平成31年度 春期に実施された応用情報技術者試験
午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:応用情報技術者試験について
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問1
0以上255以下の整数 n に対して,次のように next(n) を定義する。next(n) と等しい式はどれか。ここで,x AND y 及び x OR y は,それぞれ x と y を2進数表現にして,桁ごとの論理積及び論理和をとったものとする。
ア (n+1) AND 255 正解
イ (n+1) AND 256
ウ (n+1) OR 255
エ (n+1) OR 256
正解 ア
解説
255 は2進数で 11111111(下位8ビットがすべて1)。したがって「AND 255」は下位8ビットだけを残す操作になる。
n が0〜254のときは n+1 が1〜255なので8ビットに収まり,AND 255 をとっても値は変わらず n+1 のまま。n=255 のときは n+1=256=100000000 となり,AND 255 で下位8ビットだけを残すと 0 になる。これは定義どおりの動きなのでアが正しい。
イの AND 256 は9ビット目だけを残すので常に0か256になる。ウとエの OR はビットを立てる操作なので,値が n+1 に一致しない。
AND 255 で下位8ビットだけを残す
255 は2進数で 11111111 なので,AND 255 は下位8ビットだけを残す。n が 0〜254 なら n+1 は8ビットに収まり値は変わらない。n=255 のときは n+1=256=1 0000 0000 で,下位8ビットを残すと 0 になる。これは next(n) の定義どおり。
n+1(2進)
AND 1111 1111
結果
n=254
→ 255
0 1111 1111
1111 1111
255
n=255
→ 256
1 0000 0000
0000 0000
0
9 ビット目(256)は AND 255 で消える
AND 256 は 9 ビット目だけ,OR はビットを立てるので違う
(n+1) AND 255 は 255 の次で 0 に戻る
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)
問2
桁落ちによる誤差の説明として,適切なものはどれか。
ア 値がほぼ等しい二つの数値の差を求めたとき,有効桁数が減ることによって発生する誤差 正解
イ 指定された有効桁数で演算結果を表すために,切捨て,切上げ,四捨五入などで下位の桁を削除することによって発生する誤差
ウ 絶対値が非常に大きな数値と小さな数値の加算や減算を行ったとき,小さい数値が計算結果に反映されないことによって発生する誤差
エ 無限級数で表される数値の計算処理を有限項で打ち切ったことによって発生する誤差
正解 ア
解説
桁落ちは,値がほぼ等しい二つの数値の差を求めたときに,上位の桁が打ち消し合って有効数字の桁数が少なくなることで生じる誤差である。例えば有効数字4桁の 1.234 と 1.233 の差は 0.001 となり,有効数字が1桁に減ってしまう。アが適切である。
イは有効桁数に合わせて下位の桁を切り捨てたり丸めたりすることで生じる丸め誤差。ウは絶対値の大きな数と小さな数を加減算したときに小さな数が反映されない情報落ち。エは無限に続く計算を途中で打ち切ることで生じる打切り誤差の説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)
問3
AI におけるディープラーニングに関する記述として,最も適切なものはどれか。
ア あるデータから結果を求める処理を,人間の脳神経回路のように多層の処理を重ねることによって,複雑な判断をできるようにする。 正解
イ 大量のデータからまだ知られていない新たな規則や仮説を発見するために,想定値から大きく外れている例外事項を取り除きながら分析を繰り返す手法である。
ウ 多様なデータや大量のデータに対して,三段論法,統計的手法やパターン認識手法を組み合わせることによって,高度なデータ分析を行う手法である。
エ 知識がルールに従って表現されており,演繹手法を利用した推論によって有意な結論を導く手法である。
正解 ア
解説
ディープラーニング(深層学習)は,人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワークの層を多数重ね,データから特徴を自動的に学習して,画像認識や音声認識などの複雑な判断を行えるようにする機械学習の手法である。アが適切である。
イは大量のデータから未知の規則を見いだすデータマイニングに近い説明だが,例外事項を取り除きながら分析を繰り返す点はディープラーニングの特徴ではない。ウは統計的手法やパターン認識を組み合わせた高度なデータ分析一般の説明。エは知識をルールとして表現し演繹的に推論するエキスパートシステム(ルールベースの推論)の説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)
問4
家庭用ゲーム機に採用され,自動車の先端運転支援システムにも使われる距離画像センサの一つである,TOF(Time of Flight)方式のセンサの説明として,適切なものはどれか。
ア 光源から射出されたレーザなどの光が,対象物に反射してセンサに届くまでの時間を利用して距離を測定する。 正解
イ ステレオカメラによって,三角測量の原理を利用して距離を測定する。
ウ 単眼カメラによって,道路の幅や車線は無限遠の地平線で一点に収束するという遠近法の原理を利用して距離を測定する。
エ 複数の衛星からの電波を受け取り,電波に含まれる情報から発信と受信の時刻差を求め,電波の伝播速度をかけることによって,各衛星との距離を割り出し,それを基に緯度及び経度を特定する。
正解 ア
解説
TOF(Time of Flight)方式は,光源から射出したレーザなどの光が対象物で反射してセンサに戻るまでの時間を測り,光の速さを掛けて距離を求める方式である。画素ごとに距離が得られるので距離画像センサとして使われる。アが適切である。
イはステレオカメラの視差から三角測量で距離を求めるステレオ方式,ウは単眼カメラで遠近法の原理を使う方式の説明である。エは複数の衛星から届く電波の時刻差を使う GPS などの衛星測位の説明で,TOF のように反射光を使うものではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)
問5
要求に応じて可変量のメモリを割り当てるメモリ管理方式がある。要求量以上の大きさをもつ空き領域のうちで最小のものを割り当てる最適適合(best-fit)アルゴリズムを用いる場合,空き領域を管理するためのデータ構造として,メモリ割当て時の平均処理時間が最も短いものはどれか。
ア 空き領域のアドレスをキーとする2分探索木
イ 空き領域の大きさが小さい順の片方向連結リスト
ウ 空き領域の大きさをキーとする2分探索木 正解
エ アドレスに対応したビットマップ
正解 ウ
解説
最適適合(best-fit)では,要求量以上の大きさをもつ空き領域のうち最小のものを探す。空き領域の大きさをキーとする2分探索木なら,根から大小を比べながら下りていくだけで,要求量以上で最小の領域を,木の高さに比例する時間(領域数を n として log n 程度)で見つけられる。したがってウの平均処理時間が最も短い。
アは,アドレスをキーとする木なので,大きさの条件を満たす最小の領域を探すには木全体を調べる必要があり,領域数に比例する時間が掛かる。イは,大きさの小さい順に並べた片方向連結リストなので,先頭から順にたどる必要があり,領域数に比例する時間が掛かる。エのビットマップは,アドレスに対応して空き・使用中を表すだけで,空き領域の大きさを直接は表さないので,条件に合う領域を探すのに全体を走査する必要がある。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)
問6
次の手順はシェルソートによる整列を示している。データ列 7,2,8,3,1,9,4,5,6 を手順(1)〜(4)に従って整列するとき,手順(3)を何回繰り返して完了するか。ここで,[ ] は小数点以下を切り捨てた結果を表す。
〔手順〕
(1) “H ← [データ数÷3]”とする。 (2) データ列を,互いに H 要素分だけ離れた要素の集まりから成る部分列とし,それぞれの部分列を,挿入法を用いて整列する。 (3) “H ← [H÷3]”とする。 (4) H が0であればデータ列の整列は完了し,0でなければ(2)に戻る。
正解 ア
解説
データ数は9なので,手順(1)で H=[9÷3]=3 となる。手順(2)で間隔3の部分列ごとに整列した後,手順(3)で H=[3÷3]=1 とする(1回目)。H は0でないので手順(2)に戻り,間隔1(通常の挿入法)で整列した後,手順(3)で H=[1÷3]=0 とする(2回目)。手順(4)で H が0なので整列は完了する。
手順(3)は2回繰り返されるので,アが正しい。データの値の並びは回数に関係せず,データ数だけで決まる。
シェルソートの手順
データ数9なので H=[9÷3]=3。間隔3の部分列(1・4・7番目,2・5・8番目,3・6・9番目)をそれぞれ挿入法で整列する。手順(3)で H=[3÷3]=1(1回目)。間隔1で全体を挿入法で整列し,手順(3)で H=[1÷3]=0(2回目)になって完了する。
H=3
整列前
7
2
8
3
1
9
4
5
6
部分列ごと
3
1
6
4
2
8
7
5
9
同じ色が同じ部分列(3つおき)
手順(3) 1回目:H=[3÷3]=1 → 全体を挿入法で整列
手順(3) 2回目:H=[1÷3]=0 → 完了
繰り返すのは2回
手順(3)の回数はデータ数だけで決まる:H は 3 → 1 → 0 の2回
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)
問7
JavaScript の言語仕様のうち,オブジェクトの表記法などの一部の仕様を基にして規定したものであって,“名前と値の組みの集まり”と“値の順序付きリスト”の二つの構造に基づいてオブジェクトを表現する,データ記述の仕様はどれか。
正解 イ
解説
JSON(JavaScript Object Notation)は,JavaScript のオブジェクトの表記法を基にしたデータ記述の仕様で,“名前と値との組みの集まり”(オブジェクト)と“値の順序付きリスト”(配列)の二つの構造でデータを表現する。軽量で読み書きしやすく,Web API のデータ交換によく使われる。イが該当する。
アの DOM は,HTML や XML の文書をプログラムから操作するための API とオブジェクトモデル。ウの SOAP は,XML を使って他のコンピュータのサービスを呼び出すためのプロトコル。エの XML は,タグで意味や構造を表現するマークアップ言語である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)
問8
スーパスカラの説明として,適切なものはどれか。
ア 一つのチップ内に複数のプロセッサコアを実装し,複数のスレッドを並列に実行する。
イ 一つのプロセッサコアで複数のスレッドを切り替えて並列に実行する。
ウ 一つの命令で,複数の異なるデータに対する演算を,複数の演算器を用いて並列に実行する。
エ 並列実行可能な複数の命令を,複数の演算器に振り分けることによって並列に実行する。 正解
正解 エ
解説
スーパスカラは,一つのプロセッサの中に複数の演算器(実行ユニット)をもち,同時に実行できる複数の命令を別々の演算器に振り分けて並列に実行する方式である。エが適切である。
アは一つのチップに複数のプロセッサコアを載せるマルチコアプロセッサ。イは一つのコアで複数のスレッドを切り替えて実行するマルチスレッディング(ハイパースレッディングなど)。ウは一つの命令で複数のデータに同じ演算を行う SIMD の説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)
問9
同一メモリ上で転送するとき,転送元の開始アドレス,転送先の開始アドレス,方向フラグ及び転送語数をパラメタとして指定することによってブロック転送ができる CPU がある。図のようにアドレス 1001 から 1004 の内容をアドレス 1003 から 1006 に転送するとき,パラメタとして適切なものはどれか。ここで,転送は開始アドレスから1語ずつ行われ,方向フラグに0を指定するとアドレスの昇順に,1を指定するとアドレスの降順に転送を行うものとする。
ア 転送元の開始アドレス 1001,転送先の開始アドレス 1003,方向フラグ 0,転送語数 4
イ 転送元の開始アドレス 1001,転送先の開始アドレス 1003,方向フラグ 1,転送語数 4
ウ 転送元の開始アドレス 1004,転送先の開始アドレス 1006,方向フラグ 0,転送語数 4
エ 転送元の開始アドレス 1004,転送先の開始アドレス 1006,方向フラグ 1,転送語数 4 正解
正解 エ
解説
転送は開始アドレスから1語ずつ行われる。アドレス 1001〜1004 を 1003〜1006 へ移すとき,転送元と転送先の範囲が 1003・1004 で重なっている。昇順(方向フラグ 0)で 1001 から転送すると,1001→1003,1002→1004 の時点で元の 1003,1004 のデータが上書きされ,次の 1003→1005,1004→1006 では書き換え後の値が転送されてしまう。そこで,重なりを避けるため降順(方向フラグ 1)で,末尾の 1004 を 1006 へ,1003 を 1005 へ,…と転送する。パラメータは転送元 1004,転送先 1006,方向フラグ 1,転送語数 4 で,エが正しい。
アは昇順(方向フラグ 0)で転送するので,重なった範囲のデータが壊れる。イは転送元の開始アドレスが 1001 のまま降順なので,1001 から下の方向へ転送してしまい,範囲が合わない。ウは開始アドレスは正しいが昇順なので,1004 から上の方向へ転送してしまい,範囲が合わない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)
問10
バス幅が16ビット,メモリサイクルタイムが80ナノ秒で連続して動作できるメモリがある。このメモリのデータ転送速度は何 M バイト/秒か。ここで,M は 106 を表す。
正解 イ
解説
