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応用情報技術者試験

平成28年度 秋期 科目A(午前)

平成28年度 秋期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

8ビットのデータ X 及び Y の値をそれぞれ16進表現で0F,F0 とするとき,8ビットのデータ A の下位4ビットを反転させ,上位4ビットを0にする論理式はどれか。ここで,X・Y は論理積を表し,Z は否定を表す。

正解 ウ

解説

求めるのは,下位 4 ビットを反転し,上位 4 ビットを 0 にする演算である。A を全ビット反転した Ā に,X=0F(上位 4 ビットが 0,下位 4 ビットが 1)を論理積すると,上位 4 ビットは 0 になり,下位 4 ビットは Ā のまま,つまり A の下位 4 ビットを反転した値になる。ウの Ā・X が正しい。

アの A・X の全体を否定した式は,A・X の上位 4 ビットが 0 なので,否定すると上位 4 ビットが 1 になる。イの A・Y の全体を否定した式は,上位 4 ビットが A の反転,下位 4 ビットが 1 になる。エの Ā・Y は,Y=F0 によって下位 4 ビットが 0 になり,上位 4 ビットが A の反転になる。いずれも求める結果にならない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

0≦x≦1 の範囲で単調に増加する連続関数 f(x) が f(0)<0≦f(1) を満たすときに,区間内で f(x)=0 である x の値を近似的に求めるアルゴリズムにおいて,(2) は何回実行されるか。

〔アルゴリズム〕

正解 ア

解説

二分法(区間を半分に狭めていく方法)の問題。(2) を k 回実行した直後の x1−x は,そのときの区間幅の半分,すなわち 1/2k になる。

終了条件 1/2k<0.001 は 2k>1000 と同値であり,29=512,210=1024 なので k=10 で初めて成立する。よって (2) は10回実行される。

二分法:区間を半分ずつ狭める f(0)<0≦f(1) の区間 [0,1] の真ん中 x で f(x) の符号を調べ,解がある側の半分に区間を狭める。(2) を k 回実行した直後の x1−x は 1/2^k。1/2^k<0.001 となるのは 2^k>1000 のときで,2^9=512,2^10=1024 なので k=10。 初め 1回目 2回目 3回目 4回目 解 幅:1/2,1/4,… 1/512(9回),1/1024(10回)<0.001
1回ごとに幅が半分。1000分の1未満になるのは10回目

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

逆ポーランド表記法で表された式を評価する場合,途中の結果を格納するためのスタックを用意し,式の項や演算子を左から右に順に入力し処理する。スタックが図の状態のとき,入力が演算子となった。このときに行われる演算はどれか。ここで,演算は中置表記法で記述するものとする。

スタックの図。上から順に D,C,B,A の4つの要素が積まれていて,最上段の D が先に取り出される側にある。

正解 ウ

解説

逆ポーランド表記法の式は,項(オペランド)をスタックに積み,演算子が来たらスタックの上から 2 個を取り出して演算し,結果をスタックに積み戻す,という手順で評価する。図のスタックは上から D,C,B,A の順なので,取り出されるのは D と C である。先に取り出される D が右側のオペランドになるので,中置表記では C 演算子 D になる。ウが正しい。

アは A と B(下の 2 個),イは B と A,エは D と C の順にしたもので,上から 2 個を取り出す動作にも,先に取り出した値を右側に置く順序にも合わない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

表は,入力記号の集合が {0,1},状態集合が {a,b,c,d} である有限オートマトンの状態遷移表である。長さ3以上の任意のビット列を左(上位ビット)から順に読み込んで最後が110で終わっているものを受理するには,どの状態を受理状態とすればよいか。

状態遷移表。入力0のとき,a は a へ,b は c へ,c は a へ,d は c へ遷移する。入力1のとき,a は b へ,b は d へ,c は b へ,d は d へ遷移する。

正解 ウ

解説

初期状態 a から 110 を読むと,1 で b,1 で d,0 で c へ遷移して c にたどり着く。d や c の状態から読み始めても,1,1,0 の3文字を読めば同じく c に到達する。110 を読み終えたときに必ず入る状態は c だけなので,受理状態とすべきはウの c になる。

他の選択肢では 110 で終わる列を受理できない。表で 0 を読んで到達できるのは a と c だけなので,末尾が 0 の列を受理するにはこの二つのどちらかである必要があり,イの b とエの d は初めから当てはまらない。アの a に 0 で入るのは直前が a のときで,これは 110 の並びとは対応しない。

どこから読み始めても 110 で c に着く 状態遷移表は,a:0→a,1→b/b:0→c,1→d/c:0→a,1→b/d:0→c,1→d。どの状態から 1,1,0 を読んでも,最後は c に着く(a→b→d→c,b→d→d→c,c→b→d→c,d→d→d→c)。だから c を受理状態にすれば,最後が 110 の列を受理できる。 読み始め 1 を読む 1 を読む 0 を読む a b d c b d d c c b d c d d d c 最後はいつも c → 受理状態は c 表:a 0→a 1→b/b 0→c 1→d/c 0→a 1→b/d 0→c 1→d
1,1,0 の3文字を読むと,どこから始めても c で終わる

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

ある B 木は,各節点に4個のキーを格納し,5本の枝を出す。この B 木の根(深さのレベル0)から深さのレベル2までの節点に格納できるキーの個数は,最大で幾つか。

正解 エ

解説

B 木では,各節点が最大 4 個のキーと 5 本の枝をもつので,深さが 1 つ増えるごとに節点数は 5 倍になる。レベル 0 は 1 節点,レベル 1 は 5 節点,レベル 2 は 25 節点で,レベル 2 までの節点は合計 1+5+25=31 個になる。1 節点に最大 4 個のキーを格納できるので,キーの個数は最大で 31×4=124 個。エが正しい。

アの 24 は,根とレベル 1 の 6 節点(1+5)だけを数えた 6×4 の値で,レベル 2 が入っていない。イの 31 は節点の個数で,キーの個数ではない。ウの 120 は,根を除いた 30 節点(5+25)に 4 個ずつを掛けた値で,根のキーが入っていない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

ヒープソートの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ヒープソートは,未整列の部分をヒープ(親が子より必ず小さい,あるいは必ず大きいという条件を満たす順序木)として構成し,その根から最小値(又は最大値)を取り出して整列済みの部分へ移す,という操作を繰り返す整列法。取り出すたびにヒープを組み直して未整列部分を縮めていく。エが正しい。

アはシェルソート,イはクイックソート,ウはバブルソート(隣接交換法)の説明である。

ヒープとヒープソート ヒープは,親が子より必ず小さい(又は必ず大きい)という条件を満たす2分木。根がいつも最小値になる。ヒープソートは,未整列の部分をヒープにし,根の最小値を取り出して整列済みの部分へ移し,残りをヒープに組み直す,を繰り返す。 1 3 2 7 5 4 8 親 ≦ 子(根が最小) 根の 1 を取り出す 整列済み 1 残りをヒープに 組み直して繰り返す
根から最小値を取り出し,残りを組み直す,を繰り返す

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

WebSocket によって実現できるのはどれか。

正解 エ

解説

WebSocket は,Web ブラウザと Web サーバの間で,1 本の接続を保ったまま双方向に通信するためのプロトコル(RFC 6455)である。HTTP のようにクライアントからの要求に対する応答だけでなく,サーバ側からも任意のタイミングでデータを送れる。エが正しい。

アの JavaScript をバックグラウンドで動作させるのは Web Workers,イの映像や音声の再生は HTML5 の video 要素や audio 要素,ウのビットマップ形式のデータの描画は canvas 要素で,いずれも WebSocket の機能ではない。

WebSocket の始まり方 ブラウザは最初に HTTP の GET リクエストに Upgrade: websocket を付けて送り,サーバが 101 Switching Protocols で応じると接続が確立する(ハンドシェイク)。その後は同じ TCP コネクションの上で,サーバからもブラウザからも自由にデータを送り合える。開始はクライアントからで,URI は ws:// や wss://。 ブラウザ Web サーバ GET(Upgrade: websocket) 101 Switching Protocols データ データ(サーバからも送れる) データ ハンドシェイクの後は同じコネクションで双方向
HTTP の GET で始めて,以後は双方向

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

全ての命令が5ステージで完了するように設計された,パイプライン制御のコンピュータがある。20 命令を実行するには何サイクル必要となるか。ここで,全ての命令は途中で停止することなく実行でき,パイプラインの各ステージは1サイクルで動作を完了するものとする。

正解 ウ

解説

パイプライン制御では,1命令が5ステージで完了するので,最初の命令が終わるまでに5サイクル掛かる。その後は1サイクルごとに1命令ずつ完了する。20命令では,5+(20-1)=24 サイクルになる。ウが正しい。

アの 20 は,命令数と同じで,最初の命令が終わるまでの立上がり(4サイクル分)を含めていない。イの 21 は,その立上がりを1サイクル分しか数えていない。エの 25 は,命令数 20 にステージ数 5 を単純に足した値で,最初の命令の最後のステージと次の命令の最初のステージが重なることを考えていない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

間接アドレス指定方式のアドレス部で指定するものはどれか。

正解 イ

解説

アドレス指定方式は,命令のアドレス部の使い方で分けられる。間接アドレス指定方式では,アドレス部に,処理対象データが格納されている記憶場所のアドレスが格納されている記憶場所のアドレスを指定する。つまり,アドレス部の指す場所を読んで得たアドレスで,もう一度記憶場所にアクセスして処理対象データを取り出す。イが正しい。

アは,アドレス部が処理対象データの場所を直接指す直接アドレス指定方式。ウは,基準点(ベースレジスタなど)との差分を指定する相対アドレス指定方式(ベースアドレス指定方式,インデックスアドレス指定方式)。エは,アドレス部にデータそのものを置く即値アドレス指定方式(イミディエート)である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

