‹ ぱすてく

応用情報技術者試験

令和6年度 秋期 科目A(午前)

令和6年度 秋期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

この年度を解いてみる

問1

M/M/1 の待ち行列モデルにおいて,窓口の利用率が 25%から 40%に増えると,平均待ち時間は何倍になるか。

正解 ウ

解説

M/M/1 の平均待ち時間は,利用率(窓口の稼働の割合)を ρ とすると,サービス時間 × ρ/(1-ρ) で表される。サービス時間が同じなら,待ち時間の比は ρ/(1-ρ) の比になる。ρ=0.25 のとき 0.25/0.75=1/3,ρ=0.40 のとき 0.40/0.60=2/3 なので,待ち時間は (2/3)÷(1/3)=2.00 倍になる。ウが正しい。

アの 1.25 は (1-0.25)/(1-0.40) の比で,ρ/(1-ρ) の分母だけを比べたもの。イの 1.60 は利用率そのものの比(0.40÷0.25)で,待ち行列の長さを考えていない。エの 3.00 になる計算は成り立たない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

AI における教師あり学習での交差検証に関する記述はどれか。

正解 エ

解説

交差検証は,手元のデータを複数のグループに分け,一つを評価用,残りを学習用にしてモデルを作り評価する作業を,評価用のグループを入れ替えながら繰り返す手法。全てのデータが一度ずつ評価に使われるので,未知のデータに対する性能(汎化性能)を偏りなく見積もれる。エが該当する。

アはペナルティ項で過学習を抑える正則化,イは複数のモデルの結果を組み合わせるアンサンブル学習,ウは一つのモデルで関連する複数の課題を同時に学習するマルチタスク学習の説明である。

交差検証(k 分割交差検証) データを5つのグループに分け,1つを評価用,残りの4つを学習用にしてモデルを作り評価する。評価用のグループを入れ替えながら5回繰り返し,結果を平均する。全てのデータが一度ずつ評価に使われるので,未知のデータに対する性能(汎化性能)を偏りなく見積もれる。 1回目 評価 学習 学習 学習 学習 2回目 学習 評価 学習 学習 学習 3回目 学習 学習 評価 学習 学習 4回目 学習 学習 学習 評価 学習 5回目 学習 学習 学習 学習 評価 5回の評価の結果を平均して性能とする
評価用(塗ったグループ)を入れ替えながら k 回学習と評価を繰り返す

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

式 A+B×C の逆ポーランド表記法による表現として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

逆ポーランド表記法(後置記法)では,演算子を被演算子の後ろに書く。A+B×C は乗算を先に行うので,まず B×C を BC× とし,それと A の加算を A(BC×)+ として ABC×+ となる。ウが正しい。

イの ×+ABC は演算子を前に置く前置記法のつもりでも,正しくは +A×BC である。アの +×CBA は正解の並びを逆にしただけで,式として成り立たない。エの CBA+× は C×(B+A) を表し,演算の優先順位が異なる。

A+B×C を式の木にして後置記法にする A+B×C は乗算が先なので,木の根は+で,右の子が B×C。左の子,右の子,自分の順(後行順)にたどると A,B,C,×,+ の順になり,逆ポーランド表記法は ABC×+。 + A × B C 1 2 3 4 5 A B C × +(小さな数字がたどる順番)
左の子 → 右の子 → 自分 の順にたどると後置記法になる

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

自動車の先進運転支援システムで使用されるセンサーの説明のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

可視光カメラは人間の目と同じように色や形を捉えるので,交通標識や信号の認識,車線の検出に使える。一方で,雨・霧・逆光・夜間など天候や明るさの影響を受けやすい。アが適切である。

イの超音波センサーは,測定できる距離が数メートル程度と短く,駐車支援などの近距離用で,500 メートル以上は測れない。ウのミリ波レーダーは天候の影響を受けにくく,前方車両までの距離や速度の測定に向くが,色を判別できないので信号灯の色の判別には使えない(それはカメラの役割)。エのレーザーレーダー(LiDAR)は光を使うので霧や雨,雪の影響を受けやすく,光は直進するので建物の後ろにある物体は検知できない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

次の 2 分探索木から要素 12 を削除したとき,その位置に別の要素を移動するだけで 2 分探索木を再構成するには,削除された要素の位置にどの要素を移動すればよいか。

2分探索木。根は 6。6 の左の子は 4,右の子は 8。4 の左の子は 2,右の子は 5。2 の左の子は 1,右の子は 3。8 の左の子は 7,右の子は 12(削除する要素,太い円)。12 の左の子は 10,右の子は 14。10 の左の子は 9,右の子は 11。14 の左の子は 13,右の子は 15。

正解 ウ

解説

2 分探索木は,どの節についても,左の部分木の要素はその節より小さく,右の部分木の要素は大きい。要素 12 を削除すると,その位置には,順序を保てる要素を一つ移動すればよい。それは,左の部分木で最大の要素(11)か,右の部分木で最小の要素(13)である。選択肢にあるのは 13 で,ウが正しい。13 は葉なので,移動しても他の節をつなぎ直す必要がない。

アの 9 とイの 10 は左の部分木の中にあり,12 の位置に移すと左の部分木にそれより大きい 11 が残って順序が崩れる。エの 14 を移すと,14 より小さい 13 が右の部分木に残り,順序が崩れる。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を h(x) = x mod n とすると,任意のキー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。

正解 イ

解説

衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。

例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。

x mod n のハッシュ表で衝突する組 n=5 の表に,キーを5で割った余りの箱へ入れる。7 と 2 はどちらも余りが 2 で同じ箱に入り,衝突する。差 7−2=5 が n の倍数なので余りがそろう。1 と 4 は和が5でも余りは1と4で,衝突しない。 h(x) = x mod 5 0 1 1 7 と 2 2 3 4 4 衝突 7 mod 5 = 2,2 mod 5 = 2 → 差 7 − 2 = 5 は 5 の倍数 1 と 4:和は 5 でも余りは 1 と 4(衝突しない) 箱の下の数字が余り(格納位置)
余りが等しい ⇔ 差 a−b が n で割り切れる

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

次の特徴をもつプログラム言語及び実行環境であって,オープンソースソフトウェアとして提供されているものはどれか。

〔特徴〕

正解 ウ

解説

R は,統計解析やデータ分析,グラフ描画のために作られたオープンソースのプログラム言語及び実行環境で,多数のパッケージが提供されている。変数に型の宣言がなく,代入されたオブジェクトの型が実行時に決まる動的型付けの言語である。ウが該当する。

アの Go,イの Kotlin,エの Scala はいずれもオープンソースだが,変数の型がコンパイル時に決まる静的型付けの言語で,統計解析向けの言語ではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

RISC プロセッサの 5 段パイプラインの命令実行制御の順序はどれか。ここで,このパイプラインのステージは次の五つとする。

正解 ウ

解説

RISC プロセッサの 5 段パイプラインは,命令フェッチ(④)で命令を読み出し,命令デコードとレジスタファイル読出し(③)で命令の解釈とオペランドの取得を行い,実行とアドレス生成(②)で演算やメモリアドレスの計算をし,メモリアクセス(⑤)でロードやストアを行い,最後に書込み(①)で結果をレジスタに格納する。順序は ④,③,②,⑤,① で,ウが正しい。

ア,イ,エは,命令を取り出す前に解釈・実行する,メモリアクセスより前に実行結果を使うなど,命令の処理の流れと合わない並びである。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

量子超越性(Quantum Supremacy)の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

量子超越性(量子優位性)は,従来のコンピュータでは現実的な時間では解けない計算を,量子コンピュータが短時間で実行できることを指す。ウが適切である。

アは量子暗号(量子鍵配送)の説明で,量子コンピュータの計算能力とは別の話。イは量子コンピュータが量子力学に基づくという仕組みの説明で,計算が速いという意味を含まない。エは大きさの比較で,量子超越性とは関係がない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

キャッシュメモリのアクセス時間が主記憶のアクセス時間の 1/30 で,ヒット率が 95%のとき,実効メモリアクセス時間は,主記憶のアクセス時間の約何倍になるか。

正解 イ

解説

主記憶のアクセス時間を1とすると,キャッシュのアクセス時間は 1/30。実効メモリアクセス時間はヒット時とミス時の重み付き平均なので,0.95×(1/30)+0.05×1=0.0317+0.05=0.0817 となり,約0.08倍。イが答えになる。

アの0.03はキャッシュのアクセス時間 1/30 そのもので,ヒット率が100%の場合の値。ウの0.37は 1/30 を 1/3 と読み違えたときの値(0.95×1/3+0.05=0.37)。エの0.95はヒット率をそのまま答えにしたもの。

ヒット率95%のときの実効アクセス時間 読みたいデータの95%はキャッシュにあり,主記憶の1/30の時間で読める。残り5%は主記憶から読む。実効アクセス時間は 0.95×1/30 + 0.05×1 で,主記憶の約0.08倍になる。 CPU キャッシュ 速さ 1/30 主記憶 速さ 1 95% 5% 0.95 × 1/30 ≒ 0.03 0.05 × 1 = 0.05 実効アクセス時間 ≒ 0.03 + 0.05 = 約0.08
主記憶のアクセス時間を1としたとき