メモリサイクルタイムが 80 ナノ秒なので,1秒間に連続して動作できる回数は 1÷(80×10−9 )=12.5×106 回である。バス幅が16ビット(2バイト)なので,1回に2バイト転送でき,データ転送速度は 12.5×106 ×2=25×106 バイト/秒,すなわち 25 M バイト/秒となる。イが正しい。
アは1秒間の動作回数(12.5 M 回)に,バイト数を掛けていない値である。エは 12.5×16=200 で,16ビットをバイトに直さず M ビット/秒で求めた値である。ウは周期 80 ナノ秒にバイト数 2 を掛けた 160 で,1秒当たりの転送量にならない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)
問11
ZigBee の説明として,適切なものはどれか。
ア 携帯電話などのモバイル端末とヘッドセットなどの周辺機器とを接続するための近距離の無線通信として使われる。
イ 赤外線を利用して実現される無線通信であり,テレビ,エアコンなどのリモコンに使われる。
ウ 低消費電力で低速の通信を行い,センサネットワークなどに使われる。 正解
エ 連絡用,業務用などに利用される小型の携帯型トランシーバに使われる。
正解 ウ
解説
ZigBee は,低消費電力で低速の近距離無線通信規格(IEEE 802.15.4 を基にしたもの)で,電池で長く動作する小型のセンサや機器を多数つなぐセンサネットワークなどに使われる。ウが適切である。
アは携帯電話などとヘッドセットなどの周辺機器とをつなぐ近距離無線の Bluetooth,イは赤外線を使うリモコンなどの IrDA の説明である。エは連絡用,業務用に使われる小型の携帯型トランシーバで,特定小電力無線などが当たる。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)
問12
Web サーバ,アプリケーション(AP)サーバ及びデータベース(DB)サーバが各1台で構成される Web システムにおいて,次の3種類のタイムアウトを設定した。タイムアウトに設定する時間の長い順に並べたものはどれか。ここで,トランザクションは Web リクエスト内で処理を完了するものとする。
〔タイムアウトの種類〕
① AP サーバの AP が,処理を開始してから終了するまで ② AP サーバの AP において,DB アクセスなどのトランザクションを開始してから終了するまで ③ Web サーバが,AP サーバにリクエストを送信してから返信を受けるまで
ア ①,③,②
イ ②,①,③
ウ ③,①,② 正解
エ ③,②,①
正解 ウ
解説
③の Web サーバから AP サーバへのリクエストの応答待ちは,AP サーバの AP の処理全体(①)を含み,①の AP の処理は,その途中で行うトランザクション(②)を含む。内側の処理より外側のタイムアウトを短くすると,内側の処理が正常に終わる前に外側がタイムアウトしてしまうので,外側ほど長く設定する。長い順に③,①,②となり,ウが正しい。
アは③より①,イは①より②,エは①より②を長くしており,いずれも内側の処理が終わる前に外側がタイムアウトするおそれがある。
入れ子になった処理のタイムアウト
③ Web サーバが AP サーバに要求してから返信を受けるまでの時間は,① AP サーバの処理全体を含み,①は途中の ② トランザクションを含む。内側の処理が正常に終わる前に外側がタイムアウトしないよう,外側ほど長く設定する。長い順に ③,①,②。
③ Web → AP の応答待ち
① AP の処理全体
② トランザクション
長い順:③ → ① → ②
外側の処理ほどタイムアウトを長くする:③ > ① > ②
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)
問13
稼働率が等しい装置を直列や並列に組み合わせたとき,システム全体の稼働率を高い順に並べたものはどれか。ここで,各装置の稼働率は0よりも大きく1未満である。
ア A,B,C
イ A,C,B 正解
ウ C,A,B
エ C,B,A
正解 イ
解説
装置 X の稼働率を x(0<x<1)とする。並列は 1-(1-x)²,直列は掛け算になる。A(二つの並列)は 1-(1-x)²=2x-x²。B(X と,二つの並列との直列)は x(2x-x²)=2x²-x³。C(X 二つの直列を二組並列)は 1-(1-x²)²=2x²-x⁴。A と C の差は A-C=x(1-x)²(2+x)>0 なので A>C,C と B の差は C-B=x³(1-x)>0 なので C>B。高い順は A,C,B で,イが正しい。
例えば x=0.9 なら A=0.99,C≒0.964,B=0.891 となり,イの順序と一致する。ア,ウ,エは B と C の順,または A と C の順が逆になっている。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)
問14
キャッシュサーバを利用した検索処理の平均応答時間は,キャッシュサーバでヒットした場合には0.2秒,ヒットしない場合には2.2秒である。現在の平均検索応答時間は,1.0秒である。3年後のキャッシュサーバのヒット率は,検索量の増加によって現状の半分になると予測されている。3年後の平均検索応答時間は何秒か。ここで,その他のオーバヘッドは考慮しない。
正解 ウ
解説
ヒット率を h とすると,現在の平均応答時間は 0.2h+2.2(1-h)=1.0 秒。整理すると 2.2-2h=1.0 となり h=0.6,つまり現在のヒット率は 60%である。3 年後はその半分の 30%になるので,平均応答時間は0.2×0.3+2.2×0.7=0.06+1.54=1.6 秒。ウが正しい。
ヒットしない場合の 2.2 秒がヒットした場合の 11 倍あるので,ヒット率が 60%から 30%へ下がると平均は 1.0 秒から 1.6 秒へ大きく延びる。キャッシュの効き具合が応答時間を左右することが読み取れる。
ヒット率と平均応答時間(0.2 秒と 2.2 秒)
ヒット率 h のとき,平均応答時間は 0.2h + 2.2(1−h) = 2.2−2h 秒。今の 1.0 秒から h=0.6 と分かる。3 年後にヒット率が半分の 0.3 になると,0.2×0.3 + 2.2×0.7 = 1.6 秒に延びる。
平均(秒)
ヒット率
0
0.5
1
2.2
0.2
今 0.6:1.0 秒
3年後 0.3:1.6 秒
ヒット率が半分になると,平均は 1.0 秒から 1.6 秒へ
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)
問15
あるクライアントサーバシステムにおいて,クライアントから要求された1件の検索を処理するために,サーバで平均 100 万命令が実行される。1件の検索につき,ネットワーク内で転送されるデータは平均 2×105 バイトである。このサーバの性能は 100 MIPS であり,ネットワークの転送速度は 8×107 ビット/秒である。このシステムにおいて,1秒間に処理できる検索要求は何件か。ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。また,1バイトは8ビットとする。
正解 ア
解説
サーバは 100 MIPS,すなわち1秒間に 100 万命令を実行でき,1件の検索に 100 万命令が必要なので,1秒間に処理できるのは 100 件である。ネットワークは1件当たり 2×105 バイト=1.6×106 ビットを転送し,転送速度が 8×107 ビット/秒なので,1秒間に転送できるのは 8×107 ÷1.6×106 =50 件である。
システム全体で処理できる件数は,遅いほうのネットワークで決まり,1秒間に 50 件となる。アが正しい。1バイト=8ビットの換算を忘れると,ネットワークが 400 件(エ)となり,サーバの 100 件(イ)が上限と誤る。
サーバとネットワークで,1秒に処理できる件数を比べる
サーバは 100 MIPS で1件 100 万命令なので,1秒に 100 件。ネットワークは1件 2×10⁵ バイト=1.6×10⁶ ビットを 8×10⁷ ビット/秒で送るので,1秒に 50 件。全体は遅いほうのネットワークで決まり,1秒に 50 件。バイトをビットにし忘れるとネットワークが 400 件になり,サーバの 100 件を答えてしまう。
サーバ
100 件/秒
100 MIPS ÷ 100 万命令
ネットワーク
50 件/秒
8×10⁷ ÷ 1.6×10⁶ ビット
システム全体:1 秒に 50 件(ア)
遅いほう(ネットワークの 50 件)で決まる
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)
問16
五つのジョブ A〜E に対して,ジョブの多重度が1で,処理時間順方式のスケジューリングを適用した場合,ジョブ B のターンアラウンドタイムは何秒か。ここで,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。
正解 エ
解説
処理時間順方式は,実行待ちのジョブのうち処理時間が最も短いものを先に実行する。時刻 0 にジョブ A が到着して 0〜2 秒を実行する。2 秒の時点で待っているのは B(処理時間 4)と C(処理時間 3)なので,短い C が 2〜5 秒を実行する。5 秒の時点では B(4),D(2),E(1)が待っているので,E が 5〜6 秒,D が 6〜8 秒を実行し,最後に B が 8〜12 秒を実行する。
ターンアラウンドタイムは到着から完了までの時間なので,ジョブ B は 12−1=11 秒で,エが正しい。アの 8 は,B が実行を始める時刻である。イの 9 とウの 10 は,どの手順で求めても出てこない値で,待ち時間や実行時間の数え間違いによるものである。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)
問17
プログラムの実行時に利用される記憶領域にスタック領域とヒープ領域がある。それらの領域に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア サブルーチンからの戻り番地の退避にはスタック領域が使用され,割当てと解放の順序に関連がないデータの格納にはヒープ領域が使用される。 正解
イ スタック領域には未使用領域が存在するが,ヒープ領域には未使用領域は存在しない。
ウ ヒープ領域はスタック領域の予備領域であり,スタック領域が一杯になった場合にヒープ領域が動的に使用される。
エ ヒープ領域も構造的にはスタックと同じプッシュとポップの操作によって,データの格納と取出しを行う。
正解 ア
解説
スタック領域は,サブルーチンの戻り番地や局所変数のように,最後に割り当てたものから先に解放する後入れ先出しの順で使われる。一方ヒープ領域は,実行時に必要な大きさの領域を任意の順序で割り当てたり解放したりするために使われる。割当てと解放の順序に関連がないデータにヒープ領域を使うアが適切である。
イは,ヒープ領域も使われていない部分をもつので誤り。ウのように,ヒープ領域はスタック領域の予備ではなく,別の用途の領域である。エの,プッシュとポップでデータを出し入れするのはスタックの操作で,ヒープは任意の位置の領域を確保,解放する。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)
問18
二つのタスクが共用する二つの資源を排他的に使用するとき,デッドロックが発生するおそれがある。このデッドロックの発生を防ぐ方法はどれか。
ア 一方のタスクの優先度を高くする。
イ 資源獲得の順序を両方のタスクで同じにする。 正解
ウ 資源獲得の順序を両方のタスクで逆にする。
エ 両方のタスクの優先度を同じにする。
正解 イ
解説
二つのタスクが資源を逆の順序で獲得しようとすると,一方が資源1を確保して資源2を待ち,もう一方が資源2を確保して資源1を待つ状態になり,デッドロックが起こり得る。両方のタスクで資源を獲得する順序を同じにすれば,先に資源1を得たタスクが資源2も得られるので,互いに待ち合う状態にならない。イが正しい。
ウの順序を逆にすると,まさにデッドロックが発生し得る状態になる。アとエの優先度は実行の順番に影響するだけで,資源の待ち合いは解消されない。
資源を獲得する順番とデッドロック
タスク1が資源1→資源2,タスク2が資源2→資源1の逆の順番で獲得すると,タスク1が資源1を持って資源2を待ち,タスク2が資源2を持って資源1を待つ状態になり,どちらも進めない。両方のタスクが資源1→資源2の同じ順番で獲得すれば,先に資源1を得たタスクが資源2も得て終わり,もう一方はそれを待ってから進む。
逆の順番(1→2 と 2→1)
タスク1
タスク2
資源1
資源2
互いに相手の資源を待つ
→ デッドロック
実線:持つ 破線:待つ
同じ順番(どちらも 1→2)
タスク1
タスク2
資源1
資源2
タスク2は資源1を待つだけ
→ タスク1が終われば進める
実線:持つ 破線:待つ
獲得の順番を全てのタスクでそろえれば,待ち合いの輪ができない
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)
問19
仮想記憶管理におけるページ置換えアルゴリズムとして LRU 方式を採用する。主記憶のページ枠が,4000,5000,6000,7000 番地(いずれも 16 進数)の4ページ分で,プログラムが参照するページ番号の順が,1→2→3→4→2→5→3→1→6→5→4 のとき,最後の参照ページ4は何番地にページインされているか。ここで,最初の 1→2→3→4 の参照で,それぞれのページは 4000,5000,6000,7000 番地にページインされるものとする。
ア 4000
イ 5000
ウ 6000 正解
エ 7000
正解 ウ
解説
LRU は最後に参照されてから最も時間が経ったページを追い出す方式。参照順に追うと次のようになる。
1→2→3→4 で 4000,5000,6000,7000 番地が埋まる。2 はヒット。5 で最も古い 1(4000番地)を追い出し 5 が 4000 番地へ。3 はヒット。1 で最も古い 4(7000番地)を追い出し 1 が 7000 番地へ。6 で最も古い 2(5000番地)を追い出し 6 が 5000 番地へ。5 はヒット。最後の 4 で最も古い 3(6000番地)を追い出すので,4 は 6000 番地にページインされる。
LRU のページ置換を追う
参照 1→2→3→4→2→5→3→1→6→5→4 を,4つのページ枠(4000・5000・6000・7000 番地)で追う。空きが無くなってからは,最後に参照されてから最も時間が経ったページを追い出す。5 は 1 を,1 は 4 を,6 は 2 を,最後の 4 は 3 を追い出し,4 は 6000 番地に入る。