メモリインタリーブの目的として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

メモリインタリーブは,主記憶を複数のバンクに分け,連続するアドレスを異なるバンクへ順に割り当てておく方式。連続したアドレスを読むときに各バンクへ並行してアクセスできるので,1バンクのアクセスが終わるのを待たずに次を始められ,見かけのアクセス時間が短くなる。エが正しい。

アとイは同一バンクへのアクセスで,並行動作ができないので効果がない。ウの冗長化による可用性の向上はメモリインタリーブの目的ではない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

プロセッサの実行効率を上げる VLIW の説明はどれか。

正解 ウ

解説

VLIW(Very Long Instruction Word)は,同時に実行できる複数の命令を,コンパイラがあらかじめ 1 つの長い命令語にまとめておき,プロセッサがそれを 1 命令として同時に実行する方式である。実行時に依存関係を調べる回路が不要になる。ウが正しい。

アは,依存関係のない命令を実行時に追い越して実行するアウトオブオーダ実行。イは,命令の各段階を重ねて処理するパイプライン方式。エは,複数のパイプラインをもち,実行時に複数の命令を同時に発行するスーパスカラ方式の説明である。

スーパスカラと VLIW スーパスカラは,パイプラインを複数用意し,同時に実行できる命令を実行時にハードウェアが空いている演算器へ割り当てて並べて流す。VLIW は,同時に実行できる複数の動作をコンパイラが前もって1つの長い命令にまとめておき,そのまま並列に実行する。 スーパスカラ(パイプライン2本) 命令1 取 解 実 書 命令2 取 解 実 書 命令3 取 解 実 書 命令4 取 解 実 書 同時に流せる命令を ハードウェアが 実行時に割り当てる VLIW(長い命令1つに複数の動作) 加算 乗算 読込み 分岐 1命令 まとめるのは コンパイラ 取:取出し 解:解読 実:実行 書:書込み
割当てを決めるのは,スーパスカラは実行時のハードウェア,VLIW はコンパイラ

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

データベース(DB)へのアクセスを行うブラウザからのリクエスト処理を,Web サーバが受信し解読した後に行う一連の実行処理の順序はどれか。ここで,Web サーバはリクエスト処理ごとに DB への接続と切断を行うものとする。

〔実行処理〕

正解 エ

解説

Web サーバは,リクエストを解読したあと,まず DB に接続する(③)。次に,リクエストの内容に応じた SQL 文を組み立て(⑤),その SQL 文で DB にアクセスする(②)。アクセスの結果を埋め込んで HTML 文書を組み立て(④),ブラウザへ送信し(⑥),最後に DB を切断する(①)。順序は③,⑤,②,④,⑥,①で,エが正しい。

アは,SQL 文を組み立てる前に DB にアクセスしている。イとウは,DB にアクセスして結果を得る前に HTML 文書を組み立てているので,結果を HTML に反映できない。イはさらに SQL 文の組立てが DB へのアクセスの後になっている。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

仮想サーバの冗長化設計における可用性評価に関する記述のうち,クラスタソフトウェアを用いた評価として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

クラスタソフトウェアを用いた冗長化は,複数のサーバを組み合わせ,稼働中のサーバで OS,アプリケーション,ハードウェアのいずれかに障害が起きたとき,障害のないサーバへ処理を自動的に引き継ぐ(フェールオーバー)。切替え時間が短く,安定した運用が求められる場合に有効である。アが正しい。

イは,仮想サーバを停止させずに物理サーバ間で移動させる機能(ライブマイグレーション)の説明で,メンテナンスなど計画的な移行に向く。ウは,ハードウェアの障害にしか対応しない方法で,OS やアプリケーションの障害にも対応するクラスタソフトウェアの特徴とは合わない。エは,物理サーバのリソースを物理的に分割するパーティショニングの説明である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

あるシステムにおいて,MTBF と MTTR がともに1.5倍になったとき,アベイラビリティ(稼働率)は何倍になるか。

正解 エ

解説

アベイラビリティ(稼働率)は MTBF/(MTBF+MTTR) で表せる。MTBF と MTTR がともに1.5倍になると (1.5×MTBF)/(1.5×MTBF+1.5×MTTR) となり,分子・分母の1.5が約分されて元の値と同じになる。エの「変わらない」が正しい。

稼働率は二つの時間の絶対値ではなく比で決まるので,同じ倍率で伸び縮みしても変化しない。稼働率を上げるには,MTBF を長くするか MTTR を短くするか,どちらか一方だけを改善して比を変える必要がある。

MTBF と MTTR が同じ倍率で変わっても稼働率は同じ 稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR)。両方が1.5倍になると 1.5x÷(1.5x+1.5y)=x÷(x+y) で変わらない。稼働率は MTBF と MTTR の比だけで決まるので,稼働率が等しければ MTTR÷MTBF も等しい。ただし MTBF や MTTR そのものが等しいとは限らない。 従来 MTBF x y 稼働 80% 1.5倍 MTBF 1.5x 1.5y 稼働 80% 1.5x ÷ (1.5x + 1.5y) = x ÷ (x + y)
稼働率は比で決まる。帯の長さが変わっても,稼働の割合は同じ

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

オンライントランザクション処理システムにおいて,1分当たりの平均トランザクション数が1,200件であり,1件のトランザクション処理で100万命令を実行する場合,CPU 性能が100 MIPS のコンピュータを使用したときの CPU の平均利用率は何%か。

正解 エ

解説

1 分当たり 1,200 件なので,1 秒当たりでは 1,200÷60=20 件。1 件で 100 万命令を実行するので,1 秒当たり 20×100 万=2,000 万命令,つまり 20 MIPS が必要になる。CPU 性能が 100 MIPS なので,平均利用率は 20÷100=0.2,すなわち 20%。エが正しい。

ア,イ,ウの 5%,10%,15%は,それぞれ 5 MIPS,10 MIPS,15 MIPS 分の処理に当たる。この処理で毎秒必要になるのは 20 MIPS なので当てはまらない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

プログラム実行時の主記憶管理に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ガーベジコレクションは,プログラムが動的に確保したヒープ領域のうち,どこからも参照されなくなった領域を自動的に見つけて回収し,再び割当てに使えるようにする仕組み。イが正しい。

アの空き領域を結合して連続領域にすることはコンパクション(ガーベジコレクションの一部として行われることもある)。ウの実行中にモジュールの格納位置を移動させることは動的再配置。エの必要になった時点でモジュールをロードすることは動的リンキング(動的ロード)で,ウとエは用語が入れ替わっている。

ガーベジコレクション:どこからも参照されない領域を回収する プログラムが動的に確保したヒープ領域のうち,変数(ルート)からたどれる領域はまだ使われている。どこからもたどれなくなった領域は二度と使われないので,ガーベジコレクションが自動的に見つけて回収し,再び割り当てに使えるようにする。空き領域を寄せて連続にするのはコンパクション,細切れになる現象はフラグメンテーション。 変数 (ルート) ヒープ A B C D E どこからも参照されない 塗り(D・E):ルートからたどれない → 回収して再利用 D から E を指していても,D に誰も届かなければ E も回収
ルートからたどれない領域を見つけて回収する

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

五つのタスクを単独で実行した場合の CPU と入出力装置(I/O)の動作順序と処理時間は,表のとおりである。優先度“高”のタスクと,優先度“低”のタスクのうち一つだけを同時に実行する。実行を開始してから,両方のタスクの実行が完了するまでの間の CPU の遊休時間が最も短いのは,どの優先度“低”のタスクとの組合せか。ここで,I/O は競合せず,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。

また,表の( )内の数字は処理時間を示すものとする。

五つのタスクの単独実行時の動作順序と処理時間(単位 ミリ秒)の表。優先度“高”は CPU(3)→I/O(3)→CPU(3)→I/O(3)→CPU(2)。優先度“低”のア は CPU(2)→I/O(5)→CPU(2)→I/O(2)→CPU(3),イ は CPU(3)→I/O(2)→CPU(2)→I/O(3)→CPU(2),ウ は CPU(3)→I/O(2)→CPU(3)→I/O(1)→CPU(4),エ は CPU(3)→I/O(4)→CPU(2)→I/O(5)→CPU(2)。

正解 ウ

解説

CPU が遊んでいる時間は,どちらのタスクも入出力待ちの時間である。優先度“高”のタスクが CPU を使うあいだ,優先度“低”のタスクは待たされる。高が CPU 3,I/O 3,CPU 3,I/O 3,CPU 2 の順に動く間に,各“低”のタスクを重ねると,実行開始から終了までの CPU の遊休時間は,アが 2 ミリ秒,イが 1 ミリ秒,ウが 0 ミリ秒,エが 4 ミリ秒になる。ウは,高の I/O の間に低が CPU を使い,低の I/O の間に高の CPU が入るので,全体が 18 ミリ秒で CPU が一度も遊ばず,遊休時間が最も短い。ウが正しい。

アは,高の I/O と低の I/O が重なる 1 ミリ秒が 2 回あり,遊休時間は計 2 ミリ秒。イは,高の 2 回目の I/O と低の I/O が重なる 1 ミリ秒だけ。エは,高の I/O と低の I/O が重なる 1 ミリ秒に加え,高が終了した後に低の I/O(5 ミリ秒)の残り 3 ミリ秒を待つので,計 4 ミリ秒になる。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

プログラムで使用可能な実メモリ枠が3ページである仮想記憶システムにおいて,大きさ6ページのプログラムが実行されたとき,ページフォールトは何回発生するか。ここで,プログラム実行時のページ読込み順序は,0,1,2,3,4,0,2,4,3,1,4,5とする。ページング方式は,LRU(Least Recently Used)とし,初期状態では,実メモリにはいずれのページも読み込まれていないものとする。

