにバックアップするとき,バックアップの運用に必要な磁気テープは何本か。

〔処理条件〕

正解 ウ

解説

処理条件 (3) から,常に 6 か月前の同一日以降の任意の日の状態に復元できなければならない。ある日の状態に復元するには,その月の 1 日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が必要である。

例えば本日が 10 月 31 日なら,4 月 30 日以降の日を復元できる必要があるので,4 月から 10 月までの 7 か月分のフルバックアップと差分バックアップを保管しておかなければならない。本日が 10 月 1 日でフルバックアップを取った後でも,4 月 1 日以降の復元のために同じく 4 月から 10 月までの 7 か月分が必要になる。

フルバックアップ用が 7 本,差分バックアップ用が 7 本で,合計 14 本となり,ウになる。

バックアップに必要な磁気テープの本数 ある日の状態に戻すには,その月の1日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が要る。6か月前の同じ日以降のどの日にも戻せるようにするには,例えば10月31日なら4月30日以降,つまり4月から10月までの7か月分を残す。フルバックアップ用7本と差分バックアップ用7本で14本。 4月 フル 差分 5月 フル 差分 6月 フル 差分 7月 フル 差分 8月 フル 差分 9月 フル 差分 10月 フル 差分 4月30日〜10月31日のどの日にも戻せる 7か月 × 2本 = 14本 (10月31日なら6か月前は4月30日。4月分のテープも要る)
6か月前の月も含めるので7か月分。月ごとにフルと差分で2本

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

サービス提供の時間帯を 7:00〜19:00 としているシステムにおいて,16:00 にシステム故障が発生し,サービスが停止した。修理は 21:00 までかかり,当日中にサービスは再開されなかった。この日の可用性は何%か。

正解 エ

解説

可用性は,サービスを提供すべき時間のうち,実際にサービスを提供できた時間の割合である。サービス提供の時間帯は 7:00〜19:00 の12時間で,16:00 に停止してその日は再開されなかったので,提供できたのは 7:00〜16:00 の9時間である。

9÷12=0.75 で 75%となり,エが正しい。修理が終わった 21:00 はサービス提供の時間帯の外なので,停止時間は 16:00〜19:00 の3時間として数える。1日24時間を分母にしたり,修理時間の5時間を停止時間としたりすると誤る。

サービス提供時間帯 7〜19 時の可用性 サービスを提供すべき時間は 7:00〜19:00 の12時間。16:00 に止まって当日は再開しなかったので,提供できたのは 7:00〜16:00 の9時間。修理が終わった 21:00 は提供時間帯の外なので数えない。可用性は 9÷12=75%。 1日のうち提供時間帯 7:00〜19:00(12時間) 7〜16 時 提供 9 時間 停止 3 止まった(数える) 提供時間に含めない(分母から除く) 9 ÷ 12 = 75% 16〜21 時の修理のうち 19 時より後は提供時間帯の外
分母は提供時間帯の12時間。時間帯の外の修理は数えない

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム監査における“監査手続”はどれか。

正解 イ

解説

監査手続は,監査項目について,監査人が十分な証拠を入手するために実施する手順のことである。イが該当する。

アは監査報告書への改善勧告の記述,ウは監査チームの編成,エは監査目的の明確化と監査計画書の作成であり,いずれも監査証拠を入手する手順そのものではない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

システム監査実施体制のうち,システム監査人の独立性の観点から避けるべきものはどれか。

正解 ア

解説

システム監査人は,監査の対象から独立していなければならず,自分が所属する部門や担当する業務を自ら監査すると,独立性が損なわれる。アは総務部の A さんが総務部の入退室管理を監査するので,避けるべきである。

イは監査部の B さんが外部企業を監査するもので,独立性に問題はない。ウの C さんは情報システム部から監査部に異動して5年が経っており,現在は監査部の立場で監査する。エの D さんは法務部の立場で,監査部からの依頼によって監査人に協力するだけで,監査人として判断する立場ではない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

“システム管理基準”の説明はどれか。

正解 ウ

解説

システム管理基準は,経済産業省が策定したもので,組織体が情報戦略を立案し,効果的な情報システム投資と,リスクを低減するためのコントロールを適切に整備・運用するための実践規範をとりまとめたものである。ウが該当する。