参照
1
2
3
4
2
5
3
1
6
5
4
4000
1
1
1
1
1
5
5
5
5
5
5
5000
2
2
2
2
2
2
2
6
6
6
6000
3
3
3
3
3
3
3
3
4
7000
4
4
4
4
1
1
1
1
最後の 4 は,いちばん長く使われていない 3 を追い出す
→ 4 は 6000 番地に入る
塗ったマスがその参照で入ったページ。○はヒット
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)
問20
DRAM のメモリセルにおいて,情報を記憶するために利用されているものはどれか。
ア コイル
イ コンデンサ 正解
ウ 抵抗
エ フリップフロップ
正解 イ
解説
DRAM のメモリセルは,1個のトランジスタと1個のコンデンサで構成され,コンデンサに電荷がたまっているかどうかで1ビットの情報を記憶する。電荷は時間とともに漏れるので,一定間隔で再書込み(リフレッシュ)が必要になる。イが正しい。
アのコイルと,ウの抵抗は,記憶素子としては使われない。エのフリップフロップは,SRAM のメモリセルで情報の記憶に使われる回路で,DRAM ではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)
問21
アクチュエータの機能として,適切なものはどれか。
ア アナログ電気信号を,コンピュータが処理可能なディジタル信号に変える。
イ キーボード,タッチパネルなどに使用され,コンピュータに情報を入力する。
ウ コンピュータが出力した電気信号を力学的な運動に変える。 正解
エ 物理量を検出して,電気信号に変える。
正解 ウ
解説
アクチュエーターは,コンピュータが出力した電気信号を受け取って,モーターの回転や弁の開閉など,力学的な運動に変える装置である。ウが適切である。
アはアナログ信号をデジタル信号に変える A/D 変換器,イはキーボードやタッチパネルなどの入力装置,エは温度や圧力などの物理量を検出して電気信号に変えるセンサーの説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)
問22
音声を標本化周波数 10 kHz,量子化ビット数 16 ビットで4秒間サンプリングして音声データを取得した。この音声データを,圧縮率 1/4 の ADPCM を用いて圧縮した場合のデータ量は何 k バイトか。ここで,1k バイトは 1,000 バイトとする。
正解 イ
解説
標本化周波数が 10 kHz なので1秒間に 10,000 回標本化し,量子化ビット数が16ビット(2バイト),4秒間なので,圧縮前のデータ量は 10,000×2×4=80,000 バイト=80 k バイトである。圧縮率 1/4 の ADPCM で圧縮すると 80×1/4=20 k バイトになる。イが正しい。
ウ(80)は圧縮前のデータ量,エ(160)はビットをバイトに換算せず 16 ビットのまま求めた値(80 k バイトの2倍)である。ア(10)は圧縮後の 20 k バイトの半分で,この問題の計算には現れない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)
問23
次の二つの回路の入力に値を与えたとき,表の入力 A,B,C,D と出力 E,F の組合せのうち,全ての素子が論理積素子で構成された左側の回路でだけ成立するものはどれか。
ア 入力 A=0,B=0,C=0,D=0,出力 E=0,F=0
イ 入力 A=0,B=0,C=1,D=1,出力 E=1,F=1
ウ 入力 A=1,B=1,C=0,D=1,出力 E=0,F=0 正解
エ 入力 A=1,B=1,C=1,D=1,出力 E=1,F=1
正解 ウ
解説
左側の回路は,B と C の論理積を X とすると,E=A・X,F=X・D である。右側の回路は論理和なので,X=B+C,E=A+X,F=X+D となる。各選択肢の入力を両方の回路に当てはめて確かめる。
ウ(A=1,B=1,C=0,D=1)では,左側は X=0 なので E=0,F=0 となり表と一致する。右側は X=1 なので E=1,F=1 となり表と一致しない。左側の回路でだけ成立するのでウが正しい。
アは入力がすべて0なので,どちらの回路でも出力は0になり両方で成立する。イ(C=1,D=1)は左側で X=0 なので E=0 となり成立せず,右側では成立する。エは入力がすべて1なので,両方の回路で出力が1になり成立する。
論理積の回路と論理和の回路に同じ入力を入れる
入力 A=1,B=1,C=0,D=1(選択肢ウ)の場合。論理積の回路では X=B・C=0 なので E=A・X=0,F=X・D=0 で表と一致する。論理和の回路では X=B+C=1 なので E=1,F=1 となり表と一致しない。左の回路でだけ成り立つ。
論理積の回路
A1
B1
C0
D1
X=0
E0
F0
E=0,F=0
表と一致する
論理和の回路
A1
B1
C0
D1
X=1
E1
F1
E=1,F=1
表と一致しない
途中の X の値が決め手。論理積では C=0 が X を0にし,論理和では B=1 が X を1にする
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)
問24
コードの値からデータの対象物が連想できるものはどれか。
ア シーケンスコード
イ デシマルコード
ウ ニモニックコード 正解
エ ブロックコード
正解 ウ
解説
ニモニックコードは,対象物の名称の一部や略号をそのままコードに使う方式。例えば東京を TKY,鉛筆を PEN とするように,コードの値を見れば何を指しているかが連想できる。ウが正しい。
アのシーケンスコードは発生順に番号を振るだけ,イのデシマルコードは10進の桁ごとに分類を割り当てるもの,エのブロックコードは分類ごとに番号の範囲を区切って割り当てるもので,いずれも値そのものから対象物を思い浮かべることはできない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)
問25
コンピュータグラフィックスにおける,レンダリングに関する記述として,適切なものはどれか。
ア 異なる色のピクセルを混ぜて配置することによって,中間色を表現すること
イ 複数の静止画を1枚ずつ連続表示することによって,動画を作ること
ウ 物体の表面に陰影を付けたり,光を反射させたりして,画像を作ること 正解
エ 物体をワイヤフレーム,ポリゴンなどを用いて,モデル化すること
正解 ウ
解説
レンダリングは,モデル化された物体のデータに,光源や視点の位置,材質などを考慮して,陰影や光の反射を計算し,表示するための画像を生成する処理である。ウが適切である。
アは色数の少ない環境で中間色を表現するディザリング。イは静止画を連続して表示して動画を作るアニメーション(パラパラ漫画の原理)。エは物体の形状をワイヤフレームやポリゴンなどで表すモデリングの説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)
問26
データベースを記録媒体にどのように格納するかを記述したものはどれか。
ア 概念スキーマ
イ 外部スキーマ
ウ サブスキーマ
エ 内部スキーマ 正解
正解 エ
解説
データベースの三層スキーマのうち,データを記録媒体にどのように格納するかを記述したものは内部スキーマ(物理スキーマ)である。ファイルの構成やデータの格納形式,索引などの物理的な構造を定義する。エが正しい。
アの概念スキーマは,データベース全体の論理的な構造を記述したもの。イの外部スキーマは,個々の利用者やアプリケーションから見たデータの見え方(ビューなど)を記述したもの。ウのサブスキーマは,ネットワーク型データベース(CODASYL)で外部スキーマに当たるものである。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)
問27
RDBMS において,特定の利用者だけに表を更新する権限を与える方法として,適切なものはどれか。
ア CONNECT 文で接続を許可する。
イ CREATE ASSERTION 文で表明して制限する。
ウ CREATE TABLE 文の参照制約で制限する。
エ GRANT 文で許可する。 正解
正解 エ
解説
SQL の GRANT 文は,表やビューに対する SELECT,INSERT,UPDATE,DELETE などの権限を,指定した利用者に与える文である。特定の利用者だけに表を更新する権限を与えるには GRANT 文を使う。エが適切である。与えた権限を取り消すには REVOKE 文を使う。
アの CONNECT 文は,データベースへの接続(セッション)を確立するための文で,表ごとのアクセス権を与えるものではない。イの CREATE ASSERTION 文は,複数の表にまたがる整合性の制約(表明)を定義する文である。ウの参照制約は,外部キーの値が参照先の表に存在することを保証する参照整合性の制約であり,いずれも利用者ごとのアクセス権とは関係がない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)
問28
過去3年分の記録を保存している“試験結果”表から,2018年度の平均点数が 600 点以上となったクラスのクラス名と平均点数の一覧を取得する SQL 文はどれか。ここで,実線の下線は主キーを表す。
試験結果(学生番号 ,受験年月日 ,点数,クラス名)
ア SELECT クラス名, AVG(点数) FROM 試験結果
GROUP BY クラス名 HAVING AVG(点数) >= 600
イ SELECT クラス名, AVG(点数) FROM 試験結果
WHERE 受験年月日 BETWEEN '2018-04-01' AND '2019-03-31'
GROUP BY クラス名 HAVING AVG(点数) >= 600 正解
ウ SELECT クラス名, AVG(点数) FROM 試験結果
WHERE 受験年月日 BETWEEN '2018-04-01' AND '2019-03-31'
GROUP BY クラス名 HAVING 点数 >= 600
エ SELECT クラス名, AVG(点数) FROM 試験結果
WHERE 点数 >= 600
GROUP BY クラス名
HAVING (MAX(受験年月日)
BETWEEN '2018-04-01' AND '2019-03-31')
正解 イ
解説
“2018年度”の期間は 2018-04-01 から 2019-03-31 までなので,まず WHERE 句で受験年月日をこの期間に絞り込み,クラス名ごとに GROUP BY でまとめ,HAVING 句で平均点数 AVG(点数) が 600 以上のクラスだけを残す。この順に記述したイが正しい。
アは期間を絞り込む WHERE 句がなく,過去3年分すべての平均になる。ウは HAVING 句に集計関数を使わず,“点数 >= 600”と書いており,グループ化した後の条件として誤りである。エは WHERE 句で点数が 600 以上の行だけを先に残してから平均を求めるので,クラスの平均点数が 600 以上かどうかの判定にならず,HAVING 句で期間を絞る書き方も目的に合わない。
SQL の句が働く順番
SELECT 文は,FROM で表を選び,WHERE で行を絞り,GROUP BY でグループにまとめ,HAVING でグループを絞り,最後に SELECT で列を取り出す,の順に働く。COUNT(*) のような集約関数はグループにまとめた後でないと数えられないので,WHERE には書けず HAVING に書く。
FROM
表を選ぶ
1
WHERE
行を絞る(役割名など)
2
GROUP BY
グループにまとめる
3
HAVING
グループを絞る(COUNT(*) など)
4
SELECT
列を取り出す
5
集約関数は WHERE に書けない(まだ数えていない)
行の条件は WHERE,グループの件数などの条件は HAVING
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)
問29
ビッグデータのデータ貯蔵場所であるデータレイクの特徴として,適切なものはどれか。
ア あらゆるデータをそのままの形式や構造で格納しておく。 正解
イ データ量を抑えるために,データの記述情報であるメタデータは格納しない。
ウ データを格納する前にデータ利用方法を設計し,それに沿ってスキーマをあらかじめ定義しておく。
エ テキストファイルやバイナリデータなど,格納するデータの形式に応じてリポジトリを使い分ける。
正解 ア
解説
データレイクは,ビッグデータを分析に使うために,構造化データも非構造化データも,あらゆるデータを加工せず,元の形式や構造のまま一か所に蓄積しておく貯蔵場所である。アが適切である。分析するときにスキーマを当てはめて読み出す(スキーマオンリード)のが特徴である。
イのメタデータは,データの所在や内容を把握するために格納する。ウの,格納前に利用方法を設計してスキーマを定義しておくのはデータウェアハウスの考え方である。エのように形式に応じてリポジトリを使い分けるのではなく,データレイクは一元的に格納する。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)
問30
トランザクションの ACID 特性のうち,一貫性(consistency)の説明はどれか。
ア 整合性の取れたデータベースに対して,トランザクション実行後も整合性が取れている性質である。 正解
イ 同時実行される複数のトランザクションは互いに干渉しないという性質である。
ウ トランザクションは,完全に実行が完了するか,全く実行されなかったかの状態しかとらない性質である。
エ ひとたびコミットすれば,その後どのような障害が起こっても状態の変更が保たれるという性質である。
正解 ア
解説
ACID 特性の一貫性(Consistency)は,整合性の取れたデータベースに対してトランザクションを実行した後も,データベースの整合性が保たれるという性質である。アが該当する。
イの同時に実行される複数のトランザクションが互いに干渉しない性質は独立性(Isolation)。ウの完全に実行されるか全く実行されなかった状態しかとらない性質は原子性(Atomicity)。エのコミットした後はどのような障害が起きても変更が失われない性質は耐久性(Durability)である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)
問31