正解 イ

解説

LRU は,最後に使われてから最も長い時間がたったページを追い出す方式である。実メモリ枠 3 ページに,読込み順 0,1,2,3,4,0,2,4,3,1,4,5 を処理する。0,1,2 は空き枠に入るのでフォールト(3 回)。3 では 0 を追い出し,4 では 1,0 では 2,2 では 3 を追い出して,いずれもフォールト(4 回)。続く 4 は枠内にあるのでヒットする。3 では 0,1 では 2 を追い出してフォールト(2 回),4 はヒット,5 では 3 を追い出してフォールト(1 回)。合計 3+4+2+1=10 回で,イが正しい。

ウの 11 は,FIFO(最も古く読み込んだページを追い出す)で数えたときの回数で,ヒットが 4 の 1 回だけになる。エの 12 は参照 12 回の全てをフォールトと数えた値で,ヒットを考慮していない。アの 9 は,ヒットが 2 回ではなく 3 回あるとしたときの値で,LRU の動作とは合わない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

タイムクウォンタムが2秒のラウンドロビン方式で処理されるタイムシェアリングシステムにおいて,プロセス1〜3 が逐次生成されるとき,プロセス2が終了するのはプロセス2の生成時刻から何秒後か。ここで,各プロセスは CPU 処理だけで構成され,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。また,新しいプロセスの生成と中断されたプロセスの再開が同時に生じた場合には,新しく生成されたプロセスを優先するものとする。

プロセスの表。プロセス1は生成時刻0秒後,単独で処理された場合の時間5秒。プロセス2は3秒後,7秒。プロセス3は6秒後,5秒。

正解 イ

解説

タイムクウォンタム 2 秒のラウンドロビンで,各プロセスを時系列で追う。0〜2 秒はプロセス 1 が動き,待つプロセスがないので 2〜4 秒も続けて動く(残り 1 秒)。3 秒にプロセス 2 が生成されて待ち行列に入り,4〜6 秒はプロセス 2 が動く(残り 5 秒)。6 秒にプロセス 3 の生成とプロセス 2 の中断が同時に生じるので,新しいプロセス 3 を先に待ち行列に入れる。待ち行列はプロセス 1,3,2 の順になる。6〜7 秒でプロセス 1 が終了し,7〜9 秒にプロセス 3,9〜11 秒にプロセス 2,11〜13 秒にプロセス 3,13〜15 秒にプロセス 2,15〜16 秒にプロセス 3 が終了し,16〜17 秒にプロセス 2 が終了する。終了は 17 秒時点で,生成時刻の 3 秒後からなので 17-3=14 秒。イが正しい。

エの 17 は,プロセス 2 が終了する時刻そのもので,問われているのは生成時刻(3 秒後)からの経過時間なので,17−3=14 秒になる。ウの 16 は,プロセス 3 が終了する時刻である。アの 12 秒後は 15 秒の時点で,このときプロセス 2 の実行はまだ 1 秒分残っている。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

RFID のパッシブ方式 RF タグの説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

パッシブ方式の RF タグは電池をもたず,読取り装置(リーダ)のアンテナから送られる電波を受けて,その電力で動作し,タグに記録された情報を返す。アンテナから電力が供給されるアが適切である。

イの可視光による通信は可視光通信,エの赤外線による通信は IrDA などの赤外線通信で,RFID は電波を使う。ウの静電容量の変化を捉えて位置を検出するのは,静電容量方式のタッチパネルなどの仕組みである。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

フラッシュメモリに関する記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

フラッシュメモリは,電源を切っても内容が消えない不揮発性の半導体メモリで,データの消去を電気的に,ブロック単位でまとめて行う。USB メモリや SD カード,SSD に使われる。エが正しい。

アは SRAM の特徴で,高速に書換えができるのでキャッシュメモリに使われる。イは,紫外線で全内容を消去できる EPROM(UV-EPROM)。ウは,周期的に再書込み(リフレッシュ)が必要な DRAM の特徴である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

音声を標本化周波数10 kHz,量子化ビット数16ビットで4秒間サンプリングして音声データを取得した。この音声データを,圧縮率1/4 の ADPCM を用いて圧縮した場合のデータ量は何 k バイトか。ここで,1 k バイトは1,000バイトとする。

正解 イ

解説

標本化周波数が 10 kHz なので1秒間に 10,000 回標本化し,量子化ビット数が16ビット(2バイト),4秒間なので,圧縮前のデータ量は 10,000×2×4=80,000 バイト=80 k バイトである。圧縮率 1/4 の ADPCM で圧縮すると 80×1/4=20 k バイトになる。イが正しい。

ウ(80)は圧縮前のデータ量,エ(160)はビットをバイトに換算せず 16 ビットのまま求めた値(80 k バイトの2倍)である。ア(10)は圧縮後の 20 k バイトの半分で,この問題の計算には現れない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

次の条件を満足する論理回路はどれか。

〔条件〕

階段の上下にあるスイッチ A 又は B で,一つの照明を点灯・消灯する。すなわち,一方のスイッチの状態にかかわらず,他方のスイッチで照明を点灯・消灯できる。

スイッチ A とスイッチ B を入力とし,論理回路を通して出力(照明)を得る構成図。

正解 エ

解説

階段の上下どちらのスイッチでも照明を切り替えられるようにするには,一方のスイッチの状態がどうであっても,他方のスイッチを操作したら出力が必ず反転する必要がある。この性質をもつのは排他的論理和(XOR)で,入力の一方を変えると出力が必ず変わる。エが正しい。

アの AND やウの NOR では,一方のスイッチの状態によっては他方を操作しても出力が変わらない。イの NAND も同様で,例えば AND では一方が0のとき他方をどう変えても出力は0のままになる。

2つのスイッチで照明を切り替える(XOR) どちらのスイッチを操作しても照明が切り替わるには,一方を変えたら出力が必ず反転する必要がある。排他的論理和は,入力の一方を変えると出力が必ず変わる。AND・NAND・NOR は,もう一方が決まった値だと出力が変わらない。 A B AND NAND NOR XOR 0 0 0 1 1 0 0 1 0 1 0 1 1 0 0 1 0 1 1 1 1 0 0 0 XOR は A・B どちらを1つ変えても 0 と 1 が入れ替わる
どちらを変えても出力が反転するのは XOR だけ

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

Web ページの設計の例のうち,アクセシビリティを高める観点から最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

色の違いを見分けにくい利用者や,画面読上げソフトを使う利用者には,色で強調しただけでは入力が必須であることが伝わらない。項目名の隣に“(必須)”などと文字で明記すれば,色に頼らずに情報が伝わるので,ウが適切である。

アの音声の自動再生は,画面読上げソフトの音声を妨げたり,利用者が止められなかったりするので避ける。イの表組みをレイアウトに使うと,読上げの順序が崩れて内容が伝わりにくくなる。エの alt 属性には,URL ではなくリンク先の内容や画像の意味を説明する文を記述する。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

動画や音声などのマルチメディアコンテンツのレイアウトや再生のタイミングを XML フォーマットで記述するための W3C 勧告はどれか。

正解 ウ

解説

SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)は,動画・音声・静止画・テキストなどをどこに配置し,どのタイミングで再生するかを XML で記述するための W3C 勧告。ウが正しい。

アの Ajax は非同期通信で画面を部分更新する Web の実装手法で W3C 勧告ではない。イの CSS は文書の見た目を指定するスタイルシート言語。エの SVG はベクター画像を XML で記述する形式で,どちらも再生のタイミングを扱うものではない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

データベースの3層スキーマ構造に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

データベースの 3 層スキーマ構造は,外部スキーマ,概念スキーマ,内部スキーマの 3 つに分かれる。外部スキーマは,利用者やアプリケーションから見たデータの見方を表現する。イが正しい。

アの概念スキーマは,データ全体の論理的な構造を表現する。ウの内部スキーマは,データの物理的な格納方法を表現する。エの“物理スキーマ”は,3 層スキーマの名称にはなく,物理的関係を表現するのは内部スキーマである。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

B+木インデックスが定義されている候補キーを利用して,1件のデータを検索するとき,データ総件数 X に対する B+木インデックスを格納するノードへのアクセス回数のオーダを表す式はどれか。

正解 イ

解説

B+木は,1つのノードが多数の枝をもつ平衡木で,どの葉までの深さも等しくなるように保たれる。候補キーで1件を検索するときのノードへのアクセス回数は木の高さに等しく,データ件数 X に対して木の高さは log X に比例する。イが正しい。

アの √X はデータをブロックに分けて順に探す場合などのオーダ。ウの X は先頭から順に調べる線形探索のオーダ。エの X! は順列の総数で,探索の計算量として現れる値ではない。

B+木の高さとアクセス回数 B+木は1つのノードが多数の枝をもつ平衡木で,葉までの深さはどこも同じ。1件を探すときのアクセス回数は木の高さで決まる。1ノードの枝の数を m とすると,高さ h で m^h 件まで扱えるので,データ件数 X に対して高さは log X に比例する。 根 1 中間 2 葉 3 根から葉まで3回のアクセスで1件にたどり着く 枝が3本なら3段で 3³=27 件。件数が3倍でも1段増えるだけ
件数が m 倍になっても高さは1段増えるだけ(log X)

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

関係データベースにおける実表と導出表に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

関係データベースの実表は,実際にデータが格納されている表である。導出表は,実表に対する射影,選択,結合などの関係演算によって得られる表で,ビュー表がその例である。アが正しい。

イは,導出表はデータの参照にだけ使うわけではなく,条件によっては更新にも使えるので誤り。ウは,導出表は複数の実表から得られるものに限らず,1 つの実表の射影や選択からも得られる。エは,導出表は元の実表の列だけから成るとは限らず,集計結果や計算式で求めた列を含められる。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

