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応用情報技術者試験

平成28年度 春期 科目A(午前)

平成28年度 春期に実施された応用情報技術者試験 午前(2026年度からの科目A)の全80問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:応用情報技術者試験について

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問1

n ビットの値 L1,L2 がある。次の操作によって得られる値 L3 は,L1 と L2 に対するどの論理演算の結果と同じか。

〔操作〕

正解 ア

解説

(1)の X は L1 と L2 の論理和(OR),(2)の Y は論理積(AND)の否定(NAND)である。X と Y の論理積をビットごとに考えると,L1,L2 の対応するビットが 0 と 0 のとき X=0,Y=1 で結果は 0,0 と 1(又は 1 と 0)のとき X=1,Y=1 で結果は 1,1 と 1 のとき X=1,Y=0 で結果は 0 になる。二つのビットが異なるときだけ 1 になるので,排他的論理和であり,アが正しい。

イはそれと逆に,二つのビットが等しいときに 1 になる演算。ウの論理積の否定は Y そのもので,0 と 0,0 と 1,1 と 0 のとき 1 になる。エの論理和の否定は,0 と 0 のときだけ 1 になる。いずれも上の真理値と一致しない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問1(表記を一部改変)

問2

10 進数 123 を,英字 A〜Z を用いた 26 進数で表したものはどれか。ここで,A=0,B=1,…,Z=25 とする。

正解 ウ

解説

10進数 123 を26で割っていく。123÷26=4 余り 19 で,商の 4 は 26 未満なのでこれ以上割れない。したがって 123=4×26+19 となり,上の桁が 4,下の桁が 19 の2桁の26進数になる。

A=0,B=1,… と対応させると 4 は E,19 は T なので ET と表され,ウが正しい。エの TE は桁の順序を逆にしたもの,アの BCD とイの DCB は 10 進数の各桁 1,2,3 をそのまま英字に置き換えたものである。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問2(表記を一部改変)

問3

多数のクライアントが,LAN に接続された1台のプリンタを共同利用するときの印刷要求から印刷完了までの所要時間を,待ち行列理論を適用して見積もる場合について考える。プリンタの運用方法や利用状況に関する記述のうち,M/M/1 の待ち行列モデルの条件に反しないものはどれか。

正解 イ

解説

M/M/1 の待ち行列モデルは,要求の到着がランダム(ポアソン分布)で,サービス時間が指数分布に従い,窓口が1つで,待ち行列の長さに制限がなく,先着順にサービスするという条件を前提とする。印刷の緊急性や印刷量にかかわらず先着順に印刷するイは,この条件に反しない。

アのプリンタの空き具合を見ながら印刷要求をすると,到着がランダムでなくなる。ウの受付を中断すると,待ち行列の長さに制限があることになる。エの所要時間が一定時間と印刷量に比例する時間の合計になるのは,サービス時間が指数分布に従うという条件に合わない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3(表記を一部改変)

問4

a,b,c,d の4文字から成るメッセージを符号化してビット列にする方法として表のア〜エの4通りを考えた。この表は a,b,c,d の各1文字を符号化するときのビット列を表している。メッセージ中での a,b,c,d の出現頻度は,それぞれ 50%,30%,10%,10%であることが分かっている。符号化されたビット列から元のメッセージが一意に復号可能であって,ビット列の長さが最も短くなるものはどれか。

符号化の表。ア:a=0,b=1,c=00,d=11。イ:a=0,b=01,c=10,d=11。ウ:a=0,b=10,c=110,d=111。エ:a=00,b=01,c=10,d=11。

正解 ウ

解説

一意に復号できるかは,どの符号も他の符号の先頭部分になっていない(接頭符号である)かで確かめる。アは a=0 が c=00 の先頭,b=1 が d=11 の先頭になっており,“00”が c なのか aa なのか区別できない。イも a=0 が b=01 の先頭になっていて一意に復号できない。ウとエは接頭符号で,一意に復号できる。

1文字当たりの平均ビット数は,ウが 0.5×1+0.3×2+0.1×3+0.1×3=1.7 ビット,エは全て2ビットなので2ビットである。ウのほうが短く,ウが正しい。出現頻度の高い文字ほど短い符号を割り当てるハフマン符号の考え方である。

一意に復号できる符号(接頭符号) 符号を木で表すと,a=0,b=10,c=110,d=111 はどの符号も葉にあり,ほかの符号の途中(先頭部分)にならないので,区切りがなくても一意に読める。a=0,c=00 のように a が c の先頭になっていると,“00” が c か aa か区別できない。出現頻度 50%・30%・10%・10% なら,平均の長さは 0.5×1+0.3×2+0.1×3+0.1×3=1.7 ビット。 0 1 0 1 0 1 a 0 b 10 c 110 d 111 平均の長さ 0.5×1 +0.3×2 +0.1×3 +0.1×3 =1.7 ビット a=0,c=00 だと “00” が c か aa か 分からない
符号が全部「葉」にあれば一意に復号できる。よく出る文字ほど短く

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問4(表記を一部改変)

問5

A,B,C の順序で入力されるデータがある。各データについてスタックへの挿入と取出しを1回ずつ行うことができる場合,データの出力順序は何通りあるか。

スタックの図。A,B,C の順に入力されるデータが,スタックの上側の口から挿入され,同じ口から取り出される。

正解 ウ

解説

スタックは後入れ先出しなので,各データの push と pop を1回ずつ行うときに得られる出力順序は ABC,ACB,BAC,BCA,CBA の5通り。

CAB は作れない。C を最初に出すには A,B,C を全て積む必要があり,その時点で残りは B,A の順にしか取り出せないため。なお,この個数は n=3 のカタラン数に一致する。

スタックで作れる出力順と作れない出力順 A,B,C の順に入力し,それぞれ1回ずつ積んで取り出す。ABC,ACB,BAC,BCA,CBA の5通りは作れる。CAB は作れない。C を最初に出すには A,B,C を全部積む必要があり,そのときスタックの上には B があるので,次に出せるのは B だけ(CBA になる)。 C を最初に出すとき A B C A,B,C を積む A B → C C を出す A → B 次は B しか出せない 作れる:ABC・ACB・BAC・BCA・CBA の5通り 作れない:CAB(C の次に A は出せない)
後から積んだものが先に出る。C を先に出したら,残りは B,A の順に決まる

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問5(表記を一部改変)

問6

流れ図に示す処理の動作の記述として,適切なものはどれか。ここで,二重線は並列処理の同期を表す。

流れ図。開始 → A → 並列処理の開始を表す二重線 → B と C が並列に分かれる → 並列処理の同期を表す二重線 → そこから B の入口と C の入口へそれぞれ戻る線がある。

正解 ウ

解説

A を実行した後,上の二重線で B と C が並列に開始され,下の二重線で B と C の両方が終わるまで同期をとる。同期した後は B と C の入口に戻るので,再び B と C を並列に実行する。B と C は並列なので終わる順序は BC にも CB にもなり,A の後に“BC 又は CB”を繰り返して実行することになる。ウが適切である。

アとイは誤り。B と C は同じ資源を奪い合う構造ではなく,同期の後は必ず両方の入口に戻るので,デッドロックにはならない。エは誤り。同期をとるので,B だけ又は C だけが繰り返されることはない。

二重線の同期がある流れ図 A を実行した後,上の二重線で B と C を並行に始め,下の二重線で B と C の両方が終わるのを待つ(同期)。同期した後は B と C の入口に戻るので,再び B と C を並行に実行する。終わる順は BC にも CB にもなり,A の後に“BC 又は CB”を繰り返す。 A B C 戻る 下の二重線で B と C の両方が終わるのを待つ A の後に「BC 又は CB」を繰り返す
二重線で分かれ,二重線で両方を待つ。戻ってまた両方

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問6(表記を一部改変)

問7

リアルタイムシステムにおいて,複数のタスクから同時に呼び出された場合に,並行して実行する必要がある共用ライブラリのプログラムに要求される性質はどれか。

正解 ア

解説

リエントラント(再入可能)なプログラムは,実行中に自分自身が書き換えられず,共有するデータを持たないか,持っても呼出しごとに別の領域(スタックなど)に置く。そのため,複数のタスクから同時に呼び出されても,互いに影響せずに並行して実行できる。リアルタイムシステムの共用ライブラリに要求される性質で,アが正しい。

イのリカーシブ(再帰的)は,プログラムが実行中に自分自身を呼び出せる性質。ウのリユーザブル(再使用可能)は,一度実行した後,再ロードせずに繰り返し使える性質。エのリロケータブル(再配置可能)は,主記憶上のどのアドレスに置いても実行できる性質で,いずれも並行実行のための条件ではない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問7(表記を一部改変)

問8

CPU のスタックポインタが示すものはどれか。

正解 ア

解説

スタックポインタは,スタック領域の最上段(次に読み書きする位置)のアドレスを保持するレジスタである。サブルーチン呼出し時に,戻り先アドレスやレジスタの内容をスタックに退避するので,その格納先のメモリのアドレスを示す。アが適切である。

イは次に読み出す機械語命令のアドレスを保持するプログラムカウンタ,ウはメモリから読み出した機械語命令を保持する命令レジスタ,エは割込みの許可状態や演算結果の状態(ゼロ,桁あふれなど)を保持するフラグ(ステータス)レジスタの説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問8(表記を一部改変)

問9

並列処理方式である SIMD の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

SIMD(Single Instruction stream Multiple Data stream)は,一つの命令ストリームで複数のデータストリームを同時に処理する方式で,同じ演算を多数のデータに一度に適用する画像処理や行列演算などに向く。イが適切である。

フリンの分類では,アの単一命令ストリームで単一データストリームを処理するのは SISD(従来の逐次処理),ウの複数の命令ストリームで単一データストリームを処理するのは MISD,エの複数の命令ストリームで複数のデータストリームを処理するのは MIMD(マルチプロセッサなど)である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問9(表記を一部改変)