プライベート IP アドレスを割り当てられた PC が NAPT(IP マスカレード)機能をもつルータを経由して,インターネット上の Web サーバにアクセスしている。Web サーバから PC への応答パケットに含まれるヘッダ情報のうち,このルータで書き換えられるフィールドの組合せとして,適切なものはどれか。ここで,表中の○はフィールドの情報が書き換えられることを表す。
ア 宛先 IP アドレス,送信元 IP アドレス
イ 宛先 IP アドレス,宛先ポート番号 正解
ウ 送信元 IP アドレス,送信元ポート番号
エ 宛先ポート番号,送信元ポート番号
正解 イ
解説
NAPT では,PC から Web サーバへの要求パケットの送信元 IP アドレス(プライベート IP アドレス)と送信元ポート番号を,ルータがグローバル IP アドレスと自身が割り当てたポート番号に書き換える。Web サーバからの応答パケットは,そのグローバル IP アドレスとポート番号を宛先として届くので,ルータは対応表を使って宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を PC のプライベート IP アドレスとポート番号に書き換える。イが正しい。
応答パケットの送信元 IP アドレスと送信元ポート番号は Web サーバのものであり,ルータは書き換えない。アとウとエは送信元の項目を含んでいるので誤りである。ウは要求パケットで書き換えられる組合せである。
NAPT のアドレス変換
PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。
PC
192.168.1.10
ルータ
NAPT
Web
198.51.100.5
送信元 .10:5000
送信元 .1:60001
宛先 203.0.113.1:60001
宛先 .10:5000
対応表
内側(プライベート)
外側(グローバル)
192.168.1.10 : 5000
203.0.113.1 : 60001
応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」
外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)
問32
インターネット接続において,複数の ISP の回線を使用した冗長化構成を表す用語はどれか。
ア IP-VPN
イ インターネット VPN
ウ 広域イーサネット
エ マルチホーミング 正解
正解 エ
解説
複数の ISP(インターネットサービスプロバイダ)の回線を同時に契約して接続し,一方に障害が起きても通信を続けられるようにする冗長化構成をマルチホーミングという。エが該当する。
アの IP-VPN は,通信事業者が提供する閉域の IP 網を使う VPN,イのインターネット VPN は,インターネット上に暗号化した通信路を作る VPN,ウの広域イーサネットは,通信事業者のレイヤ2網を使って遠隔の拠点を同じ LAN のようにつなぐサービスで,どれも複数 ISP を使った冗長化構成を表す用語ではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)
問33
図のような IP ネットワークの LAN 環境で,ホスト A からホスト B にパケットを送信する。LAN1 において,パケット内のイーサネットフレームの宛先と IP データグラムの宛先の組合せとして,適切なものはどれか。ここで,図中の MACn/IPm はホスト又はルータがもつインタフェースの MAC アドレスと IP アドレスを示す。
ア イーサネットフレームの宛先:MAC2,IP データグラムの宛先:IP2
イ イーサネットフレームの宛先:MAC2,IP データグラムの宛先:IP3
ウ イーサネットフレームの宛先:MAC3,IP データグラムの宛先:IP2 正解
エ イーサネットフレームの宛先:MAC3,IP データグラムの宛先:IP3
正解 ウ
解説
ホスト A からみてホスト B は別のネットワークにあるので,パケットはデフォルトゲートウェイであるルータに渡す。LAN1 の中を流れるイーサネットフレームの宛先は,次に受け取る機器であるルータの LAN1 側のインタフェースの MAC3 になる。一方,IP データグラムの宛先は最終的な宛先であるホスト B の IP2 のままで,ルータを経由しても変わらない。ウが正しい。
アとイはイーサネットフレームの宛先をホスト B の MAC2 としているが,ホスト B は LAN1 上にないので直接届けられない。イとエは IP データグラムの宛先をルータの IP3 としており,ルータ自身が宛先になってしまう。
区間ごとに変わる宛先 MAC,変わらない宛先 IP
ホスト A から別のネットワークのホスト B へ送るとき,LAN1 では宛先 MAC アドレスをルータの MAC3,宛先 IP アドレスをホスト B の IP2 にする。ルータは LAN2 へ転送するとき,宛先 MAC アドレスを MAC2 に付け替える。宛先 IP アドレスは最後まで IP2 のまま。LAN2 で IP2 と MAC2 を ARP で対応付けるのはルータ。
ホスト A
MAC1/IP1
ルータ
MAC3 / MAC4
ホスト B
MAC2/IP2
LAN1
LAN2
宛先 MAC:MAC3
宛先 IP:IP2
宛先 MAC:MAC2
宛先 IP:IP2
LAN1 のフレーム
LAN2 のフレーム
LAN2 で ARP を使って IP2 と MAC2 を対応付けるのはルータ
MAC アドレスは区間(LAN)ごとの宛先,IP アドレスは最終的な宛先
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)
問34
次の IP アドレスとサブネットマスクをもつ PC がある。この PC のネットワークアドレスとして,適切なものはどれか。
IP アドレス:10.170.70.19 サブネットマスク:255.255.255.240
ア 10.170.70.0
イ 10.170.70.16 正解
ウ 10.170.70.31
エ 10.170.70.255
正解 イ
解説
ネットワークアドレスは,IP アドレスとサブネットマスクの論理積である。サブネットマスク 255.255.255.240 の最後の8ビットは 11110000 で,IP アドレスの最後の 19 は 00010011 なので,論理積は 00010000=16 となる。ネットワークアドレスは 10.170.70.16 で,イが正しい。
アの 10.170.70.0 は,ホスト部が4ビットのサブネットでは別のサブネットのネットワークアドレスである。ウの 10.170.70.31 は,このサブネット(16〜31)のホスト部が全て1のブロードキャストアドレス。エの 10.170.70.255 は,10.170.70.240 のサブネットのブロードキャストアドレスである。
IP アドレスとサブネットマスクのビット演算
212.62.31.90/27(マスク 255.255.255.224)の第4オクテットで考える。90 は 01011010,マスクは 11100000,マスクを反転すると 00011111。a&m(論理積)はネットワーク部だけが残り 64,a&〜m はホスト部だけが残り 26(ホストアドレス),a|〜m はホスト部が全部1になり 95(ブロードキャストアドレス)。
a(90)
0
1
0
1
1
0
1
0
m(224)
1
1
1
0
0
0
0
0
〜m(31)
0
0
0
1
1
1
1
1
ネットワーク部
ホスト部
a & m
0
1
0
0
0
0
0
0
64 ネットワークアドレス
a & 〜m
0
0
0
1
1
0
1
0
26 ホストアドレス
a | 〜m
0
1
0
1
1
1
1
1
95 ブロードキャスト
& m でネットワーク部,& 〜m でホスト部,| 〜m でブロードキャスト
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)
問35
Web サーバを使ったシステムにおいて,インターネット経由でアクセスしてくるクライアントから受け取ったリクエストを Web サーバに中継する仕組みはどれか。
ア DMZ
イ フォワードプロキシ
ウ プロキシ ARP
エ リバースプロキシ 正解
正解 エ
解説
リバースプロキシは,インターネットからのリクエストを Web サーバの手前で受け取り,内部の Web サーバに中継する仕組みである。Web サーバを直接インターネットに公開せずに済み,負荷分散や認証,キャッシュなどにも使われる。エが正しい。
アの DMZ は,インターネットと内部ネットワークの間に設けて公開サーバを置くネットワーク領域である。イのフォワードプロキシは,内部の利用者からインターネットへのリクエストを中継する仕組みで,中継の向きが逆である。ウのプロキシ ARP は,ルータなどが別のネットワークのホストの代わりに ARP に応答する仕組みである。
フォワードプロキシとリバースプロキシ
フォワードプロキシは,組織内のクライアントの代わりにインターネット上のサーバへアクセスする(クライアント側の代理)。リバースプロキシは,インターネットから来た要求をサーバの手前で受け,内部の Web サーバに振り分ける(サーバ側の代理)。負荷分散や TLS の終端,キャッシュに使う。
フォワードプロキシ
社内 PC
プロキシ
外の Web
クライアント側の代理
リバースプロキシ
外の利用者
リバースプロキシ
社内 Web
サーバ側の代理(振り分け・TLS 終端)
どちら側の代理か。フォワードはクライアント側,リバースはサーバ側
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)
問36
情報セキュリティにおけるエクスプロイトコードの説明はどれか。
ア 同じセキュリティ機能をもつ製品に乗り換える場合に,CSV 形式など他の製品に取り込むことができる形式でファイルを出力するプログラム
イ コンピュータに接続されたハードディスクなどの外部記憶装置や,その中に保存されている暗号化されたファイルなどを閲覧,管理するソフトウェア
ウ セキュリティ製品を設計する際の早い段階から実際に動作する試作品を作成し,それに対する利用者の反応を見ながら徐々に完成に近づける開発手法
エ ソフトウェアやハードウェアの脆弱性を検査するために作成されたプログラム 正解
正解 エ
解説
エクスプロイトコード(エクスプロイト)は,ソフトウェアやハードウェアの脆弱性を利用して,不正な操作を行ったり,脆弱性が実在することを実証したりするために作成されたプログラムである。攻撃に悪用される一方で,脆弱性の検証にも使われる。エが正しい。
アは他の製品に取り込める形式でファイルを出力するエクスポートの機能,イは外部記憶装置や暗号化ファイルを閲覧・管理するソフトウェア(ファイル管理ツールなど),ウは試作品を作って利用者の反応を見ながら完成に近づけるプロトタイピングの説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)
問37
リスクベース認証の特徴はどれか。
ア いかなる環境からの認証の要求においても認証方法を変更せずに,同一の手順によって普段どおりにシステムが利用できる。
イ ハードウェアトークンとパスワードを併用させるなど,認証要求元の環境によらず常に二つの認証方式を併用することによって,安全性を高める。
ウ 普段と異なる環境からのアクセスと判断した場合,追加の本人認証をすることによって,不正アクセスに対抗し安全性を高める。 正解
エ 利用者が認証情報を忘れ,かつ,Web ブラウザに保存しているパスワード情報も使用できない場合でも,救済することによって,利用者は普段どおりにシステムを利用できる。
正解 ウ
解説
リスクベース認証は,普段と異なる端末,場所,時間帯などからのアクセスを検知したときに,秘密の質問やワンタイムパスワードなどの追加の本人認証を求める方式である。普段の利用では利便性を損なわず,不正アクセスの疑いがあるときだけ認証を強化できる。ウが該当する。
アはどのような環境でも認証方法を変えない通常の認証で,リスクに応じて変える点がない。イは常に二つの認証方式を併用する多要素認証。エは認証情報を忘れた利用者を救済するパスワードリセットなどの仕組みの説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)
問38
パスワードクラック手法の一種である,レインボー攻撃に該当するものはどれか。
ア 何らかの方法で事前に利用者 ID と平文のパスワードのリストを入手しておき,複数のシステム間で使い回されている利用者 ID とパスワードの組みを狙って,ログインを試行する。
イ パスワードに成り得る文字列の全てを用いて,総当たりでログインを試行する。
ウ 平文のパスワードとハッシュ値をチェーンによって管理するテーブルを準備しておき,それを用いて,不正に入手したハッシュ値からパスワードを解読する。 正解
エ 利用者の誕生日や電話番号などの個人情報を言葉巧みに聞き出して,パスワードを類推する。
正解 ウ
解説
レインボー攻撃(レインボーテーブル攻撃)は,平文のパスワードとハッシュ値の対応をチェーン状にまとめて圧縮したテーブル(レインボーテーブル)をあらかじめ作っておき,不正に入手したハッシュ値から元のパスワードを効率よく割り出す攻撃である。ウが該当する。ソルトを付けてハッシュ化すると,事前に作ったテーブルが使えなくなり対策になる。
アは他のサービスから流出した ID とパスワードの組みを使い回しに期待して試すパスワードリスト攻撃,イは全ての文字列を試す総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃),エは人をだまして情報を聞き出すソーシャルエンジニアリングである。
レインボーテーブル攻撃と Pass the Hash 攻撃
レインボーテーブル攻撃は,パスワードとハッシュ値の対応を前もって表にしておき,盗んだハッシュ値から元のパスワードを素早く割り出す(ソルトで防げる)。Pass the Hash 攻撃は,ハッシュ値で認証が成り立つ仕組み(NTLM など)を悪用し,盗んだハッシュ値を解読しないまま認証に使ってログインする。
レインボーテーブル
盗んだハッシュ値
事前に作った表で引く
元のパスワード
Pass the Hash
盗んだハッシュ値
解読しない
そのまま認証に使う
対策:ソルト
NTLM 認証などを悪用
表で元に戻すのがレインボーテーブル,戻さずそのまま使うのが Pass the Hash
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)
