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応用情報技術者試験

平成23年度 特別試験 科目A(午前)

平成23年度 特別試験に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

整数 A を整数 B で割った余り rem(A, B) が次のとおり定義されているとき,適切な式はどれか。

〔rem(A, B) の定義〕

rem(A, B) は,除数 B と同じ符号をもつ整数又は 0 であり,その絶対値は,B の絶対値よりも小さい。ある整数 N を選ぶことによって,

A=B×N+rem(A, B)

が成立する。

正解 ウ

解説

rem(A, B) は,除数 B と同じ符号をもつ整数又は 0 で,絶対値が B の絶対値より小さい値である。A=B×N+rem(A, B) となる整数 N を選んで確かめる。ウの rem(12, −5) は,12=(−5)×(−3)+(−3) なので −3 となり,除数 −5 と同じ符号で絶対値も 5 より小さい。ウが適切である。

アの rem(11, 5) は 11=5×2+1 なので 1 で,2 ではない。イの rem(11, −5) は,11=(−5)×(−3)+(−4) なので −4 で,−1 ではない(N=−2 とすると余りが+1 になるが,除数 −5 と符号が異なるので条件に合わない)。エの rem(−11, 5) は,−11=5×(−3)+4 なので 4 で,1 ではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

次の論理演算が成立するときに,a に入るビット列はどれか。ここで,⊕は排他的論理和を表す。

1101 ⊕ 0001 ⊕ a ⊕ 1101 = 1111

正解 エ

解説

排他的論理和(⊕)は,同じ値を2回計算すると打ち消し合う(x⊕x=0)。また,計算の順序を入れ替えても結果は変わらない。式の左辺には 1101 が2個あるので打ち消し合い,0001⊕a=1111 となる。したがって a=1111⊕0001=1110 で,エが正しい。

ア〜ウをそれぞれ 0001 と ⊕ すると,アの 1011 は 1010,イの 1100 は 1101,ウの 1101 は 1100 になり,いずれも 1111 にならない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

相関係数に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

相関係数は2変量の直線的な関係の強さを −1 から +1 の範囲で表す指標。全ての標本点が1本の直線上に並び,その傾きが正であれば,相関係数はちょうど +1 になる。アが正しい。

イは逆で,きれいな線形の関係があれば相関係数の絶対値は1に近づく。0になるのは直線的な関係が見られないときである。ウは,非線形の関係でも相関係数が正になることも0付近になることもあり,負になるとは限らない。エの無相関のときは0であって −1 ではない。−1 になるのは負の傾きの直線上に全ての点が並ぶときである。

相関係数と散布図 全ての点が正の傾きの直線上にあれば相関係数は+1,負の傾きの直線上にあれば−1。直線的な関係が見られなければ0に近い(無相関)。相関係数が表すのは直線的な関係の強さだけ。 +1 0(無相関) −1
+1 と −1 は全ての点が1本の直線上。無相関は 0

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

あるプログラム言語において,識別子(identifier)は,先頭が英字で始まり,それ以降に任意個の英数字が続く文字列である。これを BNF で定義したとき,a に入るものはどれか。

BNF の定義。<digit> ::= 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9。<letter> ::= A | B | C | … | X | Y | Z | a | b | c | … | x | y | z。<identifier> ::= [ a ]。

正解 エ

解説

識別子は“英字1文字”から始まり,その後ろに英字又は数字を任意個つなげたものである。<identifier> ::= <letter> | <identifier><digit> | <identifier><letter> と定義すると,まず英字1文字が識別子になり,識別子の後ろに数字又は英字を付けたものも識別子になるので,先頭が英字で以降に任意個の英数字が続く文字列を全て表せる。エが正しい。

アとイは <digit> 単独も識別子としているので,数字1文字や数字で始まる文字列を許してしまう。ウは識別子の後ろに数字しか付けられないので,“ab”のように2文字目以降に英字を含む識別子を表せない。

識別子の BNF を構文図にする <identifier> ::= <letter> | <identifier><digit> | <identifier><letter> は,まず英字1文字で識別子になり,識別子の後ろに数字か英字を付けたものも識別子になる,という意味。構文図にすると,英字1つから始まり,英数字を何回でも繰り返せる道になる。 <letter> | <identifier><digit> | <identifier><letter> 入口 英字 出口 英字 数字 戻って 繰り返す
先頭は英字1つ。その後は英字か数字を何回でも(戻る道が繰返し)

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

組込みシステムにおけるリアルタイムシステムにおいて,システムへの入力に対する応答のうち,最も適切なものはどれか。

正解 イ

解説

リアルタイムシステムは,入力に対する応答が,あらかじめ定められた制限時間(デッドライン)内に必ず完了することを求められるシステムである。応答の正しさが結果だけでなく時刻にも依存するので,制限時間内に応答するイが適切である。

アはリアルタイム性の条件ではなく,リアルタイム OS を載せて制限時間を守る組込みシステムも多い。ウの入力順の遵守は待ち行列の先入れ先出しの話で,応答時間の保証とは別の性質である。エの入力時刻の記録は,ログや時刻同期のための処理であり,応答の速さを保証するものではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

葉以外の節点はすべて二つの子をもち,根から葉までの深さがすべて等しい木を考える。この木に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,深さとは根から葉に至るまでの枝の個数を表す。

正解 エ

解説

題意の木は,葉以外の節点(内部節点)がすべて二つの子をもつ二分木で,どの葉も根からの深さが等しい。節点の総数は(内部節点の数+葉の数),枝の数は(節点の総数−1)で,枝は内部節点から2本ずつ出るので,内部節点を k 個,葉を n 個とすると 2k=(k+n)−1 が成り立つ。これを解くと k=n−1 となり,葉の個数が n ならば葉以外の節点の個数は n−1 である。エが正しい。

アは,枝の個数が n ならば,葉を含む節点の個数は n+1 になる。イは,深さが n ならば葉の個数は 2n(深さ1で2個,深さ2で4個)で,2n−1 ではない。ウは,節点の個数が n のとき深さは log2(n+1)−1 で,log2n ではない(深さ2の木は節点が7個で,log27 は2にならない)。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

PUSH 命令でスタックにデータを入れ,POP 命令でスタックからデータを取り出す。動作中のプログラムにおいて,ある状態から次の順で 10 個の命令を実行したとき,スタックの中のデータは図のようになった。1番目の PUSH 命令でスタックに入れたデータはどれか。

実行した10個の命令は,PUSH,PUSH,POP,PUSH,PUSH,PUSH,PUSH,POP,POP,PUSH の順。実行後のスタックには,底から 29,7,326,55,192 の順にデータが入っている(最上段が 192)。

正解 イ

解説

命令を順に実行して,スタックの中身を追う。スタックは後に入れたデータから取り出す(後入れ先出し)。問題の図の 10 個の命令は,PUSH が7回,POP が3回で,実行後のスタックのデータは5個なので,実行前からスタックに 1 個のデータがあったことが分かる。POP は,その直前の PUSH で入れたデータ(2番目,6番目,5番目の PUSH)を取り除くので,残るのは,実行前からあった 29 と,1番目,3番目,4番目,7番目の PUSH で入れたデータである。下から順に 29,7,326,55,192 と並んでいるので,1番目の PUSH で入れたデータは 7 である。イが正しい。

アの 29 は命令の実行前からスタックにあったデータ,ウの 326 は3番目の PUSH,エの 55 は4番目の PUSH で入れたデータである。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

キーが小文字のアルファベット1文字(a,b,…,z のいずれか)であるデータを,大きさが 10 のハッシュ表に格納する。ハッシュ関数として,アルファベットの ASCII コードを 10進表記法で表したときの1の位の数を用いることにする。衝突が起こるキーの組合せはどれか。ASCII コードでは,昇順に連続した2進数が,アルファベット順にコードとして割り当てられている。

正解 エ

解説

ASCII では a が10進で97,以降 b が98,c が99……とアルファベット順に1ずつ増える。1の位が同じになる組合せを探すと,d は 97+3=100 で1の位が0,x は 97+23=120 で1の位が0となり一致する。したがって d と x が衝突する。エが正しい。

アの a は7,i は 97+8=105 で5。イの b は8,r は 97+17=114 で4。ウの c は9,l は 97+11=108 で8。いずれも1の位が異なるので衝突しない。

ASCII コードの1の位で決まる格納位置 a は 10進で 97 で,b,c,…と1ずつ増える。1の位で箱を決めると,d(100)と x(120)はどちらも 0 の箱に入って衝突する。a(97)は 7,i(105)は 5,b(98)は 8,r(114)は 4,c(99)は 9,l(108)は 8 で,ほかの組は1の位がそろわない。 d x 0 1 2 3 r 4 i 5 6 a 7 b l 8 c 9 衝突 d = 97 + 3 = 100,x = 97 + 23 = 120 → どちらも 0 a 97→7 i 105→5 b 98→8 r 114→4 c 99→9 l 108→8 箱の下の数字が1の位(格納位置)
1の位が同じ ⇔ ASCII コードの差が 10 の倍数(d と x の差は 20)

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

流れ図に示す処理の動作の記述として,適切なものはどれか。ここで,二重線は並列処理の同期を表す。

流れ図。開始の次に処理 A を行い,二重線で並列に分かれて処理 B と処理 C を実行する。B と C の下には二重線(同期)があり,B と C の両方が終わると,B の左側の線をたどって二重線の上の B・C への分岐に戻る(C の右側の線も同様に戻る)。

正解 ア

解説

A を実行した後,上の二重線で B と C が並列に開始され,下の二重線で B と C の両方が終わるまで同期をとる。同期した後は B と C の入口に戻るので,再び B と C を並列に実行する。B と C は並列なので終わる順序は BC にも CB にもなり,A の後に“BC 又は CB”を繰り返して実行することになる。アが適切である。