問10

USB 3.0 の特徴はどれか。

正解 エ

解説

USB 3.0 は,従来の転送モード(ロースピード,フルスピード,ハイスピード)に加えて,最大 5 G ビット/秒のスーパースピードモードをもつシリアルインタフェースで,転送スピードは四つある。スーパースピードモードは,PC と外付け磁気ディスクとの接続など,大量のデータを高速にやり取りする用途に使われる。エが正しい。

アは PC と磁気ディスクやレーザプリンタなどを接続するパラレルインタフェースで,SCSI やセントロニクスなどに当たる。イは高速でリアルタイム性の必要なデータの転送に適したシリアルインタフェースで,FireWire とも呼ばれる IEEE 1394。ウは,モデム接続の規格だったものが周辺機器との接続にも使われるようになった RS-232C の説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問10(表記を一部改変)

問11

液晶ディスプレイ(LCD)の特徴として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

液晶ディスプレイ(LCD)は,液晶に加える電圧で光(バックライト)の透過を画素ごとに制御し,カラーフィルタを通すことで色を表現する。ウが適切である。

アの電圧を加えると発光する有機化合物を用いるのは有機 EL ディスプレイ。イの電子銃から発射された電子ビームが蛍光体に当たって発光するのはブラウン管(CRT)。エの放電で発生する紫外線と蛍光体を利用するのはプラズマディスプレイである。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問11(表記を一部改変)

問12

クライアントサーバシステムの3層アーキテクチャを説明したものはどれか。

正解 イ

解説

3層アーキテクチャは,画面表示を担うプレゼンテーション層,業務処理を担うファンクション層(アプリケーション層),データ管理を担うデータ層の3つに分離した構成。層ごとに独立しているので,各層の OS やハードウェアが異なっていてもよい。

アは GUI と API という分け方が3層の定義と異なる。ウはミドルウェアで連係するとしているが,中間はファンクション層である。エはプレゼンテーション層とファンクション層を結合しており,これは2層(クライアントサーバ)の構成。

3層アーキテクチャ システムを,プレゼンテーション層(画面の表示と入力),アプリケーション層(業務の処理),データ層(データベースの管理)の3つに分ける。層ごとに独立して変更や拡張ができ,クライアントには表示の機能だけを置けばよい。 プレゼンテーション層 画面(ブラウザ) アプリケーション層 業務の処理 データ層 データベース 層ごとに変更・拡張できる(業務の処理はサーバ側) 2層(クライアントサーバ)では業務処理がクライアントに載る
表示・業務処理・データを分ける

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問12(表記を一部改変)

問13

現状の HPC(High Performance Computing)マシンの構成を,次の条件で更新することにした。更新後の,ノード数と総理論ピーク演算性能はどれか。ここで,総理論ピーク演算性能は,コア数に比例するものとする。

〔現状の構成〕

〔更新条件〕

選択肢の表(ノード数,総理論ピーク演算性能(TFLOPS))。ア:2,000,320。イ:2,000,640。ウ:4,000,320。エ:4,000,640。

正解 イ

解説

現状の総コア数は 8×1,000=8,000。更新条件(3)より更新後の総コア数はその4倍の 32,000 になる。一つのノードのコア数は更新条件(2)で 8×2=16 になるので,ノード数は 32,000÷16=2,000 である。一つのコアの理論ピーク演算性能は更新条件(1)で 10×2=20 GFLOPS なので,総理論ピーク演算性能は 32,000×20=640,000 GFLOPS=640 TFLOPS。イが正しい。

アは,コア当たりの性能が 10 GFLOPS のまま(32,000×10=320 TFLOPS)として求めた値。ウとエは,ノード当たりのコア数が 8 のまま(32,000÷8=4,000 ノード)として求めたもので,エの 640 TFLOPS は性能の計算だけが合っている。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問13(表記を一部改変)

問14

仮想サーバの運用サービスで使用するライブマイグレーションの概念を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

ライブマイグレーションは,仮想サーバを稼働させたまま,その OS やソフトウェアを停止せずに別の物理サーバへ移動させる技術である。物理サーバの保守や負荷分散のときに,サービスを止めずに仮想サーバを移せる。アが該当する。

イはデータの利用頻度などに応じて適したストレージに自動配置するストレージ階層化(階層型ストレージ管理),ウは複数の利用者で同じサーバやデータベースを共有しながら利用者ごとにデータを分離するマルチテナント,エは要求に応じてリソースを動的に割り当て・回収するプロビジョニングなどの説明である。

ライブマイグレーション 仮想サーバを動かしたまま,OS やソフトウェアを止めずに,別の物理サーバへ移す。物理サーバの保守や負荷の偏りを直すとき,夜間に少数の物理サーバへ集めて電源を切るときにも,サービスを止めなくてよい。 物理サーバ1 物理サーバ2 仮想サーバ 動いたまま 仮想サーバ 動いたまま 仮想サーバ 移す 保守・負荷分散・夜間の集約(省電力)でも止めずに済む
サービスを止めずに,仮想サーバを別の物理サーバへ

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問14(表記を一部改変)

問15

分散処理システムに関する記述のうち,アクセス透過性を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

アクセス透過性は,分散システムの利用者が,資源がどこにあるか,またそこでどのような方式で処理されるかを意識せずに,手元にある資源と同じ操作で利用できることをいう。アが当てはまる。

イは各組織が運用と管理を独立して行える自律性,ウはデータの発生場所や要求場所で処理して通信量を抑える分散処理の利点,エは対等なコンピュータが複数あることで一部が故障しても処理を続けられるという信頼性の向上に関する記述で,資源へのアクセス方法を共通にするというアクセス透過性の説明ではない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問15(表記を一部改変)

問16

フェールセーフの考え方として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

フェールセーフは,システムに障害が発生したときに,被害が広がらないよう常に安全な側に動作するように制御する設計の考え方である。例えば信号機の故障時に赤を点灯させる,踏切の故障時に遮断機を下ろすなどがこれに当たる。アが適切である。

イは機能を縮退させて運用を継続するフェールソフト。ウは重要な構成要素を複数備えて信頼性を高める冗長化(フォールトトレランス)。エは誰が操作しても誤動作が起きにくいようにするフールプルーフの考え方である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問16(表記を一部改変)

問17

ページング方式の仮想記憶において,あるプログラムを実行したとき,1回のページフォールトの平均処理時間は 30 ミリ秒であった。ページフォールト発生時の処理時間が次の条件であったとすると,ページアウトを伴わないページインだけの処理の割合は幾らか。

〔ページフォールト発生時の処理時間〕

正解 エ

解説

ページアウトを伴わない処理の割合を p とすると,平均処理時間は 20p+60(1−p)=30 と表せる。展開すると 20p+60−60p=30 なので −40p=−30,p=0.75。エが正しい。

20ミリ秒と60ミリ秒を混ぜた平均が30ミリ秒なので,短いほうに大きく偏っていることが分かる。60と30の差が30,30と20の差が10で,重みは3対1。3/(3+1)=0.75 と考えても同じ答えになる。アの0.25はページアウトを伴う処理のほうの割合である。

平均 30 ミリ秒を 20 と 60 の内分で読む ページアウトを伴わない処理(20 ミリ秒)の割合を p とすると,20p+60(1−p)=30 で p=0.75。天秤で考えると,平均の 30 から 20 までが 10,60 までが 30 なので,重みは距離の逆の 3 対 1 になり,20 ミリ秒の側が 3/4=0.75。 平均 30 20 ミリ秒 ページインだけ 60 ミリ秒 ページアウトも 10 30 距離 10:30 → 重みは 3:1 20p+60(1−p)=30 → p=0.75(エ)
平均が短いほうに寄っているので,短いほうの割合が大きい(3 対 1)

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問17(表記を一部改変)

問18

仮想記憶方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

LRU(Least Recently Used)アルゴリズムは,最後に使用されてから最も長い時間が経過したページを置換の対象とするページ置換アルゴリズムである。アが適切である。

イは誤り。インデックス方式のアドレス変換で必要なページテーブルは,主記憶に存在するページ分ではなく,仮想記憶空間の全ページ分である。ウは誤り。ページフォールトが発生したときに必要なのは,補助記憶から該当ページを読み込むページインで,ガーベジコレクション(不要になったメモリ領域の回収)ではない。エは誤り。ページングは固定長のページ単位で割り当てるので,小さな空き領域が細切れに発生する外部フラグメンテーションは起きない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問18(表記を一部改変)

問19

ノンプリエンプティブだけのスケジューリング方式はどれか。

正解 イ

解説

ノンプリエンプティブ方式は,実行中のタスクを途中で取り上げて別のタスクに CPU を割り当てることをしない方式である。到着順(FCFS)は,到着した順に処理を始め,終了まで実行させるので,ノンプリエンプティブだけの方式である。イが正しい。

アの残余処理時間順は,残りの処理時間が短いタスクが到着したときに実行中のタスクから CPU を奪うので,プリエンプティブ方式になる。ウの優先度順は,実行中より優先度の高いタスクが到着したときに奪う方式と奪わない方式のどちらも取れる。エのラウンドロビンは,一定のタイムスライスごとに実行を切り替える方式でプリエンプティブである。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問19(表記を一部改変)

問20

メインプログラムを実行した後,メインプログラムの変数 X,Y の値は幾つになるか。ここで,仮引数 X は値呼出し(call by value),仮引数 Y は参照呼出し(call by reference)であるとする。

二つのプログラム。メインプログラム:X=2; Y=2; add(X,Y);。手続 add(X,Y):X=X+Y; Y=X+Y; return;。
選択肢の表(X,Y)。ア:2,4。イ:2,6。ウ:4,2。エ:4,6。

正解 イ

解説

仮引数 X は値呼出しなので,add には X の値 2 が複製されて渡り,add の中での X の変更はメインプログラムの X に影響しない。仮引数 Y は参照呼出しなので,メインプログラムの Y そのものを指す。add の中では X=X+Y で 2+2=4 となり(複製の X),Y=X+Y で 4+2=6 となる。この 6 はメインプログラムの Y に書き込まれるので,戻った後は X が 2,Y が 6 である。イが正しい。

