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応用情報技術者試験

平成27年度 春期 科目A(午前)

平成27年度 春期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

ATM(現金自動預払機)が1台ずつ設置してある二つの支店を統合し,統合後の支店には ATM を1台設置する。統合後の ATM の平均待ち時間を求める式はどれか。ここで,待ち時間は M/M/1 の待ち行列モデルに従い,平均待ち時間にはサービス時間を含まず,ATM を1台に統合しても十分に処理できるものとする。

〔条件〕

正解 エ

解説

M/M/1 モデルの平均待ち時間(サービス時間を含まない)は,利用率を ρ,平均サービス時間を Ts として ρ/(1−ρ)×Ts で表される。

統合すると利用者数は2倍になる一方,平均サービス時間 Ts は変わらない。利用率は「到着率×サービス時間」なので統合後は 2ρ になる。これを式に代入して 2ρ/(1−2ρ)×Ts となる。

M/M/1 の待ち時間と利用率 M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。 0.5 → 1倍 0.8 → 4倍 0.9 → 9倍 1 利用率 ρ ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

2桁の2進数 x1x2 が表す整数を x とする。2進数 x2x1 が表す整数を,x の式で表したものはどれか。ここで,int(r) は非負の実数 r の小数点以下を切り捨てた整数を表す。

正解 ウ

解説

2 桁の 2 進数 x1x2 が表す整数 x は 2x1+x2 である。x を 2 で割ると商が x1,余りが x2 なので,x1=int(x/2),x2=x-2 int(x/2) となる。x2x1 が表す整数は 2x2+x1=2{x-2 int(x/2)}+int(x/2)=2x-3 int(x/2) で,ウが正しい。x=2(2 進数 10)なら x2x1=01=1 で,2×2-3×1=1 と一致する。

ア,イ,エは int(x/2) の係数を取り違えた式で,x=2 を代入すると,アは 8,イは 9,エは 0 になり,どれも 1 にならない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

製品 100 個を1ロットとして生産する。一つのロットからサンプルを3個抽出して検査し,3個とも良品であればロット全体を合格とする。100 個中に 10 個の不良品を含むロットが合格と判定される確率は幾らか。

正解 イ

解説

合格になるのは,抽出した3個が全て良品の場合である。100個中の良品は90個なので,1個目が良品の確率は 90/100,2個目は残り99個中89個で 89/99,3個目は残り98個中88個で 88/98 となる(取り出した製品は戻さない)。

合格の確率は (90/100)×(89/99)×(88/98)=(9/10)×(89/99)×(44/49) で,約分すると 178/245 となり,イが正しい。取り出した製品を戻すと考えて (9/10)3 で計算すると 729/1000(ウ)になる。

OC 曲線(検査特性曲線) 横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとった曲線。不良率が低い良いロット(p0)でも合格率は1にならず,不合格になる確率 α が生産者危険。不良率が高い悪いロット(p1)でも合格する確率 β が消費者危険。 ロットの不良率 合格率 1 p0 p1 α 生産者危険 良いロットが落ちる β 消費者危険 悪いロットが通る
良いロットを落とすのが生産者危険 α,悪いロットを通すのが消費者危険 β

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

携帯端末に搭載されているジャイロセンサが検出できるものはどれか。

正解 イ

解説

ジャイロセンサは,物体が回転する速さ(角速度)を検出するセンサで,携帯端末の傾きや向きの変化,回転の検出に使われる。イが正しい。

アの端末に加わる加速度は加速度センサ,ウの地球上における高度は気圧センサなどで求める値,エの地球の磁北は地磁気センサ(電子コンパス)で検出するものである。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を h(x)=x mod n とすると,キー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。

正解 イ

解説

衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。

例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。

x mod n のハッシュ表で衝突する組 n=5 の表に,キーを5で割った余りの箱へ入れる。7 と 2 はどちらも余りが 2 で同じ箱に入り,衝突する。差 7−2=5 が n の倍数なので余りがそろう。1 と 4 は和が5でも余りは1と4で,衝突しない。 h(x) = x mod 5 0 1 1 7 と 2 2 3 4 4 衝突 7 mod 5 = 2,2 mod 5 = 2 → 差 7 − 2 = 5 は 5 の倍数 1 と 4:和は 5 でも余りは 1 と 4(衝突しない) 箱の下の数字が余り(格納位置)
余りが等しい ⇔ 差 a−b が n で割り切れる

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

モンテカルロ法によって,正方形に内接する円の面積を近似的に求める方法はどれか。

正解 ウ

解説

モンテカルロ法は,乱数を使った試行を多数回行い,その結果の割合から近似値を求める方法である。一辺 L の正方形の中に乱数で点を一様に多数打ち,円の中に入った点の割合を求めて正方形の面積 L2 に掛ければ,円の面積の近似値が得られる。ウが正しい。

アは円に内接する正多角形の辺の数を増やして円周率や面積に近づける方法,イは小円を詰めて個数を数える充填による見積り,エは格子点を数える方法で,いずれも乱数を使う方法ではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

プログラムの実行に関する次の記述の下線部 a〜d のうち,いずれかに誤りがある。誤りの箇所と正しい字句の適切な組合せはどれか。

自分自身を呼び出すことができるプログラムは,a再帰的であるという。このようなプログラムを実行するときは,bスタックに局所変数,c仮引数及び戻り番地を格納して呼び出し,復帰するときはdFIFO(First In First Out)方式で格納したデータを取り出して復元する必要がある。

誤りの箇所と正しい字句の表。ア:a は再入可能。イ:b は待ち行列。ウ:c は実引数。エ:d は LIFO(Last In First Out)。

正解 エ

解説

自分自身を呼び出せるプログラムが再帰的であり,再帰呼出しでは,呼び出すたびに局所変数,仮引数,戻り番地をスタックに積む。復帰するときは,最後に積んだものから先に取り出さなければならないので,後入れ先出しの LIFO(Last In First Out)方式になる。下線部 d の FIFO(先入れ先出し)が誤りで,エが正しい。

アの“再入可能”は,複数の処理から同時に呼ばれても正しく動作する性質で,自分自身を呼び出せる再帰的とは別の概念であり,a は誤りではない。イの待ち行列は FIFO で扱うデータ構造なので,呼出しの記録を積むのはスタックである(b は正しい)。ウの仮引数は,呼び出された側が受け取る引数の領域であり,c も誤りではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

グリッドコンピューティングの説明はどれか。

正解 イ

解説

グリッドコンピューティングは,ネットワークでつながった PC やサーバ,大型コンピュータなど多数のコンピュータの処理能力を束ね,一つの大規模な処理を分担して実行させる方式である。遊休状態のコンピュータの能力も活用できる。イが該当する。

アは役割の決まった複数のプロセッサで処理を分担する非対称型マルチプロセッサ(AMP),ウは同等な役割のプロセッサに処理を分散する対称型マルチプロセッサ(SMP)の説明である。エは,一つのプロセッサで複数のスレッドを並行して実行するマルチスレッディング(同時マルチスレッディングなど)の説明である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

スーパスカラの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

スーパスカラは,複数のパイプラインを並べ,同時に実行できる複数の命令をそれぞれのパイプラインで並列に実行することで高速化を図る方式である。ウが適切である。

アはベクトルレジスタの長さに分割してベクトル演算を繰り返すベクトルプロセッサの処理(ループ分割)の説明。イはパイプラインの段数を増やして1段当たりの処理を細かくするスーパパイプラインの説明。エは同時に実行できる命令をまとめた長い命令語で複数の演算ユニットを同時に制御する VLIW の説明である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

CPU における投機実行の説明はどれか。

正解 エ

解説

投機実行は,分岐命令の結果(分岐先)が決まる前に,分岐予測に基づいて分岐先の命令を先に実行し始める方式である。予測が当たれば待ち時間がなくなり,外れたときは先行して実行した結果を破棄する。エが正しい。

アは依存関係のない命令を順序に関係なく実行するアウトオブオーダ実行,イはパイプラインの空きを使って一つの CPU コアが二つのスレッドを実行する SMT(ハイパースレッディング),ウは複数の CPU コアでスレッドを並列実行するマルチコアの説明である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

RAID 1〜5 の各構成は,何に基づいて区別されるか。

正解 ウ

解説

RAID 1〜5 は,複数台の磁気ディスク装置にデータと冗長データ(ミラー,パリティなど)をどのように記録し,どのディスクに置くかという方式で区別される。RAID 1 はミラーリング,RAID 3 はビット又はバイト単位のストライピングと専用パリティディスク,RAID 5 はブロック単位のストライピングとパリティの分散配置である。ウが正しい。

アのディスクのアクセス性能,イのコンピュータ本体とのインタフェース,エの MTBF 値は,構成のために使う装置の性質や結果として得られる値であって,RAID のレベルを区別する基準ではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

物理サーバのスケールアウトに関する記述はどれか。

正解 ウ

解説

スケールアウトは,サーバの台数を増やして処理を分散させることで,サーバ群全体としての処理能力を向上させる方法である。ウが該当する。

イの CPU を高性能なものに交換することと,エのメモリを増設することは,サーバ1台当たりの性能を高めるスケールアップである。アのディスクの増設による冗長化は信頼性を高める対策で,処理能力を拡張するスケールアウトではない。