アはコンピュータウイルス対策基準,イはコンピュータ不正アクセス対策基準,エはソフトウェアの違法複製の防止を目的としたソフトウェア管理ガイドラインの説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

エンタープライズアーキテクチャを説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し,業務とシステムを同時に改善することを目的とした,業務とシステムの最適化手法である。政策・業務体系,データ体系,適用処理体系,技術体系の四つの体系で現状(As-Is)と理想(To-Be)を整理する。ウが正しい。

アは IT ガバナンス,イは業務処理統制(業務プロセスに組み込まれた内部統制),エは EVM(アーンドバリューマネジメント)の説明である。

エンタープライズアーキテクチャ(EA)の4つの体系 EA は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネス(政策・業務体系),データ(データ体系),アプリケーション(適用処理体系),テクノロジ(技術体系)の4つの体系で整理する。それぞれの現状(As-Is)と理想(To-Be)を描き,その差を埋める移行計画で全体最適を図る。 現状(As-Is) 理想(To-Be) ビジネス 政策・業務体系 データ データ体系 アプリケーション 適用処理体系 テクノロジ 技術体系 差を埋める移行計画
4つの体系ごとに現状と理想を描き,移行計画を立てる

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

対象業務を,データ構造に着目して可視化するとき,データを実体,関連,属性という三つの要素でモデル化する表記法はどれか。

正解 イ

解説

データを実体(エンティティ),関連(リレーションシップ),属性(アトリビュート)の三つの要素でモデル化し,データ構造に着目して可視化する表記法は,E-R 図である。イが正しい。

アの DFD はデータの流れと処理の関係,ウの状態遷移図はシステムやオブジェクトの状態とその遷移,エの流れ図は処理の手順を表す図であり,いずれもデータ構造をモデル化する表記法ではない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

エンタープライズアーキテクチャにおいて,情報システムの理想を表すモデルはどれか。

正解 イ

解説

エンタープライズアーキテクチャでは,現状の姿を As-Is モデル,目指すべき理想の姿を To-Be モデルとして描き,その差を埋める道筋を計画する。業務と情報システムの理想を表すのは To-Be モデルなのでイが正しい。

アの EA 参照モデルは,業務や技術の分類体系をあらかじめ整理した参照用のひな型。ウのザックマンモデルは,観点と問い(何を・どのように・どこで など)の組合せで構造を整理するフレームワーク。エのデータモデルは四つの体系のうちデータアーキテクチャで用いる記述である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

SOA を説明したものはどれか。

正解 エ

解説

SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務プロセスを構成する機能と,それを支える IT 基盤を,再利用可能なソフトウェア部品(サービス)として提供し,それらを組み合わせてシステムを構築するアーキテクチャである。エが該当する。

アは組織や業務のやり方を抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング),イは基幹業務を統合的に管理する ERP,ウは発注者とサービス提供者の間でサービスの品質を合意する SLA(サービスレベル合意書)の説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

サプライチェーンマネジメントの改善指標となるものはどれか。

正解 ウ

解説

サプライチェーンマネジメント(SCM)は,資材の調達から生産,物流,販売までの一連の流れを企業や部門の枠を越えて統合的に管理し,全体の在庫を適正化してリードタイムの短縮やコストの削減を図る手法である。売れ残りや過剰生産による不良在庫が減ったかどうかは,SCM の改善の度合いを示す指標になる。ウが該当する。

アの残業時間の減少率は労働環境や業務効率の指標,イの販売単価下落の防止率は価格戦略の指標,エの優良顧客数の増加率は CRM(顧客関係管理)の改善指標である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

要件定義において,ユーザや外部システムと,業務の機能を分離して表現することで,ユーザを含めた業務全体の範囲を明らかにするために使用される図はどれか。

正解 エ

解説

ユースケース図は,システムの外部にいるユーザや外部システム(アクタ)と,システムが提供する業務の機能(ユースケース)を分けて描き,その関係を表す UML の図である。要件定義で,ユーザを含めた業務全体の範囲やシステム化の対象を明らかにするのに使われる。エが正しい。

アのアクティビティ図は処理や業務の流れ,イのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の静的な関係,ウの状態遷移図は状態の変化を表す図である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