アは,add の中で X=X+Y の結果を使わず Y=2+2=4 としたもの。ウは,X が参照呼出し,Y が値呼出しであるとして求めた値(X は 4,Y は 2 のまま)。エは X も参照呼出しとして扱った値(X が 4,Y が 6)である。

値呼出しと参照呼出し 値呼出しの X には値のコピーが渡されるので,手続の中で X を 4 に変えても,メインプログラムの X は 2 のまま。参照呼出しの Y は,メインプログラムの Y そのものを指すので,手続の中で Y=X+Y=4+2=6 とすると,メインの Y も 6 になる。 メイン X 2 のまま Y 2 → 6 手続 add X(写し) 2 → 4 Y(参照) 値をコピー 同じ変数を指す X = X + Y = 2 + 2 = 4(手続の中の X だけ) Y = X + Y = 4 + 2 = 6(メインの Y が 6 に) 実行後:X = 2,Y = 6
参照呼出しの変更だけが呼出し元に残る

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問20(表記を一部改変)

問21

DRAM の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

DRAM は,コンデンサに電荷を蓄えて1ビットを記憶するメモリで,電荷が時間とともに失われるため定期的にリフレッシュ動作が必要である。構造が単純で集積度が高く安価なので,PC の主記憶に用いられる。エが適切である。

アは1バイト単位で消去・書込みができる不揮発性メモリの EEPROM。イは NAND 型や NOR 型があり SSD などに用いられるフラッシュメモリ。ウはフリップフロップでデータを保持し高速なので,キャッシュメモリに用いられる SRAM の説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問21(表記を一部改変)

問22

LSI の省電力制御技術であるパワーゲーティングの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

パワーゲーティングは,動作する必要がない回路ブロックへの電源供給を遮断することで,その回路で生じるリーク電流による消費電力を含めて減らす技術である。ウが適切である。

アは回路ブロックごとに電源電圧を変えて消費電力を減らす,マルチ電源(電圧スケーリング)の考え方。イは動作する必要がない回路ブロックへのクロックの供給を止める,クロックゲーティングで,電源は入ったままなのでリーク電流は減らない。エは微細化に伴うリーク電流の増大を,材料などの技術で抑える対策であって,使用中の回路を制御する省電力制御技術ではない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問22(表記を一部改変)

問23

アクチュエータの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

アクチュエータは,コンピュータが出力した電気信号を受け取って,モータの回転や弁の開閉などの力学的な運動に変える装置である。ウが適切である。

アはアナログ信号をディジタル信号に変える A/D 変換器,イはキーボードやタッチパネルなどの入力装置,エは温度や圧力などの物理量を検出して電気信号に変えるセンサの説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問23(表記を一部改変)

問24

SoC の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

SoC(System on a Chip)は,システムとして必要とされる CPU,メモリ,周辺回路などの機能を 1 個の半導体チップに集積したものである。エが適切である。

アは CPU やチップセットなどを実装したマザーボードのような電子回路基板。イは CPU,メモリ,周辺装置間のデータの受渡しを管理するチップセット。ウは各機能を別々のチップで製造し,一つのパッケージの中で配線して収める SiP(System in Package)の説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問24(表記を一部改変)

問25

使用性(ユーザビリティ)の規格(JIS Z 8521:1999)では,使用性を,“ある製品が,指定された利用者によって,指定された利用の状況下で,指定された目的を達成するために用いられる際の,有効さ,効率及び利用者の満足度の度合い”と定義している。この定義中の“利用者の満足度”を評価するのに適した方法はどれか。

正解 ア

解説

利用者の満足度は,利用者が製品を使ってどう感じたかという主観的な評価なので,利用者本人に直接意見や感想を聞くインタビュー法(又はアンケート)が適している。アが正しい。

イのヒューリスティック評価は,専門家が経験則(ヒューリスティック)に照らして問題点を洗い出す手法で,利用者自身の満足度は測れない。ウのユーザビリティテストは,利用者に実際に作業をしてもらい,達成できたか(有効さ)や掛かった時間(効率)などを観察する手法。エのログデータ分析法は操作記録から利用の状況を分析する手法で,いずれも主に有効さや効率の評価に向く。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問25(表記を一部改変)

問26

コンピュータグラフィックスの要素技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

アンチエイリアシングは,画素の境界に生じる斜め線や曲線のギザギザ(ジャギー)を,周辺の画素との平均化演算などで中間の色を付けることによって目立たなくする技術である。アが適切である。

イの光の相互反射から物体表面の光のエネルギーを算出して明るさを決めるのはラジオシティ。ウの光線の経路を計算して反射や透過を表現するのはレイトレーシング。エの物体を球や楕円体などの集合として疑似的にモデル化するのはメタボールの説明で,それぞれ用語と説明が入れ替わっている。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問26(表記を一部改変)

問27

関数従属を次のように表記するとき,属性 a〜e で構成される関係を第3正規形にしたものはどれか。

〔関数従属〕

関数従属の表記。(1) 属性 X から属性 Y へ矢印が引かれている(X→Y)。(2) 属性 X と属性 Y の組から属性 Z へ矢印が引かれている(X,Y→Z)。X,Y,Z は左から順に並んだ3個の枠。

〔正規化する関係〕

左から a,b,c,d,e の順に並んだ5個の枠の関係。上側の矢印:a から b,a から c,a から d。下側の矢印:b から c,b と d の組から e。

正解 エ

解説

関数従属は,a→b,a→c,a→d,b→c,(b,d)→e である。a は他の属性を決める主キーである。第 2 正規形では,部分関数従属がない(主キーが単一の属性なので自明に満たす)。第 3 正規形にするには,主キー以外の属性から別の属性が決まる推移的関数従属を分離する。b→c により a→b→c は推移的なので,b と c を別の関係にし,(b,d)→e は a→b,a→d を経由した推移的関数従属なので,b,d,e を別の関係にする。残りは (a,b,d) となり,(a,b,d),(b,c),(b,d,e) の三つの関係に分けたエが正しい。

アは (a,b,c,d) に b→c の推移的関数従属(a→b→c)が残っている。イは (b,c) を分けたが (a,b,c,d) に c が残るので,同じく推移的関数従属が残る。ウの (b,d,c,e) は,主キー (b,d) に対して c が b だけで決まる部分関数従属を含むので,第 2 正規形も満たさない。

正規化で表を分けていく 受注明細(受注番号,商品番号,顧客番号,顧客名,商品名,数量)の例。主キーは受注番号と商品番号の組。第2正規形にするには,主キーの一部だけで決まる属性を分ける(受注番号で決まる顧客番号・顧客名,商品番号で決まる商品名)。第3正規形にするには,主キー以外の属性で決まる属性を分ける(顧客番号で決まる顧客名)。 第1正規形(1つの欄に1つの値) 受注明細( 受注番号 , 商品番号 , 顧客番号 , 顧客名 , 商品名 , 数量 ) 受注番号だけで顧客番号・顧客名が,商品番号だけで商品名が決まる 第2正規形(キーの一部で決まる属性を分ける) 受注( 受注番号 , 顧客番号 , 顧客名 ) 受注明細( 受注番号 , 商品番号 , 数量 ) 商品( 商品番号 , 商品名 ) 受注の中で,顧客番号から顧客名が決まる(推移的関数従属) 第3正規形(キー以外で決まる属性を分ける) 受注( 受注番号 , 顧客番号 ) 顧客( 顧客番号 , 顧客名 ) +受注明細・商品
下線は主キー。第2は「キーの一部で決まるもの」,第3は「キー以外で決まるもの」を別の表へ

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問27(表記を一部改変)

問28

トランザクション A(処理 A1→処理 A2 の順に実行する)とトランザクション B(処理 B1→処理 B2 の順に実行する)が,データベースの資源 S と T に対し,次のように処理 A1→処理 B1→処理 A2→処理 B2 の順で専有ロックを要求する場合,デッドロックが発生する資源の組合せはどれか。なお,ロックは処理開始時にかけ,トランザクション終了時に解除する。

トランザクション A は処理 A1,処理 A2,COMMIT の順,トランザクション B は処理 B1,処理 B2,COMMIT の順に進む。時刻は左から右へ進み,B の開始は A より遅い。
選択肢の表(A1,B1,A2,B2 が要求する資源)。ア:S,S,T,T。イ:S,T,T,S。ウ:T,S,T,S。エ:T,T,S,S。

正解 イ

解説

専有ロックは処理開始時にかけ,トランザクションの終了まで解除しない。A1→B1→A2→B2 の順で要求するとき,イでは A1 が S を,B1 が T をロックする。次の A2 は T を要求するが B が保持していて待ち状態になり,B2 は S を要求するが A が保持していて待ち状態になる。互いに相手の保持する資源の解放を待つので,デッドロックが発生する。イが正しい。

アは B1 が A1 と同じ S を要求して待たされるだけで,A は S,T を取得して完了するため解消される。ウは A1,A2 がともに T で,A は B1 の S と無関係に進む。エは B1 が A1 と同じ T を待つだけで,A が完了すれば解消される。いずれも互いに待ち合う状態にならない。

資源を獲得する順番とデッドロック タスク1が資源1→資源2,タスク2が資源2→資源1の逆の順番で獲得すると,タスク1が資源1を持って資源2を待ち,タスク2が資源2を持って資源1を待つ状態になり,どちらも進めない。両方のタスクが資源1→資源2の同じ順番で獲得すれば,先に資源1を得たタスクが資源2も得て終わり,もう一方はそれを待ってから進む。 逆の順番(1→2 と 2→1) タスク1 タスク2 資源1 資源2 互いに相手の資源を待つ → デッドロック 実線:持つ 破線:待つ 同じ順番(どちらも 1→2) タスク1 タスク2 資源1 資源2 タスク2は資源1を待つだけ → タスク1が終われば進める 実線:持つ 破線:待つ
獲得の順番を全てのタスクでそろえれば,待ち合いの輪ができない