スケールアウトとスケールアップ スケールアウトはサーバの台数を増やして負荷を分散し,サーバ群として処理能力を上げる。台数を減らすのはスケールイン。スケールアップは1台の CPU やメモリを強くして性能を上げる。1台の性能を下げるのはスケールダウン。 増やす・上げる 減らす・下げる 台数 スケールアウト スケールイン 1台の性能 スケールアップ スケールダウン 台数で(アウト) 1台を強く(アップ)
台数を変えるのがアウト/イン,1台の性能を変えるのがアップ/ダウン

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

1件のデータを処理する際に,読取りには 40 ミリ秒,CPU 処理には 30 ミリ秒,書込みには 50 ミリ秒掛かるプログラムがある。このプログラムで,n 件目の書込みと並行して n+1 件目の CPU 処理と n+2 件目の読取りを実行すると,1分当たりの最大データ処理件数は幾つか。ここで,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。

正解 エ

解説

並行して実行できる読取り・CPU 処理・書込みを流れ作業のように重ねるので,1 件の処理が終わる間隔は,最も長い処理の時間で決まる。三つの処理のうち最長は書込みの 50 ミリ秒なので,1 件を 50 ミリ秒ごとに処理でき,1 分(60,000 ミリ秒)当たりの最大データ処理件数は 60,000÷50=1,200 件である。エが正しい。

アの 500 件は,並行処理をせず 1 件を 40+30+50=120 ミリ秒で処理した場合(60,000÷120)の値である。イの 666 件は読取りと書込みの合計 90 ミリ秒,ウの 750 件は CPU 処理と書込みの合計 80 ミリ秒で割った値で,並行して実行する処理の時間を足してしまった誤りである。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

システムの信頼性向上技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

フォールトアボイダンス(故障回避)は,故障が起きてから対処するのではなく,品質管理や高信頼の部品の採用などによって,システムの構成要素そのものの信頼性を高め,故障の発生を防ぐ考え方である。エが適切である。

アの故障時に安全な状態にシステムを保つのはフェールセーフ。イの故障時に縮小した範囲のサービスを提供するのはフェールソフト。ウの故障の影響が誤りとなって外部に出ないように訂正するのはフォールトマスキングの説明で,いずれも用語と説明の組合せが入れ替わっている。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

ノード N1 とノード N2 で通信を行うデータ伝送網がある。図のように N1 と N2 間にノード N を入れて A 案,B 案で伝送網を構成したとき,システム全体の稼働率の比較として適切なものはどれか。ここで,各ノード間の経路(パス)の稼働率は,全て等しく ρ(0<ρ<1)であるものとする。また,各ノードは故障しないものとする。

伝送網の構成図。A 案:N1 から上側のノード N を経由して N2 へ向かう経路と,N1 から下側のノード N を経由して N2 へ向かう経路の2本が並列にある(各経路は2区間)。B 案:N1 と中央のノード N の間に2本のパス,N と N2 の間にも2本のパスが並列にあり,N を経由して直列につながる。

正解 エ

解説

稼働率が ρ の経路を直列に二つつなぐと ρ2,並列に二つつなぐと 1−(1−ρ)2 になる。A 案は,N1−N−N2 の2区間の経路(稼働率 ρ2)が2本並列なので 1−(1−ρ2)2=ρ2(2−ρ2)。B 案は,N1−N 間と N−N2 間がそれぞれ2本並列(1−(1−ρ)2=ρ(2−ρ))で,それが直列になるので ρ2(2−ρ)2。差を取ると B 案−A 案=ρ2{(2−ρ)2−(2−ρ2)}=2ρ2(1−ρ)2 となり,0<ρ<1 では常に正である。B 案の方が高く,エが正しい(ρ=0.5 なら A 案 0.4375,B 案 0.5625)。

この差は ρ の値にかかわらず正なので,アの“ρ の値によって変化する”とイの“等しい”は誤り。ウは大小が逆である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

仮想記憶方式では,割り当てられる実記憶の容量が小さいとページアウト,ページインが頻発し,スループットが急速に低下することがある。このような現象を何というか。

正解 ア

解説

割り当てられた実記憶が小さいと,必要なページを読み込むために別のページを追い出すことを繰り返し(ページアウト,ページインの頻発),CPU が本来の処理を進められずスループットが急速に低下する。この現象をスラッシングという。アが正しい。

イのスワッピングはプロセス単位で主記憶と補助記憶の間を入れ替えること,ウのフラグメンテーションは記憶領域が細切れになって有効に使えなくなること,エのメモリリークは確保した領域が解放されずに残り続けることである。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

プロセスのスケジューリングに関する記述のうち,ラウンドロビン方式の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ラウンドロビン方式は,実行可能なプロセスを待ち行列に並べ,先頭から順に一定の時間(タイムクウォンタム)ずつ CPU を割り当て,時間内に終了しなければ待ち行列の最後につないで次のプロセスに切り替える方式である。エが適切である。

アは優先度の高いプロセスが到着すると実行中のプロセスを中断させるプリエンプティブな優先度順方式。イはイベントの発生を契機にその時点で最も優先度の高いプロセスを実行するイベントドリブンな優先度順方式。ウのように処理時間に比例してタイムクウォンタムを変えるのは,一定の時間ずつ公平に割り当てるラウンドロビン方式の特徴とは異なる。

ラウンドロビン方式 実行可能なプロセスを待ち行列に並べ,先頭から順に一定の時間(タイムクウォンタム)ずつ CPU を割り当てる。時間内に終わらなければ待ち行列の最後につなぎ直し,次のプロセスに切り替える。 待ち行列(右が先頭) P4 P3 P2 最後 先頭 CPU P1 を実行中 次 タイムクウォンタムを使い切っても終わらない → 待ち行列の最後へ 終わったプロセスは列から抜ける
決まった時間ずつ順番に。終わらなければ列の最後へ

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

500 k バイトの連続した空き領域に,複数のプログラムモジュールをオーバレイ方式で読み込んで実行する。読込み順序 A と読込み順序 B において,最後の 120 k バイトのモジュールを読み込む際,読込み可否の組合せとして適切なものはどれか。ここで,数値は各モジュールの大きさを k バイトで表したものであり,モジュールを読み込む領域は,ファーストフィット方式で求めることとする。

〔読込み順序 A〕

100 → 200 → 200 解放 → 150 → 100 解放 → 80 → 100 → 120

〔読込み順序 B〕

200 → 100 → 150 → 100 解放 → 80 → 200 解放 → 100 → 120

読込み可否の表。ア:読込み順序 A は読込み可能,B は読込み可能。イ:A は読込み可能,B は読込み不可能。ウ:A は読込み不可能,B は読込み可能。エ:A は読込み不可能,B は読込み不可能。

正解 イ

解説

ファーストフィット方式は,空き領域を先頭から探し,最初に見つかった入る大きさの領域に読み込む方式である。解放して隣り合った空きは一つにまとまる。

順序 A:100 を 0〜100,200 を 100〜300 に読み込み,200 を解放する。150 を 100〜250 に読み込む。次に 100 を解放して 0〜100 が空く。80 は先頭の 0〜80 に入り(20 が残る),100 は 250〜350 に入る。残る空きは 80〜100 の 20 と 350〜500 の 150 なので,120 は読み込める。順序 B:200 を 0〜200,100 を 200〜300,150 を 300〜450 に読み込み,100(200〜300)を解放する。80 は 200〜280 に入り,200(0〜200)を解放して 100 が 0〜100 に入る。残る空きは 100〜200 の 100,280〜300 の 20,450〜500 の 50 で,どれも 120 に足りないので読み込めない。A は読込み可能,B は読込み不可能で,イが正しい。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

あるコンピュータ上で,異なる命令形式のコンピュータで実行できる目的プログラムを生成する言語処理プログラムはどれか。

正解 イ

解説

クロスコンパイラは,あるコンピュータ上で,命令形式(アーキテクチャ)の異なる別のコンピュータで実行できる目的プログラムを生成するコンパイラである。組込みシステムの開発などで,開発用のコンピュータから対象機器向けのプログラムを作るのに使われる。イが正しい。

アのエミュレータは,別のコンピュータの命令形式を模倣して,そのコンピュータ用のプログラムを実行するもの。ウの最適化コンパイラは,実行速度やメモリ使用量が改善されるように目的プログラムを生成するコンパイラ。エのプログラムジェネレータは,パラメータなどを指定してプログラムを自動生成するものである。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

SoC の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

SoC(System on a Chip)は,複数のチップで構成していたコンピュータシステム(CPU,メモリ,周辺回路など)を,一つのチップに集積した LSI である。ウが適切である。

アはファームウェア,イは MCU を複数載せた基板で,いずれも SoC の説明ではない。エは複数のチップを一つのパッケージに封入する SiP(System in Package)の説明である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