問39
ディジタルフォレンジックスの手順を収集,検査,分析,報告に分けたとき,そのいずれかに該当するものはどれか。
ア サーバとネットワーク機器のログをログ管理サーバに集約し,リアルタイムに相関分析することによって,不正アクセスを検出する。
イ ディスクを解析し,削除されたログファイルを復元することによって,不正アクセスの痕跡を発見する。 正解
ウ 電子メールを外部に送る際に,本文及び添付ファイルを暗号化することによって,情報漏えいを防ぐ。
エ プログラムを実行する際に,プログラムファイルのハッシュ値と脅威情報を突き合わせることによって,マルウェアを発見する。
正解 イ
解説
デジタルフォレンジックスは,インシデントが起きた後に,法的な証拠となり得るデータを保全して解析する一連の手続。削除されたログファイルを復元して不正アクセスの痕跡を突き止めるイが,その「検査・分析」に当たる。
アは SIEM によるリアルタイム監視,ウは送信時の情報漏えい対策,エはマルウェア検査であり,いずれも事後の証拠保全・解析ではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)
問40
DNSSEC についての記述のうち,適切なものはどれか。
ア DNS サーバへの問合せ時の送信元ポート番号をランダムに選択することによって,DNS 問合せへの不正な応答を防止する。
イ DNS の再帰的な問合せの送信元として許可するクライアントを制限することによって,DNS を悪用した DoS 攻撃を防止する。
ウ 共通鍵暗号方式によるメッセージ認証を用いることによって,正当な DNS サーバからの応答であることをクライアントが検証できる。
エ 公開鍵暗号方式によるディジタル署名を用いることによって,正当な DNS サーバからの応答であることをクライアントが検証できる。 正解
正解 エ
解説
DNSSEC は,DNS の応答に公開鍵暗号方式のディジタル署名を付け,クライアント(キャッシュ DNS サーバ)が署名を検証して,正当な DNS サーバからの応答であることと,応答が改ざんされていないことを確かめられるようにする仕組みである。エが適切である。
アは,問合せの送信元ポート番号をランダムにして,偽の応答の注入を難しくするソースポートランダマイゼーションの説明。イは,再帰的な問合せを許可するクライアントを制限して,DNS を悪用した DoS 攻撃(DNS リフレクション攻撃など)を防ぐ対策。ウの共通鍵暗号方式によるメッセージ認証は,DNSSEC ではなく,サーバ間の通信の認証に使う TSIG などの方式である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)
問41
マルウェア対策ソフトでのフォールスネガティブに該当するものはどれか。
ア マルウェアに感染していないファイルを,マルウェアに感染していないと判断する。
イ マルウェアに感染していないファイルを,マルウェアに感染していると判断する。
ウ マルウェアに感染しているファイルを,マルウェアに感染していないと判断する。 正解
エ マルウェアに感染しているファイルを,マルウェアに感染していると判断する。
正解 ウ
解説
フォールスネガティブ(検知漏れ)は,本当は “陽性” であるものを “陰性” と判定してしまう誤りである。マルウェア対策ソフトでいえば,マルウェアに感染しているファイルを感染していないと判断してしまうことで,ウが該当する。未知のマルウェアや,検知を逃れるよう細工されたマルウェアで起こる。
イはその逆に,感染していないファイルを感染していると判断するフォールスポジティブ(誤検知)である。業務に必要なファイルが隔離されるなどの実害が出る。アとエはどちらも判定が実際と合っており,正しい検知である。危険なのは見逃しであるフォールスネガティブだが,誤検知が多すぎても警告が信用されなくなるので,どちらも減らす必要がある。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)
問42
VPN で使用されるセキュアなプロトコルである IPsec,L2TP,TLS の,OSI 基本参照モデルにおける相対的な位置関係はどれか。
正解 ウ
解説
OSI 基本参照モデルでは,L2TP はデータリンク層(第2層)でトンネルを作るプロトコル,IPsec はネットワーク層(第3層)で IP パケットを保護するプロトコル,TLS はトランスポート層より上位(第4〜5層付近)で動作するプロトコル。
したがって上位層から順に TLS,IPsec,L2TP と並ぶ C が正しい。
VPN のプロトコルが動く層
L2TP はデータリンク層(第2層)でトンネルを作る。IPsec はネットワーク層(第3層)で IP パケットを守る。TLS はトランスポート層より上(第4〜5層あたり)で動く。上の層から順に TLS,IPsec,L2TP。
アプリケーション層
トランスポート層
TLS
ネットワーク層
IPsec
データリンク層
L2TP
物理層
TLS はトランスポート層の上(セッション層あたり)
上から TLS → IPsec → L2TP
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)
問43
情報セキュリティにおけるサンドボックスの説明はどれか。
ア OS,DBMS,アプリケーションソフトウェア,ネットワーク機器など多様なソフトウェアや機器が出力する大量のログデータを分析する。
イ Web アプリケーションの入力フォームへの入力データに含まれる HTML タグ,JavaScript,SQL 文などを他の文字列に置き換えることによって,入力データ中に含まれる悪意のあるプログラムの実行を防ぐ。
ウ Web サーバの前段に設置し,不特定多数の PC から特定の Web サーバへのリクエストに代理応答する。
エ 不正な動作をする可能性があるプログラムを特別な領域で動作させることによって,他の領域に悪影響が及ぶのを防ぐ。 正解
正解 エ
解説
サンドボックスは,不正な動作をするおそれのあるプログラムを,他の領域から隔離された特別な領域(砂場)の中で動作させ,システムの他の部分に悪影響が及ばないようにする仕組みである。不審なファイルを実行してその振る舞いを観察するマルウェア検知にも使われる。エが該当する。
アは多様な機器のログを集めて分析する SIEM。イは入力データ中の HTML タグや SQL 文などの特殊な文字を無害な文字列に置き換えるサニタイジング(エスケープ処理)。ウは Web サーバの前段でリクエストを代理で受けるリバースプロキシの説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)
問44
パケットフィルタリング型ファイアウォールが,通信パケットの通過を許可するかどうかを判断するときに用いるものはどれか。
ア Web アプリケーションに渡される POST データ
イ 送信元と宛先の IP アドレスとポート番号 正解
ウ 送信元の MAC アドレス
エ 利用者の PC から送信された URL
正解 イ
解説
パケットフィルタリング型ファイアウォールは,ネットワーク層とトランスポート層のヘッダ情報,すなわち送信元と宛先の IP アドレスとポート番号などを基に,通信パケットの通過を許可するかどうかを判断する。イが正しい。
アの Web アプリケーションに渡される POST データと,エの利用者の PC から送信された URL は,アプリケーション層の内容で,WAF やプロキシのようなアプリケーション層で検査する機器が判断に使う。ウの MAC アドレスは,データリンク層の情報で,パケットフィルタリングの判断の基本とはされていない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)
問45
WAF の説明はどれか。
ア Web アプリケーションへの攻撃を検知し,阻止する。 正解
イ Web ブラウザの通信内容を改ざんする攻撃を PC 内で監視し,検出する。
ウ サーバの OS への不正なログインを監視する。
エ ファイルへのマルウェア感染を監視し,検出する。
正解 ア
解説
WAF(Web Application Firewall)は,Web アプリケーションへの通信の中身を検査し,SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングといった攻撃を検知して遮断する仕組み。アが正しい。
イは PC 内で Web ブラウザの通信を監視する仕組み(MITB 対策など)。ウはサーバへの不正ログインの監視で,ホスト型の IDS などが担う。エはウイルス対策ソフトの働きで,いずれも WAF の説明ではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)
問46
ソフトウェアの分析・設計技法の特徴のうち,データ中心分析・設計技法の特徴として,最も適切なものはどれか。
ア 機能を詳細化する過程で,モジュールの独立性が高くなるようにプログラムを分割していく。
イ システムの開発後の仕様変更は,データ構造や手続の局所的な変更で対応可能なので,比較的容易に実現できる。
ウ 対象業務領域のモデル化に当たって,情報資源であるデータの構造に着目する。 正解
エ プログラムが最も効率よくアクセスできるようにデータ構造を設計する。
正解 ウ
解説
データ中心分析・設計技法(DOA)は,業務で扱うデータの構造(データ項目とその関係)に着目して業務をモデル化し,そのデータ構造を基にシステムを設計する技法である。データは業務の変化に対して比較的変わりにくいので,まず情報資源であるデータの構造を明らかにする。ウが最も適切である。
アは,機能を階層的に詳細化し,モジュールに分割していく機能中心(プロセス中心)の構造化設計の特徴。イの,変更をデータ構造や手続の局所的な変更で済ませられるという特徴は,オブジェクト指向の説明である。エは,データ構造をプログラムのアクセスに合わせて設計するという,プログラムを中心とする考え方である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)
問47
フェールセーフの考えに基づいて設計したものはどれか。
ア 乾電池のプラスとマイナスを逆にすると,乾電池が装填できないようにする。
イ 交通管制システムが故障したときには,信号機に赤色が点灯するようにする。 正解
ウ ネットワークカードのコントローラを二重化しておき,片方のコントローラが故障しても運用できるようにする。
エ ハードディスクに RAID1 を採用して,MTBF で示される信頼性が向上するようにする。
正解 イ
解説
フェールセーフは,故障や誤りが起きたときに,システムを安全な側の状態に倒して被害を防ぐ設計の考え方である。交通管制システムが故障したときに信号機をすべて赤にして車を止めるイがこれに当たる。
アの乾電池を逆向きに装填できないようにするのは,利用者の誤操作をそもそも起こさせないフールプルーフ。ウのコントローラを二重化して片方が故障しても運用を続けるのと,エの RAID1 でディスクを二重化して信頼性を高めるのは,故障が起きても機能を維持するフォールトトレランスの考え方である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)
問48
オペレーティングシステムの更新によって,既存のアプリケーションソフトウェアが正常に動作しなくなることが判明したので,正常に動作するように修正した。この保守を何と呼ぶか。
ア 完全化保守
イ 是正保守
ウ 適応保守 正解
エ 予防保守
正解 ウ
解説
保守は,目的によって分類される。オペレーティングシステムの更新によって既存のアプリケーションソフトウェアが動作しなくなることが判明し,動作するように修正するのは,運用環境の変化に合わせて行う適応保守である。ウが正しい。
アの完全化保守は,性能や保守性などを向上させるための改良。イの是正保守は,発見された不具合を修正する保守。エの予防保守は,まだ顕在化していない潜在的な不具合を,起こる前に見つけて修正する保守である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)
問49
アジャイル開発におけるプラクティスの一つであるバーンダウンチャートはどれか。ここで,図中の破線は予定又は予想を,実線は実績を表す。
正解 ア
解説
バーンダウンチャートは,縦軸に残作業量,横軸に時間をとり,残作業が減っていく予定と実績を示すグラフである。予定の線と実績の線を比べることで,作業の進み具合や遅れが一目で分かる。アが該当する。
イは時間とともに故障(不具合)の発生数が減った後,再び増えるバスタブ曲線。ウは累積バグ数が S 字状に増えて収束していく信頼度成長曲線(ゴンペルツ曲線など)。エは時期ごとの要員数の予定と実績を示す要員計画のグラフである。
バーンダウンチャート
縦軸に残っている作業量,横軸に日付をとり,予定(破線)と実績(実線)を描く。実績が予定の線より上にあれば遅れている。スプリントの終わりに残作業が0になるよう,日々の進み具合を確かめる。
日
残りの作業量
予定
実績が予定より上 → 遅れ
縦軸は「残り」。右下がりの予定線より上なら遅れ
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)
問50
ソフトウェアライフサイクルプロセスのうちの,システム要求事項分析プロセスにおける要求事項評価の基準はどれか。
ア システム要求事項のテスト網羅性
イ システム要求事項への追跡可能性
ウ 取得ニーズとの一貫性 正解
エ 使用されたテスト方法及び作業標準の適切性
正解 ウ
解説
システム要求事項分析プロセスでは,利害関係者の要求事項を技術的な視点のシステム要求事項に変換し,その要求事項を,取得者のニーズとの一貫性などの基準で評価する(JIS X 0160:2012 のシステム要求事項分析プロセス)。ウが該当する。
イのシステム要求事項への追跡可能性は,システム方式設計など,システム要求事項を基にして作る後の工程の成果物を評価する基準である。アのシステム要求事項のテスト網羅性や,エの使用されたテスト方法及び作業標準の適切性は,統合やテストの工程で使う評価の基準であり,システム要求事項そのものを評価する基準ではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)
問51
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネジメントの“実行のプロセス群”の説明はどれか。
