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応用情報技術者試験

平成30年度 春期 科目A(午前)

平成30年度 春期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

この年度を解いてみる

問1

AI におけるディープラーニングに最も関連が深いものはどれか。

正解 イ

解説

ディープラーニング(深層学習)は,人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワークの層を多数重ね,データから特徴を自動的に学習して,画像認識や音声認識などの複雑な判断を行えるようにする機械学習の手法である。多層に配置された素子とそれらを結ぶ信号線で構成され,信号線に付随するパラメタ(重み)を調整することによって,入力に対して適切な解が出力されるようにするイが最も関連が深い。

アは場合分けをして深さ優先で探索し,解が見つからなければ一つ前の場合分けに後戻りするバックトラック法,ウは解の候補を記号列で表して遺伝子に見立て,突然変異,交配,とう汰を繰り返して良い解に近づける遺伝的アルゴリズム,エは温度に見立てたパラメタを制御して大ざっぱな解の候補から厳密な解の候補に変化させるシミュレーテッドアニーリング(焼きなまし法)の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

表は,文字 A〜E を符号化したときのビット表記と,それぞれの文字の出現確率を表したものである。1文字当たりの平均ビット数は幾らか。

文字とビット表記と出現確率(%)の表。A は 0 で 50,B は 10 で 30,C は 110 で 10,D は 1110 で 5,E は 1111 で 5。

正解 イ

解説

平均ビット数は,各文字のビット数に出現確率を掛けて足し合わせて求める。A は1ビットで 0.50,B は2ビットで 0.30,C は3ビットで 0.10,D と E はどちらも4ビットで 0.05 なので,1×0.50+2×0.30+3×0.10+4×0.05+4×0.05=0.50+0.60+0.30+0.20+0.20=1.8 ビットになる。イが正しい。

エの 2.8 は,出現確率を使わずに5文字のビット数を (1+2+3+4+4)÷5 と単純に平均した値である。アの 1.6 とウの 2.5 は,この表の数値からは導けない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

ハミング符号とは,データに冗長ビットを付加して,1ビットの誤りを訂正できるようにしたものである。ここでは,X1,X2,X3,X4 の4ビットから成るデータに,3ビットの冗長ビット P3,P2,P1 を付加したハミング符号 X1X2X3P3X4P2P1 を考える。付加したビット P1,P2,P3 は,それぞれ次の式となるように決める。ここで,⊕ は排他的論理和を表す。ハミング符号 1110011 には1ビットの誤りが存在する。誤りビットを訂正したハミング符号はどれか。

X₁ ⊕ X₃ ⊕ X₄ ⊕ P₁ = 0
X₁ ⊕ X₂ ⊕ X₄ ⊕ P₂ = 0
X₁ ⊕ X₂ ⊕ X₃ ⊕ P₃ = 0

正解 ア

解説

符号 1110011 を X1X2X3P3X4P2P1 の順に読むと,X1=1,X2=1,X3=1,P3=0,X4=0,P2=1,P1=1。三つの検査式に当てはめると,X1⊕X3⊕X4⊕P1=1,X1⊕X2⊕X4⊕P2=1,X1⊕X2⊕X3⊕P3=1 となり,三つとも0にならない。三つの式すべてに現れるビットは X1 だけなので,誤っているのは X1。これを1から0に直した 0110011 が答えになる。

誤りが1ビットなら,成立しない式の組合せで位置を特定できる。1番目の式だけが成立しなければ誤りは P1,1番目と2番目だけなら X4,というように対応する。イは X2,ウは X3,エは X4 を反転した符号で,いずれも検査式を満たさない。

ハミング符号 X1X2X3P3X4P2P1 の誤りの位置 受信した符号 1110011 で各検査式の合計を求めると,X1⊕X3⊕X4⊕P1 は 1,X1⊕X2⊕X4⊕P2 は 1,X1⊕X2⊕X3⊕P3 は 1。合わない式のすべてに含まれ,合う式には含まれないビットは X1 なので,それを反転して 0110011 になる。 X1 1 X2 1 X3 1 P3 0 X4 0 P2 1 P1 1 受信 合計 X1⊕X3⊕X4⊕P1 1 1 0 1 1 ✕ X1⊕X2⊕X4⊕P2 1 1 0 1 1 ✕ X1⊕X2⊕X3⊕P3 1 1 1 0 1 ✕ 合わない式すべてに入り,合う式に入らない X1 が誤り X1 を反転して 0110011
丸は各式に入るビット。合計が1(奇数)の式が合わない

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

サンプリング周波数 40 kHz,量子化ビット数 16 ビットで A/D 変換したモノラル音声の1秒間のデータ量は,何 k バイトとなるか。ここで,1 k バイトは 1,000 バイトとする。

正解 ウ

解説

サンプリング周波数 40 kHz は,1秒間に 40,000 回標本を取ることを表す。量子化ビット数 16 ビットは1標本が 16 ビット=2バイトなので,モノラル(1チャネル)の1秒間のデータ量は 40,000×2=80,000 バイト=80k バイトになる。ウが正しい。

アの 20 は1標本を 0.5 バイト(4ビット),イの 40 は1標本を 1 バイト(8ビット)としたときの値である。エの 640 は 40×16 で,単位がビット(k ビット)のままバイトに直していない値である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

非負の整数 m,n に対して次のとおりに定義された関数 Ack(m,n) がある。Ack(1,3) の値はどれか。

Ack(m,n) は,m>0 かつ n>0 のとき Ack(m−1,Ack(m,n−1)),m>0 かつ n=0 のとき Ack(m−1,1),m=0 のとき n+1。

正解 ウ

解説

定義に従って順に展開する。m=0 のときは n+1 なので,まず Ack(1,0)=Ack(0,1)=2 となる。これを使うと Ack(1,1)=Ack(0,Ack(1,0))=Ack(0,2)=3,Ack(1,2)=Ack(0,Ack(1,1))=Ack(0,3)=4 と求まる。

よって Ack(1,3)=Ack(0,Ack(1,2))=Ack(0,4)=5 で,ウが正しい。m=1 のときは Ack(1,n)=n+2 になっていることが分かる。

Ack(1, 3) を内側から順に求める m=0 なら n+1,n=0 なら Ack(m−1, 1),それ以外は Ack(m−1, Ack(m, n−1))。Ack(1,0)=Ack(0,1)=2,Ack(1,1)=Ack(0,2)=3,Ack(1,2)=Ack(0,3)=4,Ack(1,3)=Ack(0,4)=5。m=1 のときは Ack(1,n)=n+2 になる。 Ack(1, 0) = Ack(0, 1) = 2 Ack(1, 1) = Ack(0, Ack(1,0)) = Ack(0, 2) = 3 Ack(1, 2) = Ack(0, Ack(1,1)) = Ack(0, 3) = 4 Ack(1, 3) = Ack(0, Ack(1,2)) = Ack(0, 4) = 5 m=0 は n+1。前の行の答えを内側に入れていく
Ack(1, n) = n + 2 なので Ack(1, 3) = 5

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

異なる n 個のデータが昇順に整列された表がある。この表を m 個のデータごとのブロックに分割し,各ブロックの最後尾のデータだけを線形探索することによって,目的のデータの存在するブロックを探し出す。次に,当該ブロック内を線形探索して目的のデータを探し出す。このときの平均比較回数を表す式はどれか。ここで,m は十分に大きく,n は m の倍数とし,目的のデータは必ず表の中に存在するものとする。

正解 イ

解説

表は n/m 個のブロックに分かれる。まず各ブロックの最後尾を先頭から線形探索するので,目的のブロックに着くまでの比較回数は平均で (n/m)/2=n/2m 回になる。次にそのブロック内の m 個を線形探索するので,平均 m/2 回の比較が加わる。

合計の平均比較回数は m/2+n/2m で,イが正しい。m が十分に大きいので,線形探索の平均回数を (個数+1)/2 ではなく 個数/2 で近似している。アとウはブロック内・ブロック間の探索を平均でなく全件の回数で数えたもの,エはブロック内の探索を数えていない。

ブロックに分けた探索の平均比較回数 昇順に並んだ n 個を m 個ずつのブロックに分けると,ブロックは n/m 個。まず各ブロックの最後尾だけを先頭から調べて,目的のブロックを見つける(平均 n/(2m) 回)。次にそのブロックの m 個を調べる(平均 m/2 回)。合計 m/2 + n/(2m)。 ブロック1 ブロック2 ブロック3 ブロック4 ブロック5 ① 最後尾(塗ったマス)だけを先頭から ① ブロックは n/m 個 → 平均 n/(2m) 回 ② 見つけたブロックの m 個の中 → 平均 m/2 回 平均 = m/2 + n/(2m)
最後尾をたどる回数と,ブロックの中を調べる回数を足す

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

オブジェクト指向プログラミングにおいて,同一クラス内に,メソッド名が同一であって,引数の型,個数又は並び順が異なる複数のメソッドを定義することを何と呼ぶか。

正解 イ

解説

オーバーロード(多重定義)は,同一クラス内に,メソッド名が同じで,引数の型,個数又は並び順が異なる複数のメソッドを定義することである。呼出し時に渡した引数によって,どのメソッドを実行するかが決まる。イが正しい。

アのオーバーライドは,スーパクラスから継承したメソッドを,サブクラスで同じ名前・引数のまま再定義して置き換えること。ウのカプセル化は,データとそれを扱う手続を一つにまとめ,内部の詳細を外から隠すこと。エの汎化は,複数のクラスに共通する性質を取り出して,スーパクラスとしてまとめることである。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

再帰的な処理を実現するためには,再帰的に呼び出したときのレジスタ及びメモリの内容を保存しておく必要がある。そのための記憶管理方式はどれか。

正解 ウ

解説

再帰呼出しでは,後から呼び出した処理ほど先に終わり,呼出し元へ戻る。そのため,呼び出すたびにレジスタやメモリの内容を積み上げ,戻るときに最後に積んだものから取り出す LIFO(後入れ先出し)のスタックで保存する。ウが正しい。