ウとエは誤り。B と C は同じ資源を奪い合う構造ではなく,同期の後は必ず両方の入口に戻るので,デッドロックにはならない。イは誤り。同期をとるので,B だけ又は C だけが繰り返されることはない。

二重線の同期がある流れ図 A を実行した後,上の二重線で B と C を並行に始め,下の二重線で B と C の両方が終わるのを待つ(同期)。同期した後は B と C の入口に戻るので,再び B と C を並行に実行する。終わる順は BC にも CB にもなり,A の後に“BC 又は CB”を繰り返す。 A B C 戻る 下の二重線で B と C の両方が終わるのを待つ A の後に「BC 又は CB」を繰り返す
二重線で分かれ,二重線で両方を待つ。戻ってまた両方

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

パイプラインの深さを D,パイプラインピッチを P 秒とすると,I 個の命令をパイプラインで実行するのに要する時間を表す式はどれか。ここで,パイプラインの各ステージは1ピッチで処理されるものとし,パイプラインハザードについては,考慮しなくてよい。

正解 イ

解説

パイプラインでは,最初の命令が D 個のステージを通り終えるのに D ピッチかかる。その後は,1ピッチごとに次の命令が1個ずつ完了するので,残りの I−1 個の命令には I−1 ピッチかかる。

合計は D+(I−1) ピッチで,1ピッチが P 秒なので,所要時間は (I+D−1)×P 秒となり,イが正しい。アは最後に1ピッチ余分に数えている。ウ,エは時間の単位であるピッチ P を掛けずに足しており,式として成り立たない。

パイプラインの所要時間 深さ D=4 のパイプラインで I=5 個の命令を流す例。最初の命令が4つのステージを通り終えるのに4ピッチかかり,その後は1ピッチごとに1個ずつ命令が終わるので,残り4個に4ピッチ。合計 D+I−1=8 ピッチで,時間は (I+D−1)×P。 1 2 3 4 5 6 7 8 ピッチ 命令1 取出 解読 実行 書込 命令2 取出 解読 実行 書込 命令3 取出 解読 実行 書込 命令4 取出 解読 実行 書込 命令5 取出 解読 実行 書込 D=4 ピッチ I−1=4 ピッチ 合計 (I+D−1) ピッチ = 8 ピッチ → 時間は (I+D−1)×P
最初の1個に D ピッチ,残りの I−1 個は1ピッチに1個ずつ終わる

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

主記憶の 1000 番地から,表のように4バイトの整数データが格納されている。これを 32 ビットのレジスタにロードするとき,プロセッサのエンディアンとレジスタにロードされる数値との組合せとして,正しいものはどれか。

表。バイトアドレス 1000 のデータは 00,1001 は 01,1002 は 02,1003 は 03。

正解 エ

解説

エンディアンは,複数バイトのデータをメモリに並べる順序のことである。ビッグエンディアンは上位のバイトから先(小さい番地)に並べ,リトルエンディアンは下位のバイトから先(小さい番地)に並べる。表では 1000 番地から 00,01,02,03 の順に格納されている。ビッグエンディアンでは先頭の 00 が最上位のバイトになるので,レジスタの値は 00010203 となる。リトルエンディアンでは先頭の 00 が最下位のバイトで,最上位が 1003 番地の 03 になるので,03020100 となる。エが正しい。

アは,リトルエンディアンの値が 00010203(ビッグエンディアンの値)になっており,ビッグエンディアンの 02030001 はどちらの順序でも得られない値である。イは,二つの値が入れ替わっている。ウは,ビッグエンディアンの値は正しいが,リトルエンディアンの 02030001 がどちらの順序でも得られない値である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

主記憶アクセスの高速化技術であるライトバック方式における,キャッシュメモリ及び主記憶への書込みの説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ライトバック方式は,データを書き込むときにキャッシュメモリにだけ書き込み,主記憶への書込みは,そのデータがキャッシュメモリから追い出されるときにまとめて行う方式である。書込みのたびに低速な主記憶にアクセスしないので,高速に処理できる。イが該当する。

アのキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むのはライトスルー方式である。ウのバッファを介して主記憶に順次書き込む方式や,エの主記憶を複数ブロックに分けて並列に書き込む方式は,ライトバック方式ではない。

ライトスルーとライトバック ライトスルー方式は,CPU が書き込むたびにキャッシュメモリと主記憶の両方に書くので,主記憶の内容は常に最新だが,書込みは主記憶の速さに引きずられる。ライトバック方式は,キャッシュメモリにだけ書いて済ませ,そのブロックがキャッシュから追い出されるときにまとめて主記憶に書き戻す。書込みは速いが,追い出されるまで主記憶は古いまま。 ライトスルー CPU キャッシュ 主記憶 書く 同時に書く 主記憶は常に最新,書込みは遅い ライトバック CPU キャッシュ 主記憶 書く 追い出すときに まとめて書き戻す 速いが,主記憶は古いことがある
ライトスルーは主記憶が常に最新,ライトバックは追い出すときに書き戻す

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

RAID 1〜5 の各構成は,何に基づいて区別されるか。

正解 ウ

解説

RAID 1〜5 は,複数台の磁気ディスク装置にデータと冗長データ(ミラー,パリティなど)をどのように記録し,どのディスクに置くかという方式で区別される。RAID 1 はミラーリング,RAID 3 はビット又はバイト単位のストライピングと専用パリティディスク,RAID 5 はブロック単位のストライピングとパリティの分散配置である。ウが正しい。

アのディスクのアクセス性能,イのコンピュータ本体とのインタフェース,エの MTBF 値は,構成のために使う装置の性質や結果として得られる値であって,RAID のレベルを区別する基準ではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

コンピュータシステムの構成の名称とその構成図の組合せのうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

疎結合マルチプロセッサ構成は,OS とメモリをもつ独立したプロセッサを複数台,CPU どうしを結んで接続した構成で,イの図に当たる。各プロセッサが別々の OS とメモリで動作する。イが適切である。

アの図は,一つの OS とメモリを複数の CPU が共有する構成で,密結合マルチプロセッサ構成であり,クラスタ構成ではない。ウの図は,一つの CPU とメモリの上で二つの OS が動く構成で,デュアル構成の図ではない。エの図は,二つのシステムの出力を照合機で突き合わせる構成で,これはデュアルシステムの考え方であり,主系と待機系をもつデュプレックス構成の図ではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

モデル層,ビュー層及びコントローラ層の三つの論理的な層でモデル化された Web システムの説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

Web システムを MVC(モデル・ビュー・コントローラ)の三つの層でモデル化したとき,モデル層は,データの管理と業務処理(ビジネスロジック)を担当する。ビュー層は,モデルの処理結果を受け取って画面表示を行い,コントローラ層は,利用者からの入力を受け付けて,モデル層に処理を依頼したり,ビュー層に表示を指示したりする。業務処理はモデル層が行い,処理結果はビュー層に渡されて画面表示が行われるイが適切である。

アは,業務処理をコントローラ層が行うとしている点が誤りで,コントローラ層は処理を依頼する役割である。ウは,業務処理をコントローラ層で行うとしている点が誤り。エは,処理結果をコントローラ層から受け取ってビュー層に引き渡す役割をモデル層がもつとしている点が誤りである。

MVC(モデル・ビュー・コントローラ) モデルはデータと業務の処理,ビューは画面の表示,コントローラは利用者の入力を受けてモデルやビューに伝える。役割を分けるので,画面を変えても業務の処理に影響しにくく,同じモデルを複数のビューで表示できる。 コントローラ 入力を受ける モデル データと処理 ビュー 表示する 操作を伝える 変更を知らせる 表示を切り替え 画面を変えても業務の処理に影響しにくい
入力はコントローラ,データと処理はモデル,表示はビュー

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

システムの信頼性に関する記述のうち,フェールオーバの説明はどれか。

正解 ア

解説

フェールオーバは,システムに障害が発生したとき,待機していた別の処理装置(ノード)に処理やデータを自動的に引き継いで,処理を継続させる仕組みである。利用者に切替え処理を意識させずに稼働を続けられる。アが適切である。

イは,故障したときに安全な側の状態にするフェールセーフの説明。ウは,人間が誤った使い方をしても信頼性や安全性を損なわないフールプルーフの説明。エは,信頼性の高い部品を用いて故障の発生そのものを減らすフォールトアボイダンス(故障回避)の説明である。

フェールオーバとフェールバック クラスタリングシステムで稼働中のノードに障害が起きると,そのノードを切り離し,待機していた代替ノードでアプリケーションを引き継いで実行する(フェールオーバ)。障害のノードが復旧したあとに処理を元のノードへ戻すのがフェールバック。代替ノードは正常なので再起動は要らない。 ① 障害が起きた ノード1 障害 ノード2 待機 フェールオーバ ② 復旧したあと ノード1 復旧 ノード2 稼働中 フェールバック フェールオーバ:障害のノードを切り離し,代替ノードで引き継ぐ(ウ) ホットプラグ:電源を入れたまま機器を抜き差しする(別の話)
障害時はフェールオーバ,復旧後に戻すのがフェールバック
信頼性設計の考え方の見分け方 フォールトトレランスは故障しても機能を保つ(二重化など)。フェールソフトは故障部分を切り離し,機能を落として動かし続ける(フォールバック=縮退運転)。フェールセーフは故障したら安全な側に倒す(信号を赤に)。フールプルーフは人が誤った操作をしても危険にならない(インタロック,逆向きの電池が入らない)。 考え方 きっかけ どうするか 例 フォールトトレランス 故障 機能を保つ 二重化・RAID1 フェールソフト 故障 落として続ける 縮退運転 フェールセーフ 故障 安全側に倒す 信号を全部赤 フールプルーフ 誤操作 危険にしない インタロック フォールバック(縮退運転)は,故障部分を切り離して残りで続けること
何が起きたとき(故障か誤操作か)に,どうするか(保つ・落とす・止める)で見分ける