ア プロジェクトの計画に照らしてプロジェクトパフォーマンスを監視し,測定し,管理するために使用する。
イ プロジェクトフェーズ又はプロジェクトが完了したことを正式に確定するために使用し,必要に応じて考慮し,実行するように得た教訓を提供するために使用する。
ウ プロジェクトフェーズ又はプロジェクトを開始するために使用し,プロジェクトフェーズ又はプロジェクトの目標を定義し,プロジェクトマネージャがプロジェクト作業を進める許可を得るために使用する。
エ プロジェクトマネジメントの活動を遂行し,プロジェクトの全体計画に従ってプロジェクトの成果物の提示を支援するために使用する。 正解
正解 エ
解説
JIS Q 21500:2018 は,プロジェクトマネジメントのプロセス群を立ち上げ,計画,実行,管理,終結の五つに分けている。実行のプロセス群は,プロジェクトマネジメントの活動を遂行し,プロジェクトの全体計画に従ってプロジェクトの成果物の提示を支援するために使用する。エが正しい。
アは,計画に照らしてパフォーマンスを監視,測定,管理するための管理のプロセス群。イは,フェーズ又はプロジェクトの完了を正式に確定し,得た教訓を提供するための終結のプロセス群。ウは,フェーズ又はプロジェクトを開始し,目標を定義して作業を進める許可を得るための立ち上げのプロセス群の説明である。
JIS Q 21500 のプロセス群と対象群
39のプロセスを,いつ行うか(立ち上げ・計画・実行・管理・終結の5つのプロセス群)と,何を扱うか(10の対象群)の組合せで並べた表。マスの数字はそこに入るプロセスの数。リスクは計画(特定・評価),実行(対応),管理の3つに分かれる。実行のプロセス群から変更要求が管理のプロセス群に出され,承認された変更が実行に戻る。
39のプロセス
=5つのプロセス群×10の対象群
変更要求
承認された変更
立ち上げ
計画
実行
管理
終結
統合
1
1
1
2
2
ステークホルダ
1
1
スコープ
3
1
資源
1
2
1
2
時間
3
1
コスト
2
1
リスク
2
1
1
品質
1
1
1
調達
1
1
1
コミュニケーション
1
1
1
計
3
16
7
11
2
数字はマスに入るプロセスの数。リスク・品質・調達・コミュニケーションは計画・実行・管理に分かれる
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)
問52
ある組織では,プロジェクトのスケジュールとコストの管理にアーンドバリューマネジメントを用いている。期間10日間のプロジェクトの,5日目の終了時点の状況は表のとおりである。この時点でのコスト効率が今後も続くとしたとき,完成時総コスト見積り(EAC)は何万円か。
正解 エ
解説
コスト効率指数 CPI は EV/AC で求めるので,40/60=2/3。この効率が完成まで続くとみると,完成時総コスト見積り EAC=BAC/CPI=100÷(2/3)=150万円になる。エが正しい。
数値で見ると,40万円分の出来高に60万円かかっている=予定の1.5倍の費用がかかっているので,総予算100万円の作業を終えるにも1.5倍の150万円が必要になる,と読める。イの120は EAC=AC+(BAC−EV)=60+60 で求めた値で,残りの作業は予定どおりの効率で進むとみなした場合の見積り。アの110とウの135は,この表の数値からは導けない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)
問53
図のアローダイアグラムから読み取れることとして,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日を1日目とする。
ア 作業 C を最も早く開始できるのは6日目である。
イ 作業 D はクリティカルパス上の作業である。
ウ 作業 E の総余裕時間は30日である。 正解
エ 作業 F を最も遅く開始できるのは11日目である。
正解 ウ
解説
各結合点に最も早く到達できる日数をたどると,B の後が10日,A の後はダミー作業があるので5日と10日のうち遅い10日。そこから C の後が30日,E と F の合流点が 10+10=20日。H の手前は,G 経由 30+20=50日,D 経由 10+30=40日,ダミー経由20日のうち50日で,全体は60日。逆に遅くとも到達すべき日数をたどると,H の手前が50日,E と F の合流点も(ダミーなので)50日になる。
E は最も早く10日経過後に始められ,最も遅くは 50−10=40日経過後に始めればよいので,総余裕時間は30日。ウが正しい。アは,C の最早開始は10日経過後なので11日目。イは,D の総余裕が 50−30−10=10日あり,クリティカルパス(B→ダミー→C→G→H)上にない。エは,F の最遅開始が 50−10=40日経過後なので41日目である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)
問54
IT サービスマネジメントにおける問題管理プロセスにおいて実施することはどれか。
ア インシデントの発生後に暫定的にサービスを復旧させ,業務を継続できるようにする。
イ インシデントの発生後に未知の根本原因を特定し,恒久的な解決策を策定する。 正解
ウ インシデントの発生に備えて,復旧のための設計をする。
エ インシデントの発生を記録し,関係する部署に状況を連絡する。
正解 イ
解説
問題管理は,インシデントの背後にある根本原因を突き止め,同じインシデントが再び起きないように恒久的な解決策を立てるプロセス。原因がまだ分かっていないものを調査して既知の誤りとして登録し,恒久対策につなげる。イが正しい。
アの暫定的な復旧とエのインシデントの記録・連絡はインシデント管理の活動。ウの復旧のための設計は,サービス継続及び可用性管理などで行うことである。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)
問55
ITIL 2011 edition によれば,IT サービス継続性管理における復旧オプションのうち,段階的復旧(コールド・スタンバイ)はどれか。
ア 遠隔地のデータセンタに機器を設置できる場所を確保しておき,災害時にはコンピュータ機器を設置し,ソフトウェアのセットアップやデータの復元を行って,IT サービスを復旧させる。 正解
イ 遠隔地のデータセンタに本稼働システムと同一構成の機器を準備するとともに,本稼働システムのデータをバックアップしておき,災害時にはその遠隔地のデータセンタに切り替えて IT サービスを復旧させる。
ウ 災害時の IT 資源の相互利用について他の組織と合意しておき,災害時には他の組織の IT 資源を利用して IT サービスを復旧させる。
エ 同時に被災する可能性がほとんどない複数のデータセンタにシステムを分散して稼働させることによって,一部のデータセンタが被災しても顧客に対するサービスの深刻な停止を引き起こすことなく,IT サービスを即時に復旧させる。
正解 ア
解説
ITIL 2011 edition の IT サービス継続性管理では,復旧オプションを,復旧までの速さによって,即時復旧(ホット・スタンバイ),中間復旧(ウォーム・スタンバイ),段階的復旧(コールド・スタンバイ)などに分ける。段階的復旧は,遠隔地に機器を設置できる場所だけを確保しておき,災害時に機器を設置し,ソフトウェアのセットアップやデータの復元を行って復旧させるもので,最も復旧に時間がかかる。アが該当する。
イは,同一構成の機器とバックアップデータを遠隔地に用意しておく中間復旧(ウォーム・スタンバイ)。エは,被災しない複数のデータセンタで稼働させる即時復旧(ホット・スタンバイ)。ウは,他の組織と IT 資源の相互利用を取り決めておく相互協定に当たる。
ホット・ウォーム・コールドスタンバイ
ホットスタンバイは別の場所のシステムを常に動かしてデータを同期し,すぐに切り替える。ウォームスタンバイは機器を用意しておくが動かしてはおらず,緊急時に起動してデータを最新にしてから回復する。コールドスタンバイは場所(と電源など)だけを用意し,機器は災害後に持ち込んで立ち上げる。
方式
待機の状態
切替え
費用
ホット
常に稼働・同期
すぐ
高い
ウォーム
機器はあるが止めている
起動して最新にする
中
コールド
場所だけ(機器は後から)
持ち込んで立ち上げる
安い
相互援助協定:同じようなシステムの組織どうしで助け合う
常に動かす・用意だけして起動する・場所だけ
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)
問56
次の処理条件で磁気ディスクに保存されているファイルを磁気テープにバックアップするとき,バックアップの運用に必要な磁気テープは最少で何本か。
〔処理条件〕
(1) 毎月初日(1日)にフルバックアップを取る。フルバックアップは1本の磁気テープに1回分を記録する。 (2) フルバックアップを取った翌日から次のフルバックアップを取るまでは,毎日,差分バックアップを取る。差分バックアップは,差分バックアップ用としてフルバックアップとは別の磁気テープに追記録し,1本に1か月分を記録する。 (3) 常に6か月前の同一日までのデータについて,指定日の状態にファイルを復元できるようにする。ただし,6か月前の月に同一日が存在しない場合は,当該月の末日までのデータについて,指定日の状態にファイルを復元できるようにする(例:本日が10月31日の場合は,4月30日までのデータについて,指定日の状態にファイルを復元できるようにする)。
正解 ウ
解説
処理条件 (3) から,常に 6 か月前の同一日以降の任意の日の状態に復元できなければならない。ある日の状態に復元するには,その月の 1 日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が必要である。
例えば本日が 10 月 31 日なら,4 月 30 日以降の日を復元できる必要があるので,4 月から 10 月までの 7 か月分のフルバックアップと差分バックアップを保管しておかなければならない。本日が 10 月 1 日でフルバックアップを取った後でも,4 月 1 日以降の復元のために同じく 4 月から 10 月までの 7 か月分が必要になる。
フルバックアップ用が 7 本,差分バックアップ用が 7 本で,合計 14 本となり,ウになる。
バックアップに必要な磁気テープの本数
ある日の状態に戻すには,その月の1日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が要る。6か月前の同じ日以降のどの日にも戻せるようにするには,例えば10月31日なら4月30日以降,つまり4月から10月までの7か月分を残す。フルバックアップ用7本と差分バックアップ用7本で14本。
4月
フル
差分
5月
フル
差分
6月
フル
差分
7月
フル
差分
8月
フル
差分
9月
フル
差分
10月
フル
差分
4月30日〜10月31日のどの日にも戻せる
7か月 × 2本 = 14本
(10月31日なら6か月前は4月30日。4月分のテープも要る)
6か月前の月も含めるので7か月分。月ごとにフルと差分で2本
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)
問57
システム開発委託先(受託者)から委託元(委託者)に納品される成果物に対するユーザ受入テストの適切性を確かめるためのシステム監査の要点はどれか。
ア 委託者が作成したユーザ受入テスト計画書に従って,受託者が成果物に対してユーザ受入テストを実施していること
イ 受託者が成果物と一緒にユーザ受入テスト計画書を納品していること
ウ 受託者から納品された成果物に対して,委託者が要件定義に基づきユーザ受入テストを実施していること 正解
エ 受託者から納品された成果物に対して,監査人がユーザ受入テスト計画を策定していること
正解 ウ
解説
ユーザ受入テストは,委託者(委託元)が,受託者から納品された成果物が要件定義で定めた要求を満たしているかを確かめるために,委託者自身が実施するテストである。成果物に対して委託者が要件定義に基づいてユーザ受入テストを実施していることを確かめるウが,監査の要点として適切である。
アは,ユーザ受入テストを受託者が実施しており,委託者による確認になっていない。イは,ユーザ受入テスト計画書を受託者が納品しており,委託者の立場からの計画になっていない。エの,システム監査人がユーザ受入テスト計画を策定すると,監査対象の業務に自ら関与することになり,監査人の独立性を損なう。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)
問58
システム監査における“監査手続”として,最も適切なものはどれか。
ア 監査計画の立案や監査業務の進捗管理を行うための手順
イ 監査結果を受けて,監査報告書に監査人の結論や指摘事項を記述する手順
ウ 監査項目について,十分かつ適切な証拠を入手するための手順 正解
エ 監査テーマに合わせて,監査チームを編成する手順
正解 ウ
解説
監査手続は,監査項目について監査人が十分かつ適切な監査証拠を入手するために実施する手順のこと。
アは監査計画の立案や進捗管理,イは監査報告書の作成,エは監査体制の編成であり,いずれも監査証拠を入手する手順そのものではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)
問59
システム監査基準(平成30年)に基づいて,監査報告書に記載された指摘事項に対応する際に,不適切なもの はどれか。
ア 監査対象部門が,経営者の指摘事項に対するリスク受容を理由に改善を行わないこととする。
イ 監査対象部門が,自発的な取組によって指摘事項に対する改善に着手する。
ウ システム監査人が,監査対象部門の改善計画を作成する。 正解
エ システム監査人が,監査対象部門の改善実施状況を確認する。
正解 ウ
解説
システム監査基準(平成 30 年)では,監査報告書に記載された指摘事項に対する改善計画の作成と実施は,監査対象部門の責任で行う。システム監査人は,その改善状況を確認(フォローアップ)する立場である。システム監査人が監査対象部門の改善計画を作成するとなると,監査人の独立性が損なわれるので,ウが不適切である。
アは,経営者が指摘事項のリスクを受容すると判断して改善を行わないこともあり得る。イの監査対象部門が自発的に改善に着手することと,エの監査人が改善実施状況を確認することは,いずれも適切な対応である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)
問60