“サッカーチーム”表と“審判”表から,条件を満たす対戦を導出する SQL 文の a に入れる字句はどれか。

〔条件〕

“サッカーチーム”表はチーム名 X,Y,Z の3行。“審判”表は氏名と所属チーム名の組で,佐藤健太は X,鈴木翔太は Y,髙橋拓也は Z。導出する“対戦”表は出場チーム1,出場チーム2,審判氏名の3列で,X と Y は髙橋拓也,X と Z は鈴木翔太,Y と Z は佐藤健太。

〔SQL 文〕

SELECT A.チーム名 AS 出場チーム1,B.チーム名 AS 出場チーム2,
    C.氏名 AS 審判氏名
  FROM サッカーチーム AS A,サッカーチーム AS B,審判 AS C
  WHERE A.チーム名 < B.チーム名 AND a

正解 イ

解説

条件は,出場チーム 1 の名前が出場チーム 2 より先であること(A.チーム名<B.チーム名)に加え,審判 C が,出場する 2 チームのどちらにも所属しないこと。審判の所属チーム名が,対戦する 2 チームの名前のどちらとも異なる,という条件は,C.所属チーム名 NOT IN (A.チーム名,B.チーム名) と書ける。イが正しい。例えば X 対 Y の対戦には,所属が X でも Y でもない髙橋拓也(Z)だけが残る。

アは,A とも B とも異なる,という条件を OR でつないでいる。A≠B なので,どの審判もどちらかの条件を満たし,所属チームの対戦も除外されない。ウは,副問合せの D が審判 C と結び付いておらず,A とも B とも異なる所属の審判が存在すれば条件が成り立つので,C を絞り込めない。エは,副問合せの D が C と結び付いていない上に,対戦するチームの所属審判が存在するため,NOT EXISTS は常に偽になり,1 行も得られない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

DBMS をシステム障害発生後に再立上げするとき,ロールフォワードすべきトランザクションとロールバックすべきトランザクションの組合せとして,適切なものはどれか。ここで,トランザクションの中で実行される処理内容は次のとおりとする。

トランザクションとデータベースに対する Read 回数と Write 回数の表。T1,T2 は Read 10,Write 20。T3,T4 は Read 100。T5,T6 は Read 20,Write 10。
6 本のトランザクションの実行期間を時間軸に沿って示した図。T1 はチェックポイントの前にコミット済み。T2 と T5 はチェックポイントをまたいで実行され,障害発生前にコミットされている。T3 と T6 はチェックポイントの後に開始され,障害発生時点で未コミット。T4 はチェックポイントの前から続いており障害発生時点で未コミット。

正解 ア

解説

システム障害からの再立上げでは,チェックポイント以降にコミットされたトランザクションの更新が主記憶のバッファに残ったまま失われている可能性があるので,ログを使って進め直す(ロールフォワード)。図で該当するのはチェックポイントをまたいでコミットした T2 と T5。一方,障害時点で未コミットのトランザクションは中途半端な更新を取り消す(ロールバック)が,これが要るのは実際に書込みを行ったものだけである。

未コミットなのは T3,T4,T6 だが,表を見ると T3 と T4 は Read 100 だけで Write がないので,取り消すべき更新がなくロールバックは不要。書込みのある T6 だけがロールバックの対象になる。T1 はチェックポイント前にコミットしており,その時点で更新が確定しているので何もしなくてよい。したがってアが正しい。

システム障害からの回復:トランザクションの振り分け T1 はチェックポイントより前にコミットしているので何もしない。T2 と T5 はチェックポイントの後,障害の前にコミットしたのでロールフォワード。未コミットの T3・T4・T6 のうち,T3 と T4 は読むだけで書込みがないので取り消すものがなく,ロールバックするのは T6 だけ。 チェックポイント 障害 T1 何もしない T2 ロールフォワード T3 なし(読むだけ) T4 なし(読むだけ) T5 ロールフォワード T6 ロールバック コミット 破線:障害の時点でまだ終わっていない 更新(Write)のないトランザクションは取り消すものがない
未コミットでも,書込みのないトランザクションはロールバック不要

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

ルータの機能に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ルータは,OSI 基本参照モデルのネットワーク層で動作し,パケットの宛先 IP アドレスを見て経路表からデータの転送経路を決定する。データリンク層より下の伝送媒体やアクセス制御方式が異なるネットワーク同士も接続できる。エが適切である。

アの MAC アドレステーブルによってポートへの中継を判断するのはスイッチングハブ(ブリッジ)。イのデータリンク層でネットワーク同士を接続するのはブリッジ。ウのトランスポート層からアプリケーション層までの階層でプロトコル変換を行うのはゲートウェイの説明である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

TCP/IP ネットワークにおける ARP の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ARP(Address Resolution Protocol)は,通信相手の IP アドレスは分かっているが MAC アドレスが分からないときに,同じネットワーク上へ問合せをブロードキャストして MAC アドレスを得るプロトコル。アが正しい。

イの誤り制御や到達不能の通知を行うのは ICMP。ウのホップ数で経路を制御するのは RIP などのルーティングプロトコル。エの動的な IP アドレスの割当ては DHCP である。

ARP で MAC アドレスを調べる PC A が 192.168.1.20 の MAC アドレスを知りたいとき,「この IP アドレスの人は MAC アドレスを教えて」という ARP 要求をブロードキャストで LAN 全体に送る。その IP アドレスをもつ機器だけが ARP 応答で自分の MAC アドレスを返し,PC A は ARP キャッシュに覚える。宛先が別のネットワークにあるときは,デフォルトゲートウェイ(ルータ)の MAC アドレスを調べてルータに渡す。 PC A 192.168.1.10 PC B 192.168.1.15 サーバ C 192.168.1.20 ルータ 192.168.1.1 ① ARP 要求(ブロードキャスト) 「192.168.1.20 の人,MAC アドレスを教えて」 ② ARP 応答(サーバ C だけが返す) 「MAC アドレスは 00-1B-…」 別のネットワーク宛てなら,ルータ(.1)の MAC を調べて渡す
要求はブロードキャスト(ルータを越えない),応答はその1台からだけ

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

IP アドレス208.77.188.166は,どのアドレスに該当するか。

正解 ア

解説

IP アドレス 208.77.188.166 は,プライベートアドレス(10.0.0.0〜10.255.255.255,172.16.0.0〜172.31.255.255,192.168.0.0〜192.168.255.255)にも,マルチキャストアドレス(224.0.0.0〜239.255.255.255)にも含まれない。ブロードキャストアドレスはホスト部のビットが全て 1 のアドレスだが,これも該当しない。インターネット上で一意に割り当てられるグローバルアドレスで,アが正しい。

イはプライベートアドレスの範囲,エはクラス D(224〜239)の範囲に当たらないので誤り。ウは,ネットワーク内の全ホストに宛てる特殊なアドレスで,この値は該当しない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

TCP,UDP のポート番号を識別し,プライベート IP アドレスとグローバル IP アドレスとの対応関係を管理することによって,プライベート IP アドレスを使用する LAN 上の複数の端末が,一つのグローバル IP アドレスを共有してインターネットにアクセスする仕組みはどれか。

正解 ウ

解説

NAPT(Network Address Port Translation)は,IP アドレスに加えて TCP,UDP のポート番号も変換し,プライベート IP アドレスとポート番号の組と,グローバル IP アドレスとポート番号の組との対応を管理する。これにより,LAN 上の複数の端末が一つのグローバル IP アドレスを共有してインターネットにアクセスできる。ウが該当する。

アの IP スプーフィングは送信元 IP アドレスを偽装する攻撃,イの IP マルチキャストは特定のグループの複数の宛先に同時にデータを送る通信方式,エの NTP は機器の時刻を同期させるプロトコルである。

NAPT のアドレス変換 PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。 PC 192.168.1.10 ルータ NAPT Web 198.51.100.5 送信元 .10:5000 送信元 .1:60001 宛先 203.0.113.1:60001 宛先 .10:5000 対応表 内側(プライベート) 外側(グローバル) 192.168.1.10 : 5000 203.0.113.1 : 60001 応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」 外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

他のコンピュータ上にあるデータの取出しやサービスの呼出しを行うためのプロトコルであり,メッセージが XML で記述されたヘッダとボディで構成されているものはどれか。

正解 エ

解説

SOAP は,他のコンピュータ上にあるデータの取出しやサービスの呼出しを行うためのプロトコルで,メッセージを XML で記述し,エンベロープの中にヘッダとボディをもつ構造になっている。主に HTTP の上で使われ,Web サービスの呼出しに用いられる。エが正しい。

アの CORBA は,異なる環境のオブジェクト間の通信を実現する分散オブジェクト技術の仕様で,メッセージは XML で記述しない。イの DCOM は,マイクロソフトの分散オブジェクト技術。ウの SIP は,IP 電話などでセッションの確立や切断を行うためのプロトコルで,テキスト形式のメッセージを用いる。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

IPv6 において,拡張ヘッダを利用することによって実現できるセキュリティ機能はどれか。

正解 イ

解説

IPv6 では,基本ヘッダの後ろに必要に応じて拡張ヘッダを連ねる構造になっている。このうち ESP(Encapsulating Security Payload)ヘッダを使うとペイロードを暗号化でき,認証ヘッダ(AH)と合わせて IPsec の機能を IP 層で実現できる。イが正しい。

アの URL フィルタリングはアプリケーション層で URL を見て制御するもの,ウのウイルス検疫やエの情報漏えい検知も上位層で内容を検査する仕組みで,いずれも IP の拡張ヘッダで実現できるものではない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

ISP “A”管理下のネットワークから別の ISP “B”管理下の宛先に SMTP で電子メールを送信する。電子メール送信者が SMTP-AUTH を利用していない場合,スパムメール対策 OP25B によって遮断される電子メールはどれか。

正解 エ

解説

OP25B(Outbound Port 25 Blocking)は,ISP が管理下の動的 IP アドレスから,ISP のメールサーバを経由せずに外部のメールサーバのポート番号 25 へ直接送る SMTP 通信を遮断する対策である。したがって,ISP“A”の動的 IP アドレスから ISP“A”のメールサーバを経由せずに送信された電子メールが遮断される。エが該当する。