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

システムの稼働率を表す式はどれか。

正解 ウ

解説

稼働率は,システムが正常に稼働している時間の割合で,平均故障間隔(MTBF)を,MTBF と平均修理時間(MTTR)の和で割って求める。ウが正しい。

エは全体の時間に占める修理中の時間の割合で,稼働していない割合(1−稼働率)を表す。ア,イは稼働率の定義に当てはまらない式である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

3種類のコンピュータ X〜Z において,ベンチマークプログラム 1,2 の処理時間が次のとおりであった。コンピュータを性能の高い順に並べたものはどれか。ここで,コンピュータの性能値は相乗平均値を用いるものとする。

単位は秒。コンピュータ X はベンチマークプログラム 1 が 10,プログラム 2 が 40。Y は 20 と 30。Z は 25 と 25。

正解 ア

解説

コンピュータの性能値を,各プログラムの処理時間の相乗平均(幾何平均)で表す。処理時間が短いほど性能が高い。X の相乗平均は √(10×40)=20 秒,Y は √(20×30)=√600≒24.5 秒,Z は √(25×25)=25 秒である。処理時間の短い順(性能の高い順)は X,Y,Z で,アが正しい。

イ〜エは,これと並びが異なる。なお,処理時間の単純な平均(算術平均)で比べると,X は 25 秒,Y は 25 秒,Z は 25 秒で差が付かないので,相乗平均を使うことで違いが現れる。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

OS のスケジューリング方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

優先度順方式では,優先度の高いジョブが次々に到着すると,優先度の低いジョブがいつまでも実行されず,応答時間が極端に長くなること(スタベーション)がある。ウが適切である。

アの処理時間順方式は,処理時間の短いジョブを優先する方式で,消費した CPU 時間の長いジョブを優先するものではない。イの到着順方式では,処理時間の長いジョブの後に着いた短いジョブが待たされるので,ラウンドロビン方式より短いジョブの応答時間は長くなる。エのラウンドロビン方式は,タイムクウォンタムを長くするほど途中で切り替わらなくなり,到着順方式に近づく。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

仮想記憶方式のコンピュータシステムにおいて処理の多重度を増やしたところ,ページイン,ページアウトが多発して,システムの応答速度が急激に遅くなった。このような現象を何というか。

正解 イ

解説

仮想記憶方式で多重度を高めすぎると,実記憶が足りなくなってページイン,ページアウトが頻発し,処理よりもページの入替えに時間を費やして,システム全体の処理能力が急激に低下する。この現象をスラッシングという。イが正しい。

アのオーバレイは,プログラムをいくつかの部分に分け,同じ主記憶領域に必要な部分だけを交代で読み込む手法。ウのメモリコンパクションは,主記憶上に散らばった空き領域を一つにまとめる処理。エのロールアウトは,実行中のプログラムを一時的に補助記憶装置に退避させることである。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

仮想記憶方式のコンピュータにおいて,実記憶に割り当てられるページ数は 3 とし,追い出すページを選ぶアルゴリズムは,FIFO と LRU の二つを考える。あるタスクのページのアクセス順序が 1,3,2,1,4,5,2,3,4,5 のとき,ページを置き換える回数の組合せとして適切なものはどれか。

正解 イ

解説

実記憶に 3 ページを割り当て,アクセス順 1,3,2,1,4,5,2,3,4,5 でページの置換え回数を数える。FIFO は,最初に読み込んだページから追い出す。1,3,2 を読み込んだ後,1 はヒット。4 で 1 を追い出し(1回目),5 で 3 を追い出し(2回目),2 はヒット,3 で 2 を追い出し(3回目),4,5 はヒットとなり,置換えは 3 回。LRU は,最も長く参照されていないページを追い出す。4 で 3 を追い出し(1回目),5 で 2(2回目),2 で 1(3回目),3 で 4(4回目),4 で 5(5回目),5 で 2(6回目)となり,置換えは 6 回。FIFO が 3 回,LRU が 6 回のイが正しい。

ア,ウ,エは,いずれも FIFO か LRU のどちらか,又は両方の回数が合わない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

あるコンピュータ上で,異なる命令形式のコンピュータで実行できる目的プログラムを生成する言語処理プログラムはどれか。

正解 イ

解説

クロスコンパイラは,あるコンピュータ上で,命令形式(アーキテクチャ)の異なる別のコンピュータで実行できる目的プログラムを生成するコンパイラである。組込みシステムの開発などで,開発用のコンピュータから対象機器向けのプログラムを作るのに使われる。イが正しい。

アのエミュレータは,別のコンピュータの命令形式を模倣して,そのコンピュータ用のプログラムを実行するもの。ウの最適化コンパイラは,実行速度やメモリ使用量が改善されるように目的プログラムを生成するコンパイラ。エのプログラムジェネレータは,パラメータなどを指定してプログラムを自動生成するものである。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

OSS(Open Source Software)の特徴のうち,適切なものはどれか。ここで,OSS は OSI(Open Source Initiative)による OSD(The Open Source Definition)の定義に基づくものとする。

正解 イ

解説

OSS は,OSI の OSD(The Open Source Definition)に基づくと,ソースコードを入手でき,複製,改良,再頒布が自由にでき,利用する分野(商用など)や人を差別してはならない。ソフトウェアの頒布そのものに使用料を課すことも認められない。OSS をパッケージ化したり,自社のソフトウェアと組み合わせたりして有償で販売することは認められているので,イが適切である。

アは,OSD が利用分野による差別を禁止しており,商用システムの開発にも利用できるので誤り。ウは,利用者数に応じてライセンス料が発生するとしている点が,OSD の自由な再頒布の考え方に反する。エは,改良したソフトウェアも再頒布できるので誤りである。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

NAND 素子を用いた次の組合せ回路の出力 Z を表す式はどれか。ここで,論理式中の・は論理積,+は論理和,X は X の否定を表す。

組合せ回路。X を二つの入力に分けて NAND 素子に入れ,Y も同様に二つの入力に分けて別の NAND 素子に入れる。二つの NAND 素子の出力をさらに NAND 素子に入れて Z とする。

正解 イ

解説

NAND 素子の二つの入力に同じ信号を入れると,否定(NOT)として働く。上の NAND 素子の出力は X,下の NAND 素子の出力は Y になる。

出力段の NAND 素子は X と Y の論理積の否定を出すので,ド・モルガンの法則により NOT(X・Y)=X+Y となる。イが正しい。NAND 素子だけで OR 回路を組み立てられることを示す例である。

NAND 素子で作る論理和 NAND 素子の2つの入力に同じ信号を入れると否定(NOT)になるので,上の素子の出力は X̄,下の素子の出力は Ȳ。最後の NAND 素子は ¬(X̄・Ȳ) を出し,ド・モルガンの法則で X+Y になる。 X Y X Y Z Z = ¬(X・Y) = X + Y
入力をつないだ NAND は NOT になる。最後の NAND はド・モルガンの法則で X+Y

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

PLC(Power Line Communications)の特徴として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

PLC(Power Line Communications)は,電力線(コンセントなど家庭や事業所の電力配線)に,高周波の情報信号を重ねて通信する技術である。新たな通信ケーブルを敷設せずに,既設の電力線を通信線として使える。イが適切である。

アのようにデータ線と電力線を分離するのではなく,電力線そのものを通信に使う。ウのように電力線をアンテナとして使う無線通信ではない。エは,電話線を使い,上りと下りで速度が異なる ADSL の説明である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

Web ページの設計の例のうち,アクセシビリティを高める観点から適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

色の違いを見分けにくい利用者や,画面読上げソフトを使う利用者には,色で強調しただけでは入力が必須であることが伝わらない。項目名の隣に“(必須)”などと文字で明記すれば,色に頼らずに情報が伝わるので,ウが適切である。

アの音声の自動再生は,画面読上げソフトの音声を妨げたり,利用者が止められなかったりするので避ける。イの表組みをレイアウトに使うと,読上げの順序が崩れて内容が伝わりにくくなる。エの alt 属性には,URL ではなくリンク先の内容や画像の意味を説明する文を記述する。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

動画や音声などのマルチメディアコンテンツのレイアウトや再生のタイミングを XML フォーマットで記述するための W3C 勧告はどれか。

正解 ウ

解説

SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)は,動画・音声・静止画・テキストなどをどこに配置し,どのタイミングで再生するかを XML で記述するための W3C 勧告。ウが正しい。

アの Ajax は非同期通信で画面を部分更新する Web の実装手法で W3C 勧告ではない。イの CSS は文書の見た目を指定するスタイルシート言語。エの SVG はベクター画像を XML で記述する形式で,どちらも再生のタイミングを扱うものではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

“社員扶養家族”表の列“社員番号”の値が“社員”表の候補キーに存在しなければならないという制約はどれか。

正解 ウ

解説

“社員扶養家族”表の“社員番号”の値が,“社員”表の候補キー(主キー)に存在していなければならない,という制約は,ある表の列の値が別の表の列(候補キー)の値を参照するときに,参照先に値が存在することを保証する参照制約(参照整合性制約)である。外部キーに定義する。ウが正しい。

アの一意性制約は,列の値が重複しないことを求める制約。イの形式制約は,列に入れる値の形式に関する制約であり,他の表の値との対応を求めるものではない。エのドメイン制約は,列に入れる値の型や取りうる範囲を限定する制約で,これも他の表との対応関係を保証するものではない。