アの FIFO(先入れ先出し)は待ち行列(キュー)で使う方式で,最初に保存したものから取り出すため,再帰の戻り順と合わない。イの LFU(使用頻度が最も低いものを追い出す)とエの LRU(最も長く参照されていないものを追い出す)は,キャッシュメモリや仮想記憶のページ置換えのアルゴリズムである。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

プロセッサの高速化技法の一つとして,同時に実行可能な複数の動作を,コンパイルの段階でまとめて一つの複合命令とし,高速化を図る方式はどれか。

正解 エ

解説

VLIW(Very Long Instruction Word)は,同時に実行できる複数の命令をコンパイラが解析し,一つの長い複合命令にまとめておく方式。並列に実行できるかどうかの判断を実行時ではなくコンパイル時に済ませるので,プロセッサの制御回路を単純にしたまま並列実行による高速化を図れる。エが該当する。

アの CISC は複雑で多機能な命令を多数備えるアーキテクチャ,ウの RISC は命令を単純な固定長のものに絞り,パイプライン処理で高速化するアーキテクチャで,いずれも命令をコンパイル時にまとめる方式ではない。イの MIMD は複数のプロセッサがそれぞれ別の命令を別のデータに対して実行する並列処理の分類(フリンの分類)である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

NAND 型フラッシュメモリに関する記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

NAND 型フラッシュメモリは,複数のメモリセルを直列につないだ構造で,書込みと読出しをページ(数 KB 程度)単位で行い,消去はページを複数まとめたブロック単位で行う。大容量化しやすく,SSD や USB メモリ,SD カードなどに使われる。エが適切である。

ア,イ,ウは,書込み又は読出しをバイト単位としている点が誤りである。バイト単位で読み出せるのは NOR 型で,NAND 型はバイト単位では書込みも読出しもできない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

メモリインタリーブの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

メモリインタリーブは,主記憶を複数のバンクに分け,連続するアドレスを異なるバンクに割り当てることで,CPU からのアクセス要求を複数のバンクで並列に処理し,主記憶へのアクセスを高速にする方式である。エが適切である。

アは主記憶と外部記憶を合わせて主記憶より大きなアドレス空間を提供する仮想記憶。イは主記憶と磁気ディスク装置の速度差を補うディスクキャッシュ。ウは CPU を介さずに主記憶と入出力装置の間でデータを転送する DMA(Direct Memory Access)の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

USB 3.0 の特徴として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

USB 2.0 は一対の信号線で送受信を切り替える半二重通信だが,USB 3.0 は送信用と受信用の信号線を別に追加し,同時に送受信できる全二重通信(SuperSpeed,最大 5 Gbps)である。アが適切である。

イは誤り。Wireless USB は UWB などを使う別の無線規格で,USB 3.0 の特徴ではない。ウは誤りで,最大供給電流は USB 2.0 の 500 ミリアンペアに対して,USB 3.0 は 900 ミリアンペアに増えた。エは誤りで,ピン数は9本に増えたが,USB 3.0 の Standard-A のコネクタには USB 2.0 のケーブルも挿せる互換性がある。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

PC をシンクライアント端末として利用する際の特徴として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

シンクライアントは,クライアント端末にはほとんど機能をもたせず,アプリケーションの実行やデータの保管をサーバ側に集める方式である。端末にアプリケーションやデータをインストールしておく必要がないので,端末を交換するときのインストール作業を軽減できる。ウが適切である。

アはアプリケーションやデータを端末に置くファットクライアントの特徴で,端末の盗難による情報漏えいのリスクはシンクライアントのほうが小さい。イのように端末にサーバ機能を導入するのではなく,シンクライアントはサーバ側の機能を端末から使う仕組みである。エは必要なアプリケーションを端末に入れているので,サーバに接続できなくても使えるファットクライアントの特徴で,シンクライアントはサーバに接続できないと利用できない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

物理サーバのスケールアウトに関する記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

スケールアウトは,サーバの台数を増やして負荷を分散させることで,サーバ群全体としての処理能力を向上させる方法である。イが該当する。

アの CPU を高性能なものに交換することと,エのメモリを増設することは,サーバ1台当たりの性能を高めるスケールアップである。ウのディスクの増設による冗長化は信頼性を高める対策で,処理能力を拡張するスケールアウトではない。

スケールアウトとスケールアップ スケールアウトはサーバの台数を増やして負荷を分散し,サーバ群として処理能力を上げる。台数を減らすのはスケールイン。スケールアップは1台の CPU やメモリを強くして性能を上げる。1台の性能を下げるのはスケールダウン。 増やす・上げる 減らす・下げる 台数 スケールアウト スケールイン 1台の性能 スケールアップ スケールダウン 台数で(アウト) 1台を強く(アップ)
台数を変えるのがアウト/イン,1台の性能を変えるのがアップ/ダウン

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

フェールソフトの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

フェールソフトは,システムの一部に故障が発生したとき,故障した部分を切り離すなどして,機能や性能を落としながらもシステム全体としては処理を続け,全面的な停止を避ける考え方である。ウが適切である。

アの故障や異常が発生したときにシステムを安全な状態に保つのはフェールセーフである。イの運用中でも故障部分を修復でき,連続運転を可能にするのは,活性保守の仕組みをもつ無停止型(フォールトトレラント)システムの特徴である。エの決められた順序でしか入力できないようにするなどして人の単純なミスを防ぐのはフールプルーフである。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

4種類の装置で構成される次のシステムの稼働率は,およそ幾らか。ここで,アプリケーションサーバとデータベースサーバの稼働率は 0.8 であり,それぞれのサーバのどちらかが稼働していればシステムとして稼働する。また,負荷分散装置と磁気ディスク装置は,故障しないものとする。

システム構成図。負荷分散装置の下にアプリケーションサーバが2台並列にあり,その下にデータベースサーバが2台並列にある。アプリケーションサーバとデータベースサーバは互いにたすき掛けで接続され,どちらのアプリケーションサーバからもどちらのデータベースサーバにも接続できる。データベースサーバの下に磁気ディスク装置がある。

正解 ウ

解説

アプリケーションサーバは2台のうちどちらかが稼働していればよいので,並列部分の稼働率は 1−(1−0.8)×(1−0.8)=1−0.04=0.96 になる。データベースサーバも同様に 0.96 である。どちらのアプリケーションサーバもどちらのデータベースサーバに接続できるので,この二つの並列部分を直列につないだものとして計算できる。

負荷分散装置と磁気ディスク装置は故障しないので,システムの稼働率は 0.96×0.96=0.9216,およそ 0.92 となる。ウが正しい。アの 0.64 は 0.8×0.8 と並列を考慮しない値,エの 0.96 は並列部分一つだけの値である。

AP サーバ2台と DB サーバ2台のシステム AP サーバは2台のどちらかが動けばよいので 1−0.2×0.2=0.96,DB サーバも同じく 0.96。どの AP サーバもどの DB サーバに接続できるので,2つの並列部分を直列につないだものとして 0.96×0.96≒0.92。負荷分散装置と磁気ディスク装置は故障しないので計算に入れない。 AP AP DB DB 0.8 の並列 → 0.96 0.8 の並列 → 0.96 0.96 × 0.96 ≒ 0.92 負荷分散装置と磁気ディスク装置は故障しないので除く
たすき掛けでつながる2段の並列は「並列×並列」の直列

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

三つのタスク A〜C の優先度と各タスクを単独で実行した場合の CPU と入出力(I/O)装置の動作順序と処理時間は,表のとおりである。優先順位方式のタスクスケジューリングを行う OS の下で,三つのタスクが同時に実行可能状態になってから,タスク C が終了するまでに,タスク C が実行可能状態にある時間は延べ何ミリ秒か。ここで,I/O は競合せず,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。また,表中の( )内の数字は処理時間を示すものとする。

タスク,優先度,単独実行時の動作順序と処理時間(ミリ秒)の表。タスク A は優先度が高で CPU(2)→I/O(6)→CPU(4),タスク B は優先度が中で CPU(2)→I/O(4)→CPU(2),タスク C は優先度が低で CPU(2)→I/O(2)→CPU(3)。

正解 ウ

解説

優先度は A が高,B が中,C が低で,三つとも時刻0に実行可能になる。時刻 0〜2 は A が CPU を使い,B と C は待つ。A が I/O(2〜8)に入っている間に,B が 2〜4 で CPU を使って I/O(4〜8)に入り,C は 4〜6 で CPU を使って I/O(6〜8)に入る。時刻8には三つとも I/O が終わって実行可能になり,優先度の高い順に,A が 8〜12,B が 12〜14,C が 14〜17 で CPU を使う。

タスク C が実行可能状態でありながら CPU を使えずに待った時間は,0〜4 の4ミリ秒と,8〜14 の6ミリ秒で,合計 10 ミリ秒になる。ウが正しい。アの6は,後半の待ち時間 8〜14 だけを数えた値である。イの8とエの12は,この時間割からは導けない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

セマフォを用いる目的として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

セマフォは,複数のプロセスやタスクが共有資源(共有メモリ,ファイル,入出力装置など)を同時に使うときに,資源が使用中か空いているかを整数の変数で表し,P 操作(獲得)と V 操作(解放)によって排他制御や同期を行う仕組みである。共有資源を管理するアが適切である。

イのスタックは後入れ先出しのデータ構造で,セマフォの目的ではない。ウのスラッシングは,主記憶が不足してページの入替えが頻発し,処理が進まなくなる現象で,多重度を下げるなどして回避する。エのセグメンテーションは,プログラムを論理的な単位(セグメント)に分けて主記憶を管理する仕組みである。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

ページング方式の仮想記憶における主記憶の割当てに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ページング方式の仮想記憶では,プログラムが主記憶上にないページを参照するとページフォールトが発生し,それを契機に OS がそのページを読み込むための主記憶(ページ枠)を割り当ててロードする(デマンドページング)。アが適切である。