ウの ISP“A”のメールサーバを経由した電子メールは遮断されない。ア,イの固定 IP アドレスからの送信は,通常 OP25B の対象外である。受信者の承諾を得ていない広告メールや,逆引きできない送信元の判定は OP25B の仕組みではない。

OP25B とサブミッションポート,IP25B ISP A の動的 IP アドレスの PC が,宛先のメールサーバへ25番ポートで直接送る通信は,ISP A の出口で止められる(OP25B)。PC は自分の ISP のメールサーバへサブミッションポート(587番)で接続し,SMTP-AUTH で認証を受けてから送る。メールサーバどうしの転送は25番を使う。IP25B は,他社 ISP の動的 IP アドレスから自社のメールサーバへ入ってくる25番の通信を止める。 ISP A のネットワーク PC 動的 IP アドレス ISP A の メールサーバ 宛先の メールサーバ 587番 SMTP-AUTH 25番 25番で直接送る OP25B IP25B:入ってくる側で止める 他社 ISP の PC 動的 IP アドレス ISP A の メールサーバ 25番で直接届けようとする通信を止める
OP25B は自社の動的 IP から外へ出る25番を,IP25B は他社の動的 IP から入ってくる25番を止める

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

チャレンジレスポンス認証方式の特徴はどれか。

正解 エ

解説

チャレンジレスポンス認証では,サーバが毎回異なるランダムなデータ(チャレンジ)をクライアントに送り,クライアントはチャレンジと利用者が入力したパスワードからハッシュ関数などで計算した値(レスポンス)を返す。サーバも登録されたパスワードで同じ計算をして結果を照合する。パスワードそのものはネットワークに流れず,レスポンスも毎回変わるので,盗聴や再送攻撃に強い。エが適切である。

アは通信路を暗号化して固定パスワードを送るだけで,チャレンジを使っていない。イは端末のシリアル番号を暗号化して送るもので,毎回同じ値になる。ウは時刻同期方式のワンタイムパスワードで,値は毎回変わるがサーバからのチャレンジを受け取っていない点が異なる。

チャレンジレスポンス認証 サーバは毎回違うランダムな値(チャレンジ)を送り,クライアントはチャレンジとパスワードからハッシュ値(レスポンス)を計算して返す。サーバも同じ計算をして一致すれば認証する。パスワードそのものはネットワークに流れず,チャレンジが毎回違うので,盗聴したレスポンスを使い回しても通らない。 クライアント サーバ ① チャレンジ(毎回違う乱数) ② レスポンス=hash(チャレンジ+パスワード) ③ サーバも同じ計算をして一致すれば認証 パスワードそのものは流れない
パスワードは流れない。チャレンジが毎回違うので,盗んだ値は使い回せない

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

データベースで管理されるデータの暗号化に用いることができ,かつ,暗号化と復号とで同じ鍵を使用する暗号化方式はどれか。

正解 ア

解説

暗号化と復号で同じ鍵を使う方式は共通鍵暗号方式で,AES はその代表的な方式(米国政府の標準暗号)。処理が速く,データベースで管理するデータの暗号化にも使える。アが正しい。

イの PKI は,公開鍵と証明書を管理する基盤で,暗号方式そのものではない。ウの RSA は公開鍵暗号方式で,暗号化と復号に別の鍵を使う。エの SHA-256 はハッシュ関数で,元のデータに戻す復号はできない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

リスクベース認証の特徴はどれか。

正解 エ

解説

リスクベース認証は,利用者のアクセス元の IP アドレスや端末,利用時間帯などから,普段と異なる環境からのアクセスかどうかを判断してリスクを評価する方式である。普段と異なると判断したときだけ,追加の本人認証を求めることで,普段は利便性を保ちつつ不正アクセスに対抗できる。エが正しい。

アは,認証情報を忘れた利用者を救済する話に偏っていて,リスクを評価する仕組みの特徴ではない。イは,環境によらず認証方法を変えないので,リスクに応じて認証を強化するという考えと逆である。ウは,環境によらず常に二つの認証方式を併用する多要素認証の説明である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

アクセス制御に用いる認証デバイスの特徴に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

虹彩の模様は生後2年ほどで完成し,その後は生涯ほとんど変化しない。したがって成人の虹彩認証では,登録したパターンを更新する必要がほとんどない。

アは誤りで,ディジタル証明書に接続先 PC の MAC アドレスを組み込む必要はなく,組み込めば他の PC で使えなくなる。ウも誤りで,静電容量方式は指の凹凸による静電容量の差を読む方式なので照明の影響を受けない。エも誤りで,コイルの誘導起電力で給電されるのは非接触型 IC カードであり,接触型は端子から直接給電される。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

OpenPGP や S/MIME において用いられるハイブリッド暗号方式の特徴はどれか。

正解 イ

解説

ハイブリッド暗号方式は,本文そのものは処理の速い共通鍵暗号方式で暗号化し,その共通鍵だけを受信者の公開鍵で暗号化して一緒に送る方式。公開鍵暗号の「鍵を安全に配れる」利点と,共通鍵暗号の「大量のデータを速く処理できる」利点の両方を得られる。イが正しい。

アは通信路の暗号化方式を選べるという話で,OpenPGP や S/MIME の仕組みとは別。ウの共通鍵暗号どうしの組合せでは鍵配送の問題が解決しない。エの公開鍵暗号どうしの組合せでは処理性能の問題が残る。

鍵の数とハイブリッド暗号 共通鍵暗号では,n 人が互いに秘密に通信するには2人の組ごとに鍵が要り,n(n−1)÷2 本になる。4人なら6本,100人なら4,950本。公開鍵暗号では1人が公開鍵と秘密鍵の1組を持てばよく,2n 本(100人なら200本)。ハイブリッド暗号では,データは速い共通鍵暗号で暗号化し,その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して一緒に送る。 共通鍵:4人で6本 n(n−1)÷2 本 公開鍵:1人1組 2n 本(公開鍵と秘密鍵) 100人なら 共通鍵 4,950本 / 公開鍵 200本 ハイブリッド暗号 データ 共通鍵で暗号化(速い) 暗号文 共通鍵 受信者の公開鍵で暗号化 暗号化した共通鍵 受信者は秘密鍵で共通鍵を取り出し,データを復号する
鍵の配り方は公開鍵暗号で,データの暗号化は速い共通鍵暗号で

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

受信した電子メールの送信元ドメインが詐称されていないことを検証する仕組みである SPF(Sender Policy Framework)の特徴はどれか。

正解 イ

解説

SPF(Sender Policy Framework)は,送信元ドメインの DNS に,そのドメインのメールを送信してよいメールサーバの IP アドレスを登録しておく。受信側のメールサーバは,受信メールの送信元 IP アドレスと,送信元ドメインの DNS に登録された IP アドレスを照合して,ドメインが詐称されていないかを検証する。イが正しい。

アとウは,DNSBL(ブラックリストを DNS で検索する仕組み)への照会で,SPF の方法ではない。エは,ハッシュ値を電子メールに添付して照合する方法で,電子署名を使う DKIM のような方式の説明であり,SPF では受信者の PC でなく受信側のメールサーバが検証する。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

サンドボックス機構に該当するものはどれか。

正解 エ

解説

サンドボックスは,不正な動作をするおそれのあるプログラムを,他の領域から隔離された特別な領域(砂場)の中で動作させ,システムの他の部分に悪影響が及ばないようにする仕組みである。不審なファイルを実行してその振る舞いを観察するマルウェア検知にも使われる。エが該当する。

アは多様な機器のログを集めて分析する SIEM。イは入力データ中の HTML タグや SQL 文などの特殊な文字を無害な文字列に置き換えるサニタイジング(エスケープ処理)。ウは Web サーバの前段でリクエストを代理で受けるリバースプロキシの説明である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

脆弱性検査手法の一つであるファジングはどれか。

正解 イ

解説

ファジング(fuzzing)は,極端に長い文字列や想定外の値など,問題を引き起こしそうなデータを大量に多様なパターンで入力し,異常終了や想定外の動作が起きないかを観察して脆弱性を見つける手法。仕様やソースコードが分からなくても実施できる。イが正しい。

アはバージョンやパッチの適用状況を確かめる検査,ウはソースコードを解析する静的解析,エはセキュリティアドバイザリなどの情報を基に該当する脆弱性がないかを調べる検査で,いずれもファジングではない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

UML のユースケース図の説明はどれか。

正解 ウ

解説

ユースケース図は,システムを利用する人や外部システム(アクタ)と,システムが提供する機能(ユースケース)との関係を線で結んで表す図。システムの外側から見た振る舞いを示すのに使う。ウが正しい。

アは状態マシン図,イはクラス図の説明。エのデータの流れに注目して機能を表すのは DFD で,UML の図ではない。

UML のおもな図の使い分け シーケンス図はオブジェクト間のメッセージを時間の順に,コミュニケーション図はオブジェクトのつながりに注目して相互作用を表す。ユースケース図はアクタとシステムの機能の関係(システムの範囲),アクティビティ図は処理の流れ(分岐・並行・同期),状態マシン図は1つのオブジェクトの状態の移り変わり,クラス図は静的な構造,オブジェクト図はある時点のインスタンスのつながりを表す。 図 表すもの シーケンス図 メッセージを時間の順に コミュニケーション図 オブジェクトのつながりと相互作用 ユースケース図 アクタと機能,システムの範囲 アクティビティ図 処理の流れ(分岐・並行・同期) 状態マシン図 1つのオブジェクトの状態の遷移 クラス図 クラスと関連(静的な構造) オブジェクト図 ある時点のインスタンスとリンク
時間の順はシーケンス図,範囲はユースケース図,業務の流れはアクティビティ図