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

ストレージのインタフェースとして用いられる FC(ファイバチャネル)の特徴として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

FC(ファイバチャネル)は,サーバとストレージを高速に接続するためのシリアル伝送のインタフェースで,SAN の構築に用いられる。名前にファイバとあるが,伝送媒体には光ファイバケーブルのほか,銅線の電気ケーブルも用いることができる。ウが適切である。

アの TCP/IP の上位で SCSI コマンドを運ぶのは iSCSI であり,FC は TCP/IP を使わない独自のプロトコル体系である。イについて,FC の接続形態には,スイッチを用いるファブリック型のほか,ポイントツーポイント型やループ型(アービトレーテッドループ)もある。エについて,FC はシリアル伝送の物理層をもち,SCSI はその上位で SCSI コマンドを運ぶプロトコルとして使われるもので,パラレル SCSI を物理層として用いるものではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

Web アプリケーションサーバの信頼性に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

セッション情報をクラスタ内のサーバで共有していれば,1台に障害が起きても,別のサーバが共有されたセッション情報を使って処理を引き継げる。利用者から見るとサービスも処理中のトランザクションも継続できるので,エが適切である。

アとイのコールドスタンバイ構成は,障害発生後に待機系を起動して切り替えるので,切替えの間サービスは中断し,処理中のトランザクションも引き継がれない。ウはセッションを共有しないクラスタ構成でも残りのサーバでサービスは継続できるが,セッション情報が失われるので処理中のトランザクションは継続できず,記述が逆になっている。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

データアクセス方式の一つであるオブジェクトストレージに関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

オブジェクトストレージは,データとそのメタデータ(属性情報)を一つのオブジェクトとしてまとめて保存し,フォルダのような階層をもたない平らな領域で,オブジェクトごとに付けた固有の識別子(ID)を使ってアクセスする方式である。エが適切である。

アはファイルシステムを使うファイルストレージ(NAS など),イは固定サイズのブロック単位でアクセスするブロックストレージの説明である。ウは階層構造(ディレクトリ)でアクセスする点がファイルストレージの特徴であり,オブジェクトストレージには当たらない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

稼働率が等しい装置 X を直列や並列に組み合わせたとき,システム全体の稼働率を高い順に並べたものはどれか。ここで,装置 X の稼働率は 0 よりも大きく 1 未満である。

三つの構成。A は装置 X 二つの並列。B は装置 X 一つと,装置 X 二つの並列とを直列につないだもの。C は装置 X 二つの直列を二組並列にしたもの。

正解 イ

解説

装置 X の稼働率を x(0<x<1)とする。並列は 1-(1-x)²,直列は掛け算になる。A(二つの並列)は 1-(1-x)²=2x-x²。B(X と,二つの並列との直列)は x(2x-x²)=2x²-x³。C(X 二つの直列を二組並列)は 1-(1-x²)²=2x²-x⁴。A と C の差は A-C=x(1-x)²(2+x)>0 なので A>C,C と B の差は C-B=x³(1-x)>0 なので C>B。高い順は A,C,B で,イが正しい。

例えば x=0.9 なら A=0.99,C≒0.964,B=0.891 となり,イの順序と一致する。ア,ウ,エは B と C の順,または A と C の順が逆になっている。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

あるクライアントサーバシステムにおいて,クライアントから要求された 1 件の検索を処理するために,サーバで平均 100 万命令が実行される。1 件の検索につき,ネットワーク内で転送されるデータは平均 2×105 バイトである。このサーバの性能は 100 MIPS であり,ネットワークの転送速度は 8×107 ビット/秒である。このシステムにおいて,1 秒間に処理できる検索要求は何件か。ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。また,1 バイトは 8 ビットとする。

正解 ア

解説

サーバは 100 MIPS,すなわち1秒間に 100 万命令を実行でき,1件の検索に 100 万命令が必要なので,1秒間に処理できるのは 100 件である。ネットワークは1件当たり 2×105 バイト=1.6×106 ビットを転送し,転送速度が 8×107 ビット/秒なので,1秒間に転送できるのは 8×107÷1.6×106=50 件である。

システム全体で処理できる件数は,遅いほうのネットワークで決まり,1秒間に 50 件となる。アが正しい。1バイト=8ビットの換算を忘れると,ネットワークが 400 件(エ)となり,サーバの 100 件(イ)が上限と誤る。

サーバとネットワークで,1秒に処理できる件数を比べる サーバは 100 MIPS で1件 100 万命令なので,1秒に 100 件。ネットワークは1件 2×10⁵ バイト=1.6×10⁶ ビットを 8×10⁷ ビット/秒で送るので,1秒に 50 件。全体は遅いほうのネットワークで決まり,1秒に 50 件。バイトをビットにし忘れるとネットワークが 400 件になり,サーバの 100 件を答えてしまう。 サーバ 100 件/秒 100 MIPS ÷ 100 万命令 ネットワーク 50 件/秒 8×10⁷ ÷ 1.6×10⁶ ビット システム全体:1 秒に 50 件(ア)
遅いほう(ネットワークの 50 件)で決まる

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

タスクスケジューリング方式の説明のうち,特定のタスクが CPU 資源の割当てを待ち続ける可能性が最も高いものはどれか。

正解 ウ

解説

処理予定時間が最も短いタスクから実行する方式(SJF)は,短いタスクが次々に到着し続けると,処理時間の長いタスクがいつまでも実行されない飢餓状態になる可能性が最も高い。ウが該当する。

アは待ち時間に応じて優先度を上げる(エージング)ので,待たされるタスクほど優先されるようになり,飢餓が起きにくい。イはタイムスライスで順に回すラウンドロビン方式,エは到着順に実行する FCFS 方式で,どちらも待っていれば順番が必ず回ってくる。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

ページング方式の仮想記憶において,ページ置換えの発生頻度が高くなり,システムの処理能力が急激に低下することがある。このような現象を何と呼ぶか。

正解 ア

解説

仮想記憶で実装している主記憶が不足すると,ページの読込みと追出し(ページイン・ページアウト)が頻発し,CPU がその処理に追われて本来の処理がほとんど進まなくなる。この現象をスラッシングといい,アが正しい。

イのスワップアウトは,主記憶上のプロセスやページを補助記憶に退避させる操作そのもの。ウのフラグメンテーションは,記憶領域が細切れの空き領域に分断されて有効に使えなくなる現象。エのページフォールトは,参照したページが主記憶上にないときに発生する割込みである。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

仮想記憶方式において,セグメンテーション方式と比較した場合のページング方式の長所はどれか。

正解 エ

解説

ページング方式は,仮想記憶と主記憶を固定長のページ単位に区切って割り当てる。どのページ枠にも同じ大きさのページが収まるので,割り当てられない細切れの空き領域(外部断片化)が発生しない。エが長所に当たる。ただし,ページ内の使われない部分(内部断片化)は生じる。

ア,イ,ウはセグメンテーション方式の長所である。セグメンテーション方式はプログラムやデータなど論理的な意味をもつ可変長の単位で領域を管理するので,その単位ごとにアクセス保護をしたり,プログラム間で共用したり,実行時に大きさを変えたりしやすい。

外部断片化と内部断片化 セグメンテーション方式は大きさの違う領域を割り当てるので,解放と割当てを繰り返すと小さな空きが散らばり,合計は足りても連続した大きな領域を取れなくなる(外部断片化)。ページング方式は同じ大きさのページ枠に割り当てるので外部断片化は起きないが,最後のページの使わない部分が無駄になる(内部断片化)。 セグメンテーション A B C D 小さな空きが 散らばる 外部断片化 ページング ページ1 ページ2 ページ3 ページ4 余り 最後の ページ 内部断片化
ページングは外部断片化が起きない代わりに,ページの中の余りが無駄になる

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

分散開発環境において,各開発者のローカル環境に全履歴を含んだ中央リポジトリの完全な複製をもつことによって,中央リポジトリにアクセスできないときでも履歴の調査や変更の記録を可能にする,バージョン管理ツールはどれか。

正解 ウ

解説

Git は分散型のバージョン管理ツールで,各開発者のローカル環境に,全履歴を含む中央リポジトリの完全な複製(クローン)をもつ。そのため中央リポジトリにアクセスできなくても,ローカルで履歴の参照やコミットができる。ウが該当する。

アの Apache Subversion とイの CVS は,履歴を中央のリポジトリで管理する集中型で,ローカルには作業コピーしかもたない。エの RCS はファイル単位で履歴を管理する古いツールで,リポジトリの複製を各開発者がもつ仕組みではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

手続型言語のコンパイラがコード生成までに行う処理のうち,最後に行うものはどれか。

正解 ウ

解説

コンパイラは一般に,字句解析(ソースを字句に分ける)→ 構文解析(文法に従って構文木を作る)→ 意味解析(型や宣言の整合性を調べる)→ 最適化(実行効率のよいコードになるよう変換する)→ コード生成 の順に処理する。コード生成の直前に行うのは最適化で,ウが正しい。