16進数 ABCD1234 をリトルエンディアンで4バイトのメモリに配置したものはどれか。ここで,0〜+3 はバイトアドレスのオフセット値である。

正解 イ

解説

リトルエンディアンは,数値の下位のバイトを小さいアドレス(オフセット 0)から順に並べる方式である。16進数 ABCD1234 を1バイトずつに分けると AB,CD,12,34 で,下位の 34 から順に並べると 34,12,CD,AB となる。イが正しい。

エの AB,CD,12,34 は上位のバイトから並べるビッグエンディアン。アは2バイトの組(ABCD と 1234)を入れ替えただけで,組の中は上位から並べている。ウは各バイトの中の桁(4ビット)まで逆にしているが,エンディアンはバイト単位の並べ方で,バイトの中の桁は逆にならない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

真理値表に示す3入力多数決回路はどれか。

3入力多数決回路の真理値表。入力 A B C が 000,001,010,100 のとき出力 Y は 0,011,101,110,111 のとき Y は 1。

正解 ア

解説

3入力多数決回路は,三つの入力のうち二つ以上が 1 のとき出力が 1 になる回路で,論理式は Y=A・B+B・C+C・A となる。二つずつの AND をとり,それらを OR でまとめるアの回路がこの式そのものなので,アが正しい。

イは XOR の OR なので,入力がすべて等しい 000 と 111 のときだけ 0 になり,111 で 1 にならない。ウは (A+B)(B+C)(C+A) の否定で,(A+B)(B+C)(C+A) 自体が多数決の式と等しいため,出力が真理値表と逆になる。エは三つの XOR が同時に 1 になることがない(3入力のうち二つずつが全て異なることはない)ので,AND の結果は常に 0 で,Y は常に 1 になる。

3入力多数決回路の真理値表 3つの入力のうち2つ以上が1のとき Y=1。A・B,B・C,C・A のどれかが1なら2つ以上が1なので,Y=A・B+B・C+C・A。2つずつを AND に入れ,その出力を OR でまとめる回路になる。 A B C A・B B・C C・A Y 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 1 0 1 0 1 1 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 1 1 1 1 0 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 Y = A・B + B・C + C・A
2つずつの AND を OR でまとめる

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

半導体製造プロセスが微細化することによって問題となってきたリーク電流の低減手段として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

微細化が進むと,トランジスタが動作していなくても電源が入っているだけで流れるリーク電流(静的な消費電力)が問題になる。電源が供給されている限り流れるので,使用しないブロックへの電源供給そのものを止める(パワーゲーティング)ことが有効である。ウが正しい。

アのクロックの周波数制御,イの使用しないブロックへのクロック供給停止(クロックゲーティング),エの電源電圧の調整は,いずれも動作時のスイッチングによる消費電力を減らす手段で,電源を切らない限り流れるリーク電流は減らせない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

Web ページの設計の例のうち,アクセシビリティを高める観点から最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

色の違いを見分けにくい利用者や,画面読上げソフトを使う利用者には,色で強調しただけでは入力が必須であることが伝わらない。項目名の隣に“(必須)”などと文字で明記すれば,色に頼らずに情報が伝わるので,ウが適切である。

アの音声の自動再生は,画面読上げソフトの音声を妨げたり,利用者が止められなかったりするので避ける。イの表組みをレイアウトに使うと,読上げの順序が崩れて内容が伝わりにくくなる。エの alt 属性には,URL ではなくリンク先の内容や画像の意味を説明する文を記述する。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

拡張現実(AR:Augmented Reality)の例として,最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

拡張現実(AR)は,カメラで写した現実の映像などに,コンピュータで作った情報や画像を重ね合わせて表示し,現実の世界を拡張する技術である。実際には存在しない衣料品を仮想的に試着したり,過去の建築物を CG で実際の画像の上に再現したりするウが該当する。

アは3次元空間で視点を動かして作るコンピュータアニメーション(CG 映像)。イはアバタで仮想空間を動き回る仮想世界(メタバース)のサービス。エは大画面と振動装置で臨場感を高めるシミュレーションライドで,いずれも現実の映像に情報を重ね合わせるものではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

“電話番号”列に NULL を含む“取引先”表に対して,SQL 文を実行した結果の行数は幾つか。

“取引先”表。列は取引先コード,取引先名,電話番号。1001,A 社,010-1234-xxxx。2001,B 社,020-2345-xxxx。3001,C 社,NULL。4001,D 社,030-3011-xxxx。5001,E 社,(010-4567-xxxx)。

〔SQL 文〕

SELECT * FROM 取引先 WHERE 電話番号 NOT LIKE '010%'

正解 ウ

解説

WHERE 句の条件が真になった行だけが結果になる。NOT LIKE '010%' は,電話番号が“010”で始まらない行を選ぶ。1001 は 010-1234-xxxx で“010”で始まるので除かれる。2001(020-…)と 4001(030-…)は条件を満たす。5001 は (010-4567-xxxx) で,先頭が“(”なので“010”で始まらず,条件を満たす。3001 は電話番号が NULL で,NULL との比較結果は真でも偽でもない“不明”になり,行は選ばれない。結果は 2001,4001,5001 の3行で,ウが正しい。

NULL の行も数えて4行(エ)としたり,5001 を“010”で始まるとみなして2行(イ)としたりするのが典型的な誤りである。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

埋込み SQL において,問合せによって得られた導出表を1行ずつ親プログラムに引き渡す操作がある。この操作と関係の深い字句はどれか。

正解 ア

解説

埋込み SQL では,問合せの結果(導出表)を1行ずつ取り出して親プログラムに渡すために,カーソル(CURSOR)を宣言し,OPEN,FETCH,CLOSE で操作する。アが正しい。

イの ORDER BY は結果の並べ替え,ウの UNION は二つの問合せ結果の和集合を求める演算,エの UNIQUE は列の値の重複を許さない制約の指定(又は DISTINCT に相当する重複排除)で,1行ずつ引き渡す操作ではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

“学生”表が次の SQL 文で定義されているとき,検査制約の違反となる SQL 文はどれか。

CREATE TABLE 学生 (学生番号 CHAR(5) PRIMARY KEY,
                  学生名 CHAR(16),
                  学部コード CHAR(4),
                  住所 CHAR(16),
                  CHECK (学生番号 LIKE 'K%'))
“学生”表。列は学生番号,学生名,学部コード,住所。K1001,田中太郎,E001,東京都。K1002,佐藤一美,E001,茨城県。K1003,高橋肇,L005,神奈川県。K2001,伊藤香織,K007,埼玉県。

正解 イ

解説

CHECK 制約 CHECK (学生番号 LIKE 'K%') は,学生番号が“K”で始まる行だけを表に入れてよいという検査制約である。イの INSERT は学生番号が 'J2002' で,“K”で始まらないので制約に違反する。

アの DELETE は行を削除するだけ,ウの SELECT は参照するだけで,どちらも制約に関係しない。エの UPDATE は学部コードを変更するだけで,学生番号は“K”で始まるままなので制約を満たす。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

“部品”表のメーカコード列に対し,B+木インデックスを作成した。これによって,“部品”表の検索の性能改善が最も期待できる操作はどれか。ここで,部品及びメーカのデータ件数は十分に多く,メーカコードの値は均一に分散されているものとする。また,“部品”表のごく少数の行には,メーカコード列に NULL が設定されている。ここで,実線の下線は主キーを,破線の下線は外部キーを表す。

部品(部品コード,部品名,メーカコード)。部品コードに実線の下線(主キー),メーカコードに破線の下線(外部キー)。メーカ(メーカコード,メーカ名,住所)。メーカコードに実線の下線(主キー)。

正解 ウ

解説

B+木インデックスは,キー値の順に並んだ構造なので,一致検索だけでなく,範囲を指定した検索でも,範囲の先頭を探して順にたどるだけで済む。メーカコードの値は種類が十分に多く均一に分散しているので,4001以上4003以下の部品は全体のごく一部であり,インデックスによる検索の性能改善が最も期待できる。ウが正しい。

アの“1001 以外”とイの“1001 でも 4001 でもない”は,条件に合う行がほとんど全ての行になるので,インデックスを使っても表全体を読むのとほとんど変わらず,改善が期待できない。エの“NULL 以外”も,NULL の行はごく少数なので,ほぼ全行が対象になり効果が小さい。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

DBMS に実装すべき原子性(atomicity)を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

原子性(Atomicity)は,トランザクション内の処理が全て実行されるか,全く実行されなかった状態に戻されるかのどちらかであり,途中までの処理だけが反映されることはないという性質である。ウが該当する。

アの同じ処理を何度実行しても結果が同じになるのはべき等性で,ACID 特性ではない。イのトランザクション完了後に障害が発生しても更新内容が保証されるのは耐久性(Durability)。エの他のトランザクションの影響を受けないのは独立性(Isolation)である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

ブラウザでインターネット上の Web ページの URL を http://www.jitec.ipa.go.jp/ のように指定すると,ページが表示されずにエラーが表示された。ところが,同じページの URL を http://118.151.146.137/ のように IP アドレスを使って指定すると,ページは正しく表示された。このような現象が発生する原因の一つとして考えられるものはどれか。ここで,インターネットへの接続はプロキシサーバを経由しているものとする。