参照制約で拒否される操作 “在庫”表の製品番号は“製品”表の製品番号を参照する外部キー。“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に無ければ拒否される。参照される側の“製品”表から,参照されている行を削除したり製品番号を変えたりするのも拒否されうる。“在庫”表の行や表の削除,“製品”表への行の追加は拒否されない。 在庫(参照する側) 管理番号 製品番号 Z01 P1 Z02 P2 Z03 P9 製品(参照される側) 製品番号 製品名 P1 ねじ P2 ばね P9 は製品に無い → 在庫への追加は拒否 参照されている P1・P2 の削除も拒否されうる 拒否されない:在庫の行・表の削除,製品への行の追加 外部キー → 参照先に同じ値が要る
参照する側への追加と,参照される側からの削除が引っかかる

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

関係データベースにおいて,表の中から特定の列だけを取り出す操作はどれか。

正解 イ

解説

射影(projection)は,表の中から指定した列だけを取り出す操作である。イが正しい。

アの結合(join)は,複数の表を共通の列の値によって結び付けて一つの表を作る操作。ウの選択(selection)は,条件に合う行だけを取り出す操作。エの和(union)は,同じ構造の二つの表の行を合わせて一つの表にする操作である。

関係演算:選択・射影・和・差 選択は条件に合う行を取り出し,射影は指定した列を取り出す。射影の結果は集合なので,重複する行は1つにまとめる(SQL では DISTINCT)。表 T の A と C への射影では (a1,c1) と (a2,c2) が重なり,3行になる。和 R∪S は両方の行を合わせて重複を1つに,差 R−S は R にあって S にない行。 表 T(A と C を射影) ID A B C 001 a1 b1 c1 002 a1 b1 c2 003 a1 b2 c1 004 a2 b1 c2 005 a2 b2 c2 射影の結果 A C a1 c1 a1 c2 a2 c2 (a1,c1) と (a2,c2) が 重なるので 3行に R ID A B 0001 a 100 0002 b 200 0003 d 300 S ID A B 0001 a 100 0002 a 200 和 R∪S ID A B 0001 a 100 0002 a 200 0002 b 200 0003 d 300 差 R−S ID A B 0002 b 200 0003 d 300 0001 a 100 は S にもあるので除く
選択は行,射影は列。射影は重複を取り除く

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

“社員”表と“人事異動”表から社員ごとの勤務成績の平均を求める適切な SQL 文はどれか。ここで,求める項目は,社員コード,社員名,勤務成績(平均)の 3 項目とする。

“社員”表(社員コード,社員名,性別,生年月日,入社年月日):O1553 太田 由美 女 1970-03-10 1990-04-01,S3781 佐藤 義男 男 1943-11-20 1975-06-11,O8665 太田 由美 女 1978-10-13 1999-04-01。“人事異動”表(社員コード,配属部門,配属年月日,担当勤務内容,勤務成績):O1553 総務部 1990-04-01 広報(社内報) 69.0,O1553 営業部 1998-07-01 顧客管理 72.0,S3781 資材部 1975-06-11 仕入在庫管理 70.0,S3781 経理部 1984-07-01 資金計画 81.0,S3781 企画部 1993-07-01 会社組織,分掌 95.0,O8665 秘書室 1999-04-01 受付 70.0。

正解 イ

解説

社員ごとの勤務成績の平均を求めるので,社員(社員コード,社員名)ごとにグループ化し,AVG で平均を求める。社員コードと社員名で GROUP BY し,AVG(勤務成績) を求めるイが適切である。例えば,S3781 の平均は (70.0+81.0+95.0)÷3=82.0 となる。

アは,勤務成績の値で GROUP BY しているので,社員ごとの平均にならない。また,GROUP BY に含まれない社員コードと社員名を SELECT しているので,構文としても適切でない。ウは,平均値である AVG(勤務成績) を,さらに件数 COUNT(勤務成績) で割っているので,平均値より小さい値になる。エは,最大値 MAX(勤務成績) を件数 COUNT(*) で割っており,平均値にならない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

関係データベースのインデックスに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

インデックス(索引)は,列の値から行を速く探すための仕組みで,主キー以外の列にも指定できる。エが適切である。

アは,ユニークな列に限らず,値が重複する列にも設定できるので誤り。イは,検索は速くなることがあるが,データの追加,更新,削除のときにはインデックスも更新するため,かえって遅くなる操作もある。ウは,外部キーにインデックスを設定すると結合や参照の確認が速くなることがあるが,設定しなければならないという規則はない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

トランザクションの原子性(atomicity)の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

トランザクションの原子性(Atomicity)は,トランザクション内の処理が全て実行されるか,全く実行されないかのどちらかであるという性質で,終了したときの状態は“処理済み”か“未処理”のいずれかになる。イが適切である。

アはデータの格納場所や実行場所を意識せずに処理できる分散データベースの透過性。ウのデータベースの一貫性が保たれるのは一貫性(Consistency)。エの複数のトランザクションを同時に処理しても個々の結果が正しいのは独立性(Isolation)の説明である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

データベースにデータの追加,削除などが多数回繰り返されて,データベース全体のアクセス効率が低下したときに,データベースに対して行う処理はどれか。

正解 エ

解説

データの追加,削除を繰り返すと,データベースの格納領域に使われていない空き領域が散らばって,アクセス効率が低下する。このようなときは,データを詰め直して格納し直す再編成(リオーガニゼーション)を行う。エが適切である。

アの再起動は,システムや DBMS を起動し直すこと。イの再実行は,処理をもう一度実行すること。ウの再定義は,表や索引などの定義を変更して定義し直すことで,いずれもアクセス効率の低下した格納領域を整理するものではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

インターネット接続における NAPT の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

NAPT(Network Address Port Translation,IP マスカレード)は,プライベート IP アドレスとポート番号の組合せを,グローバル IP アドレスとポート番号の組合せに変換する技術である。ポート番号も変換するので,一つのグローバル IP アドレスを複数の端末で共用してインターネットに接続できる。ウが適切である。

アは IP アドレスと MAC アドレスを対応付ける ARP の説明。イは,プライベート IP アドレスとグローバル IP アドレスを1対1で変換する NAT(静的 NAT)の説明。エはホスト名と IP アドレスを変換する DNS の説明である。

NAPT のアドレス変換 PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。 PC 192.168.1.10 ルータ NAPT Web 198.51.100.5 送信元 .10:5000 送信元 .1:60001 宛先 203.0.113.1:60001 宛先 .10:5000 対応表 内側(プライベート) 外側(グローバル) 192.168.1.10 : 5000 203.0.113.1 : 60001 応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」 外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

図のように,2台の端末がルータと中継回線で接続されているとき,端末 A がフレームを送信し始めてから,端末 B がフレームを受信し終わるまでの時間は,およそ何ミリ秒か。

〔条件〕

端末 A とルータが LAN(10M ビット/秒)でつながり,そのルータは中継回線(1.5M ビット/秒)で別のルータにつながる。もう一方のルータと端末 B は LAN(10M ビット/秒)でつながる。

正解 エ

解説

端末 A から B までの時間は,フレームを LAN,中継回線,LAN の順に送る伝送時間とルータの処理時間の合計である(各区間でフレームを受信し終えてから次へ送る)。フレーム長は 1,500 バイト=12,000 ビットなので,LAN での伝送時間は 12,000÷10,000,000=1.2 ミリ秒で,これが2回,中継回線は 12,000÷1,500,000=8 ミリ秒である。ルータ処理は 0.8 ミリ秒が2回で 1.6 ミリ秒。合計 1.2×2+8+1.6=12 ミリ秒となり,エが正しい。

ウの10 は,ルータの処理時間 1.6 ミリ秒を含めずに 1.2×2+8=10.4 ミリ秒としたときの値に近い。ア(3)とイ(6)は,各区間の伝送時間とルータの処理時間の合計には合わない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

レイヤ2のスイッチングハブの機能として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

スイッチングハブ(レイヤ 2 スイッチ)は,受信したフレームの宛先 MAC アドレスを MAC アドレステーブルと照らして,宛先のある LAN ポートだけにフレームを転送する。MAC アドレスを解析して必要なポートにデータを流すイが適切である。

アの IP アドレスを解析して中継か破棄かを判断するのは,ルータやレイヤ 3 スイッチ,パケットフィルタリング型のファイアウォールの機能である。ウの物理層でネットワークを延長するのはリピータやリピータハブの機能である。エのトランスポート層以上で異なるプロトコルを変換するのはゲートウェイの機能である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

TCP/IP ネットワークにおける,ARP 要求パケットと ARP 応答パケットの種類の組合せはどれか。ここで,ARP キャッシュに保持するエントリの有効性を確認する場合は除くものとする。

正解 イ

解説

ARP は,IP アドレスから MAC アドレスを調べるプロトコルである。ARP 要求パケットは,相手の MAC アドレスが分からないので,LAN 内の全端末に宛てたブロードキャストで送る。要求された IP アドレスをもつ端末は,要求元に対して自分の MAC アドレスを ARP 応答パケットとして,要求元だけに宛てたユニキャストで返す。ARP 要求がブロードキャスト,ARP 応答がユニキャストのイが正しい。

アは,応答もブロードキャストとしている点が誤り。ウとエは,要求をユニキャストとしている点が誤り(問題文のとおり,ARP キャッシュに保持するエントリの有効性を確認する場合には要求をユニキャストで送ることもあるが,これは除いている)。