エの字句解析が最初,次がイの構文解析,その次がアの意味解析であり,いずれも最適化より前に行われる。

コンパイラの処理の順番 コンパイラは,字句解析(ソースを字句に分ける)→構文解析(文法どおりか調べて構文木を作る)→意味解析(型や宣言の整合を調べる)→最適化(速く小さいコードになるよう変換する)→コード生成の順に処理する。コード生成の直前が最適化。 字句解析 字句に分ける 構文解析 構文木を作る 意味解析 型を調べる 最適化 効率よく直す コード生成 機械語にする ソース 目的プログラム ① → ② → ③ → ④ 最適化 → ⑤ コード生成
コード生成の直前は最適化

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

図はスイッチ A 及び B の状態によって,LED が点灯又は消灯する回路である。スイッチ A がオンの状態を A=1,オフの状態を A=0 とし,スイッチ B も同様にオンの状態を B=1,オフの状態を B=0 とする。また,LED が点灯する状態を Y=1,消灯する状態を Y=0 とする。このとき,図の回路を動作させたときのタイミングチャートとして,適切なものはどれか。

電池,スイッチ A,スイッチ B,抵抗,LED を直列につないだ回路。スイッチは二つとも,両方がオンのときだけ電流が流れる並びになっている。

正解 ウ

解説

回路は,電池,スイッチ A,スイッチ B,抵抗,LED が直列につながっている。両方のスイッチがオン(A=1 かつ B=1)のときだけ電流が流れて LED が点灯するので,Y=A・B(論理積)となる。タイミングチャートで,A と B がともに 1 の区間だけ Y が 1 になっているのはウである。

アは A か B の一方が 1 の区間でも Y が 1 になっており,論理和(OR)の波形である。イは A,B がともに 0 の区間で Y が 1,それ以外で Y が 0 になっており,否定論理和(NOR)の波形である。エは A,B がともに 1 の区間だけ Y が 0 で,それ以外で 1 になっており,否定論理積(NAND)の波形である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

SoC の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

SoC(System on a Chip)は,複数のチップで構成していたコンピュータシステム(CPU,メモリ,周辺回路など)を,一つのチップに集積した LSI である。ウが適切である。

アはファームウェア,イは MCU を複数載せた基板で,いずれも SoC の説明ではない。エは複数のチップを一つのパッケージに封入する SiP(System in Package)の説明である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

アクチュエーターの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

アクチュエーターは,電気,油圧,空気圧などのエネルギー源からのパワーを,回転や直進といった機械的な動きに変換する装置である。モーター,ソレノイド,油圧シリンダーなどが当たり,ウが該当する。

アは目標値と制御量を比べて操作量を決める制御器(コントローラー)の説明。イは物理量を検出して電気信号に変換するセンサーの説明。エは微小な電気信号を増幅するアンプ(増幅器)の説明である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

マイクロプロセッサの耐タンパ性を向上させる手法として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

耐タンパ性は,内部の情報や回路を不正に読み取ったり改変したりする物理的な攻撃に対する強さである。チップ内部を物理的に解析しようとすると内部回路が破壊されるようにすれば,解析を防げるので,耐タンパ性を高める手法になる。ウが適切である。

アの ESD(静電気放電)への耐性は,静電気による故障への強さで,攻撃への耐性ではない。イの検査用パッドを残すと,そこから内部の信号を読み取られるおそれがあるので,耐タンパ性は下がる。エの内部メモリを整然と配置すると,かえって解析しやすくなる。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

Web ページの構成要素のうち,図のような固定の表示領域内でマウス操作やタッチ操作を行うことによってスクロールし,複数の画像などが横方向に順次表示されるものを何というか。

枠の中に,左向きの三角,画像1,画像2,画像3,右向きの三角が横に並び,その下に丸が5個(左から3番目が塗りつぶし)並んでいる。

正解 イ

解説

カルーセルは,固定の表示領域内で,矢印や点(インジケーター)をクリック・タッチすることで,複数の画像などを横方向に順に切り替えて表示する Web ページの構成要素である。図はカルーセルに当たる。イが正しい。

アのアコーディオンは見出しをクリックして内容を縦に開閉するもの,ウのタブは見出しを切り替えて表示内容を替えるもの,エのモーダルウィンドウは画面の手前に重ねて表示し,閉じるまで背後の操作を受け付けないものである。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

800×600 ピクセル,24 ビットカラーで 30 フレーム/秒の動画像の配信に最小限必要な帯域幅はおよそ幾らか。ここで,通信時にデータ圧縮は行わないものとする。

正解 エ

解説

1フレームのデータ量は,800×600=480,000 ピクセルに 1ピクセル当たり24ビットを掛けて 11,520,000 ビット。これを1秒に30フレーム送るので,11,520,000×30=345,600,000 ビット/秒,約 350M ビット/秒が必要になる。エが正しい。

ウの 35M ビット/秒は1桁小さく,1秒当たり3フレーム程度しか送れない。アとイは更に小さい値で,圧縮しない動画像の配信には足りない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

2 相コミットで分散トランザクションの原子性を保証する場合,ネットワーク障害の発生によって参加者のトランザクションが,コミットすべきか又はロールバックすべきかを判断できなくなることがある。このような状況を発生させるネットワーク障害に関する説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

2 相コミットでは,調停者(コーディネータ)が参加者にコミット可否を問い合わせ(第 1 相),全参加者が可と答えたらコミットを決定して指示し,一つでも不可ならロールバックを指示する(第 2 相)。参加者は可と答えたあとは,調停者の決定が届くまでコミットもロールバックもできない状態で待つ。調停者がコミット又はロールバックの決定を参加者に送る直前に障害になると,参加者は決定を知らされず,どちらにすべきか判断できなくなる。イが該当する。

アは問合せ前の障害で,参加者はまだ可否を答えていないので,待ち続ける必要がなくロールバックできる。ウは参加者が可否の応答を返す前の障害で,調停者が応答を待つタイムアウトで全体をロールバックにできる。エは参加者が決定を受け取って実行したあと,完了を返す直前の障害で,参加者はすでに決定を知っている。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

化粧品の製造を行っている A 社では,販売代理店を通じて商品販売を行っている。今後の販売戦略に活用するために,次の三つの表を設計した。これらの表を用いるだけでは得ることのできない情報はどれか。

三つの表の構成。顧客(顧客 ID,氏名,性別,生年月日),販売代理店別日別販売(販売代理店 ID,日付,商品 ID,販売数量),商品購入(顧客 ID,販売代理店 ID,商品 ID,購入数量)。

正解 ウ

解説

販売代理店ごとの購入者数を日別に比べるには,“どの顧客が,どの販売代理店で,いつ購入したか”が必要になる。商品購入表には顧客 ID と販売代理店 ID はあるが日付がなく,日付をもつ販売代理店別日別販売表には顧客の情報がない。二つの表を結び付けても購入日は特定できないので,ウは得られない。

アは販売代理店別日別販売表の日付,商品 ID,販売数量から得られる。イは商品購入表と顧客表を顧客 ID で結合すれば性別ごとに購入数量を集計できる。エは販売代理店別日別販売表(又は商品購入表)を販売代理店 ID と商品 ID で集計すれば得られる。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

次のオブジェクト図(インスタンスを表す図)に対応する概念データモデルはどれか。ここで,オブジェクト図及び概念データモデルの表記には UML を用いる。

オブジェクト図。東京:地域は 11:仕入先 とつながり,11:仕入先は #01:仕入,#02:仕入,#03:仕入 とつながる。大阪:地域は 25:仕入先 と 37:仕入先 とつながり,25:仕入先は #04:仕入,#05:仕入 と,37:仕入先は #06:仕入 とつながる。仕入と部品は,#01 が 136,#02 が 205,#03 が 338,#04 が 136,#05 が 205,#06 が 338 の各:部品 とつながる。

正解 イ

解説

オブジェクト図では,東京:地域にはつながる仕入先が 1 件(11)で,大阪:地域には 2 件(25,37)なので,地域 1 に対して仕入先は多(*)になる。仕入先と仕入では,11 に #01〜#03,25 に #04,#05,37 に #06 がつながっており,仕入先 1 に対して仕入は多(*)。仕入と部品では,各仕入は部品を 1 件だけもち,136 に #01,#04,205 に #02,#05,338 に #03,#06 がつながっているので,部品 1 に対して仕入は多(*)になる。これを表した図はイである。

アは地域と仕入先が 1 対 1 で,大阪に仕入先が 2 件あることと合わない。ウとエは,仕入 1 に対して部品が多になっており,一つの仕入が複数の部品とつながる関係になるので合わない。エはさらに地域と仕入先が多対多になっている。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

“成績”表に対して,SQL 文 1 と同一の結果を得るために,SQL 文 2 の a に入れる字句はどれか。

成績表(学生番号,実施回,得点)。S01 は 1 回目 70,7 回目 80。S02 は 2 回目 85,5 回目 82。S03 は 3 回目 83,9 回目 78,12 回目 90。S04 は 6 回目 100。