正解 イ

解説

IP アドレスを指定すると表示でき,ドメイン名(FQDN)を指定すると表示されないのは,ドメイン名から IP アドレスを求める名前解決に失敗しているからで,DNS サーバが動作していないことが原因として考えられる。イが正しい。

アの DHCP サーバは端末に IP アドレスなどを割り当てるサーバで,割当て済みなら通信に影響しない。ウのデフォルトゲートウェイやエのプロキシサーバが動作していなければ,IP アドレスを指定しても Web ページは表示されない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

図のように,2台の端末がルータと中継回線で接続されているとき,端末 A がフレームを送信し始めてから,端末 B がフレームを受信し終わるまでの時間は,およそ何ミリ秒か。

〔条件〕

端末 A とルータが LAN(10M ビット/秒)で接続され,そのルータが中継回線(1.5M ビット/秒)で別のルータに接続され,そのルータと端末 B が LAN(10M ビット/秒)で接続されている構成図。

正解 エ

解説

端末 A から B までの時間は,フレームを LAN,中継回線,LAN の順に送る伝送時間とルータの処理時間の合計である(各区間でフレームを受信し終えてから次へ送る)。フレーム長は 1,500 バイト=12,000 ビットなので,LAN での伝送時間は 12,000÷10,000,000=1.2 ミリ秒で,これが2回,中継回線は 12,000÷1,500,000=8 ミリ秒である。ルータ処理は 0.8 ミリ秒が2回で 1.6 ミリ秒。合計 1.2×2+8+1.6=12 ミリ秒となり,エが正しい。

ウの10 は,ルータの処理時間 1.6 ミリ秒を含めずに 1.2×2+8=10.4 ミリ秒としたときの値に近い。ア(3)とイ(6)は,各区間の伝送時間とルータの処理時間の合計には合わない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

CSMA/CD 方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

CSMA/CD では,衝突が起きると送信を中断してランダムな時間だけ待ってから再送する。伝送路が混んで衝突が増えると,この待ち時間と再送が積み重なって実際に流れるデータ量が減るので,スループットが下がる。アが正しい。

イは,搬送波を検出して空いていることを確かめてから送信しても,信号が届くまでの遅延の間に別のステーションも送信を始めれば衝突は起こるので誤り。ウは,リピータハブで分岐接続した構成でも衝突は検出できるので誤り(ハブ配下は一つの衝突ドメインになる)。エは,イーサネットのフレームはオクテット単位で構成されるので誤りである。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

伝送速度 64 k ビット/秒の回線を使ってデータを連続送信したとき,平均して 100 秒に1回の1ビット誤りが発生した。この回線のビット誤り率は幾らか。

正解 イ

解説

64 k ビット/秒の回線で 100 秒間に送るビット数は 64×103×100=6.4×106 ビットで,その間に1ビットの誤りが起きる。

ビット誤り率は 1÷(6.4×106)≒1.56×10−7 となり,イが正しい。8ビットを1バイトとしてバイト数で割ると 1.95×10−8(ア)になるが,ビット誤り率はビット数で求める。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

IP ネットワークのプロトコルのうち,OSI 基本参照モデルのネットワーク層に属するものはどれか。

正解 イ

解説

IP ネットワークのプロトコルのうち,ICMP は IP のエラー通知や到達確認(ping)に使われ,IP と同じ OSI 基本参照モデルのネットワーク層に属する。イが正しい。

アの HTTP とウの SMTP はアプリケーション層,エの UDP はトランスポート層のプロトコルである。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

IP アドレスが 172.16.255.164,サブネットマスクが 255.255.255.192 であるホストと同じサブネットワークに属するホストの IP アドレスはどれか。

正解 イ

解説

サブネットマスク 255.255.255.192 は,最後のオクテットの上位2ビットがネットワーク部(64 アドレスごとのブロック)であることを表す。172.16.255.164 の最後のオクテット 164 は 128+36 なので,所属するサブネットワークは 172.16.255.128〜172.16.255.191 で,先頭の 128 がネットワークアドレス,末尾の 191 がブロードキャストアドレスである。ホストに割り当てられるのは 129〜190 で,イの 172.16.255.129 が正しい。

アの .128 はネットワークアドレス,ウの .191 はブロードキャストアドレスで,どちらもホストには割り当てられない。エの .192 は次のサブネットワーク(192〜255)に属する。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

DNS キャッシュポイズニングに分類される攻撃内容はどれか。

正解 イ

解説

DNS キャッシュポイズニングは,DNS サーバ(キャッシュサーバ)に偽の応答を送り込んでキャッシュさせ,その DNS サーバを参照する PC に誤った IP アドレスを返させる攻撃である。利用者が正しいドメイン名を入力しても,攻撃者が用意した偽の Web サーバに誘導されてしまう。イが該当する。

アのソフトウェアのバージョン情報から脆弱性を特定するのは,攻撃の前段階の調査(偵察)である。ウの DNS サーバを踏み台にして大量の問合せを発生させ,攻撃対象に応答を集中させるのは DNS リフレクション攻撃(DNS amp)である。エのゾーン情報をまとめて転送させるのは,ゾーン転送を悪用した情報収集であり,いずれもキャッシュに偽の情報を注入するものではない。

DNS キャッシュポイズニングの流れ キャッシュ DNS サーバが権威 DNS サーバに問い合わせている間に,攻撃者が問合せの ID やポート番号を推測した偽の応答を大量に送り込む。本物の応答より先に偽の応答が受け入れられると,キャッシュに偽の IP アドレスが残り,利用者は偽のサーバへ誘導される。対策は,ID と送信元ポート番号をランダムにする,外部からの再帰的な問合せに答えない,DNSSEC で応答を検証する。 利用者 キャッシュ DNS 権威 DNS ① 名前を問合せ ② 問合せ(ID・ポート) 攻撃者 ③ 推測した偽の応答を大量に 本物の応答(遅れる) ④ 偽の IP アドレス 対策:ID とポートをランダムに,外部の再帰問合せは受けない,DNSSEC
本物の応答より先に,ID とポートが合った偽の応答が入ると成り立つ

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

パスワードに使用できる文字の種類の数を M,パスワードの文字数を n とするとき,設定できるパスワードの理論的な総数を求める数式はどれか。

正解 ア

解説

パスワードの各文字には M 種類のどの文字も使え,同じ文字を繰り返し使ってもよい。n 文字の各位置でそれぞれ M 通りの選び方があるので,総数は M×M×…×M(n 個)=Mn であり,アになる。

イの M!/(M−n)! は同じ文字を使わずに並べる順列,ウの M!/(n!(M−n)!) は同じ文字を使わず並び順も区別しない組合せ,エの (M+n−1)!/(n!(M−1)!) は同じ文字の繰返しを許すが並び順を区別しない重複組合せの数である。パスワードは並び順が区別され,同じ文字を繰り返せるので,いずれも当てはまらない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

パスワードリスト攻撃に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

パスワードリスト攻撃は,あるサイトから流出した利用者 ID とパスワードの組のリストを使って,他のサイトにログインを試みる攻撃である。多くの人が複数のサイトで同じ ID とパスワードを使い回すことを悪用する。ウが該当する。

アは一般的な単語や人名から作ったリストを使うので辞書攻撃である。イは,パスワードとハッシュ値の対応表から,入手したハッシュ値を逆引きするレインボーテーブル攻撃に近い。エはピクチャパスワードの入力を録画して再現するもので,盗み見(ショルダーハッキング)の一種である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

JPCERT/CC の説明はどれか。

正解 ウ

解説

JPCERT/CC(JPCERT コーディネーションセンター)は,特定の政府機関や企業から独立した一般社団法人で,国内のコンピュータセキュリティインシデントの報告の受付,対応の支援,発生状況の把握,手口の分析,再発防止策の検討や助言などを行う。ウが正しい。

アは日本工業標準調査会(JISC),イは CRYPTREC(暗号技術評価プロジェクト),エは内閣官房の内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の説明である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

JIS Q 31000:2010(リスクマネジメント−原則及び指針)における,残留リスクの定義はどれか。

正解 エ

解説

JIS Q 31000:2010 は,残留リスクを“リスク対応後に残っているリスク”と定義している。リスク対応を行ってもリスクを完全になくすことはできず,残ったリスクは監視やレビューの対象になる。エが該当する。

アの監査手続を実施しても重要な不備を発見できないリスクは,監査リスクの構成要素の発見リスク。イの業務の性質や本来有する特性から生じるリスクは,監査リスクの構成要素の固有リスク。ウの利益を生む可能性に内在する損失発生の可能性として存在するリスクは,損失と利益の両方の可能性をもつ投機的リスク(ビジネスリスク)の説明である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

NIST の定義によるクラウドサービスモデルのうち,クラウド利用企業の責任者がセキュリティ対策に関して表中の項番1と2の責務を負うが,項番3〜5の責務を負わないものはどれか。