経営戦略に用いられる SWOT 分析はどれか。

正解 ア

解説

SWOT 分析は,企業の内部環境の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)と,外部環境の機会(Opportunities)・脅威(Threats)を分析して,経営戦略を立てる手法である。アが正しい。

イは競争に影響する要因や他社・自社の動きを見る競争環境の分析(ファイブフォース分析や3C 分析など),ウはマーケティングツール(製品,価格,流通,販促)の組合せを分析するマーケティングミックス,エは各事業を市場の成長性と占有率で位置付けて資源配分を考える PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)の説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

観測データを類似性によって集団や群に分類し,その特徴となる要因を分析する手法はどれか。

正解 ア

解説

クラスタ分析法は,観測データを互いの類似性に基づいて集団(クラスタ)に分け,各集団に共通する特徴から要因を読み取る手法。アが正しい。

イの指数平滑法は過去の実績に指数的な重みを付けて将来を予測する手法,ウのデルファイ法は専門家の意見を匿名で繰り返し集約して見通しを立てる手法,エのモンテカルロ法は乱数を使って数値的に解を求める手法である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

バランススコアカードを説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

バランススコアカードは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長という四つの視点から目標と業績評価指標を設定し,経営戦略の立案と実行を支援する手法である。ウが正しい。

アは,外部環境(機会・脅威)と内部環境(強み・弱み)から事業機会を導き出す SWOT 分析の説明である。イは,計画,行動,評価,修正のサイクルを回す PDCA の説明である。エは,ビジネス戦略を実現するために設定した,業務プロセスをモニタリングする指標で,KPI(重要業績評価指標)の説明である。

バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ 下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。 財務 売上高を伸ばす 売上高・利益率 顧客 顧客満足度を上げる 顧客満足度・シェア 内部ビジネスプロセス 出荷を速くする 出荷までの日数 学習と成長 専門人材を育てる 育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

ワンチップマイコンの内蔵メモリとしてフラッシュメモリが採用されている理由として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

フラッシュメモリは,電源を切っても内容が消えない不揮発性メモリで,電気的に内容を消去して書き換えることができる。ワンチップマイコンの内蔵メモリにフラッシュメモリを使えば,マイコンを出荷した後や機器に組み込んだ後でもソフトウェアを書き換えられ,不具合の修正や機能の追加に対応できる。イが適切である。

アのソフトウェアのコードサイズは,メモリの種類によって変わらない。ウのマイコンの処理性能は,メモリの種類によって向上するものではない。エのマスク ROM は製造時に内容を書き込んで書き換えられないもので,フラッシュメモリのほうが信頼性が高いわけではない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

EDINET を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

EDINET(Electronic Disclosure for Investors' NETwork)は,金融庁が行政サービスの一環として提供している,金融商品取引法に基づく有価証券報告書などの開示書類を,電子的に提出・開示するためのシステムである。アが正しい。

イは公共施設の予約システム,ウは地方公共団体をネットワークで結んで住民票の情報を国と地方公共団体の間で利用する住民基本台帳ネットワーク,エは米国の証券取引委員会が運営する EDGAR の説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

製造業の A 社では,NC 工作機械を用いて,四つの仕事 a〜d を行っている。各仕事間の段取り時間は表のとおりである。合計の段取り時間が最小になるように仕事を行った場合の合計段取り時間は何時間か。ここで,仕事はどの順序で行ってもよいものとし,FROM から TO への段取り時間で検討する。

各仕事間の段取り時間(単位 時間)。FROM から TO への時間。仕事 a から:b 2,c 1,d 2。仕事 b から:a 1,c 1,d 2。仕事 c から:a 3,b 2,d 2。仕事 d から:a 4,b 3,c 2。

正解 ア

解説

各仕事を一度ずつ行う順序のうち,段取り時間の合計が最小になるものを探す。3 回の段取りがあるので,合計の最小は 3(すべて 1 時間)以上である。1 時間の段取りは,a→c,b→a,b→c の三つだけで,三つの仕事をつなぐ b→a→c(1+1=2)までしか作れず,d は他からの段取りが 2 時間以上掛かる。b→a→c→d の合計は 1+1+2=4 時間で,これが最小である。アが正しい。