〔SQL 文 1〕

SELECT R1.学生番号, R1.実施回, R1.得点 FROM 成績 R1
  INNER JOIN
  (SELECT 学生番号, MIN(実施回) AS 初回 FROM 成績
    GROUP BY 学生番号) R2
  ON R1.学生番号 = R2.学生番号
  AND R1.実施回 = R2.初回

〔SQL 文 2〕

SELECT 学生番号, 実施回, 得点
  FROM (SELECT 学生番号, 実施回, 得点, ROW_NUMBER() OVER ( a ) AS 番号
    FROM 成績) R1
  WHERE R1.番号 = 1

正解 イ

解説

SQL 文 1 は,学生ごとに最小の実施回(初回)の行を取り出している。SQL 文 2 は,ROW_NUMBER() で付けた番号が 1 の行を取り出しているので,学生ごとに実施回の小さい順に番号を振ればよい。学生番号ごとに区切る PARTITION BY 学生番号 と,実施回の昇順に並べる ORDER BY 実施回 を指定した,イが正しい。

アは PARTITION BY がないので,全体に通し番号が付き,番号 1 の行は全体で 1 行だけになる。ウは得点の昇順なので,各学生の最低得点の行(例えば S02 は 5 回目の 82 点)が選ばれ,初回の行にならない。エは得点の降順で,各学生の最高得点の行が選ばれる。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

DBMS のチェックポイントに関する記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

DBMS のチェックポイントは,データベースバッファの内容を二次記憶(ディスク)に書き出した時点である。障害が起きたときは,チェックポイント以降の更新だけを回復すればよく,それ以前にコミットされたトランザクションの回復作業は不要になる。イが適切である。

アは制約のチェックを即時にするか,コミット時まで遅らせるかを指定する制約の評価時点(遅延制約)の説明である。ウはトランザクションの途中に設定し,そこまでロールバックできるセーブポイントの説明である。エは分散トランザクションの 2 相コミットで,調停者がコミットかロールバックかを判定する場面の説明である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

1 M バイトのデータの送信を 5 秒以内に行うための,最低速度の回線サービスはどれか。ここで,伝送制御のための情報は考慮しないこととし,回線の伝送効率は 60%とする。

正解 ウ

解説

送るデータは 1M バイト=8M ビットである。5 秒以内に送るには,実際に出る速度が 8M÷5=1.6M ビット/秒以上必要である。伝送効率が 60%なので,回線の速度は 1.6M÷0.6≒2.67M ビット/秒以上でなければならない。選択肢のうち最低速度でこれを満たすのは 4M ビット/秒で,ウが正しい。

アの 1M ビット/秒だと実効 0.6M ビット/秒で 13.3 秒掛かる。イの 2M ビット/秒だと実効 1.2M ビット/秒で約 6.7 秒掛かり,5 秒を超える。エの 10M ビット/秒は条件を満たすが,最低速度ではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

DNS に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

DNS で,ホスト名から IP アドレスを調べることを正引き,IP アドレスからホスト名を調べることを逆引きという。ウが適切である。

アの MX レコードはそのドメインのメールサーバを登録するレコードで,DNS サーバ(ネームサーバ)を登録するのは NS レコード。イの DNS サーバに問い合わせるソフトウェアはリゾルバという。エのホスト名に別名を付けるのは CNAME レコードである。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

IPv4 ネットワークにおける ICMP の機能として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ICMP(Internet Control Message Protocol)は,IP パケットを届けられなかったときなどに,ルータや受信ホストから送信元ホストへ,エラーの報告や制御のメッセージを通知するプロトコルである。ping で使うエコー要求・エコー応答も ICMP のメッセージである。ウが適切である。

アの MAC アドレスから IP アドレスを求めるのは RARP である。イのグローバル IP アドレスとプライベート IP アドレスを相互に変換するのは NAT(NAPT)である。エの IP アドレスを一元管理してクライアントに動的に割り当てるのは DHCP である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

クラス D の IPv4 アドレスを使用するのはどの場合か。

正解 エ

解説

クラス D の IPv4 アドレスは,先頭 4 ビットが 1110 の 224.0.0.0~239.255.255.255 の範囲で,マルチキャストのグループを識別するために使う。エが正しい。なお,現在はクラスによる区分は CIDR に置き換えられているが,224.0.0.0/4 は引き続きマルチキャスト用に割り当てられている。

アの 250 台程度までの小規模なネットワークに割り振るのはクラス C(ホスト数最大 254),イの 65,000 台程度の中規模なネットワークに割り振るのはクラス B(最大 65,534)である。ウのプライベートアドレスは,クラス A の 10.0.0.0/8,クラス B の 172.16.0.0/12,クラス C の 192.168.0.0/16 から割り振られ,クラス D には含まれない。

IPv4 アドレスのクラス 先頭のビットでクラスが決まる。A は 0(1.0.0.0〜127),B は 10(128〜191),C は 110(192〜223),D は 1110(224〜239)でマルチキャスト,E は 1111(240〜)で実験用に予約。B はホスト部が16ビットなので 2¹⁶−2=65,534 台。 クラス 先頭 範囲 使い道・ホスト数 A 0 1〜127 ホスト部24ビット B 10 128〜191 16ビット 65,534 台 C 110 192〜223 8ビット 254 台 D 1110 224〜239 マルチキャスト E 1111 240〜255 実験用(予約) D の残り28ビットは受信するグループを表す
クラス D(先頭 1110,224〜239)はマルチキャスト

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

IPv4 の LAN に接続されているプリンターの MAC アドレスを,同一 LAN 上の PC から調べるときに使用するコマンドはどれか。ここで,PC はこのプリンターを直前に使用しており,プリンターの IP アドレスは分かっているものとする。

正解 ア

解説

arp コマンドは,IP アドレスと MAC アドレスの対応を保持する ARP キャッシュを表示する(Windows などでは arp -a)。PC は直前にプリンターと通信しているので,キャッシュにプリンターの IP アドレスと MAC アドレスの対応が残っており,ここから MAC アドレスを調べられる。アが正しい。

イの ipconfig や ifconfig は自分の PC のネットワークインタフェースの設定(自身の IP アドレスや MAC アドレス)を表示する。ウの netstat は通信中のコネクションや統計情報,エの ping は相手に到達できるかどうかを表示するもので,相手の MAC アドレスは表示しない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

企業内のクライアントからクラウドサービスへのアクセスに SAML 認証を利用したときのシステムの動作に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,利用者 ID とパスワードは企業内のディレクトリサービスで管理し,利用者認証は企業内の認証サーバで行う。

正解 ウ

解説

SAML 認証では,利用者が企業内の認証サーバ(IdP)で認証を受けると,認証サーバが認証結果(SAML アサーション)を発行し,それをクライアント(ブラウザ)経由でクラウドサービス(SP)に送る。クラウドサービスは受け取った認証結果を検証して利用を許可する。ウが適切である。

アとイのように,クラウドサービスに利用者 ID とパスワードを渡したり,クラウドサービスがディレクトリサービスへそれらを要求したりすることはない。ID とパスワードは企業内にとどまるのが SAML の利点である。エはパスワードと乱数からハッシュ値を作って送るチャレンジレスポンス認証の説明で,SAML の動作ではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

インターネット上の使われていない IP アドレス空間に大量に届くパケットはどれか。

正解 ウ

解説

インターネット上で,どの機器にも割り当てられていない IP アドレス空間(ダークネット)には,通常の通信は届かない。そこに大量に届くパケットは,攻撃者やマルウェアが,攻撃対象となる IoT 機器やサーバを探すために,広い範囲のアドレスへ手当たり次第に送るスキャンのパケットが中心である。ウが該当する。

ア,イ,エは,いずれも実在する宛先に送られる通信で,使われていないアドレスには届かない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

ディープフェイクを悪用した攻撃に該当するものはどれか。

正解 ア

解説

ディープフェイクは,ディープラーニングなどの AI 技術で本物そっくりの偽の画像,動画,音声を作る技術やその生成物をいう。AI で加工した CEO の声で電話をかけ,送金を指示するアが悪用に当たる。

イはランサムウェアによる身代金要求。ウは実際にはデータを盗んでいないのに盗んだと思わせて金銭を要求する脅迫。エは不正に入手した認証情報で本物のメールアカウントを乗っ取るビジネスメール詐欺であり,いずれも偽の映像や音声を使っていない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

パスワードリスト攻撃に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

パスワードリスト攻撃は,あるサイトから流出した利用者 ID とパスワードの組のリストを使って,他のサイトにログインを試みる攻撃である。多くの人が複数のサイトで同じ ID とパスワードを使い回すことを悪用する。ウが該当する。

アは一般的な単語や人名から作ったリストを使うので辞書攻撃である。イは,パスワードとハッシュ値の対応表から,入手したハッシュ値を逆引きするレインボーテーブル攻撃に近い。エはピクチャパスワードの入力を録画して再現するもので,盗み見(ショルダーハッキング)の一種である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

JVN などの脆弱性情報サイトで採用されている CVE (Common Vulnerabilities and Exposures) 識別子の説明はどれか。

正解 ウ

解説

CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)識別子は,公開された個々の脆弱性に“CVE-西暦年-番号”の形式で一意に付ける識別子である。JVN などの脆弱性対策情報ポータルサイトやベンダの情報で同じ番号を使うことで,製品に含まれる同一の脆弱性であることを識別できる。ウが正しい。