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問28(表記を一部改変)

問29

次の表において,“在庫”表の製品番号に定義された参照制約によって拒否される可能性がある操作はどれか。ここで,実線の下線は主キーを,破線の下線は外部キーを表す。

“在庫”表は在庫管理番号(主キー),製品番号(外部キー),在庫量の3列。“製品”表は製品番号(主キー),製品名,型,単価の4列。

正解 ウ

解説

“在庫”表の製品番号は,“製品”表の製品番号を参照する外部キーである。参照制約によって,“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に存在しなければ追加が拒否される。ウが正しい。

アの“在庫”表の行削除とイの表削除は,参照する側の行や表を消すだけなので,参照制約に反しない。エの“製品”表への行追加は,参照される側に新しい製品番号を増やすだけなので拒否されない。拒否される可能性があるのは,“在庫”表から参照されている“製品”表の行の削除や製品番号の更新である。

参照制約で拒否される操作 “在庫”表の製品番号は“製品”表の製品番号を参照する外部キー。“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に無ければ拒否される。参照される側の“製品”表から,参照されている行を削除したり製品番号を変えたりするのも拒否されうる。“在庫”表の行や表の削除,“製品”表への行の追加は拒否されない。 在庫(参照する側) 管理番号 製品番号 Z01 P1 Z02 P2 Z03 P9 製品(参照される側) 製品番号 製品名 P1 ねじ P2 ばね P9 は製品に無い → 在庫への追加は拒否 参照されている P1・P2 の削除も拒否されうる 拒否されない:在庫の行・表の削除,製品への行の追加 外部キー → 参照先に同じ値が要る
参照する側への追加と,参照される側からの削除が引っかかる

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問29(表記を一部改変)

問30

媒体障害の回復において,最新のデータベースのバックアップをリストアした後に,トランザクションログを用いて行う操作はどれか。

正解 エ

解説

媒体障害で壊れたデータベースは,まずバックアップをリストアしてバックアップ取得時点の状態に戻す。その後,トランザクションログの更新後情報を使って,バックアップ取得後にコミットされた全てのトランザクションの更新を反映し直す(ロールフォワード)ことで,障害直前のコミット済みの状態まで回復する。エが正しい。

アとイのコミット前に中断したトランザクションは,バックアップにはその途中の更新が含まれていないので,ロールバックもロールフォワードも不要である。ウのコミットしたトランザクションをロールバックすると,確定した更新が失われてしまう。

媒体障害からの回復 媒体障害ではディスクの内容そのものが失われる。まずバックアップからデータベースを復元し,バックアップを取った後にコミットしたトランザクションを,ログの更新後情報で順に反映して(ロールフォワードして)障害の直前まで戻す。 バックアップ T1 コミット T2 コミット T3 コミット 媒体障害 ② 更新後ログで T1〜T3 をロールフォワード ① 復元
バックアップで「その時点」に戻し,更新後ログで「障害の直前」まで進める

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問30(表記を一部改変)

問31

顧客,商品,注文,販売店という四つのテーブルをスタースキーマでモデル化した場合,ファクトテーブルとなるものはどれか。

正解 ウ

解説

スタースキーマは,中心に置く事実(トランザクション)を記録するファクトテーブルの周りに,分析の切り口となるディメンションテーブルを配置するデータモデルである。注文は,販売店,顧客,商品の各コードで関連付けられ,注文年月日と数量という計測値をもつ,取引の事実の記録なのでファクトテーブルになる。ウが正しい。

アの顧客,イの商品,エの販売店は,それぞれ顧客の属性,商品の属性,販売店の属性という分析の切り口を表すディメンションテーブルになる。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問31(表記を一部改変)

問32

100 M ビット/秒の LAN に接続されているブロードバンドルータ経由でインターネットを利用している。FTTH の実効速度が 90 M ビット/秒で,LAN の伝送効率が 80%のときに,LAN に接続された PC でインターネット上の 540 M バイトのファイルをダウンロードするのに掛かる時間は,およそ何秒か。ここで,制御情報やブロードバンドルータの遅延時間などは考えず,また,インターネットは十分に高速であるものとする。

構成図。PC とブロードバンドルータが LAN で接続され,ブロードバンドルータが ONU に接続され,ONU とインターネットの間が FTTH で接続されている。

正解 ウ

解説

ダウンロードの速度は,LAN の実効速度と FTTH の実効速度のうち遅いほうで決まる。LAN は 100 M ビット/秒×0.8=80 M ビット/秒,FTTH は 90 M ビット/秒なので,80 M ビット/秒が全体の速度になる。ファイルは 540 M バイト=540×8=4,320 M ビットなので,掛かる時間は 4,320÷80=54 秒。ウが正しい。

アの 43 秒は 4,320÷100 に近い値で LAN の伝送効率を考えていない。イの 48 秒は 4,320÷90 で FTTH の速度だけを使った値。エの 60 秒は 4,320÷72 で,伝送効率の 80%を LAN ではなく FTTH の 90 M ビット/秒に掛けた(90×0.8=72)値である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問32(表記を一部改変)

問33

CSMA/CD 方式の LAN で使用されるスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)は,フレームの蓄積機能,速度変換機能や交換機能をもっている。このようなスイッチングハブと同等の機能をもち,同じプロトコル階層で動作する装置はどれか。

正解 イ

解説

スイッチングハブはデータリンク層(第2層)で MAC アドレスを見てフレームを転送する装置。同じ第2層で動作し,フレームをいったん蓄積してから転送するのがブリッジで,スイッチングハブは多ポートのブリッジといえる。イが正しい。

アのゲートウェイはトランスポート層より上位でプロトコルの変換を行う装置。ウのリピータは物理層(第1層)で信号を増幅・整形するだけで,宛先は見ない。エのルータはネットワーク層(第3層)で IP アドレスを見て経路を選ぶ装置である。

コリジョンドメインとブロードキャストドメイン リピータハブは信号をそのまま全ポートに流すので,つながった機器は1つのコリジョンドメインになる。スイッチ(ブリッジ)はポートごとにコリジョンドメインを分けるが,ブロードキャストは全ポートに中継する。ルータはブロードキャストも中継しないので,ブロードキャストドメインはルータで分かれる。 PC1 PC2 ハブ スイッチ PC3 ルータ PC4 コリジョンドメイン PC1・PC2・ハブ PC3 PC4 ブロードキャストドメイン ルータの手前はすべて同じ 別
コリジョンドメインは4つ(スイッチとルータの間も1つ),ブロードキャストドメインは2つ

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問33(表記を一部改変)

問34

ルータを冗長化するために用いられるプロトコルはどれか。

正解 エ

解説

VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は,複数のルータで一つの仮想ルータ(仮想 IP アドレス)を構成し,稼働中のルータに障害が起きたら待機中のルータに処理を引き継ぐ,ルータの冗長化のためのプロトコルである。エが正しい。

アの PPP は2点間を接続するデータリンク層のプロトコル,イの RARP は MAC アドレスから IP アドレスを求めるプロトコル,ウの SNMP はネットワーク機器の監視・管理のためのプロトコルである。

VRRP:2台のルータで1台の仮想ルータ 2台のルータで1つの仮想ルータを作り,仮想 IP アドレス(と仮想 MAC アドレス)を共有する。PC はデフォルトゲートウェイに仮想 IP アドレスを設定しておく。ふだんはマスタが転送し,マスタが故障するとバックアップが引き継ぐので,PC の設定を変えずに通信を続けられる。 PC GW:仮想 IP 仮想ルータ(仮想 IP .1) マスタ 転送する バックアップ 待機 故障すると 引き継ぐ PC の設定を変えずにデフォルトゲートウェイの障害を回避
PC は仮想 IP を見ているので,切り替わっても設定はそのまま

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問34(表記を一部改変)

問35

クラス C の IP アドレスを分割して,10 個の同じ大きさのサブネットを使用したい。ホスト数が最も多くなるように分割した場合のサブネットマスクはどれか。

正解 ウ

解説

10 個のサブネットを作るには,ホスト部 8 ビットのうちサブネット用に借りるビット数を n として 2n≧10 が必要である。n=3 では 8 個しか作れず,n=4 なら 16 個作れる。借りるビットを最小の 4 ビットにすればホスト数が最も多くなり,ネットワーク部は 24+4=28 ビットになる。/28 のサブネットマスクは第 4 オクテットが 11110000=240 なので 255.255.255.240 であり,ウになる。各サブネットのホストは 24−2=14 台である。

アの 255.255.255.192(/26)はサブネットを 4 個,イの 255.255.255.224(/27)は 8 個しか作れず,10 個に足りない。エの 255.255.255.248(/29)は 32 個のサブネットを作れるが,ホストは各 6 台までに減り,ホスト数が最も多くなる分割ではない。

サブネットを10個・16個に分けるマスク クラス C(/24)のホスト部8ビットから n ビットを借りると 2ⁿ 個に分けられる。10 個なら 2³=8 では足りず 2⁴=16 で 4 ビット,16 個でも 4 ビット。マスクは /28 で 255.255.255.240。1つのサブネットは16アドレスで,ホストは14台。 ホスト部8ビットのうち 4 ビットを借りる → 16 個に分ける 0 255 第4オクテット 11110000 = 240 サブネットマスク 255.255.255.240(/28) 1つのサブネットは 16 個のアドレス,ホストは 14 台 10 個なら 3 ビット(8個)では足りない。塗ったのが使う10個
必要な個数以上になる最小のビット数を借りる

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問35(表記を一部改変)

問36

企業の DMZ 上で1台の DNS サーバを,インターネット公開用と,社内の PC,サーバからの名前解決の問合せに対応する社内用とで共用している。この DNS サーバが,DNS キャッシュポイズニングの被害を受けた結果,直接引き起こされ得る現象はどれか。