イは誤り。空きがなければ,ページ置換えアルゴリズムで追い出すページを選び,補助記憶に退避して空きを作る。ウは誤り。ページの読込みや追出しによって,プログラムに割り当てられる主記憶の容量は実行中に変動する。エは誤り。実行開始時にコード領域の全てを主記憶に割り当てる必要はなく,必要になったページから割り当てる。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

RFID の活用事例として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

RFID は,微小な IC チップとアンテナを組み合わせたタグに識別情報を記録し,電波で非接触に読み書きする技術。商品や部品,入退室者の識別と管理に使われ,箱の中のタグをまとめて読み取れる点がバーコードとの違いになる。エが正しい。

アはバーコードや二次元コードによる入力,イは Bluetooth による無線通信,ウは IrDA などの赤外線通信の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

図の論理回路と等価な回路はどれか。

NAND ゲート4個から成る論理回路。入力 A,B を第1の NAND ゲート(G1)に入れる。A と G1 の出力を第2の NAND ゲート(G2)に,B と G1 の出力を第3の NAND ゲート(G3)に入れる。G2 と G3 の出力を第4の NAND ゲートに入れ,その出力が Y。

正解 ウ

解説

1段目の NAND 素子の出力を P=¬(A・B) とする。2段目の上の素子の出力は ¬(A・P),下の素子の出力は ¬(B・P) で,最後の NAND 素子の出力は Y=¬(¬(A・P)・¬(B・P))=A・P+B・P=(A+B)・¬(A・B) となる。

これは A と B のどちらか一方だけが1のときに1になる排他的論理和である。実際に,A=B=0 なら Y=0,A=1,B=0 なら Y=1,A=B=1 なら P=0 で Y=0 となる。したがって,排他的論理和素子のウが等価である。アは論理和,イは論理積,エは否定論理和の素子で,A=B=1 や A=B=0 のときの出力が合わない。

NAND 素子4個で作る排他的論理和 1段目の出力を P=¬(A・B) とすると,2段目の上は ¬(A・P),下は ¬(B・P),最後の出力は Y=A・P+B・P=(A+B)・¬(A・B)。A と B のどちらか一方だけが1のときに1になるので,排他的論理和と同じ。 A B Y P ¬(A・P) ¬(B・P) ¬(A・B) A B P Y 0 0 1 0 0 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 0
途中の信号を書き込むと,最後の式が読みやすくなる

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

クロックの立上りエッジで,データを入力の最下位ビットに取り込んで上位方向へシフトし,ストローブの立上りエッジで値を確定する8ビットのシリアル入力パラレル出力シフトレジスタがある。各信号の波形を観測した結果が図のとおりであるとき,確定後のシフトレジスタの値はどれか。ここで,数値は 16 進数で表記している。

データ,ストローブ,クロックの波形図(横軸は時間)。クロックの立上りは10回あり,各立上りの時点でのデータは,1回目と2回目が1,3回目から5回目が0,6回目と7回目が1,8回目が0,9回目と10回目が1。ストローブは9回目の立上りの後,10回目の立上りの前で立ち上がる。

正解 イ

解説

クロックの立上りごとに,その時点のデータの値を最下位ビットに取り込み,全体を上位方向へシフトする。ストローブが立ち上がるのは9回目のクロックの立上りの後で10回目の前なので,値が確定するのは9回目までに取り込んだ値のうち最後の8回分,つまり2〜9回目の値である。2〜9回目の立上りでのデータは 1,0,0,0,1,1,0,1 で,先に取り込んだ値ほど上位に移るので 10001101=8D(16進数)となる。イが正しい。

エの C6 は,1〜8回目の値(11000110)で,ストローブが立ち上がった時点の並びではない。ウの B1 と アの 63 は,それぞれ 8D と C6 のビット列を逆順にした値で,最初に取り込んだ値を最下位に置いた誤りである。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

ワンチップマイコンにおける内部クロック発生器のブロック図を示す。15 MHz の発振器と,内部の PLL1,PLL2 及び分周器の組合せで CPU に 240 MHz,シリアル通信(SIO)に 115 kHz のクロック信号を供給する場合の分周器の値は幾らか。ここで,シリアル通信のクロック精度は±5%以内に収まればよいものとする。

ブロック図。発振器の 15 MHz 出力が PLL1(8逓倍)に入る。PLL1 の出力は PLL2(2逓倍)と分周器に分岐する。PLL2 の出力 240 MHz が CPU へ,分周器の出力 115 kHz(±5%)が SIO へ供給される。

正解 エ

解説

分周器に入るのは PLL1 の出力で,15MHz×8=120MHz。ここを 1/2n に分周して 115kHz に近づける。1/210 なら 120,000÷1,024≒117.2kHz で,115kHz との差は約1.9%なので ±5% 以内に収まる。エが正しい。

ウの 1/28 では 120,000÷256≒468.8kHz と4倍以上ずれ,イやアの分周比ではさらに大きく外れる。CPU 向けの 240MHz は PLL1 の出力を PLL2 で2逓倍して得ており,分周器はその手前の 120MHz から分岐している点に注意する。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

Web ページの設計の例のうち,アクセシビリティを高める観点から最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

色の違いを見分けにくい利用者や,画面読上げソフトを使う利用者には,色で強調しただけでは入力が必須であることが伝わらない。項目名の隣に“(必須)”などと文字で明記すれば,色に頼らずに情報が伝わるので,ウが適切である。

アの音声の自動再生は,画面読上げソフトの音声を妨げたり,利用者が止められなかったりするので避ける。イの表組みをレイアウトに使うと,読上げの順序が崩れて内容が伝わりにくくなる。エの alt 属性には,URL ではなくリンク先の内容や画像の意味を説明する文を記述する。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

3次元の物体を表すコンピュータグラフィックスの手法に関する記述のうち,サーフェスモデルの説明として,最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

サーフェスモデルは,物体の表面を,小さな多角形(ポリゴン)や曲面パッチ(ベジェ曲面,NURBS 曲面など)の集まりで表現する手法で,物体の内部の情報はもたない。ウが適切である。

アは頂点と頂点を線で結んで針金のように表すワイヤフレームモデル,イは内部まで詰まった固形物として表現し,体積や断面を扱えるソリッドモデルの説明である。エのメタボールは,球体どうしが近づくと滑らかにつながる性質を使って,水滴のような有機的な曲面を表現する手法である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

関係データベースのテーブルにレコードを1件追加したところ,インデックスとして使う,図の B+ 木のリーフノード C がノード C1 と C2 に分割された。ノード分割後の B+ 木構造はどれか。ここで,矢印はノードへのポインタとする。また,中間ノード A には十分な空きがあるものとする。

分割前の B+ 木。中間ノード A から B,C,D へのポインタがあり,リーフノード B,C,D は順に双方向のポインタでつながっている。

正解 イ

解説

B+ 木では,データへのポインタをもつリーフノードが全て同じ深さにあり,リーフノードどうしはキーの順に双方向のポインタでつながっている。リーフノード C が C1 と C2 に分割されると,中間ノード A に空きがあるので,A に C2 へのポインタが追加され,A から B,C1,C2,D の全てを指す。リーフノードのつながりも B,C1,C2,D の順になる。イが正しい。

アは A から C2 へのポインタがなく,木をたどって C2 のキーを探せない。ウはリーフノードの並びが C1,D,C2 とキーの順になっていない。エは C2 が C1 の下に置かれ,リーフノードの深さがそろっていない。

B+ 木のリーフノードの分割 リーフノード C が C1 と C2 に分割されると,中間ノード A に C2 へのポインタが加わり,A は B・C1・C2・D を指す。リーフノードは全て同じ深さのままで,キーの順に B・C1・C2・D と双方向につながる。 分割前 A B C D 分割後 A B C1 C2 D A から C1・C2 の両方を指し,リーフは B・C1・C2・D の順につながる (中間ノード A には空きがあるので,A は分割されない)
分割した2つは同じ深さに並び,親から両方を指す。横のつながりもキーの順

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

関係 R と関係 S に対して,関係 X を求める関係演算はどれか。

関係 R は ID,A,B の3列で,(0001,a,100),(0002,b,200),(0003,d,300) の3行。関係 S は同じ3列で,(0001,a,100),(0002,a,200) の2行。関係 X は同じ3列で,(0001,a,100),(0002,a,200),(0002,b,200),(0003,d,300) の4行。

正解 エ

解説

関係 X は,R の3行(0001 a 100,0002 b 200,0003 d 300)と S の2行(0001 a 100,0002 a 200)を合わせ,重複する 0001 a 100 を1行にまとめた4行になっている。R と S の一方又は両方に含まれる行を集めた和(R∪S)で,エが正しい。

アの ID による結合なら,ID が一致する行どうしをつなげた列の多い関係になる。イの差(R−S)は R にあって S にない 0002 b 200 と 0003 d 300 の2行になる。ウの直積は R と S の行の全ての組合せで 3×2=6行になる。

関係演算:選択・射影・和・差 選択は条件に合う行を取り出し,射影は指定した列を取り出す。射影の結果は集合なので,重複する行は1つにまとめる(SQL では DISTINCT)。表 T の A と C への射影では (a1,c1) と (a2,c2) が重なり,3行になる。和 R∪S は両方の行を合わせて重複を1つに,差 R−S は R にあって S にない行。 表 T(A と C を射影) ID A B C 001 a1 b1 c1 002 a1 b1 c2 003 a1 b2 c1 004 a2 b1 c2 005 a2 b2 c2 射影の結果 A C a1 c1 a1 c2 a2 c2 (a1,c1) と (a2,c2) が 重なるので 3行に R ID A B 0001 a 100 0002 b 200 0003 d 300 S ID A B 0001 a 100 0002 a 200 和 R∪S ID A B 0001 a 100 0002 a 200 0002 b 200 0003 d 300 差 R−S ID A B 0002 b 200 0003 d 300 0001 a 100 は S にもあるので除く
選択は行,射影は列。射影は重複を取り除く