ARP で MAC アドレスを調べる PC A が 192.168.1.20 の MAC アドレスを知りたいとき,「この IP アドレスの人は MAC アドレスを教えて」という ARP 要求をブロードキャストで LAN 全体に送る。その IP アドレスをもつ機器だけが ARP 応答で自分の MAC アドレスを返し,PC A は ARP キャッシュに覚える。宛先が別のネットワークにあるときは,デフォルトゲートウェイ(ルータ)の MAC アドレスを調べてルータに渡す。 PC A 192.168.1.10 PC B 192.168.1.15 サーバ C 192.168.1.20 ルータ 192.168.1.1 ① ARP 要求(ブロードキャスト) 「192.168.1.20 の人,MAC アドレスを教えて」 ② ARP 応答(サーバ C だけが返す) 「MAC アドレスは 00-1B-…」 別のネットワーク宛てなら,ルータ(.1)の MAC を調べて渡す
要求はブロードキャスト(ルータを越えない),応答はその1台からだけ

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

SSL によるクライアントと Web サーバ間の通信手順(1)〜(5)において,a,b に入る適切な語句の組合せはどれか。ここで,記述した手順は,一部簡略化している。

正解 ウ

解説

SSL(TLS)では,(2) でクライアントは,サーバ証明書に付けられた認証局のディジタル署名を,あらかじめ保持している認証局の公開鍵で検証し,証明書が正当であることを確認する。よって a は認証局の公開鍵である。

(3) でクライアントは,サーバ証明書に含まれる Web サーバの公開鍵で共通鍵生成用データを暗号化して送る。(4) で Web サーバが自らの秘密鍵で復号できるのは,対になる公開鍵で暗号化されているからで,b は Web サーバの公開鍵となる。ウが正しい。

ア,イのクライアントの鍵はこの手順では使わない。エの Web サーバの秘密鍵はサーバだけが持つもので,サーバ証明書に添付されることはない。

証明書の連鎖 サーバ証明書は中間 CA が署名し,中間 CA の証明書はルート CA が署名している。受け取った側は,サーバ証明書から中間 CA,ルート CA へと署名をたどって検証し,ブラウザや OS に組み込まれているルート CA に行き着けば信頼できると判断する。署名の検証には,署名した CA の公開鍵を使う。 ルート CA の証明書 ブラウザ・OS に組み込み済み 中間 CA の証明書 ルート CA が署名 サーバ証明書 中間 CA が署名 署名 たどって 検証 署名は,署名した CA の公開鍵で確かめる
上の CA が下の証明書に署名し,受け取った側は下から上へたどって検証する

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

TCP/IP の環境で使用されるプロトコルのうち,構成機器や障害時の情報収集を行うために使用されるネットワーク管理プロトコルはどれか。

正解 エ

解説

SNMP(Simple Network Management Protocol)は,ルータやスイッチなどのネットワーク機器の構成情報や稼働状況を収集し,障害を検知すると通知(トラップ)を受け取れるようにするネットワーク管理プロトコルである。エが正しい。

アの NNTP はネットニュースの記事を配信・取得するプロトコル,イの NTP は機器の時刻を同期させるプロトコル,ウの SMTP は電子メールを送信・転送するプロトコルである。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

http://host.example.co.jp:8080/file で示される URL の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

URL の http://host.example.co.jp:8080/file は,先頭の http: がプロトコル(スキーム)で,HTTP を使って参照することを示す。続く host.example.co.jp がホスト名,:8080 がポート番号,/file がサーバ内の資源(パス)である。エが正しい。

アの :8080 はポート番号であり,プロキシサーバ経由を示すものではない。イの file はサーバ内の資源の名前で,HTML で作成された Web ページだとは限らない。ウのホスト名の末尾の jp は国別のドメイン名で,参照先のサーバが日本国内にあることまで示すものではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

DNS キャッシュポイズニングに分類される攻撃内容はどれか。

正解 イ

解説

DNS キャッシュポイズニングは,DNS サーバ(キャッシュサーバ)に偽の応答を送り込んでキャッシュさせ,その DNS サーバを参照する PC に誤った IP アドレスを返させる攻撃である。利用者が正しいドメイン名を入力しても,攻撃者が用意した偽の Web サーバに誘導されてしまう。イが該当する。

アのソフトウェアのバージョン情報から脆弱性を特定するのは,攻撃の前段階の調査(偵察)である。ウの DNS サーバを踏み台にして大量の問合せを発生させ,攻撃対象に応答を集中させるのは DNS リフレクション攻撃(DNS amp)である。エのゾーン情報をまとめて転送させるのは,ゾーン転送を悪用した情報収集であり,いずれもキャッシュに偽の情報を注入するものではない。

DNS キャッシュポイズニングの流れ キャッシュ DNS サーバが権威 DNS サーバに問い合わせている間に,攻撃者が問合せの ID やポート番号を推測した偽の応答を大量に送り込む。本物の応答より先に偽の応答が受け入れられると,キャッシュに偽の IP アドレスが残り,利用者は偽のサーバへ誘導される。対策は,ID と送信元ポート番号をランダムにする,外部からの再帰的な問合せに答えない,DNSSEC で応答を検証する。 利用者 キャッシュ DNS 権威 DNS ① 名前を問合せ ② 問合せ(ID・ポート) 攻撃者 ③ 推測した偽の応答を大量に 本物の応答(遅れる) ④ 偽の IP アドレス 対策:ID とポートをランダムに,外部の再帰問合せは受けない,DNSSEC
本物の応答より先に,ID とポートが合った偽の応答が入ると成り立つ

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

緊急事態を装って組織内部の人間からパスワードや機密情報を入手する不正な行為は,どれに分類されるか。

正解 ア

解説

ソーシャルエンジニアリングは,技術的な手段ではなく,人間の心理的な隙や行動のミスにつけ込んで,パスワードや機密情報を不正に入手する行為である。緊急事態を装って電話をかけ,組織内部の人間を慌てさせて聞き出す手口は,その典型である。アが該当する。

イのトロイの木馬は有用なプログラムに見せかけて利用者にインストールさせるマルウェア,ウのパスワードクラックは総当たりや辞書を使ってパスワードを解読する攻撃,エの踏み台攻撃は第三者のコンピュータを乗っ取って攻撃の中継に使う攻撃である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

あるコンピュータセンタでは,インシデントを六つのタイプに分類した。このとき,次の三つのインシデントに対するタイプの組合せのうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

インシデント 1 は,ワームの攻撃が試みられた形跡があるが侵入されていないので,プローブやスキャンなどの不審なアクセスに当たる Scan。インシデント 2 は,ネットワークの輻輳によるサービス運用の妨害なので DoS。インシデント 3 は,DoS 用の踏み台プログラムがシステムに設置されていたので,システムに侵入されたことになり Intrusion。ウが正しい。

アとイの Abuse は,サーバプログラムの機能を悪用した不正中継で,インシデント 1 には当たらない。イとエの Forged は,送信ヘッダを詐称した電子メールの配送で,インシデント 2 は輻輳による妨害なので当たらない。イとエはインシデント 3 を DoS としているが,踏み台プログラムが設置されたことは侵入の事実であり,Intrusion が適切である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

ゼロデイ攻撃の特徴はどれか。

正解 ア

解説

ゼロデイ攻撃は,脆弱性が公表されてから修正プログラム(セキュリティパッチ)が提供されるまでの,あるいは提供されても適用が済んでいない期間を狙って,その脆弱性を突く攻撃。パッチがまだない状態を突かれるので防ぎにくい。アが正しい。

イは DDoS 攻撃,ウは標的型のフィッシング(スピアフィッシング),エはメールサーバを踏み台にした大量送信の説明である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

図は“顧客が商品を注文する”を表現した UML のクラス図である。“顧客が複数の商品をまとめて注文する”を表現したクラス図はどれか。ここで,“注文明細”は一つの注文に含まれる1種類の商品に対応し,“注文ヘッダ”は複数の“注文明細”を束ねた一つの注文に対応する。

クラス図と凡例。顧客(1)と注文(0..*)が関連し,注文(0..*)と商品(1)が関連する。凡例:クラスは四角,関連は線,コンポジションはひし形付きの線。多重度 1 は必ず1,0..* は0以上,1..* は1以上。

正解 ア

解説

“注文ヘッダ”は複数の“注文明細”を束ねたもので,注文明細は注文ヘッダの一部として存在する。このような全体と部分の関係は,全体の側(注文ヘッダ)にひし形を付けたコンポジションで表し,1件の注文に1件以上の注文明細が含まれるので,注文ヘッダ側の多重度は 1,注文明細側は 1..* となる。注文明細はそれぞれ1種類の商品に対応し,顧客は注文ヘッダを0件以上行う。この関係をすべて満たすアが正しい。

イはひし形が注文明細の側にあり,注文明細が全体で注文ヘッダが部分という逆の関係で,多重度も逆になっている。ウ,エは商品が注文ヘッダに関連しているので,一つの注文に1種類の商品しか含められず,顧客が注文明細に直接関連している点も題意に合わない。

多重度の読み方 多重度は,関連の相手側の端に書く。部門(1)と社員(*)なら,社員の側から見て部門は必ず1つ(どの社員もちょうど1つの部門に所属し,兼務はない),部門の側から見て社員は0人以上(社員のいない部門もある)。1..* なら1以上,0..1 なら0か1。 部門 社員 1 * 社員から見て部門は 1 つ(必ず,兼務なし) 部門から見て社員は 0 人以上 書き方 意味 1 ちょうど1 0..1 0 か 1 *(0..*) 0 以上 1..* 1 以上
相手から見て何個か,を相手側の端に書く

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

ソフトウェアの分析・設計技法の特徴のうち,データ中心分析・設計技法の特徴はどれか。

正解 ウ

解説

データ中心分析・設計技法(DOA)は,業務で扱うデータの構造(データ項目とその関係)に着目して業務をモデル化し,そのデータ構造を基にシステムを設計する技法である。データは業務の変化に対して比較的変わりにくいので,まず情報資源であるデータの構造を明らかにする。ウが適切である。