他の順序,例えば a→c→b→d は 1+2+2=5 時間,a→b→c→d は 2+1+2=5 時間で,4 時間を下回るものはない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。

正解 エ

解説

EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。

アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

品質管理における検査特性曲線(OC 曲線)は,通常,横軸にロットの不良率を,縦軸にはロットの合格の確率を目盛ったものである。大きさ N のロットから,大きさ n のサンプルを抜き取り,このサンプル中に見いだされた不良個数が合格判定個数 c 以下のときはロットを合格とし,c を超えたときはロットを不合格とする。

N と n を一定にして c を 0,1,2 と変えたときの,OC 曲線の変化の傾向を表す図はどれか。

正解 イ

解説

検査特性曲線(OC 曲線)は,ロットの不良率ごとに,そのロットが合格になる確率を示す曲線である。合格判定個数 c を大きくするほど,サンプル中の不良個数が c 以下になりやすく,どの不良率でも合格する確率が高くなるので,曲線は全体として右(不良率の高いほう)へ移る。c=0 が最も左,c=2 が最も右にある図が適切で,イが正しい。

アは c=0 が最も右にあり,c が大きいほど合格しにくくなる向きで逆である。ウとエは,曲線が左上付近で交差しているが,c を大きくすると不良率にかかわらず合格の確率が高くなるので,曲線どうしは交差しない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

表の事業計画案に対して,新規設備投資に伴う減価償却費(固定費)の増加 1,000 万円を織り込み,かつ,売上総利益を 3,000 万円とするようにしたい。変動費率に変化がないとすると,売上高の増加を何万円にすればよいか。

事業計画案(単位 万円)。売上高 20,000。売上原価は変動費 10,000,固定費 8,000,計 18,000。売上総利益 2,000。

正解 ウ

解説

表の事業計画案では,売上高 20,000 万円に対して変動費が 10,000 万円なので,変動費率は 10,000÷20,000=0.5 である。減価償却費の増加を織り込むと,固定費は 8,000+1,000=9,000 万円になる。

売上高を S 万円とすると,売上総利益は S−0.5S−9,000=0.5S−9,000 となる。これを 3,000 万円にするには,0.5S=12,000 より S=24,000 万円が必要である。

売上高の増加は 24,000−20,000=4,000(万円)であり,ウになる。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

図に示す標準原価計算の手続について,a〜c に該当する適切な組合せはどれか。

標準原価計算の手続の流れ図。原価標準の設定,標準原価の計算,a,b,c,原価報告の順に上から下へ進む。

正解 イ

解説

標準原価計算の手続は,原価標準を設定し,それを基に標準原価を計算した後,実際原価を計算し,標準原価との差額である標準原価差額を計算して,その原因を原価差異分析で調べ,原価報告を行う流れである。a が実際原価の計算,b が標準原価差額の計算,c が原価差異分析で,イが正しい。

ア,ウ,エは,標準原価差額の計算の前に原価差異分析をしていたり,実際原価を計算する前に標準原価差額を求めていたりして,順序が合わない。標準原価差額は標準原価と実際原価の差なので,両方を計算した後でなければ求められない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

表のような製品 A,B を製造,販売する場合,考えられる営業利益は最大で何円になるか。ここで,機械の年間使用可能時間は延べ 15,000 時間とし,年間の固定費は製品 A,B に関係なく 15,000,000 円とする。

製品ごとの販売単価・販売変動費・製造時間。製品 A は販売単価 30,000 円,販売変動費 18,000 円/個,製造時間 8 時間/個。製品 B は販売単価 25,000 円,販売変動費 10,000 円/個,製造時間 12 時間/個。

正解 イ

解説

製造時間の上限 15,000 時間を,どちらの製品に使えば利益が最大になるかを考える。1個当たりの限界利益(販売単価−変動費)は A が 12,000 円,B が 15,000 円で,製造時間1時間当たりに直すと A が 12,000÷8=1,500 円,B が 15,000÷12=1,250 円となり,A のほうが大きい。

販売数量に制約はないので,全ての時間を A に使う。15,000÷8=1,875 個を製造し,限界利益は 1,875×12,000=22,500,000 円。固定費 15,000,000 円を引いた利益は 7,500,000 円で,イが正しい。1個当たりの限界利益だけで B を選ぶと,15,000÷12=1,250 個で 1,250×15,000−15,000,000=3,750,000 円(ア)となる。