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

SQL において,A 表の主キーが B 表の外部キーによって参照されている場合,各表の行を追加・削除する操作の参照制約に関する制限について,正しく整理した図はどれか。ここで,△印は操作が拒否される場合があることを表し,○印は制限なしに操作ができることを表す。

正解 ア

解説

A 表の主キーが B 表の外部キーから参照されているので,A 表が親,B 表が子の関係になる。親の A 表に行を追加しても子には影響しない(○)が,B 表から参照されている行を削除すると,B 表の外部キーが存在しない値を指すことになるので,操作が拒否される場合がある(△)。子の B 表に行を追加するときは,外部キーの値が A 表の主キーに存在しなければならないので拒否される場合がある(△)が,B 表の行を削除しても A 表には影響しない(○)。この組合せはアである。

イは B 表の追加と削除の制限が逆になっている。ウは A 表と B 表の制限を取り違えたもので,エは A 表の追加と削除の制限が逆になっている。

参照制約で拒否される操作 “在庫”表の製品番号は“製品”表の製品番号を参照する外部キー。“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に無ければ拒否される。参照される側の“製品”表から,参照されている行を削除したり製品番号を変えたりするのも拒否されうる。“在庫”表の行や表の削除,“製品”表への行の追加は拒否されない。 在庫(参照する側) 管理番号 製品番号 Z01 P1 Z02 P2 Z03 P9 製品(参照される側) 製品番号 製品名 P1 ねじ P2 ばね P9 は製品に無い → 在庫への追加は拒否 参照されている P1・P2 の削除も拒否されうる 拒否されない:在庫の行・表の削除,製品への行の追加 外部キー → 参照先に同じ値が要る
参照する側への追加と,参照される側からの削除が引っかかる

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

関係データベース管理システム(RDBMS)のデータディクショナリに格納されるものはどれか。

正解 イ

解説

データディクショナリ(システムカタログ)は,RDBMS が管理するデータベースの定義情報(メタデータ)を格納する領域で,表・列・データ型・制約・インデックス・利用者などの定義が入る。スキーマの定義情報を格納するイが正しい。

アの OS が管理するファイルの定義情報は OS のファイルシステムが管理するもので,RDBMS のデータディクショナリではない。ウの表に格納された列データの組は表の実データであり,エのインデックスの値もインデックスの実体として別に格納される。データディクショナリに入るのは,それらの定義だけである。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

ビッグデータの基盤技術として利用される NoSQL に分類されるデータベースはどれか。

正解 ウ

解説

NoSQL は,関係データベースのような表形式や SQL にとらわれずにデータを扱うデータベースの総称で,大量のデータを複数のサーバに分散して高速に処理するビッグデータの基盤に使われる。代表的な種類として,キーとそれに対応する値の組でデータを管理するキーバリュー型のほか,ドキュメント型,列指向型,グラフ型がある。ウが該当する。

アは関係データモデルにオブジェクト指向の機能を加えたオブジェクト関係データベース。イは意思決定支援のために主題ごとに過去から現在までのデータを蓄積するデータウェアハウス。エはデータ項目の名称や形式などのメタデータを管理するデータディクショナリ(リポジトリ)の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

100 M ビット/秒の LAN を使用し,1件のレコード長が 1,000 バイトの電文を 1,000 件連続して伝送するとき,伝送時間は何秒か。ここで,LAN の伝送効率は 50%とする。

正解 ウ

解説

伝送するデータ量は 1,000 バイト×1,000 件=1,000,000 バイト=8,000,000 ビットである。伝送効率が 50% なので,実際に使える速度は 100M ビット/秒×0.5=50M ビット/秒になる。伝送時間は 8,000,000÷50,000,000=0.16 秒であり,ウになる。

アの 0.02 はバイトをビットに換算せずに 1,000,000÷50,000,000 とした値,イの 0.08 は伝送効率を考えずに 8,000,000÷100,000,000 とした値である。エの 1.6 は桁を一つ取り違えた値である。

伝送効率 50%の LAN で 1,000 件を送る時間 送るデータは 1,000 バイト×1,000 件=10⁶ バイト=8×10⁶ ビット。伝送効率 50%なので,実際に使える速度は 100M×0.5=50M ビット/秒。伝送時間は 8×10⁶÷5×10⁷=0.16 秒。バイトをビットにし忘れると 0.02,効率を忘れると 0.08。 1,000 バイト × 1,000 件 × 8 = 8×10⁶ ビット 100M ビット/秒 × 0.5(伝送効率) = 50M ビット/秒(実際に使える速さ) 8×10⁶ ÷ 5×10⁷ = 0.16 秒(ウ) ×8 を忘れると 0.02(ア),効率を忘れると 0.08(イ)
8×10⁶ ビット ÷ 50M ビット/秒 = 0.16 秒

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

ETSI(欧州電気通信標準化機構)によって提案された NFV(Network Functions Virtualisation)に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

NFV(Network Functions Virtualisation)は,ファイアウォール,ルータ,ロードバランサなど,これまで専用のハードウェアで実現していたネットワーク機能を,仮想化技術を使って汎用サーバ上のソフトウェアとして実現する技術である。必要に応じて機能を追加・変更しやすく,柔軟なネットワーク基盤を構築できる。イが適切である。

アは地理情報システムと AR を組み合わせた位置情報サービス,ウはニューラルネットワークによる機械学習(ディープラーニング),エはプレースとトランジションの2種類のノードでシステムの並行動作を表すペトリネットの説明である。

NFV:専用機器の機能を汎用サーバの仮想マシンへ NFV(Network Functions Virtualisation)は,ルータ,ファイアウォール,ロードバランサなど,これまで専用のハードウェアで実現していたネットワーク機能を,汎用サーバ上の仮想マシンで動くソフトウェアとして実現する。SDN(ネットワークの制御を集中してソフトウェアで行う)とは別の技術。 これまで:専用機器 ルータ FW LB NFV:汎用サーバ ルータ VM FW VM LB VM 仮想化の基盤 汎用サーバ 機能の追加・変更がソフトウェアの入替えで済む SDN・OpenFlow は制御の集中化で,NFV とは別
ネットワーク機能を汎用サーバ上のソフトウェアに置き換える

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

伝送速度 30 M ビット/秒の回線を使ってデータを連続送信したとき,平均して 100 秒に1回の1ビット誤りが発生した。この回線のビット誤り率は幾らか。

正解 イ

解説

ビット誤り率は,送信した全ビット数に対する誤りビット数の割合である。30 M ビット/秒の回線で 100 秒間に送るビット数は 30×106×100=3×109 ビットで,その間に1ビットの誤りが起きる。

ビット誤り率は 1÷(3×109)≒3.33×10−10 で,イが正しい。1バイト=8ビットで割ってバイト数で数えると 4.17×10−11(ア)になるが,ビット誤り率はビット数で求める。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

TCP/IP ネットワークにおける RARP の機能として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

RARP(Reverse Address Resolution Protocol)は,MAC アドレスから IP アドレスを求めるプロトコルで,IP アドレスから MAC アドレスを求める ARP の逆の動作をする。ハードディスクをもたない端末が起動時に,自分の MAC アドレスを使ってサーバから自分の IP アドレスを教えてもらう場合などに使われた。イが適切である。

アは ICMP(ping など)による IP パケットの到達確認,ウは DNS による名前解決,エは NAT(NAPT)によるアドレス変換の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

二つの IPv4 ネットワーク 192.168.0.0/23 と 192.168.2.0/23 を集約したネットワークはどれか。

正解 ア

解説

192.168.0.0/23 は第3オクテットが 0〜1,192.168.2.0/23 は 2〜3 の範囲を表し,合わせると 192.168.0.0〜192.168.3.255 になる。第3オクテットの 0〜3 は2進数で 000000xx の形で,上位6ビットが共通なので,プレフィックス長は 16+6=22 になる。集約したネットワークは 192.168.0.0/22 で,アが正しい。

イの 192.168.1.0/22 は,第3オクテットが4の倍数でないので,/22 のネットワークアドレスとして成り立たない。ウの 192.168.1.0/23 とエの 192.168.3.0/23 は,第3オクテットが奇数で /23 のネットワークアドレスにならず,範囲も二つの /23 を合わせたものではない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

企業の DMZ 上で1台の DNS サーバを,インターネット公開用と,社内の PC 及びサーバからの名前解決の問合せに対応する社内用とで共用している。この DNS サーバが,DNS キャッシュポイズニング攻撃を受けた結果,直接引き起こされ得る現象はどれか。

正解 エ

解説

DNS キャッシュポイズニングは,DNS サーバのキャッシュに偽の名前解決情報を注入する攻撃である。この DNS サーバは社内の PC やサーバからの名前解決にも使われているので,キャッシュが汚染されると,社内の利用者がインターネット上の Web サーバにアクセスしようとしたときに偽の IP アドレスが返され,本来とは異なる Web サーバに誘導される。エが正しい。

アのハードディスク上の DNS サーバ名の書換えや,イのメモリ上へのワームの常駐は,キャッシュに偽の情報を入れる攻撃では直接起きない。ウの電子メールの宛先メールアドレスの書換えは,名前解決の結果とは関係がなく,社内の利用者間のメールの送信にも直接の影響はない。

公開用と社内用の DNS サーバを分ける 1台の DNS サーバで,外部に自社ドメインの情報を答える役(コンテンツサーバ)と,社内の利用者の問合せを代わりに引く役(キャッシュサーバ)を兼ねると,外部からの再帰的な問合せに答えてしまったり,キャッシュポイズニングで偽の情報が社内の利用者に返されたりする。公開用のコンテンツサーバと社内用のキャッシュサーバを分け,キャッシュサーバは社内からの問合せだけに答える。 兼用(危ない) DNS(兼用) 答える+代わりに引く 外から再帰問合せができる 偽の情報が社内に返る 分ける コンテンツサーバ(DMZ) 自社ドメインを外に答えるだけ キャッシュサーバ(社内) 社内からの問合せだけに答える 役割ごとにサーバを分け,答える相手を絞る
外向けは「自社の情報を答えるだけ」,社内向けは「社内からの問合せだけ」