アは,機能を階層的に詳細化し,モジュールに分割していく機能中心(プロセス中心)の構造化設計の特徴。イの,変更をデータ構造や手続の局所的な変更で済ませられるという特徴は,オブジェクト指向の説明である。エは,データ構造をプログラムのアクセスに合わせて設計するという,プログラムを中心とする考え方である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

モジュール設計に関する記述のうち,モジュール強度(結束性)が最も強いものはどれか。

正解 ア

解説

モジュール強度は弱いほうから,暗号的・論理的・時間的・手順的・連絡的・情報的・機能的の順に分類される。アは,木構造データとそれを扱う機能を一つにまとめ,データを外から見えないようにしたもので,情報的強度に当たる。選択肢の中では最も強い。

イは初期設定という「実行される時期が同じ」という理由でまとめた時間的強度。ウは共通部分をまとめて引数で機能を切り替える論理的強度。エは A の結果を B が使うという連絡的強度で,いずれも情報的強度より弱い。なお最も強い機能的強度は,単一の機能だけを実現するモジュールを指す。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

テストで使用されるドライバ又はスタブの機能のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ドライバは,下位のモジュールをテストするときに,まだ完成していない上位のモジュールの代わりに,テスト対象モジュールに引数を渡して呼び出すモジュールである。エが適切である。

スタブは,上位のモジュールをテストするときに,まだ完成していない下位のモジュールの代わりに,テスト対象モジュールから呼び出されて仮の値を返すモジュールである。イとウはドライバとスタブの説明が入れ替わっている。アの戻り値の表示・印刷は,スタブの役割ではない。

トップダウンテストのスタブとボトムアップテストのドライバ トップダウンテストは上位のモジュールから結合していき,まだできていない下位のモジュールの代わりに,呼ばれたら決まった値を返すだけのスタブを使う。ボトムアップテストは下位のモジュールから結合していき,まだできていない上位のモジュールの代わりに,テストしたいモジュールを呼び出すドライバを使う。 トップダウン 上位(本物) スタブ スタブ 下位の代わりに値を返す ボトムアップ ドライバ 下位(本物) 下位(本物) 上位の代わりに呼び出す
スタブは下の代役(呼ばれる側),ドライバは上の代役(呼ぶ側)

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

共通フレーム 2007 をソフトウェア産業界に導入する目的として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

共通フレームは,ソフトウェアの構想から開発,運用,保守,廃棄までに行う作業の内容や用語を定義した共通の枠組み(物差し)である。発注者と受注者がこれを共通の言葉として使うことで,ソフトウェアの開発及び取引の内容を明確にし,市場の透明性を高めることを目的としている。ウが適切である。

アの生産性の尺度を統一するものではない。イの文書の種類や書式は規定しておらず,作業の内容を定義するものである。エの国際会計基準への対応方法とは関係がない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

PMBOK の WBS で定義するものはどれか。

正解 ア

解説

PMBOK の WBS(Work Breakdown Structure)は,プロジェクトで行う作業を,成果物を基に階層的に要素分解したものである。最下位の要素はワークパッケージと呼ばれ,作業の見積りや管理の単位になる。アが適切である。

イは,プロジェクトの実行,監視・コントロール,終結の方法で,プロジェクトマネジメント計画の内容。ウの要素成果物,除外事項,制約条件は,プロジェクトスコープ記述書に記載する内容。エのワークパッケージを完了するために必要な作業は,アクティビティである。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

あるプロジェクトの作業が図に従って計画されているとき,最短日数で終了するためには,結合点⑤はプロジェクトの開始から遅くとも何日後に通過していなければならないか。

アローダイアグラム。結合点 1 から 2 へ作業 A(8日),1 から 3 へ B(5日),1 から 5 へ C(12日)。2 から 4 へ D(10日),2 から 7 へ F(8日)。3 から 4 へ E(9日)。4 から 7 へ G(12日),4 から 5 へダミー作業。5 から 6 へ H(5日),6 から 7 へ I(4日)。凡例:矢印の上が作業名,下が所要日数。点線の矢印はダミー作業。

正解 エ

解説

結合点⑤を遅くとも何日後に通過しなければならないかは,全体の最短日数を求めてから,終点の側から逆にたどって求める。最短日数は,各結合点に最も早く到達できる日数をたどって求める。結合点②は 8 日,③は 5 日,④は A→D で 18 日(B→E の 14 日より遅い方),⑤は C の 12 日とダミー作業経由の 18 日のうち遅い 18 日,⑥は 18+5=23 日,終点⑦は F 経由の 16 日,G 経由の 30 日,I 経由の 27 日のうち最も遅い 30 日で,最短日数は 30 日。次に終点の 30 日から逆にたどると,I(4日)を引いて⑥は 26 日目,H(5日)を引いて⑤は 21 日目までに通過していればよい。エが正しい。

アの 12 は C の所要日数,イの 14 は B と E の所要日数の合計 5+9 の値である。ウの 18 は,⑤に最も早く到達できる日で,最も早い通過日であり,遅くとも通過しなければならない日ではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

あるプログラムの設計から結合テストまでの開発工程ごとの見積工数を表1に示す。また,この間の開発工程ごとの上級 SE と初級 SE の要員割当てを表2に示す。上級 SE は,初級 SE に比べて,プログラム作成・単体テストについて2倍の生産性を有する。表1の見積工数は,上級 SE の生産性を基に算出している。すべての開発工程で,上級 SE を1人追加して割り当てると,この間の開発工程の期間を何か月短縮できるか。ここで,開発工程の期間は重複させないものとし,要員全員が1か月当たり1人月の工数を投入するものとする。

表1 開発工程ごとの見積工数(人月):設計 6,プログラム作成・単体テスト 12,結合テスト 12,合計 30。表2 要員割当て(人):設計は上級 SE 2・初級 SE 0,プログラム作成・単体テストは上級 SE 2・初級 SE 2,結合テストは上級 SE 2・初級 SE 0。

正解 エ

解説

工程ごとの期間を,見積工数を1か月当たりの投入量で割って求める。初級 SE はプログラム作成・単体テストで上級 SE の半分の生産性なので,0.5人分として数える。現在は,設計 6÷2=3か月,プログラム作成・単体テスト 12÷(2+2×0.5)=4か月,結合テスト 12÷2=6か月で,合計13か月。

上級 SE を1人ずつ追加すると,設計 6÷3=2か月,プログラム作成・単体テスト 12÷(3+1)=3か月,結合テスト 12÷3=4か月で,合計9か月になる。短縮できるのは 13−9=4か月で,エが正しい。初級 SE を上級と同じ1人分と数えると,プログラム作成・単体テストは 12÷4=3か月から 12÷5=2.4か月になり,短縮は3.4か月と選択肢に合わない。

上級 SE を1人ずつ足したときの期間 期間=見積工数÷1か月の投入量。初級 SE はプログラム作成・単体テストで上級の半分の生産性なので 0.5 人分。今は 3+4+6=13 か月。上級を1人ずつ足すと,設計 6÷3=2,プログラム作成 12÷(3+1)=3,結合テスト 12÷3=4 で 9 か月。13−9=4 か月短くなる。 工程 工数 今 1人追加 設計 6 6÷2=3 6÷3=2 プログラム作成 12 12÷(2+1)=4 12÷(3+1)=3 結合テスト 12 12÷2=6 12÷3=4 合計 30 13 か月 9 か月 13 − 9 = 4 か月短縮
初級は 0.5 人分として数える

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

パレート図の用途として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

パレート図は,項目別に層別したデータを出現度数の大きい順に棒グラフで並べ,その累積比率を折れ線グラフで示した図で,問題の主要な原因を識別し,重点的に取り組む対象を決めるのに用いる。イが適切である。

アは管理図,ウは散布図,エは特性要因図の説明である。

パレート図 不良の原因などを件数の多い順に棒で並べ,累積比率を折れ線で重ねる。上位の少数の項目で全体の大部分(例えば80%)を占めることが分かり,どこから対策すれば効果が大きいかを決めるのに使う。 寸法 傷 汚れ 欠け 色 他 80% 100% 累積比率 上位2項目で約7割 → ここから対策する
多い順の棒と累積比率の折れ線。左の数項目に集中して対策する

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

プレゼンテーションの目的とグラフの使い方の記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

Z グラフは,月ごとの値と,その累計,移動年計(直近 12 か月の合計)の三つの折れ線を一つのグラフに表したもので,一定期間の売上実績や業績の傾向を見るのに使う。アが適切である。

イの円グラフは,全体に占める構成比を表すもので,作業予定に対する進捗の度合いは,ガントチャートなどで表す。ウの折れ線グラフは時間の推移を表すもので,複数の評価項目に基づく優劣は,レーダチャートなどで表す。エの散布図は二つの量の相関を見るもので,各社の市場占有率(構成比)は円グラフなどで表す。

グラフの使い分け 2つの量の相関を見るのは散布図。時間に沿った推移は折れ線グラフや棒グラフ,全体に占める内訳(構成比)は円グラフや帯グラフ,複数の指標を並べて比べるのはレーダチャート。 散布図 2つの量の相関 折れ線 時間の推移 円・帯 内訳・構成比 レーダ 複数の指標の比較 乗降客数と来客数のように2つの量の関係は散布図
相関は散布図,推移は折れ線,構成比は円・帯,複数の指標はレーダ

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

SLA に記載する内容として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

SLA(サービスレベル合意書)は,顧客とサービスプロバイダの間で,提供するサービスの内容,サービスレベルの目標,双方の責任範囲などを合意して文書にしたものである。アが適切である。