事務所の物理的セキュリティ対策について,JIS Q 27002:2014(情報セキュリティ管理策の実践のための規範)に基づいて情報セキュリティ監査を実施した。判明した状況のうち,監査人が監査報告書に指摘事項として記載すべきものはどれか。
ア 外部からの荷物の受渡しは,サーバ室などの情報処理施設にアクセスすることなく荷物の積降ろしができる場所で行っている。
イ 機密性の高い情報資産が置かれている部屋には,入室許可を得た者が共通の暗証番号を入力して入室している。 正解
ウ 機密性の高い情報資産が置かれる部屋は,社員以外の者の目に触れる場所を避けて設けている。
エ 取引先との打合せは,社員が業務を行っている執務室から分離された場所であって,かつ,機密性の高い情報資産が置かれていない場所で行っている。
正解 イ
解説
JIS Q 27002:2014 の物理的入退管理(11.1.2)は,セキュリティを保つべき領域への立入りを認可された者だけに限定するために,アクセスを管理し,入退室の記録を残せるようにすることを求めている。入室許可を得た者が共通の暗証番号で入室していると,誰が入室したかを個人ごとに特定できず,暗証番号を知った許可のない者も入室できてしまう。個人ごとの認証を行うべきであり,指摘事項に当たる。イが該当する。
アの荷物の受渡しを情報処理施設に立ち入らずに行える場所に限ること(11.1.6),ウの機密性の高い情報資産を置く部屋を外部の者の目に触れにくい場所に設けること(11.1.3),エの取引先との打合せを執務室と分けた情報資産のない場所で行うことは,いずれも規格の管理策に沿った状況であり,指摘事項にならない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)
問61
事業目標達成のためのプログラムマネジメントの考え方として,適切なものはどれか。
ア 活動全体を複数のプロジェクトの結合体と捉え,複数のプロジェクトの連携,統合,相互作用を通じて価値を高め,組織全体の戦略の実現を図る。 正解
イ 個々のプロジェクト管理を更に細分化することによって,プロジェクトに必要な技術や確保すべき経営資源の明確化を図る。
ウ システムの開発に使用するプログラム言語や開発手法を早期に検討することによって,開発リスクを低減し,投資効果の最大化を図る。
エ リスクを最小化するように支援する専門組織を設けることによって,組織全体のプロジェクトマネジメントの能力と品質の向上を図る。
正解 ア
解説
プログラムマネジメントは,事業目標の達成という共通の目的に向けて,互いに関連する複数のプロジェクトをまとめて管理する考え方。個々のプロジェクトの成果を足し合わせるだけでなく,プロジェクト間の連携や統合,相互作用を通じて全体の価値を高め,組織の戦略を実現する。アが適切である。
イは個々のプロジェクト管理を細かくする話で,複数のプロジェクトを束ねる視点がない。ウは一つのシステム開発の技術選定によるリスク低減の話。エはプロジェクトマネジメントを組織的に支援する PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)
問62
A 社は,ソリューションプロバイダから,顧客に対するワントゥワンマーケティングを実現する統合的なソリューションの提案を受けた。この提案が該当するソリューションとして,最も適切なものはどれか。
ア CRM ソリューション 正解
イ HRM ソリューション
ウ SCM ソリューション
エ 財務管理ソリューション
正解 ア
解説
CRM(Customer Relationship Management,顧客関係管理)は,顧客の属性や購買履歴,問合せ履歴などの情報を一元管理し,顧客一人一人に合わせた対応や提案を行うことで,長期的に良好な関係を築くための仕組みである。顧客ごとに個別の働きかけをするワントゥワンマーケティングを実現するソリューションに当たるので,アが適切である。
イの HRM(人的資源管理)は従業員の採用,評価,育成など人事に関するもの,ウの SCM(サプライチェーンマネジメント)は調達から生産,物流,販売までの供給の流れを最適化するもの,エの財務管理は会計や資金を扱うもので,いずれも顧客への個別のマーケティングを目的としていない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)
問63
ビッグデータを有効活用し,事業価値を生み出す役割を担う専門人材であるデータサイエンティストに求められるスキルセットを表の三つの領域と定義した。データサイエンス力に該当する具体的なスキルはどれか。
データサイエンティストに求められるスキルセット
ア 扱うデータの規模や機密性を理解した上で,分析システムをオンプレミスで構築するか,クラウドサービスを利用して構築するかを判断し,設計できる。
イ 事業モデル,バリューチェーンなどの特徴や事業の主たる課題を自力で構造的に理解でき,問題の大枠を整理できる。
ウ 分散処理のフレームワークを用いて,計算処理を複数サーバに分散させる並列処理システムを設計できる。
エ 分析要件に応じ,決定木分析,ニューラルネットワークなどのモデリング手法の選択,モデルへのパラメタの設定,分析結果の評価ができる。 正解
正解 エ
解説
表のデータサイエンス力は,人工知能や統計学などの情報科学の知識を用いて,予測,検定,関係性の把握,データの加工・可視化を行う力である。分析要件に応じて決定木分析やニューラルネットワークなどのモデリング手法を選び,パラメタを設定して分析結果を評価することは,まさにこの力に当たる。エが該当する。
アの分析システムをオンプレミスとクラウドのどちらで構築するかの判断と設計,ウの分散処理のフレームワークを使った並列処理システムの設計は,分析システムを実装・運用するデータエンジニアリング力に当たる。イの事業モデルや事業の課題を構造的に理解し,問題の大枠を整理することは,ビジネス力に当たる。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)
問64
投資効果を正味現在価値法で評価するとき,最も投資効果が大きい(又は損失が小さい)シナリオはどれか。ここで,期間は3年間,割引率は 5%とし,各シナリオのキャッシュフローは表のとおりとする。
正解 イ
解説
正味現在価値は,各年の回収額を割引率で現在価値に直して合計し,投資額を引いて求める。割引率5%なら1年目は 1.05,2年目は 1.052 =1.1025,3年目は 1.053 ≒1.1576 で割る。
A は 40/1.05+80/1.1025+120/1.1576≒38.1+72.6+103.7=214.4 で,220 を引くと約 −5.6 万円。B は 120/1.05+80/1.1025+40/1.1576≒114.3+72.6+34.6=221.5 で約 +1.5 万円。C は 80/1.05+80/1.1025+80/1.1576≒76.2+72.6+69.1=217.9 で約 −2.1 万円。投資をしない場合は 0 である。
最も大きいのは B で,イが正しい。割り引かずに合計すると回収額はどのシナリオも 240 万円で同じになり,差が出ない。早い時期に多く回収するシナリオほど現在価値が大きくなる。
正味現在価値(NPV)の求め方
投資200に対して,1年後100,2年後90,3年後80のキャッシュインがある例を割引率5%で評価する。1年後は1.05,2年後は1.05の2乗,3年後は1.05の3乗で割って今の価値に直すと,95.2,81.6,69.1で合計は約246。これから投資額200を引いた約46が NPV で,正なので投資する価値がある。
−200(今の投資)
100→95.2
÷1.05
1年後
90→81.6
÷1.05²
2年後
80→69.1
÷1.05³
3年後
将来の金額
今の価値
現在価値の合計 約246
246 − 200 = NPV 約46
正なので投資する価値がある
先のお金ほど大きく割り引く。現在価値の合計から投資額を引いたものが NPV
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)
問65
要件定義において,利用者や外部システムと,業務の機能を分離して表現することによって,利用者を含めた業務全体の範囲を明らかにするために使用される図はどれか。
ア アクティビティ図
イ オブジェクト図
ウ クラス図
エ ユースケース図 正解
正解 エ
解説
ユースケース図は,システムの外部にいる利用者や外部システム(アクタ)と,システムが提供する業務の機能(ユースケース)を分けて描き,その関係を表す UML の図である。要件定義で,利用者を含めた業務全体の範囲やシステム化の対象を明らかにするのに使われる。エが正しい。
アのアクティビティ図は処理や業務の流れ,イのオブジェクト図はある時点のインスタンスとその間のつながり,ウのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の静的な関係を表す図である。
UML のおもな図の使い分け
シーケンス図はオブジェクト間のメッセージを時間の順に,コミュニケーション図はオブジェクトのつながりに注目して相互作用を表す。ユースケース図はアクタとシステムの機能の関係(システムの範囲),アクティビティ図は処理の流れ(分岐・並行・同期),状態マシン図は1つのオブジェクトの状態の移り変わり,クラス図は静的な構造,オブジェクト図はある時点のインスタンスのつながりを表す。
図
表すもの
シーケンス図
メッセージを時間の順に
コミュニケーション図
オブジェクトのつながりと相互作用
ユースケース図
アクタと機能,システムの範囲
アクティビティ図
処理の流れ(分岐・並行・同期)
状態マシン図
1つのオブジェクトの状態の遷移
クラス図
クラスと関連(静的な構造)
オブジェクト図
ある時点のインスタンスとリンク
時間の順はシーケンス図,範囲はユースケース図,業務の流れはアクティビティ図
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)
問66
サブスクリプション方式のソフトウェア調達はどれか。
ア ERP ソフトウェアの利用人数分の永続使用ライセンスをイニシャルコストとして購入し,必要に応じてライセンスを追加購入する。
イ 新しい OS 上で動作する最新バージョンのソフトウェアパッケージを販売代理店から購入する。
ウ 新規開発した業務システムのソフトウェア開発費を無形固定資産として計上して,自社で利用する。
エ ベンダが提供するソフトウェアを,利用料金を支払うことによって一定期間の利用権を得て利用する。 正解
正解 エ
解説
サブスクリプション方式は,ソフトウェアを所有せず,利用料金を(月額や年額で)支払うことによって,一定期間の利用権を得て利用する方式である。エが該当する。
アは,永続使用ライセンスを初期費用として買い取る調達。イは,パッケージソフトウェアを購入して所有する調達。ウは,自社で新規開発し,開発費を無形固定資産として計上するもので,いずれも利用料金を払って一定期間利用する方式ではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)
問67
コアコンピタンスに該当するものはどれか。
ア 主な事業ドメインの高い成長率
イ 競合他社よりも効率性が高い生産システム 正解
ウ 参入を予定している事業分野の競合状況
エ 収益性が高い事業分野での市場シェア
正解 イ
解説
コアコンピタンスは,競合他社がまねのできない,顧客に価値をもたらす企業の中核的な能力や技術である。競合他社よりも効率性が高い生産システムは,自社の内部に蓄積された競争力の源泉なので,イが該当する。
アの事業ドメインの成長率,ウの参入を予定している分野の競合状況は,自社を取り巻く外部環境や市場の状況であり,自社の能力ではない。エの市場シェアは,能力を発揮した結果として得られた成果であって,能力そのものではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)
問68
バランススコアカードの四つの視点とは,財務,学習と成長,内部ビジネスプロセスと,もう一つはどれか。
正解 イ
解説
バランススコアカードは,企業の業績を財務の数字だけで測らず,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点から評価する仕組み。残る一つはイの顧客の視点で,顧客満足度やシェアなど,顧客からどう見られているかを測る。
四つの視点は,学習と成長が内部ビジネスプロセスを支え,それが顧客の評価につながり,最終的に財務の成果に結び付くという因果関係で結ばれている。アのガバナンス,ウの自社の強み,エの遵法は,いずれもこの四つには含まれない。
バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ
下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。
財務
売上高を伸ばす
売上高・利益率
顧客
顧客満足度を上げる
顧客満足度・シェア
内部ビジネスプロセス
出荷を速くする
出荷までの日数
学習と成長
専門人材を育てる
育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)
問69
知識創造プロセス(SECI モデル)における“表出化”はどれか。
ア 暗黙知から新たに暗黙知を得ること
イ 暗黙知から新たに形式知を得ること 正解
ウ 形式知から新たに暗黙知を得ること
エ 形式知から新たに形式知を得ること
正解 イ
解説
知識創造プロセス(SECI モデル)は,共同化(暗黙知から暗黙知),表出化(暗黙知から形式知),連結化(形式知から形式知),内面化(形式知から暗黙知)の4段階で知識が生まれるとするモデルである。表出化は,経験やノウハウといった暗黙知を,言葉や図表などの形式知にすることで,イが該当する。
アは共同化,ウは内面化,エは連結化の説明である。
SECI モデル
共同化は暗黙知を暗黙知のまま,一緒に働く経験を通して伝える。表出化は暗黙知を言葉や図にして形式知にする。連結化は形式知どうしを組み合わせて体系にする。内面化は形式知を実践して自分の暗黙知にする。この4つを順に回して,知識を個人から組織へ広げていく。
共同化
暗黙知→暗黙知
一緒に働いて体で覚える
表出化
暗黙知→形式知
言葉や図にする
内面化
形式知→暗黙知
実践して身につける
連結化
形式知→形式知
組み合わせて体系にする
共同化→表出化→連結化→内面化の順に回り,知識が個人から組織へ広がる
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)
問70
オープンイノベーションに関する事例として,適切なものはどれか。