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

クロスサイトスクリプティングの手口はどれか。

正解 ア

解説

クロスサイトスクリプティングは,Web アプリケーションが入力データを適切に無害化せずに Web ページに出力する脆弱性を突き,入力フィールドなどに悪意のあるスクリプト(JavaScript など)を含むデータを送り込んで,閲覧者の Web ブラウザ上で実行させる攻撃である。アが該当する。

イは不正アクセスによるデータの改ざんや破壊の一般的な説明。ウは大量のデータを送り込んでバッファ領域をあふれさせるバッファオーバフロー攻撃。エはパス名を推測して認証を経ずにページへ直接アクセスする強制ブラウジングの説明である。

XSS・CSRF・クリックジャッキング XSS(反射型)は,スクリプトを含む罠のリンクを利用者に開かせ,脆弱なサイトがそのスクリプトをそのままページに埋めて返すので,利用者のブラウザで実行される。CSRF は,ログイン中の利用者に罠のページを開かせ,その利用者の Cookie 付きで意図しない要求(書込み・送金など)を正規のサイトに送らせる。クリックジャッキングは,透明にした正規サイトを罠のページに重ね,別のボタンだと思わせて押させる。 XSS(反射型) 攻撃者 利用者のブラウザ 脆弱なサイト ① 罠のリンク ② 開く ③ そのまま返す 埋め込まれたスクリプトが利用者のブラウザで動く(Cookie を盗むなど) 対策:出力時のエスケープ,Cookie の HttpOnly 属性 CSRF 罠のページ 利用者のブラウザ 正規のサイト ログイン中 ① 開く ② 送信させる ③ Cookie 付き 本人が操作したものとして,書込みや送金が行われる 対策:推測できないトークンを埋めて確かめる,SameSite 属性 クリックジャッキング プレゼント 上に透明な正規サイト(「退会する」など)を 重ねて,下のボタンだと思わせて押させる 対策:X-Frame-Options,CSP の frame-ancestors
XSS はサイトの出力が汚される,CSRF は要求が偽造される,クリックジャッキングは画面が重ねられる

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

ディレクトリトラバーサル攻撃はどれか。

正解 エ

解説

ディレクトリトラバーサル攻撃は,入力された文字列を基にファイル名を組み立てるアプリケーションに対して,“../”のような上位のディレクトリを意味する文字列を含むパス名を入力し,本来は公開していないディレクトリのファイルにアクセスする攻撃である。エが該当する。

アは外部から OS のコマンドを渡して実行させる OS コマンドインジェクション。イは SQL 文を組み立てる処理の不備を突いて任意の SQL 文を実行させる SQL インジェクション。ウは不正に入手した認証情報でシングルサインオンの仕組みにログインし,連携する複数のアプリケーションを不正に使用する攻撃で,ディレクトリトラバーサルではない。

OS コマンドインジェクションとディレクトリトラバーサル OS コマンドインジェクションは,入力した値がシェルのコマンドの一部として組み込まれるとき,「; rm -rf /」のように区切り文字の後ろに別のコマンドを付けて実行させる攻撃。ディレクトリトラバーサルは,ファイル名の入力に「../」を含めて,公開用のディレクトリの外にある /etc/passwd などのファイルを読み出させる攻撃。対策はシェルを経由しない関数を使う,入力を許可した文字だけにする,ファイル名から「../」を除き絶対パスで確かめる。 OS コマンドインジェクション mail -s 件名 user@example.jp; rm -rf / ; の後ろが別のコマンドとして実行される ディレクトリトラバーサル /var/www/files/ ../../../etc/passwd → /etc/passwd(公開用の外)が読まれる 対策:シェルを通さない,許可した文字だけ通す,    パスを正規化して公開用の中か確かめる
どちらも入力がコマンドやパスの「形」を変えてしまう

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

ポリモーフィック型マルウェアの説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ポリモーフィック型マルウェアは,感染するたびに自身のコードを異なる鍵で暗号化したり,復号ルーチンを変形したりして,見た目のコードを毎回変える。そのため,既知のマルウェアのコードの一部を特徴(シグネチャ)として照合するパターンマッチング方式では検知されにくい。イが適切である。

アは,攻撃者の指令サーバ(C&C サーバ)から遠隔操作されるボットの説明である。ウは,複数の OS で動くプログラム言語で作られたクロスプラットフォーム型のマルウェアの説明である。エは,ルートキットによって自身の存在を隠すステルス型のマルウェアの説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

サイバーレスキュー隊(J-CRAT)は,どの脅威による被害の低減と拡大防止を活動目的としているか。

正解 ウ

解説

サイバーレスキュー隊(J-CRAT)は IPA が運営する組織で,標的型サイバー攻撃を受けた組織や個人から提供された情報を分析し,被害の把握と分析,対策の早期着手を支援して,被害の低減と拡大防止を図ることを活動目的としている。ウが正しい。

ア,イ,エ(クレジットカードのスキミング,内部不正による情報漏えい,無線 LAN の盗聴)は,いずれも J-CRAT が活動目的とする脅威ではない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

内部ネットワークの PC からインターネット上の Web サイトを参照するときに DMZ 上に用意した VDI(Virtual Desktop Infrastructure)サーバ上の Web ブラウザを利用すると,未知のマルウェアが PC にダウンロードされて,PC が感染することを防ぐというセキュリティ上の効果が期待できる。この効果を生み出す VDI サーバの動作の特徴はどれか。

正解 ウ

解説

VDI サーバ上の Web ブラウザで Web サイトを参照すると,Web サイトからのデータは VDI サーバで処理され,PC にはその結果のデスクトップ画面の画像データだけが送られる。Web サイトからのファイルやプログラムそのものは PC に届かないので,未知のマルウェアであっても PC に感染しない。ウが正しい。

アの実行ファイルの削除や,イの不正なコード列の検知は,既知の形式やパターンに頼るので,実行ファイル以外に潜むマルウェアや未知のマルウェアを防ぎきれない。エの IPsec によるカプセル化は通信経路を保護するだけで,受信データの中身は PC に届くのでマルウェアの感染は防げない。

VDI による Web 分離 社内の PC からは直接インターネットの Web を見ず,仮想デスクトップ(VDI)サーバ上のブラウザで閲覧する。PC には画面の情報だけが届き,Web から落としたファイルや実行されたマルウェアは VDI 側にとどまるので,社内の PC や社内ネットワークに広がりにくい。 社内 PC VDI サーバ ブラウザが動く Web 画面だけ が届く マルウェアはここに とどまる Web の中身は PC に来ない
PC に届くのは画面だけ。危ないものは VDI の中にとどまる

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

ファジングに該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

ファジング(fuzzing)は,極端に長い文字列や想定外の値など,問題を引き起こしそうなデータを大量に入力し,異常終了や想定外の動作が起きないかを監視して脆弱性を洗い出す手法。仕様やソースコードが分からなくても実施できる。ウが正しい。

アはサーバに FIN パケットを送って応答から稼働中のサービスを探る FIN スキャン。イはログを解析するファイル改ざんの検知。エはあらかじめ登録した攻撃パターンと照合するシグネチャ型の IDS/IPS の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

Web システムにおいて,セッションの乗っ取りの機会を減らすために,利用者のログアウト時に Web サーバ又は Web ブラウザにおいて行うべき処理はどれか。ここで,利用者は自分専用の PC において,Web ブラウザを利用しているものとする。

正解 イ

解説

セッションの乗っ取りは,攻撃者が有効なセッション ID を手に入れて成りすますことで起こる。ログアウト時にサーバ側でそのセッション ID を無効にしておけば,後からその ID を入手されても使えないので,乗っ取られる機会を減らせる。イが正しい。

アとエはセッション ID をストレージに保存する処理で,残しておくことはむしろ危険を増やす。ウのキャッシュのクリアは画面に表示した内容が後から見られるのを防ぐ効果はあるが,セッション ID 自体は有効なままなので乗っ取りは防げない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

パケットフィルタリング型ファイアウォールのフィルタリングルールを用いて,本来必要なサービスに影響を及ぼすことなく防げるものはどれか。

正解 ア

解説

パケットフィルタリング型ファイアウォールは,パケットのヘッダにある IP アドレスやポート番号などを見て通過の可否を判断する。外部に公開しないサーバやサービスのアドレス・ポート番号宛てのパケットを遮断すれば,公開している必要なサービスに影響を与えずに,それらへのアクセスを防げる。アが適切である。

イの脆弱性を突く攻撃は,公開しているサービスの正規のポートへの通信に紛れて届くので,ヘッダの情報だけでは区別できない。ウのマクロウイルスは電子メールの添付ファイルの中身にあり,パケットのヘッダでは判断できない。エの IoT 機器からの大量の HTTP リクエストによる DDoS 攻撃も,ヘッダだけでは正規の HTTP 通信と見分けられず,遮断すると必要なサービスにも影響が出る。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

TPM(Trusted Platform Module)に該当するものはどれか。

正解 ア

解説

TPM(Trusted Platform Module)は,PC などの機器に搭載され,鍵の生成,ハッシュ演算や暗号処理,鍵の安全な保管などを行うセキュリティチップである。耐タンパ性があり,秘密鍵をチップの外に取り出さずに扱える。アが該当する。

イは,SPF や DKIM などの送信ドメイン認証技術の説明。ウは,ファイアウォール・侵入検知・マルウェア対策などを一体にした UTM(統合脅威管理)の説明。エは,ログを一元管理して相関分析や通知を行う SIEM の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