責務の表。項番1:アプリケーションに対して,データのアクセス制御と暗号化の設定を行う。項番2:アプリケーションに対して,セキュアプログラミングと脆弱性診断を行う。項番3:DBMS に対して,修正プログラム適用と権限設定を行う。項番4:OS に対して,修正プログラム適用と権限設定を行う。項番5:ハードウェアに対して,アクセス制御と物理セキュリティ確保を行う。

正解 ウ

解説

NIST の定義では,PaaS の利用者は,提供者が用意したプラットフォーム(OS やミドルウェアなどの実行環境)の上に自らのアプリケーションを配置して制御するが,ネットワーク,サーバ,OS,ストレージなどの基盤は管理しない。したがって,利用企業はアプリケーションに関する項番1と2の責務を負い,DBMS,OS,ハードウェアに関する項番3〜5の責務は負わない。ウが正しい。

イの IaaS では,利用者が OS や配置したアプリケーションを制御するので,OS や DBMS の修正プログラム適用や権限設定も利用企業の責務になる。エの SaaS では,アプリケーションも提供者が用意するので,セキュアプログラミングなどの項番2も利用企業の責務にならない。アの HaaS はハードウェアを提供するサービスの呼び方で,NIST の定義のサービスモデルには含まれない。

IaaS・PaaS・SaaS の管理の分担 下からハードウェア・ネットワーク,仮想化,OS,ミドルウェア・実行環境,アプリケーションの層がある。IaaS では利用者が OS から上を,PaaS では自分のアプリケーションだけを管理する。SaaS では全て提供者が管理し,利用者が扱うのは利用者 ID や設定だけ。 IaaS 利用者 利用者 利用者 提供者 提供者 PaaS 利用者 提供者 提供者 提供者 提供者 SaaS 提供者 提供者 提供者 提供者 提供者 アプリケーション ミドルウェア・実行環境 OS 仮想化 ハードウェア・NW SaaS で利用者が扱うのは,アプリケーションの利用者 ID や設定だけ FaaS(サーバレス)は PaaS をさらに進め,関数を置くだけ
上の層に行くほど利用者の自由と責任が大きい。ゲスト OS に手を入れられるのは IaaS だけ

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

サーバにバックドアを作り,サーバ内で侵入の痕跡を隠蔽するなどの機能がパッケージ化された不正なプログラムやツールはどれか。

正解 イ

解説

ルートキット(rootkit)は,侵入したサーバにバックドアを作り,自分の存在や侵入の痕跡(プロセス,ファイル,ログなど)を隠蔽する機能をまとめたツールである。イが正しい。

アの RFID は IC タグによる非接触の自動認識技術,ウの TKIP は無線 LAN の暗号化プロトコル(WPA で用いる),エの web beacon は Web ページやメールに埋め込んで閲覧状況を把握するための小さな画像で,いずれも不正なプログラムやツールではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

SPF(Sender Policy Framework)を利用する目的はどれか。

正解 エ

解説

SPF(Sender Policy Framework)は,電子メールの送信元ドメインについて,メールを送ってよいサーバの IP アドレスをあらかじめ DNS に登録しておき,受信側が受け取ったメールの送信元サーバの IP アドレスと照合して,送信者のなりすましを検知する送信ドメイン認証の技術である。エが正しい。

アの HTTP 通信の中間者攻撃は SSL/TLS のサーバ証明書の検証などで防ぐ。イの LAN への PC の不正接続は検疫ネットワークや MAC アドレス認証,ウの内部ネットワークへの不正侵入は IDS/IPS などで検知するもので,SPF の目的ではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

利用者 PC がボットに感染しているかどうかを hosts ファイルの改ざんの有無で確認するとき,hosts ファイルが改ざんされていないと判断できる設定内容はどれか。ここで,hosts ファイルには設定内容が1行だけ書かれており,利用者及びシステム管理者は,これまでに hosts ファイルを変更していないものとする。

hosts ファイルの設定内容と説明の表。ア:127.0.0.1 a.b.com(a.b.com は利用者 PC の OS 提供元の FQDN を示す)。イ:127.0.0.1 c.d.com(c.d.com は利用者 PC の製造元の FQDN を示す)。ウ:127.0.0.1 e.f.com(e.f.com はウイルス定義ファイルの提供元の FQDN を示す)。エ:127.0.0.1 localhost(localhost は利用者 PC 自身を示す)。

正解 エ

解説

ボットに感染した PC では,OS やウイルス対策ソフトの更新サイトなどの FQDN を hosts ファイルで 127.0.0.1(自分自身)に結び付けて,更新ファイルの入手を妨害する改ざんが行われることがある。変更していない状態の hosts ファイルには,利用者 PC 自身を示す“127.0.0.1 localhost”だけが書かれているので,改ざんされていないと判断できるのはエである。

ア(OS 提供元),イ(製造元),ウ(ウイルス定義ファイルの提供元)の FQDN を 127.0.0.1 に結び付ける設定は,更新や情報の取得を妨げるために書き換えられた形で,改ざんされていることを疑う。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

ディレクトリトラバーサル攻撃はどれか。

正解 エ

解説

ディレクトリトラバーサル攻撃は,入力された文字列を基にファイル名を組み立てるアプリケーションに対して,“../”のような上位のディレクトリを意味する文字列を含むパス名を入力し,本来は公開していないディレクトリのファイルにアクセスする攻撃である。エが該当する。

アは外部から OS のコマンドを渡して実行させる OS コマンドインジェクション。イは SQL 文を組み立てる処理の不備を突いて任意の SQL 文を実行させる SQL インジェクション。ウは不正に入手した認証情報でシングルサインオンの仕組みにログインし,連携する複数のアプリケーションを不正に使用する攻撃で,ディレクトリトラバーサルではない。

OS コマンドインジェクションとディレクトリトラバーサル OS コマンドインジェクションは,入力した値がシェルのコマンドの一部として組み込まれるとき,「; rm -rf /」のように区切り文字の後ろに別のコマンドを付けて実行させる攻撃。ディレクトリトラバーサルは,ファイル名の入力に「../」を含めて,公開用のディレクトリの外にある /etc/passwd などのファイルを読み出させる攻撃。対策はシェルを経由しない関数を使う,入力を許可した文字だけにする,ファイル名から「../」を除き絶対パスで確かめる。 OS コマンドインジェクション mail -s 件名 user@example.jp; rm -rf / ; の後ろが別のコマンドとして実行される ディレクトリトラバーサル /var/www/files/ ../../../etc/passwd → /etc/passwd(公開用の外)が読まれる 対策:シェルを通さない,許可した文字だけ通す,    パスを正規化して公開用の中か確かめる
どちらも入力がコマンドやパスの「形」を変えてしまう

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

次の図の作成に用いられている表記法はどれか。

データの流れを表す図。外部の“顧客”から“注文”が“受注”の丸に入り,“顧客マスタ”(ファイル)も“受注”に入る。“受注”から“受注伝票”が“在庫確認”の丸へ。“商品マスタ”も“在庫確認”に入る。“在庫確認”から“出荷指示書”が“出荷指示”の丸へ,“チェック済受注伝票”が“売上計上”の丸へ。“出荷指示”から“出荷済報告書”が“売上計上”へ。

正解 ア

解説

図は,丸(プロセス),平行線(データストア=ファイル),四角(外部のデータ源泉/吸収),矢印(データフロー)で業務のデータの流れを表している。このような表記法は DFD(データフローダイアグラム)で,アが正しい。

イの状態遷移図は状態とその遷移(イベントによる変化)を表す図,ウの流れ図は処理の手順と分岐を表すフローチャート,エのペトリネットは並行処理の状態をプレース(場所)とトランジションで表す表記法である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

JIS X 25010:2013 で規定されたシステム及びソフトウェア製品の品質副特性の説明のうち,信頼性に分類されるものはどれか。

正解 ウ

解説

JIS X 25010:2013 は,信頼性の品質副特性として成熟性,可用性,障害許容性(耐故障性),回復性の四つを挙げている。ウの,中断や故障のときに影響を受けたデータを回復し,システムを希望する状態に戻せる度合いは回復性の定義で,信頼性の副特性に当たる。

アは運用操作性の定義で,使用性の副特性。イは解析性の定義で,保守性の副特性。エは相互運用性の定義で,互換性の副特性である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

CMMI の説明はどれか。

正解 ア

解説

CMMI(Capability Maturity Model Integration,能力成熟度モデル統合)は,ソフトウェア開発組織やプロジェクトのプロセスがどれだけ成熟しているかを,5段階のレベルで評価するためのモデル。アが正しい。

イのプロセスモデルはウォータフォールモデルやスパイラルモデルのような開発の進め方の型のこと。ウの共通フレームは,システム開発や取引で使う作業内容や用語をそろえた枠組み(SLCP-JCF)。エは成熟度に応じて開発手順を定義するものではなく,CMMI は手順そのものを規定しない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

エクストリームプログラミング(XP)のプラクティスとして,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

エクストリームプログラミング(XP)の継続的インテグレーションのプラクティスでは,単体テストを終えたプログラムをすぐに結合して結合テストを行い,頻繁に統合することで問題を早く見つける。ウが適切である。