正解 ウ

解説

DNS キャッシュポイズニングは,DNS サーバのキャッシュに偽の名前解決情報を注入する攻撃である。この DNS サーバは社内からの名前解決にも使われているので,キャッシュが汚染されると,社内の利用者がインターネット上の Web サーバを参照したときに偽の IP アドレスが返され,本来とは異なる Web サーバに誘導される。ウが正しい。

アのハードディスク上の定義の書換えや,イのメモリ上へのワームの常駐は,キャッシュに偽の情報を入れる攻撃では直接起きない。エの電子メールの宛先メールアドレスの書換えは,名前解決の結果とは関係がなく,社内の利用者間のメールの送受信にも直接の影響はない。

公開用と社内用の DNS サーバを分ける 1台の DNS サーバで,外部に自社ドメインの情報を答える役(コンテンツサーバ)と,社内の利用者の問合せを代わりに引く役(キャッシュサーバ)を兼ねると,外部からの再帰的な問合せに答えてしまったり,キャッシュポイズニングで偽の情報が社内の利用者に返されたりする。公開用のコンテンツサーバと社内用のキャッシュサーバを分け,キャッシュサーバは社内からの問合せだけに答える。 兼用(危ない) DNS(兼用) 答える+代わりに引く 外から再帰問合せができる 偽の情報が社内に返る 分ける コンテンツサーバ(DMZ) 自社ドメインを外に答えるだけ キャッシュサーバ(社内) 社内からの問合せだけに答える 役割ごとにサーバを分け,答える相手を絞る
外向けは「自社の情報を答えるだけ」,社内向けは「社内からの問合せだけ」

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問36(表記を一部改変)

問37

暗号方式のうち,共通鍵暗号方式はどれか。

正解 ア

解説

AES(Advanced Encryption Standard)は,暗号化と復号に同じ鍵を使う共通鍵暗号方式で,米国の標準暗号として採用され,無線 LAN の WPA2 や TLS など広く使われている。アが正しい。

イの ElGamal 暗号,ウの RSA,エの楕円曲線暗号は,いずれも暗号化に公開鍵,復号に秘密鍵を使う公開鍵暗号方式である。RSA は大きな数の素因数分解の難しさ,ElGamal 暗号と楕円曲線暗号は離散対数問題の難しさを安全性の根拠にしている。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問37(表記を一部改変)

問38

重要情報の取扱いを委託する場合における,委託元の情報セキュリティ管理のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

重要情報の取扱いを委託するときは,委託元が情報の安全管理に必要な事項(秘密保持,再委託の制限,事故時の報告,監査の受入れなど)を事前に確認し,それらを契約書に盛り込んだうえで委託先と契約を取り交わす。エが適切である。

アは再委託の判断を委託先に任せ事前報告も不要とするのは,委託元の管理が及ばなくなるので不適切。イは委託先の情報セキュリティ対策が確認できないのに,期間が短いというだけで委託してはならない。ウは委託先の対策は契約開始前に評価して選定すべきで,契約終了時では遅い。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問38(表記を一部改変)

問39

JIS Q 27000 で定義された情報セキュリティの特性に関する記述のうち,否認防止の特性に該当するものはどれか。

正解 ア

解説

JIS Q 27000 は,否認防止を“主張された事象又は処置の発生,及びそれらを引き起こしたエンティティを証明する能力”と定義している。ある利用者がシステムを利用したという事実を後から証明できるようにすることは,これに当たる。アが該当する。

イは“意図する行動と結果とが一貫しているという特性”である信頼性,ウは“認可されたエンティティが要求したときに,アクセス及び使用が可能である特性”である可用性,エは“認可されていない個人,エンティティ又はプロセスに対して,情報を使用させず,また,開示しない特性”である機密性に当たる。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問39(表記を一部改変)

問40

WAF の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

WAF(Web Application Firewall)は,Web アプリケーションとやり取りされる通信の内容を検査し,SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃に特徴的なパターンを含む通信を検知して遮断する仕組みである。エが適切である。

アは実際に侵入を試みて脆弱性を確認するペネトレーションテスト,イは TLS の暗号化と復号を専用機器で肩代わりする SSL アクセラレータ,ウはシステム管理者が質問に答えて情報セキュリティ対策のレベルを診断する自己診断ツール(チェックシートなど)の説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問40(表記を一部改変)

問41

Web アプリケーションのセッションが攻撃者に乗っ取られ,攻撃者が乗っ取ったセッションを利用してアクセスした場合でも,個人情報の漏えいなどの被害が拡大しないようにするために,Web アプリケーションが重要な情報を Web ブラウザに送信する直前に行う対策として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

セッションを乗っ取った攻撃者は,正規の利用者として既にログインした状態で操作できる。そこで,重要な情報を Web ブラウザに送信する直前に改めてパスワードによる利用者認証を求めれば,パスワードを知らない攻撃者には重要な情報が送られず,被害の拡大を防げる。エが最も適切である。

アの通信の暗号化は盗聴を防ぐが,既に乗っ取られたセッションでは暗号化された通信で攻撃者に情報が届いてしまう。イとウはセッション ID の格納場所の違いであり,乗っ取られた後の被害は防げない。特にウのように URL にセッション ID を設定すると,Referer などから漏れて乗っ取りの原因になる。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問41(表記を一部改変)

問42

クラウドのサービスモデルを NIST の定義に従って IaaS,PaaS,SaaS に分類したとき,パブリッククラウドサービスの利用企業が行うシステム管理作業において,PaaS と SaaS では実施できないが,IaaS では実施できるものはどれか。

正解 ウ

解説

NIST の定義では,IaaS の利用者は基盤となるクラウドインフラは管理しないが,OS,ストレージ,配置したアプリケーションを制御できる。そのため,仮想サーバのゲスト OS に係るセキュリティの設定は IaaS では利用企業が行えるが,OS を事業者が管理する PaaS や SaaS では行えない。ウが正しい。

アのアプリケーションの利用者 ID 管理とイのアプリケーションログの取得と分析は,SaaS でも提供される管理機能の範囲で利用企業が行える場合があり,IaaS だけに限られない。エのハイパバイザは IaaS でも事業者が管理する基盤であり,利用企業はどのサービスモデルでも設定できない。

IaaS・PaaS・SaaS の管理の分担 下からハードウェア・ネットワーク,仮想化,OS,ミドルウェア・実行環境,アプリケーションの層がある。IaaS では利用者が OS から上を,PaaS では自分のアプリケーションだけを管理する。SaaS では全て提供者が管理し,利用者が扱うのは利用者 ID や設定だけ。 IaaS 利用者 利用者 利用者 提供者 提供者 PaaS 利用者 提供者 提供者 提供者 提供者 SaaS 提供者 提供者 提供者 提供者 提供者 アプリケーション ミドルウェア・実行環境 OS 仮想化 ハードウェア・NW SaaS で利用者が扱うのは,アプリケーションの利用者 ID や設定だけ FaaS(サーバレス)は PaaS をさらに進め,関数を置くだけ
上の層に行くほど利用者の自由と責任が大きい。ゲスト OS に手を入れられるのは IaaS だけ

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問42(表記を一部改変)

問43

暗号化や認証機能をもち,遠隔にあるコンピュータに安全にログインするためのプロトコルはどれか。

正解 エ

解説

SSH(Secure Shell)は,遠隔のコンピュータにログインして操作するためのプロトコルで,通信路の暗号化,サーバとクライアントの認証,利用者の認証を備える。平文のまま通信する telnet や rlogin を置き換えるものとして使われる。エが正しい。

アの IPsec は IP 層で暗号化や認証を行うプロトコルで,遠隔操作の機能はもたない。イの L2TP は PPP のフレームをトンネリングして運ぶプロトコルで,それ自体は暗号化の機能をもたない。ウの RADIUS は認証,認可,アカウンティングを行うプロトコルで,遠隔操作の機能はもたない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問43(表記を一部改変)

問44

スパムメール対策として,サブミッションポート(ポート番号 587)を導入する目的はどれか。

正解 エ

解説

サブミッションポート(587 番)は,利用者がメールサーバへメールを投稿するための専用ポートである。ここでは SMTP-AUTH による送信者認証を必須にできるので,認証を通った利用者だけが送信でき,スパムの踏み台にされにくくなる。エが正しい。

アは DKIM(DNS に登録した公開鍵で署名を検証する),イは SPF(DNS に SPF レコードを問い合わせる)による送信ドメイン認証。ウの POP before SMTP はサブミッションポート導入以前に使われた方式で,一定時間は認証なしで送信できてしまうなどの弱点があり,SMTP-AUTH に置き換えられた。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問44(表記を一部改変)

問45

Man-in-the-Browser 攻撃に該当するものはどれか。

正解 イ

解説

Man-in-the-Browser 攻撃は,PC に侵入したマルウェアが Web ブラウザの内部に入り込み,利用者がインターネットバンキングへログインしたことを検知して,ブラウザから送信されるデータを利用者にも銀行にも気付かれないように書き換える攻撃である。振込先や金額を改ざんして不正送金を行うので,イが該当する。

アは,DNS サーバのキャッシュを偽の情報に書き換えて偽サイトへ誘導する DNS キャッシュポイズニングである。ウは,正規のメールに見せかけた電子メールで偽サイトへ誘導し,口座番号などを入力させて盗み出すフィッシングである。エは,正規サイトとの間に中継サイトを置き,利用者が入力した ID とパスワードをその場で使ってなりすます中間者攻撃(MITM 攻撃)である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問45(表記を一部改変)

問46

ソフトウェアの品質特性のうちの保守性に影響するものはどれか。

正解 イ

解説

JIS X 25010 などの品質モデルで,保守性はソフトウェアを修正する際の有効性や効率性を表し,欠陥の診断や故障原因の追究,修正箇所の識別のしやすさ(解析性)を含む。イが保守性に影響する。

アの利用者が理解しやすいかどうかは使用性(理解性),ウの故障が発生しやすいかどうかは信頼性(成熟性),エの資源の量や種類を適切に使用するかどうかは効率性(性能効率性の資源効率性)に関するものである。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問46(表記を一部改変)