ソフトウェアライフサイクルプロセスにおいてソフトウェア実装プロセスを構成するプロセスのうち,次のタスクを実施するものはどれか。

〔タスク〕

正解 エ

解説

共通フレーム(SLCP-JCF)や JIS X 0160 のソフトウェア実装プロセスでは,ソフトウェア要件定義の後のソフトウェア方式設計プロセスで,ソフトウェア品目の要件を最上位レベルの構造に変換する。外部インタフェースとソフトウェアコンポーネント間のインタフェース,データベースについて最上位レベルの設計を行い,ソフトウェア結合のための暫定的なテスト要求事項やスケジュールを定義する。エが正しい。

ウのソフトウェア詳細設計プロセスは,コンポーネントをさらにコーディングできる単位まで詳細化して設計する。イのソフトウェア構築プロセスは,ソフトウェアユニットを作成(コーディング)してテストする。アのソフトウェア結合プロセスは,ユニットやコンポーネントを結合してテストする。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

組込みシステムの“クロス開発”の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

クロス開発は,組込みシステムのように実行する機器(ターゲット)の資源が限られている場合に,開発ツールの整ったパソコンなど別の機器(ホスト)の上でプログラムの作成・コンパイル・デバッグを行い,できたプログラムをターゲットに転送して実行する開発方式である。ホスト上ではクロスコンパイラやエミュレータ,シミュレータなどを使う。ウが適切である。

アは 2 人 1 組で交代しながら開発するペアプログラミング,イは設計と試作を繰り返すプロトタイピングの説明である。エは派生開発を変更と追加のプロセスに分けて進める XDDP(eXtreme Derivative Development Process)の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

アジャイル開発のプラクティスの一つである“ふりかえり(レトロスペクティブ)”を行う適切なタイミングはどれか。

正解 ア

解説

ふりかえり(レトロスペクティブ)は,一定の開発期間を区切って終えたところで,チームが“何がうまくいったか,何が問題だったか,次に何を試すか”を話し合い,次の期間の進め方を改善する場である。したがって各イテレーション(スクラムではスプリント)の最後に行う。アが適切である。

エの朝会(デイリースクラム)は,その日の予定と困りごとを共有する毎日の短い会で,進め方そのものを見直す場ではない。イのタスクカードの移動は進捗を示す日常の操作,ウのニコニコカレンダーはメンバの気持ちを毎日可視化する仕掛けであり,どちらもふりかえりを行う合図にはならない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

アジャイル開発などで導入されている“ペアプログラミング”の説明はどれか。

正解 エ

解説

ペアプログラミングは,2人のプログラマが1台のコンピュータに向かい,一人がコードを書き,もう一人がその場でレビューや助言をしながら一つのプログラムを開発する手法で,役割は適宜交代する。誤りを早く見つけて品質を高めるとともに,知識や技術をメンバー間で共有できる。エが適切である。

アはプログラマと利用者が試作品を見ながら要件を固めるプロトタイピング。イはメインプログラムとサブプログラムを分担する作業分割で,一つのプログラムを2人で作るものではない。ウは交代で休憩しながら長時間作業を続けるもので,ペアプログラミングの目的とは異なる。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

自社開発したソフトウェアの他社への使用許諾に関する説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

使用許諾(ライセンス)は,著作権者が自分の著作物を他人に使わせることを認める行為。特許で保護された技術を使っているかどうかとは関係なく,著作権をもっていれば使用を許諾できる。エが正しい。

アは,自社製品に組み込んで販売していてもソフトウェアの著作権は自社にあるので,単体でも許諾できる。イも,ハードウェアと組み合わせた特許を取得していることと,ソフトウェアの著作権を許諾することとは別の話。ウは,ソースコードを無償で提供しただけではオープンソースソフトウェアにはならず,改変や再頒布の自由を認めるライセンスを付けて初めてそう呼べる。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

プロジェクトマネジメントにおけるスコープコントロールの活動はどれか。

正解 ウ

解説

スコープコントロールは,プロジェクトのスコープの状況を監視し,スコープ・ベースラインへの変更を管理するプロセスである。連携先の外部システムのリリース延期を受けて,その連携作業をこのプロジェクトのスコープから外し別プロジェクトで行うと決めるウは,スコープを変更して管理する活動に当たる。

アの教育期間の延長はスケジュールの管理,イの追加予算の確保はコストの管理,エのテスト担当者の交代はプロジェクトチームのマネジメント(人的資源)の活動で,いずれもプロジェクトのスコープそのものは変えていない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

PMBOK ガイド 第5版によれば,プロジェクトのコスト見積り技法の説明のうち,パラメトリック見積りの説明はどれか。

正解 イ

解説

PMBOK ガイド 第5版では,コストの見積り技法として,アナログ見積り,パラメトリック見積り,ボトムアップ見積り,三点見積りなどが挙げられている。パラメトリック見積りは,関連する過去のデータとその他の変数(たとえばソフトウェアの規模)との統計的関係を使って,作業のコストなどを算出する技法である。イが正しい。

アは WBS の下位レベルの見積りを集計するボトムアップ見積り,ウは楽観値・悲観値・最可能値を使う三点見積り,エは類似のプロジェクトの過去の実績を使うアナログ見積りの説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

ISO 21500:2012(プロジェクトマネジメントの手引き(英和対訳版))によれば,プロジェクト資源マネジメントにおけるプロセス“プロジェクトチームの育成”の目的はどれか。

正解 ア

解説

ISO 21500:2012 のプロジェクト資源マネジメントには,プロジェクトチームの編成,プロジェクト組織の定義,プロジェクトチームの育成,プロジェクトチームのマネジメントなどのプロセスがある。“プロジェクトチームの育成”の目的は,継続的にプロジェクトチームのメンバのパフォーマンス及び相互関係を改善することで,アが正しい。

イは役割,責任及び権限を決めてコミットメントを得る“プロジェクト組織の定義”,ウはパフォーマンスを評価分析し,フィードバックして問題を解決し変更を調整する“プロジェクトチームのマネジメント”,エは必要な能力をもつメンバを招集して人的資源を得る“プロジェクトチームの編成”の目的である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

あるソフトウェア開発部門では,開発工数 E(人月)と開発規模 L(キロ行)との関係を,E=5.2L0.98 としている。L=10 としたときの生産性(キロ行/人月)は,およそ幾らか。

正解 ア

解説

生産性は,開発規模を開発工数で割った値(k ステップ/人月)である。L=10 のとき E=5.2×100.98 で,100.98 は 10 よりわずかに小さい約9.5なので,E は約49.7人月。生産性は 10÷49.7 で約0.2となり,アが正しい。

指数が1なら E=52 で生産性は 10÷52≒0.19 なので,0.98 の影響は小さいと見当を付けてもよい。エの 5.2 は式の係数そのもので,規模当たりの工数(E÷L≒5)に近く,生産性の逆数に当たる量を見ている。

開発規模と工数・生産性 規模が大きくなると,人どうしの調整やインタフェースの確認が増えるので,工数は規模に比例する以上に増える(COCOMO:工数=a×規模^b,b>1)。そのため生産性(規模÷工数)は規模が大きいほど下がり,下がり方は初めが急で次第に緩やかになる。 規模 工数 規模 生産性 規模以上の割合で増える 規模が大きいほど下がる 例:E=5.2L^0.98,L=10 → E≒49.7,生産性≒0.2
工数は規模以上に増え,生産性は下がる

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

JIS Q 20000-1:2012(サービスマネジメントシステム要求事項)は,サービスマネジメントシステム(以下,SMS という)及びサービスのあらゆる場面で PDCA 方法論の適用を要求している。SMS の実行(Do)の説明はどれか。

正解 ウ

解説

JIS Q 20000-1:2012 の PDCA 方法論では,計画(Plan)で SMS を確立し,文書化し,合意する。実行(Do)では,サービスの設計,移行,提供及び改善のために SMS を導入し,運用する。点検(Check)では,方針,目的,計画及びサービスの要求事項について SMS 及びサービスを監視,測定及びレビューし,結果を報告する。処置(Act)では,SMS 及びサービスのパフォーマンスを継続的に改善するための処置を実施する。

ウが実行(Do)に当たる。アは処置(Act),イは計画(Plan),エは点検(Check)の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

JIS Q 20000-2:2013(サービスマネジメントシステムの適用の手引)によれば,構成管理プロセスの活動として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

JIS Q 20000-2:2013 の構成管理は,構成品目(CI)を特定し,管理・記録・追跡・報告・検証を行い,その情報を構成管理データベース(CMDB)で維持する活動。CI の情報を正確に保つことがこのプロセスの役割。

アの費用計算は資産管理や財務管理,ウの正しい場所・時間への配付はリリース及び展開管理,エの変更要求の管理は変更管理の活動である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

業務部門が起票した入力原票を,情報システム部門でデータ入力する場合,情報システム部門の業務として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

入力原票を情報システム部門でデータ入力する場合,業務部門は,入力した内容が漏れなく正しく処理されたかを確認する必要がある。そのため,入力原票ごとの処理結果リストを業務部門に送付し,業務部門が起票した内容と照合できるようにする。アが適切である。

イは誤り。原票の記入内容に誤りがあるときは,情報システム部門の判断で修正せず,起票した業務部門に問い合わせて訂正を受ける。ウは誤り。受領枚数の点検などの授受確認は,原票を受け取るたびにその場で行い,紛失や未着を早く見つける。エは誤り。入力済みの原票は,照合や監査,問合せに備えて一定期間保管し,保管期間が過ぎたら規定の方法で廃棄する。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム利用者に対して付与されるアクセス権の管理状況の監査で判明した状況のうち,監査人がシステム監査報告書で報告すべき指摘事項はどれか。

正解 エ

解説

システム監査では,不備があって改善が必要な状況を指摘事項として報告する。退職・異動したシステム利用者のアクセス権の削除・変更を年度初めにまとめて行っていると,異動してから削除されるまでの間,本来アクセスできないはずの人がアクセス権をもち続け,不正アクセスや情報漏えいにつながるおそれがあるので,指摘事項になる。エが正しい。