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

オブジェクト指向言語のクラスに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

オブジェクト指向では,オブジェクトに共通する性質(属性と操作)を定義したものがクラスである。クラスを集めたものがクラスライブラリで,再利用の単位になる。イが正しい。

アは,インスタンス変数は個々のインスタンスごとに別の値を保存するもので,クラス全体で共有するのはクラス変数なので誤り。ウは,メソッドはデータではなく処理(手続)であり,共有データではない。エは,継承の向きが逆で,サブクラスがスーパクラスの性質を継承する。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

JIS X 0160におけるソフトウェア実装プロセスの下位レベルのプロセスのうち,次のタスクを実施するものはどれか。

〔タスク〕

正解 エ

解説

共通フレーム(SLCP-JCF)や JIS X 0160 のソフトウェア実装プロセスでは,ソフトウェア要件定義の後のソフトウェア方式設計プロセスで,ソフトウェア品目の要件を最上位レベルの構造に変換する。外部インタフェースとソフトウェアコンポーネント間のインタフェース,データベースについて最上位レベルの設計を行い,ソフトウェア結合のための暫定的なテスト要求事項やスケジュールを定義する。エが正しい。

ウのソフトウェア詳細設計プロセスは,コンポーネントをさらにコーディングできる単位まで詳細化して設計する。イのソフトウェア構築プロセスは,ソフトウェアユニットを作成(コーディング)してテストする。アのソフトウェア結合プロセスは,ユニットやコンポーネントを結合してテストする。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

ソフトウェアを保守するときなどに利用される技術であるリバースエンジニアリングに該当するものはどれか。

正解 ア

解説

リバースエンジニアリングは,既存のソースプログラムなどを解析して,その構造や仕様を読み取り,設計書や仕様書などの上位の表現を得る技術である。ドキュメントの残っていないソフトウェアを保守するときなどに使われる。アが該当する。

イは,修正の影響が及ぶ範囲を調べる影響分析(インパクト分析)である。ウは,機能を変えずにプログラムを構造化された形に変換するリストラクチャリング,エは,外部から見た動作を変えずにプログラムを分かりやすく書き換えるリファクタリングに当たり,いずれも同じ抽象度のままでの変換であって,上位の仕様を得るリバースエンジニアリングではない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

自社開発したソフトウェアの他社への使用許諾に関する説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

使用許諾(ライセンス)は,著作権者が自分の著作物を他人に使わせることを認める行為。特許で保護された技術を使っているかどうかとは関係なく,著作権をもっていれば使用を許諾できる。アが正しい。

イは,自社製品に組み込んで販売していてもソフトウェアの著作権は自社にあるので,単体でも許諾できる。ウも,ハードウェアと組み合わせた特許を取得していることと,ソフトウェアの著作権を許諾することとは別の話。エは,ソースコードを無償で提供しただけではオープンソースソフトウェアにはならず,改変や再頒布の自由を認めるライセンスを付けて初めてそう呼べる。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

PMBOK の統合変更管理プロセスにおいて,プロジェクトのプロダクト,サービス,所産,構成要素などに対する変更と実施状況を記録・報告したり,要求事項への適合性を検証する活動を支援したりする活動はどれか。

正解 イ

解説

コンフィギュレーション・マネジメント(構成管理)は,プロダクトやサービス,構成要素に対する変更をどう行い,実施状況をどう記録・報告するかを管理する活動。要求事項への適合性を検証する活動を支えるのもこの一部で,PMBOK の統合変更管理プロセスの中で行われる。イが正しい。

アのアーンド・バリュー・マネジメントは出来高とコスト・スケジュールを比較する測定手法。ウのコンフリクト・マネジメントは対立の解消に関する手法。エのポートフォリオマネジメントは,複数のプログラムやプロジェクトを組織の戦略に沿って選び,資源を配分する活動である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

あるプロジェクトの作業が図のとおり計画されているとき,最短日数で終了するためには,作業 H はプロジェクトの開始から遅くとも何日後に開始しなければならないか。

アローダイアグラム。結合点1から2へ作業A(8日),1から3へB(5日),1から5へC(12日)。2から4へD(10日),2から7へF(8日)。3から4へE(9日)。4から7へG(12日)。4から5へダミー作業。5から6へH(5日)。6から7へI(4日)。

正解 エ

解説

まず最短日数を求める。作業を最も早く始められる日を順にたどると,A は8日目,B は5日目に終わる。D と E が合流する結合点は,A→D の 8+10=18日と B→E の 5+9=14日のうち遅い18日。H の手前の結合点には C の12日とダミー作業経由の18日が入るので18日で,H が終わるのは 18+5=23日。終了の結合点には F 経由 8+8=16日,G 経由 18+12=30日,I 経由 23+4=27日が入り,最短日数は最も遅い30日になる。

次に,30日で終えるための H の最も遅い開始日を終点から逆にたどる。30日から I の4日を引くと H は26日目までに終えればよく,さらに H の5日を引くと H の開始は21日目まで遅らせられる。エが正しい。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

過去のプロジェクトの開発実績から構築した作業配分モデルがある。システム要件定義からシステム内部設計までをモデルどおりに進めて228日で完了し,プログラム開発を開始した。現在,200本のプログラムのうち100本のプログラム開発を完了し,残りの100本は未着手の状況である。プログラム開発以降もモデルどおりに進捗すると仮定するとき,プロジェクトの完了まで,あと何日掛かるか。ここで,各プログラムの開発に掛かる工数及び期間は,全てのプログラムで同一であるものとする。

〔作業配分モデル〕

作業配分モデルの表。工数比は,システム要件定義0.17,システム外部設計0.21,システム内部設計0.16,プログラム開発0.16,システム結合0.11,システムテスト0.19。期間比は,システム要件定義0.25,システム外部設計0.21,システム内部設計0.11,プログラム開発0.11,システム結合0.11,システムテスト0.21。

正解 イ

解説

期間比で見ると,システム要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11 の合計 0.57 が 228 日に当たるので,全体の期間は 228÷0.57=400 日。プログラム開発は 400×0.11=44 日で,200 本中 100 本が終わっているので残りは 22 日。システム結合は 400×0.11=44 日,システムテストは 400×0.21=84 日。残りの合計は 22+44+84=150 日。

工数比の列は,人員をどう割り振るかを見るための値で,期間の計算には使わない。工数比で同じ計算をすると別の値になるので,どちらの比を使うかを取り違えないことが要点。

作業配分モデルで残りの日数を求める 期間比で考える。要件定義から内部設計までの期間比は 0.25+0.21+0.11=0.57 で,これが 228 日にあたるので,全体は 228÷0.57=400 日。残りはプログラム開発の半分(0.11÷2),システム結合 0.11,システムテスト 0.21 で,期間比 0.375,つまり 400×0.375=150 日。 要件 0.25 外部 0.21 内部 0.11 PG PG 結合 0.11 テスト 0.21 0.11 0.57 → 228 日(全体 400 日) 残り 0.375 400 × 0.375 = 150 日
日数は期間比で計算する。工数比は使わない

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

PMBOK によれば,脅威となるマイナスのリスクと,好機となるプラスのリスクの,どちらのリスクに対しても採用される戦略はどれか。

正解 ウ

解説

PMBOK ガイド第 5 版では,脅威となるマイナスのリスクへの対応戦略として回避,転嫁,軽減,受容を,好機となるプラスのリスクへの対応戦略として活用,共有,強化,受容を挙げている。両方に共通するのは受容で,リスクを認めたうえで,あえて積極的な対策をとらずに,発生した場合に備える戦略である。ウが正しい。

アの回避とエの転嫁は脅威にだけ使う戦略。イの共有は,好機を最も生かせる第三者と好機を分け合う戦略で,好機にだけ使う。

リスクへの対応の戦略 マイナスのリスク(脅威)には,回避(原因を取り除く・計画を変える),転嫁(保険や契約で第三者に移す),軽減(確率や影響を下げる),受容(何もしないか予備を持つ)。プラスのリスク(好機)には,活用(確実に起こす),共有(能力のある第三者と組む),強化(確率や影響を上げる),受容。 脅威(マイナス) 好機(プラス) なくす/確実に 回避 活用 他者へ 転嫁(保険など) 共有(組む) 小さく/大きく 軽減 強化 何もしない 受容 受容 保険を掛けるのは転嫁,計画を変えて避けるのは回避
脅威は回避・転嫁・軽減・受容,好機は活用・共有・強化・受容

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

JIS Q 20000-1 は,サービスマネジメントシステム(SMS)及びサービスのあらゆる場面で PDCA 方法論の適用を要求している。SMS の実行(Do)の説明はどれか。

正解 ウ

解説

JIS Q 20000-1:2012 の PDCA 方法論では,計画(Plan)で SMS を確立し,文書化し,合意する。実行(Do)では,サービスの設計,移行,提供及び改善のために SMS を導入し,運用する。点検(Check)では,方針,目的,計画及びサービスの要求事項について SMS 及びサービスを監視,測定及びレビューし,結果を報告する。処置(Act)では,SMS 及びサービスのパフォーマンスを継続的に改善するための処置を実施する。

ウが実行(Do)に当たる。アは処置(Act),イは計画(Plan),エは点検(Check)の説明である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

IT サービスマネジメントにおいて,災害による重大なサービス停止に関する事業影響度分析は,どのプロセスで実施するか。

正解 イ

解説

災害による重大なサービス停止に備えるには,サービスが停止したときに事業が受ける影響の大きさや,許容できる停止時間を事業影響度分析(BIA)で明らかにし,それを基にサービス継続計画を作る。JIS Q 20000-1:2012 では,これはサービス継続及び可用性管理プロセスで実施する活動なので,イが該当する。

アのインシデント及びサービス要求管理は発生したインシデントからの迅速な復旧,ウのサービスレベル管理は顧客とのサービスレベルの合意と監視,エの問題管理はインシデントの根本原因の特定と再発防止を行うプロセスであり,災害に備えた事業影響度分析は行わない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