問47

モジュールの結合度が最も低い,データの受渡し方法はどれか。

正解 イ

解説

モジュール結合度は,弱い(望ましい)ものから順に,データ結合,スタンプ結合,制御結合,外部結合,共通結合,内容結合となる。単一のデータ項目を引数で受け渡すのは,必要なデータだけをやり取りするデータ結合で,最も結合度が低い。イが該当する。

エのデータ構造を引数で受け渡すのはスタンプ結合で,受け取る側が使わない項目まで構造に依存する。アの単一のデータ項目を大域的データで受け渡すのは外部結合,ウのデータ構造を大域的データで受け渡すのは共通結合であり,いずれも大域的データを介して多くのモジュールが依存し合うので結合度が高い。

モジュール結合度とモジュール強度 結合度はモジュールどうしのつながりの強さで,弱いほどよい。弱い順に,データ結合(必要な項目だけを引数で),スタンプ結合(データ構造を引数で),制御結合(制御の情報を渡す),外部結合(単一の大域データ),共通結合(共通域のデータ構造),内容結合(相手の内部を直接参照)。強度はモジュールの中のまとまりで,強いほどよい。機能的強度が最も強く,処理コードで機能を選ぶ論理的強度や,関係のない機能を集めた暗合的強度は弱い。 結合度(弱いほどよい) データ結合 項目を引数で スタンプ結合 構造を引数で 制御結合 制御情報を渡す 外部結合 単一の大域データ 共通結合 共通域の構造 内容結合 内部を直接参照 強度(強いほどよい) 機能的強度 1つの機能 情報的強度 同じ情報を扱う 連絡的強度 データを受け渡す 手順的強度 順に実行する 論理的強度 コードで機能を選ぶ 暗合的強度 関係のないものの寄せ集め 上ほど望ましい(時間的強度は手順的と論理的の間)
結合度は弱いほど,強度は強いほどよい

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問47(表記を一部改変)

問48

プロセス制御などの事象駆動(イベントドリブン)による処理の仕様を表現する方法として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

プロセス制御のように,外部からのイベント(事象)が起きると処理が動き出し,状態が変わる仕様を表すには,状態遷移図が適している。状態遷移図は,システムがもつ状態と,イベントによる状態の遷移を表す。エが適切である。

アの DFD はデータの流れと処理の関係,イの E-R 図はエンティティ間の関連,ウのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の関係を表す図で,事象駆動による状態の変化を表現するものではない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問48(表記を一部改変)

問49

作業成果物の作成者以外の参加者がモデレータとして主導すること,並びに公式な記録及び分析を行うことが特徴のレビュー技法はどれか。

正解 ア

解説

インスペクションは,成果物の作成者以外の参加者がモデレータとなって進行を主導し,指摘事項を公式に記録して欠陥の件数や種類を分析する,最も公式度の高いレビュー技法。分析結果を以後の開発の改善につなげる点も特徴になる。アが正しい。

イのウォークスルーは作成者自身が主催し,参加者に説明しながら進める非公式なレビュー。ウのパスアラウンドは成果物を回覧してコメントを集める方法。エのペアプログラミングは2人で1台の端末を使って一緒にコードを書く手法で,モデレータも公式な記録もない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問49(表記を一部改変)

問50

エクストリームプログラミング(XP:eXtreme Programming)における“テスト駆動開発”の説明はどれか。

正解 エ

解説

テスト駆動開発は,プログラムを書く前に,そのプログラムが満たすべき振る舞いを確かめるテストケース(テストコード)を先に作成し,そのテストに合格するように最小限のコードを書き,リファクタリングで整えるという手順を短く繰り返す開発手法である。エが正しい。

アの最初のテストでバグを抽出すること,イのテストケースを順次改善すること,ウのカバレージを優先することは,テスト駆動開発の特徴ではない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問50(表記を一部改変)

問51

あるプロジェクトのステークホルダとして,プロジェクトスポンサ,プロジェクトマネージャ,プロジェクトマネジメントオフィス及びプロジェクトマネジメントチームが存在する。ISO 21500 によれば,組織としての標準化,プロジェクトマネジメントの教育訓練,プロジェクトの監視などの役割を主として担うのはどれか。

正解 ウ

解説

ISO 21500 は,プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)が担う活動として,標準化,プロジェクトマネジメントの教育訓練,プロジェクトの計画作成や監視などを挙げている。個々のプロジェクトを直接指揮するのではなく,組織として複数のプロジェクトを横断的に支える役割である。ウが正しい。

アのプロジェクトスポンサは,プロジェクトを許可し,経営的な決定を下し,資源を提供する立場。イのプロジェクトマネージャは,プロジェクトの活動を指揮し,管理し,完了させる責任を負う。エのプロジェクトマネジメントチームは,プロジェクトマネージャを補佐してマネジメントの作業を担う。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問51(表記を一部改変)

問52

組織が遂行する業務を定常業務とプロジェクトとに類別したとき,定常業務の特性はどれか。

正解 イ

解説

定常業務は,同じ成果物やサービスを反復的に生産して提供する活動を,組織の中で継続的に行う業務である。イが定常業務の特性である。

ア,ウ,エはプロジェクトの特性に当たる。プロジェクトは,ある目的のために編成した期間限定のチームで行い(ア),独自のプロダクトやサービスを創造し(ウ),目的を達成するために開始して目的を達成したときに終了する(エ)。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問52(表記を一部改変)

問53

プロジェクトのスケジュールを短縮したい。当初の計画は図1のとおりである。作業 E を作業 E1,E2,E3 に分けて,図2のように計画を変更すると,スケジュールは全体で何日短縮できるか。

アローダイアグラム(図1,当初の計画)。A(5 日)→ B(8 日)→ 分岐。B の後に D(7 日)→ G(7 日)の経路と,E(9 日)で F の終点に至る経路がある。A の後には C(7 日)→ F(5 日)の経路もあり,F の終点で E と合流して H(4 日)→ I(2 日)へ進み,G の終点と合流する。凡例:矢印の上が作業名,下が所要日数。点線矢印はダミー作業。
図1当初の計画
アローダイアグラム(図2,変更後の計画)。図1の作業 E を E1(3 日),E2(4 日),E3(2 日)に分ける。B の終点から E1(3 日)と E2(4 日)が出る。E2 の終点から E1 の終点へダミー作業(点線)が引かれ,E1 の終点から E3(2 日)が F の終点へ向かう。ほかは図1と同じ(A 5 日,B 8 日,C 7 日,D 7 日,F 5 日,G 7 日,H 4 日,I 2 日)。
図2変更後の計画

正解 ア

解説

図1のクリティカルパスは A→B→E→H→I で,5+8+9+4+2=28日。

図2では E が E1(3),E2(4),E3(2) に分割され,E3 の直前の結合点には E1 とダミー作業(E2 の後)が入る。B の完了時点(13日)から見ると,E1 経由は 3 日,E2 経由は 4 日で,遅いほうの 4 日で結合点に到達し,そこから E3 が 2 日かかる。よって B→H は 4+2=6日となり,A→B→E2→E3→H→I は 5+8+4+2+4+2=25日。もう一方の A→B→D→G は 5+8+7+7=27日なので,図2 全体は 27日。

28−27=1日短縮できる。

作業 E を分けて並行させると 当初は A→B→E→H→I が 28 日でクリティカルパス。E(9日)を E1(3日),E2(4日),E3(2日)に分け,E1 と E2 を並行させると,B の後から H の手前までが 4+2=6 日に縮まり,その経路は 25 日。代わって A→B→D→G の 27 日がクリティカルパスになり,全体は 1 日だけ縮む。 A 5 B 8 C 7 D 7 E1 3 E2 4 E3 2 F 5 G 7 H 4 I 2 0 / 0 5 / 5 13 / 13 12 / 16 20 / 20 16 / 19 17 / 27 18 / 21 22 / 25 27 / 27 変更前 28 日 → 変更後 27 日(1日短縮)
縮めた結果,別の経路(27 日)が新しいクリティカルパスになる

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問53(表記を一部改変)

問54

システム開発における工数の見積りに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

COCOMO は,プログラムの規模(ステップ数)を基に,開発の種類や要員の能力などの補正係数を掛けて工数を見積もるモデルである。精度を上げるには,係数を自社の実績に合わせて調整する必要があり,自社における生産性に関する蓄積されたデータが必要になる。アが適切である。

イは誤り。過去の工数の実績は,要員の技量の違いを考慮して補正すれば見積りの参考になる。ウは誤り。工数の見積りはレビューやテストに掛ける工数の計画にも使われ,品質管理にも関係する。エは誤り。ファンクションポイント法は,入出力やファイルなどの機能の数と複雑さから規模を見積もる方法で,プログラムステップ数を把握する必要はない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問54(表記を一部改変)

問55

ITIL におけるサービスデスクを配置する方法の一つである“フォロー・ザ・サン”の説明はどれか。

正解 ウ

解説

ITIL のサービスデスクを配置する方法には,ローカル,集中,バーチャル,フォロー・ザ・サンがある。フォロー・ザ・サンは,地理的に分散した二つ以上のサービスデスクを時差を利用して組み合わせ,1 日 24 時間体制でサービスを提供する方法である。ウが正しい。

アはインターネット技術を使い,複数のサービスデスクを単一であるかのように運用するバーチャルサービスデスク。イはスタッフを 1 か所に集めて複数のサービスデスクを統合する集中サービスデスクの説明である。エは夜間と昼間の引継ぎに関する運用で,サービスデスクの配置方法ではない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問55(表記を一部改変)

問56

IT サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理の説明はどれか。

正解 ア

解説

サービスレベル管理は,顧客と合意したサービス目標に照らして,あらかじめ定めた間隔でサービスの傾向とパフォーマンスを監視し,レビューして報告する活動。合意した目標が守られているかを継続的に見るのがこのプロセスの役割。

イはサービス継続管理,ウはインシデント管理,エは予算業務及び会計業務の活動である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問56(表記を一部改変)