アのセキュリティ設定項目を識別するのは CCE(共通セキュリティ設定一覧)である。イの改ざんされた Web サイトのスクリーンショットや,エのセキュリティ製品の種別を識別するものは,CVE の役割ではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

DNS キャッシュポイズニング攻撃に対して有効な対策はどれか。

正解 イ

解説

DNS キャッシュポイズニングは,キャッシュ DNS サーバの問合せに対して攻撃者が偽の応答を先に送り込み,誤った情報をキャッシュさせる攻撃。偽の応答が受け入れられるには,問合せの ID や送信元ポート番号と一致させる必要があるので,ID をランダムにすると推測が難しくなり,攻撃が成功しにくくなる。イが有効である。

ウは送信元ポート番号を固定すると推測が容易になり,逆効果(ランダム化するのが対策)。エの宛先ポート番号 53 は DNS の問合せでは通常の値であり,これで応答相手を絞っても偽の応答は防げない(外部からの再帰問合せを受け付けないことが対策になる)。アのマルウェアの隔離はキャッシュへの偽情報の注入とは関係がない。

DNS キャッシュポイズニングの流れ キャッシュ DNS サーバが権威 DNS サーバに問い合わせている間に,攻撃者が問合せの ID やポート番号を推測した偽の応答を大量に送り込む。本物の応答より先に偽の応答が受け入れられると,キャッシュに偽の IP アドレスが残り,利用者は偽のサーバへ誘導される。対策は,ID と送信元ポート番号をランダムにする,外部からの再帰的な問合せに答えない,DNSSEC で応答を検証する。 利用者 キャッシュ DNS 権威 DNS ① 名前を問合せ ② 問合せ(ID・ポート) 攻撃者 ③ 推測した偽の応答を大量に 本物の応答(遅れる) ④ 偽の IP アドレス 対策:ID とポートをランダムに,外部の再帰問合せは受けない,DNSSEC
本物の応答より先に,ID とポートが合った偽の応答が入ると成り立つ

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

ソフトウェアのセキュリティ管理に使用される SBOM はどれか。

正解 エ

解説

SBOM(Software Bill of Materials)は,ソフトウェアを構成するコンポーネント(ライブラリなど)や,それらの相互の依存関係,バージョンなどをリスト化した一覧(ソフトウェア部品表)である。脆弱性が見つかったときに,影響を受けるソフトウェアを素早く特定するために使う。エが該当する。

アはセキュリティアラートやログを集約・分析する SIEM,イは IT 資産を一覧にした資産管理データベース(CMDB など),ウは脆弱性や設定ミスを特定・評価・処理・報告する脆弱性管理の説明である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

DNSSEC の仕様はどれか。

正解 イ

解説

DNSSEC は,DNS の応答の正当性を,デジタル署名で検証できるようにする仕組みである。権威 DNS サーバが秘密鍵でリソースレコードにデジタル署名を付け,公開鍵を公開する。DNS キャッシュサーバは受信したリソースレコードの署名を公開鍵で検証し,偽の応答(キャッシュポイズニング)を見破る。イが正しい。

アは DNS キャッシュポイズニング対策の一つである送信元ポート番号のランダム化の説明である。ウは送信元メールサーバの IP アドレスを DNS に登録して検証する SPF,エは電子メールにデジタル署名を付け,公開鍵を DNS で公開する DKIM の説明である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

VLAN 機能をもった 1 台のレイヤー3 スイッチに 40 台の PC を接続している。スイッチのポートをグループ化して複数のセグメントに分けたとき,スイッチのポートをセグメントに分けない場合に比べて得られるセキュリティ上の効果の一つはどれか。

正解 イ

解説

VLAN でポートを複数のセグメントに分けると,ブロードキャストパケットはそのセグメント(ブロードキャストドメイン)の中にしか届かなくなる。ARP 要求などのブロードキャストに含まれる IP アドレスや MAC アドレスの情報が,他のセグメントの PC に不要に流れることを防げるので,イが効果の一つである。

アは誤りで,VLAN は同一セグメント内の ICMP パケットを遮断する機能ではない。ウの MAC アドレスによる接続可否の判別や,エの物理ポートごとに決まった IP アドレスの PC だけを許可する機能は,それぞれ MAC アドレス認証やポートセキュリティなどの機能であり,ポートをセグメントに分けることで得られる効果ではない。

VLAN でブロードキャストが届く範囲 1台のスイッチのポートを VLAN 10 と VLAN 20 に分けると,VLAN 10 の PC が出したブロードキャストは VLAN 10 のポートにだけ届き,VLAN 20 には届かない。ブロードキャストに含まれるアドレス情報が関係のないセグメントに流れなくなる。VLAN 間の通信はルータ(レイヤ3スイッチ)を通る。 スイッチ PC VLAN10 PC VLAN10 PC VLAN10 PC VLAN20 PC VLAN20 PC VLAN20 送信 届く 届かない
VLAN ごとにブロードキャストドメインが分かれる

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

エクスプロイトコードの説明はどれか。

正解 ア

解説

エクスプロイトコードは,ソフトウェアの脆弱性を突いて攻撃を成立させるためのプログラムで,攻撃コードとも呼ばれる。攻撃に悪用される一方,脆弱性が実際に悪用できるかを確かめる検証に使われることもあるので,アが該当する。

イはマルウェア対策ソフトが検知に使うシグネチャ(パターンファイル),ウはメッセージと秘密鍵から計算する MAC(メッセージ認証コード),エはワンタイムパスワードの説明である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

マイクロサービスアーキテクチャを利用するとき,システム構築上の利点はどれか。

正解 ウ

解説

マイクロサービスアーキテクチャは,システムを,独立して開発・配備できる小さなサービスの集まりとして構成し,サービス間を API で連携させる設計方式である。各サービスは互いに疎結合なので,一つのサービスを変更しても他のサービスへの影響が小さく,サービスごとに変更や配備を行いやすい。ウが利点である。

アについて,各サービスは独立しているので,サービスごとに異なるプログラム言語やミドルウェアを選べる反面,統一はしにくくなる。イについて,各サービスが自らのデータを保有するので,サービスをまたがるデータの整合性の確保はかえって難しくなる。エについて,処理がサービス間のネットワーク越しの呼出しに分かれるので,呼出しの回数とオーバーヘッドは増える傾向にある。

SOA とマイクロサービス システムの機能を,標準的なインタフェースで呼び出せるサービスという部品に分け,サービスを組み合わせて業務のシステムを作る(SOA)。マイクロサービスは,さらに小さな独立したサービスに分け,それぞれを別々に開発・配置・拡張できるようにする。部品どうしは疎結合で,1つを変えても他への影響が小さい。 業務アプリ 受注 サービス 在庫 サービス 請求 サービス 配送 サービス 標準のインタフェースで呼び出す(疎結合)
サービスという部品を組み合わせる。部品どうしは疎結合

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

ソフトウェアの使用性を評価する指標の目標設定の例として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

JIS X 25010 の品質モデルでは,使用性は利用者が製品を有効かつ効率的に使える度合いで,副特性に習得性(使い方を学べる度合い)や運用操作性などを含む。“使用方法を1時間以内に習得できる”は習得性の目標なので,イが使用性の指標に当たる。

アの障害発生から使えるようになるまでの時間は信頼性(回復性),ウの機能改善を完了するまでの期間は保守性(修正性),エの必要な機能の提供は機能適合性(機能完全性)に関する目標である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

アジャイル開発の初期段階において,プロジェクトの目的,スコープなどに対する共通認識を得るために,あらかじめ設定されている設問と課題について関係者が集まって確認し合い,その成果を共有する手法はどれか。

正解 イ

解説

インセプションデッキは,アジャイル開発の開始時に,“我々はなぜここにいるのか”“やらないことリスト”“夜も眠れない問題”など,あらかじめ用意された 10 の問いと課題に関係者全員で答え,プロジェクトの目的やスコープ,制約について共通認識を作り,その結果を共有する手法である。イが該当する。

アのアジャイルモデリングは,必要最小限のモデルを軽量に作成・活用する開発の実践方法である。ウのプランニングポーカーは,カードを使ってユーザーストーリーの規模を全員で見積もる手法,エのユーザーストーリーマッピングは,ユーザーの行動の流れに沿ってストーリーを並べ,リリース計画を立てる手法である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

レスポンシブ Web デザインを実現するに当たって,単一の HTML 文書を用いて,Web コンテンツを各種端末のディスプレイの大きさに合わせた形式で表示するために使用する機能はどれか。

正解 エ

解説

メディアクエリは,CSS で,ディスプレイの幅や解像度などの条件に応じて適用するスタイルを切り替える機能で,単一の HTML 文書でも,端末の画面の大きさに合わせた表示にできる。レスポンシブ Web デザインを実現する機能として,エが適切である。