次の処理条件で磁気ディスクに保存されているファイルを磁気テープにバックアップするとき,バックアップの運用に必要な磁気テープは最少で何本か。

〔処理条件〕

正解 ウ

解説

処理条件 (3) から,常に 6 か月前の同一日以降の任意の日の状態に復元できなければならない。ある日の状態に復元するには,その月の 1 日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が必要である。

例えば本日が 10 月 31 日なら,4 月 30 日以降の日を復元できる必要があるので,4 月から 10 月までの 7 か月分のフルバックアップと差分バックアップを保管しておかなければならない。本日が 10 月 1 日でフルバックアップを取った後でも,4 月 1 日以降の復元のために同じく 4 月から 10 月までの 7 か月分が必要になる。

フルバックアップ用が 7 本,差分バックアップ用が 7 本で,合計 14 本となり,ウになる。

バックアップに必要な磁気テープの本数 ある日の状態に戻すには,その月の1日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が要る。6か月前の同じ日以降のどの日にも戻せるようにするには,例えば10月31日なら4月30日以降,つまり4月から10月までの7か月分を残す。フルバックアップ用7本と差分バックアップ用7本で14本。 4月 フル 差分 5月 フル 差分 6月 フル 差分 7月 フル 差分 8月 フル 差分 9月 フル 差分 10月 フル 差分 4月30日〜10月31日のどの日にも戻せる 7か月 × 2本 = 14本 (10月31日なら6か月前は4月30日。4月分のテープも要る)
6か月前の月も含めるので7か月分。月ごとにフルと差分で2本

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム監査人の役割と権限に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

システム監査人は,監査の実施に当たって,システム管理者や被監査部門に,資料の提供や説明など,監査への協力を要請できる。イが正しい。

アは,システム監査は法令で定められた会計監査(公認会計士などによる財務諸表監査)の代わりにはならない。ウの情報セキュリティ方針は,経営者が決定するもので,監査人の権限ではない。エは,監査人は問題点を指摘して改善を勧告するが,被監査部門に改善を命令する権限はない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

システム監査報告書に記載された改善勧告への取組みに対する監査人のフォローアップとして,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

システム監査報告書で改善勧告をした後に,監査人が行うフォローアップは,被監査部門が改善勧告にどう取り組んでいるか,改善が実施されているかを確認することである。イが正しい。

アは,改善の実施を指示するのは,監査人ではなく経営者や被監査部門の責任者であり,監査人の役割でも権限でもない。ウの改善実施プロジェクトの管理と,エの改善実施計画の策定は,改善を行う被監査部門の仕事で,これらを監査人が行うと,監査の独立性が損なわれる。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

金融庁の“財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準”における“IT への対応”に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

金融庁の“財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準”では,IT の統制を,IT 基盤の整備や運用に関わる「IT に係る全般統制」と,個々の業務処理の正確性を確保する「IT に係る業務処理統制」の二つに分けて考えるとしている。イが正しい。

アは,IT 環境には企業を取り巻く社会の IT 利用状況も含まれるので,企業内部に限られない。ウは,自動化されていてもプログラムの設定や運用が適切でなければ有効とはいえない。エは,手作業だけの内部統制でも有効に機能していれば不備とはされない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

SOA の説明はどれか。

正解 エ

解説

SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務システムの機能を利用者から見た意味のある単位(サービス)に分割し,それらを組み合わせてシステムを構築する考え方。業務プロセスの変更に合わせてサービスを組み替えやすく,他システムとの連携も容易になる。

アは ERP,イはフィット&ギャップ分析,ウは BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の説明。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

IT ベンダにおけるソリューションビジネスの推進で用いるバランススコアカードの,学習と成長の KPI の目標例はどれか。ここで,ソリューションとは“顧客の経営課題の達成に向けて,情報技術と専門家によるプロフェッショナルサービスを通して支援すること”とする。

正解 ウ

解説

バランススコアカードの学習と成長の視点は,人材の育成や組織の能力向上など,将来の業績を支える基盤づくりを測る。社内要員30名を IT のプロフェッショナルとして育成するという目標がこれに当たる。ウが正しい。

アの顧客満足度は顧客の視点,イの再利用環境の整備による顧客提案数の増加は内部ビジネスプロセスの視点,エのコンサルティングの受注金額の割合は財務の視点の指標である。

バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ 下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。 財務 売上高を伸ばす 売上高・利益率 顧客 顧客満足度を上げる 顧客満足度・シェア 内部ビジネスプロセス 出荷を速くする 出荷までの日数 学習と成長 専門人材を育てる 育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

BI(Business Intelligence)の活用事例として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

BI(Business Intelligence)は,業務システムなどに日々たまっていく大量のデータを集めて分析し,業績の評価や経営戦略の策定といった意思決定に役立てる仕組みや考え方。イが正しい。

アは他社の公開資料を集める競合分析で,自社に蓄積したデータの分析ではない。ウは e ラーニング,エはワークフローシステムの説明である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

リサイクル法に基づく規制に準拠した使用済 PC の回収・再資源化に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

使用済み PC の回収・再資源化は,資源有効利用促進法に基づいて,メーカや輸入販売業者が行う。家庭から廃棄される PC のうち,PC リサイクルマーク付きのものは,メーカや輸入販売業者の責任で回収・再資源化される。イが正しい。

アは,対象はデスクトップ PC 本体,ノートブック PC に加えて,ディスプレイ(CRT,液晶)も含まれるので誤り。ウは,家庭から廃棄される自作 PC や,倒産したメーカ,輸入販売業者の PC も,PC3R 推進協会が回収・再資源化する仕組みがあり,対象外ではない。エは,企業から廃棄される PC も,メーカによる回収・再資源化の対象になる。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

非機能要件項目はどれか。

正解 エ

解説

非機能要件は,システムが何をするか(機能)ではなく,どのように働くかを定める要件である。可用性・性能・拡張性・運用性・保守性・移行性・セキュリティなど,主にシステム基盤に関わる品質と制約が該当する。エがこれに当たる。

アは業務手順や組織・責任・権限を定める業務要件,イはシステムが備える機能とその実現範囲を定める機能要件である。ウはシステム化の目的や達成目標を示す経営上の要求で,要件を導く前提に当たる。いずれも非機能要件ではない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

“情報システム・モデル取引・契約書”によれば,要件定義工程を実施する際に,ユーザ企業がベンダと締結する契約の形態について適切なものはどれか。

正解 ア

解説

“情報システム・モデル取引・契約書”では,要件定義工程は,何を作るかがまだ固まっておらず,ユーザ側が主体となって決めていく段階なので,成果物の完成を約束する請負契約ではなく,作業の遂行を約束する準委任契約が適切だとしている。アが正しい。

イは,要件定義の仕様の決定権はユーザ側にあるので前提が誤り。ウは,成果物が具体的に想定できないなら請負契約は結べないので逆。エは,ユーザ内のステークホルダとの調整はユーザ側の責任であり,請負契約にすべき理由にはならない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

ベンチマーキングを説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

ベンチマーキングは,優れた業績を上げている企業や他業種の優良事例と自社を比較し,どこにどれだけ差があるかを分析して,自社の経営改革に活かす手法。ウが正しい。

アはナレッジマネジメント,イはフラット型組織による経営,エはコアコンピタンス経営の説明である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

アンゾフが提唱する成長マトリクスを説明したものはどれか。

正解 イ

解説

アンゾフの成長マトリクスは,製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の2軸で事業拡大の方向性を四つに分け,市場浸透・製品開発・市場開拓・多角化のどれを採るかを検討する枠組み。イが正しい。

アは SWOT 分析,ウは PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント),エはプロダクトライフサイクルに基づく製品戦略の説明である。

アンゾフの成長マトリクス 製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の組合せで成長の戦略を4つに分ける。既存の製品を既存の市場でもっと売るのが市場浸透,既存の製品を新しい市場に売るのが市場開拓(新市場開拓),新しい製品を既存の市場に出すのが製品開発(新製品開発),新しい製品で新しい市場に出るのが多角化。 製品 既存 新規 市場 既存 新規 市場浸透 今の製品を今の市場で 製品開発 新しい製品を今の市場に 市場開拓 今の製品を新しい市場に 多角化 新しい製品で新しい市場へ
製品と市場のどちらを新しくするか

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

RFM 分析において,特に R(Recency)と F(Frequency)をそれぞれ三つに分類した。表の各セルに対する考察のうち,適切なものはどれか。

RFM 分析の表。列は Frequency で,20回以上,19〜5 回,4回以下の三つ。行は Recency で,60日以内,61〜120 日,121日以上の三つ。各セルは60日以内の行が左から AA,AB,AC,61〜120 日の行が BA,BB,BC,121日以上の行が CA,CB,CC。

正解 ウ

解説

RFM 分析は,最後に購入した時点(Recency)と,購入の頻度(Frequency),購入金額(Monetary)で顧客を分類する分析である。CA は,Recency が 121 日以上と最後に購入してから長くたち,頻度は 20 回以上と以前はよく購入していた顧客の分類である。この層は,最近は購入せず,離反しているおそれがあるので,離反していないかを調査することが重要になる。ウが正しい。

アの AA は,最近も頻繁に購入している優良顧客で,再購入を促すより,優良顧客の関係を維持する施策が重要になる。イの AC は,最近購入しているが頻度は低いので,新規顧客などに当たり,コストを掛けて再購入を促し,頻度を上げる施策が重要になる。エの CC は,最近購入せず,頻度も低い顧客で,個人的なおもてなしにコストを掛けるべき層ではない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

技術経営における課題のうち,“死の谷”を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

技術経営では,研究開発の成果が事業として実を結ぶまでの難所を,研究から開発へ進む際の“魔の川”,開発から事業化へ進む際の“死の谷”,事業化から産業化へ進む際の“ダーウィンの海”と呼び分ける。死の谷は,先進的な製品の開発そのものには成功しても,量産の体制や販路の確保,資金の調達といった壁を越えられず,事業として立ち上がらないことを指す。ウが適切である。