ア,イ,ウは,利用者 ID・パスワードの遵守事項の周知,業務部門長による付与状況の定期的なレビュー,付与・変更・削除の管理手続の規程化と,いずれもアクセス権が適切に管理されている状況で,指摘する必要はない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

企業において整備したシステム監査規程の最終的な承認者として,最も適切な者は誰か。

正解 イ

解説

システム監査規程は,監査の目的,権限と責任,監査人の独立性などを定めるもので,監査を受ける部門を含む組織全体に効力が及ぶ。システム監査は経営者の依頼に基づいて行われ,監査人は経営者に報告するので,規程の最終的な承認者は経営者が適切である。イが正しい。

ア,ウ,エの利用部門の長,情報システム部門の長,被監査部門の長は,いずれも監査を受ける側になり得る立場であり,これらの者が監査規程を承認すると監査の独立性が損なわれる。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

マスタファイル管理に関するシステム監査項目のうち,可用性に該当するものはどれか。

正解 ア

解説

可用性は,必要なときにシステムやデータを使える度合いのこと。マスタファイルが置かれたサーバを二重化しておけば,片方が故障してももう一方で処理を続けられるので,これは可用性に関する監査項目に当たる。アが正しい。

イの検索・加工の機能は業務の効率性に関わる項目。ウの特権アカウントによるメンテナンスの制限は,権限のない者に触らせないという機密性の項目。エの入力チェック機能は,正しいデータだけを登録させるという完全性(正確性)の項目である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

共通フレーム 2013 によれば,システム化構想の立案で作成されるものはどれか。

正解 ア

解説

共通フレーム 2013 のシステム化構想の立案プロセスは,経営上のニーズや課題を確認し,事業と業務の構想をまとめる工程である。企業で将来的に必要となる最上位の業務機能と業務組織を表した,業務の全体像を作成する。アが正しい。

イの業務手順やコンピュータ入出力情報など実現すべき要件は,その後の要件定義プロセスで明らかにする。ウの日次や月次で行う利用者業務やコンピュータ入出力作業の業務手順は,業務を実際に行うときの手順で,構想の段階ではまだ定めない。エの必要なハードウェアやソフトウェアを記述した最上位レベルのシステム方式は,システム方式設計プロセスで作成する。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

BCP の説明はどれか。

正解 エ

解説

BCP(事業継続計画)は,災害や事故などで事業が中断・阻害されたときに,事業を復旧し,再開して,あらかじめ定めた水準まで回復させるための手順を規定したもの。事業継続マネジメントシステムの規格 JIS Q 22301 でもこの趣旨で定義されている。エが正しい。

アは財務・顧客・内部ビジネスプロセス・学習と成長の四つの視点から戦略を検討するバランススコアカード。イは業務プロセスを可視化して継続的に改善する BPM。ウは業務プロセスを外部に委託する BPO の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

定性的な評価項目を定量化するために評価点を与える方法がある。表に示す4段階評価を用いた場合,重み及び判定内容から評価されるシステム全体の目標達成度は何%となるか。

評価項目,重み,判定内容の表。省力化効果は重み 5 で“目標どおりの効果があった”,期間の短縮は重み 8 で“従来と変わらない”,情報の統合化は重み 12 で“部分的には改善された”。表の下に4段階評価点として,3は目標どおり,2はほぼ目標どおり,1は部分改善,0は変わらず,と示されている。

正解 イ

解説

評価点は,省力化効果が「目標どおり」で3点,期間の短縮が「変わらず」で0点,情報の統合化が「部分改善」で1点。これに重みを掛けて合計すると 5×3+8×0+12×1=27 になる。評価項目が全て目標どおりだった場合は (5+8+12)×3=75 なので,27/75=0.36 で36%。イが正しい。

アの27は重み付けした評価点の合計そのもので,割合ではない。分母を全項目の重みの合計25と取り違えたり,重みを掛けずに評価点だけで計算したりすると別の値になるが,ウの43やエの52はこの表の数値からは導けない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

システム管理基準(平成16年)によれば,情報戦略策定段階の成果物はどれか。

正解 イ

解説

システム管理基準(平成16年)は,情報戦略の策定段階で,経営戦略に基づいて組織体全体で整合性及び一貫性を確保した情報化を推進するため,方針及び目標に基づいて全体最適化計画を策定することを求めている。全体最適化計画が情報戦略策定段階の成果物に当たるので,イが正しい。

アの全体最適化計画との整合性を考慮した開発計画とエの標準化された開発方法に基づく開発手順は企画業務や開発業務の段階,ウの運用設計及び運用管理ルールに基づく運用手順は運用業務の段階で作成するものである。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

EMS(electronics manufacturing services)の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

EMS は,自社で生産設備をもつ企業が,他社のブランドで販売される電子機器の製造を受託するサービス。複数社の製品をまとめて生産することで規模の経済を働かせ,委託側は生産設備を持たずに済む。

アは設計だけを受託しており製造を行っていない点で誤り。イは自社ブランド販売,ウは自社製造なので,いずれも受託製造ではない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

情報システムの調達の際に作成される RFI の説明はどれか。

正解 ア

解説

RFI(Request For Information,情報提供依頼書)は,調達の検討段階で,実現手段や技術動向などの情報提供をベンダに依頼する文書。提案を求める前の情報収集が目的。

イは RFP(提案依頼書)の説明。ウとエは契約変更や契約締結に関するもので,いずれも RFI ではない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

PPM において,投資用の資金源として位置付けられる事業はどれか。

正解 ウ

解説

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)では,市場成長率と相対的市場占有率の2軸で事業を四つに分ける。市場成長率が低く相対的市場占有率が高い「金のなる木」は,追加投資が少なくて済むうえ大きな資金を生むので,他の事業への投資用の資金源として位置付けられる。ウが正しい。

アは「花形」で,資金は生むが成長に合わせた投資も必要になる。イは「問題児」で,資金を投入して花形に育てるか撤退するかを判断する対象。エは「負け犬」で,撤退を検討する対象である。

PPM の4つの区分 縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェア(左が高い)をとる。成長率もシェアも高い花形,成長率が高くシェアが低い問題児,成長率が低くシェアが高い金のなる木,どちらも低い負け犬に分ける。金のなる木が生んだ資金を,花形や問題児に回す。 花形 成長に合わせた投資も要る 問題児 シェアを取るには投資が要る 金のなる木 投資が少なく資金を生む 負け犬 撤退を考える 高 低 成長率 市場 高 低 相対的市場シェア 金のなる木の資金を,花形と問題児へ回す
金のなる木が生む資金を,花形と問題児に回す

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

現在の動向から未来を予測したり,システム分析に使用したりする手法であり,専門的知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い,その結果を互いに参照した上で調査を繰り返して,集団としての意見を収束させる手法はどれか。

正解 エ

解説

デルファイ法は,専門的な知識や経験をもつ複数の人に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら答え直してもらうことで,集団としての意見を収束させる予測手法。匿名で行うため,立場や声の大きさに引きずられにくい。エが正しい。

アの因果関係分析法は原因と結果の関係をたどって分析する手法,イのクロスセクション法は同時点の複数のデータを横断的に比較する手法,ウの時系列回帰分析法は過去の時系列データに回帰式を当てはめて先を読む手法である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

ターゲットリターン価格設定の説明はどれか。

正解 ウ

解説

ターゲットリターン価格設定は,目標とする投資収益率(利益率)を達成できるように,原価に目標利益を上乗せして価格を決める方法である。ウが該当する。

アは競合他社の価格を基準にする競争志向(競争基準)の価格設定,イは顧客層,時間帯,場所などごとに異なる価格を設定する差別価格の設定,エは消費者が感じる価値や値頃感に基づく知覚価値(需要志向)の価格設定の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

SFA を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

SFA(Sales Force Automation)は,商談の進捗,顧客との接触履歴,案件ごとの受注見込みなどを情報システムで記録・共有し,営業活動を支援する手法・概念である。担当者個人に抱え込まれていた情報を組織で使えるようにすることで,営業の効率と品質を高め,売上・利益の増加や顧客満足度の向上を目指す。アが正しい。

イは,卸売業やメーカが小売店の経営を支援して自社との取引を広げるリテールサポートの説明である。ウは,企業全体の経営資源を統合的に計画・管理する ERP の説明である。エは,ネットワークを使って商取引を行う電子商取引(EC)の説明である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

政府は,IoT を始めとする様々な ICT が最大限に活用され,サイバー空間とフィジカル空間とが融合された“超スマート社会”の実現を推進している。必要なものやサービスが人々に過不足なく提供され,年齢や性別などの違いにかかわらず,誰もが快適に生活することができるとされる“超スマート社会”実現への取組みは何と呼ばれているか。

正解 イ

解説

Society 5.0 は,第5期科学技術基本計画(平成28年)で政府が提唱した,サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させた“超スマート社会”の実現に向けた取組の名称。狩猟社会,農耕社会,工業社会,情報社会に続く5番目の社会という意味でこう呼ぶ。イが正しい。

アの e-Gov は行政情報の総合窓口となるポータルサイト。ウの Web 2.0 は利用者が情報を発信し合う形へと変わった Web の潮流を指す言葉。エのダイバーシティ社会は多様な人材が活躍できる社会を指す言葉で,いずれも政府の“超スマート社会”実現への取組の名称ではない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

図は,製品 A の構成部品を示し,括弧内の数字は上位の製品・部品1個当たりの所要数量である。この製品 A を 10 個生産する場合,部品 C は,少なくとも何個発注する必要があるか。ここで,現在の部品 B の在庫は0個,部品 C の在庫は5個である。