ア 社外からアイディアを募集し,新サービスの開発に活用した。 正解
イ 社内の製造部と企画部で共同プロジェクトを設置し,新規製品を開発した。
ウ 物流システムを変更し,効率的な販売を行えるようにした。
エ ブランド向上を図るために,自社製品の革新性について Web に掲載した。
正解 ア
解説
オープンイノベーションは,自社の中だけでなく,他社や大学,個人など外部の技術やアイディアを取り入れて組み合わせ,新しい製品やサービスを生み出す考え方である。社外からアイディアを募集して新サービスの開発に活用したアが該当する。
イは社内の部門どうしの協働であり,外部の知見を取り入れていないので,自社内で完結するクローズドイノベーションに当たる。ウの物流システムの変更による販売の効率化は業務改善。エの自社製品の革新性の Web への掲載は広報活動であり,いずれも外部と協働したイノベーションではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)
問71
IoT 活用におけるディジタルツインの説明はどれか。
ア インターネットを介して遠隔地に設置した 3D プリンタへ設計データを送り,短時間に複製物を製作すること
イ システムを正副の二重に用意し,災害や故障時にシステムの稼働の継続を保証すること
ウ 自宅の家電機器とインターネットでつながり,稼働監視や操作を遠隔で行うことができるウェアラブルデバイスのこと
エ ディジタル空間に現実世界と同等な世界を,様々なセンサで収集したデータを用いて構築し,現実世界では実施できないようなシミュレーションを行うこと 正解
正解 エ
解説
ディジタルツインは,現実世界の物や環境の状態を様々なセンサで収集し,そのデータを用いてディジタル空間に現実と同等の“双子”の世界を構築する技術である。ディジタル空間の上で,現実世界では実施できないようなシミュレーションや将来の予測を行い,その結果を現実世界に生かす。エが適切である。
アは遠隔地の 3D プリンタへの設計データの送信による製作,イはシステムを正副二重に用意するデュプレックスシステムなどの冗長化,ウは家電を遠隔で監視・操作するウェアラブルデバイスで,いずれもディジタル空間に現実世界を再現するものではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)
問72
PDM(Product Data Management)の目的はどれか。
ア NC 工作機械,自動搬送装置,倉庫などを有機的に結合し,コンピュータで集中管理することによって,多品種少量生産に対応できる生産の自動化を実現する。
イ 図面・部品構成データ,仕様書データなどの設計及び開発の段階で発生する情報を一元管理することによって,設計業務及び開発業務の効率を向上させる。 正解
ウ 製品の生産計画に基づいてその生産に必要な資材の所要量を展開し,これを基準にして資材の需要とその発注時期を算出する。
エ 部品の供給から製品の販売までの一連のプロセスの情報をリアルタイムで交換することによって,在庫の削減とリードタイムの短縮を実現する。
正解 イ
解説
PDM(Product Data Management,製品データ管理)は,図面,部品構成データ,仕様書データなど,製品の設計や開発の段階で発生する情報を一元管理し,設計業務や開発業務の効率を向上させる仕組みである。イが該当する。
アは,NC 工作機械などをコンピュータで集中管理する FMS(フレキシブル生産システム)。ウは,生産計画から資材の所要量を算出する MRP(資材所要量計画)。エは,部品の供給から販売までの情報を交換して在庫削減とリードタイム短縮を図る SCM(サプライチェーンマネジメント)の説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)
問73
SEO の説明はどれか。
ア EC サイトにおいて,個々の顧客の購入履歴を分析し,新たに購入が見込まれる商品を自動的に推奨する機能
イ Web ページに掲載した広告が契機となって商品が購入された場合,売主から成功報酬が得られる仕組み
ウ 検索エンジンの検索結果一覧において自社サイトがより上位にランクされるように Web ページの記述内容を見直すなど様々な試みを行うこと 正解
エ 検索エンジンを運営する企業と契約し,自社の商品・サービスと関連したキーワードが検索に用いられた際に広告を表示する仕組み
正解 ウ
解説
SEO(Search Engine Optimization,検索エンジン最適化)は,検索エンジンの検索結果一覧で自社サイトがより上位に表示されるように,Web ページの記述内容を見直すなどの様々な工夫を行うことである。ウが該当する。
アは,購入履歴などを基に商品を推奨するレコメンデーション。イは,広告が契機で商品が購入されたときに成功報酬を得るアフィリエイト。エは,検索に使われたキーワードに関連した広告を表示する検索連動型広告(リスティング広告)の説明である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)
問74
発生した故障について,発生要因ごとの件数の記録を基に,故障発生件数で上位を占める主な要因を明確に表現するのに適している図法はどれか。
ア 特性要因図
イ パレート図 正解
ウ マトリックス図
エ 連関図
正解 イ
解説
パレート図は,項目を件数の多い順に並べた棒グラフと,その累積比率の折れ線グラフを組み合わせた図である。どの要因が故障件数の大部分を占めているかが一目で分かり,重点的に対策すべき要因を明確にできる。イが適切である。
アの特性要因図は結果(特性)とそれに影響する要因の関係を魚の骨の形に整理する図,ウのマトリックス図は行と列に要素を並べて要素間の関連を表す図,エの連関図は複雑に絡み合う原因と結果の関係を矢印でつないで表す図で,いずれも件数の大小を比べるものではない。
パレート図
不良の原因などを件数の多い順に棒で並べ,累積比率を折れ線で重ねる。上位の少数の項目で全体の大部分(例えば80%)を占めることが分かり,どこから対策すれば効果が大きいかを決めるのに使う。
寸法
傷
汚れ
欠け
色
他
80%
100%
累積比率
上位2項目で約7割 → ここから対策する
多い順の棒と累積比率の折れ線。左の数項目に集中して対策する
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)
問75
定量発注方式における経済的発注量を計算したところ,600個であった。発注から納入までの調達期間は5日であり,安全在庫量が30個である場合,この購買品目の発注点は何個か。ここで,1日の平均消費量は50個であるとする。
正解 ウ
解説
定量発注方式の発注点は,調達期間中の消費量に安全在庫量を加えた量で,発注点=1日の平均消費量×調達期間+安全在庫量=50×5+30=280 個である。ウが正しい。経済的発注量(600 個)は1回に発注する量で,発注点の計算には使わない。
アの 220 は安全在庫量を引いた値(50×5−30)で,イの 250 は安全在庫量を加えていない値,エの 300 は発注点と関係のない値である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)
問76
表の事業計画案に対して,新規設備投資に伴う減価償却費(固定費)の増加 1,000 万円を織り込み,かつ,売上総利益を 3,000 万円とするようにしたい。変動費率に変化がないとすると,売上高の増加を何万円にすればよいか。
ア 2,000
イ 3,000
ウ 4,000 正解
エ 5,000
正解 ウ
解説
表の事業計画案では,売上高 20,000 万円に対して変動費が 10,000 万円なので,変動費率は 10,000÷20,000=0.5 である。減価償却費の増加を織り込むと,固定費は 8,000+1,000=9,000 万円になる。
売上高を S 万円とすると,売上総利益は S−0.5S−9,000=0.5S−9,000 となる。これを 3,000 万円にするには,0.5S=12,000 より S=24,000 万円が必要である。
売上高の増加は 24,000−20,000=4,000(万円)であり,ウになる。
損益分岐点図表
横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。
売上高
金額
固定費
総費用
売上高
損益分岐点
損益分岐点売上高
利益
損失
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)
問77
図に示す標準原価計算の手続について,a〜c に該当する適切な組合せはどれか。
ア a:実際原価の計算,b:原価差異分析,c:標準原価差額の計算
イ a:実際原価の計算,b:標準原価差額の計算,c:原価差異分析 正解
ウ a:標準原価差額の計算,b:原価差異分析,c:実際原価の計算
エ a:標準原価差額の計算,b:実際原価の計算,c:原価差異分析
正解 イ
解説
標準原価計算の手続は,原価標準を設定し,それを基に標準原価を計算した後,実際原価を計算し,標準原価との差額である標準原価差額を計算して,その原因を原価差異分析で調べ,原価報告を行う流れである。a が実際原価の計算,b が標準原価差額の計算,c が原価差異分析で,イが正しい。
ア,ウ,エは,標準原価差額の計算の前に原価差異分析をしていたり,実際原価を計算する前に標準原価差額を求めていたりして,順序が合わない。標準原価差額は標準原価と実際原価の差なので,両方を計算した後でなければ求められない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)
問78
個人情報のうち,個人情報保護法における要配慮個人情報に該当するものはどれか。
ア 個人情報の取得時に,本人が取扱いの配慮を申告することによって設定される情報
イ 個人に割り当てられた,運転免許証,クレジットカードなどの番号
ウ 生存する個人に関する,個人を特定するために用いられる勤務先や住所などの情報
エ 本人の病歴,犯罪の経歴など不当な差別や不利益を生じさせるおそれのある情報 正解
正解 エ
解説
個人情報保護法第2条第3項は,要配慮個人情報を,本人の人種,信条,社会的身分,病歴,犯罪の経歴,犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別,偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報と定義している。エが該当する。
アは誤り。要配慮個人情報は法令で定められた情報であり,本人の申告によって設定されるものではない。イの運転免許証の番号などは個人識別符号に当たり得るが,要配慮個人情報ではない(クレジットカード番号は個人識別符号にも当たらない)。ウの勤務先や住所などは一般の個人情報である。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)
問79
ソフトウェア開発を下請事業者に委託する場合,下請代金支払遅延等防止法に照らして,禁止されている行為はどれか。
ア 継続的な取引が行われているので,支払条件,支払期日などを記載した書面をあらかじめ交付し,個々の発注書面にはその事項の記載を省略する。
イ 顧客が求める仕様が確定していなかったので,発注の際に,下請事業者に仕様が未記載の書面を交付し,仕様が確定した時点では,内容を書面ではなく口頭で伝えた。 正解
ウ 顧客の都合で仕様変更の必要が生じたので,下請事業者と協議の上,発生する費用の増加分を下請代金に加算することによって仕様変更に応じてもらう。
エ 振込手数料を下請事業者が負担する旨を発注前に書面で合意したので,親事業者が負担した実費の範囲内で振込手数料を差し引いて下請代金を支払う。
正解 イ
解説
下請代金支払遅延等防止法第 3 条は,親事業者は下請事業者に製造委託等をしたら直ちに,給付の内容,下請代金の額,支払期日,支払方法などを記載した書面を交付しなければならないと定める。内容が定められないことに正当な理由がある事項は当初の書面で記載を省けるが,その場合も,内容が定まった後直ちにその事項を記載した書面を交付しなければならないとされている。書面によらず口頭で伝えるイが,禁止されている行為に当たる。
アは,一定期間の取引に共通する事項をあらかじめ書面で通知していれば個々の発注書面での記載を省けると,同法第 3 条の書面の記載事項等に関する規則が認めている。ウは,下請事業者と協議した上で増加費用を代金に加算するもので,一方的に不利益を与える行為ではない。エは,発注前に書面で合意し,親事業者が実際に負担した実費の範囲内で差し引くもので,責めに帰すべき理由がないのに代金の額を減ずる行為とは異なる。なお,同法は令和 8 年 1 月 1 日施行の改正で名称が“製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律”に改められ,書面の交付は書面又は電磁的方法による明示として整理された。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)
問80
技術者倫理の観点から,職務遂行において技術者が優先すべきこととして,最も適切なものはどれか。
ア 会社の利益
イ 技術者個人の名誉
ウ 公衆の安全 正解
エ コストの低減
正解 ウ
解説
技術者倫理では,技術者は職務の遂行において,公衆の安全,健康,福利を最優先にすべきとされる。会社の利益や個人の名誉,コストの低減よりも優先するので,ウが最も適切である。
ア,イ,エは,いずれも職務上考慮する事項ではあるが,公衆の安全に優先するものではない。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)
応用情報技術者試験のほかの年度
科目A(午前)
令和7年度 秋期
令和7年度 春期
令和6年度 秋期
令和6年度 春期
令和5年度 秋期
令和5年度 春期
令和4年度 秋期
令和4年度 春期
令和3年度 秋期
令和3年度 春期
令和2年度 10月
令和元年度 秋期
平成31年度 春期
平成30年度 秋期
平成30年度 春期
平成29年度 秋期
平成29年度 春期
平成28年度 秋期
平成28年度 春期
平成27年度 秋期
平成27年度 春期
平成26年度 秋期
平成26年度 春期
平成25年度 秋期
平成25年度 春期
平成24年度 秋期
平成24年度 春期
平成23年度 秋期
平成23年度 特別試験
平成22年度 秋期
平成22年度 春期
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