問57

IT サービスマネジメントのプロセスの一つである構成管理を導入することによって得られるメリットはどれか。

正解 ウ

解説

構成管理は,IT サービスを構成するハードウェア,ソフトウェア,文書などの構成品目(CI)とその関係を識別し,正確な情報を構成管理データベース(CMDB)に記録して維持するプロセスである。正確な構成情報があれば,インシデント管理での影響範囲の把握や,変更管理での影響の評価などを確実に行えるので,他のプロセスの確実な実施を支援できる。ウが該当する。

アは現在と将来の需要を把握・予測する容量・能力(キャパシティ)管理,イは緊急事態でも事業を継続できるようにする IT サービス継続性管理,エは合意した品質のサービスを適正な費用で提供するサービスレベル管理や財務管理のメリットである。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問57(表記を一部改変)

問58

クラウドサービスの導入検討プロセスに対するシステム監査において,クラウドサービス上に保存されている情報の消失の予防に関するチェックポイントとして,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

問われているのは「情報の消失の予防」なので,情報が失われる原因をあらかじめ断てているかを見る。クラウドでは,事業者が倒産したりサービスを終了したりすると,預けた情報を取り出せなくなる(消失する)ことが大きなリスクになる。したがって,事業者に信頼が置けるか,事業やサービスが継続して提供されるかを導入の検討段階で確かめることが,消失の予防のチェックポイントになる。ウが正しい。

アの ID の一元管理は運用の利便性,イの最大許容停止時間は可用性,エの施設内ネットワークの暗号化は機密性に関するチェックポイントで,いずれも情報の消失の予防とは目的が異なる。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問58(表記を一部改変)

問59

システム監査人が予備調査で実施する監査手続はどれか。

正解 イ

解説

予備調査は,本調査の前に監査対象の実態を概略的に把握し,監査手続を具体化するために行う。関係者へのアンケート調査で,被監査部門の管理者や担当者がリスクをどう認識しているかといった情報を収集するのは,予備調査で行う監査手続に当たる。イが適切である。

アの監査証拠に基づいて指摘事項をまとめるのは,本調査の後の評価・結論の段階。ウの改善提案の実現可能性の確認は,監査の結論をまとめる段階や報告の後のフォローアップで行う。エの監査手続書に従ったヒアリングによる詳細な調査は,本調査で行う監査手続である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問59(表記を一部改変)

問60

外部委託管理の監査に関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

正解 ア

解説

請負契約では,受託側が自らの責任で業務を行い,委託側が受託側要員を直接指揮命令することはない。一方,委託側の事務所で作業を行う受託側要員が委託側のシステムにアクセスする場合は,そのアクセス管理が妥当かどうかを委託側が監査できるように契約で定めておく。アが最も適切である。

イは,請負契約で委託側の責任者が受託側要員に指揮命令することは適切でなく,監査の観点も誤っている。ウは,外部委託で開発した業務システムの品質管理状況も,委託側が監査で確かめる必要がある。エは,機密度が高いというだけで自社開発に切り替えるよう勧告するのではなく,委託先の管理の状況を監査して改善を求める。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60(表記を一部改変)

問61

IT 投資評価を,個別プロジェクトの計画,実施,完了に応じて,事前評価,中間評価,事後評価として実施する。事前評価について説明したものはどれか。

正解 エ

解説

事前評価は,プロジェクトの計画段階で行う評価で,投資目的に基づいた効果目標を設定し,投資を実施するかどうかを判断するのに必要な情報を上位マネジメントに提供する。エが該当する。

アの効果目標の達成状況を評価して改善策を検討するのは,プロジェクト完了後の事後評価。イの実施計画と実績の差異を分析して投資額や効果目標の変更の要否を判断するのは,実施段階の中間評価。ウの投資効果の実現時期に合わせた評価も,完了後に効果を測る事後評価の進め方である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問61(表記を一部改変)

問62

情報システム全体の最適化目標は経営戦略に基づいて設定される必要があり,その整合性を検証する必要がある。“財務状態の予測”と整合性を確保すべきものはどれか。

正解 ア

解説

情報システム全体の最適化目標は,経営戦略に基づいて設定され,経営戦略との整合性を検証する必要がある。“財務状態の予測”は,必要な資金や投資の見通しを示す経営の財務面の計画であり,情報システムへの投資額や効果を示す情報化投資計画との整合性を確保すべきである。アが正しい。

イの情報システム化計画は,業務を支える情報システムの構成や開発の順序を示す計画。ウの SWOT 分析は強み・弱み・機会・脅威を整理する手法,エのバランススコアカードは財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の視点で戦略の達成度を測る手法で,いずれも財務状態の予測そのものと整合させる対象ではない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問62(表記を一部改変)

問63

SOA を説明したものはどれか。

正解 エ

解説

SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務プロセスを構成する機能と,それを支える IT 基盤を,再利用可能なソフトウェア部品(サービス)として提供し,それらを組み合わせてシステムを構築するアーキテクチャである。エが該当する。

アは組織や業務のやり方を抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング),イは基幹業務を統合的に管理する ERP,ウは発注者とサービス提供者の間でサービスの品質を合意する SLA(サービスレベル合意書)の説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問63(表記を一部改変)

問64

オムニチャネルの特徴はどれか。

正解 ア

解説

オムニチャネルは,実店舗,インターネット上のオンラインストア,カタログ通販など,複数の顧客接点を統合し,どの接点からでも同質の利便性で商品を注文・購入できるようにする考え方である。アが特徴である。

イは販売チャネルを分けて独立させる形で,統合するオムニチャネルとは逆。ウは実店舗への来店を促す販売促進の施策。エは実店舗をもたずインターネットだけで販売する形態で,複数の接点を結び付けるわけではない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問64(表記を一部改変)

問65

BABOK の説明はどれか。

正解 ウ

解説

BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)は,IIBA がまとめたビジネスアナリシスの知識体系で,ビジネスアナリシスの計画とモニタリング,引き出し,要求アナリシス,基礎コンピテンシなどの知識エリアから成る(出題当時の第2版は七つの知識エリア)。ウが正しい。

アはソフトウェア品質の知識体系である SQuBOK,イはソフトウェアエンジニアリングの知識体系である SWEBOK,エはプロジェクトマネジメントの知識体系である PMBOK の説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問65(表記を一部改変)

問66

表は,ビジネスプロセスを UML で記述する際に使用される図法とその用途を示している。表中の b に相当する図法はどれか。ここで,ア〜エは,a〜d のいずれかに該当する。

図法と記述用途の表。a:モデル要素の型,内部構造,他のモデル要素との関連を記述する。b:システムが提供する機能単位と利用者との関連を記述する。c:イベントの反応としてオブジェクトの状態遷移を記述する。d:オブジェクト間のメッセージの交信と相互作用を記述する。

正解 エ

解説

b の“システムが提供する機能単位と利用者との関連を記述する”のは,システムの機能(ユースケース)と利用者(アクタ)の関係を表すユースケース図であり,エが正しい。

残りの図法は,a の“モデル要素の型,内部構造,他のモデル要素との関連”を記述するアのクラス図,c の“イベントの反応としてオブジェクトの状態遷移”を記述するウのステートチャート図(状態マシン図),d の“オブジェクト間のメッセージの交信と相互作用”を記述するイのコラボレーション図(コミュニケーション図)である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(表記を一部改変)

問67

企業の競争戦略におけるチャレンジャ戦略はどれか。

正解 ア

解説

チャレンジャは,業界で2番手や3番手にあり,リーダの地位を狙う企業である。上位企業のシェアを奪うことを目標に,製品,サービス,販売促進,流通チャネルなどあらゆる面でリーダとの差別化を図る。アが該当する。

イの,大手が参入しない専門特化した市場に経営資源を集中するのはニッチャの戦略。ウの,上位企業の戦略を観察して迅速に模倣し,コストを抑えて存続を図るのはフォロワの戦略。エの,利潤や名声の維持と最適シェアの確保を目標に全ての顧客を狙う全方位戦略はリーダの戦略である。

競争地位別の戦略(コトラー) 経営資源の量と質で4つに分ける。リーダは市場全体を広げ,全方位でシェアを守る。チャレンジャはリーダのシェアを奪うため,あらゆる面で差別化する。フォロワは上位企業をすばやく模倣してコストを抑える。ニッチャは大手が狙わない特定の顧客・製品に資源を集中して専門化する。 リーダ 市場拡大・全方位 チャレンジャ 差別化でシェアを奪う ニッチャ 特定の顧客・製品に集中 フォロワ 模倣してコストを抑える 質 高 質 低 量 大 量 小 経営資源の量(大・小)と質(高・低)
ニッチャは特定のセグメントに集中,フォロワは模倣

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問67(表記を一部改変)

問68

売り手側でのマーケティング要素 4P は,買い手側での要素 4C に対応するという考え方がある。4P の一つであるプロモーションに対応する 4C の構成要素はどれか。

正解 ウ

解説

4P は売り手側からみたマーケティングの要素(Product,Price,Place,Promotion),4C はそれを買い手側からみた要素で,Product は顧客価値(Customer Value),Price は顧客コスト(Customer Cost),Place は利便性(Convenience),Promotion はコミュニケーション(Communication)に対応する。

プロモーション(販売促進)は,売り手から一方的に働きかけるのではなく,買い手との双方向の情報のやり取りと捉えるので,ウのコミュニケーションが正しい。アは製品,イは価格,エは流通に対応する。

4P と 4C の対応 売り手から見た 4P を,買い手から見た 4C に置き換えると,製品(Product)は顧客価値,価格(Price)は顧客コスト,流通(Place)は利便性,プロモーション(Promotion)はコミュニケーションに当たる。 4P(売り手) 4C(買い手) 製品 Product 顧客価値 Customer Value 価格 Price 顧客コスト Customer Cost 流通 Place 利便性 Convenience プロモーション Promotion コミュニケーション Communication
プロモーションに対応するのはコミュニケーション

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問68(表記を一部改変)