限られた機械時間は「時間当たりの限界利益」で配る 1個当たりの限界利益は A 12,000 円,B 15,000 円で B が大きいが,製造時間1時間当たりでは A 1,500 円,B 1,250 円で A が大きい。販売数量に制約はないので 15,000 時間を全て A に使い,1,875 個×12,000 円=22,500,000 円。固定費 15,000,000 円を引いて利益は 7,500,000 円。 製品 限界利益/個 製造時間/個 1時間当たり A 12,000 円 8 時間 1,500 円 B 15,000 円 12 時間 1,250 円 15,000 時間 ÷ 8 = 1,875 個 × 12,000 円 = 2,250 万円 − 固定費 1,500 万円 = 利益 750 万円(イ) 1 個当たりで B を選ぶと 1,250 個 → 375 万円(ア) 制約が時間なら,時間当たりで比べる
1時間当たりの限界利益が大きい A に全部使う → 750 万円

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

A 社は,B 社と著作物の権利に関する特段の取決めをせず,A 社の要求仕様に基づいて,販売管理システムのプログラム作成を B 社に依頼した。この場合のプログラム著作権の原始的帰属は,どのようになるか。

正解 エ

解説

著作権は,原則としてその著作物を実際に創作した者に原始的に帰属する。法人に帰属するのは著作権法第15条の職務著作に当たる場合で,これは法人等の業務に従事する者が職務上作成したときの規定である。今回プログラムを作成したのは受託した B 社なので,特段の取決めがなければ著作権は B 社に帰属する。エが正しい。

アのように後から話し合って決めるのは原始的帰属ではなく,譲渡の取決めの話になる。イの共有帰属となるのは両社が共同で創作し,各人の寄与を分離して利用できない場合。ウのように委託した A 社に帰属させるには,契約で著作権の譲渡を定めておく必要がある。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

企業経営における,コンプライアンス強化の説明はどれか。

正解 ア

解説

コンプライアンスは,法令や社会規範,企業倫理などを守ることで,その強化は,企業存続の危機につながりかねない経営者や従業員による不法行為の発生を抑制する取組みである。アが正しい。

イは他社にまねのできない独自の技術や能力など,差別化の源泉となる経営資源を保有して競争力を強化するコアコンピタンス経営の説明,ウは経営者の権力行使をけん制して健全な経営を行う仕組みを作るコーポレートガバナンス(企業統治)の説明である。エは顧客,株主,従業員などの利害関係者の満足度を高める取組み(CS や ES など)の説明である。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

A 社は,B 社に委託して開発したハードウェアに,C 社が開発して販売したソフトウェアパッケージを購入して実装し,組込み機器を製造した。A 社はこの機器を自社製品として出荷した。小売店の D 社は,この製品を仕入れて販売した。ソフトウェアパッケージに含まれていた欠陥が原因で,利用者が損害を受けたとき,製造物責任法(PL 法)上の責任を負うのはだれか。ここで,A 社,B 社,C 社,D 社及び損害を受けた利用者はすべて日本国内の法人又は個人とする。

正解 ア

解説

製造物責任法(PL 法)は,第2条第1項で製造物を“製造又は加工された動産”とし,第3条で,製造業者等は,その製造,加工,輸入などをした製造物の欠陥によって他人の生命,身体又は財産を侵害したときは,損害を賠償する責任を負うと定めている。製造業者等には,製造物を業として製造,加工又は輸入した者(第2条第3項第1号)などが当たる。欠陥のあるソフトウェアパッケージを実装した組込み機器を製造し,自社製品として出荷した A 社は,その機器(動産)の製造業者であり,責任を負う。アが正しい。

イの C 社が開発・販売したソフトウェアパッケージは,それ自体は形のない情報で,一般に動産である製造物には当たらないので,この事例では,機器の製造業者である A 社が責任を負う。ウの B 社は A 社の委託でハードウェアを開発しただけで,欠陥の原因もソフトウェアパッケージにある。エの D 社は仕入れて販売しただけの小売店で,製造業者等に当たらない。

出典:平成22年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)