アの User-Agent は,ブラウザが送る HTTP ヘッダーのフィールドで,端末の種類を判別するために使えるが,一つの HTML で表示形式を変える仕組みではない。イの WebSocket は,サーバとの双方向通信のためのプロトコルである。ウのマッシュアップは,複数のサービスの API やデータを組み合わせて新しいサービスを作ることである。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

プロジェクトマネジメントにおけるスコープの管理の活動はどれか。

正解 ウ

解説

スコープの管理は,プロジェクトのスコープの状況を監視し,スコープ・ベースラインへの変更を管理するプロセスである。連携先の外部システムのリリース延期を受けて,その連携作業をこのプロジェクトのスコープから外し別プロジェクトで行うと決めるウは,スコープを変更して管理する活動に当たる。

アの教育期間の延長はスケジュールの管理,イの追加予算の確保はコストの管理,エのテスト担当者の交代は資源(チーム)の管理の活動で,いずれもプロジェクトで行う作業の範囲そのものは変えていない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

PMBOK ガイド 第 7 版によれば,WBS の最下位のレベルの作業を何と呼ぶか。

正解 エ

解説

PMBOK ガイド 第 7 版では,WBS(作業分解構成図)の最下位のレベルで定義される作業を,ワーク・パッケージと呼ぶ。コストと期間を見積もり,管理する単位になる。エが正しい。

アの WBS 辞書は,WBS の各要素の内容を詳しく説明する文書である。イのアクティビティ・リストは,ワーク・パッケージを更に分解して作る,実行する作業(アクティビティ)の一覧である。ウのプロジェクト・スコープは,プロジェクトとして実施する作業の範囲全体を指す。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

プロジェクトマネジメントにおいて,プロジェクトチームのパフォーマンスを高めるために,チームメンバーを同じ作業場所に集めることを何というか。

正解 ア

解説

コロケーションは,プロジェクトチームのメンバーを同じ作業場所に集めて,チームとしての一体感やコミュニケーションを高め,パフォーマンスを向上させる手法である。アが正しい。

イのネットワーキングは,関係者との間で人的なつながりを作ること,ウのバーチャルチームは,離れた場所で働くメンバーで構成するチームのこと,エのファシリテーションは,会議などを円滑に進めて参加者の合意や成果を引き出す進行の技法である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

プロジェクトマネジメントにおけるファストトラッキングの例として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ファストトラッキングは,本来は順番に行う作業の一部を並行して進めることで,スケジュールを短縮する技法である。全ての設計が終わるのを待たず,設計が終わったモジュールからプログラム開発に着手するエが該当する。手戻りのリスクは高まる。

アは資源を追加して作業期間を縮めるクラッシング。イは残業禁止によるコスト削減で,期間の短縮にはならない。ウは完了予定日の延期で,スケジュールを短縮するものではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

サービスマネジメントにおいて,中断したサービスを復旧させるときの目標を定めた指標に,RTO(目標復旧時間),RPO(目標復旧時点)及び RLO(目標復旧レベル)がある。RTO と RLO とを定めた例として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

RTO(目標復旧時間)はサービス中断からどれだけの時間で復旧させるか,RPO(目標復旧時点)はどの時点の状態までデータを戻すか,RLO(目標復旧レベル)はどの水準までサービスを復旧させるかを表す。エは“1日以内”が RTO,“重要なサービスに限定して”が RLO に当たる。

アは“3時間前の時点の状態”が RPO,“利用者の50%以上に提供”が RLO で,RTO がない。イは“直前の状態”が RPO で,サービス終了時刻の延長は復旧目標ではない。ウは“1時間以内”が RTO,“1時間前の時点の状態”が RPO で,RLO がない。

RPO・RTO・MTPD の関係 障害が起きた時点を中心に,RPO(目標復旧時点)は過去に向かって,どの時点のデータまで戻すか(失ってよいデータの範囲)を表す。RTO(目標復旧時間)は未来に向かって,どれだけの時間で戻すかを表す。MTPD(最大許容停止時間)は止まっていられる限界で,RTO はこれより短く置く。 時間 最後のバックアップ 障害発生 復旧 RPO どこまで戻すか RTO 何時間で戻すか MTPD:これ以上止まると事業が立ち行かない ← 過去(データ) 未来(時間)→
RPO は障害の前(データ),RTO は障害の後(時間)を向く。RTO は MTPD より短く

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,継続的改善に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

JIS Q 20000-1:2020 の 10.2(継続的改善)は,改善の機会を評価するための基準を定めることを求めており,その基準には,改善とサービスマネジメントの目的との整合性を含めなければならない。ウが適切である。

アは誤りで,改善の目標は,品質,価値,能力,費用,生産性,資源の活用,リスク低減のうち一つ以上について設定すればよく,品質と費用の両方とは限らない。イは誤りで,継続的な改善の対象は,サービスマネジメントシステム及びサービスの適切性,妥当性及び有効性である。エは誤りで,実施された改善は,設定した目標に照らして測定する。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

入出力データの管理方針の例として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

出力帳票には重要な情報が含まれることがあるので,受渡しは授受管理表などで記録して確実に行い,重要度の高いものは業務部門の管理者に直接手渡しするなど,紛失や漏えいを防ぐ管理が必要である。イが適切である。

アは誤りで,帳票の出力停止は利用している業務部門と協議して決めるべきで,情報システム部門の独断では業務に支障が出る。ウも誤りで,入力データの誤りは原票を作成した業務部門に差し戻して確認・修正してもらう。エも誤りで,入力原票や EDI 受信ファイルは後の照合や追跡のために一定期間保存する。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム監査において,監査手続の適用に際して用いられる技法のうち,データの生成から入力,処理,出力,活用までのプロセス,及び組み込まれているコントロールを,書面上で,又は実際に追跡するものはどれか。

正解 ア

解説

ウォークスルー法は,データの生成から入力,処理,出力,活用に至る一連の流れと,その過程に組み込まれたコントロールを,書面上で,又は実際にたどって確かめる監査技法である。アが該当する。

イのチェックリスト法は監査人が作成したチェックリストに監査対象部門が回答する技法,ウの突合・照合法は関連する記録どうし(伝票と入力データなど)を突き合わせて正確性を確かめる技法,エのドキュメントレビュー法は規程や記録などの文書を査閲して確かめる技法である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

システム監査基準(令和 5 年)における予備調査についての記述として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

予備調査は,監査を計画する前提として,監査対象の実態を概括的に把握するための調査である。事務手続やマニュアルなどの資料を通じて,業務の内容,業務分掌,体制などを把握するのは,予備調査の内容に当たる。アが適切である。

イは“必ず現地に赴いて”が誤りで,予備調査は資料の確認やインタビューなどでも行え,現地に行くのが必須ではない。ウの十分な監査証拠を入手して結論を裏付けるのは,本調査の目的である。エは,業務の委託先など監査対象先以外の関連する部門や組織にも調査が及ぶことがあるので,範囲を監査対象先だけに限定するとは言えない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

システム監査基準(令和 5 年)におけるフォローアップの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

システム監査基準(令和5年)の基準12は,監査報告書に改善提案が記載されている場合,適切な措置が適時に講じられているかを確認するために,改善計画及びその実施状況に関する情報を収集し,改善状況をモニタリングしなければならないとしている。ウが該当する。

アの改善計画の策定は監査対象先の責任で行うもので,基準も監査人が改善計画の策定や実行に関与すると独立性と客観性を損なうとしており,フォローアップとは区別される。イは監査部門内で行う監査の品質管理(レビュー)の話。エの時間切れで終わらなかった監査項目の追跡調査は,監査報告書に記載した改善提案の実施状況を確かめるフォローアップではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

経済産業省が取りまとめた“デジタル経営改革のための評価指標(DX 推進指標)”によれば,DX を実現する上で基盤となる IT システムの構築に関する指標において,“IT システムに求められる要素”について経営者が確認すべき事項はどれか。

正解 イ

解説

DX 推進指標は,IT システム構築の枠組みの“IT システムに求められる要素”として,データ活用,スピード・アジリティ,全社最適の三つの項目を置いている。スピード・アジリティの設問は“環境変化に迅速に対応し,求められるデリバリースピードに対応できる IT システムとなっているか”で,イが該当する。

アの,全体設計やベンダーの選別ができる人材を確保できているかは,同じ IT システム構築の枠組みでも“ガバナンス・体制”の人材確保の設問である。ウは,データをリアルタイム等使いたい形で使えることを求めるデータ活用の考え方と逆になっている。エは,部門ごとの個別最適を解消し全社最適でデータを活用できることを求める全社最適の考え方と逆になっている。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

官民データ活用推進基本法などに基づいて進められているオープンデータバイデザインに関して,行政機関における取組についての記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

オープンデータ基本指針では,営利目的,非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用され,機械判読に適し,無償で利用できる形で公開されたデータをオープンデータと定義している。オープンデータバイデザインは,公共データをオープンデータとして公開することを前提に,情報システムや業務プロセス全体の企画,整備及び運用を行う考え方である。エが適切である。

イは誤りで,オープンデータは営利目的の利用も認められる。ウも誤りで,オープンデータは国民誰もがインターネットなどを通じて利用できるように公開するものであり,行政機関同士の相互利用に限定するものではない。アも誤りで,個人情報を含むデータは公開に適さないデータとして扱われ,選択肢のような届出によってオープン化する仕組みはない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