イのサービスデスクと IT サポート部門の役割分担は,サービスプロバイダ内部の取決め(OLA など)に記載する。ウの提供する全てのサービスの特徴や料金はサービスカタログ,エの利用者から出された業務要件は SLA の合意に先立って把握するサービスレベル要求の内容である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

データ管理者(DA)とデータベース管理者(DBA)を別々に任命した場合の DA の役割として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

DA(データ管理者)は,組織全体のデータを資源として捉え,データ項目の標準化や論理データベース設計といった“データそのもの”の管理を担う。

ア・ウ・エはいずれも DBA(データベース管理者)の役割で,容量の管理,性能チューニング,障害時の復旧など,DBMS の運用に関わる業務。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

“システム監査基準”における,組織体がシステム監査を実施する目的はどれか。

正解 ウ

解説

システム監査基準では,システム監査は,組織体の情報システムにまつわるリスクに対するコントロールが適切に整備・運用されているかを,独立かつ専門的な立場のシステム監査人が評価し,改善につなげることで,IT ガバナンスの実現に寄与することを目的としている。ウが該当する。

アは外部の専門企業による侵入テスト(脆弱性診断),イは SWOT 分析による経営戦略の策定,エはソフトウェア開発組織の能力成熟度モデルによる改善活動の説明で,いずれもシステム監査の目的ではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

システム監査人が負う責任はどれか。

正解 エ

解説

システム監査人は,監査の結果に基づいて監査報告書に記載した監査意見(結論,指摘事項,改善提案など)について責任を負う。エが正しい。

アの監査結果を外部に開示するかどうかは,監査を依頼した経営者などが判断する。イの監査対象システムの管理と,ウの指摘した問題点の改善は,監査対象部門(被監査部門)の責任であり,監査人がこれらを行うと独立性を損なう。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

情報セキュリティに関する従業員の責任について,“情報セキュリティ管理基準”に基づいて監査を行った。指摘事項に該当するものはどれか。

正解 ア

解説

情報セキュリティ管理基準では,雇用の終了又は変更の後もなお有効な情報セキュリティに関する責任及び義務を定め,要員に伝達することを求めている。情報の秘密保持の責任は雇用の終了後も引き続き有効とすべき責任の代表である。雇用の終了をもって守秘責任が解消されると雇用契約に定めていると,退職者による情報の漏えいを防げないので,指摘事項に該当する。アが該当する。

イの勤務時間外にも守秘責任を負うこと,ウの守秘責任を果たさなかった場合の措置(懲戒手続)を定めること,エの守秘義務契約書への署名を求めることは,いずれも管理基準が求める適切な取決めであり,指摘事項にはならない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

システム監査報告書に記載された改善勧告に対して,被監査部門から提出された改善計画を経営者が IT ガバナンスの観点から評価する際の方針のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

IT ガバナンスは,経営者が組織全体の目標に照らして IT の活用を方向付け,評価し,監視する活動である。システム監査の改善勧告を受けた改善計画を評価するときも,被監査部門の都合ではなく,組織としてどれだけの経営資源(人・物・金・時間)を割けるか,他の施策とどう優先順位を付けるかを踏まえて判断することになる。ウが適切である。

アの“1年以内”のように期間で機械的に区切ると,重要でも時間のかかる改善が外されてしまう。イの機能面の改善に絞ると,体制や運用ルールの見直しといった統制面の改善が抜け落ちる。エの被監査部門の情報化予算の範囲内では,部門をまたいだ全社的な資源配分の判断にならず,経営者が評価する意味が失われる。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

“システム管理基準”によれば,情報システムの全体最適化を実現するために設置する情報システム化委員会の役割はどれか。

正解 ウ

解説

システム管理基準では,情報システムの全体最適化を実現するために,経営者の方針の下で情報システム化委員会を設置し,全体最適化計画の策定,情報化投資の方針や情報技術の採用に関する指針の明確化などを担わせる。組織全体として情報技術の動向に対応するための技術採用に関する指針を明確にするウが該当する。

アの外部委託先の選定と管理・監督は外部委託の管理,イのセキュリティの確保は情報セキュリティ管理,エの法制度や社内規定への準拠の仕組みはコンプライアンス(遵守)に関する活動として,それぞれ別に定められている。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

“システム管理基準”によれば,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にする計画はどれか。

正解 ウ

解説

システム管理基準では,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にし,情報システムの全体最適化を図るための計画を全体最適化計画としている。個々の開発計画は,この全体最適化計画に基づいて策定する。ウが正しい。

アの開発計画は個別の情報システムの開発に関する計画,イの事業継続計画は災害や事故の際に重要な業務を継続・復旧するための計画,エの年間運用計画は情報システムの運用を年度単位で計画するもので,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にするものではない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

ある営業部員の1日の業務活動を分析した結果は,表のとおりである。営業支援システムの導入によって訪問準備時間が1件当たり 0.1 時間短縮できる。総業務時間と1件当たりの顧客訪問時間を変えずに,1日の顧客訪問件数を6件にするには,“その他業務時間”を何時間削減する必要があるか。

表“1日の業務活動の時間分析表”。総業務時間 8.0(時間)の内訳は,顧客訪問時間 5.0 と社内業務時間 3.0。社内業務時間 3.0 の内訳は,訪問準備時間 1.5 とその他業務時間 1.5。1日の顧客訪問件数は5件。

正解 ウ

解説

現状は,1日の顧客訪問時間が 5.0 時間で5件なので,1件当たり 1.0 時間である。顧客訪問件数を6件にすると,顧客訪問時間は 6×1.0=6.0 時間となり,総業務時間 8.0 時間のうち社内業務時間は 8.0−6.0=2.0 時間になる。訪問準備時間は,現状は 1.5÷5=0.3 時間/件で,システム導入により 0.1 時間短縮されて 0.2 時間/件になるので,6件で 0.2×6=1.2 時間。社内業務時間 2.0 時間から訪問準備時間 1.2 時間を引くと,その他業務時間は 0.8 時間となり,現状の 1.5 時間から 1.5−0.8=0.7 時間削減する必要がある。ウが正しい。

検算すると,削減後は訪問時間 6.0+訪問準備時間 1.2+その他業務時間 0.8=8.0 時間となり,総業務時間と一致する。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

共通フレーム 2007 によれば,要件定義プロセスで行う作業はどれか。

正解 イ

解説

共通フレーム 2007 の要件定義プロセスは,業務の要件を明らかにするプロセスで,業務を構成する機能及び機能間の情報の流れ(業務の流れ)を明確にする作業が行われる。イが該当する。

アの工数や費用の見積りと,ウの経営上のニーズ,業務上の課題の確認は,システム化の構想や計画を立てる企画プロセスで行う作業である。エの現行システムの資産の調査も,要件を定義する作業ではなく,要件定義より前の企画の段階などで行う現状把握の作業に当たる。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

受注管理システムにおける要件のうち,非機能要件に該当するものはどれか。

正解 イ

解説

非機能要件は,システムが提供する機能そのものではなく,可用性,性能,信頼性,保守性,セキュリティなど,品質や運用に関する要件である。稼働率を一定の水準に維持するために障害から半日以内に回復するというイは,可用性に関する要件で,非機能要件に該当する。

アの与信残金額の計算と警告メッセージの表示,ウの在庫の自動引当,エの受注承認入力を経たものだけを出荷可能とすることは,いずれもシステムが行う処理の内容を定めたもので,機能要件である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

コアコンピタンスを説明したものはどれか。

正解 エ

解説

コアコンピタンスは,他社には容易にまねのできない,自社ならではの技術やノウハウなどの中核的な能力で,他社との差別化の源泉となる経営資源である。エが正しい。

アの経営活動における基本精神や行動指針は経営理念,イの事業戦略の遂行で達成すべき到達目標は経営目標(ビジョンや数値目標),ウの自社を取り巻く機会と脅威は SWOT 分析で整理する外部環境の説明である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

図に示すマトリックス表を用いたポートフォリオ類型によって,事業計画や競争優位性の分析を行う目的はどれか。

2×2のマトリックス表。横軸は事業の強み(市場シェア)で,左から強,弱。縦軸は事業の魅力度(市場成長率)で,上から高,低。各欄は空欄。

正解 イ

解説

図は,事業の強み(市場シェア)と事業の魅力度(市場成長率)の2軸で事業を分類するプロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)のマトリックスである。各事業が四つの領域のどこに位置するかによって自らの置かれた立場を評価し,目標を設定して,どの事業に経営資源を優先的に配分するかを決める基礎とする。イが正しい。

アのプロモーション効果の測定,ウの製品の品質向上による優位性維持の方策の評価,エの季節変動要因や地域的広がりによる市場の変化の評価は,いずれもこのマトリックスを用いる目的ではない。

PPM の4つの区分 縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェア(左が高い)をとる。成長率もシェアも高い花形,成長率が高くシェアが低い問題児,成長率が低くシェアが高い金のなる木,どちらも低い負け犬に分ける。金のなる木が生んだ資金を,花形や問題児に回す。 花形 成長に合わせた投資も要る 問題児 シェアを取るには投資が要る 金のなる木 投資が少なく資金を生む 負け犬 撤退を考える 高 低 成長率 市場 高 低 相対的市場シェア 金のなる木の資金を,花形と問題児へ回す
金のなる木が生む資金を,花形と問題児に回す

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

営業部門で設定する KPI(Key Performance Indicator)と KGI(Key Goal Indicator)の適切な組合せはどれか。

正解 エ

解説

KGI は,目標がどれだけ達成できたかを測る最終的な成果の指標であり,KPI は,その最終目標に至る過程が順調に進んでいるかを測る中間的な指標である。営業部門で新規顧客の開拓を目標にするなら,最終成果である新規顧客売上高が KGI,その成果を生むための日々の活動量である新規顧客訪問件数が KPI になる。エが適切である。