アは誤り。XP では持続可能なペースを重視し,週40時間程度を目安に残業を続けないこととしている。イは誤り。XP ではコードの共同所有を取り入れ,チームの誰でもどのコードでも改善や再利用ができる。エは誤り。XP ではペアプログラミングを取り入れ,2人1組でプログラミングを行う。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

PERT 図で表されるプロジェクトにおいて,プロジェクト全体の所要日数を1日短縮できる施策はどれか。

PERT 図(矢印の上が作業名,下が所要日数)。開始から A(4日)。A の後に B(6日),C(5日),D(2日)。B の後に E(1日)。C の後の結合点から F(2日)で E の後の結合点へ,G(1日)で H の後の結合点へ。D の後に H(1日)。E と F が入る結合点の後に I(3日),G と H が入る結合点の後に J(6日)。I と J が終了の結合点に入る。凡例は,丸から丸への矢印の上に作業名,下に所要日数。

正解 エ

解説

各経路の所要日数を求めると,A→B→E→I は 4+6+1+3=14日,A→C→F→I は 4+5+2+3=14日,A→C→G→J は 4+5+1+6=16日,A→D→H→J は 4+2+1+6=13日となる。最も長い A→C→G→J の16日がクリティカルパスで,プロジェクト全体の所要日数になる。

全体を1日短縮するには,クリティカルパス上の作業を短縮する必要がある。J を1日短縮すると A→C→G→J は15日になり,他の経路は14日以下なので,全体は15日と1日短縮できる。エが正しい。アのB と F,イの B,ウの I はいずれもクリティカルパス上にない作業なので,短縮しても全体の16日は変わらない。

全体を1日短縮できる作業 クリティカルパスは A→C→G→J(4+5+1+6=16 日)。ほかの経路は A→B→E→I と A→C→F→I が 14 日,A→D→H→J が 13 日。J を1日縮めると全体は 15 日になる。B・F・I はクリティカルパス上にないので,縮めても 16 日は変わらない。 A 4 B 6 C 5 D 2 E 1 F 2 G 1 H 1 I 3 J 6 0 / 0 4 / 4 10 / 12 9 / 9 6 / 9 11 / 13 10 / 10 16 / 16 結合点の数字:最早 / 最遅 濃い線:クリティカルパス
クリティカルパス上の作業を縮めないと,全体は縮まらない

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

PMBOK によれば,“アクティビティ定義”プロセスで実施するものはどれか。

正解 エ

解説

PMBOK ガイド 第5版の“アクティビティ定義”プロセスは,WBS の最下位であるワークパッケージを,作業の見積りやスケジュール作成,進捗の管理に使えるアクティビティ(具体的な作業)に分け,プロジェクトの成果物を生成するために実施すべき具体的な作業を特定して文書化する。エが正しい。

アは“スケジュール作成”プロセス,イは“WBS 作成”プロセス(スコープ・マネジメント),ウは“アクティビティ順序設定”プロセスの内容である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

あるプログラムの設計から結合テストまでの作業について,開発工程ごとの見積工数を表1に示す。また,開発工程ごとの上級 SE と初級 SE の要員割当てを表2に示す。上級 SE は,初級 SE に比べて,プログラム作成・単体テストについて2倍の生産性を有する。表1の見積工数は,上級 SE の生産性を基に算出している。全ての開発工程に対して,上級 SE を1人追加して割り当てると,この作業に要する期間は何か月短縮できるか。ここで,開発工程の期間は重複させないものとし,要員全員が1か月当たり1人月の工数を投入するものとする。

表1:開発工程ごとの見積工数(人月)。設計は 6,プログラム作成・単体テストは 12,結合テストは 12,合計は 30。
表2:開発工程ごとの要員割当て(人)。設計は上級 SE が 2,初級 SE が 0。プログラム作成・単体テストは上級 SE が 2,初級 SE が 2。結合テストは上級 SE が 2,初級 SE が 0。

正解 エ

解説

工程ごとの期間を,見積工数を1か月当たりの投入量で割って求める。初級 SE はプログラム作成・単体テストで上級 SE の半分の生産性なので,0.5人分として数える。現在は,設計 6÷2=3か月,プログラム作成・単体テスト 12÷(2+2×0.5)=4か月,結合テスト 12÷2=6か月で,合計13か月。

上級 SE を1人ずつ追加すると,設計 6÷3=2か月,プログラム作成・単体テスト 12÷(3+1)=3か月,結合テスト 12÷3=4か月で,合計9か月になる。短縮できるのは 13−9=4か月で,エが正しい。初級 SE を上級と同じ1人分と数えると,プログラム作成・単体テストは 12÷4=3か月から 12÷5=2.4か月になり,短縮は3.4か月と選択肢に合わない。

上級 SE を1人ずつ足したときの期間 期間=見積工数÷1か月の投入量。初級 SE はプログラム作成・単体テストで上級の半分の生産性なので 0.5 人分。今は 3+4+6=13 か月。上級を1人ずつ足すと,設計 6÷3=2,プログラム作成 12÷(3+1)=3,結合テスト 12÷3=4 で 9 か月。13−9=4 か月短くなる。 工程 工数 今 1人追加 設計 6 6÷2=3 6÷3=2 プログラム作成 12 12÷(2+1)=4 12÷(3+1)=3 結合テスト 12 12÷2=6 12÷3=4 合計 30 13 か月 9 か月 13 − 9 = 4 か月短縮
初級は 0.5 人分として数える

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

プロジェクトマネジメントにおけるリスクの対応例のうち,PMBOK のリスク対応戦略の一つである転嫁に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

リスクの転嫁は,リスクによるマイナスの影響とその対応の責任を第三者に移す戦略で,保険の購入や契約による責任の移転が代表例である。損害に備えて損害賠償保険を掛けるウが該当する。

アの損失を他のサブプロジェクトの利益で相殺するのは,リスクの影響を受け入れたうえでの対処で転嫁ではない。イの本番データの個人情報部分をマスキングして漏えいが起きないようにするのは,リスクの発生確率や影響を下げる軽減。エの信用に不安のある取引先との新規取引を止めるのは,リスクの原因そのものを取り除く回避である。

リスクへの対応の戦略 マイナスのリスク(脅威)には,回避(原因を取り除く・計画を変える),転嫁(保険や契約で第三者に移す),軽減(確率や影響を下げる),受容(何もしないか予備を持つ)。プラスのリスク(好機)には,活用(確実に起こす),共有(能力のある第三者と組む),強化(確率や影響を上げる),受容。 脅威(マイナス) 好機(プラス) なくす/確実に 回避 活用 他者へ 転嫁(保険など) 共有(組む) 小さく/大きく 軽減 強化 何もしない 受容 受容 保険を掛けるのは転嫁,計画を変えて避けるのは回避
脅威は回避・転嫁・軽減・受容,好機は活用・共有・強化・受容

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

ITIL の可用性管理プロセスにおいて,IT サービスの可用性と信頼性の管理に関わる KPI として用いるものはどれか。

正解 ア

解説

ITIL の可用性管理プロセスは,IT サービスが合意した可用性の目標を満たすように管理する。可用性と信頼性の管理に関わる KPI としては,サービスの中断回数やその削減の度合いが用いられる。アが適切である。

イの災害を想定した復旧テストの回数は IT サービス継続性管理,ウの処理能力不足に起因するインシデントの数はキャパシティ管理,エの目標を達成できなかった SLA の項目数はサービスレベル管理の KPI である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

情報システムの障害対策の一つである縮退運用の説明はどれか。

正解 ウ

解説

縮退運用は,障害が起きた箇所を切り離し,機能又は性能が低下しても,残った部分でシステムの稼働を続ける運用方法である。ウが正しい。

アは停止を段階的に行う手順,イは異常終了したジョブの影響を他のジョブに及ぼさないようにする運用,エは障害を受けてジョブのスケジュールを組み直す運用の説明で,いずれも機能や性能を落として稼働を続ける縮退運用ではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

インプットコントロールの監査で,エディットバリデーションチェックが正しく機能しているかどうかの検証方法として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

エディットバリデーションチェックは,入力データの桁数,形式,範囲,論理的な整合性などを検査し,誤ったデータの入力を防ぐインプットコントロールである。正しく機能しているかを検証するには,実際に例外データや異常データを入力し,エラーとして検出されるかを確かめるのが適切である。イが該当する。

アの許可された担当者以外がログインできないことの試行は,アクセスコントロールの検証。ウの入力原票の承認印の確認は,入力前の承認手続の検証。エの入力対象データの件数とプルーフリスト上の合計件数の照合は,入力の網羅性(漏れや重複がないこと)の検証である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

業務データのバックアップが自動取得されている場合,日次バックアップデータが継続的に取得されているかどうかをシステム監査人が検証する手続として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

日次バックアップが継続的に取得されているかを検証するには,バックアップジョブが毎日実行されるように設定されているか(設定内容)と,実際に日々実行されて正常に終わっているか(実行結果ログ)を閲覧して確かめるのが適切である。イが該当する。