業務改善の 4 原則としての Eliminate,Combine,Rearrange,Simplify は,業務改善を実現する上での視点を示すものである。次の業務改善例のうち,Rearrange を適用したものはどれか。

正解 イ

解説

業務改善の 4 原則(ECRS)は,Eliminate(排除:やめる),Combine(結合:まとめる),Rearrange(交換・入替え:順序や担当を替える),Simplify(簡素化:単純にする)である。配送の順序を入れ替えて効率を上げた例は,Rearrange に当たる。イが適切である。

アは不要な承認者を外すので Eliminate,ウは関数で自動計算にして作業を単純にするので Simplify,エは各部門ごとの議事録作成を一つにまとめるので Combine である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

BPR によって業務を見直した場合,これまで従業員 5 人で年間計 9,000 時間掛かっていた業務が 7,000 時間で実現可能なことと,その 7,000 時間のうちの 2,000 時間分の業務は外部委託が可能なことが分かった。この結果を基に BPR を実施した次のシナリオ a から d のうち,当該部門において,年間当たりの金額面の効果が最も高いものはどれか。なお,いずれのシナリオも年初から実施することとし,条件に記載した時間や費用以外は考慮しないものとする。

〔条件〕

シナリオの表。列はシナリオ,当該業務を行う従業員数,外部委託。a は 4 人・外部委託する,b は 4 人・しない,c は 5 人・する,d は 5 人・しない。

正解 イ

解説

BPR 後の業務は 7,000 時間で,外部委託すれば社内で行うのは 5,000 時間になる。空いた時間は 100 時間当たり 20 万円の利益を生み,異動する1人分の人件費 600 万円も効果とみなす。各シナリオの効果は次のとおり。

a(4人・委託する):4人の時間 7,200−5,000=2,200 時間で 440 万円,人件費削減 600 万円,委託費 −700 万円で,計 340 万円。b(4人・委託しない):7,200−7,000=200 時間で 40 万円,人件費削減 600 万円で,計 640 万円。c(5人・委託する):9,000−5,000=4,000 時間で 800 万円,委託費 −700 万円で,計 100 万円。d(5人・委託しない):9,000−7,000=2,000 時間で 400 万円。

最も効果が高いのはシナリオ b で,イが正しい。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

システムの要件を検討する際に用いる UX デザインの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

UX(User Experience:利用者体験)デザインは,システムが利用者にもたらす有効性や使いやすさにとどまらず,使ったときの快適さ,安心感,楽しさといった体験全体の価値を重視して設計する考え方である。ウが正しい。

アは設計段階からセキュリティや個人情報保護の対策を組み込むセキュリティバイデザインやプライバシーバイデザインの考え方。イは個々の機能をサービスとして組み合わせてシステムを作る SOA(サービス指向アーキテクチャ)。エは公開された API などを通じて他社のソフトウェアを活用して開発の生産性を高める考え方である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

UML の図のうち,業務要件定義において,業務フローを記述する際に使用する,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図はどれか。

正解 ア

解説

アクティビティ図は,処理の流れを開始から終了まで順に表す UML の図で,条件による分岐(デシジョンノード),並行処理への分割と同期(フォーク・ジョイン),担当者ごとのレーン分け(パーティション)を書ける。業務フローの記述に向くのでアが正しい。

イのクラス図はクラスと関連による静的な構造,ウの状態マシン図は一つのオブジェクトが取る状態とその遷移,エのユースケース図は利用者(アクタ)とシステムが提供する機能の関係を表す図で,いずれも処理の流れそのものは表現しない。

UML のおもな図の使い分け シーケンス図はオブジェクト間のメッセージを時間の順に,コミュニケーション図はオブジェクトのつながりに注目して相互作用を表す。ユースケース図はアクタとシステムの機能の関係(システムの範囲),アクティビティ図は処理の流れ(分岐・並行・同期),状態マシン図は1つのオブジェクトの状態の移り変わり,クラス図は静的な構造,オブジェクト図はある時点のインスタンスのつながりを表す。 図 表すもの シーケンス図 メッセージを時間の順に コミュニケーション図 オブジェクトのつながりと相互作用 ユースケース図 アクタと機能,システムの範囲 アクティビティ図 処理の流れ(分岐・並行・同期) 状態マシン図 1つのオブジェクトの状態の遷移 クラス図 クラスと関連(静的な構造) オブジェクト図 ある時点のインスタンスとリンク
時間の順はシーケンス図,範囲はユースケース図,業務の流れはアクティビティ図

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

SCM の目的はどれか。

正解 エ

解説

SCM(サプライチェーンマネジメント)は,複数の企業や組織にまたがる,調達から生産,物流,販売までの業務プロセス全体の情報を統合的に管理し,コストの低減や納期の短縮などを目指す手法である。エが目的である。

アは顧客情報や購買履歴を一元管理して良好な顧客関係を築く CRM,イは顧客情報や商談状況を管理して営業活動を効率化する SFA(営業支援システム),ウは基幹業務の情報を統合して経営資源を有効活用する ERP の説明である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

アンゾフの成長マトリクスを説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

アンゾフの成長マトリクスは,製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の二つの軸の組合せで,企業の成長戦略を四つに分ける枠組みである。既存製品を既存市場で深耕する市場浸透,既存製品を新しい市場に広げる市場拡大(市場開拓),既存市場に新製品を投入する製品開発,新製品を新市場に出す多角化からなり,この四つに分類して事業の方向性を検討する。ウが正しい。

アは,強み・弱み・機会・脅威の四つの要因で環境を整理する SWOT 分析である。イは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点から戦略を具体化するバランススコアカード(BSC)である。エは,製品ライフサイクルの段階に応じて戦略を考える手法の説明である。

アンゾフの成長マトリクス 製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の組合せで成長の戦略を4つに分ける。既存の製品を既存の市場でもっと売るのが市場浸透,既存の製品を新しい市場に売るのが市場開拓(新市場開拓),新しい製品を既存の市場に出すのが製品開発(新製品開発),新しい製品で新しい市場に出るのが多角化。 製品 既存 新規 市場 既存 新規 市場浸透 今の製品を今の市場で 製品開発 新しい製品を今の市場に 市場開拓 今の製品を新しい市場に 多角化 新しい製品で新しい市場へ
製品と市場のどちらを新しくするか

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

コ・クリエーション戦略の特徴はどれか。

正解 ウ

解説

コ・クリエーション(価値共創)戦略は,企業が単独で価値を作って顧客に提供するのではなく,顧客や取引先などのネットワークと協働し,商品・サービスそのものに加えて顧客が得る経験まで含めて価値を共に創り出す戦略である。ウが該当する。

アは自前主義にこだわる点で,外部との協働を重視する共創とは逆の考え方。イは顧客が仕様を決めて企業が製造を請け負う形で,顧客の経験を含めた価値を共に創る戦略ではない。エは M&A による経営資源の獲得で,共創とは異なる。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

企業における研究,開発,事業化,そして産業化へとステージが移行する過程の中で,事業化から産業化に移行するときの,競合製品との競争過程にある障壁を何と呼ぶか。

正解 ウ

解説

研究開発から事業が確立するまでの過程には三つの障壁があるとされる。研究から開発への移行を阻むのが魔の川,開発から事業化への移行を阻む資金などの壁が死の谷,事業化から産業化へ移行するとき,競合製品との競争を勝ち抜かなければならない障壁がダーウィンの海である。ウが正しい。

イの死の谷とエの魔の川は,それぞれ別の段階の障壁である。アのキャズムは,新製品が初期採用者(アーリーアダプター)から前期多数派(アーリーマジョリティ)へ普及するときにある深い溝を指すマーケティングの用語である。

魔の川・死の谷・ダーウィンの海 研究から開発へ進む間の障壁が魔の川,開発から事業化(量産や販路づくり)までの障壁が死の谷,事業化してから競合との競争に勝ち残って産業化するまでの障壁がダーウィンの海。 研究 開発 事業化 産業化 魔の川 製品にできない 死の谷 資金・量産の壁 ダーウィンの海 競争に負ける キャズムは新製品の普及(初期の市場→主流の市場)の溝
研究→開発が魔の川,開発→事業化が死の谷,事業化→産業化がダーウィンの海

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

生成 AI のビジネス活用において,独自のデータを学習させることにより基盤モデルを自社の業務やサービスに特化したモデルへとカスタマイズすることを何と呼ぶか。

正解 ウ

解説

ファインチューニングは,学習済みの基盤モデルに,独自のデータを追加で学習させて,自社の業務やサービスに特化したモデルへとカスタマイズすることである。ウが該当する。

アのアノテーションは,学習用のデータに正解のラベルなどを付ける作業である。イのクラスタリングは,データを似たもの同士のグループに分ける教師なし学習の手法である。エのプロンプトエンジニアリングは,モデルを変更せず,入力する指示(プロンプト)を工夫して望む出力を得る方法である。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