アは,技術が広く行き渡って差別化ができなくなるコモディティ化の問題である。イは,実用性を重んじる層に受け入れられずに大きな市場へ広がらないことで,ムーアのいうキャズムに当たる。エは,過大な負担がメンバを追い詰めて破綻に向かうデスマーチの説明である。

魔の川・死の谷・ダーウィンの海 研究から開発へ進む間の障壁が魔の川,開発から事業化(量産や販路づくり)までの障壁が死の谷,事業化してから競合との競争に勝ち残って産業化するまでの障壁がダーウィンの海。 研究 開発 事業化 産業化 魔の川 製品にできない 死の谷 資金・量産の壁 ダーウィンの海 競争に負ける キャズムは新製品の普及(初期の市場→主流の市場)の溝
研究→開発が魔の川,開発→事業化が死の谷,事業化→産業化がダーウィンの海

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

ある期間の生産計画において,図の部品表で表される製品 A の需要量が10個であるとき,部品 D の正味所要量は何個か。ここで,ユニット B の在庫残が5個,部品 D の在庫残が25個あり,他の在庫残,仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。

部品表。レベル0は製品 A が1個。レベル1は,製品 A に対してユニット B が4個とユニット C が1個。レベル2は,ユニット B に対して部品 D が3個と部品 E が1個,ユニット C に対して部品 D が1個と部品 F が2個。

正解 イ

解説

製品 A が10個なので,ユニット B は 10×4=40個必要だが在庫が5個あるので正味35個,ユニット C は 10×1=10個必要で在庫はないので10個。部品 D はユニット B から 35×3=105個,ユニット C から 10×1=10個で合計115個必要になる。部品 D の在庫が25個あるので,正味所要量は 115−25=90個。イが正しい。

上位のユニット B の在庫を引かずに40個のまま計算すると,部品 D は 40×3+10=130個必要となり,在庫25個を引いて105個(エ)になってしまう。在庫は上位の品目から順に引き当てていく点に注意する。アの80とウの95は,この部品表からは導けない値である。

部品表から部品 D の正味所要量を求める 製品 A が10個なので,ユニット B は 4×10=40個,在庫5個を引いて正味35個。ユニット C は10個。部品 D は B から 35×3=105個,C から 10×1=10個で合計115個,在庫25個を引いて正味90個。 A 10個 B 40−在庫5=35 C 10 D 35×3 E D 10×1 F D:105 + 10 = 115,在庫25を引いて 90 個
在庫は上の階層から順に引いていく

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

クラウドソーシングの説明はどれか。

正解 エ

解説

クラウドソーシングは,不特定多数の人(クラウド)に,インターネット上で業務を委託する仕組みである。発注者が業務内容や発注条件を告知し,受注者を募集する。エが正しい。

アは,仮想通貨(暗号資産)など電子的な決済手段の説明。イは,企業や起業家が資金提供者を募集するクラウドファンディング。ウは,売手が商品を告知し,入札者が価格を競い落札するネットオークションの説明である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

ディジタルサイネージの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ディジタルサイネージは,ディスプレイに映像や文字などの情報を表示する電子看板である。駅や店舗,公共施設などで,広告や案内に使われる。ウが正しい。

アは,情報技術を利用できる人とできない人との間に生じる格差で,ディジタルデバイドという。イは,情報の正当性を保証するための電子的な署名で,ディジタル署名という。エは,不正利用を防止するためにデータに識別情報を埋め込む技術で,電子透かし(ディジタルウォーターマーク)という。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

ガントチャートを説明したものはどれか。

正解 ア

解説

ガントチャートは,横軸に時間,縦軸に作業を取り,作業ごとの内容と実施期間を横向きの棒で図示したものである。作業の予定や実績を一覧でき,進捗の管理に効果的である。アが正しい。

イは,散布図上の要素が時間とともに移動する様子を示す図の説明で,ガントチャートではない。ウは,複数の属性項目の値を線で結んでバランスを評価するレーダチャートの説明。エは,棒グラフと折れ線グラフを組み合わせて管理上の優先度を示すパレート図の説明である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

故障率曲線において,図中の A の期間に実施すべきことはどれか。

故障率曲線のグラフ。縦軸が故障率,横軸が時間。初めは高い故障率が下がっていき,しばらく低いまま平らに続き,終わりに向かって再び上がる。平らな区間が A として示されている。

正解 イ

解説

故障率曲線(バスタブ曲線)は,初めに故障率が高く下がっていく初期故障期,低い水準で平らに続く偶発故障期,最後に上がっていく摩耗故障期の三つに分かれる。A は平らな区間なので偶発故障期に当たる。この期間の故障は原因を予測しにくく偶発的に起こるので,予備部品を用意しておくなど,起きたときに早く直せる備えが有効になる。イが正しい。

アは初期故障期の説明で,出荷前の試運転(バーンイン)で取り除く。ウとエは摩耗故障期の説明で,部品交換や定期保守によって故障率の上昇を抑える。

故障率曲線(バスタブ曲線) 使い始めは製造上の欠陥などで故障率が高く,次第に下がる(初期故障期)。その後は故障率が低く一定の時期が続く(偶発故障期)。長く使うと部品の劣化で故障率が再び上がる(摩耗故障期)。 初期故障 偶発故障 摩耗故障 低く一定 時間 故障率
初期故障 → 偶発故障(一定)→ 摩耗故障。浴槽の断面の形

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

今年度の A 社の販売実績と費用(固定費,変動費)を表に示す。来年度,固定費が5%増加し,販売単価が5%低下すると予測されるとき,今年度と同じ営業利益を確保するためには,最低何台を販売する必要があるか。

今年度の A 社の販売実績と費用の表。販売台数2,500台,販売単価200千円,固定費150,000千円,変動費100千円/台。

正解 エ

解説

今年度の営業利益は,売上 200×2,500=500,000 千円から,固定費 150,000 千円と変動費 100×2,500=250,000 千円を引いた 100,000 千円である。来年度は固定費が 5%増えて 157,500 千円,販売単価が 5%下がって 190 千円になり,変動費は 1 台当たり 100 千円のままである。1 台当たりの限界利益は 190−100=90 千円なので,営業利益 100,000 千円を確保する販売台数を n とすると,90n−157,500=100,000 より n=257,500÷90≒2,861.1 となり,切り上げて 2,862 台が必要である。エが正しい。

ア(2,575)は,販売単価の低下を考えず限界利益を 100 千円として 257,500÷100 で求めた値,ウ(2,778)は,固定費の増加を考えず 250,000÷90 で求めた値で,どちらも条件の一部を見落としている。イ(2,750)では 90×2,750−157,500=90,000 千円となり,今年度の営業利益に足りない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

表の条件で A〜E の商品を販売したときの機会損失は何千円か。

商品 A〜E の表。商品1個当たり利益(千円)は A が1,B が2,C が3,D が4,E が5。需要数(個)は A が1,500,B が900,C が800,D が700,E が500。仕入数(個)は A が1,400,B が1,000,C が1,000,D が500,E が200。

正解 エ

解説

機会損失は,需要があったのに仕入数が足りず,販売できなかった分の利益である。需要数が仕入数を上回る商品について,不足数×1 個当たり利益を求める。A は 1,500−1,400=100 個で 100×1=100 千円。D は 700−500=200 個で 200×4=800 千円。E は 500−200=300 個で 300×5=1,500 千円。B と C は仕入数が需要数以上なので,機会損失はない。合計 100+800+1,500=2,400 千円で,エが正しい。

アの 800 は D だけ,イの 1,500 は E だけを数えた値。ウの 1,600 は,A,D,E の合計 2,400 千円と合わない。仕入数が需要数を上回る B と C は,売れ残りの損失(在庫)であり,機会損失ではない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

日本において,産業財産権と総称される四つの権利はどれか。

正解 ア

解説

産業財産権は,特許庁が所管する四つの権利,すなわち特許権・実用新案権・意匠権・商標権の総称。アが正しい。いずれも出願して登録を受けることで権利が発生する。

イ・ウ・エに含まれる著作権は文化庁の所管で,創作した時点で自動的に権利が発生し,登録を必要としない。産業財産権とは制度の建て付けが異なるので,この四つには含まれない。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

国の個人情報保護委員会が制定した“特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)”は,特定個人情報に関する安全管理措置を,組織的安全管理措置,人的安全管理措置,物理的安全管理措置及び技術的安全管理措置に分けて例示している。組織的安全管理措置に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドラインは,安全管理措置を,組織的,人的,物理的,技術的の 4 つに分けて例示している。組織的安全管理措置には,組織体制の整備,取扱規程に基づく運用,取扱状況を確認する手段の整備(取扱状況が分かる記録の保存など),情報漏えい等事案に対応する体制の整備などがある。ウが組織的安全管理措置に当たる。

アは,事務取扱担当者の教育で,人的安全管理措置。イは,電子媒体を持ち出す場合の漏えい等の防止で,物理的安全管理措置。エは,外部からの不正アクセスから保護する仕組みの導入で,技術的安全管理措置である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

技術者倫理の遵守を妨げる要因の一つとして,集団思考というものがある。集団思考の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

集団思考は,結束の強いチームで,全員一致を保とうとする圧力が働いて異論が出にくくなり,批判的に検討しないまま不合理な結論に合意してしまう現象である。エが正しい。

アの自分と違う視点から事態を見られず客観性を欠くのは自己中心的な傾向,イの組織内の権威に無批判に従うのは権威への無批判な服従,ウの正しいことを知っていても実行する勇気や決断力に欠けるのは意志の弱さで,いずれも技術者倫理の遵守を妨げる要因として挙げられる別の項目である。

出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)