アのバックアップジョブの再実施は,その時点で取得できることを確かめるだけで,過去から継続して取得されていたかは分からない。ウのリカバリテストは,バックアップデータから正しく復旧できるかを確かめる手続。エのバックアップ媒体や装置の観察は,保管状況や設備の確認で,日々の取得の継続性を示す証拠にはならない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

マスタファイル管理に関するシステム監査項目のうち,可用性に該当するものはどれか。

正解 ア

解説

可用性は,必要なときにシステムやデータを使える度合いのこと。マスタファイルが置かれたサーバを二重化しておけば,片方が故障してももう一方で処理を続けられるので,これは可用性に関する監査項目に当たる。アが正しい。

イの検索・加工の機能は業務の効率性に関わる項目。ウの特権アカウントによるメンテナンスの制限は,権限のない者に触らせないという機密性の項目。エの入力チェック機能は,正しいデータだけを登録させるという完全性(正確性)の項目である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

事業継続計画(BCP)について監査を実施した結果,適切な状況と判断されるものはどれか。

正解 ア

解説

事業継続計画(BCP)は,災害などの被害を受けても重要な事業を継続するための計画で,緊急時に連絡が取れるよう,従業員の緊急連絡先リストを作成して最新版に更新しておくのは適切な状況である。アが正しい。

イは,重要書類を1か所で集中保管すると,被災したときに失われるので,複製して別の場所にも保管するのが適切。ウは,全ての業務を同一水準で計画せず,重要な業務に優先順位を付けて策定するのが適切。エは,BCP は平時から従業員に周知し,教育や訓練を行うのが適切である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

情報戦略の投資効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。

正解 エ

解説

ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割って求める指標で,投資効果を評価するのに使う。エが正しい。

アの EVA(経済的付加価値)は税引後営業利益から資本コストの額を差し引いた金額。イの IRR(内部収益率)は投資の正味現在価値が 0 になる割引率。ウの NPV(正味現在価値)は将来のキャッシュフローの現在価値の合計から投資額を差し引いた金額で,いずれも利益額を投資額で割る比率ではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

エンタープライズアーキテクチャ(EA)を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネス(政策・業務体系),データ(データ体系),アプリケーション(適用処理体系),テクノロジ(技術体系)の四つの体系で整理・分析し,全体最適化の観点から見直すための手法である。ウが該当する。

アはオブジェクト指向の分析・設計の表記法を統一した UML,イはエンティティとリレーションシップでデータ構造を表す E-R 図(ERD),エはデータフロー,プロセス,ファイル(データストア),データ源泉/データ吸収で業務の流れを表す DFD の説明である。

エンタープライズアーキテクチャ(EA)の4つの体系 EA は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネス(政策・業務体系),データ(データ体系),アプリケーション(適用処理体系),テクノロジ(技術体系)の4つの体系で整理する。それぞれの現状(As-Is)と理想(To-Be)を描き,その差を埋める移行計画で全体最適を図る。 現状(As-Is) 理想(To-Be) ビジネス 政策・業務体系 データ データ体系 アプリケーション 適用処理体系 テクノロジ 技術体系 差を埋める移行計画
4つの体系ごとに現状と理想を描き,移行計画を立てる

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

SOA の説明はどれか。

正解 エ

解説

SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務システムの機能を利用者から見た意味のある単位(サービス)に分割し,それらを組み合わせてシステムを構築する考え方。業務プロセスの変更に合わせてサービスを組み替えやすく,他システムとの連携も容易になる。

アは ERP,イはフィット&ギャップ分析,ウは BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の説明。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

IT 投資ポートフォリオの目的はどれか。

正解 エ

解説

IT 投資ポートフォリオは,IT 投資を投資リスクや期待される投資価値の性質が似たもの(戦略的投資,業務効率化投資,インフラ投資など)でカテゴリに分け,カテゴリごとの投資配分を企業全体の視点から最適化するための手法である。エが該当する。

アの投資を分類して経年推移や構成比率を分析し投資額削減を検討するのは,IT コストの分析。イの個別の投資案件について情報戦略との適合性などから投資判断を行うのは,個別案件の評価。ウの事前評価,中間評価,事後評価を一貫して行うのは,IT 投資のライフサイクルにわたる評価の説明で,いずれもポートフォリオとして資源配分を最適化するものではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

定性的な評価項目を定量化するために評価点を与える方法がある。表に示す4段階評価を用いた場合,重み及び判定内容から評価されるシステム全体の目標達成度は何%となるか。

評価項目と判定内容の表。省力化効果は重み 5 で“目標どおりの効果があった”。期間の短縮は重み 8 で“従来と変わらない”。情報の統合化は重み 12 で“部分的には改善された”。注記:4段階評価点は 3:目標どおり,2:ほぼ目標どおり,1:部分改善,0:変わらず。

正解 イ

解説

評価点は,省力化効果が「目標どおり」で3点,期間の短縮が「変わらず」で0点,情報の統合化が「部分改善」で1点。これに重みを掛けて合計すると 5×3+8×0+12×1=27 になる。評価項目が全て目標どおりだった場合は (5+8+12)×3=75 なので,27/75=0.36 で36%。イが正しい。

アの27は重み付けした評価点の合計そのもので,割合ではない。分母を全項目の重みの合計25と取り違えたり,重みを掛けずに評価点だけで計算したりすると別の値になるが,ウの43やエの52はこの表の数値からは導けない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

業務要件定義において,業務フローを記述する際に,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図はどれか。

正解 ア

解説

アクティビティ図は,処理の流れを開始から終了まで順に表す UML の図で,条件による分岐(デシジョンノード),並行処理への分割と同期(フォーク・ジョイン),担当者ごとのレーン分け(パーティション)を書ける。業務フローの記述に向くのでアが正しい。

イのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の静的な関係,ウの状態遷移図は一つの対象が取る状態とイベントによる状態の遷移,エのユースケース図は利用者(アクタ)とシステムが提供する機能の関係を表す図で,いずれも業務の流れそのものを表すものではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

コアコンピタンスに該当するものはどれか。

正解 イ

解説

コアコンピタンスは,競合他社がまねのできない,顧客に価値をもたらす企業の中核的な能力や技術である。競合他社よりも効率性が高い生産システムは,自社の内部に蓄積された競争力の源泉なので,イが該当する。

アの事業ドメインの成長率,ウの参入を予定している分野の競合状況は,自社を取り巻く外部環境や市場の状況であり,自社の能力ではない。エの市場シェアは,能力を発揮した結果として得られた成果であって,能力そのものではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

コモディティ化の説明はどれか。

正解 ウ

解説

コモディティ化は,技術が成熟して製品の機能や品質に差がなくなり,どの企業の製品を選んでも大差がない状態になることで,他社製品との差別化が価格以外の点で難しくなり,価格競争に陥りやすくなる。ウが該当する。

アは革新的な発明による新しい市場の創出(プロダクトイノベーション)。イは後発製品が技術革新によって先発製品の市場を奪う破壊的イノベーション。エは価格競争を避けるために他社製品と異なる機能をもたせる差別化戦略の説明である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

施策案 a〜d のうち,利益が最も高くなるマーケティングミックスはどれか。ここで,広告費と販売促進費は固定費とし,1個当たりの変動費は 1,000 円とする。

施策案の表。a:価格 1,600 円,広告費 1,000 千円,販売促進費 1,000 千円,売上数量 12,000 個。b:価格 1,600 円,広告費 1,000 千円,販売促進費 5,000 千円,売上数量 20,000 個。c:価格 2,400 円,広告費 1,000 千円,販売促進費 1,000 千円,売上数量 6,000 個。d:価格 2,400 円,広告費 5,000 千円,販売促進費 1,000 千円,売上数量 8,000 個。

正解 ウ

解説

利益=(価格−変動費)×売上数量−(広告費+販売促進費)で求める(単位は千円)。a は(1.6−1.0)×12,000−(1,000+1,000)=7,200−2,000=5,200,b は 0.6×20,000−(1,000+5,000)=12,000−6,000=6,000,c は(2.4−1.0)×6,000−(1,000+1,000)=8,400−2,000=6,400,d は 1.4×8,000−(5,000+1,000)=11,200−6,000=5,200 となり,最も高いのは c で,ウが正しい。

ア(a)と エ(d)は 5,200 千円で等しく,イ(b)は 6,000 千円で c に及ばない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

プロセスイノベーションに関する記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

プロセスイノベーションは,製品そのものではなく,製品を生み出す工程(製造方法や業務の進め方)を革新することで,品質の向上やコストの削減などを実現するイノベーションである。製品の品質を向上する革新的な製造工程を開発するイが適切である。

アは競争を経て事実上の標準となるデファクトスタンダード。ウは革新的な新製品を開発するプロダクトイノベーション。エは製造設備をもつ企業に製造を委託するファブレスやファウンドリーの活用であり,自社の工程の革新ではない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

ある期間の生産計画において,図の部品表で表される製品 A の需要量が 10 個であるとき,部品 D の正味所要量は何個か。ここで,ユニット B の在庫残が5個,部品 D の在庫残が 25 個あり,他の在庫残,仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。