問69

ある製品における消費者の購買行動を分析した結果,コンバージョン率が低く,リテンション率が高いことが分かった。この場合に講じるべき施策はどれか。

マーケティング指標と定義の表。コンバージョン率:製品を認知した消費者のうち,初回購入に至る消費者の割合。リテンション率:製品を購入した消費者のうち,固定客となる消費者の割合。

正解 イ

解説

コンバージョン率は,製品を認知した消費者のうち初回購入に至る割合,リテンション率は,製品を購入した消費者のうち固定客になる割合である。コンバージョン率が低くリテンション率が高いのは,購入した消費者には満足されるが,認知した消費者が初回購入にまで至らない状態である。初回購入への心理的な障壁を下げる,無料サンプルの配布やお試し価格によるセールスプロモーションを実施するイが適切である。

アは,一度購入した消費者は固定客になっているので,製品の魅力がないと見て撤退を検討する必要はない。ウは,購入した消費者の期待と製品とに差異があれば,リテンション率は低くなるはずである。エは,コンバージョン率が低いという課題が残っているので,施策が不要とはいえない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問69(表記を一部改変)

問70

技術は,理想とする技術を目指す過程において,導入期,成長期,成熟期,衰退期,そして次の技術フェーズに移行するという進化の過程をたどる。この技術進化過程を表すものとして,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,導入期には努力の割に性能の向上が緩やかだが,成長期に急速に進歩し,成熟期には限界に近づいて進歩が鈍り,やがて衰退して次の技術に移行していく。進歩を時間などに対して描くと S 字形になる。アが適切である。

イの需要曲線は価格と需要量の関係を表す曲線。ウのバスタブ曲線は時間の経過に対する故障率の変化を表す曲線。エのラーニングカーブ(学習曲線)は経験を積むほど作業効率が上がりコストが下がる関係を表す曲線である。

技術の S カーブ 技術の性能は,導入の初めは努力の割に伸びが小さく,ある時点から急に伸び,やがて限界に近づいて伸びが鈍る(S 字)。成熟した技術に努力を続けても伸びは小さいので,新しい技術の S カーブに乗り換える時期を見極める。 研究開発の努力(時間) 性能 導入期 成長期 成熟期 新しい技術 乗り換え
導入期は緩やか,成長期に急伸,成熟期に頭打ち。次の技術へ乗り換える

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問70(表記を一部改変)

問71

製品開発のスピードアップ手法を次の a〜d に分類した場合,b に相当するものはどれか。ここで,ア〜エは,a〜d のいずれかに該当する。

2×2 の分類図。縦軸は経営資源の確保(上が組織内から,下が組織外から),横軸は実現方法(左が技術的アプローチ,右が組織的アプローチ)。左上が a,右上が b,左下が c,右下が d。

正解 ウ

解説

b は“組織内から”経営資源を確保し,“組織的アプローチ”で実現する手法である。設計部門と生産部門という社内の組織の作業のやり方を見直し,並行して進めるコンカレントエンジニアリングがこれに当たるので,ウが正しい。

アの既に利用している CAD,CAM,CAE の積極的な活用は,組織内の資源を技術的に活用するので a。イの市場調査会社の活用は,組織外の資源を業務の分担という組織的な方法で活用するので d。エの大学との共同研究開発や他社からの技術導入は,組織外から技術を取り入れるので c に当たる。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問71(表記を一部改変)

問72

EDI を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

EDI(Electronic Data Interchange)は,ネットワークを介して,受発注や請求などの商取引のためのデータを,企業間のコンピュータ(端末を含む)の間で標準的な規約に基づいて交換することである。ウが正しい。

アは OSI 基本参照モデルに基づく電子メールサービスの国際規格 MHS(X.400)。イは蓄積や変換などの付加価値を加えた通信サービスの VAN(付加価値通信網)。エは発注情報を端末から本部や仕入先に送信して発注を行う EOS(電子発注システム)の説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問72(表記を一部改変)

問73

SEO の説明はどれか。

正解 ウ

解説

SEO(Search Engine Optimization,検索エンジン最適化)は,検索エンジンの検索結果一覧で自社サイトがより上位に表示されるように,Web ページの記述内容を見直すなどの様々な工夫を行うことである。ウが該当する。

アは,購入履歴などを基に商品を推奨するレコメンデーション。イは,広告が契機で商品が購入されたときに成功報酬を得るアフィリエイト。エは,検索に使われたキーワードに関連した広告を表示する検索連動型広告(リスティング広告)の説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問73(表記を一部改変)

問74

SRI(Socially Responsible Investment)を説明したものはどれか。

正解 イ

解説

SRI(Socially Responsible Investment,社会的責任投資)は,売上高や利益といった財務面の評価だけでなく,環境への配慮,人権や労働への取組み,法令遵守といった社会的責任への取組みも評価の基準に加えて投資先を選ぶ,投資家の側の投資手法である。イが正しい。

アは,企業が自ら行う環境保全のための投資であって,投資家による投資先の選び方ではない。ウは先端技術のベンチャ企業を対象とするベンチャキャピタルの投資,エは公共事業への投資であり,いずれも社会的責任への取組みを評価の基準にしてはいない。なお,SRI の考え方は,現在では環境・社会・ガバナンスを評価軸とする ESG 投資として広まっている。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問74(表記を一部改変)

問75

リーダに求められる機能として,PM 理論がある。P 機能(Performance function)が大きく,M 機能(Maintenance function)が小さいリーダのタイプはどれか。

正解 エ

解説

PM 理論は,リーダの機能を,目標達成機能(P 機能:Performance)と集団維持機能(M 機能:Maintenance)の大小の組合せで分類する。P 機能が大きく M 機能が小さいタイプは Pm 型で,目標達成を急ぐ余り,一部のメンバの意見を中心にまとめてしまい,他のメンバから抵抗を受けやすい。エが正しい。

アは P 機能も M 機能も小さい pm 型,イは M 機能が大きく P 機能が小さい pM 型,ウは P 機能も M 機能も大きい PM 型の説明である。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問75(表記を一部改変)

問76

内閣府によって取りまとめられた“仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章”及び“仕事と生活の調和推進のための行動指針”では,目指すべき社会の姿ごとに,その実現に向けた指標を設けている。次の表の c に当てはまるものはどれか。

目指すべき社会の姿ごとの実現に向けた指標の例の表。a:就業率,時間当たり労働生産性の伸び率,フリータの数。b:労働時間等の課題について労使が話合いの機会を設けていると回答した企業の割合,週労働時間 60 時間以上の雇用者の割合,メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所の割合。c:在宅型テレワーカの数,短時間勤務を選択できる事業所の割合,男性の育児休業取得率。
目指すべき社会の姿ごとの実現に向けた指標の例

正解 エ

解説

“仕事と生活の調和推進のための行動指針”は,目指すべき社会の姿を“就労による経済的自立が可能な社会”,“健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会”,“多様な働き方・生き方が選択できる社会”の三つとし,それぞれに数値目標を設けている。在宅型テレワーカの数,短時間勤務を選択できる事業所の割合,男性の育児休業取得率は,働き方の選択肢に関する指標なので,c はエの“多様な働き方・生き方が選択できる社会”である。

就業率やフリータの数などの a はウの“就労による経済的自立が可能な社会”,労働時間やメンタルヘルスケアに関する b はアの“健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会”に当たる。イの“個々の社員のキャリア形成を企業が支援可能な社会”は,三つの社会の姿に含まれていない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問76(表記を一部改変)

問77

損益計算資料から求められる損益分岐点売上高は,何百万円か。

損益計算資料(単位 百万円)。売上高 500,材料費(変動費)200,外注費(変動費)100,製造固定費 100,総利益 100,販売固定費 80,利益 20。

正解 ウ

解説

変動費は材料費200+外注費100=300百万円,固定費は製造固定費100+販売固定費80=180百万円。

変動費率は 300÷500=0.6 なので,限界利益率は 1−0.6=0.4。

損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率=180÷0.4=450百万円。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問77(表記を一部改変)

問78

A 社では,社員のソーシャルメディア利用に関し,業務利用だけでなく,私的利用における注意事項も取りまとめ,ソーシャルメディアガイドラインを策定した。私的利用も対象とするガイドラインが必要とされる理由として,最も適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ソーシャルメディア上の行為は,業務利用でなくても,社員が A 社の社員であることが分かれば,不適切な発言や情報の漏えいが A 社の信用やブランドに影響を与える。そのため,私的利用も対象にしたガイドラインが必要になる。イが最も適切である。

アのアカウントの取得や解約の手続,ウの操作方法を習得するマニュアル,エの利用料金の負担は,ガイドラインで私的利用の注意事項まで定める理由にならない。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78(表記を一部改変)

問79

個人情報保護法で保護される個人情報の条件はどれか。

正解 ウ

解説

個人情報保護法の個人情報は,生存する個人に関する情報であって,氏名や生年月日などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合して識別できるものを含む)や,個人識別符号を含むものをいう。亡くなった人の情報は対象外なので,ウが正しい。

アは誤りで,顧客に限らず従業員や取引先の担当者などの情報も対象になる。イは誤りで,本人が秘密にしている情報に限らず,公開されている氏名なども個人情報に当たる。エは誤りで,国籍は問わず,外国人の情報も対象になる。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問79(表記を一部改変)

問80

ソフトウェアやデータに瑕疵がある場合に,製造物責任法の対象となるものはどれか。

正解 ア

解説

製造物責任法(PL 法)の対象になる“製造物”は,製造又は加工された動産である(同法 2 条 1 項)。ソフトウェアを ROM 化して組み込んだ機器は動産に当たり,その欠陥(問題文でいう瑕疵)によって損害が生じたときは製造物責任を問われうる。アが該当する。

ソフトウェア単体(イのパッケージ,ウの OS)や,ネットワークからダウンロードしたデータ(エ)は,それ自体は有体物の動産ではないので,一般に製造物責任法の対象にならないと解されている。

出典:平成28年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問80(表記を一部改変)