アは既存顧客売上高も新規顧客売上高もどちらも最終成果の指標であり,過程を測る KPI にはならない。イはどちらも訪問件数という活動量の指標で,最終成果を表す KGI がない。ウは成果の指標と過程の指標を取り違えており,組合せが逆である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

技術は,理想とする技術を目指す過程において,導入期,成長期,成熟期,衰退期,そして次の技術フェーズに移行するという進化の過程をたどる。この技術進化過程を表すものとして,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,導入期には努力の割に性能の向上が緩やかだが,成長期に急速に進歩し,成熟期には限界に近づいて進歩が鈍り,やがて衰退して次の技術に移行していく。進歩を時間などに対して描くと S 字形になる。アが適切である。

イの需要曲線は価格と需要量の関係を表す曲線。ウのバスタブ曲線は時間の経過に対する故障率の変化を表す曲線。エのラーニングカーブ(学習曲線)は経験を積むほど作業効率が上がりコストが下がる関係を表す曲線である。

技術の S カーブ 技術の性能は,導入の初めは努力の割に伸びが小さく,ある時点から急に伸び,やがて限界に近づいて伸びが鈍る(S 字)。成熟した技術に努力を続けても伸びは小さいので,新しい技術の S カーブに乗り換える時期を見極める。 研究開発の努力(時間) 性能 導入期 成長期 成熟期 新しい技術 乗り換え
導入期は緩やか,成長期に急伸,成熟期に頭打ち。次の技術へ乗り換える

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

デリバティブを説明したものはどれか。

正解 イ

解説

デリバティブは,株式,債券,為替,金利などの原資産から派生した金融商品(金融派生商品)のことで,先物,スワップ,オプションなどがある。イが正しい。

アは,金利リスクや為替リスクなどを回避するヘッジの説明で,デリバティブを使って行うことがあるが,デリバティブそのものの説明ではない。ウは,新株予約権付社債(ワラント債)に関する説明。エは,貸借対照表と損益計算書に載らない簿外取引(オフバランス取引)の説明である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

セル生産方式の利点が生かせる対象はどれか。

正解 ウ

解説

セル生産方式は,1人又は少人数の作業者が,部品の取付けから組立て,検査までの複数の工程を受け持って製品を完成させる生産方式である。作業者の組合せや作業内容を柔軟に変えられるので,多品種少量で需要の変化に応じたフレキシブルな生産が求められるものに向いている。ウが正しい。

アの大量生産,イの長期間仕様が変わらない製品,エの標準化,単純化,専門化による分業は,作業を細かく分けて流れ作業で行うライン生産方式が利点を生かせる対象である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

通信機能及びほかの機器の管理機能をもつ高機能型の電力メータであるスマートメータを導入する目的として,当てはまらないものはどれか。

正解 イ

解説

スマートメータは,通信機能をもつ電力メータで,検針値を自動で収集する自動検針ができる(ア)。電力会社が需要家の使用状況を把握して,ピーク電力の制御など電力需要の制御に役立てられる(ウ)。また,需要家自身が電力消費を見える化して,電力需要の平準化につなげられる(エ)。停電時に補助電源として電力を供給し続ける機能は,スマートメータの目的ではなく,当てはまらないものはイである。

ア,ウ,エは,いずれもスマートメータを導入する目的に当てはまる。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

コーポレートガバナンスを説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

コーポレートガバナンス(企業統治)は,経営者が株主をはじめとする利害関係者の利益に沿って適切に経営しているかどうかを監視し,独断や不正を防いで企業活動の健全性を維持するための仕組みである。取締役会による業務執行の監督,監査役や社外取締役の設置などがその手段に当たる。ウが正しい。

アは,環境保全の費用と効果を定量的に測って公表する環境会計の説明である。イは,企業の社会的責任(CSR)のうち,本業とは別に社会へ貢献する活動の説明である。エは,投資家やアナリストに向けて経営状況を正確かつ継続的に公表する IR(Investor Relations)の説明である。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

キャッシュフロー計算書において,営業活動によるキャッシュフローに該当するものはどれか。

正解 イ

解説

営業活動によるキャッシュフローは,商品の販売による収入や,商品の仕入,人件費などの支出といった,本業の営業活動に伴う資金の出入りである。イの商品の仕入による支出が該当する。

アの株式の発行による収入と,ウの短期借入金の返済による支出は,資金の調達や返済に伴うもので財務活動によるキャッシュフロー。エの有形固定資産の売却による収入は,設備などの取得や売却に伴うもので投資活動によるキャッシュフローに該当する。

キャッシュフロー計算書の3つの区分 営業活動は本業の資金の出入り(商品の販売による収入,商品の仕入や人件費の支出)。投資活動は設備や有価証券など将来のための資金の出入り(有形固定資産の取得・売却)。財務活動は資金の調達と返済(借入れとその返済,株式の発行,配当の支払)。 区分 主な例 営業活動 商品の販売の収入・仕入や人件費の支出 投資活動 有形固定資産・有価証券の取得と売却 財務活動 借入れと返済・株式の発行・配当 株式の発行は財務,固定資産の売却は投資
本業か,設備・証券か,借入れ・株式か

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

平成19年4月に 20 万円で購入した PC を3年後に1万円で売却するとき,固定資産売却損は何万円か。ここで,耐用年数は4年,減価償却は定額法,定額法の償却率は 0.250,残存価額は 0 円とする。

正解 ア

解説

定額法では,毎年同額を償却する。取得価額 20 万円,償却率 0.250,残存価額 0 円なので,1年間の減価償却費は 20×0.250=5 万円。3年間使用すると,減価償却累計額は 5×3=15 万円で,3年後の帳簿価額は 20−15=5 万円になる。これを 1 万円で売却するので,固定資産売却損は 5−1=4 万円。アが正しい。

ウの 5.0 は,3年後の帳簿価額 5 万円そのもので,売却価額 1 万円を差し引いていない値である。帳簿価額より低い価額で売却するので,その差額が売却損になる。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

資料は今年度の損益実績である。翌年度の計画では,営業利益を 30 百万円にしたい。翌年度の売上高は何百万円を計画すべきか。ここで,翌年度の固定費,変動費率は今年度と変わらないものとする。

〔資料〕単位 百万円。<今年度の損益実績>売上高 500,材料費(変動費)200,外注費(変動費)100,製造固定費 100,粗利益 100,販売固定費 80,営業利益 20。

正解 イ

解説

今年度の変動費は材料費 200+外注費 100=300 百万円なので,変動費率は 300÷500=0.6,限界利益率は 1−0.6=0.4 になる。固定費は製造固定費 100+販売固定費 80=180 百万円である。

翌年度の売上高を S とすると,営業利益は 0.4S−180 なので,これが 30 になるには 0.4S=210,S=525 百万円が必要である。イが正しい。営業利益を 10 増やすのに売上高を 10 増やせばよいと考えると 510(ア)になるが,売上高の増加分の 60%は変動費として消えるので足りない。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

Web ページの著作権に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

著作権法第12条は,素材の選択又は配列によって創作性を有する編集物を編集著作物として保護している。特定の分野ごとに URL を収集し,簡単なコメントを付けて整理したリンク集は,その選択や配列に創作性があれば編集著作物として保護されるので,エが適切である。

アは誤りで,Web ページへの掲載は不特定多数が閲覧できる公衆送信に当たり,趣味で営利目的がなくても私的使用の範囲を超えるので,無断掲載は著作権の侵害になる。イは誤りで,フリーウェアとして無償で公開しても著作権は作成者に残る。ウは誤りで,シェアウェアを使って利用者が作成したデータの著作権は利用者にあり,ソフトウェアの著作権の侵害には当たらない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

偽装請負となるものはどれか。

正解 ウ

解説

請負契約では,請負業者が自らの責任で要員を指揮命令して仕事を完成させる。発注者が請負契約の要員に直接業務の割振りや指示を行うと,実態は発注者が指揮命令する労働者派遣であり,偽装請負となる。ウが該当する。

アの使用するコンピュータや開発ツールの調達と管理,イの規律や服装などの管理,エの時間外労働や休日労働の決定は,いずれも請負業者側が行っており,請負業者が自ら要員を管理しているので偽装請負には当たらない。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

ソフトウェアやデータに瑕疵がある場合に,製造物責任法の対象となるものはどれか。

正解 ア

解説

製造物責任法(PL 法)の対象になる“製造物”は,製造又は加工された動産である(同法 2 条 1 項)。ソフトウェアを ROM 化して組み込んだ機器は動産に当たり,その欠陥(問題文でいう瑕疵)によって損害が生じたときは製造物責任を問われうる。アが該当する。

ソフトウェア単体(イのパッケージ,ウの OS)や,ネットワークからダウンロードしたデータ(エ)は,それ自体は有体物の動産ではないので,一般に製造物責任法の対象にならないと解されている。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

圧縮された情報を伸張しても,完全には元の情報を復元できない場合がある圧縮方式はどれか。

正解 イ

解説

圧縮された情報を伸張しても完全には元に戻らない圧縮方式を非可逆圧縮という。JPEG は,人間の目では分かりにくい画像の細かい情報を間引いて圧縮する非可逆圧縮方式で,イが該当する。

アの GIF は可逆圧縮方式の画像形式。ウの MH(Modified Huffman)とエの MR(Modified READ)は,ファクシミリで使われる可逆圧縮方式で,伸張すれば元の情報に完全に戻る。

出典:平成23年度 特別試験 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)