部品表。レベル0の製品 A(数量 1)の下に,レベル1としてユニット B(数量 4)とユニット C(数量 1)。ユニット B の下にレベル2として部品 D(数量 3)と部品 E(数量 1)。ユニット C の下にレベル2として部品 D(数量 1)と部品 F(数量 2)。

正解 イ

解説

製品 A が10個なので,ユニット B は 10×4=40個必要だが在庫が5個あるので正味35個,ユニット C は 10×1=10個必要で在庫はないので10個。部品 D はユニット B から 35×3=105個,ユニット C から 10×1=10個で合計115個必要になる。部品 D の在庫が25個あるので,正味所要量は 115−25=90個。イが正しい。

上位のユニット B の在庫を引かずに40個のまま計算すると,部品 D は 40×3+10=130個必要となり,在庫25個を引いて105個(エ)になってしまう。在庫は上位の品目から順に引き当てていく点に注意する。アの80とウの95は,この部品表からは導けない値である。

部品表から部品 D の正味所要量を求める 製品 A が10個なので,ユニット B は 4×10=40個,在庫5個を引いて正味35個。ユニット C は10個。部品 D は B から 35×3=105個,C から 10×1=10個で合計115個,在庫25個を引いて正味90個。 A 10個 B 40−在庫5=35 C 10 D 35×3 E D 10×1 F D:105 + 10 = 115,在庫25を引いて 90 個
在庫は上の階層から順に引いていく

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

“かんばん方式”を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

かんばん方式は,ジャストインタイム生産の一つで,後工程が必要な部品を,必要な量だけ前工程から引き取る方式である。かんばんという作業指示票を使い,中間在庫を極力減らす。ウが正しい。

アは,部品や半製品の仕様を統一する標準化の説明。イは,関連会社から部品を調達する系列取引に近い内容。エは,納入指定業者を複数定めて競争入札で調達する購買の方法で,いずれも後工程から前工程へ必要な分だけを引き取るかんばん方式の特徴ではない。

かんばん方式(後工程引取り) 後工程が,使った分だけの部品を前工程へ引き取りに行き,その指示(かんばん)を受けた前工程は,引き取られた分だけを作って補充する。必要なものを必要なときに必要な量だけ作る JIT の考え方で,作り過ぎの在庫を減らす。 前工程 後工程 出荷 部品 かんばん かんばん 使った分だけ引き取り,引き取られた分だけ作る
物は前から後へ,かんばん(指示)は後から前へ

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。

正解 エ

解説

EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。

アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

ディジタルサイネージの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ディジタルサイネージは,ディスプレイに映像や文字などの情報を表示する電子看板である。駅や店舗,公共施設などで,広告や案内に使われる。ウが正しい。

アは,情報技術を利用できる人とできない人との間に生じる格差で,ディジタルデバイドという。イは,情報の正当性を保証するための電子的な署名で,ディジタル署名という。エは,不正利用を防止するためにデータに識別情報を埋め込む技術で,電子透かし(ディジタルウォーターマーク)という。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

横軸にロットの不良率,縦軸にロットの合格率をとり,抜取検査でのロットの品質とその合格率との関係を表したものはどれか。

正解 ア

解説

OC 曲線(検査特性曲線)は,横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとり,ロットの品質と合格率の関係を表した曲線である。抜取検査の方式(サンプル数や合格判定個数)がどの程度の品質のロットを合格させるかを評価するのに使う。アが正しい。

イのバスタブ曲線は,時間の経過に対する故障率の変化(初期故障期,偶発故障期,摩耗故障期)を表す曲線。ウのポアソン分布は,一定時間内などに稀な事象が起きる回数の確率分布。エのワイブル分布は,寿命や故障までの時間の分布を表すのに使われる確率分布である。

OC 曲線(検査特性曲線) 横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとった曲線。不良率が低い良いロット(p0)でも合格率は1にならず,不合格になる確率 α が生産者危険。不良率が高い悪いロット(p1)でも合格する確率 β が消費者危険。 ロットの不良率 合格率 1 p0 p1 α 生産者危険 良いロットが落ちる β 消費者危険 悪いロットが通る
良いロットを落とすのが生産者危険 α,悪いロットを通すのが消費者危険 β

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

定期発注方式の特徴はどれか。

正解 イ

解説

定期発注方式は,発注する間隔を一定にして,その都度,次の発注までの需要を予測し,在庫量との差から発注量を決める方式である。発注量を決めるために需要予測が必要で,イが正しい。

アの ABC 分析では,重要度の高い A 品目に定期発注方式を適用して管理を厳しくし,C 品目には管理の手間の少ない方式を使う。ウの発注のタイミングが消費速度に依存するのと,エの発注量に経済的発注量(EOQ)を使うのは,在庫が発注点を下回ったときに一定量を発注する定量発注方式の特徴である。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

今年度の A 社の販売実績と費用(固定費,変動費)を表に示す。来年度,固定費が 5%上昇し,販売単価が 5%低下すると予測されるとき,今年度と同じ営業利益を確保するためには,最低何台を販売する必要があるか。

今年度の A 社の販売実績と費用の表。販売台数 2,500 台,販売単価 200 千円,固定費 150,000 千円,変動費 100 千円/台。

正解 エ

解説

今年度の営業利益は,売上 200×2,500=500,000 千円から,固定費 150,000 千円と変動費 100×2,500=250,000 千円を引いた 100,000 千円である。来年度は固定費が 5%増えて 157,500 千円,販売単価が 5%下がって 190 千円になり,変動費は 1 台当たり 100 千円のままである。1 台当たりの限界利益は 190−100=90 千円なので,営業利益 100,000 千円を確保する販売台数を n とすると,90n−157,500=100,000 より n=257,500÷90≒2,861.1 となり,切り上げて 2,862 台が必要である。エが正しい。

ア(2,575)は,販売単価の低下を考えず限界利益を 100 千円として 257,500÷100 で求めた値,ウ(2,778)は,固定費の増加を考えず 250,000÷90 で求めた値で,どちらも条件の一部を見落としている。イ(2,750)では 90×2,750−157,500=90,000 千円となり,今年度の営業利益に足りない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

取得原価 30 万円の PC を2年間使用した後,廃棄処分し,廃棄費用2万円を現金で支払った。このときの固定資産の除却損は廃棄費用も含めて何万円か。ここで,耐用年数は4年,減価償却は定額法,定額法の償却率は 0.250,残存価額は0円とする。

正解 エ

解説

定額法の減価償却費は,取得原価×償却率=30万円×0.250=7.5万円/年である。2年間使用したので減価償却累計額は 15万円となり,廃棄時点の帳簿価額は 30−15=15万円になる。

廃棄すると帳簿価額の 15万円が除却損となり,廃棄費用の 2万円も含めると 17.0万円である。エが正しい。廃棄費用を含めないと 15.0万円(ウ)になる。

除却損と廃棄費用 取得原価 30 万円,償却率 0.250 の定額法なので,1年の減価償却費は 7.5 万円。2年使うと 15 万円償却し,帳簿価額は 15 万円残る。廃棄するとこの 15 万円が除却損になり,廃棄費用 2 万円を加えて 17 万円。 1年目 7.5 2年目 7.5 帳簿価額 15 費用2 取得原価 30 万円 除却損 15 + 2 = 17 万円 償却済みの 15 は損にならない
残った帳簿価額+廃棄費用

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

A 社は顧客管理システムの開発を,情報システム子会社である B 社に委託し,B 社は要件定義を行った上で,設計・プログラミング・テストまでを,協力会社である C 社に委託した。C 社では D 社員にその作業を担当させた。このとき,開発したプログラムの著作権はどこに帰属するか。ここで,関係者の間には,著作権の帰属に関する特段の取決めはないものとする。

正解 ウ

解説

著作権法第15条第2項は,法人等の発意に基づきその業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は,契約や勤務規則などに別段の定めがない限り,その法人等とすると定めている(職務著作)。D 社員が C 社の業務として作成したプログラムの著作者は C 社になり,著作権も C 社に帰属する。ウが正しい。

ア,イは誤り。開発を委託した A 社や B 社は,契約で著作権の譲渡を定めない限り,委託しただけでは著作権を取得しない。エは誤り。実際に作成した D 社員は,職務著作の要件を満たすので著作者とならない。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

電子署名法に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)第3条は,電磁的記録であって情報を表すために作成されたものは,本人による電子署名(本人だけが行えるように符号及び物件が適正に管理されているものに限る)が行われているときは,真正に成立したものと推定すると定めている。これは,民事訴訟法で本人の署名又は押印がある文書に認められる真正な成立の推定と同様の効力を電子署名に与えるもので,ウが正しい。

アは誤り。電子署名の要件は,本人の作成であることを示せることと改変の有無を確認できることで,共通鍵暗号などの特定の技術に限っていない。イは誤り。電子署名は電磁的記録に記録できる情報について行う措置で,電磁的記録以外は対象にならない(第2条第1項)。エは誤り。認証業務は民間の事業者も行え,特定認証業務について主務大臣の認定を受けることができるのは任意である(第4条第1項)。

出典:平成27年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)