製造業の A 社では,NC 工作機械を用いて,四つの仕事 a~d を行っている。各仕事間の段取り時間は表のとおりである。合計の段取り時間が最小になるように仕事を行った場合の合計段取り時間は何時間か。ここで,仕事はどの順序で行ってもよく,a~d を一度ずつ行うものとし,FROM から TO への段取り時間で算出する。

段取り時間の表(単位 時間)。行が FROM,列が TO。仕事 a から b は 2,c は 1,d は 2。仕事 b から a は 1,c は 1,d は 2。仕事 c から a は 3,b は 2,d は 2。仕事 d から a は 4,b は 3,c は 2。

正解 ア

解説

各仕事を一度ずつ行う順序のうち,段取り時間の合計が最小になるものを探す。3 回の段取りがあるので,合計の最小は 3(すべて 1 時間)以上である。1 時間の段取りは,a→c,b→a,b→c の三つだけで,三つの仕事をつなぐ b→a→c(1+1=2)までしか作れず,d は他からの段取りが 2 時間以上掛かる。b→a→c→d の合計は 1+1+2=4 時間で,これが最小である。アが正しい。

他の順序,例えば a→c→b→d は 1+2+2=5 時間,a→b→c→d は 2+1+2=5 時間で,4 時間を下回るものはない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

構成表の製品 A を 300 個出荷しようとするとき,部品 b の正味所要量は何個か。ここで,A,a,b,c の在庫量は在庫表のとおりとする。また,他の仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。

構成表(単位 個)と在庫表(単位 個)。構成表では,製品 A は部品 a を 3 個,b を 2 個,c を 0 個使う。部品 a は b を 1 個,c を 2 個使う。在庫表では,A が 100,a が 100,b が 300,c が 400。

正解 イ

解説

正味所要量は,総所要量から在庫量を差し引いた量である。製品 A は 300 個出荷するが在庫が 100 個あるので,A の正味所要量は 200 個。

A 1個に部品 a が3個,b が2個使われる。a の総所要量は 200×3=600 個で在庫 100 個を引いて正味 500 個。b は A から直接 200×2=400 個,a から 500×1=500 個で総所要量 900 個,在庫 300 個を引いて正味所要量は 600 個となり,イが正しい。

ウの 900 は在庫を引く前の総所要量。在庫を考えずに A 300 個分で計算すると b は 300×2+900×1=1,500 個(エ)になる。

部品 b の正味所要量 製品 A は300個出荷するが在庫が100個あるので正味200個。部品 a は 200×3=600個から在庫100個を引いて正味500個。部品 b は A から 200×2=400個,a から 500×1=500個で計900個,在庫300個を引いて正味600個。 A 300−在庫100=200 a 600−100=500 b 200×2=400 b 500×1=500 c b:400 + 500 = 900,在庫300を引いて 600 個
在庫を引いた「正味」の数で下の階層を計算する

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

企業経営において,経営理念,経営戦略,事業戦略は,経営理念を最上位とするピラミッドを形成している。経営理念,経営戦略,事業戦略の関係性で適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

経営理念は企業の存在意義や価値観を示す最上位の考え方で,それを実現するために全社としての方向性や資源配分を定めるのが経営戦略,経営戦略を各事業に落とし込み,事業ごとに具体化するのが事業戦略である。経営理念を達成するために経営戦略を策定し,それを事業戦略に分解するウが適切である。

アとイは逆。ピラミッドの上位ほど抽象的で中長期的な視点であり,下位ほど具体的で短期的な視点になる。エは経営戦略と事業戦略の上下関係が逆である。

経営理念・経営戦略・事業戦略のピラミッド 経営理念は企業の存在意義や価値観を示す最上位の考え方で,それを実現するために全社の方向性や資源配分を定めるのが経営戦略,経営戦略を各事業に落とし込んで具体化するのが事業戦略。上位ほど抽象的で中長期的,下位ほど具体的で短期的。 経営理念 経営戦略(全社) 事業戦略(事業ごと) 抽象的 中長期 具体的 短期 上から分解していく:理念 → 経営戦略 → 事業戦略
理念を達成するために経営戦略を作り,それを事業戦略に分解する(ウ)

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

A 社と B 社がそれぞれ 2 種類の戦略を採る場合の市場シェアが表のように予想されるとき,ナッシュ均衡,すなわち互いの戦略が相手の戦略に対して最適になっている組合せはどれか。ここで,表の各欄において,左側の数値が A 社のシェア,右側の数値が B 社のシェアとする。

市場シェアの表(単位 %)。各欄は A 社のシェア,B 社のシェアの順。A 社が戦略 a1 のとき,B 社が b1 なら 40,20,b2 なら 50,30。A 社が戦略 a2 のとき,B 社が b1 なら 30,10,b2 なら 25,25。

正解 イ

解説

ナッシュ均衡は,どちらの会社も,相手の戦略が変わらない限り,自社の戦略を変えても得をしない組合せである。A 社が a1 のとき,B 社は b1 なら 20,b2 なら 30 なので b2 が最適。B 社が b2 のとき,A 社は a1 なら 50,a2 なら 25 なので a1 が最適。したがって a1 と b2 の組合せは互いに最適で,イがナッシュ均衡である。

アは B 社が b2 に替えると 20 から 30 に増えるので均衡ではない。ウは A 社が a1 に替えると 30 から 40 に増える。エは A 社が a1 に替えると 25 から 50 に増えるので,いずれも均衡ではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

ベイズ統計の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ベイズ統計は,ベイズの定理を基礎にした統計の考え方である。データを得る前にもっている確率の見込み(事前分布)を,観測したデータによって更新し,事後分布を求める。新しいデータが得られるたびに推定を更新できるので,機械学習や,単語の出現確率から迷惑メールかどうかを判定する迷惑メールフィルターなどに利用されている。イが該当する。

ウは,収集したデータの代表値や分布を求めてデータの特徴を捉える記述統計の説明である。アは貿易統計など公的な経済統計の作成に関する説明,エはオープンデータの利用に関する説明であり,いずれもベイズ統計ではない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

A 社と B 社の比較表から分かる,A 社の特徴はどれか。

A 社と B 社の比較表(単位 億円)。売上高は A 社 1,000,B 社 1,000。変動費は A 社 500,B 社 800。固定費は A 社 400,B 社 100。営業利益は A 社 100,B 社 100。

正解 ア

解説

限界利益率は(売上高-変動費)÷売上高で求める。A 社は(1,000-500)÷1,000=0.5,B 社は(1,000-800)÷1,000=0.2 である。損益分岐点売上高は固定費÷限界利益率なので,A 社は 400÷0.5=800 億円,B 社は 100÷0.2=500 億円になる。A 社は限界利益率が高いので,売上高が 1 億円増えたときに増える営業利益も大きい。アが正しい。

イは誤りで,限界利益率は A 社 50%,B 社 20%で A 社のほうが高い。ウも誤りで,損益分岐点売上高は A 社 800 億円,B 社 500 億円で A 社のほうが高い。エも誤りで,A 社は固定費の割合が大きいので,売上高が減ったときの営業利益の減り方も大きく,不況抵抗力はむしろ弱い。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

著作権法で保護されるものはどれか。

正解 イ

解説

著作権法 第 10 条第 3 項は,プログラムの著作物に対する保護は,そのプログラムを作成するために用いるプログラム言語,規約及び解法には及ばないと定めている。プログラム自体(ソースコードやオブジェクトコード)は保護されるので,コンパイラのプログラムは保護の対象になる。イが該当する。

アのアルゴリズムは解法,ウのプログラム言語,エのプロトコルは規約に当たり,いずれも著作権法による保護は及ばない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

大規模なシステム開発を受注した A 社では,不足する開発要員を派遣事業者である B 社からの労働者派遣によって補うことにした。A 社の行為のうち,労働者派遣法に照らして適切なものはどれか。

正解 ア

解説

労働者派遣法は,派遣先の同一の事業所等で派遣を受け入れられる期間(派遣可能期間)を原則3年としている(第40条の2)。3年の派遣期間とする契約は上限の範囲内なので,アが適切である。

イは誤り。派遣先は派遣労働者を特定することを目的とする行為(事前の面接や履歴書の送付要請など)をしないよう努めなければならない(第26条第6項)。ウは誤り。年齢や性別で派遣労働者を指定することも派遣労働者を特定する行為に当たり,性別を理由とする差別的な取扱いにもなる。エは誤り。派遣先は派遣労働者から苦情の申出を受けたときは,派遣元に通知するとともに密接に連携して適切かつ迅速に処理を図らなければならず(第40条第1項),派遣元に任せきりにはできない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

デジタル社会形成基本法において掲げられている 10 項目の基本理念に含まれているものはどれか。

正解 ウ

解説

デジタル社会形成基本法の第 2 章は,第 3 条から第 12 条までの 10 条で基本理念を定めている。第 3 条は“全ての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現”,第 10 条は“個人及び法人の権利利益の保護等”で,情報の自由かつ安全な流通の確保を図ることを求めている。ウはこの内容に当たる。

アはプロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律),イは特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律),エは特定商取引法の目的に当たる内容で,基本理念に含まれない。

出典:令和6年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)