製品 A の部品構成図。A は B(2) と C(1) から成り,B は D(1),E(1),C(1) から成る。

正解 ウ

解説

製品 A を 10 個作るには,部品 B が 2×10=20 個,A に直接使う部品 C が 1×10=10 個必要になる。部品 B の在庫は 0 個なので B は 20 個作る必要があり,B 1個に C を1個使うので,B のために C が 20 個必要になる。

部品 C の総所要量は 10+20=30 個で,在庫の 5 個を引くと,少なくとも 25 個を発注する必要がある。ウが正しい。B の中に含まれる C を見落とすと 10−5=5 個,在庫を引かないと 30 個(エ)と誤る。

部品 C の手配数量 製品 A を10個作るには,部品 B が 2×10=20個,A に直接使う部品 C が10個。B 1個に C を1個使うので B のための C が20個。部品 C は合計30個,在庫5個を引いて25個を手配する。 A 10個 B 2×10=20 C 1×10=10 D E C 1×20=20 C:10 + 20 = 30,在庫5を引いて 25 個
部品 C は2か所(A の直下と B の中)に出てくる

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

インターネットショッピングで売上の全体に対して,あまり売れない商品の売上合計の占める割合が無視できない割合になっていることを指すものはどれか。

正解 エ

解説

ロングテールは,商品を売上の多い順に並べたグラフで,あまり売れない商品の部分が長く尾を引くことから,その部分の売上合計が全体の中で無視できない割合になることを指す。在庫や陳列の制約が小さいインターネットショッピングでは,品ぞろえを広げて,少量ずつ売れる商品の売上を積み上げられる。エが正しい。

アのアフィリエイトは,Web サイトに広告を載せ,成果に応じて報酬を支払う仕組み。イのオプトインは,広告メールの送信などを,受信者があらかじめ同意した場合に限ること。ウのドロップシッピングは,店が在庫をもたず,注文を受けたら製造元や卸売業者から購入者に直接発送する販売形態である。

ロングテール 商品を売上の多い順に左から並べると,少数の売れ筋(ヘッド)と,1つ1つは少ししか売れない多数の商品(テール)に分かれる。ネット販売では在庫や陳列のコストが小さいので,テールの商品の売上を合計すると,売れ筋に匹敵する大きさになる。 商品(売上の多い順) 売上 ヘッド テール(長い尾)
売れない商品も数が多ければ,合計で大きな売上になる

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

図は,ある製品ロットの抜取り検査の結果を表す OC 曲線(検査特性曲線)である。この図に関する記述のうち,適切なものはどれか。

OC 曲線。横軸は不良率(%)で 0 から 100,縦軸は合格する確率で 1.0 から 0。曲線は 1.0 付近から右下がりに下がり,不良率 100%で 0 に近づく。不良率 p1 のときの合格する確率が L1,不良率 p2(p1 より右)のときの合格する確率が L2 で,L1 は L2 より大きい。

正解 ウ

解説

OC 曲線は,ロットの不良率を横軸,そのロットが検査に合格する確率を縦軸にした曲線で,不良率が大きいほど合格する確率が小さくなる右下がりの曲線になる。p2 は p1 より不良率が大きいので,p2%よりも大きい不良率のロットが合格する確率は,p2 のときの確率 L2 よりも小さい。ウが正しい。

アは誤り。p1%よりも大きい不良率のロットが合格する確率は,L1 よりも小さい。イは誤り。p1%よりも小さい不良率のロットが不合格となる確率は 1.0−(合格する確率) で,合格する確率は L1 よりも大きいので,(1.0 − L1) よりも小さい。エは誤り。p2%よりも小さい不良率のロットが不合格となる確率は (1.0 − L2) よりも小さくなるが,L2 と大小を比べられる関係はなく,L2 よりも小さいとは限らない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

ビッグデータ分析の手法の一つであるデシジョンツリーを活用してマーケティング施策の判断に必要な事象を整理し,発生確率の精度を向上させた上で二つのマーケティング施策 a,b の選択を行う。マーケティング施策を実行した場合の利益増加額(売上増加額-費用)の期待値が最大となる施策と,そのときの利益増加額の期待値の組合せはどれか。

デシジョンツリー。施策 a(初期費用 30 億円)は,発生確率 0.4 で追加費用の判断に進み,追加費用 60 億円なら発生確率 0.3 で売上増加額 200 億円,0.7 で 100 億円,追加費用なしなら売上増加額 50 億円。発生確率 0.6 では売上増加額 120 億円。施策 b(初期費用 40 億円)は,発生確率 0.3 で追加費用の判断に進み,追加費用 40 億円なら発生確率 0.4 で売上増加額 150 億円,0.6 で 100 億円,追加費用なしなら売上増加額 70 億円。発生確率 0.7 では売上増加額 140 億円。四角は意思決定の分岐点,丸は発生し得る可能性の分岐点。

正解 ウ

解説

意思決定の分岐点(四角)では期待値が大きい方を選び,発生し得る可能性の分岐点(丸)では確率を掛けて期待値を求める。施策 a は,確率 0.4 の側で,追加費用 60 億円を掛けると売上増加額の期待値は 0.3×200+0.7×100=130 億円で,費用を引いて 70 億円,掛けないと 50 億円なので,70 億円を選ぶ。確率 0.6 の側は 120 億円。0.4×70+0.6×120=100 億円から初期費用 30 億円を引くと 70 億円。施策 b は,確率 0.3 の側で,追加費用 40 億円を掛けると 0.4×150+0.6×100=120 億円で,費用を引いて 80 億円,掛けないと 70 億円なので,80 億円を選ぶ。確率 0.7 の側は 140 億円。0.3×80+0.7×140=122 億円から初期費用 40 億円を引くと 82 億円。利益増加額の期待値が最大なのは施策 b の 82 億円で,ウが正しい。

アは施策 a の期待値(70 億円)で,施策 b の 82 億円より小さい。イの 160 億円とエの 162 億円は,この決定木から求められる期待値とは合わない値である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

取得原価 30 万円の PC を2年間使用した後,廃棄処分し,廃棄費用2万円を現金で支払った。このときの固定資産の除却損は廃棄費用も含めて何万円か。ここで,耐用年数は4年,減価償却方法は定額法,定額法の償却率は 0.250,残存価額は0円とする。

正解 エ

解説

定額法の減価償却費は,取得原価×償却率=30万円×0.250=7.5万円/年である。2年間使用したので減価償却累計額は 15万円となり,廃棄時点の帳簿価額は 30−15=15万円になる。

廃棄すると帳簿価額の 15万円が除却損となり,廃棄費用の 2万円も含めると 17.0万円である。エが正しい。廃棄費用を含めないと 15.0万円(ウ)になる。

除却損と廃棄費用 取得原価 30 万円,償却率 0.250 の定額法なので,1年の減価償却費は 7.5 万円。2年使うと 15 万円償却し,帳簿価額は 15 万円残る。廃棄するとこの 15 万円が除却損になり,廃棄費用 2 万円を加えて 17 万円。 1年目 7.5 2年目 7.5 帳簿価額 15 費用2 取得原価 30 万円 除却損 15 + 2 = 17 万円 償却済みの 15 は損にならない
残った帳簿価額+廃棄費用

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

損益計算資料から求められる損益分岐点売上高は,何百万円か。

損益計算資料(単位 百万円)。売上高 500,材料費(変動費)200,外注費(変動費)100,製造固定費 100,総利益 100,販売固定費 80,利益 20。

正解 ウ

解説

変動費は材料費200+外注費100=300百万円,固定費は製造固定費100+販売固定費80=180百万円。

変動費率は 300÷500=0.6 なので,限界利益率は 1−0.6=0.4。

損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率=180÷0.4=450百万円。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

製造物責任法(PL 法)において,製造物責任を問われる事例はどれか。

正解 ア

解説

製造物責任法(PL 法)は,製造物の欠陥により人の生命,身体又は財産に損害が生じたときの,製造業者等の損害賠償責任を定めている。同法でいう製造物は,製造又は加工された動産であり,機器に組み込まれた ROM のプログラムは機器の一部なので,そのプログラムの瑕疵(欠陥)で使用者に大けがをさせた事例は,製造物責任を問われる。アが該当する。

イは制御系コンピュータのオペレーションを誤った作業ミスで,製造物の欠陥によるものではない。ウのソフトウェアパッケージは,単体では形のない無体物で,動産である製造物には当たらないと解されている。エの IT サービスは製造物ではなく役務の提供であり,どちらも PL 法の対象外である。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

企業の Web サイトに接続して Web ページを改ざんし,システムの使用目的に反する動作をさせて業務を妨害する行為を処罰の対象とする法律はどれか。

正解 ア

解説

Web ページを改ざんしてシステムに使用目的に反する動作をさせ,業務を妨害する行為は,刑法 234 条の 2 の電子計算機損壊等業務妨害罪に当たる。

イの特定商取引法は通信販売や訪問販売などの取引を規制する法律,ウの不正競争防止法は営業秘密の侵害や模倣品などを規制する法律,エのプロバイダ責任制限法はプロバイダの損害賠償責任の制限と発信者情報の開示について定めた法律であり,いずれもこの行為を処罰する根拠にはならない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

資金決済法で定められている仮想通貨の特徴はどれか。

正解 エ

解説

資金決済法(平成28年の改正,平成29年4月施行)は,仮想通貨を,物品の購入などの代価の弁済のために不特定の者に対して使用でき,かつ不特定の者を相手方として購入及び売却ができる財産的価値で,電子的に記録され,電子情報処理組織を用いて移転できるものと定めている(第2条第5項)。本邦通貨や外国通貨,通貨建資産は除かれ,プリペイドカードなどの前払式支払手段とは区別される。エが正しい。

アは誤り。仮想通貨交換業は内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行えず,国内の利用者に向けて行う外国の事業者も登録が必要である。イは誤り。仮想通貨は,銀行を経由せずにネットワーク上で直接送ることができる。ウは誤り。オンラインゲームの中だけで流通する通貨は,不特定の者への代金の支払に使えないので,仮想通貨には当たらない。

出典:平成30年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)